JP4942305B2 - 磁気ディスク用ガラス基板の製造方法及び磁気ディスクの製造方法 - Google Patents
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特許文献3には、リチウムイオンを含有するアモルファスなアルミノシリケートガラスからなるガラス基板を鏡面研磨した後、1度目の処理として、380℃の硝酸ナトリウム溶融塩の処理剤へ当該ガラス基板を2時間浸漬し、2度目の処理として、380℃の硝酸カリウム溶融塩の処理剤へ当該ガラス基板を2時間浸漬した後、洗浄して磁気ディスク用ガラス基板を得、この磁気ディスク用ガラス基板上へ適宜な方法により磁性層等を形成することにより、抗折強度が高く、LUL耐久性にも優れ、経時破損も起こすことのない、HDDなどの磁気ディスク装置に搭載される磁気ディスクを提供することが記載されている。
アルカリ金属元素を含有するガラス基板を化学強化する化学強化工程を含む磁気ディスク用ガラス基板の製造方法において、化学強化工程は、少なくとも2つの工程を有しており、ガラス基板と化学強化処理液とを接触させる第1工程においては、ガラス基板に含まれるアルカリ金属イオンのイオン半径よりもイオン半径が大きいアルカリ金属イオンである第1のイオンを含有する化学強化処理液とガラス基板とを接触させて、イオン交換をさせ、第2以降の工程おいては、ガラス基板に含まれるアルカリ金属イオンの中で最も小さいアルカリ金属イオンのイオン半径と同じイオン半径、または、小径のアルカリ金属イオンである第2以降のイオンを含有する処理液とガラス基板とを接触させることを特徴とするものである。
本発明は、構成1を有する磁気ディスク用ガラス基板の製造方法において、第2以降のイオンは、第1工程において、化学強化処理液中に存在しており、第2以降の工程における処理液中での第2以降のイオンの割合が、第1工程における化学強化処理液中での第2以降のイオンの割合よりも高いことを特徴とするものである。
本発明は、構成1、または、構成2のいずれか一を有する磁気ディスク用ガラス基板の製造方法において、第2以降のイオンは、ガラス基板に含まれるイオンがリチウムイオンである場合には、リチウムイオンであり、ガラス基板に含まれるイオンがナトリウムイオンである場合には、リチウムイオン、または、ナトリウムイオンであることを特徴とするものである。
本発明は、構成1乃至構成3のいずれか一を有する磁気ディスク用ガラス基板の製造方法において、第1工程における化学強化処理液とガラス基板とを接触させる時間が、第2以降の工程における処理液とガラス基板とを接触させる時間よりも長いことを特徴とするものである。
〔構成5〕
構成1乃至構成4のいずれか一を有する磁気ディスク用ガラス基板の製造方法において、第2以降の工程における前記処理液は、第2以降のイオンを主成分として含有することを特徴とするものである。
〔構成6〕
構成1乃至構成5のいずれか一を有する磁気ディスク用ガラス基板の製造方法において、第2以降の工程における処理液は、硝酸リチウムの溶融塩であることを特徴とするものである。
〔構成7〕
構成1乃至構成6のいずれか一を有する磁気ディスク用ガラス基板の製造方法において、第1工程後の後に、直ちに、第2以降の工程を実施することを特徴とするものである。
本発明は、構成1乃至構成7のいずれか一を有する磁気ディスク用ガラス基板の製造方法において、ガラス基板の主表面の微小うねりの最大値は、各辺が800μm及び980μmの矩形の測定範囲内において、5nm未満であることを特徴とするものである。
本発明は、アルカリ金属元素を含有するガラス基板の表面を処理する工程を含む磁気ディスク用ガラス基板の製造方法であって、ガラス基板に含有されるアルカリ金属イオンのイオン半径よりも相対的に大きなアルカリ金属イオンとガラス基板に含有されるアルカリ金属イオンとをイオン交換することによりガラス基板の表面を化学強化処理した後に、ガラス基板に含有される最も小さなアルカリ金属イオンと同一、または、相対的に小さなアルカリ金属イオンとガラス基板の表面とを接触させる処理を行うことを特徴とするものである。
本発明は、アルカリ金属元素を含有するガラス基板の表面を処理する工程を含む磁気ディスク用ガラス基板の製造方法であって、ガラス基板に含有されるアルカリ金属イオンのイオン半径よりも相対的に大きなアルカリ金属イオンを含む第1の溶融塩とガラス基板の表面とを接触させてガラス基板の表面を化学強化処理した後に、ガラス基板に含有される最も小さなアルカリ金属イオンと同一、または、相対的に小さなアルカリ金属イオンを主成分として含む第2の溶融塩をガラス基板の表面に付着させ、第2の溶融塩が付着されたガラス基板を冷却処理することを特徴とするものである。
本発明は、構成10を有する磁気ディスク用ガラス基板の製造方法において、第2の溶融塩の凝固点以下の温度までガラス基板を雰囲気中で冷却処理することを特徴とするものである。
本発明に係る磁気ディスクの製造方法は、構成1乃至構成11のいずれか一を有する磁気ディスク用ガラス基板の製造方法により製造された磁気ディスク用ガラス基板上に、少なくとも磁性層を形成することを特徴とするものである。
本発明に係る磁気ディスク用ガラス基板の製造方法においては、まず、図1に示すように、板状ガラス1の主表面をラッピング(研削)処理してガラス母材2とし、このガラス母材2を切断してガラス基板3を切り出し、このガラス基板3の主表面に対し、少なくともポリッシング(研磨)処理を行う。
ガラス基板3の端面の鏡面研磨(端面ポリッシング工程)をしておくことが好ましい。ガラス基板3の端面は切断形状となっているので、この端面を鏡面にポリッシングしておくことにより、端面からのパーティクルの発生を抑制することができ、この磁気ディスク用ガラス基板を用いて製造された磁気ディスクにおいて、いわゆるサーマルアスペリティ障害を良好に防止することができるからである。また、端面が鏡面であれば、微小クラックによる遅れ破壊を防止できる。端面の鏡面状態としては、算術平均粗さ(Ra)で100nm以下の鏡面が好ましい。
後述するガラス基板3のポリッシング工程の前に、ラッピング処理(第2ラッピング工程)をしておくことが好ましい。このときのラッピング処理は、前述した板状ガラス1に対するラッピング処理と同様の手段により行うことができる。ガラス基板3をラッピング処理してからポリッシング処理を行うことにより、より短時間で、鏡面化された主表面を得ることができる。
ガラス母材2から切り出されたガラス基板3に対してポリッシング処理を施し、ガラス基板3の主表面を鏡面化する。
ガラス基板3のポリッシング工程の前及び/又は後の化学強化工程において、化学強化処理を施す。化学強化処理を行うことにより、磁気ディスク用ガラス基板の表面に高い圧縮応力を生じさせることができ、耐衝撃性を向上させることができる。特に、ガラス基板3の材料としてアルミノシリケートガラスを用いている場合には、好適に化学強化処理を行うことができる。
図2は、本発明に係る磁気ディスク用ガラス基板の製造方法における化学強化工程を示す側面図である。
化学強化工程の第2工程は、前述した第1工程に続いて、ガラス基板3と第2の処理液とを接触させる。この第2の工程おいては、第1のイオンのイオン半径よりも小さい第2のイオンを含有する第2の処理液とガラス基板3とを接触させる。また、この第2のイオンは、ガラス基板3に含まれるアルカリ金属イオンの中で最も小さいアルカリ金属イオンのイオン半径と同じイオン半径であるイオンとしてもよい。イオン半径は、イオンクロマトグラフィによって測定することができる。
本発明に係る磁気ディスク用ガラス基板の製造方法においては、前述のように2以上の工程からなる化学強化工程に代えて、以下のような工程からなる表面処理工程を実施するようにしてもよい。
本発明に係る磁気ディスクの製造方法において、上述のようにして製造された磁気ディスク用ガラス基板上に形成される磁性層としては、例えば、コバルト(Co)系強磁性材料からなるものを用いることができる。特に、高い保磁力が得られるコバルト−プラチナ(Co−Pt)系強磁性材料や、コバルト−クロム(Co−Cr)系強磁性材料からなる磁性層として形成することが好ましい。なお、磁性層の形成方法としては、DCマグネトロンスパッタリング法を用いることができる。
以下に述べる本実施例における磁気ディスク用ガラス基板の製造方法は、以下の(1)乃至(7)の工程からなる。
(2)形状加工工程
(3)精ラッピング工程(精研削工程)
(4)端面鏡面加工(ポリッシング)工程
(5)第1研磨(ポリッシング)工程
(6)第2研磨(ポリッシング)工程
(7)化学強化工程(第1工程)
(8)化学強化工程(第2工程)
(9)洗浄工程
まず、アモルファスのアルミノシリケートガラスからなるディスク状のガラス母材を用意した。このアルミノシリケートガラスは、リチウムを含有している。このアルミノシリケートガラスの組成は、SiO2を、63.6重量%、Al2O3を、14.2重量%、Na2Oを、10.4重量%、Li2Oを、5.4重量%、ZnO2を、6.0重量%、Sb2O3を、0.4重量%含むものである。
溶融させたアルミノシリケートガラスから形成した厚さ0.6mmのシートガラスをガラス母材として用いて、このシートガラスから、研削砥石により、直径28.7mm、厚さ0.6mmの円盤状のガラス基板を得る。
次に、円筒状の砥石を用いて、ガラス基板の中央部分に直径6.1mmの孔を形成するとともに、外周端面の研削をして、直径を27.43mmとした後、外周端面及び内周端面に所定の面取り加工を施す。このときのガラス基板の端面の表面粗さは、Rmaxで4μm程度にする。
次に、砥粒の粒度を#1000に替え、ガラス基板の主表面をラッピングすることにより、主表面の表面粗さを、Rmaxで2μm程度、算術平均粗さ(Ra)で0.2μm程度とする。
次いで、ガラス基板の端面について、ブラシ研磨により、ガラス基板を回転させながら、ガラス基板の端面(内周端面及び外周端面)の表面の粗さを、算術平均粗さ(Ra)で40nm程度に研磨する。
次に、前述した精ラッピング工程において残留した傷や歪みを除去するため、両面研磨装置を用いて、第1研磨(ポリッシング)工程を行う。
次に、第1研磨工程で使用した両面研磨装置と同様の両面研磨装置を用いて、ポリッシャを軟質研磨パッド(発泡ポリウレタン)に替えて、主表面の鏡面研磨工程として、第2研磨(ポリッシング)工程を実施する。
次に、洗浄を終えたガラス基板に対し、化学強化処理を施す。化学強化処理は、第1工程として、硝酸カリウムと硝酸ナトリウムと硝酸リチウムとを混合させた化学強化塩を溶融させた化学強化溶融塩を第1の処理液(化学強化処理液)として用いて行う。
次に、化学強化工程の第1工程を終えたガラス基板に対し、化学強化工程の第2工程を施す。化学強化処理の第2工程は、硝酸リチウムを溶融させたリチウムイオン濃度の高い化学強化溶融塩を第2の処理液として用いて行う。
化学強化工程を終えた磁気ディスク用ガラス基板を、20°Cの水槽に浸漬して急冷し、約10分間維持する。
次に、以下の工程を経て、磁気ディスクを製造した。
2 ガラス母材
3 ガラス基板
4 第1の処理槽(化学強化槽)
5 第2の処理槽
Claims (12)
- アルカリ金属元素を含有するガラス基板を化学強化する化学強化工程を含む磁気ディスク用ガラス基板の製造方法において、
前記化学強化工程は、少なくとも2つの工程を有しており、
前記ガラス基板と前記化学強化処理液とを接触させる第1工程においては、前記ガラス基板に含まれるアルカリ金属イオンのイオン半径よりもイオン半径が大きいアルカリ金属イオンである第1のイオンを含有する化学強化処理液と前記ガラス基板とを接触させて、イオン交換をさせ、
第2以降の工程おいては、前記ガラス基板に含まれるアルカリ金属イオンの中で最も小さいアルカリ金属イオンのイオン半径と同じイオン半径、または、小径のアルカリ金属イオンである第2以降のイオンを含有する処理液と前記ガラス基板とを接触させる
ことを特徴とする磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。 - 前記第2以降のイオンは、前記第1工程において、前記化学強化処理液中に存在しており、
前記第2以降の工程における前記処理液中での前記第2以降のイオンの割合が、前記第1工程における前記化学強化処理液中での前記第2以降のイオンの割合よりも高い
ことを特徴とする請求項1記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。 - 前記第2以降のイオンは、前記ガラス基板に含まれるイオンがリチウムイオンである場合には、リチウムイオンであり、前記ガラス基板に含まれるイオンがナトリウムイオンである場合には、リチウムイオン、または、ナトリウムイオンである
ことを特徴とする請求項1、または、請求項2記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。 - 前記第1工程における前記化学強化処理液と前記ガラス基板とを接触させる時間が、前記第2以降の工程における前記処理液と前記ガラス基板とを接触させる時間よりも長い
ことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一に記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。 - 前記第2以降の工程における前記処理液は、前記第2以降のイオンを主成分として含有する
ことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一に記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。 - 前記第2以降の工程における前記処理液は、硝酸リチウムの溶融塩である
ことを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか一に記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。 - 前記第1工程後の後に、直ちに、前記第2以降の工程を実施する
ことを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか一に記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。 - 前記ガラス基板の主表面の微小うねりの最大値は、各辺が800μm及び980μmの矩形の測定範囲内において、5nm未満である
ことを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか一に記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。 - アルカリ金属元素を含有するガラス基板の表面を処理する工程を含む磁気ディスク用ガラス基板の製造方法であって、
前記ガラス基板に含有されるアルカリ金属イオンのイオン半径よりも相対的に大きなアルカリ金属イオンと、前記ガラス基板に含有されるアルカリ金属イオンとをイオン交換することにより、前記ガラス基板の表面を化学強化処理した後に、
前記ガラス基板に含有される最も小さなアルカリ金属イオンと同一、または、相対的に小さなアルカリ金属イオンと前記ガラス基板の表面とを接触させる処理を行う
ことを特徴とする磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。 - アルカリ金属元素を含有するガラス基板の表面を処理する工程を含む磁気ディスク用ガラス基板の製造方法であって、
前記ガラス基板に含有されるアルカリ金属イオンのイオン半径よりも相対的に大きなアルカリ金属イオンを含む第1の溶融塩と、前記ガラス基板の表面とを接触させて前記ガラス基板の表面を化学強化処理した後に、
前記ガラス基板に含有される最も小さなアルカリ金属イオンと同一、または、相対的に小さなアルカリ金属イオンを主成分として含む第2の溶融塩を前記ガラス基板の表面に付着させ、
前記第2の溶融塩が付着されたガラス基板を冷却処理する
ことを特徴とする磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。 - 請求項10記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法であって、
前記第2の溶融塩の凝固点以下の温度まで前記ガラス基板を雰囲気中で冷却処理する
ことを特徴とする磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。 - 請求項1乃至請求項11のいずれか一に記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法により製造された磁気ディスク用ガラス基板上に、少なくとも磁性層を形成する
ことを特徴とする磁気ディスクの製造方法。
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