JP4912929B2 - 磁気ディスク用ガラス基板の製造方法及び磁気ディスクの製造方法 - Google Patents
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加熱した化学強化塩融解液にガラス基板を接触させ所望の温度においてガラス基板の表層をイオン交換により化学強化する化学強化工程と、この化学強化工程を経たガラス基板を冷却する冷却工程とを含む磁気ディスク用ガラス基板の製造方法であって、冷却工程においては、ガラス基板の温度が低下する前に、このガラス基板の表面に、固化したときにガラス状に固化する物質が融解された、前記化学強化塩融解液とは異なる物質を含む融解液をコートしておくことを特徴とするものである。
構成1を有する磁気ディスク用ガラス基板の製造方法において、冷却工程においては、ガラス基板の表面に化学強化塩を結晶させることなく、ガラス基板の温度を所定の温度まで低下させることを特徴とするものである。
構成1、または、構成2を有する磁気ディスク用ガラス基板の製造方法において、冷却工程においてガラス基板の表面にコートする融解液の温度は、化学強化塩の固化温度よりも高い温度に調整されていることを特徴とするものである。
構成1乃至構成3のいずれか一を有する磁気ディスク用ガラス基板の製造方法において、冷却工程においてガラス基板の表面にコートする融解液は、固化したときにガラス状に固化するように調整された硝酸塩を加熱して融解させた硝酸塩融解液であることを特徴とするものである。
構成4を有する磁気ディスク用ガラス基板の製造方法において、硝酸塩は、アルカリ金属硝酸塩及びアルカリ土類金属硝酸塩から選択される複数種類の硝酸塩を所定の割合で含むことを特徴とするものである。
〔構成6〕
構成1を有する磁気ディスク用ガラス基板の製造方法において、冷却工程において使用される融解液は、化学強化塩に含まれる金属塩の少なくとも一部を含んでいることを特徴とするものである。
〔構成7〕
加熱した化学強化塩融解液にガラス基板を接触させ所望の温度においてガラス基板の表層をイオン交換により化学強化する化学強化工程と、この化学強化工程を経たガラス基板を冷却する冷却工程とを含む磁気ディスク用ガラス基板の製造方法であって、冷却工程においては、ガラス基板の温度が低下する前に、化学強化工程後のガラス基板の冷却時に発生する微少うねりを抑制するために、このガラス基板の表面に、固化したときにガラス状に固化する物質が融解され、化学強化工程で使用される化学強化塩融解液と混合し、化学強化塩融解液の結晶化温度を低下させる融解液をコートしておくことを特徴とするものである。
〔構成8〕
構成1乃至構成6のいずれか一を有する磁気ディスク用ガラス基板の製造方法において、融解液は、化学強化工程で使用される化学強化塩融解液と混合し、化学強化塩融解液の結晶化温度を低下させるものであることを特徴とするものである。
構成1乃至構成8のいずれか一を有する磁気ディスク用ガラス基板の製造方法により製造された磁気ディスク用ガラス基板上に、少なくとも磁性層を成膜することを特徴とするものである。
本発明に係る磁気ディスク用ガラス基板の製造方法においては、まず、図1に示すように、板状ガラス1の主表面をラッピング(研削)処理してガラス母材2とし、このガラス母材2を切断してガラス基板3を切り出し、このガラス基板3の主表面に対し、少なくともポリッシング(研磨)処理を行う。
ガラス基板3の端面の鏡面研磨(端面ポリッシング工程)をしておくことが好ましい。ガラス基板3の端面は切断形状となっているので、この端面を鏡面にポリッシングしておくことにより、端面からのパーティクルの発生を抑制することができ、この磁気ディスク用ガラス基板を用いて製造された磁気ディスクにおいて、いわゆるサーマルアスペリティ障害を良好に防止することができるからである。また、端面が鏡面であれば、微小クラックによる遅れ破壊を防止できる。端面の鏡面状態としては、算術平均粗さ(Ra)で100nm以下の鏡面が好ましい。
後述するガラス基板3のポリッシング工程の前に、ラッピング処理(第2ラッピング工程)をしておくことが好ましい。このときのラッピング処理は、前述した板状ガラス1に対するラッピング処理と同様の手段により行うことができる。ガラス基板3をラッピング処理してからポリッシング処理を行うことにより、より短時間で、鏡面化された主表面を得ることができる。
ガラス母材2から切り出されたガラス基板3に対してポリッシング処理を施し、ガラス基板3の主表面を鏡面化する。
図2は、本発明に係る磁気ディスク用ガラス基板の製造方法における化学強化工程及び冷却工程を示す側面図である。
そして、本発明においては、化学強化工程を経たガラス基板に対して、図2に示すように、ガラス基板3をガラス基板保持槽5に収容された融解液に浸漬し、この融解液をガラス基板3の表面にコートしてから、ガラス基板3を冷却する冷却工程を実行する。
前述の冷却工程で使用される融解液は、化学強化工程で使用される化学強化塩の固化温度よりも高い温度では液体である。
そして、上述のような化学強化工程及び冷却工程を完了した後のガラス基板3は、図1に示すように、洗浄工程等を経て、製品(磁気ディスク用ガラス基板)となされる。
本発明に係る磁気ディスクの製造方法において、上述のようにして製造された磁気ディスク用ガラス基板上に形成される磁性層としては、例えば、コバルト(Co)系強磁性材料からなるものを用いることができる。特に、高い保磁力が得られるコバルト−プラチナ(Co−Pt)系強磁性材料や、コバルト−クロム(Co−Cr)系強磁性材料からなる磁性層として形成することが好ましい。なお、磁性層の形成方法としては、DCマグネトロンスパッタリング法を用いることができる。
以下に述べる本実施例における磁気ディスク用ガラス基板の製造方法は、以下の(1)乃至(9)の工程からなる。
(1)粗ラッピング工程(粗研削工程)
(2)形状加工工程
(3)精ラッピング工程(精研削工程)
(4)端面鏡面加工(ポリッシング)工程
(5)第1研磨(ポリッシング)工程
(6)第2研磨(ポリッシング)工程
(7)化学強化工程
(8)冷却工程
(9)洗浄工程
溶融させたアルミノシリケートガラスから形成した厚さ0.6mmのシートガラスをガラス母材として用いて、このシートガラスから、研削砥石により、直径28.7mm、厚さ0.6mmの円盤状のガラス基板を得た。
次に、円筒状の砥石を用いて、ガラス基板の中央部分に直径6.1mmの孔を形成するとともに、外周端面の研削をして、直径を27.43mmとした後、外周端面及び内周端面に所定の面取り加工を施した。このときのガラス基板の端面の表面粗さは、Rmaxで4μm程度とした。
次に、砥粒の粒度を#1000に替え、ガラス基板の主表面をラッピングすることにより、主表面の表面粗さを、Rmaxで2μm程度、算術平均粗さ(Ra)で0.2μm程度とした。
次いで、ガラス基板の端面について、ブラシ研磨により、ガラス基板を回転させながら、ガラス基板の端面(内周端面及び外周端面)の表面の粗さを、算術平均粗さ(Ra)で40nm程度に研磨した。
次に、前述した精ラッピング工程において残留した傷や歪みを除去するため、両面研磨装置を用いて、第1研磨(ポリッシング)工程を行った。
次に、第1研磨工程で使用した両面研磨装置と同様の両面研磨装置を用いて、ポリッシャを軟質研磨パッド(発泡ポリウレタン)に替えて、主表面の鏡面研磨工程として、第2研磨(ポリッシング)工程を実施した。
次に、洗浄を終えたガラス基板に対し、化学強化処理を施した。化学強化処理は、硝酸カリウムと硝酸ナトリウムと硝酸リチウムとを混合させた化学強化塩を溶融させた化学強化塩融解液を用いて行った。
化学強化工程で用いた化学強化塩融解液の結晶化開始温度が約230°Cであるので、化学強化処理槽より引き上げたガラス基板の温度が230°C以上に維持され、ガラス基板表面に残留した化学強化塩の結晶化が開始しない状態において、240°C乃至330°Cに調整した処理液に浸漬させ、ガラス基板の表面をコートした。この処理液は、KNO3:CaNO3・4H2O=4:6のものを用いた。この処理液は、冷却しても結晶化せず、ガラス状(アモルフアス状)に固化するものである。
化学強化処理槽より引き上げたガラス基板の温度が230°C以上に維持され、ガラス基板表面に残留した化学強化塩の結晶化が開始しない状態において、240°C乃至330°Cに調整した処理液に浸漬させ、ガラス基板の表面をコートした。この処理液は、KNO3:NaNO3:CaNO3・4H2O=3:1:6のものを用いた。この処理液は、冷却しても結晶化せず、ガラス状(アモルフアス状)に固化するものである。
冷却を終えた磁気ディスク用ガラス基板を、約40°Cに加熱した濃硫酸に浸漬して洗浄を行った。さらに、硫酸洗浄を終えた磁気ディスク用ガラス基板を、純水(1)、純水(2)、IPA(イソプロピルアルコール)、IPA(蒸気乾燥)の各洗浄槽に順次浸漬させて、超音波洗浄し、乾燥させた。
次に、以下の工程を経て、磁気ディスクを製造した。
前述の実施例における磁気ディスク用ガラス基板と同様に、化学強化処理を行った後、比較例として、ガラス基板を化学強化処理液から引き上げて、放置した状態で室温まで下げることにより、磁気ディスク用ガラス基板を得た。この比較例における磁気ディスク用ガラス基板の主表面においては、「Candela社製OSA6100」を用いた確認により、微少うねりが観察された。
加熱した化学強化塩融解液にガラス基板を接触させ、所望の温度においてガラス基板の表層を化学強化する化学強化工程を含む磁気ディスク用ガラス基板の製造方法であって、
ガラス状に固化する物質の融解液を、化学強化処理されたガラス基板の表面にコートする
ことを特徴とする磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
加熱した化学強化塩融解液にガラス基板を接触させ所望の温度においてガラス基板の表層を化学強化する化学強化工程と、化学強化処理されたガラス基板を冷却する冷却工程とを含む磁気ディスク用ガラス基板の製造方法であって、
ガラス状に固化する物質の融解液がコートされたガラス基板を、所定の温度まで冷却する
ことを特徴とする磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
ガラス状に固化する物質の融解液がコートされたガラス基板の表面に結晶を析出させることなく、前記ガラス基板の温度を所定の温度まで低下させる
ことを特徴とする構成8、または、構成9を有する磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
ガラス状に固化する物質の融解液を、前記化学強化塩の固化温度よりも高い温度でガラス基板にコートする
ことを特徴とする構成8乃至構成10のいずれか一を有する磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
加熱した化学強化塩融解液にガラス基板を接触させ所望の温度においてガラス基板の表層を化学強化する化学強化工程と、この化学強化工程を経たガラス基板を冷却する冷却工程とを含む磁気ディスク用ガラス基板の製造方法であって、
冷却工程においては、ガラス基板の表面に付着した化学強化塩融解液中の化学強化塩を固化させることなく、所定の温度までガラス基板の温度を低下させる
ことを特徴とする磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
構成8乃至構成12のいずれか一を有する磁気ディスク用ガラス基板の製造方法により製造された磁気ディスク用ガラス基板上に、少なくとも磁性層を成膜する
ことを特徴とする磁気ディスクの製造方法。
2 ガラス母材
3 ガラス基板
4 化学強化処理槽
5 ガラス基板保持槽
Claims (9)
- 加熱した化学強化塩融解液にガラス基板を接触させ、所望の温度においてガラス基板の表層をイオン交換により化学強化する化学強化工程と、この化学強化工程を経たガラス基板を冷却する冷却工程とを含む磁気ディスク用ガラス基板の製造方法であって、
前記冷却工程においては、前記ガラス基板の温度が低下する前に、このガラス基板の表面に、固化したときにガラス状に固化する物質が融解された、前記化学強化塩融解液とは異なる物質を含む融解液をコートしておく
ことを特徴とする磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。 - 前記冷却工程においては、前記ガラス基板の表面に前記化学強化塩を結晶させることなく、前記ガラス基板の温度を所定の温度まで低下させる
ことを特徴とする請求項1記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。 - 前記冷却工程において前記ガラス基板の表面にコートする融解液の温度は、前記化学強化塩の固化温度よりも高い温度に調整されている
ことを特徴とする請求項1、または、請求項2記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。 - 前記冷却工程において前記ガラス基板の表面にコートする融解液は、固化したときにガラス状に固化するように調整された硝酸塩を加熱して融解させた硝酸塩融解液である
ことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一に記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。 - 前記硝酸塩は、アルカリ金属硝酸塩及びアルカリ土類金属硝酸塩から選択される複数種類の硝酸塩を所定の割合で含む
ことを特徴とする請求項4記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。 - 前記冷却工程において使用される前記融解液は、前記化学強化塩に含まれる金属塩の少なくとも一部を含んでいる
ことを特徴とする請求項1記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。 - 加熱した化学強化塩融解液にガラス基板を接触させ、所望の温度においてガラス基板の表層をイオン交換により化学強化する化学強化工程と、この化学強化工程を経たガラス基板を冷却する冷却工程とを含む磁気ディスク用ガラス基板の製造方法であって、
前記冷却工程においては、前記ガラス基板の温度が低下する前に、化学強化工程後のガラス基板の冷却時に発生する微少うねりを抑制するために、このガラス基板の表面に、固化したときにガラス状に固化する物質が融解され、化学強化工程で使用される化学強化塩融解液と混合し、化学強化塩融解液の結晶化温度を低下させる融解液をコートしておく
ことを特徴とする磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。 - 前記融解液は、化学強化工程で使用される化学強化塩融解液と混合し、化学強化塩融解液の結晶化温度を低下させるものである
ことを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか一に記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。 - 請求項1乃至請求項8のいずれか一に記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法により製造された磁気ディスク用ガラス基板上に、少なくとも磁性層を成膜する
ことを特徴とする磁気ディスクの製造方法。
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