JP6131124B2 - 情報記録媒体用ガラス基板および情報記録媒体 - Google Patents

情報記録媒体用ガラス基板および情報記録媒体 Download PDF

Info

Publication number
JP6131124B2
JP6131124B2 JP2013133490A JP2013133490A JP6131124B2 JP 6131124 B2 JP6131124 B2 JP 6131124B2 JP 2013133490 A JP2013133490 A JP 2013133490A JP 2013133490 A JP2013133490 A JP 2013133490A JP 6131124 B2 JP6131124 B2 JP 6131124B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
glass substrate
information recording
recording medium
cleaning
glass
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2013133490A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2015008028A (ja
Inventor
典子 島津
典子 島津
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hoya Corp
Original Assignee
Hoya Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Hoya Corp filed Critical Hoya Corp
Priority to JP2013133490A priority Critical patent/JP6131124B2/ja
Publication of JP2015008028A publication Critical patent/JP2015008028A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6131124B2 publication Critical patent/JP6131124B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Magnetic Record Carriers (AREA)
  • Manufacturing Of Magnetic Record Carriers (AREA)

Description

本発明は、情報記録媒体用ガラス基板の製造方法および情報記録媒体用ガラス基板に関する。
磁気、光、または光磁気等を利用することによって、情報を記録媒体に記録する情報記録装置が知られている。このような情報記録装置は、その代表的なものとして、たとえば、ハードディスクドライブ(HDD)装置等が挙げられる。
近年、ハードディスクドライブ装置においては、記録密度がさらに高密度化されてきている。記録密度の高密度化により、情報記録媒体(メディア)と情報記録媒体上を浮上しながら記録の読み書きを行なうヘッドとのギャップは数nm程度にまで狭小化しており、このため情報記録媒体においてミッシング(Missing)と呼ばれる微小欠陥を減少させる要求が非常に高まっている。
したがって、情報記録媒体の基板としてガラス基板を用いる場合、そのような情報記録媒体用ガラス基板(以下、単に「ガラス基板」と記すこともある)に求められる清浄性は非常に高く、酸やアルカリによるディップ(Dip)洗浄に加えて、たとえば研磨材や異物を確実に除去することを目的として、研磨工程後に液体と接触させて付着物を除去しやすくした後にスクラブ洗浄を行なう等の方法により対処することが行なわれている(国際公開第2008/004470号パンフレット(特許文献1))。
しかし、次世代の630Gbit/inch2(面記録密度)対応で、特にガラス組成としてアルカリ金属やアルカリ土類金属等の成分の多いガラス基板や、化学強化処理(面強化処理)を施したガラス基板等を情報記録媒体用ガラス基板として用いた場合、平滑性や清浄性等に問題がないにもかかわらず、シグナルノイズ比(信号対雑音比(SNR)ともいう)等の電磁変換特性が低下してしまうという問題が高頻度で発生した。
このようなガラス基板を精査した結果、製造後のガラス基板に対して磁性層を形成した後に、磁気信号のシグナルノイズ比のバラつきが発生し、リード/ライトエラーの発生要因となっている可能性が見出された。このような磁気信号のシグナルノイズ比のバラツキの要因について更に検討を進めた結果、下記のことが判明した。
情報記録媒体に用いられるガラス基板は、一般的に、製造後一旦密封状態にして搬送用BOXに梱包されて搬送される。次に、ガラス基板は、梱包が解かれ搬送用BOXから取り出される。その後、そのガラス基板は表面に磁性層を塗布する工程に供される。
上記のような諸工程中、梱包時、搬送時、取り出し時に、種々の要因によりガラス基板の表面状態が不均一化したり、微細なパーティクルが付着する場合がある。このため、ガラス基板の表面状態を均一化する為に、アルカリ溶液のような比較的洗浄性が高く、場合によってはガラス基板の表面を若干溶解させるような特性を持つ洗剤を用いて、ガラス基板の表面の洗浄(以下、「受け入れ洗浄」と記す)が行なわれている(特開2006−127624号公報(特許文献2))。
国際公開第2008/004470号パンフレット 特開2006−127624号公報
上述の磁気信号のシグナルノイズ比のバラツキは、このような磁性層の形成直前に行なわれるアルカリ洗浄(すなわち「受け入れ洗浄」)において、ガラス表面の安定状態が損なわれることにより発生しており、ガラス基板自体を製造後に検査しても要因が判明し得なかったことが明らかになった。そして、ガラス基板のアルカリ洗浄耐性のバラツキが、磁気信号のシグナルノイズ比のバラツキの発生要因に大きく影響することが判明した。
通常、金属系の付着物を落とすために、ガラス基板を酸性洗剤で洗浄する工程や、ガラス基板を次の工程へ搬送する工程等で酸性洗剤が用いられる。しかし、アルカリ金属および/またはアルカリ土類金属の量の多いガラス基板や、化学強化処理(面強化処理)を施したガラス基板等は、酸を用いる工程中でアルカリ金属イオンがガラス基板の表層から溶出し、この溶出量によって「受け入れ洗浄」でのアルカリ洗浄耐性に差異が生じてしまうことが分かった。この結果、シグナルノイズ比のバッチ間バラツキが発生していた。
本発明は、上記の現状に鑑みなされたものであって、その目的とするところは、製造工程中におけるアルカリ金属イオンの溶出量を可能な限り低減し、以って「受け入れ洗浄」に対するアルカリ洗浄耐性が均一化された情報記録媒体用ガラス基板の製造方法および情報記録媒体用ガラス基板を提供することにある。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討を行なったところ、化学強化処理を施されたガラス基板を精密研磨する工程の後において、アルカリ金属イオンの溶出量を低減させるとアルカリ洗浄耐性を均一にすることができるとの知見を得、この知見に基づきさらに検討を重ねることにより、本発明を完成させたものである。
すなわち、本発明は、情報記録媒体用ガラス基板の製造方法に係わり、該方法は、
ガラス基板を準備する工程と、
該ガラス基板に対して化学強化処理を施す工程と、
該化学強化処理を施された該ガラス基板を精密研磨する工程と、
該精密研磨された該ガラス基板を洗浄する工程と、
該洗浄された該ガラス基板を検査する工程と、
を含み、
該洗浄する工程は、pH7よりも大きくpH11以下の条件で該精密研磨された該ガラス基板を洗浄することを特徴とするものである。
また、本発明は、ガラス基板を精密研磨する工程と、該精密研磨された該ガラス基板を洗浄する工程とを含む製造方法により製造された情報記録媒体用ガラス基板であって、該情報記録媒体用ガラス基板に対してpH11の条件下で3nm±1nmの厚みのエッチング処理を施した場合において、該エッチング処理の前後における算術平均粗さRaの変化量が1Å以下である、情報記録媒体用ガラス基板にも係わる。
また、本発明は、ガラス基板を精密研磨する工程と、該精密研磨された該ガラス基板を洗浄する工程とを含む製造方法により製造された情報記録媒体用ガラス基板であって、該情報記録媒体用ガラス基板に対してpH11かつ40℃のNaOH水溶液中に30分間浸漬する浸漬処理を施した場合において、該浸漬処理の前後における算術平均粗さRaの変化量が0.3Å以下であり、かつSi溶出量が100〜180ppbである、情報記録媒体用ガラス基板にも係わる。
また、本発明は、ガラス基板を精密研磨する工程と、該精密研磨された該ガラス基板を洗浄する工程とを含む製造方法により製造された情報記録媒体用ガラス基板であって、該情報記録媒体用ガラス基板に対してpH3かつ40℃のHNO3水溶液中に30分間浸漬した後にさらにpH11かつ40℃のNaOH水溶液中に30分間浸漬する二段浸漬処理を施した場合において、該二段浸漬処理の前後における算術平均粗さRaの変化量が1Å以下であり、かつSi溶出量が200〜300ppbである、情報記録媒体用ガラス基板にも係わる。
上記のような構成を有する本発明の製造方法により製造された情報記録媒体用ガラス基板は、製造工程中におけるSiの溶出量が可能な限り低減され、以って「受け入れ洗浄」に対するアルカリ洗浄耐性が均一化されたことにより、シグナルノイズ比のバラツキが低減したという優れた効果を有する。
以下、本発明に係わる実施の形態について、さらに詳細に説明する。
<情報記録媒体用ガラス基板の製造方法>
本実施の形態の情報記録媒体用ガラス基板の製造方法は、ガラス基板を準備する工程(以下「ガラス基板準備工程」とも記す)と、ガラス基板に対して化学強化処理を施す工程(以下「化学強化工程」とも記す)と、化学強化処理を施されたガラス基板を精密研磨する工程(以下「精密研磨工程」とも記す)と、精密研磨されたガラス基板を洗浄する工程(以下「洗浄工程」とも記す)と、洗浄されたガラス基板を検査する工程(以下「検査工程」とも記す)と、を含み、該洗浄工程は、pH7よりも大きくpH11以下の条件で精密研磨されたガラス基板を洗浄することを特徴としている。
本実施の形態の情報記録媒体用ガラス基板の製造方法は、このように、ガラス基板準備工程、化学強化工程、精密研磨工程、洗浄工程、および検査工程を含む限り、後述のような他の工程を含むことができる。
<情報記録媒体用ガラス基板>
本実施の形態で製造される情報記録媒体用ガラス基板は、ハードディスクドライブ装置等の情報記録装置において情報記録媒体の基板として用いられるものであり、その大きさや形状は特に限定されない。
たとえば、外径が3.5インチ、2.5インチ、1.8インチ、1インチ、0.8インチなどであり、厚みが2.2mm、2mm、1mm、0.8mm、0.65mm、0.3mmなどである、円板状のものとすることができる。また、その円板状の中央部には、情報記録装置にセットするための孔が開けられていてもよい。上記のような厚みとすると、落下衝撃による割れに対して有効である。なお、このような厚みは、ガラス基板上の点対象となる任意の何点かで測定した値の平均値とすることができる。
また、このようなガラス基板は、高硬度化の観点から、ビッカース硬度を610kg/mm2以上とすることが好ましい。
一方、このようなガラス基板のガラス組成としては、イオン交換による化学強化が可能なガラスであれば特に限定はない。たとえば、SiO2、Na2O、CaOを主成分としたソーダライムガラス、SiO2、Al23、R2O(R=K、Na、Li)を主成分としたアルミノシリケートガラス、ボロシリケートガラス、Li2O−SiO2系ガラス、Li2O−Al23−SiO2系ガラス、R’O−Al23−SiO2系ガラス(R’=Mg、Ca、Sr、Ba)などを使用することができる。中でも、SiO2を63〜70mol%含み、かつSiO2とAl23との合計量を70mol%以上とするアルミノシリケートガラスが好ましい。化学的耐久性に優れるためである。
また、このような情報記録媒体用ガラス基板は、表面上に磁性層(磁気薄膜層とも呼ばれる)が形成されることにより情報記録媒体となる。なお、ここで磁性層が形成される「表面」は、「記録面」とも呼ばれ、ガラス基板の表面のうち、内周端面(情報記録装置にセットするための孔の端面)や外周端面を除く広い面積を有する表面であって、「主表面」とも呼ばれる(本明細書では「主表面」を単に「表面」と呼ぶこともある)。このような磁性層は、表主表面のみに形成することもできるし、表主表面と裏主表面の両面に形成することもできる。
磁性層の形成方法としては、従来公知の方法を用いることができる。たとえば、磁性粒子を分散させた熱硬化性樹脂をガラス基板上にスピンコートして形成する方法、スパッタリングにより形成する方法、無電解めっきにより形成する方法等が挙げられる。
スピンコート法での膜厚は約0.3〜1.2μm程度、スパッタリング法での膜厚は0.04〜0.08μm程度、無電解めっき法での膜厚は0.05〜0.1μm程度であり、薄膜化および高密度化の観点からはスパッタリング法および無電解めっき法により形成することが好ましい。
磁性層に用いる磁性材料としては、特に限定はなく従来公知のものが使用できるが、高い保持力を得るために結晶異方性の高いCoを基本とし、残留磁束密度を調整する目的でNi、Crを加えたCo系合金などが好適である。また近年では、熱アシスト記録用に好適な磁性層の材料として、FePt系の材料が用いられるようになってきている。
磁気ヘッドの滑りをよくするために磁性層の表面に潤滑剤を薄くコーティングしてもよい。潤滑剤としては、たとえば液体潤滑剤であるパーフロロポリエーテル(PFPE)をフレオン系などの溶媒で希釈したものが挙げられる。
必要により下地層や保護層等を設けてもよい。ガラス基板と磁性層との間に形成される下地層は、磁性層の組成に応じて選択される。下地層の材料としては、たとえば、Cr、Mo、Ta、Ti、W、V、B、Al、Niなどの非磁性金属から選ばれる少なくとも一種以上の材料が挙げられる。
下地層は単層でもよいし、同一または異種の層を積層した複数層構造としても構わない。たとえば、Cr/Cr、Cr/CrMo、Cr/CrV、NiAl/Cr、NiAl/CrMo、NiAl/CrV等の多層下地層としてもよい。
磁性層上に形成される保護層は、主として磁性層の摩耗、腐食を防止する作用を有する。このような保護層としては、たとえば、Cr層、Cr合金層、カーボン層、水素化カーボン層、ジルコニア層、シリカ層などが挙げられる。保護層は、下地層、磁性層などと共にインライン型スパッタ装置で連続して形成できる。保護層は、単層としてもよく、あるいは、同一または異種の層からなる多層構成としてもよい。
上記保護層上に、あるいは上記保護層に替えて、他の保護層を形成してもよい。たとえば、上記保護層に替えて、Cr層の上にテトラアルコキシランをアルコール系の溶媒で希釈した中に、コロイダルシリカ微粒子を分散して塗布し、さらに焼成して酸化ケイ素(SiO2)層を形成してもよい。
<ガラス基板準備工程>
本実施の形態のガラス基板準備工程は、後述の化学強化工程を実行する前に行なわれる工程であり、化学強化工程を実行するためのガラス基板を準備する工程である。
このようなガラス基板準備工程は、通常、「溶融工程」、「成形工程」、「第1研削工程」、「コアリング工程」、「第2研削工程」、「内外研磨工程」からなる各サブ工程をこの順で含む。しかし、これら以外のサブ工程を含んでいたり、あるいはこれらのサブ工程のいずれかを含んでいなかったとしても、本発明の範囲を逸脱するものではない。
まず、「溶融工程」は、ガラス基板を構成するガラス素材を溶融する工程である。
次の「成形工程」は、溶融させたガラス素材を上型および下型を用いたプレスによりガラス基板を作製する工程である。ここで用いられるガラス素材の組成は、上記で説明したガラス基板の組成となる。なお、ガラス基板の作製方法としては、このような成形方法のみに限られず、たとえば公知の手法である板ガラスからの切り出し等でも構わない。
次に、「第1研削工程」は、ガラス基板の両主表面をラッピング加工する工程である。この第1研削工程は、遊星歯車機構を利用した両面ラッピング装置を用いて行なうことができる。具体的には、ガラス基板の両面に上下からラップ定盤を押圧させ、研削液をガラス基板の主表面上に供給し、これらを相対的に移動させてラッピング加工が行なわれる。このラッピング加工により、おおよそ平坦な主表面を有するガラス基板が得られる。
続く「コアリング工程」は、ガラス基板の中心部に孔(穴)を形成する工程である。たとえば、円筒状のダイヤモンドドリルを用いて、ガラス基板の中心部に穴が形成される。これにより、円環状のガラス基板が作製される。ガラス基板の内周端面、および外周端面をダイヤモンド砥石によって研削し、所定の面取り加工を実施することもできる。
また、引続き行なわれる「第2研削工程」は、ガラス基板の両主表面について、上記の「第1研削工程」と同様に、ラッピング加工を行なう工程である。この「第2研削工程」を行なうことにより、前工程のコアリングおよび端面加工において主表面に形成された微細な凹凸形状を予め除去しておくことができる。その結果、後工程での主表面の研磨時間を短縮することができる。
続く「内外研磨工程」は、ガラス基板の内周端面および外周端面について、ブラシ研磨等による鏡面研磨を行なう工程である。このとき研磨砥粒としては、一般的な酸化セリウム砥粒を含むスラリーを用いることができる。
<粗研磨工程>
本実施の形態の情報記録媒体用ガラス基板の製造方法においては、上述のガラス基板準備工程と後述の化学強化工程の間に、他の工程として「粗研磨工程」を含むことができる。
この「粗研磨工程」は、ガラス基板準備工程を経たガラス基板に対して主表面研磨を行なう工程である。この「粗研磨工程」は、上述の「第1研削工程」および「第2研削工程」において主表面に残留したキズおよび反りを矯正することを主目的とするものである。この「粗研磨工程」においては、たとえば遊星歯車機構を有する両面研磨装置により主表面の研磨を行なうことができる。研磨剤としては、一般的な酸化セリウム砥粒を用いることができる。
<化学強化工程>
本実施の形態の化学強化工程は、上述のガラス基板準備工程の後であって、後述の精密研磨工程を実行する前に行なわれる工程であり、ガラス基板準備工程を経たガラス基板に対して化学強化処理を施す工程である。
この「化学強化工程」により、ガラス基板の表面に対して表面強化層が形成される。このような「化学強化工程」は、この種の情報記録媒体用ガラス基板の製造方法において化学強化工程として知られる従来公知の方法を特に限定することなく採用することができる。たとえば、300℃に加熱された硝酸カリウム(70%)と硝酸ナトリウム(30%)の混合溶液(「化学強化溶液」)中に、ガラス基板を約30分間浸漬することによりガラス基板の表面に表面強化層が形成される。すなわち、ガラス基板の表面(すなわち内周端面、外周端面、および主表面)のリチウムイオンおよびナトリウムイオンが、化学強化溶液中のよりイオン半径の大きいナトリウムイオンおよびカリウムイオンにそれぞれ置換され、圧縮応力層が形成されることでガラス基板の表面(主表面および端面)が強化される。
<精密研磨工程>
本実施の形態の精密研磨工程は、上述の化学強化工程の後であって、後述の洗浄工程を実行する前に行なわれる工程であり、化学強化工程により化学強化処理を施されたガラス基板を精密研磨する工程である。
この「精密研磨工程」により、ガラス基板の主表面が研磨される。この精密研磨工程は上述の各工程で発生、残存している主表面上の微小欠陥等を解消して主表面を鏡面状に仕上げるとともに、反りを解消し所望の平坦度に仕上げることを目的とするものである。
この「精密研磨工程」は、たとえば遊星歯車機構を有する両面研磨装置にガラス基板をセットすることにより行なうことができる。研磨剤としては、平滑面を得る為に平均粒径が約20nmのコロイダルシリカ等を用いることができる。
なお、上記の装置や研磨剤は、例示であってこれのみに限定されるものではなく、上記の目的が達成される限り、他の装置や研磨剤が使用されたとしても本発明の範囲を逸脱するものではない。
<洗浄工程>
本実施の形態の洗浄工程は、上述の精密研磨工程の後であって、後述の検査工程を実行する前に行なわれる工程であり、精密研磨工程により精密研磨されたガラス基板を洗浄する工程である。
そして、この洗浄工程は、pH7よりも大きくpH11以下の条件で精密研磨されたガラス基板を洗浄することを特徴とするものである。このようなpHの条件下でガラス基板を洗浄することにより、詳細なメカニズムは未だ解明されていないものの、精密研磨工程で活性化されたガラス基板の表面が安定化され、アルカリ金属およびSiの局所的な溶出が低減されるものと考えられる。これにより、ガラス基板の表面に磁性層が形成される前に行なわれる所謂「受け入れ洗浄」が、例え過酷なもの(たとえばアルカリ洗浄により表面がエッチングされるような条件)であったとしても、シグナルノイズ比のバラツキが抑制されるものと考えられる。
すなわち、この洗浄工程を経ることにより、情報記録媒体用ガラス基板は、アルカリ洗浄耐性が付与され、均一な洗浄性(エッチング性)と良好な表面平滑性とが高度に両立されたものとなり、シグナルノイズ比のバラツキが抑制されたものとなる。
このような洗浄工程は、pH7よりも大きくpH11以下に調整された洗浄液にガラス基板を浸漬することにより行なわれる。浸漬時間は、3〜10分間とすることが好ましい。より好ましいpHは、pH8〜10である。
洗浄液は、通常、pHを調整するためのアルカリ成分(たとえばNaOH、KOH、NH4OH、Na2CO3、中性洗剤等)を含んだ水溶液であるが、必要によりたとえばキレート剤等を含むこともできる。
なお、このような洗浄工程は、1回のみの工程であってもよいし、2回以上の工程であってもよい。2回以上の工程とする場合は、Dip洗浄を繰り返してもよいし、Dip洗浄とスクラブ洗浄とを組合わせてもよい。
<検査工程等>
本実施の形態の検査工程は、上述の「洗浄工程」の後に行なわれる工程であり、洗浄工程により洗浄されたガラス基板を検査する工程である。
この「検査工程」は、上述の「洗浄工程」で洗浄されたガラス基板を乾燥させた後、そのガラス基板の表面に残った傷やパーティクルの量を光学測定方式により検出し、傷やパーティクルの量の多寡により良品と不良品とを選別する工程である。このような検査工程は、たとえば光学検査装置(商品名:「NS1500」、株式会社日立ハイテクノロジーズ製)を用いた光学測定方式により実行される。
本実施の形態の情報記録媒体用ガラス基板は、上記の各工程を経ることにより製造されるものであるが、通常、上記の検査工程で良品として選別された情報記録媒体用ガラス基板に前述のような磁性層が形成されることにより最終的に情報記録媒体となる。
なお、前述の「受け入れ洗浄」は、磁性層が形成される前に行なわれる洗浄であるが、上記の「検査工程」が実行された後に行なわれる洗浄である点において、本実施の形態の「洗浄工程」と区別される。
磁性層の形成は、上述の検査工程で「良品」として選別された情報記録媒体用ガラス基板の両主表面に、たとえばCr合金からなる密着層、CoFeZr合金からなる軟磁性層、Ruからなる配向制御下地層、CoCrPt合金からなる垂直磁気記録層、C系の保護層、F系からなる潤滑層を順次成膜することにより、垂直磁気記録方式の情報記録媒体等が製造される。なお、この構成は垂直磁気記録方式の構成の一例であり、面内情報記録媒体として磁性層等を構成してもよい。その後、「後熱処理工程」を実施することで、情報記録媒体が完成する。
<情報記録媒体用ガラス基板の特性>
ガラス基板を精密研磨する工程と、精密研磨されたガラス基板を洗浄する工程とを含む製造方法により製造された情報記録媒体用ガラス基板は、次のような性能を示すことが好ましい。すなわち、情報記録媒体用ガラス基板に対してpH11の条件下で3nm±1nmの厚みのエッチング処理を施した場合において、該エッチング処理の前後における算術平均粗さRaの変化量が1Å以下であることが好ましい。なお、この算術平均粗さRaの変化量は、小さければ小さい程好ましいため、その下限値は特に限定されない。しかし、エッチングによる洗浄であるという観点から、その下限値は「0.01Å以上」とすることが好ましい。
情報記録媒体用ガラス基板が、このような性能を示すことにより、「受け入れ洗浄」時に均一にエッチングされることが可能となり、ミッシング(Missing)と呼ばれる微小欠陥が抑制されるとともに、均一な算術平均粗さRaを有したものとなる。
ここで、算術平均粗さRaとは、JIS B0601:2001で規定される中心線平均粗さを示し、原子間力顕微鏡(AFM)等により測定することができる。これらの規定および測定方法は、特に断らない限り本発明の他のRaについて共通である。
なお、上記におけるエッチング処理は、情報記録媒体用ガラス基板の主表面について厚み3nm±1nmで行なわれるものであり、算術平均粗さRaの変化量も情報記録媒体用ガラス基板の主表面に関するものである。また、エッチング処理の条件は、pH11である限り特に限定されず、たとえばpH11のNaOH水溶液に浸漬することにより行なうことができる。
また、ガラス基板を精密研磨する工程と、精密研磨されたガラス基板を洗浄する工程とを含む製造方法により製造された情報記録媒体用ガラス基板は、次のような性能を示すことも好ましい。すなわち、情報記録媒体用ガラス基板に対してpH11かつ40℃のNaOH水溶液中に30分間浸漬する浸漬処理を施した場合において、この浸漬処理の前後における算術平均粗さRaの変化量が0.3Å以下であり、かつSi溶出量が100〜180ppbであることが好ましい。なお、この場合、算術平均粗さRaの変化量は、小さければ小さい程好ましいため、その下限値は特に限定されないが、アルカリ浸漬処理であるという観点から、その下限値は「0.1Å以上」とすることが好ましい。
情報記録媒体用ガラス基板が、このような性能を示すことにより、表面からの金属イオンの溶出が低減され、「受け入れ洗浄」時に優れたアルカリ洗浄耐性が示される。上記においては、Si溶出量が規定されるが、この溶出量はアルカリ洗浄耐性に対する指標ともなるものである。
なお、Siの溶出量は、誘導結合プラズマ発光分光分析装置(ICP−AES)等により測定することができる。この測定方法は、本願明細書において共通である。
さらに、ガラス基板を精密研磨する工程と、精密研磨されたガラス基板を洗浄する工程とを含む製造方法により製造された情報記録媒体用ガラス基板は、次のような性能を示すことも好ましい。すなわち、情報記録媒体用ガラス基板に対してpH3かつ40℃のHNO3水溶液中に30分間浸漬した後にさらにpH11かつ40℃のNaOH水溶液中に30分間浸漬する二段浸漬処理を施した場合において、この二段浸漬処理の前後における算術平均粗さRaの変化量が1Å以下であり、かつSi溶出量が200〜300ppbであることが好ましい。なお、この場合、算術平均粗さRaの変化量は、小さければ小さい程好ましいため、その下限値は特に限定されないが、二段浸漬処理であるという観点から、その下限値は「0.4Å以上」とすることが好ましい。
情報記録媒体用ガラス基板が、このような性能を示すことにより、「受け入れ洗浄」時に均一にエッチングされることが可能となり、ミッシング(Missing)と呼ばれる微小欠陥が抑制されるとともに、均一な算術平均粗さRaを有したものとなる。
なお、上記のような各特性を示す「ガラス基板を精密研磨する工程と、精密研磨されたガラス基板を洗浄する工程とを含む製造方法により製造された情報記録媒体用ガラス基板」について、「ガラス基板を精密研磨する工程」とは、上記で説明した「精密研磨工程」と同様の工程を示し、「精密研磨されたガラス基板を洗浄する工程」とは、上記で説明した「洗浄工程」と同様の工程を示す。
このような「ガラス基板を精密研磨する工程と、精密研磨されたガラス基板を洗浄する工程とを含む製造方法により製造された情報記録媒体用ガラス基板」は、かかる2工程を含む限り、他の工程を含むことができる。すなわち、このような情報記録媒体用ガラス基板は、より好ましくは、上記で説明した本実施の形態の情報記録媒体用ガラス基板の製造方法により製造されたものを示すが、これのみに限定されるものではない。
以下、実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<実施例1>
次のようにして、情報記録媒体用ガラス基板を製造した。
まず、「ガラス基板を準備する工程」を実施した。すなわち、ガラス材料としてアルミノシリケートガラス(Tg:500℃)を用いて、「溶融工程」(1500℃にて溶融)、「成形工程」(溶融したガラスを平面形状の金型に流し込み、その金型で溶融ガラスを挟みプレス成形することにより厚み1.00mmのガラスブランクスを得た)、「第1研削工程」(ダイヤモンドペレットを貼り付けたプレートを保持した両面研削機にて、ブランクス材を研削加工し、平行度、平坦度、および厚さを予備調整した)、「コアリング工程」(ガラスブランクスの表面の中心部にダイヤモンドコアドリルを用いて貫通孔を形成し、ドーナツ状の孔あきブランクス材を作製した)、「第2研削工程」(コアリング工程において主表面に形成された微細な凹凸形状を除去した)、「内外研磨工程」(内周端面および外周端面をナイロン製の研磨ブラシと酸化セリウムにて研磨し、鏡面化した)を経ることにより、外径65mm、内径20mm、厚み0.8mmのガラス基板を準備した。
続いて、上記で得られたガラス基板に対して、「粗研磨工程」(遊星歯車機構を有する両面研磨装置により研磨剤として酸化セリウム砥粒を用い、ガラス基板の主表面を研磨した)を実施した。
次に、上記の粗研磨工程を経たガラス基板に対して、「化学強化処理を施す工程」を実施した。すなわち、350℃に加熱された硝酸カリウム(70%)と硝酸ナトリウム(30%)の混合溶液(「化学強化溶液」)中に、このガラス基板を30分間浸漬することによりガラス基板の表面に表面強化層を形成した。
次いで、上記のように化学強化処理を施されたガラス基板を「精密研磨する工程」を実施した。すなわち、遊星歯車機構を有する両面研磨装置にこのガラス基板をセットすることにより、ガラス基板の主表面を研磨した。研磨剤としては、平均粒径が20nmのコロイダルシリカを用いた。
引続き、上記のように精密研磨されたガラス基板を「洗浄する工程」を実施した。すなわち、pH7.5に調整された中性洗剤(商品名:「ビューライト」、三洋化成製)水溶液中にこのガラス基板を5分間浸漬する工程を含むDip洗浄をすることにより、pH7.5の条件で精密研磨されたガラス基板を洗浄した。
その後、上記のように洗浄されたガラス基板を「検査する工程」を実施した。すなわち、上記で洗浄されたガラス基板を乾燥させた後、光学検査装置(商品名:「NS1500」、株式会社日立ハイテクノロジーズ製)を用いた光学測定方式による検査を実行した。
このようにして、情報記録媒体用ガラス基板を製造した。
<実施例2>
実施例1の「洗浄する工程」において、中性洗剤に代えてNaOHを用いてpH9の条件とすることを除き、他は全て実施例1と同様にして情報記録媒体用ガラス基板を製造した。
<実施例3>
実施例1の「洗浄する工程」において、中性洗剤に代えてNaOHを用いてpH11の条件とすることを除き、他は全て実施例1と同様にして情報記録媒体用ガラス基板を製造した。
<比較例1>
実施例1の「洗浄する工程」において、pH6.5の条件とすることを除き、他は全て実施例1と同様にして情報記録媒体用ガラス基板を製造した。なお、pHの調整は、中性洗剤に代えて、H3PO4を用いて調整した。
<比較例2>
実施例1の「洗浄する工程」において、pH3の条件とすることを除き、他は全て実施例1と同様にして情報記録媒体用ガラス基板を製造した。なお、pHの調整は、中性洗剤に代えて、HNO3を用いて調整した。
<比較例3>
実施例1の「洗浄する工程」において、中性洗剤に代えてNaOHを用いてpH12の条件とすることを除き、他は全て実施例1と同様にして情報記録媒体用ガラス基板を製造した。
<評価>
上記で得た各実施例の情報記録媒体用ガラス基板および各比較例の情報記録媒体用ガラス基板について、以下のような評価を行なった。
<評価1>
上記で得た各実施例の情報記録媒体用ガラス基板および各比較例の情報記録媒体用ガラス基板を、pH11かつ40℃のNaOH水溶液中に30分間浸漬する浸漬処理を施した。
そして、この浸漬処理の前後における各情報記録媒体用ガラス基板の主表面の算術平均粗さRaを原子間力顕微鏡(AFM)を用いて測定し、その変化量を求めた。その結果を表1に示す。
なお、表1中、「処理前」とは浸漬処理前の算術平均粗さRaを示し、「処理後」とは浸漬処理後の算術平均粗さRaを示し、「変化量」とは両者の差を示す。また、算術平均粗さRaは、主表面の1μm四方の領域をAFMで測定することにより算出した。この「変化量」が小さい程、「受け入れ洗浄」時に均一にエッチングされることが可能となり、ミッシング(Missing)と呼ばれる微小欠陥が抑制されるとともに、均一な算術平均粗さRaを有したものとなる。なお、処理後の算術平均粗さRaが2.5Åを超えると、情報記録媒体としての諸性能が低下する。
<評価2>
上記で得た各実施例の情報記録媒体用ガラス基板および各比較例の情報記録媒体用ガラス基板をpH11のNaOH水溶液中に浸漬することにより、各ガラス基板の主表面に対し表1に記載した厚みのエッチング処理を施した場合において、該エッチング処理の前後における算術平均粗さRaの変化量を求めた。その結果を表1に示す。
なお、表1中、「エッチング量」とはエッチング処理された厚みを示し、「変化量」とは、エッチング処理の前後における主表面の算術平均粗さRaの変化量を示す。算術平均粗さRaは、評価1と同様にして算出した。エッチング量は、誘導結合プラズマ発光分光分析装置(ICP−AES)を用いて評価したSi溶出量により算出した。この「変化量」が小さい程、「受け入れ洗浄」時に均一にエッチングされることが可能となり、ミッシング(Missing)と呼ばれる微小欠陥が抑制されるとともに、均一な算術平均粗さRaを有したものとなる。
<評価3>
上記で得た各実施例の情報記録媒体用ガラス基板および各比較例の情報記録媒体用ガラス基板に対して、pH11かつ40℃のNaOH水溶液中に30分間浸漬する浸漬処理を施した。
そして、誘導結合プラズマ発光分光分析装置(ICP−AES)を用いて浸漬処理中のSiの溶出量を測定するとともに、この浸漬処理の前後における各情報記録媒体用ガラス基板の主表面の算術平均粗さRaを原子間力顕微鏡(AFM)を用いて測定し、その変化量を求めた。その結果を表1に示す。
表1中、「Si溶出量」は上記で測定されたSiの溶出量を示し、「変化量」は浸漬処理の前後における主表面の算術平均粗さRaの変化量を示す。なお、算術平均粗さRaは、評価1と同様にして算出した。「Siの溶出量」が小さい程、表面からの金属イオンの溶出が低減され、「受け入れ洗浄」時に優れたアルカリ洗浄耐性を示す。また「変化量」が小さい程、「受け入れ洗浄」時に均一にエッチングされることが可能となり、ミッシング(Missing)と呼ばれる微小欠陥が抑制されるとともに、均一な算術平均粗さRaを有したものとなる。
<評価4>
上記で得た各実施例の情報記録媒体用ガラス基板および各比較例の情報記録媒体用ガラス基板に対して、pH3かつ40℃のHNO3水溶液中に30分間浸漬した後にさらにpH11かつ40℃のNaOH水溶液中に30分間浸漬する二段浸漬処理を施した。
そして、誘導結合プラズマ発光分光分析装置(ICP−AES)を用いて二段浸漬処理中のSiの溶出量を測定するとともに、この二段浸漬処理の前後における各情報記録媒体用ガラス基板の主表面の算術平均粗さRaを原子間力顕微鏡(AFM)を用いて測定し、その変化量を求めた。その結果を表1に示す。
表1中、「Si溶出量」は上記で測定されたSiの溶出量を示し、「変化量」は二段浸漬処理の前後における主表面の算術平均粗さRaの変化量を示す。なお、算術平均粗さRaは、評価1と同様にして算出した。表面からの金属イオンの溶出が小さい程、「Siの溶出量」が低減される。つまり、「受け入れ洗浄」時に優れたアルカリ洗浄耐性を示す。また「変化量」が小さい程、「受け入れ洗浄」時に均一にエッチングされることが可能となり、ミッシング(Missing)と呼ばれる微小欠陥が抑制されるとともに、均一な算術平均粗さRaを有したものとなる。
<評価5>
上記で得た各実施例の情報記録媒体用ガラス基板および各比較例の情報記録媒体用ガラス基板に対して、同じ磁性層を以下のようにして形成した。
すなわち、各情報記録媒体用ガラス基板の主表面に対し、スパッタリング法により、厚み0.05μmのNi、Crを加えたCo系合金からなる磁性層を形成することにより、情報記録媒体を得た。
そして、このようにして得られた各情報記録媒体を用いて、以下のようにしてシグナルノイズ比を測定した。
すなわち、熱式浮上量可変素子がヘッドのスライダに形成された磁気ヘッドを用いて、各情報記録媒体のシグナルのグランドレベル強度の評価を行なうことによりシグナルノイズ比を測定した。具体的には、以下の条件を採用し、磁気ヘッドが情報記録媒体の表面に接触する直前まで磁気ヘッドからのシグナルグランドレベルが低く、シグナルノイズ比が高いほど電磁変換特性に優れていることを示す。
<条件>
基板回転数:7200回転/分
測定位置:半径22.4mm
評価ヘッド:熱式浮上量可変素子内蔵型MRヘッド
ヘッド浮上高さの可変量:1nm/10mW
そして該評価は、シグナルノイズ比の基準値に対する相対比較量の多寡で評価を行なった。ここで、基準値は以下のものとした。
基準値:「精密研磨をする工程」までは上記の実施例1と同様にしてガラス基板を用意した後、このガラス基板をpH10のNaOH水溶液に30分間浸漬し、引続き純水中に10分間浸漬させた後、pH3のHNO3水溶液に30分間浸漬させ、再度純水中に10分間浸漬させる。その後、上記と同様の磁性層を形成させ、情報記録媒体を作製する。そして、このようして作製された情報記録媒体100枚のシグナルノイズ比を上記の条件で測定し、その平均値を基準値とした。
そして、この基準値と上記で得られた各シグナルノイズ比との差異が、−0.2db以上は「A」、−0.2db未満は「B」として評価した。「A」という評価は、「B」に比し、シグナルノイズ比のバラツキが小さいことを示す。
Figure 0006131124
表1中、空欄は該当する評価を行なわなかったことを示す。
表1より明らかなように、実施例の情報記録媒体用ガラス基板は、比較例の情報記録媒体用ガラス基板に比し、算術平均粗さRaの変化量が小さく、シグナルノイズ比のバラツキも小さくなっていた。
したがって、本発明の製造方法により製造された情報記録媒体用ガラス基板は、製造工程中におけるSiの溶出量が可能な限り低減され、以って「受け入れ洗浄」に対するアルカリ洗浄耐性が均一化されたことにより、シグナルノイズ比のバラツキが低減されることが確認された。
以上のように本発明の実施の形態および実施例について説明を行なったが、上述の各実施の形態および実施例の構成を適宜組み合わせることも当初から予定している。
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。

Claims (6)

  1. ガラス基板を精密研磨する工程と、前記精密研磨された前記ガラス基板を洗浄する工程とを含む製造方法により製造された情報記録媒体用ガラス基板であって、
    前記情報記録媒体用ガラス基板に対してpH11の条件下で3nm±1nmの厚みのエッチング処理を施した場合において、前記エッチング処理の前後における算術平均粗さRaの変化量が1Å以下である、情報記録媒体用ガラス基板。
  2. ガラス基板を精密研磨する工程と、前記精密研磨された前記ガラス基板を洗浄する工程とを含む製造方法により製造された情報記録媒体用ガラス基板であって、
    前記情報記録媒体用ガラス基板に対してpH11かつ40℃のNaOH水溶液中に30分間浸漬する浸漬処理を施した場合において、前記浸漬処理の前後における算術平均粗さRaの変化量が0.3Å以下であり、かつSi溶出量が100〜180ppbである、情報記録媒体用ガラス基板。
  3. ガラス基板を精密研磨する工程と、前記精密研磨された前記ガラス基板を洗浄する工程とを含む製造方法により製造された情報記録媒体用ガラス基板であって、
    前記情報記録媒体用ガラス基板に対してpH3かつ40℃のHNO3水溶液中に30分間浸漬した後にさらにpH11かつ40℃のNaOH水溶液中に30分間浸漬する二段浸漬処理を施した場合において、前記二段浸漬処理の前後における算術平均粗さRaの変化量が1Å以下であり、かつSi溶出量が200〜300ppbである、情報記録媒体用ガラス基板。
  4. 面記録密度が630Gbit/inch 2 以上である情報記録媒体に用いられる、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の情報記録媒体用ガラス基板。
  5. 請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載された情報記録媒体用ガラス基板を用いてなる、情報記録媒体。
  6. 前記情報記録媒体は、面記録密度が630Gbit/inch 2 以上である、請求項5に記載の情報記録媒体。
JP2013133490A 2013-06-26 2013-06-26 情報記録媒体用ガラス基板および情報記録媒体 Active JP6131124B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013133490A JP6131124B2 (ja) 2013-06-26 2013-06-26 情報記録媒体用ガラス基板および情報記録媒体

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013133490A JP6131124B2 (ja) 2013-06-26 2013-06-26 情報記録媒体用ガラス基板および情報記録媒体

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2015008028A JP2015008028A (ja) 2015-01-15
JP6131124B2 true JP6131124B2 (ja) 2017-05-17

Family

ID=52338191

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2013133490A Active JP6131124B2 (ja) 2013-06-26 2013-06-26 情報記録媒体用ガラス基板および情報記録媒体

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6131124B2 (ja)

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4185266B2 (ja) * 2001-07-25 2008-11-26 Hoya株式会社 情報記録媒体用基板の製造方法
JP2006127624A (ja) * 2004-10-28 2006-05-18 Showa Denko Kk 垂直磁気記録媒体の製造方法、垂直磁気記録媒体及び垂直磁気記録再生装置
SG176883A1 (en) * 2010-03-31 2012-01-30 Hoya Corp Method for producing glass substrate for magnetic disk

Also Published As

Publication number Publication date
JP2015008028A (ja) 2015-01-15

Similar Documents

Publication Publication Date Title
WO2008004471A1 (fr) Procédé de fabrication d'un substrat de verre, disque magnétique et son procédé de fabrication
JP6141636B2 (ja) 基板の製造方法、磁気ディスク用ガラス基板の製造方法、及び磁気ディスクの製造方法
JP5635078B2 (ja) 磁気ディスク用ガラス基板の製造方法
JP5235118B2 (ja) 磁気ディスク用ガラス基板の製造方法及び磁気ディスクの製造方法
JP6105488B2 (ja) 情報記録媒体用ガラス基板の製造方法
JP5371667B2 (ja) 磁気ディスク用ガラス基板の製造方法及び磁気ディスクの製造方法
JP4860580B2 (ja) 磁気ディスク用基板及び磁気ディスク
JP6131124B2 (ja) 情報記録媒体用ガラス基板および情報記録媒体
JP2008217918A (ja) 磁気記録媒体用ガラス基板及び磁気記録媒体
JP2014191851A (ja) 情報記録媒体用ガラス基板の製造方法
JP5778165B2 (ja) 情報記録媒体用ガラス基板の製造方法および情報記録媒体の製造方法
JP2015060614A (ja) 情報記録媒体用ガラス基板の製造方法
JP6196976B2 (ja) 情報記録媒体用ガラス基板の製造方法、情報記録媒体の製造方法、および、情報記録媒体用ガラス基板
JP5303741B1 (ja) 情報記録媒体用ガラス基板の製造方法
JP5859757B2 (ja) Hdd用ガラス基板の製造方法
JP6267115B2 (ja) 情報記録媒体用ガラス基板、情報記録媒体用ガラス基板の製造方法、磁気記録媒体、および、磁気記録媒体の製造方法
JP6021911B2 (ja) 情報記録媒体用ガラス基板および情報記録媒体用ガラス基板の製造方法
JP2014010869A (ja) Hdd用ガラス基板の製造方法
JP2008130180A (ja) 情報記録媒体用ガラス基板、情報記録媒体用ガラス基板の製造方法及び情報記録媒体
WO2013146132A1 (ja) 情報記録媒体用ガラス基板の製造方法および情報記録媒体
JP2012203959A (ja) 磁気情報記録媒体用ガラス基板の製造方法
JP2010277679A (ja) 磁気記録媒体用ガラス基板の製造方法
WO2011125898A1 (ja) 磁気ディスク用ガラス基板の製造方法
WO2013146134A1 (ja) 情報記録媒体用ガラス基板の製造方法および情報記録媒体
JP2014063544A (ja) 情報記録媒体用ガラス基板の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20160404

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20161219

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20170117

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20170316

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20170404

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20170417

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6131124

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250