JP2014063544A - 情報記録媒体用ガラス基板の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】アルカリ性の溶液で受入洗浄がなされたとしても、SNRの悪化を抑制することができる情報記録媒体用ガラス基板の製造方法を提供する。
【解決手段】情報記録媒体用ガラス基板の製造方法は、ガラス基板の主表面上に磁気記録層が形成され、磁気記録層における記録密度が600Gbit/平方インチ以上である情報記録媒体に用いられる情報記録媒体用ガラス基板の製造方法であって、ガラス部材の主表面を最終研磨を施す最終研磨工程S18と、pHが8.5よりも大きいアルカリ溶液を用いて、研磨砥粒を用いずに、パッドを記最終研磨が施された前記ガラス部材の主表面上に押圧させて摺動させる摺動工程S19とを備える。
【選択図】図3
【解決手段】情報記録媒体用ガラス基板の製造方法は、ガラス基板の主表面上に磁気記録層が形成され、磁気記録層における記録密度が600Gbit/平方インチ以上である情報記録媒体に用いられる情報記録媒体用ガラス基板の製造方法であって、ガラス部材の主表面を最終研磨を施す最終研磨工程S18と、pHが8.5よりも大きいアルカリ溶液を用いて、研磨砥粒を用いずに、パッドを記最終研磨が施された前記ガラス部材の主表面上に押圧させて摺動させる摺動工程S19とを備える。
【選択図】図3
Description
本発明は、情報記録媒体用ガラス基板の製造方法に関する。
コンピュータなどに用いられる情報記録媒体(磁気ディスク記録媒体)には、従来からアルミニウム基板またはガラス基板が用いられている。これらの基板上に磁性膜が形成され、磁気記録層を磁気ヘッドで磁化することにより情報が記録される。
近年、ハードディスクドライブ(HDD)装置においては、記録密度が増々高密度化されてきている。記録密度の高密度化により、情報記録媒体(メディア)と情報記録媒体上を浮上しながら記録の読み書きを行なうヘッドとのギャップ(フライングハイト)は数nm程度にまで狭小化している。
フライングハイトが小さくなるにつれて、情報記録媒体をハードディスクドライブ装置に用いた場合の、媒体に記録されたデータにアクセスする際のリード/ライトエラー、磁気ヘッドが媒体表面に衝突するヘッドクラッシュなどの問題が発生しやすくなっている。
たとえば、特許文献1に記載された情報記録媒体用ガラス基板の製造方法は、研磨処理を含み、この研磨処理は、前から順番に、粗研磨加工、精密研磨加工及び超精密研磨加工の3段階に分けて行われる。そして、最終段階の研磨処理となる超精密研磨加工では軟質ポリッシャを用いて、二酸化ケイ素(SiO2)を主成分とし、平均粒径(D50)が100nm以下である粒子を溶媒に分散させて得られた懸濁液を研磨剤として使用する。
この超精密研磨加工では、溶媒に酸性水溶液を用いることによりpH4以下とした研磨剤でガラス基板を研磨する前研磨工程と、溶媒にアルカリ性水溶液を用いることによりpH8.5以上とした研磨剤でガラス基板を研磨する後研磨工程とを順番に施す。
また、特許文献2に記載された情報記録媒体用ガラス基板の製造方法は、研磨液のpHを4程度の弱酸領域としている。
しかし、特許文献1に記載された情報記録媒体用ガラス基板の製造方法はアルカリ溶液を用いつつ研磨砥粒で研磨するので、化学的反応と研磨砥粒による力学的エネルギーが大きすぎるために、研磨中の表面粗さの悪化が避けられない。
近年、ガラス基板の主表面に磁気記録層を形成する直前に行われる洗浄工程(受入れ洗浄工程という場合もある)において、付着物を完全に除去する為に、ガラス基板をアルカリ性の溶液で洗浄を行うことが一般的になっている。
ここで、特許文献2に記載された情報記録媒体用ガラス基板の製造方法では、pH4の弱酸で研磨してもガラス基板表面からのアルカリイオンの溶出が大きくなり、ガラス表層の結合状態が弱化して受け入れ洗浄時のガラス基板のRa変動が避けられず、磁気記録層を形成する際に厚みや結晶状態にバラツキが発生し、結果として情報記録媒体の電磁変換特性(SNRという場合もある)を悪化してしまう。
本発明は、上記のような課題に鑑みてなされたものであって、その目的は、アルカリ性の溶液で受入洗浄がなされたとしても、SNRの悪化を抑制することができる情報記録媒体用ガラス基板の製造方法を提供することである。
本発明に係る情報記録媒体用ガラス基板の製造方法は、ガラス基板の主表面上に磁気記録層が形成され、磁気記録層における記録密度が600Gbit/平方インチ以上である情報記録媒体に用いられる情報記録媒体用ガラス基板の製造方法である。情報記録媒体用ガラス基板の製造方法は、ガラス部材の主表面を最終研磨を施す最終研磨工程と、pHが8.5よりも大きいアルカリ溶液を用いて、研磨砥粒を用いずに、パッドを記最終研磨が施されたガラス部材の主表面上に押圧させて摺動させる摺動工程とを備える。
好ましくは、上記最終研磨工程で用いる研磨装置と、摺動工程で用いる研磨装置とは異なる。好ましくは、上記パッドが主表面に押圧される押圧力は、1kPa以上30kPa以下である。好ましくは、上記押圧力は、5kPa以上20kPa以下である。
好ましくは、上記パッドを主表面に摺動させる摺動時間は、2分以上1時間30分以下である。好ましくは、上記摺動時間は、5分以上1時間以下である。
本発明に係る情報記録媒体用ガラス基板の製造方法によれば、アルカリ性の溶液で受入洗浄がなされたとしても、情報記録媒体における電磁変換特性の悪化を抑制することができる。
以下に、本発明の実施の形態および実施例について説明する。なお、同一または相当する部分に同一の参照符号を付し、その説明を繰返さない場合がある。また、以下に説明する実施の形態および実施例において、個数、量などに言及する場合、特に記載がある場合を除き、本発明の範囲は必ずしもその個数、量などに限定されない。また、以下の実施の形態において、各々の構成要素は、特に記載がある場合を除き、本発明にとって必ずしも必須のものではない。
(情報記録媒体1の構成)
図1および図2を参照して、情報記録媒体用ガラス基板1Gおよび情報記録媒体1の構成について説明する。図1は、情報記録媒体用ガラス基板1Gの斜視図、図2は、情報記録媒体の斜視図である。
(情報記録媒体1の構成)
図1および図2を参照して、情報記録媒体用ガラス基板1Gおよび情報記録媒体1の構成について説明する。図1は、情報記録媒体用ガラス基板1Gの斜視図、図2は、情報記録媒体の斜視図である。
図1に示すように、情報記録媒体1に用いられる情報記録媒体用ガラス基板1G(以下、「ガラス基板1G」と称する。)は、中心に孔11が形成された環状の円板形状を呈している。ガラス基板1Gは、外周端面12、内周端面13、表主表面14、および裏主表面15を有している。ガラス基板1Gとしては、アモルファスガラス等を用い、たとえば、外径約65mm、内径約20mm、厚さ約0.8mm、表面粗さは、約2.0Å以下である。
ガラス基板1Gのインチサイズに特に限定はなく、0.8インチ、1.0インチ、1.8インチ、2.5インチ、3.5インチ各種ガラス基板1Gを、情報記録媒体用のディスクとして製造してもよい。
落下衝撃によるガラス基板1Gの割れに対して有効であることから、ガラス基板1Gの厚みは0.30mm〜2.2mmが好ましい。ここでいうガラス基板1Gの厚みとは基板上の点対象となる任意の何点かで測定した値の平均値を意味する。
図2に示すように、情報記録媒体1は、上記したガラス基板1Gの表主表面14上に磁性膜23(磁気記録層ともいう)が形成されている。図示では、表主表面14上にのみ磁性膜23が形成されているが、裏主表面15上に磁性膜23を設けることも可能である。
磁性膜23の形成方法としては従来公知の方法を用いることができ、たとえば、磁性粒子を分散させた熱硬化性樹脂をガラス基板1G上にスピンコートして形成する方法、スパッタリングにより形成する方法、無電解めっきにより形成する方法が挙げられる。
スピンコート法での膜厚は約0.3〜1.2μm程度、スパッタリング法での膜厚は0.04〜0.08μm程度、無電解めっき法での膜厚は0.05〜0.1μm程度であり、薄膜化および高密度化の観点からはスパッタリング法および無電解めっき法による膜形成がよい。
磁性膜23に用いる磁性材料としては、特に限定はなく従来公知のものが使用できるが、高い保持力を得るために結晶異方性の高いCoを基本とし、残留磁束密度を調整する目的でNi、Crを加えたCo系合金などが好適である。近年では、熱アシスト記録用に好適な磁性層材料として、FePt系の材料が用いられるようになってきている。
磁気ヘッドの滑りをよくするために磁性膜23の表面に潤滑剤を薄くコーティングしてもよい。潤滑剤としては、例えば液体潤滑剤であるパーフロロポリエーテル(PFPE)をフレオン系などの溶媒で希釈したものが挙げられる。
必要により下地層、保護層を設けてもよい。情報記録媒体1における下地層は磁性膜に応じて選択される。下地層の材料としては、例えば、Cr、Mo、Ta、Ti、W、V、B、Al、Niなどの非磁性金属から選ばれる少なくとも一種以上の材料が挙げられる。
下地層は単層とは限らず、同一又は異種の層を積層した複数層構造としても構わない。例えば、Cr/Cr、Cr/CrMo、Cr/CrV、NiAl/Cr、NiAl/CrMo、NiAl/CrV等の多層下地層としてもよい。
磁性膜23の摩耗、腐食を防止する保護層としては、例えば、Cr層、Cr合金層、カーボン層、水素化カーボン層、ジルコニア層、シリカ層などが挙げられる。保護層は、下地層、磁性膜など共にインライン型スパッタ装置で連続して形成できる。保護層は、単層としてもよく、あるいは、同一又は異種の層からなる多層構成としてもよい。
上記保護層上に、あるいは上記保護層に替えて、他の保護層を形成してもよい。例えば、上記保護層に替えて、Cr層の上にテトラアルコキシランをアルコール系の溶媒で希釈した中に、コロイダルシリカ微粒子を分散して塗布し、さらに焼成して酸化ケイ素(SiO2)層を形成してもよい。
なお、情報記録媒体用のガラス基板1Gは、製造後に梱包材料に密閉梱包されて流通された後、梱包材料から取り出されて磁性膜23等が設けられるが、磁性膜23等を設ける直前に、梱包時や運搬時に付着した微小パーティクルを除去したり、条件の違いによる表面状態の不均一性を解消する為に、アルカリ溶液等により洗浄処理が施される。
このようなアルカリ処理が施された場合であっても、ガラス基板の製造工程でpH>8.5のアルカリ溶液を用いて、パッドをガラス基板の主表面に押圧した状態で摺動させる工程を経た場合、磁気記録層における記録密度が600Gbit/平方インチ以上であるような記録密度が非常に高い情報記録媒体に用いられた場合であっても電磁変換特性(SNR)の低下を十分に抑制可能である。
(ガラス基板1Gの製造工程)
次に、図3を参照して、本実施の形態に係るガラス基板1Gおよび情報記録媒体1の製造方法を説明する。図3は、ガラス基板1Gおよび情報記録媒体1の製造方法を示すフロー図である。
次に、図3を参照して、本実施の形態に係るガラス基板1Gおよび情報記録媒体1の製造方法を説明する。図3は、ガラス基板1Gおよび情報記録媒体1の製造方法を示すフロー図である。
まず、ステップ10(以下、「S10」と略す。ステップ11以降も同様。)の「ガラス溶融工程」において、ガラス基板を構成するガラス素材を溶融する。
S11の「プレス成形工程」において、溶融させたガラス素材を上型および下型を用いたプレスによりガラス基板を作製した。使用したガラス組成は、一般的なアルミノシリケートガラスを用いた。ガラス基板の作製方法としては成形に限らず、公知の手法である板ガラスからの切り出し等でも構わず、ガラス組成もこれに限らない。
S12の「第1ラップ工程」において、ガラス基板の両主表面をラッピング加工した。この第1ラップ工程は、遊星歯車機構を利用した両面ラッピング装置を用いて行なった。具体的には、ガラス基板の両面に上下からラップ定盤を押圧させ、研削液をガラス基板の主表面上に供給し、これらを相対的に移動させてラッピング加工を行なった。このラッピング加工により、おおよそ平坦な主表面を有するガラス基板を得た。
S13の「コアリング工程」において、円筒状のダイヤモンドドリルを用いて、ガラス基板の中心部に穴を形成し、円環状のガラス基板を作製した。ガラス基板の内周端面、および外周端面をダイヤモンド砥石によって研削し、所定の面取り加工を実施した。
S14の「第2ラップ工程」において、ガラス基板の両主表面について、上記第1ラップ工程(S12)と同様に、ラッピング加工を行なった。この第2ラップ工程を行なうことにより、前工程のコアリングや端面加工において主表面に形成された微細な凹凸形状を予め除去しておくことができる。その結果、後工程での主表面の研磨時間を短縮することができる。
S15の「内外周研磨工程」において、ガラス基板の外周端面について、ブラシ研磨による鏡面研磨を行なった。このとき研磨砥粒としては、一般的な酸化セリウム砥粒を含むスラリーを用いた。
S16の「第1ポリッシュ工程(第1研磨工程)」において、主表面研磨を行なった。この第1ポリッシュ工程は、上述の第1および第2ラップ工程(S12,S14)において主表面に残留したキズや反りを矯正することを主目的とするものである。この第1ポリッシュ工程においては、遊星歯車機構を有する両面研磨装置により主表面の研磨を行なった。研磨剤としては、一般的な酸化セリウム砥粒を用いた。なお、この第1ポリッシュ工程(第1研磨工程)を2工程に分けてもよい。
S17の「化学強化工程」において、ガラス基板1Gの主表面に対して表面強化層を形成した。具体的には、400℃に加熱された硝酸カリウム(70%)と硝酸ナトリウム(30%)の混合溶液中に、ガラス基板1Gを約30分間接触させることによって化学強化を行なった。その結果、ガラス基板の内周端面および外周端面のリチウムイオンおよびナトリウムイオンが、化学強化溶液中のナトリウムイオンおよびカリウムイオンにそれぞれ置換され、圧縮応力層が形成されることでガラス基板の主表面及び端面が強化された。
S18の「第2ポリッシュ工程(第2研磨工程)」において、主表面に精密研磨を施した。この第2ポリッシュ工程は上述までの工程で発生、残存している主表面上の微小欠陥等を解消して鏡面状に仕上げること、平滑性を所望の表面粗さに仕上げることを目的とする。この第2ポリッシュ工程は、遊星歯車機構を有する両面研磨装置により研磨を行なった。なお、この第2ポリッシュ工程を2工程に分けてもよい。
S19の「摺動工程」において、pH>8.5のアルカリ溶液を用いて、パッドをガラス基板の主表面に押圧した状態で摺動させる。具体的には、図4に示すような研磨装置を用いて、摺動工程を行う。この摺動工程においては、研磨砥粒は用いない。
図4において、両面研削装置100の概略構成について説明する。図4は、摺動工程に用いられる両面研削装置100の側面図である。両面研削装置100は、上定盤(上側砥石保持定盤)101と、下定盤(下側砥石保持定盤)102と、溶液供給管107と、溶液排出管108と、溶液貯留部110とを備える。
上定盤101は、本体103と、本体103の下定盤102に対向する側(ガラス基板側)の下面に取り付けられた上側研削パッド104とを含む。下定盤102は、本体106と、本体106の上定盤101に対向する側(ガラス基板側)の上面に取り付けられた下側研削パッド105とを含む。上側研削パッド104および下側研削パッド105は、ガラス基板1の両主表面を研削加工するための加工工具である。
摺動工程を行う際には、上側研削パッド104および下側研削パッド105は、ガラス基板の主表面上を摺動し、各溶液供給管107からpH>8.5のアルカリ溶液がガラス基板に供給される。
ここで、摺動工程の研磨液が酸の場合、摺動工程後のアルカリ洗浄でRaの大きな悪化を招く。これは、酸で摺動工程を行うことによってガラスの修飾成分であるアルカリ成分が表層より抜けやすく、修飾成分が抜けた後のガラス表層の結合強度が弱化するため、その後のアルカリ洗浄で溶出しやすく表面粗さが悪化するからと考えられている。
この摺動工程で使用する研磨装置は、第1ポリッシュ工程(第1研磨工程)や第2ポリッシュ工程(第2研磨工程)で使用される研磨装置と同じ装置を使用してもよい。なお、好ましくは、摺動工程で使用する研磨装置と、第1ポリッシュ工程(第1研磨工程)や第2ポリッシュ工程(第2研磨工程)で使用する研磨装置とを異ならせる。
研磨装置を異ならせることで、研磨材変更等が必要ないため、アルカリ溶液の液性が安定する。この結果、上述するようにSNR特性は安定する。
この摺動工程ではアルカリ溶液を流し、1〜30kPaの圧力をかけながら研磨機で摺動する。これにより、Raを安定させたままSNR特性を安定化させることが可能となる。より好ましくは5〜20kPaである。
パッドをガラス基板の主表面上で摺動させる摺動時間は、1分〜2時間で行う。1分未満では、その後のアルカリでの受け入れ洗浄でRaを安定化させておく効果が十分に得られない。また、2時間より長時間では摺動工程中にパッドの劣化を招きRaが悪化し始めることがある。より好ましくは5分〜1時間の範囲である。
本実施の形態のように、第2ポリッシュ工程(第2研磨工程)前に化学強化工程を施した基板の場合においても、Raを安定させたままSNR特性を安定化させることができる。
これは、化学強化工程で基板表層のアルカリ含有量が増加し、且つ表層のアルカリイオンが動きやすい状態になっているため、第2ポリッシュ工程(第2研磨工程)で酸を用いその後摺動工程を行わなかった場合、表層のアルカリイオンの溶出が増大してしまうためである。よって、化学強化を施した後、最終研磨である第2ポリッシュ加工を施し、その後にアルカリ溶液での摺動工程を行うことで、表層を安定化させる効果が得られる。
なお、上述のように、研磨時のガラス基板表層への物理的刺激はガラス表層の結合強度を低下させ、SNRを低下させることから、本実施の形態では、摺動工程で研磨砥粒を使用しない。研磨砥粒を使用せずに研磨パッドを摺動させることで物理的刺激を抑制して表面平滑性を劣化させることなく、ガラスのSi−O結合を切断しやすいアルカリ溶液で研磨しても低Raを達成することができる。
なお、上記の第1ポリッシュ工程(第1研磨工程)や第2ポリッシュ工程(第2研磨工程)で用いられる研磨溶液が酸、あるいはアルカリであっても、最終研磨工程後に摺動工程を行うことで、本発明のようにSNRが安定したガラス基板を得ることが可能となる。
S20の「洗浄工程」においてガラス基板の主表面、端面の最終洗浄を実施する。これによりガラス基板上に残存する付着物を除去する。なお、最終洗浄工程は、ガラス基板の製造工程の最後に行われる工程であり、適宜乾燥工程も含むものである。
本実施の形態におけるガラス基板の製造方法は、以上のように構成される。このガラス基板の製造方法を用いることで、図1に示すガラス基板1Gが得られる。その後、このようにして得られたガラス基板1Gにアルカリ洗浄が施され、その後、磁性膜が形成される。
次に、上記のように構成されたガラス基板1Gによれば、アルカリ処理を施したとしても、信号対雑音比(S/N比)の低下は十分に抑制され安定した情報記録媒体用ガラス基板を得ることができる。
次に、表1〜3を用いて、実施例1について説明する。具体的には、第2ポリッシュ工程(第2研磨工程)までは上記製造工程で通常通り行い、第2ポリッシュ工程(第2研磨工程)の研磨剤にはpH4のコロイダルシリカを用い、その後下記の表1,2に記載したようなテストを実施した。
表1では、各種の摺動工程を採用した場合と、摺動工程を採用しなかった場合とにおいて、ガラス基板の表面粗さの測定やHDD動作評価を行った。表2においては、摺動工程でパッドがガラス基板に加える押圧力を各種変化させたときにおいて、ガラス基板の表面粗さの測定やHDD動作評価を行った。
本出願の実施例は、65mol%のSiO2と、5mol%のAl2O3と、5mol%のNa2Oと、3mol%のK2Oと、6mol%のMgOと、14mol%のCaOと、2mol%のZrO2とを含むガラス組成を用いて検証した。但し、ガラス組成はこれに限定されるものではなく、HDD用ガラス基板に用いる全組成で適用可能である。
摺動工程はスエードパッドを用いて、水酸化カリウムを含有したpH9のアルカリ性水溶液を摺動溶液に用いて行った。摺動溶液に用いるアルカリ性水溶液としては、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化アンモニウム等が挙げられるが、アルカリ性であれば特に限定はない。また、パッドについても特に限定はないが、ガラス基板に対し適切な荷重をかけることが重要となり、特にスエードパッド、ウレタンパッド、不織布パッドを用いることが好ましい。そして実施例では基板に対する押圧力が10kPaとなるように定盤で荷重をかけて、10分間行った。洗浄工程は、超音波洗浄機を用いて加工・摺動工程後のガラス基板の付着物を除去し、最後にIPA(イソプロピルアルコール)乾燥を施した。
表1,2に記載の方法で作製したガラス基板を、テフロン(登録商標)容器中のNaOH溶液(pH11)50mlへ入れ30分浸漬した。そして成膜工程を通してガラス基板に磁性膜を形成し、15000rpmで動作させた際の読み取りエラー回数で評価した。評価は各実施例・比較例で100枚ずつ行い、そのHDDテストのエラー回数の総数を其々表に記した。
なお、動作評価として「A」「B」「C」を採用した。「A」は、エラー回数が0〜2回であることを示す。「B」は、回数が3〜5回であることを示す。「C」は、エラー回数が6回以上であることを示す。
実施例1,2のように、摺動工程を行った場合HDD動作評価は良好であった。ここで、実施例1においては、第1ラッピング工程(第1研磨工程)と、第2ラッピング工程(第2研磨工程)と、摺動工程とを同じ研磨機を使用した。
そのため、摺動工程で研磨機を使用する場合には、溶液供給管および溶液排出管に一度水を流して、溶液供給管および溶液排出管を洗い流し、その後摺動工程用のアルカリ性水溶液を流した。
実施例2では研磨後のガラス基板を一度取り出し、摺動工程専用の別の研磨機へ移してから摺動工程を行った。
比較例1は、ガラス基板作製時には問題なかったが、NaOH溶液50mlに30分浸漬した後に基板表面が荒れていた。pH4の酸性研磨剤で最終研磨したことが原因となって、その後のHDD動作時のエラーの原因にもなっていると考えられる。
比較例2は、NaOH溶液50mlに浸漬前より既にRaが悪化していて、pH9のアルカリ性水溶液にコロイダルシリカを砥粒として含有させ、最終研磨したことが原因と考えられる。
比較例3も、NaOH溶液50mlに浸漬前より既にRaが悪化していて、pH9のアルカリ性水溶液に浸漬させるのみで、パッドで圧力をかけてなかったことが原因と考えられる。
比較例4は、ガラス基板作製時には問題なかったが、NaOH溶液50mlに30分浸漬した後に若干Raが悪化傾向であった。やはり摺動工程でのpHは8.5より大きいことが必要であった。また、ガラス基板の表面粗さRaは、ガラス基板のNaOH溶液浸漬前の測定値で、Veeco社のAFMを用いて1μm平方の範囲で各5枚×面内3点を測定した平均値である。
この表1からも明らかなように、摺動工程を行うことで、HDD動作のよい情報記録媒体用ガラス基板を得ることができることが分かる。
動作評価として、「AA」「BB」「CC」を採用した。「AA」は、エラー回数が0〜2回であることを示す。「BB」は、エラー回数が3〜5回であることを示す。「CC」は、エラー回数が6回以上であることを示す。表2は摺動工程で基板に対する押圧力を変更して、スエードパッドでpH9のアルカリ性水溶液を摺動溶液に用いて評価を行った結果である。
基板に対する押圧力が適切であった実施例3〜5では良好な結果が得られた。比較例5では、押圧力が0.5kPaと低い為に表面粗さRaを平滑化させる効果が得られなかった。また、比較例5では押圧力が強すぎたために、ガラス基板のRa悪化を招いた。
この表2から分かるように、パッドの押圧力は、1kPa以上30Kpa以下が好ましいことが分かる。さらに好ましくは、5kPa以上20Kpa以下であることが分かる。
下記表3は摺動時間を各種変更した場合において、ガラスの表面粗さHDD動作とについて評価した結果を示す。
なお、動作評価として「A1」「A2」「A3」を採用した。「A1」はエラー回数が0〜2回であることを示す。「A2」は、エラー回数が3〜5回であることを示す。「A3」はエラー回数が6回以上であることを示す。
この表3からも分かるように、摺動時間は、2分以上150分以下であることが好ましいことが分かる。さらに好ましくは、5分以上1時間以下であることが好ましいことが分かる。
比較例7では時間が短すぎたためか、その後のNaOH溶液50mlに30分浸漬した後に表面を平滑化させておく効果が十分に得られなかった。比較例8では時間が長すぎたためパッドの劣化を招き、Raは悪化し始めた。
比較例7では時間が短すぎたためか、その後のNaOH溶液50mlに30分浸漬した後に表面を平滑化させておく効果が十分に得られなかった。比較例8では時間が長すぎたためパッドの劣化を招き、Raは悪化し始めた。
以上、本発明の実施の形態および実施例について説明したが、今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
本発明は、情報記録媒体用ガラス基板の製造方法に適用することができる。
1 情報記録媒体、1G 情報記録媒体用ガラス基板、11 孔、12 外周端面、13 内周端面、14,15 主表面、23 磁気薄膜層、100 両面研削装置、101 上定盤、101 定盤、103,106 本体、104 上側研削パッド、105 下側研削パッド、107 溶液供給管、108 溶液排出管、110 溶液貯留部。
Claims (6)
- ガラス基板の主表面上にガラス基板の主表面上に磁気記録層が形成され、磁気記録層における記録密度が600Gbit/平方インチ以上である情報記録媒体に用いられる情報記録媒体用ガラス基板の製造方法であって、
ガラス部材の主表面を最終研磨を施す最終研磨工程と、
pHが8.5よりも大きいアルカリ溶液を用いて、研磨砥粒を用いずに、パッドを前記最終研磨が施された前記ガラス部材の主表面上に押圧させて摺動させる摺動工程と、
を備えた、情報記録媒体用ガラス基板の製造方法。 - 前記最終研磨工程で用いる研磨装置と、前記摺動工程で用いる研磨装置とは異なる、請求項1に記載の情報記録媒体用ガラス基板の製造方法。
- 前記パッドが前記主表面に押圧される押圧力は、1kPa以上30kPa以下である、請求項1または請求項2に記載の情報記録媒体用ガラス基板の製造方法。
- 前記押圧力は、5kPa以上20kPa以下である、請求項3に記載の情報記録媒体用ガラス基板の製造方法。
- 前記パッドを前記主表面に摺動させる摺動時間は、2分以上1時間30分以下である、請求項1から請求項4のいずれかに記載の情報記録媒体用ガラス基板の製造方法。
- 前記摺動時間は、5分以上1時間以下である、請求項5に記載の情報記録媒体用ガラス基板の製造方法。
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JP2012206988A Pending JP2014063544A (ja) | 2012-09-20 | 2012-09-20 | 情報記録媒体用ガラス基板の製造方法 |
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JP (1) | JP2014063544A (ja) |
-
2012
- 2012-09-20 JP JP2012206988A patent/JP2014063544A/ja active Pending
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