JP2007115388A - 磁気ディスク用ガラス基板の収納方法、磁気ディスク用ガラス基板の製造方法、磁気ディスク用ガラス基板収納体、磁気ディスク用ガラス基板の配送方法及び磁気ディスクの製造方法 - Google Patents

磁気ディスク用ガラス基板の収納方法、磁気ディスク用ガラス基板の製造方法、磁気ディスク用ガラス基板収納体、磁気ディスク用ガラス基板の配送方法及び磁気ディスクの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】表面にテクスチャを形成した磁気ディスク用ガラス基板を梱包して磁気ディスクの製造施設に配送し、この磁気ディスクの製造施設において開梱し、磁気ディスクを生産するときに、所期の性能が得られ、磁気ヘッドのグライドハイトを十分に狭隘化することができ、また、磁性層に良好な磁気異方性が付与された磁気ディスクの生産を可能とする磁気ディスク用ガラス基板の収納方法を提供する。
【解決手段】表面にテクスチャを有する磁気ディスク用ガラス基板を雰囲気とともに収納容器に収納するにあたり、雰囲気を少なくとも酸性物質及び/又は有機物質を除去する処理を施した雰囲気とし、この雰囲気とともに磁気ディスク用ガラス基板を収納容器に収納する。
【選択図】図1

Description

本発明は、磁気ディスク装置であるハードディスクドライブ(HDD)に用いられる磁気ディスク用ガラス基板を収納容器に収納するための磁気ディスク用ガラス基板の収納方法、磁気ディスク用ガラス基板を収納容器に収納した磁気ディスク用ガラス基板収納体、磁気ディスク用ガラス基板を磁気ディスクの製造施設に配送するための磁気ディスク用ガラス基板の配送方法及びこれら磁気ディスク用ガラス基板を用いて磁気ディスクを製造する磁気ディスクの製造方法に関する。
今日、情報記録技術、特に、磁気記録技術は、いわゆるIT産業の発達に伴って飛躍的な技術革新が要請されている。そして、コンピュータ用ストレージとして用いられる磁気ディスク装置であるハードディスクドライブ(HDD)に搭載される磁気ディスクにおいては、磁気テープやフレキシブルディスクなどの他の磁気記録媒体と異なり、急速な情報記録密度の増大化が続けられている。パーソナルコンピュータ装置に収納することのできる情報容量は、このような磁気ディスクの情報記録密度の増大に支えられて、飛躍的に増加している。
このような磁気ディスクは、ガラス基板やアルミニウム系合金ディスク基板などの基板上に、磁性層等が成膜されて構成されている。特に、近年においては、ハードディスクドライブを携帯用機器(いわゆる「ノート型パーソナルコンピュータ装置」など)に搭載する要求が高まったことに伴い、高強度、かつ、高剛性であって高い耐衝撃性を有するガラス基板を用いた磁気ディスクが注目されている。
そして、ハードディスクドライブにおいては、高速回転される磁気ディスク上に磁気ヘッドを浮上飛行させながら、この磁気ヘッドにより、磁性層に対し磁化パターンとして情報信号を記録し、また、再生を行なう。ガラス基板を用いた磁気ディスクにおいては、平滑な表面が得られるので、磁気ヘッドの浮上量を狭隘化することが可能であり、高い情報記録密度を実現することができる。つまり、ガラス基板を用いることにより、磁気ヘッドの低浮上量対応性に優れた磁気ディスクを作製することができる。
一方、磁気ディスクにおける情報記録容量を増大させるためには、この磁気ディスクにおいて情報信号の記録がなされない無駄な領域の面積を小さくすることが必要である。そこで、ハードディスクドライブの起動停止方式として、従来より用いられているCSS方式(「コンタクトスタートストップ(Contact Start Stop)方式」)に代えて、情報記録容量の増大が可能なLUL方式(「ロードアンロード(Load Unload)方式」、別名「ランプロード方式」ともいう。)の導入が進められている。
CSS方式においては、磁気ディスクの非使用状態(停止状態)において磁気ヘッドが載置されるCSSゾーンを磁気ディスク上に設ける必要があり、このCSSゾーンには情報信号の記録ができないため、その分、磁気ディスクにおいて情報信号の記録がなされる領域の面積が減少する。
これに対し、LUL方式においては、磁気ディスクの非使用状態(停止状態)においては、磁気ヘッドは磁気ディスクの外周側に移動され磁気ディスク上より退避されて支持されるので、磁気ディスク上にCSSゾーンのような情報信号の記録ができない領域を設ける必要がなく、磁気ディスクにおいて情報信号の記録がなされる領域の面積を最大限確保することができる。
また、LUL方式においては、CSS方式と異なり、磁気ヘッドと磁気ディスクとが接触することがないので、磁気ディスク上にCSSゾーンにおけるような吸着防止用の凸凹形状を設ける必要がなく、磁気ディスクの主表面を極めて平滑化することが可能となる。したがって、LUL方式用の磁気ディスクにおいては、CSS方式用の磁気ディスクに比較して、磁気ヘッドの浮上量を一段と狭隘化させることができ、記録信号のS/N比(Signal Noise Ratio)の向上を図ることができ、高記録密度化が図られるという利点もある。
このような、LUL方式の導入に伴う磁気ヘッド浮上量の非連続的な一段の狭隘化により、近年においては、10nm未満の極狭な浮上量においても、磁気ヘッドが安定して動作することが求められるようになってきた。
ところで、磁気ディスク用ガラス基板は、磁気ディスク用ガラス基板の製造施設において、研磨処理等の処理を施された後、収納容器に収納され、梱包されて、磁気ディスクの製造施設に配送される。この磁気ディスク用ガラス基板の製造施設においては、特許文献1に記載されているように、研磨工程以降をクリーンルーム中で行うようにしている。
そして、磁気ディスクの製造施設では、磁気ディスク用ガラス基板の製造施設から配送された磁気ディスク用ガラス基板が収納容器に収納された収納体を開梱し、開封し、磁気ディスク用ガラス基板を取り出す。そして、この磁気ディスク用ガラス基板上に、スバッタリング成膜等の方法により、磁性層等の薄膜を成膜して、磁気ディスクを製造する。
このような磁気ディスク用ガラス基板の収納、保管、あるいは、配送のためには、収納容器が必要になる。例えば、特許文献2に記載されているように、シリコンウエハーや磁気ディスク用ガラス基板などのディスク状基板の収納、保管、あるいは、配送のために用いられる収納容器として、対向する側壁部にU字状の切欠き部を設け、この切欠き部にディスクを弾性的に押さえて固定する蓋体の垂下部を保持させるようにした収納容器が提案されている。
特開2001−250226公報 特開平9−2563号公報
ところで、近年の磁気ディスクにおいては、前述したように、磁気ディスクと磁気ヘッドとの間のスペーシングロスを改善し、記録信号のS/N比を向上させた結果、情報記録密度が1平方インチ当り40ギガビットを超えるまでに到っており、さらに、1平方インチ当り100ギガビットを超えるような超高記録密度をも実現されようとしている。
このように高い情報記録密度が実現できるようになった近年の磁気ディスクにおいては、従来の磁気ディスクに比較してずっと小さなディスク面積であっても、実用上十分な情報量を収納できるという特徴を有している。また、磁気ディスクは、他の情報記録媒体に比較して、情報の記録速度や再生速度(応答速度)が極めて敏速であり、情報の随時書き込み及び読み出しが可能であるという特徴も有している。
このような磁気ディスクの種々の特徴が注目された結果、近年においては、携帯用のいわゆるMP3プレーヤ、携帯電話装置、デジタルカメラ、携帯情報機器(例えば、PDA(personal digital assistant):パーソナルデジタルアシスタント)、あるいは、「カーナビゲーションシステム」などのように、パーソナルコンピュータ装置よりも筐体がずっと小さく、かつ、高い応答速度が求められる機器に搭載できる小型のハードディスクドライブが求められるようになってきている。
しかしながら、前述のように磁気ヘッド浮上量を狭隘化して超高記録密度化を図った場合には、フライスティクション障害が頻発する虞れがある。フライスティクション障害とは、磁気ディスク上を浮上飛行している磁気ヘッドが、浮上姿勢や浮上量に変調をきたす障害であり、不規則な再生出力変動の発生を伴うことが多い。また、このフライスティクション障害が生ずると、浮上飛行中の磁気ヘッドが磁気ディスクに接触してしまういわゆるヘッドクラッシュ障害やサーマルアスペリティ障害を生じてしまうことがある。
このようなフライスティクション障害を生ずることなく、磁気ディスクにおける超高記録密度化が可能になった背景の一つに、磁気ディスク用ガラス基板の平滑化が実現されていることが挙げられる、磁気ディスク用ガラス基板の表面は、原子間力顕微鏡で測定したときに、Ra(算術平均粗さ)で0.5nm以下、あるいは、Rmax(最大高さ)で5nm以下の平滑鏡面となされているので、磁気ヘッドのフライングハイトを10nm以下としても、問題なく記録再生できるのである。すなわち、磁気ディスク用ガラス基板は、表面を極めて平滑面に仕上げることができるので、磁気ヘッドの浮上量を狭隘化することができるのである。
また、磁気ディスク用ガラス基板の表面に、磁性層に磁気異方性を付与するテクスチャが形成されるようになってきたことも、高記録密度化が実現された一つの理由である。このようなテクスチャが表面に形成された磁気ディスク用ガラス基板は、磁性層に優れた磁気異方性を付与できるので、高記録密度化が実現できるのである。
ところが、このような磁気ディスク用ガラス基板において、以下の問題が生じた。すなわち、表面にテクスチャが形成された磁気ディスク用ガラス基板を梱包して磁気ディスクの製造施設に配送し、この磁気ディスクの製造施設において開梱し、磁気ディスクを生産するときに、必ずしも、所期の性能が得られない場合があった。すなわち、磁気ヘッドのグライドハイトを十分に狭隘化することができなかったり、磁性層における磁気異方性にばらつきを生じることがあった。
これは、磁気ディスク用ガラス基板の材料であるガラスの物性的な不安定さによる劣化が磁気ディスクの製造施設への配送中に生じているものと考えられ、また、テクスチャが形成されていることにより、磁気ディスク用ガラス基板の表面部の状態の不安定さが増大されている可能性もある。
さらには、テクスチャの形成時に、有機物が付着した場合に、テクスチャが形成されているがゆえに十分な洗浄ができず、この付着物によって配送中に劣化が生ずることも考えられる。
このような問題は、技術文献2に記載されているように、研磨工程以降をクリーンルーム中で行うこととしても十分に解決されていない。
また、テクスチャが形成されていない磁気ディスク用ガラス基板であっても、このガラス基板に有機物が付着した状態で長時間保持されると、成膜工程前の洗浄工程によっては、付着した有機物を除去できないことがある。そして、この場合には、最終的に製造された磁気ディスクの電気的特性が悪化したり、ヘッドクラッシュを引き起こす虞れがある。
例えば、ガラス基板を製造する工場と、成膜して磁気ディスクを製造する工場とが離れている場合や、製造したガラス基板を顧客に出荷し顧客において成膜する場合等においては、ガラス基板が長期間保持されることが多い。
このような場合に、上記のように、有機物や酸化物等がガラス基板に付着していた場合には、上述した問題が生ずることになる。
そこで、本発明は、前述のような実情に鑑みてなされたものであり、その第1の目的は、表面にテクスチャを形成した磁気ディスク用ガラス基板を梱包して磁気ディスクの製造施設に配送し、この磁気ディスクの製造施設において開梱し、磁気ディスクを生産するときに、所期の性能が得られ、磁気ヘッドのグライドハイトを十分に狭隘化することができ、また、磁性層に良好な磁気異方性が付与された磁気ディスクの生産を可能とする磁気ディスク用ガラス基板の収納方法、磁気ディスク用ガラス基板の製造方法及び磁気ディスク用ガラス基板の配送方法を提供することにある。
また、本発明の第2の目的は、このような磁気ディスク用ガラス基板の収納方法及び磁気ディスク用ガラス基板の配送方法において使用される磁気ディスク用ガラス基板収納体を提供し、また、このような磁気ディスク用ガラス基板収納体をなす磁気ディスク用ガラス基板を用いることにより良好な特性を有する磁気ディスクを製造することができる磁気ディスクの製造方法を提供することにある。
さらに、本発明の第3の目的は、このような磁気ディスク用ガラス基板の収納方法及び磁気ディスク用ガラス基板の配送方法において使用される磁気ディスク用ガラス基板収納体を提供し、また、このような磁気ディスク用ガラス基板収納体をなす磁気ディスク用ガラス基板を用いることにより良好な特性を有する垂直磁気記録媒体を製造することができる磁気ディスクの製造方法を提供することにある。
本発明者は、前記課題を解決すべく研究を進めた結果、磁気ディスク用ガラス基板を収納容器に収納する際の雰囲気に酸性物質や有機物質が含まれていることが、磁気ディスク用ガラス基板の特性の劣化に関係しているとの知見を得た。
そこで、本発明に係る磁気ディスク用ガラス基板の収納方法は、以下の構成の少なくとも一を有するものである。
〔構成1〕
表面にテクスチャを有する磁気ディスク用ガラス基板を雰囲気とともに収納容器に収納する収納方法であって、雰囲気を少なくとも酸性物質及び/又は有機物質を除去する処理を施した雰囲気とし、この雰囲気とともに磁気ディスク用ガラス基板を収納容器に収納することを特徴とするものである。
〔構成2〕
表面にテクスチャを有する磁気ディスク用ガラス基板を収納容器に収納する収納方法であって、少なくとも酸性物質及び/又は有機物質を除去する処理を施した雰囲気中において、磁気ディスク用ガラス基板を収納容器に収納することを特徴とするものである。
〔構成3〕
磁気ディスク用ガラス基板を雰囲気とともに収納容器に収納する収納方法であって、雰囲気を少なくとも酸性物質及び/又は有機物質を除去する処理を施した雰囲気とし、この雰囲気とともに磁気ディスク用ガラス基板を収納容器に収納することを特徴とするものである。
〔構成4〕
磁気ディスク用ガラス基板を収納容器に収納する収納方法であって、少なくとも酸性物質及び/又は有機物質を除去する処理を施した雰囲気中において、磁気ディスク用ガラス基板を収納容器に収納することを特徴とするものである。
〔構成5〕
構成1乃至構成4のいずれか一を有する磁気ディスク用ガラス基板の収納方法において、雰囲気について酸性物質及び/又は有機物質を除去する処理を施した後、磁気ディスク用ガラス基板を収納容器に収納する前に、雰囲気をエアーフィルタを用いてパーティクルを除去する処理を施した雰囲気とすることを特徴とするものである。
〔構成6〕
構成1乃至構成5のいずれか一を有する磁気ディスク用ガラス基板の収納方法において、磁気ディスク用ガラス基板を収納容器に収納した後に、該磁気ディスク用ガラス基板の周囲の雰囲気を減圧することを特徴とするものである。
〔構成7〕
構成1乃至構成6のいずれか一を有する磁気ディスク用ガラス基板の収納方法において、磁気ディスク用ガラス基板の表面のテクスチャは、この磁気ディスク用ガラス基板上に少なくとも磁性層を形成したときに、磁性層に磁気異方性を付与するテクスチャであることを特徴とするものである。
また、本発明に係る磁気ディスク用ガラス基板の製造方法は、以下の構成を有するものである。
〔構成8〕
構成1乃至構成7のいずれか一を有する磁気ディスク用ガラス基板の収納方法により磁気ディスク用ガラス基板を収納容器に収納する収納工程を有することを特徴とするものである。
そして、本発明に係る磁気ディスク用ガラス基板収納体は、以下の構成を有するものである。
〔構成9〕
磁気ディスク用ガラス基板と、この磁気ディスク用ガラス基板を収納する収納容器と、この収納容器中に磁気ディスク用ガラス基板とともに封入された雰囲気とを有する磁気ディスク用ガラス基板収納体であって、構成1乃至構成7のいずれか一を有する磁気ディスク用ガラス基板の収納方法により磁気ディスク用ガラス基板が収納容器に収納され封入されていることを特徴とするものである。
本発明に係る磁気ディスク用ガラス基板の配送方法は、以下の構成を有するものである。
〔構成10〕
磁気ディスク用ガラス基板の製造施設において製造された磁気ディスク用ガラス基板を磁気ディスクの製造施設に配送する磁気ディスク用ガラス基板の配送方法であって、磁気ディスク用ガラス基板の製造施設において、構成9を有する磁気ディスク用ガラス基板収納体を製造し、この磁気ディスク用ガラス基板収納体を磁気ディスクの製造施設に配送することによって、磁気ディスク用ガラス基板の配送を行うことを特徴とするものである。
本発明に係る磁気ディスクの製造方法は、以下の構成を有するものである。
〔構成11〕
構成10を有する磁気ディスク用ガラス基板の配送方法によって磁気ディスクの製造施設に配送された磁気ディスク用ガラス基板収納体の収納容器から磁気ディスク用ガラス基板を取り出し、この磁気ディスク用ガラス基板上に少なくとも磁性層を形成することを特徴とするものである。
〔構成12〕
構成10を有する磁気ディスク用ガラス基板の配送方法によって磁気ディスクの製造施設に配送された磁気ディスク用ガラス基板収納体の収納容器から磁気ディスク用ガラス基板を取り出し、この磁気ディスク用ガラス基板上に少なくとも磁性層を形成し、垂直磁気記録媒体を製造することを特徴とするものである。
構成1を有する本発明に係る磁気ディスク用ガラス基板の収納方法においては、雰囲気を少なくとも酸性物質及び/又は有機物質を除去する処理を施した雰囲気とし、この雰囲気とともに磁気ディスク用ガラス基板を収納容器に収納するので、収納容器中において、磁気ディスク用ガラス基板が雰囲気中の酸性物質及び/又は有機物質による特性の劣化を生ずることがない。
また、構成2を有する本発明に係る磁気ディスク用ガラス基板の収納方法においては、少なくとも酸性物質及び/又は有機物質を除去する処理を施した雰囲気中において、磁気ディスク用ガラス基板を収納容器に収納するので、収納容器中に酸性物質及び/又は有機物質を含有する雰囲気が侵入することがなく、磁気ディスク用ガラス基板が雰囲気中の酸性物質及び/又は有機物質による特性の劣化を生ずることがない。
したがって、これら磁気ディスク用ガラス基板の収納方法が適用された磁気ディスク用ガラス基板を用いて磁気ディスクを製造する場合には、ヘッドクラッシュ障害やサーマルアスペリティ障害の発生が抑止された磁気ディスクを製造することができる。
なお、本発明において、テクスチャは、例えば、線状の凹凸がディスクの周に沿って配向されたもの、あるいは、線状の凹凸がディスクの周に沿って略規則的に形成されたものとすることができる。そして、このようなテクスチャは、主表面を鏡面に研磨した後に、この主表面に研磨テープを接触させ相対的に移動させる機械研磨加工(メカニカルテクスチャ加工とも呼ばれている)により容易に形成することができる。
また、本発明は、テクスチャが形成されていない磁気ディスク用ガラス基板に対しても好適に適用することができる。すなわち、構成3を有する本発明に係る磁気ディスク用ガラス基板の収納方法は、磁気ディスク用ガラス基板を雰囲気とともに収納容器に収納する収納方法であって、雰囲気を少なくとも酸性物質及び/又は有機物質を除去する処理を施した雰囲気とし、この雰囲気とともに磁気ディスク用ガラス基板を収納容器に収納するので、収納容器中において、磁気ディスク用ガラス基板が雰囲気中の酸性物質及び/又は有機物質による特性の劣化を生ずることがない。
そして、構成4を有する本発明に係る磁気ディスク用ガラス基板の収納方法は、磁気ディスク用ガラス基板を収納容器に収納する収納方法であって、少なくとも酸性物質及び/又は有機物質を除去する処理を施した雰囲気中において、磁気ディスク用ガラス基板を収納容器に収納するので、収納容器中に酸性物質及び/又は有機物質を含有する雰囲気が侵入することがなく、磁気ディスク用ガラス基板が雰囲気中の酸性物質及び/又は有機物質による特性の劣化を生ずることがない。
そして、構成5を有する本発明に係る磁気ディスク用ガラス基板の収納方法においては、雰囲気について酸性物質及び/又は有機物質を除去する処理を施した後、磁気ディスク用ガラス基板を収納容器に収納する前に、雰囲気をエアーフィルタを用いてパーティクルを除去する処理を施した雰囲気とするので、磁気ディスク用ガラス基板に対するパーティクルの影響も回避することができる。
構成6を有する本発明に係る磁気ディスク用ガラス基板の収納方法においては、磁気ディスク用ガラス基板を収納容器に収納した後に、該磁気ディスク用ガラス基板の周囲の雰囲気を減圧するので、磁気ディスク用ガラス基板に対する雰囲気の影響をより低減させることができる。
構成7を有する本発明に係る磁気ディスク用ガラス基板の収納方法においては、磁気ディスク用ガラス基板の表面のテクスチャは、この磁気ディスク用ガラス基板上に少なくとも磁性層を形成したときに、磁性層に磁気異方性を付与するテクスチャであるので、この磁気ディスク用ガラス基板の収納方法が適用された磁気ディスク用ガラス基板を用いて磁気ディスクを製造する場合には、磁性層に良好な磁気異方性を付与することができる。
また、構成8を有する本発明に係る磁気ディスク用ガラス基板の製造方法においては、構成1乃至構成7のいずれか一を有する磁気ディスク用ガラス基板の収納方法により磁気ディスク用ガラス基板を収納容器に収納する収納工程を有するので、この磁気ディスク用ガラス基板の製造方法が適用された磁気ディスク用ガラス基板を用いて磁気ディスクを製造する場合には、ヘッドクラッシュ障害やサーマルアスペリティ障害の発生が抑止された磁気ディスクを製造することができる。
そして、構成9を有する本発明に係る磁気ディスク用ガラス基板収納体においては、構成1乃至構成7のいずれか一を有する磁気ディスク用ガラス基板の収納方法により磁気ディスク用ガラス基板が収納容器に収納され封入されているので、この磁気ディスク用ガラス基板収納体における磁気ディスク用ガラス基板を用いて磁気ディスクを製造する場合には、ヘッドクラッシュ障害やサーマルアスペリティ障害の発生が抑止された磁気ディスクを製造することができる。
構成10を有する本発明に係る磁気ディスク用ガラス基板の配送方法においては、磁気ディスク用ガラス基板の製造施設において構成9を有する磁気ディスク用ガラス基板収納体を製造し、この磁気ディスク用ガラス基板収納体を磁気ディスクの製造施設に配送するので、この磁気ディスク用ガラス基板の配送方法が適用された磁気ディスク用ガラス基板を用いて磁気ディスクを製造する場合には、ヘッドクラッシュ障害やサーマルアスペリティ障害の発生が抑止された磁気ディスクを製造することができる。
構成11を有する本発明に係る磁気ディスクの製造方法においては、構成10を有する磁気ディスク用ガラス基板の配送方法によって磁気ディスクの製造施設に配送された磁気ディスク用ガラス基板収納体の収納容器から磁気ディスク用ガラス基板を取り出し、この磁気ディスク用ガラス基板上に少なくとも磁性層を形成するので、ヘッドクラッシュ障害やサーマルアスペリティ障害の発生が抑止された磁気ディスクを製造することができる。
構成12を有する本発明に係る磁気ディスクの製造方法においては、構成10を有する磁気ディスク用ガラス基板の配送方法によって磁気ディスクの製造施設に配送された磁気ディスク用ガラス基板収納体の収納容器から磁気ディスク用ガラス基板を取り出し、この磁気ディスク用ガラス基板上に少なくとも磁性層を形成し、垂直磁気記録媒体を製造するので、ヘッドクラッシュ障害やサーマルアスペリティ障害の発生が抑止された垂直磁気記録媒体を提供することができる。
すなわち、本発明は、表面にテクスチャを形成した磁気ディスク用ガラス基板を梱包して磁気ディスクの製造施設に配送し、この磁気ディスクの製造施設において開梱し、磁気ディスクを生産するときに、所期の性能が得られ、磁気ヘッドのグライドハイトを十分に狭隘化することができ、また、磁性層に良好な磁気異方性が付与された磁気ディスクの生産を可能とする磁気ディスク用ガラス基板の収納方法及び磁気ディスク用ガラス基板の配送方法を提供することができるものである。
また、本発明は、このような磁気ディスク用ガラス基板の収納方法及び磁気ディスク用ガラス基板の配送方法において使用される磁気ディスク用ガラス基板収納体を提供し、また、このような磁気ディスク用ガラス基板収納体をなす磁気ディスク用ガラス基板を用いることにより良好な特性を有する磁気ディスクを製造することができる磁気ディスクの製造方法を提供することができるものである。
さらに、本発明は、このような磁気ディスク用ガラス基板の収納方法及び磁気ディスク用ガラス基板の配送方法において使用される磁気ディスク用ガラス基板収納体を提供し、また、このような磁気ディスク用ガラス基板収納体をなす磁気ディスク用ガラス基板を用いることにより良好な特性を有する垂直磁気記録媒体を製造することができる磁気ディスクの製造方法を提供することができるものである。
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
本発明に係る磁気ディスク用ガラス基板の製造方法により製造される磁気ディスク用ガラス基板は、板状ガラスの主表面を研削(ラッピング)処理してガラス母材とし、このガラス母材を切断してガラスディスクを切り出し、このガラスディスクの主表面に対して研磨(ポリッシング)処理を行い、さらに、化学強化処理及びテクスチャ加工を経て製造される。
なお、本発明に係る磁気ディスク用ガラス基板の製造方法により製造される磁気ディスク用ガラス基板は、テクスチャ加工をなされないものであってもよい。
ガラスは、例えば、溶融ガラスを材料として、プレス法やフロート法、または、フュージョン法など、公知の製造方法を用いて製造することができる。これらのうち、プレス法を用いれば、板状ガラスを廉価に製造することができる。
また、本発明において用いるガラスの材料としては、特に制限は設けないが、アルミノシリケートガラスを好ましく挙げることができる。特に、リチウムを含有するアルミノシリケートガラスが好ましい。このようなアルミノシリケートガラスは、イオン交換型化学強化処理、特に、低温イオン交換型化学強化処理により、好ましい圧縮応力を有する圧縮応力層及び引張応力を有する引張応力層を精密に得ることができるので、磁気ディスク用の化学強化ガラス基板の材料として特に好ましい。
このようなアルミノシリケートガラスの組成比としては、SiOを、58乃至75重量%、Alを、5乃至23重量%、LiOを、3乃至10重量%、NaOを、4乃至13重量%、主成分として含有することが好ましい。
さらに、アルミノシリケートガラスの組成比としては、SiOを、62乃至67.5重量%、Alを、5乃至15重量%、LiOを、4乃至10重量%、NaOを、4乃至12重量%、ZrOを、5.5乃至15重量%、主成分として含有するとともに、NaOとZrOとの重量比(NaO/ZrO)が0.5乃至2.0、AlとZrOとの重量比(Al/ZrO)が0.4乃至2.5であることが好ましい。
また、ZrOの未溶解物が原因で生じるガラスディスクの表面の突起を無くすためには、モル%表示で、SiOを、57乃至74%、ZrOを、0乃至2.8%、Alを、3乃至15%、LiOを、7乃至16%、NaOを、4乃至14%含有する化学強化用ガラスを使用することが好ましい。
このようなアルミノシリケートガラスは、化学強化処理を施すことによって、抗折強度が増加し、ヌープ硬度にも優れたものとなる。
研削処理は、ワーク、すなわち、板状ガラスの主表面の形状精度(例えば、平坦度)や寸法精度(例えば、板厚の精度)を向上させることを目的とする加工である。この研削処理は、板状ガラスの主表面に、砥石、あるいは、定盤を押圧させ、これら板状ガラス及び砥石または定盤を相対的に移動させることにより、板状ガラスの主表面を研削することにより行われる。このような研削処理は、遊星歯車機構を利用した両面研削装置を用いて行うことができる。
そして、本発明においては、ガラス母材から切り出されたガラスディスクに対して、少なくとも研磨処理を施し、ガラスディスクの主表面を鏡面化する。この研磨処理以降の工程は、クリーンルーム内で行うことが好ましい。
この研磨処理を施すことにより、ガラスディスクの主表面のクラックが除去され、主表面の表面粗さは、例えば、Rmaxで5nm以下、Raで0.4nm以下となされる。ガラスディスクの主表面がこのような鏡面となっていれば、このガラスディスクを用いて製造される磁気ディスクにおいて、磁気ヘッドの浮上量が、例えば、10nmである場合であっても、いわゆるクラッシュ障害やサーマルアスペリティ障害の発生を防止することができる。また、ガラスディスクの主表面がこのような鏡面となっていれば、後述する化学強化処理において、ガラスディスクの微細領域において均一に化学強化処理を施すことができ、また、微小クラックによる遅れ破壊を防ぐことができる。
この研磨処理は、例えば、ガラスディスクの主表面に、研磨パッド(研磨布)が貼り付けられた定盤を押圧させ、ガラスディスクの主表面に研磨液を供給しながら、これらガラスディスク及び定盤を相対的に移動させ、ガラスディスクの主表面を研磨することにより行われる。このとき、研磨液には、研磨砥粒を含有させておくとよい。研磨砥粒としては、コロイダルシリカ研磨砥粒、または、酸化セリウム砥粒を用いることができる。
なお、本発明においては、ガラスディスクを研磨する前に、研削処理をしておくことが好ましい。このときの研削処理は、前述した板状ガラスに対する研削処理と同様の手段により行うことができる。ガラスディスクを研削処理してから研磨処理を行うことにより、より短時間で、鏡面化された主表面を得ることができる。
また、本発明においては、ガラスディスクの端面において、主表面の周縁に沿った略々45°の面取り面を形成し、かつ、この端面を鏡面研磨しておくことが好ましい。ガラスディスクの端面は、面取り面が形成された部分の間の部分が切断形状となっているので、この端面を鏡面に研磨しておくことにより、パーティクルの発生を抑制することができ、この磁気ディスク用ガラス基板を用いて製造された磁気ディスクにおいて、いわゆるサーマルアスペリティ障害を良好に防止することができるからである。
そして、本発明においては、ガラスディスクの研磨工程の後に、化学強化処理を施す。化学強化処理を行うことにより、磁気ディスク用ガラス基板の表面に高い圧縮応力を生じさせることができ、耐衝撃性を向上させることができる。特に、ガラスディスクの材料としてアルミノシリケートガラスを用いている場合には、好適に化学強化処理を行うことができる。
本発明における化学強化処理としては、公知の化学強化処理方法を用いたものであれば、特に制限されない。ガラスディスクの化学強化処理は、例えば、加熱した化学強化塩に、ガラスディスクを接触させ、ガラスディスクの表層のイオンが化学強化塩のイオンでイオン交換されることによって行われる。
ここで、イオン交換法としては、低温型イオン交換法、高温型イオン交換法、表面結晶化法、ガラス表面の脱アルカリ法などが知られているが、本発明においては、ガラスの徐冷点を超えない温度領城でイオン交換を行う低温型イオン交換法を用いることが好ましい。
なお、ここでいう低温型イオン交換法は、ガラスの徐冷点以下の温度領域において、ガラス中のアルカリイオンをこのアルカリイオンよりもイオン半径の大きいアルカリイオンと置換し、イオン交換部の容積増加によってガラス表層に圧縮応力を発生させ、ガラス表層を強化する方法のことをさす。
なお、化学強化処理を行なうときの溶融塩の加熱温度は、イオン交換が良好に行われるという観点等から、280°C乃至660°C、特に、300°C乃至400°Cであることが好ましい。ガラスディスクを溶融塩に接触させる時間は、数時間乃至数十時間とすることが好ましい。
次に、ガラスディスクの主表面及び端面に対しては、テクスチャ加工を施してもよい。このテクスチャは、この磁気ディスク用ガラス基板上に少なくとも磁性層を形成したときに、磁性層に磁気異方性を付与するテクスチャである。
このテクスチャ加工においては、まず、ガラスディスクを、中央部分の円孔においてテクスチャ加工装置のチャッキング軸の先端側に装着する。このチャッキング軸は、先端側をガラスディスクの円孔に挿入して拡径させることにより、ガラスディスクを保持する。このチャッキング軸は、所定の回転速度によって軸回りに回転操作されるとともに、軸に直交する方向に所定の周囲及び振幅にて往復移動されるようになっている。
そして、このテクスチャ加工装置においては、一対の研磨テープが所定の速度で送り操作されるようになっている。これら研磨テープは、互いに重ね合わされた状態で、等しい速度で送り操作される。チャッキング軸に保持されたガラスディスクは、主表面となる部分を、送り操作される一対の研磨テープの間に挿入される。そして、これら研磨テープは、加圧ローラにより、ガラスディスクの両面側の主表面に対してそれぞれ所定の圧力にて押接される。すなわち、ガラスディスクは、両主表面を、一対の研磨テープによって挟持されることとなる。
この状態において、チャッキング軸をガラスディスクとともに軸回りに回転させるとともに、このチャッキング軸を軸に直交する方向に所定の周囲及び振幅にて往復移動させる。このとき、チャッキング軸の往復移動の方向は、一対の研磨テープの送り操作方向に直交する方向となっている。また、このとき、ガラスディスクと各研磨テープとの間には、液体状の研磨剤を供給する。このとき、液体状の研磨剤には、研磨砥粒を含有させておくとよい。研磨砥粒としては、ダイヤモンド砥粒を用いることができる。このとき、ガラスディスクと各研磨テープとは、相対的に摺接移動される。
そして、この磁気ディスク用ガラス基板の製造方法においては、前述のようにして作製された磁気ディスク用ガラス基板を、以下のような本発明に係る磁気ディスク用ガラス基板の収納方法により、収納容器に収納する収納工程を有している。
この収納工程においては、雰囲気を少なくとも酸性物質及び/又は有機物質を除去する処理を施した雰囲気とし、この雰囲気とともに磁気ディスク用ガラス基板を収納容器に収納する。また、少なくとも酸性物質及び/又は有機物質を除去する処理を施した雰囲気中において、磁気ディスク用ガラス基板を収納容器に収納することとしてもよい。
雰囲気から酸性物質及び/又は有機物質を除去する処理を行うには、いわゆるケミカルフィルタを使用する。このケミカルフィルタは、例えば、セラミック製のハニカム構造体に、所定の対象物質を吸着して除去する物質を添着したものである。
酸性物質を除去するフィルタとしては、金属酸化物及び/又はアルカリ塩を含有させたフィルタがある。このフィルタを利用すると、NOガス、NOガスなどのNOガスや、SOガスなど酸性ガスを除去することができる。
有機物質を除去するフィルタとしては、無機吸着剤により高分子有機物等からなるガス状有機物を除去するフィルタが挙げられる。
また、酸性物質及び/又は有機物質に加えて、塩基性物質を除去するフィルタを利用することもできる。例えば、無機酸塩を含有させてアンモニア等の塩基性物質を除去するフィルタと、前記酸性物質を除去するフィルタ及ぴ/又は有機物質を除去するフィルタを組み合わせたフィルタを用いることができる。
本発明においては、これらのうち、酸性ガス用ケミカルフィルタ、または、酸性ガス、塩基性ガス及び有機物質対応のケミカルフィルタを用いて、雰囲気をこれらケミカルフィルタに通すことにより、少なくとも酸性物質及び/又は有機物質を除去する処理を行うことが好ましい。なお、有機物用ケミカルフィルタを用いて、雰囲気をこのケミカルフィルタに通すことによっても、一定の効果が得られる。
磁気ディスク用ガラス基板を収納する収納容器は、特に限定されないが、磁気ディスク用ガラス基板を雰囲気とともに封入することができる密閉容器を使用する必要がある。
なお、このように雰囲気について酸性物質及び/又は有機物質を除去する処理を施した後、磁気ディスク用ガラス基板を収納容器に収納する前には、雰囲気をエアーフィルタを用いてパーティクルを除去する処理を施した雰囲気とすることがより好ましい。
また、磁気ディスク用ガラス基板を収納容器に収納した後に、収納容器内における磁気ディスク用ガラス基板の周囲の雰囲気を減圧することが好ましい。
このようにして、磁気ディスク用ガラス基板と、この磁気ディスク用ガラス基板を収納する収納容器と、この収納容器中に磁気ディスク用ガラス基板とともに封入された雰囲気とを有する本発明に係る磁気ディスク用ガラス基板収納体が作製される。
そして、本発明に係る磁気ディスク用ガラス基板の配送方法は、前述のような磁気ディスク用ガラス基板収納体を磁気ディスク用ガラス基板の製造施設(製造メーカー)において製造し、この磁気ディスク用ガラス基板収納体を、磁気ディスクの製造施設(製造メーカー)に配送することによって、磁気ディスク用ガラス基板の配送を行うものである。
そして、本発明に係る磁気ディスクの製造方法においては、前述のような磁気ディスク用ガラス基板の配送方法によって磁気ディスクの製造施設に配送された磁気ディスク用ガラス基板収納体の収納容器から磁気ディスク用ガラス基板を取り出し、この磁気ディスク用ガラス基板上に少なくとも磁性層を形成する。
この場合において、本発明においては、磁気ディスクとして、垂直磁気記録媒体を製造することとしてもよい。
磁気ディスク用ガラス基板上に形成される磁性層としては、例えば、コバルト(Co)系強磁性材料からなるものを用いることができる。特に、高い保磁力が得られるコバルト−プラチナ(Co−Pt)系強磁性材料や、コバルト−クロム(Co−Cr)系強磁性材料からなる磁性層として形成することが好ましい。なお、磁性層の形成方法としては、バイアススパッタリング法、DCマグネトロンスパッタリング法や、バイアスCVD法を用いることができる。
ガラス基板と磁性層との間には、適宜、下地層等を介挿させることが好ましい。これら下地層の材料としてはAl−Ru系合金や、Cr系合金などを用いることができる。
また、磁性層上には、磁気ヘッドの衝撃から磁気ディスクを防護するための保護層を設けることができる。この保護層としては、硬質な水素化炭素保護層を好ましく用いることができる。この保護層の形成には、プラズマCVD法を用いることができる。
さらに、この保護層上に、PFPE(パーフルオロポリエーテル)化合物からなる潤滑層を形成することにより、磁気ヘッドと磁気ディスクとの干渉を緩和することができる。この潤滑層は、例えば、ディップ法により、塗布成膜することにより形成することができる。
以下、実施例及び比較例を挙げることにより、具体的に説明する。なお、本発明は、これら実施例の構成に限定されるものではない。
〔実施例1〕
以下に述べる本実施例における磁気ディスク用ガラス基板及び磁気ディスクは、以下の(1)乃至(11)の工程により作成される。
(1)粗研削工程
(2)形状加工工程
(3)精研削工程
(4)端面研磨加工工程
(5)第1研磨工程
(6)第2研磨工程
(7)化学強化工程
(8)テクスチャ加工
(9)収納工程
(10)配送(保管)
(11)磁気ディスクの製造工程(成膜工程)
まず、アモルファスのアルミノシリケートガラスからなるディスク状のガラス母材を用意した。このアルミノシリケートガラスは、リチウムを含有している。このアルミノシリケートガラスの組成は、SiOを、63.6重量%、Alを、14.2重量%、NaOを、10.4重量%、LiOを、5.4重量%、ZrOを、6.0重量%、Sbを、0.4重量%含むものである。
(1)粗研削工程
溶融させたアルミノシリケートガラスから形成した厚さ0.6mmのシートガラスをガラス母材として用いて、このシートガラスから、研削砥石により、直径28.7mm、厚さ0.6mmの円盤状のガラスディスクを得た。
シートガラスを形成する方法としては、一般に、ダウンドロー法やフロート法が用いられるが、これ以外に、ダイレクトプレスによって、円盤状のガラス母材を得てもよい。このシートガラスの材料であるアルミノシリケートガラスとしては、SiOを、58乃至75重量%、Alを、5乃至23重量%、NaOを、4乃至13重量%、LiOを、3乃至10重量%、含有するものであればよい。
次に、ガラスディスクに対し、寸法精度及び形状精度の向上のために、粗研削工程を施した。この粗研削工程は、両面研削装置を用いて、粒度#400の砥粒を用いて行なった。
具体的には、始めに粒度#400のアルミナ砥粒を用い、荷量を100kg程度に設定して、サンギアとインターナルギアを回転させることによって、キャリア内に収納したガラスディスクの両面を、面精度0乃至1μm、表面粗さ(Rmax)6μm程度に研削した。
(2)形状加工工程
次に、円筒状の砥石を用いて、ガラスディスクの中央部分に円孔を形成するとともに、外周端面及び内周端面において主表面の周縁に沿って略々45°の面取り加工を施した。このときのガラスディスクの端面の表面粗さは、Rmaxで4μm程度であった。
(3)精研削工程
次に、砥粒の粒度を#1000に替え、ガラスディスクの主表面を研削することにより、主表面の表面粗さを、Rmaxで2μm程度、Raで0.2μm程度とした。
この精研削工程を行うことにより、前工程である粗研削工程や形状加工工程において主表面に形成された微細な凹凸形状を除去することができる。
(4)端面研磨加工工程
次いで、従来より用いられているブラシ研磨により、ガラスディスクを回転させながらガラスディスクの端面の研磨を行い、このガラスディスクの端面(内周端面及び外周端面)の表面の粗さを、Rmaxで1μm、Raで0.3μm程度に研磨した。
そして、端面研磨加工を終えたガラスディスクの主表面を水洗浄した。
この端面研磨加工工程により、ガラスディスクの端面は、パーティクル等の発塵を防止できる鏡面状態に加工された。端面研磨加工工程後にガラスディスクの直径を測定したところ、27.4mmであった。
(5)第1研磨工程
次に、前述した精研削工程において残留した傷や歪みを除去するため、両面研磨装置を用いて、第1研磨工程を行なった。この研磨処理以降の工程は、クリーンルーム内で行った。
画面研磨装置においては、研磨パッドが貼り付けられた上下定盤の間に、キャリアにより保持させたガラスディスクを密着させ、このキャリアを、サンギア及びインターナルギアに噛合させるとともに、ガラスディスクを上下定盤によって挟圧する。その後、研磨パッドとガラスディスクの研磨面(主表面)との間に研磨液を供給しながら、サンギアを回転させることによって、ガラスディスクは、定盤上で自転しながらインターナルギアの回りを公転して、両主表面を同時に研磨加工される。
以下の研磨工程で使用する両面研磨装置としては、同一の装置を用いている。具体的には、ポリッシャとして硬質ポリシヤ(硬質発泡ウレタン)を用いて、第1研磨工程を実施した。研磨条件は、酸化セリウム(平均粒径1.3μm)及びRO水からなる研磨液を用い、荷重を100g/cm、研磨時間を15分とした。そして、この第1研磨工程を終えたガラスディスクを、中性洗剤、純水(1)、純水(2)、IPA(イソプロピルアルコール)、IPA(蒸気乾燥)の各洗浄槽に順次浸漬させて、超音波洗浄し、乾燥させた。
(6)第2研磨工程
次に、第1研磨工程で使用した両面研磨装置と同様の両面研磨装置を用いて、ポリッシャを軟質ポリッシャ(スウェードパット)に替えて、主表面の鏡面研磨工程として、第2研磨工程を実施した。
この第2研磨工程は、前述した第1研磨工程により得られた平坦な主表面を維持しつつ、この主表面の表面粗さRaを、例えば、0.5乃至0.3nm程度以下まで低減させることを目的とするものである。
研磨条件は、コロイダルシリカ(平均粒径80nm)及びRO水からなる研磨液を用い、荷重を100g/cm、研磨時間を5分とした。
そして、この第2研磨工程を終えたガラスディスクを、中性洗剤、純水(1)、純水(2)、IPA(イソプロピルアルコール)、IPA(蒸気乾燥)の各洗浄槽に順次浸漬させて、超音波洗浄し、乾燥させた。
(7)化学強化工程
次に、洗浄を終えたガラスディスクに対し、化学強化処理を施した。化学強化処理は、硝酸カリウムと硝酸ナトリウムとを混合させた化学強化液を用いて行い、強化処理されたガラスディスクから溶出されるリチウム含有量をICP発光分析装置を用いて測定した。
この化学強化溶液を、340°C乃至380°Cに加熱し、洗浄及び乾燥を終えたガラスディスクを、約2時間乃至4時間浸漬して、化学強化処理を行なった。この浸漬の際には、ガラスディスクの表面全体が化学強化されるようにするため、複数のガラスディスクが外周端面で保持されるように、ホルダーに収納した状態で行った。
化学強化処理を終えたガラスディスクを、20°Cの水槽に浸漬して急冷し、約10分間維持した。
そして、急冷を終えたガラスディスクを、約40°Cに加熱した濃硫酸に浸漬して洗浄を行った。さらに、硫酸洗浄を終えた磁気ディスク用ガラス基板を、純水(1)、純水(2)、IPA(イソプロピルアルコール)、IPA(蒸気乾燥)の各洗浄槽に順次浸漬させて、超音波洗浄し、乾燥させた。
次に、洗浄を終えたガラスディスクの主表面及び端面について、目視検査を行い、さらに、光の反射、散乱及び透過を利用した精密検査を実施した。その結果、ガラスディスクの主表面及び端面には、付着物による突起や、傷等の欠陥は発見されなかった。
また、前述のような工程を経たガラスディスクの主表面の表面粗さは、原子間カ顕微鏡(AFM)によって測定したところ、Rmaxで2.5nm、Raで0.30nmと、超平滑な表面となっていることが確認された。なお、表面粗さの数値は、AFM(原子間力顕微鏡)によって測定した表面形状について、日本工業規格(JIS)B0601にしたがって算出したものである。
また、前述のような工程を経たガラスディスクは、内径が7mm、外径が27.4mm、板厚は0.381mmであり、「1.0インチ型」磁気ディスクに用いる磁気ディスク用ガラス基板の所定寸法であることを確認した。
さらに、このガラスディスクの円孔の内周端面の表面粗さは、面取り面においてRmaxで0.4μm、Raで0.04μm、面取り面以外の部分においてRmaxで0.4μm、Raで0.05μmであった。外周端面における表面粗さRaは、面取り面において0.04μm、面取り面以外の部分において0.07μmであった。このように、内周端面は、外周端面と同様に、鏡面状に仕上がっていることを確認した。
また、このガラスディスクの表面に異物やサーマルアスペリティの原因となるパーティクルは認められず、円孔の内周端面にも異物やクラックは認められなかった。
(8)テクスチャ加工
次に、化学強化処理を終えたガラスディスクに対し、テクスチャ加工を行った。このテクスチャ加工は、テクスチャ加工装置を用いて、ガラスディスクとこのガラスディスクの両主表面を挟持する研磨テープとを所定の状態で相対的に摺接移動させる「メカニカルテクスチャ加工」によって、主表面及び端面に対して行った。これらガラスディスクと各研磨テープとの相対的摺動は、ガラスディスクの周方向(接線方向)の移動を基本としつつ、この周方向に対して、サインカーブを描いて揺動する移動として行った。また、このとき、ガラスディスクと各研磨テープとの間に、研磨砥粒としてダイヤモンド砥粒をを含有する液体状の研磨剤を供給した。
このテクスチャ加工が終了した後、ガラスディスクをスクラブ洗浄し、磁気ディスク用ガラス基板を得た。
得られたテクスチャの形状を原子間力顕微鏡で確認したところ、ガラス基板の円周方向に配向した多数の凹凸線からなる線状のテクスチャが確認された。
(9)収納工程
この収納工程においては、雰囲気を少なくとも酸性物質及び/又は有機物質を除去する処理を施した雰囲気とし、この雰囲気とともに磁気ディスク用ガラス基板を収納容器に収納した。雰囲気から酸性物質及び/又は有機物質を除去する処理としては、酸性ガス用ケミカルフィルタを用いて、雰囲気をこのケミカルフィルタに通すことにより行った。また、雰囲気について酸性物質及び/又は有機物質を除去する処理を施した後、この雰囲気をエアーフィルタを用いてパーティクルを除去する処理を施した雰囲気とした。
そして、磁気ディスク用ガラス基板を収納容器に収納し、磁気ディスク用ガラス基板収納体とした。この収納容器は、磁気ディスク用ガラス基板を雰囲気とともに封入することができる密閉容器を使用した。また、磁気ディスク用ガラス基板を収納容器に収納した後に、収納容器内における磁気ディスク用ガラス基板の周囲の雰囲気を減圧した。
(10)配送(保管)
次に、前述のような磁気ディスク用ガラス基板収納体を磁気ディスクの製造施設に配送するこはを想定して、この磁気ディスク用ガラス基板収納体を所定時間保管(放置)したうえで、後述する磁気ディスクの製造工程を実施した。
(11)磁気ディスクの製造工程(成膜工程)
次に、以下の工程を経て、本発明に係る磁気ディスクを製造した。
前述の工程により得た磁気ディスク用ガラス基板収納体の収納容器から磁気ディスク用ガラス基板を取り出し、この磁気ディスク用ガラス基板の両主表面に、静止対向型のDCマグネトロンスパッタリング装置を用いて、Al−Ru合金のシード層、Cr−W合金の下地層、Co−Cr−Pt−Ta合金の磁性層、水素化炭素保護層を順次成膜した。シード層は、磁性層の磁性グレインを微細化させる作用を奏し、下触層は、磁性層の磁化容易軸を面内方向に配向きせる作用を奏する。
この磁気ディスクは、非磁性基板である磁気ディスク用ガラス基板と、この磁気ディスク用ガラス基板上に形成された磁性層と、この磁性層上に形成された保護層と、この保護層上に形成された潤滑層とを少なくとも備えて構成される。
そして、磁気ディスク用ガラス基板と磁性層との間には、シード層及び下地層からなる非磁性金属層(非磁性下地層)が形成されている。この磁気ディスクにおいて、磁性層以外は、全て非磁性体からなる層である。この実施例においては、磁性層及び保護層、保護層及び潤滑層は、それぞれ接した状態で形成した。
すなわち、まず、スパッタリングターゲットとして、Al−Ru(アルミニウム−ルテニウム)合金(Al:50at%、Ru:50at%)を用いて、磁気ディスク用ガラス基板上に、膜厚30nmのAl−Ru合金からなるシード層をスパッタリングにより成膜した。次に、スパッタリングターゲットとして、Cr−W(クロム−タングステン)合金(Cr:80at%、W:20at%)を用いて、シード層5上に、膜厚20nmのCr−W合金からなる下地層をスパッタリングにより成膜した。次いで、スパッタリングターゲットとして、Co−Cr−Pt−Ta(コバルト−クロム−プラチナ−タンタル)合金(Cr:20at%、Pt:12at%、Ta:5at%、残部Co)からなるスパッタリングターゲットを用いて、下地層上に、膜厚15nmのCo−Cr−Pt−Ta合金からなる磁性層をバイアススパッタリングにより形成した。
次に、磁性層上に水素化炭素からなる保護層をバイアスCVD法により形成し、さらに、PFPE(パーフロロポリエーテル)からなる潤滑層をディップ法で成膜した。保護層は、磁気ヘッドの衝撃から磁性層を保護する作用を奏する。このようにして、磁気ディスクを得た。
〔実施例2〕
収納工程において使用するケミカルフィルタを有機物用ケミカルフィルタ(高砂熱学工業社製の「TIOS−O(登録商標)」)に代えて使用した。他は、前述の実施例1と同様にして、磁気ディスク用ガラス基板及び磁気ディスクを作製した。
〔実施例3〕
収納工程において使用するケミカルフィルタを酸性ガス、塩基性ガス及び有機物質対応のケミカルフィルタに代えて使用した。他は、前述の実施例1と同様にして、磁気ディスク用ガラス基板及び磁気ディスクを作製した。
〔比較例1〕
収納工程において、ケミカルフィルタを使用せずに、パーティクルを除去するクリーンフィルタのみで処理した。他は、前述の実施例1と同様にして、磁気ディスク用ガラス基板及び磁気ディスクを作製した。
〔比較例2〕
前述した実施例におけるテクスチャ加工を行わずに磁気ディスク用ガラス基板を作製した。このガラス基板表面には、テクスチャが形成されておらず、鏡面であった。また、収納工程において、ケミカルフィルタを使用せずに、パーティクルを除去するクリーンフィルタのみで処理した。他は、前述の実施例1と同様にして、磁気ディスク用ガラス基板及び磁気ディスクを作製した。
〔各実施例及び各比較例の対比〕
前述の各実施例及び比較例1の磁気ディスク用ガラス基板収納体をそれぞれ複数作製し、異なる放置時間において開梱し、収納容器から取り出された磁気ディスク用ガラス基板について、表面における水の接触角(コンタクトアングル(W.C.A))を検査した。磁気ディスク用ガラス基板の表面における水の接触角、すなわち、濡れ性は、表面の汚染状態によって変化し、汚染状態を判断する基準となる。表面汚染が少なく濡れ性がよい場合には、水の接触角は小さいが、表面汚染が進み濡れ性が悪くなると、水の接触角が大きくなる。
図1は、実施例1及び比較例1における磁気ディスク用ガラス基板の表面における水の接触角の時間変動を示すグラフである。
比較例1における磁気ディスク用ガラス基板の表面においては、図1に示すように、放置時間の経過とともに、水の接触角(W.C.A)が増大していることがわかる。これに対し、実施例1における磁気ディスク用ガラス基板の表面においては、24時間経過後においても、水の接触角(W.C.A)の増大は認められない。
図2は、実施例2及び比較例1における磁気ディスク用ガラス基板の表面における水の接触角の時間変動を示すグラフである。
実施例2における磁気ディスク用ガラス基板の表面においても、24時間経過後において、水の接触角(W.C.A)の増大は認められない。
さらに所定時間経過後における各実施例及び各比較例の磁気ディスク用ガラス基板の表面における水の接触角(W.C.A)について、以下の〔表1〕に示す。
Figure 2007115388
実施例1乃至実施例3における磁気ディスク用ガラス基板については、表面における水の接触角の検査において、いずれも10°以下の良好な結果となっている。
これに対し、比較例1及び比較例2における磁気ディスク用ガラス基板については、表面における水の接触角の検査において、いずれも10°以上であり、好ましくない結果となっている。
また、各実施例及び比較例の磁気ディスク用ガラス基板を用いて作製した磁気ディスクについて、浮上量が6nmのグライドヘッドによりグライド検査を行った。この結果を〔表1〕に示す。このグライド検査は、磁気ヘッドに衝突する異物等の検出により、磁気ヘッドが安定した浮上状態を維持しているかを判別するものである。
実施例1乃至実施例3における磁気ディスクについては、グライド検査において、いずれも95%以上の良好な合格率となっている。
これに対し、比較例1における磁気ディスクについては、グライド検査において、70%という低い合格率となっている。なお、比較例2における磁気ディスクについては、磁気ディスク用ガラス基板にテクスチャが形成されていないため、グライド検査においては、95%という良好な合格率となっている。
磁気異方性については、実施例1における磁気ディスクについては、ディスクの円周方向の残留磁化がディスクの半径方向の残留磁化に比ぺて大きい、円周方向の磁気異方性が出現した。
実施例2及び実施例3における磁気ディスクについては、実施例1における磁気ディスクと同様に、円周方向に卓越した磁気特性が出現した。
これに対し、比較例1における磁気ディスクは、ディスクの円周方向及び半径方向の磁気特性がほぽ等しい等方性磁気ディスクであった。
また、この実施例1乃至実施例4において得られた磁気ディスクのについてのロードアンロード耐久試験を行った。すなわち、得られた磁気ディスクをハードディスクドライブに搭載して連続してロードアンロード動作を繰り返し行った。その結果は、ロードアンロード耐久性として、60万回以上のロードアンロード動作に耐久することができ、充分な耐久性となっていることが確認された。
実施例1及び比較例1における磁気ディスク用ガラス基板の表面における水の接触角の時間変動を示すグラフである。 実施例2及び比較例1における磁気ディスク用ガラス基板の表面における水の接触角の時間変動を示すグラフである。

Claims (12)

  1. 表面にテクスチャを有する磁気ディスク用ガラス基板を、雰囲気とともに収納容器に収納する収納方法であって、
    前記雰囲気を、少なくとも酸性物質及び/又は有機物質を除去する処理を施した雰囲気とし、この雰囲気とともに磁気ディスク用ガラス基板を収納容器に収納する
    ことを特徴とする磁気ディスク用ガラス基板の収納方法。
  2. 表面にテクスチャを有する磁気ディスク用ガラス基板を収納容器に収納する収納方法であって、
    少なくとも酸性物質及び/又は有機物質を除去する処理を施した雰囲気中において、磁気ディスク用ガラス基板を収納容器に収納する
    ことを特徴とする磁気ディスク用ガラス基板の収納方法。
  3. 磁気ディスク用ガラス基板を雰囲気とともに収納容器に収納する収納方法であって、
    前記雰囲気を、少なくとも酸性物質及び/又は有機物質を除去する処理を施した雰囲気とし、この雰囲気とともに磁気ディスク用ガラス基板を収納容器に収納する
    ことを特徴とする磁気ディスク用ガラス基板の収納方法。
  4. 磁気ディスク用ガラス基板を収納容器に収納する収納方法であって、
    少なくとも酸性物質及び/又は有機物質を除去する処理を施した雰囲気中において、磁気ディスク用ガラス基板を収納容器に収納する
    ことを特徴とする磁気ディスク用ガラス基板の収納方法。
  5. 前記雰囲気について酸性物質及び/又は有機物質を除去する処理を施した後、前記磁気ディスク用ガラス基板を前記収納容器に収納する前に、前記雰囲気を、エアーフィルタを用いてパーティクルを除去する処理を施した雰囲気とする
    ことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一に記載の磁気ディスク用ガラス基板の収納方法。
  6. 前記磁気ディスク用ガラス基板を前記収納容器に収納した後に、該磁気ディスク用ガラス基板の周囲の雰囲気を減圧する
    ことを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか一に記載の磁気ディスク用ガラス基板の収納方法。
  7. 前記磁気ディスク用ガラス基板の表面の前記テクスチャは、この磁気ディスク用ガラス基板上に少なくとも磁性層を形成したときに、前記磁性層に磁気異方性を付与するテクスチャである
    ことを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか一に記載の磁気ディスク用ガラス基板の収納方法。
  8. 請求項1乃至請求項7のいずれか一に記載の磁気ディスク用ガラス基板の収納方法により磁気ディスク用ガラス基板を収納容器に収納する収納工程を有する
    ことを特徴とする磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
  9. 磁気ディスク用ガラス基板と、この磁気ディスク用ガラス基板を収納する収納容器と、この収納容器中に前記磁気ディスク用ガラス基板とともに封入された雰囲気とを有する磁気ディスク用ガラス基板収納体であって、
    請求項1乃至請求項7のいずれか一に記載の磁気ディスク用ガラス基板の収納方法により前記磁気ディスク用ガラス基板が前記収納容器に収納され封入されている
    ことを特徴とする磁気ディスク用ガラス基板収納体。
  10. 磁気ディスク用ガラス基板の製造施設において製造された磁気ディスク用ガラス基板を、磁気ディスクの製造施設に配送する磁気ディスク用ガラス基板の配送方法であって、
    前記磁気ディスク用ガラス基板の製造施設において、請求項9記載の磁気ディスク用ガラス基板収納体を製造し、
    前記磁気ディスク用ガラス基板収納体を前記磁気ディスクの製造施設に配送することによって、磁気ディスク用ガラス基板の配送を行う
    ことを特徴とする磁気ディスク用ガラス基板の配送方法。
  11. 請求項10記載の磁気ディスク用ガラス基板の配送方法によって磁気ディスクの製造施設に配送された磁気ディスク用ガラス基板収納体の収納容器から、前記磁気ディスク用ガラス基板を取り出し、この磁気ディスク用ガラス基板上に、少なくとも磁性層を形成する
    ことを特徴とする磁気ディスクの製造方法。
  12. 請求項10記載の磁気ディスク用ガラス基板の配送方法によって磁気ディスクの製造施設に配送された磁気ディスク用ガラス基板収納体の収納容器から、前記磁気ディスク用ガラス基板を取り出し、この磁気ディスク用ガラス基板上に、少なくとも磁性層を形成し、垂直磁気記録媒体を製造する
    ことを特徴とする磁気ディスクの製造方法。
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