JPH05298686A - 磁気ディスクの製造方法 - Google Patents

磁気ディスクの製造方法

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JPH05298686A
JPH05298686A JP9566292A JP9566292A JPH05298686A JP H05298686 A JPH05298686 A JP H05298686A JP 9566292 A JP9566292 A JP 9566292A JP 9566292 A JP9566292 A JP 9566292A JP H05298686 A JPH05298686 A JP H05298686A
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magnetic disk
layer
magnetic
hardness
texturing
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JP9566292A
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Inventor
Katsutoshi Hosogai
勝利 細貝
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Alps Alpine Co Ltd
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Alps Electric Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 磁気ヘッドの浮上安定性を保持し、CSS特
性の向上を図る。 【構成】 Al、Al合金等からなる板状体上面にNi
−Pメッキ層を形成し、その表面を鏡面加工した後、テ
クスチャーを施すことによって磁気ディスク基板を形成
し、前記磁気ディスク基板上に磁性膜を被膜する磁気デ
ィスクの製造方法において、前記Ni−Pメッキ層の鏡
面加工の後にケミカルエッチング処理を行なうこと特徴
とする磁気ディスクの製造方法。 【効果】 CSS特性の向上を図ることができる磁気デ
ィスクの製造方法を提供することを目的とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、磁気ディスクの製造方
法に関し、特に磁気ディスクの基板の改良に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】ハードディスク装置に使用される磁気デ
ィスクは、基板上に下地層そして磁性層を形成し、前記
磁性層に磁気を残留させて所定の内容を記録するもので
ある。そして、コンピータの磁気記録媒体などに用いら
れている円盤状の磁気ディスクにあっては、磁気ヘッド
によって信号の書き込みと読み取りがなされている。こ
の磁気ヘッドは、磁気ディスクが停止されている時は、
磁気ディスク表面に接触し、磁気ディスクが回転される
と、磁気ディスク表面に発生する気流の圧力によって浮
上し、この状態で信号の書き取り、読み取りを行なうよ
うになっている。
【0003】従来の磁気ディスクの製造方法の一例につ
いて、以下に図6を基にして説明する。まず、AlやA
l合金又は、ガラスからなる円盤状の基板14を用意
し、この基板14に表面加工や面取加工を施した後に、
表面にNi−Pメッキ層15を図6(a)に示すように
形成する。
【0004】次に、前記Ni−Pメッキ層15の表面を
図6(b)に示す段階で、平均粗さRaが0.004μ
m以下になるように鏡面加工(ポリッシュ加工)する。
そして、その際に図6(c)に示すように、テクスチャ
リング9を形成する。前記テクスチャリング9の形成方
法は、先ず、目の粗い研摩剤を使用した後、平均粒径1
μm以下の#8000程度の砥粒で研摩するものであ
る。
【0005】続いて、上記のように形成されたテクスチ
ャリング9の表面に、図6(d)に示すようにCrなど
からなる下地膜16を形成する。そして、前記下地膜1
6の上にCo−Ni−Cr膜などからなる磁性膜17を
スパッタなどの手段で図6(e)に示すように被膜し、
更に図6(f)に示すようにカーボンなどからなる保護
膜18をスパッタなどの手段で被覆し、さらに図6
(g)に示すようにフッ素系の潤滑剤などからなる潤滑
膜19をディップコート法などにより形成して磁気ディ
スク20aを完成する。
【0006】上記のような構成からなる従来の磁気ディ
スクの基板上に設けられたテクスチャリング9は、磁気
ヘッドの媒体対向面と磁気ディスクの表面で生じる吸着
現象を低減する効果を有していた。すなわち、磁気ディ
スクに接触している状態の磁気ヘッドと磁気ディスク表
面との接触面積を少なくすることで、吸着現象を回避し
ていた。また、このテクスチャリング9は、上記のよう
な効果の他に、テクスチャリング9の表面に被膜された
磁性膜16に磁気異方性を与え、再生出力及び分解能に
優れた、そしてDC消去ノイズを抑えた磁気ディスクを
提供していた。従って、上記のような効果を奏するテク
スチャリング9により、CSS(コンタクト スタート
ストップ)特性及び耐候性の向上を図っていた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかし、前記従来の方
法で製造された磁気ディスクの表面の硬度を、NEC薄
膜硬度計(MHA−400)を使って本発明者らが測定
した結果、前記磁気ディスクの表面に、著しく低硬度の
層が存在していることを知見した。そして、この低硬度
層の生成理由は、前記従来の磁気ディスクを製造する際
に行なうNi−Pメッキ層15の鏡面加工(ポリッシュ
加工)処理によって生じるものであって、Ni−Pメッ
キ層の表面から0.15μm程度の層に、硬度の著しく
低い加工変質層が存在していることが明かになった。
【0008】上記測定に用いたNEC薄膜硬度計による
測定方法、及びその測定原理について図3を用いて、以
下に説明する。このNEC薄膜硬度計は、押し込み速度
と押し込み荷重をパラメータとして用いるもので、電子
天秤6により0.01mgの精度で押し込み荷重と試料
3との接触を検知し、高精度の光強度型変位計で押し込
み深さを測定するものである。そして、このNEC薄膜
硬度計の測定原理は、荷重検出系Cに用いる電子天秤6
に試料3と鏡5が置かれており、鏡5は変位検出系Bに
用いる光強度型変位計2からの光を反射するものであ
り、一方、押し込駆動系Aに組み込まれた圧電アクチュ
エータ7により圧子1は、設定荷重まで試料3に押し付
けられた際に、圧子1と変位計ブローブ8は一体で動作
し、圧子1と試料3の接触と同時に変位量は押し込み深
さデータとして取り込まれる。そして、その荷重データ
と押し込み深さデータとの演算により硬さが求められる
ものである。
【0009】そこで、本願発明者らは、上記NEC薄膜
硬度計を用いて、前記従来の磁気ディスクにおける測定
試験を以下のような条件の下で行なった。使用した試料
は、前記従来の方法により製造された6枚のNi−Pポ
リッシュ基板(a〜f)を任意に選択し、その半径30
mm付近を切出した後、これを洗剤、アセトン、エタノ
ールで順次洗浄処理したものを使用した。前記NEC薄
膜硬度計の諸条件は、 圧子の押し込み速度:10.5nm/sec 最大荷重:0.2〜 0.8g 硬度測定:0〜0.2μm(0.2μm幅) :約0.25〜0.35μm(0.1μm幅) である。以上のような条件の下で行なった測定結果を図
4及び図5に示した。
【0010】図4は、この測定に用いた試料(a〜f)
に共通して現れた磁気ディスクの表面付近の硬度を示す
データであり、押し込み深さ(δ2)と荷重(W)の関
係を示している。さらに、図5は、各試料(a〜f)に
おいて、図4に示す加工変質層の深さDの平均を求める
ために、その加工層深さDに対する測定数を示したグラ
フである。
【0011】よって、上記図4及び図5から明かなこと
は、測定した全ての試料(a〜f)の表面から約0.2
6〜0.3μm程度の深さに相当する層が、本来のNi
−Pの硬度よりかなり硬度の低い層であるということで
ある。そしてさらに、図5のグラフより、表面から0.
26〜0.3μm程度の前記低硬度の層は、一定の傾き
を有することから、一定の硬度を有し、さらに、図4に
示すグラフの傾きをαとすると、試料の硬度(GPa)
=k・αであることから、kα1(加工変質層における
グラフ勾配)<kα2(通常のNi−Pメッキ層におけ
るグラフ勾配)であって、前記加工変質層の硬度は、N
i−P本来の硬度の約1/3程度とかなり硬度の低いも
のであることが判る。
【0012】従って、上記磁気ディスクの表面から約
0.3μmの深さに相当する層の構成は、最上層が潤滑
膜、その下に保護膜、そして磁性層、さらに、その下に
Cr層、そして、その下層のNi−Pメッキ層からな
る。そして、前記潤滑膜からCr層の各層の総和は、ほ
ぼ0.15μmであることから、実際の加工による変質
層は、試料の表面から0.15μmに有るNi−Pメッ
キ層中の、その表面から、さらに0.15μm程度の厚
さを有するNi−Pメッキ層表面部分であると推測され
る。従って、前記加工変質層15aは、試料の表面から
0.15〜3.0μm程度の層であって、実際の変質層
の厚さは0.15μmであると推察される。
【0013】以上の結果より、前記従来の方法によって
製造された磁気ディスクは、実際には、図7(a)、図
7(b)に示すような構成であると推定される。図7
(a)と図7(b)は、従来の磁気ディスクの詳細構造
を示すもので、中央部に透孔13が形成されたAl、A
l合金あるいはガラスなどからなる円盤状の基板14
と、この基板14の全面に被膜されたNi−Pメッキ層
15とからなる磁気ディスク基板Bが主体となり、磁気
ディスク基板Bの前記Ni−Pメッキ層15上に、図7
(b)に示す積層膜が形成されている。
【0014】そして、前記Ni−Pメッキ層15の表面
から約0.15μm程度までの深さの層は、低硬度の加
工変質層15aである。そして、従来では、この軟質な
加工変質層15a上にテクスチャリング9が形成され、
さらに図7(b)に示す積層膜が設けられている。図7
(b)において積層膜は、厚さ1500Å程度のCr層
16と、Cr層16上に形成された厚さ700Å程度の
Co−Niの合金系、Co−Crの合金系等からなる磁
性層17と、磁性層17上に積層された厚さ300Å程
度のCからなる保護膜18と、保護膜18上に被膜され
た潤滑膜19とから構成されている。
【0015】また、前記Ni−Pメッキ層15の表面に
形成された加工変質層15a上に設けられたテクスチャ
リング9は、平均粗さRaを約0.005μm〜0.0
5μmとした凹凸溝状のリングを前記Ni−Pメッキ層
15表面の加工変質層15a上に同心円状に多数形成し
たものである。よって、テクスチャリング9の上に積層
された磁性層17と保護膜18の表面には、テクスチャ
リング9の凹凸溝に合致する形状の凹凸溝9b、9cが
形成されている。
【0016】以上説明したように、前記従来の磁気ディ
スクの製造方法においては、テクスチャリング9を形成
する際に行なうNi−Pメッキ層15の鏡面加工(ポリ
ッシュ加工)処理によって前記試料の表面から0.15
〜0.3μm程度に有るNi−Pメッキ層が軟化し、加
工変質層15aを形成してしまう問題を有していた。
【0017】従って、前記加工変質層15aが、磁気デ
ィスク構造中に中間層として介在すると、記録再生時に
おける、磁気ヘッドの浮上走行状態に悪影響を与える問
題を生じる恐れがある。そしてまた、前記加工変質層1
5aの存在は、前記テクスチャリングを形成する際に、
その表面粗さを微細にできず、このために保護層18の
表面粗さを微細にできない問題が生じる。そして、この
種の磁気ディスクは、磁気ヘッドによる磁気記録と再生
がなされ、記録再生時に磁気ヘッドは、磁気ディスクに
対して微小間隙をあけて浮上しており、その微小間隙の
大きさは、磁気記録の性能に大きな影響を与える。
【0018】そこで、磁気ヘッドの停止状態と浮上走行
状態について説明しながら、前記加工変質層15aが磁
気ヘッドの浮上走行状態に与える影響について、以下に
説明する。磁気ディスクの起動時において、磁気ヘッド
はそれ自体を支持するばね部材のばね圧により磁気ディ
スク表面に押し付けられた状態になっている。この状態
から磁気ディスクが回転を開始すると、磁気ヘッドは回
転する磁気ディスクに接触したまま摺動する。そして、
磁気ディスクの回転速度の向上に伴い、磁気ディスクの
表面に生じた気流による揚力が上昇し、この揚力が磁気
ヘッドに対する前記ばね圧に打ち勝つと、磁気ヘッドは
緩やかに磁気ディスク表面から上昇し、磁気ヘッドの形
状とばね圧と磁気ディスクの周速とにより決定される浮
上高さを保ちつつ、磁気ディスクに対して浮上走行する
ものである。
【0019】そして、前述したような磁気ディスクの回
転による前記磁気ディスク表面の気流の発生と磁気ヘッ
ドの浮上は、図8に示すような磁気ディスクの構成中に
設けられたテクスチャリング9より形成された表面の凹
凸溝9dによって起こりうるものである。つまり、前記
磁気ヘッド10の停止状態から浮上走行状態へ以降する
過程において、図9に示すように、前記磁気ディスクの
表面19aと磁気ヘッド10が、点接触していることが
好ましく、さらに、凹凸溝9dの間隔を均一に、そし
て、できるだけ微小間隔に設けることにより、気流によ
る揚力の上昇効率及び磁気ヘッドの浮上効率とを向上さ
せるものである。即ち、磁気ヘッド10は磁気ディスク
の回転開始時点から磁気ヘッド10の浮上開始時点まで
は、ばね圧で押さえ付けられながら磁気ディスク表面を
擦りつけることになる。
【0020】しかし、前記加工変質層15aのような硬
度の低い中間層上に形成されたテクスチャリング9によ
り保護層19に形成された凹凸溝9cは、テクスチャリ
ング9の基板となる層が軟質の前記加工変質層15aで
あるため、前述したような磁気ヘッド10との接触圧に
よって、図10に示すように潰れ易く、潰れた凹凸溝に
おいては、磁気ヘッド10と磁気ディスクとの接触面積
が大きくなって、磁気ヘッド10の摺動抵抗が増加し、
吸着現象が多発し、場合によっては摩擦力が異常に上昇
して磁気ディスクの表面破壊(クラッシュ)を起こし、
磁気ディスクの記録内容を読み出すことができなくなる
おそれを有する。
【0021】そしてまた、磁気ディスクの長期間の使用
により、前記磁気ディスクと磁気ヘッドの接触・押圧摺
動を繰り返すことによって、磁気ディスクの表面の凹凸
溝の潰れ程度が大きくなると、前記磁気ヘッドと磁気デ
ィスクの摩擦力が異常に上昇して磁気ディスクの回転ト
ルク以上の値になると、もはや磁気ディスクは回転しな
くなり、磁気記録装置の故障につながることがある。
【0022】従って、前述したような硬度の低い前記加
工変質層15aを、中間層として有する前記従来の磁気
ディスクは、磁気ディスク回転開始時点から磁気ヘッド
の浮上開始時点において、前記加工変質層15aがクッ
ション効果を奏するために、前記磁気ヘッド10の浮上
安定性を確保することが難しく、ヘッドクラッシュ等を
生じ易い状態にある。
【0023】さらに、前記テクスチャリング9を設けた
Ni−Pメッキ層15の平均粗さRaは、0.002μ
m〜0.1μm程度が好ましく、Ni−Pメッキ層15の
表面の平均粗さRaが0.1μmより大きいと、磁気ヘ
ッド10の浮上安定性が維持されにくく、CSS特性が
低下し、また前記Raが0.002μmより小さすぎて
も、前記テクスチャリング上に被膜された磁性膜の配向
効果を低減するといった微妙な効果を奏する。よって、
前述したように、軟質の加工変質層15aが存在する
と、前記テクスチャリング6を形成する際に、その表面
粗さを微細にできないために、保護層18及び潤滑膜1
9の表面粗さを一定にできず、磁気ヘッド10の浮上安
定性が維持されにくく、CSS特性の低下や磁性膜16
の配向効果の低減などの問題を生じる。
【0024】従って、本発明は、前記事情に鑑みてなさ
れたもので、磁気ヘッドの浮上安定性を維持し、CSS
特性の向上を図ることができる磁気ディスクの製造方法
を提供することを目的とする。
【0025】
【課題を解決するための手段】本発明の磁気ディスクの
製造方法は、上記課題を解決するために、Al、Al合
金等からなる板状体上面にNi−Pメッキ層を形成し、
その表面を鏡面加工した後、テクスチャーを施すことに
よって磁気ディスク基板を形成し、前記磁気ディスク基
板上に磁性膜を被膜する磁気ディスクの製造方法におい
て、前記Ni−Pメッキ層の鏡面加工の後にケミカルエ
ッチング処理を行なうこと特徴とするものである。
【0026】
【作用】本発明による磁気ディスクの製造方法は、A
l、Al合金等からなる板状体の表面に形成されたNi
−Pメッキ層の表面を鏡面加工(ポリッシュ加工)した
後に、ケミカルエッチング処理を行なうことによって、
前記Ni−Pメッキ層の表面に生じた低硬度の加工変質
層を除去し、その表面硬度を、本来Ni−Pが有する硬
度に改善する。このように前記Ni−Pメッキ層の硬度
を本来のNi−Pメッキ層の有する硬度に改善すること
によって、前記Ni−Pメッキ層上に形成されるテクス
チャリングを、一定形状に、かつ微細に形成することが
可能である。そして、前述したように前記テクスチャリ
ングを形成する基板となったNi−Pメッキ層の表面硬
度の改善によって、磁気ヘッドの浮上安定性及びCSS
特性の向上を図ることができる。
【0027】
【実施例】以下に、本発明の磁気ディスクの製造方法に
おける実施例について図1をもとにして説明する。ま
ず、Al、Al合金ガラスなどからなる円盤状の基板1
4を用意し、この基板14に面取加工や表面加工を施し
た後に、表面にNi−Pメッキ層15を図1(a)に示
すように形成する。
【0028】次に、前記Ni−Pメッキ層15の表面を
図1(b)に示す段階でポリッシュ加工する。そしてそ
の後、ケミカルエッチングを行ない前記ポリッシュ加工
によって生成したNi−Pメッキ層15表面の加工変質
層15aを除去する。
【0029】ポリッシュ加工を施した後のNi−Pメッ
キ層15aを、純水で2〜4倍に薄めた硝酸からなる処
理液に約5〜10分間程度浸積させる。そして、この
時、浸積させる処理液の温度は、20〜50℃程度とす
る。この時の処理液の温度の調整によっても、前記Ni
−Pメッキ層15aの表面の平滑度、表面粗さの具合が
調整される。なお、このケミカルエッチングによる前記
加工変質層15aの除去には、硝酸に限らず、弗酸又
は、硝酸+燐酸、硝酸+塩酸等の硝酸をベースとした処
理液を使用することができる。
【0030】また、前記ケミカルエッチングの効率をよ
くするために、酸化剤、溶解促進剤などを併用すること
がある。前記酸化剤は、前述したように素地金属を、硝
酸などの強酸に浸積させた場合に、その表面に発生する
水素の影響を低減するために使用するものであり、例え
ば、硫酸、クロム酸などが使用される。前記溶解促進剤
は、素地表面に生成する不溶性金属塩を溶解するのが、
この種の添加剤の役割であり、リン酸や、酢酸、弗酸な
どが使用される。
【0031】しかし、一方では、前記ケミカルエツチン
グによるオーバーエッチングを防ぎ、Ni−Pメッキ層
表面の荒れを防止するために、抑制剤を使用する。この
抑制剤としては、例えばアルコールや界面活性剤などを
使用する。
【0032】そして、上記のようなケミカルエッチング
処理を行なった後に、図1(c)に示すようにテクスチ
ャリング9を形成する。続いて、図1(d)に示すよう
にCrなどからなる下地膜16を被覆する。そして、前
記下地膜16の上にCo−Ni系合金及びCo−Cr系
合金膜などからなる磁性膜17をスパッタなどの手段で
図1(e)に示すように被覆し、更に、図1(f)に示
すようにカーボンなどからなる保護膜18をスパッタな
どの手段で被覆し、さらに図1(g)に示すように弗素
系の潤滑剤などからなる潤滑膜19をディップコート法
及びスピンコート法などにより形成して、磁気ディスク
20bを完成する。
【0033】従って、前記製造方法において製造された
磁気ディスクは、Ni−Pメッキ層15のポリッシュ加
工後に、ケミカルエッチングを施すことによって、前記
ポリッシュ加工によって生じたNi−Pメッキ層15表
面の加工変質層15aを除去することができる。
【0034】よって、完成した磁気ディスク20bは、
図2(a)及び図2(b)に示すような構成からなって
いる。図2(a)と図2(b)は、上記実施例において
製造された磁気ディスクの詳細構造を示すもので、中央
部に透孔が形成されたAl、Al合金あるいはガラスな
どからなる円盤状の基板14と、この基板14の全面に
被膜されたNi−Pメッキ層15とからなる磁気ディス
ク基板Bが主体となり、磁気ディスク基板Bの前記Ni
−Pメッキ層15上に、図2(b)のような積層膜が形
成されている。
【0035】図2(b)に示す積層膜は、厚さ千数百Å
程度のCr膜16と、Cr膜16上に形成された厚さ数
百Å程度のCo−Cr合金、Co−Cr−Ni合金、C
o−Cr−Pt合金等Co系合金からなる磁性層17と
磁性層17上に積層された厚さ数百Å程度のCからなる
保護膜18と、保護膜18上に被膜された潤滑膜19と
から構成されている。そして、前記Ni−Pメッキ層1
5上には、テクスチャリング9が形成されている。
【0036】よって、上述したような構成からなる磁気
ディスクは、従来の磁気ディスクのようにNi−Pメッ
キ層15表面に形成されていた加工変質層15aを除去
することによって、本来のNi−Pの硬度に改善するこ
とができる。そして、この改善された、充分な硬度を有
するNi−Pメッキ層15を基板として、その表面にテ
クスチャリング9を形成することにより、このテクスチ
ャリング9を、微細に揃った形状のものを形成すること
が可能である。
【0037】さらに、前記テクスチャリング9の基板で
あるNi−Pメッキ層15は、磁気ヘッドの接触圧に充
分に耐えうるだけの硬度を有するものであるので、前記
テクスチャリングの磁気ヘッドの接触圧による変形を防
ぎ、磁気ヘッドと磁気ディスクの点接触を維持するの
で、磁気ヘッドの浮上安定性及びCSS特性の向上を図
ることが可能である。
【0038】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の磁気ディ
スクの製造方法によれば、Al、Al合金等からなる円
板の表面に形成されたNi−Pメッキ層の表面を鏡面加
工(ポリッシュ加工)した後に、ケミカルエッチング処
理を行なうことによって、前記ポリッシュ加工により、
前記Ni−Pメッキ層の表面に生じた低硬度の加工変質
層を除去して、その表面硬度を本来Ni−Pが有する硬
度に改善することができる。
【0039】よって、前記Ni−Pメッキ層上に形成さ
れるテクスチャリングは、その基板となるNi−Pメッ
キ層が、充分な硬度を有するために、一定形状で微細に
形成することが可能である。さらに又、前記テクスチャ
リングの基板となるNi−Pメッキ層は、磁気ヘッドの
接触圧に耐えうるだけの充分の硬度を有するので、この
Ni−Pメッキ層表面に形成されたテクスチャリングの
変形を防止し、磁気ヘッドと磁気ディスクの点接触を維
持するために、磁気ヘッドの浮上安定性及びCSS特性
の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明における磁気ディスクの製造方
法を説明するための図である。
【図2】図2(a)は、本発明における磁気ディスクの
製造方法によって製造された磁気ディスク基板の断面図
である。図2(b)は、本発明における磁気ディスクの
製造方法によって製造された磁気ディスク基板上の積層
膜を示す断面図である。
【図3】図3は、従来の磁気ディスクの製造方法によっ
て製造された磁気ディスクの表面硬度を測定するために
用いたNEC薄膜硬度計(MHA−400)の測定方法
及び原理を説明するための図である。
【図4】図4は、従来の磁気ディスクの製造方法によっ
て製造された磁気ディスクについて、図3に示したNE
C薄膜硬度計を用いて、その表面硬度を測定した結果を
示す図である。
【図5】図5は、図4の試験データを基にして、従来の
磁気ディスクの製造方法によって製造された磁気ディス
クの加工変質層の深さDを各試料において測定した結果
を示す図である。
【図6】図6は、従来の磁気ディスクの製造方法を説明
するための図である。
【図7】図7(a)は、従来の磁気ディスクの製造方法
によって製造された磁気ディスク基板の断面図である。
図7(b)は、従来の磁気ディスクの製造方法によって
製造された磁気ディスク基板上の積層膜の断面図を示す
図である。
【図8】図8は、磁気ディスクと磁気ヘッドの配置状態
を示す側面図である。
【図9】図9は、磁気ディスク上に形成された凹凸溝が
磁気ヘッドと接触する際の理想的な接触状態を示す図で
ある。
【図10】図10は、従来の磁気ディスクの製造方法に
よって製造された磁気ディスクが磁気ヘッドと接触する
際の接触状態を示す図である。
【符号の説明】 A 押し込み駆動系 B 変位検出系 C 荷重検出系 1 圧子 2 光強度変位計 3 試料 4 試料皿 5 鏡 6 電子天秤 7 圧電アクチュエータ 8 変位計フローブ 9 テクスチャリング 10 磁気ヘッド 13 透孔 14 基板 15 Ni−Pメッキ層 16 下地膜 17 磁性層 18 保護膜 19 潤滑膜 20a 磁気ディスク 20b 磁気ディスク

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Al、Al合金等からなる板状体上面に
    Ni−Pメッキ層を形成し、その表面を鏡面加工した
    後、テクスチャーを施すことによって磁気ディスク基板
    を形成し、前記磁気ディスク基板上に磁性膜を被膜する
    磁気ディスクの製造方法において、前記Ni−Pメッキ
    層の鏡面加工の後にケミカルエッチング処理を行なうこ
    と特徴とする磁気ディスクの製造方法。
JP9566292A 1992-04-15 1992-04-15 磁気ディスクの製造方法 Withdrawn JPH05298686A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004241089A (ja) * 2003-02-07 2004-08-26 Hoya Corp 磁気ディスク用ガラス基板の製造方法及び磁気ディスクの製造方法
JPWO2008007547A1 (ja) * 2006-07-13 2009-12-10 コニカミノルタオプト株式会社 ガラス基板の製造方法、磁気ディスクの製造方法および磁気ディスク

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