JPH11203670A - 磁気記録媒体の製造方法 - Google Patents

磁気記録媒体の製造方法

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JPH11203670A
JPH11203670A JP36876997A JP36876997A JPH11203670A JP H11203670 A JPH11203670 A JP H11203670A JP 36876997 A JP36876997 A JP 36876997A JP 36876997 A JP36876997 A JP 36876997A JP H11203670 A JPH11203670 A JP H11203670A
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magnetic
lubricant
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magnetic recording
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JP36876997A
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Yasuyo Nishida
康代 西田
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Original Assignee
Sony Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 保護層や磁性層に悪影響を及ぼさず、しかも
摩擦係数が低く、摺動耐久性が高い潤滑層を有する磁気
記録媒体を製造する。 【解決手段】 非磁性支持体1上に磁性層2と、その上
に潤滑層4とが設けられている磁気記録媒体10の製造
方法において、磁性層2上に潤滑剤組成物を塗布して熱
処理を行い、その潤滑剤組成物塗布面を布でバフ処理し
た後に、更にそのバフ処理面に潤滑剤組成物を塗布して
熱処理を行うことにより潤滑層4を形成する。磁性層2
と潤滑層4との間に保護層3を設けてもよい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、磁気記録媒体(例
えば、ハイバンド8ミリビデオテープやデジタルテープ
レコーダー等の短波長磁気記録信号(高密度記録)の記
録再生に好適な磁気テープ、磁気ディスク等)の製造方
法に関するものであり、特にフッ素系潤滑剤からなる潤
滑層が磁性層表面に塗布法により形成されている磁気記
録媒体の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、磁気記録媒体としては、酸化物磁
性粉末あるいは合金磁性粉末等の粉末磁性材料を有機バ
インダー中に分散させた磁性塗料を、非磁性支持体上に
塗布し、乾燥することにより磁性層が形成された、いわ
ゆる塗布型の磁気記録媒体と、金属磁性材料をメッキや
真空薄膜形成手段(真空蒸着法やスパッタリング法、イ
オンプレーティング法等)によって非磁性支持体上に直
接被着させることにより磁性層が形成された、いわゆる
金属磁性薄膜型の磁気記録媒体とが知られている。
【0003】これらのうちで、金属磁性薄膜型の磁気記
録媒体は、抗磁力、角形比等に優れ、短波長での電磁変
換特性に優れるばかりでなく、磁性層の厚みを極めて薄
くできるため、記録減磁や再生時の厚み損失が著しく小
さく、しかも磁性層中に非磁性材であるバインダーを混
入する必要がないため磁性材料の充填密度を高めること
ができるなどの利点を有している。このため、近年の高
密度磁気記録への要求の高まりとともに、金属磁性薄膜
型の磁気記録媒体の需要が高まっている。
【0004】ところで、このような金属磁性薄膜型の磁
気記録媒体では、一般に走行耐久性と耐錆性とを同時に
確保するのが困難とされている。これは、磁性層に酸化
され易い金属磁性材料を高純度で用いているために耐錆
性が十分でなく、また、真空薄膜形成手段で形成される
金属磁性薄膜の表面は極めて平滑性が高いため、ガイド
等の摺動部材や磁気ヘッドに対する接触面積が大きくな
り、これらに対する摩擦係数が相対的に高くなり、結果
的に走行耐久性が損なわれ易くなる。
【0005】このため、耐久性、耐錆性を付与する目的
で、金属磁性薄膜表面に、スパッタ法や炭化水素ガスを
用いるCVD法等の真空薄膜形成手段によって成膜され
るDLC(ダイヤモンド状カーボン)等からなる保護層
を必要に応じて設け、更にその上に潤滑剤を塗布するこ
とにより形成された潤滑層を設けるなどの対策が講じら
れている。ここで、潤滑層は、工業的には、高級脂肪
酸、高級脂肪酸エステル、シリコーンオイル、フッ素オ
イル等の潤滑剤をロール式コーターやグラビアコーター
により塗布することにより形成されている。
【0006】ここで、ロール式コーターは、通常、回転
軸が平行で且つロール面が極めて近接している2つの一
対のロールから構成され、少なくとも一方のロールの一
部は、揮発性有機溶媒で希釈された潤滑剤溶液が入れら
れた溶液槽の溶液中に浸漬している。このように配置さ
れた2つのロールの間を、帯状の磁気記録用薄膜媒体が
走行し、それによってロールが回転しつつ溶液槽から潤
滑剤溶液が引き上げられ、それが磁気記録用薄膜媒体に
塗布される。
【0007】また、グラビアコーターの場合、表面に刻
印の入ったグラビアロールで潤滑剤溶液を汲み上げ、グ
ラビアロールと接触しながら回転する塗布ロールに、刻
印に入った塗料を塗布ロールに転写する。そして、塗布
ロール上に転写された塗料は、回転する塗布ロールに接
触しながら走行する磁気記録用薄膜媒体上に転写され
る。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、ロール
式コーターやグラビアコーターを用いて塗布形成された
潤滑層を有する金属薄膜型の磁気記録媒体の場合、潤滑
剤と媒体表面との結合力が十分でないために、繰り返し
摺動により磁性層上に付着した潤滑剤が徐々に失われ、
磁気記録媒体の特性が劣化するという問題があった。ま
た、潤滑剤塗布直後は問題が無い場合であっても、長期
保存した場合には膜厚が不均一になりやすいという場合
があった。また、グラビアコーターの場合、潤滑剤の種
類によっては、グラビアロールの刻印との適合性が十分
でなく、潤滑剤の塗布が不安定となる場合がある。
【0009】また、潤滑剤を単に塗布しただけでは、磁
性層あるいは保護層の表面状態に、磁気記録媒体表面に
おける潤滑剤の付着量や表面被覆状態が影響を受けるの
で、潤滑層の形成の安定化、ひいては潤滑特性の安定化
が困難であった。
【0010】このため、磁気記録媒体表面において潤滑
剤を長期に亘って保持し、磁気記録媒体に優れた走行性
と耐久性とを実現するために、潤滑剤分子に水酸基やカ
ルボキシル基、あるいはエステル基等の極性官能基を持
たせることにより磁気記録媒体表面との相互作用を高
め、固着力を向上させることが検討されている。しか
し、潤滑剤分子に官能基を導入しても、磁気記録媒体表
面に対する強い相互作用が発現するとは限らず、従っ
て、潤滑剤の構造や官能基のみでは、潤滑層の磁気記録
媒体表面に対する固着力を判断することができない。こ
のように、長期に亘り良好な潤滑特性を示す潤滑層を磁
気記録媒体上に形成するための方策が明確となっていな
かった。
【0011】本発明は、以上の従来の技術の課題を解決
しようとするものであり、保護層や磁性層に悪影響を及
ぼさず、しかも摩擦係数が低く、摺動耐久性が高い潤滑
層を有する磁気記録媒体を製造方法を提供することを目
的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、磁性層上
に潤滑剤を単に塗布するのではなく、磁性層上に潤滑剤
を塗布した後に熱処理を行い、その潤滑剤組成物塗布面
を布でバフ処理した後、更にそのバフ処理面に潤滑剤を
塗布して熱処理を行うことにより潤滑層を形成すること
で上記の目的を達成できることを見出し、本発明を完成
させるに至った。
【0013】即ち、本発明は、非磁性支持体上に磁性層
と、その上に潤滑層とが設けられている磁気記録媒体の
製造方法において、磁性層上に潤滑剤組成物を塗布して
熱処理を行い、その潤滑剤組成物塗布面を布でバフ処理
した後に、更にそのバフ処理面に潤滑剤組成物を塗布し
て熱処理を行うことにより潤滑層を形成することを特徴
とする磁気記録媒体の製造方法を提供する。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
【0015】本発明は、非磁性支持体上に金属磁性薄膜
からなる磁性層と、その上に潤滑層とが設けられている
磁気記録媒体の製造方法である。ここで、潤滑層は、磁
性層上に潤滑剤組成物を塗布して熱処理を行い、その潤
滑剤組成物塗布面を布でバフ処理した後に、更にそのバ
フ処理面に潤滑剤組成物を塗布して熱処理を行うことに
より形成されている。これにより、高い表面被覆率の潤
滑層を高い再現性で形成することが可能となる。また、
このように形成された潤滑層は、磁気記録媒体に長期に
亘る改善された耐久性を付与することができる。これ
は、このように形成された潤滑層が磁性層もしくは磁性
層上に設けられる保護層に吸着しやすく、強固な膜強度
を実現するためであると考えられる。
【0016】本発明において潤滑層を形成するに際して
は、まず、磁性層上に潤滑剤組成物を塗布する。この場
合、工業的見地からロール式コーターやグラビアコータ
ーを使用することが好ましい。これらのコーターとして
は、公知の装置を使用することができる。通常、潤滑剤
組成物は、潤滑剤を揮発性有機溶媒で希釈した状態で塗
布される。
【0017】また、塗布する潤滑剤組成物は、好ましく
は分子内に長鎖の炭化水素基を持つパーフルオロポリエ
ーテル系潤滑剤と、炭化フッ素系潤滑剤との混合潤滑剤
を含有する。ここで、パーフルオロポリエーテル系潤滑
剤は摩擦係数の低減に効果があり、一方、炭化フッ素系
潤滑剤はスチルの低減に効果があり、しかも両者を併用
することにより、各々単独で使用するよりもそれらの利
点を十分に発揮でき、両者単独の特性からは予期できな
い程度にまでスチル耐久性や繰り返し耐久性などを大き
く向上させることができる。
【0018】これらのパーフルオロポリエーテル系潤滑
剤に対する炭化フッ素系潤滑剤の割合は、好ましくは1
0:3〜1:8である。
【0019】本発明において使用するパーフルオロポリ
エーテル系潤滑剤としては、単官能又は多官能であって
もよく、例えば、以下の式(1)又は(2)で表される
化合物を好ましく挙げることができる。また、炭化フッ
素系潤滑剤としては以下の式(3)で表される化合物を
挙げることができる。
【0020】
【化2】 Rf1-X-R2-Y-R1 (1) R1-Y-R2-X-Rf2-X-R2-Y-R1 (2) R1-Y-R2-R (3)
【0021】式(1)〜(3)中、Rf1は一価のパーフ
ルオロポリエーテル基であり、Rf2は二価のパーフルオ
ロポリエーテル基であり、Rは一価の炭化フッ素基であ
り、R1は一価の炭化水素基(溶剤に対する溶解性を考
慮すると、炭素数10以上の炭化水素基が好ましい)で
あり、R2は二価の炭化水素基(例えば、メチレン、エ
チレンが好ましい)である。そして、X及びYは連結基
(例えば、エーテル、アミドあるいはエステル結合等の
フレキシブルな結合が好ましい)である。
【0022】以上のようなパーフルオロポリエーテル基
としては、パーフルオロプロピルオキシ基を有するF
(CF2CF2CF2O)nやパーフルオロプロピルオキシ基
とパーフルオロオキシメチレン基との共重合体であるC
3(OCF(CF3)CF3CF2)m(OCF2)lやパーフル
オロイソプロピルオキシ基を有するF(CFCF3CF2
O)k等の単官能パーフルオロポリエーテル基、あるいは
パーフルオロオキシエチレン基とパーフルオロオキシメ
チレン基との共重合体である(OC24p(OCF2)q
等の多官能パーフルオロポリエーテル基を挙げることが
できる。ここで、これらのパーフルオロポリエーテル中
のl、m、n、k、p及びqは1以上の整数を示す。ま
た、その分子量としては特に限定はしないが600〜5
000程度が好ましい。また、多官能の場合のp及びq
の比については0.5〜2の間が好ましい。
【0023】潤滑剤組成物に用いる揮発性有機溶媒とし
ては、トルエン等の芳香族炭化水素系溶媒を好ましく使
用することができる。
【0024】潤滑剤組成物には、以上のパーフルオロポ
リエーテル系潤滑剤と炭化フッ素系潤滑剤の他に、従来
公知の潤滑剤、例えば一般的に磁気記録媒体に使用され
ている長鎖カルボン酸、そのエステル類あるいは長鎖ア
ルコール類を併用してもよい。
【0025】更に、磁気記録媒体のより厳しい走行条件
下においても良好な潤滑効果を持続させるために、潤滑
剤組成物には潤滑剤に対し30:70〜70:30程度
の重量比で極圧剤を含有させてもよい。ここで、極圧剤
とは、境界潤滑領域において部分的に金属接触を生じた
際に、それに伴う摩擦熱によって金属面と反応し、反応
生成物皮膜を形成することにより摩擦又は摩耗防止作用
を行うものであって、リン系極圧剤、硫黄系極圧剤、ハ
ロゲン系極圧剤、有機金属系極圧剤、複合系極圧剤等の
いずれも使用できる。
【0026】また、潤滑剤組成物には、極圧剤の他、必
要に応じて、防錆剤を含有させてもよい。防錆剤として
は、一般的な磁気記録媒体の防錆剤として使用されるも
のであればいずれも使用でき、例えばフェノール類、ナ
フトール類、キノン類、窒素原子を含む複素環化合物、
酸素原子を含む複素環化合物、硫黄原子を含む複素環化
合物等を適宜使用することができる。
【0027】次に、以上のような潤滑剤組成物を磁性層
上に塗布した後、その潤滑剤組成物塗布面を好ましくは
50℃〜250℃に加熱する熱処理を行う。この熱処理
によって磁性層と潤滑層との間に強い相互作用が発現す
る。熱処理温度が50℃未満では長時間の処理が必要と
なり、250℃を超える温度では非磁性支持体(通常、
プラスティックフィルム)の熱による劣化などを生じ易
くなるため好ましくない。ここで、熱処理時の温度は、
磁気記録媒体全体の温度ではなく、潤滑剤組成物塗布面
の瞬間到達温度である。
【0028】次に、熱処理が施された潤滑剤組成物塗布
面を布でバフ処理する。これにより、磁性層の表面に強
固に吸着していない比較的流動性の高い潤滑剤をその塗
布厚の小さい領域に移動させ、層厚が均一で高い被覆率
で潤滑剤を磁性層上に成膜することができる。
【0029】バフ処理に使用する布としては、実質的に
研磨性を有さない布を使用することが好ましい。このよ
うな布としては、ワイピングクロスを好ましく使用する
ことができる。また、バフ処理時の布の押圧力等のバフ
処理条件は、適宜選択することができる。
【0030】次に、上述したようにバフ処理表面に、再
度、ロール式コーターやグラビアコーターなどを使用し
て潤滑剤組成物を塗布し、熱処理する。これにより、長
期に亘って再擬集化を起こすことのない潤滑層を有する
磁気記録媒体が安定的に得られる。
【0031】潤滑層の厚みは、好ましくは0.2〜20
nm、より好ましくは0.5〜10nm、更に好ましく
は1〜5nmである。
【0032】なお、本発明において、潤滑層の形成に先
だって、磁気記録媒体により良好な耐久性や耐錆性を付
与するために、磁性層上に保護層を形成することが好ま
しい。このような保護層としては、スパッタ法や炭化水
素ガスを用いるCVD法で形成されるダイヤモンド状カ
ーボン薄膜(DLC)からなるな保護膜を挙げることが
できる。
【0033】本発明の磁気記録媒体の製造方法におい
て、非磁性支持体上に磁性層を形成する手法としては、
メッキやスパッタリング、真空蒸着法等のPVD法によ
り連続膜としての金属磁性薄膜を非磁性支持体上に形成
してもよく、磁性粉と樹脂バインダーとを含有する磁性
塗料を非磁性支持体上に塗布乾燥することにより形成し
てもよい。
【0034】ここで、非磁性支持体としては従来の磁気
記録媒体において用いられている非磁性支持体を使用す
ることができ、例えば、ポリエチレンテレフタレート等
のプラスチックシート、ガラス基板、絶縁性酸化皮膜が
形成されたアルミニウム板などを使用することができ
る。必要に応じてN−P皮膜等の表面硬化膜を形成して
もよい。また、金属磁性薄膜としては、Fe、Co、N
i等の金属やCo−Ni系合金、Co−Pt系合金、C
o−Pt−Ni系合金、Fe−Co系合金、Fe−Co
−Ni系合金、Fe−Ni−B系合金、Fe−Co−B
系合金、Fe−Co−Ni−B系合金等からなる面内磁
化記録金属磁性膜やCo−Cr系合金薄膜を挙げること
ができる。特に、面内磁化記録金属磁性薄膜の場合、予
め非磁性支持体上にBi、Sb、Pb、Sn、Ga、I
n、Ge、Si、Ti等の低融点非磁性材料の下地層を
形成しておき、金属磁性材料を垂直方向から蒸着あるい
はスパッタし、金属磁性薄膜中にこれら低融点非磁性材
料を拡散せしめ、配向性を解消して面内等方性を確保す
るとともに、抗磁性を向上させるようにしてもよい。
【0035】また、塗布型磁性膜を形成する際に使用す
る磁性粉としては、塗布型の磁気記録媒体の磁性層を形
成する際に従来より用いられている磁性粉を使用するこ
とができる。例えば、強磁性酸化鉄粒子、強磁性CrO
2、強磁性コバルトフェライト(CoO−Fe23)、
コバルト吸着酸化物、強磁性Fe−Co−Ni系合金、
六方晶系バリウムフェライト、窒化鉄等の微粒子を挙げ
ることができる。
【0036】ところで、強磁性酸化鉄微粒子を一般式F
eOxで表現した場合、xの値が1.33<x<1.5
1の範囲にあるもの、即ち、マグヘマタイト(γ−Fe
34、x=4/3)及びこれらの固溶体を挙げることが
できる。更に、これらの強磁性耐酸化鉄には抗磁力を挙
げる目的でコバルトを添加してもよい。
【0037】なお、前述の強磁性CrO2としては、C
rO2以外にも抗磁力を向上させる目的でRu、Sn、
Te、Sb、Fe、Ti、V、Mn等の少なくとも一種
をCrO2に添加したものを使用することができる。
【0038】強磁性合金粉末としては、Fe合金粉末、
Ni合金粉末、Fe−Co合金粉末、Fe−Ni合金粉
末、Fe−Co−Ni合金粉末、Co−Ni合金粉末、
Fe−Co−B合金粉末、Fe−Co−Cr−B合金粉
末、Mn−Bi合金粉末、Mn−Bi合金粉、Mn−A
l合金粉末,Fe−Co−V合金粉末、あるいはこれら
と他の金属との合金粉末も使用することができる。
【0039】また、磁性粉と混合する樹脂バインダーや
溶剤としても、従来より磁性塗料に用いられているもの
を使用することができる。
【0040】なお、本発明の磁気記録媒体に必要に応じ
て、磁気記録媒体の非磁性層面上にバックコート層を設
けてもよい。また、磁性層と非磁性支持体との間の密着
強度を上げるために、磁性層と非磁性支持体との間に下
塗り層を設けることもできる。
【0041】以上のような本発明の製造方法により製造
された磁気記録媒体は、保護層や磁性層に悪影響を及ぼ
さず、しかも摩擦係数が低く、摺動耐久性が高い潤滑層
を有する。従って、良好なスチル耐久性とシャトル耐久
性とを実現することができる。
【0042】
【実施例】以下、本発明の具体的実施例について説明す
るが、本発明はこの実施例に限定されるものではないこ
とはいうまでもない。
【0043】実施例1〜8及び比較例1〜5 図1に示す磁気記録媒体10を、以下に説明するよう
に、非磁性支持体1上に、磁性層2、保護層3及び潤滑
層4を順次成膜することにより作製した。
【0044】即ち、10nm厚のPET(ポリエチレン
テレフタレート)フィルム非磁性支持体1上に、斜方蒸
着法(入射角45°〜90°,真空度7×10-2Pa,
酸素流量3.3×10-63/sec)により200n
m厚の純Coの単層を斜方蒸着させることにより金属磁
性薄膜からなる磁性層2を形成した。
【0045】次に、磁性層2上に、スパッタリングによ
り10nm厚のダイヤモンド状カーボンを成膜すること
により保護層3を形成した。
【0046】次に、表1に示したパーフルオロポリエー
テル基と長鎖炭化水素基とを有する式(1)又は(2)
の潤滑剤と、表2に示した炭化フッ素基と長鎖炭化水素
基とを有する式(3)で示される潤滑剤とを表3に示す
組み合わせで併用し、トルエンにそれぞれが0.05重
量%となるように溶解した潤滑剤溶液を調製し、それを
用いて、以下に説明するように潤滑層4を保護層3上に
形成した。これにより、磁気記録媒体を得た。
【0047】まず、図2に示すようなロール式コーター
により潤滑剤溶液を保護層3上に塗布した。ここで、使
用したロール式コーターは、回転軸を平行にかつ相互の
ロール面を極めて接近して配置されている対の2個のロ
ールA、Bから構成されており、下側のロールBは潤滑
剤溶液槽Cに一部浸漬されている。この状態の2個のロ
ールA、Bの間を、潤滑層4が形成されていない帯状の
磁気記録媒体10を走行させ、それによりロールA、B
が矢印のように回転しつつ潤滑剤溶液槽Cから潤滑剤溶
液を引き上げて保護層3の表面に被着させた。その後、
図3に示すように非磁性支持体1の裏側を冷却ローラー
Dに密着させて冷却しながら搬送し、潤滑剤組成物塗布
面を表3に示す温度になるように赤外線ヒーターEで加
熱した。次に、図4に示すように、非磁性支持体1の裏
側を搬送用ロールFに密着させ、磁気記録媒体10を搬
送しながら潤滑剤組成物塗布面に布(ワイピングクロ
ス)Gを面圧2.0kgで押し当てることによりバフ処
理した。このバフ処理面に、再度、前述したように、ロ
ール式コーター潤滑剤溶で塗布し、赤外線ヒーターで加
熱した。これにより、保護層3に強固に吸着し均一な連
続膜の潤滑層4を成膜することで磁気記録媒体10を作
製した。これらの磁気記録媒体を、それぞれ8ミリ幅に
裁断してサンプルテープを作製した。
【0048】なお、比較例1の磁気記録媒体は潤滑層を
設けない例(ブランクテープ)であり、比較例2〜5
は、赤外線ヒーターEによる加熱処理並びにバフ処理を
施すことなく潤滑層を形成した例である。
【0049】上述のようにして作製した各サンプルテー
プについて、角度ESCA法(分析装置:ULVAC−
PHI社製 ESCA5400MC X−ray:Mo
nochromated AlKα(14kV、200
W)、分析径:1.1mmφ、真空度:2×10-7
a、光電子脱出角度(θ):15°、20°、25°、
30°、45°、80°)による測定を行い、表面被覆
率の算出を行った。
【0050】また、温度25℃湿度60%のとき、温度
−5℃のとき、温度40℃湿度80%の条件下で摩擦係
数、スチル及びシャトル耐久性について測定を行った。
【0051】さらに、経時変化を加速試験することを目
的として、Aging後にも同様の試験を行った。これ
らの測定条件については以下に示す。
【0052】(Aging条件) 温度:60℃ 相対湿度:50% 放置期間:1週間
【0053】(摩擦係数) シャトルスピード: 5mm/sec 移動距離: 50mm 加重: 18g ガイドピンの材質:SUS−303 表面粗さ: 0.2S
【0054】(スチル耐久性) 条件:ポーズ状態での出力の3dB低下までの減衰時間
【0055】(シャトル耐久性) 条件:一回につき2分間のシャトル走行を行い、出力が
3dB低下するまでのシャトル回数で評価した。
【0056】得られた結果を表3及び表4に示す。
【0057】
【表1】
【0058】
【表2】
【0059】
【表3】
【0060】
【表4】
【0061】表3から明らかなように、潤滑剤組成物塗
布→熱処理→バフ→潤滑剤組成物塗布→熱処理を行うこ
とによって潤滑層4の表面被覆率を80%以上とするこ
とができ、摩擦係数、スチル耐久性、シャトル耐久性等
の耐久性を、各種条件下で向上させることができた。
【0062】また、表4から明らかなように、潤滑層を
設けない比較例1の磁気記録媒体は、スチル耐久性及び
シャトル耐久性のいずれも不満足な結果であった。ま
た、潤滑剤組成物塗布→熱処理→バフ→潤滑剤組成物塗
布→熱処理を行わずにロール式コーターによってのみ塗
布した比較例2及び3の場合、実施例費1〜8の磁気記
録媒体に比べ、潤滑層の表面被覆率は低くなることがわ
かった。これら場合には、摩擦係数、スチル耐久性、シ
ャトル耐久性等の耐久性は実用不十分である。また、表
面被覆率が80%である比較例4及び5の磁気記録媒体
の場合、その数値自体は実施例1〜8の場合に近いもの
であるが、潤滑層がロール式コーターによってのみで塗
布されたものであるので、長期使用における摩擦係数、
スチル耐久性、シャトル耐久性等の耐久性は実用不十分
であった。
【0063】
【発明の効果】本発明の製造方法により製造された磁器
記録媒体は、過酷なる使用条件下でもその潤滑層の潤滑
性を保つことができ、また長期に亘りその潤滑性を保つ
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の製造方法により得られた磁気記録媒体
の断面図である。
【図2】本発明の製造方法において、潤滑剤組成物を塗
布する際の説明図である。
【図3】本発明の製造方法において、熱処理を行う際の
説明図である。
【図4】本発明の製造方法において、バフ処理を行う際
の説明図である。
【符号の説明】
1…非磁性支持体、 2…磁性層、 3…保護層、 4
…潤滑層、 10…磁気記録媒体、 A、B…ロール、
C…塗膜材料槽、 D…冷却ローラー、 E…赤外線
ヒーター、 F…搬送用ロール、 G…布(ワイピング
クロス)

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 非磁性支持体上に磁性層と、その上に潤
    滑層とが設けられている磁気記録媒体の製造方法におい
    て、磁性層上に潤滑剤組成物を塗布して熱処理を行い、
    その潤滑剤組成物塗布面を布でバフ処理した後に、更に
    そのバフ処理面に潤滑剤組成物を塗布して熱処理を行う
    ことにより潤滑層を形成することを特徴とする磁気記録
    媒体の製造方法。
  2. 【請求項2】 潤滑剤組成物が、分子内に長鎖の炭化水
    素基を持つパーフルオロポリエーテル系潤滑剤と、炭化
    フッ素系潤滑剤との混合潤滑剤を含有する請求項1記載
    の製造方法。
  3. 【請求項3】 パーフルオロポリエーテル系潤滑剤とし
    て、式(1)又は(2)で表される化合物を使用し、炭
    化フッ素系潤滑剤として式(3) 【化1】 Rf1-X-R2-Y-R1 (1) R1-Y-R2-X-Rf2-X-R2-Y-R1 (2) R1-Y-R2-R (3) (式(1)〜(3)中、Rf1は一価のパーフルオロポリ
    エーテル基であり、Rf2は二価のパーフルオロポリエー
    テル基であり、Rは一価の炭化フッ素基であり、R1
    一価の炭化水素基であり、R2は二価の炭化水素基であ
    る。そして、X及びYは連結基である。)。で表される
    化合物を使用する請求項2記載の製造方法。
  4. 【請求項4】 バフ処理の際に使用する布として、実質
    的に研磨力のないワイピングクロスを使用する請求項1
    〜3のいずれかに記載の製造方法。
  5. 【請求項5】 熱処理が、50〜250℃の加熱処理で
    ある請求項1〜4のいずれかに記載の製造方法。
  6. 【請求項6】 潤滑層の形成に先だって、磁性層上に保
    護層を形成する請求項1〜5のいずれかに記載の製造方
    法。
  7. 【請求項7】 保護層として、ダイヤモンド状カーボン
    薄膜を使用する請求項6記載の製造方法。
  8. 【請求項8】 磁性層が、金属磁性薄膜からなる請求項
    1〜7のいずれかに記載の製造方法。
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