JPH08138233A - 潤滑剤およびこれを用いた磁気記録媒体 - Google Patents

潤滑剤およびこれを用いた磁気記録媒体

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JPH08138233A
JPH08138233A JP27346294A JP27346294A JPH08138233A JP H08138233 A JPH08138233 A JP H08138233A JP 27346294 A JP27346294 A JP 27346294A JP 27346294 A JP27346294 A JP 27346294A JP H08138233 A JPH08138233 A JP H08138233A
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lubricant
magnetic
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Hirofumi Kondo
洋文 近藤
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Original Assignee
Sony Corp
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 本発明の潤滑剤は、パーフルオロポリエーテ
ル基の末端に炭化水素基を介してアルコキシシラノ基が
結合された構造を有するパーフルオロポリエーテル系化
合物をクロロホルム等の溶媒に溶解させてなる。なお、
上記炭化水素基は炭素数2以上、上記アルコキシシラノ
基におけるアルコキシル基の少なくとも1つは炭素数1
0以上とされる。また、本発明の磁気記録媒体は、この
潤滑剤を金属磁性薄膜よりなる磁性層に保持させたもの
である。 【効果】 厳しい使用条件下においても長時間に亘って
優れた潤滑効果を発揮する。しかも、溶剤として種々の
汎用溶剤が使用できる。そして、これが磁性層に保持さ
れた磁気記録媒体は、優れた走行耐久性を発揮すると共
に、耐摩耗性、耐久性にも優れたものとなる。また、こ
の特性は低温等の厳しい条件下においても損なわれない
ため、非常に信頼性の高い磁気記録媒体が提供できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、磁気記録媒体の走行耐
久性を確保するために使用される潤滑剤に関し、また、
この潤滑剤が磁性層上に保持された磁気記録媒体に関す
る。
【0002】
【従来の技術】一般に、磁気記録媒体、特に磁気テープ
においては、磁気信号の書き込み/読み出しがなされる
過程で磁気ヘッドと高速摺動されるが、その際走行が円
滑にかつ安定な状態で行われなければならない。しかし
ながら、磁気記録媒体は高密度記録化のために磁性層表
面の平滑化が図られているため、磁気ヘッドやガイドロ
ーラー等の摺動部材に対する実質的な接触面積は増加し
ており、摺動時には、磁気記録媒体と上記摺動部材との
間の摩擦係数が上昇して凝着現象(いわゆる張り付き)
を起こしやすくなっている。特に、非磁性支持体上に強
磁性金属材料を蒸着等の手法により被着させ、これを磁
性層とした、いわゆる金属磁性薄膜型の磁気記録媒体に
おいては、磁性層表面の平滑性が極めて良好であるため
に、上述のような摩擦係数の上昇に伴う問題が発生しや
すい。
【0003】例えば、8ミリビデオデッキにおいては、
磁気テープを10個以上のガイドピンに沿ってドラムに
巻き付け、ピンチローラとキャプスタンによって、該磁
気テープのテンションを約20g、走行速度を0.5c
m/秒に保ちながら走行させる。この走行系において
は、磁気テープの磁性層は、ステンレス製のガイドピン
と接触するようになっているため、該磁気テープと該ガ
イドピンとの摩擦係数が大きくなると、磁気テープがス
ティックスリップを起こして、いわゆるテープ鳴きとい
う現象が起こる。そして、例えば、再生操作中にこのテ
ープ鳴きが起こると、再生画面のひきつれが起こってし
まう。
【0004】また、ポーズ状態では、磁気テープの同じ
領域にて磁気ヘッドと高速摺動するため、摩擦係数の上
昇が起こると、磁性層が摩耗して、再生出力が低下する
という問題が生じる。特に、金属磁性薄膜型のテープに
おいては、磁性層が非常に薄いことから、磁性層の摩耗
は深刻な問題となる。
【0005】ハードディスク装置のごとく、磁気ディス
クに対して磁気ヘッドをコンタクト・スタート・ストッ
プ(CSS)させる場合にも、摩擦係数の上昇による問
題は生じる。これは、磁気ヘッドを浮上させる際、およ
び着陸させる際に、回転する磁気ディスク上を磁気ヘッ
ドが摺動するためである。この場合、摩擦係数の上昇が
起こると、磁気ディスクにおける磁性層の摩耗等の問題
も起こるが、ヘッドクラッシュといった問題も起こる。
なお、商品レベルの信頼性を確保するにはCSS操作を
2万回行った後の摩擦係数が0.5以下であることが望
まれる。
【0006】以上のような摩擦係数の上昇による様々な
問題および走行耐久性の問題を解決するために、各種の
潤滑剤を使用することが検討されており、該潤滑剤を磁
性層上にトップコートしたり、塗布型の磁気記録媒体の
場合には磁性塗料中に内添したりする試みがなされてい
る。
【0007】なお、潤滑剤の特性としては、磁気ヘッド
との良好な潤滑効果を有することはもちろん、(1)寒
冷地での使用に際しても所定の潤滑効果が確保できるよ
うに低温特性に優れていること、(2)磁気ヘッドとの
スペーシングロスを最小限にとどめられるように、極め
て薄く塗布できること、その場合にも十分な潤滑効果が
発揮できること、(3)長時間の使用および長期に亘っ
て潤滑効果が持続すること、等が要求される。
【0008】そして、上述のような特性を、数nm程度
の単分子層レベルの膜厚にて実現するには、潤滑剤を構
成する化合物の分子構造の検討が必要となる。現在、磁
気記録媒体用の潤滑剤として使用されているものとして
は、シリコン系、炭化水素系、フッ素系化合物より構成
される潤滑剤が代表的である。
【0009】シリコン系化合物よりなる潤滑剤は、熱安
定性がよいこと、蒸気圧が低いことから、塗布型の磁気
記録媒体において使用されている。しかしながら、金属
磁性薄膜型の磁気記録媒体に適用すると、十分な潤滑効
果が得られず、ピンオンディスクの摩耗加速試験や、C
SS試験では、耐久性の仕様を満足しない。
【0010】炭化水素系化合物よりなる潤滑剤は、塗布
型の磁気記録媒体において主流であるが、シリコン系、
フッ素系化合物よりなる潤滑剤に比して、熱的、化学的
な安定性に劣る。また、摩擦による反応によってフリク
ショナルポリマーが生成してしまうため、潤滑効果が低
減し、ときには致命的な故障の原因にもなる。なお、金
属磁性薄膜型の磁気記録媒体に用いると、優れた潤滑効
果を発揮するが、蒸気圧が高いため、実用化は困難であ
る。
【0011】一方、フッ素系化合物よりなる潤滑剤は、
現在最も多く使用されており、中でも、パーフルオロポ
リエーテルを含有する潤滑剤は、潤滑効果、表面保護効
果に優れているため、広く用いられている。この理由と
しては、パーフルオロポリエーテルは、CF2 −O−C
2 なるエーテル結合がフレキシブルであるために、分
子量が同程度の化合物に比して粘度が低いこと、該粘度
が幅広い温度領域で変化しないことが挙げられる。さら
に、化学的に不活性であること、蒸気圧が低いこと、撥
水性に優れることも理由として挙げられる。
【0012】パーフルオロポリエーテルの特性は、主鎖
の繰り返し単位、末端基といった分子構造に大きく依存
する。例えば、単なるパーフルオロポリエーテルは、化
学的に不活性であるため、磁性層表面との吸着力に欠け
るが、末端に水酸基やピペロニル基等の極性基を導入す
ることにより、上記吸着力が向上し、磁気記録媒体の耐
用年数を増加させることができる。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】上述したように、パー
フルオロポリエーテル系化合物よりなる潤滑剤は、磁気
記録媒体用の潤滑剤として優れた特性を有しているが、
今後ますます進む磁気記録システムの高速化に伴う高い
摩擦熱に対応できるかは疑問である。該摩擦熱の正確な
測定方法は確立されていないものの、磁気記録媒体と磁
気ヘッドとの相対速度が数m/秒を越える場合の摩擦熱
は数百℃に達すると見られているためである。
【0014】パーフルオロポリエーテルは、空気中では
350℃以上においても安定であるが、鉄やチタンを含
む金属合金、AlCl3 ,FeF3 ,Al2 3 等のル
イス酸やルイス塩基の存在下では、上述のような高温に
よって分解反応が促進されると予想される。そして、分
解反応が起こると潤滑効果が劣化し、これによって磁気
記録システムの信頼性をも損なう結果となる。
【0015】また、パーフルオロポリエーテルに関して
は、汎用溶媒に溶解できず、パーフルオロカーボン系溶
媒や、クロロフルオロカーボン系溶媒を用いなければな
らない点も問題となっている。
【0016】そこで、本発明は、かかる実情に鑑みて提
案されたものであり、優れた潤滑効果、表面保護効果を
高い摩擦熱の下においても維持でき、且つ、汎用溶媒に
溶解できる化合物よりなる潤滑剤を提供することを目的
とする。また、該潤滑剤が用いられた、走行性、耐摩耗
性、耐久性に優れた磁気記録媒体を提供することを目的
とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】本発明に係る潤滑剤は、
上述の目的を達成するために提案されたものであり、パ
ーフルオロポリエーテル基の末端に炭化水素基を介して
アルコキシシラノ基が結合された構造を有するパーフル
オロポリエーテル系化合物を主成分とするものである。
【0018】即ち、本発明にて用いられるパーフルオロ
ポリエーテル系化合物は、下記化1〜化4の一般式
(1)〜(4)にて示される。
【0019】
【化1】
【0020】
【化2】
【0021】
【化3】
【0022】
【化4】
【0023】上記化1の一般式(1)、化2の一般式
(2)においてRf にて示される単官能のパーフルオロ
ポリエーテル基としては、下記の構造式(5),
(6),(7)にて示される構造のものが挙げられ、上
記化3の一般式(3)、化4の一般式(4)においてR
f にて示される多官能のパーフルオロポリエーテル基と
しては、下記の構造式(8)にて示される構造のものが
挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0024】 F(CF2 CF2 CF2 O)k ・・・(5) CF3 [OCF(CF3 )CF2 l (OCF2 m ・・・(6) F[CF(CF3 )CF2 O]n ・・・(7) (OCF2 CF2 p (OCF2 q ・・・(8) ここで、k,l,m,n,p,qはすべて1以上の整数
である。また、これらの置換基の分子量は600〜50
00程度とされて好適である。分子量が大きすぎると末
端基の効果が小さくなり、小さすぎると、パーフルオロ
ポリエーテル基の効果が薄れてしまう。
【0025】一方、上記化1〜化4の一般式(1)〜
(4)においてRにて示される炭化水素基や、R1 ,R
2 ,R3 にて示されるアルコキシシラノ基における炭化
水素基は、その分子量や炭素数は特に限定されず、脂環
式炭化水素、芳香族炭化水素、鎖式炭化水素のいずれよ
り構成されてもよい。但し、摩擦係数の低減効果や溶媒
への溶解性を考慮すると、Rは炭素数2以上、R1 ,R
2 ,R3 のうち少なくとも1つは炭素数10以上の長鎖
炭化水素から構成されて好適であり、磁性層との密着性
を確保するには、Rの炭素数は18以下、R1 ,R2
3 の炭素数は20以下とされて好適である。なお、上
記長鎖炭化水素基における飽和、不飽和、分枝の有無は
問わない。
【0026】また、上記化1の一般式(1)、化3の一
般式(3)においてXにて示される有機鎖は、パーフル
オロポリエーテル基Rf に結合するCH2 Oと、アルコ
キシシラノ基に結合する炭化水素基Rとを結合可能とす
る構造であれば何等限定されない。例えば、両者の末端
をそれぞれ−CH2 OH、−RN=C=Oとしてウレタ
ン結合させれば、XはCONHなる有機鎖となり、両者
の末端をそれぞれ−CH2 OH、−RCOOHとしてエ
ステル結合させれば、XはCOなる有機鎖となる。ま
た、Rf に結合するCH2 がOとは結合しなくなるが、
両者の末端をそれぞれ−CH2 COOH、−RN=C=
Oとしてアミドを形成させれば、XはCONHなる有機
鎖となる。なお、両者の末端をそれぞれ−CH2 OH、
−ROHとしてエーテル結合させた場合には、Xなる有
機鎖が存在せず、化2の一般式(2)、化4の一般式
(4)のごとき構造となる。
【0027】なお、Rf がCH2 基と結合せず、上記X
なる有機鎖を介してRと結合した構造を有するものを用
いてもよい。即ち、例えばRf の末端を水酸基とし、R
とウレタン結合、エステル結合、エーテル結合させた構
造のパーフルオロポリエーテル系化合物を用いてもよ
い。末端に水酸基を有するパーフルオロポリエーテルと
しては、商品名:Fomblin Z−DOL、商品
名:Demnum SA、商品名:Krytox等の市
販品がある。
【0028】そして、以上のようなパーフルオロポリエ
ーテル系化合物は、クロロホルムやメチルエチルケトン
に代表される汎用溶媒に溶解させて、磁気記録媒体用の
潤滑剤として使用することができる。
【0029】即ち、本発明に係る磁気記録媒体は、非磁
性支持体上に少なくとも磁性層が形成されてなるもので
あって、該磁性層表面に、上述したようなパーフルオロ
ポリエーテル系化合物を主成分とする潤滑剤が保持され
てなるものである。
【0030】なお、上記潤滑剤が保持される磁性層は、
強磁性粉末と結合剤とからなる磁性塗料が塗布されてな
る磁性層であってもよいが、金属磁性薄膜よりなる磁性
層であって好適である。
【0031】上記潤滑剤を磁性層表面に保持させるに
は、磁性層を形成後、該磁性層表面に塗布する方法が挙
げられる。塗布量としては、上述したパーフルオロポリ
エーテル系化合物が磁性層1m2 当り0.5mg〜10
0mg、より好ましくは1〜20mgとなるようにする
とよい。この量が少なすぎると、摩擦係数の低減効果、
耐磨耗性や耐久性を向上させる効果が顕れない。一方、
多すぎると、摺動部材と磁性層との間で張り付きが起こ
り、かえって走行性が悪くなり、磁気ヘッドに磁性層か
らの摩耗粉が付着するヘッドクロッグが発生する等、正
常な記録再生が不能となることがある。なお、この潤滑
剤の塗布厚としては、5nm〜50nmとして好適であ
り、少なすぎると、耐久性に劣り、多すぎると、電磁変
換特性が劣化してしまう。
【0032】上記潤滑剤を磁性層に保持させる際には、
上述したパーフルオロポリエーテル系化合物の1種を単
独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。ま
た、従来公知の潤滑剤と組み合わせて用いることも可能
であり、極圧剤や防錆剤と併用することも可能である。
【0033】上記極圧剤を併用する場合には、より厳し
い条件下で潤滑効果を持続させるために重量比30:7
0〜70:30程度の配合比で用いる。極圧剤は、境界
潤滑領域において部分的に金属接触を生じたときにこれ
に伴う摩擦熱によって金属面と反応し、反応生成物皮膜
を形成することにより摩擦、摩耗防止作用を行うもので
あって、リン系極圧剤、硫黄系極圧剤、ハロゲン系極圧
剤、有機金属系極圧剤、複合系極圧剤等のいずれも使用
できる。
【0034】また、防錆剤としては、通常、磁気記録媒
体用の防錆剤として使用されるものであればいずれも使
用でき、例えばフェノール類、ナフトール類、キノン
類、窒素原子を含む複素環化合物、酸素原子を含む複素
環化合物、硫黄原子を含む複素環化合物等が使用でき
る。
【0035】なお、潤滑剤と上記防錆剤等を併用する場
合には、混合して用いてもよいが、例えば、磁性層表面
に防錆剤を塗布した後、潤滑剤を塗布して2層に分けた
方が、それぞれの効果が発揮されやすい。
【0036】ところで、上述したパーフルオロポリエー
テル系化合物を主成分とする潤滑剤が塗布される磁気記
録媒体を構成する材料は従来公知のものがいずれも使用
可能で、何ら限定されるものではない。
【0037】先ず、非磁性支持体としては、ポリエステ
ル類、ポリオレフィン類、セルロース類、ビニル系樹
脂、ポリイミド類、ポリカーボネート類に代表されるよ
うな高分子材料によって形成される高分子基板や、アル
ミニウム合金、チタン合金からなる金属基板、アルミガ
ラス等のセラミックス基板、ガラス基板等が上げられ、
その形状も何ら限定されないが、本発明を磁気テープに
適用する場合には、ポリエチレンテレフタレートフィル
ム,ポリエチレンナフタレートフィルム,アラミドフィ
ルム等を用いて好適である。なお、Al合金板やガラス
板等の剛性を有する基板を使用した場合には、基板表面
にアルマイト処理等の酸化皮膜やNi−P皮膜等を形成
してその表面を硬くするとよい。また、これら非磁性支
持体上には金属磁性薄膜を形成する前に下地層が設けら
れてもよい。
【0038】金属磁性薄膜としては、メッキやスパッタ
リング、真空蒸着等の手法により連続膜として形成され
るもので、Fe、Co、Ni等の金属やCo−Ni系合
金、Co−Pt系合金、Co−Pt−Ni系合金、Fe
−Co系合金、Fe−Ni系合金、Fe−Co−Ni系
合金、Fe−Ni−B系合金、Fe−Co−B系合金、
Fe−Co−Ni−B系合金等からなる面内磁化記録金
属磁性膜やCo−Cr系合金薄膜が挙げられる。
【0039】特に、面内磁化記録金属磁性薄膜の場合、
予め非磁性支持体上にBi、Sb、Pb、Sn、Ga、
In、Ge、Si、Ti等の低融点非磁性材料の下地層
を形成しておき、金属磁性材料を垂直方向から蒸着ある
いはスパッタし、金属磁性薄膜中にこれら低融点非磁性
材料を拡散せしめ、配向性を解消して面内等方性を確保
するとともに、抗磁性を向上するようにしても良い。
【0040】また、このような金属磁性薄膜型磁気記録
媒体をハードディスクとして使用する場合には、磁性層
上に保護膜を設けて好適である。この保護膜としては、
カーボン膜、ダイヤモンド状あるいはアモルファス状カ
ーボン膜、酸化クロム膜、SiO2 ,ZrO2 膜等の硬
質保護膜が挙げられる。かかる保護膜を形成する方法と
しては、スパッタリングが一般的であるが、特にこれに
限定されるものではなく、従来公知の方法がいずれも使
用可能である。この場合、保護膜の膜厚は5〜100n
mとされることが好ましく、特に5〜30nmとされる
ことが好ましい。なお、磁性層上に保護膜を設けた場
合、上述した潤滑剤は、該保護膜上に塗布すればよい。
【0041】なお、必要に応じて、結合剤と研磨剤とを
主体とするバックコート層を形成してもよい。この場
合、バックコート層の成膜条件は通常、磁気記録媒体の
製造方法に適用される方法であれば良く、特に限定され
ない。そして、上記バックコート層に、前述の潤滑剤を
塗布させたり、あるいは内添させたりしてもよい。ま
た、バックコート層表面に潤滑剤を保持させ、リールに
巻かれた状態に保持しておくことにより、磁性層表面に
該潤滑剤を移行させることも可能である。
【0042】
【作用】本発明に係る潤滑剤の主成分であるパーフルオ
ロポリエーテル系化合物において、パーフルオロポリエ
ーテル基は、撥水性を高め、表面エネルギーを低減する
働きをする。また、上記パーフルオロポリエーテル系化
合物におけるアルコキシシラノ基は、熱安定性を向上さ
せ、蒸気圧を低減させる働きをする。さらに、上記パー
フルオロポリエーテル系化合物における炭化水素基は、
汎用溶媒への溶解性を向上させる働きをする。
【0043】このため、本発明に係る潤滑剤は、摩擦係
数の低下に寄与し、優れた潤滑効果を発揮するのみなら
ず、熱安定性や耐久性にも優れている。また、パーフル
オロカーボン系溶媒や、クロロフルオロカーボン系溶媒
を用いずとも、汎用溶媒に可溶である。
【0044】したがって、この潤滑剤が塗布された磁気
記録媒体は、摩擦係数が低減されて走行耐久性が向上す
ると共に、耐摩耗性、耐久性も改善できる。また、この
効果は低温等の厳しい条件下においても損なわれない。
【0045】
【実施例】以下、本発明の具体的な実施例について説明
するが、本発明がこの実施例に限定されるものではない
ことはいうまでもない。
【0046】実施例1 本実施例においては、潤滑剤として、多官能のパーフル
オロポリエーテルの両末端に炭化水素基を介してアルコ
キシシラノ基が結合してなるパーフルオロポリエーテル
系化合物を主成分とするものを用いた。
【0047】具体的には、前述した化3の一般式(3)
にてRf で示されるパーフルオロポリエーテル基の構造
が表1に示され、R,R1 ,R2 ,R3 で示される炭化
水素基およびXで示される有機鎖の構造がそれぞれ表2
に示されるようなパーフルオロポリエーテル系化合物を
用意し、これをクロロホルムに溶解させて実施例1の潤
滑剤を得た。
【0048】
【表1】
【0049】
【表2】
【0050】なお、表2中「X」の欄に示される「CO
NH」は、Rf の末端を−CH2 OHとし、Rの末端を
−N=C=Oとして、ウレタン結合させた結果得られた
有機鎖である。
【0051】そして、14μm厚のポリエチレンテレフ
タレートフィルムに斜方蒸着法によりCoを膜厚200
nmにて被着させ、強磁性金属薄膜よりなる磁性層を形
成した後、該磁性層表面に上述のようにして得られた実
施例1の潤滑剤を5mg/m2 なる塗布量にて塗布し
た。その後、これを8ミリ幅に裁断して、実施例1のサ
ンプルテープを完成した。
【0052】実施例2〜8 本実施例では、化3の一般式(3)にてRf で示される
パーフルオロポリエーテル基の構造が表1に示され、
R,R1 ,R2 ,R3 で示される炭化水素基およびXで
示される有機鎖の構造がそれぞれ表2に示されたパーフ
ルオロポリエーテル系化合物を用いて、実施例2〜実施
例8の潤滑剤を得た。なお、実施例3〜実施例7の潤滑
剤には溶媒としてクロロホルムとメチルエチルケトンの
1対1混合溶媒を使用した。また、実施例8の潤滑剤に
おいては、表2中「X」の欄に「CO」と記されている
が、これはRf の末端を−CH2 OHとし、Rの末端を
−COOHとして、エステル結合させた結果得られた有
機鎖である。
【0053】そして、実施例1と同様にして磁気テープ
を作製して、実施例2〜実施例8のサンプルテープを得
た。
【0054】実施例9 本実施例では、化4の一般式(4)にてRf で示される
パーフルオロポリエーテル基の構造が表1に示され、
R,R1 ,R2 ,R3 で示される置換基の構造がそれぞ
れ表2に示されたパーフルオロポリエーテル系化合物を
用い、これをクロロホルムに溶解させて、実施例9の潤
滑剤を得た。なお、ここで用いられるパーフルオロポリ
エーテル系化合物は、Rf の末端を−CH2 OHとし、
Rの末端をエーテル結合した結果得られたものであるた
め、化3の一般式(3)にてXで示されるような有機鎖
を持たない。
【0055】そして、実施例1と同様にして磁気テープ
を作製して、実施例2〜実施例9のサンプルテープを得
た。
【0056】実施例10〜13 本実施例においては、潤滑剤として、単官能のパーフル
オロポリエーテルの末端に炭化水素基を介してアルコキ
シシラノ基が結合してなるパーフルオロポリエーテル系
化合物を主成分とするものを用いた。
【0057】具体的には、一般式(1)にてRf で示さ
れるパーフルオロポリエーテル基の構造が表1に示さ
れ、R,R1 ,R2 ,R3 で示される炭化水素基および
Xで示される有機鎖の構造がそれぞれ表2に示されたパ
ーフルオロポリエーテル系化合物を用い、これをクロロ
ホルムに溶解させて、実施例10〜実施例13の潤滑剤
を得た。
【0058】そして、実施例1と同様にして磁気テープ
を作製して、実施例10〜実施例13のサンプルテープ
を得た。
【0059】比較例1〜3 本比較例では、アルコキシシラノ基を持たないパーフル
オロポリエーテル系化合物を主成分とする潤滑剤を用い
た。
【0060】具体的には、表3にて示されるパーフルオ
ロポリエーテル系化合物を用意し、これをパーフルオロ
ヘキサンあるいはパーフルオロオクタンに溶解させて、
比較例1〜比較例3の潤滑剤を得た。
【0061】
【表3】
【0062】そして、以上のような潤滑剤を実施例1と
同様にして磁気テープに塗布し、比較例1〜比較例3の
サンプルテープを得た。
【0063】比較例4 本比較例では、上述したような潤滑剤のいずれもを用い
なかった。
【0064】即ち、潤滑剤を塗布しなかった以外は実施
例1と同様にして磁気テープを作製し、比較例4のサン
プルテープを得た。
【0065】特性の評価 上述のようにして作製された実施例1〜13、比較例1
〜4のサンプルテープを60℃にて20時間エージング
し、このエージングの前後に条件α、条件β、条件γな
る雰囲気条件における摩擦係数、スチル耐久性、シャト
ル耐久性をそれぞれ測定した。スチル耐久性はポーズ状
態での出力が3dB低下するまでの時間にて評価し、シ
ャトル耐久性は、1回につき2分間のシャトル走行を行
い、出力が3dB低下するまでのシャトル回数で評価し
た。なお、α,β,γにて示される各雰囲気条件を表4
に示し、各サンプルテープにおける測定結果を表5〜8
に示す(エージング前における各測定結果は「処理前」
の欄に、エージング後における各測定結果は「処理後」
の欄に示す。)。
【0066】
【表4】
【0067】
【表5】
【0068】
【表6】
【0069】
【表7】
【0070】
【表8】
【0071】表5〜8より、実施例1〜13のサンプル
テープは、どの雰囲気条件においても摩擦係数が小さ
く、スチル耐久性、シャトル耐久性に優れていることが
わかる。一方、比較例1〜4のサンプルテープは、摩擦
係数が大きく、スチル耐久性およびシャトル耐久性も大
幅に劣化している。
【0072】これより、潤滑剤を塗布することにより、
磁気テープの走行耐久性を向上させることができるこ
と、アルコキシシラノ基を持たないパーフルオロポリエ
ーテル系化合物よりアルコキシシラノ基を有するパーフ
ルオロポリエーテル系化合物の方が潤滑効果に優れてい
ることがわかった。
【0073】
【発明の効果】以上の説明からも明らかなように、本発
明に係る潤滑剤は、あらゆる条件下で優れた潤滑効果を
示し、また長期に亘ってその潤滑効果を保つことができ
る。また、溶媒として汎用溶媒を使用できる。
【0074】このため、この潤滑剤を磁性層に保持させ
た磁気記録媒体は、優れた走行耐久性を発揮すると共
に、耐摩耗性、耐久性にも優れたものとなる。また、こ
の特性は低温等の厳しい条件下においても損なわれない
ため、非常に信頼性の高い磁気記録媒体が提供できる。
【0075】

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 パーフルオロポリエーテル基の末端に炭
    化水素基を介してアルコキシシラノ基が結合された構造
    を有するパーフルオロポリエーテル系化合物を主成分と
    する潤滑剤。
  2. 【請求項2】 前記炭化水素基は、炭素数が2以上のも
    のであることを特徴とする請求項1記載の潤滑剤。
  3. 【請求項3】 前記アルコキシシラノ基におけるアルコ
    キシル基の少なくとも1つは、炭素数が10以上のもの
    であることを特徴とする請求項1または請求項2のいず
    れか1項に記載の潤滑剤。
  4. 【請求項4】 非磁性支持体上に少なくとも磁性層が形
    成されてなる磁気記録媒体において、前記磁性層に、請
    求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の潤滑剤が
    保持されてなることを特徴とする磁気記録媒体。
  5. 【請求項5】 前記磁性層は、金属磁性薄膜よりなるこ
    とを特徴とする請求項4記載の磁気記録媒体。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP0950662A1 (fr) * 1998-04-15 1999-10-20 L'oreal Composés fluoro-siliconés sous forme d'huile et leur utilisation en cosmétique
WO2000034408A1 (fr) * 1998-12-10 2000-06-15 Toray Industries, Inc. Article optique, procede de fabrication associe et compose organo-silicie

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