JPH0817049A - 磁気記録媒体 - Google Patents

磁気記録媒体

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JPH0817049A
JPH0817049A JP16745494A JP16745494A JPH0817049A JP H0817049 A JPH0817049 A JP H0817049A JP 16745494 A JP16745494 A JP 16745494A JP 16745494 A JP16745494 A JP 16745494A JP H0817049 A JPH0817049 A JP H0817049A
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recording medium
lubricant
magnetic
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JP16745494A
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Hirofumi Kondo
洋文 近藤
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Sony Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 磁気テープ、磁気ディスク等の磁気記録媒
体、特に金属薄膜型磁気記録媒体において、各種使用条
件下において磁性層表面の優れた潤滑性が保たれるとと
もに、長時間に亘りその潤滑効果が持続され、走行性、
耐摩耗性、耐久性等に優れた磁気記録媒体を提供する。 【構成】 末端に極性基を持つパーフルオロポリエーテ
ルと、燐酸エステル又は亜燐酸エステルとを混合した複
合潤滑剤を磁性層表面に塗布した磁気記録媒体とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、磁気テープ、磁気ディ
スク等の磁気記録媒体に関し、さらに詳しくは、末端に
極性基を有するパーフルオロポリエーテルに対して燐酸
エステル又は亜燐酸エステルを混合した複合潤滑剤を磁
性層表面に塗布したことにより、各種使用条件下におい
て優れた走行性、耐摩耗性、耐久性を発揮する磁気記録
媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】強磁性金属材料を蒸着等の手法により非
磁性支持体上に被着し、これを磁性層としたいわゆる金
属薄膜型の磁気記録媒体では、磁性層表面の平滑性が極
めて良好であるため、磁気ヘッドやガイドローラー等の
摺動部材に対する媒体の実質的な接触面積が大きく、そ
のため摩擦係数が大きくなって凝着現象(いわゆる張り
付き)が起き易く、走行性や耐久性に欠ける等問題点が
多い。
【0003】例えば、8ミリビデオデッキに挿入された
テープは、10個以上のガイドピンを通ってドラムに巻
き付けられる。その際、ピンチローラーとキャプスタン
によってテープテンション及びテープ走行速度は一定に
保たれていて、テンションは約20g、走行速度は約
0.5cm/sである。この走行系において、テープの
磁性層は固定されたステンレス製ガイドピンと接触する
構造になっている。そのためにテープ表面の摩擦が大き
くなると、テープがスティックスリップを起こして、い
わゆるテープ鳴きという現象が起き、再生画面のひきつ
れを起こす。またテープとヘッドの相対速度は非常に大
きく、特にポーズ状態では同じ箇所での高速接触となる
ので、磁性層の摩耗の問題が生じ、再生出力の低下につ
ながる。特に、蒸着テープの場合には磁性層が非常に薄
いので、この問題は極めて深刻になる。
【0004】ハードディスク装置では、CSS(コンタ
クト・スタート・ストップ)といって、磁気ヘッドは回
転前にはディスクに接触しており、ディスクが高速で回
転を始めると発生する空気流によって浮上するようにな
っている。それゆえ、起動停止時あるいは起動時には磁
気ヘッドが媒体を擦って走行するので、そのときの摩擦
増加が大きな問題となっている。商品レベルの信頼性を
保つには、CSS操作を2万回行った後の摩擦係数が
0.5以下であることが望まれる。また、ディスクは高
速で回転しているので、ヘッドと媒体によるヘッドクラ
ッシュの問題も薄膜媒体では課題の一つである。
【0005】そこで、これら問題点を改善するために各
種の潤滑剤を使用することが検討されており、従来より
高級脂肪酸やそのエステル等を磁気記録媒体の磁性層に
トップコートすることで摩擦係数を抑えようとする試み
がなされている。
【0006】ところで、磁気記録媒体に使用される潤滑
剤には、その性質上非常に厳しい特性が要求され、従来
一般に用いられている潤滑剤では対応することが難しい
のが現状である。即ち、磁気記録媒体に使用される潤滑
剤には、(1)寒冷地での使用に際して所定の潤滑効果
が確保されるように低温特性に優れること、(2)磁気
ヘッドとのスペーシングが問題となるので極めて薄く塗
布できることと、その場合にも十分な潤滑特性が発揮さ
れること、(3)長時間潤滑効果が持続すること、長時
間の使用に耐えること、等が要求される。
【0007】磁気記録媒体の摩擦係数の増大あるいは耐
久性の問題を解決するために最も重要なことは、磁性層
表面に塗布する潤滑剤の検討を行って、最適な潤滑剤を
選択することである。ヘッドとの良好な潤滑性能、テー
プあるいはディスク表面への均一で強固な密着性、これ
らの性能の長期(例えば10年)保持といった要求を数
nm程度のほぼ単分子レベルの膜厚で実現するには、潤
滑剤の検討が重要である。
【0008】潤滑剤の潤滑特性は明らかにその分子構造
に依存することがわかっているが、従来磁気記録媒体の
潤滑剤として開発されたものは、大別して3種類に分類
される。即ち、シリコン系、炭化水素系及びフッ素化炭
素系の潤滑剤である。
【0009】シリコン系潤滑剤は、熱安定性が良いこと
及び蒸気圧が低いことにより、塗布型媒体ではよく使用
されている潤滑剤のひとつである。しかし、現在のよう
な非常に表面性の良い金属薄膜型の磁気記録媒体の上で
はあまり良い潤滑性能を示さず、ピンオンディスクの摩
耗加速試験、あるいはCSS試験での潤滑特性は耐久性
の仕様を満足しない。つまり、現在主流になっている金
属薄膜型磁気記録媒体表面で配向された潤滑膜を形成
し、要求される潤滑特性を満足させることは、シリコン
系の潤滑剤では難しい。
【0010】炭化水素系潤滑剤は、塗布型の磁気記録媒
体では現在でも主流の潤滑剤である。しかし、炭化水素
系潤滑剤は、一般に熱的あるいは化学的な安定性がシリ
コン系及びフッ素系の潤滑剤と比較して悪い。また、炭
化水素系潤滑剤を用いたシステムでは、分子が摩擦によ
って反応してできるフリクショナルポリマーが生じやす
い。このフリクショナルポリマーは潤滑特性を低下さ
せ、ときには致命的な故障の原因となる。さらに、蒸気
圧が高いことも炭化水素系潤滑剤の欠点のひとつであ
る。即ち、金属薄膜型磁気記録媒体では潤滑剤の補充が
できないので、蒸気圧が高い炭化水素系潤滑剤は薄膜磁
気媒体には使用しにくい。
【0011】フッ素系潤滑剤は、金属薄膜型磁気記録媒
体において現在最もよく使用されている潤滑剤である。
フッ素系潤滑剤の中でも、パーフルオロポリエーテルは
他のフッ素系潤滑剤と比較して潤滑性能や表面保護作用
に優れているために広く用いられている。その理由とし
ては、CF2−O−CF2エーテル結合がフレキシブルで
あるために分子量が同じときにはその粘度が低いこと
と、幅広い温度領域で粘度が変化しないことが挙げられ
る。更に、それらに加えて化学的に不活性であること、
蒸気圧が低いこと、熱的あるいは化学的安定性が高いこ
と、表面エネルギーが低いこと、境界潤滑特性が良いこ
と、撥水性が良いことが挙げられる。
【0012】パーフルオロポリエーテルの特性は、その
分子構造に強く依存する。現在何種類かのパーフルオロ
ポリエーテルが市販されていて、それらは分子量、主鎖
の繰り返し単位、末端基がそれぞれ異なる。例えばFomb
lin-Y(商品名)タイプはCF(CF3)CF2OとCF2
Oとのランダム重合体で主鎖の繰り返し単位が分岐構造
を持っており、Fomblim-Z(商品名)タイプはCF2CF
2OとCF2Oとの重合体で主鎖の繰り返し単位が直鎖構
造を持つ。Demnum(商品名)タイプ及びKrytox(商品
名)タイプは、それぞれヘキサフルオロプロピレンオキ
シド及びヘキサフルオロイソプロピレンオキシドのホモ
ポリマーである。
【0013】パーフルオロポリエーテルは化学的に不活
性であるため、磁気記録媒体表面での吸着能力に欠け
る。そこで吸着能力を改善する目的で、両末端に水酸基
を持つパーフルオロポリエーテル(商品名Fomblin Z-DO
L)や、両末端にピペロニル基を持つパーフルオロポリ
エーテル(商品名Fomblin AM2001)が開発されている。
後者の末端にピペロニル基を持つパーフルオロポリエー
テルは、特に金属表面やカーボン表面で非常に強い固定
化作用を有し、末端極性基の導入により摩擦係数が減少
し、磁気ディスクの耐用年数が増加する。
【0014】また、ヘッドと媒体の相対速度が数mを越
える磁気記録システムにおいて、接触部分で発生する摩
擦熱は表面温度を瞬時ではあるが急激に増加させる。そ
のヘッドと媒体との接触点における温度の正確な測定方
法はまだないが、計算による評価では数百℃を越えると
見積もられている。このような境界潤滑条件下では、反
応性の表面が現れるので、上記接触点での温度によって
潤滑剤分子の分解反応が促進される。パーフルオロポリ
エーテルは、空気中では350℃以上の温度でも安定で
あるが、金属合金、例えば鉄やチタン合金等、ルイス酸
やルイス塩基、例えばAlCl3、FeF3、Al23
の存在下では分解し易くなる。このような潤滑剤の分解
は潤滑特性に悪影響を及ぼし、ひいてはそれが磁気記録
システムの信頼性を損なう結果となる。それゆえに潤滑
特性ばかりでなく、分解の少ない潤滑剤の開発が必要と
なってくる。また、パーフルオロポリエーテル類に関し
ては、フロン類にしか溶解しないので地球環境的にも問
題である。
【0015】以上のように、磁気記録媒体、特に金属薄
膜型磁気記録媒体の潤滑剤への要求特性は非常に厳し
く、それに対して様々な工夫がなされているが、これら
の要求特性、例えば熱的あるいは化学的な安定性、媒体
表面との吸着性などを満足し、磁気記録媒体の信頼性を
完全に満足させるような潤滑剤は未だ存在しないのが現
状である。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】上述したように、磁気
記録媒体の分野においては、使用される潤滑剤及び保護
膜の能力不足に起因して、走行性、耐久性等の実用特性
に不満を残している。そこで本発明は、各種使用条件下
において磁性層表面の優れた潤滑性が保たれるととも
に、長時間にわたり潤滑効果が持続され、走行性、耐摩
耗性、耐久性等に優れた磁気記録媒体を提供することを
目的とするものである。
【0017】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上述の目的
を達成せんものと鋭意研究を重ねた結果、末端に極性基
を持つパーフルオロポリエーテルに対して燐酸あるいは
亜燐酸エステルを混合した複合潤滑剤を磁性層表面に塗
布した磁気記録媒体がこの目的に適合することを見いだ
し、本発明を完成するに至ったものである。
【0018】即ち、本発明の磁気記録媒体は、非磁性支
持体上に少なくとも磁性層を有する磁気記録媒体であっ
て、末端に極性基を持つパーフルオロポリエーテルと、
燐酸エステル又は亜燐酸エステルとを混合した潤滑剤
(以下本発明潤滑剤という)を前記磁性層表面に塗布し
てなることを特徴とするものである。
【0019】以下、本発明につき更に詳しく説明する。
本発明潤滑剤において、末端に極性基を持つパーフルオ
ロポリエーテルとしては、下記式(A)又は(B)で示
されるものを用いることができる。 Rf−Y …(A) Y−Rf−Y …(B)
【0020】ここで、Rfはパーフルオロポリエーテル
基を示し、その主鎖を構成する繰り返し単位としては例
えば下記に示すものを挙げることができるが、これらに
限られるものではない。また、パーフルオロポリエーテ
ル基Rfは直鎖構造であってもよく、分岐構造であって
もよい。
【化1】
【0021】Yは極性基を示し、例えば水酸基、ヒドロ
キシアルキル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニ
ル基、ピペロニル基、−CH2OCOC1735基等の−
R1OCOR2基(R1はアルキレン基、R2は酸素又は窒
素含有炭化水素基を示す)、−COO-3+R3基(R
3はアルキル基を示す)等のカルボン酸アミン塩残基を
挙げることができるが、これらに限定されるものではな
い。極性基Yとして水酸基、カルボキシル基等のフリー
の水素結合を有するものを持つパーフルオロポリエーテ
ルを用いると、潤滑剤が保護膜と強固な結合を示すの
で、磁気記録媒体の信頼性向上の観点から特に好まし
い。
【0022】また、極性基Yとして長鎖アルキル基を含
む極性基を持つパーフルオロポリエーテル、例えば極性
基Yが長鎖アルキル基を含む前記−R1OCOR2基又は
カルボン酸アミン塩残基、例えば−CH2OCOC17
35基、−COO-3+1837基等であるパーポリフ
ルオロエーテルを用いると、潤滑剤の摩擦特性、耐久性
あるいは溶解性を改善させることが可能となる。なお、
極性基Yがカルボン酸アミン塩残基であるパーフルオロ
ポリエーテルに関しては、特開平3-252921号に示されて
いる。
【0023】パーフルオロポリエーテルの分子量に制限
はないが、500〜5000、特に600〜4000で
あることが好ましい。分子量が5000を超えると末端
極性基の効果が低減して摩擦の上昇が生じることがあ
り、分子量が500より小さいとパーフルオロポリエー
テル基の効果が低減して耐久性の劣化につながることが
ある。
【0024】末端に極性基を有するパーフルオロポリエ
ーテルとして、より具体的には、例えば下記のものを好
適に用いることができる。ここで、p及びqはそれぞれ
1以上の整数を示す。
【化2】
【化3】
【0025】燐酸エステル又は亜燐酸エステルとして
は、下記式(C)〜(J)で示すものを好適に用いるこ
とができる。ここで、R4は炭化水素基、パーフルオロ
ポリエーテル基又は−R5Rf基(R5はアルキレン基、
fはパーフルオロポリエーテル基である)を示す。n
及びmはそれぞれ1〜3の整数を示し、nとmとの和は
3である。化合物中に2つ以上のR4が存在する場合、
これらR4は互いに同一であってもよく、異なっていて
もよい。また、上記パーフルオロポリエーテル基の分子
量に制限はないが、500〜5000、特に600〜4
000であることが好ましい。
【0026】 (R4O)nP(OH)3-n …(C) (R4O)nPO(OH)3-n …(D) (R4)nP(OH)3-n …(E) (R4)nPO(OH)3-n …(F) (R4)m(R4O)nP(OH)3-m-n …(G) (R4)m(R4O)nPO(OH)3-m-n …(H) (R4S)nP(OH)3-n …(I) (R4S)nPO(OH)3-n …(J)
【0027】置換基R4が炭化水素基である場合、その
炭化水素基は炭素数、分岐の有無、二重結合の有無、芳
香環の有無にかかわりなく選択可能であるが、炭素数1
0以上、特に12〜22の直鎖の炭化水素基が摩擦係数
の観点から好ましい。
【0028】置換基R4としてパーフルオロポリエーテ
ル基又は−R5Rf基を用いる場合、燐酸又は亜燐酸の水
酸基又は水素原子の全てがパーフルオロポリエーテル基
又は−R5Rf基で置換されていてもよいが、水酸基又は
水素原子の一部が炭化水素基で置換され、一部がパーフ
ルオロポリエーテル基又は−R5Rf基で置換されたエス
テルの方が溶剤に対する溶解性の観点から好ましい。つ
まり、燐酸又は亜燐酸は3個の水酸基、水素原子を有す
るが、その内の1個又は2個は炭化水素基で置換されて
いた方が良い。その理由は、パーフルオロポリエーテル
成分が多くなるほどフロン以外の溶剤への溶解性が減少
し、地球環境の観点から好ましくないからである。もち
ろん、それらはオゾン層を破壊しないパーフルオロアル
カンに対する溶解性はあるが、パーフルオロアルカンは
価格の点から使用には不向きである。
【0029】また、水酸基は潤滑剤の磁性層表面へのア
ンカー効果を高めて耐久性に効果をもたらすので、3個
の全てが置換されていなくてもよい。つまり、3個の水
酸基の内少なくとも1つの水酸基がフリーであってもよ
い。
【0030】燐酸エステル又は亜燐酸エステルとして、
より具体的には、例えば下記のものを好適に用いること
ができる。
【化4】
【0031】本発明潤滑剤は、前述したパーフルオロポ
リエーテルと、燐酸エステル又は亜燐酸エステルとを混
合したものである。この場合、パーフルオロポリエーテ
ルに対する燐酸エステル又は亜燐酸エステルの配合量に
特に制限はないが、パーフルオロポリエーテル:燐酸エ
ステル又は亜燐酸エステルの重量比を100:20〜1
00、特に100:30〜70とすることが好ましい。
燐酸エステル又は亜燐酸エステルが100:20より少
ないと耐久性の劣化が生じることがあり、100:10
0より多いと張り付きの原因となることがある。
【0032】本発明の磁気記録媒体は、上記の複合潤滑
剤を磁性層表面に塗布したものである。この場合、本発
明が適用される磁気記録媒体の種類に限定はなく、本発
明はいずれの種類の磁気記録媒体にも適用することがで
きるが、非磁性支持体表面に蒸着等の手法により磁性層
が形成された、いわゆる金属薄膜型の磁気記録媒体に特
に好適に適用することができる。この金属薄膜型の磁気
記録媒体には、非磁性支持体と磁性層との間に下地層を
介した構成の磁気記録媒体も包含される。また、金属薄
膜の磁気録媒体は、磁性層である金属磁性薄膜の他に、
バックコート層や磁性膜の下に下塗層等が必要に応じて
形成されていてもよい。
【0033】金属薄膜型の磁気記録媒体の非磁性支持
体、金属磁性薄膜の材質は何等限定されるものではな
い。例示するならば、非磁性支持体としては塗布型の磁
気記録媒体と同様のものが使用可能である。非磁性支持
体にAl合金板やガラス板等の剛性を有する基板を使用
した場合には、基板表面にアルマイト処理等による酸化
皮膜やNi−P皮膜などを形成してその表面を硬くする
ようにしてもよい。
【0034】金属磁性薄膜は、メッキや、スパッタリン
グ、真空蒸着等のPVDの手法により連続膜として形成
されるもので、Fe、Co、Ni等の金属や、Co−N
i系合金、Co−Pt系合金、Co−Pt−Ni系合
金、Fe−Co系合金、Fe−Ni系合金、Fe−Co
−Ni系合金、Fe−Ni−B系合金、Fe−Co−B
系合金、Fe−Co−Ni−B系合金等からなる面内磁
化記録金属磁性膜、Co−Cr系合金薄膜などが例示さ
れる。
【0035】また、面内磁化記録金属磁性薄膜の場合、
予め非磁性支持体上にBi、Sb、Pb、Sn、Ga、
In、Ge、Si、Ti等の低融点非磁性材料の下地層
を形成しておき、金属磁性材料の蒸着あるいはスパッタ
リングを垂直方向から行い、金属磁性薄膜中にこれら低
融点非磁性材料を拡散せしめ、配向性を解消して面内等
方性を確保するとともに、抗磁性を向上させるようにし
てもよい。
【0036】本発明磁気記録媒体の製造において、本発
明潤滑剤を磁性層表面に塗布する場合、最も一般的な方
法としては、金属磁性薄膜表面や保護膜表面に潤滑剤を
ディップコ─ティングする方法が挙げられるが、これに
限られるものではない。潤滑剤の塗布量は0.5〜10
0mg/m2、特に1〜20mg/m2であることが好ま
しい。0.5mg/m2より少ないと摩擦の上昇、耐久
性の劣化が生じることがあり、100mg/m2より多
いと張り付きの原因となることがある。また、潤滑剤の
膜厚は5〜50nmとすることが適当である。50nm
より厚いと電磁変換特性が悪化することがあり、5nm
より薄いと耐久性的に不十分となることがある。
【0037】本発明の磁気記録媒体においては、本発明
潤滑剤を単独で磁性層表面に塗布してもよいが、従来公
知の潤滑剤、例えば一般的に磁気記録媒体に使用されて
いる長鎖のカルボン酸あるいはそのエステル類、長鎖ア
ルコール類等と本発明潤滑剤とを組み合わせて用いても
よい。すなわち、本発明潤滑剤と従来の潤滑剤とを混合
したり、本発明潤滑剤からなる層と従来の潤滑剤からな
る層とを積層したりしてもよい。
【0038】また、より厳しい条件に対処し潤滑効果を
持続させるために、本発明潤滑剤に極圧剤を配合しても
よい。極圧剤は、境界潤滑領域において部分的に金属接
触を生じたときにこれに伴う摩擦熱によって金属面と反
応し、反応生成物皮膜を形成することにより摩擦、摩耗
防止作用を行うものであって、リン系極圧剤、硫黄系極
圧剤、ハロゲン系極圧剤、有機金属系極圧剤、複合系極
圧剤等のいずれでも使用することができる。本発明潤滑
剤:極圧剤の配合比は、重量比として30:70〜7
0:30程度とすることが適当である。
【0039】さらに、本発明潤滑剤には、上述した従来
の潤滑剤、極圧剤の他、必要に応じて防錆剤を配合して
もよい。防錆剤としては、通常この種の磁気記録媒体の
防錆剤として使用されるものであればいずれのものでも
使用でき、例えばフェノール類、ナフトール類、キノン
類、窒素原子を含む複素環化合物、酸素原子を含む複素
環化合物、硫黄原子を含む複素環化合物等を用いること
ができる。
【0040】
【作用】末端に極性基を持つパーフルオロポリエーテル
と燐酸エステル又は亜燐酸エステルとを混合した潤滑剤
を磁性層表面に塗布した磁気記録媒体は、良好な潤滑作
用を発揮して摩擦係数を低減するばかりか、スチル耐久
性、シャトル耐久性を改善する。また、この潤滑作用は
低温下等の厳しい条件下においても損なわれることはな
い。したがって、本発明による磁気記録媒体、例えば蒸
着テープのような金属薄膜型磁気記録媒体は、高温高湿
あるいは低温低湿等の過酷な条件下で使用した場合でも
良好な潤滑性、耐久性が得られ、しかもその特性が劣化
しないものである。
【0041】
【実施例】以下、本発明の具体的な実施例について説明
するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではな
い。
【0042】[実施例1]表1に示すパーポリフルオロ
エーテルと燐酸エステル又は亜燐酸エステルとを混合し
て潤滑剤1を調製した。パーポリフルオロエーテル:燐
酸エステル又は亜燐酸エステルの重量比は100:50
とした。
【0043】14μ厚のポリエチレンテレフタレートフ
ィルムに斜方蒸着法によりCoを被着させ、膜厚200
nmの強磁性金属薄膜を形成した。次に、潤滑剤1をフ
レオンとエタノールの混合溶媒に溶解し、これを塗布量
が5mg/m2となるように金属薄膜表面に塗布して膜
厚3nmの潤滑剤層を形成した後、フィルムを8ミリ幅
に裁断してサンプルテープ(金属薄膜型磁気記録媒体と
しての蒸着テープ)を作製した。
【0044】[実施例2〜11]潤滑剤を表1中の潤滑
剤2〜11に代え、かつ実施例7〜11で潤滑剤の溶剤
としてエタノールとヘキサンの1:1混合溶媒を使用し
たこと以外は(実施例2〜6ではフレオンとエタノール
の混合溶媒を使用)、実施例1と同様にしてサンプルテ
ープを作製した。ここで、実施例NO.と潤滑剤NO.
とは対応している。
【0045】[比較例1〜7]比較例として、表2に示
したように、潤滑剤を塗布していないブランクテープ
(比較例1)、末端に極性基を持つパーフルオロポリエ
ーテルのみを塗布したサンプルテープ(比較例2〜
5)、燐酸エステル又は亜燐酸エステルのみを塗布した
サンプルテープ(比較例6、7)をそれぞれ作製した。
【0046】
【表1】
【表2】
【0047】なお、表1、2に示した化合物において、
pは10〜30、qは10〜30であった。
【0048】[試験]実施例、比較例の各サンプルテー
プについて、温度25℃湿度60%、温度40℃湿度8
0%、温度−5℃の各条件下での摩擦係数、スチル耐久
性及びシャトル耐久性を測定した。スチル耐久性は、ポ
ーズ状態での出力の3dB低下までの減衰時間で評価し
た。シャトル耐久性は、1回につき2分間のシャトル走
行を行い、出力が3dB低下するまでのシャトル回数で
評価した。その結果を表3及び表4に示す。
【0049】
【表3】
【表4】
【0050】表3、4から明らかなように、末端に極性
基を持つパーフルオロポリエーテル系潤滑剤に対して燐
酸あるいは亜燐酸エステルを混合した潤滑剤を磁性層上
に塗布した場合は、これらをそれぞれ単独で使用した場
合に比較して、摩擦係数、スチル耐久性、シャトル耐久
性等の耐久性は各種条件下で非常に良好な結果が得られ
た。またエイジングによる劣化もほとんどなく、両者を
混合することにより優れた結果を示すことが認められ
た。
【0051】
【発明の効果】本発明の磁気記録媒体は、末端に極性基
を持つパーフルオロポリエーテルと燐酸エステル又は亜
燐酸エステルとを混合した潤滑剤を磁性層表面に塗布し
ているので、如何なる使用条件下でも潤滑性を保つこと
ができ、また長期に亘りその潤滑性を保つことができ
る。従って、本発明の磁気記録媒体は走行性、耐摩耗
性、耐久性に優れたものである。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 非磁性支持体上に少なくとも磁性層を有
    する磁気記録媒体において、末端に極性基を持つパーフ
    ルオロポリエーテルと、燐酸エステル又は亜燐酸エステ
    ルとを混合した潤滑剤を前記磁性層表面に塗布してなる
    ことを特徴とする磁気記録媒体。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005302190A (ja) * 2004-04-14 2005-10-27 Fujitsu Ltd 記録媒体および記録媒体駆動装置
TWI393668B (zh) * 2009-02-24 2013-04-21 Sued Chemie Ip Gmbh & Co Kg 用於純化連續製造鋰過渡金屬磷酸鹽期間之含鋰廢水之方法

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