JPH08319492A - 潤滑剤およびそれを用いた磁気記録媒体 - Google Patents
潤滑剤およびそれを用いた磁気記録媒体Info
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- JPH08319492A JPH08319492A JP7130629A JP13062995A JPH08319492A JP H08319492 A JPH08319492 A JP H08319492A JP 7130629 A JP7130629 A JP 7130629A JP 13062995 A JP13062995 A JP 13062995A JP H08319492 A JPH08319492 A JP H08319492A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 優れた潤滑性が保たれるとともに、長時間に
わたり潤滑効果が持続され、走行性、耐摩耗性、耐久性
等に優れた磁気記録媒体を提供する。 【構成】 下記一般式1あるいは一般式2で示される分
子内に水酸基と長鎖の炭化水素基を持つパーフルオロポ
リエーテル系潤滑剤およびこれを磁性層に塗布もしくは
内添させ磁気記録媒体である。 (一般式1) Rf R1 XR2 YR (一般式2) RYR2 XR1 Rf R1 XR2 YR 但し、Rf はパーフルオロポリエーテルを示し、Rは炭
化水素、R2 は炭化水素鎖、R1 は水酸基を持つ炭化水
素。
わたり潤滑効果が持続され、走行性、耐摩耗性、耐久性
等に優れた磁気記録媒体を提供する。 【構成】 下記一般式1あるいは一般式2で示される分
子内に水酸基と長鎖の炭化水素基を持つパーフルオロポ
リエーテル系潤滑剤およびこれを磁性層に塗布もしくは
内添させ磁気記録媒体である。 (一般式1) Rf R1 XR2 YR (一般式2) RYR2 XR1 Rf R1 XR2 YR 但し、Rf はパーフルオロポリエーテルを示し、Rは炭
化水素、R2 は炭化水素鎖、R1 は水酸基を持つ炭化水
素。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、磁気テープ、磁気ディ
スク等の磁気記録媒体に適用する潤滑剤およびそれを用
いた磁気記録媒体に関する。
スク等の磁気記録媒体に適用する潤滑剤およびそれを用
いた磁気記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】強磁性金属材料を蒸着等の手法により非
磁性支持体上に被着し、これを磁性層としたいわゆる金
属薄膜型の磁気記録媒体では、磁性層表面の平滑性が極
めて良好であるため、磁気ヘッドやガイドローラー等の
摺動部材に対する実質的な接触面積が大きく、従って摩
擦係数が大きくなり凝着現象(いわゆる張り付き)が起
き易く走行性や耐久性に欠ける等問題点が多い。
磁性支持体上に被着し、これを磁性層としたいわゆる金
属薄膜型の磁気記録媒体では、磁性層表面の平滑性が極
めて良好であるため、磁気ヘッドやガイドローラー等の
摺動部材に対する実質的な接触面積が大きく、従って摩
擦係数が大きくなり凝着現象(いわゆる張り付き)が起
き易く走行性や耐久性に欠ける等問題点が多い。
【0003】例えば、8ミリビデオデッキに挿入された
磁気テープは10個以上のガイドピンを通って、ドラム
に巻き付けられる。その際ピンチローラーとキャプスタ
ンによってテープテンションとテープ走行速度は一定に
保たれていて、テンションは約20g、走行速度は0.
5cm/sである。この走行系において、テープの磁性
層はステンレス性の固定されたガイドピンと接触する構
造になっている。そのためにテープ表面の摩擦が大きく
なると、テープがスティックスリップを起こして、いわ
ゆるテープ鳴きという現象が起き、再生画面のひきつれ
を起こす。またテープとヘッドとの相対速度は非常に大
きく、特にポーズ状態では同じ場所での高速接触となる
ので、磁性層の摩耗の問題が生じ、再生出力の低下につ
ながる。蒸着テープの場合には磁性層が非常に薄いので
この問題は更に深刻となる。
磁気テープは10個以上のガイドピンを通って、ドラム
に巻き付けられる。その際ピンチローラーとキャプスタ
ンによってテープテンションとテープ走行速度は一定に
保たれていて、テンションは約20g、走行速度は0.
5cm/sである。この走行系において、テープの磁性
層はステンレス性の固定されたガイドピンと接触する構
造になっている。そのためにテープ表面の摩擦が大きく
なると、テープがスティックスリップを起こして、いわ
ゆるテープ鳴きという現象が起き、再生画面のひきつれ
を起こす。またテープとヘッドとの相対速度は非常に大
きく、特にポーズ状態では同じ場所での高速接触となる
ので、磁性層の摩耗の問題が生じ、再生出力の低下につ
ながる。蒸着テープの場合には磁性層が非常に薄いので
この問題は更に深刻となる。
【0004】CSS(コンタクト・スタート・ストッ
プ)型のハードディスク装置では、回転前には磁気ヘッ
ドは磁気ディスクに接触しており、高速で回転を始める
と発生する空気流によって浮上するタイプである。それ
ゆえ、起動停止あるいは起動時には媒体を擦って走行す
るので、そのときの摩擦増加が逆に大きな問題となって
いる。商品レベルの信頼性を保つにはCSS操作を2万
回行った後の摩擦係数が0.5以下であることが望まれ
る。また高速で回転しているので、磁気ヘッドと磁気記
録媒体すなわち磁気ディスクによるいわゆるヘッドクラ
ッシュの問題も薄膜磁気記録媒体では課題の一つであ
る。
プ)型のハードディスク装置では、回転前には磁気ヘッ
ドは磁気ディスクに接触しており、高速で回転を始める
と発生する空気流によって浮上するタイプである。それ
ゆえ、起動停止あるいは起動時には媒体を擦って走行す
るので、そのときの摩擦増加が逆に大きな問題となって
いる。商品レベルの信頼性を保つにはCSS操作を2万
回行った後の摩擦係数が0.5以下であることが望まれ
る。また高速で回転しているので、磁気ヘッドと磁気記
録媒体すなわち磁気ディスクによるいわゆるヘッドクラ
ッシュの問題も薄膜磁気記録媒体では課題の一つであ
る。
【0005】そこで、これら問題点を改善するために各
種の潤滑剤を使用することが検討されており、従来より
高級脂肪酸やそのエステル等の潤滑剤を磁気記録媒体の
磁性層にトップコートすることにより摩擦係数を抑えよ
うとする試みがされている。
種の潤滑剤を使用することが検討されており、従来より
高級脂肪酸やそのエステル等の潤滑剤を磁気記録媒体の
磁性層にトップコートすることにより摩擦係数を抑えよ
うとする試みがされている。
【0006】ところで、磁気記録媒体に使用される潤滑
剤には、その性質上非常に厳しい特性が要求され、従来
用いられている潤滑剤では対応することが難しいのが現
状である。即ち、磁気記録媒体に使用される潤滑剤に
は、(1)寒冷地での使用に際して所定の潤滑効果が確
保されるように低温特性に優れること、(2)磁気ヘッ
ドとのスペーシングが問題となるので極めて薄く塗布で
きることと、その場合にも十分な潤滑特性が発揮される
こと、(3)長時間、あるいは長時間の使用に耐え、潤
滑効果が持続すること、等が要求される。
剤には、その性質上非常に厳しい特性が要求され、従来
用いられている潤滑剤では対応することが難しいのが現
状である。即ち、磁気記録媒体に使用される潤滑剤に
は、(1)寒冷地での使用に際して所定の潤滑効果が確
保されるように低温特性に優れること、(2)磁気ヘッ
ドとのスペーシングが問題となるので極めて薄く塗布で
きることと、その場合にも十分な潤滑特性が発揮される
こと、(3)長時間、あるいは長時間の使用に耐え、潤
滑効果が持続すること、等が要求される。
【0007】これらの摩擦係数の増大あるいは耐久性の
問題を解決するための最も重要な解決法は、磁気記録媒
体の表面に塗布される潤滑剤の検討である。磁気ヘッド
との良好な潤滑性能、磁気記録媒体例えば磁気テープあ
るいは磁気ディスク表面への均一で強固な密着性、これ
らの性能の長期(例えば10年)保持等の要求を数nm
程度のほぼ単分子レベルの膜厚で実現するには、潤滑剤
の検討が必要である。
問題を解決するための最も重要な解決法は、磁気記録媒
体の表面に塗布される潤滑剤の検討である。磁気ヘッド
との良好な潤滑性能、磁気記録媒体例えば磁気テープあ
るいは磁気ディスク表面への均一で強固な密着性、これ
らの性能の長期(例えば10年)保持等の要求を数nm
程度のほぼ単分子レベルの膜厚で実現するには、潤滑剤
の検討が必要である。
【0008】潤滑特性は明らかに潤滑剤の分子構造に依
存することがわかっているが、特に磁気記録媒体につい
て開発されたものは、大別して3種類に分類される、シ
リコン系、炭化水素系、フッ素化炭素系である。
存することがわかっているが、特に磁気記録媒体につい
て開発されたものは、大別して3種類に分類される、シ
リコン系、炭化水素系、フッ素化炭素系である。
【0009】シリコン系潤滑剤は、熱安定性がよいこと
と蒸気圧が低いために塗布型媒体では良く使用されてい
る潤滑剤のひとつである。しかし、現在の様な非常に表
面性の良い薄膜型の磁気記録媒体の上では余りよい潤滑
性能がなく、ピンオンディスクの摩耗加速試験、あるい
はCSS試験での潤滑特性は耐久性の仕様を満足しな
い。つまり、現在主流になっている薄膜型磁気記録媒体
表面で配向された潤滑膜を形成し、要求される潤滑特性
を満足させることは、シリコン系の潤滑剤では非常に限
られてくる。
と蒸気圧が低いために塗布型媒体では良く使用されてい
る潤滑剤のひとつである。しかし、現在の様な非常に表
面性の良い薄膜型の磁気記録媒体の上では余りよい潤滑
性能がなく、ピンオンディスクの摩耗加速試験、あるい
はCSS試験での潤滑特性は耐久性の仕様を満足しな
い。つまり、現在主流になっている薄膜型磁気記録媒体
表面で配向された潤滑膜を形成し、要求される潤滑特性
を満足させることは、シリコン系の潤滑剤では非常に限
られてくる。
【0010】炭化水素系潤滑剤は、塗布型の磁気記録媒
体では現在でも主流の潤滑剤である。しかし、熱的ある
いは化学的な安定性については、一般的には炭化水素系
潤滑剤はシリコン系あるいはフッ素系潤滑剤と比較して
悪く、また分子が摩擦によって反応してできるフリクシ
ョナルポリマーが、炭化水素系の潤滑剤を用いたシステ
ムで生成しやすい。このポリマーは潤滑特性を低下さ
せ、ときには致命的な故障となる。炭化水素系の潤滑剤
では、蒸気圧が高いことも欠点の一つである。薄膜磁気
記録媒体では潤滑剤の補充ができないために、優れた摩
擦特性を示すが、蒸気圧が高いために実際の薄膜磁気記
録媒体に使用されにくい。
体では現在でも主流の潤滑剤である。しかし、熱的ある
いは化学的な安定性については、一般的には炭化水素系
潤滑剤はシリコン系あるいはフッ素系潤滑剤と比較して
悪く、また分子が摩擦によって反応してできるフリクシ
ョナルポリマーが、炭化水素系の潤滑剤を用いたシステ
ムで生成しやすい。このポリマーは潤滑特性を低下さ
せ、ときには致命的な故障となる。炭化水素系の潤滑剤
では、蒸気圧が高いことも欠点の一つである。薄膜磁気
記録媒体では潤滑剤の補充ができないために、優れた摩
擦特性を示すが、蒸気圧が高いために実際の薄膜磁気記
録媒体に使用されにくい。
【0011】フッ素系潤滑剤は、薄膜磁気記録媒体にお
いて現在最も良く使用されている潤滑剤である。フッ素
系潤滑剤の中でも前述のパーフルオロポリエーテルが他
のフッ素系潤滑剤と比較して潤滑性能や表面保護作用が
良いために広く用いられている。この理由についてはC
F2 −O−CF2 エーテル結合がフレキシブルであるた
めに分子量が同じときにはその粘度が低いことと、幅広
い温度領域で粘度が変化しないことが挙げられる。それ
に加えて化学的に不活性であること、蒸気圧が低いこ
と、熱的あるいは化学的安定性が高いこと、表面エネル
ギーが低いこと、境界潤滑特性がよいこと、それに撥水
性が良いことが挙げられる。
いて現在最も良く使用されている潤滑剤である。フッ素
系潤滑剤の中でも前述のパーフルオロポリエーテルが他
のフッ素系潤滑剤と比較して潤滑性能や表面保護作用が
良いために広く用いられている。この理由についてはC
F2 −O−CF2 エーテル結合がフレキシブルであるた
めに分子量が同じときにはその粘度が低いことと、幅広
い温度領域で粘度が変化しないことが挙げられる。それ
に加えて化学的に不活性であること、蒸気圧が低いこ
と、熱的あるいは化学的安定性が高いこと、表面エネル
ギーが低いこと、境界潤滑特性がよいこと、それに撥水
性が良いことが挙げられる。
【0012】パーフルオロポリエーテルの特性はその分
子構造に非常に強く依存する。何種類かのパーフルオロ
ポリエーテルが市販されていて、それらは分子量、主鎖
の繰り返し単位、末端基がそれぞれ異なる。例えばFo
mblin−Y(モンテカチニ社製)タイプはCF(C
F3 )CF2 OとCF2 Oのランダム重合体で主鎖の繰
り返し単位が分岐構造を持っているのに対して、Fom
blin−ZタイプはCF2 CF2 OとCF2 Oの重合
体で直鎖構造を持つ。Demnum(ダイキン工業社
製)タイプおよびKrytox(デュポン社製)タイプ
はそれぞれヘキサフルオロプロピレンオキシドおよびヘ
キサフルオロイソプロピレンオキシドのホモポリマーで
ある。化学的に不活性なために、パーフルオロポリエー
テルは磁気媒体表面での吸着能力に欠ける。そこで吸着
力を改善するために、両末端に極性基を持つパーフルオ
ロポリエーテル、Fomblin−Z−DOL(水酸
基)やFomblin AM2001(ピペロニル基)
が開発された。FomblinAM2001は特に金属
表面やカーボン表面で非常に強い固定化作用があり、末
端の極性基の導入により摩擦係数が減少し、磁気ディス
クの耐用年数が増加する。このように薄膜磁気記録媒体
への潤滑剤に対する要求は非常に厳しいものがあり、様
々な工夫がなされているが、要求特性を満足させるよう
な潤滑剤はまだ存在しない。
子構造に非常に強く依存する。何種類かのパーフルオロ
ポリエーテルが市販されていて、それらは分子量、主鎖
の繰り返し単位、末端基がそれぞれ異なる。例えばFo
mblin−Y(モンテカチニ社製)タイプはCF(C
F3 )CF2 OとCF2 Oのランダム重合体で主鎖の繰
り返し単位が分岐構造を持っているのに対して、Fom
blin−ZタイプはCF2 CF2 OとCF2 Oの重合
体で直鎖構造を持つ。Demnum(ダイキン工業社
製)タイプおよびKrytox(デュポン社製)タイプ
はそれぞれヘキサフルオロプロピレンオキシドおよびヘ
キサフルオロイソプロピレンオキシドのホモポリマーで
ある。化学的に不活性なために、パーフルオロポリエー
テルは磁気媒体表面での吸着能力に欠ける。そこで吸着
力を改善するために、両末端に極性基を持つパーフルオ
ロポリエーテル、Fomblin−Z−DOL(水酸
基)やFomblin AM2001(ピペロニル基)
が開発された。FomblinAM2001は特に金属
表面やカーボン表面で非常に強い固定化作用があり、末
端の極性基の導入により摩擦係数が減少し、磁気ディス
クの耐用年数が増加する。このように薄膜磁気記録媒体
への潤滑剤に対する要求は非常に厳しいものがあり、様
々な工夫がなされているが、要求特性を満足させるよう
な潤滑剤はまだ存在しない。
【0013】また、相対速度が数m/sを越える磁気記
録システムにおいて、接触部分で発生する摩擦熱は表面
温度を瞬時ではあるが急激に増加させる。そのヘッドと
媒体の接触点での温度の正確な測定方法はまだないが、
計算による評価では数百度を越えると見積もられてい
る。特にこのような境界潤滑条件下では反応性の表面が
現れるので、このような接触点での温度によって潤滑剤
分子の分解反応が促進される。
録システムにおいて、接触部分で発生する摩擦熱は表面
温度を瞬時ではあるが急激に増加させる。そのヘッドと
媒体の接触点での温度の正確な測定方法はまだないが、
計算による評価では数百度を越えると見積もられてい
る。特にこのような境界潤滑条件下では反応性の表面が
現れるので、このような接触点での温度によって潤滑剤
分子の分解反応が促進される。
【0014】パーフルオロポリエーテルは、空気中では
350℃以上の温度でも安定であるが、金属合金、例え
ば鉄やチタン合金、あるいはルイス酸やルイス塩基、例
えばAlCl3 ,FeF3 ,Al2 O3 の存在下では分
解し易くなる。
350℃以上の温度でも安定であるが、金属合金、例え
ば鉄やチタン合金、あるいはルイス酸やルイス塩基、例
えばAlCl3 ,FeF3 ,Al2 O3 の存在下では分
解し易くなる。
【0015】このような潤滑剤の分解は潤滑特性に悪影
響を及ぼし、延いてはそれが磁気記録システムの信頼性
を損なう結果となる。それゆえに潤滑特性ばかりでな
く、分解の少ない潤滑剤の開発が必要となってくる。ま
たパーフルオロポリエーテル類に関しては、フロン類に
しか溶解せずに地球環境的にも問題である。
響を及ぼし、延いてはそれが磁気記録システムの信頼性
を損なう結果となる。それゆえに潤滑特性ばかりでな
く、分解の少ない潤滑剤の開発が必要となってくる。ま
たパーフルオロポリエーテル類に関しては、フロン類に
しか溶解せずに地球環境的にも問題である。
【0016】以上のように、潤滑剤への要求特性は非常
に厳しく、熱的あるいは化学的な安定性、あるいは媒体
表面との吸着性をとっても磁気記録媒体の信頼性を完全
に満足できていないのが現状である。
に厳しく、熱的あるいは化学的な安定性、あるいは媒体
表面との吸着性をとっても磁気記録媒体の信頼性を完全
に満足できていないのが現状である。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】上述したように、磁気
記録媒体の分野においては、使用される潤滑剤、および
保護膜の能力不足に起因して、走行性、耐久性等の実用
特性に不満を残している。
記録媒体の分野においては、使用される潤滑剤、および
保護膜の能力不足に起因して、走行性、耐久性等の実用
特性に不満を残している。
【0018】そこで本発明は、各種使用条件下において
優れた潤滑性が保たれるとともに、長時間にわたり潤滑
効果が持続され、走行性、耐摩耗性、耐久性等に優れた
磁気記録媒体を提供することを目的とするものである。
具体的には、フッ素系潤滑剤、炭化水素系潤滑剤および
極性基のそれぞれの利点を生かした潤滑剤の分子設計を
行った結果、分子内に水酸基と長鎖の炭化水素基を持つ
パーフルオロポリエーテル系潤滑剤を新規に合成するこ
とによってその目的を達成する。
優れた潤滑性が保たれるとともに、長時間にわたり潤滑
効果が持続され、走行性、耐摩耗性、耐久性等に優れた
磁気記録媒体を提供することを目的とするものである。
具体的には、フッ素系潤滑剤、炭化水素系潤滑剤および
極性基のそれぞれの利点を生かした潤滑剤の分子設計を
行った結果、分子内に水酸基と長鎖の炭化水素基を持つ
パーフルオロポリエーテル系潤滑剤を新規に合成するこ
とによってその目的を達成する。
【0019】
【課題を解決するための手段】本発明は、下記一般式1
あるいは一般式2で示される分子内に水酸基と長鎖の炭
化水素基を持つパーフルオロポリエーテル系潤滑剤およ
びこれを磁性層に塗布もしくは内添させ磁気記録媒体で
ある。
あるいは一般式2で示される分子内に水酸基と長鎖の炭
化水素基を持つパーフルオロポリエーテル系潤滑剤およ
びこれを磁性層に塗布もしくは内添させ磁気記録媒体で
ある。
【0020】(一般式1) Rf R1 XR2 YR (一般式2) RYR2 XR1 Rf R1 XR2 YR 但し、Rf はパーフルオロポリエーテルを示し、Rは炭
化水素、R2 は炭化水素鎖、R1 は水酸基を持つ炭化水
素。
化水素、R2 は炭化水素鎖、R1 は水酸基を持つ炭化水
素。
【0021】
【作用】本発明は、上述したように、分子内に水酸基お
よび長鎖炭化水素を持つパーフルオロポリエーテル系潤
滑剤を塗布した磁気記録媒体は、良好な潤滑作用を発揮
することができるものであり、更にこの磁気記録媒体
は、摩擦係数を低減することができるばかりでなく、ス
チル耐久性、シャトル耐久性を改できた。また、この潤
滑作用は低温下等の過酷な条件下においても損なわれる
ことがない。
よび長鎖炭化水素を持つパーフルオロポリエーテル系潤
滑剤を塗布した磁気記録媒体は、良好な潤滑作用を発揮
することができるものであり、更にこの磁気記録媒体
は、摩擦係数を低減することができるばかりでなく、ス
チル耐久性、シャトル耐久性を改できた。また、この潤
滑作用は低温下等の過酷な条件下においても損なわれる
ことがない。
【0022】
【実施例】本発明による潤滑剤は、下記一般式1あるい
は一般式2で示される分子内に水酸基と長鎖の炭化水素
基を持つパーフルオロポリエーテル系潤滑剤である。ま
た、本発明による磁気記録媒体は、非磁性支持体上に形
成した磁性層上に、下記一般式1あるいは一般式2で示
される分子内に水酸基と長鎖の炭化水素基を持つパーフ
ルオロポリエーテル系潤滑剤を塗布する。
は一般式2で示される分子内に水酸基と長鎖の炭化水素
基を持つパーフルオロポリエーテル系潤滑剤である。ま
た、本発明による磁気記録媒体は、非磁性支持体上に形
成した磁性層上に、下記一般式1あるいは一般式2で示
される分子内に水酸基と長鎖の炭化水素基を持つパーフ
ルオロポリエーテル系潤滑剤を塗布する。
【0023】(一般式1) Rf R1 XR2 YR (一般式2) RYR2 XR1 Rf R1 XR2 YR 但し、Rf はパーフルオロポリエーテルを示し、Rは炭
化水素、R2 は炭化水素鎖、R1 は水酸基を持つ炭化水
素、X,Yについてはそれぞれ結合原子あるいは原子団
を示す。
化水素、R2 は炭化水素鎖、R1 は水酸基を持つ炭化水
素、X,Yについてはそれぞれ結合原子あるいは原子団
を示す。
【0024】すなわち、本発明の磁気記録媒体は、非磁
性支持体上に少なくとも磁性層を持ちかつ長鎖炭化水素
を併せ持つパーフルオロポリエーテル系潤滑剤を塗布し
た構成とする。
性支持体上に少なくとも磁性層を持ちかつ長鎖炭化水素
を併せ持つパーフルオロポリエーテル系潤滑剤を塗布し
た構成とする。
【0025】本発明は、例えば蒸着テープのような薄膜
磁気記録媒体を高温高湿あるいは低温低湿等の、過酷な
条件下で使用した場合にでも良好な耐久性が得られ、し
かもその特性が劣化しないものである。この潤滑剤の膜
厚は、50nm〜5nmとする。これは、50nmを越
えると電磁変換特性の悪化が問題となってくること、ま
た5nm未満では耐久性が不十分となってくることに因
る。
磁気記録媒体を高温高湿あるいは低温低湿等の、過酷な
条件下で使用した場合にでも良好な耐久性が得られ、し
かもその特性が劣化しないものである。この潤滑剤の膜
厚は、50nm〜5nmとする。これは、50nmを越
えると電磁変換特性の悪化が問題となってくること、ま
た5nm未満では耐久性が不十分となってくることに因
る。
【0026】ここで、本発明が適用される磁気記録媒体
としては、非磁性支持体表面に蒸着等の手法により磁性
層が形成される、いわゆる金属薄膜型の磁気記録媒体、
あるいは磁性層にバインダー(結合剤)あるいは添加剤
等とともに溶剤に溶解させ非磁性支持体基板に塗布する
塗布型磁気記録媒体に適用することができる。
としては、非磁性支持体表面に蒸着等の手法により磁性
層が形成される、いわゆる金属薄膜型の磁気記録媒体、
あるいは磁性層にバインダー(結合剤)あるいは添加剤
等とともに溶剤に溶解させ非磁性支持体基板に塗布する
塗布型磁気記録媒体に適用することができる。
【0027】また、これら磁気記録媒体においては、非
磁性支持体と磁性層との間に下地層を介した構成の磁気
記録媒体に適用することもできる。
磁性支持体と磁性層との間に下地層を介した構成の磁気
記録媒体に適用することもできる。
【0028】磁気記録媒体の非磁性支持体、磁性層は、
何等限定されるものではなく、従来より知られているる
いずれのものも使用できる。例示するならば、非磁性支
持体としては塗布型の磁気記録媒体と同様の例えばポリ
エチレンテレフタレート等が使用可能である。この場
合、非磁性支持体にAl合金板やガラス板等の剛性を有
する基板を使用した場合には、基板表面にアルマイト処
理等の酸化皮膜やNi−P皮膜等を形成してその表面を
硬くするようにしてもよい。
何等限定されるものではなく、従来より知られているる
いずれのものも使用できる。例示するならば、非磁性支
持体としては塗布型の磁気記録媒体と同様の例えばポリ
エチレンテレフタレート等が使用可能である。この場
合、非磁性支持体にAl合金板やガラス板等の剛性を有
する基板を使用した場合には、基板表面にアルマイト処
理等の酸化皮膜やNi−P皮膜等を形成してその表面を
硬くするようにしてもよい。
【0029】磁性層としての金属磁性薄膜は、メッキや
スパッタリング、真空蒸着等のPVD(物理的気相成長
法)の手法により連続膜として形成されるもので、F
e,Co,Ni等の金属やCo−Ni系合金、Co−P
t系合金、Co−Pt−Ni系合金、Fe−Co系合
金、Fe−Ni系合金、Fe−Co−Ni系合金、Fe
−Ni−B系合金、Fe−Co−B系合金、Fe−Co
−Ni−B系合金等からなる面内磁化記録金属磁性膜や
Co−Cr系合金薄膜が例示される。
スパッタリング、真空蒸着等のPVD(物理的気相成長
法)の手法により連続膜として形成されるもので、F
e,Co,Ni等の金属やCo−Ni系合金、Co−P
t系合金、Co−Pt−Ni系合金、Fe−Co系合
金、Fe−Ni系合金、Fe−Co−Ni系合金、Fe
−Ni−B系合金、Fe−Co−B系合金、Fe−Co
−Ni−B系合金等からなる面内磁化記録金属磁性膜や
Co−Cr系合金薄膜が例示される。
【0030】特に、面内磁化記録金属磁性薄膜の場合、
予め非磁性支持体上にBi,Sb,Pb,Sn,Ga,
In,Ge,Si,Ti等の低融点非磁性材料の下地層
を形成しておき、金属磁性材料を垂直方向から蒸着ある
いはスパッタし、金属磁性薄膜中にこれら低融点非磁性
材料を拡散せしめ、配向性を解消して面内等方性を確保
するとともに、抗磁性を向上するようにしても良い。
予め非磁性支持体上にBi,Sb,Pb,Sn,Ga,
In,Ge,Si,Ti等の低融点非磁性材料の下地層
を形成しておき、金属磁性材料を垂直方向から蒸着ある
いはスパッタし、金属磁性薄膜中にこれら低融点非磁性
材料を拡散せしめ、配向性を解消して面内等方性を確保
するとともに、抗磁性を向上するようにしても良い。
【0031】塗布型において使用される磁性粉として
は、通常のこの種磁気記録媒体の磁性粉として用いられ
るものであればいかなるものも使用可能である。例示す
るならば、強磁性酸化鉄粒子、強磁性CrO2 、強磁性
コバルトフェライト(CoO−Fe2 O3 )、コバルト
吸着酸化物、強磁性Fe−Co−Ni系合金、六方晶系
バリウムフェライト、窒化鉄等の微粒子を挙げることが
できる。強磁性酸化鉄微粒子の場合一般式FeOxで表
現した場合、xの値が1.33<x<1.51の範囲に
あるもの、即ちマグヘマタイト(γ−Fe2 O3 、x=
1.5)、マグネタイト(Fe3 O4 、x=4/3)及
びこれらの固溶体が挙げられる。更に、これらの強磁性
体酸化鉄には、抗磁力を挙げる目的でコバルトを添加し
てもよい。
は、通常のこの種磁気記録媒体の磁性粉として用いられ
るものであればいかなるものも使用可能である。例示す
るならば、強磁性酸化鉄粒子、強磁性CrO2 、強磁性
コバルトフェライト(CoO−Fe2 O3 )、コバルト
吸着酸化物、強磁性Fe−Co−Ni系合金、六方晶系
バリウムフェライト、窒化鉄等の微粒子を挙げることが
できる。強磁性酸化鉄微粒子の場合一般式FeOxで表
現した場合、xの値が1.33<x<1.51の範囲に
あるもの、即ちマグヘマタイト(γ−Fe2 O3 、x=
1.5)、マグネタイト(Fe3 O4 、x=4/3)及
びこれらの固溶体が挙げられる。更に、これらの強磁性
体酸化鉄には、抗磁力を挙げる目的でコバルトを添加し
てもよい。
【0032】上記強磁性二酸化クロムとしては、Cr
O、あるいは抗磁力を向上させる目的で、Ru、Sn、
Te、Sb、Fe、Ti、V、Mn等の少なくとも1種
類をCrOに添加したものを使用することができる。強
磁性合金粉末としては、Fe合金粉末、Co合金粉末、
Ni合金粉末、並びに、Fe−CO、Fe−Ni、Fe
−Co−Ni、Co−Ni、Fe−Co−B、Fe−C
o−Cr−B、Mn−Bi、Mn−Al、Fe−Co−
V等の合金粉末あるいはこれらの合金と他の元素との化
合物である合金粉末を使用することができる。
O、あるいは抗磁力を向上させる目的で、Ru、Sn、
Te、Sb、Fe、Ti、V、Mn等の少なくとも1種
類をCrOに添加したものを使用することができる。強
磁性合金粉末としては、Fe合金粉末、Co合金粉末、
Ni合金粉末、並びに、Fe−CO、Fe−Ni、Fe
−Co−Ni、Co−Ni、Fe−Co−B、Fe−C
o−Cr−B、Mn−Bi、Mn−Al、Fe−Co−
V等の合金粉末あるいはこれらの合金と他の元素との化
合物である合金粉末を使用することができる。
【0033】その上に潤滑剤を保有せしめる方法として
は、最も一般的な方法としては金属磁性薄膜表面や前記
保護膜表面に潤滑剤層を同様にディップコーティングす
る方法が挙げられる。この場合、潤滑剤の塗布量として
は、0.5〜100mg/m 2 であることが望ましく、
1〜20mg/m2 であることがより好ましい。これ
は、1mg/m2 未満、特に0.5mg/m2 未満では
耐久性に問題が生じ、20mg/m2 を超えると、特に
100mg/m2 を超えると、磁気記録媒体の駆動シス
テムにおける摺動部との“はりつき”の問題が生じてく
ることになる。
は、最も一般的な方法としては金属磁性薄膜表面や前記
保護膜表面に潤滑剤層を同様にディップコーティングす
る方法が挙げられる。この場合、潤滑剤の塗布量として
は、0.5〜100mg/m 2 であることが望ましく、
1〜20mg/m2 であることがより好ましい。これ
は、1mg/m2 未満、特に0.5mg/m2 未満では
耐久性に問題が生じ、20mg/m2 を超えると、特に
100mg/m2 を超えると、磁気記録媒体の駆動シス
テムにおける摺動部との“はりつき”の問題が生じてく
ることになる。
【0034】塗布型媒体の場合には磁性層内に潤滑剤を
内添する方法もある。
内添する方法もある。
【0035】分子内に水酸基を持ちかつ長鎖炭化水素を
併せ持つパーフルオロポリエーテル系潤滑剤についての
必要な条件として、 1)パーフルオロポリエーテル基を有すること 2)分子内に水酸基を有すること 3)さらに溶解性を考慮した場合には長鎖炭化水素基を
併せ持つこと、がある(但し、3については潤滑特性か
らは必要条件ではない。) また長鎖炭化水素とパーフルオロポリエーテルの結合
基、つまり一般式1あるいは2中のX及びYについては
特に指定はない。パーフルオロポリエーテルの分子構造
としては、単官能のパーフルオロポリエーテルとしては
例えばパーフルオロプロピルオキシ基を持ったF(CF
2 CF2CF2 O)n や、パーフルオロプロピルオキシ
基及びパーフルオロオキシメチレン基の共重合体である
併せ持つパーフルオロポリエーテル系潤滑剤についての
必要な条件として、 1)パーフルオロポリエーテル基を有すること 2)分子内に水酸基を有すること 3)さらに溶解性を考慮した場合には長鎖炭化水素基を
併せ持つこと、がある(但し、3については潤滑特性か
らは必要条件ではない。) また長鎖炭化水素とパーフルオロポリエーテルの結合
基、つまり一般式1あるいは2中のX及びYについては
特に指定はない。パーフルオロポリエーテルの分子構造
としては、単官能のパーフルオロポリエーテルとしては
例えばパーフルオロプロピルオキシ基を持ったF(CF
2 CF2CF2 O)n や、パーフルオロプロピルオキシ
基及びパーフルオロオキシメチレン基の共重合体である
【0036】 や、パーフルオロイソプロピルオキシ基を持った、 があり、多官能のパーフルオロポリエーテルとしては、
例えばパーフルオロオキシエチレン基とパーフルオロオ
キシメチレン基との共重合体である、(OC2 F4 )p
(OCF2 )q 等がある。ここで、上記パーフルオロポ
リエーテルの化学構造式中の、l、m、n、k、p、q
は1以上の整数を示す。また、その分子量としては特に
限定はしないが600から5000程度が好ましい。分
子量が大きくなりすぎると長鎖炭化水素及び水酸基の効
果が小さくなり、小さいとパーフルオロポリエーテル基
の効果が薄れる。また、多官能の場合のp及びqの比に
ついては0.5から2の間が好ましい。
例えばパーフルオロオキシエチレン基とパーフルオロオ
キシメチレン基との共重合体である、(OC2 F4 )p
(OCF2 )q 等がある。ここで、上記パーフルオロポ
リエーテルの化学構造式中の、l、m、n、k、p、q
は1以上の整数を示す。また、その分子量としては特に
限定はしないが600から5000程度が好ましい。分
子量が大きくなりすぎると長鎖炭化水素及び水酸基の効
果が小さくなり、小さいとパーフルオロポリエーテル基
の効果が薄れる。また、多官能の場合のp及びqの比に
ついては0.5から2の間が好ましい。
【0037】これらの潤滑剤は単独で磁気記録媒体の上
に塗布してもよいが、従来公知の潤滑剤、例えば一般的
に磁気記録媒体に使用されている長鎖のカルボン酸ある
いはそのエステル類、長鎖アルコール類と組み合わせて
用いてもよい。
に塗布してもよいが、従来公知の潤滑剤、例えば一般的
に磁気記録媒体に使用されている長鎖のカルボン酸ある
いはそのエステル類、長鎖アルコール類と組み合わせて
用いてもよい。
【0038】さらに、より厳しい条件に対処し潤滑効果
を持続させるために重量比30:70から70:30程
度の配合比で極圧剤を併用してもよい。極圧剤は、境界
潤滑領域において部分的に金属接触を生じたときにこれ
に伴う摩擦熱によって金属面と反応し、反応生成物皮膜
を形成することにより摩擦、摩耗防止作用を行うもので
あって、リン系極圧剤、硫黄系極圧剤、ハロゲン系極圧
剤、有機金属系極圧剤、複合系極圧剤等のいずれも使用
できる。
を持続させるために重量比30:70から70:30程
度の配合比で極圧剤を併用してもよい。極圧剤は、境界
潤滑領域において部分的に金属接触を生じたときにこれ
に伴う摩擦熱によって金属面と反応し、反応生成物皮膜
を形成することにより摩擦、摩耗防止作用を行うもので
あって、リン系極圧剤、硫黄系極圧剤、ハロゲン系極圧
剤、有機金属系極圧剤、複合系極圧剤等のいずれも使用
できる。
【0039】また、上述の潤滑剤、極圧剤の他、必要に
応じて、防錆剤を併用してもよい。防錆剤としては、通
常この種の磁気記録媒体の防錆剤として使用されるもの
であればいずれも使用でき、例えばフェノール類、ナフ
トール類、キノン類、窒素原子を含む複素環化合物、酸
素原子を含む複素環化合物、硫黄原子を含む複素環化合
物等である。
応じて、防錆剤を併用してもよい。防錆剤としては、通
常この種の磁気記録媒体の防錆剤として使用されるもの
であればいずれも使用でき、例えばフェノール類、ナフ
トール類、キノン類、窒素原子を含む複素環化合物、酸
素原子を含む複素環化合物、硫黄原子を含む複素環化合
物等である。
【0040】また、上述の金属薄膜型の磁気記録媒体に
おいて、磁性層である金属磁性薄膜の他に、バックコー
ト層や磁性膜の下に下塗層等が必要に応じて形成されて
いてもよい。
おいて、磁性層である金属磁性薄膜の他に、バックコー
ト層や磁性膜の下に下塗層等が必要に応じて形成されて
いてもよい。
【0041】以下、本発明の具体的な実施例について説
明するが、本発明はこの実施例に限定されるものではな
いことはいうまでもない。下記表1に示す合成物を使用
して以下に示す磁気記録媒体を作成した。金属薄膜型磁
気記録媒体(蒸着テープ)に適用した実施例について説
明する。
明するが、本発明はこの実施例に限定されるものではな
いことはいうまでもない。下記表1に示す合成物を使用
して以下に示す磁気記録媒体を作成した。金属薄膜型磁
気記録媒体(蒸着テープ)に適用した実施例について説
明する。
【0042】〔実施例1〕厚さ14μmのポリエチレン
テレフタレートフィルムによる非磁性支持体上に斜方蒸
着法によりCoを被着させ、膜厚200nmの強磁性金
属薄膜を形成した。次に、下記表1中の潤滑剤1をトル
エン溶媒に溶解したものを塗布量が5mg/m2 となる
ように塗布し、8ミリ幅に裁断してサンプルテープを作
製した。
テレフタレートフィルムによる非磁性支持体上に斜方蒸
着法によりCoを被着させ、膜厚200nmの強磁性金
属薄膜を形成した。次に、下記表1中の潤滑剤1をトル
エン溶媒に溶解したものを塗布量が5mg/m2 となる
ように塗布し、8ミリ幅に裁断してサンプルテープを作
製した。
【0043】〔実施例2〜実施例13〕実施例1におい
て、潤滑剤として使用した表1中の潤滑剤1を、潤滑剤
2〜潤滑剤13に変えて、他は実施例1と同様の方法の
よりサンプルテープを作製した。なお、溶剤としてトル
エンとヘキサンの1対1の混合溶媒を使用した。上述の
ようにして作製された各サンプルテープについて、温度
25℃湿度60%のとき、温度−5℃のとき、温度40
℃湿度80%の条件下での摩擦係数、スチルおよびシャ
トル耐久性について測定を行った。スチル耐久性につい
てはポーズ状態での出力の3dB低下までの減衰時間を
評価した。シャトル耐久性は1回につき2分間のシャト
ル走行を行い出力が3dB低下するまでのシャトル回数
で評価した。その結果を下記表2および表3に示す。
て、潤滑剤として使用した表1中の潤滑剤1を、潤滑剤
2〜潤滑剤13に変えて、他は実施例1と同様の方法の
よりサンプルテープを作製した。なお、溶剤としてトル
エンとヘキサンの1対1の混合溶媒を使用した。上述の
ようにして作製された各サンプルテープについて、温度
25℃湿度60%のとき、温度−5℃のとき、温度40
℃湿度80%の条件下での摩擦係数、スチルおよびシャ
トル耐久性について測定を行った。スチル耐久性につい
てはポーズ状態での出力の3dB低下までの減衰時間を
評価した。シャトル耐久性は1回につき2分間のシャト
ル走行を行い出力が3dB低下するまでのシャトル回数
で評価した。その結果を下記表2および表3に示す。
【0044】
【表1】
【0045】
【表2】
【0046】
【表3】
【0047】〔比較例1〕実施例1において、下記表4
に示したように、潤滑剤を保有していないブランクテー
プとした。 〔比較例2〜4〕実施例1において、潤滑剤として下記
表4に示すパーフルオロポリエーテルを用いた。
に示したように、潤滑剤を保有していないブランクテー
プとした。 〔比較例2〜4〕実施例1において、潤滑剤として下記
表4に示すパーフルオロポリエーテルを用いた。
【0048】
【表4】
【0049】比較例1〜4の各摩擦係数およびスチル耐
久性とシャトル耐久性の測定結果を下記表5に示す。
久性とシャトル耐久性の測定結果を下記表5に示す。
【0050】
【表5】
【0051】表2及び表3と表5を比較してから明らか
なように、磁性層上に分子内に水酸基及び長鎖炭化水素
を持つパーフルオロポリエーテル系潤滑剤は市販のパー
フルオロポリエーテルを潤滑剤として使用することと比
較して、摩擦係数、スチル耐久性、シャトル耐久性等の
耐久性は、各種条件で非常に良好な結果が得られた。ま
たエージング(Aging)による劣化もほとんどなく
優れた結果を示す。
なように、磁性層上に分子内に水酸基及び長鎖炭化水素
を持つパーフルオロポリエーテル系潤滑剤は市販のパー
フルオロポリエーテルを潤滑剤として使用することと比
較して、摩擦係数、スチル耐久性、シャトル耐久性等の
耐久性は、各種条件で非常に良好な結果が得られた。ま
たエージング(Aging)による劣化もほとんどなく
優れた結果を示す。
【0052】
【発明の効果】上述したところから明らかなように、本
発明は新規に開発した分子内に水酸基及び長鎖炭化水素
基を持つパーフルオロポリエーテル系潤滑剤であり、そ
れを塗布した磁気記録媒体は、如何なる条件下でも潤滑
性を保つことができ、また長期にわたりその潤滑性を保
つことができる。
発明は新規に開発した分子内に水酸基及び長鎖炭化水素
基を持つパーフルオロポリエーテル系潤滑剤であり、そ
れを塗布した磁気記録媒体は、如何なる条件下でも潤滑
性を保つことができ、また長期にわたりその潤滑性を保
つことができる。
【0053】また、その特性についてはパーフルオロポ
リエーテルの分子構造に依存せず良好な潤滑特性を示
す。
リエーテルの分子構造に依存せず良好な潤滑特性を示
す。
【0054】したがって、本発明の磁気記録媒体は、走
行性、耐摩耗性、耐久性に優れたものである。
行性、耐摩耗性、耐久性に優れたものである。
【0055】また、パーフルオロポリエーテルでありな
がら炭化水素を導入した結果トルエンあるいはヘキサン
といった炭化水素系溶剤にも溶解し、その潤滑特性は溶
剤に依存しない。
がら炭化水素を導入した結果トルエンあるいはヘキサン
といった炭化水素系溶剤にも溶解し、その潤滑特性は溶
剤に依存しない。
Claims (2)
- 【請求項1】 下記一般式1あるいは一般式2で示され
る分子内に水酸基と長鎖の炭化水素基を持つパーフルオ
ロポリエーテル系潤滑剤であることを特徴とする潤滑
剤。 (一般式1) Rf R1 XR2 YR (一般式2) RYR2 XR1 Rf R1 XR2 YR 但し、Rf はパーフルオロポリエーテルを示し、Rは炭
化水素、R2 は炭化水素鎖、R1 は水酸基を持つ炭化水
素、X,Yについてはそれぞれ結合原子あるいは原子団
を示す。 - 【請求項2】 非磁性支持体上に少なくとも磁性層を有
してなる磁気記録媒体において、 下記一般式1あるいは一般式2で示される分子内に水酸
基と長鎖の炭化水素基を持つパーフルオロポリエーテル
系潤滑剤を上記磁性層上に塗布もしくは上記磁性層に内
添したことを特徴とする磁気記録媒体。 (一般式1) Rf R1 XR2 YR (一般式2) RYR2 XR1 Rf R1 XR2 YR 但し、Rf はパーフルオロポリエーテルを示し、Rは炭
化水素、R2 は炭化水素鎖、R1 は水酸基を持つ炭化水
素、X,Yについてはそれぞれ結合原子あるいは原子団
を示す。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP7130629A JPH08319492A (ja) | 1995-05-29 | 1995-05-29 | 潤滑剤およびそれを用いた磁気記録媒体 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP7130629A JPH08319492A (ja) | 1995-05-29 | 1995-05-29 | 潤滑剤およびそれを用いた磁気記録媒体 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH08319492A true JPH08319492A (ja) | 1996-12-03 |
Family
ID=15038823
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP7130629A Pending JPH08319492A (ja) | 1995-05-29 | 1995-05-29 | 潤滑剤およびそれを用いた磁気記録媒体 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH08319492A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2009245491A (ja) * | 2008-03-30 | 2009-10-22 | Hoya Corp | 磁気ディスク及びその製造方法 |
-
1995
- 1995-05-29 JP JP7130629A patent/JPH08319492A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2009245491A (ja) * | 2008-03-30 | 2009-10-22 | Hoya Corp | 磁気ディスク及びその製造方法 |
US9005782B2 (en) | 2008-03-30 | 2015-04-14 | WD Media, LLC | Magnetic disk and method of manufacturing the same |
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