JPH1069630A - 磁気記録媒体 - Google Patents

磁気記録媒体

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JPH1069630A
JPH1069630A JP24728296A JP24728296A JPH1069630A JP H1069630 A JPH1069630 A JP H1069630A JP 24728296 A JP24728296 A JP 24728296A JP 24728296 A JP24728296 A JP 24728296A JP H1069630 A JPH1069630 A JP H1069630A
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JP
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magnetic
lubricant
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layer
magnetic recording
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JP24728296A
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English (en)
Inventor
Yasuyo Hisamichi
康代 久道
Tomomi Sekimoto
友美 関本
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Sony Corp
Original Assignee
Sony Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 長期に亘り、良好な潤滑効果を示す潤滑層を
有し、走行性、耐摩耗性、耐久性等、特にスチル特性や
シャトル特性に優れた磁気記録媒体を提供する。 【解決手段】 非磁性支持体1上に磁性層2と更に潤滑
剤からなる潤滑層3とが形成されてなる磁気記録媒体又
は非磁性支持体1上に潤滑剤を含有する磁性層2aが形
成されてなる磁気記録媒体において、潤滑剤としてフッ
素系潤滑剤を使用し、且つ磁気記録媒体の磁性層2(2
a)側からX線光電子分光分析の測定を行った場合に、
Z=[Ablank]/A{式中、Aは磁性層主成分原子ス
ペクトル積分強度であり、[Ablank]は潤滑層が形成
されていない磁性層、又は少なくとも表面から10nm
以内の潤滑剤を除去した磁性層をX線光電子分光分析し
た場合に得られる磁性層主成分原子スペクトル積分強度
である。}で定義されるZの値を1.15〜4.50と
する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、表面に潤滑層を有
する磁気テープや磁気ディスクなどの磁気記録媒体に関
する。特に、長期に亘り良好な潤滑効果を示す潤滑層を
有し、走行性、耐摩耗性、耐久性等に優れた磁気記録媒
体に関する。
【0002】
【従来の技術】磁気記録媒体の一つとして、強磁性金属
材料を蒸着法等により非磁性支持体上に被着させて磁性
層を形成した金属薄膜型のものが知られている。この種
の磁気記録媒体は、磁性層表面が非常に滑らかであるた
め、磁気ヘッドやガイドローラー等の摺動部材に対する
実質的な接触面積が大きくなり、従って摩擦係数が大き
くなり凝着現象(いわゆる張り付き)が起き易く走行性
や耐久性に欠けるという欠点を有する。
【0003】例えば、8mmビデオデッキに挿入された
磁気テープは、ピンチローラーとキャップスタンによっ
て一定のテープテンション(約20g)と一定のテープ
走行速度(0.5cm/sec)とに保たれながら、1
0個以上のステンレス性の固定されたガイドピンに接触
しながら、ドラムに巻き付けられる。従って、テープ表
面の摩擦係数が大きくなると、テープがスティックスリ
ップを起こして、いわゆるテープ鳴きという現象が生
じ、再生画面のひきつれを生じる。また、テープとヘッ
ドとの相対速度が非常に大きいために、特にポーズ状態
では同じ場所での高速接触となるので、磁性層が摩耗
し、再生出力が低下するという問題が生じる。この問題
は、磁性層が非常に薄い蒸着テープの場合には非常に深
刻なものとなる。
【0004】また、ハードディスク装置においては、C
SS(コンタクト・スタート・ストップ)操作、即ち磁
気ヘッドが回転前にはディスクに接触し、高速で回転を
始めると発生する空気流によって浮上する操作が行われ
る。そのため、起動停止あるいは起動時には媒体を擦っ
て走行するので、その際の摩擦増加が逆に大きな問題と
なる。具体的な商品レベルの信頼性を保つためには、C
SS操作を2万回行なった後の摩擦係数が0.5以下で
あることが望まれている。また、高速で回転しているの
で、ヘッドと磁気記録媒体とのヘッドクラッシュの問題
も薄膜型磁気記録媒体では課題の一つとなっている。
【0005】そこで、これらの問題点を改善するため
に、磁気記録媒体の磁性層上に各種の潤滑剤をトップコ
ートすることが試みられている。このような磁気記録媒
体に使用する潤滑剤に対しては、以下の(a)〜(c)
に示すような特性が要求されている: (a)寒冷地での使用に際して所期の潤滑効果が確保で
きる優れた低温特性を有すること; (b)磁気ヘッドとのスペーシングの問題をできる限り
回避するために、極めて薄く成膜できること;及び (c)長期に亘り潤滑効果が持続すること。
【0006】ところで、磁気記録媒体の潤滑層を形成す
るために従来より用いられてきた潤滑剤は、大別してシ
リコーン系潤滑剤、炭化水素系潤滑剤及びフッ素系潤滑
剤の3種類に分類される。
【0007】シリコーン系潤滑剤は、熱安定性に優れて
おり、しかも蒸気圧が比較的低いので、塗布型の磁気記
録媒体においては広く用いられている。しかし、非常に
表面性の良好な薄膜型の磁気記録媒体に適用した場合に
は、その表面で配向した潤滑膜を形成し、満足できる潤
滑特性を得ることは困難である。即ち、この潤滑層は十
分な潤滑効果を示さず、ピンオンディスクの摩耗加速試
験、あるいはCSS試験での潤滑特性は十分なものでは
ないという欠点がある。
【0008】炭化水素系潤滑剤は、塗布型の磁気記録媒
体において、現在でも主流の潤滑剤として使用されてい
る。しかし、熱的あるいは化学的な安定性に関し、炭化
水素系潤滑剤は一般的にはシリコーン系潤滑剤やフッ素
系潤滑剤に比べ十分ではない。また、炭化水素系潤滑剤
からは、摩擦によってフリクショナルポリマーが生成し
やすいという欠点も有する。このようなフリクショナル
ポリマーが生成すると、潤滑層の摩擦係数を増大させ、
磁気記録媒体に致命的な欠陥をもたらす場合がある。ま
た、炭化水素系潤滑剤の場合、蒸気圧が比較的高いため
に、磁気記録媒体の表面から徐々に揮散してしまい、長
期に亘り安定した潤滑効果が得られないという欠点があ
る。
【0009】フッ素系潤滑剤は、薄膜型の磁気記録媒体
において、現在、最も多く使用されている潤滑剤であ
る。フッ素系潤滑剤の中でも、パーフルオロポリエーテ
ル系潤滑剤は、他のフッ素系潤滑剤に比べて使用の割合
が高まっているが、これは、潤滑性能や表面保護作用が
良好であるためである。この理由は、パーフルオロポリ
エーテル系潤滑剤の中の部分構造のエーテル結合(-C
2-O-CF2-)がフレキシブルな結合であるので、他
の潤滑剤に比べ仮に分子量が同じであるとしても粘度が
低く、しかも幅広い温度領域で粘度が変化しないためと
考えられる。更に、化学的に不活性であり、蒸気圧も低
く、熱的あるいは化学的安定性にも優れており、表面エ
ネルギーが低く、境界潤滑特性にも優れており、更には
撥水性にも優れている。
【0010】最近、このような利点を有するパーフルオ
ロポリエーテル系潤滑剤に対し、磁気記録媒体表面に対
する吸着性を向上させ、更に摩擦係数を減少させ、磁気
記録媒体の耐用年数を向上させるために、分子の片末端
又は両末端に極性基(例えば水酸基、ピペロニル基等)
が導入されたパーフルオロポリエーテル系潤滑剤も開発
されている(Fomblim Z-DOL,Fomblim-AM2001等)。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
たように潤滑剤に対して数々の改良が加えられている
が、磁気記録媒体の潤滑層を形成するための潤滑剤に対
する前述の要求特性(a)〜(c)の要求レベルは益々
高くなり、そのため、今以上に厳しい要求特性の要求レ
ベルを満足できる潤滑剤を開発し、それを使用して磁気
記録媒体に潤滑層を設けた場合に、その磁気記録媒体に
優れた走行性、耐摩耗性、耐久性等、特に優れたスチル
特性やシャトル特性を実現できるようにすることが求め
られている。
【0012】例えば、薄膜型磁気記録媒体の場合、フッ
素系潤滑剤からなる潤滑層の厚みが薄すぎると走行性が
低下して耐久性が不十分となり、厚すぎると磁気ヘッド
との間でスペーシング損失による出力低下や潤滑剤自体
の粘性によるはりつきが生ずる。また、塗布型磁気記録
媒体の場合、フッ素系潤滑剤は磁性層を構成する強磁性
粉末とバインダー樹脂との間の密着性を低下させ、磁性
層の塗膜強度を低下させる。
【0013】本発明は、従来の技術の課題を解決しよう
とするものであり、特に、長期に亘り、良好な潤滑効果
を示す潤滑層を有し、走行性、耐摩耗性、耐久性等、特
にスチル特性やシャトル特性に優れた磁気記録媒体を提
供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明者は、磁気記録媒
体に使用する潤滑剤としてフッ素系潤滑剤を使用し、し
かも軟X線の照射により試料中の原子から叩き出された
光電子のエネルギースペクトルから試料の表面近傍の元
素の種類及び化学結合状態を分析する方法であって、炭
化水素系高分子中の光電子の透過率が小さくなることを
利用して高分子基材の表面から10nmまでの情報を得
ることができる分析方法であるX線光電子分光分析{E
SCA(Electron Spectroscopy for Chemical Analysi
s)}の結果を特定の式に基づき加工して得られた数値
が、一定の範囲に含まれるようにすることにより、上述
の目的を達成できることを見出し、本発明を完成させる
に至った。
【0015】即ち、本発明は、非磁性支持体上に磁性層
と更に潤滑剤からなる潤滑層とが形成されてなる磁気記
録媒体又は非磁性支持体上に潤滑剤を含有する磁性層が
形成されてなる磁気記録媒体において、潤滑剤としてフ
ッ素系潤滑剤を使用し、且つ磁気記録媒体の支持体と反
対側からX線光電子分光分析の測定を行った場合に、以
下の式(1)
【0016】
【数2】Z=[Ablank]/A (1) (式中、Aは磁性層主成分原子スペクトル積分強度であ
り、[Ablank]は潤滑層が形成されていない磁性層、
又は少なくとも表面から10nm以内の潤滑剤を除去し
た磁性層をX線光電子分光分析した場合に得られる磁性
層主成分原子スペクトル積分強度である。)で定義され
るZの値が、1.15〜4.50であることを特徴とす
る磁気記録媒体を提供する。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明の磁気記録媒体を詳
細に説明する。
【0018】本発明の磁気記録媒体の一例としては、図
1(a)に示すように、非磁性支持体1の上に磁性層2
と潤滑層3とが塗布により積層された構造の塗布型磁気
記録媒体や、図1(b)に示すように、非磁性支持体1
上に潤滑剤を含有する磁性塗料を塗布することにより形
成された磁性層2aが積層された磁気記録媒体を挙げる
ことができる。
【0019】このような構造を有する本発明の磁気記録
媒体は、その潤滑層3を構成する潤滑剤又は磁性層2a
に含有させる潤滑剤としてフッ素系潤滑剤を使用し、且
つ前述のZ値が1.15〜4.50の範囲にあることを
特徴としている。このような特徴を有する本発明の磁気
記録媒体は、少なくとも−5℃〜40℃(80%相対湿
度)という広く厳しい条件下でも良好な潤滑性を示す潤
滑層を有するので、長期に亘り良好な走行性、耐摩耗
性、耐久性等やスチル特性、シャトル特性を示す。
【0020】次に、式(1)で定義されるZの意味につ
いて詳細に説明する。
【0021】図2(a)に、Co−Ni金属磁性薄膜上
にパーフルオロポリエーテル系潤滑剤を塗布した磁気記
録媒体のESCA測定により得られたCo2pスペクト
ルチャートを示し、同図(b)にF1sスペクトルチャ
ートを示す。また、図3(a)に、Co−Ni金属磁性
薄膜上にパーフルオロポリエーテル系潤滑剤を塗布した
磁気記録媒体を溶媒抽出処理してパーフルオロポリエー
テル系潤滑剤を除去した後に、ESCA測定により得ら
れたCo2pスペクトルチャートを示し、同図(b)に
F1sスペクトルチャートを示す。これらの図から、パ
ーフルオロポリエーテル系潤滑剤が塗布された状態では
Co2pスペクトル強度が小さくなってことがわかる。
一般に、光電子は、炭化水素系高分子薄膜中を通過する
のに伴い、一定の確率に従い減衰していくことから、磁
性層主成分原子のスペクトル強度は潤滑剤層の厚さに感
度よく変化する。従って、Z値が大きいほど潤滑層の厚
さが厚いか、もしくは潤滑剤濃度が高いことを意味し、
逆にZ値が小さいほど潤滑層の厚みが薄くなるか、もし
くは潤滑剤濃度が低くなることを意味する。ここで、Z
値の範囲を1.15〜4.5とした理由は、1.15以
上であると磁気テープなどの磁気記録媒体の耐久性の向
上や摩擦係数を低減できる点で好ましいためであり、一
方、4.5以下であるとスペーシングロスの軽減や摩擦
係数を低減できる点で好ましいためである。
【0022】なお、ESCA測定の具体的な条件の一例
としては、X線強度:14kV−200W、X線アノー
ド種類:モノクロメータAl、測定X線:AlKα線、
測定時間:10分以内を挙げることができる。そして、
このような条件下で磁性層主成分原子(例えばCo、F
e、Ni、Cr)の有する特徴的な結合エネルギーにつ
いてスペクトルの取り込みを行う。この場合、F1s軌
道の炭素フッ素間で結合している有機性フッ素のもつ結
合エネルギー700eV〜680eVの範囲についても
取り込みを行う。このような測定に使用する具体的な装
置としては、アルバック・ファイ社製のESCA540
0MC型を使用することができる。
【0023】なお、Zの値の調整は、パーフルオロポリ
エーテル系潤滑剤等のフッ素系潤滑剤の種類、使用量等
により適宜調整することができる。
【0024】また、[Ablank]を求める場合、必要に
応じて溶媒抽出法やイオンエッチング法、ウルトラミク
ロトームによる表面切削法などにより潤滑層を除去して
もよい。これらの場合、潤滑層以外の磁性層表面をでき
るだけ削り取らないことが望ましい。
【0025】潤滑層3(図1(a))を構成する潤滑剤
又は磁性層2a(図1(b))に含有させるフッ素系潤
滑剤としては、パーフルオロポリエーテル系潤滑剤や含
フッ素カルボン酸系、それらのエステルやアミン塩など
を挙げることができる。これらのフッ素系潤滑剤は、従
来より公知の他の潤滑剤、例えば、長鎖カルボン酸又は
そのエステル、長鎖アルコール等を適宜併用することが
できる。
【0026】更に、より激しい使用条件下でも所望の潤
滑効果を実現するために、フッ素系潤滑剤に対し、3
0:70〜70:30程度の極圧剤を併用することがで
きる。ここで、極圧剤は、境界潤滑領域において部分的
に金属接触(例えば、メタルテープのメタル層とVTR
のメタルガイドとの金属接触等)が生じた際に、これに
伴って発生する摩擦熱によって金属面と反応し、反応生
成物皮膜を形成することにより、摩擦低下、摩耗防止作
用を行なうものであり、リン系極圧剤、イオウ系極圧
剤、ハロゲン系極圧剤、有機金属系極圧剤、複合系極圧
剤等を使用することができる。
【0027】なお、潤滑層3には、公知の防錆剤を配合
することができ、例えば、フェノール類、ナフトール
類、キノン類、窒素含有複素環式化合物類、酸素含有複
素環式化合物類、硫黄含有複素環式化合物類等を使用す
ることができる。
【0028】このような潤滑剤からなる潤滑層3の厚
み、あるいは磁性層2a中の潤滑剤濃度は、前述のZ値
が所定の範囲に入るように適宜決定することができる
が、電磁変換特性や走行性等を考慮すると、好ましくは
0.5〜50nmである。
【0029】本発明の磁気記録媒体において、非磁性支
持体1としては従来の磁気記録媒体において用いられて
いる非磁性支持体を使用することができ、例えば、ポリ
エチレンテレフタレート等のプラスチックシート、ガラ
ス基板、絶縁性酸化皮膜が形成されたアルミニウム板な
どを使用することができる。必要に応じてN−P皮膜等
の表面硬化膜を形成してもよい。
【0030】磁性層2としては、メッキやスパッタリン
グ、真空蒸着法等のPVD法により連続膜として非磁性
支持体1上に形成される金属磁性薄膜や、磁性粉と樹脂
バインダーとを含有する磁性塗料を非磁性支持体1上に
塗布乾燥することにより形成される塗布型磁性膜を例示
することができる。
【0031】ここで、金属磁性薄膜としては、Fe、C
o、Ni等の金属やCo-Ni系合金、Co-Pt系合
金、Co-Pt-Ni系合金、Fe-Co系合金、Fe-C
o-Ni系合金、Fe-Ni-B系合金、Fe-Co-B系
合金、Fe-Co-N-B系合金等からなる面内磁化記録
金属磁性薄膜やCo-Cr系合金薄膜を挙げることがで
きる。特に、面内磁化記録金属磁性薄膜の場合、予め非
磁性支持体上にBi、Sb、Pb、Sn、Ga、In、
Ge、Si、Ti等の低融点非磁性材料の下地層を形成
しておき、金属磁性材料を垂直方向から蒸着あるいはス
パッタし、金属磁性薄膜中にこれら低融点非磁性材料を
拡散せしめ、配向性を解消して面内等方性を確保すると
ともに、抗磁性を向上させるようにしてもよい。
【0032】また、塗布型磁性膜を形成する際に使用す
る磁性粉としては、塗布型の磁気記録媒体の磁性層を形
成する際に従来より用いられている磁性粉を使用するこ
とができる。例えば、強磁性酸化鉄粒子、強磁性CrO
2、強磁性コバルトフェライト(CoO-Fe23)、コ
バルト吸着酸化物、強磁性Fe-Co-Ni系合金、六方
晶系バリウムフェライト、窒化鉄等の微粒子を挙げるこ
とができる。
【0033】ところで、強磁性酸化鉄微粒子を一般式F
eOxで表現した場合、xの値が1.33<x<1.5
1の範囲にあるもの、即ち、マグヘマタイト(γ-Fe2
3,x=1.5)、マグネタイト(Fe34,x=4
/3)及びこれらの固溶体を挙げることができる。更
に、これらの強磁性耐酸化鉄には抗磁力を挙げる目的で
コバルトを添加してもよい。
【0034】なお、前述の強磁性CrO2としては、C
rO2以外にも抗磁力を向上させる目的でRu、Sn、
Te、Sb、Fe、Ti、V、Mn等の少なくとも一種
をCrO2に添加したものを使用することができる。
【0035】強磁性合金粉末としては、Fe合金粉末、
Co合金粉末、Ni合金粉末、Fe-Co合金粉末、F
e-Ni合金粉末、Fe-Co-Ni合金粉末、Co-Ni
合金粉末、Fe-Co-B合金粉末、Fe-Co-Cr-B
合金粉末、Mn-Bi合金粉末、Mn-Al合金粉末,F
e-Co-V合金粉末、あるいはこれらと他の金属との合
金粉末も使用することができる。
【0036】また、磁性粉と混合する樹脂バインダーや
溶剤としても、従来より磁性塗料に用いられているもの
を使用することができる。
【0037】なお、本発明の磁気記録媒体には必要に応
じて、磁気記録媒体の非磁性層面上にバックコート層を
設けてもよい。また、磁性層と非磁性支持体との間の密
着強度を上げるために、磁性層と非磁性支持体との間に
下塗り層を設けることもできる。
【0038】本発明の磁気記録媒体は、公知の手法によ
り製造することができる。例えば、図1(a)の磁気記
録媒体の場合には、非磁性支持体1上に、磁性粉と樹脂
バインダーと溶剤とからなる磁性塗料を公知の塗工方法
に従って塗布し乾燥して磁性層2を形成する。その上に
フッ素系潤滑剤を溶剤に溶かし、得られた溶液を磁性層
上に塗布し乾燥して潤滑層3を形成することにより製造
することができる。図1(b)の磁気記録媒体の場合に
は、非磁性支持体1上に、磁性粉と樹脂バインダーとフ
ッ素系潤滑剤と溶媒とからなる磁性塗料を公知の塗工方
法に従って塗布し乾燥して磁性層2aを形成することに
より製造することができる。
【0039】
【実施例】以下、本発明を実施例により具体的に説明す
る。
【0040】実施例1〜6及び比較例1〜4 14μm厚のポリエチレンテレフタレートフィルムに斜
方蒸着法により、Co−Ni合金を200nm厚に成膜
することにより強磁性金属薄膜を形成した。
【0041】次に、表1のフッ素系潤滑剤のトルエン溶
液を、強磁性金属薄膜上に表2及び表3に示す塗布量と
なるように塗布することにより実施例1〜6と比較例1
〜4の磁気記録媒体を作製した。この媒体を8ミリ幅に
裁断することによりサンプルテープを作製した。
【0042】得られた各サンプルテープについて、アル
バック・ファイ社製のESCA5400MC型X線光電
子分光装置を用いてX線光電子分光分析測定を行ない、
Z値の算出を行なった。その結果を表2及び表3に示
す。
【0043】また、温度25℃湿度60%の条件下、温
度−5℃の条件下、及び温度40℃湿度80%の条件下
において、以下に説明するように、エージングの前後の
摩擦係数、スチル耐久性及びシャトル耐久性について測
定した。その結果を表2及び表3に示す。
【0044】エージング条件 温度60℃雰囲気中に、相対湿度50%で1週間放置し
た。
【0045】摩擦係数試験 使用摩擦係数試験機: 凌和電子社製 温度(相対湿度): 25℃(60%);−5℃
(−);40℃(80%) シャトルスピード: 5mm/sec 移動距離: 50mm 加重: 18g ガイドピンの材質: SUS303 表面粗さ: 0.2S なお、実用上、摩擦係数は0.3未満であることが望ま
れる。
【0046】スチル耐久性試験 ポーズ状態での出力の3dB低下までの減衰時間を測定
した。実用上、減衰時間が120分以上であることが望
まれる。
【0047】シャトル耐久性試験 一回につき、2分間のシャトル走行を行ない、出力が3
dB低下するまでのシャトル回数を測定した。実用上、
シャトル回数が150回以上であることが望まれる。
【0048】
【表1】
【0049】
【表2】
【0050】
【表3】
【0051】表2及び表3からわかるように、潤滑剤と
してフッ素系潤滑剤を使用し、且つZ値が1.15〜
4.5の範囲内である実施例1〜6の磁気記録テープ
は、低温〜室温〜高温多湿までの通常考え得る厳しい使
用条件下でも、摩擦係数、スチル耐久性及びシャトル耐
久性とも優れた結果を示した。
【0052】一方、潤滑層を持たない磁気記録テープ
(比較例1)の場合には、摩擦係数、スチル耐久性及び
シャトル耐久性とも非常に不十分な結果を示した。ま
た、Z値が1.15〜4.5の範囲を外れる比較例2〜
4の磁気記録テープは、低温〜室温〜高温多湿までの通
常考え得る厳しい使用条件下で、摩擦係数、スチル耐久
性及びシャトル耐久性を常に満足すべき結果を示さなか
った。
【0053】
【発明の効果】本発明の磁気記録媒体は、広い温度湿度
条件下で長期に亘り良好な潤滑効果を示す潤滑層を有す
るので、走行性、耐摩耗性、耐久性等、特にスチル特性
やシャトル特性に優れたものとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の磁気記録媒体の断面図(同図(a)及
び(b))である。
【図2】フッ素系潤滑剤を使用した磁気記録媒体のCo
2pスペクトルチャート(同図(a))とF1sスペク
トルチャート(同図(b))である。
【図3】フッ素系潤滑剤を除去した磁気記録媒体のCo
2pスペクトルチャート(同図(a))とF1sスペク
トルチャート(同図(b))である。
【符号の説明】
1 非磁性支持体 2a 磁性層 3 潤滑層

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 非磁性支持体上に磁性層と更に潤滑剤か
    らなる潤滑層とが形成されてなる磁気記録媒体又は非磁
    性支持体上に潤滑剤を含有する磁性層が形成されてなる
    磁気記録媒体において、潤滑剤としてフッ素系潤滑剤を
    使用し、且つ磁気記録媒体の支持体と反対側からX線光
    電子分光分析の測定を行った場合に、以下の式(1) 【数1】Z=[Ablank]/A (1) (式中、Aは磁性層主成分原子スペクトル積分強度であ
    り、[Ablank]は潤滑層が形成されていない磁性層、
    又は少なくとも表面から10nm以内の潤滑剤を除去し
    た磁性層をX線光電子分光分析した場合に得られる磁性
    層主成分原子スペクトル積分強度である。)で定義され
    るZの値が、1.15〜4.50であることを特徴とす
    る磁気記録媒体。
JP24728296A 1996-08-28 1996-08-28 磁気記録媒体 Pending JPH1069630A (ja)

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JP24728296A JPH1069630A (ja) 1996-08-28 1996-08-28 磁気記録媒体

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JP24728296A JPH1069630A (ja) 1996-08-28 1996-08-28 磁気記録媒体

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