JP2001143255A - 磁気記録媒体の評価方法 - Google Patents

磁気記録媒体の評価方法

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JP2001143255A
JP2001143255A JP2000256430A JP2000256430A JP2001143255A JP 2001143255 A JP2001143255 A JP 2001143255A JP 2000256430 A JP2000256430 A JP 2000256430A JP 2000256430 A JP2000256430 A JP 2000256430A JP 2001143255 A JP2001143255 A JP 2001143255A
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Kenichi Kurihara
研一 栗原
Noriyuki Kishii
典之 岸井
Takahiro Kamei
隆広 亀井
Takeshi Kobayashi
健 小林
Hiroshi Iwamoto
岩本  浩
Hisanori Tsuboi
寿憲 坪井
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Sony Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 潤滑剤の材質にかかわらず、磁気記録媒体に
おける潤滑剤の分布状態及び最適存在量を分析する。 【解決手段】 非磁性支持体2の一主面上に少なくとも
金属磁性膜3が成膜されてなるとともに上記金属磁性膜
3が形成された側の一主面の最外層に潤滑剤層5を有す
る磁気記録媒体1に対して、上記潤滑剤層5と探針との
間に生じる付着力を測定し、当該付着力の標準偏差によ
り上記潤滑剤層5における潤滑剤の表面存在量及び分布
状態を分析する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、磁気記録媒体の評
価方法に関し、特に金属磁性膜が形成された側の一主面
の最外層上に潤滑剤層を有する磁気記録媒体の当該潤滑
剤層における潤滑剤の表面存在量及び分布状態を分析す
ることにより磁気記録媒体を評価する手法に関する。
【0002】
【従来の技術】磁気記録媒体は、オーディオ用テープ、
ビデオテープ、バックアップ用データカートリッジ、ハ
ードディスク等として広く利用されている。この磁気記
録媒体としては、非常に微細な強磁性粉末及び結合剤を
含有する磁性塗料を非磁性支持体上に塗布し乾燥するこ
とで磁性層が形成される、いわゆる塗布型の磁気記録媒
体、或いは強磁性金属材料を蒸着等の手法により非磁性
支持体上に被着形成することで磁性層が形成される、い
わゆる薄膜型の磁気記録媒体が用いられている。
【0003】特に最近では、記録波長の短波長化、或い
はデジタル記録方式など高密度記録の検討が盛んに行わ
れており、電磁変換特性の優れた磁気記録媒体の開発が
要求されている。
【0004】例えば、現在主流となっている塗布型磁気
記録媒体においては、電磁変換特性を向上させるために
磁性層の薄膜化が検討されている。これは、記録時の自
己減磁損失を低減することにより電磁変検特性を向上さ
せる方法であり、近年種々の塗布方式が提案されてい
る。
【0005】これら磁気記録媒体においては、スペーシ
ングロスを最小限にするために、磁性層表面の平滑化が
図られている。高密度記録においては、使用する記録波
長が短いため、表面粗さの影響を受け易く、表面粗さの
制御が特に重要である。
【0006】このように、高密度記録が進むにつれ、磁
気記録媒体の磁性層表面の平滑性を極めて良好にする必
要がある。
【0007】しかし、磁性層表面の平滑性が良好であれ
ばあるほど、磁気ヘッドやガイドローラ等の摺動部材に
対する実質的な接触面積が大きくなる。したがって、磁
性層表面の平滑性が良好である磁気記録媒体は、摩擦係
数が大きくなり、走行途中で摺動部材と凝着現象(いわ
ゆる貼り付き)を起こし易くなり、走行性、耐久性に欠
ける等の問題が多くなる。
【0008】そこで、これらの問題点を改善するために
各種の潤滑剤を使用することが検討されており、従来よ
り高級脂肪酸やそのエステル等を上記磁気記録媒体の磁
性層内に内添、或いは磁性層上にトップコートすること
等により摩擦係数を低く抑えようとする試みがされてい
る。
【0009】ところが、この潤滑剤が磁気記録媒体表面
に存在する量は制御できても、どの程度存在するか、ま
た、どのような分布で存在するか等を分析する方法はな
く、潤滑剤の最適な塗布状態を管理することは非常に困
難であった。
【0010】一方、ハードディスクに代表される磁気記
録媒体と記録及び/又は再生用の磁気ヘッドとを主要構
成要素とする磁気記録装置においては、磁気記録媒体と
磁気ヘッドとの間に摩擦力が発生し、これが磁気記録媒
体及び磁気ヘッドの摩耗損傷の原因となる。摩耗損傷が
磁気記録媒体の磁性層まで達すると、磁性層に記録され
ている情報が破壊される、いわゆるヘッドクラッシュ現
象が発生し、磁気記録媒体の耐久性を劣化させる原因と
なる。このため、ヘッドクラッシュを防止することは、
磁気記録装置の信頼性を確保する上で重要である。
【0011】ヘッドクラッシュを防ぐためには、磁気記
録媒体自体の耐摩耗性を向上させる必要があり、このた
め磁性層は通常、炭素、酸化物、炭化物、窒化物等から
なる保護層で被覆され、さらに保護層上には潤滑膜が形
成される。このような潤滑膜には一般的に、低表面エネ
ルギー、耐熱性、化学的安定性、および潤滑性等の特性
が要求され、潤滑膜形成用の化合物として、米国特許第
3,778,308号明細書に記載されているパーフル
オロアルキルポリエーテル系またはパーフルオロアルキ
ル化合物が、現在最も多く使用されている。
【0012】そして、上述した磁気記録装置では、磁気
ヘッドと磁気記録媒体面との間に一定間隔の空間を形成
して記録及び/又は再生を行う方式が現在主に用いられ
ている。この一定間隔は浮上量と呼ばれる。磁気記録媒
体への記録密度を高めるには磁気ヘッドの浮上量をより
小さくすることが必要であるが、近年磁気記録装置の高
密度化が急ピッチで進んでいるため、浮上量も低下の一
途を辿っている。さらに近年、浮上量の極限として、磁
気ヘッドを磁気記録媒体表面に常時接触させながら記録
及び/又は再生を行う方式、いわゆるコンタクト記録方
式も提唱されている。
【0013】このように浮上量が低下してくると、磁気
ヘッドとハードディスクが接触摺動する時間が必然的に
増加するため、潤滑膜の連続摺動耐久性を高めて動摩擦
係散や摩耗の低減を図る必要がある。また、このような
極低浮上方式あるいはコンタクト記録方式を用いる磁気
記録装置ではハードディスクの面粗さや、うねりが小さ
くなるため、磁気ヘッドとハードディスクとの間で高い
最大静止摩擦力、いわゆる粘着が発生しやすくなる。粘
着はハードディスクの起動不能やヘッドの損傷の原因と
なる。
【0014】粘着の生じる大きな原因として、磁気記録
媒体表面に存在する潤滑膜の厚みが挙げられる。この磁
気記録媒体上に存在する潤滑剤量を定量分析する手段と
してエリプソメーター、X線電子分光法(X-ray photoe
lectron spectroscopy:XPS、以下XPSと呼ぶ。)
等がある。エリプソメーターでは、磁気記録媒体の表面
の粗さが測定に大きく影響するため、正確な潤滑剤量を
測定することが困難である。一方、XPSは、真空中で
の測定であるため磁気記録媒体表面の潤滑剤が消失して
しまい、また、フッ素原子を用いて測定するため炭化水
素系の潤滑剤の測定には適していない。そして、これら
の方法は潤滑剤の厚みを平均的に評価する方法であり、
媒体表面に潤滑剤がどのように分布しているのかを分析
する手法は存在しないため、最適な塗布状態を管理する
ことが困難であるという問題があった。
【0015】上記のように、磁気記録媒体表面の潤滑剤
の定量分析は、従来、XPSやX線電子分光法ESCA
(Electron Spectroscopy for Chemical Analysis) 等
の元素分析に頼っていた。しかし、この元素分析は、通
常、真空中で行うため潤滑剤の揮発、或いは測定に時間
を有する等のことが懸念される。また、カーボンや水素
などの原子は、磁気記録媒体表面に汚染物として常に存
在していることから、潤滑剤と区別することができな
い。そこで、フッ素原子が潤滑剤に含まれている場合に
限り、H−ATR−FT−IR(Hemisphere Attenuat
ed Total Reflection Fourier Transform Infrare
d Spectroscopy)による潤滑剤の定量分析も可能であ
るが、磁気記録媒体表面の平滑化に伴う潤滑剤の少量化
により、その検出が困難になってきている。
【0016】通常、潤滑剤として用いられる化合物に
は、フッ素原子を含有するパーフルオロポリエーテル、
パーフルオロアルキル化合物以外に炭化水素系の脂肪
酸、脂肪酸エステルがあるため、全ての潤滑剤化合物の
分析にこれらの手法を適用することはできない。また、
潤滑剤の膜厚は測定可能であっても、磁気記録媒体表面
全面での潤滑剤の分布を評価することはできない。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】ところで、磁気記録媒
体上における潤滑剤の表面存在量は、摩擦係数を含む実
用特性に大きく影響を及ぼすと考えられている。潤滑剤
の表面存在量が少ない場合には、磁気記録媒体と磁気ヘ
ッド等の摺動部材との間に存在する潤滑剤が少ないため
潤滑剤の機能が十分に発揮されない。また、潤滑剤の表
面存在量が多い場合には、潤滑剤の材質にかかわらず磁
気記録媒体と磁気ヘッド等の摺動部材との間に張り付き
が生じる、すなわち摩擦係数が大きくなる傾向がある。
この傾向は、特に常温液体系の潤滑剤において顕著に現
れ、磁気記録媒体と磁気ヘッド等の摺動部材との間に生
じるメニスカス力に起因している。
【0018】しかしながら、潤滑剤量が多すぎる場合に
は摩擦係数が大きくなる傾向があるが、磁気記録媒体走
行時においては、脱離、分解等による潤滑剤の減少が予
想されるため、磁気記録媒体の寿命を考慮すると、張り
付きが生じない範囲において極力多くの潤滑剤が存在す
ることが望ましい。
【0019】したがって、磁気記録媒体上には、磁気記
録媒体の走行性を良好に保ちつつも、耐久性を向上させ
るために極力多くの潤滑剤が存在することが好ましい。
【0020】そして、潤滑剤の表面存在量には、適正範
囲が存在することは言うまでもないが、この適正範囲は
使用される目的により異なることが最近の研究で明らか
になってきた。すなわち、スチル耐久性等を必要とする
AV(Audio-Visual)用途、いわゆるヘリカルスキャン
方式用では、同じ場所を磁気ヘッドが繰り返し摺動する
ため、磁気ヘッドが貼り付かない範囲で可能な限り潤滑
剤存在量を多くすることが好ましい。一方、データの保
存、バックアップ等、いわゆるデータストレージ用に使
用される場合には、磁気ヘッドが同じ場所を繰り返し摺
動することは無く、シャトル走行が中心となるため、必
ずしも多量の潤滑剤は必要とされず、逆に、磁気ヘッド
の付着物抑制という観点から、AV用途の場合よりも少
ないことが好ましい。このように、磁気記録媒体表面に
存在する潤滑剤は、使用される目的に応じて、表面設
計、すなわち、潤滑剤の表面存在量及び分布状態を最適
な範囲にコントロールする必要がある。
【0021】ここで、潤滑剤の最適形成条件、すなわ
ち、最適存在量は、潤滑剤を構成する材料の融点、極性
基、分子量等により異なるため、使用する潤滑剤により
異なる。そのためには、磁気記録媒体における潤滑剤の
分布状態及び最適存在量を把握、分析することができる
磁気記録媒体の評価方法が必要となるが、このような磁
気記録媒体の評価方法は、未だ確立されていないのが実
情である。
【0022】したがって、本発明は従来の実情に鑑みて
提案されたものであり、潤滑剤の材質にかかわらず、磁
気記録媒体における潤滑剤の分布状態及び最適存在量を
評価可能な磁気記録媒体の評価方法を提供することを目
的とする。
【0023】
【課題を解決するための手段】本発明に係る磁気記録媒
体の評価方法は、非磁性支持体の一主面上に少なくとも
金属磁性膜が成膜されてなるとともに上記金属磁性膜が
形成された側の一主面の最外層に潤滑剤層を有する磁気
記録媒体に対して、上記潤滑剤層と探針との間に生じる
付着力を測定し、当該付着力の標準偏差により上記潤滑
剤層における潤滑剤の表面存在量及び分布状態を分析す
ることを特徴とするものである。
【0024】本発明に係る磁気記録媒体の評価方法は、
潤滑剤層と探針との間に生じる付着力を測定し、当該付
着力の標準偏差により潤滑剤層における潤滑剤の表面存
在量及び分布状態を分析するため、潤滑剤の材質にかか
わらず種々の潤滑剤を用いた場合において、磁気記録媒
体における潤滑剤の分布状態及び最適存在量が短時間且
つ高精度に評価可能とされる。
【0025】
【発明の実施の形態】以下、本発明を適用した磁気記録
媒体の評価方法について図面を参照して説明する。
【0026】本発明を適用した磁気記録媒体の評価方法
により潤滑剤の分布状態及び最適存在量が評価可能な磁
気記録媒体1は、図1に示すように、非磁性支持体2
と、この非磁性支持体2の一主面上に形成された金属磁
性膜3と、金属磁性膜3上に形成された保護膜4と、保
護膜4上に形成された潤滑剤層5とを備えて構成される
ものである。ここで、潤滑剤層5は、金属磁性膜3上一
面に形成されている必要はなく、例えば金属磁性膜3上
においてアイランド状に形成されていても良い。
【0027】以下、非磁性支持体2、金属磁性膜3、保
護膜4及び潤滑剤層5について順に詳述する。
【0028】非磁性支持体2 磁気記録媒体1が、塗布型磁気記録媒体である場合に
は、非磁性支持体2としては、ポリエチレンテレフタレ
ート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート等のポリエ
ステル類、ポリプロピレン等のポリオレフィン類、セル
ローストリアセテート、セルロースジアセテート等のセ
ルロース類、ビニル系樹脂、ポリイミド類、ポリアミド
類、ポリカーボネート類、ポリフェニレンサルファイド
等に代表される高分子材料を好適に用いることができ
る。
【0029】また、磁気記録媒体1が、薄膜型磁気記録
媒体である場合には、非磁性支持体2としては、塗布型
磁気記録媒体の場合と同様のものを用いることができ
る。そして、その他に、アルミニウム合金、チタン合金
等の軽金属、アルミナガラス等のセラミックス等も用い
ることができる。非磁性支持体2にアルミニウム合金板
やガラス板等の剛性を有する基板を使用した場合には、
基板表面にアルマイト処理等の酸化被膜やNi−P被膜
等を形成してその表面を硬くするようにしても良い。
【0030】また、非磁性支持体の厚みは、1.0〜2
00μmであることが好ましく、より好ましくは、2.
0〜100μmである。
【0031】金属磁性膜3 磁気記録媒体1が、塗布型磁気記録媒体である場合に
は、金属磁性膜3は、強磁性粉末及び結合剤を主体とす
る層であり、強磁性粉末及び結合剤を溶剤とともに混練
してなる磁性塗料を非磁性支持体上に塗布することによ
り形成される。ここで、磁性粉末としては、γ−Fe2
3、Fe34、γ−Fe23とFe34とのベルトラ
イド化合物、Co含有γ−Fe23、Co含有Fe
34、Coを含有するγ−Fe23とFe34とのベル
トライド化合物、CrO2に1種以上の金属元素、例え
ばTe、Sb、Fe、Bi等を含有させた酸化物が挙げ
られる。
【0032】さらに、Fe、Co、Ni等の金属、Fe
−Co、Fe−Ni、Fe−Co−Ni、Fe−Co−
B、Fe−Co−Cr−B、Mn−Bi、Mn−Al、
Fe−Co−V、Fe−Al、Fe−Ni−Al、Fe
−Al−P、Fe−Ni−Si−Al、Fe−Ni−S
i−Al−Mn、Fe−Mn−Zn、Fe−Ni−Z
n、Co−Ni、Co−P、Fe−Co−Ni−Cr、
Fe−Co−Ni−P等の合金、炭化鉄、窒化鉄等の強
磁性金属粉末が挙げられる。
【0033】このような強磁性金属粉末は、上述した金
属元素の酸化物、含水酸化物、無機塩、有機酸塩等を還
元性気体により気相中還元する方法や、湿式還元する方
法により得ることができる。なお、強磁性金属粉末の生
成においては、還元時の焼結防止又は形状維持等の目的
でAl、Si、P、B等の軽金属元素を適当量添加する
ようにしても良い。
【0034】また、還元後には、有機溶剤を含浸させ乾
燥させる方法、有機溶剤に浸漬させ酸化性ガスを吹き込
み乾燥させる方法、有機溶剤を用いずに分圧を調製した
酸化性ガスを吹き込む方法等により、表面に薄い酸化膜
を形成して、酸化安定性を付与する。表面に形成される
酸化膜は、上述した金属或いは合金の構成元素のみなら
ず、Al、Si、Ca、Mg、Sr、Ba、B、S、T
i、Zn、Na、Zr、K、Y、La、Ce、Pr、N
d、Sm、Gb、Ge、Sn、Ga等を含有していても
良い。
【0035】さらに、磁性粉末としては、上述した酸化
物や強磁性金属粉末の他に、六方晶系板状フェライトを
用いることができる。この六方晶系板状フェライトとし
ては、M型、W型、Y型、Z型のバリウムフェライト、
ストロンチウムフェライト、カルシウムフェライト、鉛
フェライト等が挙げられる。そして、これらの六方晶系
板状フェライトの保持力を制御する目的で、Co−T
i、Co−Ti−Zn、Co−Ti−Nb、Co−Ti
−Zn−Nb、Cu−Zr、Ni−Ti等を添加したも
のも用いることができる。
【0036】なお、これらの磁性粉末は、1種類単独で
用いても良く、また、複数種を組み合わせて用いても良
い。
【0037】磁性粉末のサイズは、以下のようにされる
ことが好ましい。
【0038】磁性粉末の比表面積は、35m2/g以上
であることが好ましい。比表面積をこの範囲とすること
により、磁性粉末は、非常に微細な粒子とされる。そし
て微細な磁性粉末を用いて金属磁性膜を形成することに
より高密度記録が可能となり、ノイズを低減することが
できる。
【0039】また、特に磁性粉末が針状粒子である場合
には、長軸長が0.05〜0.50μm、軸比が2〜1
5であることが好ましい。長軸長が0.05μm未満で
ある場合には、磁性粉末の塗料への分散が困難となる。
そして、長軸長が0.50μmよりも大きい場合には、
ノイズが増大する虞がある。また、軸比が2未満である
場合には、磁性粉末の配向性が低下し、出力の低下を招
来する。そして、軸比が15よりも大きい場合には、短
波長信号出力が低下する。
【0040】また、磁性粉末が板状フェライトである場
合には、板径が0.01〜0.5μm、板厚が0.00
1〜0.2μmであることが好ましい。
【0041】金属磁性膜に使用される結合剤としては、
例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、反応型樹脂やこ
れらの混合物等、従来より公知のものを用いることがで
き、数平均分子量が5000〜100000のものを好
適に用いることができる。
【0042】熱可塑性樹脂の例としては、塩化ビニル、
酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ビニルアルコ−ル、
マレイン酸、アクリル酸、アクリル酸エステル、メタク
リル酸、メタクリル酸エステル、塩化ビニリデン、アク
リロニトリル、メタアクリロニトリル、スチレン、メチ
ルスチレン、ブタジエン、エチレン、ビニルブチラー
ル、ビニルアセタール、ビニルエーテル、ビニルピロリ
ドン等を構成単位として含む重合体、或いは共重合体を
挙げることができる。共重合体としては、例えば、塩化
ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリ
デン共重合体、塩化ビニル−アクリロニトリル共重合
体、アクリル酸エステル−アクリロニトリル共重合体、
アクリル酸エステル−塩化ビニル−塩化ビニリデン共重
合体、塩化ビニル−アクリロニトリル共重合体、アクリ
ル酸エステル−塩化ビニリデン共重合体、メタクリル酸
エステル−塩化ビニリデン共重合体、メタクリル酸エス
テル−塩化ビニル共重合体、メタクリル酸エステル−エ
チレン共重合体、アクリル酸エステル−スチレン共重合
体、メタクリル酸エステル−アクリロニトリル共重合
体、メタクリル酸エステル−塩化ビニリデン共重合体、
メタクリル酸エステル−スチレン共重合体、塩化ビニリ
デン−アクリロニトリル共重合体、アクリロニトリル−
ブタジエン共重合体、ポリビニルブチラール、スチレン
ブタジエン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、
クロロビニルエーテル−アクリル酸エステル共重合体等
を挙げることができる。上記の他に、ポリフッ化ビニ
ル、ポリアミド樹脂、セルロースアセテートブチレー
ト、セルロースダイアセテート、セルローストリアセテ
ート、セルロースプロピオネート、ニトロセルロース等
のセルロース誘導体、ポリエステル樹脂、ポリウレタン
樹脂、アミノ樹脂、各種ゴム系樹脂等も例示することが
できる。
【0043】また、熱硬化性樹脂又は反応型樹脂として
は、例えば、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレ
タン硬化型樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキド樹
脂、アクリル系反応樹脂、ホルムアルデヒド樹脂、シリ
コン樹脂、ポリアミン樹脂、尿素ホルムアルデヒド樹
脂、エポキシ−ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂とポ
リイソシアネートプレポリマーの混合物、ポリエステル
ポリオールとポリイソシアネートの混合物、ポリウレタ
ンとポリイソシアネートの混合物を挙げることができ
る。
【0044】また、これら全ての結合材には、顔料成分
の分散性を向上させる目的で極性官能基が導入されてい
ても良い。極性官能基としては、−SO3M、−OSO3
M、−COOM、P=O(OM)2等が挙げられる。こ
こで、Mは、水素原子或いはリチウム、カリウム、ナト
リウム等のアルカリ金属である。また、−NR1R2、
−NR1R2R3+-の末端基を有する側鎖型アミン、
或いは>NR1R2+-で表される主鎖型アミンも用い
ることができる。ここで、R1、R2、R3は、水素原
子或いは炭化水素基を表し、X-は、フッ素、塩素、臭
素、ヨウ素等のハロゲン元素イオン、無機イオン、有機
イオンである。さらに、極性官能基としては、−OH、
−SH、−CN、エポキシ基等が挙げられる。これらの
極性官能基は、10-8〜10-1mol/gの範囲で結合
在中に含有されることが好ましく、より好ましくは、1
-6〜10-2mol/gである。
【0045】そして、上述した結合材は、1種単独で用
いても良く、また、複数種を組み合わせて用いても良
い。
【0046】上述した磁性粉末や結合材は、溶媒中に分
散されて磁性塗料とされるが、この溶媒としては、アセ
トン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、
ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶
剤、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノー
ル、イソプロパノール等のアルコール系溶剤、酢酸メチ
ル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸プロピル、乳酸エチ
ル、エチレングリコールアセテート等のエステル系溶
剤、ジエチレングリコールジメチルエーテル、2−エト
キシエタノール、テトラヒドロフラン、ジオキサン等の
エーテル系溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳
香族炭化水素系溶剤、メチレンクロライド、エチレンク
ロライド、四塩化炭素、クロロホルム、クロロベンゼン
等のハロゲン化炭化水素系溶媒或いは水等が挙げられ
る。
【0047】なお、磁性塗料中には必要に応じて潤滑
剤、研磨材、硬化剤、分散剤、帯電防止剤、防錆剤等が
添加されても良い。これらは、何れも従来公知の材料を
用いることができ、特に限定されるものではない。
【0048】研磨剤としては、酸化アルミニウム(α、
β、γ)、炭化珪素、酸化クロム、酸化鉄、コランダ
ム、ダイヤモンド、窒化珪素、炭化チタン、ルチルやア
ナターゼ等の酸化チタン、ガーネット、エメリー、窒化
ホウ素等が挙げられる。
【0049】研磨剤は、モース硬度が4以上であること
が好ましく、より好ましくは、5以上である。また、比
重が2〜6であることが好ましく、より好ましくは3〜
5である。また、平均粒径は、0.5μm以下であるこ
とが好ましく、より好ましくは、0.3μm以下であ
る。そして、研磨剤の添加量は、磁性粉末100重量部
に対して20重量部以下であることが好ましく、より好
ましくは10重量部以下である。
【0050】帯電防止剤としては、カーボンブラックを
好適に用いることができる。そして、帯電防止剤を添加
することにより、塗膜強度を向上させる効果も得ること
ができる。
【0051】分散剤としては、各種界面活性剤或いは各
種カップリング剤を用いることができる。
【0052】硬化剤としては、トルエンジイソシアネー
ト、ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレ
ンジイソシアネート等のアルキレンジイソシアネート、
キシレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネー
ト、イソホロンジイソシアネート等の2官能イソシアネ
ート化合物、或いは、これらジイソシアネートの重合体
や多価アルコールとの反応物が挙げられる。そして、硬
化剤の添加量は、結合剤100重量部に対して5〜80
重量部であることが好ましく、より好ましくは10〜5
0重量部である。
【0053】防錆剤としては、従来公知の材料を用いる
ことができ、例えばフェノール類、ナフトール類、キノ
ン類、窒素原子を含む複素環化合物、硫黄原子を含む複
素環化合物等を用いることができる。
【0054】磁性塗料は、上述したような材料を混練工
程、混合工程、分散工程を経て、塗料化される。混練装
置及び分散装置としては、ロールミル、ボールミル、サ
ンドミル、アジター、ニーダー、エクストルーダー、ホ
モジナイザー、超音波分散機等を用いることができる。
【0055】そして、このようにして調製された磁性塗
料を、非磁性支持体2上に吹き付ける、或いはロール塗
布する等の従来公知の手法により塗布し、乾燥すること
で金属磁性膜3が形成される。なお、金属磁性膜3形成
後、カレンダー装置により、金属磁性膜3に対して表面
平滑化処理を施しても良い。
【0056】ここで、金属磁性膜3は、乾燥時の厚さが
0.1〜50μmであることが好ましく、より好ましく
は1.0〜30μmである。また、結合剤と磁性粉末と
の混合比は、結合剤1重量部に対して、磁性粉末1〜1
0重量部であることが好ましく、より好ましくは3〜9
重量部である。結合剤の量が多い場合には金属磁性膜3
における磁性粉末の占める割合が相対的に小さくなり、
出力が低下する。また、ドライブ上において磁気ヘッド
や各種摺動部材に対して繰り返し摺動したとき、金属磁
性膜3に塑性流動が生じ易く、磁気テープの耐久性が低
下する。結合剤の量が少ない場合には、金属磁性膜3が
脆くなり、磁気テープの耐久性が低下する。
【0057】また、磁気記録媒体1が、薄膜型磁気記録
媒体である場合には、金属磁性膜3としては、Fe、C
o、Ni等の金属やCo−Ni系合金、Co−Pt系合
金、Co−Pt−Ni系合金、Fe−Co系合金、Fe
−Ni系合金、Fe−Co−Ni系合金、Fe−Ni−
B系合金、Fe−Co−B系合金、Fe−Co−Ni−
B系合金等からなる面内磁化記録金属磁性膜やCo−C
r系合金膜を挙げることができる。
【0058】また、金属磁性膜3を成膜する方法として
は、鍍金やスパッタリング、真空蒸着等の物理蒸着法
(PVD)等を用いることができ、金属磁性膜3は、連
続膜として形成される。
【0059】例えば、金属磁性膜3は、図2に示すよう
な連続巻き取り式の真空蒸着装置等を用いて形成するこ
とができる。
【0060】この連続巻き取り式蒸着装置11は、いわ
ゆる斜方蒸着用として構成され、内部が例えば約10-3
(Pa)程度の真空状態とされた真空室12内に、例え
ば−20℃程度に冷却され、図中の反時計回り方向(矢
印A方向)に回転する冷却キャン13と対向するように
金属磁性膜3用の蒸着源14とが配置されている。
【0061】蒸着源14は坩堝等の容器にCo等の強磁
性金属材料が収容されたものであり、この蒸着源14
(強磁性金属材料)に対し、電子ビーム発生源15から
電子ビーム16を加速照射して強磁性金属材料を加熱、
蒸発させ、これを図中の反時計回り方向に回転する供給
ロール18から図中の矢印B方向に繰り出され、冷却キ
ャン13の周面に沿って走行する非磁性支持体2上に付
着(蒸着)させることによって金属磁性膜3を形成す
る。そして、金属磁性膜3が形成された非磁性支持体2
は、巻き取りロール19に巻き取られる。
【0062】このとき、蒸着源14と冷却キャン13と
の間には防着板20を設け、この防着板20にシャッタ
21を位置調整可能に設けて、非磁性支持体2に対して
所定の角度で入射する蒸着粒子のみを通過させる。こう
して斜め蒸着法によって金属磁性膜3が形成されるよう
になされている。
【0063】なお、供給ロール18と冷却キャン13と
の間、及び冷却キャン13と巻き取りロール19との間
にはそれぞれガイドローラ22、23が配置され、供給
ロール18から冷却キャン13、及びこの冷却キャン1
3から巻き取りロール19に従って走行する非磁性支持
体2に所定のテンションをかけ、非磁性支持体2が円滑
に走行するようになされている。
【0064】さらに、このような金属磁性膜3の蒸着に
際し、図示しない酸素ガス導入口を介して非磁性支持体
2の表面に酸素ガスが供給され、これによって金属磁性
膜3の磁気特性、耐久性及び耐候性の向上が図られてい
る。また、蒸着源14を加熱するためには、上述のよう
な電子ビームによる加熱手段の他、例えば、抵抗加熱手
段、高周波加熱手段、レーザ加熱手段等の公知の手段を
使用できる。
【0065】また、金属磁性膜3が面内磁化記録金属磁
性膜である場合には、予め非磁性支持体1上にBi、S
b、Pb、Sn、Ga、In、Ge、Si、Tl等の低
融点非磁性材料の下地層を形成しておき、金属磁性材料
を垂直方向から蒸着或いはスパッタリングし、金属磁性
膜3中にこれら低融点非磁性材料を拡散させて配向性を
解消することにより面内等方性を確保するとともに、抗
磁性を向上するようにしても良い。
【0066】保護膜4 保護膜4は、金属磁性膜3の摩耗を防止して摺動耐久性
を付与するとともに外部の湿気などから金属磁性膜3を
保護するために、金属磁性膜3上に設けられる。また、
保護膜4の材料としては、カーボンを好適に用いること
ができる。また、硬度の高いダイヤモンドライクカーボ
ン(DLC)、窒化カーボン、SiO2等を用いても良
い。そして、カーボン保護膜の膜厚は、スペーシングロ
スを小さくし、かつ、金属磁性膜4の摩耗防止の効果を
得ることができるように、2〜100nmであることが
好ましく、より好ましくは5〜30nmである。
【0067】保護膜4を形成する手法としては、スパッ
タリングが一般的であるが、特に限定されるものではな
く、イオンビームプレーティング法、CVD法等の公知
の薄膜形成方法を用いることができる。
【0068】保護膜4は、例えばカーボン保護膜を形成
する場合、図3に示すようなマグネトロンスパッタ装置
30等を用いて形成することができる。
【0069】このマグネトロンスパッタ装置30は、外
側がチャンバ31にて覆われている。そして、チャンバ
31内は、真空ポンプ32にて約10-4(Pa)まで減
圧された後、真空ポンプ32側へ廃棄するバルブ33の
角度を全開状態から10度まで絞ることにより排気速度
を落とし、ガス導入管34からArガスを導入して、真
空度が約0.8Paとされる。
【0070】マグネトロンスパッタ装置30は、このチ
ャンバ31内に、例えば−40℃程度に冷却され、図中
の反時計回り方向(矢印A方向)に回転する冷却キャン
35と、この冷却キャン35と対向配置されるターゲッ
ト36とがそれぞれ設けられている。
【0071】ターゲット36は、カーボン保護膜の材料
となるものであり、カソード電極を構成するバッキング
プレート37に支持されている。そして、バッキングプ
レート37の裏側には、磁場を形成するマグネット38
が配設されている。このマグネトロンスパッタ装置30
によりカーボン保護膜を形成する際は、ガス導入管34
からArガスを導入するとともに、冷却キャン35をア
ノード、バッキングプレート37をカソードとして約3
000(V)の電圧を印加し、1.4Aの電流が流れる
状態を保つようにする。
【0072】この電圧の印加により、Arガスがプラズ
マ化し、電離されたイオンがターゲット36に衝突する
ことにより、ターゲット36の原子がはじき出される。
このとき、バッキングプレート37の裏側にはマグネッ
ト38が配設されており、ターゲット36の近傍に磁場
が形成されるので、電離されたイオンはターゲット36
の近傍に集中されることになる。
【0073】ターゲット36からはじき出された原子
は、図中の反時計回り方向に回転する供給ロール39か
ら図中の矢印B方向に繰り出され、冷却キャン35の周
面に沿って走行する金属磁性膜3が成膜された非磁性支
持体2上に付着し、カーボン保護膜が形成される。そし
て、カーボン保護膜が形成された非磁性支持体2は、巻
き取りロール41に巻き取られる。
【0074】潤滑剤層5 潤滑剤層5を形成する潤滑剤としては、従来公知の材料
を用いることができる。具体的には、例えば炭化水素系
材料では、炭素数10〜22の脂肪酸及び炭素数10〜
22の脂肪酸と炭素数2〜26のアルコールとからなる
脂肪酸エステルが代表的なものとして挙げられる。ま
た、フッ素含有系材料では、パーフルオロポリエーテル
(PFPE)系の含フッ素高分子が代表的なものとして
挙げられる。また、低分子炭化フッ素系材料、或いは、
一部炭化水素材料等を用いることもできる。
【0075】また、潤滑剤層5は、例えばディッピング
法、スピンコート法等、従来公知の手法により形成する
ことができる。
【0076】ここで、潤滑剤の塗布量としては、0.5
〜100mg/m2の範囲とすることが好ましく、1〜
20mg/m2の範囲とすることがより好ましい。
【0077】そして、潤滑剤層5では、磁気記録媒体上
における潤滑剤の分布状態が分析され、潤滑剤の最適存
在量が規定される。磁気記録媒体上における潤滑剤の分
布状態及び最適存在量は、本発明に係る磁気記録媒体の
評価方法を用いて分析、規定することができる。
【0078】本発明に係る磁気記録媒体の評価方法で
は、試料表面、すなわち磁気記録媒体の潤滑剤層に微細
な探針を接触させ、当該探針を引き離すときの潤滑剤層
と探針との間に生じる付着力を測定する。そして、試料
表面上の異なる複数の位置において付着力を測定し、そ
の測定値を統計処理して標準偏差を求めることを特徴と
するものである。
【0079】ここで、本発明における付着力とは、微細
な探針と高感度な検出器を有する測定装置により得られ
る潤滑剤層と探針との間に働く力と定義する。例えば、
原子間力顕微鏡(Atomic Force Microscope、以下、
AFMと呼ぶ)により測定した場合には、付着力は、磁
気記録媒体1上における探針の高さ方向における移動距
離を横軸に取り、各位置でカンチレバーが探針に加えて
いる力を縦軸に示したフォースカーブ図4におけるDか
らEまでの値と定義される。そして、付着力の標準偏差
を求め、さらに付着力の平均値で割ることにより無次元
化した値を本発明における付着力の標準偏差と定義す
る。そして、付着力の測定は、例えば図5に示すように
磁気記録媒体1上に配したAFMカンチレバー51を、
図6に示すように磁気記録媒体1表面に形成された潤滑
剤層に接触させる。その後、図7に示すようにAFMカ
ンチレバー51を潤滑剤層から引き離し、AFMにより
潤滑剤層とAFMカンチレバー51との間に生じる付着
力を測定する。
【0080】なお、付着力を測定する手法は、AFMに
限定されることはなく、上述した付着力を高精度に測定
できるものであれば、何れのものも用いることができ
る。
【0081】上記において得られる付着力は、磁気記録
媒体1上に存在する潤滑剤の有無によりその絶対値が変
化し、潤滑剤量が多い場合には、形成されるメニスカス
力が大きくなるため付着力も大きくなる。一方、潤滑剤
が存在しない、或いは、潤滑剤量が少ない場合には、メ
ニスカス力が小さくなるため付着力も小さくなる。した
がって、磁気記録媒体における潤滑剤の存在量により付
着力に差が生じる。また、潤滑剤の分布状態、すなわち
潤滑剤の被覆具合により付着力の場所によるばらつきに
差が生じる。
【0082】また、付着力の絶対値は、潤滑剤の粘性等
の影響を受ける。そのため、潤滑剤の材質が異なる場合
には、付着力の絶対値は変化する。したがって、付着力
の絶対値では、潤滑剤の分布状態を分析することはでき
ない。
【0083】また、付着力は、磁気記録媒体表面上に存
在する表面吸着水の影響を受けるため、同一材料、或い
は同一環境下においてその絶対値の大小を比較すること
ができる。例えば、同一サンプルを異なる湿度環境下に
保持した場合、磁気記録媒体表面に表面吸着水が吸着す
るため、高湿環境下に保持されたサンプルでは高い付着
力を示すこととなる。
【0084】一方、付着力のばらつきは潤滑剤の材質に
は依存せず、潤滑剤の分布状態、すなわち潤滑剤の被覆
具合にのみ依存する。そのため、付着力のばらつきを評
価することにより、潤滑剤の材質にかかわらず、潤滑剤
の分布状態、被覆具合を直接的に把握することができ
る。例えば、標準偏差の異なるサンプルがある場合、よ
り小さな値を示すサンプルが潤滑剤の被覆率の高いサン
プルであるといえる。
【0085】また、付着力のばらつきと磁気記録媒体の
初期摩擦係数との間には相関関係があり、使用する潤滑
剤の材質によらず、付着力のばらつきを評価することに
より磁気記録媒体における潤滑剤の最適存在量を規定す
ることができる。
【0086】また、本発明にかかる磁気記録媒体の評価
方法により分析可能な磁気記録媒体としては、非磁性支
持体上に金属薄膜と、該金属薄膜上にカーボン保護膜、
有機性潤滑剤を含有する磁性層とが形成された薄膜型磁
気記録媒体が挙げられ、具体的には薄膜金属型磁気記録
テープ、いわゆる蒸着テープやフロッピー(登録商標)
ディスク或いはハードディスク等が挙げられる。この評
価方法は、僅かな付着力の差を検出して潤滑剤の有無を
調べるため、潤滑剤以外の下地は同一組成、同一材料の
ものを用いることが好ましい。
【0087】そして、本発にかかる磁気記録媒体の評価
方法により分析可能なその他の磁気記録媒体として、塗
布型磁気記録媒体等が挙げられる。ただし、表面材質の
均一性という観点からは、本発明に係る磁気記録媒体の
評価方法は、薄膜型磁気記録媒体に適用した場合に、そ
の効果を大いに発揮するものである。
【0088】また、測定対象物、すなわち磁気記録媒体
の表面粗度(Ra)は、5nm以下であることが好まし
い。これは、付着力測定の誤差を低減させ、高精度での
付着力測定を行うためである。磁気記録媒体の表面粗度
が5nmよりも粗い場合においても付着力の測定は可能
であるが、磁気記録媒体の表面の凹凸が大きすぎると高
精度での付着力測定ができなくなる虞がある。すなわ
ち、この磁気記録媒体の評価方法では、極僅かな付着力
の差を検出するため、磁気記録媒体の表面性等の測定精
度の低下につながる虞のある要因は極力除去することが
好ましい。したがって、磁気記録媒体の表面粗度(R
a)を、5nm以下とすることで、高精度での付着力測
定が可能となる。
【0089】したがって、この磁気記録媒体の評価方法
においては、上述したように例えばAFM等の装置によ
り付着力を測定し、付着力の標準偏差を算出する。そし
て、付着力のばらつきを上述した付着力の標準偏差によ
り評価する。標準偏差が大きいということは、付着力の
ばらつきが大きいということを示しており、すなわち潤
滑剤が不均一に分布していることを示している。この場
合には、磁気記録媒体と磁気ヘッド等の摺動部材との間
に生じるメニスカス力が小さく抑えられ、磁気記録媒体
と磁気ヘッド等の摺動部材との間の摩擦係数が小さくな
る。一方、標準偏差が小さいということは、付着力のば
らつきが小さいということを示しており、すなわち潤滑
剤が均一に分布していることを示している。この場合に
は、磁気記録媒体と磁気ヘッド等の摺動部材との間のメ
ニスカス力が大きくなり、磁気記録媒体と磁気ヘッド等
の摺動部材との間の摩擦係数が大きくなる。したがっ
て、付着力の標準偏差を評価することにより、磁気記録
媒体上の潤滑剤の分布状態を把握することができ、さら
に付着力の標準偏差を規定することにより、磁気記録媒
体と磁気ヘッドとの間の摩擦係数を制御することが可能
となる。
【0090】また、本発明に係る磁気記録媒体の評価方
法は、水中で行っても良い。上述した磁気記録媒体の評
価方法では、通常の場合、大気中において付着力の測定
が行われる。しかしながら、この場合には、磁気記録媒
体上に表面吸着水が存在し、この表面吸着水が付着力の
増加を引き起こし、潤滑剤に起因する付着力との識別が
困難になる場合がある。これは、特に大気の湿度が高い
場合に顕著になる傾向がある。このような場合、付着力
の測定を水中において行うことにより、上述した表面吸
着水の影響を完全に無視することができるため、微量の
潤滑剤のみを高精度で検出することが可能となる。すな
わち、付着力の測定を水中において行うことにより、付
着力の測定をさらに高精度で行うことが可能となり、よ
り信頼性の高い付着力の測定が可能となる。図9に、水
中における付着力測定の状態を示した模式図を示す。水
中において付着力を測定する場合には、図9に示すよう
に、試料となる磁気記録媒体を、潤滑剤が水面側に位置
するように水を満たした容器中に配する。そして、付着
力の測定装置の微細な探針、例えばAFMカンチレバー
を水中の磁気記録媒体表面、すなわち潤滑剤層表面に接
触させ、さらに引き離す。以上の操作を行うことにより
大気中において測定する場合と同様に付着力を測定する
ことができる。
【0091】ここで、磁気記録媒体は、上述した磁気記
録媒体の評価方法により分析した潤滑剤層と探針との付
着力の標準偏差が0.06以上となるように形成される
ことが好ましい。上述した付着力の標準偏差が0.06
未満である場合には、磁気記録媒体と磁気ヘッド等の摺
動部材との間のメニスカス力が大きくなり、磁気記録媒
体と磁気ヘッド等の摺動部材との間の摩擦係数が大きく
なってしまう。その結果、磁気記録媒体は、良好な摺動
性を得ることができず、磁気記録媒体の耐久性も低下し
てしまう。
【0092】したがって、潤滑剤層と探針との付着力の
標準偏差を0.06以上とすることにより、最適な量の
潤滑剤が磁気記録媒体上に形成されることとなり、磁気
記録媒体と磁気ヘッド等の摺動部材との間の摩擦係数が
低く抑えられる。その結果、磁気記録媒体と摺動部材と
の摺動性が良好となり、磁気記録媒体の耐久性を向上さ
せることができる。ここで、潤滑剤層と探針との付着力
の標準偏差は、潤滑剤層における潤滑剤の濃度、すなわ
ち潤滑剤の塗布濃度を調製することにより適宜所望の値
とすることができる。
【0093】また、スチル耐久性等を必要とするAV用
途、いわゆるヘリカルスキャン方式を用いたAV用に使
用される磁気記録媒体では、同じ場所を磁気ヘッドが繰
り返し摺動するため、磁気ヘッドが貼り付かない範囲で
可能な限り潤滑剤存在量を多くすることが好ましい。こ
こで、AV用途の磁気記録媒体とは、主に映像及び音声
を記録することを目的とした磁気記録媒体であり、据え
置き型ビデオレコーダー或いはポータブルビデオレコー
ダー(カムコーダー)等に使用されるものである。そし
て、AV用途の使用される磁気記録媒体の使用環境は、
必ずしも恒温恒湿環境下でなく、例えば、ビデオレコー
ダー等では、種々の環境での使用が予想される。特に高
湿環境下では、磁気記録媒体表面への表面吸着水の吸着
が予想され、この表面吸着水に起因するメニスカスによ
り磁気記録媒体が磁気ヘッドに貼り付き、磁気ヘッドの
走行を妨げるのみならず、磁気記録媒体或いはデッキ自
体の破損に至る虞もある。このように、高湿環境下での
使用が予想される磁気記録媒体の場合には、磁気記録媒
体における潤滑剤の表面存在量のみならず、表面吸着水
を考慮した磁気記録媒体の表面設計、すなわち潤滑剤の
表面存在量、潤滑剤の分布状態を最適な状態に設定する
ことが必要である。
【0094】そこで、AV用途に用いられる磁気記録媒
体は、薄膜型磁気記録媒体において、潤滑剤層と探針と
の付着力の標準偏差が0.15以下とされることが好ま
しい。薄膜型磁気記録媒体において、潤滑剤層と探針と
の付着力の標準偏差が0.15以下とされる潤滑剤層を
形成することにより、薄膜型磁気記録媒体は、高湿環境
下において安定した走行が可能で、ヘリカルスキャン方
式を用いたAV用途に好適な磁気記録媒体とされる。
【0095】一方、データの保存、バックアップ等、い
わゆるデータストレージ用に使用される磁気記録媒体で
は、磁気ヘッドが同じ場所を繰り返し摺動することは無
く、且つ磁気記録媒体のシャトル走行が中心となるた
め、必ずしも多量の潤滑剤は必要とされない。逆に、磁
気ヘッドの付着物抑制という観点から、磁気記録媒体に
おける潤滑剤の表面存在量は、AV用途の磁気記録媒体
よりも少ないことが好ましいといえる。
【0096】そこで、データの保存、バックアップ等、
いわゆるデータストレージ用に使用される本発明に係る
磁気記録媒体は、薄膜型磁気記録媒体において、潤滑剤
層と探針との付着力の標準偏差が0.15〜0.35と
されることが好ましい。薄膜型磁気記録媒体において、
潤滑剤層と探針との付着力の標準偏差が0.15〜0.
35とされる潤滑剤層を形成することにより、薄膜型磁
気記録媒体は、安定した走行が可能で、データの保存、
バックアップ等、いわゆるデータストレージ用の用途に
好適な磁気記録媒体とされる。
【0097】以上、詳細に説明したが、本発明は上記の
説明に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱し
ない範囲において、適宜変更可能である。
【0098】
【実施例】以下、本発明を具体的な実施例に基づいて説
明する。
【0099】〔実験1〕実験1では、サンプル1乃至サ
ンプル12及びサンプル13乃至サンプル18のサンプ
ルテープを作製し、以下に示す特性評価を行った。ま
ず、以下のようにしてサンプル1乃至サンプル12及び
サンプル13乃至サンプル18のサンプルテープを作製
した。
【0100】サンプル1 サンプル1においては、ポリエチレンテレフタレートか
らなる非磁性支持体上に、連続巻き取り式蒸着装置によ
りCoの金属磁性膜を成膜し、次いで、マグネトロンス
パッタリング装置を用いて金属磁性膜上にカーボン保護
膜を成膜した。さらに、非磁性支持体の金属磁性膜4が
成膜された面とは反対側の面にバックコート層を形成
し、最後に、カーボン保護膜上に潤滑剤層を形成して磁
気記録媒体を作製した。
【0101】具体的には、以下のようにして磁気記録媒
体を作製した。
【0102】まず、非磁性支持体として厚み7.0μm
のポリエチレンテレフタレートフィルムを準備した。
【0103】次に、図2に示したような連続巻き取り式
の蒸着装置を、その内部が10-3(Pa)程度の真空状
態となるように排気し、上記の非磁性支持体を、この蒸
着装置にセッティングした。そして、連続真空斜め蒸着
法により、微量の酸素存在下において、非磁性支持体の
一主面1a上にCoからなる金属磁性膜を形成した。蒸
着の入射角は、非磁性支持体の法線方向が90〜45度
までであり、非磁性支持体の走行速度が50m/分で、
金属磁性膜の膜厚が180nmとなるように、電子ビー
ムの強さを調節して作製した。
【0104】次に、図3に示したようなマグネトロンス
パッタリング装置を、その内部が10-4(Pa)程度に
なるまで減圧した後、Arガスを導入し、0.8Pa程
度にした。そして、このマグネトロンスパッタリング装
置に金属磁性膜が形成された非磁性支持体をセッティン
グし、−40℃に冷却した冷却キャン上を5m/分の速
度で走行させて金属磁性膜上に約8nmの膜厚のカーボ
ン保護膜を形成した。
【0105】次に、下記の組成に準じてバック塗料を調
製した。 <バック塗料組成> カーボンブラック(旭社製、#50) 100重量部 ポリエステルポリウレタン 100重量部 (日本ポリウレタン(株)製、 商品名N−2304) 溶剤:メチルエチルケトン 500重量部 トルエン 500重量部 そして、調製されたバック塗料を、非磁性支持体の金属
磁性膜が成膜された面とは反対側の面に塗布、乾燥する
ことで厚さ0.5μmのバックコート層を形成した。
【0106】次に、バックコート層を形成した後、20
0℃に加熱されたロールに金属磁性膜を接触させなが
ら、100m/minの速度で走行させた。
【0107】その後、カーボン保護膜上に、パーフルオ
ロポリエーテル(以下、PFPEと呼ぶ。)系潤滑剤で
あるZ−dol(商品名、アウジモント社製)を含有す
る潤滑剤溶液を調製し、上記カーボン保護膜上にトップ
コーティングにより潤滑剤層を設けた。
【0108】ここで、潤滑剤溶液の溶媒としては、フッ
素系溶媒であるHFE−7200(商品名、3M社製)
を用い、潤滑剤の濃度は、0.05重量%とした。
【0109】このようにして非磁性支持体上に金属磁性
膜、カーボン保護膜、バックコート層及び潤滑剤層が形
成されてなる磁気テープ原反を、8mm幅に裁断してサ
ンプルテープとした。
【0110】サンプル2 潤滑剤溶液を調製する際、潤滑剤の濃度を0.1重量%
としたこと以外は、サンプル1と同様にしてサンプルテ
ープを作製した。
【0111】サンプル3 潤滑剤溶液を調製する際、PFPE系潤滑剤としてZ−
diac(商品名、アウジモント社製)を用い、潤滑剤
の濃度を0.05重量%としたこと以外は、サンプル1
と同様にしてサンプルテープを作製した。
【0112】サンプル4 潤滑剤溶液を調製する際、潤滑剤の濃度を0.1重量%
としたこと以外は、サンプル3と同様にしてサンプルテ
ープを作製した。
【0113】サンプル5 潤滑剤溶液を調製する際、PFPE系潤滑剤としてAM
−2001(商品名、アウジモント社製)を用い、潤滑
剤の濃度を0.05重量%としたこと以外は、サンプル
1と同様にしてサンプルテープを作製した。
【0114】サンプル6 潤滑剤溶液を調製する際、潤滑剤の濃度を0.1重量%
としたこと以外は、サンプル5と同様にしてサンプルテ
ープを作製した。
【0115】サンプル7 潤滑剤溶液を調製する際、PFPE系潤滑剤としてZ−
deal(商品名、アウジモント社製)を用い、潤滑剤
の濃度を0.05重量%としたこと以外は、サンプル1
と同様にしてサンプルテープを作製した。
【0116】サンプル8 潤滑剤溶液を調製する際、潤滑剤の濃度を0.1重量%
としたこと以外は、サンプル7と同様にしてサンプルテ
ープを作製した。
【0117】サンプル9 潤滑剤溶液を調製する際、潤滑剤としてヘプチルステア
レートを用い、潤滑剤の濃度を0.05重量%としたこ
と以外は、サンプル1と同様にしてサンプルテープを作
製した。
【0118】サンプル10 潤滑剤溶液を調製する際、潤滑剤の濃度を0.1重量%
としたこと以外は、サンプル9と同様にしてサンプルテ
ープを作製した。
【0119】サンプル11 潤滑剤溶液を調製する際、潤滑剤としてステアリン酸を
用い、潤滑剤の濃度を0.05重量%としたこと以外
は、サンプル1と同様にしてサンプルテープを作製し
た。
【0120】サンプル12 潤滑剤溶液を調製する際、潤滑剤の濃度を0.1重量%
としたこと以外は、サンプル11と同様にしてサンプル
テープを作製した。
【0121】サンプル13 潤滑剤溶液を調製する際、潤滑剤としてZ−dol(商
品名、アウジモント社製)を用い、潤滑剤の濃度を0.
3重量%としたこと以外は、サンプル1と同様にしてサ
ンプルテープを作製した。
【0122】サンプル14 潤滑剤溶液を調製する際、潤滑剤としてZ−diac
(商品名、アウジモント社製)を用い、潤滑剤の濃度を
0.3重量%としたこと以外は、サンプル1と同様にし
てサンプルテープを作製した。
【0123】サンプル15 潤滑剤溶液を調製する際、潤滑剤としてAM−2001
(商品名、アウジモント社製)を用い、潤滑剤の濃度を
0.3重量%としたこと以外は、サンプル1と同様にし
てサンプルテープを作製した。
【0124】サンプル16 潤滑剤溶液を調製する際、潤滑剤としてZ−deal
(商品名、アウジモント社製)を用い、潤滑剤の濃度を
0.3重量%としたこと以外は、サンプル1と同様にし
てサンプルテープを作製した。
【0125】サンプル17 潤滑剤溶液を調製する際、潤滑剤としてヘプチルステア
レートを用い、潤滑剤の濃度を0.3重量%としたこと
以外は、サンプル1と同様にしてサンプルテープを作製
した。
【0126】サンプル18 潤滑剤溶液を調製する際、潤滑剤としてステアリン酸を
用い、潤滑剤の濃度を0.3重量%としたこと以外は、
サンプル1と同様にしてサンプルテープを作製した。
【0127】サンプル1乃至サンプル12及びサンプル
13乃至サンプル18で作製したサンプルテープについ
て以下の特性評価を行った。
【0128】<特性評価>付着力測定 付着力の測定は、原子間力顕微鏡SPM−9500(商
品名、島津製作所製)及びSPM−9500用Force C
urveソフトウエアを用い、常温、常湿において下記の条
件で測定し、その平均値を付着力とした。
【0129】測定範囲:6×6μm 分解能(サンプリング数):64×64(4096ポイ
ント) ここで、付着力とは、サンプルテープ上における探針の
高さ方向における移動距離を横軸に取り、各位置でカン
チレバーが探針に加えている力を縦軸に示したフォース
カーブ図4におけるDからEまでの値と定義する。
【0130】そして、付着力の標準偏差を求め、さらに
付着力の平均値で割ることにより無次元化した値を本実
験における付着力標準偏差と定義した。その結果を表1
に示す。
【0131】摩擦係数測定 温度25℃、湿度50%RHの恒温槽中でサンプルテー
プを走行させ、摺動摩擦試験機を用いて摩擦係数の測定
を行い、走行10パス目の数値を初期摩擦係数とした。
その結果を表1に示す。
【0132】また、付着力標準偏差と初期摩擦係数との
関係を図8に示す。なお、図8においては、付着力標準
偏差と初期摩擦係数との関係をより明確に示すためにサ
ンプル数を増やして作成した。
【0133】
【表1】
【0134】表1より、サンプル1乃至サンプル12で
は、潤滑剤の材質にかかわらず、何れのサンプルテープ
においても付着力標準偏差が0.06以上となってお
り、かつ、初期摩擦係数が0.25以下となっている。
ここで、付着力標準偏差が大きいということは、付着力
のばらつきが大きいということを表しており、すなわ
ち、潤滑剤が不均一に分布していることを表している。
したがって、付着力の標準偏差が0.06以上であるサ
ンプル1のサンプル12では、潤滑剤量が多すぎるとい
うことがなく、サンプルテープとガイドピン等の摺動部
材との間に生じるメニスカス力は低く抑えられるため摩
擦係数も低く抑えられていることがわかった。
【0135】一方、サンプル13乃至サンプル18で
は、潤滑剤の材質にかかわらず、何れのサンプルテープ
においても付着力標準偏差が0.06以下となってお
り、かつ、初期摩擦係数が0.7以上と高くなってい
る。ここで、付着力標準偏差が小さいということは、付
着力のばらつきが小さいということを表しており、すな
わち、潤滑剤が均一に分布していることを表している。
したがって、サンプル13乃至サンプル18では、潤滑
剤量が多いため、サンプルテープとガイドピン等の摺動
部材との間に生じるメニスカス力が増大し、その結果摩
擦係数が大きくなっていることがわかった。そして、こ
れは、潤滑剤の濃度を高くしていることに起因している
と考えられる。
【0136】また、図8から、潤滑剤の材質にかかわら
ず、標準偏差が0.06未満である場合には、摩擦係数
が大きくなることが確認できる。一方、標準偏差が0.
06以上である場合には、摩擦係数が低減していること
が確認できる。そして、付着力の標準偏差と摩擦係数と
の間に相関関係が認められ、図8の測定結果のマスター
カーブより、潤滑剤の材質にかかわらず摩擦係数低く抑
えられる条件を設定するできることがわかった。
【0137】〔実験2〕実験2では、サンプル19乃至
サンプル32のサンプルテープを作製し、以下に示す特
性評価を行った。まず、以下のようにしてサンプル19
乃至サンプル25のサンプルテープを作製した。
【0138】サンプル19 潤滑剤溶液を調製する際、潤滑剤の濃度を0.01重量
%としたこと以外は、サンプル1と同様にしてサンプル
テープを作製した。
【0139】サンプル20 潤滑剤溶液を調製する際、潤滑剤の濃度を0.03重量
%としたこと以外は、サンプル1と同様にしてサンプル
テープを作製した。
【0140】サンプル21 潤滑剤溶液を調製する際、潤滑剤の濃度を0.05重量
%としたこと以外は、サンプル1と同様にしてサンプル
テープを作製した。
【0141】サンプル22 潤滑剤溶液を調製する際、潤滑剤の濃度を0.07重量
%としたこと以外は、サンプル1と同様にしてサンプル
テープを作製した。
【0142】サンプル23 潤滑剤溶液を調製する際、潤滑剤の濃度を0.1重量%
としたこと以外は、サンプル1と同様にしてサンプルテ
ープを作製した。
【0143】サンプル24 潤滑剤溶液を調製する際、潤滑剤の濃度を0.2重量%
としたこと以外は、サンプル1と同様にしてサンプルテ
ープを作製した。
【0144】サンプル25 潤滑剤溶液を調製する際、潤滑剤の濃度を0.3重量%
としたこと以外は、サンプル1と同様にしてサンプルテ
ープを作製した。
【0145】上記のようにして作製したサンプル19乃
至サンプル25のサンプルテープについて以下に示す特
性評価を行った。
【0146】<特性評価>付着力測定 付着力の測定は、カンチレバーとしてMicro ca
ntilever OMCL−RC800PB(オリン
パス社製)を用い、これを無水クロロホルムで調製した
1835SiC13溶液で表面処理した。そして、常温、
常湿において下記の条件で測定し、その平均値を付着力
とした。
【0147】測定範囲:6×6μm 分解能(サンプリング数):64×64(4096ポイ
ント) ここで、付着力とは、サンプルテープ上における探針の
高さ方向における移動距離を横軸に取り、各位置でカン
チレバーが探針に加えている力を縦軸に示したフォース
カーブ図4におけるDからEまでの値と定義する。
【0148】そして、付着力の標準偏差を求め、さらに
付着力の平均値で割ることにより無次元化した値を本実
験における付着力標準偏差と定義した。その結果を図1
0に示す。
【0149】また、以下のようにしてサンプル26乃至
サンプル32のサンプルテープを作製した。
【0150】サンプル26 潤滑剤溶液を調製する際、潤滑剤の濃度を0.01重量
%としたこと以外は、サンプル1と同様にしてサンプル
テープを作製した。
【0151】サンプル27 潤滑剤溶液を調製する際、潤滑剤の濃度を0.03重量
%としたこと以外は、サンプル1と同様にしてサンプル
テープを作製した。
【0152】サンプル28 潤滑剤溶液を調製する際、潤滑剤の濃度を0.05重量
%としたこと以外は、サンプル1と同様にしてサンプル
テープを作製した。
【0153】サンプル29 潤滑剤溶液を調製する際、潤滑剤の濃度を0.1重量%
としたこと以外は、サンプル1と同様にしてサンプルテ
ープを作製した。
【0154】サンプル30 潤滑剤溶液を調製する際、潤滑剤の濃度を0.2重量%
としたこと以外は、サンプル1と同様にしてサンプルテ
ープを作製した。
【0155】サンプル31 潤滑剤溶液を調製する際、潤滑剤の濃度を0.3重量%
としたこと以外は、サンプル1と同様にしてサンプルテ
ープを作製した。
【0156】サンプル32 潤滑剤溶液を調製する際、潤滑剤の濃度を0.5重量%
としたこと以外は、サンプル1と同様にしてサンプルテ
ープを作製した。
【0157】上記のようにして作製したサンプル26乃
至サンプル32のサンプルテープについて以下に示す特
性評価を行った。
【0158】<特性評価>吸光度測定 サンプルテープにおける潤滑剤層の吸光度をFT−IR
測定法により測定した。FT−IR反射吸収スペクトル
は、Nicolet社のMAGANA−IR550を用
い、アクセサリーとしてHarrick社のSprit
Pea(赤外光入射角:45度)を使用して測定した。
バックグラウンドには潤滑剤未塗布メタルテープを用
い、潤滑剤に起因する特定のピークを測定した。各サン
プルテープにおけるFT−IRスペクトルを図11に示
す。
【0159】図10より、潤滑剤であるZ−dolの塗
布濃度、すなわちサンプルテープにおけるZ−dolの
表面存在量が多くなるにつれて、付着力標準偏差は減少
する傾向にあることが判る。ここで、付着力標準偏差の
減少とは、付着力のサンプルテープ上の位置によるばら
つきが小さくなることを示しており、潤滑剤がサンプル
テープ上により均一に存在していることを示している。
つまり、極低濃度、すなわち潤滑剤が非常に少ない領域
においても統計処理した付着力標準偏差に差異が認めら
れる。また、この標準偏差の大きさを比較することでサ
ンプルテープ表面における潤滑剤の存在量及び分布状態
を評価することが可能であり、サンプルテープ間での相
対比較も可能である。
【0160】一方、図11より、波数1200〜130
0cm-1付近に観測されるピークは、サンプルテープ上
に存在する潤滑剤であるZ−dolに起因するC−F伸
縮振動の吸収である。そして、このピークにより囲われ
る面積(以下、ピーク面積と呼ぶ。)が大きいほど、Z
−dolのサンプルテープ表面における存在量が多いこ
とを示している。図11から明らかなように、潤滑剤の
塗布濃度が増加するにつれて、ピーク面積が大きくな
り、サンプルテープ表面における潤滑剤すなわちZ−d
olの存在量が多くなっている。しかしながら、潤滑剤
の塗布濃度が0.03重量%以下においては、ピーク
は、ほとんど検出されない。すなわち、測定条件にもよ
るが、この領域がFT−IRの測定限界である。したが
って、潤滑剤の塗布濃度が高い領域、すなわちサンプル
テープ表面における潤滑剤の存在量が多い領域であれ
ば、FT−IRを使用することによりサンプルテープ間
での相対比較も可能であるが、潤滑剤の塗布濃度が非常
に低い領域、すなわちサンプルテープ表面における潤滑
剤の存在量が極微量である領域においては、サンプルテ
ープ表面における潤滑剤の存在量の検出は困難であるこ
とが判る。
【0161】また、FT−IRの他にもXPSや、ES
CA等の元素分析による潤滑剤量の測定も可能である
が、これらには真空中での潤滑剤の揮発、或いは測定に
時間を有する等の問題が有る。このため、これらの元素
分析による潤滑剤量の測定は、一般分析は可能であって
も、生産管理などの高精度且つ短時間での測定が要求さ
れる場合には不適である。
【0162】したがって、これらのことより、本発明を
適用した例えばAFM等を用いた磁気記録媒体の評価方
法が、精度及び測定時間の観点からもサンプルテープ表
面の潤滑剤の存在量を測定、管理するに際して、非常に
有効な手法であることが判る。
【0163】〔実験3〕実験3では、サンプル33乃至
サンプル41のサンプルテープを作製し、以下に示す特
性評価を行った。まず、以下のようにしてサンプル33
乃至サンプル41のサンプルテープを作製した。
【0164】サンプル33 潤滑剤層を形成しないこと以外は、サンプル1と同様に
してサンプルテープを作製した。
【0165】サンプル34 潤滑剤溶液を調製する際、潤滑剤の濃度を0.01重量
%としたこと以外は、サンプル1と同様にしてサンプル
テープを作製した。
【0166】サンプル35 潤滑剤溶液を調製する際、潤滑剤の濃度を0.03重量
%としたこと以外は、サンプル1と同様にしてサンプル
テープを作製した。
【0167】サンプル36 潤滑剤溶液を調製する際、潤滑剤の濃度を0.05重量
%としたこと以外は、サンプル1と同様にしてサンプル
テープを作製した。
【0168】サンプル37 潤滑剤溶液を調製する際、潤滑剤の濃度を0.075重
量%としたこと以外は、サンプル1と同様にしてサンプ
ルテープを作製した。
【0169】サンプル38 潤滑剤溶液を調製する際、潤滑剤の濃度を0.1重量%
としたこと以外は、サンプル1と同様にしてサンプルテ
ープを作製した。
【0170】サンプル39 潤滑剤溶液を調製する際、潤滑剤の濃度を0.15重量
%としたこと以外は、サンプル1と同様にしてサンプル
テープを作製した。
【0171】サンプル40 潤滑剤溶液を調製する際、潤滑剤の濃度を0.2重量%
としたこと以外は、サンプル1と同様にしてサンプルテ
ープを作製した。
【0172】サンプル41 潤滑剤溶液を調製する際、潤滑剤の濃度を0.3重量%
としたこと以外は、サンプル1と同様にしてサンプルテ
ープを作製した。
【0173】上記のようにして作製したサンプル33乃
至サンプル41のサンプルテープについて以下の特性評
価を行った。
【0174】<特性評価>付着力測定 付着力の測定は、カンチレバーとしてMicro ca
ntilever OMCL−RC800PB(オリン
パス社製)を用いた。そして、サンプルテープを、潤滑
剤が水面側に位置するように水を満たした容器中に配
し、水中において下記の条件で測定し、その平均値を付
着力とした。
【0175】測定範囲:6×6μm 分解能(サンプリング数):64×64(4096ポイ
ント) ここで、付着力とは、サンプルテープ上における探針の
高さ方向における移動距離を横軸に取り、各位置でカン
チレバーが探針に加えている力を縦軸に示したフォース
カーブ図4におけるDからEまでの値と定義する。
【0176】そして、付着力の標準偏差を求め、さらに
付着力の平均値で割ることにより無次元化した値を本実
験における付着力標準偏差と定義した。その結果を図1
2に示す。
【0177】図12より、潤滑剤であるZ−dolの塗
布濃度、すなわちZ−dolの表面存在量が多くなるに
つれて、付着力平均値は増加する傾向にあることが判
る。ここで、付着力平均値の増加とは、サンプルテープ
上における潤滑剤の被覆が増えていることを示してい
る。つまり、極低濃度、すなわち潤滑剤が非常に少ない
領域においても付着力平均値に差異が認められる。ま
た、付着力平均値の大きさを比較することでサンプルテ
ープ表面における潤滑剤の存在量及び分布状態を評価す
ることが可能であり、サンプルテープ間での相対比較も
可能である。
【0178】したがって、以上の結果と上述した図11
の結果より、本発明を適用した例えばAFMを用いた水
中における磁気記録媒体の評価方法が、精度及び測定時
間の観点からもサンプルテープ表面の潤滑剤の存在量を
測定、管理するに際して、非常に有効な手法であること
が判る。
【0179】〔実験4〕実験4では、サンプル42乃至
サンプル73のサンプルテープを作製し、以下に示す特
性評価を行った。まず、以下のようにしてサンプル42
乃至サンプル49のサンプルテープを作製した。
【0180】サンプル42 潤滑剤層を形成しないこと以外は、サンプル1と同様に
してサンプルテープを作製した。
【0181】サンプル43 潤滑剤溶液を調製する際、潤滑剤の濃度を0.01重量
%としたこと以外は、サンプル1と同様にしてサンプル
テープを作製した。
【0182】サンプル44 潤滑剤溶液を調製する際、潤滑剤の濃度を0.03重量
%としたこと以外は、サンプル1と同様にしてサンプル
テープを作製した。
【0183】サンプル45 潤滑剤溶液を調製する際、潤滑剤の濃度を0.05重量
%としたこと以外は、サンプル1と同様にしてサンプル
テープを作製した。
【0184】サンプル46 潤滑剤溶液を調製する際、潤滑剤の濃度を0.07重量
%としたこと以外は、サンプル1と同様にしてサンプル
テープを作製した。
【0185】サンプル47 潤滑剤溶液を調製する際、潤滑剤の濃度を0.1重量%
としたこと以外は、サンプル1と同様にしてサンプルテ
ープを作製した。
【0186】サンプル48 潤滑剤溶液を調製する際、潤滑剤の濃度を0.3重量%
としたこと以外は、サンプル1と同様にしてサンプルテ
ープを作製した。
【0187】サンプル49 潤滑剤溶液を調製する際、潤滑剤の濃度を0.5重量%
としたこと以外は、サンプル1と同様にしてサンプルテ
ープを作製した。
【0188】上記のようにして作製したサンプル42乃
至サンプル49のサンプルテープについて以下の特性評
価を行った。
【0189】付着力測定 付着力の測定は、原子間力顕微鏡(AFM)SPM−9
500(商品名、島津製作所製)及びSPM−9500
用Force Curveソフトウエアを用いた。また、カンチレ
バーとしてMicro cantilever OMC
L−RC800PB(オリンパス社製)を用い、これを
無水クロロホルムで調製したC1835SiC13溶液で表
面処理した。そして、常温において、湿度を1%RH以
下、20%RH、50%RH、80%RHの各条件に制
御して下記の条件で測定し、その平均値を付着力とし
た。
【0190】測定範囲:6×6μm 分解能(サンプリング数):64×64(4096ポイ
ント) ここで、付着力とは、サンプルテープ上における探針の
高さ方向における移動距離を横軸に取り、各位置でカン
チレバーが探針に加えている力を縦軸に示したフォース
カーブ図4におけるDからEまでの値と定義する。
【0191】そして、付着力の標準偏差を求め、さらに
付着力の平均値で割ることにより無次元化した値を本実
験における付着力標準偏差と定義した。このときの各湿
度での付着力平均値の増加量を図13に示す。なお、付
着力変化とは、所定の湿度での付着力平均値から湿度1
%RH以下での付着力平均値を差し引いたのものであ
る。
【0192】摩擦係数測定 摩擦係数の測定は、温度25℃の恒温槽中において、湿
度を1%RH以下、20%RH、50%RH、80%R
Hの各条件に制御してサンプルテープを走行させ、摺動
摩擦試験機を用いて行った。ここで、走行10パス目の
摩擦係数を初期摩擦係数とし、300パス目の摩擦係数
を走行後摩擦係数とした。このときの各湿度での初期摩
擦係数の増加量を図14に示す。また、各湿度での走行
後摩係数の増加量を図15に示す。なお、摩擦係数の増
加量とは、所定の湿度での摩擦係数から湿度1%RH以
下での摩擦係数を差し引いたものである。
【0193】図13より、潤滑剤であるZ−dolの塗
布濃度、すなわちZ−dolのサンプルテープ表面にお
ける表面存在量が少ない低塗布濃度時には、高湿環境に
なるほど付着力変化が大きくなることが判る。これは、
潤滑剤のサンプルテープにおける表面存在量が少ないほ
ど、高湿環境時にサンプルテープ表面へ水が吸着しやす
い傾向があることを示している。この傾向は、Z−do
l塗布濃度が増加する、すなわち潤滑剤のサンプルテー
プ表面における存在量が増加するにつれて緩和され、Z
−dol塗布濃度が0.25重量%以上、すなわち付着
力標準偏差が0.15以下においては、付着力平均値の
増加量は、2nm以下である。この結果は、この領域で
は、サンプルテープ表面に水が吸着しにくいことを示し
ており、これはサンプルテープ表面の潤滑剤による被覆
がある程度満たされているからであると考えられる。
【0194】また、図14及び図15より、潤滑剤であ
るZ−dolの塗布濃度、すなわちZ−dolのサンプ
ルテープ表面における表面存在量が少ない低塗布濃度時
には、高湿環境になるほど初期摩擦係数の増加量及び走
行後摩擦係数の増加量が大きくなることが判る。この結
果は、図13で示した付着力平均値の増加量と対応して
おり、サンプルテープ表面へ表面吸着水の吸着に起因し
ている。すなわち、サンプルテープ表面の潤滑剤による
被覆がある程度満たされていなければ、サンプルテープ
表面に表面吸着水が吸着し、この表面吸着水が摩擦係数
の上昇を引き起こすといえる。
【0195】次に、以下のようにしてサンプル50乃至
サンプル73のサンプルテープを作製した。
【0196】サンプル50 潤滑剤溶液を調製する際、潤滑剤の濃度を0.25重量
%としたこと以外は、サンプル1と同様にしてサンプル
テープを作製した。
【0197】サンプル51 潤滑剤溶液を調製する際、潤滑剤の濃度を0.3重量%
としたこと以外は、サンプル1と同様にしてサンプルテ
ープを作製した。
【0198】サンプル52 潤滑剤溶液を調製する際、潤滑剤の濃度を0.4重量%
としたこと以外は、サンプル1と同様にしてサンプルテ
ープを作製した。
【0199】サンプル53 潤滑剤溶液を調製する際、潤滑剤の濃度を0.5重量%
としたこと以外は、サンプル1と同様にしてサンプルテ
ープを作製した。
【0200】サンプル54 潤滑剤溶液を調製する際、PFPE系潤滑剤としてZ−
diac(商品名、アウジモント社製)を用い、潤滑剤
の濃度を0.3重量%としたこと以外は、サンプル1と
同様にしてサンプルテープを作製した。
【0201】サンプル55 潤滑剤溶液を調製する際、潤滑剤の濃度を0.4重量%
としたこと以外は、サンプル54と同様にしてサンプル
テープを作製した。
【0202】サンプル56 潤滑剤溶液を調製する際、潤滑剤の濃度を0.5重量%
としたこと以外は、サンプル54と同様にしてサンプル
テープを作製した。
【0203】サンプル57 潤滑剤溶液を調製する際、PFPE系潤滑剤としてAM
−2001(商品名、アウジモント社製)を用い、潤滑
剤の濃度を0.3重量%としたこと以外は、サンプル1
と同様にしてサンプルテープを作製した。
【0204】サンプル58 潤滑剤溶液を調製する際、潤滑剤の濃度を0.4重量%
としたこと以外は、サンプル57と同様にしてサンプル
テープを作製した。
【0205】サンプル59 潤滑剤溶液を調製する際、潤滑剤の濃度を0.5重量%
としたこと以外は、サンプル57と同様にしてサンプル
テープを作製した。
【0206】サンプル60 潤滑剤溶液を調製する際、PFPE系潤滑剤としてZ−
deal(商品名、アウジモント社製)を用い、潤滑剤
の濃度を0.3重量%としたこと以外は、サンプル1と
同様にしてサンプルテープを作製した。
【0207】サンプル61 潤滑剤溶液を調製する際、潤滑剤の濃度を0.5重量%
としたこと以外は、サンプル60と同様にしてサンプル
テープを作製した。
【0208】サンプル62 潤滑剤溶液を調製する際、潤滑剤の濃度を0.01重量
%としたこと以外は、サンプル1と同様にしてサンプル
テープを作製した。
【0209】サンプル63 潤滑剤溶液を調製する際、潤滑剤の濃度を0.03重量
%としたこと以外は、サンプル1と同様にしてサンプル
テープを作製した。
【0210】サンプル64 潤滑剤溶液を調製する際、潤滑剤の濃度を0.05重量
%としたこと以外は、サンプル1と同様にしてサンプル
テープを作製した。
【0211】サンプル65 潤滑剤溶液を調製する際、潤滑剤の濃度を0.1重量%
としたこと以外は、サンプル1と同様にしてサンプルテ
ープを作製した。
【0212】サンプル66 潤滑剤溶液を調製する際、PFPE系潤滑剤としてZ−
diac(商品名、アウジモント社製)を用い、潤滑剤
の濃度を0.01重量%としたこと以外は、サンプル1
と同様にしてサンプルテープを作製した。
【0213】サンプル67 潤滑剤溶液を調製する際、潤滑剤の濃度を0.05重量
%としたこと以外は、サンプル66と同様にしてサンプ
ルテープを作製した。
【0214】サンプル68 潤滑剤溶液を調製する際、潤滑剤の濃度を0.1重量%
としたこと以外は、サンプル66と同様にしてサンプル
テープを作製した。
【0215】サンプル69 潤滑剤溶液を調製する際、PFPE系潤滑剤としてAM
−2001(商品名、アウジモント社製)を用い、潤滑
剤の濃度を0.01重量%としたこと以外は、サンプル
1と同様にしてサンプルテープを作製した。
【0216】サンプル70 潤滑剤溶液を調製する際、潤滑剤の濃度を0.05重量
%としたこと以外は、サンプル69と同様にしてサンプ
ルテープを作製した。
【0217】サンプル71 潤滑剤溶液を調製する際、潤滑剤の濃度を0.1重量%
としたこと以外は、サンプル69と同様にしてサンプル
テープを作製した。
【0218】サンプル72 潤滑剤溶液を調製する際、PFPE系潤滑剤としてZ−
deal(商品名、アウジモント社製)を用い、潤滑剤
の濃度を0.05重量%としたこと以外は、サンプル1
と同様にしてサンプルテープを作製した。
【0219】サンプル73 潤滑剤溶液を調製する際、潤滑剤の濃度を0.1重量%
としたこと以外は、サンプル72と同様にしてサンプル
テープを作製した。
【0220】上記のようにして作製したサンプル50乃
至サンプル73のサンプルテープについて上記と同様に
して特性評価を行い、付着力標準偏差、付着力平均値増
加量、初期摩擦係数増加量、走行後摩擦係数増加量を求
めた。その結果を表2及び表3に示す。なお、各増加量
は、80%RHでの値から1%RH以下での値を差し引
いたものである。
【0221】
【表2】
【0222】
【表3】
【0223】表2より、サンプル50乃至サンプル61
では、潤滑剤の種類に依らず、何れの付着力標準偏差も
0.15以下であり、付着力平均値の増加量が2nN以
下となっていることが判る。これは、付着力標準偏差が
0.15以下であるサンプルテープは、高湿環境下に保
持してもサンプルテープ表面に表面吸着水が付きにくい
ことを示している。したがって、付着力標準偏差が0.
15以下であるサンプル50乃至サンプル61では、初
期摩擦係数増加量及び走行後摩擦係数増加量は、低い値
におさまっており、高湿環境下においても低湿環境下と
変わらず、サンプルテープは安定した走行が可能となる
といえる。
【0224】一方、表3より、付着力標準偏差が0.1
5を越えているサンプル62乃至サンプル73では、潤
滑剤の種類に依らず、何れも付着力平均値の増加量が3
nN以上となっていることが判る。また、付着力平均値
の増加は、付着力標準偏差の値が大きいほど顕著であ
る。この結果は、サンプルテープ表面の潤滑剤の被覆率
が低いほど、サンプルテープ表面に表面吸着水が吸着し
やすいことを示している。したがって、サンプル62乃
至サンプル73では、初期摩擦係数増加量及び走行後摩
擦係数増加量が大きく、この増加が表面吸着水の吸着に
関与していることが判る。
【0225】以上の結果より、付着力標準偏差が0.1
5以下とされた潤滑剤層が形成された磁気テープは、高
湿環境下のおいて磁気テープ表面への表面吸着水の吸着
が抑制され、その結果、高湿環境下においても安定した
走行が可能となるといえる。
【0226】〔実験5〕実験5では、サンプル74乃至
サンプル97のサンプルテープを作製し、以下に示す特
性評価を行った。まず、以下のようにしてサンプル74
乃至サンプル97のサンプルテープを作製した。
【0227】サンプル74 潤滑剤溶液を調製する際、潤滑剤の濃度を0.05重量
%としたこと以外は、サンプル1と同様にしてサンプル
テープを作製した。
【0228】サンプル75 潤滑剤溶液を調製する際、潤滑剤の濃度を0.1重量%
としたこと以外は、サンプル1と同様にしてサンプルテ
ープを作製した。
【0229】サンプル76 潤滑剤溶液を調製する際、潤滑剤の濃度を0.15重量
%としたこと以外は、サンプル1と同様にしてサンプル
テープを作製した。
【0230】サンプル77 潤滑剤溶液を調製する際、潤滑剤の濃度を0.2重量%
としたこと以外は、サンプル1と同様にしてサンプルテ
ープを作製した。
【0231】サンプル78 潤滑剤溶液を調製する際、PFPE系潤滑剤としてZ−
diac(商品名、アウジモント社製)を用い、潤滑剤
の濃度を0.1重量%としたこと以外は、サンプル1と
同様にしてサンプルテープを作製した。
【0232】サンプル79 潤滑剤溶液を調製する際、潤滑剤の濃度を0.2重量%
としたこと以外は、サンプル78と同様にしてサンプル
テープを作製した。
【0233】サンプル80 潤滑剤溶液を調製する際、潤滑剤の濃度を0.25重量
%としたこと以外は、サンプル78と同様にしてサンプ
ルテープを作製した。
【0234】サンプル81 潤滑剤溶液を調製する際、PFPE系潤滑剤としてAM
−2001(商品名、アウジモント社製)を用い、潤滑
剤の濃度を0.05重量%としたこと以外は、サンプル
1と同様にしてサンプルテープを作製した。
【0235】サンプル82 潤滑剤溶液を調製する際、潤滑剤の濃度を0.1重量%
としたこと以外は、サンプル81と同様にしてサンプル
テープを作製した。
【0236】サンプル83 潤滑剤溶液を調製する際、潤滑剤の濃度を0.15重量
%としたこと以外は、サンプル81と同様にしてサンプ
ルテープを作製した。
【0237】サンプル84 潤滑剤溶液を調製する際、PFPE系潤滑剤としてZ−
deal(商品名、アウジモント社製)を用い、潤滑剤
の濃度を0.05重量%としたこと以外は、サンプル1
と同様にしてサンプルテープを作製した。
【0238】サンプル85 潤滑剤溶液を調製する際、潤滑剤の濃度を0.1重量%
としたこと以外は、サンプル84と同様にしてサンプル
テープを作製した。
【0239】サンプル86 潤滑剤溶液を調製する際、潤滑剤の濃度を0.01重量
%としたこと以外は、サンプル1と同様にしてサンプル
テープを作製した。
【0240】サンプル87 潤滑剤溶液を調製する際、潤滑剤の濃度を0.03重量
%としたこと以外は、サンプル1と同様にしてサンプル
テープを作製した。
【0241】サンプル88 潤滑剤溶液を調製する際、潤滑剤の濃度を0.3重量%
としたこと以外は、サンプル1と同様にしてサンプルテ
ープを作製した。
【0242】サンプル89 潤滑剤溶液を調製する際、潤滑剤の濃度を0.5重量%
としたこと以外は、サンプル1と同様にしてサンプルテ
ープを作製した。
【0243】サンプル90 潤滑剤溶液を調製する際、PFPE系潤滑剤としてZ−
diac(商品名、アウジモント社製)を用い、潤滑剤
の濃度を0.01重量%としたこと以外は、サンプル1
と同様にしてサンプルテープを作製した。
【0244】サンプル91 潤滑剤溶液を調製する際、潤滑剤の濃度を0.03重量
%としたこと以外は、サンプル90と同様にしてサンプ
ルテープを作製した。
【0245】サンプル92 潤滑剤溶液を調製する際、潤滑剤の濃度を0.4重量%
としたこと以外は、サンプル90と同様にしてサンプル
テープを作製した。
【0246】サンプル93 潤滑剤溶液を調製する際、PFPE系潤滑剤としてAM
−2001(商品名、アウジモント社製)を用い、潤滑
剤の濃度を0.01重量%としたこと以外は、サンプル
1と同様にしてサンプルテープを作製した。
【0247】サンプル94 潤滑剤溶液を調製する際、潤滑剤の濃度を0.03重量
%としたこと以外は、サンプル93と同様にしてサンプ
ルテープを作製した。
【0248】サンプル95 潤滑剤溶液を調製する際、潤滑剤の濃度を0.3重量%
としたこと以外は、サンプル93と同様にしてサンプル
テープを作製した。
【0249】サンプル96 潤滑剤溶液を調製する際、PFPE系潤滑剤としてZ−
deal(商品名、アウジモント社製)を用い、潤滑剤
の濃度を0.03重量%としたこと以外は、サンプル1
と同様にしてサンプルテープを作製した。
【0250】サンプル97 潤滑剤溶液を調製する際、潤滑剤の濃度を0.3重量%
としたこと以外は、サンプル96と同様にしてサンプル
テープを作製した。
【0251】上記のようにして作製したサンプル74乃
至サンプル97のサンプルテープについて以下の特性評
価を行った。
【0252】付着力測定 付着力の測定は、原子間力顕微鏡(AFM)SPM−9
500(商品名、島津製作所製)及びSPM−9500
用Force Curveソフトウエアを用いた。また、カンチレ
バーとしてMicro cantilever OMC
L−RC800PB(オリンパス社製)を用い、これを
無水クロロホルムで調製したC1835SiC13溶液で表
面処理した。そして、常温、常湿において、下記の条件
で測定し、その平均値を付着力とした。
【0253】測定範囲:6×6μm 分解能(サンプリング数):64×64(4096ポイ
ント) ここで、付着力とは、サンプルテープ上における探針の
高さ方向における移動距離を横軸に取り、各位置でカン
チレバーが探針に加えている力を縦軸に示したフォース
カーブ図4におけるDからEまでの値と定義する。
【0254】そして、付着力の標準偏差を求め、さらに
付着力の平均値で割ることにより無次元化した値を本実
験における付着力標準偏差と定義した。
【0255】摩擦係数測定 摩擦係数の測定は、温度25℃、湿度25%RHに制御
された恒温槽中において、サンプルテープを走行させ、
摺動摩擦試験機を用いて行った。ここで、走行10パス
目の摩擦係数を初期摩擦係数とし、300パス目の摩擦
係数を走行後摩擦係数とした。
【0256】摩擦係数測定エラーレート測定法 エラーレートの測定は、温度25℃、湿度25%RHに
制御された恒温槽内において、サンプルテープを測定デ
ッキ:SDX−S500C(商品名、ソニー社製)を用
いて走行させて行った。具体的には、最初にサンプルテ
ープに所定の信号を記録した後、5秒間の読み込みのみ
を繰り返し行いながらエラーレートを測定した。そし
て、エラーレートが1×10-2以上になるまでの走行回
数、すなわち読み込み回数を測定した。読み込みは最大
2万回まで行い、本測定条件において、1万パス以下の
ものは不適とした。
【0257】以上の結果を表4及び表5に示す。
【0258】
【表4】
【0259】
【表5】
【0260】表4より、サンプル74乃至サンプル85
では、潤滑剤の種類に依らず、何れの付着力標準偏差も
0.15〜0.35の範囲内であり、初期摩擦係数、走
行後摩擦係数及びエラーレートも問題が認められない。
これは、サンプルテープ表面上の潤滑剤の付着力標準偏
差が0.15〜0.35という適正な付着分布、すなわ
ち潤滑剤分布を示しているためであると考えられる。
【0261】一方、サンプル86、サンプル87、サン
プル90、サンプル91、サンプル93、サンプル94
及びサンプル96のように、付着力標準偏差が0.35
を越えているサンプルは、走行後の摩擦係数が大きい。
これは、付着力標準偏差が0.35よりも大きなサンプ
ルは、サンプルテープ表面に潤滑剤が点在している、す
なわち潤滑剤が非常に少ない状態であるため、十分な潤
滑効果が発揮されなかったと考えられる。また、サンプ
ル88、サンプル89、サンプル92、サンプル95及
びサンプル97のように、付着力標準偏差が0.15未
満であるサンプルは、サンプルテープ表面に存在する潤
滑剤が多すぎるため、ヘッドへの付着物が発生した可能
性があり、良好なエラーレートは得られていない。
【0262】以上の結果より、データの保存及びバック
アップ用、いわゆるデータストレージ用に使用される磁
気テープには、テープ表面における潤滑剤の付着力標準
偏差に適正な範囲が存在し、この範囲でのみ、良好な走
行耐久性が得られるといえる。すなわち、付着力標準偏
差が0.15〜0.35とされた潤滑剤層が形成された
磁気テープは、良好な走行耐久性を得られるといえる。
【0263】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、非磁性支持
体の一主面上に少なくとも金属磁性膜が成膜されてなる
とともに金属磁性膜が形成された側の一主面の最外層に
潤滑剤層を有する磁気記録媒体に対して、潤滑剤層と探
針との間に生じる付着力を測定し、当該付着力の標準偏
差により潤滑剤層における潤滑剤の表面存在量及び分布
状態を分析するものである。
【0264】本発明に係る磁気記録媒体の評価方法は、
潤滑剤層と探針との間に生じる付着力を測定し、当該付
着力の標準偏差により潤滑剤層における潤滑剤の表面存
在量及び分布状態を分析するため、潤滑剤の材質にかか
わらず種々の潤滑剤を用いた場合において、磁気記録媒
体における潤滑剤の分布状態及び最適存在量を短時間且
つ高精度で評価することが可能となる。
【0265】そして、本発明に係る磁気記録媒体の評価
方法は、短時間且つ高精度で磁気記録媒体における潤滑
剤の分布状態及び最適存在量を評価することが可能であ
るため、生産管理等に広く適用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る磁気記録媒体の一構成例を模式的
に示す概略構成図である。
【図2】連続巻き取り式蒸着装置の概略構成図である。
【図3】マグネトロンスパッタ装置の概略構成図であ
る。
【図4】原子間力顕微鏡による測定におけるフォースカ
ーブの模式図である。
【図5】付着力を測定方法を説明する図であり、AFM
カンチレバーを磁気記録媒体上に配した状態を示す図で
ある。
【図6】付着力を測定方法を説明する図であり、AFM
カンチレバーを磁気記録媒体表面の潤滑剤層に接触させ
た状態を示す図である。
【図7】付着力を測定方法を説明する図であり、AFM
カンチレバーを磁気記録媒体上から引き離す状態を示す
図である。
【図8】付着力標準偏差と初期摩擦係数との関係を示し
た特性図である。
【図9】水中における付着力測定の状態を示した図であ
る。
【図10】Z−dol塗布濃度と付着力標準偏差との関
係を示した特性図である。
【図11】各サンプルテープの波数と吸光度との関係を
示した特性図である。
【図12】Z−dol塗布濃度と付着力平均値との関係
を示した特性図である。
【図13】Z−dol塗布濃度と付着力平均値の増加量
との関係を示した特性図である。
【図14】Z−dol塗布濃度と初期摩擦係数の増加量
との関係を示した特性図である。
【図15】Z−dol塗布濃度と走行後摩擦係数の増加
量との関係を示した特性図である。
【符号の説明】
1 磁気記録媒体、2 非磁性支持体、3 金属磁性
膜、4 保護膜、5 潤滑剤層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 亀井 隆広 東京都品川区北品川6丁目7番35号 ソニ ー株式会社内 (72)発明者 小林 健 東京都品川区北品川6丁目7番35号 ソニ ー株式会社内 (72)発明者 岩本 浩 東京都品川区北品川6丁目7番35号 ソニ ー株式会社内 (72)発明者 坪井 寿憲 東京都品川区北品川6丁目7番35号 ソニ ー株式会社内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 非磁性支持体の一主面上に少なくとも金
    属磁性膜が成膜されてなるとともに上記金属磁性膜が形
    成された側の一主面の最外層に潤滑剤層を有する磁気記
    録媒体に対して、上記潤滑剤層と探針との間に生じる付
    着力を測定し、当該付着力の標準偏差により上記潤滑剤
    層における潤滑剤の表面存在量及び分布状態を分析する
    ことを特徴とする磁気記録媒体の評価方法。
  2. 【請求項2】 上記磁気記録媒体が、塗布型磁気記録媒
    体であることを特徴とする請求項1記載の磁気記録媒体
    の評価方法。
  3. 【請求項3】 上記磁気記録媒体が、薄膜型磁気記録媒
    体であることを特徴とする請求項1記載の磁気記録媒体
    の評価方法。
  4. 【請求項4】 上記潤滑剤層と探針との間に生じる付着
    力が、水中において測定されることを特徴とする請求項
    1記載の磁気記録媒体の評価方法。
  5. 【請求項5】 上記潤滑剤層と探針との間に生じる付着
    力が、原子間力顕微鏡により測定されることを特徴とす
    る請求項1記載の磁気記録媒体の評価方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2007095201A (ja) * 2005-09-29 2007-04-12 Hoya Corp 潤滑剤の選定方法、磁気記録ディスクの製造方法、および磁気記録ディスク
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JP2010086591A (ja) * 2008-09-30 2010-04-15 Hoya Corp 磁気ディスクの製造方法

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