JP4654355B2 - 潤滑剤の選定方法、および磁気記録ディスクの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、磁気記録ディスクの潤滑層の形成に用いる潤滑剤の選定方法、および磁気記録ディスクの製造方法に関するものである。
磁気記録ディスクでは、少なくとも、磁性層、保護層、および潤滑層が非磁性基板上にこの順で積層されており、潤滑層は、磁気記録ディスクとヘッドとが接触した際の衝撃を緩和する機能を担っている。ディスク駆動装置では、モバイル化などに伴ってヘッドと磁気記録ディスクとの衝突による衝撃をさらに確実に抑止することが強く求められており、それには、磁気記録ディスクの表面全体を潤滑層で均一に覆っておくことが必要となる。一方、磁気記録ディスクでは、高速回転すると遠心力により磁気記録ディスク表面の潤滑層が外周側に流動するという現象(マイグレーション)が発生することがあり、このようなマイグレーションが発生すると、潤滑層の膜厚が不均一となって潤滑特性が低下し、ヘッドクラッシュ障害等、さまざまな弊害を招いてしまう。マイグレーションの発生を防止する方法の1つとしては、保護層と潤滑層との付着性能を改善することが挙げられ、このような改善を行えば、保護層上で潤滑層が流動するのを回避できる。
このような観点から、潤滑層の形成に用いる潤滑剤を評価、選定するにあたっては、従来、保護層と潤滑層との結合比を指標として用いている。かかる結合比を測定するにあたっては、例えば、保護層上に潤滑層を形成した後、その潤滑層の膜厚をFT−IR(フーリエ変換型赤外分光光度計)法で測定し、次に、有機溶剤を用いて潤滑層の一部もしくは大部分を洗い落とした後、再度、潤滑層の膜厚を測定して、洗い落とす前後での潤滑層の膜厚の比を求め、この比を結合比として測定する方法が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2001−143253号公報
しかしながら、結合比は、潤滑層を洗い落とすのに用いた有機溶剤への潤滑剤の溶解度などの影響を受けるなど、保護層と潤滑層との間で作用する力以外の影響を受けやすいため、定量性という面では信頼性に欠けるという問題点がある。また、結合比の測定はあくまで潤滑層の膜厚を測定対象としており、保護層と潤滑層との間で作用する力を直接測定しているものではないため、その点でも信頼性に欠けるという問題点がある。
以上の問題に鑑みて、本発明の課題は、保護層と潤滑剤との間に作用する力を直接、定量的に測定することにより、実際の信頼性試験結果との相関性の高い潤滑剤の選択方法、およびこの方法により選択された潤滑剤を用いた磁気記録ディスクの製造方法を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明では、少なくとも、磁性層、保護層、および潤滑層が非磁性基板上にこの順で積層される磁気記録ディスクにおいて前記潤滑層の形成に用いる潤滑剤の選定方法であって、前記保護層を構成する材料と同一組成の材料により原子間力顕微鏡の探針を構成し、当該原子間力顕微鏡による潤滑剤のフォースカーブ測定により前記探針と前記潤滑剤との親和力を求め、該親和力が所定の範囲内の潤滑剤を前記潤滑層の形成に用いることを特徴とする。例えば、前記保護層がダイヤモンドライクカーボンであれば、ダイヤモンドライクカーボンにより原子間力顕微鏡の探針を構成する。本発明において、「前記保護層を構成する材料と同一組成の材料により原子間力顕微鏡の探針を構成する」とは、かかる材料で探針全体を形成する構成の他、前記材料で探針の先端部のみを形成した構成、前記材料で探針の表面を被覆した構成なども含む意味であり、少なくとも探針が潤滑剤と接する部分が「前記保護層を構成する材料と同一組成の材料」により形成されていればよい。
また、本発明の磁気記録ディスクの製造方法では、かかる方法で選定された潤滑剤を用いたことを特徴とする。
原子間力顕微鏡を用いると、探針と潤滑剤との間に作用する吸着力、凝着力、ファンデルワールス力、表面張力をフォースカーブとして求めることができ、このフォースカーブから、探針と潤滑剤との親和力を求めることができる。かかる親和力は、探針に対する潤滑剤の付着力である。本発明では、保護層を構成する材料と同一組成の材料により原子間力顕微鏡の探針を構成して親和力を求めるため、その大きさは、保護層に対する潤滑層の付着力を直接測定した結果に相当する。従って、かかる親和力に基づいて潤滑剤を評価すれば、磁気記録ディスクを高速回転させた際に保護層上で潤滑剤が遠心力により外周側に流動する現象(マイグレーション)の発生しやすさを高い信頼性をもって評価できる。
本発明において、前記フォースカーブ測定は、前記潤滑剤を用いて前記潤滑層を形成した磁気記録ディスクの状態、あるいは前記潤滑剤を前記保護層と同一組成の下地上に成膜した状態で行うことが好ましい。このように構成すると、潤滑剤が下地側から受ける影響も含めた親和力を測定することができるので、潤滑剤を実際に磁気記録ディスクに使用した場合の特性をより正確に評価することができる。
本発明では、保護層を構成する材料と同一組成の材料により原子間力顕微鏡の探針を構成してフォースカーブを測定するため、得られた親和力は、磁気記録ディスクを高速回転させた際に保護層上で潤滑剤が遠心力により外周側に流動する現象(マイグレーション)の発生しやすさの指標としての信頼性が高い。それ故、かかる方法で選択した潤滑剤を用いて磁気記録ディスクを製造すれば、マイグレーションの発生を防止でき、潤滑特性が向上する。よって、ヘッドクラッシュ障害等、さまざまな弊害の発生を回避することができる。
図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。なお、本形態を説明する際に用いられる図における構成(形状、大きさ、および配置関係)については本発明が理解、および実施できる程度に概略的に示したものに過ぎず、また、数値および各構成における組成(材質)については例示に過ぎない。従って、本発明は、以下に説明される実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に示される技術的思想の範囲を逸脱しない範囲において適宜、変更が可能である。
[磁気記録ディスクの構成]
図1(A)、(B)はそれぞれ、磁気記録ディスクの平面図、および磁気記録ディスクの概略断面図である。これらの図に示すように、本形態の磁気記録ディスク1は、中心穴111を備えた円形の非磁性基板11の表面に、DCマグネトロンスパッタリング法により形成された磁性層12、プラズマCVD法により形成された保護層13、浸漬法により形成された潤滑層14をこの順に積層した構造を有している。非磁性基板11は、例えば、アルミノシリケートガラスなどの化学強化ガラスからなる。保護層13は、例えば、厚さが4nmのアモルファスのダイヤモンドライクカーボンからなり、耐摩耗性を向上させて磁性層12を保護する機能を担っている。潤滑層14は、例えば、厚さが1.2nmの薄いパーフルオロポリエーテル層などから構成され、磁気ヘッドと接触した際の衝撃を緩和するなどの機能を担っている。このような潤滑層14を浸漬法により形成するには、所定の潤滑剤を有機溶媒に溶解させた薬液中に、保護層13を形成した磁気記録ディスク用基板を浸漬した後、引き上げ、加熱処理を施して潤滑剤を潤滑層14として定着させる。
[潤滑剤の選定方法]
本発明は、かかる潤滑剤を原子間力顕微鏡を用いて評価し、選定するものであり、以下、本発明に用いた原子間力顕微鏡、フォースカーブ(親和力)の測定原理を説明する。
(原子間力顕微鏡の全体構成)
図2は、本発明で用いた原子間力顕微鏡の要部構成を模式的に示す説明図である。図2に示す原子間力顕微鏡20は、カンチレバー21に形成された探針22と試料10との間に働く原子間力(引力または斥力)を検出して、試料表面の形状観察をナノスケールで行うことが可能な装置であり、コンタクトモード、ノンコンタクトモード等の各種の測定モードにより表面形状を測定する機能の他に、フォースカーブ測定機能を備えている。フォースカーブ測定とは、探針22と試料10表面との距離を変化させながら探針22と試料10表面との間に作用する力を測定することである。
本形態では、試料10としては、磁気記録ディスク1と同様、非磁性基板11上に、磁性層12、保護層13、および潤滑層14が、この順で積層されたものを用いる。また、潤滑剤を保護層13と同一組成の下地上に成膜したものを試料10として用いてもよい。
図2に示す原子間力顕微鏡20では、カンチレバー21の背面にレーザダイオードなどの光源(図示せず)が配置されており、光源から出射されたレーザ光24は、ミラー等(図示せず)を介してカンチレバー21の背面に照射される。また、カンチレバー21の背面で反射された反射光は、光検出器23(4分割フォトダイオードなど)によって検知される。
本形態において、探針22は、保護層13を構成する材料と同一の組成のダイヤモンドライクカーボンから構成されている。より具体的には、探針22は、金属などからなる部材の表面にダイヤモンドライクカーボンが被覆されたものが用いられている。なお、探針22の全体あるいは探針22の先端部のみをダイヤモンドライクカーボンで形成してもよく、いずれの場合でも、探針22が潤滑剤(潤滑層14)と接する部分がダイヤモンドライクカーボンで形成されていればよい。また、本形態において、探針22はバネ形状を有しており、探針22が試料10の表面に接する際、試料10に対する探針22の過分な押し込みを防ぐことができる。但し、探針22には、バネ形状をしたものの他、針形状、円柱形状、あるいは角柱形状のものを用いてもよい。
このような構成の原子間力顕微鏡20においてフォースカーブを測定するには、まず、探針22と試料10の潤滑層14とを対向させる。カンチレバー21は駆動系(図示せず)により片持ち保持され、z軸方向(図2中の矢印A、B方向)に駆動が可能である。従って、駆動系によりカンチレバー21をA方向に駆動させることにより、探針22を試料10の表面に接触させ、その後、駆動系によりカンチレバー21を試料10から引き離す方向(B方向)に駆動する。その間、探針22と試料10の表面を構成する潤滑層14との間に作用する力の方向および大きさに応じてカンチレバー21の姿勢が変化する。従って、カンチレバー21の背面でのレーザ光24の反射方向が変化するので、光検出器23から出力される値が変化する。それ故、カンチレバー21を変位させる間、光検出器23からの出力値は、図4を参照して後述するフォースカーブを描くことになる。なお、カンチレバー21は、駆動系によりx軸方向およびy軸方向にも(それぞれ、図2中の矢印X、および紙面裏方向)駆動が可能であるため、試料10表面上の任意の点において、フォースカーブを測定することが可能である。
(原子間力顕微鏡によるフォースカーブの測定原理)
図3および図4はそれぞれ、本発明を適用した原子間力顕微鏡でフォースカーブを測定する際のカンチレバーの姿勢変化を模式的に示す説明図、およびフォースカーブの測定結果を示す説明図である。なお、図4では、探針22と試料10の表面との距離を横軸とし、光検出器23からの出力値を縦軸として表してある。
まず、図3(A)に示すように、原子間力顕微鏡20に試料10をセットした後、カンチレバー21を矢印Aの方向に駆動すると、探針22が試料10の潤滑層14に接触するまでは両者にほとんど力が作用しないので、図4に矢印T1で示すように、光検出器23からの出力値は一定である。そして、探針22が試料10の潤滑層14に接触すると斥力が作用し、カンチレバー21が撓むので、図4に矢印T2で示すように、光検出器23からの出力値が上昇する。そして、図3(B)に示すように、カンチレバー21を矢印Bの方向に駆動して両者を引き離そうとすると、引力が作用し、カンチレバー21が反対側に撓むので、図4に矢印T3で示すように、光検出器23からの出力値が下降する。そして、カンチレバー21の弾性力が引力に打ち勝った時点で(図4に点Eで示す時点)、図3(C)に示すように、両者が離れ、両者にほとんど力が作用しない状態に戻る(図4に点Dで示す時点)。
ここで、光検出器23からの出力電圧値(V)の変化は、カンチレバー21の撓みの量(nm)の変化に換算でき、このカンチレバー21の撓み量(nm)に、カンチレバー21のバネ定数(N/m)を乗じることにより、探針22と試料10の表面との間に作用する力(nN)の値を求めることができる。したがって、図4に示すフォースカーブにおいて、点Dと点Eにおける差分の絶対値に上記の計算処理を施すことにより、探針22と試料10の潤滑層14との間に働く親和力(付着力)を得ることができる。
それ故、本形態では、フォースカーブから探針22と試料10の潤滑層14との間に働く親和力を求め、この親和力の大小により、保護層13と潤滑層14との親和力を評価する。すなわち、探針22を構成するダイヤモンドライクカーボンとの親和力があるレベル以上の潤滑剤を用いて潤滑層14を形成すれば、ダイヤモンドライクカーボンからなる保護層13と潤滑層14との親和力が強いので、磁気記録ディスク1が高速回転しても遠心力により磁気記録ディスク1表面の潤滑層14が外周側に流動するという現象(マイグレーション)を防止できる。
(本形態の主な効果)
以上説明したように原子間力顕微鏡20を用いると、探針22と潤滑剤14との間に作用する吸着力、凝着力、ファンデルワールス力、表面張力をフォースカーブとして求めることができ、このフォースカーブから、探針22と潤滑剤14との親和力を求めることができる。かかる親和力は、探針22に対する潤滑剤14の付着力である。ここで、本形態では、保護層13を構成する材料と同一組成の材料により原子間力顕微鏡20の探針22を構成して親和力を求めるため、その大きさは、保護層13に対する潤滑層14の付着力を直接測定した結果といえる。従って、かかる親和力に基づいて潤滑剤を評価すれば、磁気記録ディスク1を高速回転させた際に保護層13上で潤滑層14(潤滑剤)が遠心力により外周側に流動する現象(マイグレーション)の発生しやすさを高い信頼性をもって評価できる。それ故、かかる方法で選択した潤滑剤を用いて磁気記録ディスク1を製造すれば、マイグレーションの発生を防止でき、潤滑特性が向上する。よって、ヘッドクラッシュ障害等、さまざまな弊害の発生を回避することができる。
また、本形態では、フォースカーブ測定は、潤滑層14を形成した磁気記録ディスク1の状態の試料10を用いる。このため、潤滑層14が下地側(保護層13)から受ける影響も含めた親和力を測定することができるので、潤滑層14を実際に磁気記録ディスク1に使用した場合の特性をより正確に評価することができる。
以下、実施例に基づいて本発明をより具体的に説明する。
(実施例1〜8)
まず、試料10として、ガラス基板からなる非磁性基板11上に、DCマグネトロンスパッタリング法により形成された磁性層12、プラズマCVD法により形成されたカーボン保護層13、浸漬法により形成された潤滑層14が、この順で積層されたものを作製する。潤滑層14の主原料は潤滑剤Aもしくは潤滑剤Bである。
潤滑剤Aは、ソルベイソレクシス社製の「フォンブリンゼットドール」(商品名)を原料とし、超臨界抽出法により精製して所定の分子量分布に調整した潤滑剤である。この潤滑剤Aに主成分として含まれるパーフルオロポリエーテル化合物は、以下の一般式で表される構造を有している。
Figure 0004654355
潤滑剤Bは、ソルベイソレクシス社製の「フォンブリンゼットテトラオール」(商品名)を原料とし、超臨界抽出法により精製して所定の分子量分布に調整した潤滑剤である。この潤滑剤Bに主成分として含まれるパーフルオロポリエーテル化合物は、以下の一般式で表される構造を有している。
Figure 0004654355
実施例1〜8としての試料10が有する潤滑層14の主成分は、表1に示すとおりである。なお、表中の「アルコール価数2」とは、潤滑剤Aを塗布した試料のことであり、「アルコール価数4」とは、潤滑剤Bを塗布した試料のことを示す。
Figure 0004654355
このような潤滑剤A、Bを用いて潤滑層14を形成するには、潤滑剤A、Bを所定の有機溶媒に溶解させた薬液中に、保護層13の形成までを行った試料を浸漬した後、引き上げ、所定の条件で加熱処理を施して潤滑剤を潤滑層14として定着させる。
そこで、加熱条件を変えて、実施例1〜8としての試料10を作製した。各実施例1〜8における加熱条件(加熱温度、加熱処理時間)は、表1に示すとおりである。
このようにして製作された実施例1〜8の試料10についてそれぞれ、結合比の測定、親和力の測定、およびLUL耐久性試験を行った。なお、これらの測定、試験のうち、親和力の測定方法は前記した通りであり、結合比の測定方法、およびLUL耐久性試験方法は以下の通りである。
(結合比の測定)
結合比の測定は、保護層13に対する潤滑層14の付着性能を評価するための従来の方法である。まず、試料10(磁気記録ディスク1)の潤滑層14の膜厚をFT−IR(フーリエ変換型赤外分光光度計)法で測定する。次に磁気記録ディスク1をフッ素系の溶媒に1分間浸漬する。溶媒に浸漬することで、付着力の弱い潤滑層部分は溶媒に分散溶解してしまうが、付着力の強い部分は保護層上に残留することができる。次に、試料10を溶媒から引き上げ、再び、FT−IR法で潤滑層膜厚を測定する。溶媒浸漬前の潤滑層膜厚に対する、溶媒浸漬後の潤滑層膜厚の比率を結合比とする。結合比が高ければ高いほど、保護層13に対する潤滑層14の付着性能が高いと言える。この結合比は70%以上であることが好ましい。70%未満では潤滑層の付着性能が低く、フライスティクション障害や腐食障害を起こす場合がある。
(LUL耐久性試験)
LUL試験は、5400rpmで回転する2.5インチ型(65mm型)磁気記録ディスク装置と、浮上量が12nmの磁気ヘッドにより行う。磁気ヘッドのスライダーはNPABスライダー(Negative Pressure Air Bearing surface slider)であり、再生素子はGMR型磁気抵抗効果素子である。シールド層はNiFe合金からなる。磁気記録ディスク1をこの磁気記録ディスク装置に搭載し、前述の磁気ヘッドによりLUL動作を連続して行い、LULの耐久回数を測定する。このLUL耐久性試験は40万回以上のLUL回数に故障無く耐久することが求められ、特に、50万回以上の耐久性を有していれば好適である。なお、通常に使用されているHDD(ハードディスクドライブ)の使用環境では、LUL回数が60万回を超えるには、概ね10年程度の使用が必要とされる。
(実施例1〜8の測定、試験結果)
上記測定を行った結果を表1に示してある。また、図5(A)には、表1に示すデータに基づいて、結合比(横軸)と親和力(縦軸)との関係をプロットしてある。図5(B)には、表1に示すデータに基づいて、結合比(横軸)とLUL耐久回数(縦軸)との関係をプロットしてある。図5(C)には、表1に示すデータに基づいて、親和力(横軸)とLUL耐久回数(縦軸)との関係をプロットしてある。
表1および図5(A)に示すように、結合比と親和力との間には正の相関性を有していることが分かる。
但し、図5(B)に示すように、結合比とLUL耐久回数との間では相関性が低いという結果が得られた。すなわち、実施例6では、結合比が92%と高いにもかかわらず、LUL耐久性試験での耐久回数が40万回であり、目標とする50万回に到達できていないことがわかる。逆に、実施例2では、結合比が76%と低いにもかかわらず、LUL耐久性試験での耐久回数が80万回であり、目標とする50万回を超えていることがわかる。
これに対して、図5(C)に示すように、親和力とLUL耐久回数との間には、一点鎖線Lで示すように、所定の親和力でLUL耐久回数がピークとなるような相関性が見出され、この結果によれば、探針21との親和力が170nNから280nNの範囲にある潤滑剤を用いれば、LUL耐久性試験での耐久回数が50万回以上の磁気記録ディスク1を製造できることがわかる。
(A)、(B)はそれぞれ、磁気記録ディスクの平面図、および磁気記録ディスクの概略断面図である。 本発明で用いた原子間力顕微鏡の要部構成を模式的に示す説明図である。 本発明を適用した原子間力顕微鏡でフォースカーブを測定する際のカンチレバーの姿勢変化を模式的に示す説明図である。 本発明を適用した原子間力顕微鏡でフォースカーブを測定した結果を示す説明図である。 (A)、(B)、(C)はそれぞれ、結合比と親和力との相関関係を示すグラフ、結合比とLUL耐久回数との関係を示すグラフ、および親和力とLUL耐久回数との関係を示すグラフである。
符号の説明
1 磁気記録ディスク
10 試料
11 非磁性基板
12 磁性層
13 保護層
14 潤滑層
21 カンチレバー
22 探針
23 光検出器
24 レーザ光

Claims (4)

  1. 少なくとも、磁性層、保護層、および潤滑層が非磁性基板上にこの順で積層される磁気記録ディスクにおいて前記潤滑層の形成に用いる潤滑剤の選定方法であって、
    前記保護層を構成する材料と同一組成の材料により原子間力顕微鏡の探針を構成し、
    当該原子間力顕微鏡による潤滑剤のフォースカーブ測定により前記探針と前記潤滑剤との親和力を求め、
    該親和力が所定の範囲内の潤滑剤を前記潤滑層の形成に用いることを特徴とする潤滑剤の選定方法。
  2. 前記フォースカーブ測定は、前記潤滑剤を用いて前記潤滑層を形成した磁気記録ディスクの状態、あるいは前記潤滑剤を前記保護層と同一組成の下地上に成膜した状態で行うことを特徴とする請求項1に記載の潤滑剤の選定方法。
  3. 前記保護層は、ダイヤモンドライクカーボンからなることを特徴とする請求項1または2に記載の潤滑剤の選定方法。
  4. 請求項1乃至3の何れか一項に規定する方法で選定された潤滑剤を用いたことを特徴とする磁気記録ディスクの製造方法。
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