JPH06323847A - 原子間力顕微鏡用カンチレバー及びその製造方法、及びそれを用いた原子間力顕微鏡 - Google Patents
原子間力顕微鏡用カンチレバー及びその製造方法、及びそれを用いた原子間力顕微鏡Info
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- JPH06323847A JPH06323847A JP13417393A JP13417393A JPH06323847A JP H06323847 A JPH06323847 A JP H06323847A JP 13417393 A JP13417393 A JP 13417393A JP 13417393 A JP13417393 A JP 13417393A JP H06323847 A JPH06323847 A JP H06323847A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 原子間力顕微鏡に用いられるカンチレバーを
提供する。 【構成】 弾性支持体(片持ち梁)の自由端にプローブ
が設けられ、該プローブの表面には、フッ素原子を含有
するカーボン層が形成されている原子間力顕微鏡用カン
チレバー。 【効果】 試料表面の損傷や、プローブへのコンタミの
付着が低減され、分解能の高い測定に寄与できる。
提供する。 【構成】 弾性支持体(片持ち梁)の自由端にプローブ
が設けられ、該プローブの表面には、フッ素原子を含有
するカーボン層が形成されている原子間力顕微鏡用カン
チレバー。 【効果】 試料表面の損傷や、プローブへのコンタミの
付着が低減され、分解能の高い測定に寄与できる。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、試料表面の三次元的形
状をナノスケールで測定する原子間力顕微鏡とそれに用
いられるカンチレバーに関する。
状をナノスケールで測定する原子間力顕微鏡とそれに用
いられるカンチレバーに関する。
【0002】
【従来の技術】原子間力顕微鏡(以下、AFMと略す)
は試料表面に対して1nm以下の距離まで接近させたプ
ローブを支持する片持ち梁(弾性体)が、試料・プロー
ブ間に働く力を受けて撓む量から逆に力を検出し、この
力を一定にするように試料・プローブ間の距離を制御し
ながら試料表面を走査することにより、試料表面の三次
元的形状をナノメートル以下の分解能で観察するもので
ある。[Binniget. al., Phys.
Rev. Lett. 56,930(1986)]。
は試料表面に対して1nm以下の距離まで接近させたプ
ローブを支持する片持ち梁(弾性体)が、試料・プロー
ブ間に働く力を受けて撓む量から逆に力を検出し、この
力を一定にするように試料・プローブ間の距離を制御し
ながら試料表面を走査することにより、試料表面の三次
元的形状をナノメートル以下の分解能で観察するもので
ある。[Binniget. al., Phys.
Rev. Lett. 56,930(1986)]。
【0003】AFMでは走査型トンネル顕微鏡(ST
M)のように、試料が導電性を有する必要がなく、絶縁
性試料、特に半導体レジスト面や生体高分子などを原子
・分子のオーダーで観察可能であるため、広い応用が期
待されている。
M)のように、試料が導電性を有する必要がなく、絶縁
性試料、特に半導体レジスト面や生体高分子などを原子
・分子のオーダーで観察可能であるため、広い応用が期
待されている。
【0004】かかるAFMは、例えば図3,図4に示す
ように試料102の表面に対向させるプローブ205及
びそれを支持する片持ち梁206とから成るAFMカン
チレバー、試料102とプローブ205間に働く力によ
る片持ち梁206の撓み量を検出する系、プローブ20
5に対する試料102の相対的な位置を三次元で制御す
る手段とから構成される。上記の撓み量を検出する系と
しては、図3に示すような片持ち梁206の背後に光源
112からの光をレンズ301を介して照射し、その反
射スポットの位置ずれ量を2分割フォトダイオード30
2で検出して求める光てこ法によるものや、図4に示す
ような片持ち梁206の背後に導電性プローブ402を
ピエゾ素子401を用いて近づけ、これらの間に流れる
トンネル電流を一定にするように導電性プローブ402
の位置を制御する制御量から求めるトンネル電流法によ
るものがある。尚、これらの図において、105は片持
ち梁の支持体、303は3軸駆動機構である。
ように試料102の表面に対向させるプローブ205及
びそれを支持する片持ち梁206とから成るAFMカン
チレバー、試料102とプローブ205間に働く力によ
る片持ち梁206の撓み量を検出する系、プローブ20
5に対する試料102の相対的な位置を三次元で制御す
る手段とから構成される。上記の撓み量を検出する系と
しては、図3に示すような片持ち梁206の背後に光源
112からの光をレンズ301を介して照射し、その反
射スポットの位置ずれ量を2分割フォトダイオード30
2で検出して求める光てこ法によるものや、図4に示す
ような片持ち梁206の背後に導電性プローブ402を
ピエゾ素子401を用いて近づけ、これらの間に流れる
トンネル電流を一定にするように導電性プローブ402
の位置を制御する制御量から求めるトンネル電流法によ
るものがある。尚、これらの図において、105は片持
ち梁の支持体、303は3軸駆動機構である。
【0005】上記のAFMカンチレバーを作製するには
様々な方法があるが、半導体プロセス技術を利用する場
合がほとんどである。図2にその代表的な製造工程を示
す。先ず、シリコン基板203をフォトレジスト201
とマスク材202を使ってドライエッチングしてシリコ
ンの柱を作る(図2(a))。更にシリコンをエッチン
グするとシリコンの柱は針状になる(図2(b))。次
に、シリコン表面を熱酸化して熱酸化膜204を形成す
る(図2(c))。この針状の部分205は図2(d)
の拡大図に示されるように、すべて熱酸化膜204にな
っている。
様々な方法があるが、半導体プロセス技術を利用する場
合がほとんどである。図2にその代表的な製造工程を示
す。先ず、シリコン基板203をフォトレジスト201
とマスク材202を使ってドライエッチングしてシリコ
ンの柱を作る(図2(a))。更にシリコンをエッチン
グするとシリコンの柱は針状になる(図2(b))。次
に、シリコン表面を熱酸化して熱酸化膜204を形成す
る(図2(c))。この針状の部分205は図2(d)
の拡大図に示されるように、すべて熱酸化膜204にな
っている。
【0006】次にシリコン基板203を異方性エッチン
グして除去することによって、片持ち梁206を形成し
てAFMカンチレバーが得られる(図2(e))。ここ
で、熱酸化膜204の形成条件を制御することによっ
て、弾性定数の異なるAFMカンチレバーを形成でき
る。
グして除去することによって、片持ち梁206を形成し
てAFMカンチレバーが得られる(図2(e))。ここ
で、熱酸化膜204の形成条件を制御することによっ
て、弾性定数の異なるAFMカンチレバーを形成でき
る。
【0007】AFMで測定できる試料は先述したように
広範囲に渡っており、酸化物結晶のような硬い物質から
有機膜や生体高分子のような軟らかい物質まであり、そ
の試料によって弾性定数の最適なAFMカンチレバーを
選ぶ必要がある。
広範囲に渡っており、酸化物結晶のような硬い物質から
有機膜や生体高分子のような軟らかい物質まであり、そ
の試料によって弾性定数の最適なAFMカンチレバーを
選ぶ必要がある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、AFM
カンチレバーの弾性定数を試料の材質に合わせて調整し
ても、測定を行う際に試料表面を損傷したり、AFMカ
ンチレバーのプローブに試料が付着してしまう等の原因
で、分解能が低下するという問題を有していた。このた
め、従来のAFMカンチレバーは消耗品であり、試料も
予備を用意しておいて、何度も測定を試みてデータを取
るということが一般に行なわれており、多くのカンチレ
バーや試料が必要となると共に、測定に多大の時間を要
していた。
カンチレバーの弾性定数を試料の材質に合わせて調整し
ても、測定を行う際に試料表面を損傷したり、AFMカ
ンチレバーのプローブに試料が付着してしまう等の原因
で、分解能が低下するという問題を有していた。このた
め、従来のAFMカンチレバーは消耗品であり、試料も
予備を用意しておいて、何度も測定を試みてデータを取
るということが一般に行なわれており、多くのカンチレ
バーや試料が必要となると共に、測定に多大の時間を要
していた。
【0009】従って、本発明の目的とするところは、上
記問題点に鑑み、試料表面の損傷や試料の付着を低減
し、分解能の高い測定を効率良く行うことが可能な原子
間力顕微鏡とそれに用いるカンチレバーを提供すること
にある。
記問題点に鑑み、試料表面の損傷や試料の付着を低減
し、分解能の高い測定を効率良く行うことが可能な原子
間力顕微鏡とそれに用いるカンチレバーを提供すること
にある。
【0010】
【課題を解決するための手段及び作用】上記目的を達成
すべく成された本発明は、第1に、弾性支持体である片
持ち梁と該片持ち梁の自由端に設けられたプローブから
成る原子間力顕微鏡用カンチレバーにおいて、上記プロ
ーブの表面にカーボン層が形成されていることを特徴と
する原子間力顕微鏡用カンチレバーであり、第2に、前
記カーボン層にはフッ素原子が含有されていることを特
徴とする上記第1の原子間力顕微鏡用カンチレバーであ
り、第3に、上記第2の原子間力顕微鏡用カンチレバー
を製造する方法において、前記プローブの表面にカーボ
ン層を形成した後、XeF2雰囲気中に晒すことを特徴
とする原子間力顕微鏡用カンチレバーの製造方法であ
り、第4に、上記第2の原子間力顕微鏡用カンチレバー
を製造する方法において、前記プローブの表面にカーボ
ン層を形成した後、フロンガスを含んだプラズマ中に晒
すことを特徴とする原子間力顕微鏡用カンチレバーの製
造方法であり、第5に、上記第1又は第2の原子間力顕
微鏡用カンチレバーを用いた原子間力顕微鏡であり、第
6に、少なくとも前記プローブと試料表面が、不活性気
体雰囲気中にあることを特徴とする上記第5の原子間力
顕微鏡であり、第7に、前記不活性気体が、N2である
ことを特徴とする上記第6の原子間力顕微鏡である。
すべく成された本発明は、第1に、弾性支持体である片
持ち梁と該片持ち梁の自由端に設けられたプローブから
成る原子間力顕微鏡用カンチレバーにおいて、上記プロ
ーブの表面にカーボン層が形成されていることを特徴と
する原子間力顕微鏡用カンチレバーであり、第2に、前
記カーボン層にはフッ素原子が含有されていることを特
徴とする上記第1の原子間力顕微鏡用カンチレバーであ
り、第3に、上記第2の原子間力顕微鏡用カンチレバー
を製造する方法において、前記プローブの表面にカーボ
ン層を形成した後、XeF2雰囲気中に晒すことを特徴
とする原子間力顕微鏡用カンチレバーの製造方法であ
り、第4に、上記第2の原子間力顕微鏡用カンチレバー
を製造する方法において、前記プローブの表面にカーボ
ン層を形成した後、フロンガスを含んだプラズマ中に晒
すことを特徴とする原子間力顕微鏡用カンチレバーの製
造方法であり、第5に、上記第1又は第2の原子間力顕
微鏡用カンチレバーを用いた原子間力顕微鏡であり、第
6に、少なくとも前記プローブと試料表面が、不活性気
体雰囲気中にあることを特徴とする上記第5の原子間力
顕微鏡であり、第7に、前記不活性気体が、N2である
ことを特徴とする上記第6の原子間力顕微鏡である。
【0011】上述した問題点の原因は、AFMカンチレ
バーの弾性定数を試料の材質に合わせて調整しても、試
料の表面粗さや、測定時の雰囲気の変化等により、走査
時に大きな摩擦力が発生するためと考えられる。
バーの弾性定数を試料の材質に合わせて調整しても、試
料の表面粗さや、測定時の雰囲気の変化等により、走査
時に大きな摩擦力が発生するためと考えられる。
【0012】本発明のAFMカンチレバーによれば、プ
ローブの表面に形成されたカーボン層は、プローブと試
料が接触する境界潤滑の潤滑膜として作用するため、試
料の表面粗さによらず、プローブと試料表面間の摩擦力
を軽減できるものである。また、上記カーボン層がフッ
素原子を含有している場合には更なる摩擦力の軽減がな
される。
ローブの表面に形成されたカーボン層は、プローブと試
料が接触する境界潤滑の潤滑膜として作用するため、試
料の表面粗さによらず、プローブと試料表面間の摩擦力
を軽減できるものである。また、上記カーボン層がフッ
素原子を含有している場合には更なる摩擦力の軽減がな
される。
【0013】このため、本発明のAFMにおいては、試
料表面の走査時に試料を損傷したり、また損傷するに到
らなくとも走査が不安定になり観察像に歪が発生するな
どの点が改善される。
料表面の走査時に試料を損傷したり、また損傷するに到
らなくとも走査が不安定になり観察像に歪が発生するな
どの点が改善される。
【0014】また、上述した潤滑膜として作用するカー
ボン層の摩擦係数は雰囲気に強く影響され、不活性気体
雰囲気に比較して大気中では摩擦係数が大きい。このた
め、前記プローブと試料を、例えばN2等の不活性気体
雰囲気中に配置した本発明のAFMでは、より一層、カ
ーボン層の潤滑効果が増し、大気中での測定に起因する
試料の損傷やStick−slipの発生による走査の
不安定性を低減でき、安定した再現性のある測定が可能
となり、測定効率のさらなる向上がなされるものであ
る。
ボン層の摩擦係数は雰囲気に強く影響され、不活性気体
雰囲気に比較して大気中では摩擦係数が大きい。このた
め、前記プローブと試料を、例えばN2等の不活性気体
雰囲気中に配置した本発明のAFMでは、より一層、カ
ーボン層の潤滑効果が増し、大気中での測定に起因する
試料の損傷やStick−slipの発生による走査の
不安定性を低減でき、安定した再現性のある測定が可能
となり、測定効率のさらなる向上がなされるものであ
る。
【0015】
【実施例】以下、実施例を示し本発明を詳述する。
【0016】実施例1 図1に本実施例のAFMのブロック構成図を示す。尚、
本実施例ではAFMカンチレバーの撓み量を光波干渉法
で検知しているが、これはトンネル電流方式であっても
光てこ方式であってもかまわない。本構成において、A
FMカンチレバー101は支持台105に支持されてお
り、この背後には、光源112からファイバー114を
通して光が照射されている。カンチレバー101で反射
した光は、ファイバー114からビームスプリッター1
13で光検出器111に入り、電気信号に変換される。
この電気信号はマイクロコンピュータ110で処理さ
れ、表示装置109に出力される。また、マイクロコン
ピュータ110はXY走査信号,Z方向フィードバック
信号を制御する。この信号はXY制御回路107,Z方
向フィードバック制御回路108を介して、XY方向駆
動機構104,Z方向駆動機構103に伝えられ、試料
102をXY方向に走査するとともに、AFMカンチレ
バー101の先端にあるプローブと試料表面の距離(Z
方向)を一定に保つ。AFMカンチレバー101,支持
台105,試料102,Z方向駆動機構103及びXY
方向駆動機構104は密閉された構造を有する外囲器1
15の中に配置されており、外囲器115内はN2雰囲
気106で満たされている。
本実施例ではAFMカンチレバーの撓み量を光波干渉法
で検知しているが、これはトンネル電流方式であっても
光てこ方式であってもかまわない。本構成において、A
FMカンチレバー101は支持台105に支持されてお
り、この背後には、光源112からファイバー114を
通して光が照射されている。カンチレバー101で反射
した光は、ファイバー114からビームスプリッター1
13で光検出器111に入り、電気信号に変換される。
この電気信号はマイクロコンピュータ110で処理さ
れ、表示装置109に出力される。また、マイクロコン
ピュータ110はXY走査信号,Z方向フィードバック
信号を制御する。この信号はXY制御回路107,Z方
向フィードバック制御回路108を介して、XY方向駆
動機構104,Z方向駆動機構103に伝えられ、試料
102をXY方向に走査するとともに、AFMカンチレ
バー101の先端にあるプローブと試料表面の距離(Z
方向)を一定に保つ。AFMカンチレバー101,支持
台105,試料102,Z方向駆動機構103及びXY
方向駆動機構104は密閉された構造を有する外囲器1
15の中に配置されており、外囲器115内はN2雰囲
気106で満たされている。
【0017】次に、AFMカンチレバー101の作製方
法を説明するが、概略は図2に示した手順に従った。
法を説明するが、概略は図2に示した手順に従った。
【0018】まず、シリコン基板203にマスク材20
2として熱酸化膜を1000Å成長させた。次にフォト
レジスト201を塗布した後、パターニングし、直径5
μmのスポットを形成してから、SF6とC2ClF5の
混合ガスを用いてシリコンをドライエッチングした。こ
の時マスク材202とフォトレジスト201の下にある
シリコンを残してエッチングされるため、マスク材20
2の下部は柱状になる(図2(a)参照)が、更にエッ
チングを続けるとサイドエッチングが進行し、針状の形
をしたシリコンが残る。この時点でエッチングを止め、
フォトレジスト201とマスク材202を除去した(図
2(b)参照)。次に、シリコン表面を熱酸化した。本
実施例では熱酸化膜204を約1μm成長させた(図2
(c)参照)。次に、熱酸化膜204をパターニングし
て片持ち梁の形に熱酸化膜204を残した後、KOHの
異方性エッチングによりシリコン基板203の一部を除
去して、図2(e)に示したようなプローブ205と片
持ち梁206から成るAFMカンチレバー101を得
た。続いて、摩擦力を低減するためのカーボン層を、ス
パッタリングにより形成した。本実施例では、Arガス
圧2m Torrで、カーボン層をプローブ205及び
片持ち梁206に200Åの厚みで付着させた。また、
片持ち梁206の背面(プローブ205を形成している
面の裏面)に、光を反射するための反射膜としてAl層
を真空蒸着により形成した。このようにして作製したA
FMカンチレバー101の弾性定数は0.1N/mであ
った。
2として熱酸化膜を1000Å成長させた。次にフォト
レジスト201を塗布した後、パターニングし、直径5
μmのスポットを形成してから、SF6とC2ClF5の
混合ガスを用いてシリコンをドライエッチングした。こ
の時マスク材202とフォトレジスト201の下にある
シリコンを残してエッチングされるため、マスク材20
2の下部は柱状になる(図2(a)参照)が、更にエッ
チングを続けるとサイドエッチングが進行し、針状の形
をしたシリコンが残る。この時点でエッチングを止め、
フォトレジスト201とマスク材202を除去した(図
2(b)参照)。次に、シリコン表面を熱酸化した。本
実施例では熱酸化膜204を約1μm成長させた(図2
(c)参照)。次に、熱酸化膜204をパターニングし
て片持ち梁の形に熱酸化膜204を残した後、KOHの
異方性エッチングによりシリコン基板203の一部を除
去して、図2(e)に示したようなプローブ205と片
持ち梁206から成るAFMカンチレバー101を得
た。続いて、摩擦力を低減するためのカーボン層を、ス
パッタリングにより形成した。本実施例では、Arガス
圧2m Torrで、カーボン層をプローブ205及び
片持ち梁206に200Åの厚みで付着させた。また、
片持ち梁206の背面(プローブ205を形成している
面の裏面)に、光を反射するための反射膜としてAl層
を真空蒸着により形成した。このようにして作製したA
FMカンチレバー101の弾性定数は0.1N/mであ
った。
【0019】観察用の試料としては、溶融石英上にAu
電極を形成し、その上に積層されたポリイミド膜(2層
膜)を用いた。AFMカンチレバー101として、比較
のため上述カーボン層を形成しなかった以外は全く同様
にして作製したものも用いて、上記試料の測定を行っ
た。尚、走査領域は2μm×2μm、走査線数は200
本で1画面とした。また、走査周波数は1走査線2Hz
で行った。1画面を1スキャンとして走査回数と観察像
の変化をみた結果、カーボン層のないAFMカンチレバ
ー101を用いた場合には、10スキャン以内で観察像
が変化してしまうことがほとんどであった。また、分解
能も低下し、後で走査型電子顕微鏡(SEM)によりプ
ローブ205を観察すると先端に付着物が認められた。
電極を形成し、その上に積層されたポリイミド膜(2層
膜)を用いた。AFMカンチレバー101として、比較
のため上述カーボン層を形成しなかった以外は全く同様
にして作製したものも用いて、上記試料の測定を行っ
た。尚、走査領域は2μm×2μm、走査線数は200
本で1画面とした。また、走査周波数は1走査線2Hz
で行った。1画面を1スキャンとして走査回数と観察像
の変化をみた結果、カーボン層のないAFMカンチレバ
ー101を用いた場合には、10スキャン以内で観察像
が変化してしまうことがほとんどであった。また、分解
能も低下し、後で走査型電子顕微鏡(SEM)によりプ
ローブ205を観察すると先端に付着物が認められた。
【0020】これに対してカーボン層があるAFMカン
チレバー101を用いた場合には、10スキャンでは全
く観察像は変化せず、100スキャンしても変化が認め
られないものもあり、明らかに本発明に係るカーボン層
が有効に作用しているのを確認できた。
チレバー101を用いた場合には、10スキャンでは全
く観察像は変化せず、100スキャンしても変化が認め
られないものもあり、明らかに本発明に係るカーボン層
が有効に作用しているのを確認できた。
【0021】次に、カーボン層のあるAFMカンチレバ
ー101を用いて、外囲器115内がN2雰囲気の場合
と、大気にした場合とで比較した。N2雰囲気の場合は
上述したとおりであるが、大気にした場合は数スキャン
で試料を損傷してしまうなど吸着現象が発生し、N2雰
囲気のような良好な走査ができなかった。さらに、カー
ボン層のないAFMカンチレバー101を用いた場合に
は、上記吸着現象がより顕著に発生し、N2雰囲気にお
ける走査の有効性を確認できた。
ー101を用いて、外囲器115内がN2雰囲気の場合
と、大気にした場合とで比較した。N2雰囲気の場合は
上述したとおりであるが、大気にした場合は数スキャン
で試料を損傷してしまうなど吸着現象が発生し、N2雰
囲気のような良好な走査ができなかった。さらに、カー
ボン層のないAFMカンチレバー101を用いた場合に
は、上記吸着現象がより顕著に発生し、N2雰囲気にお
ける走査の有効性を確認できた。
【0022】実施例2 本実施例では、カーボン層を形成した実施例1のAFM
カンチレバー101をXeF2雰囲気中に3時間放置し
た。ダミーとして溶融石英上にカーボン層を形成した試
料も作製し、これもXeF2雰囲気中に放置しておい
た。ダミーの試料をフーリエ変換、赤外分光法(FTI
R)で測定したところ、CFの伸縮モードである141
0cm-1のピークが検出され、カーボン表面がフッ素化
されているのが確認できた。
カンチレバー101をXeF2雰囲気中に3時間放置し
た。ダミーとして溶融石英上にカーボン層を形成した試
料も作製し、これもXeF2雰囲気中に放置しておい
た。ダミーの試料をフーリエ変換、赤外分光法(FTI
R)で測定したところ、CFの伸縮モードである141
0cm-1のピークが検出され、カーボン表面がフッ素化
されているのが確認できた。
【0023】このAFMカンチレバー101を用いて実
施例1と同様にスキャンしてみると、10スキャンでは
全く観察像は変化せず、100スキャンしてもほとんど
変化しなかった。
施例1と同様にスキャンしてみると、10スキャンでは
全く観察像は変化せず、100スキャンしてもほとんど
変化しなかった。
【0024】実施例3 本実施例では、カーボン層を形成した実施例1のAFM
カンチレバー101を、プラズマCVD法により、CF
4ガス圧0.5Torr,電力300Wで10秒間プラ
ズマ中で放置した。その結果、実施例2と同様にCFの
伸縮モードが検知され、フッ素がカーボン層表層に含有
されていることが確認できた。
カンチレバー101を、プラズマCVD法により、CF
4ガス圧0.5Torr,電力300Wで10秒間プラ
ズマ中で放置した。その結果、実施例2と同様にCFの
伸縮モードが検知され、フッ素がカーボン層表層に含有
されていることが確認できた。
【0025】このAFMカンチレバー101を用いて実
施例1と同様にスキャンしてみると、10スキャンでは
全く観察像は変化せず、100スキャンしてもほとんど
変化しなかった。
施例1と同様にスキャンしてみると、10スキャンでは
全く観察像は変化せず、100スキャンしてもほとんど
変化しなかった。
【0026】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば以
下の効果を奏する。
下の効果を奏する。
【0027】(1)プローブ表面にカーボン層を形成し
たことで、プローブと試料表面間の摩擦力を低減でき、
よりスムーズな走査が可能となる。これにより、試料表
面の損傷やプローブの破損やプローブ表面へのコンタミ
付着をすくなくすることができ、分解能の高い測定を効
率良く行うことができる。
たことで、プローブと試料表面間の摩擦力を低減でき、
よりスムーズな走査が可能となる。これにより、試料表
面の損傷やプローブの破損やプローブ表面へのコンタミ
付着をすくなくすることができ、分解能の高い測定を効
率良く行うことができる。
【0028】(2)上記カーボン層にフッ素原子を含有
させたことで、上記作用効果をより一層発揮できる。
させたことで、上記作用効果をより一層発揮できる。
【0029】(3)AFMカンチレバーのプローブと試
料とを不活性気体雰囲気中に配置したAFMでは、大気
中に比べてより一層プローブと試料表面間の摩擦力を低
減できるため、大気中での測定に起因する走査の不安定
性を低減でき、上記作用効果をより一層発揮できる。
料とを不活性気体雰囲気中に配置したAFMでは、大気
中に比べてより一層プローブと試料表面間の摩擦力を低
減できるため、大気中での測定に起因する走査の不安定
性を低減でき、上記作用効果をより一層発揮できる。
【図1】本発明の原子間力顕微鏡の一例を示すブロック
構成図である。
構成図である。
【図2】カンチレバーの製造工程図である。
【図3】従来の原子間力顕微鏡の構成例である。
【図4】従来の原子間力顕微鏡の構成例である。
101 AFMカンチレバー 102 試料 103 Z方向駆動機構 104 XY方向駆動機構 105 支持台 106 N2雰囲気 107 XY方向制御回路 108 Z方向フィードバック制御回路 109 表示装置 110 マイクロコンピュータ 111 光検出器 112 光源 113 ビームスプリッター 114 ファイバー 115 外囲器 201 フォトレジスト 202 マスク材 203 シリコン基板 204 熱酸化膜 205 プローブ 206 片持ち梁 301 レンズ 302 2分割フォトダイオード 303 XYZ駆動機構 401 ピエゾ素子 402 導電性プローブ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 宮本 雅彦 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 河田 春紀 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内
Claims (7)
- 【請求項1】 弾性支持体である片持ち梁と該片持ち梁
の自由端に設けられたプローブから成る原子間力顕微鏡
用カンチレバーにおいて、上記プローブの表面にカーボ
ン層が形成されていることを特徴とする原子間力顕微鏡
用カンチレバー。 - 【請求項2】 前記カーボン層にはフッ素原子が含有さ
れていることを特徴とする請求項1に記載の原子間力顕
微鏡用カンチレバー。 - 【請求項3】 請求項2に記載の原子間力顕微鏡用カン
チレバーを製造する方法において、前記プローブの表面
にカーボン層を形成した後、XeF2雰囲気中に晒すこ
とを特徴とする原子間力顕微鏡用カンチレバーの製造方
法。 - 【請求項4】 請求項2に記載の原子間力顕微鏡用カン
チレバーを製造する方法において、前記プローブの表面
にカーボン層を形成した後、フロンガスを含んだプラズ
マ中に晒すことを特徴とする原子間力顕微鏡用カンチレ
バーの製造方法。 - 【請求項5】 請求項1又は2に記載の原子間力顕微鏡
用カンチレバーを用いた原子間力顕微鏡。 - 【請求項6】 少なくとも前記プローブと試料表面が、
不活性気体雰囲気中にあることを特徴とする請求項5に
記載の原子間力顕微鏡。 - 【請求項7】 前記不活性気体が、N2であることを特
徴とする請求項6に記載の原子間力顕微鏡。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP13417393A JPH06323847A (ja) | 1993-05-13 | 1993-05-13 | 原子間力顕微鏡用カンチレバー及びその製造方法、及びそれを用いた原子間力顕微鏡 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP13417393A JPH06323847A (ja) | 1993-05-13 | 1993-05-13 | 原子間力顕微鏡用カンチレバー及びその製造方法、及びそれを用いた原子間力顕微鏡 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH06323847A true JPH06323847A (ja) | 1994-11-25 |
Family
ID=15122156
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP13417393A Withdrawn JPH06323847A (ja) | 1993-05-13 | 1993-05-13 | 原子間力顕微鏡用カンチレバー及びその製造方法、及びそれを用いた原子間力顕微鏡 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH06323847A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR100424540B1 (ko) * | 2001-04-21 | 2004-03-30 | (주)지우텍 | 다중 액츄에이터를 갖는 afm용 캔틸레버 구조물, 이를포함하는 afm 시스템 및 상기 afm을 이용한 물질의특성 측정 방법 |
JP2007095201A (ja) * | 2005-09-29 | 2007-04-12 | Hoya Corp | 潤滑剤の選定方法、磁気記録ディスクの製造方法、および磁気記録ディスク |
JP2009210265A (ja) * | 2008-02-29 | 2009-09-17 | Sony Corp | ダイヤモンドライクカーボン薄膜を形成した光学検出場 |
JP2015219414A (ja) * | 2014-05-19 | 2015-12-07 | 株式会社リコー | 流速測定装置、及び画像形成装置 |
-
1993
- 1993-05-13 JP JP13417393A patent/JPH06323847A/ja not_active Withdrawn
Cited By (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
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JP4492716B2 (ja) * | 2008-02-29 | 2010-06-30 | ソニー株式会社 | ダイヤモンドライクカーボン薄膜を形成した基板 |
US8187542B2 (en) | 2008-02-29 | 2012-05-29 | Sony Corporation | Optical detection field having diamond-like carbon thin film formed therein |
JP2015219414A (ja) * | 2014-05-19 | 2015-12-07 | 株式会社リコー | 流速測定装置、及び画像形成装置 |
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