JP3143982B2 - 磁気記録媒体の製造法及び装置 - Google Patents

磁気記録媒体の製造法及び装置

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JP3143982B2 JP03241890A JP24189091A JP3143982B2 JP 3143982 B2 JP3143982 B2 JP 3143982B2 JP 03241890 A JP03241890 A JP 03241890A JP 24189091 A JP24189091 A JP 24189091A JP 3143982 B2 JP3143982 B2 JP 3143982B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は磁気ディスク装置に用い
られる磁気記録媒体の製造方法及び製造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年コンピュータシステムの外部記憶装
置としての磁気ディスク装置の重要度は益々高まり、そ
の記録密度は年々著しい向上がみられる。このような高
記録密度化に対応する磁気ディスクとして、従来の磁性
粉とバインダを混練した磁性塗料を基板上に塗布した塗
布型媒体に代り、磁性薄膜を用いた薄膜磁気ディスクが
急増している。
【0003】このような磁性薄膜を用いた薄膜磁気ディ
スク(以下,単に磁気ディスクと称する)の一般的な構
造は次の様である。基板はアルミニウム合金円板と、そ
の上に形成された硬質な下地膜より成る。アルミニウム
合金の代りにガラス等硬度の高い円板材料を用いた場合
には下地膜が省略されることもある。基板の上には磁性
膜が形成されるが、この両者の間には、密着性向上や磁
性膜の特性向上を目的として中間膜が形成される場合も
ある。磁性膜の上には保護膜さらには必要に応じて潤滑
膜が形成されて、磁気ディスクが構成される。
【0004】磁気記録装置は、磁気ディスクと記録再生
磁気ヘッド(以下、単にヘッドと称する),磁気ディス
クの回転制御機構,ヘッドの位置決め機構及び記録再生
信号の処理回路を主構成要素としている。その一般的な
記録再生方法は、操作開始前にはヘッドと磁気ディスク
が接触状態であるが、磁気ディスクを回転させることに
よりヘッドと磁気ディスクの間に微少空間を作り、この
状態で記録再生を行なう。操作終了時には磁気ディスク
の回転が止まり、ヘッドと磁気ディスクは再び接触状態
となる。(コンタクト・スタート・ストップ方式,以下
CSS方式と称する)磁気記録装置の記録密度を向上さ
せるためには、記録再生時のヘッドの浮上量は小さいほ
ど良く、その際のヘッドの浮上安定性を確保するため
に、磁気ディスクの表面はできるだけ平坦であることが
要求される。
【0005】ところで、装置の起動時及び停止時におい
てヘッドと磁気ディスクの間に生じる摩擦力は、両者の
摩耗を引き起こし、特性劣化の原因となる。さらに、磁
気ディスクが静止している状態でヘッドと磁気ディスク
の間に水分等が介在すると、両者が強固に吸着し、この
状態で起動するとヘッドと磁気ディスクの間に大きな力
が生じ、ヘッドや磁気ディスクの損傷を招く恐れがあ
る。この様な摩擦力や吸着力は、磁気ディスクの表面が
平坦であるほど大きくなる傾向があり、記録密度の向上
に伴うヘッドの浮上安定性に対する要求と相反する。
【0006】このような摩擦力や吸着力を低減するため
に、保護膜表面に微小凹凸を形成する方法が従来より提
案されている。一例として、特開昭55−84045 号公報に
は、表面粗さ20−50nmの保護膜を形成した磁気デ
ィスクが示されている。特開昭56−22221 号公報には、
保護膜をスパッタ法で形成する際に、メッシュ状の遮蔽
板を介することにより、凹凸を持った保護膜を形成する
方法が示されている。特開昭57−20925 号公報には、保
護膜の表面に微小突起を形成した磁気ディスクが示され
ている。特開昭58−53026 号公報には、保護膜を形成し
た磁気ディスクの表面に、気体イオンを照射して保護膜
の表面に凹凸を形成する方法が示されている。特開昭62
−22241 号公報には、保護膜を形成した磁気ディスクの
表面に、研磨,ウェットエッチ又はドライエッチにより
保護膜の膜厚を超えない範囲の凹凸を形成する方法が示
されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上記従来技術では、い
ずれも磁気ディスクと磁気ヘッドとの間に生じる摩擦力
や吸着力の低減を目的としており、ヘッドの浮上量が小
さい高記録密度化磁気ディスク装置において、長期にわ
たる摺動信頼性及びヘッドの浮上安定性について十分な
考慮がなされておらず、また、その要求を満たす磁気デ
ィスクを量産的に製造する方法は開示されていない。
【0008】本発明の目的は、長期にわたる摺動信頼性
及びヘッドの浮上安定性を持続できるようにした磁気デ
ィスクの、量産化に対応できる製造法及びその装置を提
供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、次に示す磁気ディスクの製造法及び装置を提供す
る。基板上に少なくとも磁性膜と保護膜をもつ磁気記録
媒体の製造方法において、少なくとも下記の要素から構
成される工程を用いることを特徴とする磁気記録媒体の
製造方法及びそれを達成する装置を提供する。
【0010】(イ)非磁性基板に少なくとも磁性層と保
護層を積層させる成膜工程、(ロ)(イ)で製造した基
板面に微小粒子を分散付着させる工程、(ハ)(ロ)で
製造した基板を物理的及び/あるいは化学的にエッチン
グする工程、(ニ)(ハ)で製造した基板面の微小粒子
を除去する工程、(ホ)(ニ)で製造した基板に潤滑剤
を塗布する工程。
【0011】本発明は、上記の一連の工程により、磁気
ディスクの保護膜表面に多数の丘を形成することがで
き、磁気ヘッドの浮上量が小さい高記録密度磁気ディス
ク装置において、長期にわたる摺動信頼性及びヘッドの
浮上安定性を持続できる磁気ディスクが連続的、かつ経
済的に製造可能であるという知見に基づいている。
【0012】上記の(イ)では通常の成膜装置、例えば
スパッタリング装置を工業的に用いることができる。
(ロ)では微小粒子として、例えば、平均粒子径5〜1
0μmの粒子を用い、それを適当な溶媒に分散させたス
ラリを、必要であれば適当なガス流により、ノズルを介
して噴霧し、また必要であれば微小粒子に静電気を付与
させて磁気ディスク面に付着させることができる。微小
粒子を付着させた磁気デイスクを連続的に(ハ)のエッ
チング工程に搬送し、物理的及び/あるいは化学的にエ
ッチングする。エッチング工程では、例えば、アルゴ
ン、またはアルゴンと酸素の混合ガスのプラズマ中で、
微小粒子をマスクとして磁気ディスクの保護膜面がエッ
チングされ、保護膜面に微小凹凸が形成される。保護膜
材料として、例えば、カーボン系保護膜(スパッタ法で
形成したC膜,プラズマCVD法で形成したダイヤモン
ドライクC膜等)を用いた場合、エッチング過程で、C
保護膜表面に非常に活性な面が形成されることを見出し
た。通常エッチング装置は減圧状態であり、この装置か
ら次工程の(ニ)の装置に磁気ディスクを移送する際、
大気圧にする必要がある。大気圧にする際、該磁気ディ
スク表面と接触するガスは、その組成を厳密に制御する
方が好ましい。この理由は、エッチングされた後の保護
膜表面は非常に活性で、エッチング後に最初に接触する
ガスの種類により、表面エネルギが変化し、潤滑剤の付
着性が大きく異なるためである。
【0013】(ニ)の工程は磁気ディスク表面に付着し
た微小粒子を除去する機能をもち、ガスあるいは液体の
高速流で磁気ディスク表面の微小粒子を除去する。さら
に、潤滑剤を付着させるために、(ホ)の工程を用いる
ことができる。
【0014】
【作用】本発明によれば、基板への磁性膜,保護膜等の
成膜工程,保護膜表面に多数の丘を形成するエッチング
工程、及び潤滑剤塗布工程を工業的規模で連続的に実施
することができるため、保護膜表面に多数の丘を形成し
た磁気ディスクを、量産規模で効率的に製造できる。
【0015】また、本発明によれば、エッチングされた
後の活性な保護膜表面に効率的に極性官能基を付与させ
ることができるため、潤滑剤と保護膜表面の付着強度が
大きく、摺動信頼性の高い磁気デイスクを効率よく、量
産規模で製造できる。
【0016】
【実施例】以下本発明を具体的に説明する。
【0017】本発明の一実施例の磁気ディスクの製造工
程を図1に示す。磁気ディスクの基板としては、アルミ
ニウム合金円板上にNiP,アルマイト等の硬質下地膜
を形成したもの、ガラス,セラミックス及び硬質プラス
チック円板等をそのまま、又は、表面に下地膜を形成し
たもの等が好ましい。上記の基板は適当な前処理(必要
であれば、洗浄,テクスチャー形成等、図示せず)工程
を経た後、磁性膜等の成膜工程1で中間膜,磁性膜及び
保護膜が形成される。磁性膜の材料は、飽和磁束密度及
び保磁力の高い材料が好ましく、一例として、CoNi
合金,CoCr合金、及びこれらにZr,Ta,Pt等
の一種以上の他の金属元素を添加したものが特に好まし
い。中間膜の材料は磁性膜の結晶配向性を促進しうるも
のが望ましく、例えば、磁性膜がCo系合金の場合に
は、CrおよびCrに一種以上の他の元素を添加したも
のが特に好ましい。磁性膜の表面には保護膜が形成さ
れ、その表面にはこの方法により多数の丘が形成され
る。ここで保護膜は、スパッタ法やCVD法で形成した
C膜,SiO2 ,金属炭化物,金属窒化物,金属酸化
物,金属硼化物等が用いられる。生産性と摺動耐久性の
観点からはC系の膜が特に望ましい。ここで、C系の膜
の種類は、スパッタ法で形成した膜、これは、アルゴン
中、あるいは、アルゴンに水素、またはメタンを添加し
たガス、または、窒素中でスパッタして形成した膜等,
プラズマCVD法で形成した膜(いわゆる、ダイヤモン
ドライクC膜)、さらに、上記で形成した膜表面をイオ
ン注入等で改質した膜等、いずれも本発明では同等の効
果が期待できる。
【0018】上記の保護膜まで形成した基板は粒子付着
工程2にて、基板面に微小粒子を分散付着させる。
【0019】本発明で、固体粒子を保護膜表面に分散付
着させる方法は、固体粒子を適当な液体中に分散させた
懸濁液を用い、スピン塗布法やスプレー塗布法あるいは
ガス流と共に噴霧する方法により保護膜表面に微粒子を
分散付着させることができる。ここで用いられる液体
は、蒸発残渣の生じないものが望ましく、例えば、純水
や高純度のフッ素系溶剤,有機溶剤等を用いることがで
きる。本発明では上記の固体粒子の付着方法において、
懸濁液中の固体粒子の密度や付着時の条件を適当に選択
することにより、保護膜表面に付着させる固体粒子の密
度を任意に制御できる。また、その際、固体粒子に適当
な荷電を与えて、保護膜表面への付着効率を高めても良
い。
【0020】本発明で用いられる固体粒子の材料は以下
の条件を満たす必要がある。
【0021】1)上記の懸濁液を用いて保護膜表面に分
散付着させる場合、固体粒子を液体中に分散させた場合
に、溶解あるいは溶出のないこと。
【0022】2)上記のエッチング工程によって分解,
変質しにくいこと。
【0023】3)エッチング後に保護膜表面から容易に
除去しうること。
【0024】1)の特性は、液体の蒸発後に不要な残渣
を生じさせないために必要である。2)の特性は、固体
粒子がエッチング時のマスク剤として作用するため、エ
ッチングによって固体粒子の分解あるいは変質生成物が
保護膜表面に不必要に付着するのを防止するのに必要で
ある。
【0025】発明者らはこのような条件を満たす材料を
種々探索した結果、少なくともフッ素と炭素を含有する
材料またはフッ素樹脂が特に望ましいことを見出した。
具体的に例をあげれば、ポリテトラフルオロエチレンや
ポリクロロトリフルオロエチレン,テトラフルオロエチ
レンとパーフルオロビニルエーテルの共重合体,フッ化
グラファイト等及びそれらの誘導体等が特に好適であ
る。これらの材料は、化学的に極めて安定であり優れた
耐薬品性,耐プラズマ性をもつため、上記の1)及び
2)の条件に適合する。さらに上記の材料は表面エネル
ギが極めて低いために、他の固体表面への付着力が小さ
く、簡単な洗浄等により容易に除去しうるため、上記の
3)の条件にも適合し、望ましい。ただし本発明は上記
の固体粒子材料に限定されるものではなく、上記以外の
材料でも、懸濁液を作製するために選択された液体及び
丘を形成するために選択されたエッチング方法に対し
て、上記1)及び2)の条件を満たし、かつ上記3)に
条件を満たす有機物及び無機物の中から選択しても良
い。
【0026】本発明で用いられる固体粒子の大きさは、
保護膜の表面に形成される丘の大きさとエッチング方法
に応じて選択する必要がある。逆スパッタやイオンビー
ムエッチングのように方向性があるエッチング方法の場
合には、丘の大きさは固体粒子の大きさとほぼ同様にな
り、所望の丘の大きさの範囲とほぼ同じ大きさの範囲の
固体粒子を用いれば良いため、丘の大きさの制御が容易
となりより望ましい。エッチング方法がプラズマエッチ
ングや湿式エッチングのように、固体粒子の裏側にも周
り込みやすい方向性のないエッチング方法を用いた場合
には、固体粒子の大きさはエッチングの周り込みを考慮
して丘の大きさより大きくする必要がある。ただし、発
明者らの検討結果では、固体粒子の大きさが小さくなる
と粒子同士が凝集しやすくなり、保護膜表面に均一に分
散付着させにくくなり、また磁気デイスク面に付着後に
保護膜表面から除去しにくくなるため、望ましくはここ
で用いられる固体粒子の最小粒径は0.1μm以上、よ
り望ましくは0.2μm以上、さらに望ましくは0.5μ
m 以上の大きさである。用いられる固体粒子の大きさ
の上限は、形成されるべき丘の大きさの上限で規定され
るが、最大粒径は30μm以下が望ましい。より望まし
くは最大粒径は25μm以下が好ましい。粒径が大きす
ぎると保護膜表面に分散付着させた後で、わずかの衝撃
によって容易に脱落しやすくなるため取扱いの容易さの
面から望ましくない。
【0027】上記したように用いられる固体粒子の大き
さ及び付着方法によって、保護膜表面に形成される丘の
大きさ及び間隔を制御できる。これにより、磁気ディス
ク表面の単位面積当りの丘の個数及び総面積比率を、精
度良く形成することができる。
【0028】上記の微小粒子を付着させた基板を、次に
エッチング工程3で保護膜表面をエッチングする。
【0029】ここで用いられるエッチング方法はイオン
ビームエッチングや逆スパッタ,プラズマエッチング等
のドライエッチングやエッチング液を用いた湿式エッチ
ング等の中から、保護膜の材料によって選択することが
できる。ここでエッチング方法は、形成される丘の高さ
をほぼ一定とするため、固体粒子が付着していない部分
での保護膜のエッチング速度が、磁気ディスクの面内で
ほぼ一定となるような均一なエッチング法を選択するこ
とが望ましい。これにより磁気ディスクの保護膜の表面
に前記した所望の範囲でほぼ一定の高さを有する多数の
丘を精度良く形成することができる。
【0030】本発明では保護膜上に付着した固体粒子を
マスク剤としてエッチングすることによって丘を形成す
るため、用いるエッチング方法が方向性をもつかどうか
は重要である。例えば、プラズマエッチングや湿式エッ
チングのように、固体粒子の裏側にも周り込みやすい方
向性のないエッチング方法を用いた場合には、形成され
る丘の大きさは固体粒子の大きさより小さくなるため、
形成される丘の大きさの制御が難しくなる。一方、イオ
ンビームエッチングや逆スパッタのような方向性をもっ
たエッチング方法を用いた場合には、丘の大きさは固体
粒子の大きさとほぼ同様になるため、形成される丘の大
きさを付着させる固体粒子の大きさにより制御できるた
めより望ましい。方向性を持ったエッチング方法を用い
た場合、エッチング方向を磁気ディスク面に対してほぼ
垂直とすることが望ましい。方向性の厳密さに関しては
イオンビームエッチングが最も望ましいが、ある程度の
方向性があれば実用上は問題ないため、量産性の観点か
らは逆スパッタ法がより望ましい。保護膜としてC保護
膜を用いた場合には酸素を含有した雰囲気中での逆スパ
ッタがより望ましい。このようにして丘を形成した場
合、酸素の作用によってC膜の極表層が改質され、この
上に潤滑膜を形成する際の付着強度が向上する効果もあ
る。
【0031】プラズマを利用するエッチング方法は、ア
ルゴンと酸素の混合ガスあるいは酸素を用いるのが好ま
しいが、上記のガスに少なくとも炭素とハロゲンを含む
分子のガスを混合しても良い。例えば、炭素とフッ素を
含むガス中でエッチングした場合には、保護膜表面にフ
ッ素基を導入することができ、表面を疎水性に改質させ
ることができる。
【0032】上記の工程の後、基板は粒子除去工程4で
基板面に付着している微粒子が除去される。基板面に付
着している微粒子の除去方法として好ましい手法の例と
しては、ガスあるいは液体の高速流体で基板表面の微粒
子を飛散除去させる方法がある。より好ましくは、フッ
素系溶剤、あるいは純水等の液体の高速流体で基板表面
の微粒子を飛散除去させる方法が適用できる。さらに、
エッチング工程3から粒子除去工程4に基板を移送する
過程で、基板面を不用意に大気に触れさせないことが好
ましい。好ましくは組成がコントロールされた雰囲気が
よい。
【0033】この工程を経ることにより、保護膜材料が
カーボン系の場合、その表面に極性官能基を効率的に増
加させることができる。また、より好ましい本発明の実
施例は、フッ素系溶剤中にパーフルオロポリエーテル系
の潤滑剤を溶解させた液体の高速流体により微粒子を除
去する方法が適用できる。
【0034】さらに、粒子除去工程4と潤滑剤塗布工程
5の間あるいは前後で、磁気ヘッドの接触する突起を除
去する工程(図示せず、例えばテープクリーニング等)
を設けても良い。
【0035】また、保護膜の表面には必要に応じて、潤
滑剤塗布工程5で潤滑膜が形成されて磁気ディスクが形
成される。潤滑膜にはフッ素系の潤滑剤が望ましく、パ
ーフルオロポリエーテル系の潤滑剤が特に好ましい。潤
滑剤の膜厚は保護膜表面に形成される丘の高さより小さ
いことが望ましい。潤滑膜の膜厚が丘の高さより大きく
なると、丘による浮上面の汚れ除去の効果が現われにく
くなる。
【0036】本発明では、ヘッドの浮上面に付着する汚
れを除去するための多数の丘を保護膜の表面に形成する
ため、基板表面は実質的に平坦とすることができる。こ
れにより上に形成される磁性膜も平坦となるため、記録
再生時に磁性膜の凹凸による再生出力の変動を防止する
ことができ、優れた記録再生特性をもつ磁気ディスクを
得ることができる。ただし必要に応じて基板表面に、磁
性膜の配向性を制御することを目的に、保護膜表面に形
成する丘の高さよりも小さい範囲で極微小な凹凸、例え
ば、円周方向の微小な溝等を形成する工程(図示せず)
を入れたものも本発明に含まれる。
【0037】本発明で表面に丘を形成した保護膜につい
て、丘の部分とそれ以外の部分で材料は均質であること
がより望ましい。これは丘の部分で他の部分と異なる材
質が存在する場合、ヘッドとの摺動時にその界面で剥離
が生じやすく、摺動耐久性が低下するためである。ただ
し密着性の特に優れた適当な二種の材料が選択された場
合には、保護膜中に異なる材料が存在しても良い。例え
ば、保護膜を形成する際にある選択されたエッチング方
法によってエッチングされない材料を下層に形成し、エ
ッチングされる材料を上層に形成してもよい。このよう
にすれば、保護膜表面に上記の丘を形成するときのエッ
チング処理によって、上層の保護膜のみがエッチングさ
れるため、上層の保護膜厚に対応した高さの丘が均一に
精度良く形成されるため、丘の高さの制御が容易である
という利点がある。
【0038】本発明の磁気ディスクの保護膜表面に形成
した多数の丘によるヘッド浮上面の汚れ除去効果は、装
置の停止時にヘッドと磁気ディスクを引き離す機構を設
けたロード・アンロード方式の磁気ディスク装置及び記
録再生時にヘッドが実質的に浮上しないコンタクト方式
の磁気ディスク装置用の磁気ディスクに対しても極めて
有効である。
【0039】ロード・アンロード方式の磁気ディスク装
置の場合にも、CSS方式の磁気ディスク装置と同様
に、ヘッドの浮上面への汚れの付着は、長期に渡る浮上
安定性及び耐久性を損なう原因となるため、前記したよ
うな多数の丘を保護膜面に形成した本発明の磁気ディス
クを用いることにより、長期にわたるヘッドの浮上安定
性及び耐久性に優れた磁気ディスク装置を得ることがで
きる。
【0040】浮上面をもつヘッドを用い、ヘッドの浮上
量が0.01μm以上0.15μm以下で記録再生を行な
う、CSS方式及びロード・アンロード方式の磁気ディ
スク装置において、ヘッドの浮上安定性を確保するため
には、上記の浮上面の総面積内で,磁気ディスクの保護
膜表面に形成された丘の個数が50個/mm2 以上2.
5×105個/mm2 以下、より望ましくは百個/mm2
以上1×105個/mm2以下、さらに望ましくは二百個
/mm2以上5×104個/mm2以下あることが好まし
い。また浮上面の総面積に対する、磁気ディスクの保護
膜表面に形成された丘の総面積比率は、0.1% 以上6
0%以下が望ましい。より望ましくは1%以上50%以
下が好ましい。さらに望ましくは2%以上40%以下が
好ましい。また任意の丘と他の最近接の丘との間隔の平
均値は、ヘッド浮上面の幅の平均値より小さいことが望
ましく、より望ましくは浮上面の平均幅の1/2以下、
さらに望ましくは浮上面の平均幅の1/3以下であるこ
とが好ましい。丘の個数や面積比率が少なすぎる場合及
び間隔が広すぎる場合、浮上面に汚れが付着しない場合
でもヘッドの浮上量変動が起こりやすくなるため望まし
くない。
【0041】コンタクト方式の磁気ディスク装置では、
接触摺動によるヘッドまたは磁気ディスクの損傷防止が
最も重要である。前記した多数の丘を形成した本発明の
磁気ディスクを用いれば、ヘッドの摺動面に付着する汚
れを速やかに除去できるため、ヘッドと磁気ディスクの
間に汚れが介在することによって発生するヘッドまたは
磁気ディスクの損傷を防止でき、長期にわたる摺動信頼
性に優れた磁気ディスク装置を得ることができる。ただ
し、コンタクト方式の磁気ディスク装置では、ヘッドの
浮上安定性は考えなくて良いため、保護膜表面に形成す
る丘の高さは必要に応じて前述の範囲を越えても良く、
例えば、丘の高さの上限を60nmとしても良い。丘の
高さを大きくすることにより、摺動による摩耗によって
磁気ディスクが損傷するのを防止しやすくなり、また摺
動面からかき落された汚れを丘の周囲に排除しやすくな
る。摺動面をもったヘッドを用いる、コンタクト方式の
磁気ディスク装置において、ヘッドの走行安定性を確保
するためには、摺動面の総面積内で、磁気ディスクの保
護膜表面に形成された丘の個数が50個/mm2 以上
2.5×105個/mm2 以下、より望ましくは百個/m
2以上1×105個/mm2以下、さらに望ましくは二
百個/mm2以上5×104個/mm2以下あることが好
ましい。また上記の摺動面の総面積に対する、磁気ディ
スクの保護膜表面に形成された丘の総面積比率は、0.
1% 以上60%以下が望ましい。より望ましくは1%
以上50%以下が好ましい。さらに望ましくは2%以上
40%以下が好ましい。また任意の丘と他の最近接の丘
との間隔の平均値は、ヘッド摺動面の幅の平均値より小
さいことが望ましく、より望ましくは摺動面の平均幅の
1/2以下、さらに望ましくは摺動面の平均幅の1/3
以下であることが好ましい。丘の個数や面積比率が少な
すぎる場合及び間隔が広すぎる場合、摺動面に汚れが付
着しない場合でもヘッドの走行安定性が損なわれやすく
なるため望ましくない。図3は本発明の磁気ディスク装
置の概略構成を示す。磁気ディスク9は回転手段である
スピンドルモータ16に取り付けられる。磁気ヘッド1
3は磁気ヘッド13の位置決め手段であるボイスコイル
モータ15及びキャリッジ14に取り付けられる。
【0042】なお、本発明の磁気ディスクの保護膜表面
に形成した多数の丘の高さ,大きさ,間隔及び配置は以
下の方法で測定することができる。丘の高さは二次元及
び三次元の触針式表面粗さ計,三次元の光学式表面粗さ
計,走査型トンネル顕微鏡,原子間力顕微鏡等高さ方向
でナノメータオーダの分解能を有する表面形状測定装置
を用いることにより測定される。丘の大きさ,間隔,単
位面積当りの個数及び面積比率は、表面形状測定手法の
うち三次元の測定が可能なものを用いて測定される。た
だし一般的に上記の手法は横方向の測定可能面積が小さ
いため、特に単位面積当りの個数及び面積比率を測定す
る際には、総測定面積が約1mm2 になるように、同一
個所付近で多数の測定を行ない、その平均値として求め
ることが望ましい。ここで保護膜の材料がC膜等のよう
に比較的濃い色を有する場合にはより簡便な方法で、丘
の大きさ,間隔,単位面積当りの個数及び面積比率を測
定することができる。すなわち、本発明では丘の部分と
それ以外の部分で保護膜の膜厚が異なるため、有色の保
護膜材料の場合、丘の部分とそれ以外の部分で色のコン
トラストが異なり、例えば、光学顕微鏡による観察によ
っても丘の部分を正確に識別することができる。この場
合、光学顕微鏡観察結果を画像処理等によって解析する
ことにより、簡便に丘の大きさ,間隔,単位面積当りの
個数及び面積比率を測定することができる。
【0043】本発明ではここまで、保護膜の表面にヘッ
ドに付着する汚れを除去するための多数の丘を形成する
方法を示したが、例えば、上記の丘を本発明と同様な方
法で基板表面に形成し、その上に均一な膜厚の磁性膜,
保護膜等を形成する方法でも、磁気ディスク表面に現わ
れる形状はほぼ同じになるため、本発明のヘッドの汚れ
除去効果が発現することは言うまでもない。
【0044】〈実施例1〉図1に示した本発明の粒子塗
布工程2,エッチング工程3、及び粒子除去工程4を、
工業的規模で実施する場合の装置の概略構成の一例を図
2に示す。
【0045】成膜工程1を経た半完成品の磁気デイスク
は、例えば、搬送ロボット等により粒子塗布ユニット6
に搬送される。本ユニットでは、例えば、少なくともフ
ッ素とカーボンを含む高分子樹脂の粒子(必ずしも球形
である必要はなく、例えば、平均粒子径5〜10μm)
とフッ素系溶媒の懸濁液を霧化した後、必要であればガ
ス流に同伴させて、ノズル部より半完成品のディスク面
に噴霧吸着させる。必要であれば、粒子に静電気を付与
してデイスク面への吸着効率を上げることができる。さ
らに、フッ素系溶媒は回収して循環使用することも可能
である。ディスク面への粒子付着量は粒子の噴霧時間で
制御可能で、また、デイスクを回転させながら二系統の
ノズルを使用することにより、ディスクの両面に均一に
粒子を付着させることができる。さらに、ノズル位置の
制御により、デイスクの面内で粒子付着濃度を意図的に
変えることは容易である。一例として、デイスクの内外
周で粒子付着濃度を制御して変え、丘面積を変えて、磁
気ヘッドの浮上量を内外周で制御することも可能であ
る。上記のように、ディスクの面内で丘面積を変えて磁
気ヘッドの実効浮上量を制御することが可能である。こ
のため、いわゆるロータリアクチュエータ,リニアアク
チュエータ等を使用した磁気ディスク装置で、ディスク
の内外周のトラックでの浮上量をほぼ均一に制御できる
利点がある。
【0046】粒子塗布ユニット6で表面に粒子を付着さ
せたディスクは、例えば、25枚を一個のマガジンに入
れ、マガジン搬送コンベア11でエッチング装置8の仕
込み室7に搬送される。
【0047】仕込み室7では排気システム12により、
所定の圧力まで排気された後、エッチング室8に搬送さ
れる。このエッチング室8では、例えば、ディスク一枚
毎にプラズマ中で下記の条件でエッチング処理される。
この場合、ディスク中心部を支えるハブ部分をアース側
にするのが好ましい。この理由は、ディスク面内で均一
にエッチングされる効果があるためである。さらに、デ
ィスクを複数枚ラックに入れて同時に処理するような装
置も、もちろん可能である。その場合にも、一枚毎のデ
ィスク中心部のハブをアース側にするのが好ましい。
【0048】圧力:1Torr Rf出力:400W 酸素ガス流量:100sccm エッチング条件はディスクの保護膜の種類や材質により
適宜変える必要があるが、通常用いられているスパッタ
C膜の場合、上記条件で5〜6minで約20nmエッ
チングされることが確認された。
【0049】この処理の後、ディスク搬送用マガジンは
エッチング室8から取り出し室9に搬送され、大気圧に
戻した後、マガジン搬送コンベア11で粒子除去ユニッ
ト10に搬送される。ここで、取り出し室9を大気に開
放する際、不活性ガスを用いるのが好ましい。また、上
記のエッチング処理の工程中あるいは該工程に引き続い
て、例えば、フッ素を含有する分子のプラズマ中でディ
スクを処理することにより、ディスクの保護膜表面にフ
ッ素基を導入して、保護膜表面を安定化させることも可
能である。
【0050】粒子除去ユニット10では、ガスあるいは
液体の高速流でディスク表面に付着している粒子を飛散
除去する方法が適用できる。上記の高速流として、純
水,フッ素系溶剤等を用いることができる。また、上記
高速流体中にフッ素系潤滑剤を添加し、微粒子の除去と
同時にディスク面に潤滑剤を塗布させることも可能であ
る。
【0051】粒子除去ユニット10で粒子を除去された
ディスクは、必要であれば、次の潤滑剤塗布工程5に搬
送され、ディスク面に潤滑剤を塗布させることができ
る。さらに、粒子除去ユニット10の後、ディスク面の
微小突起を除去するために、例えば、テープ等で表面を
軽く研磨する方法を用いてもよい。
【0052】〈実施例2〉外径5.25 インチのアルミ
ニウム合金円板の表面に、無電解めっき法によりNiP
下地膜を15μm厚さに形成し、下地膜を10μmまで
研磨して、触針式表面粗さ計で測定した平均粗さ(R
a)2nm以下,最大粗さ(Rmax)5nm以下になる
ように鏡面加工した。この基板上に、スパッタ法により
Cr中間膜を100nm,CoNi磁性膜を50nm,
C保護膜を30nm形成した。
【0053】上記基板を図2に示す装置で処理した。平
均粒径5μmのポリテトラフルオロエチレン(PTF
E)粒子を1wt%の割合でフッ素系溶剤に超音波分散
した懸濁液を調製し、C保護膜の表面に、懸濁液をポン
プとノズルにより噴霧塗布し、溶剤を蒸発させてPTF
E粒子をC保護膜上に分散付着させた。PTFE粒子の
付着状態を光学顕微鏡により観察した結果、付着粒子の
大きさは、1−10μmのものが全数の90%以上であ
り、粒子の間隔の平均値は約15μm、単位面積あたり
の粒子の密度は約二千五百個/mm2 であり、粒子の被
覆部の総面積比は約5%であった。
【0054】この円板を、実施例1に示した条件でPT
FE粒子のない部分のC保護膜を15nmエッチングし
た後、表面を純水の高速流により洗浄し、PTFE粒子
を除去した。エッチング前後での表面観察結果より、付
着粒子とほぼ同じ大きさの丘がC保護膜の表面に形成さ
れていることを確認した。エッチング後の丘の間隔の平
均値は約15μm、単位面積あたりの丘の密度は約二千
五百個/mm2 であり、丘の総面積比は約5%であっ
た。また丘の高さを触針式表面粗さ計で測定した結果、
いずれも約15nmとなっていることを確認した。
【0055】こうして得られた円板の表面に、潤滑膜と
してパーフルオロポリエーテル系の潤滑膜を約5nm塗
布して磁気ディスクを作製した。
【0056】本実施例で作製した磁気ディスクに対す
る、ヘッドの最低浮上保証高さは0.04μm以下であ
り、ヘッドの浮上量0.08μmでも高信頼性の磁気デ
ィスク装置を得ることができた。さらに本実施例で作製
した磁気ディスクを、図3に示した装置によりCSS試
験を行なったが、五万回のCSS動作後にもディスク面
に傷は観察されず、長期の摺動信頼性の高いものであっ
た。またCSS試験後のヘッドの最低浮上保証高さはや
はり0.04 μm以下であり、ヘッドの浮上面を観察し
た結果、試験前に比べて大きな変化はなかった。この結
果から本実施例の磁気ディスクでは、ヘッドの汚れ付着
防止効果により、長期に渡る摺動信頼性とヘッドの浮上
安定性を確保することができた。
【0057】〈実施例3〉実施例2と同様のPTFE粒
子を0.2wt%の割合でフッ素系溶剤に超音波分散し
た懸濁液を用いたほかは実施例2と同様に磁気ディスク
を作製した。本実施例での磁気ディスクの丘の大きさは
実施例2と同様であり、丘の間隔の平均値は約40μ
m、単位面積あたりの丘の密度は約五百個/mm 2、丘
の総面積比は約1%であった。また丘の高さを触針式表
面粗さ計で測定した結果、いずれも約15nmとなって
いることを確認した。
【0058】本実施例の磁気ディスクのCSS試験結
果、ヘッドの浮上特性測定結果及びヘッドの浮上面の汚
れ観察結果とも、実施例2と同様に優れており、長期に
渡る摺動信頼性とヘッドの浮上安定性を確保することが
できた。
【0059】〈実施例4〉実施例2と同様のPTFE粒
子を4wt%の割合でフッ素系溶剤に超音波分散した懸
濁液を用いたほかは実施例2と同様に磁気ディスクを作
製した。本実施例での磁気ディスクの丘の大きさは実施
例2と同様であり、丘の間隔の平均値は約5μm、単位
面積あたりの丘の密度は約一万個/mm2 、丘の総面積
比は約20%であった。また丘の高さを触針式表面粗さ
計で測定した結果、いずれも約15nmとなっているこ
とを確認した。
【0060】本実施例の磁気ディスクのCSS試験結
果、ヘッドの浮上特性測定結果及びヘッドの浮上面の汚
れ観察結果とも、実施例2と同様に優れており、長期に
渡る摺動信頼性とヘッドの浮上安定性を確保することが
できた。
【0061】〈実施例5〉保護膜として、メタン−水素
混合ガスを原料としたプラズマCVD法で30nm形成
したC膜を用いたほかは、実施例2と同様な方法で磁気
ディスクを作製した。本実施例での磁気ディスクの丘の
大きさは実施例2と同様であり、丘の間隔の平均値は約
15μm、単位面積あたりの丘の密度は約二千五百個/
mm2 、丘の総面積比は約5%であった。また丘の高さ
を触針式表面粗さ計で測定した結果、いずれも15nm
となっていることを確認した。
【0062】本実施例の磁気ディスクのCSS試験結
果、ヘッドの浮上特性測定結果及びヘッドの浮上面の汚
れ観察結果とも、実施例2と同様に優れており、長期に
渡る摺動信頼性とヘッドの浮上安定性を確保することが
できた。
【0063】〈実施例6〉基板として触針式表面粗さ計
で測定した平均粗さ(Ra)1.5nm 以下,最大粗さ
(Rmax)4nm以下になるように鏡面加工した外径
5.25 インチのガラス基板を用い、この基板上に実施
例2と同様にスパッタ法によりCr中間膜を100n
m,CoNi磁性膜を50nm,C保護膜を30nm形
成した。実施例2と同様にC保護膜の表面に丘を形成
し、その後潤滑膜を形成して磁気ディスクを作製した。
本実施例での磁気ディスクの丘の大きさは実施例2と同
様であり、丘の間隔の平均値は約15μm、単位面積あ
たりの丘の密度は約二千五百個/mm2 、丘の総面積比
は約5%であった。また丘の高さを触針式表面粗さ計で
測定した結果、いずれも15nmとなっていることを確
認した。
【0064】本実施例の磁気ディスクのCSS試験結
果、ヘッドの浮上特性測定結果及びヘッドの浮上面の汚
れ観察結果とも、実施例2と同様に優れており、長期に
わたる摺動信頼性とヘッドの浮上安定性を確保すること
ができた。
【0065】〈比較例1〉実施例2と同様に外径5.2
5 インチのアルミニウム合金円板の表面に、無電解め
っき法によりNiP下地膜を15μm厚さに形成し、下
地膜を10μmまで研磨して、触針式表面粗さ計で測定
した平均粗さ(Ra)2nm以下,最大粗さ(Rmax)
5nm以下になるように鏡面加工した。この基板上に、
スパッタ法によりCr中間膜を100nm,CoNi磁
性膜を50nm,C保護膜を30nm形成した。本比較
例では実施例1の工程によるC保護膜の表面への丘の形
成を行なわず、直接潤滑膜を形成して磁気ディスクを作
製した。
【0066】本比較例で作製した磁気ディスクに対す
る、ヘッドの最低浮上保証高さは0.04μm以下であ
り、ヘッドの浮上量0.08μmでも磁気ディスク装置
を得ることができた。しかし、本比較例で作製した磁気
ディスクを、図3に示した装置によりCSS試験を行な
った結果、一万回のCSS動作後にディスク面に傷が発
生し、摺動信頼性の乏しいものであった。また同様に作
製した別の磁気ディスクについて、CSS動作五千回後
のヘッドの最低浮上保証高さを測定したところ、0.1
μm と悪化していた。ヘッドの浮上面を観察した結
果、試験前に見られなかった汚れが浮上面に付着してお
り、これによって浮上特性が悪化していることがわかっ
た。この結果から本比較例の磁気ディスクでは、長期に
渡る摺動信頼性及びヘッドの浮上安定性を確保すること
ができなかった。
【0067】〈比較例2〉実施例2と同様に外径5.2
5 インチのアルミニウム合金円板の表面に、無電解め
っき法によりNiP下地膜を15μm厚さに形成し、下
地膜を10μmまで研磨して、触針式表面粗さ計で測定
した平均粗さ(Ra)2nm以下,最大粗さ(Rma
x)5nm以下になるように鏡面加工した。この基板上
に、スパッタ法によりCr中間膜を100nm,CoN
i磁性膜を50nm,C保護膜を40nm形成した。本
比較例では実施例1と異なり、円板を回転させながら、
C保護膜の表面に研磨砥粒を含ませたバフを押しつけて
約10nm研磨加工し、円周方向に沿った溝を形成し
た。こうして得られたC保護膜の表面は、触針式表面粗
さ計で測定して平均粗さ(Ra)5nm,最大粗さ(R
max)30nmであった。C保護膜の表面に潤滑膜を
形成して磁気ディスクを作製した。
【0068】本比較例で作製した磁気ディスクに対す
る、ヘッドの最低浮上保証高さは0.09μmであり、
ヘッドの浮上安定性に乏しく、浮上量0.08μmの磁
気ディスク装置への適用は不可能であった。本比較例で
作製した磁気ディスクを、図3に示した装置によりCS
S試験を行なった結果、三万回のCSS動作後にディス
ク面に傷が発生し、摺動信頼性が不十分であった。また
同様に作製した別の磁気ディスクについて、CSS動作
二万回後のヘッドの最低浮上保証高さを測定したとこ
ろ、0.14μm とさらに悪化していた。ヘッドの浮上
面を観察した結果、試験前に見られなかった汚れが浮上
面に付着しており、これによって浮上特性がさらに悪化
していることがわかった。この結果から本比較例の磁気
ディスクでは、長期に渡る摺動信頼性及びヘッドの浮上
安定性を確保することができなかった。
【0069】
【発明の効果】本発明によれば、磁気ディスクの保護膜
表面にヘッドの浮上面に付着する汚れを効果的に除去し
うるような多数の丘を形成した磁気ディスクを、工業的
規模で連続的に効率的に製造できる。さらに、ヘッドの
浮上量が小さい場合でも、長期に渡る摺動信頼性及びヘ
ッドの浮上安定性を確保できる高信頼性,高記録密度磁
気ディスク装置及びそれに用いられる磁気ディスクを量
産規模で得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例による磁気ディスクの製造工
程のフローチャート。
【図2】本発明の一実施例による磁気ディスク製造装置
の一部のブロック図。
【図3】本発明の一実施例による磁気ディスク装置の構
成を示すブロック図。
【符号の説明】
1…成膜工程、2…粒子塗布工程、3…エッチング工
程、4…粒子除去工程、5…潤滑剤塗布工程。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 沢畠 昇一 茨城県日立市久慈町4026番地 株式会社 日立製作所 日立研究所内 (72)発明者 屋鋪 博 神奈川県小田原市国府津2880番地 株式 会社 日立製作所 小田原工場内 (72)発明者 猪股 洋一 神奈川県小田原市国府津2880番地 株式 会社 日立製作所 小田原工場内 (72)発明者 森口 善弘 神奈川県小田原市国府津2880番地 株式 会社 日立製作所 小田原工場内 (56)参考文献 特開 昭63−149827(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G11B 5/84 G11B 5/66

Claims (10)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】基板上に磁性膜と保護膜を含む磁気記録媒
    体の製造方法において、下記の製造工程を含むことを特
    徴とする磁気記録媒体の製造方法。(イ)非磁性基板上
    に磁性層と保護層を積層させる工程、(ロ)前記非磁性
    基板上に微小粒子を分散付着させる工程、(ハ)前記非
    磁性基板を物理的及び/あるいは化学的エッチングによ
    り処理する工程、(ニ)前記非磁性基板面から微小粒子
    を除去する工程、(ホ)前記非磁性基板面に潤滑剤を塗
    布する工程。
  2. 【請求項2】基板上に磁性膜と保護膜を含む磁気記録媒
    体の製造装置において、下記の構成要素を含むことを特
    徴とする磁気記録媒体の製造装置。(イ)非磁性基板に
    磁性層と保護層を積層させる成膜装置、(ロ)前記非磁
    性基板面に微小粒子を分散付着させる装置、(ハ)前記
    非磁性基板を物理的及び/あるいは化学的エッチングす
    る装置、(ニ)前記非磁性基板面の微小粒子を除去する
    装置、(ホ)前記非磁性基板面に潤滑剤を塗布する装
    置。
  3. 【請求項3】請求項2において、前記微小粒子を溶媒に
    分散させたスラリを、必要であれば、ガス流体により噴
    霧させた後、前記微小粒子に静電荷を付与した後、前記
    微小粒子を基板面に分散付着させる機能をもった装置を
    用いる磁気記録媒体の製造装置。
  4. 【請求項4】請求項2において、前記非磁性基板面に前
    記磁性層と前記保護層を成膜し、前記非磁性基板面に、
    微小粒子を分散付着させた基板を、アルゴン、あるいは
    アルゴンと酸素を含むプラズマ中でエッチングする機能
    をもった装置を用いる磁気記録媒体の製造装置。
  5. 【請求項5】請求項2において、前記磁性層と前記保護
    層を成膜した前記非磁性基板面に、微小粒子を分散付着
    させ、次に前記非磁性基板をエッチングした後、前記非
    磁性基板面に付着している微小粒子をガス及び/あるい
    は液体の高速流体中で除去する機能をもった装置を用い
    る磁気記録媒体の製造装置。
  6. 【請求項6】請求項5に記載のガス及び/あるいは液体
    の高速流体中にフッ素系の潤滑剤を同伴させる磁気記録
    媒体の製造装置。
  7. 【請求項7】請求項2において、固体微粒子としてフッ
    素系樹脂又は少なくともフッ素と炭素を含有する材料を
    用い、前記固体微粒子とフッ素系溶媒のスラリを、必要
    であれば、ガス流体により噴霧させた後、基板面に吸着
    させ、次に、前記溶媒を回収し、循環使用する機構をも
    つ装置を用いる磁気記録媒体の製造装置。
  8. 【請求項8】請求項2において、前記保護膜の材料が炭
    素を主とする材料よりなる磁気記録媒体製造装置。
  9. 【請求項9】請求項2において、前記非磁性基板として
    Al合金,ガラス,セラミックス、及びプラスチックス
    のいずれか、あるいは、少なくとも上記のいずれかを含
    む材料からなる基板を用いる磁気記録媒体製造装置。
  10. 【請求項10】請求項2において、前記固体粒子がポリ
    テトラフルオロエチレン(PTFE)またはその誘導体
    よりなる磁気記録媒体の製造装置。
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