JPH06301969A - 磁気記録媒体並びにその製造方法及び磁気ディスク装置 - Google Patents

磁気記録媒体並びにその製造方法及び磁気ディスク装置

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JPH06301969A
JPH06301969A JP2398494A JP2398494A JPH06301969A JP H06301969 A JPH06301969 A JP H06301969A JP 2398494 A JP2398494 A JP 2398494A JP 2398494 A JP2398494 A JP 2398494A JP H06301969 A JPH06301969 A JP H06301969A
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protective film
recording medium
magnetic
magnetic recording
magnetic disk
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Application number
JP2398494A
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English (en)
Inventor
Noritoshi Ishikawa
文紀 石川
Hideaki Tanaka
秀明 田中
Toshinori Hirano
利則 平野
Yoko Saito
洋子 斉藤
Kenichi Gomi
憲一 五味
Hiroshi Yashiki
博 屋鋪
Yoichi Inomata
洋一 猪股
Yoshihiro Moriguchi
善弘 森口
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hitachi Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】本発明は磁気記録媒体並びにその製造方法に関
し、特に磁気ディスク9の耐摺動強度,耐食性の向上及
び塵埃の付着性低下による磁気ディスク装置の耐摺動信
頼性の向上に関するものである。 【構成】磁気ディスクのC保護膜5の表面をガスプラズ
マ処理し、該C保護膜表面に高抵抗,高密度の表面改質
層を形成することにより達成される。 【効果】保護膜表面の高抵抗化によって塵埃付着性を悪
化させることなしに耐電圧性が向上し、耐食性も向上す
る。また、保護膜表面の高密度化によって磁性膜の密着
性を損なうことなく摺動強度が大幅に向上する効果もあ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、非磁性板上に強磁性膜
を形成し、その上に保護膜を設けた磁気記録媒体並びに
その製造方法及び磁気ディスク装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年コンピュータシステムの外部記憶装
置としての磁気ディスク装置の重要度は益々高まり、そ
の記録密度は年々著しい向上が図られている。このよう
な高記録密度化に対応する磁気ディスクとして、従来の
磁性粉とバインダーを混練した磁性塗料を基板上に塗布
した塗布型媒体に代り、磁性薄膜を用いた薄膜磁気ディ
スクが急増している。
【0003】磁気記録装置は、磁気ディスク,記録再生
磁気ヘッド(以下、単にヘッドと称する),磁気ディス
クの回転制御機構、ヘッドの位置決め機構及び記録再生
信号の処理回路を主構成要素としている。その一般的な
記録再生方法は、操作開始前にはヘッドと磁気ディスク
が接触状態にあるが、磁気ディスクを回転させることに
より、ヘッドと磁気ディスクとの間に微小空間を作り、
この状態で記録再生する。磁気記録装置の記録密度を高
くするためには、ヘッドと磁性層との間隔は小さい方が
良く、このため記録再生時のヘッドの浮上量を小さくす
ること、あるいはヘッドと磁性層との間にある磁性層保
護膜(以下、単に保護膜と称する)の薄膜化が要求され
ている。
【0004】保護膜の機能の一つとして、記録再生時の
浮上変動にともなってヘッドと磁気ディスクが接触す
る、あるいはヘッドと磁気ディスク間に異物が侵入して
摺動する場合に磁性膜の損傷を防止することが挙げられ
る。また、高湿環境下に磁気記録装置が設置された場合
の磁性層の腐食による磁気記録特性の劣化を防ぐ機能も
有する。これらの機能を満足するため、炭素系,酸化物
系,窒化物系などの種々の保護膜材料が提案されてい
る。保護膜の薄膜化と摺動強化との両立を図るため、C
保護膜を改質する方法が提案されている。例えば特開昭
63−102014号公報にはグラファイト状C膜にCoなどの
金属を含有する方法が開示されている。また、特開昭63
−102015号公報にはグラファイト状C膜にSi系の物質
を含有させる方法が開示されている。さらに、特開平3
−105714 号公報に特定の原子をイオン注入する方法が
開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記従来技術は、いず
れも保護膜の耐久性の向上や磁気ヘッドの汚れ防止を目
的としたものであるが、C膜にSi系の物質を含有させ
る方法は、表面に存在する異物質が磁気ヘッド汚れの原
因となる可能性が有り、また、イオン注入は通常イオン
ビーム法でなされるため、かえってC膜にダメージを与
えC膜の強度を低下させる可能性が有る。
【0006】上記従来技術では、ヘッドの浮上量が小さ
く、ヘッドと磁気記録媒体が実質的に接触しているよう
な記録密度の高い磁気ディスク装置において、長期にわ
たる信頼性を維持するには不十分であった。特に、記録
密度を高くすることを目的に磁気ヘッドとして磁気信号
読み出し能力が従来のインダクティブヘッドに比べ飛躍
的に向上した磁気抵抗効果型ヘッド(MRヘッド)を用
いて磁気ディスク装置を構成する場合には、インダクテ
ィブヘッドを用いる場合とは異なる特性の保護膜を有す
る磁気記録媒体を用いないと、長期にわたる信頼性を確
保できない。すなわち、MRヘッドは磁気記録を読み出
す時に通電状態となるためにディスクの保護膜の抵抗率
を適当な値に制御することが重要である。抵抗率が高過
ぎて保護膜が絶縁物になると、保護膜上に静電荷が蓄積
しやすくなり、塵埃を磁気ディスク上に吸着しやすくな
る欠点が生じる。また、抵抗率が低すぎる場合には、ヘ
ッドへの通電に対する保護膜の耐電圧性が低下して保護
膜にピンホールが生じて磁性層が露出するために信頼性
低下の原因となる。
【0007】また、保護膜を薄くするために高密度、高
硬度の保護膜を磁性膜上に形成すると、膜の内部応力が
増加して磁性膜との密着性が低くなり、結果として摺動
耐久性が低下するという問題点が有った。
【0008】また、磁気記録装置の記録密度が高くなる
に従い、磁気ディスクの磁性膜もS/Nを高くすること
が要求されており、このために磁性膜をより平坦にする
ことが求められている。平坦化する場合には、磁気ディ
スクの保護膜の摺動に対する膜強度の強化とともにヘッ
ドの粘着を防止する必要があるので、保護膜表面の高度
な形状制御が要求されている。
【0009】本発明の目的は、長期にわたり信頼性を維
持できる磁気ディスク並びにその製造方法及びそれを用
いて構成される磁気ディスク装置、特にMRヘッドを用
いる磁気ディスク装置を提供することに有る。また本発
明の他の目的は、耐食性が高く、多様な環境下で使用し
ても信頼性の高い磁気ディスク装置を提供することにあ
る。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
本発明は、磁性層上に少なくとも一層の保護膜を有する
磁気記録媒体において、該保護膜の表面に高抵抗層を形
成した。
【0011】また本発明は、磁性層上に少なくとも一層
の保護膜を有する磁気記録媒体において、該保護膜の表
面の面内方向の抵抗率である表面抵抗率が該保護膜の膜
厚方向の平均的な抵抗率である体積抵抗率より高い磁気
記録媒体に関する。
【0012】また本発明は、磁性層上に少なくとも一層
の保護膜を有する磁気記録媒体において、該保護膜の表
面の抵抗率が磁性層側の抵抗率より高い磁気記録媒体に
関する。
【0013】また本発明は、磁性層上に少なくとも一層
の保護膜を有する磁気記録媒体において、該保護膜の表
面の密度が磁性層側の密度より高い磁気記録媒体に関す
る。ここで、該保護膜の密度が表面になるほど高いもの
がよい。
【0014】また本発明は、磁性層上に少なくとも一層
の保護膜を有する磁気記録媒体において、該保護膜の表
面の面内方向の抵抗率である表面抵抗率が該表面以外の
他の部位の抵抗率より高いとともに、該保護膜の表面の
密度が該表面以外の他の部位の密度より高い磁気記録媒
体に関する。
【0015】また本発明は、磁性層上に少なくとも一層
の保護膜を有する磁気記録媒体において、該保護膜の表
面が不活性ガス元素,ハロゲン元素及び水素の少なくと
も一種以上の元素を含む磁気記録媒体に関する。
【0016】また前記のいずれかに記載の磁気記録媒体
において、前記磁性層は実質的に平坦であり、保護膜の
膜厚は部分的に異なり該保護膜表面に突起を有するもの
がよい。
【0017】突起の頂上における平坦部の面積はCSS
(Contact Start Stop)耐力などの摺動耐久性と耐粘着
特性に大きく影響する。浮上高さを小さくするためには
突起高さが均一であることが好ましい。突起高さは磁気
ヘッドの浮上量に適合するように設計すれば良いが、浮
上量20〜100nmの範囲では突起高さは5〜40n
mの範囲が好ましい。突起の面積比率は0.1〜80%
の範囲であることが、耐摺動性と耐粘着特性の両立の観
点で好ましい。浮上量が35〜100nmの範囲では突
起の面積比率は0.5〜5% が特に好ましく、浮上量が
35nm未満でディスクとヘッドが頻繁に接触する場合
は2〜30%が特に好ましい。突起同志の間隔はヘッド
が凹部に接触しないように考慮して決定することが良
い。使用する磁気ヘッドのスライダサイズにもよるが、
個々の突起面積としては平均0.04〜10μm2 、隣接す
る突起同志の間隔は平均で50μm以下が好ましく20
μm以下が特に好ましい。なお、個々の突起の面積及び
突起間隔は均一である必要はなく、場合によってはラン
ダムであることが好ましい。突起の比率としては突起の
個数、すなわち密度について規定しても良い。個々の突
起面積が例えば、 10μm2の場合は、 100〜 80000 個/mm2 5μm2の場合は、 200〜 160000 個/mm2 1μm2の場合は、 1000〜 800000 個/mm2 0.25μm2の場合は、 4000〜 3200000 個/mm2 0.04μm2の場合は、 25000〜20000000 個/mm2 が好ましく、 10μm2の場合は、 500〜 30000 個/mm2 5μm2の場合は、 1000〜 60000 個/mm2 1μm2の場合は、 5000〜 300000 個/mm2 0.25μm2の場合は、 20000〜 1200000 個/mm2 0.04μm2の場合は、125000〜 7500000 個/mm2 が特に好ましい。
【0018】ここで個々の突起面積及び突起数の具体的
な検出法であるが、例えばディスク表面の光学顕微鏡写
真あるいは電子顕微鏡写真を撮り、膜厚の差によるコン
トラストを画像処理するなどして求めることができる。
また、STM,AFMなどにより測定し、その画像を同
様に処理しても良い。また、エリプソメーターなどの光
学式膜厚計などを適宜用いても良い。突起の面積比率を
求める場合には一例として触針式の表面粗さ計でディス
ク表面を走査し、相対負荷曲線いわゆるベアリングカー
ブを求めて所定の突起高さにおける接触率で定義でき
る。
【0019】また本発明は、磁性層上に少なくとも一層
の保護膜を有する磁気記録媒体において、該磁性層は実
質的に平坦であり、該保護膜の膜厚は部分的に異なり保
護膜表面に表面平坦な突起が形成されていると共に保護
膜の前記凹部表面の抵抗率及び/又は密度が内部よりも
高いことを特徴とするものである。
【0020】また本発明は、磁性層上に少なくとも一層
の保護膜を有する磁気記録媒体の製造方法において、該
保護膜をスパッタリング法あるいはプラズマCVD法で
形成する工程と、該保護膜表面にプラズマ処理を施して
該表面の抵抗率及び/又は密度を該保護膜内部より高く
する工程を有することを特徴とするものである。ここ
で、スパッタリングなどの保護膜形成工程後に保護膜表
面に凹凸を形成する工程を含むものが良い。またここ
で、保護膜の凹部表面にプラズマ処理を施して該凹部表
面の密度を該凹部内部の密度より高くするものが良い。
【0021】具体的には保護膜形成後、該保護膜表面に
マスクを部分的に施し、この後酸素などのガスでエッチ
ングしてマスクに覆われていない部分を選択的にエッチ
ングして突起を形成し、その後Ar、He、Ne、N2
などの不活性元素,ハロゲン元素及び水素の少なくとも
1種以上のガスでプラズマ処理して、凹部表面を改質す
ることが特に好ましい。
【0022】また本発明は、磁気ディスクと,該磁気デ
ィスク面に接離する磁気ヘッドと,該磁気ディスクの回
転制御手段と,該磁気ヘッドの位置決め手段と,該磁気
ヘッドに基づく信号を処理する信号処理手段とを備えた
磁気ディスク装置において、該磁気ディスクは前記のい
ずれかに記載した磁気記録媒体である磁気ディスク装置
に関する。また、上述の磁気ディスク装置において、磁
気ディスクが前記いずれかに記載の磁気記録媒体であ
り、MRヘッドを備えかつ磁気ヘッドの浮上量が20〜
75nmの範囲であることを特徴とする磁気ディスク装
置に関する。
【0023】
【作用】本発明の課題は、上記の如く保護膜の抵抗率あ
るいは密度を膜厚方向で変化させることによって解決で
きる。保護膜の抵抗率あるいは密度は表面部ほど高くす
ることが耐摺動信頼性を高めるうえで好ましい。上述し
たように、特にMRヘッドを用いた磁気記録装置におい
ては、保護膜表面の抵抗率は耐電圧性の観点から高抵抗
の方が望ましい。保護膜上への静電荷の蓄積のし易さは
保護膜全体としての抵抗率に依存するので保護膜の表面
だけを高抵抗化しても静電荷の蓄積は助長されない。も
との保護膜の膜厚方向の平均的な抵抗率である体積抵抗
率に対して、保護膜表面の面内方向の抵抗率である表面
抵抗率を1桁以上高くすることが好ましい。
【0024】また、保護膜表面を高抵抗にすると磁気デ
ィスクの耐食性も向上する。保護膜に膜欠陥が存在する
とその中に水分が浸入し、磁性膜の金属と保護膜とが局
部電池を形成する。その結果局部電池を流れる電流によ
り磁性膜の金属が溶出し、磁気出力の低下などをもたら
す。保護膜表面の抵抗を高くすることによりこの局部電
池作用を抑制する効果を有している。
【0025】保護膜の密度が高いほど膜が緻密になるの
で摺動に対して強くなる。本発明の保護膜は、保護膜の
表面の強度だけを高くするので、磁性膜への密着性の低
下あるいは内部応力の増大による保護膜の脆性化をもた
らすことなく、摺動信頼性を向上することができる。保
護膜表面の高抵抗化、密度向上による緻密化は、保護膜
の膜厚を実質的に薄くすることができるので、磁気ヘッ
ドと磁性層との間隔を小さくすることが可能になり、記
録密度を高くできる効果がある。保護膜の膜厚は薄い程
良く、100nm以下が良い。好ましくは、5〜40n
mが好ましい。表面処理を施す保護膜の材料は、炭素だ
けのもの、炭素を主体とし水素またはSiやFe、N
i、Coなどの金属酸化物が混入されたもの、さらにS
iO2 系のものが挙げられるが、これらに限定されな
い。炭素系の材料でスパッタリング法で形成したアモル
ファスCが特に効果が顕著である。
【0026】保護膜表面を高抵抗化あるいは高密度化す
る手段としては、ガス雰囲気中のプラズマ処理による表
面改質が好ましい。すなわち、真空槽中にガスを一定圧
力になるように制御して流し、ディスクを設置した基板
ホルダーと対向して設置された電極にDCあるいはrf
などの電力を印加してプラズマを発生させる方法であ
る。これは、保護膜にできるだけ余分な損傷を与えるこ
となく改質の効果を上げるためである。用いるガスは半
導体プロセスにおいてエッチングガスとして用いられて
いるガスが望ましい。特にAr、He、Ne、N2 など
の不活性ガス、CF4、C26、CHF3などのフッ化カ
ーボン系ガス、あるいは水素などが望ましい。ガスプラ
ズマ処理により、保護膜の最表面にはプラズマ処理に用
いたガスの元素が取り込まれる。ガス元素が混入した保
護膜表面層の物理的あるいは化学的性質はもとの保護膜
とは異なる。これは例えばアモルファスC保護膜の場
合、C−Cネットワーク構造が異質元素の混入によって
変化するためである。混入した元素の量に依存して抵抗
率や密度が変化するので、プラズマ処理時の投入電力の
大きさや電力投入時間を変えることで好適な元素量を決
定することが望ましい。混入元素量は通常5at%以下が
良く、好ましくは1at%以下が良い。また、プラズマ中
のエッチングガスのイオンやラジカルが保護膜表面に衝
突する際に発生する衝突エネルギーによって保護膜の表
面付近の温度が上昇し、保護膜の原子が再配列するアニ
ーリング効果も、抵抗率,密度の増大に寄与する。
【0027】また本発明のガスプラズマ処理は保護膜の
カバレージを改善する効果を有する。以上の効果により
保護膜上に潤滑剤を塗布した場合、均一な潤滑膜を形成
できる。これにより磁気ディスク装置に搭載された場合
の磁気ディスク上の潤滑膜の安定性が向上し、結果とし
て高信頼の磁気ディスク装置を提供できる。
【0028】また、プラズマ処理時の投入電力が大きい
場合や、電力投入時間が長い場合には抵抗率、密度の増
加率は大きくなり、改質層膜厚も厚くなる。改質層の膜
厚は下地との密着性を損なうことのない範囲が良く、保
護膜の膜厚の30%以下が望ましい。改質層の膜厚と投
入電力の大きさ,電力投入時間の関係は、使用するガス
によって異なる。プラズマ処理に用いるガスは単独でも
混合でも良く、別種の単独ガスで2段階に処理しても良
い。
【0029】本発明のプラズマ表面処理は、保護膜を形
成する際に生じる膜の異常成長部である突起あるいは成
膜の際に付着する異物などを除去する効果すなわち表面
のクリーニング効果がある。これにより保護膜表面を平
坦にすることができるのでヘッドの浮上量を小さくする
ことができる。ヘッドの浮上量が100nm以下の磁気
ディスク装置に好適である。特に浮上量75nm以下好
ましくは50nm以下の磁気ディスク装置に好適であ
り、浮上量が小さいほど本発明のプラズマ表面処理は効
果が大きい。
【0030】また、本発明のプラズマ表面処理は保護膜
形成後、保護膜表面に突起を形成した磁気ディスクにお
いて特に効果が大きい。突起形成方法の一例として、保
護膜にマスク剤を均一に塗布し、ウェットプロセスある
いはドライプロセスなどの適当な方法で部分エッチング
する方法がある。本発明のプラズマ表面処理はエッチン
グによる保護膜表面の変質劣化を防止する効果を有す
る。すなわち、プラズマ表面処理を保護膜全体でなく、
部分的に施すことによっても効果がある。保護膜上にピ
ット状の丘を形成した場合、丘の頂部を除く部分の凹部
を表面処理し、凹部の表面抵抗率あるいは密度を大きく
することで摺動強度を強化できる。磁気ディスク装置内
で磁気ディスクと磁気ヘッドが摺動する場合には、塵埃
が介在していることが多い。塵埃は保護膜にピット状の
丘が存在すると凹部に集まりやすい傾向がある。従っ
て、凹部の摺動強度を向上させることが磁気ディスク装
置の信頼性を確保する上で重要である。凹凸の深さは1
0〜30nmが望ましい。例えばアモルファスC保護膜
上にピット状の丘を形成するには、まずC保護膜をスパ
ッタリング法などの適当な公知の方法で形成し、その
後、耐エッチング性のある、有機物あるいは無機物の粒
子例えばポリテトラフルオロエチレン(PTFE)粒
子、ポリスチレン粒子、SiC粒子、Al23粒子、S
iO2 粒子などの微粒子を保護膜上に分散させてマスク
とし、マスクに覆われていない部分だけを物理的あるい
は化学的な方法でエッチングすれば良い。
【0031】微粒子を保護膜上に分散させる方法として
は、微粒子を適当な溶媒中に分散して懸濁液を作製し、
この懸濁液を保護膜表面に静電スプレー塗布,スピン塗
布、ディップ塗布など適当な公知の方法を用いて塗布す
れば良い。塗布の方法はマスク剤の材料によって適宜選
定すれば良いが、帯電性の高いものは静電スプレー塗布
やスピン塗布、帯電性の低いものはディプ塗布が適して
いる。溶媒は微粒子の種類に合わせ適宜選択すれば良
く、例えばPTFE粒子の場合はフッ素系溶媒を選定す
れば良い。その際、溶媒は懸濁液が保護膜上に塗布され
た後速やかに蒸発するものの方が望ましい。
【0032】このエッチングの時に、上述したガスプラ
ズマ装置を用いれば、丘の形成と表面改質の両方が同時
に達成されるため工数の低減となる。
【0033】ただし、均一な高さの突起を短時間で形成
する必要がありこの目的のためには例えばドライエッチ
ング法を用いる場合にはO2を選択することが望まし
い。O2は燃焼作用があるため短時間で均一な高さの突
起形成が可能となる。しかし、O2 エッチングは表面の
親水化を招き、その後に行う潤滑剤塗布において均質な
潤滑膜の形成が阻害され、結果的に耐食性の面で信頼性
を損なう可能性がある。従ってO2 エッチング後にガス
プラズマ処理による表面改質を行い、抵抗率並びに密度
を高くし、さらに水に対する濡れ性を低めることが必要
である。保護膜表面に均一な高さの突起を形成した磁気
ディスクにおいてガスプラズマ処理による耐食性向上の
特に大きな効果を有する。
【0034】また、エッチング後にはマスクとして用い
た微粒子を水の洗浄によって除去する工程を通す必要が
あるため、微粒子除去後にさらにC保護膜全体にガスプ
ラズマ処理を施して表面改質をすればさらに好適であ
る。
【0035】また、プラズマ処理の際に用いるガスを適
当に選定することにより、本発明の抵抗率,密度の増加
だけでなく表面の化学的性質をコントロールし、潤滑剤
との結合力を制御できる。例えば、ガスプラズマ処理で
2ガスとH2ガスを用いる場合には、表面にアミド基が
形成され、アミド基との吸着力が高い末端置換基を有す
る潤滑剤との吸着力が増加する。また、フッ素系のガス
を用いる場合には表面の親水性が低下し、化学的に安定
な面を形成することができる。
【0036】ガスプラズマ処理によって表面に新生面を
形成した後、大気中にディスクを取り出した時に形成さ
れた新生面がO2 と反応することにより目的とする表面
性状と異なるものとなる可能性もあるが、これに対して
は例えばガスプラズマ処理後のベントガスをCF4 で反
応させることで容易に回避することができる。
【0037】以上のように本発明の磁気ディスクは、ガ
スプラズマ処理によって保護膜の表面部の抵抗率や密度
を大きくしたもので、磁気ヘッドの浮上量を小さくした
ときの摺動信頼性を確保することが可能である。特にM
Rヘッドを用いた磁気記録装置においては塵埃の付着性
を増大することなく、MRヘッド通電時の耐電圧性を高
めることができる。また、高密度の保護膜表面は、磁性
膜との密着性を損なうことなしに摺動強度を向上するこ
とができる。
【0038】
【実施例】
(実施例1)本発明に係る磁気ディスクの断面形状の摸
式図を図1に示す。外形5.25 インチのアルミニウム
合金円板1の表面に、無電解メッキ法によりNiP下地
膜2を15μmの厚さに形成し、この下地膜2を10μ
mまで研磨して、触針式表面粗さ計で測定し、平均粗さ
(Ra)約5nm、最大粗さ(Rmax)約15nmに
なるように鏡面加工した。この基板上に、スパッタリン
グ法によりCr中間膜3を100nm、CoNi磁性膜
4を50nm、アモルファスC保護膜5を50nm形成
した。
【0039】次に、この円板を図2に示す装置20でガ
スプラズマ処理をした。プラズマ処理装置の構成は真空
チャンバ21、真空排気系22、電力供給系23、ガス
導入系24及び制御部25を含む。真空チャンバ21内
には磁気ディスクを保持する基板ホルダー26、磁気デ
ィスクの両面と対向して設置された電極27,真空チャ
ンバ21内にガスを導入する機構28が設けられてい
る。この装置20の基板ホルダー26に磁気ディスク9
を設置し、真空チャンバ21内を10-6Torrまで真空排
気した後にArガスを100sccm導入して圧力を0.1T
orr に調整し、電極27に800Wのrf高周波電力を
10秒間印加した。この処理で表面改質層6を得た。な
お、処理後の膜厚は処理前に比べて10nm減少してい
ることがわかった。
【0040】この磁気ディスクの表面をXPS(Xray Ph
otoelectron Spectroscopy)法で分析したところ、表面
に0.5at% のArが検出された。また、このときのX
PS分析による磁気ディスク表面のCのピーク強度は2
000kcpsであった。
【0041】XPS分析によるCのピーク強度はCの密
度が大きいほど大きな値を示す。さらに、この磁気ディ
スクの抵抗率を4端子法で測定したところ、5×109
Ωcm であった。Ar処理前のディスクのCのピーク強
度、抵抗率は、それぞれ1400kcps、5×106Ωcm
であり、表面改質層6の形成を確認した。次に、ディス
クの表面を15nm機械的に研磨し、表面のXPS分析
及び抵抗率測定を行った。この場合にはArは検知され
ず、Cのピーク強度は1400kcpsであり、抵抗率は5
×106Ωcm であった。本発明の磁気ディスクのC保護
膜の表面の抵抗率及び密度が内部よりも大きいことが確
認できた。また、改質層の厚さは15nm以下と推定さ
れる。さらにAr処理前後のディスク表面のAES(Au
ger ElectronSpectroscopy)、高感度反射赤外分光スペ
クトル,ラマン分光スペクトルを測定したところ、C関
連ピークの増大が認められた。
【0042】このようにして得られた円板の表面に潤滑
膜8として、パーフルオロポリエーテル系の潤滑剤を約
5nm塗布して磁気ディスク9を作製した。この磁気デ
ィスク9を図3に示す磁気ディスク装置10に搭載し、
シーク試験を実施した。磁気ディスク装置は、磁気ディ
スク9を保持するシャフト12とこれを回転させるスピ
ンドルモータ13、磁気ヘッド15とこれを磁気ディス
ク上の所定の位置に移動させるキャリッジ16、マグネ
ット17とコイル18より構成されるボイスコイルモー
タ、及び制御部などにより構成されている。シーク試験
中のヘッドの浮上量は0.08μm である。シーク試験
時の環境は温度30℃、湿度90%RHとした。シーク
試験2000時間後まで磁気ディスク装置の磁気記録の
出力には変化が認められず初期状態と同様に良好であっ
た。また、ヘッドとディスクの汚れなどを観察した結
果、付着物や腐食などは観察されなかった。この結果か
ら、本実施例の磁気ディスク9及び磁気ディスク装置1
0は、長期にわたる摺動信頼性を確保できることが確認
できた。
【0043】(実施例2)実施例1のArガスプラズマ
処理条件のrf高周波電力を200、400、600、
800、1000Wに変化させ、また電力供給時間を
5、10、15、20秒に変化させて処理をした。図4
にこれらの条件で得られたC保護膜の抵抗率を示す。ま
た、図5にCのXPSピーク強度を示す。図4及び図5
においてrf高周波電力が0の点はスパッタリングをし
たままの、すなわちガスプラズマ処理がない場合の値で
ある。図4及び図5から、抵抗率及びCのXPSピーク
強度は、rf高周波電力の増加とともに大きくなってい
ることがわかる。図4及び図5に示した条件で処理した
磁気ディスクを実施例1と同様の磁気ディスク装置に搭
載してシーク試験を実施したところ、実施例1と同様の
結果が得られた。
【0044】(実施例3)実施例1のプラズマ処理ガス
をArに変えて、N2、He、H2、CF4 にそれぞれ変
えて処理を実施した。それぞれのディスクを磁気ディス
ク装置に搭載して温度30℃、湿度90%RHでシーク
試験をしたところ、いずれも実施例1と同様の結果が得
られた。
【0045】(実施例4)本発明の他の実施例に係る磁
気ディスクの断面形状の摸式図を図6に示した。CoN
i磁性膜4までは実施例1と同様に作製した。続いてC
保護膜を50nmスパッタリング法にて磁性膜上に形成
した。次に下記の方法で、C保護膜上に丘を形成した。
【0046】平均粒径5μmのPTFE粒子を1wt%の
割合でフッ素系溶剤に超音波分散した懸濁液を調製し、
C保護膜の表面に懸濁液をポンプとノズルによりスピン
塗布し、溶剤を蒸発させてPTFE粒子をC保護膜上に
分散付着させた。PTFE粒子の付着状態を光学顕微鏡
により観察した結果、付着粒子の大きさは1〜10μm
のものが全数の90%以上であり、粒子の平均間隔は約
15μm、単位面積あたりの粒子密度は約2500個/
mm2 あり、粒子の被覆部の総面積は5%であった。この
円板を実施例1のプラズマ処理装置20に設置してAr
雰囲気中で処理し、PTFE粒子が覆っていない部分の
C保護膜を15nmエッチングするとともにガスプラズ
マ処理した。次に、表面を純水によりスクラブ洗浄して
PTFE粒子を除去した。プラズマ処理前後での表面観察結
果より付着粒子とほぼ同じ大きさの丘がC保護膜の表面
に形成されていることを確認した。この磁気ディスクの
表面抵抗率を測定したところ109Ωcm であり、表面改
質層31の形成を確認した。
【0047】こうして得られた円板の表面に潤滑膜33
として、パーフルオロポリエーテル系の潤滑剤を約5n
m塗布して磁気ディスク34を作製した。本実施例で作
製した磁気ディスク34をMRヘッドを搭載した磁気デ
ィスク装置10に載せ、実施例1と同様のシーク試験を
した。2000時間後まで円板に付着物は認められず、
また、円板に腐食やピンホールの発生は認められなかっ
た。
【0048】(実施例5)本発明の他の実施例に係わる
磁気ディスクの形成工程を図7に示す。
【0049】第1の工程で、外径3.5インチ,厚さ0.
8mmのAl合金円板101の表面に無電解メッキ法によ
りNiP下地膜を15μmの厚さに形成した。この下地
膜102を10μmまで触針式表面粗さ計で測定しなが
ら鏡面研磨した。平均粗さ(Ra)約2nm,最大粗さ
(Rmax)約7μmの下地膜を得た。この基板上にス
パッタリング法によりCr中間膜103を100nm,
CoCr磁性膜104を30nm,アモルファスC保護
膜105を30nm形成した。
【0050】第2の工程で、平均粒径2μmのPTFE
粒子35を1wt%の割合でフッ素系溶剤に超音波分散し
た懸濁液を調整し、C保護膜の表面に懸濁液を静電スプ
レー塗布し、溶剤を蒸発させて、PTFE粒子を分散付
着させた。
【0051】第3の工程で、この円板をO2 ガスでrf
100Wの電力で10秒間エッチングし、保護膜105
上に高さ10nmの突起40を形成した。
【0052】第4の工程で、この円板にAr雰囲気中で
rf100Wの電力で10秒間ガスプラズマ処理を施し
た。
【0053】最後に第5の工程で、純水を超音波スプレ
ーしてこの円板を洗浄し、PTFE粒子を除去した後、
温風乾燥して水分を除いた。このようにして得られたデ
ィスクにパーフルオロポリエーテル系潤滑剤を塗布し、
膜厚約4nmの潤滑膜43を形成した。この磁気ディス
クを光学顕微鏡で観察した結果、個々の突起径は0.1〜
5μmの範囲のものが95%であり突起部の総面積比は
約2%、突起間隔は平均約7μm、突起個数密度は平均
で約6500個/mm2 であった。また、触針式の表面粗
さ計で測定したところ、ほぼ均質な約15nmの高さの
突起が磁気ディスク全面に形成されていることを確認し
た。
【0054】この磁気ディスク表面をXPS分析した。
XPSのスポット径を5μmに絞り大きな突起の頂部と
凹部41とをそれぞれ測定したところ、CのXPSピー
ク強度が頂部に対して大きくなり、密度の向上を確認し
た。
【0055】また、比較例1として図7の工程4を省い
て作製したディスク、即ち本発明のガスプラズマ処理を
施さない磁気ディスクを突起高さ15nm,凹部C保護
膜膜厚15nmに調整したものを作製し比較例1とし
た。これについて水の接触角,XPS強度,ラマン分光
強度,分極特性,抵抗率を測定し、実施例5と比較し
た。結果を表1に示す。
【0056】
【表1】
【0057】表1からわかるように本発明の磁気ディス
クは比較例1に対し密度,抵抗率が向上し、親水性が低
下して、耐食性が向上していることがわかる。実施例5
と比較例1の磁気ディスクを図3の磁気ディスク装置に
搭載して浮上量40nmでシーク試験を実施したとこ
ろ、実施例5は2000時間後も磁気記録の出力などに
変化が見られず、高い信頼性が得られた。一方、比較例
1を搭載した磁気ディスク装置は1000時間後に出力
が低下した。シーク試験後、装置より磁気ヘッドと磁気
ディスクを取り出して調査したところ比較例1の磁気デ
ィスクでは付着物が観察され、磁気ヘッドへの付着物も
観察された。一方、実施例5の磁気ディスクと磁気ヘッ
ドは、初期状態からの変化が観察されなかったことから
本発明の効果が確認された。
【0058】(実施例6)実施例5において保護膜10
5をプラズマCVD法によりダイアモンドライクC膜、
またCH4 を導入したスパッタリング法で作製したHを
含むC膜に変えたサンプルを作製し、実施例5と同様の
工程で、保護膜上に突起を有する磁気ディスクを作製
し、実施例5と同様の摺動信頼性を確認した。
【0059】(実施例7)実施例5において、第2の工
程のPTFE粒子をフッ素系溶剤に分散させた懸濁液の
代りに平均粒径が2μmのアルミナ粒子を1wt%でメチ
ルエチルケトン溶液に分散させた懸濁液に代えてあとは
実施例5と同様に保護膜表面上に突起を形成した。突起
部の総面積比率は約5%、突起間隔は平均で約1μm、
突起個数は平均で約1600000個/mm2であった。この場合
にも実施例5と同様の効果が得られた。
【0060】(実施例8)実施例5においてNiP下地
膜をRa約0.5μm、Rmax約1.5μmになるよう
に鏡面研磨し、Cr中間膜103、磁性膜104は実施
例5と同様にして形成し、また、保護膜105をプラズ
マCVD法で成膜し膜厚10nmに形成した。この保護
膜表面に平均粒径2μmのPTFE粒子を5wt%でフッ
素系溶媒に分散した懸濁液を実施例5と同様に塗布し、
次いで実施例5と同様に保護膜上に突起を形成した。こ
の場合、O2 によるエッチング量は3nm、Arプラズ
マ処理による凹部膜厚減少は2nmとなるように各工程
のrf電力と処理時間を調整し、5nmの突起を形成し
た。突起部の総面積比は約25%、突起間隔は平均約2
μm、突起個数密度は約80000個/mm2であった。
【0061】この磁気ディスクに膜厚約2nmの潤滑膜
を形成し、浮上量20nmの磁気ディスク装置に搭載し
て実施例5と同様なシーク試験を実施した。磁気ヘッド
と磁気ディスクは試験中かなりの頻度で接触したが、2
000時間後においても磁気信号出力に変化はなく、試
験後の磁気ヘッド及び磁気ディスクに変化は見られなか
った。
【0062】(実施例9)実施例5で静電スプレー塗布
した平均粒径2μmのPTFE粒子を平均粒径0.3μ
m のPTFE粒子に変えて実施例5と同様にして突起
を形成したディスクを作製した。この磁気ディスクを光
学顕微鏡で観察したところ個々の突起径は0.05〜1
μm の範囲のものが95%を占め、突起部の総面積比
は光学顕微鏡写真を画像処理して調べたところ約1〜
1.5% 、突起間隔は平均約5μmであった。この磁気
ディスクを図3の磁気ディスク装置に搭載して浮上量3
0nm、磁気ヘッドとしてMRヘッドを用いてシーク試
験を実施した。2000時間後においても信号の書き込
み,読み出し能力に変化は見られず本発明の効果を確認
した。
【0063】(実施例10)実施例5において第2の工
程のPTFE粒子をフッ素系溶媒に分散させた懸濁液の
代りに平均粒径0.5μm のSiC粒子をアルコールに
分散させた懸濁液、平均粒径0.1μmのSi2O粒子を
アルコールに分散させた懸濁液にそれぞれ変えて実施例
5と同様に保護膜面上に突起を形成した。突起部の総面
積比はそれぞれ約1.5%であった。この場合にも実施
例5と同様の効果が得られた。
【0064】
【発明の効果】本発明の磁気ディスクは、保護膜表面の
抵抗率及び/または密度をガスプラズマ処理によって内
部より高くした。これにより、磁気ディスクの耐摺動強
度,耐腐食性は向上し、さらに塵埃の付着性を低下させ
ることができた。その結果、磁気ヘッドの浮上量が小さ
くなったときの長期にわたる摺動信頼性が向上し、特に
MRヘッドを用いた磁気ディスク装置の摺動信頼性を大
幅に向上させることができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例の磁気ディスクの断面を示す。
【図2】本発明の磁気ディスクを形成するガスプラズマ
処理装置の構成図を示す。
【図3】本発明の磁気ディスクを搭載した磁気ディスク
装置を示す。
【図4】rf高周波電力と表面抵抗率の関係を示す。
【図5】rf高周波電力と炭素のXPSピーク強度の関
係を示す。
【図6】本発明の他の実施例の磁気ディスクの断面を示
す。
【図7】本発明の他の実施例の磁気ディスクの形成工程
を示す。
【図8】本発明の他の実施例の磁気ディスクの断面を示
す。
【符号の説明】
1…アルミニウム合金円板、2…NiP下地膜、3…C
r中間膜、4…CoNi磁性膜、5…C保護膜、6,31
…表面改質層、8、33、43…潤滑膜、9、34…磁
気ディスク、10…磁気ディスク装置、12…シャフ
ト、13…スピンドルモータ、15…磁気ヘッド、16
…キャリッジ、17…マグネット、18…コイル、20
…ガスプラズマ処理装置、21…真空チャンバ、22…
真空排気系、23…電力供給系、24…ガス導入系、2
5…制御部、26…基板ホルダー、27…電極、28…
ガス導入機構、30…丘、35…PTFE粒子、40…
突起、41…突起凹部、101…アルミニウム合金円
板、102…NiP下地膜、103…Cr中間膜、10
4…CoCr磁性膜、105…アモルファスC保護膜。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 斉藤 洋子 茨城県日立市大みか町七丁目1番1号 株 式会社日立製作所日立研究所内 (72)発明者 五味 憲一 神奈川県小田原市国府津2880番地 株式会 社日立製作所ストレージシステム事業部内 (72)発明者 屋鋪 博 神奈川県小田原市国府津2880番地 株式会 社日立製作所ストレージシステム事業部内 (72)発明者 猪股 洋一 神奈川県小田原市国府津2880番地 株式会 社日立製作所ストレージシステム事業部内 (72)発明者 森口 善弘 神奈川県小田原市国府津2880番地 株式会 社日立製作所ストレージシステム事業部内

Claims (17)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】磁性層上に少なくとも一層の保護膜を有す
    る磁気記録媒体において、該保護膜の表面に高抵抗層を
    形成したことを特徴とする磁気記録媒体。
  2. 【請求項2】請求項1に記載の磁気記録媒体において、
    該保護膜の表面の抵抗率が磁性層側の保護膜の表面抵抗
    率より高いことを特徴とする磁気記録媒体。
  3. 【請求項3】請求項1に記載の磁気記録媒体において、
    該保護膜の表面の密度が磁性層側の保護膜の密度より高
    いことを特徴とする磁気記録媒体。
  4. 【請求項4】請求項1に記載の磁気記録媒体において、
    該保護膜の密度が表面になるほど高いことを特徴とする
    磁気記録媒体。
  5. 【請求項5】磁性層上に少なくとも一層の保護膜を有す
    る磁気記録媒体において、該保護膜の表面に高抵抗層と
    低抵抗の突起を形成すると共に、該保護膜の表面の密度
    が該表面以外の他の部位の密度より高いことを特徴とす
    る磁気記録媒体。
  6. 【請求項6】請求項5に記載の磁気記録媒体において、
    該高抵抗層が不活性ガス元素,ハロゲン元素及び水素の
    少なくとも一種以上の元素を含むことを特徴とする磁気
    記録媒体。
  7. 【請求項7】請求項1に記載の磁気記録媒体において、
    該高抵抗層が不活性ガス元素,ハロゲン元素及び水素の
    少なくとも一種以上の元素を含むことを特徴とする磁気
    記録媒体。
  8. 【請求項8】請求項1に記載の磁気記録媒体において、
    該磁性層は実質的に平坦であり、該保護膜の膜厚は部分
    的に異なり該保護膜表面に突起を有することを特徴とす
    る磁気記録媒体。
  9. 【請求項9】請求項1に記載の磁気記録媒体において、
    該磁性層は実質的に平坦であり、該保護膜の膜厚は部分
    的に異なり保護膜表面に突起が形成されていると共に保
    護膜の前記凹部表面の抵抗率が前記凹部内部の抵抗率よ
    りも高いことを特徴とする磁気記録媒体。
  10. 【請求項10】請求項1に記載の磁気記録媒体におい
    て、該磁性層は実質的に平坦であり、該保護膜の膜厚は
    部分的に異なり保護膜表面に突起が形成されていると共
    に保護膜の前記凹部表面の密度が前記凹部内部の密度よ
    りも高いことを特徴とする磁気記録媒体。
  11. 【請求項11】磁性層上に少なくとも一層の保護膜を有
    する磁気記録媒体の製造方法において、該保護膜をスパ
    ッタリング法あるいはプラズマCVD法で形成する工程
    と、該保護膜表面にプラズマ処理を施し該保護膜表面の
    抵抗率を該保護膜内部の抵抗率より高くする工程を有す
    ることを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
  12. 【請求項12】請求項11に記載の磁気記録媒体の製造
    方法において、該保護膜表面にマスクを介して選択的に
    プラズマ処理を施し該保護膜表面の密度を該保護膜内部
    の密度より高くする工程を有することを特徴とする磁気
    記録媒体の製造方法。
  13. 【請求項13】請求項11に記載の磁気記録媒体の製造
    方法において、スパッタリング工程後に該保護膜表面に
    マスクを介して選択的に突起を形成する工程を含むこと
    を特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
  14. 【請求項14】請求項11に記載の磁気記録媒体の製造
    方法において、保護膜の突起以外の表面にプラズマ処理
    を施して該表面の密度を該保護膜内部の密度より高くす
    ることを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
  15. 【請求項15】磁気ディスクと、該磁気ディスク面に接
    離する磁気ヘッドと、前記磁気ディスクの回転制御手段
    と、前記磁気ヘッドの位置決め手段と、前記磁気ヘッド
    に基づく信号を処理する信号処理手段とを備えた磁気デ
    ィスク装置において、該磁気ディスクは磁性層上に少な
    くとも一層の保護膜を有し該保護膜の表面に高抵抗層を
    形成した磁気記録媒体であることを特徴とする磁気ディ
    スク装置。
  16. 【請求項16】請求項15に記載の磁気ディスク装置に
    おいて、該保護膜表面に不活性ガス元素,ハロゲン元素
    及び水素の少なくとも一種以上の元素を含むことを特徴
    とする磁気ディスク装置。
  17. 【請求項17】請求項16記載の磁気ディスク装置にお
    いて、MRヘッドを具備することを特徴とする磁気ディ
    スク装置。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000127287A (ja) * 1998-10-27 2000-05-09 Dainippon Printing Co Ltd バリア性フィルムおよびそれを使用した積層材
JP2007257801A (ja) * 2006-03-24 2007-10-04 Toshiba Corp パターンド媒体の製造方法
US8980448B2 (en) 2010-11-02 2015-03-17 Fuji Electric Co., Ltd. Magnetic recording medium including an amorphous carbon protective film
JP5838416B2 (ja) * 2011-02-09 2016-01-06 株式会社ユーテック 磁気記録媒体の製造方法

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