JPH05225558A - 磁気ディスクとその製造方法及びその磁気ディスク装置 - Google Patents

磁気ディスクとその製造方法及びその磁気ディスク装置

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JPH05225558A
JPH05225558A JP2915692A JP2915692A JPH05225558A JP H05225558 A JPH05225558 A JP H05225558A JP 2915692 A JP2915692 A JP 2915692A JP 2915692 A JP2915692 A JP 2915692A JP H05225558 A JPH05225558 A JP H05225558A
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JP
Japan
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magnetic disk
protective film
hill
magnetic
film
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Application number
JP2915692A
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English (en)
Inventor
Hideaki Tanaka
秀明 田中
Kenichi Gomi
憲一 五味
Hiroshi Yashiki
博 屋鋪
Yoichi Inomata
洋一 猪股
Yoshihiro Moriguchi
善弘 森口
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hitachi Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】長期にわたる摺動及びヘッドの浮上の安定性を
確保し、高記録密度を達成できる磁気ディスク装置と、
それに用いられる磁気ディスク及びその製造方法を得
る。 【構成】磁気ディスクの保護膜5の表面に、ほぼ均一な
大きさの粒子を分散付着させ、これをマスク剤としてエ
ッチングした後、粒子を除去することにより、保護膜5
の表面に高さ及び大きさがほぼ均一な丘7を形成し、丘
7でヘッドの浮上面に付着する汚れを効果的に除去す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は磁気ディスクとその製造
方法及び磁気ディスクを用いた磁気ディスク装置に係
り、特に高記録密度の磁気ディスク及び大容量の磁気デ
ィスク装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、コンピュータシステムの外部記憶
装置としての磁気ディスク装置の重要度は益々高まり、
その記録密度は年々著しい向上が図られている。このよ
うな高記録密度化に対応する磁気ディスクとして、従来
の磁性粉とバインダを混練した磁性塗料を基板上に塗布
した塗布型媒体に代り、磁性薄膜を用いた薄膜磁気ディ
スクが注目されている。
【0003】このような磁気ディスクは、磁気ディスク
装置に搭載される磁気ヘッドとの間に摩擦力や吸着力を
生じる。これらを低減するために、保護膜表面に微小凹
凸を形成することが従来より提案されている。
【0004】特開昭55−84045 号公報には、表面粗さ2
0〜50nmの保護膜を形成した磁気ディスクが示され
ている。
【0005】特開昭56−22221 号公報には、保護膜をス
パッタ法で形成する際に、メッシュ状の遮蔽板を介する
ことにより、凹凸を持った保護膜を形成する方法が示さ
れている。
【0006】特開昭57−20925 号公報には、保護膜の表
面に微小突起を形成した磁気ディスクが示されている。
【0007】特開昭58−53026 号公報には、保護膜を形
成した磁気ディスクの表面に、気体イオンを照射して保
護膜の表面に凹凸を形成する方法が示されている。
【0008】特開平3−113823 号公報には、微細結晶を
分散させてエッチング処理することにより、磁気ディス
ク表面に凹凸を形成する方法が示されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】上記従来技術は、いず
れも、磁気ディスクと磁気ヘッドとの間に生じる摩擦力
や吸着力の低減を目的としており、磁気ヘッドの浮上量
が小さい高記録密度を達成する磁気ディスク装置におい
て、長期にわたる摺動及び磁気ヘッドの浮上の安定性に
ついては考慮がなされていない。
【0010】本発明の目的は、磁気ヘッドの浮上量が小
さい高記録密度を達成した磁気ディスク装置を提供する
ことにあり、長期にわたる摺動及び磁気ヘッドの浮上の
安定性を持続できる磁気ディスク装置を提供することに
ある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明の磁気ディスク
は、基板上に磁性膜と保護膜とを有し、前記保護膜の表
面に、下記(イ)〜(ハ)を具備する丘が形成されてい
る領域を有することを特徴とする。
【0012】(イ)前記丘の高さがほぼ均一であり、5
〜40nmの範囲にあること。
【0013】(ロ)前記丘の大きさは、相当直径の平均
値が0.5 〜20μmの範囲にあり、かつ前記相当直径
の標準偏差が、前記相当直径の平均値に対して30%以
内の範囲にあること。
【0014】(ハ)前記領域における単位面積当りの前
記丘の合計面積の比率が0.5 〜50%であること。
【0015】また、本発明の磁気ディスクは、基板上に
磁性膜と保護膜とを有し、前記保護膜が膜厚の異なる部
分を有し、前記保護膜の厚い部分と前記保護膜の薄い部
分との膜厚差が5〜40nmであって、前記保護膜の厚
い部分が、下記(イ)及び(ロ)を満たし、前記保護膜の薄
い部分の中に分散して存在することを特徴とする。
【0016】(イ)前記保護膜の厚い部分の大きさは、
相当直径の平均値が0.5 〜20μmの範囲にあり、か
つ、前記相当直径の標準偏差が、前記相当直径の平均値
に対して30%以内の範囲にあること。
【0017】(ロ)単位面積当りの前記保護膜の厚い部
分の合計面積の比率が0.5 〜50%であること。
【0018】また、本発明の磁気ディスクは、基板上に
磁性膜と保護膜とを有し、前記保護膜の表面に、下記
(イ)〜(ハ)を具備する丘を有することを特徴とす
る。
【0019】(イ)前記丘の高さがほぼ均一であり、5
〜40nmの範囲にあること。
【0020】(ロ)前記丘の大きさは、相当直径の平均
値が0.5 〜20μmの範囲にあり、かつ前記相当直径
の標準偏差が、前記相当直径の平均値に対して30%以
内の範囲にあること。
【0021】(ハ)前記丘と隣接する丘との間隔の平均
値が1〜60μmであること。
【0022】磁気ディスクは、磁性薄膜を用いた薄膜磁
気ディスク(以下単に「磁気ディスク」と称する)であ
ることが望ましい。一般的に磁気ディスクは次のように
構成される。アルミニウム合金円板と、その上に形成さ
れた硬質な下地膜よりなる基板上に、磁性膜が形成され
る。アルミニウム合金の代りにガラス等硬度の高い材料
を用いた場合には下地膜が省略されることもある。基板
と磁性膜との間には、密着性向上や磁性膜の特性向上を
目的として、中間膜が形成される場合もある。磁性膜上
には保護膜が形成され、必要に応じて保護膜上に潤滑膜
が形成される。また、本発明の磁気ディスク装置は、少
なくとも一枚以上の磁気ディスク、磁気ディスクに対向
し、情報の記録再生を行う磁気ヘッド(以下単に「ヘッ
ド」と称する)、磁気ディスクの回転手段,ヘッドを磁
気ディスク上の任意の位置に移動する位置決め手段、及
び記録再生信号の処理回路等を主構成要素としている。
これを用いた記録再生方法は、操作開始前にはヘッドと
磁気ディスクとが接触状態にあり、磁気ディスクを回転
させることによりヘッドと磁気ディスクとの間に微小空
間を作り、この状態で記録再生を行なう。操作終了時に
は磁気ディスクの回転が止まり、ヘッドと磁気ディスク
とは再び接触状態となる。本発明の磁気ディスク装置
は、このようなコンタクト・スタート・ストップ方式
(以下「CSS方式」と称する)を用いる。
【0023】本発明は、磁気ディスクの保護膜表面に、
前記の要件を具備した多数の丘を形成することによっ
て、長期にわたる摺動信頼性及びヘッドの浮上安定性を
持続できるという事実の究明に基づいている。
【0024】発明者らは、従来の磁気ディスク装置にお
いて、長期にわたる摺動信頼性及びヘッドの浮上安定性
を損なう要因について種々検討した結果、長期の動作に
よってヘッドの浮上面(レール面又はスライダ面とも呼
ばれる)に汚れが堆積し、これが摺動信頼性を大きく損
なう原因となることを見出した。すなわち浮上面に付着
した汚れにより、ヘッド浮上時の安定性が低下し、また
付着した汚れがヘッドと磁気ディスク間に介在すること
により両者に損傷を与えやすく、磁気ディスク装置の摺
動信頼性を損なう原因となる。
【0025】ヘッドの浮上面への汚れの堆積は、ヘッド
の浮上量を小さくするほど、特に0.15μm 以下とし
た時に顕著になることがわかった。
【0026】発明者らは磁気ディスク表面に凹凸を形成
することにより、浮上面の汚れを除去しうるのではない
かと考え、磁気ディスクの表面形状と、浮上面の汚れの
付着とを詳細に検討した。その結果、磁気ディスクの保
護膜表面に凹凸を形成する際に、特定の形状とすること
により、浮上面に付着する汚れを効果的に除去できるこ
とを見出すに到った。この表面凹凸による浮上面の汚れ
の除去は、凸部によって浮上面に付着した汚れがかき落
されて、かき落された汚れが凸部の周囲に排除されるこ
とによりなされる。装置の起動停止時に磁気ディスクと
ヘッドとが直接接して摺動する場合や、定常浮上時にも
シーク動作や外乱等により一時的に浮上量が低下した場
合に特に効果的に作用する。本発明では、磁気ディスク
の保護膜表面に形成した多数の丘によって、浮上面に付
着する汚れを効果的に除去できるため、長期にわたる摺
動及びヘッドの浮上の安定性を持続できる。
【0027】ここで形成される丘の高さは5〜40nm
であって、磁気ディスクの丘形成領域内でほぼ一定であ
ることが好ましい。丘の高さがほぼ一定であることは、
初期のヘッドの浮上安定性を確保するために重要であ
り、また浮上面の汚れを効果的に除去するためには特に
重要である。これは汚れの除去には浮上面の下に存在す
る最も高い丘のみが主に作用するためであり、丘の高さ
をほぼ一定とすることにより、より多くの丘を汚れの除
去に寄与させることができる。丘の高さが小さすぎる
と、浮上面の汚れをかき落す効果が小さくなるととも
に、かき落された汚れが排除されるべき丘の間の凹部の
容積が小さくなるため望ましくない。また、本発明はヘ
ッドの浮上量の小さい高記録密度磁気ディスク装置を対
象としているため、丘の高さが大きすぎると保護膜全体
の膜厚が増大し、記録再生時のヘッドと磁気ディスクの
磁性膜との間隔が大きくなるため望ましくない。浮上面
の汚れの除去をさらに効果的にするためには、丘の高さ
は10〜40nmの範囲とすることが望ましい。さら
に、ヘッドと磁気ディスクの磁性膜との間隔をより小さ
くするためには、丘の高さは10〜30nmの範囲がさ
らに望ましい。
【0028】この丘を保護膜表面に形成するに際し、保
護膜が膜厚の小さい部分と大きい部分を有し、膜厚の大
きい部分が膜厚の小さい部分の中に分散して配置される
ことによって丘が形成されていることが望ましい。ここ
で膜厚の小さい部分及び膜厚の大きい部分は各々ほぼ均
一な膜厚を有し、膜厚の大きい部分と膜厚の小さい部分
との膜厚差が5〜40nmの範囲とすることが望まし
い。これにより上記した範囲の均一な高さの丘を形成す
ることができる。
【0029】ただし、本発明の磁気ディスク表面の丘と
は、上述のように保護膜に膜厚差を持って保護膜表面に
存在しているもののみをいい、保護膜より下層に存在す
る磁性膜,中間膜等の形成時に発生する結晶粒界等の微
細構造や、下地膜,基板表面の加工時の微細痕等に起因
して磁気ディスク表面に生じる微細凹凸は、本発明の丘
には含めない。
【0030】形成される多数の丘は大きさがほぼ均一で
あることが望ましい。丘の大きさの平均値は0.5 〜2
0μmの範囲にあり、大きさの均一性の目安は、丘の大
きさの標準偏差が、大きさの平均値に対して30%以内
であることが望ましい。丘の大きさが大きすぎると、浮
上面からかき落された汚れが丘の周囲に排除されにく
く、かき落された汚れが、再度、磁気ディスクと浮上面
との間にかみ込まれる恐れがあるため望ましくない。丘
の大きさが小さすぎると、浮上面の汚れは単に左右にか
き寄せられるだけで、浮上面から除去されにくくなる。
また丘の大きさが小さすぎると、丘自身の強度が低下
し、ヘッドとの接触時や汚れのかき落し時に丘が損傷を
受けやすくなる。丘の大きさに大きな分布があると、ヘ
ッド浮上時の空気流の乱れにより浮上安定性が損なわれ
やすくなるため、丘の大きさはより均一であることが望
ましい。
【0031】浮上面の汚れの除去をさらに効果的にし、
かつ丘の強度をさらに十分にするためには、丘の大きさ
の平均値は1〜10μmとすることがさらに望ましい。
またヘッドの浮上安定性をより良好にするには、丘の大
きさはより均一であることが望ましく、丘の大きさの標
準偏差が大きさの平均値に対して20%以内であること
がより望ましく、15%以内であることがさらに望まし
い。ただし、ここで丘の大きさとは、例えば、真上から
見て丘がほぼ円形の場合にはその直径を示し、円形以外
の場合には注目する丘と同面積を有する仮想円の直径
(相当直径)を示す。例えば幅2μm,長さ20μmの
長方形の丘があった場合、その相当直径は約7.1μm
となる。
【0032】ここで形成される多数の丘は、任意の一つ
の丘とその丘の最近接の丘との間隔が分布を有するよう
に、いわゆるランダムに分散しており、多数の丘につい
ての丘間隔の平均値が1〜60μmになるように配置さ
れていることが望ましい。汚れの付着は浮上面のいずれ
の場所でも起こりうるため、それらを効果的に除去する
には、丘の間隔が分布を持つようにランダムに分散され
ていることが望ましい。これにより浮上面のどこに汚れ
が付着した場合でも、多数の丘が平均的に作用して、汚
れが除去されやすい。ここで丘の平均間隔が狭すぎる
と、浮上面から除去された汚れが丘の周囲に排除されに
くくなり、除去された汚れが再度磁気ディスクと浮上面
との間にかみ込まれる恐れがあるため望ましくない。一
方、丘の平均間隔が広すぎると、ヘッドの位置によって
は浮上面の中で丘と対向しない部分が生じやすく、浮上
面に付着した汚れを効果的に除去できなくなる。また丘
の平均間隔が広すぎると、丘の間の保護膜厚の小さい部
分がヘッドと接する可能性があり、摺動耐久性が損なわ
れやすい。
【0033】浮上面の汚れの除去をより効果的にし、か
つ摺動耐久性をさらに十分とするには、丘間隔の平均値
が2〜50μmがよい。さらに望ましくは、丘間隔の平
均値が4〜40μmがよい。ここで丘の間隔とは、隣接
する二つの丘の外周部分同士での最少間隔を示し、中心
間距離を意味するものではない。
【0034】ここで形成される多数の丘は、単位面積に
対する面積内の丘の総面積比率が0.5 〜50%になる
ように形成することが望ましい。丘の総面積比率が小さ
すぎると、ヘッドの位置によっては浮上面の中で丘と対
向しない部分が生じ、浮上面に付着した汚れを効果的に
除去できなくなる。一方、丘の総面積比率が大きすぎる
と、かき落された汚れが丘の周囲に排除されにくくな
り、かき落された汚れが、再度、磁気ディスクと浮上面
との間にかみ込まれる恐れがあるため、望ましくない。
【0035】浮上面の汚れの除去をより効果的にするに
は、単位面積に対する、その面積内の丘の総面積比率が
1〜40%とすることが望ましく、さらに望ましくは2
〜30%が望ましい。
【0036】本発明によれば、この範囲の丘を磁気ディ
スクの保護膜表面に形成することにより、ヘッドの浮上
面に付着する汚れを効果的に除去できるため、ヘッドの
浮上量小さい磁気ディスク装置においても、長期にわた
る摺動耐久性及びヘッドの浮上安定性を確保することが
できる。
【0037】また、本発明によれば、磁気ディスクの保
護膜表面に浮上面の汚れを除去するための多数の丘を形
成するため、磁性膜は実質的に平坦に形成することがで
きる。これにより記録再生時に、磁性膜の凹凸に起因す
る再生出力の変動を防止でき、優れた記録再生特性を有
する磁気ディスクを得ることができる。
【0038】これらの丘は、実質的にヘッドが磁気ディ
スク上を動作する領域に形成されていれば良い。
【0039】また、多数の丘を形成した保護膜の表面
に、潤滑膜を形成する場合には、丘の高さを超えない範
囲の膜厚、つまり丘の高さより薄い膜厚の潤滑剤を形成
することが望ましい。これは、潤滑膜により丘の周囲の
凹部が埋没して、汚れの除去効果が失われるのを防ぐた
めである。
【0040】さらに、保護膜及び保護膜の表面に形成さ
れた丘は、同一の材料よりなることが好ましい。異種の
材料で丘を形成した場合、丘部分の剥離が生じやすく、
強度が不十分となりやすいためである。
【0041】また、本発明の磁気ディスクの製造方法は
以下の特徴を有する。
【0042】基板上に磁性膜を形成する工程と、前記磁
性膜上に保護膜となる材料を形成する工程と、前記材料
の少なくとも一部の表面に、大きさのほぼ均一な粒子を
分散付着させる工程と、前記粒子をマスクとして前記材
料を前記磁性膜が露出しないように、エッチングし、ほ
ぼ均一な高さの丘を形成する工程と、前記粒子を除去
し、表面にほぼ均一な高さ及び大きさの丘を有する保護
膜を形成する工程とを有する。
【0043】ここで前記粒子は固体粒子であることが望
ましく、特に有機高分子材料であることが望ましい。一
例としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)
等のフッ素樹脂や、ジビニルベンゼンの架橋重合体等の
各種高分子ポリマが用いられる。これらの材料は、保護
膜面に凹凸を形成する際のエッチングに対する耐久性に
優れるためである。
【0044】また保護膜及び保護膜表面に形成される丘
の材料は、炭素を主とする材料であることが特に好まし
い。これらは摺動耐久性が特に優れるためである。
【0045】前記エッチング方法は、磁気ディスク面に
対してほぼ垂直方向の方向性を有するエッチング方法を
用いることが望ましい。これにより、付着粒子の大きさ
とほぼ同じ大きさの丘を再現性よく形成することができ
るためである。
【0046】前記保護膜材料の表面に多数の粒子を分散
付着させる方法は、多数の粒子を液体中に分散させた懸
濁液を、前記保護膜材料の表面にスプレ噴霧し、前記液
体を蒸発させることにより付着させることが好ましい。
【0047】また前記懸濁液を、保護膜材料表面にスピ
ン塗布した後、前記液体を蒸発させて粒子を分散付着さ
せても良い。また、前記懸濁液中に、磁性膜と保護膜材
料を形成した磁気ディスクの半完成品を浸漬したのちに
引上げ、前記液体を蒸発させて粒子を分散付着させても
良い。またさらには、多数の粒子を気体により搬送し、
前記保護膜材料の表面に直接前記粒子を分散付着させて
も良い。
【0048】これらの方法は、その装置及び操作が単
純,容易であり生産性に優れる。またこれらの方法によ
れば、ランダムな配置で粒子を付着させることができ
る。
【0049】本発明の磁気ディスクの製造方法によれ
ば、ほぼ一定膜厚で形成した保護膜材料の表面に、簡便
な方法でほぼ均一な大きさの粒子をランダムに分散付着
させることができ、これをマスクとして保護膜材料をエ
ッチングすることにより、ほぼ均一な大きさ及び高さ
で、ランダムな配置の多数の丘を保護膜表面に形成する
ことができる。
【0050】本発明の磁気ディスク装置は、磁気ディス
ク上で、磁気ヘッドを浮上させて情報の記録再生を行
い、記録再生時における前記磁気ディスクと前記磁気ヘ
ッドとの間隔が0.01〜0.15μmであって、前記磁
気ディスクが、高さが5〜40nmの範囲にあってほぼ
均一であり、相当直径が0.5 〜20μmの範囲にあっ
てほぼ均一であり、単位面積当りの合計面積の比率が
0.5 〜60%である丘を有することを特徴とする。
【0051】また本発明の磁気ディスク装置は、磁気デ
ィスク上で、磁気ヘッドを浮上させて情報の記録再生を
行い、記録再生時における前記磁気ディスクと前記磁気
ヘッドとの間隔が0.01〜0.15μmであって、前記
磁気ディスクが、高さが5〜40nmの範囲にあってほ
ぼ均一であり、相当直径が0.5 〜20μmの範囲にあ
ってほぼ均一であり、平均間隔が1〜60μmである丘
を有することを特徴とする。
【0052】本発明で述べたヘッドの浮上面の汚れは、
浮上量が0.15μm 以下のときに特に顕著になる。し
かし、0.01μm 以下では実質的にヘッドを浮上させ
ることが困難である。磁気ディスクの表面に前記丘があ
ることは、ヘッドの浮上面の汚れ除去を効果的に行なう
ため、さらに前記範囲の浮上量でヘッドを安定浮上させ
るために必要である。
【0053】本発明の磁気ディスク装置は、記録再生時
のヘッドの浮上量が今後ますます小さくなり、記録密度
が向上する装置の要求を満足することができる。その際
のヘッドの浮上安定性を確保し、磁気ディスク表面に凹
凸を有していても平坦である磁気ディスクとほぼ同様の
浮上安定性を有する。
【0054】さらに、本発明の磁気ディスクは、ヘッド
に摺動面を有するような、ヘッドと磁気ディスクとが接
触して動作するような接触型磁気ディスク装置に使用し
ても良い。
【0055】
【作用】以上のように、本発明によれば磁気ディスクの
保護膜表面に上記した特徴を有する多数の丘を形成する
ことにより、以下の作用を有する磁気ディスク及び磁気
ディスク装置を得ることができる。
【0056】本発明によれば、第一に形成される丘の高
さをほぼ一定とすることにより、例えば、0.15μm
以下といった小さい浮上量でも、ヘッドの浮上安定性を
確保できる。第二に、長期の動作によって磁気ヘッドの
浮上面に付着する汚れを、磁気ディスクの丘によって効
果的に除去できるため、長期にわたるヘッドの摺動耐久
性及びヘッドの浮上安定性を得ることができる。第三に
保護膜表面に凹凸を形成するため、磁性膜の凹凸に起因
する再生出力の変動を防止でき、優れた記録再生特性を
得ることができる。
【0057】また、本発明によれば、ほぼ均一な大きさ
の粒子を磁気ディスクの保護膜表面に分散付着させ、こ
れをマスク剤として保護膜にその膜厚を超えない範囲で
エッチングを行ったのち粒子を除去することにより、磁
気ディスクの保護膜表面に固体粒子の付着状態に従った
ほぼ均一な高さ及び大きさの微小な丘を精度良く形成す
ることができる。これにより上記した作用を有する磁気
ディスクを、経済的に、再現性よく製造することができ
る。
【0058】以上のように本発明によれば、磁気ヘッド
の浮上量が小さい磁気ディスク装置において、長期にわ
たるヘッドの摺動耐久性及びヘッドの浮上安定性を確保
でき、記録再生特性に優れた磁気ディスク及び高記録密
度を達成した磁気ディスク装置を提供することができ
る。
【0059】
【実施例】本発明による磁気ディスクの基板は、アルミ
ニウム合金円板上にNiP,アルマイト等の硬質下地膜
を形成したもの、または、ガラス,セラミックス及び硬
質プラスチック円板等そのもの、又は円板の表面に下地
膜を形成したもの等である。基板の上には磁性膜が形成
されるが、両者の間には密着性向上や磁性膜の特性向上
を目的として中間膜が形成されてもよい。磁性膜は、飽
和磁束密度及び保磁力の高い材料からなることが好まし
く、材料の好ましい例は、CoNi合金,CoCr合金
及びこれらにZr,Ta,Pt等少なくとも一種の他の
金属元素を添加したものである。中間膜の材料は磁性膜
の結晶配向性を促進しうるものが望ましく、例えば、磁
性膜がCo系合金の場合には、CrおよびCrに少なく
とも一種以上の他の元素を添加したものが特に好まし
い。磁性膜の表面には保護膜が形成され、その表面には
上述の方法により多数の丘が形成される。保護膜には、
スパッタ法やCVD法で形成したC膜,SiO2 ,金属
炭化物,金属窒化物,金属酸化物等が用いられる。生産
性と摺動耐久性の観点からはC膜が特に望ましい。保護
膜の表面には必要に応じて潤滑膜が形成されて磁気ディ
スクが完成される。潤滑膜はフッ素系の潤滑剤が望まし
く、パーフルオロポリエーテル系の潤滑剤が特に好まし
い。潤滑剤の膜厚は保護膜表面に形成される丘の高さよ
り小さいことが望ましい。潤滑膜の膜厚が丘の高さより
大きくなると、上記した丘による浮上面の汚れ除去の効
果が現われにくくなる。
【0060】本発明の磁気ディスクでは、保護膜の表面
に、ヘッドの浮上面に付着する汚れを除去するための多
数の丘を形成されているため、基板表面は実質的に平坦
でよい。これにより、基板上に形成される磁性膜も平坦
となるため、記録再生時に磁性膜の凹凸による再生出力
の変動を防止することができ、優れた記録再生特性を有
する磁気ディスクを得ることができる。ただし、必要に
応じて基板表面に、磁性膜の配向性を制御するため、保
護膜表面に形成する丘の高さよりも小さい範囲で極微小
な凹凸、例えば、円周方向の微小な溝等、を形成した磁
気ディスクも本発明に含まれる。
【0061】次に、本発明の具体的な磁気ディスクの製
造方法を述べる。発明者らは上記の丘を保護膜の表面に
形成するための、実用に供しうる経済的な磁気ディスク
の製造方法について種々検討した結果、磁気ディスクの
保護膜表面に、大きさのほぼ均一な多数の粒子を分散付
着させ、この粒子をマスクとして、保護膜にその膜厚を
超えない範囲の深さにエッチングを行い、その後、粒子
を除去することにより、磁気ディスクの保護膜表面に多
数の微小な丘を形成する方法により所望の磁気ディスク
が得られることを見出した。
【0062】本発明による磁気ディスクの製造方法の一
例を図3に示す。ここで用いられるエッチング方法はイ
オンビームエッチングや逆スパッタ,プラズマエッチン
グ等のドライエッチングや、エッチング液を用いた湿式
エッチング等の中から保護膜5の材料によって選択する
ことができる。エッチング方法は、形成される丘の高さ
をほぼ一定とするため、粒子8が付着していない部分で
の保護膜のエッチング速度が、磁気ディスクの面域内で
ほぼ一定となるような均一なエッチング法を選択するこ
とが望ましい。これにより磁気ディスクの保護膜5の表
面に所望の範囲でほぼ一定の高さ及び大きさをもつ多数
の丘7を精度良く形成することができる。
【0063】本発明では、図3に示すように、保護膜5
上に付着した粒子8をマスクとしてエッチングすること
によって丘7を形成するため、用いるエッチング方法が
方向性をもつかどうかは重要である。例えば、プラズマ
エッチングや湿式エッチングのように、粒子8の裏側に
も周り込みやすい方向性のないエッチング方法を用いた
場合には、形成される丘7の大きさは粒子8の大きさよ
り小さくなるため、形成される丘7の大きさの制御が難
しい。一方、イオンビームエッチングや逆スパッタのよ
うな、方向性をもったエッチング方法を用いた場合に
は、丘7の大きさは粒子8の大きさとほぼ同様になるた
め、形成される丘7の大きさを付着させる粒子8の大き
さにより制御できるためより望ましい。方向性を持った
エッチング方法を用いた場合、エッチング方向を磁気デ
ィスク面に対してほぼ垂直とすることが望ましい。方向
性の厳密さに関してはイオンビームエッチングが最も望
ましいが、ある程度の方向性があれば実用上は問題ない
ため、量産性の観点からは逆スパッタ法がより望まし
い。保護膜としてC保護膜を用いた場合には酸素を含有
した雰囲気中での逆スパッタがより望ましい。このよう
にして丘7を形成した場合、酸素の作用によってC膜の
極表層が改質され、この上に潤滑膜を形成する際の付着
強度が向上する。
【0064】本発明で、粒子8を保護膜表面に分散付着
させる方法として、粒子8を適当な液体中に分散させた
懸濁液10を、図4に示した装置(ポンプ12とノズル
11を有する)を用いたスピン塗布法やスプレー塗布法
あるいは図5に示したような浸漬法により磁気ディスク
9の保護膜5の表面に付着させた後、液体を蒸発させる
方法が最も実用的である。ここで用いられる液体は、蒸
発残渣の生じないものが望ましく、例えば、純水や高純
度のフッ素系溶剤,有機溶剤等を用いることができる。
本発明では粒子の付着方法において、懸濁液中の粒子の
密度や付着時の条件を適当に選択することにより、保護
膜表面に付着させる粒子の密度を任意に制御でき、所望
の付着密度を容易に達成することができる。しかし、こ
の方法以外でも、例えば粒子を気体により搬送し、直接
磁気ディスクの保護膜表面に分散付着しても良い。その
際に固体粒子に適当な荷電を与えて、保護膜表面への付
着効率を高めても良い。
【0065】本発明のこの実施例で用いられる粒子8の
材料は以下の条件を満たす特性を有する必要がある。
【0066】(1)この懸濁液を用いて保護膜5の表面
に分散付着する場合、粒子を液体中に分散させた時に、
溶解あるいは溶出のないこと。
【0067】(2)上記のエッチング工程によって分
解,変質しにくいこと。
【0068】(3)エッチング後に保護膜表面から容易
に除去しうること。
【0069】(4)ほぼ均一な粒径の粒子を作製しうる
こと。
【0070】特性(1)は、液体の蒸発後に不要な残渣
を生じないために必要である。特性(2)は、粒子8が
エッチング時のマスクとして作用するため、及びエッチ
ングによって粒子8の分解あるいは変質生成物が保護膜
表面に付着するのを防止するために必要である。蒸発残
渣及び分解,変質生成物が保護膜上に残留すると、ヘッ
ド浮上面の汚れを増加させる原因になる。特性(3)
は、最終的に粒子8が保護膜表面に残留してしまうと、
ヘッドの浮上安定性が損なわれるため、重要である。特
性(4)は、保護膜表面にほぼ均一な大きさの丘を形成
するために必要である。
【0071】発明者らはこのような条件を満たす材料を
種々探索した結果、有機高分子材料が特に望ましいこと
を見出した。具体的に例をあげれば、ポリテトラフルオ
ロエチレン(PTFE)やポリクロロトリフルオロエチ
レン,テトラフルオロエチレンとパーフルオロビニルエ
ーテルの共重合体等のフッ素樹脂や、ジビニルベンゼン
の架橋重合体等の各種高分子ポリマ特に好適である。こ
れらの材料は、化学的に安定であり優れた耐薬品性,耐
プラズマ性を有するため、(1)及び(2)の条件に適
合する。さらに上記の材料は表面エネルギが低いため
に、他の固体表面への付着力が小さく、簡単な洗浄等に
より容易に除去しうるため、(3)の条件にも適合し、
望ましい。またこれらの材料はほぼ均一粒径の粒子の作
製が可能であり(4)の条件にも適合する。ただし本発
明は粒子材料に限定されるものではなく、これ以外の材
料でも、懸濁液を作製するために選択された液体及び丘
を形成するために選択されたエッチング方法に対して、
(1)及び(2)の条件を満たし、かつ(3)及び
(4)の条件を満たす有機物及び無機物の中から選択し
ても良い。
【0072】本発明で用いられる粒子8の大きさは、保
護膜の表面に形成される丘の大きさが前述の範囲になる
ようにエッチング方法に応じて選択する必要がある。前
述の逆スパッタやイオンビームエッチングのように方向
性があるエッチング方法の場合には、丘の大きさは粒子
の大きさとほぼ同様になり、所望の丘の大きさの範囲と
ほぼ同じ大きさの範囲の粒子を用いれば良いため、丘の
大きさの制御がより容易となりより望ましい。エッチン
グ方法がプラズマエッチングや湿式エッチングのよう
に、粒子の裏側にも周り込みやすい方向性のないエッチ
ング方法を用いた場合には、粒子の大きさはエッチング
の周り込みを考慮して丘の大きさより大きくする必要が
ある。ただし発明者らの検討結果では、固体粒子の大き
さが小さくなると粒子同士が凝集しやすくなり、保護膜
表面に均一に分散付着させにくくなり、また付着後に保
護膜表面から除去しにくくなるため、望ましくはここで
用いられる固体粒子の最小粒径は0.1μm以上,より
望ましくは0.2μm以上,さらに望ましくは0.5μm
以上の大きさであることが望ましい。用いられる固体
粒子の大きさの上限は、形成されるべき丘の大きさの上
限で規定されるが、最大粒径は30μm以下が望まし
い。より望ましくは最大粒径は25μm以下が好まし
い。粒径が大きすぎると保護膜表面に分散付着させた後
で、わずかの衝撃によって容易に脱落しやすくなるため
取扱の容易さの面から望ましくない。また粒径が大きす
ぎると、液体中に分散させた懸濁液を調整したあとで粒
子の沈降が生じやすく、液管理の面からも望ましくな
い。なお、図3では一例として球形の粒子8を用いた場
合示したが、本発明は球形の粒子の使用に限定されるも
のでない。上述のように、用いられる粒子8の大きさ及
び付着方法によって、保護膜5の表面に形成される丘7
の大きさ及び間隔を制御できる。これにより、磁気ディ
スク表面の単位面積当りの丘の総面積比率を、前記した
所望の範囲に精度良く形成することができる。
【0073】本発明の方法により表面に丘7を形成した
保護膜5について、丘の部分とそれ以外の部分で材料は
均質であることがより望ましい。これは保護膜の丘7の
部分で他の部分と異なる材質が存在する場合、保護膜5
がヘッドと摺動する時に、その界面で剥離が生じやす
く、摺動耐久性が低下するためである。ただし密着性の
特に優れた適当な2種の材料が選択された場合には、保
護膜5中に異なる材料が存在しても良い。例えば、保護
膜5を形成する際に、ある選択されたエッチング方法に
よってエッチングされない材料を下層に形成し、エッチ
ングされる材料を上層に形成してもよい。このようにす
れば、保護膜5の表面に上記の丘を形成するときのエッ
チング処理によって、保護膜の上層のみがエッチングさ
れるため、保護膜の上層の膜厚に対応した高さの丘が均
一に精度良く形成されるため、丘の高さの制御が容易で
あるという利点がある。
【0074】本発明では、ここまでCSS方式による磁
気ディスク装置を主たる対象として述べてきたが、上記
した本発明の磁気ディスクの保護膜5の表面に形成した
多数の丘7によるヘッド浮上面の汚れ除去効果は、装置
の停止時にヘッドと磁気ディスクを引き離す機構を設け
たロード・アンロード方式の磁気ディスク装置及び記録
再生時にヘッドが実質的に浮上しないコンタクト方式の
磁気ディスク装置に対しても極めて有効である。
【0075】ロード・アンロード方式の磁気ディスク装
置の場合にも、CSS方式の磁気ディスク装置と同様
に、ヘッドの浮上面への汚れの付着は、長期にわたる浮
上安定性及び耐久性を損なう原因となるため、前述のよ
うな多数の丘7を保護膜5面に形成した本発明の磁気デ
ィスクを用いることにより、長期にわたるヘッドの浮上
安定性及び耐久性に優れた磁気ディスク装置を得ること
ができる。
【0076】コンタクト方式の磁気ディスク装置では、
接触摺動によるヘッドまたは磁気ディスクの損傷防止が
最も重要である。多数の丘7を形成した本発明の磁気デ
ィスクを用いれば、ヘッドの摺動面に付着する汚れを速
やかに除去できるため、ヘッドと磁気ディスクの間に汚
れが介在することによって発生するヘッドまたは磁気デ
ィスクの損傷を防止でき、長期にわたる摺動信頼性に優
れた磁気ディスク装置を得ることができる。
【0077】図6は本発明の磁気ディスク装置の概略構
成を示す。磁気ディスク9は回転手段であるスピンドル
モータ16に取り付けられる。磁気ヘッド13は磁気ヘ
ッド13の位置決め手段であるボイスコイルモータ15
及びキャリッジ14に取り付けられる。
【0078】図7は本発明の磁気ディスク装置におい
て、磁気ディスク9の表面に形成した多数の丘7によ
る、ヘッド13の浮上面に付着した汚れ19の除去効果
を示す概念図である。
【0079】本発明において、ヘッド13の浮上量は以
下の方法で測定した。
【0080】図6と同様の磁気ディスク装置に、浮上量
測定用のガラスディスク9とヘッド13をセットした
後、ガラスディスク9を回転させ、ガラスディスク9の
裏側よりヘッド13の浮上面を観察し、光干渉法により
ヘッド13の浮上量を実測した。この実験結果とシミュ
レーションを併用して、供試ヘッド13の浮上特性を決
定した。本発明の磁気ディスク装置におけるヘッド13
の浮上量とは、上記で求めたヘッド13の浮上特性と、
用いられる磁気ディスク9の回転数とより算出したもの
である。
【0081】また、本発明の最低浮上保証高さとは、磁
気ディスク9とヘッド13との接触が検知されない最低
の浮上量を指す。
【0082】なお、本発明の磁気ディスクの保護膜表面
に形成した多数の丘7の高さ,大きさ,間隔及び配置は
以下の方法で測定することができる。丘7の高さは2次
元及び3次元の触針式表面粗さ計,3次元の光学式表面
粗さ計,走査型トンネル顕微鏡,原子間力顕微鏡等高さ
方向でナノメータオーダの分解能を有する表面形状測定
装置を用いることにより測定され得る。丘7の大きさ,
間隔,単位面積当りの総面積比率は、表面形状測定手法
のうち3次元の測定が可能なものを用いて測定される。
ただし、一般的に上記の手法は横方向の測定可能面積が
小さいため、特に、平均間隔及び単位面積当りの面積比
率を測定する際には、総測定面積が約1mm2 になるよう
に、同一個所付近で多数の測定を行ない、その平均値と
して求めることが望ましい。ここで保護膜5の材料がC
膜等のように比較的濃い色を有する場合にはより簡便な
方法で、丘7の大きさ,間隔,単位面積当りの総面積比
率を測定することができる。すなわち、本発明では丘7
の部分とそれ以外の部分で保護膜の膜厚が異なるため、
有色の保護膜材料の場合、丘7の部分とそれ以外の部分
で色のコントラストが異なり、例えば、光学顕微鏡によ
る観察によっても丘7の部分を正確に識別することがで
きる。この場合、光学顕微鏡観察結果を画像処理等によ
って解析することにより、簡便に丘の大きさ,間隔,単
位面積当りの総面積比率を測定することができる。本発
明の磁気ディスクを光学顕微鏡で観察した場合の丘の配
置の一例を、図2に模式的に示す。
【0083】このような丘を本発明の方法と同様な方法
で基板表面に形成し、その上に均一な膜厚の磁性膜,保
護膜等を形成することもできる。この場合でも、磁気デ
ィスクの表面に現われる凹凸形状はほぼ同じになるた
め、本発明によるヘッドの汚れ除去効果が発現する。た
だし、この場合、磁性膜が平坦にならないため、前記し
た磁性膜の凹凸に起因する再生出力変動の防止効果は得
られなくなる。
【0084】以下において、本発明のより具体的な実施
例を詳細に説明する。
【0085】〈実施例1〉図1において、外径5.25
インチのアルミニウム合金円板1の表面に、無電解めっ
き法によりNiPの下地膜2を15μmの厚さに形成
し、その後、下地膜2を10μmの厚さになるまで研磨
して、触針式表面粗さ計で測定した平均粗さ(Ra)2
nm以下,最大粗さ(Rmax )5nm以下になるように
鏡面加工して基板を作製した。この基板上にスパッタ法
によりCrの中間膜3を100nm,CoNiの磁性膜
4を50nm,Cの保護膜5を35nmの厚さにそれぞ
れ形成した。Cの保護膜5の表面には下記の方法で丘7
を形成した。
【0086】保護膜5表面への丘7の形成方法を、図3
と図4を参照して説明する。平均粒径5μm,粒径の標
準偏差が0.5μm(平均粒径に対して10%)のジビニ
ルベンゼンの架橋重合体粒子8を、1wt%の割合でフ
ッ素系溶剤に超音波分散した懸濁液10を調製し、C保
護膜5の表面にこの懸濁液10をポンプ12とノズル1
1によりスプレ塗布し、次に溶剤を蒸発させて粒子8を
C保護膜5の表面上に分散付着させた。粒子8の付着状
態を光学顕微鏡により観察した結果、粒子8の間隔の平
均値は約15μm、単位面積あたりの粒子8の密度は約
2500個/mm2 であり、粒子8の被覆部の総面積比率
は約5%であった。
【0087】次に、この円板をスパッタ装置により酸素
を25%含有したAr雰囲気下で逆スパッタして、粒子
8のない部分のC保護膜5を20nmの深さまでエッチ
ングした。この後、表面を純水によりスクラブ洗浄し、
粒子8を除去した。エッチング前後での表面観察結果よ
り、付着粒子8とほぼ同じ大きさ及び大きさの標準偏差
を持った丘7がC保護膜5の表面に形成されていること
を確認した。エッチング後の丘7の平均間隔は約15μ
m、単位面積あたりの丘7の密度は約2500個/mm2
であり、丘7の総面積比率は約5%であった。また丘7
の高さを触針式表面粗さ計で測定した結果、約20nm
となっていることを確認した。
【0088】こうして得られた円板の表面に、パーフル
オロポリエーテル系の潤滑膜6を約5nmの厚さに塗布
して、図1に示す磁気ディスク9を作製した。
【0089】スパッタ法で形成したC保護膜5の厚さを
15〜75nmの範囲で表1のように変化させ、粒子8
を付着した後のC保護膜5のエッチング深さを、丘7の
高さが表1の値になるように変化させた以外は上記と同
様な方法で、丘7の大きさ及び大きさの標準偏差,平均
間隔,単位面積当りの丘7の数及び総面積比率が一定
で、丘7の高さのみが異なる8種の磁気ディスク9を作
製した。ただしここで試料(1)の丘高さ0nmの磁気
ディスクとは丘を形成していないものである。
【0090】
【表1】
【0091】本実施例で作製した8種の磁気ディスク9
について、図6に示した磁気ディスク装置を構成し、C
SS試験を行なった。本装置で、磁気ディスク9の定常
回転時のヘッド13の浮上量は0.1μm である。各々
の磁気ディスク9について、初期及びCSS動作三万回
後のヘッド13の最低浮上保証高さを測定した結果を図
8に示す。初期では丘7の高さの上昇に伴って最低浮上
保証高さは徐々に増加し、丘7の高さが40nm以上で
最低浮上保証高さは急増する。CSS動作三万回後で
は、初期に比べて、丘7を形成しない試料(1)の磁気
ディスクの最低浮上保証高さが急増しており、丘7の高
さが5nmの試料(2)の磁気ディスクでも若干最低浮
上保証高さの増加が見られる。
【0092】各々の装置について、CSS動作三万回後
のヘッド13の浮上面を観察した。試料(1)の磁気デ
ィスクでは、ヘッド13の浮上面に汚れが多量に付着
し、これがヘッド13の浮上安定性を悪化させているこ
とがわかった。試料(2)の磁気ディスクでも、ごくわ
ずかの浮上面の汚れが観察され、これにより最低浮上保
証高さが若干増加していることがわかった。ただし試料
(1)の磁気ディスクの場合に比べれば、汚れの付着は
極めて軽微であった。他の磁気ディスクは、いずれもヘ
ッド13の浮上面に汚れは観察されなかった。このこと
から、本実施例で形成した丘7は、ヘッド13の浮上面
に汚れが付着するのを防止する効果のあることがわかっ
た。なお、表1の全ての磁気ディスクで、CSS動作三
万回後では磁気ディスク面に傷は観察されなかった。
【0093】次に同様に作製した上記8種の磁気ディス
クを用いて、同様に磁気ディスク装置を構成し、より長
時間のCSS試験を行なった。CSS動作十万回後のデ
ィスク面を観察した結果、試料(1)の磁気ディスクで
は傷が発生していた。これは、ヘッド13の浮上面に汚
れが堆積することにより、これがヘッド13と磁気ディ
スク9との間にかみこんで傷を発生させたものと考えら
れる。丘7の高さが50nm及び60nmの試料(7)
及び試料(8)の磁気ディスクでも、CSS動作十万回
後に傷が発生していた。これは、ヘッド13の浮上安定
性が不十分なために、ヘッド13と磁気ディスク9とが
接触しやすく、これにより傷が発生したと考えられる。
試料(2)〜(6)の磁気ディスクについては、CSS
動作十万回後にも傷の発生はなく、摺動信頼性が良好で
あった。
【0094】以上の結果より、丘7の高さを5〜40n
mとした本実施例の磁気ディスク9では、ヘッド13の
浮上面に付着する汚れを除去する効果があり、長期にわ
たる摺動信頼性とヘッドの浮上安定性を確保できること
が判明した。
【0095】〈実施例2〉実施例1と同様の基板上に、
スパッタ法によりCrの中間膜3を100nm,CoN
iの磁性膜4を50nm,Cの保護膜5を35nmの厚
さにそれぞれ形成した。Cの保護膜5の表面には下記の
方法で丘7を形成した。
【0096】本実施例では、丘7の高さ及び単位面積当
りの丘7の総面積比率が一定で、丘の大きさを表2のよ
うに変化させた磁気ディスクを作製した。
【0097】
【表2】
【0098】実施例1と同様のジビニルベンゼンの架橋
重合体よりなり、粒径及び粒径の標準偏差が、表2の丘
の大きさ及び大きさの標準偏差に一致する10種の粒子
8を用い、実施例1と同様の方法で粒子8をC保護膜5
の表面に分散付着させた。実施例1と同様の方法で、C
保護膜5を20nmの深さまでエッチングした後、粒子
8を除去し、その後潤滑膜6を塗布して、丘の大きさの
異なる10種の磁気ディスク9を作製した。
【0099】10種の磁気ディスク9のいずれも、丘7
の高さは20nmであり、単位面積当りの丘7の総面積
比率は約5%であった。丘7の大きさ,大きさの標準偏
差,丘7の密度、及び平均間隔は表2に示す通りであっ
た。ただし本実施例の10種の磁気ディスク9の、丘7
の大きさの標準偏差は、いずれも丘7の大きさの平均値
に対して10%と一定である。
【0100】本実施例の10種の磁気ディスク9につい
て、実施例1と同様に磁気ディスク装置を構成し、CS
S動作三万回前後での、ヘッド13の最低浮上保証高さ
を測定した結果を図9に示す。丘7の大きさが小さい場
合と大きい場合でいずれもCSS後の最低浮上保証高さ
が増加している。試験後のヘッド13の浮上面を観察し
た結果、最低浮上保証高さが大きく増加していた試料
(9)(10)(17)(18)の磁気ディスクでは、浮上
面に顕著な汚れが観察され、これが浮上安定性を損なう
原因であることがわかった。また実施例1と同様に、C
SS動作十万回後の磁気ディスク9の表面を観察した結
果、浮上面に汚れが観察された上記4種の磁気ディスク
では傷が発生していた。試料(11)〜(16)の磁気
ディスク9は、CSS動作三万回後に浮上面の汚れは観
察されず、CSS十万回後に磁気ディスク9の表面に傷
は見られなった。
【0101】以上の結果より、丘7の大きさを0.5 〜
20μmとした本実施例の磁気ディスク9では、ヘッド
13の浮上面に付着する汚れを除去する効果があり、長
期にわたる摺動信頼性とヘッドの浮上安定性を確保でき
ることが判明した。
【0102】〈実施例3〉実施例1と同様の基板上に、
スパッタ法によりCrの中間膜3を100nm,CoN
iの磁性膜4を50nm,Cの保護膜5を35nmの厚
さにそれぞれ形成した。Cの保護膜5の表面には下記の
方法で丘7を形成した。
【0103】本実施例では、丘7の高さ,平均の大きさ
及び単位面積当りの丘7の総面積比率が一定で、丘の大
きさの標準偏差を表3のように変化させた磁気ディスク
を作製した。
【0104】
【表3】
【0105】実施例1と同様のジビニルベンゼンの架橋
重合体よりなり、平均粒径が5μmで、粒径の標準偏差
が表3の丘の大きさの標準偏差に一致する7種の粒子8
を用い、実施例1と同様の方法で粒子8をC保護膜5の
表面に分散付着させた。実施例1と同様の方法で、C保
護膜5を20nmの深さまでエッチングした後、粒子8
を除去し、その後潤滑膜6を塗布して、丘の大きさの標
準偏差が異なる7種の磁気ディスク9を作製した。
【0106】7種の磁気ディスク9のいずれも、丘7の
高さは約20nmであり、平均間隔は約15μm、単位
面積当りの丘7の密度は約2500個/mm2 、丘7の総
面積比率は約5%であった。丘7の大きさの標準偏差は
表3に示す通りであった。
【0107】本実施例の7種の磁気ディスク9につい
て、実施例1と同様に磁気ディスク装置を構成し、CS
S動作三万回前後での、ヘッド13の最低浮上保証高さ
を測定した結果を図10に示す。丘7の大きさの標準偏
差が、平均の大きさに対して30%を超えると、初期で
も最低浮上保証高さが大きく、またCSS後には最低浮
上保証高さがさらに増加している。試験後のヘッド13
の浮上面を観察した結果、最低浮上保証高さの増加が大
きかった試料(24),(25)の磁気ディスクでは、浮
上面に顕著な汚れが観察され、これが浮上安定性を損な
う原因であることがわかった。また実施例1と同様に、
CSS動作十万回後の磁気ディスク9の表面を観察した
結果、浮上面に汚れの付着した上記2種の磁気ディスク
では傷が発生していた。試料(19)〜(23)の磁気
ディスク9については、CSS動作三万回後に浮上面の
汚れは観察されず、CSS十万回後に磁気ディスク9の
表面に傷は見られなった。
【0108】以上の結果より、丘7の大きさの標準偏差
を、平均の大きさに対して30%以下とした本実施例の
磁気ディスク9では、ヘッド13の浮上面に付着する汚
れを除去する効果があり、長期にわたる摺動信頼性とヘ
ッドの浮上安定性を確保できることが判明した。
【0109】〈実施例4〉実施例1と同様の基板上に、
スパッタ法によりCrの中間膜3を100nm,CoN
iの磁性膜4を50nm,Cの保護膜5を35nmの厚
さにそれぞれ形成した。Cの保護膜5の表面には下記の
方法で丘7を形成した。
【0110】本実施例では、丘7の高さ,平均の大きさ
及び大きさの標準偏差が一定で、単位面積当りの丘7の
総面積比率を表4のように変化させた磁気ディスクを作
製した。ただし、試料(35)の丘7の総面積比率が1
00%の磁気ディスクとは、全面が丘、すなわち、C保
護膜5の全面をマスクして、エッチングされないように
したもので、実質的に丘は形成されていない。
【0111】
【表4】
【0112】実施例1と同様の平均粒径が5μmで、粒
径の標準偏差が0.5μm のジビニルベンゼンの架橋重
合体粒子8を用い、実施例1と同様の方法でスプレ塗布
法により粒子8をC保護膜5の表面に分散付着させた。
スプレ時間を変化させることにより、粒子8の付着密度
を変化させた。実施例1と同様の方法で、C保護膜5を
20nmの深さまでエッチングした後、粒子8を除去
し、その後、潤滑膜6を塗布して、単位面積当りの丘7
の総面積比率をが異なる10種の磁気ディスク9を作製
した。
【0113】試料(35)を除く9種の磁気ディスク9
のいずれも、丘7の高さは約20nmであり、丘7の平
均の大きさは5μm,大きさの標準偏差は0.5μm で
あった。丘7の平均間隔,単位面積当りの丘7の密度及
び総面積比率は表4に示す通りであった。
【0114】本実施例の10種の磁気ディスク9につい
て、実施例1と同様に磁気ディスク装置を構成し、CS
S動作三万回前後での、ヘッド13の最低浮上保証高さ
を測定した結果を図11に示す。丘7の総面積比率が小
さい場合と大きい場合で、CSS後の最低浮上保証高さ
が顕著に増加している。試験後のヘッド13の浮上面を
観察した結果、最低浮上保証高さの増加が大きかった試
料(26),(27),(35)の磁気ディスクでは、浮
上面に顕著な汚れが観察され、これが浮上安定性を損な
う原因であることがわかった。また実施例1と同様に、
CSS動作十万回後の磁気ディスク9の表面を観察した
結果、浮上面に汚れが見られた上記3種の磁気ディスク
では傷が発生していた。試料(28)〜(34)の磁気
ディスク9については、CSS動作三万回後に浮上面の
汚れは観察されず、CSS十万回後に磁気ディスク9の
表面に傷は見られなった。
【0115】以上の結果より、単位面積当りの丘7の総
面積比率を0.5〜50% とした本実施例の磁気ディス
ク9では、ヘッド13の浮上面に付着する汚れを除去す
る効果があり、長期にわたる摺動信頼性とヘッドの浮上
安定性を確保できることが判明した。
【0116】〈実施例5〉保護膜5として、メタン−水
素混合ガスを原料としたプラズマCVD法で35nm形
成したC膜を用いたほかは、実施例1の試料(4)の磁
気ディスクの場合と同様な方法で磁気ディスク9を作製
した。本実施例での磁気ディスクの丘7の大きさは実施
例1と同様であり、丘7の間隔の平均値は約15μm、
単位面積あたりの丘7の密度は約2500個/mm2 、丘
7の総面積比は約5%であった。また丘7の高さを触針
式表面粗さ計で測定した結果、約20nmとなっている
ことを確認した。
【0117】本実施例の磁気ディスクのCSS試験結
果、ヘッド13の浮上特性測定結果及びヘッドの浮上面
の汚れ観察結果とも、実施例1の試料(4)の磁気ディ
スクと同様に優れており、長期にわたる摺動信頼性とヘ
ッドの浮上安定性を確保することができた。
【0118】〈実施例6〉粒子8として、平均粒径5μ
m,粒径の標準偏差0.5μm のポリテトラフルオロエ
チレン粒子を用いたほかは、実施例1の試料(4)の磁
気ディスクの場合と同様な方法で磁気ディスク9を作製
した。本実施例での磁気ディスクの丘7の大きさは実施
例1と同様であり、丘7の間隔の平均値は約15μm、
単位面積あたりの丘7の密度は約2500個/mm2 、丘
7の総面積比は約5%であった。また丘7の高さを触針
式表面粗さ計で測定した結果、約20nmとなっている
ことを確認した。
【0119】本実施例の磁気ディスクのCSS試験結
果、ヘッド13の浮上特性測定結果及びヘッドの浮上面
の汚れ観察結果とも、実施例1の試料(4)の磁気ディ
スクと同様に優れており、長期にわたる摺動信頼性とヘ
ッドの浮上安定性を確保することができた。
【0120】〈実施例7〉基板1として触針式表面粗さ
計で測定した平均粗さ(Ra)1.5nm以下、最大粗さ
(Rmax)4nm以下になるように鏡面加工した外径5.
25インチのガラス基板を用い、この基板上に実施例1
と同様にスパッタ法によりCr中間膜3を100nm,
CoNi磁性膜4を50nm,C保護膜5を35nm形
成した。実施例1の試料(4)の磁気ディスクと同様に
C保護膜5の表面に丘7を形成し、その後、潤滑膜6を
形成して磁気ディスク9を作製した。本実施例での磁気
ディスクの丘7の大きさは実施例1と同様であり、丘7
の間隔の平均値は約15μm、単位面積あたりの丘7の
密度は約2500個/mm2 、丘7の総面積比は約5%で
あった。また丘7の高さを触針式表面粗さ計で測定した
結果、約20nmとなっていることを確認した。
【0121】本実施例の磁気ディスクのCSS試験結
果、ヘッド13の浮上特性測定結果及びヘッドの浮上面
の汚れ観察結果とも、実施例1の試料(4)の磁気ディ
スクと同様に優れており、長期にわたる摺動信頼性とヘ
ッドの浮上安定性を確保することができた。
【0122】〈比較例1〉実施例1と同様に外径5.2
5 インチのアルミニウム合金円板1の表面に、無電解
めっき法によりNiP下地膜2を15μm厚さに形成
し、下地膜2を10μmまで研磨して、触針式表面粗さ
計で測定した平均粗さ(Ra)2nm以下,最大粗さ
(Rmax)5nm以下になるように鏡面加工した。この基
板上に、スパッタ法によりCr中間膜3を100nm,
CoNi磁性膜4を50nm,C保護膜5を40nm形
成した。本比較例では円板を回転させながら、C保護膜
5の表面に研磨砥粒を含ませたバフを押しつけて約10
nm研磨加工し、円周方向に沿った溝を形成した。こう
して得られたC保護膜5の表面は、触針式表面粗さ計で
測定して平均粗さ(Ra)5nm,最大粗さ(Rmax )
30nmであった。C保護膜5の表面に潤滑膜6を形成
して磁気ディスク9を作製した。
【0123】本比較例で作製した磁気ディスク9に対す
るヘッド13の最低浮上保証高さは0.09μmであ
り、ヘッド13の浮上安定性に乏しく、浮上量0.1μ
m以下の磁気ディスク装置への適用は不可能であった。
本比較例で作製した磁気ディスク9を、図6に示した装
置によりCSS試験を行った結果、三万回のCSS動作
後にディスク面に傷が発生し、摺動信頼性が不十分であ
った。また同様に作製した別の磁気ディスク9につい
て、CSS動作二万回後のヘッド13の最低浮上保証高
さを測定したところ、0.14μm とさらに悪化してい
た。ヘッド13の浮上面を観察した結果、試験前に見ら
れなかった汚れが浮上面に付着しており、これによって
浮上特性がさらに悪化していることがわかった。この結
果から本比較例の磁気ディスク9では、長期にわたる摺
動信頼性及びヘッドの浮上安定性を確保することができ
なかった。
【0124】〈比較例2〉実施例1と同様に外径5.2
5 インチのアルミニウム合金円板1の表面に、無電解
めっき法によりNiP下地膜2を15μm厚さに形成
し、下地膜2を10μmまで研磨して、触針式表面粗さ
計で測定した平均粗さ(Ra)2nm以下,最大粗さ
(Rmax)5nm以下になるように鏡面加工した。こ
の基板上に、スパッタ法によりCr中間膜3を100n
m,CoNi磁性膜4を50nm,C保護膜5を60n
m形成した。本比較例ではC保護膜5の表面に粒子を付
着させず、実施例1に比べて逆スパッタ時のパワーを2
倍とした条件でC保護膜5を30nmエッチングした
後、潤滑膜6を形成して磁気ディスク9を作製した。エ
ッチング後のC保護膜5の表面には微小な突起が多数形
成された。突起の大きさは約0.05μmであり、平均
高さは10nm、突起間の平均間隔は約0.4μm、単
位面積当りの突起の数は約2.5×107個/mm2 、突起
の総面積比は約5%であった。
【0125】本比較例で作製した磁気ディスク9に対す
る、ヘッド13の最低浮上保証高さは0.06μmであ
り、浮上量0.1μmの磁気ディスク装置への適用は可
能であった。本比較例で作製した磁気ディスク9を、図
6に示した装置によりCSS試験を行った結果、二万五
千回のCSS動作後にディスク面に傷が発生し、摺動信
頼性が不十分であった。また同様に作製した別の磁気デ
ィスク9について、CSS動作二万回後のヘッド13の最
低浮上保証高さを測定したところ、0.12μmと悪化
していた。ヘッド13の浮上面を観察した結果、試験前
に見られなかった汚れが浮上面に付着しており、これに
よって浮上特性が悪化していることがわかった。この結
果から本比較例の極めて微小かつ密な突起を形成した磁
気ディスク9では、長期にわたる摺動信頼性及びヘッド
の浮上安定性を確保することができなかった。
【0126】
【発明の効果】本発明によれば、磁気ディスクの保護膜
表面にヘッドの浮上面に付着する汚れを効果的に除去し
うるような多数の丘を形成することにより、ヘッドの浮
上量が小さい場合でも、長期にわたる摺動信頼性及びヘ
ッドの浮上安定性を確保できる高信頼性,高記録密度磁
気ディスク装置及びそれに用いられる磁気ディスクを得
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例による磁気ディスクの断面
図。
【図2】本発明の一実施例による磁気ディスクの表面に
形成された丘の典型的な配置を示す説明図。
【図3】本発明の一実施例による磁気ディスクの保護膜
表面への丘の形成方法の工程図。
【図4】本発明の一実施例による磁気ディスクの保護膜
表面に粒子を付着させる方法の説明図。
【図5】本発明の一実施例による磁気ディスクの保護膜
表面に粒子を付着させる方法の説明図。
【図6】本発明の一実施例による磁気ディスク装置の説
明図。
【図7】本発明の磁気ディスクの表面に形成された丘に
よる、ヘッド浮上面に付着した汚れの除去作用を示す説
明図。
【図8】本発明の一実施例による磁気ディスクの、CS
S試験前後での最低浮上保証高さの特性図。
【図9】本発明の一実施例による磁気ディスクの、CS
S試験前後での最低浮上保証高さの特性図。
【図10】本発明の一実施例による磁気ディスクの、C
SS試験前後での最低浮上保証高さの特性図。
【図11】本発明の一実施例による磁気ディスクの、C
SS試験前後での最低浮上保証高さの特性図。
【符号の説明】
1…アルミニウム合金円板、2…下地膜、3…中間膜、
4…磁性膜、5…保護膜、6…潤滑膜、7…保護膜表面
に形成された丘。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 猪股 洋一 神奈川県小田原市国府津2880番地 株式会 社日立製作所小田原工場内 (72)発明者 森口 善弘 神奈川県小田原市国府津2880番地 株式会 社日立製作所小田原工場内

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】基板上に磁性膜と保護膜とを有する磁気デ
    ィスクにおいて、前記保護膜の表面に、下記(イ)〜
    (ハ)を具備する丘が形成されている領域を有すること
    を特徴とする磁気ディスク。 (イ)前記丘の高さがほぼ均一であり、5〜40nmの
    範囲にあること。 (ロ)前記丘の大きさは、相当直径の平均値が0.5 〜
    20μmの範囲にあり、かつ前記相当直径の標準偏差
    が、前記相当直径の平均値に対して30%以内の範囲に
    あること。 (ハ)前記領域における単位面積当りの前記丘の合計面
    積の比率が0.5 〜50%であること。
  2. 【請求項2】基板上に磁性膜と保護膜とを有する磁気デ
    ィスクにおいて、前記保護膜が膜厚の異なる部分を有
    し、前記保護膜の厚い部分と前記保護膜の薄い部分との
    膜厚差が5〜40nmであって、前記保護膜の厚い部分
    が、下記(イ)及び(ロ)を満たし、前記保護膜の薄い
    部分の中に分散して存在することを特徴とする磁気ディ
    スク。 (イ)前記保護膜の厚い部分の大きさは、相当直径の平
    均値が0.5 〜20μmの範囲にあり、前記相当直径の
    標準偏差が、前記相当直径の平均値に対して30%以内
    の範囲にあること。 (ロ)単位面積当りの前記保護膜の厚い部分の合計面積
    の比率0.5 〜50%であること。
  3. 【請求項3】基板上に磁性膜と保護膜とを有する磁気デ
    ィスクにおいて、前記保護膜の表面に、下記(イ)〜
    (ハ)を具備する丘を有することを特徴とする磁気ディ
    スク。 (イ)前記丘の高さがほぼ均一であり、5〜40nmの
    範囲にあること。 (ロ)前記丘の大きさは、相当直径の平均値が0.5 〜
    20μmの範囲にあり、かつ前記相当直径の標準偏差
    が、前記相当直径の平均値に対して30%以内の範囲に
    あること。 (ハ)前記丘と隣接する丘との間隔の平均値が1〜60
    μmであること。
  4. 【請求項4】請求項1,2または3において、前記丘を
    有する保護膜の表面に、前記丘の高さより薄い膜厚の潤
    滑膜を有する磁気ディスク。
  5. 【請求項5】請求項1,2または3において、前記保護
    膜と前記保護膜の表面に形成された丘とが同一材料から
    なる磁気ディスク。
  6. 【請求項6】請求項1,2または3に記載の磁気ディス
    クを使用した磁気ディスク装置。
  7. 【請求項7】基板上に磁性膜を形成する工程と、前記磁
    性膜上に保護膜となる材料を形成する工程と、前記材料
    の表面にほぼ均一な大きさの粒子を分散付着させる工程
    と、前記粒子をマスクとして前記材料を前記磁性膜が露
    出しないようにエッチングし、ほぼ均一な高さの丘を形
    成する工程と、前記粒子を除去し、表面にほぼ均一な高
    さ及び大きさで間隔に分布のある丘を有する保護膜を形
    成する工程とを有することを特徴とする磁気ディスクの
    製造方法。
  8. 【請求項8】請求項7において、前記粒子が有機高分子
    材料よりなる磁気ディスクの製造方法。
  9. 【請求項9】磁気ディスク上で、磁気ヘッドを浮上させ
    て情報の記録再生を行う磁気ディスク装置において、記
    録再生時における前記磁気ディスクと前記磁気ヘッドと
    の間隔が0.01〜0.15μmであって、前記磁気ディ
    スクが、高さが5〜40nmの範囲にあってほぼ均一で
    あり、相当直径が0.5 〜20μmの範囲にあってほぼ
    均一であり、単位面積当りの合計面積の比率が0.5 〜
    50%である丘を有することを特徴とする磁気ディスク
    装置。
  10. 【請求項10】磁気ディスク上で、磁気ヘッドを浮上さ
    せて情報の記録再生を行う磁気ディスク装置において、
    記録再生時における前記磁気ディスクと前記磁気ヘッド
    との間隔が0.01〜0.15μmであって、前記磁気デ
    ィスクが、高さが5〜40nmの範囲にあってほぼ均一
    であり、相当直径が0.5 〜20μmの範囲にあってほ
    ぼ均一であり、平均間隔が1〜60μmの範囲である丘
    を有することを特徴とする磁気ディスク装置。
JP2915692A 1992-02-17 1992-02-17 磁気ディスクとその製造方法及びその磁気ディスク装置 Pending JPH05225558A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010203974A (ja) * 2009-03-04 2010-09-16 Showa Denko Kk 耐久性評価方法

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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