JP3203691B2 - 磁気ディスクの製造方法 - Google Patents

磁気ディスクの製造方法

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JP3203691B2 JP16262891A JP16262891A JP3203691B2 JP 3203691 B2 JP3203691 B2 JP 3203691B2 JP 16262891 A JP16262891 A JP 16262891A JP 16262891 A JP16262891 A JP 16262891A JP 3203691 B2 JP3203691 B2 JP 3203691B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は磁気ディスク及びその製
造方法並びに磁気ディスクを用いた磁気ディスク装置に
係り、特に、高記録密度の磁気ディスク及び大容量の磁
気ディスク装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、コンピュータシステムの外部記憶
装置としての磁気ディスク装置の重要度は益々高まり、
その記録密度は年々顕しい向上が図られている。このよ
うな高記録密度化に対応する磁気ディスクとして、従来
の磁性粉とバインダとを混練した磁性塗料を基板上に塗
布した塗布型媒体に代り、磁性薄膜を用いた薄膜磁気デ
ィスクが注目されている。
【0003】このような磁気ディスクは、磁気ディスク
装置に搭載される磁気ヘッドとの間に摩擦力や吸着力を
生じる。これらを低減するために、保護膜表面に微小凹
凸を形成することが従来より提案されている。
【0004】特開昭55−84045 号公報には、表面粗さ2
0−50nmの保護膜を形成した磁気ディスクが示され
ている。
【0005】特開昭56−22221 号公報には、保護膜をス
パッタ法で形成する際、メッシュ状の遮蔽板を介するこ
とにより凹凸を持った保護膜を形成する方法が示されて
いる。
【0006】特開昭57−20925 号公報には、保護膜の表
面に微小突起を形成した磁気ディスクが示されている。
【0007】特開昭58−53026 号公報には、保護膜を形
成した磁気ディスクの表面に、気体イオンを照射して保
護膜の表面に凹凸を形成する方法が示されている。
【0008】特開昭62−22241 号公報は、保護膜を形成
した磁気ディスクの表面に、研磨,ウェットエッチ又は
ドライエッチにより保護膜の膜厚を超えない範囲の凹凸
を形成する方法が示されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】上記従来技術は、いず
れも磁気ディスクと磁気ヘッドとの間に生じる摩擦力や
吸着力の低減を目的としており、磁気ヘッドの浮上量が
小さい高記録密度を達成する磁気ディスク装置につい
て、長期に渡るヘッドの摺動信頼性及び磁気ヘッドの浮
上安定性については配慮がなされていない。
【0010】本発明の目的は、磁気ヘッドの浮上量が小
さい高記録密度を達成した磁気ディスク装置を提供する
ことであって、長期に渡るヘッドの摺動信頼性及び磁気
ヘッドの浮上安定性を持続できる磁気ディスク装置を提
供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明の磁気ディスク装
置に用いられる磁気ディスクは、基板上に磁性膜と保護
膜とを有し、該保護膜の表面に下記(イ)〜(ハ)を具
備する丘を有することを特徴とする。
【0012】(イ)前記丘の高さがほぼ均一であり、5
〜40nmの範囲にあること。
【0013】(ロ)前記丘の大きさに分布があり、相当
直径が0.1 〜30μmの丘が、全体の80%以上存在
すること。
【0014】(ハ)前記丘が単位面積当り50〜2.5
×105個/mm2 存在すること。
【0015】また、本発明の磁気ディスクは、基板上に
磁性膜と保護膜とを有し、該保護膜が膜厚の異なる部分
を有し、該保護膜の厚い部分と該保護膜の薄い部分との
膜厚差が5〜40nmであって、前記保護膜の厚い部分
が、下記(イ)及び(ロ)を満たし、前記保護膜の薄い
部分の中に分散して存在することを特徴とする。
【0016】(イ)前記保護膜の厚い部分の相当直径が
0.1 〜30μmであって、この相当直径を有するもの
が全体の80%以上存在すること。
【0017】(ロ)前記保護膜の厚い部分が単位面積当
り50〜5×105個/mm2存在すること。
【0018】また、本発明の磁気ディスクは、基板上に
磁性膜と保護膜とを有し、該保護膜の表面に下記(イ)
〜(ハ)を具備する丘を有することを特徴とする。
【0019】(イ)前記丘の高さがほぼ均一であり、5
〜40nmの範囲にあること。
【0020】(ロ)前記丘の大きさに分布があり、相当
直径が0.1 〜30μmの丘が、全体の80%以上存在
すること。
【0021】(ハ)前記領域における前記丘の合計面積
の比率が0.5 〜60%であること。また、本発明の磁
気ディスクは、基板上に磁性膜と保護膜とを有し、該保
護膜の表面に下記(イ)〜(ハ)を具備する丘を有する
ことを特徴とする。
【0022】(イ)前記丘の高さがほぼ均一であり、5
〜40nmの範囲にあること。
【0023】(ロ)前記丘の大きさに分布があり、相当
直径が0.1 〜30μmの丘が、全体の80%以上存在
すること。
【0024】(ハ)前記丘と隣接する丘との間の間隔が
実質的に1〜80μmであること。
【0025】磁気ディスクは、磁性薄膜を用いた薄膜磁
気ディスク(以下、単に「磁気ディスク」と称する。)
であることが好ましい。一般的に磁気ディスクは、次の
ように構成される。アルミニウム合金円板と、その上に
形成された硬質な下地膜よりなる基板上に、磁性膜が形
成される。アルミニウム合金の代りにガラス等硬度の高
い材料を用いた場合には下地膜が省略させることもあ
る。基板と磁性膜との間には、密着性向上や磁性膜の特
性向上を目的として、中間膜が形成される場合もある。
磁性膜上には保護膜が形成され、必要に応じて保護膜上
に潤滑膜が形成される。
【0026】また、本発明の磁気ディスクは、少なくと
も一枚以上の磁気ディスク、該磁気ディスクに対向し、
情報の記録再生を行う磁気ヘッド(以下、単に「ヘッ
ド」と称する。)、磁気ディスクを回転させるための回
転手段、ヘッドを前記磁気ディスク上の任意の位置に移
動し位相決めするためのヘッドの位置決め手段及び記録
再生信号の処理回路等を主構成要素としている。
【0027】これを用いた記録再生方法は、操作開始前
にはヘッドと磁気ディスクとが接触状態であり、磁気デ
ィスクを回転させることによりヘッドと磁気ディスクと
の間に微少空間を作り、この状態で記録再生を行なう。
操作終了時には磁気ディスクの回転が止まり、ヘッドと
磁気ディスクとは再び接触状態となる。本発明の磁気デ
ィスク装置は、このようなコンタクト・スタート・スト
ップ方式(以下「CSS方式」と称する。)を用いる。
【0028】本発明は、磁気ディスクの保護膜表面に、
前記の要件を具備した多数の丘を形成することで、長期
に渡るヘッドの摺動信頼性及びヘッド浮上安定性を持続
できるという事実の究明に基づいている。
【0029】発明者らは、従来の磁気ディスク装置にお
いて、長期に渡る摺動信頼性及びヘッドの浮上安定性を
損なう要因について種々検討した結果、長期の動作によ
ってヘッドの浮上面(レール面又はスライダ面とも呼ば
れる。)に汚れ、いわゆるゴミが堆積し、これが摺動信
頼性を大きく損なう原因となることを見出した。すなわ
ちヘッドの浮上面に付着した汚れにより、ヘッド浮上時
の安定性が低下し、また付着した汚れがヘッドと磁気デ
ィスクとの間に介在することで両者に損傷を与えやす
く、磁気ディスク装置の摺動信頼性を損なう原因とな
る。
【0030】ヘッドの浮上面への汚れの堆積は、ヘッド
の浮上量を小さくするほど、特に、0.15μm 以下と
した時に顕著になることがわかった。
【0031】発明者らは、磁気ディスク表面に凹凸を形
成することにより、浮上面の汚れを除去しうるのではな
いかと考え、磁気ディスクの表面形状と浮上面の汚れの
付着とを詳細に検討した。その結果、磁気ディスクの保
護膜表面に凹凸を形成する際に特定の形状とすることに
より、浮上面に付着する汚れが効果的に除去することが
できることを見出すに到った。この表面の凹凸による浮
上面の汚れの除去は、凸部によって浮上面に付着した汚
れがかき落されて、かき落された汚れが凸部の周囲に排
除されることによりなされる。装置の起動停止時に磁気
ディスクとヘッドとが直接接して摺動する場合や、定常
浮上時においてもシーク動作や外乱等により一時的に浮
上量が低下した場合に特に効果的に作用する。本発明に
おいては、磁気ディスクの保護膜表面に形成した前記多
数の丘によって、浮上面に付着する汚れを効果的に除去
できるため、長期に渡るヘッドの摺動信頼性及びヘッド
の浮上安定性を持続できる。
【0032】ここで形成される丘の高さは5〜40nm
であって、磁気ディスクの丘形成領域内でほぼ一定であ
ることが好ましい。丘の高さがほぼ一定であることは、
初期のヘッドの浮上安定性を確保するために重要であ
り、また、上記した浮上面の汚れを効果的に除去するた
めには特に重要である。これは汚れの除去には浮上面の
下に存在する最も高い丘のみが主に作用するためであ
り、丘の高さをほぼ均一とすることにより、より多くの
丘を汚れの除去に寄与させることができるためである。
丘の高さが小さすぎると、浮上面の汚れをかき落ち効果
が小さくなるとともに、かき落された汚れが排除される
べき丘の間の凹部の容積が小さくなるため望ましくな
い。また、本発明はヘッドの浮上量の小さい高記録密度
磁気ディスク装置を対象としているため、丘の高さが大
きすぎると保護膜全体の膜厚が増大し、記録/再生時の
ヘッドと磁気ディスクの磁性膜すなわち磁性層との間隔
が大きくなるため望ましくない。浮上面の汚れの除去を
さらに効果的にするためには、丘の高さは10〜40n
mの範囲がより望ましい。さらに、ヘッドと磁性膜との
間隔をより小さくするためには、丘の高さは10〜30
nmの範囲がさらに望ましい。
【0033】上記の丘を保護膜表面に形成する場合、保
護膜の膜厚の小さい部分と大きい部分とを有し、膜厚の
大きい部分が膜厚の小さい部分の中に分散して配置され
ることによって上記の丘が形成されていても良い。ここ
で膜厚の小さい部分及び膜厚の大きい部分は各々ほぼ均
一な膜厚を有し、膜厚の大きい部分と膜厚の小さい部分
との膜厚差が5〜40nmの範囲とすることが望まし
い。これにより上記した範囲の均一な高さの丘を形成す
ることができる。
【0034】ただし、本発明でいう磁気ディスク表面の
丘とは、上記のように保護膜に任意の膜厚差を持って保
護膜表面に存在しているもののみをいい、保護膜より下
層に存在する磁性膜,中間膜等の形成時に発生する結晶
粒界等の微細構造や、下地膜,基板表面の加工時に発生
する微細痕等に起因して磁気ディスク表面に生ずる微細
凹凸は本発明の丘には含めない。
【0035】形成される多数の丘は大きさの分布を有
し、一定間隔で存在してないことが好ましい。この丘の
大きさは、0.1 〜30μmのものが全数の80%以上
存在することが望ましく、30μm以上のものが存在し
ないことがより望ましい。ヘッドの浮上面に付着する汚
れは、様々な形態及び大きさを有するため、丘の大きさ
も分布を持つた方が様々な汚れを効果的に除去できる。
ただし、丘の大きさが大きすぎると、浮上面からかき落
された汚れが丘の周囲に排除されにくく、かき落された
汚れが再度磁気ディスクと浮上面との間にかみ込まれる
恐れがあるため望ましくない。丘の大きさが小さすぎる
と、浮上面の汚れは単に左右にかき寄せられるだけで、
浮上面から除去されにくくなり、また、丘自身の強度も
低下し、ヘッドとの接触時や汚れのかき落し時に丘が損
傷を受けやすくなる。
【0036】以上のように浮上面の汚れを効果的に除去
するためには、丘の大きさは上記の範囲で分布を有する
ことが望ましい。
【0037】浮上面の汚れの除去をさらに効果的にし、
かつ丘の強度をさらに十分とするためには、丘の大きさ
は0.2 〜20μmの丘が全数の80%以上存在するこ
とがより望ましく、さらに望ましくは0.5 〜15μm
の丘の全数の80%以上存在することが望ましい。ここ
で丘の大きさとは、例えば真上から見て丘がほぼ円形の
場合にはその直径を示し、円形以外の場合には注目する
丘と同面積を有する仮想円の直径(相当直径)を示す。
例えば、幅2μm長さ20μmの長方形の丘があった場
合、その相当直径は約7.1μm となる。
【0038】形成される丘は、全部が上記の範囲内にあ
ることがより望ましいが、全体のほぼ80%以上が上記
の範囲内であれば、実質的にヘッド浮上面の汚れを効果
的に除去しうる。
【0039】ここで形成される多数の丘は、単位面積当
りの個数いわゆる密度が50〜5×105個/mm2になる
ように、配置されていることが望ましい。
【0040】また、単位面積に対する、該面積内の丘の
総面積の比率が0.5 〜60%になるように形成するこ
とが望ましい。丘の数又は総面積比率が小さすぎると、
ヘッドの位置によっては浮上面の中で丘と対向しない部
分が生じ、浮上面に付着した汚れを効果的に除去できな
くなる。一方、丘の数及び総面積比率が大きすぎると、
かき落された汚れが丘の周囲の凹みに排除されにくくな
り、かき落された汚れが再度磁気ディスクと浮上面との
間にかみ込まれる恐れがあるため望ましくない。
【0041】浮上面の汚れの除去をより効果的とするた
めには、単位面積当たりの丘の個数が、100〜1×1
5個/mm2になるように配置されていることがより望ま
しく、さらに望ましくは200〜5×104個/mm2にな
るように配置されていることが望ましい。
【0042】また、浮上面の汚れの除去をより効果的と
するためには、単位面積に対する、該面積内の丘の総面
積の比率が1〜50%になるように形成することがより
望ましく、さらに望ましくは2〜40%が望ましい。
【0043】ここで形成される多数の丘は、隣接する丘
の対の間に間隔つまり任意の一つの丘と該丘の最近接の
丘との間隔が分布を有するように、いわゆるランダムに
分散しており、多数の丘についての上記間隔の平均値が
1〜80μmになるように配置されていることが望まし
い。汚れの付着は浮上面のいずれの場所でも起こりうる
ため、それらを効果的に除去するためには、丘の間隔が
分布を持つように丘がランダムに分散されていることが
望ましい。これにより浮上面のどこに汚れが付着した場
合でも、多数の丘が平均的に作用して、汚れが除去され
やすい。ここで、丘の平均間隔が狭すぎると、浮上面か
ら除去された汚れが丘の周囲の凹みに排除されにくくな
り、除去された汚れが再度磁気ディスクと浮上面との間
にかみ込まれる恐れがあるため望ましくない。一方、丘
の平均間隔が広すぎると、ヘッドの位置によっては浮上
面の中で丘と対向しない部分が生じやすく、浮上面に付
着した汚れを効果的に除去できなくなり、丘の間の保護
膜厚の小さい部分がヘッドと接する可能性があり、摺動
耐久性が損なわれやすい。
【0044】浮上面の汚れの除去をより効果的にし、か
つ摺動耐久性をさらに十分とするためには、上記丘間隔
の平均値が2〜60μmであることがより望ましく、さ
らに望ましくは、上記丘間隔の平均値が5〜50μmが
よい。ここで、丘の間隔とは隣接する二つの丘の外周部
分同志間での最少間隔を示し、中心間距離を意味するも
のではない。
【0045】本発明によれば、上記の範囲の丘を磁気デ
ィスクの保護膜表面に形成することにより、ヘッドの浮
上面に付着する汚れを効果的に除去できるため、ヘッド
の浮上量の小さい磁気ディスク装置においても、長期に
渡るヘッドの摺動耐久性及びヘッドの浮上安定性を確保
することができる。
【0046】また、本発明によれば、磁気ディスクの保
護膜表面に浮上面の汚れを除去するための多数の丘を形
成するため、磁性層は平坦に形成することができる。こ
れにより記録再生時に、磁性膜の凹凸に起因する再生出
力の変動を防止でき、優れた記録再生特性を有する磁気
ディスクを得ることができる。
【0047】これらの丘は、実質的に、ヘッドが磁気デ
ィスク上を動作する領域に形成されていれば良い。
【0048】また、多数の丘を形成した保護膜の表面に
潤滑膜を形成する場合には、該丘の高さを越えない範囲
の膜厚つまり、丘の高さより薄い膜厚で潤滑膜を形成す
ることが好ましい。これは、潤滑膜により丘の周囲の凹
部が埋没して汚れ除去作用が失われるのを防ぐためであ
る。
【0049】更に、保護膜及び保護膜の表面に形成され
た丘は、同一の材料よりなることが好ましい。異種の材
料で丘を形成した場合、丘のはく離等が生じやすく、強
度が不充分となりやすいためである。
【0050】また、本発明の磁気ディスクの製造方法は
以下の特徴を有する。
【0051】基板上に磁性膜を形成する工程と、該磁性
膜上に保護膜となる材料を形成する工程と、該材料の少
なくとも一部の表面の大きさに分布を有する多数の粒子
を分散付着させる工程と、該粒子をマスクとして前記材
料を前記磁性膜が露出しないように、つまり、最初に保
護膜となる材料を形成した膜厚よりも薄く、その膜厚を
超えない範囲でエッチングし、ほぼ均一な高さの多数の
丘を形成する工程と、前記粒子を除去し、表面に凹凸を
有する保護膜を形成する工程と、を有する。
【0052】ここで前記粒子は固体粒子であることが望
ましく、特に、フッ素樹脂又は少なくともフッ素と炭素
とを含有する材料よりなることが好ましい。これらの材
料は、エッチング時の耐久性にすぐれるためである。ま
た、固体粒子はフッ素樹脂の一種であるポリテトラフル
オロエチレン(PTFE)又はその誘導体よりなる材料
であることが望ましい。これはPTFEが耐エッチング
性が特に良好のためである。
【0053】また保護膜及び保護膜の表面に形成された
丘の材料は、炭素を主成分とする材料よりなることが好
ましい。摺動耐久性が特に優れているためである。
【0054】また、表面に形成される凹凸には、大きさ
及び間隔に分布を有し、かつほぼ均一な高さに形成する
ことが好ましい。
【0055】前記エッチング方法としては、磁気ディス
ク面に対してほぼ垂直方向の方向性を有する、いわゆる
異方性エッチングを用いることが好ましい。こうするこ
とによって、付着粒子の大きさとほぼ同じ大きさの丘を
再現性よく形成することができるためである。
【0056】前記保護膜表面に多数の固体粒子を分散付
着させる方法としては、多数の固体粒子を液体中に分散
させた懸濁液を保護膜表面にスピン塗布した後、該液体
を蒸発させることにより付着させることが好ましい。ま
た、多数の固体粒子を液体中に分散させた懸濁液中に、
磁性膜と保護膜となる材料を形成した磁気ディスクの半
完成品を浸漬した後に引き上げ、該液体を蒸発させるこ
とにより、保護膜表面に多数の固体粒子を分散付着させ
てもよい。
【0057】また、多数固体粒子を液体中に分散させた
懸濁液を、前記保護膜表面にスプレー噴霧し、該液体を
蒸発させることにより、保護膜表面に多数の前記固体粒
子を分散付着させてもよい。
【0058】また、更には、多数の固体粒子を気体によ
り搬送し、前記保護膜表面に多数の前記固体粒子を直接
分散付着させてもよい。これらの方法は、その装置及び
操作が単純,容易であり生産性に優れるためである。
【0059】本発明の製造方法によれば、ほぼ一定膜厚
で形成した保護膜の表面に、塗布あるいは浸漬等の極め
て簡便な方法で固体粒子を付着させることができ、これ
をマスクとして保護膜をエッチングすることにより、付
着させた粒子の大きさ及び配置に従い、かつ均一な高さ
の多数の丘を保護膜表面に形成することができる。
【0060】また、本発明の磁気ディスク装置は、磁気
ディスク上で、磁気ヘッドを浮上させて情報の記録再生
を行い、記録再生時における前記磁気ディスクと前記磁
気ヘッドとの間隔が0.01〜0.15μmであって、前
記磁気ディスクが、高さが5〜40nmでほぼ均一であ
り、前記磁気ヘッドの浮上面の面積に対して100〜5
×105 個の丘を有することを特徴とする。
【0061】本発明で述べたヘッド浮上面の汚れは、間
隔が0.15μm以下の時、特に顕著となる。また本発
明が意図する記録密度を達成するためには、0.15μ
m 以下が必須である。しかし、0.01μm 以下で
は、実質的にヘッドを浮上させることが困難である。浮
上面の面積中に上記個数の丘があることは、ヘッドの浮
上面の汚れ除去を効果的に行なうため、さらには、上記
範囲の浮上量でヘッドを安定に浮上させるために必要で
ある。
【0062】また、本発明の磁気ディスク装置は、磁気
ディスク上で磁気ヘッドを浮上させて情報の記録再生を
行い、記録再生時における前記磁気ディスクと前記磁気
ヘッドとの間隔が0.01〜0.15μmであって、前記
磁気ディスクが、高さが5〜40nmでほぼ均一であ
り、単位面積当り50〜2.5×105個/mm2 の丘を有
することを特徴とする。
【0063】また、本発明の磁気ディスク装置は、磁気
ディスク上で磁気ヘッドを浮上させて情報の記録再生を
行い、前記磁気ディスクが、高さが5〜40nmでほぼ
均一であり、相当直径が0.1 〜30μmであり、単位
面積当り50〜2.5×105個/mm2 の丘を有し、記録
密度が一平方インチ当たり100〜5000Mビットで
あることを特徴とする。
【0064】記録密度が、100Mbit/inch2以下の磁
気ディスク装置では、上記浮上量以上でも達成可能であ
るためヘッド浮上量の汚れは、あまり問題とならない。
一方、磁気ディスクに丘を形成した保護膜では、ヘッド
と磁性膜との距離が最低でも、前記浮上量と保護膜の最
大膜厚との和となるため記録密度が5000Mbit/inc
h2 以上は困難となると考える。
【0065】また、本発明の磁気ディスク装置は、磁気
ディスク上で磁気ヘッドを浮上させて情報の記録再生を
行い、前記磁気ディスク表面に前記磁気ヘッドに付着し
た汚れを除去する丘を有することを特徴とする。
【0066】更に、本発明の磁気ディスク装置は、保護
膜を有する磁気ディスクと、該磁気ディスクを回転させ
る回転手段と、回転中に前記磁気ディスクと対向する磁
気ヘッドと、該磁気ヘッドを前記磁気ディスク上の所望
の位置に移動させ、前記磁気ヘッドの位置決めをする位
置決め手段とを有し、前記磁気ディスクに凸部を有し、
該凸部は5〜40nmのほぼ均一な高さを有し、前記凸
は相当直径0.1 〜30μmのものを全体の80%以上
有し、大きさに分布があることを特徴とする。
【0067】本発明の磁気ディスク装置は、記録再生時
のヘッドの浮上量が今後ますます小さくなり、記録密度
が向上する装置の要求を満足することができる。また、
その際のヘッドの浮上安定性を確保し、磁気ディスクの
表面に凹凸を有していても平坦である磁気ディスクとほ
ぼ同様の効果を有する。
【0068】更に、本発明の磁気ディスクは、ヘッドに
摺動面を有するようなヘッドと磁気ディスクとが接触し
て動作するような接触型磁気ディスク装置に使用しても
良い。
【0069】
【作用】以上のように本発明によれば、磁気ディスクの
保護膜表面に上記した特徴を有する多数の丘を形成する
ことにより、以下の作用を有する磁気ディスク及び磁気
ディスク装置を得ることができる。
【0070】本発明によれば、第一に形成される丘の高
さをほぼ一定とすることにより、例えば0.15μm 以
下といった小さい浮上量においても、ヘッドの浮上安定
性を確保できる。第二に、長期の動作によって磁気ヘッ
ドの浮上面に付着する汚れを、磁気ディスクの丘によっ
て効果的に除去できるため、長期に渡るヘッドの摺動耐
久性及びヘッドの浮上安定性を得ることができる。第三
に保護膜表面に凹凸を形成するため、磁性膜の凹凸に起
因する再生出力の変動を防止でき、優れた記録再生特性
を得ることができる。
【0071】また、本発明によれば、粒子を磁気ディス
クの保護膜表面に分散付着させ、これをマスクとして保
護膜にその膜厚を超えない範囲でエッチングを行ったの
ち粒子を除去することにより、磁気ディスクの保護膜表
面に粒子の付着状態に従った均一な高さの微小な丘を精
度良く形成することができる。これにより上記した作用
を有する磁気ディスクを、経済的にかつ再現性よく製造
することができる。
【0072】以上のように本発明によれば、磁気ヘッド
の浮上量が小さい磁気ディスク装置において、長期に渡
るヘッドの摺動耐久性及びヘッドの浮上安定性を確保で
き、記録再生特性に優れた磁気ディスク及び高記録密度
を達成した磁気ディスク装置を提供することができる。
【0073】
【実施例】本発明による磁気ディスクの基板は、アルミ
ニウム合金円板上にNiP,アルマイト等の硬質下地膜
を形成したもの、又は、ガラス,セラミックス或いは硬
質プラスチックの円板等そのもの、又は該円板の表面に
下地膜を形成したもの、等であってよい。基板の上には
磁性膜(層)が形成されるが、両者の間には密着性向上
や磁性膜の特性向上を目的として中間膜が形成されても
よい。磁性膜は、飽和磁束密度及び保磁力の高い材料か
ら成ることが好ましく、かかる材料の好ましい例として
はCoNi合金,CoCr合金、及びこれらにZr,T
a,Pt等少なくとも一種以上の他の金属元素を添加し
たものである。中間膜の材料としては磁性膜の結晶配向
性を促進しうるものが望ましく、例えば磁性膜が上記し
たCo系合金の場合には、CrおよびCrに少なくとも
一種以上の他の元素を添加したものが特に好ましい。磁
性膜の表面には保護膜が形成され、その表面には上記し
た方法により多数の丘が形成される。保護膜には、スパ
ッタ法やCVD法で形成したC膜,SiO2 ,金属炭化
物,金属窒化物,金属酸化物等が用いられる。生産性と
摺動耐久性の観点からはC膜が特に望ましい。保護膜の
表面には必要に応じて潤滑膜が形成されて磁気ディスク
が完成される。潤滑膜としてはフッ素系の潤滑剤が望ま
しく、パーフルオロポリエーテル系の潤滑剤が特に好ま
しい。潤滑剤の膜厚は保護膜表面に形成される丘の高さ
より小さいことが望ましい。潤滑膜の膜厚が丘の高さよ
り大きくなると、上記した丘による浮上面の汚れ除去の
効果が現われにくくなる。
【0074】本発明の磁気ディスクにおいては、保護膜
の表面に、ヘッドの浮上面に付着する汚れを除去するた
めの多数の丘が形成されているため、基板表面は実質的
に平坦で良い。これにより、基板上に形成される磁性膜
も平坦となるため、記録再生時に磁性膜の凹凸による再
生出力の変動を防止することがてき、優れた記録再生特
性を有する磁気ディスクを得ることができる。ただし、
必要に応じて基板表面に、磁性膜の配向性を制御するこ
とを目的として、保護膜表面の丘の高さよりも小さい範
囲で極微小な凹凸、例えば円周方向の微小な溝等、を形
成した磁気ディスクも本発明に含まれる。
【0075】次に、本発明の具体的な磁気ディスクの製
造方法を述べる。発明者らは上記の丘を保護膜の表面に
形成するための、実用に供しうる経済的な磁気ディスク
の製造方法については種々検討した結果、磁気ディスク
の保護膜表面に多数の固体粒子を分散付着させ、該固体
粒子をマスクとして、前記保護膜にその膜厚を超えない
範囲の深さにエッチングを行い、しかるのち前記固体粒
子を除去することにより、該磁気ディスクの保護膜表面
に多数の微小な丘を形成する方法により所望の磁気ディ
スクが得られることを見出した。
【0076】本発明による磁気ディスクの製造方法の一
例を図3に示す。ここで用いられるエッチング方法はイ
オンビームエッチングや逆スパッタ,プラズマエッチン
グ等のドライエッチングや、エッチング液を用いた湿式
エッチング等の中から保護膜5の材料によって選択する
ことができる。エッチング方法としては、形成される丘
の高さをほぼ一定とするため、固体粒子8が付着してい
ない部分での保護膜のエッチング速度が、磁気ディスク
の面域内でほぼ一定となるような均一なエッチング法を
選択することが望ましい。これにより磁気ディスクの保
護膜5の表面に前記した所望の数値範囲内でほぼ一定の
高さを有する多数の丘7を精度良く形成することができ
る。
【0077】本発明では、図3に示すように、保護膜5
上に付着した固体粒子8をマスク剤としてエッチングす
ることによって丘7を形成するため、用いるエッチング
方法が方向性をもつかどうかは重要である。例えばプラ
ズマエッチングや湿式エッチングのように、固体粒子の
裏側にも周り込みやすい方向性のないエッチング方法を
用いた場合には、形成される丘7の大きさは固体粒子8
の大きさより小さくなるため、形成される丘7の大きさ
の制御が難しい。一方、イオンビームエッチングや逆ス
パッタのような、方向性をもったエッチング方法を用い
た場合には、丘7の大きさは固体粒子8の大きさとほぼ
同じになるため、形成される丘7の大きさを付着させる
固体粒子8の大きさにより制御できるため、より望まし
い。方向性を持ったエッチング方法を用いた場合、エッ
チング方向を磁気ディスク面に対してほぼ垂直とするこ
とが望ましい。方向性の厳密さの点からは、イオンビー
ムエッチングが最も望ましいが、ある程度の方向性があ
れば実用上は問題ないため、量産性の観点からは逆スパ
ッタ法がより望ましい。保護膜としてC保護膜を用いた
場合には、酸素を含有した雰囲気中での逆スパッタがよ
り望ましい。このようにして丘7を形成した場合、酸素
の作用によってC膜の極表層が改質され、この上に潤滑
膜を形成する際の付着強度が向上する効果もある。
【0078】本発明で、固体粒子8を保護膜表面に分散
付着させる方法としては、固体粒子8を適当な液体中に
分散させた懸濁液10を、図4に示した装置(ポンプ1
2とノズルを有する)を用いたスピン塗布法やスプレー
塗布法あるいは図5に示したような浸漬法により磁気デ
ィスク9の保護膜5の表面に付着させた後、液体を蒸発
させる方法が最も実用的である。ここで用いられる液体
としては、蒸発残渣の生じないものが望ましく、例えば
純水や高純度のフッ素系溶剤,有機溶剤等を用いること
ができる。本発明では上記の固体粒子の付着方法におい
て、懸濁液中の固体粒子の密度や付着時の条件を適当に
選択することにより、保護膜表面に付着させる固体粒子
の密度を任意に制御でき、前記したような所望の付着密
度を容易に達成することができる。しかしながら、上記
方法以外でも、例えば固体粒子を気体により搬送し、直
接磁気ディスクの保護膜表面に分散付着しても良い。そ
の際に固体粒子に適当な荷電を与えて、保護膜表面への
付着効率を高めても良い。また、微粒子の材料が溶け込
んでいる溶液をディスクの保護膜の表面にスプレー噴霧
した後溶剤を蒸発させてもよい。これによっても、固体
粒子のマスクが保護膜の表面に形成される。
【0079】本発明の上記実施例で用いられる固体粒子
8の材料は以下の条件を満たす特性を有する必要があ
る。
【0080】1)上記の懸濁液を用いて保護膜5の表面
に分散付着する場合、固体粒子を液体中に分散させた場
合に、溶解あるいは溶出のないこと。
【0081】2)上記のエッチング工程によって分解,
変質しにくいこと。
【0082】3)エッチング後に保護膜表面から容易に
除去しうること。
【0083】特性(1)は、液体の蒸発後に不要な残渣
を生じないために必要である。特性(2)は、固体粒子
8がエッチング時のマスク剤として作用するため、及び
エッチングによって固体粒子(8)の分解あるいは変質
生成物が保護膜表面に付着するのを防止するために必要
である。上記の蒸発残渣及び分解,変質生成物が保護膜
上に残留すると、ヘッド浮上面の汚れを増加させる原因
になる。特性(3)は、最終的に固体粒子8が保護膜表
面に残留してしまうとヘッドの浮上安定性が損なわれる
ため、特に重要である。
【0084】発明者らはこのような条件を満たす材料を
種々探索した結果、少なくともフッ素と炭素を含有する
材料またはフッ素樹脂が特に望ましいことを見出した。
具体的に例をあげれば、ポリテトラフルオロエチレンや
ポリクロロトリフルオロエチレン,テトラフルオロエチ
レンとパーフルオロビニルエーテルの共重合体,フッ化
グラファイト等及びそれらの誘導体等が特に好適であ
る。これらの材料は、化学的に極めて安定であり優れた
耐薬品,耐プラズマ性を有するため、上記の(1)及び
(2)の条件を適合する。さらに、上記の材料は表面エ
ネルギーが極めて低いために、他の固体表面への付着力
が小さく、簡単な洗浄等により容易に除去しうるため、
上記の(3)の条件にも適合し、望ましい。ただし本発
明は上記の固体粒子材料に限定されるものではなく、上
記以外の材料でも、懸濁液を作製するために選択された
液体及び丘を形成するために選択されたエッチング方法
に対して、上記(1)及び(2)の条件を満たし、かつ
上記(3)に条件を満たす有機物及び無機物の中から選
択しても良い。
【0085】本発明で用いられる固体粒子8の大きさ
は、保護膜の表面に形成される丘7の大きさが前記した
範囲になるようにエッチング方法に応じて選択する必要
がある。前記した逆スパッタやイオンビームエッチング
のように方向性があるエッチング方法の場合には、丘7
の大きさは固体粒子8の大きさとほぼ同じになるので、
所望の丘7の大きさの範囲とほぼ同じ大きさの範囲の固
体粒子8を用いれば良いため、丘7の大きさの制御がよ
り容易となりより望ましい。プラズマエッチングや湿式
エッチングのように、固体粒子8の裏側にもエッチング
が周り込みやすい方向性のないエッチング方法を用いた
場合には、固体粒子8の大きさはエッチングの周り込み
を考慮して丘7の大きさより大きくする必要がある。た
だし発明者らの検討結果では、固体粒子8の大きさが小
さくなると粒子同志が凝集しやすくなり、保護膜5表面
に均一に分散付着させにくくなり、また付着後に保護膜
5表面から除去しにくくなるため、望ましくはここで用
いられる固体粒子の最小粒径は0.1μm 以上、より望
ましくは0.2μm以上、さらに望ましくは0.5μm以
上の大きさであることが望ましい。用いられる固体粒子
8の大きさの上限は、形成されるべき丘7の大きさの上
限で規定されるが、最大粒径は30μm以下が望まし
い。より望ましくは、最大粒径は25μm以下である。
粒径が大きすぎると粒子8を保護膜5表面に分散付着さ
せた後で、粒子8はわずかの衝撃によって容易に脱落し
やすくなるため、取扱の容易さの面から望ましくない。
なお図3では一例として球形の固体粒子8を用いた場合
を示したが、本発明が球形の粒子の使用に限定されるも
のでないのは言うまでもない。
【0086】上記したように、用いられる固体粒子8の
大きさ及び付着方法によって、保護膜5表面に形成され
る丘7の大きさ及び間隔を制御できる。これにより、磁
気ディスク表面の単位面積当りの丘の個数及び単位面積
に対する該面積内の丘7の総面積比率を、前記した所望
の範囲に精度良く形成することができる。
【0087】本発明の方法により表面に丘7を形成した
保護膜5について、丘の部分とそれ以外の部分で材料は
均質であることが望ましい。これは保護膜の丘7の部分
が他の部分と異なる材質から成る場合、保護膜5がヘッ
ドと相対的に摺動する時にその界面で剥離が生じやす
く、摺動耐久性が低下するためである。ただし密着性の
特に優れた適当な2種の材料が選択された場合には、保
護膜5中に異なる材料が存在しても良い。例えば、保護
膜5を形成する際にある選択されたエッチング方法によ
ってエッチングされない材料を下層に形成し、エッチン
グされる材料を上層に形成してもよい。このようにすれ
ば、保護膜5表面に上記の丘を形成するときのエッチン
グ処理によって、保護膜の上層のみがエッチングされる
ため、保護膜厚の上層に対応した高さの丘が均一に精度
良く形成されるため、丘の高さの制御が容易であるとい
う利点がある。
【0088】本発明では、ここまでCSS方式による磁
気ディスク装置を主たる対象として述べてきたが、上記
した本発明の磁気ディスクの保護膜表面に形成した多数
の丘7によるヘッド浮上面の汚れ除去効果は、装置の停
止時にヘッドと磁気ディスクを引き離す機構を設けたロ
ード・アンロード方式の磁気ディスク装置及び記録再生
時にヘッドが実質的に浮上しないコンタクト方式の磁気
ディスクに対しても極めて有効である。
【0089】ロード・アンロード方式の磁気ディスク装
置の場合にも、CSS方式の磁気ディスク装置の場合と
同様に、ヘッドの浮上面への汚れの付着は、長期に渡る
浮上安定性及び耐久性を損なう原因となるため、前記し
たような多数の丘7を保護膜5面に形成した本発明の磁
気ディスクを用いることにより、長期に渡るヘッドの浮
上安定性及び耐久性に優れた磁気ディスク装置を得るこ
とができる。
【0090】浮上面を有したヘッドを用い、ヘッドの浮
上量が0.01μm以上0.15μm以下で記録再生を行
なうCSS方式及びロード・アンロード方式の磁気ディ
スク装置において、ヘッドの浮上安定性を確保するため
には、ヘッドの浮上面の総面積内で、磁気ディスクの保
護膜5の表面に形成された丘の個数が50個/mm2 以上
2.5×105個/mm2 以下、より望ましくは100個/
mm2以上1×105個/mm2以下、さらに望ましくは20
0個/mm2以上5×104個/mm2以下であることが好ま
しい。また、上記の浮上面の総面積に対する、磁気ディ
スクの保護膜表面の、浮上面と同面積部分内に形成され
た丘の総面積の比率は、0.5% 以上60%以下が望ま
しい。より望ましくは1%以上50%以下が好ましい。
さらに望ましいくは2%以上40%以下が望ましい。ま
た隣接する丘の対の間の間隔の平均値は、ヘッド浮上面
の幅の平均値より小さいことが望ましく、より望ましく
は浮上面の平均幅の1/2以下、さらに望ましくは浮上
面の平均幅の1/3以下であることが好ましい。丘の個
数や面積比率が少なすぎる場合及び間隔が広すぎる場
合、浮上面に汚れが付着しない場合でもヘッドの浮上量
変動が起こりやすくなるため望ましくない。
【0091】コンタクト方式の磁気ディスク装置におい
ては、接触摺動によるヘッドまたは磁気ディスクの損傷
防止が最も重要である。前記した多数の丘を形成した本
発明の磁気ディスクを用いれば、ヘッドの摺動面に付着
する汚れや速やかに除去できるため、ヘッドと磁気ディ
スクの間に汚れが介在することによって発生するヘッド
または磁気ディスクの損傷を防止でき、長期に渡る摺動
信頼性に優れた磁気ディスク装置を得ることができる。
ただし、コンタクト方式の磁気ディスク装置において
は、ヘッドの浮上安定性は考えなくて良いため、保護膜
表面に形成される丘の高さは必要に応じて前記した範囲
を越えても良く、例えば丘の高さの上限を60nmとし
ても良い。丘の高さを大きくすることにより、摺動によ
る摩耗によって磁気ディスクが損傷するのを防止しやす
くなり、また摺動面からかき落された汚れを丘の周囲に
排除しやすくなる。摺動面を有したヘッドを用いるコン
タクト方式の磁気ディスク装置において、ヘッドの走行
安定性を確保するためには、上記摺動面の総面積内で、
磁気ディスクの保護膜表面に形成された丘の個数が50
個/mm2以上2.5×105個/mm2以下、より望ましくは
100個/mm2 以上1×105個/mm2以下、さらに望ま
しくは200個/mm2以上5×104個/mm2 以下である
ことが好ましい。また上記の摺動面の総面積に対する、
磁気ディスクの保護膜表面に形成された丘の総面積比率
は、0.5% 以上60%以下が望ましい。より望ましく
は1%以上50%以下が好ましい。さらに望ましくは2
%以上40%以下が好ましい。また隣接する丘の対の間
の間隔の平均値は、ヘッド摺動面の幅の平均値より小さ
いことが望ましく、より望ましくは摺動面の平均幅の1
/2以下、さらに望ましくは摺動面の平均幅の1/3以
下であることが好ましい。丘の個数や面積比率が少なす
ぎる場合及び間隔が広すぎる場合、摺動面に汚れを付着
しない場合でもヘッドの走行安定性が損なわれやすくな
るため望ましくない。
【0092】図6は本発明の磁気ディスク装置の概略構
成を示す。磁気ディスク9は回転手段であるスピンドル
モータ16に取り付けられる。磁気ヘッド13は磁気ヘ
ッド13の位置決め手段であるボイスコイルモータ15
及びキャリッジ14に取り付けられる。
【0093】本発明の効果を確認するために、磁気ディ
スク装置の長期の動作によるヘッド浮上面への汚れの付
着を以下の方法で加速評価した。図7に評価装置の概略
を示す。供試磁気ディスク9をスピンドルモータ16に
セットし、ヘッド13をボイスコイルモータ15に接続
したキャリッジ14にセットし、CSS方式の磁気ディ
スク装置を構成した。磁気ディスク装置を0.1μm の
フィルタ18を取り付けたケース17内に納めた後、通
常の大気環境下にさらし、フィルタ18を通して0.1
μm 以下の大気塵埃をケース17に導入した。この条
件で磁気ディスク9を3600rpm で回転させ、ヘッド
13を10秒周期で最内周と最外周との間をシークさせ
ながら100時間運転し、試験後にヘッド13の浮上面
を観察し、汚れの付着量を相対評価した。ヘッド13の
浮上面の面積は約2mm2 であり、定常回転時のヘッド1
3の浮上量は最内周で0.08μm である。
【0094】図8は、本発明の磁気ディスク装置におい
て、磁気ディスク9の表面に形成された多数の丘7によ
る、ヘッド13の浮上面の汚れ19の除去効果を示す。
【0095】本発明においてヘッド13の浮上量は以下
の方法で測定した。
【0096】図6と同様の磁気ディスク装置に浮上量測
定用ガラスディスク9とヘッド13をセットした後、ガ
ラスディスク9を回転させ、ガラスディスク9の裏側よ
りヘッド13の浮上面を観察し、光干渉法によりヘッド
13の浮上量を実測した。この実測結果とシミュレーシ
ョンを併用して供試ヘッド13の浮上特性を決定した。
【0097】本発明で言う磁気ディスクにおけるヘッド
13の浮上量とは、上記で求めたヘッド13の浮上特性
と用いられる磁気ディスク9の回転数とより算出したも
のである。
【0098】また、本発明で言う最低浮上保証高さと
は、磁気ディスク9とヘッド13との接触が検知されな
い最低の浮上量を指す。
【0099】なお、本発明の磁気ディスクの保護膜表面
に形成した多数の丘7の高さ,大きさ,間隔及び配置は
以下の方法で測定することができる。丘7の高さは2次
元及び3次元の触針式表面粗さ計,3次元の光学式表面
粗さ計,走査型トンネル顕微鏡,原子間力顕微鏡等、高
さ方向でナノメータオーダの分解能を有する表面形状測
定装置を用いることにより測定され得る。丘7の大き
さ,間隔,単位面積当りの個数及び面積比率は、上記の
表面形状測定手法のうち3次元の測定が可能なものを用
いて測定され得る。ただし、一般的に上記の手法は横方
向の測定可能面積が小さいため、特に単位面積当りの個
数及び面積比率を測定する際には、総測定面積が約1mm
2 になるように、同一個所付近で多数の測定を行ない、
その平均値として求めることが望ましい。ここで、保護
膜5の材料がC等のように比較的濃い色を有する場合に
はより簡便な方法で、丘7の大きさ,間隔,単位面積当
りの個数及び面積比率を測定することができる。すなわ
ち本発明においては丘7の部分とそれ以外の部分で保護
膜5の膜厚が異なるため、有色の保護膜材料の場合、丘
7の部分とそれ以外の部分で色のコントラストが異な
り、例えば光学顕微鏡による観察によっても丘7の部分
を正確に識別することができる。この場合光学顕微鏡観
察結果を画像処理等によって解析することにより、簡便
に丘の大きさ,間隔,単位面積当りの個数及び面積比率
を測定することができる。本発明の磁気ディスクを光学
顕微鏡で観察した場合の丘の配置の一例を、図2に模式
的に示す。以上において、保護膜5の表面にヘッドに付
着する汚れを除去するための多数の丘7を形成した場合
を説明したが、上記のような丘を本発明の方法と同様な
方法で基板表面に形成し、その上に均一な膜厚の磁性
膜,保護膜等を形成することもできる。この場合でも、
磁気ディスクの表面に現われる凹凸形状はほぼ同じにな
るため、本発明によるヘッドの汚れ除去効果が得られる
ことは言うまでもない。ただしこの場合には磁性膜が平
坦にならないため、前記した磁性膜の凹凸に起因する再
生出力変動の防止効果は得られなくなる。
【0100】以下において、本発明のより具体的な実施
例を詳細に説明する。
【0101】〈実施例1〉図1を参照すると、外径5.
25 インチのアルミニウム合金の円板1の表面に、無
電解めっき法によりNiPの下地膜2を15μmの厚さ
に形成し、その後、下地膜2を10μmの厚さになるま
で研磨して、触針式表面粗さ計で測定した平均粗さ(R
a)2nm以下、最大粗さ(Rmax )5nm以下になる
ように鏡面加工で基板を作成した。この基板上に、スパ
ッタ法によりCrの中間膜3を100nm、CoNiの
磁性膜4を50nm、Cの保護膜5を30nmの厚さに
それぞれ形成した。Cの保護膜5の表面には下記の方法
で丘7を形成した。
【0102】保護膜5表面への丘7の形成方法を図3と
図4を参照して説明する。平均粒径5μmのポリテトラ
フルオロエチレン(PTFE)の粒子8を1wt%の割
合でフッ素系溶剤に超音波分散した懸濁液10を調製
し、Cの保護膜5の表面にこの懸濁液10をポンプ12
とノズル11によりスピン塗布し、次に溶剤を蒸発させ
てPTFE粒子8を保護膜5の表面上に分散付着させ
た。PTFE粒子8の付着状態を光学顕微鏡により観察
した結果、付着粒子8の大きさは、1−10μmのもの
が全数の90%以上であり、隣接する粒子8の対の間の
間隔の平均値は約15μm、単位面積あたりの付着粒子
8の数は約2500個/mm2 であり、単位面積に対する
付着粒子8の被覆部の総面積の比は約5%であった。
【0103】次に、この円板を、スパッタ装置により酸
素を10%含有したAr雰囲気中で逆スパッタして、P
TFE粒子8のない部分の保護膜5を15nmの深さま
でエッチングした。この後、表面を純水によりスクラブ
洗浄し、PTFE粒子8を除去した。エッチング前後で
の表面観察結果より、付着粒子8とほぼ同じ大きさの丘
7が保護膜5の表面に形成されていることを確認した。
エッチング後の丘7の隣接する対の間の間隔の平均値は
約15μm、単位面積あたりの丘7の数は約2500個
/mm2 であり、丘7が形成されている領域の面積に対す
る丘7の総面積の比は約5%であった。また丘7の高さ
を触針式表面粗さ計で測定した結果、いずれも約15n
mとなっていることを確認した。
【0104】こうして得られた円板の表面に、パーフル
オロポリエーテル系の潤滑膜6を約5nmの厚さに塗布
した図1に示す磁気ディスク9の完成した。
【0105】本実施例で作製した磁気ディスク9に対す
る、ヘッド13(図6参照)の最低浮上保証高さは0.
04μm 以下であり、ヘッド13の浮上量0.08μm
でも高信頼性の磁気ディスク装置を得ることができ
た。さらに、本実施例で作製した磁気ディスク9を、図
6に示した装置によりCSS試験を行ったが、5000
0回のCSS動作後にもディスク面に傷は観察されず、
長期の摺動信頼性の高いものであることが確認された。
またCSS試験後のヘッド13の最低浮上保証高さはや
はり0.04μm 以下であり、ヘッド13の浮上面を観
察した結果、試験前に比べて大きな変化はなかった。こ
の結果から本実施例の磁気ディスク9は、ヘッド13に
対する汚れ付着を防止する効果があり、長期に渡る摺動
信頼性とヘッドの浮上安定性を確保することが判明し
た。
【0106】〈実施例2〉実施例1と同様のPTFE粒
子8を0.2wt% の割合でフッ素系溶剤に超音波分散
した懸濁液10を用いたほかは実施例1と同様に磁気デ
ィスク9を作製した。本実施例の磁気ディスク9の丘7
の大きさは実施例1と同様であり、丘7の隣接対間の間
隔の平均値は約40μm、単位面積あたりの丘7の数は
約500個/mm2 、丘7の総面積比は約1%であった。
また丘7の高さを触針式表面粗さ計で測定した結果、い
ずれも約15nmとなっていることを確認した。
【0107】本実施例の磁気ディスク9のCSS試験を
行った結果、ヘッドの浮上特性測定結果及びヘッドの浮
上面の汚れ観察結果とも、実施例1の場合と同様な優れ
ており、長期に渡る摺動信頼性とヘッドの浮上安定性を
確保することが判明した。
【0108】〈実施例3〉実施例1と同様のPTFE粒
子8を4wt%の割合でフッ素系溶剤に超音波分散した
懸濁液10を用いたほかは実施例1と同様に磁気ディス
ク9を作製した。本実施例での磁気ディスクの丘7の大
きさは実施例1と同様であり、丘の隣接対間の間隔の平
均値は約5μm、単位面積あたりの丘7の数は約100
00個/mm2 、丘7の総面積比は約20%であった。ま
た、丘7の高さを触針式表面粗さ計で測定した結果、い
ずれも約15nmとなっていることを確認した。
【0109】本実施例の磁気ディスク9のCSS試験を
行った結果、ヘッドの浮上特性測定結果及びヘッドの浮
上面の汚れ観察結果とも、実施例1の場合と同様に優れ
ており、長期に渡る摺動信頼性とヘッドの浮上安定性を
確保することが判明した。
【0110】〈実施例4〉実施例1と同様なPTFE粒
子を分散させた懸濁液10を用い、図5に示した装置を
用いて、浸漬法によって懸濁液10をC保護膜5の表面
に付着させた以外は実施例1と同様な方法で磁気ディス
ク9を作製した。本実施例の磁気ディスク9の丘7の大
きさは実施例1と同様であり、丘の隣接対間の間隔の平
均値は約15μm、単位面積あたりの丘7の数は約25
00個/mm2 、丘7の総面積比は約5%であった。ま
た、丘7の高さを触針式表面粗さ計で測定した結果、い
ずれも約15nmとなっていることを確認した。
【0111】本実施例の磁気ディスク9のCSS試験を
行った結果、ヘッドの浮上特性測定結果及びヘッドの浮
上面の汚れ観察結果とも、実施例1と同様に優れてお
り、長期に渡る摺動信頼性とヘッドの浮上安定性を確保
することが判明した。
【0112】〈実施例5〉保護膜5を、メタンと水素と
の混合ガスを用いたプラズマCVD法で30nmの厚さ
に形成したほかは、実施例1と同様な方法で磁気ディス
ク9を作製した。本実施例の磁気ディスク9の丘7の大
きさは実施例1と同様であり、丘7の隣接対間の間隔の
平均値は約15μm、単位面積あたりの丘7の数は約2
500個/mm2 、丘7の総面積比は約5%であった。ま
た、丘7の高さを触針式表面粗さ計で測定した結果、い
ずれも15nmとなっていることを確認した。
【0113】本実施例の磁気ディスク9のCSS試験を
行った結果、ヘッドの浮上特性測定結果及びヘッドの浮
上面の汚れ観察結果とも、実施例1の場合と同様に優れ
ており、長期に渡る摺動信頼性とヘッドの浮上安定性を
確保することが判明した。
【0114】〈実施例6〉実施例1と同様に、アルミニ
ウム合金円板1の表面に、NiPの下地膜2,Crの中
間膜3,CoNiの磁性膜4を形成し、この上にスパッ
タ法によりSiCの下層保護膜5′を15nmの厚さに、
Cの上層保護膜5″を15nmの厚さに、それぞれ形成
した。これらの二層5′と5″から成る保護膜5の表面
に実施例1と同様な方法で丘7を形成した。本実施例で
のエッチング条件では、SiCのエッチングレートはC
のそれに比べて小さいため、エッチング時間を多少多目
にしても、形成される丘7の高さはCの下層保護膜5″
の厚さである15nmとほとんど変らず、この実施例は
丘7の高さの制御が容易であるという効果がある。丘7
を形成した保護膜5の表面に、実施例1と同様に潤滑膜
6を形成し磁気ディスク9を作製した。本実施例の磁気
ディスク9の丘7の大きさは実施例1と同様であり、丘
7の隣接対間の間隔の平均値は約15μm、単位面積あ
たりの丘7の数は約2500個/mm2 、丘7の総面積比
で約5%であった。また丘7の高さを触針式表面粗さ計
で測定した結果、いずれも約15nmとなっていること
を確認した。
【0115】本実施例の磁気ディスク9のCSS試験を
行った結果、ヘッド浮上特性測定結果及びヘッドの浮上
面の汚れ観察結果とも、実施例1の場合と同様な優れて
おり、長期に渡る摺動信頼性とヘッドの浮上安定性を確
保することが判明した。
【0116】〈実施例8〉基板1を、触針式表面粗さ計
で測定した平均粗さ(Ra)1.5nm 以下、最大粗さ
(Rmax )4nm以下になるように鏡面加工した外径
5.25 インチのガラス基板で形成し、この基板1上に
実施例1と同様にスパッタ法によりCrの中間膜3を1
00nm、CoNiの磁性膜4を50nm、Cの保護膜
5を30nmの厚さにそれぞれ形成した。実施例1と同
様にCの保護膜5の表面に丘7を形成し、その上に潤滑
膜6を形成して磁気ディスク9を作製した。本実施例の
磁気ディスク9の丘7の大きさは実施例1の場合と同様
であり、丘7の隣接対間の間隔の平均値は約15μm、
単位面積あたりの丘7の数は約2500個/mm2 、丘7
の総面積比は約5%であった。また、丘7の高さを触針
式表面粗さ計で測定した結果、いずれも15nmとなっ
ていることを確認した。
【0117】本実施例の磁気ディスク9のCSS試験を
行った結果、ヘッドの浮上特性測定結果及びヘッドの浮
上面の汚れ観察結果とも、実施例1の場合と同様に優れ
ており、長期に渡る摺動信頼性とヘッドの浮上安定性を
確保することができた。
【0118】〈比較例1〉実施例1と同様に外径5.2
5 インチのアルミニウム合金円板1の表面に、無電解め
っき法によりNiPの下地膜2を15μmの厚さに形成
し、下地膜2を10μmの厚さまで研磨して、触針式表
面粗さ計で測定した平均粗さ(Ra)2nm以下、最大
粗さ(Rmax )5nm以下になるように鏡面加工して基
板を形成した。この基板上に、スパッタ法によりCrの
中間膜3を100nm、CoNiの磁性膜4を50n
m、Cの保護膜5を30nmの厚さにそれぞれ形成し
た。本比較例ではCの保護膜5の表面の丘7の形成を行
わず、直接潤滑膜6を形成して磁気ディスク9を作製し
た。
【0119】本比較例で作製した磁気ディスク9に対す
る、ヘッド13の最低浮上保証高さは0.04μm以下
であり、ヘッド13の浮上量0.08μmでも磁気ディ
スク装置を得ることができた。しかし本比較例で作製し
た磁気ディスク9を、図5に示した装置によりCSS試
験を行った結果、10000回のCSS動作後にディス
ク面に傷が発生し、摺動信頼性の乏しいものであった。
また同様に作製した別の磁気ディスク9について、CS
S動作5000回後のヘッド13の最低浮上保証高さを
測定したところ、0.1μm まで悪化していた。ヘッド
13の浮上面を観察した結果、試験前に見られなかった
汚れが浮上面に付着しており、これによって浮上特性が
悪化していることがわかった。この結果から本比較例の
磁気ディスク9では、長期に渡る摺動信頼性及びヘッド
の浮上安定性を確保することができないことが判明し
た。
【0120】〈比較例2〉実施例1と同様に外径5.2
5 インチのアルミニウム合金円板1の表面に、無電解め
っき法によりNiPの下地膜2を15μmの厚さに形成
し、下地膜2を10μmの厚さまで研磨して、触針式表
面粗さ計で測定した平均粗さ(Ra)2nm以下、最大
粗さ(Rmax )5nm以下になるように鏡面加工して基
板を形成した。この基板上に、スパッタ法によりCrの
中間膜3を100nm、CoNi磁性膜4を50nm、
C保護膜5を40nmの厚さにそれぞれ形成した。本比
較例では円板を回転させながら、Cの保護膜5の表面
に、研磨砥粒を含ませたバフを押しつけて約10nmの
深さまで研磨加工し、円周方向にのびる溝を形成した。
こうして得られたCの保護膜5の表面は、触針式表面粗
さ計で測定して平均粗さ(Ra)5nm、最大粗さ(R
max )30nmであった。Cの保護膜5の表面に潤滑膜
6を形成して磁気ディスク9を作製した。
【0121】本比較例で作製した磁気ディスク9に対す
る、ヘッド13の最低浮上保証高さは0.09μm であ
り、ディスク9はヘッド13の浮上安定性に乏しく、浮
上量0.08μm の磁気ディスク装置への適用は不可能
であった。本比較例で作製した磁気ディスク9を、図5
に示した装置によりCSS試験を行った結果、30000回
のCSS動作後にディスク面に傷が発生し、摺動信頼性
が不十分であった。また同様に作製した別の磁気ディス
ク9について、CSS動作20000回後のヘッド13
の最低浮上保証高さを測定したところ、0.14μm ま
でさらに悪化していた。ヘッド13の浮上面を観察した
結果、試験前に見られなかった汚れが浮上面に付着して
おり、これによって浮上特性がさらに悪化していること
がわかった。この結果から本比較例の磁気ディスク9で
は、長期に渡る摺動信頼性及びヘッドの浮上安定性を確
保することができないことが判明した。
【0122】〈比較例3〉実施例1と同様に外径5.2
5 インチのアルミニウム合金円板1の表面に、無電解め
っき法によりNiPの下地膜2を15μmの厚さに形成
し、下地膜2を10μmの厚さまで研磨して、触針式表
面粗さ計で測定した平均粗さ(Ra)2nm以下、最大
粗さ(Rmax )5nm以下になるように鏡面加工して基
板を得た。この基板上に、スパッタ法によりCrの中間
膜3を100nm、CoNiの磁性膜4を50nm、C
の保護膜5を60nmの厚さにそれぞれ形成した。本比
較例ではCの保護膜5の表面に粒子を付着させず、実施
例1に比べて逆スパッタ時のパワーを2倍とした条件で
Cの保護膜5を30nmエッチングした後、潤滑膜6を
形成して磁気ディスク9を作製した。エッチング後のC
の保護膜5の表面には微小な突起が多数形成された。突
起の大きさは約0.05μm であり、平均高さは10n
m、突起の隣接対間の平均間隔は約0.4μm 、単位面
積当りの突起の数は約2.5×107個/mm2 、突起の総
面積比は約5%であった。
【0123】本比較例で作製した磁気ディスク9に対す
る、ヘッド13の最低浮上保証高さは0.06μmであ
り、浮上量0.08μmの磁気ディスク装置への適用は
可能であった。本比較例で作製した磁気ディスク9を、
図5に示した装置によりCSS試験を行った結果、25
000回のCSS動作後にディスク面に傷が発生し、摺
動信頼性が不十分であった。また同様に作製した別の磁
気ディスク9について、CSS動作20000回後のヘ
ッド13の最低浮上保証高さを測定したところ、0.1
2μm まで悪化していた。ヘッド13の浮上面を観察
した結果、試験前に見られなかった汚れが浮上面に付着
しており、これによって浮上特性が悪化していることが
わかった。この結果から本比較例の極めて微小かつ密な
突起を形成した磁気ディスク9では、長期に渡る摺動信
頼性及びヘッドの浮上安定性を確保することができなか
った。
【0124】〈比較例4〉実施例1と同様に外径5.2
5 インチのアルミニウム合金円板1の表面に、無電解め
っき法によりNiPの下地膜2を15μmの厚さに形成
し、下地膜2を10μmまで研磨して、触針式表面粗さ
計で測定した平均粗さ(Ra)2nm以下、最大粗さ
(Rmax )5nm以下になるように鏡面加工して基板を
得た。この基板上に、スパッタ法によりCrの中間膜3
を100nm、CoNiの磁性膜4を50nm、Cの保
護膜5を30nmの厚さにそれぞれ形成した。Cの保護
膜5の表面には下記の方法で丘を形成した。
【0125】平均粒径50μmのポリテトラフルオロエ
チレン(PTFE)の粒子8を1wt%の割合でフッ素
系溶剤に超音波分散した懸濁を調製し、実施例1と同様
にCの保護膜5の表面に、PTFE粒子8をC保護膜5
上に分散付着させた。PTFE粒子8の付着状態を光学顕微
鏡により観察した結果、付着粒子8の大きさは、40−
60μmのものが全数の90%以上であり、粒子8の平
均間隔は約150μm、単位面積あたりの粒子8の密度
は約25個/mm2であり、粒子8の被覆部の総面積比は
約5%であった。この円板を、実施例1と同様にスパッ
タ装置で逆スパッタして、C保護膜5を15nmエッチ
ングした後、表面を純水によりスクラブ洗浄し、PTF
E粒子8を除去した。エッチング前後での表面観察結果
より、付着粒子とほぼ同じ大きさの丘7がC保護膜5の
表面に形成されていることを確認した。エッチング後の
丘7の平均間隔は約150μm、単位面積あたりの丘7
の密度は約25個/mm2 であり、丘の総面積比は約5%
であった。また丘7の高さを触針式表面粗さ計で測定し
た結果、いずれも約15nmとなっていることを確認し
た。
【0126】こうして得られた円板の表面に、パーフル
オロポリエーテル系の潤滑膜6を約5nmの厚さに塗布
して磁気ディスク9を作製した。
【0127】本比較例で作製した磁気ディスク9に対す
る、ヘッド13の最低浮上保証高さは0.06μmであ
り、浮上量0.08μmの磁気ディスク装置への適用は
可能であった。本比較例で作製した磁気ディスク9を、
図5に示した装置によりCSS試験を行った結果、30
000回のCSS動作後にディスク面に傷が発生し、摺
動信頼性が不十分であった。また同様に作製した別の磁
気ディスク9について、CSS動作20000回後のヘ
ッド13の最低浮上保証高さを測定したところ、0.1
2μm と悪化していた。ヘッド13の浮上面を観察し
た結果、試験前に見られなかった汚れが浮上面に付着し
ており、これによって浮上特性が悪化していることがわ
かった。この結果から本比較例の大きくかつまばらな丘
7を形成した磁気ディスク9では、長期に渡る摺動信頼
性及びヘッドの浮上安定性を確保することができなかっ
た。
【0128】以上の実施例及び比較例に示した磁気ディ
スク9について、ヘッドが定常浮上している時の、浮上
面に付着する汚れの除去効果をさらに明らかにするた
め、実施例1〜3及び比較例1−4の磁気ディスク9を
同様に作製し、図7に示した装置を用いて大気塵埃を導
入しての加速試験を行なった。試験後に浮上面の汚れの
付着量をその付着面積から相対的に評価した。比較例1
の磁気ディスクに対する浮上面の汚れ付着量を100と
した場合の各磁気ディスクに対する浮上面の汚れ付着量
は、実施例1〜3の場合にはいずれも2以下であり、本
発明のディスクの、汚れの付着防止効果が顕しいことが
わかった。一方、比較例2及び3のようにディスク面に
微小かつ密な凹凸を形成した場合の汚れ付着量はいずれ
も約50となり、保護膜面に凹凸を形成しない比較例1
に比べれば汚れの付着は少ないが、本発明に比べて汚れ
付着防止効果は不十分であった。一方比較例4の、大き
くかつまばらな丘をディスク面に形成した場合の汚れの
付着量は約40となり、保護膜面に凹凸を形成しない比
較例1に比べれば汚れの付着は少ないが、本発明に比べ
て汚れ付着防止効果は不十分であった。
【0129】
【発明の効果】本発明によれば、磁気ディスクの保護膜
表面にヘッドの浮上面に付着する汚れを効果的に除去し
うるため、ヘッドの浮上量が小さい場合でも、長期に渡
るヘッドの摺動信頼性及びヘッドの浮上安定性を確保で
きる。これにより高信頼性及び高記録密度の磁気ディス
ク装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例による磁気ディスクの断面形
状を示す模式図である。
【図2】本発明の一実施例による磁気ディスクの表面に
形成された丘の典型的な配置を示す平面模式図である。
【図3】本発明の一実施例による磁気ディスクの保護膜
表面への丘の形成方法を示す概略図である。
【図4】本発明の一実施例による磁気ディスクの保護膜
表面に固体粒子を付着させる方法及び装置を示す概略図
である。
【図5】本発明の一実施例による磁気ディスクの保護膜
表面に固体粒子を付着させる方法及び装置を示す概略図
である。
【図6】本発明の一実施例による磁気ディスク装置の構
成を示す概略図である。
【図7】本発明に用いた磁気ヘッドの浮上面への汚れの
付着量評価装置の構成を示す概略図である。
【図8】本発明の磁気ディスクの表面に形成された丘に
よる、ヘッド浮上面に付着した汚れの除去作用を示す概
略図である。
【符号の説明】
1…アルミニウム合金円板、2…下地膜、3…中間膜、
4…磁性膜、5…保護膜、6…潤滑膜、7…保護膜表面
に形成された丘、8…固体粒子、9…磁気ディスク、1
0…固体粒子を分散させた懸濁液、11…ノズル、12
…ポンプ、13…磁気ヘッド、14…キャリッジ、15
…ボイスコイルモータ、16…スピンドルモータ、17
…ケース、18…フィルタ、19…浮上面に付着した汚
れ。
フロントページの続き (72)発明者 沢畠 昇一 茨城県日立市久慈町4026番地 株式会社 日立製作所 日立研究所内 (72)発明者 加藤 義喜 神奈川県小田原市国府津2880番地 株式 会社 日立製作所 小田原工場内 (72)発明者 屋舗 博 神奈川県小田原市国府津2880番地 株式 会社 日立製作所 小田原工場内 (72)発明者 猪股 洋一 神奈川県小田原市国府津2880番地 株式 会社 日立製作所 小田原工場内 (72)発明者 大浦 正樹 神奈川県小田原市国府津2880番地 株式 会社 日立製作所 小田原工場内 (72)発明者 三宅 芳彦 神奈川県小田原市国府津2880番地 株式 会社 日立製作所 小田原工場内 (72)発明者 森口 善弘 神奈川県小田原市国府津2880番地 株式 会社 日立製作所 小田原工場内 (56)参考文献 特開 平3−113823(JP,A) 特開 平3−119517(JP,A) 特開 平4−265513(JP,A) 特開 昭62−219231(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G11B 5/84 G11B 5/72 G11B 5/82

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】基板上に磁性膜を形成する工程と、この
    性膜上に保護膜を形成する工程と、この保護膜の少な
    くとも一部に固体粒子を分散して付着させる工程と、
    粒子をマスクとして前記保護膜を前記磁性膜が露出し
    ないようにエッチングしてほぼ均一な高さの丘を形成す
    る工程と、記マスクに用いた前記粒子を除去する工程
    とを有する磁気ディスクの製造方法。
  2. 【請求項2】前記粒子を分散して付着させる工程が、前
    記粒子に電荷を与えて気体により前記保護膜の表面へ搬
    送し、前記粒子を分散して付着させる工程である請求項
    1記載の磁気ディスクの製造方法。
  3. 【請求項3】前記粒子がフッ素樹脂又は少なくとも炭素
    とフッ素とを含有する材料よりなる請求項1または2記
    載の磁気ディスクの製造方法。
  4. 【請求項4】前記マスクに用いた粒子を除去する工程
    が、洗浄である請求項1乃至3の何れか1項に記載の磁
    気ディスクの製造方法。
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