JP3270320B2 - 磁気ヘッド - Google Patents

磁気ヘッド

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JP3270320B2
JP3270320B2 JP02501296A JP2501296A JP3270320B2 JP 3270320 B2 JP3270320 B2 JP 3270320B2 JP 02501296 A JP02501296 A JP 02501296A JP 2501296 A JP2501296 A JP 2501296A JP 3270320 B2 JP3270320 B2 JP 3270320B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、コンピュータシス
テム等に用いられる磁気記録装置の磁気ヘッドに関す
る。
【0002】
【従来の技術】近年の情報量の増大に伴いコンピュータ
システムの外部記録装置としての磁気記録装置の重要度
は益々高まり、その記録容量は、常に高密度化が要求さ
れている。磁気記録装置は、磁気ディスク装置を例に取
ると、図1に示すように磁気記録媒体1と磁気ヘッド2
を主構成要素とし、磁気記録媒体の回転制御機構(スピ
ンドルモータ3他)、ヘッドの位置決め機構(ボイスコ
イルモータ4他)及び記録再生信号の処理回路(リード
ライトアンプ5他)等から構成されている。
【0003】一般に磁気ディスク装置は、磁気記録媒体
に同心円状又はらせん状に設けられた多数のトラックに
情報を記録する。ここで記録密度を向上させるため、ト
ラック内の円周方向の情報密度(線記録密度)を大きく
することが必要となって来る。線記録密度は、磁気記録
媒体の磁性膜の特性(保磁力、膜厚等)、ヘッド特性
(周波数特性、ギャップ長等)及び磁気記録媒体の磁性
膜と磁気ヘッドの間の間隔等に依存している。近年この
磁気ヘッドと磁気記録媒体の間隔(以下、浮上量と称す
る)は急激に小さくなってきており、0.05〜0.1
μmが通常となっている。磁気記録装置としてはその記
録密度の高密度化のためには、磁気ヘッドと磁気記録媒
体の間隔を小さくしたまま接触摺動信頼性を確保するこ
とが最も大事な技術である。
【0004】従来の磁気ディスク装置は、磁気記録媒体
と磁気ヘッドが接触して磁気ヘッドの浮上面又は摺動接
触面(以下、スライダ面という)が摩耗して記録再生が
不可能となる、いわゆるヘッドクラッシュという問題が
あった。また、これを避けるために、より平坦な表面粗
さをもつ磁気記録媒体と磁気ヘッドとを組み合わせると
磁気ヘッドの吸着が起こるという問題があった。
【0005】上記についてさらに詳しく説明する。一般
の磁気ディスク装置は、浮上量が極めて小さい状態や、
磁気記録媒体と磁気ヘッドが直接接触するようなコンタ
クト、ニアコンタクトの状態では、磁気ヘッドのスライ
ダ面が摩耗して摩耗粉が発生したり、磁気ヘッドの記録
再生を行う素子部が摩耗して記録再生を行うことが不可
能となったり、スライダ面に形成した保護膜が摩耗して
素子部が放電しやすく、また腐食しやすくなったりす
る。特に、コンタクト状態では磁気ヘッドの摩耗は非常
に大きい。従来、この磁気ヘッドの摩耗を低減させるた
めに、磁気記録媒体表面の面粗さを低減することが必要
であると考えられていた。しかし、実際には磁気記録媒
体表面の面粗さをその全域にわたって均一に低減するこ
とは困難であると共に磁気ヘッドと磁気記録媒体の吸着
が生じることがあった。
【0006】そこで、平坦な表面形状をもつ磁気記録媒
体と組み合わせて使用する磁気ヘッドとして、例えば、
特開平4−216377には、スライダ面を面荒らしし
た磁気ヘッドが記載されている。また、特開平6−89
421、4−324109等には、同様にスライダ面の
面粗さを大きくして吸着現象を回避する技術が記載され
ている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上記特開平4−216
377に記載の従来技術は、スライダ面の面粗さが粗い
ために接触点での接触面圧が高くなり、スライダ面の突
起が摩耗してしまい、接触を繰り返すことで面粗さが小
さくなり、磁気記録媒体と磁気ヘッド間の摩擦力が増大
してしまうという問題があった。
【0008】また、上記特開平6−89421、4−3
24109に記載の従来技術は、磁気ヘッドのスライダ
面の面粗さを大きくすることで、吸着現象を回避しよう
とするものであるが、磁気ヘッドスライダ面の摩耗を増
大させることになり、最終的に摩擦力の増大を引き起こ
すという問題があった。
【0009】本発明の目的は、磁気ヘッドのスライダ面
の摩耗を防止し、かつ、摩擦力を低減した磁気ヘッドを
提供することにある。
【0010】上記目的を達成するために、本発明の磁気
ヘッドは、表面粗さRpが、13nm以下の磁気記録媒
体に情報の記録、再生を行うための磁気ヘッドであっ
て、スライダの浮上面又は摺動接触面を多角形又は多角
形の角部が所望の曲率を持つ形状の凹部よりなるハニカ
ム形状のテクスチュアとしたものである。この磁気ヘッ
ドは、上記凹部の底部の少なくとも一部を、上記磁気ヘ
ッドが情報の記録、再生を行う磁気記録媒体の表面に配
置される潤滑剤の表面張力より小さい表面エネルギーを
持つようにすることが好ましい。一般的に磁気記録媒体
に使用される潤滑剤の表面張力は、25dyn/cm
(25ラ10-2N/m)程度であるため、底部の表面エ
ネルギーをこの値未満とすることが好ましい。
【0011】また、上記目的を達成するために、本発明
の磁気ヘッドは、スライダの浮上面又は摺動接触面に複
数の凹部を設け、この凹部の底部の少なくとも一部を、
上記磁気ヘッドが情報の記録、再生を行う磁気記録媒体
の表面に配置される潤滑剤の表面張力より小さい表面エ
ネルギーを持つようにしたものである。この磁気ヘッド
は、表面粗さRpが、13nm以下の磁気記録媒体に情
報の記録、再生を行うための磁気ヘッドであることが好
ましい。また、上記凹部が多角形又は多角形の角部が所
望の曲率を持つ形状の凹部よりなるハニカム形状のテク
スチュアを構成することが好ましい。
【0012】いずれの磁気ヘッドもテクスチュアを構成
する多角形としては、三角形から八角形が好ましく、六
角形が最も好ましい。角部が所望の曲率を持つ形状の多
角形の場合も同じである。また、磁気抵抗素子(MR素
子)を持った磁気ヘッドは、一般的にスライダ面に保護
膜を形成しているので、この保護膜にテクスチュアを形
成すればよい。
【0013】テクスチュアの凸部の面積の割合は、0%
より大きく、30%以下とすることが好ましい。磁気記
録媒体と磁気ヘッドとの真実接触面積(凸部の表面積)
を低減することが可能となり、摩擦力を低減することが
できるためである。しかし、凸部の面積の割合が0%に
近いと、凸部にかかる接触応力が大きくなるため凸部の
摩耗が早くなるので、この割合を0.5%以上とするこ
とがより好ましい。
【0014】さらに、この凸部の高さは20nm以下と
することが好ましい。磁気ヘッドと磁気記録媒体が激し
く接触することを回避し、磁気ヘッドの浮上を安定にす
ると共に、凹部にたまった潤滑剤を凸部に供給しやすく
して、磁気ヘッドの摩耗を抑制できるためである。ま
た、凸部の高さは7nm以上とすることが好ましい。磁
気記録媒体に数nmレベルの潤滑剤が塗布されていても
磁気記録媒体と磁気ヘッド間の摩擦力を小さくすること
ができるためである。
【0015】凹部の底部の表面エネルギーは、一般的に
磁気記録媒体に使用される潤滑剤の表面張力が25dy
n/cm(25×10-2N/m)程度であるため、この
値未満とすることが好ましい。この値は、小さければ小
さい程よいが、表面エネルギーを小さくするために用い
られる材料の制限から、10dyn/cm以上とするこ
とが好ましい。凹部の底部の表面エネルギーをこのよう
な値にするには、例えば、凹部の底部を主に炭素、水素
よりなる炭化水素膜又は主にフッ素、炭素よりなるフッ
化炭素膜とすればよい。これらの膜は、その溶液に浸漬
又は塗布したり、蒸着或いはスパッタにより形成するこ
とができる。その後加熱して磁気ヘッド表面と反応させ
た後、溶剤にて余分な膜を洗い流す等の方法により均一
な膜とすることができる。なお、凹部の底部の表面エネ
ルギーを上記のような値としたとき、凸部の上の表面エ
ネルギーは、潤滑剤の表面張力より大きくすることが好
ましい。
【0016】本発明に用いる磁気記録装置は、情報を記
録する磁気記録媒体と、磁気記録媒体に情報の記録、再
生を行うために、磁気記録媒体に対向して配置された磁
気ヘッドと、磁気記録媒体の回転制御機構と、磁気ヘッ
ドの位置決め機構と、記録再生信号の処理回路を有す
ものが好ましい。 磁気記録媒体は、表面粗さRpを13
nm以下とすることが好ましい。また、表面粗さRpは
0.5nm以上であることが好ましい。高記録密度に適
した構成となるからである。また、前記の磁気ヘッドに
形成したテクスチュアの形状は、そのまま磁気記録媒体
に形成されるテクスチュアとしても使用可能であり同様
の効果があると推定される。
【0017】
【発明の実施の形態】図2(a)は、本発明の磁気ヘッ
ドの斜視図であり、図2(b)〜(f)は、そのスライ
ダ面の拡大図である。図2(a)に示すように、磁気ヘ
ッドのスライダにはリードライト素子15が取り付けら
れ、スライダ面6には図2(b)〜(f)に拡大して示
したような形状の凹部8と凸部7からなるハニカム構造
のテクスチュアが形成されている。図2(a)の左方が
磁気ヘッドの流入側、右方が流出側である。磁気ヘッド
は浮上型ヘッドでも直接接触型の磁気ヘッドでもよい。
また、ハニカム構造とは、凹部が入り組んだ構造を意味
する。
【0018】テクスチュアとして、図2(b)は、凹部
8が3角形の例を、図2(c)、(e)、(f)は6角
形の例を、図2(d)は4角形の角部が曲率を持った形
状の例を示す。多角形としては3角形から8角形が好ま
しい。また、形状の異なる多角形の組み合わせでもかま
わない。
【0019】図2(b)〜(f)も図の左方が磁気ヘッ
ドの流入側、右方が流出側である。図2(e)は、流入
側から流出側の方向に対して、直角方向に凹部8がつな
がっている。また、図2(f)は、流入側から流出側の
方向に対して、直角方向及び約30度の方向に凹部8が
つながっている。このように凹部8は連結していてもよ
いが、流入側から流出側の方向には連結するのは好まし
くない。凹部8の流入側から流出側の方向の大きさは
0.5μmから50μmであることが好ましいが、流入
側から流出側の方向に凹部が連結すると、凹部の大きさ
が50μmを越えたと同様の結果になるためである。そ
れ故凹部が小さいとき、その2個や3個が流入側から流
出側の方向には連結していても、その連結した凹部の合
計の長さが50μm以下であるならば差し支えない。
【0020】このようなハニカム構造のテクスチュア
は、その凹部に磁気記録媒体表面に塗布されている潤滑
剤をためることができるので、磁気ヘッド進行方向の凸
部前部の潤滑膜厚が厚くなると共に、潤滑剤が凸部に供
給されやすくなり、テクスチュアの凸部の摩耗を防止す
ることができる。
【0021】すなわち、ハニカム構造は、磁気ヘッドの
流入側より流出側に凸部が入り組んだ構造であり、磁気
ヘッドに付着した潤滑剤はその方向に流れるため、潤滑
剤の流れが凹部で分断されて凹部に溜まりやすくなる。
これが磁気ヘッドの流入側から流出側まで突起が入り組
まない構造のテクスチュアの場合には、潤滑剤の流れに
対し分断する凸部又は凹部がないため、磁気ヘッドの摩
耗が進行しやすくなる。このハニカム構造は、凸部の一
部が切断された形状でもある程度の効果があるので、凸
部の面積の割合を考慮し、例えば図に示したように、そ
の一部を切断して使用することもできる。
【0022】また、多角形又は多角形の角部が所望の曲
率を持つ形状のハニカム構造テクスチュアを磁気ヘッド
素子部の流入側前部に又は素子部表面に形成すると、素
子部の上には潤滑剤が常に供給され易くなり、素子部の
摩耗を低減することが可能となる。MR素子を有する磁
気ヘッドがこのような構成をとれば、この磁気ヘッドで
問題となるMR素子部と磁気記録媒体が接触時に発生す
る熱により生じるエラー、いわゆるサーマルアスペリテ
ィの発生確立を低減することができる。
【0023】テクスチュアの凹部底部の表面エネルギー
を低下させると、磁気記録媒体上の潤滑剤が凹部に溜ま
った場合にもその潤滑剤と凹部底部の表面は濡れ難いの
で、潤滑剤ははじかれ、流出側の凸部に流れやすくな
る。そのため凸部は摩耗し難くなる。さらに潤滑剤と凹
部底部は濡れにくいため、潤滑剤が磁気ヘッドと磁気記
録媒体との間に多量にあったとしても、磁気ヘッドと磁
気記録媒体表面の接触部で潤滑剤のメニスカスを形成す
る面積が凸部の面積に近いものとなるため摩擦力が小さ
くなる。
【0024】凹部底部の表面エネルギーを低下させるに
は、表面エネルギーの小さい物質の膜を凹部底部の少な
くとも一部に設ければよい。仮りにこのような物質で凸
部の表面部分、つまり直接磁気記録媒体と接する部分が
形成されていると、このような物質は、一般的に耐摩耗
性が劣るため、すぐ摩耗してしまい、長時間の信頼性を
維持することは難しい。しかし、凹部にそのような表面
エネルギーが小さい物質の膜を形成すると、その膜と磁
気記録媒体表面は直接接触しないため、表面エネルギー
を低下させるための膜は摩耗しない。それ故長時間の信
頼性を維持することができる。
【0025】次に、ハニカム構造のテクスチュアの形状
を多角形又は多角形の各部が曲率を持った形状にするこ
とについて説明する。ある面積すなわち磁気ヘッドのス
ライダ面に対して凹部の数を最も多くすると共に、その
凹部の面積に対し凸部の面積の比率を小さくするには上
記の形状とすることが好ましい。凹部の数を多くするこ
との理由は、凹部のサイズを小さくすることで、その凹
部に潤滑剤が蓄積したとき、蓄積量が少なくても潤滑剤
が凸部に供給されるようにするためである。従って、そ
れだけ凸部の摩耗を低減することが可能である。また凸
部の面積の比率を小さくすることの理由は、磁気記録媒
体との真実接触面積を低減し、磁気記録媒体との摩擦力
を低減するためである。しかしながら凸部の幅は、現状
では技術的に100nmレベルが限度であり、凹部の数
を多くした上で凸部の面積比率を小さくするためには前
述したような形状とすること、特に六角形とすることが
好ましい。
【0026】次ぎに、本発明の磁気ヘッドの作成方法の
一例を図3、図4を用いて説明する。まずアルミナチタ
ンカーバイド(Al23−TiC)11よりなる磁気ヘ
ッドのスライダ表面に、厚さ5nmのシリコン(Si)
10の膜を、次に厚さ15nmのカーボン(C)9の膜
をスパッタ法により形成する。このときの断面構造を図
3に示す。
【0027】次に、図4に示すように、希望する形状の
凹部を形成するためのマスク12を形成した後、酸素に
よりスライダ表面のカーボンの一部13をエッチングす
る。シリコン10の膜に到達する前にエッチングを止め
てもかまわないが、シリコン10の膜に到達すると、そ
れ以上はエッチング速度が異なるため、エッチング量の
コントロールが容易にできる。このようにして用いたマ
スクの形状の多角形の凹部がスライダ表面に形成され
る。
【0028】カーボン膜の膜厚を変化させることでスラ
イダ表面の凸部高さは任意に設定することが可能であ
る。またマスクの形状を変えることで凸部の面積比率、
凹部の個数、多角形の形状を任意に設定することが可能
である。本実施例は保護膜を形成した磁気ヘッドへのテ
クスチュアの形成方法を示しているが、保護膜を形成し
ていない磁気ヘッドに対してもエッチングのガス種の変
更や、イオンビームによるエッチングを行うことで同様
の形状を作成できる。
【0029】このような方法で作成したサンプルの一覧
表を表1に示す。表のローマ数字は比較例を示す。ま
た、テクスチュア形状の六角形凹とは図2(c)の形状
であり、三角形凹とは図2(b)の形状であり、四角形
凹とは図2(d)の形状である。比較例のテクスチュア
形状の線状凸、四角形凸を図13(a)、(b)に示
す。なお、No.9の凸部ピッチは55μmであるが、
凹部の磁気ヘッドの流入側から流出側方向の大きさは、
約50μmである。また、凸部の面積比率は光学顕微鏡
により算出し、凸部の高さは接触式面粗さ計にて測定し
た。
【0030】
【表1】
【0031】こうして形成したサンプルの一部をステア
リン酸を蒸着してその後150度、1時間加熱後アルコ
ールにて不要な膜を除去した。このサンプルの断面拡大
図を図5に示す。凹部底部のシリコン10上に、ステア
リン酸14の膜が形成されている。また、熱重合性のフ
ッ素系潤滑剤(PFPE)の1wt%溶液中に、上記サ
ンプルの一部を浸漬した後に、150度にて1時間加熱
し、さらに溶剤にて不要な膜を除去した。これらの材料
は、加熱することによりその表面エネルギーが磁気記録
媒体に塗布されている液体潤滑剤の表面張力(通常25
dyn/cm)より小さくなる。
【0032】表面エネルギーの小さい膜の製造の際に加
熱等により原料を磁気ヘッドスライダ面と反応させた
り、また、余分な材料を溶剤により洗い流したりするの
は、磁気ヘッドが磁気ディスクに組み込まれて使用され
たとき、装置の使用環境が50〜60度程度であるの
で、表面エネルギーの小さい膜が蒸発等により減少して
その効果を維持できなくなることを防止し、また、余分
な材料が蒸発や脱落することでヘッドの安定浮上、安定
接触を阻害することを防止するためである。
【0033】これらのサンプルの特性を表2に示す。ロ
ーマ数字で示した比較例は、加熱しなかった場合となに
も処理しない場合である。なお、これらの処理をしない
とき、つまり凹部底部が保護膜のカーボンやシリコンで
あるとき、その表面エネルギーは約40dyn/cm以
上で、液体潤滑剤の表面張力より大きくなる。なお、表
面エネルギーはスライダをマスクなしでエッチングして
同様の処理を行った後、そのスライダ面に各種の液滴を
滴下したときの接触角よりジスマンプロットを求め、臨
界表面エネルギーという形で示した。
【0034】
【表2】
【0035】上記の磁気ヘッド又は同様の方法で凸部高
さ等を変えて作成した種々の磁気ヘッドについて、テク
スチュアの効果を検討した。図2(c)に示した六角形
のテクスチュアを形成した磁気ヘッドに、液体潤滑剤を
約20A塗布した磁気記録媒体を組み合わせて10rp
mで回転させたときの摩擦係数を、凸部高さRa(アト
ミックフォースマイクロスコープ;AFMにて測定)を
約5nmとし、凸部面積比率をパラメータとして測定し
た。その結果を図6に示す。また、凸部高さを変えた場
合の摩擦係数を図7に示す。凸部面積比率を0%より大
きく、30%以下とすることで摩擦係数は著しく低下し
ている。また凸部高さを7〜20nmとすることで摩擦
係数は低くなっている。
【0036】次に、テクスチュアの形状の比較のために
表1の各種の形状をした磁気ヘッドにより摩耗試験を行
った。摩耗試験は前述した磁気記録媒体と同じもので、
周速13m/s、ヘッド浮上量3nmの条件で同一トラ
ックを100000パス摺動させた後、面粗さ計により
磁気ヘッドの凸部の高さを測定して摩耗量を算出した。
その結果を図8に示す。
【0037】この結果より比較例として挙げた凸部が磁
気ヘッド流入側より流出側に連なっているタイプのテク
スチュア(No.V)、凸部に囲まれた凹部を形成して
いないドット状のテクスチュア(No.VI)を有する磁
気ヘッドは、保護膜凸部の摩耗量が大きい。また、比較
例のテクスチュアを形成していない(No.VII)磁気
ヘッドは、接触面積が大きいため、摩擦力が大きく、摩
耗が激しい。一方、本発明のハニカム状、すなわち凹部
が入り組んだ形状をしたテクスチュアを有する磁気ヘッ
ドは摩耗が小さいことが判った。
【0038】次に表面エネルギーを低下させる膜を凹部
に形成した表2の磁気ヘッドを、突起高さ約5nmで、
表面張力が25(dyn/cm)の液体潤滑剤を60A
塗布した磁気記録媒体で摩擦力を測定した。その結果を
図9に示す。この結果から表面エネルギーを小さくする
ことで摩擦係数が小さくなることが判る。そして表面エ
ネルギーが25dyn/cm以下となることでその効果
が大きくなっている。すなわち、凹部の底部の表面エネ
ルギーを、磁気記録媒体に塗布されている潤滑剤の表面
張力以下とすると摩擦力を低減できる。この場合、潤滑
剤は凹部に濡れ拡がることがなく、磁気ヘッドと磁気記
録媒体との間に潤滑剤によるメニスカスを形成しないた
め摩擦力が低減するものと推定される。
【0039】さらに、実際の磁気ディスク装置としての
信頼性を確認するため、表1、2で示した磁気ヘッドを
磁気ディスク装置に組み込み、突起高さ約5nm、潤滑
膜厚20Aの磁気記録媒体との組み合わせで、500時
間に及ぶ寿命試験を行った。この試験は磁気ヘッドをフ
ルトラックに渡り常時シークさせるものであり、10
0、200、300、400、500時間後に48時間
停止させ静止摩擦力を測定し、500時間後のヘッド保
護膜の摩耗量を測定した。その結果の静止摩擦力の測定
結果を図10に示す。
【0040】この結果から本発明のハニカム構造テクス
チュアの磁気ヘッドは、比較例の磁気ヘッドと比較し
て、静止摩擦力の増加が100時間程度まで小さいこと
が判る。また、テクスチュアの凹部の底部の表面エネル
ギーを低減した磁気ヘッドは、500時間後でも静止摩
擦力の増加が見られない。しかし、比較例の磁気ヘッド
は静止摩擦力が増加している。次に、磁気ヘッドの保護
膜の摩耗量を測定した結果を図11に示す。本発明の磁
気ヘッドは、比較例の磁気ヘッドと比較して摩耗量が著
しく小さいことが判る。
【0041】これらの結果を総合すると、本発明のハニ
カム構造テクスチュアの磁気ヘッドを使用することで、
磁気ヘッドの保護膜の摩耗量を著しく小さくできると共
に、さらに、テクスチュアの凹部の底部の表面エネルギ
ーを低減することにより、長期稼働後の静止摩擦力を低
減できることが判った。
【0042】次に、本発明の磁気ヘッドと組み合わせる
磁気記録媒体の面粗さを変化させた場合について、前述
の磁気ディスク装置で検討した。磁気記録媒体の面粗さ
は、突起高さで約5、10、13、16nmとし、磁気
ヘッドは表1のNo.3と比較例の表1のNo.VIIを
用いた。500時間後の磁気ヘッドの保護膜の摩耗量を
図12に示す。
【0043】その結果、比較例では磁気記録媒体の面粗
さが13nm以下から急激に摩耗が増加するが、本実施
例の磁気ヘッドを用いれば摩耗が増加しない。すなわ
ち、従来の磁気ヘッドでは使用できなかった突起高さ1
3nm以下の非常に平坦な磁気記録媒体を使用すること
が可能になり、そのため磁気ヘッドの浮上量を下げるこ
とができる。従って高密度記録が可能となる。
【0044】
【発明の効果】本発明によれば、磁気ヘッドのスライダ
面の摩耗を防止した、静止摩擦力の小さい磁気ヘッドが
得られる。また、この磁気ヘッドを用いた磁気記録装置
は優れた信頼性を示す。また、表面粗さの小さい磁気記
録媒体と組み合わせることにより、高記録密度に適した
磁気記録装置とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の磁気記録装置の模式図。
【図2】本発明の磁気ヘッドの斜視図及び磁気ヘッドス
ライダ面の拡大図。
【図3】本発明の磁気ヘッドのスライダ表面部分の拡大
断面図。
【図4】本発明の磁気ヘッドの製造方法の説明図。
【図5】本発明の磁気ヘッドの製造方法の説明図。
【図6】磁気ヘッドのスライダ面の凸部面積比率と摩擦
係数の関係図。
【図7】磁気ヘッドのスライダ面の凸部高さと摩擦係数
の関係図。
【図8】従来及び本発明の磁気ヘッドの保護膜摩耗量を
示す図。
【図9】表面エネルギーと摩擦係数の関係図。
【図10】従来及び本発明の磁気ヘッドのシーク時間と
静止摩擦力の関係図。
【図11】従来及び本発明の磁気ヘッドの保護膜摩耗量
を示す図。
【図12】従来及び本発明の磁気ヘッドの保護膜摩耗量
と磁気ディスクの突起高さとの関係図。
【図13】比較例の磁気ヘッドスライダ面の拡大図。
【符号の説明】
1…磁気記録媒体 2…磁気ヘッド 3…スピンドルモータ 4…ボイスコイルモータ 5…リードライトアンプ 6…スライダ面 7…凸部 8…凹部 9…カーボン 10…シリコン 11…アルミナチタンカーバイド 12…マスク 13…カーボンの一部 14…ステアリン酸 15…リードライト素子
フロントページの続き (72)発明者 小川 陽子 神奈川県小田原市国府津2880番地 株式 会社日立製作所ストレージシステム事業 部内 (72)発明者 白倉 高明 神奈川県小田原市国府津2880番地 株式 会社日立製作所ストレージシステム事業 部内 (56)参考文献 特開 平9−91649(JP,A) 特開 昭61−87209(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G11B 21/21 G11B 5/60 G11B 5/82

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】スライダとリードライト素子を有し、磁
    記録媒体に情報の記録、再生を行うための磁気ヘッドに
    おいて、該磁気記録媒体の表面粗さRpは、13nm以下であ
    り、 上記スライダの浮上面又は摺動接触面は、多角形又は多
    角形の角部が所望の曲率を持つ形状の凹部よりなるハニ
    カム形状のテクスチュアを有し、 該テクスチュアの凸部の面積の割合は、0.5%以上、
    30%以下である ことを特徴とする磁気ヘッド。
  2. 【請求項2】スライダとリードライト素子を有し、磁気
    記録媒体に情報の記録、再生を行うための磁気ヘッドに
    おいて、該磁気記録媒体の表面粗さRpは、13nm以下であ
    り、 上記スライダの浮上面又は摺動接触面は、複数の凹部を
    有し、該凹部の底部の少なくとも一部は、上記磁気記録
    媒体の表面に配置される潤滑剤の表面張力より小さい表
    面エネルギーを持ち、 上記凹部によって構成される凸部の面積の割合は、0.
    5%以上、30%以下である ことを特徴とする磁気ヘッ
    ド。
  3. 【請求項3】上記凹部は、多角形又は多角形の角部が所
    望の曲率を持つ形状の凹部よりなるハニカム形状のテク
    スチュアを構成することを特徴とする請求項2記載の磁
    気ヘッド。
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