しかしながら、アクチュエータには、オーバーシュートが発生する場合がある。オーバーシュートが発生すると、アクチュエータにより駆動されるスロットルバルブも、当該オーバーシュート発生量の分だけ、余分に動いてしまう。すなわち、スロットルバルブを開状態(全開位置、あるいは全閉位置と全開位置との間)から全閉位置に切り替える際、スロットルバルブは、オーバーシュート発生量の分だけ、全閉位置を越えて動こうとする。前述したように、全閉位置は、スロットルバルブの外周縁が吸気通路の通路壁に突き当たる位置に設定されている。このため、スロットルバルブを全閉位置に切り替える際、スロットルバルブが吸気通路の通路壁に衝突してしまう。
このように、同文献記載のスロットルバルブアセンブリに代表される従来のバルブアセンブリによると、開状態から全閉位置に切り替える際、バルブと通路壁との間に、オーバーシュート発生量に相当する衝突荷重が発生するおそれがあった。このため、バルブや通路壁は勿論、アクチュエータの減速ギアなどバルブアセンブリを構成する各部品にも、衝突に起因する衝撃が加わるおそれがあった。そして、当該衝撃により各部品が摩耗するため、通路を流れる流体に対する流量制御精度が劣化するおそれがあった。また、各部品の寿命が短くなるおそれがあった。
本発明のバルブアセンブリおよびバルブ位置学習方法およびバルブ位置学習プログラムは、上記課題に鑑みて完成されたものである。したがって、本発明は、バルブを開状態から全閉位置に切り替える際、バルブと通路壁との間に、オーバーシュート発生量に相当する衝突荷重が発生しにくいバルブアセンブリおよびバルブ位置学習方法およびバルブ位置学習プログラムを提供することを目的とする。
(1)上記課題を解決するため、本発明のバルブアセンブリは、内部に通路が形成されたハウジングと、該通路を全閉位置から全開位置までの範囲で開閉制御可能なバルブと、該バルブを駆動するアクチュエータと、該全閉位置および該全開位置に対応する位置データを格納し、該アクチュエータに駆動信号を伝送するアクチュエータ制御ユニットと、を備えてなるバルブアセンブリであって、前記全閉位置は、前記バルブが前記通路の通路壁に当接する当接位置に対して、前記アクチュエータのオーバーシュート発生量に応じて、開方向にシフトして設定されていることを特徴とする。
本発明のバルブアセンブリの全閉位置は、当接位置ではなく、当接位置よりも開方向にシフトした所定位置に設定されている。また、当接位置から全閉位置へのバルブのシフト量は、アクチュエータのオーバーシュート発生量に応じて、設定されている。
本発明のバルブアセンブリによると、バルブを開状態から全閉位置に切り替える際、アクチュエータのオーバーシュートにより、バルブが全閉位置を越えて動いても、バルブが通路の通路壁(つまり当接位置)に衝突しにくい。このため、衝突に起因する衝撃により、バルブアセンブリを構成する各部品が摩耗しにくい。また、通路を流れる流体に対する流量制御精度が劣化するおそれが小さい。また、各部品の寿命が長い。
ここで、本明細書において、「全閉位置」とは、通路断面積が最小になるように設定された位置をいう。また、本明細書において、「全開位置」とは、通路断面積が最大になるように設定された位置をいう。
また、本明細書において、当接位置から全閉位置へのバルブのシフト量を、「アクチュエータのオーバーシュート発生量に応じて」設定する場合には、バルブのシフト量をオーバーシュート発生量以上とする場合は勿論、当該シフト量をオーバーシュート発生量未満とする場合も含まれる。
シフト量をオーバーシュート発生量未満とする場合、開状態から全閉位置への切り替えの際、バルブが通路壁に衝突することも考えられる。しかしながら、当接位置そのものを全閉位置に設定していた従来のバルブアセンブリと比較して、バルブ衝突時の衝突荷重を小さくすることができる。
また、本明細書において、当接位置から全閉位置へのバルブのシフト量を、「アクチュエータのオーバーシュート発生量に応じて」設定する場合には、全閉位置において通路を流れる流体の流量が所望の締め切り性能を満たすことを条件に、シフト量を設定する場合も含まれる。
(2)好ましくは、前記全閉位置は、前記当接位置に対して、前記オーバーシュート発生量に略等しい分だけ、開方向にシフトして設定されている構成とする方がよい。つまり、本構成は、当接位置から全閉位置へのバルブのシフト量とオーバーシュート発生量とを、略等しくするものである。
本構成によると、バルブを開状態から全閉位置に切り替える場合、バルブが通路壁に衝突しない。このため、当然、衝突に起因する衝撃も発生しない。衝撃自体が発生しないため、衝撃によりバルブアセンブリを構成する各部品が摩耗するおそれがない。並びに、衝撃により通路を流れる流体に対する流量制御精度が劣化するおそれがない。また、衝撃自体が発生しないため、各部品の寿命がさらに長くなる。
(3)さらに、前記アクチュエータ制御ユニットを制御可能な位置学習ユニットを備え、該位置学習ユニットは、該アクチュエータ制御ユニットおよび前記アクチュエータを介して、前記バルブを閉方向に駆動し、該アクチュエータの消費電流検出値が所定しきい値以上となった場合、該バルブが前記当接位置に到達したと判別し、該当接位置に対して、前記オーバーシュート発生量に応じて開方向にシフトした所定位置を、前記全閉位置とし、該全閉位置に対応する前記位置データを該アクチュエータ制御ユニットに書き込む構成とする方がよい。
つまり、本構成は、位置学習ユニットにより全閉位置を設定するものである。そして、設定した全閉位置に対応する位置データを、アクチュエータ制御ユニットに書き込むものである。本構成によると、運転時におけるバルブの全閉位置制御を、位置学習ユニットを用いずに実行することができる。
したがって、一例として、全閉位置書き込み時(例えばバルブアセンブリ組み付け直後)だけ、位置学習ユニットをアクチュエータ制御ユニットに接続してもよい。こうすると、運転時において、位置学習ユニットをバルブアセンブリから切り離しておくことができる。
(4)好ましくは、上記(3)の構成において、前記位置学習ユニットは、さらに、前記全開位置に対応する前記位置データを前記アクチュエータ制御ユニットに書き込む構成とする方がよい。
つまり、本構成は、全閉位置に対応する位置データに加えて、全開位置に対応する位置データも、アクチュエータ制御ユニットに書き込むものである。本構成によると、運転時におけるバルブの全閉位置制御および全開位置制御を、位置学習ユニットを用いずに実行することができる。
(5)好ましくは、前記バルブは、前記アクチュエータにより回転駆動される弁軸と、該弁軸と共に回転する弁体と、を備えるバタフライバルブである構成とする方がよい。バタフライバルブを用いると、弁体を回転させることにより、弁体の面展開方向と通路の延在方向とを略平行にすることができる。このため、他のバルブを用いる場合と比較して、全開位置における通路断面積を、比較的大きく確保することができる。
(6)好ましくは、上記(5)の構成において、前記アクチュエータは、駆動力を外部に出力する駆動軸を備え、該駆動軸と前記弁軸とは、軸直方向に互いにずれて配置されており、該駆動軸と該弁軸とは、複数のリンク部材が互いに揺動可能に連なるリンク機構部を介して、連結されている構成とする方がよい。
本構成によると、駆動軸と弁軸とを同軸上に配置する場合と比較して、バタフライバルブとアクチュエータとの相対的な配置の自由度が高くなる。このため、バルブアセンブリのスペース効率を高くすることができる。また、ハウジングが高温の場合、アクチュエータをハウジングから離間して設置することができる。
(7)好ましくは、上記(6)の構成において、複数の前記リンク部材のうち少なくとも一つは、アルミニウムおよびマグネシウムのうち少なくとも一種を含む金属により形成されている構成とする方がよい。
本構成によると、リンク部材が軽量になる。このため、リンク部材の振動に伴う摩耗を抑制することができる。したがって、さらに、流量制御精度の劣化を抑制することができる。また、さらに、バルブアセンブリを構成する各部品の寿命が長くなる。
ここで、「アルミニウムおよびマグネシウムのうち少なくとも一種を含む金属」としては、例えば、アルミニウム、マグネシウム、アルミニウム合金、マグネシウム合金などが挙げられる。
(8)好ましくは、上記(6)の構成において、前記リンク機構部の有する摺接部分のうち少なくとも一部には、樹脂製の耐摩耗部材が配置されている構成とする方がよい。
本構成によると、耐摩耗部材と相手側部材(例えば、リンク部材、リンクピン、ブッシュなど)との間の摺動抵抗が小さくなる。このため、耐摩耗部材および相手側部材の摩耗を抑制することができる。したがって、さらに、流量制御精度の劣化を抑制することができる。また、バルブアセンブリを構成する各部品の寿命がさらに長くなる。
ところで、摺接部分において金属同士が摺接している場合、金属表面に侵炭、窒化処理、高周波焼き入れなどの表面処理を施し、摺接部分の摩耗を抑制することも考えられる。しかしながら、この場合、時間が経つと処理層が摩耗して消失してしまう。これに対し、本構成によると、耐摩耗部材自体が耐摩耗性に優れた樹脂により形成されている。このため、長期間に亘り、摺接部分の摩耗を抑制することができる。
(9)好ましくは、上記(6)の構成において、前記リンク機構部と前記弁軸との間、および該リンク機構部と前記駆動軸との間、のうち少なくとも一方には、該リンク機構部を一方向に付勢する付勢部材が介装されている構成とする方がよい。
本構成によると、リンク機構部を一方向(開方向あるいは閉方向)に付勢することができる。リンク機構部を付勢すると、リンク機構部のがたつきが小さくなる。このため、リンク機構部を構成する部品の接触部が常に一定となる。したがって、リンク機構部による連結距離が一定となり、開度が安定する。すなわち、開方向および閉方向におけるバタフライバルブの開度精度が向上する。
(10)好ましくは、前記通路は、内燃機関の吸気通路と排気通路とを連通する排気ガス再循環通路である構成とする方がよい。つまり、本構成は、本発明のバルブアセンブリをEGRシステムに用いるものである。本構成によると、排気ガス再循環通路を流れる排気ガスの流量制御精度の劣化、延いてはEGRシステム全体の性能劣化を抑制することができる。
(11)また、上記課題を解決するため、本発明のバルブ位置学習方法は、ハウジングの内部に形成された通路を開閉制御可能なバルブを、アクチュエータにより閉方向に駆動する閉方向駆動工程と、該アクチュエータの消費電流検出値が所定しきい値以上となった場合、該バルブが該通路の通路壁に当接する当接位置に到達したと判別する当接位置判別工程と、該当接位置に対して、該アクチュエータのオーバーシュート発生量に応じて開方向にシフトした所定位置を、全閉位置とし、該全閉位置に対応する位置データを、該アクチュエータに駆動信号を伝送するアクチュエータ制御ユニットに、書き込む全閉位置書き込み工程と、を有することを特徴とする。
本発明のバルブ位置学習方法は、閉方向駆動工程と当接位置判別工程と全閉位置書き込み工程とを有する。閉方向駆動工程においては、アクチュエータによりバルブを閉方向に動かす。当接位置判別工程においては、閉方向に移動しているバルブが当接位置に到達したことを判別する。すなわち、バルブが通路壁に当接すると、アクチュエータの消費電流が大きくなる。本工程では、消費電流検出値が所定しきい値以上となったことにより、バルブが当接位置に到達したことを判別する。全閉位置書き込み工程においては、アクチュエータ制御ユニットに、全閉位置に対応する位置データを書き込む。
本発明のバルブ位置学習方法によると、バルブを開状態から全閉位置に切り替える際、アクチュエータのオーバーシュートにより、バルブが全閉位置を越えて動いても、バルブが通路の通路壁に衝突しにくい。このため、衝突に起因する衝撃により、バルブアセンブリを構成する各部品が摩耗しにくい。また、通路を流れる流体に対する流量制御精度が劣化するおそれが小さい。また、各部品の寿命が長い。
(12)好ましくは、上記(11)の構成において、前記全閉位置書き込み工程において、前記全閉位置は、前記当接位置に対して、前記オーバーシュート発生量に略等しい分だけ、開方向にシフトして設定されている構成とする方がよい。つまり、本構成は、当接位置から全閉位置へのバルブのシフト量とオーバーシュート発生量とを、略等しくするものである。
本構成によると、バルブを開状態から全閉位置に切り替える場合、バルブが通路壁に衝突しない。このため、当然、衝突に起因する衝撃も発生しない。衝撃自体が発生しないため、衝撃によりバルブアセンブリを構成する各部品が摩耗するおそれがない。並びに、衝撃により通路を流れる流体に対する流量制御精度が劣化するおそれがない。また、衝撃自体が発生しないため、各部品の寿命がさらに長くなる。
(13)好ましくは、上記(11)の構成において、さらに、前記全閉位置書き込み工程の後に、前記バルブの全開位置に対応する位置データを前記アクチュエータ制御ユニットに書き込む全開位置書き込み工程を有する構成とする方がよい。本構成によると、運転時において、バルブの全閉位置制御および全開位置制御を実行することができる。
(14)好ましくは、上記(11)の構成において、さらに、前記全閉位置書き込み工程の後に、前記全閉位置において前記通路を流れる流体の流量が、所定しきい値以下か否かを判別する全閉位置流量判別工程を有する構成とする方がよい。本構成によると、全閉位置において要求されるバルブ締め切り性能が、確保されているか否かをチェックすることができる。
(15)また、上記課題を解決するため、本発明のバルブ位置学習プログラムは、コンピュータを、ハウジングの内部に形成された通路を開閉制御可能なバルブを、アクチュエータにより閉方向に駆動する閉方向駆動手段、該アクチュエータの消費電流検出値が所定しきい値以上となった場合、該バルブが該通路の通路壁に当接する当接位置に到達したと判別する当接位置判別手段、該当接位置に対して、該アクチュエータのオーバーシュート発生量に応じて開方向にシフトした所定位置を、全閉位置とし、該全閉位置に対応する位置データを、該アクチュエータに駆動信号を伝送するアクチュエータ制御ユニットに、書き込む全閉位置書き込み手段、として機能させることを特徴とする。
本発明のバルブ位置学習プログラムは、コンピュータを、閉方向駆動手段、当接位置判別手段、全閉位置書き込み手段として機能させる。コンピュータを閉方向駆動手段として機能させる場合は、コンピュータからアクチュエータに、直接あるいは間接的に駆動指示を出すことにより、バルブを閉方向に動かす。コンピュータを当接位置判別手段として機能させる場合は、コンピュータにより、閉方向に移動しているバルブが当接位置に到達したことを判別する。すなわち、バルブが通路壁に当接すると、アクチュエータの消費電流が大きくなる。コンピュータは、アクチュエータの消費電流検出値と所定しきい値との比較を行う。比較の結果、消費電力検出値が所定しきい値以上となった場合、バルブが当接位置に到達したことを判別する。コンピュータを全閉位置書き込み手段として機能させる場合は、コンピュータがアクチュエータ制御ユニットに、全閉位置に対応する位置データを書き込む。
本発明のバルブ位置学習プログラムによると、バルブを開状態から全閉位置に切り替える際、アクチュエータのオーバーシュートにより、バルブが全閉位置を越えて動いても、バルブが通路の通路壁に衝突しにくい。このため、衝突に起因する衝撃により、バルブアセンブリを構成する各部品が摩耗しにくい。また、通路を流れる流体に対する流量制御精度が劣化するおそれが小さい。また、各部品の寿命が長い。
(16)好ましくは、上記(15)の構成において、前記コンピュータを前記全閉位置書き込み手段として機能させる場合において、前記全閉位置は、前記当接位置に対して、前記オーバーシュート発生量に略等しい分だけ、開方向にシフトして設定されている構成とする方がよい。つまり、本構成は、当接位置から全閉位置へのバルブのシフト量とオーバーシュート発生量とを、略等しくするものである。
本構成によると、バルブを開状態から全閉位置に切り替える場合、バルブが通路壁に衝突しない。このため、当然、衝突に起因する衝撃も発生しない。衝撃自体が発生しないため、衝撃によりバルブアセンブリを構成する各部品が摩耗するおそれがない。並びに、衝撃により通路を流れる流体に対する流量制御精度が劣化するおそれがない。また、衝撃自体が発生しないため、各部品の寿命がさらに長くなる。
(17)好ましくは、上記(15)の構成において、前記コンピュータを、さらに、前記バルブの全開位置に対応する位置データを前記アクチュエータ制御ユニットに書き込む全開位置書き込み手段として機能させる構成とする方がよい。本構成によると、運転時において、バルブの全閉位置制御および全開位置制御を実行することができる。
(18)好ましくは、上記(15)の構成において、前記コンピュータを、さらに、前記全閉位置において前記通路を流れる流体の流量が、所定しきい値以下か否かを判別する全閉位置流量判別手段として機能させる構成とする方がよい。本構成によると、全閉位置において要求されるバルブ締め切り性能が、確保されているか否かをチェックすることができる。
本発明によると、バルブを開状態から全閉位置に切り替える際、バルブと通路壁との間に、オーバーシュート発生量に相当する衝突荷重が発生しにくいバルブアセンブリおよびバルブ位置学習方法およびバルブ位置学習プログラムを提供することができる。
以下、本発明のバルブアセンブリおよびバルブ位置学習方法およびバルブ位置学習プログラムの実施の形態について説明する。
<第一実施形態>
まず、本実施形態のバルブアセンブリの配置について説明する。図1に、本実施形態のバルブアセンブリの配置図を示す。図に示すように、本実施形態のバルブアセンブリ1は、主に、ハウジング2とバタフライバルブ3とモータ4とモータ制御ユニット5と位置学習ユニット6とリンク機構部(図略)とを備えている。モータ4は、本発明のアクチュエータに含まれる。モータ制御ユニット5は、本発明のアクチュエータ制御ユニットに含まれる。
ハウジング2は、エンジン9のインレットマニホールド90とエキゾーストマニホールド91との間に介装されている。エンジン9は、本発明の内燃機関に含まれる。インレットマニホールド90の内部には、吸気通路900が形成されている。同様に、エキゾーストマニホールド91の内部には、排気通路910が形成されている。ハウジング2の内部には、排気ガス再循環通路20が形成されている。排気ガス再循環通路20は、吸気通路900と排気通路910とを連通している。
バタフライバルブ3は、ハウジング2に配置されている。バタフライバルブ3は、排気ガス再循環通路20を開閉可能である。モータ4は、後述するリンク機構部を介して、バタフライバルブ3に連結されている。モータ制御ユニット5は、モータ4と一体に配置されている。モータ制御ユニット5は、モータ4を駆動制御している。位置学習ユニット6は、位置学習時に限り、モータ制御ユニット5に電気的に接続されている。すなわち、車両運転時においては、位置学習ユニット6は車両から取り外されている。位置学習は、バルブアセンブリ1組み付け後から車両に搭載する前までの間に、実行される。ECU(engine control unit)92は、バルブアセンブリ1を車両に搭載した後で、モータ制御ユニット5に電気的に接続される。
次に、本実施形態のバルブアセンブリの電気的構成について説明する。図2に、本実施形態のバルブアセンブリのブロック図を示す(位置学習時)。図に示すように、モータ制御ユニット5は、EEPROM(electrically erasable programmable read−only memory)50とCPU(central processing unit)51とモータ駆動回路52とを備えている。
EEPROM50には、後述する位置学習により、バタフライバルブ3の全閉位置および全開位置に対応する位置データが書き込まれる。EEPROM50は、電気的方法で位置データを消去し、書き換えることができる。
CPU51は、EEPROM50に電気的に接続されている。CPU51は、所定の演算処理を行う。CPU51は、電源線L1を介して、電源93と電気的に接続されている。電源線L1には、電流計7が配置されている。
モータ駆動回路52は、CPU51に電気的に接続されている。モータ駆動回路52は、モータ4を駆動するための駆動信号を形成する。モータ駆動回路52は、電源線L2および電源線L1を介して、電源93に電気的に接続されている。したがって、電流計7により、モータ4の消費電流を検出することができる。
モータ4は、モータ駆動回路52に電気的に接続されている。また、モータ4には、ポジションセンサ42が配置されている。ポジションセンサ42は、モータ4の回転角を検出可能である。ポジションセンサ42は、モータ制御ユニット5のCPU51に、電気的に接続されている。
位置学習ユニット6は、EEPROM60とCPU61とを備えている。EEPROM60には、予め、消費電流しきい値Aとオーバーシュート発生角度Bとが格納されている。オーバーシュート発生角度Bは、本発明のオーバーシュート発生量に含まれる。オーバーシュート発生角度Bは、バルブアセンブリ1のスペックにより、適宜決定される。
CPU61は、EEPROM60と、電流計7と、モータ制御ユニット5と、電気的に接続されている。位置学習の際、CPU61は、消費電流しきい値Aとモータ4の消費電流検出値とを比較する。また、位置学習の際、CPU61は、オーバーシュート発生角度Bとモータ4の回転角とを比較する。
次に、本実施形態のバルブアセンブリの機械的構成について説明する。図3に、本実施形態のバルブアセンブリのリンク機構部付近の拡大斜視図を示す。図に示すように、リンク機構部8は、モータ4とバタフライバルブ3との間に介装されている。また、モータ4は、ハウジング2から離間して配置されている。
モータ4は、モータケース40と駆動軸41とを備えている。モータケース40には、モータ本体(図略)が収容されている。駆動軸41は、モータケース40から、外部に突出している。駆動軸41とモータ本体とは、複数のギアからなる減速機構部(図略)により、連結されている。
ハウジング2は、SUS製であって、短軸円筒状を呈している。ハウジング2の軸方向両端には、各々、フランジ21が形成されている。一対のフランジ21により、ハウジング2は、前出図1に示すインレットマニホールド90とエキゾーストマニホールド91との間に、取り付けられる。
図4に、図3のIIIA−IIIA模式断面図を示す。図に示すように、ハウジング2内部には、インナーパイプ22が嵌着されている。インナーパイプ22は、SUS製であって、排気ガス再循環通路20の一方の開口端から、軸方向半分に亘り配置されている。インナーパイプ22の端部には、弁座220が配置されている。弁座220は、本発明の通路壁に含まれる。
バタフライバルブ3は、弁体30と弁軸31とを備えている。弁体30は、SUS製であって、円板状を呈している。弁体30は、排気ガス再循環通路20に、回転可能に配置されている。弁体30の周縁は、弁座220に対して、離着可能である(ただし、後述するように、車両運転時において弁体30は弁座220に着座しない)。弁軸31は、SUS製であって、細板状を呈している。弁軸31は、弁体30の直径部分に固定されている。
図3に戻って、弁軸31の一端は、ハウジング2外部に突出している。弁軸31の当該突出部分は、SUS製であって円筒状の弁軸支持ボス310内部に、回転可能に支持されている。弁軸支持ボス310の外周側には、フェノール樹脂製であって円筒状のスペーサ311が環装されている。また、スペーサ311の外周側には、リターンスプリング312が環装されている。すなわち、スペーサ311により、リターンスプリング312と弁軸支持ボス310との干渉を防止している。リターンスプリング312は、本発明の付勢部材に含まれる。リターンスプリング312の一端は、後述するバルブ側アーム82に係止されている。リターンスプリング312の他端は、ハウジング2に係止されている。リターンスプリング312は、バタフライバルブ3を閉方向に付勢している。
リンク機構部8は、モータ側アーム80と中間アーム81とバルブ側アーム82とを備えている。リンク機構部8は、全体として折れ尺状(Z字状)を呈している。モータ側アーム80およびバルブ側アーム82は、各々、鉄製である。これに対して、中間アーム81は、アルミニウム製である。モータ側アーム80および中間アーム81およびバルブ側アーム82は、各々、細板状を呈している。モータ側アーム80および中間アーム81およびバルブ側アーム82は、各々、本発明のリンク部材に含まれる。
モータ側アーム80の一端は、ナット800を介して、駆動軸41に固定されている。モータ側アーム80の他端は、中間アーム81の一端に、揺動可能に接続されている。中間アーム81の他端は、バルブ側アーム82の一端に、揺動可能に接続されている。バルブ側アーム82の他端は、ナット820を介して、弁軸支持ボス310を貫通した弁軸31の一端に、固定されている。
図5に、図3の円IIIB内の分解斜視図を示す。図に示すように、モータ側アーム80の他端には、リンク孔801が穿設されている。リンク孔801には、ブッシュ84が嵌着されている。ブッシュ84は、ポリイミド樹脂製であって短軸円筒状を呈している。ブッシュ84は、本発明の耐摩耗部材に含まれる。同様に、中間アーム81の一端には、リンク孔810が穿設されている。リンク孔810には、ブッシュ85が嵌着されている。ブッシュ85は、ポリイミド樹脂製であって短軸円筒状を呈している。ブッシュ85は、本発明の耐摩耗部材に含まれる。これらブッシュ84、85の内周側には、リンクピン83が挿通されている。リンクピン83は、SUS製であって短軸丸棒状を呈している。リンクピン83の先端外周面には、リング状の係止溝830が周設されている。ブッシュ84(つまりモータ側アーム80)およびブッシュ85(つまり中間アーム81)を貫通したリンクピン83先端の係止溝830には、SUS製のストッパリング86が係止されている。なお、中間アーム81の他端とバルブ側アーム82の一端との間も、図5同様の構造により接続されている。したがって、ここでは説明を割愛する。
次に、本実施形態のバルブ位置学習方法について説明する。なお、以下の説明は、本実施形態のバルブ位置学習プログラムについての説明を兼ねている。本実施形態のバルブ位置学習方法は、閉方向駆動工程と当接位置判別工程と全閉位置書き込み工程と全開位置書き込み工程とを有する。図6に、本実施形態のバルブ位置学習方法のフローチャートを示す。以下、図6と前出図2、図3、図4を用いて各工程を説明する。
閉方向駆動工程においては、図2に示すように、位置学習ユニット6からモータ制御ユニット5に、モータ4の駆動指示が伝送される(図6のS1(ステップ1、以下同様に表記する))。駆動指示を受け、モータ制御ユニット5は、モータ4を駆動する。このため、図3に示すように、モータ4の駆動軸41が回転する。駆動軸41はモータ側アーム80の一端に固定されている。したがって、モータ側アーム80は、駆動軸41と共に、矢印Y1方向に、揺動する。モータ側アーム80の他端には、中間アーム81の一端が摺動可能に接続されている。このため、モータ側アーム80が揺動すると、中間アーム81は、モータ側アーム80と摺動しながら、矢印Y2方向に移動する。中間アーム81の他端には、バルブ側アーム82の一端が摺動可能に接続されている。また、バルブ側アーム82の他端には、バタフライバルブ3の弁軸31が固定されている。このため、中間アーム81が矢印Y2方向に移動すると、バルブ側アーム82は、中間アーム81と摺動しながら、弁軸31を中心に、矢印Y3方向に、揺動する。したがって、弁軸31および弁体30も、バルブ側アーム82と共に、回転する。なお、図2に示すように、モータ4の消費電流検出値は、電流計7からCPU61に伝送されている。CPU61は、予めEEPROM60に格納された消費電流しきい値Aと、消費電流検出値と、を比較している(図6のS2)。消費電流検出値が消費電流しきい値A未満の間、本工程は実行され続ける。
当接位置判別工程においては、消費電流検出値が消費電流しきい値A以上になったことから(図6のS2)、図4に示すように、弁体30周縁が弁座220に突き当たったことを判別する。つまり、弁体30が当接位置Dに到着したことを判別する。
全閉位置書き込み工程においては、図2に示すように、位置学習ユニット6からモータ制御ユニット5に、モータ4の駆動指示が伝送される。ただし、前記閉方向駆動工程とは逆方向の駆動指示が伝送される。駆動指示を受け、モータ制御ユニット5は、モータ4を駆動する。モータ4の駆動力は、図3に示すように、駆動軸41→モータ側アーム80→中間アーム81→バルブ側アーム82→弁軸31→弁体30の順に伝達される。駆動力を受け、弁体30は、開方向に回転する。
図2に示すように、モータ4の回転角は、ポジションセンサ42から、モータ制御ユニット5のCPU51を介して、位置学習ユニット6のCPU61に伝送されている。CPU61は、予めEEPROM60に格納されたオーバーシュート発生角度Bと、モータ4の回転角と、を比較している。モータ4の回転角が徐々に大きくなりオーバーシュート発生角度Bと一致した場合、当該一致した角度を全閉位置に決定する(図6のS3)。このため、図4に示すように、全閉位置Eは、弁座220から離座した位置になる。全閉位置Eにおいて、車両運転時における排気ガス再循環通路20の通路断面積は最小になる。図2に示すように、全閉位置に対応する位置データは、位置学習ユニット6のCPU61から、モータ制御ユニット5のCPU51に伝送され、モータ制御ユニット5のEEPROM50に書き込まれる。
全開位置書き込み工程においては、上記全閉位置を超えて、さらに、弁体30を開方向に回転させる。ポジションセンサ42からCPU61に伝送されるモータ4の回転角が、当接位置から90°に到達した場合、当該一致した角度を全開位置に決定する(図6のS4)。図4に示すように、全開位置Fにおいて、排気ガス再循環通路20の通路断面積は最大になる。図2に示すように、全開位置に対応する位置データは、位置学習ユニット6のCPU61から、モータ制御ユニット5のCPU51に伝送され、モータ制御ユニット5のEEPROM50に書き込まれる。
図7に、以上説明した本実施形態のバルブ位置学習方法を、模式的に示す。本実施形態のバルブ位置学習方法を実行することにより、モータ可動角全体から、車両運転時に用いる作動設定範囲(全閉位置Eから全開位置Fまでの区間)を決定することができる。
次に、本実施形態のバルブアセンブリおよびバルブ位置学習方法およびバルブ位置学習プログラムの作用効果について説明する。
本実施形態によると、全閉位置Eは、当接位置Dではなく、当接位置Dよりもオーバーシュート発生角度Bの分だけ開方向にシフトした所定位置に設定されている。このため、車両運転時において、バタフライバルブ3を開状態から全閉位置Eに切り替える際、モータ4のオーバーシュートにより、バタフライバルブ3が全閉位置Eを越えて動いても(全閉位置Eから当接位置Dまでの間の区間に進入しても)、バタフライバルブ3が弁座220(当接位置D)に衝突しない。このため、当然、衝突に起因する衝撃も発生しない。衝撃自体が発生しないため、衝撃によりバルブアセンブリ1を構成する各部品が摩耗するおそれがない。並びに、衝撃により排気ガスに対する流量制御精度が劣化するおそれがない。また、衝撃自体が発生しないため、各部品の寿命が長い。
また、本実施形態によると、全閉位置Eおよび全開位置F各々に対応する位置データは、位置学習ユニット6により、モータ制御ユニット5のEEPROM50に書き込まれる。このため、車両運転時におけるバタフライバルブ3の制御を、位置学習ユニット6を用いずに実行することができる。
また、本実施形態では、本発明のバルブとして、バタフライバルブ3を用いている。このため、他のバルブを用いる場合と比較して、全開位置Fにおける通路断面積を、比較的大きく確保することができる。
また、本実施形態によると、モータ4の駆動軸41とバタフライバルブ3の弁軸31とが、リンク機構部8を介して、軸直方向に互いにずれた状態で連結されている。このため、駆動軸41と弁軸31とを同軸上に配置する場合と比較して、バタフライバルブ3とモータ4との相対的な配置の自由度が高くなる。したがって、バルブアセンブリ1のスペース効率を高くすることができる。
また、ハウジング2は、排気ガス再循環通路20を流れる排気ガスからの伝熱により、高温になる。しかしながら、本実施形態の場合、リンク機構部8を採用したことにより、モータ4がハウジング2から離間して配置されている。このため、モータ4を排気ガスの熱から保護することができる。
また、本実施形態によると、リンク機構部8の中間アーム81がアルミニウムにより形成されている。このため、全て鉄製のリンク部材を用いたリンク機構部と比較して、リンク機構部8は軽量である。したがって、中間アーム81の振動に伴う摩耗を抑制することができる。つまり、さらに、流量制御精度の劣化を抑制することができる。並びに、さらに、バルブアセンブリ1を構成する各部品の寿命が長くなる。
また、リンク機構部8の摺接部分には、ポリイミド樹脂製のブッシュ84、85が配置されている。このため、ブッシュ84、85内周面とリンクピン83外周面との間の摺動抵抗が小さくなる。したがって、ブッシュ84、85およびリンクピン83の摩耗を抑制することができる。つまり、さらに、流量制御精度の劣化を抑制することができる。並びに、さらに、バルブアセンブリ1を構成する各部品の寿命が長くなる。
なお、リンク孔801、810の内周面に侵炭、窒化処理、高周波焼き入れなどの表面処理を施し、摺接部分の摩耗を抑制することも考えられる。しかしながら、この場合、時間が経つと処理層が摩耗して消失してしまう。これに対し、本実施形態によると、ブッシュ84、85自体がポリイミド樹脂により形成されている。このため、長期間に亘り、摺接部分の摩耗を抑制することができる。
とりわけ、本実施形態の位置学習方法は、バルブアセンブリを車両に搭載する前に、一回だけ行われる。このため、リンク機構部8の材質によっては、摩耗、がたつきなどにより、全閉位置、全開位置に誤差が発生する場合も考えられる。この点、本実施形態によると、リンク機構部8の中間アーム81は、軽量のアルミニウムにより形成されている。並びに、ブッシュ84、85は、耐摩耗性に優れたポリイミド樹脂により形成されている。したがって、位置学習を一回しか実行しないにもかかわらず、長期間に亘り全閉位置、全開位置に誤差が発生しにくい。言い換えると、リンク機構部8は、位置学習回数の少ない場合に特に適している。
また、本実施形態のリンク機構部8によると、モータ4の回転運動を、そのまま回転運動として、弁軸31に伝達することができる。このため、モータ4の回転運動を往復運動に変換して弁軸31に伝達する場合と比較して、バタフライバルブ3の作動応答性が高い。
また、本実施形態においては、本発明のバルブアセンブリをEGRシステムに用いている。このため、排気ガス再循環通路20を流れる排気ガスの流量制御精度の劣化、延いてはEGRシステム全体の性能劣化を抑制することができる。
また、本実施形態のリンク機構部8と弁軸31との間には、リターンスプリング312が介装されている。リターンスプリング312は、リンク機構部8を、常時、バタフライバルブ3の閉方向(前出図3の矢印Y1〜Y3の方向)に、付勢している。このため、リンクピン83とブッシュ84との間、あるいはリンクピン83とブッシュ85との間、などの接触部に発生するがたつきを、防止することができる。したがって、リンク機構部8による連結距離が一定となり、開度が安定する。すなわち、開方向および閉方向におけるバタフライバルブ3の開度精度が向上する。また、開閉動作時におけるリンク機構部8の「遊び」を抑制することができる。
また、リターンスプリング312と弁軸支持ボス310との間には、フェノール樹脂製のスペーサ311が介装されている。スペーサ311により、互いに金属製であるリターンスプリング312と弁軸支持ボス310とが干渉し、摩耗するのを防止している。
<第二実施形態>
本実施形態と第一実施形態との相違点は、全閉位置書き込み工程と全開位置書き込み工程との間に、全閉位置流量判別工程が設定されている点である。したがって、ここでは相違点についてのみ説明する。
図8に、本実施形態のバルブアセンブリのブロック図を示す(位置学習時)。なお、図2と対応する部位については、同じ符号で示す。図に示すように、バタフライバルブ3には、流量計32が並設されている。流量計32と位置学習ユニット6のCPU61とは、電気的に接続されている。
図9に、本実施形態のバルブ位置学習方法のフローチャートを示す。なお、図6と対応するステップについては、同じ符号で示す。本実施形態のバルブ位置学習方法の場合、全閉位置書き込み工程の後、全閉位置における流量チェックが行われる。図8に示すように、全閉位置における流量は、流量計32から位置学習ユニット6のCPU61に伝送される。位置学習ユニット6のEEPROM60には、消費電流しきい値Aおよびオーバーシュート発生角度Bと共に、流量しきい値Cが予め格納されている。CPU61は、全閉位置流量と流量しきい値Cとを比較する(図9のS5)。
比較の結果、全閉位置流量が流量しきい値C以下の場合、バタフライバルブ3は、EGRシステムの全閉位置に要求される締め切り性能を満たしていることになる。このため、全開位置書き込み工程に移行し、処理を終了する。
これに対し、比較の結果、全閉位置流量が流量しきい値Cを越える場合、バタフライバルブ3は、EGRシステムの全閉位置に要求される締め切り性能を満たしていないことになる。このため、締め切り性能を満たすべく、バルブアセンブリ1の構成部品の選択、再組み付けが行われる(図9のS6)。再組み付け後は、閉方向駆動工程から、処理をやり直す。
本実施形態のバルブアセンブリおよびバルブ位置学習方法およびバルブ位置学習プログラムは、第一実施形態のバルブアセンブリおよびバルブ位置学習方法およびバルブ位置学習プログラム同様の作用効果を有している。また、本実施形態によると、全閉位置書き込み後に、全閉位置流量(漏れ量)が、所望の締め切り性能を満足するか否かを確認することができる。このため、バルブアセンブリ1の信頼性が高くなる。
<第三実施形態>
本実施形態と第一実施形態との相違点は、リンク機構部の摺接部分の構成のみである。したがって、ここでは相違点についてのみ説明する。
図10に、本実施形態のリンク機構部のモータ側アームと中間アームとの摺接部分の分解斜視図を示す(前出図5に相当)。なお、図5に対応する部材については、同じ符号で示す。
図に示すように、ブッシュ87は、ポリイミド樹脂製であって、段付き円筒状を呈している。ブッシュ87は、本発明の耐摩耗部材に含まれる。ブッシュ87は、中間アーム81のリンク孔810に圧入されている。リンクピン83は、段付き円柱状を呈している。リンクピン83の軸方向中間部には、大径部832が形成されている。大径部832を隔てて、係止溝830側の部分は、ブッシュ87の内周側に挿入されている。一方、大径部832を隔てて、係止溝830側の部分と対向する部分には、かしめ部831が形成されている。リンクピン83とモータ側アーム80との組み付け前において、かしめ部831は、円柱状を呈している。組み付けの際、かしめ部831は、モータ側アーム80のリンク孔801を貫通し、反対側に突出する。かしめ部831の突出端は、図中点線で示すように潰され、拡径変形する。突出端が潰されることにより、リンクピン83からモータ側アーム80が脱落するのを抑制している。このように、本実施形態では、リンクピン83を介して、モータ側アーム80と中間アーム81とが、揺動可能に接続されている。なお、中間アーム81とバルブ側アーム(図略)との摺接部分も同様の構成を有している。
本実施形態のバルブアセンブリおよびバルブ位置学習方法およびバルブ位置学習プログラムは、第一実施形態のバルブアセンブリおよびバルブ位置学習方法およびバルブ位置学習プログラム同様の作用効果を有している。また、本実施形態によると、リンク機構部の摺接部分の部品点数が少なくて済む。このため、リンク機構部の組み付けが容易である。
<その他>
以上、本発明のバルブアセンブリおよびバルブ位置学習方法およびバルブ位置学習プログラムの実施の形態について説明した。しかしながら、実施の形態は上記形態に特に限定されるものではない。当業者が行いうる種々の変形的形態、改良的形態で実施することも可能である。
例えば、全閉位置Eに対応する位置データとして、当接位置Dに対応する位置データとオーバーシュート発生角度Bとを、モータ制御ユニット5のEEPROM50に書き込んでもよい(図4参照)。このように、全閉位置Eに対応する位置データとは、全閉位置を特定できるあらゆるデータをいう。
また、当接位置Dから全閉位置Eまでの角度は、オーバーシュート発生角度B以上は勿論、オーバーシュート発生角度B未満であってもよい(図4参照)。この場合、開状態から全閉位置Eへの切り替えの際、弁体30が弁座220に衝突することも考えられる。しかしながら、当接位置Dそのものを全閉位置Eに設定していた従来のバルブアセンブリと比較して、衝突時の衝突荷重を小さくすることができる。
また、位置学習のタイミングは、バルブアセンブリ1組み付け後から車両に搭載する前までの間でなくてもよい。例えば、位置学習は、イグニションスイッチON直後に行ってもよい。こうすると、バルブアセンブリ1を構成する各部品の摩耗やがたつきなどに応じ、全閉位置E、全開位置Fを、車両始動毎に設定することができる。また、車検時などの点検時に行ってもよい。また、上記実施形態においては、データ格納用にEEPROM50、60を用いたが、他のメモリを用いてもよい。
また、上記実施形態においては、EGRシステムに本発明のバルブアセンブリおよびバルブ位置学習方法およびバルブ位置学習プログラムを用いたが、例えば排気ブレーキシステムなど、他のシステムに用いてもよい。
また、上記実施形態においては、本発明のバルブとしてバタフライバルブ3を用いたが、例えばポペットバルブ、ボールバルブ、スイングバルブなどのバルブを用いてもよい。また、上記実施形態においては、本発明のアクチュエータとしてモータ4を用いたが、例えばソレノイド、圧電アクチュエータなどのアクチュエータを用いてもよい。また、上記実施形態においては、専用の位置学習ユニット6を用いたが、位置学習ユニット6として市販のパーソナルコンピュータ等を用いてもよい。
また、上記実施形態においては、リンク部材の中間アーム81をアルミニウム製としたが、アルミニウム合金製、マグネシウム製、マグネシウム合金製としてもよい。また、中間アーム81のみならず、モータ側アーム80やバルブ側アーム82をアルミニウム製、あるいはアルミニウム合金製、マグネシウム製、マグネシウム合金製としてもよい。
また、上記実施形態においては、ブッシュ84、85、87をポリイミド樹脂製としたが、フッ素樹脂製としてもよい。また、リンクピン83を、ポリイミド樹脂やフッ素樹脂など、耐摩耗性に優れた樹脂製としてもよい。
1:バルブアセンブリ、2:ハウジング、20:排気ガス再循環通路、21:フランジ、22:インナーパイプ、220:弁座(通路壁)、3:バタフライバルブ、30:弁体、31:弁軸、310:弁軸支持ボス、311:スペーサ、312:リターンスプリング(付勢部材)、32:流量計、4:モータ(アクチュエータ)、40:モータケース、41:駆動軸、42:ポジションセンサ、5:モータ制御ユニット(アクチュエータ制御ユニット)、50:EEPROM、51:CPU、52:モータ駆動回路、6:位置学習ユニット、60:EEPROM、61:CPU、7:電流計、8:リンク機構部、80:モータ側アーム(リンク部材)、800:ナット、801:リンク孔、81:中間アーム(リンク部材)、810:リンク孔、82:バルブ側アーム(リンク部材)、820:ナット、83:リンクピン、830:係止溝、831:かしめ部、832:大径部、84:ブッシュ(耐摩耗部材)、85:ブッシュ(耐摩耗部材)、86:ストッパリング、87:ブッシュ(耐摩耗部材)、9:エンジン(内燃機関)、90:インレットマニホールド、900:吸気通路、91:エキゾーストマニホールド、910:排気通路、92:ECU、93:電源。
A:消費電流しきい値、B:オーバーシュート発生角度(オーバーシュート発生量)、C:流量しきい値、D:当接位置、E:全閉位置、F:全開位置、L1:電源線、L2:電源線、Y1〜Y3:矢印。