JP2014043852A - バルブ装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】(a)先ず、「第1作動(回転シャフト7を回転が停止するまで閉弁方向に回転させる)」または「第2作動(電動モータ5の通電を停止してバルブ2を全閉位置へ戻す)の一方を実施する。これにより、回転シャフト7の角度が「回転停止角度」または「バックラッシュ範囲」になり、リターンスプリング4の付勢力が回転シャフト7に伝わらない状態になる。(b)次に、バルブ2が開き始めるトルク以下の開弁トルクを電動モータ5に発生させる。これにより、回転シャフト7の角度を「全閉角度」で停止させることができ、「全閉角度」と「回転角センサの出力信号」とを対応させることができる。
【選択図】 図1
Description
この特許文献1の技術は、回転運動を直線運動へ変換する回転直線変換手段としてリンク装置を用いるものであり、回転シャフトと一体に回転するカムプレートにカム溝を設け、カムプレートの回動に伴うカム溝の回動により、カム溝に嵌まり合うフォロワを駆動してスライドシャフトを軸方向へ駆動するものである。
このため、電動アクチュエータに何らかの不具合が発生した際(電動モータの故障など)、リターンスプリングの付勢力によりバルブが閉じられる。
しかし、特許文献1の技術は、開弁状態(バルブが着座シートに着座していない状態)では、カム溝とフォロワの軸方向のクリアランスにより、フォロワとスライドシャフトが車両振動等によりガタつく不具合がある。
しかし、リターンスプリングによってスライドシャフトを閉弁方向へ付勢する技術では、以下の問題点が生じてしまう。
回転シャフトの回動範囲は、閉弁方向への回転が機械的に停止する「回転停止角度(図3の符号θ0参照)」から、バルブが開き始める直前の全閉位置における「回転シャフトの全閉角度(以下、全閉角度と称す:図3の符号θa参照)」までのバックラッシュ範囲(図3の符号α参照)を備える。
そして、バックラッシュ範囲では、リターンスプリングの付勢力をバルブを介して着座シートが受けているため、リターンスプリングの付勢力を回転シャフトが受けない。
(1)電動モータを閉弁方向へ通電制御して、回転シャフトを回転が停止するまで回転させる「第1作動」を行うか、
(2)あるいは、電動モータの通電を停止して、リターンスプリングの付勢力のみでバルブを全閉位置へ戻す「第2作動」を行うことが考えられる。
この「回転停止角度」は「全閉角度」とは異なるため、「全閉角度」と「回転角センサの出力信号」とを対応させる学習を実施することができない。
この「バックラッシュ範囲のどこか」は「全閉角度」とは異なるため、「全閉角度」と「回転角センサの出力信号」とを対応させる学習を実施することができない。
(a)先ず、「第1作動(電動モータを閉弁方向へ通電制御して、回転シャフトを回転が停止するまで回転させる作動)」または「第2作動(電動モータの通電を停止して、リターンスプリングの付勢力のみでバルブを全閉位置へ戻す作動)」の少なくとも一方を実施する。
これにより、回転シャフトの角度が「回転停止角度」または「バックラッシュ範囲のどこか」になる。
「回転停止角度」および「バックラッシュ範囲」では、上述したように、リターンスプリングの付勢力が回転シャフトに付与されない。このため、「バルブが開き始めるトルク以下」の開弁トルクをスライドシャフトに付与することで、バルブを全閉位置に保持することができ、回転シャフトの角度を「全閉角度」で停止させることができる。
これにより、「全閉角度」と「回転角センサの出力信号」とを対応させることができる。即ち、回転運動をスライドシャフトの軸方向の直線運動に変換してバルブを駆動し、且つリターンスプリングによってスライドシャフトを閉弁方向へ付勢するバルブ装置において、学習が可能となり、バルブの開度制御の精度を高めることができる。
図1〜図3を参照して実施例1を説明する。なお、以下では、図1の上側を上、図1の下側を下と称して説明するが、この上下方向は実施例説明のための方向であって、車両の搭載方向にかかわるものではない。
この実施例は、本発明を、排気ガス再循環装置(EGR装置)のEGRバルブに適用したものである。
排気ガス再循環装置は、排気通路を流れる排気ガスの一部を吸気通路へ戻すEGR流路1の開閉および開度調整を行うEGRバルブを備える。
EGRバルブは、
・EGR流路1の一部が設けられるハウジングと、
・軸方向(上下方向)へ駆動されて、ハウジング内におけるEGR流路1の開閉および開度調整を行うバルブ2と、
・このバルブ2を軸方向へ駆動するスライドシャフト3と、
・このスライドシャフト3を閉弁方向(上方)へ付勢するリターンスプリング4と、
・電動モータ5の回転を減速装置6で減速して回転シャフト7に伝える電動アクチュエータ8と、
・回転シャフト7の回転運動を、スライドシャフト3の軸方向の直線運動に変換するリンク装置9(回転直線変換手段の一例)と、
・回転シャフト7の回転角度を検出する回転角センサ10と、
を備えて構成される。
なお、アッパーハウジング12に設けられる符号14は、車両固定用のフランジである。
そして、バルブ2により開閉されるEGR流路1の内部には、耐熱性、耐腐食性に優れた部材(ステンレス等)によって設けられたリング状の着座シート(弁座)15が固定配置されている。
具体的に、バルブ2が着座シート15に着座することで閉弁し、バルブ2が着座シート15の下方へ離座することで開弁する。そして、バルブ2が着座シート15から下方へ離座する量(バルブ下降量)が増加するに従い、バルブ2の上流側と下流側の連通度合が大きくなる。
具体的に、スライドシャフト3は、ロアハウジング11に形成されたベアリング収容穴の内部に圧入等により固定された軸受(メタルベアリング等)16の内側に挿通されて、ハウジングに対して軸方向のみにスライド可能に支持される。そして、スライドシャフト3が軸方向に移動することで、バルブ2が軸方向へ移動する。
なお、EGR流路1に通じる部位のロアハウジング11とスライドシャフト3の間には、デポジットやEGRガスが上方(軸受側)へ侵入するのを防ぐパイプ17およびオイルシール18が配置されている。
具体的に、リターンスプリング4は、アッパーハウジング12とロアハウジング11の間に形成されたバネ室に収容配置される。リターンスプリング4は、ロアハウジング11とバネ座19との間で圧縮された状態で挟まれる。バネ座19は、スライドシャフト3に設けられた段差(下側小径部と上側大径部の段差)に当接し、リターンスプリング4の復元力(上方へ向かうバネ力)を段差を介してスライドシャフト3に伝える。
・通電により回転トルクを発生する電動モータ5と、
・この電動モータ5の回転トルクを増幅して回転シャフト7を駆動する減速装置6と、
を備えて構成される。
この実施例の減速装置6は、複数のギヤの組み合わせた歯車減速機であり、
・電動モータ5と一体に回転するピニオンギヤ(モータギヤ)21と、
・このピニオンギヤ21によって回転駆動される中間ギヤ22と、
・この中間ギヤ22によって回転駆動される出力ギヤ23(最終ギヤ)と、
を備え、出力ギヤ23が回転シャフト7と一体に回動する。
中間ギヤ22は、大径ギヤ(図2に開示されるギヤ)と小径ギヤが同芯で設けられた2重歯車であり、アッパーハウジング12とセンサカバー13とにより支持される支持軸24によって回転自在に支持される。そして、中間ギヤ22における大径ギヤがピニオンギヤ21と常に噛合し、中間ギヤ22における小径ギヤが出力ギヤ23と常に噛合する。
そして、出力ギヤ23は、ピニオンギヤ21→大径ギヤ→小径ギヤ→出力ギヤ23の順で減速により増幅された回転トルクを回転シャフト7に伝達する。
・回転シャフト7と一体に回動するカムプレート26と、
・スライドシャフト3に設けられて、カムプレート26のカム溝27に嵌まり合うフォロワ28と、
を備える。
このカム溝27は、フォロワ28とともにスライドシャフト3を軸方向へ移動させるものであるため、「カムプレート26の回転中心からカム溝27までの距離」がカムプレート26の回動位置に応じて異なって設けられる。
・「回転停止角度θ0(回転シャフト7およびカムプレート26の閉弁方向への回転が機械的に停止する角度)」において、「カムプレート26の回転中心からカム溝27までの距離」が最も短く、
・「全開角度θz(バルブ2が着座シート15から最大に離間する角度)」において「カムプレート26の回転中心からカム溝27までの距離」が最も長くなる略円弧形状を呈するものである。
具体的に、回転角センサ10は、2つの部材の相対回転を非接触で検出する磁気型センサであり、出力ギヤ23の内部にインサートされて回転シャフト7と一体に回転する略筒状を呈する磁気回路部31と、センサカバー13に取り付けられて磁気回路部31に対して非接触に配置される磁気検出部32とで構成され、この磁気検出部32の発生する出力信号(具体的には、ホールICが出力するセンサ電圧)がECUに与えられる。
(i)学習手段を実行する実行部(コンピュータ)は、EGRバルブに搭載されるものであっても良い。
(ii)あるいは、学習手段を実行する実行部は、出荷前のイニシャライズ装置(初期設定を行う装置)に設けても良い。
(iii)あるいは、学習手段を実行する実行部は、ECUに設けても良い。
また、上記(iii)の場合、学習によって得られた学習値は、ECUのメモリに記憶されるものである。
・外部からイニシャライズの開始指示が与えられた場合(出荷前に初期設定を行う場合)、
・あるいは、エンジン始動時や、記憶値の喪失時など、予め設定されたイニシャライズの実施条件が成立した場合(車両搭載状態で自己学習する場合)に、
下記(a)、(b)に示す作動を行う。
また、上記(a)の「第2作動」を行う場合は、回転シャフト7の角度が「バックラッシュ範囲αのどこか(図3の符号θx参照)」になる。
「回転停止角度θ0」および「バックラッシュ範囲α」は、バルブ2が着座シート15に着座した全閉状態であり、リターンスプリング4の付勢力を着座シート15が受ける。このため、「回転停止角度θ0」および「バックラッシュ範囲α」では、リターンスプリング4の付勢力が回転シャフト7に伝わらない。
即ち、回転シャフト7の回転運動を、スライドシャフト3の軸方向の直線運動に変換してバルブ2を駆動し、且つリターンスプリング4によってスライドシャフト3を閉弁方向へ付勢するEGRバルブにおいて、学習を実施でき、EGR制御の精度を高めることができる。
図4、図5を参照して実施例2を説明する。なお、以下の実施例において、上記実施例1と同一符号は同一機能物を示すものである。
上記実施例1で説明したように、バルブ2の全閉角度θaと、回転角センサ10の出力信号とを対応させる学習時には、通電量Aが得られるデューティ信号(デューティ値A%)を電動モータ5に印加して、バルブ2が開き始めるトルクTa以下の開弁トルクをスライドシャフト3に付与する。
この大きな加速力によって、回転シャフト7が「全閉角度θa」で停止せず、図4(b)に示すように、回転シャフト7が開度θbに回動して、バルブ2が開いてしまう可能性がある。
即ち、デューティ比制御を実施する場合には、電動モータ5に印加するデューティ値を、連続的または段階的に所定デューティ値A%に高める制御を実施するものである。
この実施例2は、「第1作動」または「第2作動」の実施後、電動モータ5に印加するデューティ値を、所定時間tで所定デューティ値A%に略連続的に上昇させるものである。なお、図中、Δtはデューティ計算周期(ECUの演算周期)であり、ΔDはΔtにおいて上昇させるデューティ昇圧値「A%/t」である。
このため、電動モータ5に通電量Aを印加した時(所定デューティ値A%を印加した時)に、バルブ2が開く不具合を回避できる。
これにより、回転シャフト7を全閉角度θaにて確実に停止させた状態で学習(「全閉角度θa」と「回転角センサの出力信号」を対応させる初期設定)を実施することができ、学習の信頼性を高め、結果的にEGR制御の信頼性を高めることができる。
あるいは、2段、3段、4段など、段階的にデューティ値を上昇させることで、全閉角度θaにおける加速力を小さくしても良い。
あるいは、減速装置6を廃止し、高トルクの電動モータ5により回転シャフト7を直接駆動しても良い。
3 スライドシャフト
4 リターンスプリング
5 電動モータ
7 回転シャフト
8 電動アクチュエータ
9 リンク装置(回転直線変換手段)
10 回転角センサ
Claims (6)
- 軸方向への移動によってバルブ(2)の開閉を行うスライドシャフト(3)と、
このスライドシャフト(3)を閉弁方向へ付勢するリターンスプリング(4)と、
電動モータ(5)を搭載して回転シャフト(7)を回転駆動する電動アクチュエータ(8)と、
前記回転シャフト(7)の回転運動を、前記スライドシャフト(3)の軸方向の直線運動に変換する回転直線変換手段(9)と、
前記回転シャフト(7)の回転角度を検出する回転角センサ(10)と、
を備えるバルブ装置において、
前記バルブ(2)の全閉位置における前記回転シャフト(7)の全閉角度(θa)と、前記回転角センサ(10)の出力信号とを対応させる学習手段は、
(a)先ず、前記電動モータ(5)を閉弁方向へ通電制御して、前記回転シャフト(7)を回転が停止するまで回転させる第1作動、
または、前記電動モータ(5)の通電を停止して、前記リターンスプリング(4)の付勢力のみで前記バルブ(2)を全閉位置へ戻す第2作動、
の少なくとも一方を実施し、
(b)次に、前記電動モータ(5)を開弁方向へ通電制御して、前記バルブ(2)が開き始めるトルク(Ta)以下の開弁トルクを前記スライドシャフト(3)に付与し、この時の前記回転角センサ(10)の出力信号を、全閉角度(θa)に対応させることを特徴とするバルブ装置。 - 請求項1に記載のバルブ装置において、
前記回転シャフト(7)の全閉角度(θa)と、前記回転角センサ(10)の出力信号とを対応させる際の前記電動モータ(5)の通電量をAとした場合、
学習時に前記電動モータ(5)を開弁方向へ通電する際、連続的または段階的に通電量Aに上昇させることを特徴とするバルブ装置。 - 請求項1または請求項2に記載のバルブ装置において、
前記回転直線変換手段(9)は、
前記回転シャフト(7)と一体に回転するカムプレート(26)と、
前記スライドシャフト(3)に設けられ、前記カムプレート(26)のカム溝(27)に嵌まり合うフォロワ(28)と、
を備えるリンク装置(9)であることを特徴とするバルブ装置。 - 請求項1〜請求項3のいずれか1つに記載のバルブ装置において、
電動アクチュエータ(8)は、
前記電動モータ(5)と、
この電動モータ(5)の回転トルクを増幅して前記回転シャフト(7)を回転駆動する減速装置(6)と、
を備えることを特徴とするバルブ装置。 - 請求項1〜請求項4のいずれか1つに記載のバルブ装置において、
前記リターンスプリング(4)は、前記スライドシャフト(3)の周囲に配置された圧縮コイルバネであり、復元力をバネ座(19)を介して前記スライドシャフト(3)に付与することを特徴とするバルブ装置。 - 請求項1〜請求項5のいずれか1つに記載のバルブ装置において、
このバルブ装置は、エンジンの排出した排気ガスの一部をEGRガスとして前記エンジンの吸気側へ戻すEGR流路(1)の開閉を行うEGRバルブであることを特徴とするバルブ装置。
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