JP2007026675A - 光照射装置、光照射装置用ランプおよび光照射方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】紫外放射エネルギー効率を向上させることができる光照射装置を提供する。
【解決手段】発光管1と封止部2とを有する高圧放電ランプ100と、高圧放電ランプ100から発せられる光(111)を反射する反射鏡50とを備え、高圧放電ランプ100から発せられる光(111)は、少なくとも紫外域のスペクトルを有し、発光管1の少なくとも一部は、波長250nmに吸収スペクトルを有し、それによって、発光管1の内から外へ発する光(111)のうち、波長250nmおよびその上下少なくとも5nmの光をフィルタリングする、光照射装置500である。
【選択図】 図1
【解決手段】発光管1と封止部2とを有する高圧放電ランプ100と、高圧放電ランプ100から発せられる光(111)を反射する反射鏡50とを備え、高圧放電ランプ100から発せられる光(111)は、少なくとも紫外域のスペクトルを有し、発光管1の少なくとも一部は、波長250nmに吸収スペクトルを有し、それによって、発光管1の内から外へ発する光(111)のうち、波長250nmおよびその上下少なくとも5nmの光をフィルタリングする、光照射装置500である。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光照射装置、光照射装置用ランプおよび光照射方法に関する。特に、紫外線硬化樹脂の硬化や、半導体装置および液晶表示装置の製造工程における露光に用いられる光照射装置(例えば、紫外線照射装置)に関する。
【0002】
【従来の技術】
紫外線硬化樹脂を接着剤として用いた電子部品・光学部品の精密接着や、半導体装置および液晶表示装置の製造工程における露光などには、紫外線を含む光を放射する紫外線照射装置が用いれる。従来の紫外線照射装置としては、例えば、特許文献1に開示されたものがある。
【0003】
図14は、特許文献1に開示された紫外線照射装置の構成を示している。図14に示した紫外線照射装置は、ショートアーク型の放電ランプ1010と、中央部に開口を有する楕円集光鏡1021と、楕円集光鏡1021を保持する楕円集光鏡保持部材1020と、光ファイバーFとを備えている。
【0004】
ショートアーク型の放電ランプ1010は、内部に陰極1011と陽極1012とからなる一対の電極を有しており、放電ランプ1010の陽極1012側の口金1013には、フランジ部1015が設けられている。楕円集光鏡保持部材1020の底部中央には嵌合孔1022が設けられており、嵌合孔1022に放電ランプ1010の口金1013の小径部1016を挿入することにより、放電ランプ1010が定置される。放電ランプ1010は、楕円集光鏡1021の楕円の2つの焦点を通る光軸L上に放電ランプ1010のアークが位置するように配置される。楕円集光鏡1021は、ランプ点灯時に放射光が光ファイバFの光入射端Finに入射するように位置調整されている。ここで、Stはシャッタである。
【0005】
この公報に開示された紫外線照射装置では、嵌合孔1022に嵌合した口金1013に離脱可能に係合し、口金1013のフランジ部1015を楕円集光鏡保持部材1020側に付勢するバネ1030を楕円集光鏡保持部材1020に設けており、それにより、放電ランプ1010を取り付けた後、当該放電ランプ1010の位置調整を不要にすることができる。
【0006】
また、直流点灯式のショートアーク型水銀ランプの紫外線照射量を増大させるために、アルゴンガスを室温で1気圧から8気圧封入し、発光管の最大半径R(cm)、発光管の肉厚d(cm)、入力電力W(kW)として、0.211≦((Wd/R2)1/2≦0.387となる関係を満たすようにすることが、特許文献2に開示されている。ここでは、水銀は、ランプ内の単位容積当たり4.5mg/cc封入されている。
【0007】
【特許文献1】
特開平10−55713号公報
【特許文献2】
特開平11−191394号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
従来のショートアーク型水銀ランプを用いる紫外線照射装置では、水銀の紫外線波長を有効に使用できるように研究・開発が行われている。そして、紫外線硬化性樹脂の硬化や、半導体基板・液晶基板への露光に用いられる従来の紫外線照射装置では、水銀からの紫外発光を効率良く得るために、水銀動作圧で数十気圧程度のレベルの高圧水銀ランプ(または超高圧水銀ランプ)が使用されている。それを超えるレベルでの使用は、紫外発光の効率(つまり、紫外放射エネルギー効率)が低下してしまうので、そのような使用は採用されていない。
【0009】
一方、数十気圧の水銀動作圧においては、300nm未満の水銀発光が強力であり、その光が被照射物や照射装置にダメージを与えてしまうという問題がある。そして、その圧力で300nm未満の水銀発光が生じることは水銀の発光特性であるがゆえに、ダメージを与えてしまうような紫外線(短波長側の紫外線)が放射しないようにするためには、反射鏡の方で調整する必要がある。従来の紫外線照射装置の反射鏡では、300nm以上(例えば、300nm〜400nmの光)を効率良く反射するとともに、300nm未満の光はできるだけ排除するように設計がなされており、それによって300nm未満の光が出射光に含まれないようにしている。
【0010】
このような状況の中、本願発明者は、従来の常識および前提条件をもう一度見直し、従来よりも紫外放射エネルギー効率を向上させることを目的とし、そのようなことを実現できる光照射装置の開発に取り組んだ。
【0011】
本発明の主な目的は、従来よりも紫外放射エネルギー効率を向上させることが可能な光照射装置を提供することにある。本発明の他の目的は、そのような光照射装置に適したランプを提供することにある。本発明の更なる他の目的は、従来と比べて光量を低下させずに一定の光量を照射する光照射方法を提供することにある。そして、本発明のさらに別の目的および本発明の特徴は、後述する発明の実施の形態によって、理解することが可能である。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明の光照射装置は、管内に発光物質が封入された発光管と、前記発光管から延びた封止部とを有する高圧放電ランプと、前記高圧放電ランプから発せられる光を反射する反射鏡とを備え、前記高圧放電ランプから発せられる前記光は、少なくとも紫外域のスペクトルを有し、前記発光管の少なくとも一部は、波長250nmに吸収スペクトルを有し、それによって、前記発光管の内から外へ発する光のうち、波長250nmおよびその上下少なくとも5nmの光をフィルタリングする。
【0013】
前記発光管は、前記発光物質が発する光のうち波長250nmの光の発光強度を実質的にゼロにする機能を有することが好ましい。
【0014】
ある好適な実施形態において、前記発光管は、実質的に石英ガラスから構成されており、前記高圧放電ランプは、高圧水銀ランプであり、前記発光物質として、前記発光管の容積を基準にして150mg/cm3を超える水銀が封入されている。
【0015】
ある好適な実施形態において、前記光照射装置は、少なくとも紫外線を照射する紫外線照射装置であり、前記反射鏡は、コールドミラーであり、前記水銀の封入量は、前記発光管の容積を基準にして、190mg/cm3以上であり、前記発光管には、ハロゲンが封入されており、前記ランプの管壁負荷は、80W/cm2以上である。
【0016】
ある好適な実施形態において、前記吸収スペクトルを有する前記発光管の当該吸収スペクトルは、前記高圧放電ランプを1000℃から1100℃の高温条件下で2時間以上保持することによって形成される。
【0017】
ある好適な実施形態において、前記発光管内には、一対の電極が対向して配置されており、前記電極は、前記封止部内に配置された金属箔に電気的に接続されており、前記一対の電極の間の距離は、2.0mm以下であり、前記高圧放電ランプは、交流点灯型のランプである。
【0018】
ある好適な実施形態において、前記反射鏡は、前記高圧放電ランプの前記封止部が挿入される開口部が形成された中空ネック部を有し、前記高圧放電ランプは、前記中空ネック部に挿入されて前記反射鏡に固定されており、前記反射鏡は、楕円面の反射面を有する楕円面鏡であり、前記光照射装置は、前記反射鏡を取り囲み、前記反射鏡からの光を通過させる窓が形成された筐体をさらに備えており、前記筐体内には、前記高圧放電ランプに電気的に接続された点灯回路が配置されている。
【0019】
ある好適な実施形態において、前記筐体の窓の周囲には、光ファイバが配置されており、前記光ファイバのコアは、石英ガラスとは異なるガラスから構成されており、前記ガラスは、高石英含有ガラス、ソーダガラスおよびホウケイ酸ガラスからなる群から選択される。
【0020】
本発明の光照射装置用ランプは、少なくとも紫外光を照射する光照射装置に用いるランプであり、管内に水銀が封入され、実質的に石英ガラスから構成された発光管と、前記発光管から延びた封止部とを備え、前記発光管は、波長250nm周囲の光を吸収し、かつ、波長300nm周囲の光を透過し、前記水銀は、前記発光管の容積を基準にして150mg/cm3よりも多く封入されており、前記発光管には、ハロゲンが封入されており、前記ランプの管壁負荷は、80W/cm2以上である。
【0021】
ある好適な実施形態において、前記光照射装置用ランプから発せられる光のうち波長250nmの光の発光強度は、実質的にゼロである。
【0022】
本発明の光照射方法は、少なくとも紫外光を照射する光照射方法であり、高圧水銀ランプが発する光のうち、波長250nm周囲の紫外光を排除し、かつ、波長300nm周囲の紫外光を少なくとも含む光の照度を検出する工程と、前記照度を最大照度としたとき、前記最大照度以下の範囲で、一定の照度を維持しながら、前記光を照射する工程とを包含する。
【0023】
前記光を照射する工程においては、前記波長250nm周囲の紫外光を排除し、かつ、前記波長300nm周囲の紫外光も排除した場合の光の照度以上の範囲で、前記一定の照度を維持することが好ましい。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。以下の図面においては、説明の簡潔化のため、実質的に同一の機能を有する構成要素を同一の参照符号で示すことがある。なお、本発明は以下の実施形態に限定されない。
【0025】
(実施形態1)
図1から図3等を参照しながら、本発明の実施形態1に係る光照射装置を説明する。図1は、本実施形態に係る光照射装置500の構成を模式的に示している。
【0026】
図1に示した光照射装置500は、高圧放電ランプ100と、高圧放電ランプ100から発せられる光111を反射する反射鏡50とを備えている。反射鏡50の周囲には、反射鏡50からの光112を通過させる窓125が形成された筐体120が設けられている。高圧放電ランプ100は、点灯回路100に電気的に接続されており、本実施形態では、点灯回路100は筐体120内に配置されている。
【0027】
高圧放電ランプ100は、管内に発光物質が封入された発光管1と、発光管1から延びた封止部2とを有しており、少なくとも紫外域のスペクトルを有する光を発光する。本実施形態の高圧放電ランプ100は、高圧水銀ランプであり、紫外域のスペクトル(例えば、365nm(i線)など)の他、可視域のスペクトル(例えば、405nm(h線)、436nm(g線)など)も発光する。
【0028】
図2に、本実施形態の高圧放電ランプ100の構成を示す。ランプ100の発光管1は、実質的に石英ガラスから構成されており、発光管1の両端からは、同じく石英ガラスから構成された封止部2が延在している。封止部2内には、金属箔(モリブデン箔)4が配置されており、金属箔4は、発光管1内に対向して配置されている電極の一端に接続されている。また、金属箔4には外部リード5が接続されている。一方の封止部2の端部には口金7が取り付けられている。
【0029】
高圧放電ランプ100の発光管1内には、発光管1の容積を基準にして、150mg/cm3を超える水銀6が封入されている。なお、本実施形態の高圧放電ランプ100の動作圧は、150気圧を超える値である。発光管1には、水銀6の他に、希ガスとハロゲンとが封入されている。そして、ランプ100の管壁負荷は、80W/cm2以上である。一対の電極3の間の距離は、2.5mm以下であり、例えば、0.6〜2.5mm(好ましくは、0.8〜2.0mm)である。また、本実施形態の高圧放電ランプ100は、交流点灯型のランプである。
【0030】
本実施形態の高圧水銀ランプ100の発光管1は、石英ガラスから構成されているにもかかわらず、波長250nmに吸収スペクトルを有している。この吸収スペクトルによって、発光管1の内から外へ出る放射光のうち、波長250nm周囲の紫外光(例えば、250nm±5nm、あるいは、250nm±10nm)をフィルタリングすることができる。つまり、発光管1は、波長250nm周囲の光を吸収し、かつ、波長300nm周囲の光を透過させる。本実施形態では、発光管1は、波長250nm周囲の紫外光をカットする能力を有しており、それによって、発光管1は、波長250nmの紫外光の発光強度を実質的にゼロにすることができる。
【0031】
波長250nmに吸収スペクトル(吸収ピーク)がある様子を図3に示す。図3は、発光管の透過率の概略を示すグラフであり、図3中の符号「101」が本実施形態の高圧放電ランプ100の紫外分光で、符号「102」が従来の高圧放電ランプの紫外分光である。石英ガラスから構成された発光管は、250nm(およびその周囲)に吸収を持たないのであるが、本実施形態のランプ100では、約250nmに吸収ピークを持ち、その付近の光を吸収する。
【0032】
波長250nm周囲の光を吸収して、減少またはフィルタリングできることにより、次のような効果を得ることができる。以下、図4を参照しながら、それを説明する。
【0033】
図4は、高圧水銀ランプの分光特性の概略を説明するための分光分布図である。図4中の曲線105は、従来の数十気圧(動作圧)レベルの高圧放電ランプの分光分布であり、j線、i線、h線、g線のピークの他に、波長250nmのピークがある。例えば紫外線硬化樹脂に用いる紫外線照射装置の場合、波長300〜400nm(領域106)の紫外光を効率良く照射したい。一方で、被照射物や照射装置にダメージを与えてしまう波長300nm未満(領域107)の紫外光はできるだけ排除したい。この要求を満たそうとすると、反射鏡の反射特性は、曲線108のように、波長300nmのところで反射特性が収束するようにする必要がある。点線109のように、波長300nmのところの光まで反射させるように設計すると、波長250nmの光を反射してしまい、当該光を放射してしまうことになってしまうからである。したがって、波長300nm付近の光は利用されず、そして、主に波長365nmの光などが利用される。
【0034】
逆に、波長250nmの光がランプから出てこなければ、反射鏡の反射特性を点線109のところまで短波長側にのばすことができる。本実施形態の光照射装置用ランプでは、波長250nmおよび周囲の光(例えば、波長250nmおよびその上下少なくとも5nm)の光を低減させてフィルタリングすることができるので、反射鏡の反射特性を短波長側にのばすことができ、その結果、波長300nm周囲の紫外光を積極的に利用することが可能となる。従来、波長250nmを排除するために利用しなかった波長300nm周囲の紫外光を積極的に利用できるようになることは、紫外エネルギー効率を向上させ得ることを意味する。
【0035】
また、従来の紫外線照射装置用ランプの動作圧は、紫外線エネルギー効率のことを考慮して数十気圧以下にされているのであるが、本実施形態の高圧放電ランプ100では、その技術常識に反して、水銀を150mg/cm3超える量封入して動作圧を150気圧を超えるレベルにしている。このレベルの分光分布は、曲線104のようになり、可視光成分が増えるとともに、シャープだった各ピークがブロード気味になる。そして、数十気圧以下の場合と比較して、150気圧を超える場合、波長250nmのピークの高さは低くなり、その成分の量は減る。したがって、本実施形態の高圧放電ランプ100の発光管1のフィルタリング能力によって、波長250nmの光の発光強度を実質的にゼロにすることが、動作圧が数十気圧以下の場合と比べて容易となる。
【0036】
図5は、本実施形態の高圧放電ランプ(光照射装置用ランプ)100の一例について分光分布を測定した結果を示す分光分布図である。ランプ100の水銀封入量は、約200mg/cm3(動作圧約200気圧)で、入力電力は200Wである。また、管壁負荷は80W/cm2である。
【0037】
図5に示すとおり、波長250nmの強度は、ゼロまたは測定不可能のレベルであった。また、波長300nm未満の強度がほとんどないことからもわかるように、波長245〜380nmの紫外域のうち波長300nm未満の光は良好にカットされており、そして、285nm以下の光の強度は実質的にゼロである。
【0038】
なお、測定条件は次の通りであった。電源電圧(Vs)は100V一定で入力。ランプ点灯姿勢は、ランプ台座を水平にして、水平点灯。ランプ測定方向は、ランプ長軸に対して垂直方向。測定温度は、室温(24℃)。また、測定サンプル数は2個であり、図5ではその平均値をプロットしてある。
【0039】
比較対照のために、従来の高圧水銀ランプ(紫外照射装置用ランプ)の分光分布図を図6に示す。図6に示されているように、この従来のランプでは、波長300nm未満の成分が多いとともに、波長250nmにピークが存在する。したがって、この従来のランプを反射鏡と組み合わせて紫外照射装置用ランプと使用する場合には、反射鏡の反射特性を、図4に示すように、波長300nmまでで減衰するようなものにすることが求められ、そのような従来の紫外照射装置では、波長300nm周囲(例えば、300nm〜350nm)の紫外光を有効に利用することが難しかった。
【0040】
図7は、あるメーカーから市販されている紫外線硬化樹脂の吸収特性を示す。縦軸はモル吸光係数(l/mol×cm)であり、横軸は波長(nm)である。通常、紫外線硬化樹脂においては、波長365nm等の紫外線を利用して硬化させることが多いが、図7中に示した樹脂A〜Dでは、365nmでも吸収を示すが、それよりもむしろ約300nm〜約350nmの吸収の方が大きく、それゆえ、その領域の紫外光を利用する意義がある。従来は、市販の(または利用可能な)紫外線照射装置にあわせて、例えば365nmでも所定量の感度を有する樹脂が開発されていたことが多いと思われるが、樹脂のモル吸光係数の方に着目すれば、波長365nm未満の領域(例えば約300nm〜約350nm)の紫外線も、積極的に利用する価値がある。
【0041】
図5に示したように、本実施形態のランプ100は、例えば波長310〜350nmに所定の強度のスペクトルを含むので、これらの紫外光を積極的に利用して、従来よりも紫外放射エネルギー効率を向上させることができる。この波長310〜350nmの領域の光を積極的に利用できることは、上述したように、本実施形態のランプ100が波長250nm付近の光を発しないことに関係している。本実施形態の構成によれば、波長365nm未満の領域で、300nm周辺の紫外光を利用することができるので、従来の構成と比較して、紫外放射エネルギー効率を例えば30%程度向上させることができる。
【0042】
また、本実施形態のランプ100が波長250nm付近の光を発しないので、反射鏡50から発された光を、光ファイバに入射させて、それによって任意の位置に紫外線(または、紫外−可視光)を照射するような場合において、光ファイバを構成する材料として、高価な石英ガラスを用いなくても、それよりも安価なガラスを用いること可能となる。ここで使用可能な非石英ガラスとは、SiO2が90%以下(90質量%以下)のガラスであり、例えば 高石英含有ガラスや、ソーダ石灰ガラス、ホウケイ酸ガラスである。光ファイバの入射端は、図1に示した構成では、筐体120の窓125の周囲に配置すればよい。
【0043】
次に、本実施形態のランプ100の発光管1が、波長250nmに吸収スペクトルを有するようにする方法について説明する。発光管1に、波長250nmの吸収スペクトルを持たせる手法は、本願発明者が偶然見つけたものに基づいており、どのような機構により、当該吸収スペクトルを発光管1が持つようになったのか正確な理由はわからない。しかし、発光管1の少なくとも一部が波長250nmの吸収スペクトルを有するのは、本願発明者が測定により確認している事実である。
【0044】
石英ガラスからなる発光管1に、波長250nmに吸収スペクトルを有する部位を形成するには、次のようにする。
【0045】
まず、通常の製造工程に従って、発光管1内部に10-7mol/cc程度またはそれ以上のH2を含んだ高圧放電ランプ(高圧水銀ランプ)を作製する。この作製した高圧放電ランプをランプ完成体と呼ぶとすれば、当該ランプ完成体を、高温条件下で所定時間加熱する。この加熱は、ランプ完成体を所定温度の炉内に放置することによって行う。炉内の雰囲気は、減圧雰囲気、真空雰囲気、または、不活性ガス雰囲気(Arガス等)である。炉内の温度は、例えば、1000℃から1100℃であり、本実施形態では、1080℃で行った。加熱時間は、例えば、2時間以上(または50時間以上)であり、本実施形態では、100時間で行った。なお、ランプ完成体の発光管1内のH2含有量の上限は、10-6mol/ccにすることが好ましい。なぜならば、それ以上のH2は、ランプの黒化をもたらしたり、始動困難性を生じさせてしまう可能性があるからである。
【0046】
図8に、発光管1の吸収スペクトルを説明するための紫外分光分布図を示す。図8中の元ガラス(×印太線)のプロットは、加熱処理を行っていない高圧水銀ランプの紫外分光分布である。一方、図8中の90atm(○印)、120atm(×印)、190atm(△印)は、それぞれ、発光管1内に水銀が90mg/cm3(動作圧約90気圧)、120mg/cm3(動作圧約120気圧)、190mg/cm3(動作圧約190気圧)封入された高圧水銀ランプ(ランプ完成体)を高温条件下で加熱処理したものの紫外分光分布である。
【0047】
図8からわかるように、上記高温条件下での加熱処理を施していない高圧放電ランプには、波長250nmに吸収ピークは存在しない。一方、当該加熱処理を施した高圧放電ランプにおいては、封入水銀量が多いものほど波長250nmの吸収ピークが大きくなっていることがわかる。すなわち、波長250nmでの分光透過率は、加熱処理を施していないランプで約80%、90atmのランプで約50%、120atmのランプで約47%であり、そして、120atmのランプは、約25%にもなる。このグラフから考察すると、150atm(150mg/cm3)を超えたあたりから、分光透過率を40%以下にすることができるのではないかと思われる。
【0048】
波長250nmにピークがある吸収スペクトル(図8では、波長270nmから230nmの領域)から直ちにその構造を推定するのは困難であるが、可能性の一つとしては、本実施形態の高温条件下の加熱処理によって、石英ガラス中の「−Si−O−」などの構造の一部が切断等されて、通常の石英ガラスとは違う構造(例えば、酸素欠乏欠陥のような構造)が、熱処理をしていないガラスよりも多く形成されているのかもしれない。また、好ましくないH2が発光管1に含まれた状態での高温熱処理により、SiO2がH2によって還元されている可能性も考えられる。この点からも、前述した多量のH2は好ましくない。SiO2が過剰に還元されると、結果として多量のH2Oが存在し黒化を早期に生じる。なお、発光管1を構成する石英ガラスが波長270nmの吸収スペクトルを持つと、そのスペクトルによって石英ガラスに失透等が生じるおそれを可能性として考えるべきであるが、本願発明者が検討したところ、失透等は観測されなかった。
【0049】
再び図1を参照しながら、本実施形態の光照射装置500の他の構成要素について説明を続ける。
【0050】
本実施形態の光照射装置500は、上述した高圧放電ランプ100を備え、少なくとも紫外線を照射する紫外線照射装置である。光照射装置500は、紫外線の他、短波長可視光線(例えば、h線、g線)も照射することができる。ランプ100と組み合わされる反射鏡50は、凹面反射面を持つ反射部分50aと、反射部分50aと一体で構成された中空ネック部50bとを有している。反射部分50aおよび中空ネック部分50bは、いずれもガラスから構成されている。反射部分50aの肉厚は、例えば3mm以上である。反射鏡50の出射方向側の開口部(広開口部)の大きさDは、例えば30mm以上であり、好ましくは40mmから200mmである。
【0051】
反射鏡50の中空ネック部50bの開口部(狭開口部)に、ランプ100の封止部2が挿入されて、ランプ100は反射鏡50に固定されている。ランプ100は、例えばセメント53によって中空ネック部50bと隙間が生じないように固着されている。それゆえ、本実施形態の光照射装置500では、ランプ交換する際に、反射鏡50とランプ100とを同時に交換可能することができる。
【0052】
反射鏡50は、コールドミラーであり、反射鏡50の反射部分50bの内面(反射面)には、赤外線を透過し、紫外線を反射する膜がコートされている。本実施形態の反射鏡50は、楕円面の反射面を有する楕円面鏡であり、2つの焦点f1,f2を持ち、それぞれの焦点距離F1,F2は、図1中に表している。焦点距離F1は、例えば、3mm以上であり、好ましくは5mmから35mmの間にあり、一方、焦点距離F2は、例えば、50mm以上であり、好ましくは50mmから300mmの間にある。なお、焦点f1,f2および焦点距離F1,F2の関係は図9に示した。
【0053】
高圧放電ランプ100は、楕円反射鏡50の2つの焦点f1,f2を通る光軸上にセットされており、そして、高圧放電ランプ100の電極3,3間に形成されるアークが、2つの焦点のうち反射鏡50に近い側の焦点f1に位置するように配置されている。
【0054】
上述したように高圧放電ランプ100は、当該ランプ100に電力を供給できる点灯回路130に電気的に接続されている。より詳細に述べると、次の通りである。高圧放電ランプ100の一方の端子(外部リード5)は、外部リード引き出し線61に電気的に接続され、外部リード引き出し線61は、反射鏡50に形成された貫通孔58を通して、配線連結部材62に電気的に接続される。もう一方の端子は口金9となっており、この口金9および配線連結部材62に配線60が電気的に接続されており、そして配線60は点灯回路130に電気的に接続されている。各部材間の電気的な接続は、溶接やかしめによって行われる。
【0055】
本実施形態の点灯回路130は、DC−DCコンバータ回路131を含んでおり、DC−DCコンバータ回路131は、例えば、スイッチング素子とスイッチングトランスとダイオードとコンデンサとから構成されている。本実施形態の点灯回路130は、前記スイッチング素子のスイッチング周波数、またはスイッチのON/OFF比、あるいは両方を変化させることによって、ランプ100に供給する電力を、放電ランプ100の定格電力の100%から50%の間で変化させることができる機能を有している。
【0056】
さらに、本実施形態の点灯回路130は、インバータ回路132を、DC−DCコンバータ回路131の出力端に備えている。インバータ回路132は、複数のスイッチング素子を有しており、このスイッチング素子によってスイッチング周波数を例えば60Hzから800Hzの間で可変することができる。
【0057】
高圧放電ランプ100の構成をより詳細に説明すると、ランプ100は、封止部2を2つ備えたダブルエンド型のランプであり、発光管1は略球形をしており、外径が例えば5mm〜20mm程度であり、ガラス厚は例えば1mm〜5mm程度である。また、発光管1内の放電空間の容積は例えば0.01cc〜5cc(好ましくは、0.05〜2cc)程度である。本実施形態では、外径10mm程度、ガラス厚3mm程度、放電空間の容積0.06cc程度の発光管1を用いている。封止部2は、シュリンク手法によって作製されたシュリンク構造を有するものである。
【0058】
上述したように、発光管1内には、発光種である水銀6が、例えば150mg/cm3よりも多く封入されている。水銀6の封入量は、好ましくは190mg/cm3から350mg/cm3である。また、発光管1内には、10-6μmol/mm3以上のハロゲンが封入されている。ハロゲンは、好ましくは、10-6と10-1μmol/mm3の間の量の臭素が封入されている。ハロゲンは、ハロゲン単体の他、分解してハロゲンを生成するハロゲン前駆体の形態で封入しても良く、本実施形態では、CH2Br2、HBr、HgBr2などの形態で発光管1内に導入している。そして、発光管1内には、5〜40kPaの希ガス(例えばAr)も封入されており、本実施形態では、約20kPaのArが封入されている。
【0059】
次に、従来の紫外線照射装置においては、紫外線エネルギー効率を考慮して、水銀動作圧が高くても数十気圧程度まで高圧水銀ランプしか使用しなかったのに対し、本実施形態では、従来の紫外線エネルギー効率の考え方をあえて無視して、水銀封入量を150mg/ccよりも多くしている理由について述べる。
【0060】
本実施形態の高圧放電ランプ100は、150気圧よりも高い圧力で動作させているにもかかわらず、反射鏡50から反射され集光された光において、樹脂硬化や露光に使用される365nmや405nm、436nmの水銀輝線強度が、なんと従来のものよりも高くなる。この驚くべき事象は、本願発明者によって見出された。以下、さらに説明を続ける。
【0061】
本願発明者は、図2に示した本実施形態の高圧水銀ランプ100において、管壁負荷を80W/cm2とし、水銀封入量を90mg/cm3、120mg/cm3、150mg/cm3、190mg/cm3と変化させて、動作圧力を90気圧、120気圧、150気圧、190気圧と変化させたときの、ランプから放射される365nmや、405nm、436nmの水銀輝線強度を測定した。その結果を図10に示す。
【0062】
図10中のグラフの縦軸は、従来ランプの強度を100%としたものでり、図10では、相対値でもって結果をプロットしている。図10中のグラフの横軸は、ランプの動作圧(気圧)を表す。この場合、反射鏡50が無し状態で積分球を使用して光強度の測定を実施した。確かに、従来から言われているように、水銀蒸気圧を高くすればするほど、365nmや、405nm、436nmの水銀輝線強度は低下し、水銀蒸気圧の増加は樹脂硬化や露光によって不利な振る舞いを見せる。
【0063】
しかしながら、同じランプを反射鏡50に組み込み、反射鏡50からの収束光を積分球に導いて光り強度を測定すると、驚くべきことに、露光に有利な405nmや436nmの輝線強度は、図11に示すように、従来ランプのよりも高くなった。
【0064】
図11は、高圧水銀電ランプ(100)を反射鏡50に組み込んで、水銀封入量を90mg/cm3、120mg/cm3、150mg/cm3、190mg/cm3と変化させて、動作圧力を90気圧、120気圧、150気圧、190気圧と変化させたときの、反射鏡50からの収束光の365nmや、405nm、436nmの水銀輝線強度を測定した結果を示すグラフである。参考のために、波長範囲355nmから375nmの放射エネルギー、波長範囲345nmから385nmの放射エネルギー、波長範囲335nmから395nmの放射エネルギー、波長範囲300nmから400nmの放射エネルギーもそれぞれ求めて結果をプロットしている。図10に示したグラフと同様に、図11中のグラフの縦軸は、従来ランプの強度を100%としたものでり、図11でも、相対値でもって結果をプロットしている。図11中のグラフの横軸は、ランプの動作圧(気圧)を表す。なお、ここで使用したランプは、250nmに吸収を持つランプであるが、この試験において、250nmに吸収を持たないランプを使用しても構わない。
【0065】
図11に示すように、露光に有利な405nm、436nmの強度は90気圧の動作時で、既に従来の1.5倍以上であり、非常に高い値が得られる。蒸気圧とともに、それらの強度は低下傾向を示すが、驚くべきことに、150気圧よりも高い蒸気圧範囲では圧力とともに増加に転じる。樹脂硬化に有利な365nm輝線強度は動作圧90気圧から150気圧までは一定で、動作圧が150気圧よりも高くなると圧力とともに増加し、約250気圧以上で従来ランプをしのぐ強度が得られる。
【0066】
一方で、365nmを含んでわずかに波長選択範囲を広げると、例えば、355nmから375の範囲の放射エネルギーは90気圧の動作時で既に従来の1.2倍以上であり、非常に高い値が得られる。したがって、樹脂硬化においても90気圧の動作圧であっても、従来と同等以上の性能を示すものと考えられる。その355nmから375nmの範囲の放射エネルギーは蒸気圧とともに、それらの強度は低下傾向を示すが、ここでも驚くべきことに、露光に有利な405nm、436nmの輝線強度の振る舞いと同様に、150気圧よりも高い蒸気圧範囲では、圧力とともに増加に転じる。樹脂硬化に有利なその他の波長範囲である、波長範囲345nmから385nmの放射エネルギー、波長範囲335nmから395nmの放射エネルギー、波長範囲300nmから400nmの放射エネルギーにおいては、90気圧の動作時でも、既に従来の1.2倍から1.8倍のエネルギーを示し、非常に高い値が得られる。それらは蒸気圧とともに、低下傾向を示すが、露光に有利な405nm、436nmの輝線強度の振る舞いと同様に、150気圧よりも高い蒸気圧範囲では圧力とともに増加に転じる。
【0067】
以上のように、反射鏡50と組み合わされる高圧放電ランプ100の水銀封入量を、従来の動作圧が数十気圧となるレベルの水銀封入量よりも多い、90mg/cm3とし、好ましくは水銀封入量を150mg/cm3よりも多くし、その動作圧を90気圧以上、好ましくは150気圧よりも高くすることで、樹脂硬化や露光に有利な放射を、従来よりもはるかに高い効率で得ることができる。
【0068】
この高い効率によって、水銀蒸気圧の増加とともに増える赤外線による被照射物の熱の問題も実質的に解消することができる。よく知られているように、水銀蒸気圧が増加すると、可視発光とともに長波長の赤外発光も増加する。しかし、ここでは、当該高い効率によって、従来と同じ紫外線量を得るに必要なランプ電力が低減され、それゆえ、ランプから放射される赤外線の絶対量が低減される。しがたって、水銀蒸気圧の増加とともに増える赤外線による被照射物の熱の問題も実質的に解消できるのである。
【0069】
なお、水銀封入量を150mg/cm3よりも多くし、その動作圧を150気圧よりも高くする有利な点は、放射効率がよいばかりでなく、非常に長い寿命が得られるという点である。本実施形態の光照射装置に用いる高圧放電ランプ100では、いわゆるハロゲンサイクルによる黒化防止のために、臭素が封入されているが、いくつかの試験によって、150気圧以下の動作圧ではハロゲンサイクルが正常に働きにくい。この理由は、水銀封入量が150mg/cm3以下では、水銀と結合せずに、ハロゲンサイクルに寄与するハロゲンが過剰となって、定温度域の電極3、具体的には、電極3のうち封止部2に近い部分が、激しくハロゲンに侵食され、その結果、その近くの発光管1が黒くなったり、電極が折れてしまう可能性があるからである。事実、150mg/cm3以下では、発光管1のうちの封止部2に近い部分が黒くなる現象が多発した。
【0070】
また、水銀封入量の低下は、発光管1内で起きる対流が弱くなるので、発光管1の温度の過度の低下を招く。このため、水銀封入量90mg/cm3では温度が低くなった発光管1の上部にもタングステン輸送がおき、初期に黒くなる現象が見られた。寿命の観点から述べると、水銀封入量を150mg/cm3よりも多くし、その動作圧を150気圧よりも高くすることで、なんと5000時間から10000時間の点灯においても、ランプは黒くならず、点灯し続けることが可能となる。従来の紫外線照射装置用ランプの寿命では、点灯時間2000時間で長寿命をうたっているのと比較すれば、この非常に長い寿命は、顕著な効果である。
【0071】
なお、水銀封入量の上限を熱的な観点から規定するとすれば、例えば水銀封入量350mg/cm3、動作圧350気圧である。この値を超えると、赤外放射量が猛烈な勢いで増加すると思われるので、それにより、被照射物に熱的ダメージを与えてしまうおそれがある。
【0072】
管壁負荷を80W/cm2以上に増加させると、反射鏡50からの収束光の365nmや405nm、436nmの水銀輝線強度、さらには、波長範囲365nmから375nmの放射エネルギー、波長範囲345nmから385nmの放射エネルギー、波長範囲335nmから395nmの放射エネルギー、波長範囲300nmから400nmの放射エネルギーは従来ランプよりも更に増加する。例えば、下記表1に示すように、管壁負荷を80W/cm2から140W/cm2に増加させると、反射鏡50からの収束光の365nm、405nm、436nmの水銀輝線強度、さらには、波長範囲365nmから375nmの放射エネルギー、波長範囲345nmから385nmの放射エネルギー、波長範囲335nmから395nmの放射エネルギー、波長範囲300nmから400nmの放射エネルギーは、比較例(従来ランプ)と比較して、それぞれ、1.1倍、3.4倍、2.4倍、2.6倍、3.5倍、4.1倍となり、この条件では、もはや、比較例(従来ランプ)のを下回る強度のものはなく、それら全てが従来ランプをはるかにしのぐ、高い放射が得られる。
【0073】
【表1】
【0074】
管壁負荷を80W/cm2よりも小さくすると、ランプの温度が低くなりすぎて、水銀の一部が凝縮して蒸発せず、動作圧が低下してしまい、結果として従来ランプと比べると、反射光50からの収束光365nmや405nm、436nmの強度が低下して不利になる。逆に管壁負荷は高ければ高いほど放射に有利である。これは、発光管での光のロス(例えば、石英ガラスや封入された水銀蒸気および/またはハロゲンの吸収による短波長の光のロス)が小さくなり、さらには小さな発光管が放電アークの収縮をもたらして輝度を上げるためかもしれない。しかしながら、石英ガラスの耐熱性の制限から、実用的な寿命5000時間から、1000時間を得るには、300W/cm2を上限とするのが好ましい。ただし、冷却を施したり、ランプの交換サイクルを短くするような使用が可能ならこの限りでない。
【0075】
なお、発光管1内で電極3の先端は、その先端間距離、つまり電極間距離が約0.6mmから2.5mmの間で、好ましくは0.8mmから2.0mmになるように配置されている理由を次に述べる。それは、0.6mmよりも短い電極間距離では電極3の温度が高くなり、その電極の熱放射光(白熱電球と同様に、長波長成分が豊富)が反射鏡50からの収束光に加わり、被照射物の温度を過度に上昇させてしまう可能性があるからである。また、2.5mmよりも長くなると、高い動作圧に起因する対流による放電アークの不安定さが増し、ちらつきが生じやすくなるとともに、アークの温度が低下し、あたかも実質的に低い水銀蒸気圧のランプのように405nmや436nmの輝線強度が低くなる傾向を示すからである。好ましい0.8mmから2.0mmの範囲では、上記のような不都合がないのに加え、ハロゲンサイクルによって蒸発したタングステンが電流先端に戻され、非常にとがった先端形状となり、細いアークを形成せしめて、反射鏡50による光の収束に有利に働く。
【0076】
発光管1の内容積は約0.01cm3から5cm3の間にあり、好ましくは、0.05cm3から2cm3 である理由を次に述べる。0.01cm3よりも小さければ、石英ガラスの熱的な制限によって、実質的に入力できる電力は30W程度に制限され、絶対的に大きな出力がとれないからである。一方、5cm3よりも大きくすると、その大きな寸法がもはや点灯中の水銀蒸気の対流にまで影響を及ぼすようになり、例えば発光管1の最高温度部と最低温度部との差をますます大きくして、アークの不安定さを増す。好ましい0.05cm3から2cm3の範囲では、上記のような不都合がないのに加え、点灯を開始してから水銀が全て蒸発し、所定の定格光出力を得るまでの時間が、車のヘッドライト用の高圧放電ランプの点灯開始のように、1,2分程度と非常にスムーズに光出力が立ち上がる。このことは、定格電流よりも過度の電流が流れる期間が短いことを意味し、したがって、始動電流による電極ダメージが低く抑えられ、寿命に有利に働く。
【0077】
発光管1に封入しているハロゲンの量が10-6μmol/mm3以上、好ましくは10-6と10-1μmol/mm3の間にある理由を次に述べる。それは、10-6μmol/mm3以上のハロゲンは、蒸発したタングステンを電極先端に戻し、非常にとがった電極先端形状をもたらし、その結果、細いアークを形成せしめて、反射鏡50による光の収束に有利に働くからである。すなわち、熱処理によってSiO2がH2で還元された結果に生じるH2Oが源となって存在する微量の酸素と、このハロゲンとにより、電極の蒸発をわずかに活発せしめ、先端形状をより鋭利にとがらすのである(なお、この点をもう少し深く検討すると、多量のH2は多量のH2Oをもたらし、その結果、大きな電極先端部の変形を生じさせるので、多量のH2の存在は望ましくない)。ただし、ハロゲンが10-1μmol/mm3よりも多くなると、先端形状の変形が激しくアークの位置が一定に定まらず不安定となる。先端形状の鋭角化に関しては、ハロゲンの種類は臭素の他に、ヨウ素や塩素も選択可能である。しかし、ヨウ素は始動電圧が高くなる傾向があり、また塩素はグロー放電電圧を高くするので、アーク放電への移行がヨウ素や臭素と比べて困難となるので臭素が好適である。
【0078】
また、反射鏡50は光軸を有する凹状反射面を持つ反射部分50aと、反射部分50aと一体で光軸を包んでいる中空ネック部50bとを備え、いずれもガラスから構成されているが、少なくとも反射部分50aの肉厚は3mm以上とするのが好ましい。従来よりも高い水銀蒸気圧は、樹脂効果や露光に有利な波長の光量を増すが、同時に、赤外成分の発光も増加する。本実施形態のように当該肉厚を3mm以上にすれば、従来よりも増加した赤外線を吸収することができ、その結果、反射鏡50から周囲に漏れ出る赤外線を従来ランプレベルに抑制することが可能となる。このことは、装置の加熱を防止し、機器の小型化に有利に働く。さらに、中空ネック部50bは、放電ランプの光の影響をほとんど受けないので、赤外線を吸収した反射部分50aのラジエターの働きをし、効果的に、反射鏡50全体の温度低下に寄与する。
【0079】
なお、反射鏡50の開口部(広開口部)を、紫外線を透過するガラス、例えば石英ガラスで塞げば、放電ランプ100の温度をより安定に一定に保つことができ、その結果、水銀蒸気圧の変化を抑え、光出力の安定に有利に働く。また、そのガラスが従来よりも増加した赤外線の一部を吸収し、被照射物の温度上方を効果的に抑制することもでき、有利である。
【0080】
本実施形態の楕円反射鏡50の焦点距離F1が3mm以上で、好ましくは5mmから35mmの間にある理由を述べると、まず、3m未満ではランプ100が中空ネック部50bに近すぎて、その部分の温度を上昇させ、上述のラジエター効果を抑制するばかりでなく、熱的負担の増加によってネック部50bのわれを生じる危険性が増すからである。5mmから35mmの範囲が好ましい理由は、上述のような不都合がないことに加えて、中空ネック部50b側に位置する放電ランプ100の封止部2が過度に長くなりすぎず、したがって、放電ランプ100の温度を適切に高め、蒸気圧の低下を抑制することができるからである。
【0081】
また、焦点距離F2が50mm以上で、好ましくは50mmから300mmの間にある理由を述べると、まず、50mm以下だと反射鏡50からの収束光が放電ランプ100の封止部2に遮られるおそれがあるからである。そして、300mmを超えると、収束位置において反射鏡50からの光が収束する範囲が広がり、シャープな光強度分布が得られず、例えば、収束付近に光ファイバの入射端を設け、光ファイバによって光を通じて光を照射するような場合、光ファイバへの入射効率が悪く、結果として、光利用効率を低下させてしまうからである。ただし、それを補正するレンズなどを用いる場合は、焦点距離F2は300mmよりも長くしてもよく、その意味で、楕円反射鏡の代わりに、放物面反射鏡を用い、それと集光レンズ系を組み合わせるような構成にしてもよい。
【0082】
なお、本実施形態の光照射装置では、高圧放電ランプ100が光軸上にあるような状態で封止部2が中空ネック部50bに挿入され、中空ネック部50bと隙間がないように、例えば無機系接着剤(セメントなど)で固着されおり、それゆえ、ランプ交換は、反射鏡50と高圧放電ランプ100とを同時に交換可能となっている。このことは、従来のランプのみを交換する方式(例えば、特許文献1参照)と比べて、反射部分50aの反射面にコートされている膜(紫外線反射・赤外線透過膜)が、長い時間、放電ランプ100の強い光や熱に曝されることで劣化し、光出力特性に変化を及ぼす可能性を無くするとともに、ランプの位置を再度調整し配置する煩雑な手間や、あるいは配置ミスの可能性を実質的に完全になすくことができることを意味する。
【0083】
なお、本実施形態の構成では、高圧放電ランプ100が光軸上にあるような状態で封止部2が中空ネック部50bに挿入され、中空ネック部50bと隙間がないように固着させた例を示したが、反射鏡50の温度をコントロールするための間隙が中空ネック部50bと封止部2との間にあってもよい。また、中空ネック部50bと封止部2とをセメントによって直接固着するのはなく、スペーサを介して両者を固着するようにしてもよい。また、中空ネック部50bの中空部は、反射部分50aに向かって円錐状に、孔が小さくなる形が光景である。この方が反射部分50aの反射面を大きくとれ、それゆえ、収束する光の量が増える。
【0084】
また、上述したことと重複する部分もあるが、特許文献1等の従来技術は、本実施形態の構成と比較して、点灯中の水銀蒸気圧が数十気圧程度と低いので、次のような問題が発生し得る。ただし、この問題は、従来においては、常識的な条件での使用であったため、問題とはされていなかったものである。
【0085】
点灯中の水銀蒸気圧が数十気圧程度と低いことにより、点灯中のランプ動作電圧が低く、ランプ電流が大きいため、電極の熱負担が大きく、それゆえ、寿命が短い。さらに、低い蒸気圧のために特に波長300nm以下の水銀発光が強力で、被照射物や照射装置自身が、この紫外線によりダメージを受けていた。さらに、ランプだけを交換するために、長期の使用により反射鏡の特性(分光反射率、強度など)が劣化し、その反射鏡の劣化により出力が変化したり、反射鏡が破損し得るという問題もあった。
【0086】
さらに、特許文献2に開示された技術のように、紫外線放射を増すためにアルゴンを高圧で封入するには、ランプの製造工程において液体窒素にてランプを冷却しアルゴンガス(沸点−186℃)を発光管内にトラップする必要がある。アルゴンガスと沸点が近い液体窒素(沸点−196℃)にてランプを冷却する場合、管壁負荷が10〜30W/cm2といった寸法の大きな発光管しか製造できなかったり、あるいは小型のランプを作製する場合は、非常に高価な液体ヘリウムを使用したりする必要があり、それが問題となる。さらに、高圧のアルゴンガスはランプの始動を非常に困難にし、そのため高い始動電圧を印加する必要があるために、装置の大型化を招いたり、あるいは、高い始動電圧がランプの電極にダメージを与え、寿命を短くするという問題も生じる。
【0087】
特許文献1、2を含む従来技術でもそうであるが、紫外光照射装置用のランプは、直流型の高圧放電ランプ(DCランプ)が用いられるのが一般的である。これに対し、交流型の高圧放電ランプを用いた場合、陰極輝点(この近傍では、高温のため紫外光がより多く発せされる)が2つ出来るので、光ファイバ等への紫外光がより多く収束(集光)されるという利点もある。上述した波長250nmのフィルタリング効果や水銀封入量が150mg/cm3を超える高圧放電ランプによってもたらされる効果は、直流型ランプ、交流型ランプに限定されず、得られるものであるので、本実施形態の光照射装置は、交流型ランプ、直流型ランプともに利用可能である。
【0088】
なお、波長250nmおよび周囲の光を反射鏡50から放射されないようにするには、反射鏡50に波長250nmをカットする前面ガラスを設けたり、反射鏡50に波長250nmをカットする反射膜を設けることも可能である。反射鏡50およびランプ100の発光管1のいずれか又は組み合わせのフィルタリング機能によって、波長250nmおよび周囲の光を減衰またはカットすることができるが、反射鏡50のみのフィルタリング機能よりも、発光管1のフィルタリング機能を用いた方が好ましい。なぜならば、反射鏡のフィルタリング機能は、周囲の温度や湿度などの使用環境により変化の程度に影響を受けるが、発光管1のフィルタリング機能は外部と接しない発光管1の内面またはガラス内部に存在するので、それらは外部要因の影響を受けず、したがって安定にしかもバラツキも少なく機能するからである。
【0089】
(実施形態2)
上記実施形態1においては、紫外線エネルギー効率の向上に焦点を当てて光照射装置500について説明を行ったが、光照射装置(紫外線照射装置)には、照度を一定に維持したいという要求もある。
【0090】
図12は、従来ランプの紫外線寿命特性グラフであるが、図12に示すように、ランプから放射される強度は点灯時間(使用時間)とともに変化していくので、実際に、紫外線照射装置を使用する場合には、照度を測定し、そして、その照度が安定しているかどうかを使用毎に実行することが必要となる。現状では、それを実施しないと紫外線照射装置を用いた照射工程を行えないので、必須工程ゆえにその煩雑な作業を甘受しなければならないが、できることならば、そのような作用の煩雑さは少しでも軽減したい。
【0091】
上記実施形態1で説明したとおり、本発明の実施形態に係る光照射装置500は、従来の装置よりも紫外線エネルギー効率が大きいので、その上回った分を一定の照度を行うことができるマージンとしてとらえて、光照射装置500を用いて一定の照度を維持しながら、光を照射する方法に応用することも可能である。つまり、従来使用されている照射レベルの光を一定照度で光照射する方法を提供することも可能である。
【0092】
図13は、本実施形態の光照射方法を説明するためのグラフであり、従来の照射レベルを相対強度100%としている。本実施形態の光照射装置500を用いれば、点灯時間の初期においては、相対強度100よりも非常に大きい強度の光を照射することが可能であるが、あえて、相対強度100の光を照射する。そして、点灯時間T1、T2のときにも、相対強度100を上回る強度I1、I2の光を照射できるのであるが、ここでもあえて相対強度100のものを一定照度の光として照射し続ける。そして、光照射装置500からの光の強度が、相対強度100のレベルまで低下してきたら、この光照射方法はやめる。
【0093】
その後は、高圧放電ランプ100を交換すればよい(例えば、反射鏡50ごと交換する)。ただし、高圧放電ランプ100を交換せずに、従来の光照射方法のように、その都度、照度を測定して使用してもよい。なぜならば、この時点においても、従来の光照射装置と同等レベルの照射能力を有しているからである。場合によっては、相対強度100ではなく、それ未満のレベルに下げて、一定照度を維持して照射する方法を続けても良い。
【0094】
波長250nm周囲の光をフィルタリングして、そして、波長300nm周囲の光を積極的に利用する場合には、次のようなステップを踏みながら、当該方法を実行すればよい。
【0095】
まず、高圧水銀ランプ100が発する光のうち、波長250nm周囲の紫外光を排除し、かつ、波長300nm周囲の紫外光を少なくとも含む光の照度を検出する。具体的には、波長250nmに吸収スペクトルを有する本実施形態の高圧水銀ランプ100について照度を測定すればよい。典型的には、ランプ100が組み込まれた反射鏡50からの照度を検出することになる。
【0096】
次に、照度を最大照度としたとき、最大照度以下(またはそれ未満)の範囲で、一定の照度を維持しながら、光を照射する。これは、図13で説明した通りである。なお、光を照射する際には、波長250nm周囲の紫外光を排除し、かつ、波長300nm周囲の紫外光も排除した場合の光の照度以上の範囲で、一定の照度を維持することも可能である。こうすれば、従来よりも強度の高い紫外線(または紫外−可視線)を照射することができるからである。ただし、一定の照度を維持しながら照射することにポイントをしぼって考えてみれば、従来の照射レベルの強度を維持できたら、十分メリットはある。
【0097】
本発明の実施形態に係る光照射装置および光照射方法は、少なくとも紫外線を含む光を照射する用途に適用できる。例えば、上述した紫外線硬化性樹脂の硬化や、半導体基板・液晶基板の露光の用途に利用することができる。より具体的な用途としては、キュアリング、UV接着、ウエハ露光、ウエハ周辺露光、液晶露光、プリント基板露光、TAB露光などに用いることができる。
【0098】
【発明の効果】
本発明によれば、少なくとも紫外域のスペクトルを有する光を発する高圧放電ランプの発光管の少なくとも一部が、波長250nmに吸収スペクトルを有し、それによって、前記発光管の内から外へ発する光のうち、波長250nmおよびその上下少なくとも5nmの光をフィルタリングするので、波長300nm周囲の光(例えば、波長365nm未満の光)を積極的に利用することが可能となり、その結果、従来よりも紫外放射エネルギー効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る光照射装置500の構成を示す模式図
【図2】本発明の実施形態に係る高圧放電ランプ100の構成を示す模式図
【図3】本実施形態の高圧放電ランプ100の発光管1の吸収スペクトルを説明するための透過率グラフ
【図4】高圧水銀ランプの分光特性の概略を説明するための分光分布図
【図5】本実施形態の高圧放電ランプ100の分光分布図
【図6】従来の高圧水銀ランプの分光分布図
【図7】紫外線硬化樹脂の吸収特性を示すグラフ
【図8】発光管1の吸収スペクトルを説明するための紫外分光分布図
【図9】焦点f1,f2および焦点距離F1,F2の関係を説明するための図
【図10】水銀動作圧力を変化させたときの、ランプから放射される各種水銀輝線強度についてのグラフ
【図11】ランプを反射鏡に組み込んだ場合における、水銀動作圧力を変化させたときの、ランプから放射される各種水銀輝線強度についてのグラフ
【図12】従来ランプの紫外線寿命特性グラフ
【図13】本実施形態の光照射方法を説明するためのグラフ
【図14】従来の紫外線照射装置の構成を示す図
【符号の説明】
1 発光管
2 封止部(側管部)
3 電極(電極棒)
4 金属箔
5 外部リード
6 発光種(水銀)
7 口金
50 反射鏡
50a 反射部分
50b 中空ネック部
100 高圧放電ランプ(高圧水銀ランプ)
120 筐体
125 窓
130 点灯装置
131 DC−DCコンバータ回路
132 インバータ回路
500 光照射装置(紫外線照射装置)
【発明の属する技術分野】
本発明は、光照射装置、光照射装置用ランプおよび光照射方法に関する。特に、紫外線硬化樹脂の硬化や、半導体装置および液晶表示装置の製造工程における露光に用いられる光照射装置(例えば、紫外線照射装置)に関する。
【0002】
【従来の技術】
紫外線硬化樹脂を接着剤として用いた電子部品・光学部品の精密接着や、半導体装置および液晶表示装置の製造工程における露光などには、紫外線を含む光を放射する紫外線照射装置が用いれる。従来の紫外線照射装置としては、例えば、特許文献1に開示されたものがある。
【0003】
図14は、特許文献1に開示された紫外線照射装置の構成を示している。図14に示した紫外線照射装置は、ショートアーク型の放電ランプ1010と、中央部に開口を有する楕円集光鏡1021と、楕円集光鏡1021を保持する楕円集光鏡保持部材1020と、光ファイバーFとを備えている。
【0004】
ショートアーク型の放電ランプ1010は、内部に陰極1011と陽極1012とからなる一対の電極を有しており、放電ランプ1010の陽極1012側の口金1013には、フランジ部1015が設けられている。楕円集光鏡保持部材1020の底部中央には嵌合孔1022が設けられており、嵌合孔1022に放電ランプ1010の口金1013の小径部1016を挿入することにより、放電ランプ1010が定置される。放電ランプ1010は、楕円集光鏡1021の楕円の2つの焦点を通る光軸L上に放電ランプ1010のアークが位置するように配置される。楕円集光鏡1021は、ランプ点灯時に放射光が光ファイバFの光入射端Finに入射するように位置調整されている。ここで、Stはシャッタである。
【0005】
この公報に開示された紫外線照射装置では、嵌合孔1022に嵌合した口金1013に離脱可能に係合し、口金1013のフランジ部1015を楕円集光鏡保持部材1020側に付勢するバネ1030を楕円集光鏡保持部材1020に設けており、それにより、放電ランプ1010を取り付けた後、当該放電ランプ1010の位置調整を不要にすることができる。
【0006】
また、直流点灯式のショートアーク型水銀ランプの紫外線照射量を増大させるために、アルゴンガスを室温で1気圧から8気圧封入し、発光管の最大半径R(cm)、発光管の肉厚d(cm)、入力電力W(kW)として、0.211≦((Wd/R2)1/2≦0.387となる関係を満たすようにすることが、特許文献2に開示されている。ここでは、水銀は、ランプ内の単位容積当たり4.5mg/cc封入されている。
【0007】
【特許文献1】
特開平10−55713号公報
【特許文献2】
特開平11−191394号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
従来のショートアーク型水銀ランプを用いる紫外線照射装置では、水銀の紫外線波長を有効に使用できるように研究・開発が行われている。そして、紫外線硬化性樹脂の硬化や、半導体基板・液晶基板への露光に用いられる従来の紫外線照射装置では、水銀からの紫外発光を効率良く得るために、水銀動作圧で数十気圧程度のレベルの高圧水銀ランプ(または超高圧水銀ランプ)が使用されている。それを超えるレベルでの使用は、紫外発光の効率(つまり、紫外放射エネルギー効率)が低下してしまうので、そのような使用は採用されていない。
【0009】
一方、数十気圧の水銀動作圧においては、300nm未満の水銀発光が強力であり、その光が被照射物や照射装置にダメージを与えてしまうという問題がある。そして、その圧力で300nm未満の水銀発光が生じることは水銀の発光特性であるがゆえに、ダメージを与えてしまうような紫外線(短波長側の紫外線)が放射しないようにするためには、反射鏡の方で調整する必要がある。従来の紫外線照射装置の反射鏡では、300nm以上(例えば、300nm〜400nmの光)を効率良く反射するとともに、300nm未満の光はできるだけ排除するように設計がなされており、それによって300nm未満の光が出射光に含まれないようにしている。
【0010】
このような状況の中、本願発明者は、従来の常識および前提条件をもう一度見直し、従来よりも紫外放射エネルギー効率を向上させることを目的とし、そのようなことを実現できる光照射装置の開発に取り組んだ。
【0011】
本発明の主な目的は、従来よりも紫外放射エネルギー効率を向上させることが可能な光照射装置を提供することにある。本発明の他の目的は、そのような光照射装置に適したランプを提供することにある。本発明の更なる他の目的は、従来と比べて光量を低下させずに一定の光量を照射する光照射方法を提供することにある。そして、本発明のさらに別の目的および本発明の特徴は、後述する発明の実施の形態によって、理解することが可能である。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明の光照射装置は、管内に発光物質が封入された発光管と、前記発光管から延びた封止部とを有する高圧放電ランプと、前記高圧放電ランプから発せられる光を反射する反射鏡とを備え、前記高圧放電ランプから発せられる前記光は、少なくとも紫外域のスペクトルを有し、前記発光管の少なくとも一部は、波長250nmに吸収スペクトルを有し、それによって、前記発光管の内から外へ発する光のうち、波長250nmおよびその上下少なくとも5nmの光をフィルタリングする。
【0013】
前記発光管は、前記発光物質が発する光のうち波長250nmの光の発光強度を実質的にゼロにする機能を有することが好ましい。
【0014】
ある好適な実施形態において、前記発光管は、実質的に石英ガラスから構成されており、前記高圧放電ランプは、高圧水銀ランプであり、前記発光物質として、前記発光管の容積を基準にして150mg/cm3を超える水銀が封入されている。
【0015】
ある好適な実施形態において、前記光照射装置は、少なくとも紫外線を照射する紫外線照射装置であり、前記反射鏡は、コールドミラーであり、前記水銀の封入量は、前記発光管の容積を基準にして、190mg/cm3以上であり、前記発光管には、ハロゲンが封入されており、前記ランプの管壁負荷は、80W/cm2以上である。
【0016】
ある好適な実施形態において、前記吸収スペクトルを有する前記発光管の当該吸収スペクトルは、前記高圧放電ランプを1000℃から1100℃の高温条件下で2時間以上保持することによって形成される。
【0017】
ある好適な実施形態において、前記発光管内には、一対の電極が対向して配置されており、前記電極は、前記封止部内に配置された金属箔に電気的に接続されており、前記一対の電極の間の距離は、2.0mm以下であり、前記高圧放電ランプは、交流点灯型のランプである。
【0018】
ある好適な実施形態において、前記反射鏡は、前記高圧放電ランプの前記封止部が挿入される開口部が形成された中空ネック部を有し、前記高圧放電ランプは、前記中空ネック部に挿入されて前記反射鏡に固定されており、前記反射鏡は、楕円面の反射面を有する楕円面鏡であり、前記光照射装置は、前記反射鏡を取り囲み、前記反射鏡からの光を通過させる窓が形成された筐体をさらに備えており、前記筐体内には、前記高圧放電ランプに電気的に接続された点灯回路が配置されている。
【0019】
ある好適な実施形態において、前記筐体の窓の周囲には、光ファイバが配置されており、前記光ファイバのコアは、石英ガラスとは異なるガラスから構成されており、前記ガラスは、高石英含有ガラス、ソーダガラスおよびホウケイ酸ガラスからなる群から選択される。
【0020】
本発明の光照射装置用ランプは、少なくとも紫外光を照射する光照射装置に用いるランプであり、管内に水銀が封入され、実質的に石英ガラスから構成された発光管と、前記発光管から延びた封止部とを備え、前記発光管は、波長250nm周囲の光を吸収し、かつ、波長300nm周囲の光を透過し、前記水銀は、前記発光管の容積を基準にして150mg/cm3よりも多く封入されており、前記発光管には、ハロゲンが封入されており、前記ランプの管壁負荷は、80W/cm2以上である。
【0021】
ある好適な実施形態において、前記光照射装置用ランプから発せられる光のうち波長250nmの光の発光強度は、実質的にゼロである。
【0022】
本発明の光照射方法は、少なくとも紫外光を照射する光照射方法であり、高圧水銀ランプが発する光のうち、波長250nm周囲の紫外光を排除し、かつ、波長300nm周囲の紫外光を少なくとも含む光の照度を検出する工程と、前記照度を最大照度としたとき、前記最大照度以下の範囲で、一定の照度を維持しながら、前記光を照射する工程とを包含する。
【0023】
前記光を照射する工程においては、前記波長250nm周囲の紫外光を排除し、かつ、前記波長300nm周囲の紫外光も排除した場合の光の照度以上の範囲で、前記一定の照度を維持することが好ましい。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。以下の図面においては、説明の簡潔化のため、実質的に同一の機能を有する構成要素を同一の参照符号で示すことがある。なお、本発明は以下の実施形態に限定されない。
【0025】
(実施形態1)
図1から図3等を参照しながら、本発明の実施形態1に係る光照射装置を説明する。図1は、本実施形態に係る光照射装置500の構成を模式的に示している。
【0026】
図1に示した光照射装置500は、高圧放電ランプ100と、高圧放電ランプ100から発せられる光111を反射する反射鏡50とを備えている。反射鏡50の周囲には、反射鏡50からの光112を通過させる窓125が形成された筐体120が設けられている。高圧放電ランプ100は、点灯回路100に電気的に接続されており、本実施形態では、点灯回路100は筐体120内に配置されている。
【0027】
高圧放電ランプ100は、管内に発光物質が封入された発光管1と、発光管1から延びた封止部2とを有しており、少なくとも紫外域のスペクトルを有する光を発光する。本実施形態の高圧放電ランプ100は、高圧水銀ランプであり、紫外域のスペクトル(例えば、365nm(i線)など)の他、可視域のスペクトル(例えば、405nm(h線)、436nm(g線)など)も発光する。
【0028】
図2に、本実施形態の高圧放電ランプ100の構成を示す。ランプ100の発光管1は、実質的に石英ガラスから構成されており、発光管1の両端からは、同じく石英ガラスから構成された封止部2が延在している。封止部2内には、金属箔(モリブデン箔)4が配置されており、金属箔4は、発光管1内に対向して配置されている電極の一端に接続されている。また、金属箔4には外部リード5が接続されている。一方の封止部2の端部には口金7が取り付けられている。
【0029】
高圧放電ランプ100の発光管1内には、発光管1の容積を基準にして、150mg/cm3を超える水銀6が封入されている。なお、本実施形態の高圧放電ランプ100の動作圧は、150気圧を超える値である。発光管1には、水銀6の他に、希ガスとハロゲンとが封入されている。そして、ランプ100の管壁負荷は、80W/cm2以上である。一対の電極3の間の距離は、2.5mm以下であり、例えば、0.6〜2.5mm(好ましくは、0.8〜2.0mm)である。また、本実施形態の高圧放電ランプ100は、交流点灯型のランプである。
【0030】
本実施形態の高圧水銀ランプ100の発光管1は、石英ガラスから構成されているにもかかわらず、波長250nmに吸収スペクトルを有している。この吸収スペクトルによって、発光管1の内から外へ出る放射光のうち、波長250nm周囲の紫外光(例えば、250nm±5nm、あるいは、250nm±10nm)をフィルタリングすることができる。つまり、発光管1は、波長250nm周囲の光を吸収し、かつ、波長300nm周囲の光を透過させる。本実施形態では、発光管1は、波長250nm周囲の紫外光をカットする能力を有しており、それによって、発光管1は、波長250nmの紫外光の発光強度を実質的にゼロにすることができる。
【0031】
波長250nmに吸収スペクトル(吸収ピーク)がある様子を図3に示す。図3は、発光管の透過率の概略を示すグラフであり、図3中の符号「101」が本実施形態の高圧放電ランプ100の紫外分光で、符号「102」が従来の高圧放電ランプの紫外分光である。石英ガラスから構成された発光管は、250nm(およびその周囲)に吸収を持たないのであるが、本実施形態のランプ100では、約250nmに吸収ピークを持ち、その付近の光を吸収する。
【0032】
波長250nm周囲の光を吸収して、減少またはフィルタリングできることにより、次のような効果を得ることができる。以下、図4を参照しながら、それを説明する。
【0033】
図4は、高圧水銀ランプの分光特性の概略を説明するための分光分布図である。図4中の曲線105は、従来の数十気圧(動作圧)レベルの高圧放電ランプの分光分布であり、j線、i線、h線、g線のピークの他に、波長250nmのピークがある。例えば紫外線硬化樹脂に用いる紫外線照射装置の場合、波長300〜400nm(領域106)の紫外光を効率良く照射したい。一方で、被照射物や照射装置にダメージを与えてしまう波長300nm未満(領域107)の紫外光はできるだけ排除したい。この要求を満たそうとすると、反射鏡の反射特性は、曲線108のように、波長300nmのところで反射特性が収束するようにする必要がある。点線109のように、波長300nmのところの光まで反射させるように設計すると、波長250nmの光を反射してしまい、当該光を放射してしまうことになってしまうからである。したがって、波長300nm付近の光は利用されず、そして、主に波長365nmの光などが利用される。
【0034】
逆に、波長250nmの光がランプから出てこなければ、反射鏡の反射特性を点線109のところまで短波長側にのばすことができる。本実施形態の光照射装置用ランプでは、波長250nmおよび周囲の光(例えば、波長250nmおよびその上下少なくとも5nm)の光を低減させてフィルタリングすることができるので、反射鏡の反射特性を短波長側にのばすことができ、その結果、波長300nm周囲の紫外光を積極的に利用することが可能となる。従来、波長250nmを排除するために利用しなかった波長300nm周囲の紫外光を積極的に利用できるようになることは、紫外エネルギー効率を向上させ得ることを意味する。
【0035】
また、従来の紫外線照射装置用ランプの動作圧は、紫外線エネルギー効率のことを考慮して数十気圧以下にされているのであるが、本実施形態の高圧放電ランプ100では、その技術常識に反して、水銀を150mg/cm3超える量封入して動作圧を150気圧を超えるレベルにしている。このレベルの分光分布は、曲線104のようになり、可視光成分が増えるとともに、シャープだった各ピークがブロード気味になる。そして、数十気圧以下の場合と比較して、150気圧を超える場合、波長250nmのピークの高さは低くなり、その成分の量は減る。したがって、本実施形態の高圧放電ランプ100の発光管1のフィルタリング能力によって、波長250nmの光の発光強度を実質的にゼロにすることが、動作圧が数十気圧以下の場合と比べて容易となる。
【0036】
図5は、本実施形態の高圧放電ランプ(光照射装置用ランプ)100の一例について分光分布を測定した結果を示す分光分布図である。ランプ100の水銀封入量は、約200mg/cm3(動作圧約200気圧)で、入力電力は200Wである。また、管壁負荷は80W/cm2である。
【0037】
図5に示すとおり、波長250nmの強度は、ゼロまたは測定不可能のレベルであった。また、波長300nm未満の強度がほとんどないことからもわかるように、波長245〜380nmの紫外域のうち波長300nm未満の光は良好にカットされており、そして、285nm以下の光の強度は実質的にゼロである。
【0038】
なお、測定条件は次の通りであった。電源電圧(Vs)は100V一定で入力。ランプ点灯姿勢は、ランプ台座を水平にして、水平点灯。ランプ測定方向は、ランプ長軸に対して垂直方向。測定温度は、室温(24℃)。また、測定サンプル数は2個であり、図5ではその平均値をプロットしてある。
【0039】
比較対照のために、従来の高圧水銀ランプ(紫外照射装置用ランプ)の分光分布図を図6に示す。図6に示されているように、この従来のランプでは、波長300nm未満の成分が多いとともに、波長250nmにピークが存在する。したがって、この従来のランプを反射鏡と組み合わせて紫外照射装置用ランプと使用する場合には、反射鏡の反射特性を、図4に示すように、波長300nmまでで減衰するようなものにすることが求められ、そのような従来の紫外照射装置では、波長300nm周囲(例えば、300nm〜350nm)の紫外光を有効に利用することが難しかった。
【0040】
図7は、あるメーカーから市販されている紫外線硬化樹脂の吸収特性を示す。縦軸はモル吸光係数(l/mol×cm)であり、横軸は波長(nm)である。通常、紫外線硬化樹脂においては、波長365nm等の紫外線を利用して硬化させることが多いが、図7中に示した樹脂A〜Dでは、365nmでも吸収を示すが、それよりもむしろ約300nm〜約350nmの吸収の方が大きく、それゆえ、その領域の紫外光を利用する意義がある。従来は、市販の(または利用可能な)紫外線照射装置にあわせて、例えば365nmでも所定量の感度を有する樹脂が開発されていたことが多いと思われるが、樹脂のモル吸光係数の方に着目すれば、波長365nm未満の領域(例えば約300nm〜約350nm)の紫外線も、積極的に利用する価値がある。
【0041】
図5に示したように、本実施形態のランプ100は、例えば波長310〜350nmに所定の強度のスペクトルを含むので、これらの紫外光を積極的に利用して、従来よりも紫外放射エネルギー効率を向上させることができる。この波長310〜350nmの領域の光を積極的に利用できることは、上述したように、本実施形態のランプ100が波長250nm付近の光を発しないことに関係している。本実施形態の構成によれば、波長365nm未満の領域で、300nm周辺の紫外光を利用することができるので、従来の構成と比較して、紫外放射エネルギー効率を例えば30%程度向上させることができる。
【0042】
また、本実施形態のランプ100が波長250nm付近の光を発しないので、反射鏡50から発された光を、光ファイバに入射させて、それによって任意の位置に紫外線(または、紫外−可視光)を照射するような場合において、光ファイバを構成する材料として、高価な石英ガラスを用いなくても、それよりも安価なガラスを用いること可能となる。ここで使用可能な非石英ガラスとは、SiO2が90%以下(90質量%以下)のガラスであり、例えば 高石英含有ガラスや、ソーダ石灰ガラス、ホウケイ酸ガラスである。光ファイバの入射端は、図1に示した構成では、筐体120の窓125の周囲に配置すればよい。
【0043】
次に、本実施形態のランプ100の発光管1が、波長250nmに吸収スペクトルを有するようにする方法について説明する。発光管1に、波長250nmの吸収スペクトルを持たせる手法は、本願発明者が偶然見つけたものに基づいており、どのような機構により、当該吸収スペクトルを発光管1が持つようになったのか正確な理由はわからない。しかし、発光管1の少なくとも一部が波長250nmの吸収スペクトルを有するのは、本願発明者が測定により確認している事実である。
【0044】
石英ガラスからなる発光管1に、波長250nmに吸収スペクトルを有する部位を形成するには、次のようにする。
【0045】
まず、通常の製造工程に従って、発光管1内部に10-7mol/cc程度またはそれ以上のH2を含んだ高圧放電ランプ(高圧水銀ランプ)を作製する。この作製した高圧放電ランプをランプ完成体と呼ぶとすれば、当該ランプ完成体を、高温条件下で所定時間加熱する。この加熱は、ランプ完成体を所定温度の炉内に放置することによって行う。炉内の雰囲気は、減圧雰囲気、真空雰囲気、または、不活性ガス雰囲気(Arガス等)である。炉内の温度は、例えば、1000℃から1100℃であり、本実施形態では、1080℃で行った。加熱時間は、例えば、2時間以上(または50時間以上)であり、本実施形態では、100時間で行った。なお、ランプ完成体の発光管1内のH2含有量の上限は、10-6mol/ccにすることが好ましい。なぜならば、それ以上のH2は、ランプの黒化をもたらしたり、始動困難性を生じさせてしまう可能性があるからである。
【0046】
図8に、発光管1の吸収スペクトルを説明するための紫外分光分布図を示す。図8中の元ガラス(×印太線)のプロットは、加熱処理を行っていない高圧水銀ランプの紫外分光分布である。一方、図8中の90atm(○印)、120atm(×印)、190atm(△印)は、それぞれ、発光管1内に水銀が90mg/cm3(動作圧約90気圧)、120mg/cm3(動作圧約120気圧)、190mg/cm3(動作圧約190気圧)封入された高圧水銀ランプ(ランプ完成体)を高温条件下で加熱処理したものの紫外分光分布である。
【0047】
図8からわかるように、上記高温条件下での加熱処理を施していない高圧放電ランプには、波長250nmに吸収ピークは存在しない。一方、当該加熱処理を施した高圧放電ランプにおいては、封入水銀量が多いものほど波長250nmの吸収ピークが大きくなっていることがわかる。すなわち、波長250nmでの分光透過率は、加熱処理を施していないランプで約80%、90atmのランプで約50%、120atmのランプで約47%であり、そして、120atmのランプは、約25%にもなる。このグラフから考察すると、150atm(150mg/cm3)を超えたあたりから、分光透過率を40%以下にすることができるのではないかと思われる。
【0048】
波長250nmにピークがある吸収スペクトル(図8では、波長270nmから230nmの領域)から直ちにその構造を推定するのは困難であるが、可能性の一つとしては、本実施形態の高温条件下の加熱処理によって、石英ガラス中の「−Si−O−」などの構造の一部が切断等されて、通常の石英ガラスとは違う構造(例えば、酸素欠乏欠陥のような構造)が、熱処理をしていないガラスよりも多く形成されているのかもしれない。また、好ましくないH2が発光管1に含まれた状態での高温熱処理により、SiO2がH2によって還元されている可能性も考えられる。この点からも、前述した多量のH2は好ましくない。SiO2が過剰に還元されると、結果として多量のH2Oが存在し黒化を早期に生じる。なお、発光管1を構成する石英ガラスが波長270nmの吸収スペクトルを持つと、そのスペクトルによって石英ガラスに失透等が生じるおそれを可能性として考えるべきであるが、本願発明者が検討したところ、失透等は観測されなかった。
【0049】
再び図1を参照しながら、本実施形態の光照射装置500の他の構成要素について説明を続ける。
【0050】
本実施形態の光照射装置500は、上述した高圧放電ランプ100を備え、少なくとも紫外線を照射する紫外線照射装置である。光照射装置500は、紫外線の他、短波長可視光線(例えば、h線、g線)も照射することができる。ランプ100と組み合わされる反射鏡50は、凹面反射面を持つ反射部分50aと、反射部分50aと一体で構成された中空ネック部50bとを有している。反射部分50aおよび中空ネック部分50bは、いずれもガラスから構成されている。反射部分50aの肉厚は、例えば3mm以上である。反射鏡50の出射方向側の開口部(広開口部)の大きさDは、例えば30mm以上であり、好ましくは40mmから200mmである。
【0051】
反射鏡50の中空ネック部50bの開口部(狭開口部)に、ランプ100の封止部2が挿入されて、ランプ100は反射鏡50に固定されている。ランプ100は、例えばセメント53によって中空ネック部50bと隙間が生じないように固着されている。それゆえ、本実施形態の光照射装置500では、ランプ交換する際に、反射鏡50とランプ100とを同時に交換可能することができる。
【0052】
反射鏡50は、コールドミラーであり、反射鏡50の反射部分50bの内面(反射面)には、赤外線を透過し、紫外線を反射する膜がコートされている。本実施形態の反射鏡50は、楕円面の反射面を有する楕円面鏡であり、2つの焦点f1,f2を持ち、それぞれの焦点距離F1,F2は、図1中に表している。焦点距離F1は、例えば、3mm以上であり、好ましくは5mmから35mmの間にあり、一方、焦点距離F2は、例えば、50mm以上であり、好ましくは50mmから300mmの間にある。なお、焦点f1,f2および焦点距離F1,F2の関係は図9に示した。
【0053】
高圧放電ランプ100は、楕円反射鏡50の2つの焦点f1,f2を通る光軸上にセットされており、そして、高圧放電ランプ100の電極3,3間に形成されるアークが、2つの焦点のうち反射鏡50に近い側の焦点f1に位置するように配置されている。
【0054】
上述したように高圧放電ランプ100は、当該ランプ100に電力を供給できる点灯回路130に電気的に接続されている。より詳細に述べると、次の通りである。高圧放電ランプ100の一方の端子(外部リード5)は、外部リード引き出し線61に電気的に接続され、外部リード引き出し線61は、反射鏡50に形成された貫通孔58を通して、配線連結部材62に電気的に接続される。もう一方の端子は口金9となっており、この口金9および配線連結部材62に配線60が電気的に接続されており、そして配線60は点灯回路130に電気的に接続されている。各部材間の電気的な接続は、溶接やかしめによって行われる。
【0055】
本実施形態の点灯回路130は、DC−DCコンバータ回路131を含んでおり、DC−DCコンバータ回路131は、例えば、スイッチング素子とスイッチングトランスとダイオードとコンデンサとから構成されている。本実施形態の点灯回路130は、前記スイッチング素子のスイッチング周波数、またはスイッチのON/OFF比、あるいは両方を変化させることによって、ランプ100に供給する電力を、放電ランプ100の定格電力の100%から50%の間で変化させることができる機能を有している。
【0056】
さらに、本実施形態の点灯回路130は、インバータ回路132を、DC−DCコンバータ回路131の出力端に備えている。インバータ回路132は、複数のスイッチング素子を有しており、このスイッチング素子によってスイッチング周波数を例えば60Hzから800Hzの間で可変することができる。
【0057】
高圧放電ランプ100の構成をより詳細に説明すると、ランプ100は、封止部2を2つ備えたダブルエンド型のランプであり、発光管1は略球形をしており、外径が例えば5mm〜20mm程度であり、ガラス厚は例えば1mm〜5mm程度である。また、発光管1内の放電空間の容積は例えば0.01cc〜5cc(好ましくは、0.05〜2cc)程度である。本実施形態では、外径10mm程度、ガラス厚3mm程度、放電空間の容積0.06cc程度の発光管1を用いている。封止部2は、シュリンク手法によって作製されたシュリンク構造を有するものである。
【0058】
上述したように、発光管1内には、発光種である水銀6が、例えば150mg/cm3よりも多く封入されている。水銀6の封入量は、好ましくは190mg/cm3から350mg/cm3である。また、発光管1内には、10-6μmol/mm3以上のハロゲンが封入されている。ハロゲンは、好ましくは、10-6と10-1μmol/mm3の間の量の臭素が封入されている。ハロゲンは、ハロゲン単体の他、分解してハロゲンを生成するハロゲン前駆体の形態で封入しても良く、本実施形態では、CH2Br2、HBr、HgBr2などの形態で発光管1内に導入している。そして、発光管1内には、5〜40kPaの希ガス(例えばAr)も封入されており、本実施形態では、約20kPaのArが封入されている。
【0059】
次に、従来の紫外線照射装置においては、紫外線エネルギー効率を考慮して、水銀動作圧が高くても数十気圧程度まで高圧水銀ランプしか使用しなかったのに対し、本実施形態では、従来の紫外線エネルギー効率の考え方をあえて無視して、水銀封入量を150mg/ccよりも多くしている理由について述べる。
【0060】
本実施形態の高圧放電ランプ100は、150気圧よりも高い圧力で動作させているにもかかわらず、反射鏡50から反射され集光された光において、樹脂硬化や露光に使用される365nmや405nm、436nmの水銀輝線強度が、なんと従来のものよりも高くなる。この驚くべき事象は、本願発明者によって見出された。以下、さらに説明を続ける。
【0061】
本願発明者は、図2に示した本実施形態の高圧水銀ランプ100において、管壁負荷を80W/cm2とし、水銀封入量を90mg/cm3、120mg/cm3、150mg/cm3、190mg/cm3と変化させて、動作圧力を90気圧、120気圧、150気圧、190気圧と変化させたときの、ランプから放射される365nmや、405nm、436nmの水銀輝線強度を測定した。その結果を図10に示す。
【0062】
図10中のグラフの縦軸は、従来ランプの強度を100%としたものでり、図10では、相対値でもって結果をプロットしている。図10中のグラフの横軸は、ランプの動作圧(気圧)を表す。この場合、反射鏡50が無し状態で積分球を使用して光強度の測定を実施した。確かに、従来から言われているように、水銀蒸気圧を高くすればするほど、365nmや、405nm、436nmの水銀輝線強度は低下し、水銀蒸気圧の増加は樹脂硬化や露光によって不利な振る舞いを見せる。
【0063】
しかしながら、同じランプを反射鏡50に組み込み、反射鏡50からの収束光を積分球に導いて光り強度を測定すると、驚くべきことに、露光に有利な405nmや436nmの輝線強度は、図11に示すように、従来ランプのよりも高くなった。
【0064】
図11は、高圧水銀電ランプ(100)を反射鏡50に組み込んで、水銀封入量を90mg/cm3、120mg/cm3、150mg/cm3、190mg/cm3と変化させて、動作圧力を90気圧、120気圧、150気圧、190気圧と変化させたときの、反射鏡50からの収束光の365nmや、405nm、436nmの水銀輝線強度を測定した結果を示すグラフである。参考のために、波長範囲355nmから375nmの放射エネルギー、波長範囲345nmから385nmの放射エネルギー、波長範囲335nmから395nmの放射エネルギー、波長範囲300nmから400nmの放射エネルギーもそれぞれ求めて結果をプロットしている。図10に示したグラフと同様に、図11中のグラフの縦軸は、従来ランプの強度を100%としたものでり、図11でも、相対値でもって結果をプロットしている。図11中のグラフの横軸は、ランプの動作圧(気圧)を表す。なお、ここで使用したランプは、250nmに吸収を持つランプであるが、この試験において、250nmに吸収を持たないランプを使用しても構わない。
【0065】
図11に示すように、露光に有利な405nm、436nmの強度は90気圧の動作時で、既に従来の1.5倍以上であり、非常に高い値が得られる。蒸気圧とともに、それらの強度は低下傾向を示すが、驚くべきことに、150気圧よりも高い蒸気圧範囲では圧力とともに増加に転じる。樹脂硬化に有利な365nm輝線強度は動作圧90気圧から150気圧までは一定で、動作圧が150気圧よりも高くなると圧力とともに増加し、約250気圧以上で従来ランプをしのぐ強度が得られる。
【0066】
一方で、365nmを含んでわずかに波長選択範囲を広げると、例えば、355nmから375の範囲の放射エネルギーは90気圧の動作時で既に従来の1.2倍以上であり、非常に高い値が得られる。したがって、樹脂硬化においても90気圧の動作圧であっても、従来と同等以上の性能を示すものと考えられる。その355nmから375nmの範囲の放射エネルギーは蒸気圧とともに、それらの強度は低下傾向を示すが、ここでも驚くべきことに、露光に有利な405nm、436nmの輝線強度の振る舞いと同様に、150気圧よりも高い蒸気圧範囲では、圧力とともに増加に転じる。樹脂硬化に有利なその他の波長範囲である、波長範囲345nmから385nmの放射エネルギー、波長範囲335nmから395nmの放射エネルギー、波長範囲300nmから400nmの放射エネルギーにおいては、90気圧の動作時でも、既に従来の1.2倍から1.8倍のエネルギーを示し、非常に高い値が得られる。それらは蒸気圧とともに、低下傾向を示すが、露光に有利な405nm、436nmの輝線強度の振る舞いと同様に、150気圧よりも高い蒸気圧範囲では圧力とともに増加に転じる。
【0067】
以上のように、反射鏡50と組み合わされる高圧放電ランプ100の水銀封入量を、従来の動作圧が数十気圧となるレベルの水銀封入量よりも多い、90mg/cm3とし、好ましくは水銀封入量を150mg/cm3よりも多くし、その動作圧を90気圧以上、好ましくは150気圧よりも高くすることで、樹脂硬化や露光に有利な放射を、従来よりもはるかに高い効率で得ることができる。
【0068】
この高い効率によって、水銀蒸気圧の増加とともに増える赤外線による被照射物の熱の問題も実質的に解消することができる。よく知られているように、水銀蒸気圧が増加すると、可視発光とともに長波長の赤外発光も増加する。しかし、ここでは、当該高い効率によって、従来と同じ紫外線量を得るに必要なランプ電力が低減され、それゆえ、ランプから放射される赤外線の絶対量が低減される。しがたって、水銀蒸気圧の増加とともに増える赤外線による被照射物の熱の問題も実質的に解消できるのである。
【0069】
なお、水銀封入量を150mg/cm3よりも多くし、その動作圧を150気圧よりも高くする有利な点は、放射効率がよいばかりでなく、非常に長い寿命が得られるという点である。本実施形態の光照射装置に用いる高圧放電ランプ100では、いわゆるハロゲンサイクルによる黒化防止のために、臭素が封入されているが、いくつかの試験によって、150気圧以下の動作圧ではハロゲンサイクルが正常に働きにくい。この理由は、水銀封入量が150mg/cm3以下では、水銀と結合せずに、ハロゲンサイクルに寄与するハロゲンが過剰となって、定温度域の電極3、具体的には、電極3のうち封止部2に近い部分が、激しくハロゲンに侵食され、その結果、その近くの発光管1が黒くなったり、電極が折れてしまう可能性があるからである。事実、150mg/cm3以下では、発光管1のうちの封止部2に近い部分が黒くなる現象が多発した。
【0070】
また、水銀封入量の低下は、発光管1内で起きる対流が弱くなるので、発光管1の温度の過度の低下を招く。このため、水銀封入量90mg/cm3では温度が低くなった発光管1の上部にもタングステン輸送がおき、初期に黒くなる現象が見られた。寿命の観点から述べると、水銀封入量を150mg/cm3よりも多くし、その動作圧を150気圧よりも高くすることで、なんと5000時間から10000時間の点灯においても、ランプは黒くならず、点灯し続けることが可能となる。従来の紫外線照射装置用ランプの寿命では、点灯時間2000時間で長寿命をうたっているのと比較すれば、この非常に長い寿命は、顕著な効果である。
【0071】
なお、水銀封入量の上限を熱的な観点から規定するとすれば、例えば水銀封入量350mg/cm3、動作圧350気圧である。この値を超えると、赤外放射量が猛烈な勢いで増加すると思われるので、それにより、被照射物に熱的ダメージを与えてしまうおそれがある。
【0072】
管壁負荷を80W/cm2以上に増加させると、反射鏡50からの収束光の365nmや405nm、436nmの水銀輝線強度、さらには、波長範囲365nmから375nmの放射エネルギー、波長範囲345nmから385nmの放射エネルギー、波長範囲335nmから395nmの放射エネルギー、波長範囲300nmから400nmの放射エネルギーは従来ランプよりも更に増加する。例えば、下記表1に示すように、管壁負荷を80W/cm2から140W/cm2に増加させると、反射鏡50からの収束光の365nm、405nm、436nmの水銀輝線強度、さらには、波長範囲365nmから375nmの放射エネルギー、波長範囲345nmから385nmの放射エネルギー、波長範囲335nmから395nmの放射エネルギー、波長範囲300nmから400nmの放射エネルギーは、比較例(従来ランプ)と比較して、それぞれ、1.1倍、3.4倍、2.4倍、2.6倍、3.5倍、4.1倍となり、この条件では、もはや、比較例(従来ランプ)のを下回る強度のものはなく、それら全てが従来ランプをはるかにしのぐ、高い放射が得られる。
【0073】
【表1】
【0074】
管壁負荷を80W/cm2よりも小さくすると、ランプの温度が低くなりすぎて、水銀の一部が凝縮して蒸発せず、動作圧が低下してしまい、結果として従来ランプと比べると、反射光50からの収束光365nmや405nm、436nmの強度が低下して不利になる。逆に管壁負荷は高ければ高いほど放射に有利である。これは、発光管での光のロス(例えば、石英ガラスや封入された水銀蒸気および/またはハロゲンの吸収による短波長の光のロス)が小さくなり、さらには小さな発光管が放電アークの収縮をもたらして輝度を上げるためかもしれない。しかしながら、石英ガラスの耐熱性の制限から、実用的な寿命5000時間から、1000時間を得るには、300W/cm2を上限とするのが好ましい。ただし、冷却を施したり、ランプの交換サイクルを短くするような使用が可能ならこの限りでない。
【0075】
なお、発光管1内で電極3の先端は、その先端間距離、つまり電極間距離が約0.6mmから2.5mmの間で、好ましくは0.8mmから2.0mmになるように配置されている理由を次に述べる。それは、0.6mmよりも短い電極間距離では電極3の温度が高くなり、その電極の熱放射光(白熱電球と同様に、長波長成分が豊富)が反射鏡50からの収束光に加わり、被照射物の温度を過度に上昇させてしまう可能性があるからである。また、2.5mmよりも長くなると、高い動作圧に起因する対流による放電アークの不安定さが増し、ちらつきが生じやすくなるとともに、アークの温度が低下し、あたかも実質的に低い水銀蒸気圧のランプのように405nmや436nmの輝線強度が低くなる傾向を示すからである。好ましい0.8mmから2.0mmの範囲では、上記のような不都合がないのに加え、ハロゲンサイクルによって蒸発したタングステンが電流先端に戻され、非常にとがった先端形状となり、細いアークを形成せしめて、反射鏡50による光の収束に有利に働く。
【0076】
発光管1の内容積は約0.01cm3から5cm3の間にあり、好ましくは、0.05cm3から2cm3 である理由を次に述べる。0.01cm3よりも小さければ、石英ガラスの熱的な制限によって、実質的に入力できる電力は30W程度に制限され、絶対的に大きな出力がとれないからである。一方、5cm3よりも大きくすると、その大きな寸法がもはや点灯中の水銀蒸気の対流にまで影響を及ぼすようになり、例えば発光管1の最高温度部と最低温度部との差をますます大きくして、アークの不安定さを増す。好ましい0.05cm3から2cm3の範囲では、上記のような不都合がないのに加え、点灯を開始してから水銀が全て蒸発し、所定の定格光出力を得るまでの時間が、車のヘッドライト用の高圧放電ランプの点灯開始のように、1,2分程度と非常にスムーズに光出力が立ち上がる。このことは、定格電流よりも過度の電流が流れる期間が短いことを意味し、したがって、始動電流による電極ダメージが低く抑えられ、寿命に有利に働く。
【0077】
発光管1に封入しているハロゲンの量が10-6μmol/mm3以上、好ましくは10-6と10-1μmol/mm3の間にある理由を次に述べる。それは、10-6μmol/mm3以上のハロゲンは、蒸発したタングステンを電極先端に戻し、非常にとがった電極先端形状をもたらし、その結果、細いアークを形成せしめて、反射鏡50による光の収束に有利に働くからである。すなわち、熱処理によってSiO2がH2で還元された結果に生じるH2Oが源となって存在する微量の酸素と、このハロゲンとにより、電極の蒸発をわずかに活発せしめ、先端形状をより鋭利にとがらすのである(なお、この点をもう少し深く検討すると、多量のH2は多量のH2Oをもたらし、その結果、大きな電極先端部の変形を生じさせるので、多量のH2の存在は望ましくない)。ただし、ハロゲンが10-1μmol/mm3よりも多くなると、先端形状の変形が激しくアークの位置が一定に定まらず不安定となる。先端形状の鋭角化に関しては、ハロゲンの種類は臭素の他に、ヨウ素や塩素も選択可能である。しかし、ヨウ素は始動電圧が高くなる傾向があり、また塩素はグロー放電電圧を高くするので、アーク放電への移行がヨウ素や臭素と比べて困難となるので臭素が好適である。
【0078】
また、反射鏡50は光軸を有する凹状反射面を持つ反射部分50aと、反射部分50aと一体で光軸を包んでいる中空ネック部50bとを備え、いずれもガラスから構成されているが、少なくとも反射部分50aの肉厚は3mm以上とするのが好ましい。従来よりも高い水銀蒸気圧は、樹脂効果や露光に有利な波長の光量を増すが、同時に、赤外成分の発光も増加する。本実施形態のように当該肉厚を3mm以上にすれば、従来よりも増加した赤外線を吸収することができ、その結果、反射鏡50から周囲に漏れ出る赤外線を従来ランプレベルに抑制することが可能となる。このことは、装置の加熱を防止し、機器の小型化に有利に働く。さらに、中空ネック部50bは、放電ランプの光の影響をほとんど受けないので、赤外線を吸収した反射部分50aのラジエターの働きをし、効果的に、反射鏡50全体の温度低下に寄与する。
【0079】
なお、反射鏡50の開口部(広開口部)を、紫外線を透過するガラス、例えば石英ガラスで塞げば、放電ランプ100の温度をより安定に一定に保つことができ、その結果、水銀蒸気圧の変化を抑え、光出力の安定に有利に働く。また、そのガラスが従来よりも増加した赤外線の一部を吸収し、被照射物の温度上方を効果的に抑制することもでき、有利である。
【0080】
本実施形態の楕円反射鏡50の焦点距離F1が3mm以上で、好ましくは5mmから35mmの間にある理由を述べると、まず、3m未満ではランプ100が中空ネック部50bに近すぎて、その部分の温度を上昇させ、上述のラジエター効果を抑制するばかりでなく、熱的負担の増加によってネック部50bのわれを生じる危険性が増すからである。5mmから35mmの範囲が好ましい理由は、上述のような不都合がないことに加えて、中空ネック部50b側に位置する放電ランプ100の封止部2が過度に長くなりすぎず、したがって、放電ランプ100の温度を適切に高め、蒸気圧の低下を抑制することができるからである。
【0081】
また、焦点距離F2が50mm以上で、好ましくは50mmから300mmの間にある理由を述べると、まず、50mm以下だと反射鏡50からの収束光が放電ランプ100の封止部2に遮られるおそれがあるからである。そして、300mmを超えると、収束位置において反射鏡50からの光が収束する範囲が広がり、シャープな光強度分布が得られず、例えば、収束付近に光ファイバの入射端を設け、光ファイバによって光を通じて光を照射するような場合、光ファイバへの入射効率が悪く、結果として、光利用効率を低下させてしまうからである。ただし、それを補正するレンズなどを用いる場合は、焦点距離F2は300mmよりも長くしてもよく、その意味で、楕円反射鏡の代わりに、放物面反射鏡を用い、それと集光レンズ系を組み合わせるような構成にしてもよい。
【0082】
なお、本実施形態の光照射装置では、高圧放電ランプ100が光軸上にあるような状態で封止部2が中空ネック部50bに挿入され、中空ネック部50bと隙間がないように、例えば無機系接着剤(セメントなど)で固着されおり、それゆえ、ランプ交換は、反射鏡50と高圧放電ランプ100とを同時に交換可能となっている。このことは、従来のランプのみを交換する方式(例えば、特許文献1参照)と比べて、反射部分50aの反射面にコートされている膜(紫外線反射・赤外線透過膜)が、長い時間、放電ランプ100の強い光や熱に曝されることで劣化し、光出力特性に変化を及ぼす可能性を無くするとともに、ランプの位置を再度調整し配置する煩雑な手間や、あるいは配置ミスの可能性を実質的に完全になすくことができることを意味する。
【0083】
なお、本実施形態の構成では、高圧放電ランプ100が光軸上にあるような状態で封止部2が中空ネック部50bに挿入され、中空ネック部50bと隙間がないように固着させた例を示したが、反射鏡50の温度をコントロールするための間隙が中空ネック部50bと封止部2との間にあってもよい。また、中空ネック部50bと封止部2とをセメントによって直接固着するのはなく、スペーサを介して両者を固着するようにしてもよい。また、中空ネック部50bの中空部は、反射部分50aに向かって円錐状に、孔が小さくなる形が光景である。この方が反射部分50aの反射面を大きくとれ、それゆえ、収束する光の量が増える。
【0084】
また、上述したことと重複する部分もあるが、特許文献1等の従来技術は、本実施形態の構成と比較して、点灯中の水銀蒸気圧が数十気圧程度と低いので、次のような問題が発生し得る。ただし、この問題は、従来においては、常識的な条件での使用であったため、問題とはされていなかったものである。
【0085】
点灯中の水銀蒸気圧が数十気圧程度と低いことにより、点灯中のランプ動作電圧が低く、ランプ電流が大きいため、電極の熱負担が大きく、それゆえ、寿命が短い。さらに、低い蒸気圧のために特に波長300nm以下の水銀発光が強力で、被照射物や照射装置自身が、この紫外線によりダメージを受けていた。さらに、ランプだけを交換するために、長期の使用により反射鏡の特性(分光反射率、強度など)が劣化し、その反射鏡の劣化により出力が変化したり、反射鏡が破損し得るという問題もあった。
【0086】
さらに、特許文献2に開示された技術のように、紫外線放射を増すためにアルゴンを高圧で封入するには、ランプの製造工程において液体窒素にてランプを冷却しアルゴンガス(沸点−186℃)を発光管内にトラップする必要がある。アルゴンガスと沸点が近い液体窒素(沸点−196℃)にてランプを冷却する場合、管壁負荷が10〜30W/cm2といった寸法の大きな発光管しか製造できなかったり、あるいは小型のランプを作製する場合は、非常に高価な液体ヘリウムを使用したりする必要があり、それが問題となる。さらに、高圧のアルゴンガスはランプの始動を非常に困難にし、そのため高い始動電圧を印加する必要があるために、装置の大型化を招いたり、あるいは、高い始動電圧がランプの電極にダメージを与え、寿命を短くするという問題も生じる。
【0087】
特許文献1、2を含む従来技術でもそうであるが、紫外光照射装置用のランプは、直流型の高圧放電ランプ(DCランプ)が用いられるのが一般的である。これに対し、交流型の高圧放電ランプを用いた場合、陰極輝点(この近傍では、高温のため紫外光がより多く発せされる)が2つ出来るので、光ファイバ等への紫外光がより多く収束(集光)されるという利点もある。上述した波長250nmのフィルタリング効果や水銀封入量が150mg/cm3を超える高圧放電ランプによってもたらされる効果は、直流型ランプ、交流型ランプに限定されず、得られるものであるので、本実施形態の光照射装置は、交流型ランプ、直流型ランプともに利用可能である。
【0088】
なお、波長250nmおよび周囲の光を反射鏡50から放射されないようにするには、反射鏡50に波長250nmをカットする前面ガラスを設けたり、反射鏡50に波長250nmをカットする反射膜を設けることも可能である。反射鏡50およびランプ100の発光管1のいずれか又は組み合わせのフィルタリング機能によって、波長250nmおよび周囲の光を減衰またはカットすることができるが、反射鏡50のみのフィルタリング機能よりも、発光管1のフィルタリング機能を用いた方が好ましい。なぜならば、反射鏡のフィルタリング機能は、周囲の温度や湿度などの使用環境により変化の程度に影響を受けるが、発光管1のフィルタリング機能は外部と接しない発光管1の内面またはガラス内部に存在するので、それらは外部要因の影響を受けず、したがって安定にしかもバラツキも少なく機能するからである。
【0089】
(実施形態2)
上記実施形態1においては、紫外線エネルギー効率の向上に焦点を当てて光照射装置500について説明を行ったが、光照射装置(紫外線照射装置)には、照度を一定に維持したいという要求もある。
【0090】
図12は、従来ランプの紫外線寿命特性グラフであるが、図12に示すように、ランプから放射される強度は点灯時間(使用時間)とともに変化していくので、実際に、紫外線照射装置を使用する場合には、照度を測定し、そして、その照度が安定しているかどうかを使用毎に実行することが必要となる。現状では、それを実施しないと紫外線照射装置を用いた照射工程を行えないので、必須工程ゆえにその煩雑な作業を甘受しなければならないが、できることならば、そのような作用の煩雑さは少しでも軽減したい。
【0091】
上記実施形態1で説明したとおり、本発明の実施形態に係る光照射装置500は、従来の装置よりも紫外線エネルギー効率が大きいので、その上回った分を一定の照度を行うことができるマージンとしてとらえて、光照射装置500を用いて一定の照度を維持しながら、光を照射する方法に応用することも可能である。つまり、従来使用されている照射レベルの光を一定照度で光照射する方法を提供することも可能である。
【0092】
図13は、本実施形態の光照射方法を説明するためのグラフであり、従来の照射レベルを相対強度100%としている。本実施形態の光照射装置500を用いれば、点灯時間の初期においては、相対強度100よりも非常に大きい強度の光を照射することが可能であるが、あえて、相対強度100の光を照射する。そして、点灯時間T1、T2のときにも、相対強度100を上回る強度I1、I2の光を照射できるのであるが、ここでもあえて相対強度100のものを一定照度の光として照射し続ける。そして、光照射装置500からの光の強度が、相対強度100のレベルまで低下してきたら、この光照射方法はやめる。
【0093】
その後は、高圧放電ランプ100を交換すればよい(例えば、反射鏡50ごと交換する)。ただし、高圧放電ランプ100を交換せずに、従来の光照射方法のように、その都度、照度を測定して使用してもよい。なぜならば、この時点においても、従来の光照射装置と同等レベルの照射能力を有しているからである。場合によっては、相対強度100ではなく、それ未満のレベルに下げて、一定照度を維持して照射する方法を続けても良い。
【0094】
波長250nm周囲の光をフィルタリングして、そして、波長300nm周囲の光を積極的に利用する場合には、次のようなステップを踏みながら、当該方法を実行すればよい。
【0095】
まず、高圧水銀ランプ100が発する光のうち、波長250nm周囲の紫外光を排除し、かつ、波長300nm周囲の紫外光を少なくとも含む光の照度を検出する。具体的には、波長250nmに吸収スペクトルを有する本実施形態の高圧水銀ランプ100について照度を測定すればよい。典型的には、ランプ100が組み込まれた反射鏡50からの照度を検出することになる。
【0096】
次に、照度を最大照度としたとき、最大照度以下(またはそれ未満)の範囲で、一定の照度を維持しながら、光を照射する。これは、図13で説明した通りである。なお、光を照射する際には、波長250nm周囲の紫外光を排除し、かつ、波長300nm周囲の紫外光も排除した場合の光の照度以上の範囲で、一定の照度を維持することも可能である。こうすれば、従来よりも強度の高い紫外線(または紫外−可視線)を照射することができるからである。ただし、一定の照度を維持しながら照射することにポイントをしぼって考えてみれば、従来の照射レベルの強度を維持できたら、十分メリットはある。
【0097】
本発明の実施形態に係る光照射装置および光照射方法は、少なくとも紫外線を含む光を照射する用途に適用できる。例えば、上述した紫外線硬化性樹脂の硬化や、半導体基板・液晶基板の露光の用途に利用することができる。より具体的な用途としては、キュアリング、UV接着、ウエハ露光、ウエハ周辺露光、液晶露光、プリント基板露光、TAB露光などに用いることができる。
【0098】
【発明の効果】
本発明によれば、少なくとも紫外域のスペクトルを有する光を発する高圧放電ランプの発光管の少なくとも一部が、波長250nmに吸収スペクトルを有し、それによって、前記発光管の内から外へ発する光のうち、波長250nmおよびその上下少なくとも5nmの光をフィルタリングするので、波長300nm周囲の光(例えば、波長365nm未満の光)を積極的に利用することが可能となり、その結果、従来よりも紫外放射エネルギー効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る光照射装置500の構成を示す模式図
【図2】本発明の実施形態に係る高圧放電ランプ100の構成を示す模式図
【図3】本実施形態の高圧放電ランプ100の発光管1の吸収スペクトルを説明するための透過率グラフ
【図4】高圧水銀ランプの分光特性の概略を説明するための分光分布図
【図5】本実施形態の高圧放電ランプ100の分光分布図
【図6】従来の高圧水銀ランプの分光分布図
【図7】紫外線硬化樹脂の吸収特性を示すグラフ
【図8】発光管1の吸収スペクトルを説明するための紫外分光分布図
【図9】焦点f1,f2および焦点距離F1,F2の関係を説明するための図
【図10】水銀動作圧力を変化させたときの、ランプから放射される各種水銀輝線強度についてのグラフ
【図11】ランプを反射鏡に組み込んだ場合における、水銀動作圧力を変化させたときの、ランプから放射される各種水銀輝線強度についてのグラフ
【図12】従来ランプの紫外線寿命特性グラフ
【図13】本実施形態の光照射方法を説明するためのグラフ
【図14】従来の紫外線照射装置の構成を示す図
【符号の説明】
1 発光管
2 封止部(側管部)
3 電極(電極棒)
4 金属箔
5 外部リード
6 発光種(水銀)
7 口金
50 反射鏡
50a 反射部分
50b 中空ネック部
100 高圧放電ランプ(高圧水銀ランプ)
120 筐体
125 窓
130 点灯装置
131 DC−DCコンバータ回路
132 インバータ回路
500 光照射装置(紫外線照射装置)
Claims (12)
- 管内に発光物質が封入された発光管と、前記発光管から延びた封止部とを有する高圧放電ランプと、
前記高圧放電ランプから発せられる光を反射する反射鏡と
を備え、
前記高圧放電ランプから発せられる前記光は、少なくとも紫外域のスペクトルを有し、
前記発光管の少なくとも一部は、波長250nmに吸収スペクトルを有し、それによって、前記発光管の内から外へ発する光のうち、波長250nmおよびその上下少なくとも5nmの光をフィルタリングする、光照射装置。 - 前記発光管は、前記発光物質が発する光のうち波長250nmの光の発光強度を実質的にゼロにする機能を有する、請求項1に記載の光照射装置。
- 前記発光管は、実質的に石英ガラスから構成されており、
前記高圧放電ランプは、高圧水銀ランプであり、
前記発光物質として、前記発光管の容積を基準にして150mg/cm3を超える水銀が封入されている、請求項1に記載の光照射装置。 - 前記光照射装置は、少なくとも紫外線を照射する紫外線照射装置であり、
前記反射鏡は、コールドミラーであり、
前記水銀の封入量は、前記発光管の容積を基準にして、190mg/cm3以上であり、
前記発光管には、ハロゲンが封入されており、
前記ランプの管壁負荷は、80W/cm2以上である、請求項3に記載の光照射装置。 - 前記吸収スペクトルを有する前記発光管の当該吸収スペクトルは、前記高圧放電ランプを1000℃から1100℃の高温条件下で2時間以上保持することによって形成される、請求項3または4に記載の光照射装置。
- 前記発光管内には、一対の電極が対向して配置されており、
前記電極は、前記封止部内に配置された金属箔に電気的に接続されており、
前記一対の電極の間の距離は、2.5mm以下であり、
前記高圧放電ランプは、交流点灯型のランプである、請求項1から5の何れか一つに記載の光照射装置。 - 前記反射鏡は、前記高圧放電ランプの前記封止部が挿入される開口部が形成された中空ネック部を有し、
前記高圧放電ランプは、前記中空ネック部に挿入されて前記反射鏡に固定されており、
前記反射鏡は、楕円面の反射面を有する楕円面鏡であり、
前記光照射装置は、前記反射鏡を取り囲み、前記反射鏡からの光を通過させる窓が形成された筐体をさらに備えており、
前記筐体内には、前記高圧放電ランプに電気的に接続された点灯回路が配置されている、請求項1から6の何れか一つに記載の光照射装置。 - 前記筐体の窓の周囲には、光ファイバが配置されており、
前記光ファイバのコアは、石英ガラスとは異なるガラスから構成されており、前記ガラスは、高石英含有ガラス、ソーダガラスおよびホウケイ酸ガラスからなる群から選択される、請求項7に記載の光照射装置。 - 少なくとも紫外光を照射する光照射装置に用いるランプであって、
管内に水銀が封入され、実質的に石英ガラスから構成された発光管と、
前記発光管から延びた封止部と
を備え、
前記発光管は、波長250nm周囲の光を吸収し、かつ、波長300nm周囲の光を透過し、
前記水銀は、前記発光管の容積を基準にして150mg/cm3よりも多く封入されており、
前記発光管には、ハロゲンが封入されており、
前記ランプの管壁負荷は、80W/cm2以上である、光照射装置用ランプ。 - 前記光照射装置用ランプから発せられる光のうち波長250nmの光の発光強度は、実質的にゼロである、請求項1に記載の光照射装置用ランプ。
- 少なくとも紫外光を照射する光照射方法であって、
高圧水銀ランプが発する光のうち、波長250nm周囲の紫外光を排除し、かつ、波長300nm周囲の紫外光を少なくとも含む光の照度を検出する工程と、前記照度を最大照度としたとき、前記最大照度以下の範囲で、一定の照度を維持しながら、前記光を照射する工程と
を包含する、光照射方法。 - 前記光を照射する工程においては、
前記波長250nm周囲の紫外光を排除し、かつ、前記波長300nm周囲の紫外光も排除した場合の光の照度以上の範囲で、前記一定の照度を維持する、請求項11に記載の光照射方法。
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