JP2007024358A - 空調システムおよびこの空調システムを備えた建物 - Google Patents

空調システムおよびこの空調システムを備えた建物 Download PDF

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Abstract

【課題】
空調装置本体のメンテナンスを容易に行うことができる空調システムを提供する。
【解決手段】
本発明の空調システム10は、各居住空間12、13の一部を規定する床部16に設けられた開閉可能な開口部51と、開口部51を開閉可能な遮蔽部52と、開口部51の下方に設けられ、外部からの外気を取り入れて各居住空間12、13に給気し、かつ各居住空間12、13の空気を外部へ排気する空調装置本体17とを備え、空調装置本体17は、開口部51と対向する位置に形成された本体開口部53と、本体開口部53を開閉可能な本体遮蔽部54とを有する。
【選択図】 図3

Description

本発明は、建物内の換気を行う換気機能を有する換気装置等の空調システムおよびこの空調システムを備えた建物に関する。
建物内の換気を行う空調システムでは、取り込んだ外気を居住空間へと供給し、居住空間の汚れた空気を外部へ排出する空調装置本体を有するものがある。このような空調システムでは、換気対象となる居住空間の天井の上方に形成される空間に空調装置本体が配置されているものがある(例えば、特許文献1参照)。
特開閉10−281523号公報(第2−7頁、第1図)
この空調システムでは、例えば、取り込まれる外気に含まれる花粉および塵埃等を取り除くためのフィルタが空調装置本体に設けられ、このフィルタの目詰まりに応じたフィルタの交換作業のような空調装置本体のメンテナンスが必要となる。ところが、空調装置本体は、天井の上方に配置されていることから、天井に設けられた点検口からメンテナンスを行う必要がある。このため、メンテナンスの作業は、高い位置でかつ上向きで行うこととなり、容易なことではない。
そこで、本発明の目的は、空調装置本体のメンテナンスを容易に行うことができる空調システムおよびこの空調システムが採用された建物を提供することにある。
上記した課題を解決するために、請求項1に記載の空調システムは、居住空間の一部を構成する床部に形成された開口部と、該開口部を開閉可能な遮蔽部と、前記開口部の下方に設けられ、外部から外気を取り入れて前記居住空間に供給しかつ該居住空間の空気を外部へ排出する空調装置本体とを備え、該空調装置本体は、前記開口部と対向する位置に形成された本体開口部と、該本体開口部を開閉可能な本体遮蔽部とを有することを特徴とする。
請求項2に記載の空調システムは、請求項1に記載の空調システムであって、前記床部には、前記空調装置本体から送られた空気を前記居住空間へ供給するための供給口と、前記居住空間の空気を前記空調装置本体に取り込むための取込口とが設けられ、該取込口および前記供給口の少なくとも一方には、前記居住空間から進入した異物が前記空調装置本体へと到達することを防止するトラップが設けられていることを特徴とする。
請求項3に記載の空調システムは、請求項2に記載の空調システムであって、前記空調装置本体は、前記供給口に接続された給気ダクトを介して前記供給口から前記居住空間へと給気し、前記床部の下方に形成された空間を空気の通路として利用することにより前記取込口から前記居住空間の空気を取り込むことを特徴とする。
請求項4に記載の空調システムは、請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の空調システムであって、前記空調装置本体は、前記居住空間の下方に階下居住空間を有する建物の該階下居住空間と前記居住空間との間に形成される階間空間に配置され、前記階下居住空間に外部から外気を取り入れて供給し、かつ該階下居住空間の空気を外部へと排出することを特徴とする。
請求項5に記載の空調システムは、請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の空調システムであって、前記空調装置本体には、空気の通路を形成するダクトの接続が可能な複数の接続口が設けられ、複数の該接続口の少なくとも1つには、内部の通路を確保した状態で撓み変形可能な可撓筒部が取り付けられ、該可撓筒部は、前記接続口と前記ダクトとを接続可能であることを特徴とする。
請求項6に記載の空調システムは、請求項5に記載の空調システムであって、前記可撓筒部と前記ダクトとは、互いの嵌合が可能であり、前記可撓筒部には、嵌合状態にある該可撓筒部と前記ダクトとの嵌合個所を取り巻くように締付可能な締結手段が設けられていることを特徴とする。
請求項7に記載の建物は、請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載された空調システムを備えたことを特徴とする。
本発明に係る空調システムによれば、遮蔽部を開けて居住空間の床部に設けられた開口部を開放し、本体遮蔽部を開けて開口部の下方に位置する本体開口部を開放することで、空調装置本体のメンテナンスが可能である。このため、メンテナンスの作業は、床部から覗き込んで行うことができ、容易に行うことができる。
本発明を図1ないし図9に示した各実施例に沿って詳細に説明する。
図1は、本発明の空調システム10を備えた建物11を模式的に示す斜視図である。図2は、空調システム10の建物11内での配置関係を模式的に示した斜視図であり、図3は、空調システム10により建物11が換気される様子を模式的に示す断面図である。なお、図3は、建物11内での空気の流れを表すための模式的な図面であり、建物11内の部屋あるいはドア等の位置は必ずしも他の図面と一致するものではない。
建物11は、1階居住空間12と、2階居住空間13と、階間空間14(図2参照。)とを有する。1階居住空間12および2階居住空間13は、それぞれが内部に壁で仕切られた複数の部屋を有する。各部屋間は、壁あるいはドアの下部に設けられた隙間G(図3参照。)を介して空気の行き来が可能とされている。図2に示すように、階間空間14は、1階居住空間12と2階居住空間13との間に位置し、1階居住空間12の天井部15により下面が、2階居住空間13の床部16により上面が、および建物11の側周壁により側周面が規定されている。階間空間14には、空調システム10の空調装置本体17が配置されている。
次に、空調装置本体17の内部構成について詳細に説明する。図4は、空調装置本体17の内部構成を模式的に示す断面図である。
空調装置本体17は、本体ケース18を有する。本体ケース18は、全体に直方体形状を呈する箱形の金属ケースであり、長手方向に2つの空間に分割する仕切板19が設けられている。本体ケース18の一方の空間は、給気ファン20および排気ファン21が設置されるファン設置室22となり、他方の空間は、熱交換素子23が設置される熱交換室24となる。本体ケース18には、ファン設置室22側の側壁部18aに外気吸入口25および排気口26が、他方の側壁部18bすなわち熱交換室24側の側壁部18bには複数の給気口27(図1および図2参照。)および還気口28が形成されている。
外気吸入口25は、建物11の外部の新鮮な空気OA(Outer Air:外気)の本体ケース18への吸入個所となる。給気口27は、外気OAが熱交換素子23を通過した後の空気SA(Supply Air:給気)の各居住空間12、13へ向けた本体ケース18からの供給個所となる。還気口28は、各居住空間12、13の空気RA(Return Air:還気)の本体ケース18への取り込み個所となる。排気口26は、還気RAが熱交換素子23を通過した後の空気EA(Exhaust Air:排気)の建物11の外部へ向けた本体ケース18からの排出個所となる。
熱交換素子23は、図示は略すが、段ボールの板紙のように、平板な板紙上に波状断面の板紙が接着され波状断面の空気の通路を形成する第1の板材および第2の板材が、互いの空気の通路が直交するように多数層に重ねられて構成され、第1の板材の通路および第2の板材の通路を通る空気の間において潜熱および顕熱または顕熱のみの熱交換が可能である。このため、一方の通路に還気RAを流し、他方の通路に外気OAを流すことにより、外気OAと還気RAとの間で熱交換を行うことができる。
熱交換素子23は、本体ケース18の内方で保持部材29により挟持されている。保持部材29は、発泡樹脂(例えば発泡ポリスチレン、発泡ポリプロピレン、発泡ポリエチレン、発泡ポリ塩化ビニル等)から形成され、圧縮したときに短時間で原型復帰する弾性作用を有する。保持部材29は熱交換素子23を保持した状態で、側壁部18bと仕切板19との間に圧入されている。
熱交換素子23を保持した状態の保持部材29は、本体ケース18の熱交換室24を上下方向に2つに分割する仕切板部30を有する。仕切板部30は、熱交換素子23の角部23a、23bに当接している。このため、熱交換室24は、熱交換素子23を介して上下方向に2つに分割され、熱交換室24には、熱交換素子23で互いに交差する2つの通路(矢印A、B参照。)が形成されている。熱交換素子23の4つの角部は面取りされかつシール部材(図示せず。)が貼られており、互いに交差する両通路A、B間での空気の行き来が防止されている。
各通路A、Bは、本体ケース18内で、仕切板19に設けられた開口19a、19bを経てファン設置室22に通じている。ファン設置室22は、仕切板31により上下方向に2つに分割され、上側の空間32が開口19aを経て通路Aに通じ、下側の空間33が開口19bを経て通路Bに通じている。仕切板31には、それを貫通するようにモータ(駆動部)34が取り付けられている。モータ34は、図示しない制御基板に接続され、この制御基板からの電力制御により回転する。モータ34の回転軸35には、上側の空間32で給気ファン20が取り付けられ、下側の空間33で排気ファン21が取り付けられている。両ファン20、21は、仕切板31を挟んで並列しモータ34の回転により動作可能とされている。
上側の空間32は、外気吸入口25に通じており、下側の空間33は、排気口26に通じている。上側の空間32に通じる通路Aは、側壁部18bの給気口27に通じており、下側の空間33に通じる通路Bは、側壁部18bの還気口28に通じている。給気ファン20は、通路Aに外気OAを送り、排気ファン21は、通路Bからの排気EAを建物11の外部へと送る。
外気吸入口25、排気口26、給気口27および還気口28には、それぞれにダクトジョイント36が取り付けられている。外気吸入口25は、ダクトジョイント36を介して外気吸入ダクト37(図1ないし図3参照。)に接続されており、外気吸入ダクト37は、建物11の外部に通じている。給気口27は、ダクトジョイント36を介して給気ダクト38に接続されており、給気ダクト38は各居住空間12、13に通じている。還気口28は、ダクトジョイント36を介して還気ダクト39に接続されており、還気ダクト39は給気ダクト38とは別に各居住空間12、13に通じている。排気口26は、ダクトジョイント36を介して排気ダクト40(図1ないし図3参照。)に接続されており、排気ダクト40は、外気吸入ダクト37とは別に建物11の外部に通じている。
本発明の空調システム10では、空調装置本体17が2階居住空間13の床部16の近接位置で階間空間14に設けられている。空調装置本体17は、階間空間14に配接された両野縁41に吊り金具42により取り付けられている(図4および図5参照。)。両野縁41は、床部16の近接位置で床部16に沿って延在しており、空調装置本体17の本体ケース18の上面は、床部16の近接位置で床部16に沿って配置されている。
床部16には、空調装置本体17の上方位置に床下点検口50が設けられている。床下点検口50は、床部16を貫通する開口部51と、これを封止可能な遮蔽部52とを有する。遮蔽部52は、図示を略すヒンジにより開口部51の縁部に取り付けられており、開口部51を開閉自在とされている。
本体ケース18の上面には、床部16の開口部51と対向する位置に、本体開口部53が設けられている。本体開口部53は、本体ケース18の熱交換室24の上方を開放する貫通孔であり、本体遮蔽部54により封止可能である。本体遮蔽部54は、図示を略すヒンジにより本体開口部53の縁部に取り付けられており、本体開口部53を開閉自在とされている。
通路A、Bには、フィルタ55、56が設けられている。フィルタ55は、外気OAに含まれる塵埃が通路Aを経て両各居住空間12、13に進入すること防止し、フィルタ56は、還気RAに含まれる塵埃が通路Bを経て建物11から排出されることを防止する。両フィルタ55、56は、熱交換素子23の各上面を覆うように配置されており、着脱可能とされている。また、空調装置本体17では、熱交換素子23を保持する保持部材29が本体開口部53から脱着可能とされており、本体開口部53から熱交換素子23を取り出すことができる。
給気口27に通じる給気ダクト38は、1階供給グリル57を介して1階居住空間12に通じ、2階供給グリル58を介して2階居住空間13に通じている。1階供給グリル57は、1階居住空間12の天井部15に取り付けられており、給気ダクト38から送られた給気SAを1階居住空間12に供給する。
2階供給グリル58は、2階居住空間13の床部16に設けられている。2階供給グリル58は、天板部59と筒部60とを有する。2階供給グリル58は、天板部59が2階居住空間13の床面と同一平面を為すように、床部16に取り付けられている。天板部59は、2階居住空間13の床面の一部を構成可能な板部材であり、かつ空気の通過を可能とする空気孔(図示せず。)が設けられている。この天板部59に、筒部60が取り付けられている。
筒部60は、天板部59の法線方向に延在する一端閉鎖の筒形状を呈している。筒部60には、その高さ方向の中間位置に取付口61が設けられている。取付口61には、給気ダクト38が接続され、筒部60を経て給気ダクト38から天板部59へ至る通路Cが形成されている。このため、2階供給グリル58は、給気ダクト38から送られた給気SAを2階居住空間13に供給することができる。このとき、2階供給グリル58では、筒部60の底部分(62)が通路Cよりも下方に位置しているので、2階居住空間13から2階供給グリル58の天板部59を経て通路Cに入り込んだ異物は、その重量により空気の流れにもっていかれることなく各筒部60の底部分(62)に達する。このように、2階供給グリル58の筒部60の底部分(62)は、異物の空調装置本体17への到達を防止するトラップ62として機能する。
実施例1では、1階供給グリル57および2階供給グリル58は、図1および図2に示すように、互いに対を為して3個所に設けられている。一対の1階供給グリル57および2階供給グリル58には、1本の給気ダクト38が対応しており、1階供給グリル57および2階供給グリル58の設置個所の近傍位置で分岐され、1階供給グリル57および2階供給グリル58に接続されている。
還気口28に通じる還気ダクト39は、図4に示すように、1階取込グリル63を介して1階居住空間に通じ、2階取込グリル64を介して2階居住空間13に通じている。1階取込グリル63は、1階居住空間12の天井部15に取り付けられており、1階居住空間12の空気を取り込んで還気RAとして還気ダクト39へと送る。
2階取込グリル64は、2階居住空間13の床部16に設けられている。2階取込グリル64は、2階供給グリル58と同様に、天板部65と筒部66とを有する。2階取込グリル64は、天板部65が2階居住空間13の床面と同一平面を為すように、床部16に取り付けられている。天板部65は、2階居住空間13の床面の一部を構成可能な板部材であり、かつ空気の通過を可能とする空気孔(図示せず。)が設けられている。この天板部63に、筒部66が取り付けられている。
筒部66には、その延在方向の中間位置に還気ダクト39が接続される取付口67が設けられており、筒部66を経て天板部65から還気ダクト39へ至る通路Dが形成されている。このため、2階取込グリル64は、2階居住空間13の空気を還気RAとして還気ダクト39へ送ることができる。このとき、2階取込グリル64では、2階供給グリル58と同様に、筒部64の底部分(62)がトラップ62として機能する。
実施例1では、1階取込グリル63および2階取込グリル64は、図1および図2に示すように、互いに対を為して3個所に設けられている。一対の1階取込グリル63および2階取込グリル64には、1本の還気ダクト39が対応しており、1階取込グリル63および2階取込グリル64の設置個所の近傍位置で分岐され、1階取込グリル63および2階取込グリル64に接続されている。
空調システム10は、モータ34を回転駆動させると、排気ファン21が回転して、各居住空間12、13内の室内空気は、還気RAとして1階取込グリル63および2階取込グリル64から通路Bに取り込まれ、熱交換素子23を通過する。このとき、給気ファン20も回転するので、外気OAが外気吸入ダクト37を経て本体ケース18のファン設置室22に吸入されて通路Aに流入し、熱交換素子23を通過する。これにより、熱交換素子23では、外気OAと還気RAとの間で熱交換が行われ、外気OAは給気SAとして各給気口27から各居住空間12、13に向けて供給され、還気RAは排気EAとして排気口26から建物11の外部へ向けて排出される。このため、両居住空間12、13では、各1階供給グリル57および各2階供給グリル58から給気SAが供給され(図1および図2参照。)、各部屋内の空気が循環される(図3参照。)。各部屋間は隙間G(図3参照。)により空気の行き来が可能とされているので、両居住空間12、13内を循環された空気は、両居住空間12、13の略中央位置に設けられた両取込グリル63、64に取り込まれ、還気RAとして還気ダクト39に送られる。よって、空調システム10は、各部屋内の熱エネルギーを逃がすことなく、建物11内を換気することができる。
実施例1の空調システム10では、空調装置本体17が2階居住空間13の床部16の下方に配置され、床部16には、床下点検口50が設けられ、空調装置本体17には、本体開口部53が設けられているので、例えば、空調装置本体17のフィルタ55、56を交換する場合、床下点検口50の遮蔽部52を開け、本体開口部53の本体遮蔽部54を開けて、2階居住空間13の床部16から下方を覗き込むように作業すればよい。このため、従来のように、空調装置本体が天井に設置されている空調システムに比較して、容易にメンテナンスを行うことができる。また、本体開口部53から熱交換素子23を容易に取り出すことができるので、熱交換素子23のメンテナンスの作業を容易に行うことができる。さらに、空調装置本体17の他の構成個所についても、フィルタ55、56および熱交換素子23と同様に、容易にメンテナンスすることができる。
空調システム10では、2階居住空間13の床部16に床下点検口50が設けられており、さらに、空調装置本体17が床部16の近傍位置で床部16に沿って配接されている野縁41に取り付けられているので、床下点検口50から空調装置本体17を設置することができる。このため、2階居住空間13から取り付け作業を行うことができるので、従来の空調システムのように、空調装置本体を持ち上げ、上を向きながら取り付け作業を行うことに比較して、取り付け作業が容易である。
空調システム10では、2階居住空間13の床部16に設けられた各2階供給グリル58および2階取込グリル64にトラップ62が設けられているので、2階居住空間13の異物が各2階供給グリル58および2階取込グリル64内に入り込んだ場合であっても、異物が空気の流れに拘わらずトラップ62に溜められるので、異物により通路C、D(図4参照。)が塞がれることを防止することができる。また、各2階供給グリル58および2階取込グリル64を2階居住空間13の床部16に設けられた状態で天板部59、65を取り外し可能な構成とすることで、トラップ62に溜められた異物を取り除くメンテナンス作業が容易とすることができる。このため、空調システム10では、各2階供給グリル58および2階取込グリル64が、2階居住空間13の床面の一部を構成することにより、居住空間の天井に設けられたグリルに比較して異物が各2階供給グリル58および2階取込グリル64へと入り込む確率が高まるが、この異物の進入による弊害をトラップ62で防止することができる。
空調システム10では、階間空間14に設けられた空調装置本体17が、1階居住空間12の天井部15に設けられた各1階供給グリル57および1階取込グリル63で1階居住空間12の換気を行ない、2階居住空間13の床部16に設けられた各2階供給グリル58および2階取込グリル64で2階居住空間13の換気を行なっている。このため、従来の空調システムに比較して、給気ダクト38および還気ダクト39の流路抵抗の増加を抑制できることから両ファン20、21の風量の増加を抑制することができ、間仕切り内を立ち上げる必要がないことから給気ダクト38および還気ダクト39の配接が容易となる。これは、従来の空調システムでは、各居住空間との空気のやり取りが各居住空間の天井から行われているので、階間空間に設けられた1つの空調装置本体で1階居住空間と2階居住空間とを換気する場合、2階居住空間の間仕切り内を立ち上げるようにダクトを配接する必要があることからダクトの配接が容易でないこと、間仕切り内の空間が限られていることから細いダクトを用いる必要がありダクトの流路抵抗が高くなることによる。
空調システム10では、1階居住空間12と2階居住空間13とを換気することができるが、空調装置本体17の外気吸入口25に接続された外気吸入ダクト37の建物11の外部への開放口68(図2および図3参照。)と、排気口26に接続された排気ダクト40の建物11の外部への開放口69(図2および図3参照。)とをそれぞれ1個ずつ設ければよく、従来の空調システムに比較して開放口の数を少なくすることができ、建物11の外観の向上を図ることができる。これは、従来の空調システムでは、一般に1つの空調装置本体で1つのフロアの換気を行っており、1階居住空間12と2階居住空間13とを換気する場合、2つの空調装置本体を用いることから少なくとも4つの開放口が必要となることによる。
次に、実施例2の空調システム100について説明する。実施例2は、階間空間14を空気の通路として利用した例である。空調システム100は、その基本的な構成は実施例1と同様であるので、同一機能部分には実施例1と同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
図6に示すように、空調システム100では、空調装置本体17の還気口28、1階取込グリル63および2階取込グリル64の取付口67には、ダクトが接続されておらず、いずれも階間空間14に開放されている。階間空間14は、還気口28、1階取込グリル63および取付口67を除くと、高い密閉性が確保できるように構成されている。このため、還気口28は、階間空間14の空気を還気RAとして取り込むこととなり、この空気の取り込みにより階間空間14が負圧とされ、各居住空間12、13の空気が1階取込グリル63および2階取込グリル64に取り込まれる。給気SAは、空調システム10と同様に、各居住空間12、13に供給される。よって、空調システム100では、実施例1の空調システム10と同様に、建物11内を換気することができる。
空調システム100では、2階居住空間13の床部16の床下点検口50から空調装置本体17のメンテナンスを行うことができるので、実施例1の空調システム10と同様に、空調装置本体17のメンテナンスを容易に行うことができる。
また、各2階供給グリル58および2階取込グリル64には、トラップ62が設けられているので、2階居住空間13から入り込んだ異物が通路Cを塞ぐこと、および1階取込グリル63から入り込んだ異物が階間空間14に蓄積されることを防止することができる。
空調システム100では、階間空間14を空気の通路として利用することにより、還気ダクト39を設ける必要がなくなるので、階間空間14での設置物の取り回しが容易となり、階間空間14での設置物の配接作業が容易となる。
次に、実施例3について説明する。実施例3は、空調装置本体17の外気吸入口25、排気口26、給気口27および還気口28に、ダクトジョイント36に代えて可撓筒部70が取り付けられた例である。外気吸入口25、排気口26、給気口27および還気口28に取り付けられた可撓筒部70は、いずれも同様の構成であるので、実施例3では、給気口27に取り付けられた可撓筒部70について説明し、その他についての説明は省略する。
図7に示すように、空調装置本体17の給気口27には、可撓筒部70の一端70aが取り付けられている。可撓筒部70は、全体に筒形状を呈し、かつその内径寸法を殆ど変化させることなく、筒体の中心軸線を湾曲させる撓み変形が可能に形成されている。実施例3では、可撓筒部70は、弾性変形が可能な材料からなり、その周壁部71に蛇腹構造が採用されている。
可撓筒部70の他端70bには、接続部72が設けられている。接続部72は、筒体部分73と、フランジ部分74と、締結手段75とを有する。
筒体部分73は、筒形状を呈し、他端70bから可撓筒部70の中心軸線方向に突出している。筒体部分73は、給気ダクト38により外方が取り巻かれた状態での給気ダクト38の嵌合を許す。フランジ部分74は、筒体部分73からその半径方向に向けて鍔状に突起しており、嵌合された給気ダクト38と当接することにより給気ダクト38の嵌合位置(給気ダクト38の軸線方向の嵌合深さ)を決めることができる。
締結手段75は、筒体部分73の直径の延長線上で筒体部分73を挟んで対向するように、2個所に設けられており、それぞれが基礎部分76と帯状部分77とを有する。基礎部分76は、フランジ部分74から半径方向へ延在している。基礎部分76には、挿通孔78と係止突起79とが設けられている。挿通孔78は、帯状部分77の挿通を許す長孔であり、筒体部分73の半径方向に伸長している。係止突起79は、筒体部分73の中心軸線方向に沿って基礎部分76から突起しており、先端が膨径している。
帯状部分77は、基礎部分76から筒体部分73の接線方向に沿って延在している。帯状部分77は、挿通孔78に挿通可能な形状に形成され、複数の受入孔80を有する。受入孔80は、係止突起79に係合するための貫通孔である。受入孔80には、係止突起79の膨径個所の挿通を可能とするための切れ込み81が設けられている。
次に、接続部72への給気ダクト38の接続方法を説明する。
図7に示すように、給気ダクト38が接続部72の筒体部分73に嵌合され、給気ダクト38がフランジ部分74に当接される(矢印O参照。)。
両締結手段75の基礎部分76が給気ダクト38の外周に接するように、両締結手段75が折り曲げられる(矢印P参照。)。
図8に示すように、折り曲げられた両締結手段75の一方の帯状部分77を他方の挿通孔78に挿通する(矢印Q参照。)。
図9に示すように、両帯状部分77を引っ張って給気ダクト38を締め付けることで、給気ダクト38を筒体部分73に密着させる。この状態で、挿通された一方の締結手段75の帯状部分77の受入孔80を他方の締結手段75の係止突起79と係合させる。
これにより、給気ダクト38を接続部72に接続することができる。給気ダクト38は、締結手段75により固く締め付けられていることから、高い密閉性と高い結合度とが確保された状態で接続部72に接続されている。
実施例3の空調装置本体17では、ダクトジョイントに代えて可撓筒部70が取り付けられているので、外気吸入口25、排気口26、給気口27および還気口28と、外気吸入ダクト37、排気ダクト40、給気ダクト38および還気ダクト39との接続作業が容易である。このことは、外気吸入ダクト37、排気ダクト40、給気ダクト38および還気ダクト39に、スパイラルダクトのように曲げ加工が困難な部材が用いられた場合、空調装置本体17側の可撓筒部70により容易に位置ずれ分を吸収することができるので、より効果的である。
また、可撓筒部70の接続部72には、締結手段75が設けられているので、従来の空調装置本体の取り付け作業に比較して、外気吸入ダクト37、排気ダクト40、給気ダクト38および還気ダクト39を接続する作業が容易となる。これは、従来の空調装置本体では、ダクトをダクトジョイントに嵌合させた後、ダクトの上からアルミテープを巻き付けることにより、高い密閉性と高い結合度とを確保している。この作業では、作業員がアルミテープを持っていくこと、および狭い個所でアルミテープを巻き付けることが必要であることによる。
なお、実施例3では、空調装置本体17の外気吸入口25、排気口26、給気口27および還気口28の全てに可撓筒部70が取り付けられていたが、いずれか1個所のみに可撓筒部70を採用してもよく、上記した実施例3に限定されるものではない。
また、実施例3では、接続部72には、締結手段75が設けられていたが、従来と同様にアルミテープを用いて接続すればよく、締結手段75をなくすことができる。
実施例3では、締結手段75は、可撓筒部70の先端に設けられた接続部72に設けられていたが、従来のダクトジョイントに設けてもよく、実施例3に限定されるものではない。
実施例3では、可撓筒部70には、その周壁部71に蛇腹構造が採用されていたが、内径寸法を殆ど変化させることなく筒体の中心軸線を湾曲させる撓み変形が可能であればよく、実施例3に限定されるものではない。
なお、上記した各実施例では、2階居住空間13の床部16に設けられた2階供給グリル58および2階取込グリル64には、トラップ62が形成されていたが、これをなくすことができる。しかしながら、2階供給グリル58および2階取込グリル64は、2階居住空間13の床部16に設けられていることから、異物が進入し易いのでトラップ62を設けることが望ましい。
上記した各実施例では、2階供給グリル58の天板部59および2階取込グリル64の天板部65は、2階居住空間13の床面と同一平面を構成していたが、2階供給グリル58および2階取込グリル64が2階居住空間13の床部16に設けられていればよく、上記した各実施例に限定されるものではない。
上記した各実施例では、1つの空調装置本体17で、2つのフロアの居住空間(1階居住空間12および2階居住空間13)の換気を行う構成であったが、換気を行う居住空間の下方の空間に空調装置本体が配置され、かつ当該居住空間の床面の空調装置本体と適合する位置に床下点検口が設けられていればよく、上記した各実施例に限定されるものではない。例えば、マンションの各居住空間を換気するために、当該居住空間の床下空間に空調装置本体を配置し、この空調装置本体の上方の床面に床下点検口を設けることにより、空調装置本体の設置およびメンテナンスの作業を容易とすることができる。
上記した各実施例では、供給グリルおよび還気グリルがそれぞれ1階居住空間12と2階居住空間13とで対を為して設けられていたが、対を為す必要はなく居住空間の面積および間取り等を考慮して所望の位置に配置すればよく、上記した各実施例に限定されるものではない。
上記した各実施例では、空調システム10、100は、2階立ての建物11に採用されていたが、例えば、マンションの3階居住空間と4階居住空間とを換気するものであってもよく、上記した各実施例に限定されるものではない。
上記した各実施例では、空調装置本体17には熱交換素子23が設けられていたが、空調装置本体は、外部の空気を吸入して居住空間に供給し、かつ居住空間の空気を取り込んで外部へと排出するものであればよく、上記した各実施例に限定されるものではない。
上記した各実施例では、本体ケース18に複数の給気口27を設け、それぞれに接続された給気ダクト38を介して各給気口27と各1階供給グリル57および2階供給グリル58とを接続する構成とされていたが、本体ケース18から各1階供給グリル57および2階供給グリル58へ至る風路(空気通路)は、これに限定されるものではない。例えば、本体ケース18に単一の給気口を設け、この給気口に接続した単一の給気ダクトを分岐チャンバに接続し、この分岐チャンバで風路を分岐しそれぞれに対応するダクトを介して各1階供給グリル57および2階供給グリル58に接続することにより、本体ケース18から各1階供給グリル57および2階供給グリル58へ至る風路を形成する構成であってもよい。
本発明に係る空調システムが採用された建物を模式的に示す斜視図である。 空調システムの建物内での配置関係を模式的に示した斜視図である。 空調システムにより建物が換気される様子を模式的に示す断面図である。 階間空間に設置された空調装置本体、供給グリルおよび取込グリルを模式的に示す断面図である。 図4に示したI―I線に沿って得られた断面図である。 本発明に係る空調システムの他の例を示す図4と同様の断面図である。 本発明に係る空調システムの空調装置本体の他の例を模式的に示す斜視図である。 図7の空調装置本体の可撓筒部への給気ダクトの接続方法を説明するための斜視図である。 図7の空調装置本体の可撓筒部への給気ダクトの接続方法を説明するための斜視図であり、図8の次の段階を示している。
符号の説明
10、100 空調システム
11 建物
12 (階下居住空間としての)1階居住空間
13 (居住空間としての)2階居住空間
14 階間空間
17 空調装置本体
25 (接続口としての)外気吸入口
26 (接続口としての)排気口
27 (接続口としての)給気口
28 (接続口としての)還気口
38 給気ダクト
51 開口部
52 遮蔽部
53 本体開口部
54 本体遮蔽部
58 (供給口としての)2階供給グリル
62 トラップ
64 (取込口としての)2階取込グリル
70 可撓筒部
75 締結手段

Claims (7)

  1. 居住空間の一部を構成する床部に形成された開口部と、該開口部を開閉可能な遮蔽部と、前記開口部の下方に設けられ、外部から外気を取り入れて前記居住空間に供給しかつ該居住空間の空気を外部へ排出する空調装置本体とを備え、
    該空調装置本体は、前記開口部と対向する位置に形成された本体開口部と、該本体開口部を開閉可能な本体遮蔽部とを有することを特徴とする空調システム。
  2. 前記床部には、前記空調装置本体から送られた空気を前記居住空間へ供給するための供給口と、前記居住空間の空気を前記空調装置本体に取り込むための取込口とが設けられ、該取込口および前記供給口の少なくとも一方には、前記居住空間から進入した異物が前記空調装置本体へと到達することを防止するトラップが設けられていることを特徴とする請求項1に記載の空調システム。
  3. 前記空調装置本体は、前記供給口に接続された給気ダクトを介して前記供給口から前記居住空間へと給気し、前記床部の下方に形成された空間を空気の通路として利用することにより前記取込口から前記居住空間の空気を取り込むことを特徴とする請求項2に記載の空調システム。
  4. 前記空調装置本体は、前記居住空間の下方に階下居住空間を有する建物の該階下居住空間と前記居住空間との間に形成される階間空間に配置され、前記階下居住空間に外部から外気を取り入れて供給し、かつ該階下居住空間の空気を外部へと排出することを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の空調システム。
  5. 前記空調装置本体には、空気の通路を形成するダクトの接続が可能な複数の接続口が設けられ、複数の該接続口の少なくとも1つには、内部の通路を確保した状態で撓み変形可能な可撓筒部が取り付けられ、該可撓筒部は、前記接続口と前記ダクトとを接続可能であることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の空調システム。
  6. 前記可撓筒部と前記ダクトとは、互いの嵌合が可能であり、前記可撓筒部には、嵌合状態にある該可撓筒部と前記ダクトとの嵌合個所を取り巻くように締付可能な締結手段が設けられていることを特徴とする請求項5に記載の空調システム。
  7. 請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の空調システムを備えたことを特徴とする建物。

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