JP2016057010A - 空調設備用の吹き出し装置及び吸込み装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】調和空気が長い送風ダクトを介して各空調空間に送られるセントラル式空調設備において、風切り音の発生を抑制しつつ送風ダクトから伝播する騒音を吸収できる吹き出し装置を提供する。【解決手段】吹き出し装置11は、枝ダクト10に接続された本体14を備えている。本体14の内部には、その放射方向に延びる導風吸音材15が配置されている。導風吸音材15は多孔質等の素材から成っていて吸音性に優れており、その終端24は空気流出口19の箇所に位置している。送風ダクト10を伝播してきた騒音は導風吸音材15が吸収される。かつ、調和空気は渦流を発生させることなく導風吸音材15の終端24から離れるため、導風吸音材15で発生する風切り音は非常に小さい。その結果、空調空間の静粛性を向上できる。空調空間4等から空気を吸引する空調設備の吸込み装置に適用すること裳可能である。【選択図】図5

Description

本願発明は、空調設備用の吹き出し装置及び吸込み装置に関するものである。ここで、対象となる空調設備としては、例えば船舶で広く使用されている空調設備のように、1つ又は複数の空調装置と多数の空調空間とが枝分かれした送風ダクトを介して接続されていて、多数の空調空間に調和空気が送られるセントラル式等の空調設備や、多数の空調空間から空気が送風ダクトを介して処理装置に吸引される空調設備が挙げられる。
タンカーやバラ積み船等の貨物船、或いは艦船には多数の居室(船室)があるが、これらの居室の空調は、機械室に設けた1つの空調装置から調和空気を送風ダクトで送ることによって行われている。これは一種のセントラル式空調設備であるが、このセントラル式空調設備の問題の1つに、騒音の問題がある。
居室に放散される騒音には、送風ダクトを介して伝わってくる振動音や、送風ダクトの内部で発生した風切り音、吹き出し口の開口縁で発生する風切り音などがあり、風切り音は調和空気の流速が速くなるほど大きくなる。
更に述べると、送風ダクトはコストの面やスペースの面からできるだけ細くしているため、セントラル式空調設備における調和空気の流速は、吹き出し装置に設けたファンで風を空調空間に送るセパレート型空調装置に比べて遥かに速くなっていることが多く、その結果、風切り音が特に問題になりやすい。また、セントラル式空調設備の送風ダクトは、曲がったり分岐したり風量調節ダンパが配置されていたりというように、内部に渦流が発生しやすい箇所が多く存在しており、この面からも、風切り音が発生しやすい構造になっている。
そして、風切り音の抑制手段として特許文献1には、空気流入口と空気流出口とを直交させた吹き出し箱体の内部に、円弧状のバッフル板をその凸状外面が空気流入口と対向するようにして配置し、かつ、バッフル板を後ろから覆う円弧状のダンパを回動自在に配置し、バッフル板とダンパとによって形成される空気通路の開度を変えることにより、風量の調節を行うことが開示されている。
また、風切り音の対策とは云えないが、吹き出し装置を構成するボックスを吸音材で構成することも行われている(例えば特許文献2)。
実公平2−33060号公報 実用新案登録第3011486号公報
吹き出し装置に吸音材を配置することは有益であるが、吸音材にも調和空気が接触するため、調和空気が吸音材を通過するときの風切り音にも配慮せねばならない。すなわち、吸音材やその周辺部から風切り音が発生することは極力抑制すべきである。
しかるに、特許文献1では、箱体の内部にダンパを配置しているため、調和空気がダンパを通過する際に強い風切り音が発生するおそれがある。特に、ダンパを絞ると調和空気の流速は速くなるため、風切り音が強くなってバッフル板による減温効果を減殺させてしまうことも懸念される。また、特許文献1は、空気流出口の大きさは従来と同じであるため、空気流出口の縁で発生する風切り音の抑制にはなんら寄与しておらず、この面でも減音効果が不十分になるおそれがあった。
他方、特許文献2は空気流入口の断面積と空気流出口の断面積とは同じになっているため、空気流出口から出る調和空気の流速は送風ダクトを流れる際の流速と変わりはないが、既述のように、セントラル式空調設備用では送風ダクトを流れる調和空気の流速が大きいのが一般的であるため、風切り音の抑制が一層不十分になると云える。これを逆の視点で見ると、風切り音を大きく抑制できないことから調和空気の流速を制限せざるを得ず、すると、送風ダクトの断面積が大きくなってコストアップやスペースの使用効率悪化が生じやすいと云える。
さて、セントラル式の空調設備として、各空調空間に吹き出し装置と吸込み装置とを設けて、汚れた空気の吸引と清浄な調和空気の供給とを併用することも有り得るが、吸込み装置は送風ダクトに接続されているため、空調空間の空気を吸引するに際して、吸込み装置の縁部で風切り音が発生したり、空気が吸込み装置の内部を通過するに際して音が発生したりすることがあり得るが、従来は、吸込みに際しての騒音の対策はなんら講じられていないと云える。
また、1つの空調設備で空気を吸引して送風ダクトにて多数の空調空間に送気するセントラル式の空調設備において、空気の吸引に伴う風切り音等の騒音が発生することが想定され、この騒音が送風ダクトを介して空調空間に伝播することが考えられるが、従来は、空調設備の始端での騒音対策はなんら講じられていない。
本願発明は、このような現状を改善すべく成されたものである。
本願発明は、空調設備の吹き出し装置と吸込み装置とに関するものであり、このうち吹き出し装置は、1つの空調機から送られた調和空気が分岐して流れる送風ダクトの終端に設けるものであり、その典型例を請求項1〜8で特定している。
このうち請求項1の発明は、前記送風ダクトに連通する空気流入口と空調空間に向けて開口する空気流出口とが形成された本体と、前記送風ダクトから伝播した騒音を吸収しつつ調和空気の流れをガイドするために前記本体の内部に配置した導風吸音材とを備えており、前記導風吸音材を、前記本体の内部が複数の単位通路に分かれるように仕切り壁状に配置し、かつ、前記各単位通路の終端部の流路面積の総和を前記空気流入口の断面積より大きく設定している。
なお、単位通路の流路面積及び空気流入口の断面積は、調和空気の流れ方向と直交した平面で切った断面積である。
請求項2の発明は、請求項1において、前記各単位通路の断面積は前記空気流入口の断面積よりも小さくなっている。
請求項3の発明は、請求項1又は2において、前記本体は平面視で直線状の筒状形態であり、その一端部又は略中間部に空気流入口を設けて、他端又は両端に前記空気流出口を設けている。
請求項4の発明は、請求項1又は2において、前記本体は平面視で円形又は扇型であり、本体の内部に複数の導風吸音材が周方向に飛び飛びに並んでおり、調和空気は本体の外周に向けて放出されるようになっている。
請求項5の発明は請求項4の発明を更に限定したものであり、この発明では、前記各単位通路の断面積は調和空気の流れ方向に向かって大きくなっている。
請求項6の発明は、請求項1〜5のうちのいずれかにおいて、前記本体の空気流入口の開口方向と空気流出口の開口方向とは交叉しており、前記空気流入口から本体に入った調和空気は前記本体内において方向変換して前記空気流出口から放出されるようになっている。
請求項7の発明は、請求項1〜6のうちのいずれかにおいて,前記導風吸音材の、調和空気が通過するときに渦流が発生し難いように丸みを帯びている。請求項8の発明は、請求項1〜7のうちのいずれかにおいて、前記導風吸音材の終端を前記空気流出口の箇所又はその近傍に位置させている。
吸込み装置は、終端が吸引機に接続された送風ダクトの始端に設けるものであり、その例を請求項9,10で特定している。このうち請求項9の吸込み装置は、前記送風ダクトに連通する空気流出口と空気吸引空間に向けて開口する空気流入口とが形成された本体と、当該本体への空気の吸引によって発生した吸引音を吸収しつつ空気の流れをガイドするために前記本体の内部に配置した導風吸音材とを備えており、前記導風吸音材を、前記本体の内部が複数の単位通路に分かれるように仕切り壁状に配置し、かつ、前記各単位通路の始端部の流路面積の総和を前記空気流出口の断面積より大きく設定している。
請求項10の吸込み装置は、請求項9を具体化したもので、前記本体は空調空間に開口しており、前記各単位通路の始端部の流路面積の総和を前記空気流出口の断面積の数倍以上に設定している。ここで数倍とは、少なくとも3倍程度あるのが好ましい。
請求項1〜8の発明では、本体の内部は導風吸音材によって複数の単位通路に分かれているため、調和空気は、導風吸音材の略全周に接触しつつ、導風吸音材でガイドされて空気流出口に流れていく。従って、調和空気をスムースにガイドして調和空気の流れ抵抗を抑制しつつ、調和空気が導風吸音材に接触する面積を増大させて、吸音性能(減音性能)を向上できる。
また、調和空気の流れが導風吸音材でガイドされるため、調和空気を導風吸音材からスムースに離脱させることができ、しかも、各導風吸音材の終端部の流路断面積の総和は空気流入口の断面積より大きいため、導風吸音材を通過する際の調和空気の流速は空気流入口に入る際の流速より小さくなっており、これらが相まって、導風吸音材から発生する風切り音を著しく抑制できる。
更に、各単位通路の流路面積の総和が空気流入口の流路面積よりも大きいため、空気流出口の箇所の流速も空気流入口の流速より低下している。このため、本体の開口縁で発生する風切り音の抑制も可能になる。
このように、本願各発明によると、導風吸音材からの風切り音の発生を著しく抑制しつつ、導風吸音材にて送風ダクトからの騒音を的確に吸収でき、しかも、本体の開口縁で発生する風切り音も低減可能になるため、吹き出し装置から空調空間に放散される騒音を抑制して、空調空間の静粛性を向上させることができる。なお、本体の内面に吸音材を張ることと本願発明とを組み合わせると、吸音性を一層アップできる。
単位通路の流路面積の総和は空気流入口の流路面積の何倍程度が好ましいかは、調和空気の流速や空調空間の大きさ等によって相違すると推測され、一義的に確定はし難い。また、空気流出口の開口面積が大きくなると、本体の開口縁から発生する風切り音が増大するおそれも懸念される。空調空間での調和空気の飛散性能も考慮すると、一般的には、単位通路の流路面積の総和は、空気流入口の流路面積の数倍(2倍〜7,8倍)が好ましいと推測される。
また、吸音性の点からは、調和空気はできるだけ導風吸音材に接触するのが好ましいと云える。この点、請求項2の構成を採用すると、導風吸音材に対する調和空気の接触機会を高めて吸音性能の向上に貢献できると云える。
また、単位通路の流路面積が大き過ぎると、調和空気の直進性が悪くなって空調空間での調和空気の拡散性が悪化してしまうおそれがあるが、請求項2では、各単位通路の断面積は空気流入口の断面積よりも小さいため、調和空気の流速が低下し過ぎることを防止し、空調空間での調和空気の適切な拡散も確保できる。
請求項3のように本体を直線状の筒状形態に形成すると、構造が簡単になるためコストを抑制できる。この場合、本体の一端に空気流入口を設けると空気流出口は1つになり、本体の中間部に空気流入口を設けると空気流出口は2つになるが、例えば、天井のうち壁際に吹き出し装置を設けた場合は空気流入口を本体の一端部に設けることで、本体の他端部のみから調和空気を空調空間に強力に放出し、吹き出し装置を天井の中央部に設ける場合は、本体の両端から調和空気を放出することで拡散性を高めるというように使い分けることができる。
請求項4の発明では、本体は円形又は扇形であって空気流出口は円周方向に広がっているため、空調空間に放出された調和空気の拡散性を高めることができる。従って、迅速な空調に貢献できると共に、空調効率も向上できる。請求項4の吹き出し装置は、空調空間が正方形に近い場合、特に好適であると云える。
請求項5の発明では、各単位通路の断面積が調和空気の流れ方向に向かって大きくなるため、調和空気の流速は本体の空気流出口に近づくに従って低下していく。これにより、調和空気が導風吸音材及び本体を離れるときの風切り音の発生をより的確に防止又は抑制できる。
請求項6のように本体の内部で調和空気の流れ方向を変化させると、調和空気が方向変換するに際して音が潰れる減衰現象が生じるため、吸音性能(減音性能)の向上にとって有益である。
風切り音の大きさは導風吸音材の材質や調和空気の流速のみでなく、導風吸音材の形状にも大きく影響している。例えば、導風吸音材の終端が角張っていると、調和空気が導風吸音材から離れるに際して、圧力差によって導風吸音材の終端の箇所に渦流が発生し、これが風切り音として現れやすい。
これに対して請求項7のように導風吸音材の終端部に丸みを持たせると、調和空気が導風吸音材の丸みを帯びた部分に沿って流れることにより、調和空気の流速が速くても渦流が発生することを的確に防止できるため、導風吸音材からの風切り音の発生を防止又は著しく抑制できる。従って、調和空気を高速で送気しても風切り音の発生を大幅に低減して、送風ダクトの小径化と高い空調性能とを確保しつつ静粛性を向上できる。
導風吸音材の終端と本体の開口縁(空気流入口)との間に大きな間隔を空けることも可能であるが、請求項8のように、導風吸音材の終端を空気流入口の箇所又はその近傍に位置させると、本体を必要最小限度の大きさにして、全体をコンパクト化できる利点がある。また、導風吸音材の終端部で本体の開口縁を覆うことができるため、調和空気が本体の開口縁に接触する度合いを少なくして、本体の開口縁で発生する吸音材の抑制にも貢献可能である。
請求項9,10では、各単位通路の始端部の開口面積の総和が空気流出口の断面積よりも大きくなっているため、送風ダクト内部での空気の流速を速くしつつ、吸込み装置への流入時の流速は抑制できる。このため、送風ダクトをできるだけ細くしつつ吸込み装置への流入時の風切り音を抑制でき、しかも、吸込み装置を構成する本体の内部を通過するに際して音が発生してもこれを導風吸音材が吸音できる。このため、空調空間から空気を吸引する場合、送風ダクトをできるだけ細くして空調設備をコンパクト化しつつ、吸込み装置で発生する音を抑制して空調空間の静粛性を向上できる。
また、本願発明の吸込み装置は、空調装置から多数の空調空間に調和空気を送る設備の始端部に設けることも可能であり、この場合は、送風ダクトに入り込む音を抑制できるため、この場合も各空調空間での静粛性向上に貢献できる。
空調空間に設けるにしても空調設備の始端に設けるにしても、請求項10の構成を採用すると、送風ダクトの端から吸引するに過ぎない場合に比べて、吸込み装置に入り込む空気の流速を大幅に低下できるため、風切り音の発生をより確実に抑制できる。
なお、1つの空調空間に本願発明の吹き出し装置と吸込み装置とを設けて、吸込み装置で吸引した空気を空調装置で浄化してこれを送風ダクトにて吹き出し装置に送るというクローズドシステムも採用できる。
本願発明を適用できる船舶の側面図である。 セントラル式空調設備の部分的な模式図である。 図2のIII-III 視模式図である。 吹き出し装置の第1実施形態を示す図で、(A)は平面図、(B)は(A)のB−B視断面図、(C)は(A)のC−C視断面図、(D)は(C)のD−D視断面図である。 第2実施形態を示す図で、(A)は一部破断平面図、(B)は(A)のB−B視断面図である。 実施形態の効果を示すための挿入損失値のグラフである。 実施形態の効果を示すための消音効果を示すグラフである。 第3実施形態を示す図である。 第4実施形態を示す図で、(A)は平断面図、(B)は(A)のB−B視断面図である。 第5実施形態を示す平断面図である。 第6実施形態を示す縦断面図である。 第7実施形態を示す図で、(A)は縦断面図、(B)は(A)のB−B視断面図である。 第8実施形態を示す図である。
(1).空調設備の概要
本実施形態は、船舶のセントラル式空調設備の吹き出し装置に適用している。そこで、まず、セントラル式空調設備の概要を図1〜4に基づいて説明する。図1に示すように、船舶(貨物船)1は、その後部に機関室2を配置し、機関室2の上方にデッキ部3を設けている。
デッキ部3には、操縦ブリッジや食堂等の室の他に、空調空間の一例としての多数の居室(船室)4を設けている。居室4は多層階に別れており、各階の居室4には、機械室5に設置したセントラル空調装置6から、送風ダクト7を介して調和空気が送られる。
送風ダクト7は、セントラル空調装置6の送風機に接続されたメインダクト8と、メインダクト7から各階ごとに分岐した中間ダクト9と、中間ダクト9から各居室4に向けて分岐した枝ダクト10とを備えており、各枝ダクト10の終端に本実施形態の吹き出し装置11を設けている。
図4(C)に示すように、枝ダクト10の中途部には、調和空気の量を制御するダンパ12を設けている。ダンパ12は例えばバタフライ弁方式であり、モータ等のアクチュエータ13で開閉が制御される。なお、アクチュエータ13の開閉量の制御は、各居室4に設けたコントローラで行ってもよいし、各居室4等に設けた温度センサに基づいて統一的に行ってもよい。
(2).第1実施形態
図4では、吹き出し装置の第1実施形態を示している。この第1実施形態の吹き出し装置11は、平面視で細長い筒状の本体14と、その内部に配置された導風吸音材15とを備えている。本体14は鋼板等の金属板製であり(樹脂製でもよい)、導風吸音材15はグラスウールのような吸音材からなっている。本体14の上端部には、天井板16に固定するためにブラケット17を適宜個数設けている。
本体14はその両端を開口させた角形で、高さに対して巾が大きい長方形の断面形状になっており、その長手方向の中間部に円形の空気流入口18を設けて、空気流入口18と枝ダクト10とを接続している(嵌合させている。)。なお、図示の形態では空気流入口18を枝ダクト10に外側から嵌め入れているが、内側から嵌め入れたり、フランジ接合したりしてもよい。
本体14の両端は開口しているので、本実施形態では、本体14の一端と他端との両方が空気流出口19になっている。本体14の横幅は空気流入口18の外径よりも大きい寸法であり、本体14の内部のうち平面視で空気流入口18を挟んだ両側の部位に、一対の導風吸音材15を、本体14の長手方向(或いは調和空気の流れ方向)に長く延びる姿勢で配置している。
導風吸音材15は本体14の中心線上に配置されており、その外周の全体が露出している。すなわち、導風吸音材15は、本体14の内部に島状に配置されている。従って、本体14の内部には2つの単位通路20が形成されている。導風吸音材15の上面は本体14の上内面に当接し、導風吸音材15の下面は本体14の下内面に当接している。導風吸音材15は、接着等の適宜手段で本体14に固定されている。導風吸音材15に上下長手の心材を適宜間隔で配置し、各心材を本体14に固定してもよい。
導風吸音材15は、例えば、グラスウールのような多孔質材をフイルムやシートのような表皮材で覆った構造とすることができる。導風吸音材15の構成要素(エレメトント)が飛散しない場合は、表皮材は不要である。また、粉末アルミの焼結材や金属不織布のような金属製の多孔質材を採用することも可能である。樹脂製品も使用できるが、不燃性が要求される場合は、無機材料又は金属製品が好ましい。
本体14の下面(底面)のうち空気流入口18の真下には、調和空気の方向変換ガイド手段の一例として円錐状の案内突起21を設けており、案内突起21により、調和空気は空気流出口19にスムースに向かうように方向変換される。導風吸音材15は案内突起21から下流側に少しずらして配置しており、平面視における4つのコーナー部22,23は、平面視(或いは平断面視)において、エッジを無くして丸みを帯びた形態と成している。
導風吸音材15のうち調和空気の流れ方向の前方の端に位置した終端24は、本体14の空気流出口19よりもやや内側に位置させているが、(D)に一点鎖線で示すように、終端24を本体14における空気流出口19の周縁と一致させたり、逆に、導風吸音材15の終端24を空気流出口19の少し外にはみ出したりしてもよい。
本体14の内側面には、グラスウール等の吸音材から成る内張り25を設けている。内張り25も、構成要素が飛散しない場合は組織を露出させたままでよい。内張り25は、内側面に設けることに代えて又はこれに加えて、本体14の上面と下面とのうちいずれか一方又は両方に設けることも可能である。この点は、他の実施形態も同様である(調和空気は本体14の下面に強く衝突するので、少なくとも本体14の下面に内張り25を設けることは好ましいと思われる。)。
内張り25の端部25aは、平断面視で丸みを帯びた形態と成している。内張り25の端部25aは空気流出口19よりも少し内側に入り込ませているが、(D)に一点鎖線で示すように、空気流出口19まで延ばしてもよい。
本実施形態では4つの単位通路20があるが、各単位通路20の流路面積(断面積)は空気流入口18の断面積とおおむね同じ程度になっている。従って、単位通路20の断面積の総和は空気流入口の18の断面積の4倍程度になっている。
(3).第2実施形態
図5では、吹き出し装置11の第2実施形態を示している。この実施形態では、本体14は平面視円形に形成しており、その中央部の上面に空気流入口18を開けている。そして、本体14の内部には、多数の導風吸音材15が上下の枠材27を介して放射状に(花びら状)に配置されている。従って、本体14の内部には、放射方向に延びる多数の単位通路20が形成されている。各導風吸音材15は、当該導風吸音材15に貫通したロッド26によって本体14に固定されている。
各導風吸音材15の始端部と終端部とはそれぞれ平面視で円弧状に形成されており、かつ、始端部から終端部に向けて横幅が大きくなっている。また、各単位通路20も、放射方向の外側に行くに従って巾が大きくなるように設定している。導風吸音材15が円弧状の平面視形態であるため、各単位通路20は、その終端部において溝巾が急激に拡大している。
単位通路20の横幅(或いは調和空気の流れ方向と直交した平面で切った断面積)は、導風吸音材15の横幅(或いは調和空気の流れ方向と直交した平面で切った断面積)より小さくなっており、かつ、各単位通路20の断面積(調和空気の流れ方向と直交した平面で切った断面積)は、空気流入口18の断面積よりも小さくなっている。しかし、単位通路20は多数形成されているため、各単位通路20の断面積の総和は、空気流入口18の断面積よりも遥かに大きくなっている。従って、調和空気の流速は本体14の内部で大きく低下する。
この第2実施形態では、各導風吸音材15の終端24を空気流出口19(の縁)の縁に一致させている。もとより、導風吸音材15の終端24を空気流出口19の内側に少しずらしたり、外側に少し突出させたりしてもよい。
(4).第1及び第2実施形態のまとめ
両実施形態とも、導風吸音材15は調和空気の流れ方向に延びた姿勢であるため、調和空気の流れ抵抗をできるだけ小さくして、調和空気は居室4(空調空間)にスムースに放散される。このため、居室4の隅々まで調和空気をできるだけ遠くに飛ばして、空調効率の向上に貢献できる。
そして、導風吸音材15は吸音材製であるため、送風ダクト7の内部で発生した風切り音等の騒音を吸収できると共に、調和空気が導風吸音材15を通過する際の風切り音の発生量も小さい。かつ、各単位通路20の終端部の流路面積の総和は空気流入口18の流路面積の数倍(4,5倍かそれ以上)あって、調和空気の流速は著しく低減しているため、本体14の開口縁で発生する風切り音の音量も抑制できる。
つまり、導風吸音材15及び本体14によって発生する風切り音を抑制しつつ、送風ダクト7から伝播する騒音(主として風切り音)を導風吸音材15で的確に吸収できるのであり、これにより、居室4の静粛性を向上させることができる(この点は更に詳述する。)。
第1実施形態では、調和空気を直線方向に飛ばすことできる。従って、居室4が細長い場合に好適である。他方、第2実施形態では、調和空気を空気流入口18の周囲に効率よく拡散させることができる。従って、居室4が正方形であるかこれに近い場合に好適である。
第2実施形態では、各単位通路20において調和空気の流速が徐々に低下していくため、調和空気が導風吸音材15及び本体14を離れるときの風切り音の発生を、より的確に防止又は抑制できる。また、両実施形態とも、平断面視で導風吸音材15の終端部が丸みを帯びていることによっても、調和空気が導風吸音材15から離れるときに渦流が発生することを防止して、風切り音を的確に低減できる。
上記した風切り音の低減効果は、図6,7に示す実測値(試験結果)によっても裏付けられている。この点を説明する。図6は、導風吸音材15を備えたことによる音圧レベルの低減効果を実測した挿入損失値のグラフであり、音源と音圧計とを十分に離して両者の間にサンプル(吹き出し装置)を配置し、吹き出し装置11を設けたことでどれだけ音圧が低下したかを示している。従って、音圧の数字が高いほど低減効果に優れていると云える。
C〜Eは比較例(従来例)である。図6は、いずれもダンパの開き角度100%で測定している。図6のグラフから、両実施形態及び各ライン型ディフューザーは、周波数が高くなると挿入損失値が高くなる傾向があることを理解できる。他方、パンカールーバーと丸型ディフューザーとは周波数と遮音性とに有意な傾向は見られず、本願両実施形態に対して遮音性能が劣っていることを理解できる。すなわち、パンカールーバーと丸型ディフューザーは周波騒音が素通りしているが、本願両実施形態は、風切り音のような周波数が高い騒音も的確に遮断できて、遮音効果(吸音効果)に優れていることが理解できる。
図7は、図6と同じサンプルに関して、実際の風切り音のパワーレベルをJIS Z 8734に基づいて測定したグラフである。このグラフから、本願実施形態品は、各周波数において風切り音の発生抑止効果が高いことを理解できる。また、居室4で人の耳に入る音は実際には様々な周波数が混ざった音であり、従って、現実的な評価としては、OA(オーバーオール)における音量が重要になるが、図7から、本願両実施形態品は、現実に人の耳に入る音量が少ないことを理解できる。
なお、第1実施形態よりも第2実施形態の方が空気流出口19での流速は低下しており、従って、一般的には、風切り音の抑制効果も第2実施形態の方が高いと考えられるが、実際には、風切り音の抑制効果は第1実施形態の方が優れている。理由は解明していないが、内張り25の有無や、本体14の金属部分の露出面積の大きさが影響していると推測される。
従って、本体14の形状や、導風吸音材15の材質や形態(特に終端部の断面形状)、内張り25の配置量や位置などを工夫することで、吹き出し装置11の全体での風切り音の発生をより一層抑制できると云える。
(5).他の実施形態
次に、図8以下に示す他の実施形態を説明する。図8に示す第3実施形態は第2実施形態の変形例であり、(A)に示す例では、各導風吸音材15は第2実施形態とほぼ同じ形態であるが、配置姿勢を本体14の軸心に対して捩じっている。従って、各導風吸音材15は本体14の放射方向でなくスパイラル方向(渦巻き姿勢)に並んでおり、このため、調和空気は放射方向に対して傾斜した方向(渦巻き方向)に放散される。
従って、調和空気は第2実施形態よりも各導風吸音材15によって強く方向変換させられる。その結果、導風吸音材15によって音が潰れる度合いが大きくなって、吸音性能に優れていると云える。(A)では、線X1,X2から理解できるように、空気流入口18の放射方向の外側には必ず導風吸音材15が存在している(放射方向の外側から、単位通路20を介して空気流入口18の下向き仮想延長線を見ることができない。)。このため、調和空気は必ず導風吸音材15でガイドされて渦巻き状に流れる。
図8のうち(B)に示す例では,各導風吸音材15をく字形に形成しており、(C)に示す例では導風吸音材15を三日月状(或いは円弧状)に形成している。(B)(C)は(A)よりも調和空気の方向変換の度合いが大きいと云える。
図9に示す第4実施形態は、基本的には第1実施形態と同様であるが、本体14の一端部に空気流入口18を設けて、空気流出口19を本体14の他端部のみに設けている。従って、吹き出し装置11が壁際に配置される場合に好適である。一点鎖線で示すように、本体14の高さを空気流出口19に向けて徐々に大きくすることで、調和空気の流速を徐々に低減する(或いは調和空気の拡散性を高める)ことも可能である。
図10に示す第5実施形態は、本体14を平面視扇形に形成して、本体14の内部に、放射方向に長い導風吸音材15を周方向に飛び飛びで複数個配置している。この場合も、居室4の壁際に設ける場合に好適である。この実施形態では本体14には内側面が存在するので、内側面に内張り25を設けている。図では表示していないが、空気流入口18の真下に円錐状の案内突起を設けるのが好ましい。
図11に示す第6実施形態は、第1実施形態における本体14の両端に下向き部14を設けて、空気流出口19を下向きに開口させたものである。導風吸音材15の終端は空気流出口19に位置している。一点鎖線で示すように、本体14のうち下向きの部分をテーパ状に形成してもよい。
図12に示す第7実施形態は、枝ダクト10を壁28に開口させている。そして、本体14は基本的には枝ダクト10と同心状に直線状形態であり、終端部を斜め下向きに曲がった傾斜部14bとしている。従って、調和空気は、枝ダクト10から方向変換することなく本体14の内部を流れて、端部において斜め下向きに方向変換する。
この実施形態では本体14は断面角形になっており、1つの導風吸音材15を挟んだ両側に2つの単位通路20が形成されているが、複数の導風吸音材15を配置してもよい。導風吸音材15は、真円形や楕円形、小判形などの各種の形状を採用できる。
図13に示す第8実施形態では、本体14の出口部14cをラッパ状に拡径している(カールさせている。)。このうち(A)に示す例では、内張り25のよりも外側の部分をラッパ状に拡径しており、(B)に示す例では、ラッパ状に拡径した部分にも内張り25を配置し、かつ、内張り25の厚さを先端に向けて小さくすることで、内張り25もラッパ状に形成している。
(6).吸込み装置への適用
上記の各実施形態は吹き出し装置に適用しているが、上記各実施形態の構造は吸込み装置にそのまま適用できる。すなわち、上記各実施形態の構造は、送風ダクト7の始端を吸引機(吸引ファン)に接続した設備の吸込み装置にそのまま適用できるのであり、この場合は、空気の流れ方向が逆になるだけである。
そして、吸込み装置に適用した場合は、送風ダクト7での流速は高く保持しつつ、各単位通路20の始端部(上流端部)での流速は低く保持できるため、空気流入時の風切り音を大幅に抑制できる。また、本体14の内部で発生した音を導風吸音材15や内張り25で吸音できるため、本体14の内部で発生した音が空調空間4に放散されることも抑制できる。
上記各実施形態のうちのいずれかの構造を空調装置5の始端に適用して、本体14を機械室5に開口させることも可能である。この場合は、送風ダクト7に入り込む音を抑制できることにより、各空調空間4の静粛性向上に貢献できる。送気用送風ダクトと吸気用送風ダクトとを併設して、吸気用ダクトの終端と送気用送風ダクトとの間に空調装置を介在させて、閉じたサイクルの空調設備を構成することも可能である。
(7).その他
本願発明は、上記の実施形態の他にも様々に具体化できる。例えば本体の形状は筒状(直管状)や円形や扇形に限らず、例えば平面視十字状やT字状など様々な形態を採用できる。本体を平面視四角形に形成して、その中央部に空気流入口を設けて、4つの辺にそれぞれ空気流出口を設けるといったことも可能である。
導風吸音材に吸音性を持たせる手段も、種々の構成を採用できる。例えば、鋼板や樹脂板のような硬質の基板の表面に、羽根状の吸音整流材を植設するといったことも可能である。適用対象は船舶用のセントラル式空調設備には限らず、建物のセントラル式空調設備にも適用できる。
本願発明は、セントラル式等のようなダクト送気式の空調設備の吹き出し装置に具体化できる。従って、産業上利用できる。
1 船舶(貨物船)
4 居室(空調空間)
6 セントラル空調装置
7 送風ダクト
10 枝ダクト
11 吹き出し装置
12 風量調節用ダンパ
14 本体
15 導風吸音材
18 空気流入口
19 空気流出口
20 単位通路
21 突起
22,23 導風吸音材のコーナー部
24 導風吸音材の終端
25 吸音材製の内張り

Claims (10)

  1. 1つの空調機から送られた調和空気が分岐して流れる送風ダクトの終端に設ける吹き出し装置であって、
    前記送風ダクトに連通する空気流入口と空調空間に向けて開口する空気流出口とが形成された本体と、前記送風ダクトから伝播した騒音を吸収しつつ調和空気の流れをガイドするために前記本体の内部に配置した導風吸音材とを備えており、
    前記導風吸音材を、前記本体の内部が複数の単位通路に分かれるように仕切り壁状に配置し、かつ、前記各単位通路の終端部の流路面積の総和を前記空気流入口の断面積より大きく設定している、
    空調設備用の吹き出し装置。
  2. 前記各単位通路の断面積は前記空気流入口の断面積よりも小さくなっている、
    請求項1に記載した空調設備用の吹き出し装置。
  3. 前記本体は平面視で直線状の筒状形態であり、その一端部又は略中間部に空気流入口を設けて、他端又は両端に前記空気流出口を設けている、
    請求項1又は2に記載した空調設備用の吹き出し装置。
  4. 前記本体は平面視で円形又は扇型であり、本体の内部に複数の導風吸音材が周方向に飛び飛びに並んでおり、調和空気は本体の外周に向けて放出される、
    請求項1又は2に記載した空調設備用の吹き出し装置。
  5. 前記各単位通路の断面積は調和空気の流れ方向に向かって大きくなっている、
    請求項4に記載し空調設備用の吹き出し装置。
  6. 前記本体の空気流入口の開口方向と空気流出口の開口方向とは交叉しており、前記空気流入口から本体に入った調和空気は前記本体内において方向変換して前記空気流出口から放出される、
    請求項1〜5のうちのいずれかに記載した空調設備用の吹き出し装置。
  7. 前記導風吸音材の、調和空気が通過するときに渦流が発生し難いように丸みを帯びている、
    請求項1〜6のうちのいずれかに記載した空調設備用の吹き出し装置。
  8. 前記導風吸音材の終端を前記空気流出口の箇所又はその近傍に位置させている、
    請求項1〜7のうちのいずれかに記載した空調設備用の吹き出し装置。
  9. 終端が吸引機に接続された送風ダクトの始端に設ける吸込み装置であって、
    前記送風ダクトに連通する空気流出口と空気吸引空間に向けて開口する空気流入口とが形成された本体と、当該本体への空気の吸引によって発生した吸引音を吸収しつつ空気の流れをガイドするために前記本体の内部に配置した導風吸音材とを備えており、
    前記導風吸音材を、前記本体の内部が複数の単位通路に分かれるように仕切り壁状に配置し、かつ、前記各単位通路の始端部の流路面積の総和を前記空気流出口の断面積より大きく設定している、
    空調設備用の吸込み装置。
  10. 前記本体は空調空間に開口しており、前記各単位通路の始端部の流路面積の総和を前記空気流出口の断面積の数倍以上に設定している、
    請求項9に記載した空調設備用の吸込み装置。
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