JP2007019012A - 非水系電解液及び非水系電解液二次電池 - Google Patents
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Abstract
Description
このような状況において、金属リチウムを負極とする二次電池が、高容量化を達成できる電池として盛んに研究されている。しかしながら、金属リチウムには、充放電の繰り返しにより金属リチウムがデンドライト状に成長し、これが正極に達し電池内部での短絡が生じてしまうことがあり、これが金属リチウムを負極とするリチウムニ次電池を実用化する際の最大の障害となっている。
また、非水系電解液二次電池の負荷特性、サイクル特性、保存特性、低温特性等の特性向上のために、電解質と主たる溶媒とに加えて、種々の化合物を含有させた電解液が提案されている。
これらの化合物を含む電解液は、前記化合物が負極表面で還元分解されて皮膜を形成し、この皮膜により電解液の過度の分解が抑制される。また、ハロゲンを含むカーボネートを用いる電解液についても同様に提案されている(例えば、特許文献5参照)。
本発明は上記課題に鑑みて創案されたもので、より優れたサイクル特性を得ることができるようにした、非水系電解液及びそれを用いた非水系電解液二次電池を提供することを目的とする。
この際、該非水系電解液中における上記所定カーボネートの濃度が0.01重量%以上70重量%以下であることが好ましい(請求項5)。
また、上記所定カーボネートは、ビニレンカーボネート、ビニルエチレンカーボネート、フルオロエチレンカーボネート、及びジフルオロエチレンカーボネート、並びにこれらの誘導体よりなる群から選ばれる1種以上のカーボネートであることが好ましい(請求項6)。
また、本発明の非水系電解液二次電池によれば、優れた充放電サイクル特性を得ることができる。
本発明の非水系電解液は、非水溶媒中に下記式(1)で表わされる化合物(以下適宜、「特定化合物」という)を、少なくとも1種含有するものである。また、本発明の非水系電解液は通常は電解質を含有し、さらに、適宜、所定カーボネート及び添加剤を含有する。
本発明にかかる特定化合物は、上記の式(1)で表わされる化合物である。
上記式(1)において、Xは酸素または窒素を表わす。
また、上記式(1)において、Rは水素、又は、置換若しくは無置換のアルキル基を表わす。
ただし、通常は、特定化合物の有機物としての安定性を向上させることができる点、特定化合物を電解液中に存在させた場合に形成される保護皮膜層の安定性を向上させる点などから、Rとしては、無置換のアルキル基、または、フッ素原子のみで置換されたアルキル基を用いることが好ましい。
なお、本発明の非水系電解液に特定化合物を含有させる場合、特定化合物は、1種を単独に用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
本発明の非水系電解液は、所定カーボネートを含有することが好ましい。本発明に係る所定カーボネートは、不飽和結合及びハロゲン原子のうち少なくとも一方を有するカーボネートである。即ち、本発明に係る所定カーボネートは、カーボネートであれば、不飽和結合のみを有していてもよく、ハロゲン原子のみを有していてもよく、不飽和結合及びハロゲン原子の双方を有していてもよい。
さらに、アリルカーボネート類の具体例としては、ジアリルカーボネート、アリルメチルカーボネート、等が挙げられる。
また、所定ハロゲン化カーボネートが有するハロゲン原子の数も、1以上であれば特に制限されないが、通常6以下、好ましくは4以下である。所定ハロゲン化カーボネートが複数のハロゲン原子を有する場合、それらは互いに同一でもよく、異なっていてもよい。
本発明の非水系電解液が含有し得る非水溶媒としては、本発明の効果を著しく損なわない範囲において、任意のものを用いることができる。なお、上述した特定化合物を非水溶媒として用いることも可能であり、所定カーボネートを非水溶媒として用いることも可能である。また、非水溶媒(特定化合物及び所定カーボネートを含む)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
本発明の非水系電解液に用いる電解質に制限は無く、目的とする非水系電解液二次電池に電解質として用いられるものであれば公知のものを任意に採用することができる。本発明の非水系電解液をリチウム二次電池に用いる場合には、通常は、電解質としてリチウム塩を用いる。
一方、LiPF6、LiBF4等の無機リチウム塩と、LiCF3SO3、LiN(CF3SO2)2、LiN(C2F5SO2)2等の含フッ素有機リチウム塩とを併用する場合、電解質全体に占める無機リチウム塩の割合は、通常70重量%以上、99重量%以下の範囲であることが望ましい。一般に、含フッ素有機リチウム塩は無機リチウム塩と比較して分子量が大きく、比率が高すぎると電解液全体に占める溶媒の比率が低下し、電解液の抵抗を高くする可能性がある。
本発明の非水系電解液は、本発明の効果を著しく損なわない範囲において、各種の添加剤を含有していることが好ましい。この添加剤としては、従来公知のものを任意に用いることができ、また、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。添加剤の例としては、過充電防止剤や、高温保存後の容量維持特性やサイクル特性を改善するための助剤などが挙げられる。
なお、過充電防止剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
本発明の非水系電解液二次電池は、リチウムイオンを吸蔵及び放出しうる負極及び正極と、上記の本発明の非水系電解液とを備える。
この本発明の非水系電解液二次電池は、非水系電解液以外の構成については従来公知の非水系電解液二次電池と同様のものを任意に採用することができる。通常、非水系電解液二次電池は、本発明の非水系電解液が含浸されている多孔膜(セパレータ)を介して正極と負極とが積層され、これらがケース(外装体)に収納された形態を有する。
非水系電解液としては、非水溶媒中に上記の特定化合物あるいは特定化合物と所定カーボネートの両方を含有する本発明の非水系電解液を用いる。
本発明の非水系電解液二次電池に用いる負極は、リチウムイオンを吸蔵及び放出可能なものであれば、本発明の効果を損なわない限り任意のものを用いることができる。通常は、負極として、集電体に負極活物質を固定したものを用いる。
ここで、黒鉛は、学振法によるX線回折で求めた格子面(002面)のd値(層間距離)が通常0.335nm以上、また、通常0.338nm以下、好ましくは0.337nm以下であるものが好ましい。
また、黒鉛の灰分は、通常1重量%以下、好ましくは0.5重量%以下、より好ましくは0.1重量%以下であることが望ましい。
負極用集電体の材質に制限は無いが、通常用いられるものの例としては、鋼、銅合金、ニッケル、ニッケル合金、ステンレス等が挙げられる。これらのうち、薄膜に加工しやすいという点及びコストの点から銅箔が好ましい。
負極の製造方法の例としては、負極活物質に、導電材、結着剤、増粘剤、充填剤、溶媒等を加えてスラリー状とし、これを集電体に塗布し、乾燥した後にプレスして高密度化して、集電体上に負極活物質層を形成する方法が挙げられる。
負極活物質の含有量は、負極材100重量部に対して、通常70重量部以上、好ましくは75重量部以上で、通常97重量部以下、好ましくは95重量部以下であることが望ましい。この範囲よりも負極活物質量が少ないと負極の容量が不足する可能性があり、多いと相対的に結着剤等の含有量が不足することによって負極の強度が不足する可能性がある。
また、増粘剤の含有量にも制限は無いが、負極活物質層中に、通常0.5重量%〜5重量%の範囲で用いることが好ましい。
また、充填剤の含有量にも制限は無いが、負極活物質層中に、通常0.5重量%〜5重量%の範囲で用いることが好ましい。
そして、上記のスラリーを集電体に塗布し、乾燥した後にプレスして負極活物質層を形成する。この負極活物質層の乾燥、プレス後の密度に制限は無いが、通常1.0g/cm3以上である。
本発明の非水系電解液二次電池に用いる正極は、リチウムイオンを吸蔵及び放出可能なものであれば、本発明の効果を損なわない限り任意のものを用いることができる。通常は、正極として、集電体に正極活物質を固定したものを用いる。
正極集電体の材質に制限は無いが、通常用いられるものの例としては、アルミニウム、チタン、タンタル及びこれらの合金等が挙げられる。なかでもアルミニウム及びその合金が好ましい。
また、粗面化処理をしておくことが好ましい点、穴あきタイプの集電体を用いてもよい点、集電体の厚み等を含め、その他の事項は負極の集電体と同様である。
正極の製造方法の例としては、負極の場合と同様に、正極活物質に、結着剤、増粘剤、導電材、充填剤、溶媒等を加えてスラリー状とし、これを集電体に塗布し、乾燥した後にプレスして高密度化して、集電体上に負極活物質層を形成する方法が挙げられる。また、負極と同様、正極には、機械的強度や電気伝導度を高める目的で、増粘剤、導電材、充填剤などを含有させてもよい。
なお、正極活物質層の乾燥、プレス後の密度に制限は無いが、通常3.0g/cm3以上である。
正極と負極との間には、短絡を防止するために、通常はセパレータを介在させる。この場合、本発明の非水系電解液は、通常はこのセパレータに含浸させて用いる。
セパレータに制限は無く、本発明の効果を著しく損なわない限り公知のものを任意に採用することができる。したがって、セパレータの材料や形状については特に限定されないが、本発明の非水系電解液に対し安定な材料で形成された、保液性に優れた多孔性シート又は不織布等を用いるのが好ましい。
本発明の非水系電解液二次電池は、通常、上記の非水系電解液、負極、正極、セパレータ等を外装体内に収納して構成される。この外装体に制限は無く、本発明の効果を著しく損なわない限り公知のものを任意に採用することができる。
また、外装体の形状も任意であり、例えば円筒型、角形、ラミネート型、コイン型、大型等のいずれであってもよい。
実施例1〜11及び比較例1,2において、それぞれ、以下の手順で非水系電解液二次電池を組み立て、その評価を行ない、結果を表1に示した。
正極活物質としてLiCoO2(日本化学工業杜製「C5」)85重量%に、カーボンブラック(電気化学工業杜製商品名「デンカブラック」)6重量%、及び、ポリフッ化ビニリデン(呉羽化学杜製商品名「KF−1000」)9重量%を加えて混合し、N−メチル−2−ピロリドンで分散してスラリー状としたものを、正極集電体である厚さ20μmのアルミニウム箔上に、用いる負極の理論容量の9割となるように均一に塗布し、100℃で12時間乾燥後、直径12.5mmの円盤状に打ち抜いて正極とした。
人造黒鉛粉末(ティムカル杜製商品名「KS−6」)100重量部に、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)を12重量%含有するN−メチルピロリドン溶液83.5重量部、及び、N−メチルピロリドン50重量部をデイスパーザーで混合してスラリー状としたものを、負極集電体である厚さ18μmの銅箔上に均一に塗布し、乾燥後、電極密度が1.5g/cm3程度となるようにプレスし、その後、直径12.5μmの円盤状に打ち抜いてグラファイト製の負極(グラファイト負極)とした。
エチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートとを体積比3:7の比率で混合させた溶液に、表1に示す割合で、適宜、特定化合物及び/又は各種の所定カーボネートを加え、さらに電解質としてLiPF6を1モル/リットルの濃度となるように溶解させて非水系電解液を調製した。なお、表1中の「−」は、その欄に該当する特定化合物又は所定カーボネートを使用しなかったことを表わす。
上記の正極及び負極と、各実施例及び比較例で調製した非水系電解液とを用いて、正極導電体を兼ねるステンレス鋼製の缶体に正極を収容し、その上に電解液を含浸させたポリエチレン製のセパレータを介して負極を載置した。
この缶体と負極導電体を兼ねる封口板とを、絶縁用のガスケットを介してかしめて密封し、コイン型セルを作製した。
25℃において、充電終止電圧4.2V、定電流時電流3mA、充電終了電流0.15μAの定電流定電圧充電と、放電終止電圧3.0V、定電流時電流3mAの定電流放電とを1サイクルとして、100サイクル充放電を実施した。この時の、1サイクル目及び100サイクル目の放電容量を測定し、100サイクル目における容量維持率を下記式で算出した。なお、容量はいずれも負極活物質単位重量当りの容量とした。
実施例12〜18及び比較例3,4として、それぞれ、負極をケイ素合金製のものに代え、非水系電解液に混合する特定化合物および/又は所定カーボネートとして表2に示すものを用い、さらに、10サイクル目の放電容量を測定することにより100サイクル目の容量維持率の代わりに10サイクル目の容量維持率を算出した他は、上述した〔実施例1〜11及び比較例1,2〕と同様の手順で、非水系電解液二次電池を組み立て、その評価を行なった。それぞれの結果を表2に示した。なお、表2中の「−」は、その欄に該当する特定化合物又は所定カーボネートを使用しなかったことを表わす。また、10サイクル目の容量維持率は下記式で算出した。さらに、容量はいずれも負極活物質単位重量当りの容量とした。
〔ケイ素合金負極の作製〕
負極活物質の非炭素材料としてケイ素73.2重量部と銅8.1重量部とを用い、これに、人造黒鉛粉末(ティムカル杜製商品名「KS−6」)12.2重量%と、PVDFを12重量%含有するN−メチルピロリドン溶液54.2重量部と、N−メチルビロリドン50重量部とをディスパーザーで混合してスラリー状としたものを、負極集電体である厚さ18μmの銅箔上に均−に塗布し、乾燥後、電極密度が1.5g/cm3程度となるようにプレスし、その後、直径12.5mmの円盤状に打ち抜いてケイ素合金製の負極(ケイ素合金負極)とした。
表1,2より、次のことが明らかである。
負極にグラファイトを用いた場合、非水系電解液中に特定化合物を含有させた実施例1〜11においては、比較例1,2に対して、サイクル特性が良好である。
さらに、実施例1〜7を比較すると、既にサイクル特性を向上させる事が知られている化合物(所定カーボネート)と特定化合物とを組み合わせて使用している実施例2〜7は、実施例1に比べて、さらにサイクル特性が向上している事が分かる。
また、負極にケイ素合金を用いた実施例12〜18と比較例3,4との比較においても、同様の傾向を示すことがわかる。
Claims (9)
- 上記式(1)において、Rが、無置換又はフッ素のみで置換されたアルキル基である
ことを特徴とする、請求項1記載の非水系電解液。 - 非水系電解液中における該化合物の濃度が、0.01重量%以上10重量%以下である
ことを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の非水系電解液。 - 不飽和結合及びハロゲン原子のうち少なくとも一方を有するカーボネートを含有する
ことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の非水系電解液。 - 非水系電解液中における、前記の不飽和結合及びハロゲン原子のうち少なくとも一方を有するカーボネートの濃度が、0.01重量%以上70重量%以下である
ことを特徴とする、請求項4に記載の非水系電解液。 - 前記の不飽和結合及びハロゲン原子のうち少なくとも一方を有するカーボネートが、ビニレンカーボネート、ビニルエチレンカーボネート、フルオロエチレンカーボネート、及びジフルオロエチレンカーボネート、並びにこれらの誘導体よりなる群から選ばれる1種以上のカーボネートである
ことを特徴とする、請求項4又は請求項5に記載の非水系電解液。 - エチレンカーボネート及び/又はプロピレンカーボネートを含む
ことを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の非水系電解液。 - ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチル−n−プロピルカーボネート、エチル−n−プロピルカーボネート、ジ−n−プロピルカーボネートよりなる群から選ばれる少なくとも1種を含有する
ことを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載の非水系電解液。 - リチウムイオンを吸蔵及び放出しうる負極及び正極と、
請求項1〜8のいずれか1項に記載の非水系電解液とを備える
ことを特徴とする、非水系電解液二次電池。
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