JP5593592B2 - 二次電池用非水系電解液及びそれを用いた非水系電解液二次電池 - Google Patents
二次電池用非水系電解液及びそれを用いた非水系電解液二次電池 Download PDFInfo
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Description
[1] 金属イオンを吸蔵・放出しうる正極活物質を有する正極と、金属イオンを吸蔵・放出しうるSiを含有する負極活物質を有する負極とを備え、前記正極活物質がリチウムと少なくとも1種の遷移金属を含有する物質である非水系電解液二次電池に用いられる非水系電解液であって、構造式中に2以上4以下のシアノ基を有する化合物と、不飽和結合及び/又はハロゲン原子を有するカーボネート、モノフルオロリン酸塩、及びジフルオロリン酸塩からなる群より選ばれる1種以上の化合物とを含有することを特徴とする非水系電解液二次電池用非水系電解液。
NC−(X)n−CN (1)
[(1)式中、Xは、CH2、CFH、CF2、CHR、CFR、CR2、C=O、O、S、NH、又はNRを表し(ただし、Rは置換基を有していてもよい炭素数5以下の炭化水素基又はシアノ基を表す。)、nは1以上の整数である。n個のXは同一であってもよく、異なるものであってもよい。]
すなわち、非水系電解液中の、前記構造式中に2以上4以下のシアノ基を有する化合物は、2つ以上のシアノ基を有することにより、モノニトリル化合物の場合よりも、正極活物質に含まれる遷移金属に対して配位、吸着、及びその他の何らかの強い相互作用を及ぼし、充電状態の正極を安定化させる。このことにより、充電状態での高温保存時における正極と非水系電解液との反応を抑制し、ガス発生や電池特性の悪化を抑制することが可能となる。
その理由は必ずしも明らかではないが、Si、Sn及びPbからなる群より選ばれる少なくとも1種の原子を含有する負極活物質を有する負極を使用する場合、炭素系負極を用いた場合に比べて、等しい電池電圧のときでも正極の電位が高くなり、充電状態での高温保存時における正極と非水系電解液との反応がより多くなることが予想される。このとき、非水系電解液中の構造式中に2以上4以下のシアノ基を有する化合物の正極に対する安定化効果がより明確に現れるものと考えられる。
この理由は、非水系電解液中に構造式中に2以上4以下のシアノ基を有する化合物を加えることによって、電池内部の抵抗が大幅に上昇するためである。一方、Si、Sn及びPbからなる群より選ばれる少なくとも1種の原子を含有する負極活物質を有する負極を使用する場合には、サイクル特性が悪化する可能性が低く、保存特性及びサイクル特性を同時に満足させることができる。
この理由は明らかではないが、非水系電解液中の構造式中に2以上4以下のシアノ基を有する化合物の負極における反応性の差が影響していると予想される。
本発明の非水系電解液は、リチウムイオンを吸蔵及び放出し得る負極及び正極と非水系電解液とを備え、該負極がSi原子、Sn原子及びPb原子よりなる群から選ばれる少なくとも1種の原子を有する負極活物質を含有する非水系電解液二次電池に用いられる非水系電解液である。
また、構造式中に2以上4以下のシアノ基を有する化合物(以下、「本発明のシアノ基含有化合物」と称す場合がある)は、下記一般式(1)で表される化合物(以下「化合物(1)」と称す場合がある)であることが好ましい。
[(1)式中、Xは、CH2、CFH、CF2、CHR、CFR、CR2、C=O、O、S、NH、又はNRを表し(ただし、Rは置換基を有していてもよい炭素数5以下の炭化水素基又はシアノ基を表す。)、nは1以上の整数である。n個のXは同一であってもよく、異なるものであってもよい。]
本発明に係る化合物(1)は、下記の一般式(1)で表される。
NC−(X)n−CN (1)
[(1)式中、Xは、CH2、CFH、CF2、CHR、CFR、CR2、C=O、O、S、NH、又はNRを表し(ただし、Rは置換基を有していてもよい炭素数5以下の炭化水素基又はシアノ基を表す。)、nは1以上の整数である。n個のXは同一であってもよく、異なるものであってもよい。]
メチル基、
エチル基、
プロピル基、
イソプロピル基、
ブチル基、
1−メチルプロピル基、
2−メチルブチル基、
tert−ブチル基、
ペンチル基、
1−メチルブチル基、
2−メチルブチル基、
3−メチルブチル基、
ネオペンチル基等
フルオロメチル基、
ジフルオロメチル基、
トリフルオロメチル基、
2−フルオロエチル基、
2,2−ジフルオロエチル基、
2,2,2−トリフルオロエチル基、
1,1,2,2,2−ペンタフルオロエチル基
メトキシメチル基、
エトキシメチル基、
2−メトキシエチル基、
シアノメチル基、
2−シアノエチル基、
3−シアノプロピル基、
メトキシカルボニルメチル基、
エトキシカルボニルメチル基、
2−メトキシカルボニルエチル基等
<化合物(1)の具体例>
マロノニトリル、
スクシノニトリル、
グルタロニトリル、
アジポニトリル、
ピメロニトリル、
スベロニトリル、
アゼラニトリル、
セバコニトリル、
ウンデカンジニトリル、
ドデカンジニトリル、
メチルマロノニトリル、
エチルマロノニトリル、
イソプロピルマロノニトリル、
tert−ブチルマロノニトリル、
メチルスクシノニトリル、
2,2−ジメチルスクシノニトリル、
2,3−ジメチルスクシノニトリル、
トリメチルスクシノニトリル、
テトラメチルスクシノニトリル
3,3’−オキシジプロピオニトリル、
3,3’−チオジプロピオニトリル、
3,3’−(エチレンジオキシ)ジプロピオニトリル、
3,3’−(エチレンジチオ)ジプロピオニトリル、
1,2,3−プロパントリカルボニトリル、
1,3,5−ペンタントリカルボニトリル、
1,2,3−トリス(2−シアノエトキシ)プロパン、
トリス(2−シアノエチル)アミン等
<化合物(1)の好適具体例>
スクシノニトリル、
グルタロニトリル、
アジポニトリル、
ピメロニトリル、
スベロニトリル、
アゼラニトリル、
セバコニトリル、
3,3’−オキシジプロピオニトリル、
3,3’−チオジプロピオニトリル、
1,2,3−プロパントリカルボニトリル、
1,3,5−ペンタントリカルボニトリル、
1,2,3−トリス(2−シアノエトキシ)プロパン、
トリス(2−シアノエチル)アミン、
ウンデカンジニトリル、
ドデカンジニトリル等
ピメロニトリル、
スベロニトリル、
アゼラニトリル、
セバコニトリル、
3,3’−オキシジプロピオニトリル、
1,3,5−ペンタントリカルボニトリル、
ウンデカンジニトリル、
ドデカンジニトリル
がさらに好ましい。
本発明に係る不飽和結合及び/又はハロゲン原子を有するカーボネート(これを適宜「特定カーボネート」と略称する。)は、不飽和結合のみを有していてもよく、ハロゲン原子のみを有していてもよく、不飽和結合及びハロゲン原子の双方を有していてもよい。
ビニレンカーボネート、
メチルビニレンカーボネート、
4,5−ジメチルビニレンカーボネート、
フェニルビニレンカーボネート、
4,5−ジフェニルビニレンカーボネート
カテコールカーボネート
等が挙げられる。
ビニルエチレンカーボネート、
4,5−ジビニルエチレンカーボネート、
フェニルエチレンカーボネート、
4,5−ジフェニルエチレンカーボネート
等が挙げられる。
ジフェニルカーボネート、
エチルフェニルカーボネート、
メチルフェニルカーボネート、
t−ブチルフェニルカーボネート
等が挙げられる。
ジビニルカーボネート、
メチルビニルカーボネート
等が挙げられる。
ジアリルカーボネート、
アリルメチルカーボネート
等が挙げられる。
フルオロエチレンカーボネート、
クロロエチレンカーボネート、
4,4−ジフルオロエチレンカーボネート、
4,5−ジフルオロエチレンカーボネート、
4,4−ジクロロエチレンカーボネート、
4,5−ジクロロエチレンカーボネート、
4−フルオロ−4−メチルエチレンカーボネート、
4−クロロ−4−メチルエチレンカーボネート、
4,5−ジフルオロ−4−メチルエチレンカーボネート、
4,5−ジクロロ−4−メチルエチレンカーボネート、
4−フルオロ−5−メチルエチレンカーボネート、
4−クロロ−5−メチルエチレンカーボネート、
4,4−ジフルオロ−5−メチルエチレンカーボネート、
4,4−ジクロロ−5−メチルエチレンカーボネート、
4−(フルオロメチル)−エチレンカーボネート、
4−(クロロメチル)−エチレンカーボネート、
4−(ジフルオロメチル)−エチレンカーボネート、
4−(ジクロロメチル)−エチレンカーボネート、
4−(トリフルオロメチル)−エチレンカーボネート、
4−(トリクロロメチル)−エチレンカーボネート、
4−(フルオロメチル)−4−フルオロエチレンカーボネート、
4−(クロロメチル)−4−クロロエチレンカーボネート、
4−(フルオロメチル)−5−フルオロエチレンカーボネート、
4−(クロロメチル)−5−クロロエチレンカーボネート、
4−フルオロ−4,5−ジメチルエチレンカーボネート、
4−クロロ−4,5−ジメチルエチレンカーボネート、
4,5−ジフルオロ−4,5−ジメチルエチレンカーボネート、
4,5−ジクロロ−4,5−ジメチルエチレンカーボネート、
4,4−ジフルオロ−5,5−ジメチルエチレンカーボネート、
4,4−ジクロロ−5,5−ジメチルエチレンカーボネート
等が挙げられる。
フルオロメチルメチルカーボネート、
ジフルオロメチルメチルカーボネート、
トリフルオロメチルメチルカーボネート、
ビス(フルオロメチル)カーボネート、
ビス(ジフルオロ)メチルカーボネート、
ビス(トリフルオロ)メチルカーボネート、
クロロメチルメチルカーボネート、
ジクロロメチルメチルカーボネート、
トリクロロメチルメチルカーボネート、
ビス(クロロメチル)カーボネート、
ビス(ジクロロ)メチルカーボネート、
ビス(トリクロロ)メチルカーボネート
等が挙げられる。
2−フルオロエチルメチルカーボネート、
エチルフルオロメチルカーボネート、
2,2−ジフルオロエチルメチルカーボネート、
2−フルオロエチルフルオロメチルカーボネート、
エチルジフルオロメチルカーボネート、
2,2,2−トリフルオロエチルメチルカーボネート、
2,2−ジフルオロエチルフルオロメチルカーボネート、
2−フルオロエチルジフルオロメチルカーボネート、
エチルトリフルオロメチルカーボネート、
2−クロロエチルメチルカーボネート、
エチルクロロメチルカーボネート、
2,2−ジクロロエチルメチルカーボネート、
2−クロロエチルクロロメチルカーボネート、
エチルジクロロメチルカーボネート、
2,2,2−トリクロロエチルメチルカーボネート、
2,2−ジクロロエチルクロロメチルカーボネート、
2−クロロエチルジクロロメチルカーボネート、
エチルトリクロロメチルカーボネート
等が挙げられる。
エチル−(2−フルオロエチル)カーボネート、
エチル−(2,2−ジフルオロエチル)カーボネート、
ビス(2−フルオロエチル)カーボネート、
エチル−(2,2,2−トリフルオロエチル)カーボネート、
2,2−ジフルオロエチル−2’−フルオロエチルカーボネート、
ビス(2,2−ジフルオロエチル)カーボネート、
2,2,2−トリフルオロエチル−2’−フルオロエチルカーボネート、
2,2,2−トリフルオロエチル−2’,2’−ジフルオロエチルカーボネート、
ビス(2,2,2−トリフルオロエチル)カーボネート、
エチル−(2−クロロエチル)カーボネート、
エチル−(2,2−ジクロロエチル)カーボネート、
ビス(2−クロロエチル)カーボネート、
エチル−(2,2,2−トリクロロエチル)カーボネート、
2,2−ジクロロエチル−2’−クロロエチルカーボネート、
ビス(2,2−ジクロロエチル)カーボネート、
2,2,2−トリクロロエチル−2’−クロロエチルカーボネート、
2,2,2−トリクロロエチル−2’,2’−ジクロロエチルカーボネート、
ビス(2,2,2−トリクロロエチル)カーボネート
等が挙げられる。
フルオロビニレンカーボネート、
4−フルオロ−5−メチルビニレンカーボネート、
4−フルオロ−5−フェニルビニレンカーボネート、
クロロビニレンカーボネート、
4−クロロ−5−メチルビニレンカーボネート、
4−クロロ−5−フェニルビニレンカーボネート
等が挙げられる。
4−フルオロ−4−ビニルエチレンカーボネート、
4−フルオロ−5−ビニルエチレンカーボネート、
4,4−ジフルオロ−5−ビニルエチレンカーボネート、
4,5−ジフルオロ−4−ビニルエチレンカーボネート、
4−クロロ−5−ビニルエチレンカーボネート、
4,4−ジクロロ−5−ビニルエチレンカーボネート
4,5−ジクロロ−4−ビニルエチレンカーボネート、
4−フルオロ−4,5−ジビニルエチレンカーボネート、
4,5−ジフルオロ−4,5−ジビニルエチレンカーボネート、
4−クロロ−4,5−ジビニルエチレンカーボネート、
4,5−ジクロロ−4,5−ジビニルエチレンカーボネート、
4−フルオロ−4−フェニルエチレンカーボネート、
4−フルオロ−5−フェニルエチレンカーボネート
4,4−ジフルオロ−5−フェニルエチレンカーボネート、
4,5−ジフルオロ−4−フェニルエチレンカーボネート、
4−クロロ−4−フェニルエチレンカーボネート、
4−クロロ−5−フェニルエチレンカーボネート、
4,4−ジクロロ−5−フェニルエチレンカーボネート、
4,5−ジクロロ−4−フェニルエチレンカーボネート、
4,5−ジフルオロ−4,5−ジフェニルエチレンカーボネート、
4,5−ジクロロ−4,5−ジフェニルエチレンカーボネート
等が挙げられる。
フルオロメチルフェニルカーボネート、
2−フルオロエチルフェニルカーボネート、
2,2−ジフルオロエチルフェニルカーボネート、
2,2,2−トリフルオロエチルフェニルカーボネート、
クロロメチルフェニルカーボネート、
2−クロロエチルフェニルカーボネート、
2,2−ジクロロエチルフェニルカーボネート、
2,2,2−トリクロロエチルフェニルカーボネート
等が挙げられる。
フルオロメチルビニルカーボネート、
2−フルオロエチルビニルカーボネート、
2,2−ジフルオロエチルビニルカーボネート、
2,2,2−トリフルオロエチルビニルカーボネート、
クロロメチルビニルカーボネート、
2−クロロエチルビニルカーボネート、
2,2−ジクロロエチルビニルカーボネート、
2,2,2−トリクロロエチルビニルカーボネート
等が挙げられる。
フルオロメチルアリルカーボネート、
2−フルオロエチルアリルカーボネート、
2,2−ジフルオロエチルアリルカーボネート、
2,2,2−トリフルオロエチルアリルカーボネート、
クロロメチルアリルカーボネート、
2−クロロエチルアリルカーボネート、
2,2−ジクロロエチルアリルカーボネート、
2,2,2−トリクロロエチルアリルカーボネート
等が挙げられる。
本発明に係るモノフルオロリン酸塩、ジフルオロリン酸塩としては、モノフルオロリン酸イオン、ジフルオロリン酸イオンと金属イオンとの塩(以下、「モノフルオロリン酸金属塩、ジフルオロリン酸金属塩」等と略称する場合がある)と、モノフルオロリン酸イオン、ジフルオロリン酸イオンと4級オニウムとの塩(以下、「モノフルオロリン酸4級オニウム塩、ジフルオロリン酸4級オニウム塩」等と略称する場合がある)とが挙げられる。
本発明におけるモノフルオロリン酸金属塩、ジフルオロリン酸金属塩に用いられる金属としては、周期表の第1族、第2族、第13族の金属が挙げられる。
Li2PO3F、
Na2PO3F、
MgPO3F、
CaPO3F、
Al2(PO3F)2、
Ga2(PO3F)3、
LiPO2F2、
NaPO2F2、
Mg(PO2F2)2、
Ca(PO2F2)2、
Al(PO2F2)3、
Ga(PO2F2)3
等が挙げられる。
中でも、入手の容易性、得られる電池特性の点から、Li2PO3F、LiPO2F2、NaPO2F2、Mg(PO2F2)2が好ましい
本発明におけるモノフルオロリン酸4級オニウム塩、ジフルオロリン酸4級オニウム塩に用いられる4級オニウムは、通常はカチオンであり、具体的には、下記一般式(2)で表されるカチオンが挙げられる。
メチル基、
エチル基、
1−プロピル基、
1−メチルエチル基、
1−ブチル基、
1−メチルプロピル基、
2−メチルプロピル基、
1,1−ジメチルエチル基
等が挙げられ、中でも、
メチル基、
エチル基、
1−プロピル基、
1−ブチル基
等が好ましい。
シクロペンチル基、
2−メチルシクロペンチル基、
3−メチルシクロペンチル基、
2,2−ジメチルシクロペンチル基、
2,3−ジメチルシクロペンチル基、
2,4−ジメチルシクロペンチル基、
2,5−ジメチルシクロペンチル基、
3,3−ジメチルシクロペンチル基、
3,4−ジメチルシクロペンチル基、
2−エチルシクロペンチル基、
3−エチルシクロペンチル基、
シクロヘキシル基、
2−メチルシクロヘキシル基、
3−メチルシクロヘキシル基、
4−メチルシクロヘキシル基、
2,2−ジメチルシクロヘキシル基、
2,3−ジメチルシクロヘキシル基、
2,4−ジメチルシクロヘキシル基、
2,5−ジメチルシクロヘキシル基、
2,6−ジメチルシクロヘキシル基、
3,4−ジメチルシクロヘキシル基、
3,5−ジメチルシクロヘキシル基、
2−エチルシクロヘキシル基、
3−エチルシクロヘキシル基、
4−エチルシクロヘキシル基、
ビシクロ[3,2,1]オクタ−1−イル基、
ビシクロ[3,2,1]オクタ−2−イル基
等が挙げられ、中でも、
シクロペンチル基、
2−メチルシクロペンチル基、
3−メチルシクロペンチル基、
シクロヘキシル基、
2−メチルシクロヘキシル基、
3−メチルシクロヘキシル基、
4−メチルシクロヘキシル基
が好ましい。
フェニル基、
2−メチルフェニル基、
3−メチルフェニル基、
4−メチルフェニル基、
2,3−ジメチルフェニル基
等が挙げられ、中でも、フェニル基が好ましい。
フェニルメチル基、
1−フェニルエチル基、
2−フェニルエチル基、
ジフェニルメチル基、
トリフェニルメチル基
等が挙げられ、中でも、フェニルメチル基、2−フェニルエチル基が好ましい。
更には、R1〜R4の炭化水素基或いはその置換基のうち任意の2つ以上が相互に結合して、環状構造を形成していてもよい。
テトラメチルアンモニウム、
エチルトリメチルアンモニウム、
ジエチルジメチルアンモニウム、
トリエチルメチルアンモニウム、
テトラエチルアンモニウム、
テトラ−n−ブチルアンモニウム
等が挙げられる。
テトラメチルホスホニウム、
エチルトリメチルホスホニウム、
ジエチルジメチルホスホニウム、
トリエチルメチルホスホニウム、
テトラエチルホスホニウム、
テトラ−n−ブチルホスホニウム
等が挙げられる。
N,N−ジメチルピロリジウム、
N−エチル−N−メチルピロリジウム、
N,N−ジエチルピロリジウム
等が挙げられる。
N,N−ジメチルモルホリニウム、
N−エチル−N−メチルモルホリニウム、
N,N−ジエチルモルホリニウム
等が挙げられる。
N,N’−ジメチルイミダゾリニウム、
N−エチル−N’−メチルイミダゾリニウム、
N,N’−ジエチルイミダゾリニウム、
1,2,3−トリメチルイミダゾリニウム
等が挙げられる。
N,N’−ジメチルテトラヒドロピリミジニウム、
N−エチル−N’−メチルテトラヒドロピリミジニウム、
N,N’−ジエチルテトラヒドロピリミジニウム、
1,2,3−トリメチルテトラヒドロピリミジニウム
等が挙げられる。
N,N,N’,N’−テトラメチルピペラジニウム、
N−エチル−N,N’,N’−トリメチルピペラジニウム、
N,N−ジエチル−N’,N’−ジメチルピペラジニウム、
N,N,N’−トリエチル−N’−メチルピペラジニウム、
N,N,N’,N’−テトラエチルピペラジニウム
等が挙げられる。
N,N−ジメチルピペリジニウム、
N−エチル−N−メチルピペリジニウム、
N,N−ジエチルピペリジニウム
等が挙げられる。
N−メチルピリジニウム、
N−エチルピリジニウム、
1,2−ジメチルピリミジニウム、
1,3−ジメチルピリミジニウム、
1,4−ジメチルピリミジニウム、
1−エチル−2−メチルピリミジニウム
等が挙げられる。
N,N’−ジメチルイミダゾリウム、
N−エチル−N’−メチルイミダゾリウム、
N,N’−ジエチルイミダゾリウム、
1,2,3−トリメチルイミダゾリウム
等が挙げられる。
本発明の非水系電解液が含有する非水溶媒としては、本発明の効果を著しく損なわない範囲において、任意のものを用いることができる。なお、非水溶媒は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
環状カーボネート、
鎖状カーボネート、
鎖状及び環状カルボン酸エステル、
鎖状及び環状エーテル類、
含リン有機溶媒、
含硫黄有機溶媒
などが挙げられる。
エチレンカーボネート、
プロピレンカーボネート、
ブチレンカーボネート
等が挙げられる。
ジメチルカーボネート、
エチルメチルカーボネート、
ジエチルカーボネート、
メチル−n−プロピルカーボネート、
エチル−n−プロピルカーボネート、
ジ−n−プロピルカーボネート
等が挙げられる。
酢酸メチル、
酢酸エチル、
酢酸−n−プロピル、
酢酸−i−プロピル、
酢酸−n−ブチル、
酢酸−i−ブチル、
酢酸−t−ブチル、
プロピオン酸メチル、
プロピオン酸エチル、
プロピオン酸−n−プロピル、
プロピオン酸−i−プロピル、
プロピオン酸−n−ブチル、
プロピオン酸−i−ブチル、
プロピオン酸−t−ブチル
等が挙げられる。
これらの中でも、酢酸エチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチルがより好ましい。
γ−ブチロラクトン、
γ−バレロラクトン、
δ−バレロラクトン
等が挙げられる。
これらの中でも、γ−ブチロラクトンがより好ましい。
ジメトキシメタン
ジメトキシエタン、
ジエトキシメタン、
ジエトキシエタン、
エトキシメトキシメタン、
エトキシメトキシエタン
等が挙げられる。
これらの中でも、ジメトキシエタン、ジエトキシエタンがより好ましい。
テトラヒドロフラン、
2−メチルテトラヒドロフラン
等が挙げられる。
リン酸トリメチル、
リン酸トリエチル、
リン酸トリフェニル等のリン酸エステル類;
亜リン酸トリメチル、
亜リン酸トリエチル、
亜リン酸トリフェニル等の亜リン酸エステル類;
トリメチルホスフィンオキシド、
トリエチルホスフィンオキシド、
トリフェニルホスフィンオキシド等のホスフィンオキシド類;
などが挙げられる。
エチレンサルファイト、
1,3−プロパンスルトン、
1,4−ブタンスルトン、
メタンスルホン酸メチル、
ブスルファン、
スルホラン、
スルホレン、
ジメチルスルホン、
ジフェニルスルホン、
メチルフェニルスルホン、
ジブチルジスルフィド、
ジシクロヘキシルジスルフィド、
テトラメチルチウラムモノスルフイド、
N,N−ジメチルメタンスルホンアミド、
N,N−ジエチルメタンスルホンアミド
等が挙げられる。
本発明の非水系電解液に用いる電解質に制限は無く、目的とする非水系電解液二次電池に電解質として用いられるものであれば公知のものを任意に採用することができる。本発明の非水系電解液をリチウム二次電池に用いる場合には、通常は、電解質としてリチウム塩を用いる。
LiClO4
LiAsF6、
LiPF6、
Li2CO3、
LiBF4等の無機リチウム塩;
LiCF3SO3、
LiN(CF3SO2)2、
LiN(C2F5SO2)2、
リチウム環状1,3−ヘキサフルオロプロパンジスルホニルイミド、
リチウム環状1,2−テトラフルオロエタンジスルホニルイミド、
LiN(CF3SO2)(C4F9SO2)、
LiC(CF3SO2)3、
LiPF4(CF3)2、
LiPF4(C2F5)2、
LiPF4(CF3SO2)2、
LiPF4(C2F5SO2)2、
LiBF2(CF3)2、
LiBF2(C2F5)2、
LiBF2(CF3SO2)2、
LiBF2(C2F5SO2)2等の含フッ素有機リチウム塩;
リチウムビス(オキサラト)ボレート、
リチウムトリス(オキサラト)フォスフェート、
リチウムジフルオロオキサラトボレート、等の含ジカルボン酸錯体リチウム塩;
KPF6、
NaPF6、
NaBF4、
NaCF3SO3等のナトリウム塩又はカリウム塩;
などが挙げられる。
本発明の非水系電解液は、本発明の効果を著しく損なわない範囲において、各種の添加剤を含有していても良い。添加剤としては、従来公知のものを任意に用いることができる。
なお、添加剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
ビフェニル、
アルキルビフェニル、
ターフェニル、
ターフェニルの部分水素化体、
シクロヘキシルベンゼン、
t−ブチルベンゼン、
t−アミルベンゼン、
ジフェニルエーテル、
ジベンゾフラン等の芳香族化合物;
2−フルオロビフェニル、
o−シクロヘキシルフルオロベンゼン、
p−シクロヘキシルフルオロベンゼン等の前記芳香族化合物の部分フッ物;
2,4−ジフルオロアニソール、
2,5−ジフルオロアニソール、
2,6−ジフルオロアニオール等の含フッ素アニソール化合物;
などが挙げられる。
コハク酸、
マレイン酸、
フタル酸等のジカルボン酸無水物;
エリスリタンカーボネート、
スピロ−ビス−ジメチレンカーボネート等のカーボネート化合物;
エチレンサルファイト、
1,3−プロパンスルトン、
1,4−ブタンスルトン、
メタンスルホン酸メチル、
ブスルファン、
スルホラン、
スルホレン、
ジメチルスルホン、
ジフェニルスルホン、
メチルフェニルスルホン、
ジブチルジスルフィド、
ジシクロヘキシルジスルフィド、
テトラメチルチウラムモノスルフイド、
N,N−ジメチルメタンスルホンアミド、
N,N−ジエチルメタンスルホンアミド等の含硫黄化合物;
1−メチル−2−ピロリジノン、
1−メチル−2−ピペリドン、
3−メチル−2−オキサゾリジノン、
1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、
N−メチルスクシイミド等の含窒素化合物;
ヘプタン、
オクタン、
シクロヘプタン等の炭化水素化合物;
フルオロベンゼン、
ジフルオロベンゼン、
ベンゾトリフルオライド等の含フッ素芳香族化合物;
などが挙げられる。
本発明の非水系電解液は、上述した非水溶媒に、上述した電解質と、本発明のシアノ基含有化合物、好ましくは化合物(1)と、必要に応じて用いられるその他の助剤などを溶解させることにより、調製することができる。
本発明の非水系電解液二次電池は、負極及び非水系電解液以外の構成については、従来公知の非水系電解液二次電池と同様であり、通常は、本発明の非水系電解液が含浸されている多孔膜(セパレータ)を介して正極と負極とが積層され、これらがケース(外装体)に収納された形態を有する。本発明の非水系電解液二次電池の形状は特に制限されるものではなく、円筒型、角形、ラミネート型、コイン型、大型等の何れであってもよい。
非水系電解液としては、上述の本発明の非水系電解液を用いる。なお、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、本発明の非水系電解液に対し、その他の非水系電解液を混合して用いることも可能である。
本発明の非水系電解液二次電池における負極は、金属イオンを吸蔵・放出しうるSi(ケイ素)原子、Sn(スズ)原子及びPb(鉛)原子(これらを以下「特定金属元素」という場合がある。)よりなる群から選ばれる少なくとも1種の原子を有する負極活物質を含有する。
また、これらの複合化合物が、金属単体、合金、又は非金属元素等の数種の元素と複雑に結合した化合物も例として挙げることができる。より具体的には、例えばSiやSnでは、これらの元素と負極として動作しない金属との合金を用いることができる。また例えばSnでは、SnとSi、Sn、Pb以外で負極として作用する金属と、さらに負極として動作しない金属と、非金属元素との組み合わせで5〜6種の元素を含むような複雑な化合物も用いることができる。
・Si及び/又はSnと酸素との元素比が通常0.5以上であり、好ましくは0.7以上、更に好ましくは0.9以上、また、通常1.5以下であり、好ましくは1.3以下、更に好ましくは1.1以下のSi及び/又はSnの酸化物。
・Si及び/又はSnと窒素との元素比が通常0.5以上であり、好ましくは0.7以上、更に好ましくは0.9以上、また、通常1.5以下であり、好ましくは1.3以下、更に好ましくは1.1以下のSi及び/又はSnの窒化物。
・Si及び/又はSnと炭素との元素比が通常0.5以上であり、好ましくは0.7以上、更に好ましくは0.9以上、また、通常1.5以下であり、好ましくは1.3以下、更に好ましくは1.1以下のSi及び/又はSnの炭化物。
向となる。なお、二以上の導電材を併用する場合には、導電材の合計量が上記範囲を満たすようにすればよい。
本発明の非水系電解液二次電池に使用される正極に含まれる正極活物質としては、電気化学的にリチウムイオンを吸蔵・放出可能なものであれば特に制限はないが、例えば、リチウムと少なくとも1種の遷移金属を含有する物質が好ましい。具体例としては、リチウム遷移金属複合酸化物、リチウム含有遷移金属リン酸化合物が挙げられる。
正極は、正極活物質粒子と結着剤とを含有する正極活物質層を、集電体上に形成して作製される。
正極活物質を用いる正極の製造は、公知の何れの方法で作製することができる。すなわち、正極活物質と結着剤、並びに必要に応じて導電材及び増粘剤等を乾式で混合してシート状にしたものを正極集電体に圧着するか、又はこれらの材料を液体媒体に溶解又は分散させてスラリーとして、これを正極集電体に塗布し、乾燥することにより、正極活物質層を集電体上に形成させることにより正極を得ることができる。
正極と負極との間には、短絡を防止するために、通常はセパレータを介在させる。
<電極群>
電極群は、前述の正極板と負極板とを前述のセパレータを介してなる積層構造のもの、及び前述の正極板と負極板とを前述のセパレータを介して渦巻き状に捲回した構造のものの何れでもよい。電極群の体積が電池内容積に占める割合(以下、電極群占有率と称する)は、通常40%以上であり、50%以上が好ましく、また、通常90%以下であり、80%以下が好ましい。
集電構造は特に限定されるものではないが、本発明の非水系電解液による高温保存ガス抑制効果及びサイクル特性の向上をより効果的に実現するには、配線部分や接合部分の抵抗を低減する構造にすることが好ましい。この様に内部抵抗を低減させた場合、本発明の非水系電解液を使用した効果は特に良好に発揮される。
保護素子として、異常発熱や過大電流が流れた時に抵抗が増大するPTC(Positive Temperature Coefficient)、温度ヒューズ、サーミスター、異常発熱時に電池内部圧力や内部温度の急激な上昇により回路に流れる電流を遮断する弁(電流遮断弁)等が挙げられる。前記保護素子は高電流の通常使用で作動しない条件のものを選択することが好ましく、高出力の観点から、保護素子がなくても異常発熱や熱暴走に至らない設計にすることがより好ましい。
本発明の非水系電解液二次電池は、通常、上記の非水系電解液、負極、正極、セパレータ等を外装体(外装ケース)内に収納して構成される。この外装体に制限は無く、本発明の効果を著しく損なわない限り公知のものを任意に採用することができる。
より具体的には、後述の実施例に記載のように、残存容量、回復容量、ガス発生量、保存ガス、ガス発生抑制率、保存後負荷特性、サイクル容量維持率、サイクル容量維持率の比にて、効果を立証している。
なかでも、ガス発生抑制率、サイクル容量維持率の比は、下記のとおり求めた。
1.保存試験
シート状の電池を、電極間の密着性を高めるためにガラス板で挟んだ状態で、25℃において0.2Cに相当する定電流で充電終止電圧4.2V、放電終止電圧3Vで充放電を3サイクル行って安定させた。その後、4.2V−CCCV(0.05Cカット)充電を行った後、85℃、24時間の条件で高温保存を行った。この高温保存の前後で、シート状電池をエタノール浴中に浸して、体積の変化から発生したガス量(保存ガス)を求めた。
保存後の電池を25℃において0.2Cの定電流で放電終始電圧3Vまで放電させ、再度、4.2V−CCCV(0.05Cカット)充電を行い、0.2Cに相当する電流値で3Vまで放電させ0.2C容量を測定した。その後、4.2V−CCCV(0.05Cカット)充電を行い、1.0Cに相当する電流値で3Vまで放電させ1.0C容量を測定した。ここで保存後の0.2C容量に対する保存後の1.0C容量の割合(1.0C容量/0.2C容量)を保存後負荷特性とする。
また、100から、それぞれ対応する本発明のシアノ基含有化合物を含有しない非水系電解液を用いた電池のガス発生量に対する本発明のシアノ基含有化合物を含有する非水系電解液を用いた電池のガス発生量の割合(%)を引いた値{(100−本発明のシアノ基含有化合物を含有する非水系電解液を用いた電池のガス発生量/本発明のシアノ基含有化合物を含有しない非水系電解液を用いた電池のガス発生量)×100}をガス発生抑制率(%)と定義する。ここで、1Cとは1時間で満充電できる電流値を表す。
シート状の電池を、電極間の密着性を高めるためにガラス板で挟んだ状態で、25℃において0.2Cに相当する定電流で充電終止電圧4.2V、放電終止電圧3Vで充放電を3サイクル行って安定させた。その後、0.5C−CCCV(0.05Cカット)充電と0.5Cで3Vまで定電流放電を繰り返すサイクル試験を行った。ここで、4サイクル目の放電容量に対する100サイクル目の放電容量の割合(100サイクル目容量/4サイクル目容量)をサイクル容量維持率とする。
また、それぞれ対応する本発明のシアノ基含有化合物を含有しない非水系電解液を用いた電池のサイクル容量維持率に対する本発明のシアノ基含有化合物を含有する非水系電解液を用いた電池のサイクル容量維持率の比(本発明のシアノ基含有化合物を含有する非水系電解液を用いた電池のサイクル容量維持率/本発明のシアノ基含有化合物を含有しない非水系電解液を用いたサイクル容量維持率)をサイクル容量維持率の比と定義する。
サイクル容量維持率の比としては、電池の寿命を改善するという観点から、通常0.6以上、好ましくは0.7以上、さらに好ましくは0.8以上、特に好ましくは0.9以上、最も好ましくは1.0以上である。
<実施例1〜15、及び比較例1〜12の非水系電解液の調製>
実施例1〜15、及び比較例1〜12においては、乾燥アルゴン雰囲気下、エチレンカーボネート(EC)とジエチルカーボネート(DEC)との混合物(容量比3:7、重量比37:63)に、それぞれ十分に乾燥したLiPF6を1mol・dm-3と、表1及び表2に記載の添加剤をそれぞれ表1及び表2に記載の濃度になるように溶解して非水系電解液を調製した(ただし、比較例1及び比較例8では添加剤を使用せず)。
なお、特定カーボネートとしてはトランス−4,5−ジフルオロエチレンカーボネート(DFEC)又はフルオロエチレンカーボネート(FEC)を用い、ジフルオロリン酸塩としてはジフルオロリン酸リチウム(LiPO2F2)を用いた。
実施例16〜21、及び比較例13においては、乾燥アルゴン雰囲気下、フルオロエチレンカーボネート(FEC)とジエチルカーボネート(DEC)との混合物(容量比3:7、重量比40:60)に、それぞれ十分に乾燥したLiPF6を1mol・dm-3と、表3に記載の添加剤をそれぞれ表3記載の濃度になるように溶解して非水系電解液を調製した(ただし、比較例13では添加剤を使用せず)。
なお、特定カーボネートとしては、上記のとおりフルオロエチレンカーボネート(FEC)を溶媒として含有している。
正極活物質としてのコバルト酸リチウム(LiCoO2)94重量%と、導電材としてのアセチレンブラック3重量%と、結着剤としてのポリフッ化ビニリデン(PVdF)3重量%とを、N−メチルピロリドン溶媒中で混合して、スラリー化した。得られたスラリーを負極容量の90%の容量となるように、厚さ15μmのアルミ箔の両面に塗布して乾燥し、プレス機で厚さ85μmに圧延したものを、活物質層のサイズとして幅65mm、長さ150mmの形状に切り出した。このものを、活物質が幅30mm、長さ40mmとなるように切り出して正極とした。なお、この正極は摂氏80度において12時間減圧乾燥をして用いた。
(ケイ素合金負極の作製)
負極活物質として、非炭素材料であるケイ素73.2重量部及び銅8.1重量部と、人造黒鉛粉末(ティムカル社製商品名「KS−6」)12.2重量部とを用い、これらにポリフッ化ビニリデンを12重量部含有するN−メチルピロリドン溶液54.2重量部、及び、N−メチルピロリドン50重量部を加え、ディスパーザーで混合してスラリー状とした。得られたスラリーを、負極集電体である厚さ18μmの銅箔上に均一に塗布して負極とし、その後電極密度が1.5g・cm-3程度となるようにプレスし、活物質が幅30mm、長さ40mmとなるように切り出して負極(ケイ素合金負極)とした。なお、この負極は摂氏60度で12時間減圧乾燥して用いた。表1〜表3においては便宜上、Si負極と表記した。
負極活物質として人造黒鉛粉末KS−44(ティムカル社製、商品名)98重量部に、増粘剤、バインダーとしてそれぞれ、カルボキシメチルセルロースナトリウムの水性ディスパージョン(カルボキシメチルセルロースナトリウムの濃度1重量%)100重量部、及び、スチレン−ブタジエンゴムの水性ディスパージョン(スチレン−ブタジエンゴムの濃度50重量%)2重量部を加え、ディスパーザーで混合してスラリー化した。得られたスラリーを厚さ10μmの銅箔の両面に塗布して乾燥し、プレス機で厚さ75μmに圧延した。このものを、活物質が幅30mm、長さ40mmとなるように切り出して負極とした。なお、この負極は摂氏60度で12時間減圧乾燥して用いた。
上記の正極、負極(合金負極又は炭素負極)、及びポリエチレン製のセパレータを、正極、セパレータ、負極、セパレータ、正極の順に積層して電池要素を作製した。この電池要素をアルミニウム(厚さ40μm)の両面を樹脂層で被覆したラミネートフィルムからなる袋内に正・負極の端子を突設させながら挿入した後、非水系電解液を袋内に0.4mL注入し、真空封止を行ない、シート状電池を作製した。
1.保存試験
上記シート状の電池を、電極間の密着性を高めるためにガラス板で挟んだ状態で、25℃において0.2Cに相当する定電流で充電終止電圧4.2V、放電終止電圧3Vで充放電を3サイクル行って安定させた。その後、4.2V−CCCV(0.05Cカット)充電を行った後、85℃、24時間の条件で高温保存を行った。この高温保存の前後で、シート状電池をエタノール浴中に浸して、体積の変化から発生したガス量(保存ガス)を求めた。
上記シート状の電池を、電極間の密着性を高めるためにガラス板で挟んだ状態で、25℃において0.2Cに相当する定電流で充電終止電圧4.2V、放電終止電圧3Vで充放電を3サイクル行って安定させた。その後、0.5C−CCCV(0.05Cカット)充電と0.5Cで3Vまで定電流放電を繰り返すサイクル試験を行った。ここで、4サイクル目の放電容量に対する100サイクル目の放電容量の割合(100サイクル目容量/4サイクル目容量)をサイクル容量維持率とする。
表1〜表3より次のことが分かる。
比較例1(Si負極を用い、非水系電解液に本発明のシアノ基含有化合物を含有しない)に対し、実施例1ないし実施例9(Si負極を用い、非水系電解液に0.5重量%又は1重量%の本発明のシアノ基含有化合物を含有する)は高温保存によるガス発生量がいずれも減少した。また、比較例1に対し、実施例1ないし実施例9では保存後負荷特性の値が大きかった。その中でも特に実施例4ないし6の効果が優れていた。また、比較例1に対し、実施例1はサイクル容量維持率の値が小さかったが、実施例4、実施例5、実施例7、及び実施例8ではサイクル容量維持率の値が大きかった。この結果から、本発明のシアノ基含有化合物はSi負極を用いた場合、高温保存時のガス発生を抑制する効果があり、特に前記一般式(1)において、nが5以上のときにその効果が大きく、保存後負荷特性及びサイクル容量維持率を改善し、サイクル容量維持率を改善する。
また、実施例4及び実施例5、あるいは、実施例7及び実施例8を比較すると、本発明のシアノ基含有化合物の添加量を0.5重量%から1重量%に増やすと、ガス発生抑制率が特に改善することが分かる。
Claims (9)
- 金属イオンを吸蔵・放出しうる正極活物質を有する正極と、金属イオンを吸蔵・放出しうるSiを含有する負極活物質を有する負極とを備え、前記正極活物質がリチウムと少なくとも1種の遷移金属を含有する物質である非水系電解液二次電池に用いられる非水系電解液であって、構造式中に2以上4以下のシアノ基を有する化合物と、不飽和結合及び/又はハロゲン原子を有するカーボネート、モノフルオロリン酸塩、及びジフルオロリン酸塩からなる群より選ばれる1種以上の化合物とを含有することを特徴とする非水系電解液二次電池用非水系電解液。
- 構造式中に2以上4以下のシアノ基を有する化合物が、下記一般式(1)で表される化合物であることを特徴とする請求項1に記載の非水系電解液二次電池用非水系電解液。
NC−(X)n−CN (1)
[(1)式中、Xは、CH2、CFH、CF2、CHR、CFR、CR2、C=O、O、S、NH、又はNRを表し(ただし、Rは置換基を有していてもよい炭素数5以下の炭化水素基又はシアノ基を表す。)、nは1以上の整数である。n個のXは同一であってもよく、異なるものであってもよい。] - 一般式(1)において、XがCH2、CFH、CF2、CHR、CFR、CR2、O、S、及びNRからなる群より選ばれる基である(ただし、n個のXは同一であってもよく、異なるものであってもよい。)ことを特徴とする請求項2に記載の非水系電解液二次電池用非水系電解液。
- 一般式(1)で表わされる化合物が、スクシノニトリル、グルタロニトリル、アジポニトリル、ピメロニトリル、スベロニトリル、アゼラニトリル、セバコニトリル、3,3’−オキシジプロピオニトリル、3,3’−チオジプロピオニトリル、1,2,3−プロパントリカルボニトリル、1,3,5−ペンタントリカルボニトリル、ウンデカンジニトリル、ドデカンジニトリル、1,2,3−トリス(2−シアノエトキシ)プロパン、及びトリス(2−シアノエチル)アミンからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物であることを特徴とする請求項3に記載の非水系電解液二次電池用非水系電解液。
- 一般式(1)において、nが5以上の整数であることを特徴とする請求項2ないし請求項4のいずれか1項に記載の非水系電解液二次電池用非水系電解液。
- 一般式(1)で表わされる化合物が、ピメロニトリル、スベロニトリル、アゼラニトリル、セバコニトリル、3,3’−オキシジプロピオニトリル、1,3,5−ペンタントリカルボニトリル、ウンデカンジニトリル、及びドデカンジニトリルからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物であることを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の非水系電解液二次電池用非水系電解液。
- 不飽和結合及び/又はハロゲン原子を有するカーボネートが、ビニレンカーボネート、ビニルエチレンカーボネート、フルオロエチレンカーボネート、及び4,5−ジフルオロエチレンカーボネート、並びにこれらの誘導体よりなる群から選ばれる1種以上のカーボネートであることを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の非水系電解液二次電池用非水系電解液。
- 構造式中に2以上4以下のシアノ基を有する化合物が、非水系電解液全量に対して0.001重量%〜10重量%の割合で含有されることを特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の非水系電解液二次電池用非水系電解液。
- 金属イオンを吸蔵・放出しうる正極活物質を有する正極と、金属イオンを吸蔵・放出しうるSiを含有する負極活物質を有する負極とを備える非水系電解液二次電池であって、請求項1ないし請求項8のいずれかに記載の非水系電解液を用いることを特徴とする非水系電解液二次電池。
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