JP5251416B2 - 非水系電解液及びそれを用いた非水系電解液二次電池 - Google Patents
非水系電解液及びそれを用いた非水系電解液二次電池 Download PDFInfo
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Description
そこで、本発明は、上記背景技術に鑑みてなされたものであり、サイクル特性、特に高電圧条件下でのサイクル特性に優れた非水系電解液を提供することにある。
本発明の非水系電解液は、電解質及びこれを溶解する非水系溶媒を含有してなる非水系電解液であって、該非水系電解液が、モノフルオロリン酸塩及び/又はジフルオロリン酸塩を含有し、更に非水系電解液全体に対して0.001ppm以上1ppm未満の鉄族元素を含有していることを特徴とする。なお、本発明において、「ppm」とは質量を基準にした比率を意味する。
本発明の非水系電解液に用いられる電解質には制限はなく、目的とする非水系電解液二次電池に電解質として用いられる公知のものを任意に採用して含有させることができる。本発明の非水系電解液を非水系電解液二次電池に用いる場合、通常、電解質としてはリチウム塩が好ましい。
LiClO4、
LiAsF6、
LiPF6、
Li2CO3、
LiBF4等の無機リチウム塩;
LiN(CF3SO2)2、
LiN(C2F5SO2)2、
LiN(CF3SO2)(C4F9SO2)、
LiC(CF3SO2)3、
LiPF4(CF3)2、
LiPF4(C2F5)2、
LiPF4(CF3SO2)2、
LiPF4(C2F5SO2)2、
LiBF3(CF3)、
LiBF3(C2F5)、
LiBF2(CF3)2、
LiBF2(C2F5)2、
LiBF2(CF3SO2)2、
LiBF2(C2F5SO2)2等の含フッ素有機リチウム塩;
リチウムトリス(オキサラト)フォスフェート、
リチウムジフルオロオキサラトボレート等の含ジカルボン酸錯体リチウム塩;
NaPF6、
NaBF4、
CF3SO3Na等のナトリウム塩又はカリウム塩;
本発明の非水系電解液が含有する非水系溶媒は、電池とした時に電池特性に対して悪影響を及ぼさない溶媒であれば特に制限されないが、以下に掲げる非水系溶媒の内の1種以上であることが好ましい。
ジメチルカーボネート、
エチルメチルカーボネート、
ジエチルカーボネート、
メチル−n−プロピルカーボネート、
エチル−n−プロピルカーボネート、
ジ−n−プロピルカーボネート
等が挙げられる。
エチレンカーボネート、
プロピレンカーボネート、
ブチレンカーボネート(2−エチルエチレンカーボネート、シス及びトランス2,3−ジメチルエチレンカーボネート)
等が挙げられる。
酢酸メチル、酢酸エチル、
酢酸−n−プロピル、
酢酸−i−プロピル、
酢酸−n−ブチル、
酢酸−i−ブチル、
酢酸−t−ブチル、
プロピオン酸メチル、
プロピオン酸エチル、
プロピオン酸−n−プロピル、
プロピオン酸−i−プロピル、
プロピオン酸−n−ブチル、
プロピオン酸−i−ブチル、
プロピオン酸−t−ブチル
等が挙げられる。
ジメトキシメタン、
ジメトキシエタン、
ジエトキシメタン、
ジエトキシエタン、
エトキシメトキシメタン、
エトキシメトキシエタン
等が挙げられる。
テトラヒドロフラン、
2−メチルテトラヒドロフラン、
テトラヒドロピラン
等が挙げられる。
リン酸トリメチル、リン酸トリエチル、リン酸トリフェニル等のリン酸エステル類;
亜リン酸トリメチル、亜リン酸トリエチル、亜リン酸トリフェニル等の亜リン酸エステル類;
トリメチルホスフィンオキシド、トリエチルホスフィンオキシド、トリフェニルホスフィンオキシド等のホスフィンオキシド類
等が挙げられる。
エチレンサルファイト、
1,3−プロパンスルトン、
1,4−ブタンスルトン、
メタンスルホン酸メチル、
ブスルファン、
スルホラン、
スルホレン、
ジメチルスルホン、
ジフェニルスルホン、
メチルフェニルスルホン、
ジブチルジスルフィド、
ジシクロヘキシルジスルフィド、
テトラメチルチウラムモノスルフイド、
N,N−ジメチルメタンスルホンアミド、
N,N−ジエチルメタンスルホンアミド
等が挙げられる。
本発明の非水系電解液は、モノフルオロリン酸塩及び/又はジフルオロリン酸塩を必須成分として含有する。本発明において用いられる「モノフルオロリン酸塩及び/又はジフルオロリン酸塩」は、モノフルオロリン酸イオン及び/又はジフルオロリン酸イオンと、カチオンとから形成されるものであれば、その種類には特に制限はないが、最終的に製造される非水系電解液が、用いる非水系電解液二次電池の電解液として使用可能であることが必要であることから、これに鑑みて選択される必要がある。
まず、本発明におけるモノフルオロリン酸塩、ジフルオロリン酸塩が、モノフルオロリン酸イオン、ジフルオロリン酸イオンと、特定金属イオンとの塩(以下、それぞれ「モノフルオロリン酸金属塩」、「ジフルオロリン酸金属塩」と略記する場合がある)である場合について説明する。
次いで、本発明におけるモノフルオロリン酸塩、ジフルオロリン酸塩が、モノフルオロリン酸イオン、ジフルオロリン酸イオンと、4級オニウムとの塩(以下、それぞれ「モノフルオロリン酸4級オニウム塩」、「ジフルオロリン酸4級オニウム塩」と略記する場合がある)である場合について説明する。
メチル基、
エチル基、
1−プロピル基、
1−メチルエチル基、
1−ブチル基、
1−メチルプロピル基、
2−メチルプロピル基、
1,1−ジメチルエチル基
等が挙げられる。
中でも、メチル基、エチル基、1−プロピル基、1−ブチル基等が好ましい。
シクロペンチル基、
2−メチルシクロペンチル基、
3−メチルシクロペンチル基、
2,2−ジメチルシクロペンチル基、
2,3−ジメチルシクロペンチル基、
2,4−ジメチルシクロペンチル基、
2,5−ジメチルシクロペンチル基、
3,3−ジメチルシクロペンチル基、
3,4−ジメチルシクロペンチル基、
2−エチルシクロペンチル基、
3−エチルシクロペンチル基、
シクロヘキシル基、
2−メチルシクロヘキシル基、
3−メチルシクロヘキシル基、
4−メチルシクロヘキシル基、
2,2−ジメチルシクロヘキシル基、
2,3−ジメチルシクロヘキシル基、
2,4−ジメチルシクロヘキシル基、
2,5−ジメチルシクロヘキシル基、
2,6−ジメチルシクロヘキシル基、
3,4−ジメチルシクロヘキシル基、
3,5−ジメチルシクロヘキシル基、
2−エチルシクロヘキシル基、
3−エチルシクロヘキシル基、
4−エチルシクロヘキシル基、
ビシクロ[3,2,1]オクタ−1−イル基、
ビシクロ[3,2,1]オクタ−2−イル基
等が挙げられる。
中でも、シクロペンチル基、2−メチルシクロペンチル基、3−メチルシクロペンチル基、シクロヘキシル基、2−メチルシクロヘキシル基、3−メチルシクロヘキシル基、4−メチルシクロヘキシル基等が好ましい。
フェニル基、
2−メチルフェニル基、
3−メチルフェニル基、
4−メチルフェニル基、
2,3−ジメチルフェニル基
等が挙げられる。
中でも、フェニル基が好ましい。
フェニルメチル基、
1−フェニルエチル基、
2−フェニルエチル基、
ジフェニルメチル基、
トリフェニルメチル基
等が挙げられる。
中でも、フェニルメチル基、2−フェニルエチル基が好ましい。
テトラメチルアンモニウム、
エチルトリメチルアンモニウム、
ジエチルジメチルアンモニウム、
トリエチルメチルアンモニウム、
テトラエチルアンモニウム、
テトラ−n−ブチルアンモニウム
等が挙げられる。
テトラメチルホスホニウム、
エチルトリメチルホスホニウム、
ジエチルジメチルホスホニウム、
トリエチルメチルホスホニウム、
テトラエチルホスホニウム、
テトラ−n−ブチルホスホニウム
等が挙げられる。
N,N−ジメチルピロリジウム、
N−エチル−N−メチルピロリジウム、
N,N−ジエチルピロリジウム
等が挙げられる。
N,N−ジメチルモルホリニウム、
N−エチル−N−メチルモルホリニウム、
N,N−ジエチルモルホリニウム
等が挙げられる。
N,N’−ジメチルイミダゾリニウム、
N−エチル−N’−メチルイミダゾリニウム、
N,N’−ジエチルイミダゾリニウム、
1,2,3−トリメチルイミダゾリニウム
等が挙げられる。
N,N’−ジメチルテトラヒドロピリミジニウム、
N−エチル−N’−メチルテトラヒドロピリミジニウム、
N,N’−ジエチルテトラヒドロピリミジニウム、
1,2,3−トリメチルテトラヒドロピリミジニウム
等が挙げられる。
N,N,N’,N’−テトラメチルピペラジニウム、
N−エチル−N,N’,N’−トリメチルピペラジニウム、
N,N−ジエチル−N’,N’−ジメチルピペラジニウム、
N,N,N’−トリエチル−N’−メチルピペラジニウム、
N,N,N’,N’−テトラエチルピペラジニウム
等が挙げられる。
N,N−ジメチルピペリジニウム、
N−エチル−N−メチルピペリジニウム、
N,N−ジエチルピペリジニウム
等が挙げられる。
N−メチルピリジニウム、
N−エチルピリジニウム、
1,2−ジメチルピリミジニウム、
1,3−ジメチルピリミジニウム、
1,4−ジメチルピリミジニウム、
1−エチル−2−メチルピリミジニウム
等が挙げられる。
N,N’−ジメチルイミダゾリウム、
N−エチル−N’−メチルイミダゾリウム、
N,N’−ジエチルイミダゾリウム、
1,2,3−トリメチルイミダゾリウム
等が挙げられる。
本発明の非水系電解液においては、1種類のモノフルオロリン酸塩又はジフルオロリン酸塩のみを用いてもよく、2種類以上のモノフルオロリン酸塩及び/又はジフルオロリン酸塩を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよいが、非水系電解液二次電池を効率的に動作させるという観点から、1種類のモノフルオロリン酸塩又はジフルオロリン酸塩を用いることが好ましい。
本発明の非水系電解液は、前述したモノフルオロリン酸塩及び/又はジフルオロリン酸塩に加えて、更に、特定の濃度の鉄族元素を含有する。本発明の非水系電解液においては、モノフルオロリン酸塩及び/又はジフルオロリン酸塩と特定濃度の鉄族元素が共に存在することで、相乗効果が発現し、特に通常の非水系電解液二次電池の上限使用電圧である4.2Vを上回る高電圧条件下でのサイクル特性を大幅に改善することができる。
本発明における非水系電解液に含有される「鉄族元素」とは、具体的には鉄元素、コバルト元素、ニッケル元素のことである。これらは1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらの中でもコバルト元素、ニッケル元素がより安定な被膜を形成する点で好ましい。
ヘキサフルオロリン酸鉄(II)、ヘキサフルオロリン酸鉄(III)、ヘキサフルオロリン酸コバルト(II)、ヘキサフルオロリン酸ニッケル(II)等のヘキサフルオロリン酸塩;テトラフルオロホウ酸鉄(II)、テトラフルオロホウ酸鉄(III)、テトラフルオロホウ酸コバルト(II)、テトラフルオロホウ酸ニッケル(II)等のテトラフルオロホウ酸塩;
過塩素酸鉄(II)、過塩素酸鉄(III)、過塩素酸コバルト(II)、過塩素酸ニッケル(II)等の過塩素酸塩;
硫酸鉄(II)、硫酸鉄(III)、硫酸コバルト(II)、硫酸ニッケル(II)等の硫酸塩;
硝酸鉄(II)、硝酸鉄(III)、硝酸コバルト(II)、硝酸ニッケル(II)等の硝酸塩;
酢酸鉄(II)、酢酸鉄(III)、酢酸コバルト(II)、酢酸ニッケル(II)等の酢酸塩;
炭酸鉄(II)、炭酸鉄(III)、炭酸コバルト(II)、炭酸ニッケル(II)等の炭酸塩;
シュウ酸鉄(II)、シュウ酸鉄(III)、シュウ酸コバルト(II)、シュウ酸ニッケル(II)等のシュウ酸塩;
クエン酸鉄(II)、クエン酸鉄(III)、クエン酸コバルト(II)、クエン酸ニッケル(II)等のクエン酸塩;
安息香酸鉄(II)、安息香酸鉄(III)、安息香酸コバルト(II)、安息香酸ニッケル(II)等の安息香酸塩;
リン酸鉄(II)、リン酸鉄(III)、リン酸コバルト(II)、リン酸ニッケル(II)等のリン酸塩;
フッ化鉄(II)、フッ化鉄(III)、フッ化コバルト(II)、フッ化ニッケル(II)等のフッ化物;
鉄(II)アセチルアセトナート、鉄(III)アセチルアセトナート、コバルト(II)アセチルアセトナート、コバルト(III)アセチルアセトナート、ニッケル(II)アセチルアセトナート等の鉄族アセチルアセトナート;
本発明における鉄族元素の含有量は、非水系電解液全体に対して通常0.001ppm以上、好ましくは0.002ppm以上、更に好ましくは0.003ppm以上、特に好ましくは0.005ppm以上、最も好ましくは0.01ppm以上、また、通常1ppm未満である。この範囲の下限を下回ると、本発明の前記した効果がほとんど発現しない場合がある。なお、本発明の鉄族元素を2種以上併用する場合には、使用する鉄族元素の濃度の合計が上記範囲内となるようにする。
本発明の非水系電解液は、本発明の効果を著しく損なわない範囲において、各種の添加剤を含有していてもよい。添加剤を追加して調製処理を行う場合は、従来公知のものを任意に用いることができる。なお、添加剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
特定カーボネートは、不飽和結合及びハロゲン原子のうち少なくとも一方を有するカーボネートであるが、特定カーボネートは、不飽和結合のみを有していてもよく、ハロゲン原子のみを有していてもよく、不飽和結合及びハロゲン原子の双方を有していてもよい。
本発明に係る特定カーボネートのうち、不飽和結合を有するカーボネート(以下、「不飽和カーボネート」と略記する場合がある。)としては、炭素−炭素二重結合や炭素−炭素三重結合等の炭素−炭素不飽和結合を有するカーボネートであればその他に制限は無く、任意の不飽和カーボネートを用いることができる。なお、芳香環を有するカーボネートも、不飽和結合を有するカーボネートに含まれるものとする。
一方、本発明に係る特定カーボネートのうち、ハロゲン原子を有するカーボネート(以下、「ハロゲン化カーボネート」と略記する場合がある)としては、ハロゲン原子を有するものであれば、その他に特に制限は無く、任意のハロゲン化カーボネートを用いることができる。
フルオロエチレンカーボネート、
クロロエチレンカーボネート、
4,4−ジフルオロエチレンカーボネート、
4,5−ジフルオロエチレンカーボネート、
4,4−ジクロロエチレンカーボネート、
4,5−ジクロロエチレンカーボネート、
4−フルオロ−4−メチルエチレンカーボネート、
4−クロロ−4−メチルエチレンカーボネート、
4,5−ジフルオロ−4−メチルエチレンカーボネート、
4,5−ジクロロ−4−メチルエチレンカーボネート、
4−フルオロ−5−メチルエチレンカーボネート、
4−クロロ−5−メチルエチレンカーボネート、
4,4−ジフルオロ−5−メチルエチレンカーボネート、
4,4−ジクロロ−5−メチルエチレンカーボネート、
4−(フルオロメチル)−エチレンカーボネート、
4−(クロロメチル)−エチレンカーボネート、
4−(ジフルオロメチル)−エチレンカーボネート、
4−(ジクロロメチル)−エチレンカーボネート、
4−(トリフルオロメチル)−エチレンカーボネート、
4−(トリクロロメチル)−エチレンカーボネート、
4−(フルオロメチル)−4−フルオロエチレンカーボネート、
4−(クロロメチル)−4−クロロエチレンカーボネート、
4−(フルオロメチル)−5−フルオロエチレンカーボネート、
4−(クロロメチル)−5−クロロエチレンカーボネート、
4−フルオロ−4,5−ジメチルエチレンカーボネート、
4−クロロ−4,5−ジメチルエチレンカーボネート、
4,5−ジフルオロ−4,5−ジメチルエチレンカーボネート、
4,5−ジクロロ−4,5−ジメチルエチレンカーボネート、
4,4−ジフルオロ−5,5−ジメチルエチレンカーボネート、
4,4−ジクロロ−5,5−ジメチルエチレンカーボネート
等が挙げられる。
フルオロメチルメチルカーボネート、
ジフルオロメチルメチルカーボネート、
トリフルオロメチルメチルカーボネート、
ビス(フルオロメチル)カーボネート、
ビス(ジフルオロ)メチルカーボネート、
ビス(トリフルオロ)メチルカーボネート、
クロロメチルメチルカーボネート、
ジクロロメチルメチルカーボネート、
トリクロロメチルメチルカーボネート、
ビス(クロロメチル)カーボネート、
ビス(ジクロロ)メチルカーボネート、
ビス(トリクロロ)メチルカーボネート
等が挙げられる。
2−フルオロエチルメチルカーボネート、
エチルフルオロメチルカーボネート、
2,2−ジフルオロエチルメチルカーボネート、
2−フルオロエチルフルオロメチルカーボネート、
エチルジフルオロメチルカーボネート、
2,2,2−トリフルオロエチルメチルカーボネート、
2,2−ジフルオロエチルフルオロメチルカーボネート、
2−フルオロエチルジフルオロメチルカーボネート、
エチルトリフルオロメチルカーボネート、
2−クロロエチルメチルカーボネート、
エチルクロロメチルカーボネート、
2,2−ジクロロエチルメチルカーボネート、
2−クロロエチルクロロメチルカーボネート、
エチルジクロロメチルカーボネート、
2,2,2−トリクロロエチルメチルカーボネート、
2,2−ジクロロエチルクロロメチルカーボネート、
2−クロロエチルジクロロメチルカーボネート、
エチルトリクロロメチルカーボネート
等が挙げられる。
エチル−(2−フルオロエチル)カーボネート、
エチル−(2,2−ジフルオロエチル)カーボネート、
ビス(2−フルオロエチル)カーボネート、
エチル−(2,2,2−トリフルオロエチル)カーボネート、
2,2−ジフルオロエチル−2’−フルオロエチルカーボネート、
ビス(2,2−ジフルオロエチル)カーボネート、
2,2,2−トリフルオロエチル−2’−フルオロエチルカーボネート、
2,2,2−トリフルオロエチル−2’,2’−ジフルオロエチルカーボネート、
ビス(2,2,2−トリフルオロエチル)カーボネート、
エチル−(2−クロロエチル)カーボネート、
エチル−(2,2−ジクロロエチル)カーボネート、
ビス(2−クロロエチル)カーボネート、
エチル−(2,2,2−トリクロロエチル)カーボネート、
2,2−ジクロロエチル−2’−クロロエチルカーボネート、
ビス(2,2−ジクロロエチル)カーボネート、
2,2,2−トリクロロエチル−2’−クロロエチルカーボネート、
2,2,2−トリクロロエチル−2’,2’−ジクロロエチルカーボネート、
ビス(2,2,2−トリクロロエチル)カーボネート
等が挙げられる。
更に、特定カーボネートとしては、不飽和結合とハロゲン原子とを共に有するカーボネート(これを適宜「ハロゲン化不飽和カーボネート」と略記する場合がある。)を用いることもできる。ハロゲン化不飽和カーボネートとしては、特に制限は無く、本発明の効果を著しく損なわない限り、任意のハロゲン化不飽和カーボネートを用いることができる。
フルオロビニレン、
4−フルオロ−5−メチルビニレンカーボネート、
4−フルオロ−5−フェニルビニレンカーボネート、
4−(トリフルオロメチル)ビニレンカーボネート
クロロビニレンカーボネート、
4−クロロ−5−メチルビニレンカーボネート、
4−クロロ−5−フェニルビニレンカーボネート、
4−(トリクロロメチル)ビニレンカーボネート
等が挙げられる。
4−フルオロ−4−ビニルエチレンカーボネート、
4−フルオロ−5−ビニルエチレンカーボネート、
4,4−ジフルオロ−4−ビニルエチレンカーボネート、
4,5−ジフルオロ−4−ビニルエチレンカーボネート、
4−クロロ−5−ビニルエチレンカーボネート、
4,4−ジクロロ−4−ビニルエチレンカーボネート、
4,5−ジクロロ−4−ビニルエチレンカーボネート、
4−フルオロ−4,5−ジビニルエチレンカーボネート、
4,5−ジフルオロ−4,5−ジビニルエチレンカーボネート、
4−クロロ−4,5−ジビニルエチレンカーボネート、
4,5−ジクロロ−4,5−ジビニルエチレンカーボネート、
4−フルオロ−4−フェニルエチレンカーボネート、
4−フルオロ−5−フェニルエチレンカーボネート、
4,4−ジフルオロ−5−フェニルエチレンカーボネート、
4,5−ジフルオロ−4−フェニルエチレンカーボネート、
4−クロロ−4−フェニルエチレンカーボネート、
4−クロロ−5−フェニルエチレンカーボネート、
4,4−ジクロロ−5−フェニルエチレンカーボネート、
4,5−ジクロロ−4−フェニルエチレンカーボネート、
4,5−ジフルオロ−4,5−ジフェニルエチレンカーボネート、
4,5−ジクロロ−4,5−ジフェニルエチレンカーボネート
等が挙げられる。
フルオロメチルフェニルカーボネート、
2−フルオロエチルフェニルカーボネート、
2,2−ジフルオロエチルフェニルカーボネート、
2,2,2−トリフルオロエチルフェニルカーボネート、
クロロメチルフェニルカーボネート、
2−クロロエチルフェニルカーボネート、
2,2−ジクロロエチルフェニルカーボネート、
2,2,2−トリクロロエチルフェニルカーボネート
等が挙げられる。
フルオロメチルビニルカーボネート、
2−フルオロエチルビニルカーボネート、
2,2−ジフルオロエチルビニルカーボネート、
2,2,2−トリフルオロエチルビニルカーボネート、
クロロメチルビニルカーボネート、
2−クロロエチルビニルカーボネート、
2,2−ジクロロエチルビニルカーボネート、
2,2,2−トリクロロエチルビニルカーボネート
等が挙げられる。
フルオロメチルアリルカーボネート、
2−フルオロエチルアリルカーボネート、
2,2−ジフルオロエチルアリルカーボネート、
2,2,2−トリフルオロエチルアリルカーボネート、
クロロメチルアリルカーボネート、
2−クロロエチルアリルカーボネート、
2,2−ジクロロエチルアリルカーボネート、
2,2,2−トリクロロエチルアリルカーボネート
等が挙げられる。
以下、特定カーボネート以外の添加剤について説明する。
特定カーボネート以外の添加剤としては、過充電防止剤、高温保存後の容量維持特性やサイクル特性を改善するための助剤等が挙げられる。
過充電防止剤の具体例としては、
トルエン、キシレン、等のトルエン誘導体;
ビフェニル、2−メチルビフェニル、3−メチルビフェニル、4−メチルビフェニル等の無置換あるいはアルキル基で置換されたビフェニル誘導体;
o−ターフェニル、m−ターフェニル、p−ターフェニル等の無置換あるいはアルキル基で置換されたターフェニル誘導体;
無置換あるいはアルキル基で置換されたターフェニル誘導体の部分水素化物;
シクロペンチルベンゼン、シクロヘキシルベンゼン等のシクロアルキルベンゼン誘導体;
クメン、1,3−ジイソプロピルベンゼン、1,4−ジイソプロピルベンゼン等のベンゼン環に直接結合する第3級炭素を有するアルキルベンゼン誘導体;
t−ブチルベンゼン、t−アミルベンゼン、t−ヘキシルベンゼン等のベンゼン環に直接結合する第4級炭素を有するアルキルベンゼン誘導体;
ジフェニルエーテル、ジベンゾフラン等の酸素原子を有する芳香族化合物;
等の芳香族化合物が挙げられる。
フルオロベンゼン、フルオロトルエン、ベンゾトリフルオリド、2−フルオロビフェニル、o−シクロヘキシルフルオロベンゼン、p−シクロヘキシルフルオロベンゼン等の前記芳香族化合物の部分フッ素化物;
2,4−ジフルオロアニソール、2,5−ジフルオロアニソール、1,6−ジフルオロアニオール、等の含フッ素アニソール化合物;
等も挙げられる。
トルエン誘導体とビフェニル誘導体;
トルエン誘導体とターフェニル誘導体;
トルエン誘導体とターフェニル誘導体の部分水素化物;
トルエン誘導体とシクロアルキルベンゼン誘導体;
トルエン誘導体とベンゼン環に直接結合する第3級炭素を有するアルキルベンゼン誘導体;
トルエン誘導体とベンゼン環に直接結合する第4級炭素を有するアルキルベンゼン誘導体;
トルエン誘導体と酸素原子を有する芳香族化合物;
トルエン誘導体と芳香族化合物の部分フッ素化物;
トルエン誘導体と含フッ素アニソール化合物;
ビフェニル誘導体とターフェニル誘導体の部分水素化物;
ビフェニル誘導体とシクロアルキルベンゼン誘導体;
ビフェニル誘導体とベンゼン環に直接結合する第3級炭素を有するアルキルベンゼン誘導体;
ビフェニル誘導体とベンゼン環に直接結合する第4級炭素を有するアルキルベンゼン誘導体;
ビフェニル誘導体と酸素原子を有する芳香族化合物;
ビフェニル誘導体と芳香族化合物の部分フッ素化物;
ビフェニル誘導体と含フッ素アニソール化合物;
ターフェニル誘導体とシクロアルキルベンゼン誘導体;
ターフェニル誘導体とベンゼン環に直接結合する第3級炭素を有するアルキルベンゼン誘導体;
ターフェニル誘導体とベンゼン環に直接結合する第4級炭素を有するアルキルベンゼン誘導体;
ターフェニル誘導体と酸素原子を有する芳香族化合物;
ターフェニル誘導体と芳香族化合物の部分フッ素化物;
ターフェニル誘導体と含フッ素アニソール化合物;
ターフェニル誘導体の部分水素化物とシクロアルキルベンゼン誘導体;
ターフェニル誘導体の部分水素化物とベンゼン環に直接結合する第3級炭素を有するアルキルベンゼン誘導体;
ターフェニル誘導体の部分水素化物とベンゼン環に直接結合する第4級炭素を有するアルキルベンゼン誘導体;
ターフェニル誘導体の部分水素化物と酸素原子を有する芳香族化合物;
ターフェニル誘導体の部分水素化物と芳香族化合物の部分フッ素化物;
ターフェニル誘導体の部分水素化物と含フッ素アニソール化合物;
シクロアルキルベンゼン誘導体とベンゼン環に直接結合する第4級炭素を有するアルキルベンゼン誘導体;
シクロアルキルベンゼン誘導体と酸素原子を有する芳香族化合物;
シクロアルキルベンゼン誘導体と芳香族化合物の部分フッ素化物;
シクロアルキルベンゼン誘導体と含フッ素アニソール化合物;
ベンゼン環に直接結合する第3級炭素を有するアルキルベンゼン誘導体と酸素原子を有する芳香族化合物;
ベンゼン環に直接結合する第3級炭素を有するアルキルベンゼン誘導体と芳香族化合物の部分フッ素化物;
ベンゼン環に直接結合する第3級炭素を有するアルキルベンゼン誘導体と含フッ素アニソール化合物;
ベンゼン環に直接結合する第4級炭素を有するアルキルベンゼン誘導体と酸素原子を有する芳香族化合物;
ベンゼン環に直接結合する第4級炭素を有するアルキルベンゼン誘導体と芳香族化合物の部分フッ素化物;
ベンゼン環に直接結合する第4級炭素を有するアルキルベンゼン誘導体と含フッ素アニソール化合物;
酸素原子を有する芳香族化合物と含フッ素アニソール化合物;
ビフェニルとo−ターフェニルとの組合せ、
ビフェニルとm−ターフェニルとの組合せ、
ビフェニルとターフェニル誘導体の部分水素化物との組合せ、
ビフェニルとクメンとの組合せ、
ビフェニルとシクロペンチルベンゼンとの組合せ、
ビフェニルとシクロヘキシルベンゼンとの組合せ、
ビフェニルとt−ブチルベンゼンとの組合せ、
ビフェニルとt−アミルベンゼンとの組合せ、
ビフェニルとジフェニルエーテルとの組合せ、
ビフェニルとジベンゾフランとの組合せ、
ビフェニルとフルオロベンゼンとの組合せ、
ビフェニルとベンゾトリフルオリドとの組合せ、
ビフェニルと2−フルオロビフェニルとの組合せ、
ビフェニルとo−フルオロシクロヘキシルベンゼンとの組合せ、
ビフェニルとp−フルオロシクロヘキシルベンゼンとの組合せ、
ビフェニルと2,4−ジフルオロアニソールとの組合せ、
o−ターフェニルとクメンとの組合せ、
o−ターフェニルとシクロペンチルベンゼンとの組合せ、
o−ターフェニルとシクロヘキシルベンゼンとの組合せ、
o−ターフェニルとt−ブチルベンゼンとの組合せ、
o−ターフェニルとt−アミルベンゼンとの組合せ、
o−ターフェニルとジフェニルエーテルとの組合せ、
o−ターフェニルとジベンゾフランとの組合せ、
o−ターフェニルとフルオロベンゼンとの組合せ、
o−ターフェニルとベンゾトリフルオリドとの組合せ、
o−ターフェニルと2−フルオロビフェニルとの組合せ、
o−ターフェニルとo−フルオロシクロヘキシルベンゼンとの組合せ、
o−ターフェニルとp−フルオロシクロヘキシルベンゼンとの組合せ、
o−ターフェニルと2,4−ジフルオロアニソールとの組合せ、
m−ターフェニルとクメンとの組合せ、
m−ターフェニルとシクロペンチルベンゼンとの組合せ、
m−ターフェニルとシクロヘキシルベンゼンとの組合せ、
m−ターフェニルとt−ブチルベンゼンとの組合せ、
m−ターフェニルとt−アミルベンゼンとの組合せ、
m−ターフェニルとジフェニルエーテルとの組合せ、
m−ターフェニルとジベンゾフランとの組合せ、
m−ターフェニルとフルオロベンゼンとの組合せ、
m−ターフェニルとベンゾトリフルオリドとの組合せ、
m−ターフェニルと2−フルオロビフェニルとの組合せ、
m−ターフェニルとo−フルオロシクロヘキシルベンゼンとの組合せ、
m−ターフェニルとp−フルオロシクロヘキシルベンゼンとの組合せ、
m−ターフェニルと2,4−ジフルオロアニソールとの組合せ、
ターフェニル誘導体の部分水素化物とシクロペンチルベンゼンとの組合せ、
ターフェニル誘導体の部分水素化物とシクロヘキシルベンゼンとの組合せ、
ターフェニル誘導体の部分水素化物とt−ブチルベンゼンとの組合せ、
ターフェニル誘導体の部分水素化物とt−アミルベンゼンとの組合せ、
ターフェニル誘導体の部分水素化物とジフェニルエーテルとの組合せ、
ターフェニル誘導体の部分水素化物とジベンゾフランとの組合せ、
ターフェニル誘導体の部分水素化物とフルオロベンゼンとの組合せ、
ターフェニル誘導体の部分水素化物とベンゾトリフルオリドとの組合せ、
ターフェニル誘導体の部分水素化物と2−フルオロビフェニルとの組合せ、
ターフェニル誘導体の部分水素化物とo−フルオロシクロヘキシルベンゼンとの組合せ、
ターフェニル誘導体の部分水素化物とp−フルオロシクロヘキシルベンゼンとの組合せ、
ターフェニル誘導体の部分水素化物と2,4−ジフルオロアニソールとの組合せ、
クメンとシクロヘキシルベンゼンとの組合せ、
クメンとt−ブチルベンゼンとの組合せ、
クメンとt−アミルベンゼンとの組合せ、
クメンとジフェニルエーテルとの組合せ、
クメンとジベンゾフランとの組合せ、
クメンとフルオロベンゼンとの組合せ、
クメンとベンゾトリフルオリドとの組合せ、
クメンと2−フルオロビフェニルとの組合せ、
クメンとo−フルオロシクロヘキシルベンゼンとの組合せ、
クメンとp−フルオロシクロヘキシルベンゼンとの組合せ、
クメンと2,4−ジフルオロアニソールとの組合せ、
シクロヘキシルベンゼンとt−アミルベンゼンとの組合せ、
シクロヘキシルベンゼンとジフェニルエーテルとの組合せ、
シクロヘキシルベンゼンとジベンゾフランとの組合せ、
シクロヘキシルベンゼンとフルオロベンゼンとの組合せ、
シクロヘキシルベンゼンとベンゾトリフルオリドとの組合せ、
シクロヘキシルベンゼンと2−フルオロビフェニルとの組合せ、
シクロヘキシルベンゼンとo−フルオロシクロヘキシルベンゼンとの組合せ、
シクロヘキシルベンゼンとp−フルオロシクロヘキシルベンゼンとの組合せ、
シクロヘキシルベンゼンと2,4−ジフルオロアニソールとの組合せ、
t−ブチルベンゼンとジフェニルエーテルとの組合せ、
t−ブチルベンゼンとジベンゾフランとの組合せ、
t−ブチルベンゼンとフルオロベンゼンとの組合せ、
t−ブチルベンゼンとベンゾトリフルオリドとの組合せ、
t−ブチルベンゼンと2−フルオロビフェニルとの組合せ、
t−ブチルベンゼンとo−フルオロシクロヘキシルベンゼンとの組合せ、
t−ブチルベンゼンとp−フルオロシクロヘキシルベンゼンとの組合せ、
t−ブチルベンゼンと2,4−ジフルオロアニソールとの組合せ、
t−アミルベンゼンとジベンゾフランとの組合せ、
t−アミルベンゼンとフルオロベンゼンとの組合せ、
t−アミルベンゼンとベンゾトリフルオリドとの組合せ、
t−アミルベンゼンと2−フルオロビフェニルとの組合せ、
t−アミルベンゼンとo−フルオロシクロヘキシルベンゼンとの組合せ、
t−アミルベンゼンとp−フルオロシクロヘキシルベンゼンとの組合せ、
t−アミルベンゼンと2,4−ジフルオロアニソールとの組合せ、
ジフェニルエーテルとフルオロベンゼンとの組合せ、
ジフェニルエーテルとベンゾトリフルオリドとの組合せ、
ジフェニルエーテルと2−フルオロビフェニルとの組合せ、
ジフェニルエーテルとo−フルオロシクロヘキシルベンゼンとの組合せ、
ジフェニルエーテルとp−フルオロシクロヘキシルベンゼンとの組合せ、
ジフェニルエーテルと2,4−ジフルオロアニソールとの組合せ、
ジベンゾフランとベンゾトリフルオリドとの組合せ、
ジベンゾフランと2−フルオロビフェニルとの組合せ、
ジベンゾフランとo−フルオロシクロヘキシルベンゼンとの組合せ、
ジベンゾフランとp−フルオロシクロヘキシルベンゼンとの組合せ、
ジベンゾフランと2,4−ジフルオロアニソールとの組合せ、
フルオロベンゼンと2−フルオロビフェニルとの組合せ、
フルオロベンゼンとo−フルオロシクロヘキシルベンゼンとの組合せ、
フルオロベンゼンとp−フルオロシクロヘキシルベンゼンとの組合せ、
フルオロベンゼンと2,4−ジフルオロアニソールとの組合せ、
ベンゾトリフルオリドとo−フルオロシクロヘキシルベンゼンとの組合せ、
ベンゾトリフルオリドとp−フルオロシクロヘキシルベンゼンとの組合せ、
ベンゾトリフルオリドと2,4−ジフルオロアニソールとの組合せ、
2−フルオロビフェニルとp−フルオロシクロヘキシルベンゼンとの組合せ、
2−フルオロビフェニルと2,4−ジフルオロアニソールとの組合せ、
o−フルオロシクロヘキシルベンゼンと2,4−ジフルオロアニソールとの組合せ、
p−フルオロシクロヘキシルベンゼンと2,4−ジフルオロアニソールとの組合せ
一方、高温保存後の容量維持特性やサイクル特性を改善するための助剤の具体例としては、次のようなものが挙げられる。
コハク酸、マレイン酸、フタル酸等のジカルボン酸の無水物;
エリスリタンカーボネート、スピロービスージメチレンカーボネート等の特定カーボネートに該当するもの以外のカーボネート化合物;
エチレンサルファイト、1,3−プロパンスルトン、1,4−ブタンスルトン、メタンスルホン酸メチル、ブスルファン、スルホラン、スルホレン、ジメチルスルホン、ジフェニルスルホン、メチルフェニルスルホン、ジブチルジスルフィド、ジシクロヘキシルジスルフィド、テトラメチルチウラムモノスルフイド、N,N−ジメチルメタンスルホンアミド、N,N−ジエチルメタンスルホンアミド、等の含硫黄化合物;
1−メチル−2−ピロリジノン、1−メチル−2−ピペリドン、3−メチル−2−オキサゾリジノン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N−メチルスクシイミド等の含窒素化合物;
ヘプタン、オクタン、シクロヘプタン等の炭化水素化合物;
フルオロベンゼン、ジフルオロベンゼン、ベンゾトリフルオライド等の含フッ素芳香族化合物等
本発明の非水系電解液は、前述の非水系溶媒に、電解質と、本発明における「モノフルオロリン酸塩及び/又はジフルオロリン酸塩」と「鉄族化合物」と、必要に応じて前述の「添加剤」とを溶解することにより調製することができる。
本発明の非水系電解液二次電池は、イオンを吸蔵及び放出し得る負極及び正極と前記の本発明の非水系電解液とを備えるものである。
本発明の非水系電解液二次電池は、非水系電解液以外の構成については、従来公知の非水系電解液二次電池と同様であり、通常は、本発明の非水系電解液が含浸されている多孔膜(セパレータ)を介して正極と負極とが積層され、これらがケース(外装体)に収納された形態を有する。従って、本発明の非水系電解液二次電池の形状は特に制限されるものではなく、円筒型、角形、ラミネート型、コイン型、大型等の何れであってもよい。
非水系電解液としては、上述の本発明の非水系電解液を用いる。なお、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、本発明の非水系電解液に対し、その他の非水系電解液を混合して用いることも可能である。
以下に負極に使用される負極活物質について述べる。負極活物質としては、電気化学的にリチウムイオンを吸蔵・放出可能なものであれば、特に制限はない。その具体例としては、炭素質材料、合金系材料、リチウム含有金属複合酸化物材料等が挙げられる。
負極活物質として用いられる炭素質材料としては、
(1)天然黒鉛
(2)人造炭素質物質並びに人造黒鉛質物質を400から3200℃の範囲で1回以上
熱処理した炭素質材料
(3)負極活物質層が少なくとも2種類以上の異なる結晶性を有する炭素質から成り立
ちかつ/又はその異なる結晶性の炭素質が接する界面を有している炭素質材料
(4)負極活物質層が少なくとも2種類以上の異なる配向性を有する炭素質から成り立
ちかつ/又はその異なる配向性の炭素質が接する界面を有している炭素質材料
から選ばれるものが、初期不可逆容量、高電流密度充放電特性のバランスが良く好ましい。
また、(1)〜(4)の炭素質材料は1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
炭素質材料についての性質や炭素質材料を含有する負極電極及び電極化手法、集電体、非水系電解液二次電池については、次に示す(1)〜(18)の何れか1項又は複数項を同時に満たしていることが望ましい。
炭素質材料の学振法によるX線回折で求めた格子面(002面)のd値(層間距離)は、通常0.335〜0.340nmであり、特に0.335〜0.338nm、とりわけ0.335〜0.337nmであるものが好ましい。また、学振法によるX線回折で求めた結晶子サイズ(Lc)は、通常1.0nm以上、好ましくは1.5nm以上、特に好ましくは2nm以上である。
炭素質材料中に含まれる灰分は、炭素質材料の全質量に対して、1質量%以下、中でも0.5質量%以下、特に0.1質量%以下が好ましく、下限としては1ppm以上であることが好ましい。灰分の重量割合が上記の範囲を上回ると、充放電時の非水系電解液との反応による電池性能の劣化が無視できなくなる場合がある。また、上記範囲を下回ると、製造に多大な時間とエネルギーと汚染防止のための設備とを必要とし、コストが上昇する場合がある。
炭素質材料の体積基準平均粒径は、レーザー回折・散乱法により求めた体積基準の平均粒径(メジアン径)が、通常1μm以上であり、3μm以上が好ましく、5μm以上が更に好ましく、7μm以上が特に好ましく、また、通常100μm以下であり、50μm以下が好ましく、40μm以下がより好ましく、30μm以下が更に好ましく、25μm以下が特に好ましい。体積基準平均粒径が上記範囲を下回ると、不可逆容量が増大して、初期の電池容量の損失を招くことになる場合がある。また、上記範囲を上回ると、塗布により電極を作製する際に、不均一な塗面になりやすく、電池製作工程上望ましくない場合がある。
炭素質材料のラマンR値は、アルゴンイオンレーザーラマンスペクトル法を用いて測定した値が、通常0.01以上であり、0.03以上が好ましく、0.1以上が更に好ましく、また、通常1.5以下であり、1.2以下が好ましく、1以下が更に好ましく、0.5以下が特に好ましい。
10cm−1以上であり、15cm−1以上が好ましく、また、通常100cm−1以下であり、80cm−1以下が好ましく、60cm−1以下が更に好ましく、40cm−1以下が特に好ましい。
・アルゴンイオンレーザー波長 :514.5nm
・試料上のレーザーパワー :15〜25mW
・分解能 :10〜20cm−1
・測定範囲 :1100cm−1〜1730cm−1
・ラマンR値、ラマン半値幅解析:バックグラウンド処理
・スムージング処理 :単純平均、コンボリューション5ポイント
炭素質材料のBET比表面積は、BET法を用いて測定した比表面積の値として、通常0.1m2・g−1以上であり、0.7m2・g−1以上が好ましく、1.0m2・g−1以上が更に好ましく、1.5m2・g−1以上が特に好ましく、また、通常100m2・g−1以下であり、25m2・g−1以下が好ましく、15m2・g−1以下が更に好ましく、10m2・g−1以下が特に好ましい。
炭素質材料の細孔径分布は、水銀圧入量の測定することによって算出される。水銀ポロシメトリー(水銀圧入法)を用いることで、炭素質材料の粒子内の空隙、粒子表面のステップによる凹凸、及び粒子間の接触面等による細孔が、直径0.01μm以上1μm以下の細孔に相当すると測定される炭素質材料が、通常0.01cm3・g−1以上、好ましくは0.05cm3・g−1以上、より好ましくは0.1cm3・g−1以上、また、通常0.6cm3・g−1以下、好ましくは0.4cm3・g−1以下、より好ましくは0.3cm3・g−1以下の細孔径分布を有することが望ましい。
炭素質材料の球形の程度として円形度を測定した場合、以下の範囲に収まることが好ましい。なお、円形度は、「円形度=(粒子投影形状と同じ面積を持つ相当円の周囲長)/(粒子投影形状の実際の周囲長)」で定義され、円形度が1のときに理論的真球となる。
炭素質材料の真密度は、通常1.4g・cm−3以上であり、1.6g・cm−3以上が好ましく、1.8g・cm−3以上が更に好ましく、2.0g・cm−3以上が特に好ましく、また、通常2.26g・cm−3以下である。真密度が、上記範囲を下回ると炭素の結晶性が低すぎて初期不可逆容量が増大する場合がある。なお、上記範囲の上限は、黒鉛の真密度の理論上限値である。
炭素質材料のタップ密度は、通常0.1g・cm−3以上であり、0.5g・cm−3以上が好ましく、0.7g・cm−3以上が更に好ましく、1g・cm−3以上が特に好ましく、また、2g・cm−3以下が好ましく、1.8g・cm−3以下が更に好ましく、1.6g・cm−3以下が特に好ましい。
炭素質材料の配向比は、通常0.005以上であり、0.01以上が好ましく、0.015以上が更に好ましく、また、通常0.67以下である。配向比が、上記範囲を下回ると、高密度充放電特性が低下する場合がある。なお、上記範囲の上限は、炭素質材料の配向比の理論上限値である。
・ターゲット:Cu(Kα線)グラファイトモノクロメーター
・スリット :
発散スリット=0.5度
受光スリット=0.15mm
散乱スリット=0.5度
・測定範囲及びステップ角度/計測時間:
(110)面:75度≦2θ≦80度 1度/60秒
(004)面:52度≦2θ≦57度 1度/60秒
炭素質材料のアスペクト比は、通常1以上、また、通常10以下であり、8以下が好ましく、5以下が更に好ましい。アスペクト比が、上記範囲を上回ると、極板化時にスジ引きや、均一な塗布面が得られず、高電流密度充放電特性が低下する場合がある。なお、上記範囲の下限は、炭素質材料のアスペクト比の理論下限値である。
副材混合とは、負極電極中及び/又は負極活物質中に性質の異なる炭素質材料が2種以上含有していることである。ここでいう性質とは、X線回折パラメータ、メジアン径、アスペクト比、BET比表面積、配向比、ラマンR値、タップ密度、真密度、細孔分布、円形度、及び灰分量の群から選ばれる1つ以上の特性を示す。
負極の製造は、本発明の効果を著しく制限しない限り、公知の何れの方法を用いることができる。例えば、負極活物質に、バインダー、溶媒、必要に応じて、増粘剤、導電材、充填材等を加えてスラリーとし、これを集電体に塗布、乾燥した後にプレスすることによって形成することができる。
なお、負極活物質をロール成形してシート電極としてもよく、圧縮成形によりペレット電極としてもよい。
負極活物質を保持させる集電体としては、公知のものを任意に用いることができる。負極の集電体としては、例えば、銅、ニッケル、ステンレス鋼、ニッケルメッキ鋼等の金属材料が挙げられるが、加工し易さとコストの点から特に銅が好ましい。
JISB0601−1994に記載の方法で規定される集電体基板の負極活物質薄膜形成面の平均表面粗さ(Ra)は、特に制限されないが、通常0.05μm以上であり、0.1μm以上が好ましく、0.15μm以上が更に好ましく、また、通常1.5μm以下であり、1.3μm以下が好ましく、1.0μm以下が更に好ましい。
引張強度とは、試験片が破断に至るまでに要した最大引張力を、試験片の断面積で割ったものである。本発明における引張強度は、JISZ2241(金属材料引張試験方法)に記載と同様な装置及び方法で測定される。
0.2%耐力とは、0.2%の塑性(永久)歪みを与えるに必要な負荷の大きさであり、この大きさの負荷を加えた後に除荷しても0.2%変形していることを意味している。0.2%耐力は、引張り強度と同様な装置及び方法で測定される。
集電体の厚さは任意であるが、通常1μm以上であり、3μm以上が好ましく、5μm以上が更に好ましく、また、通常1mm以下であり、100μm以下が好ましく、50μm以下が更に好ましい。集電体の厚さが、1μmより薄くなると、強度が低下するため負極活物質層形成時の塗布が困難となる場合がある。また、100μmより厚くなると、捲回等の電極の形を変形させる場合がある。なお、集電体は、メッシュ状でもよい。
集電体と負極活物質層の厚さの比は特には限定されないが、「(非水系電解液注液直前の片面の負極活物質層厚さ)/(集電体の厚さ)」の値が、150以下が好ましく、20以下が更に好ましく、10以下が特に好ましく、また、0.1以上が好ましく、0.4以上が更に好ましく、1以上が特に好ましい。
負極活物質を電極化した際の電極構造は特には限定されないが、集電体上に存在している負極活物質の密度は、1g・cm−3以上が好ましく、1.2g・cm−3以上が更に好ましく、1.3g・cm−3以上が特に好ましく、また、2g・cm−3以下が好ましく、1.9g・cm−3以下がより好ましく、1.8g・cm−3以下が更に好ましく、1.7g・cm−3以下が特に好ましい。
負極活物質層を形成するためのスラリーは、通常、負極活物質に対して、バインダー(結着剤)、増粘剤等を溶媒に加えて調製される。
なお、これらの溶媒は、1種を単独で用いても、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
負極の極板配向比は、通常0.001以上であり、0.005以上が好ましく、0.01以上が更に好ましく、また、通常0.67以下である。極板配向比が、上記範囲を下回ると、高密度充放電特性が低下する場合がある。なお、上記範囲の上限は、炭素質材料の極板配向比の理論上限値である。
・ターゲット:Cu(Kα線)グラファイトモノクロメーター
・スリット :発散スリット=1度、受光スリット=0.1mm、散乱スリット=1度
・測定範囲、及び、ステップ角度/計測時間:
(110)面:76.5度≦2θ≦78.5度 0.01度/3秒
(004)面:53.5度≦2θ≦56.0度 0.01度/3秒
・試料調製 :硝子板に0.1mm厚さの両面テープで電極を固定
負極活物質として用いられる金属化合物系材料としては、リチウムを吸蔵・放出可能であれば、リチウム合金を形成する単体金属若しくは合金、又はそれらの酸化物、炭化物、窒化物、珪化物、硫化物、燐化物等の化合物の何れであっても特に限定はされない。このような金属化合物としては、Ag、Al、Ba、Bi、Cu、Ga、Ge、In、Ni、P、Pb、Sb、Si、Sn、Sr、Zn等の金属を含有する化合物が挙げられる。なかでも、リチウム合金を形成する単体金属若しくは合金であることが好ましく、周期表13族又は14族の金属・半金属元素(すなわち炭素を除く)を含む材料あることがより好ましく、更には、ケイ素(Si)、スズ(Sn)又は鉛(Pb)(以下、これら3種の元素を「SSP金属元素」という場合がある)の単体金属若しくはこれら原子を含む合金、又は、それらの金属(SSP金属元素)の化合物であることが好ましい。これらは、1種を単独で用いてもよく、また2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
・ケイ素及び/又はスズと酸素との元素比が通常0.5以上であり、好ましくは0.7以上、更に好ましくは0.9以上、また、通常1.5以下であり、好ましくは1.3以下、更に好ましくは1.1以下の「ケイ素及び/又はスズの酸化物」。
・ケイ素及び/又はスズと窒素との元素比が通常0.5以上であり、好ましくは0.7以上、更に好ましくは0.9以上、また、通常1.5以下であり、好ましくは1.3以下、更に好ましくは1.1以下の「ケイ素及び/又はスズの窒化物」。
・ケイ素及び/又はスズと炭素との元素比が通常0.5以上であり、好ましくは0.7以上、更に好ましくは0.9以上、また、通常1.5以下であり、好ましくは1.3以下、更に好ましくは1.1以下の「ケイ素及び/又はスズの炭化物」。
負極活物質として用いられるリチウム含有金属複合酸化物材料としては、リチウムを吸蔵・放出可能であれば特に限定はされないが、チタンを含むリチウム含有複合金属酸化物材料が好ましく、リチウムとチタンの複合酸化物(以下、「リチウムチタン複合酸化物」と略記する場合がある。)が特に好ましい。すなわち、スピネル構造を有するリチウムチタン複合酸化物を、リチウムイオン二次電池用負極活物質に含有させて用いると、出力抵抗が大きく低減するので特に好ましい。
(一般式(2)中、Gは、Na、K、Co、Al、Fe、Ti、Mg、Cr、Ga、Cu、Zn及びNbからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素を表す。)
(a)1.2≦x≦1.4、1.5≦y≦1.7、z=0
(b)0.9≦x≦1.1、1.9≦y≦2.1、z=0
(c)0.7≦x≦0.9、2.1≦y≦2.3、z=0
の構造が、電池性能のバランスが良好なため特に好ましい。
負極活物質として用いられるリチウムチタン複合酸化物のBET比表面積は、BET法を用いて測定した比表面積の値が、0.5m2・g−1以上が好ましく、0.7m2・g−1以上がより好ましく、1.0m2・g−1以上が更に好ましく、1.5m2・g−1以上が特に好ましく、また、200m2・g−1以下が好ましく、100m2・g−1以下がより好ましく、50m2・g−1以下が更に好ましく、25m2・g−1以下が特に好ましい。
リチウムチタン複合酸化物の体積基準平均粒径(一次粒子が凝集して二次粒子を形成している場合には二次粒子径)は、レーザー回折・散乱法により求めた体積基準の平均粒径(メジアン径)で定義される。
一次粒子が凝集して二次粒子を形成している場合においては、リチウムチタン複合酸化物の平均一次粒子径が、通常0.01μm以上であり、0.05μm以上が好ましく、0.1μm以上が更に好ましく、0.2μm以上が特に好ましく、また、通常2μm以下であり、1.6μm以下が好ましく、1.3μm以下が更に好ましく、1μm以下が特に好ましい。体積基準平均一次粒子径が、上記範囲を上回ると、球状の二次粒子を形成し難く、粉体充填性に悪影響を及ぼしたり、比表面積が大きく低下したりするために、出力特性等の電池性能が低下する可能性が高くなる場合がある。また、上記範囲を下回ると、通常、結晶が未発達になるために充放電の可逆性が劣る等、二次電池の性能を低下させる場合がある。
リチウムチタン複合酸化物の粒子の形状は、従来用いられるような、塊状、多面体状、球状、楕円球状、板状、針状、柱状等のいずれでもよいが、中でも一次粒子が凝集して、二次粒子を形成して成り、その二次粒子の形状が球状ないし楕円球状であるものが好ましい。
リチウムチタン複合酸化物のタップ密度は、0.05g・cm−3以上が好ましく、0.1g・cm−3以上がより好ましく、0.2g・cm−3以上が更に好ましく、0.4g・cm−3以上が特に好ましく、また、2.8g・cm−3以下が好ましく、2.4g・cm−3以下が更に好ましく、2g・cm−3以下が特に好ましい。リチウムチタン複合酸化物のタップ密度が、上記範囲を下回ると、負極として用いた場合に充填密度が上がり難く、また粒子間の接触面積が減少するため、粒子間の抵抗が増加し、出力抵抗が増加する場合がある。また、上記範囲を上回ると、電極中の粒子間の空隙が少なくなり過ぎ、非水系電解液の流路が減少することで、出力抵抗が増加する場合がある。
リチウムチタン複合酸化物の球形の程度として、円形度を測定した場合、以下の範囲に収まることが好ましい。なお、円形度は、「円形度=(粒子投影形状と同じ面積を持つ相当円の周囲長)/(粒子投影形状の実際の周囲長)」で定義され、円形度が1のときに理論的真球となる。
リチウムチタン複合酸化物のアスペクト比は、通常1以上、また、通常5以下であり、4以下が好ましく、3以下が更に好ましく、2以下が特に好ましい。アスペクト比が、上記範囲を上回ると、極板化時にスジ引きや、均一な塗布面が得られず、短時間高電流密度充放電特性が低下する場合がある。なお、上記範囲の下限は、リチウムチタン複合酸化物のアスペクト比の理論下限値である。
リチウムチタン複合酸化物の製造法としては、本発明の要旨を超えない範囲で特には制限されないが、いくつかの方法が挙げられ、無機化合物の製造法として一般的な方法が用いられる。
負極の製造は、公知の何れの方法を用いることができる。例えば、負極活物質に、バインダー、溶媒、必要に応じて、増粘剤、導電材、充填材等を加えてスラリーとし、これを集電体に塗布、乾燥した後にプレスすることによって形成することができる。
なお、前述の負極活物質としてのリチウムチタン複合酸化物はこれをロール成形してシート電極としてもよく、圧縮成形によりペレット電極としてもよい。
負極活物質を保持させる集電体としては、公知のものを任意に用いることができる。負極の集電体としては、銅、ニッケル、ステンレス鋼、ニッケルメッキ鋼等の金属材料が挙げられ、中でも加工し易さとコストの点から特に銅が好ましい。
JISB0601−1994に記載の方法で規定される集電体基板の活物質薄膜形成面の平均表面粗さ(Ra)は、特に制限されないが、通常0.01μm以上であり、0.03μm以上が好ましく、また、通常1.5μm以下であり、1.3μm以下が好ましく、1.0μm以下が更に好ましい。
引張強度とは、試験片が破断に至るまでに要した最大引張力を、試験片の断面積で割ったものである。本発明における引張強度は、JISZ2241(金属材料引張試験方法)に記載と同様な装置及び方法で測定される。
0.2%耐力とは、0.2%の塑性(永久)歪みを与えるに必要な負荷の大きさであり、この大きさの負荷を加えた後に除荷しても0.2%変形していることを意味している。0.2%耐力は、引張強度と同様な装置及び方法で測定される。
しくは100N・mm−2以上、特に好ましくは150N・mm−2以上である。0.2%耐力は、値が高いほど好ましいが、工業的入手可能性の観点から、通常900N・mm−2以下が望ましい。
集電体の厚さは任意であるが、通常1μm以上であり、3μm以上が好ましく、5μm以上が更に好ましく、また、通常1mm以下であり、100μm以下が好ましく、50μm以下が更に好ましい。集電体の厚さが、1μmより薄くなると、強度が低下するため前述の負極活物質層形成のためのスラリーの塗布が困難となる場合がある。また、100μmより厚くなると、捲回等の電極の形を変形させる場合がある。なお、集電体は、メッシュ状でもよい。
集電体と活物質層の厚さの比は特には限定されないが、「(非水系電解液注液直前の片面の活物質層の厚さ)/(集電体の厚さ)」の値が、通常150以下であり、20以下が好ましく、10以下が更に好ましく、また、通常0.1以上であり、0.4以上が好ましく、1以上が更に好ましい。
負極活物質の電極化した際の電極構造は特には限定されないが、集電体上に存在している活物質の密度は、1g・cm−3以上が好ましく、1.2g・cm−3以上がより好ましく、1.3g・cm−3以上が更に好ましく、1.5g・cm−3以上が特に好ましく、また、3g・cm−3以下が好ましく、2.5g・cm−3以下がより好ましく、2.2g・cm−3以下が更に好ましく、2g・cm−3以下が特に好ましい。
前述の如く、負極活物質層を形成するためのスラリーは、通常、負極活物質に対して、バインダー(結着剤)、増粘剤等を溶媒に加えて調製される。
負極活物質を結着するバインダーとしては、非水系電解液や電極製造時に用いる溶媒に対して安定な材料であれば、特に制限されない。
なお、これらは、1種を単独で用いても、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
以下に本発明の非水系電解液二次電池に使用される正極について説明する。
以下に正極に使用される正極活物質について説明する。
正極活物質としては、電気化学的にリチウムイオンを吸蔵・放出可能なものであれば特に制限はないが、例えば、リチウムと少なくとも1種の遷移金属を含有する物質が好ましい。具体例としては、リチウム遷移金属複合酸化物、リチウム含有遷移金属リン酸化合物が挙げられる。
上記の正極活物質の表面に、主体となる正極活物質を構成する物質とは異なる組成の物質(以後、適宜「表面付着物質」という)が付着したものを用いることもできる。表面付着物質の例としては酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化ホウ素、酸化アンチモン、酸化ビスマス等の酸化物、硫酸リチウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム、硫酸アルミニウム等の硫酸塩、炭酸リチウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の炭酸塩等が挙げられる。
正極活物質粒子の形状は、従来用いられるような、塊状、多面体状、球状、楕円球状、板状、針状、柱状等が用いられるが、中でも一次粒子が凝集して、二次粒子を形成して成り、その二次粒子の形状が球状又は楕円球状であるものが好ましい。
正極活物質のタップ密度は、通常1.3g・cm−3以上であり、1.5g・cm−3以上が好ましく、1.6g・cm−3以上が更に好ましく、1.7g・cm−3以上が特に好ましく、また、通常2.5g・cm−3以下であり、2.4g・cm−3以下が好ましい。
正極活物質の粒子のメジアン径d50(一次粒子が凝集して二次粒子を形成している場合には二次粒子径)は、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置を用いて測定することができる。
一次粒子が凝集して二次粒子を形成している場合、正極活物質の平均一次粒子径は、通常0.01μm以上であり、0.05μm以上が好ましく、0.08μm以上がより好ましく、0.1μm以上が特に好ましく、また、通常3μm以下であり、2μm以下が好ましく、1μm以下がより好ましく、0.6μm以下が特に好ましい。上記範囲を上回ると球状の二次粒子を形成し難く、粉体充填性に悪影響を及ぼしたり、比表面積が大きく低下するために、出力特性等の電池性能が低下する可能性が高くなる場合がある。また、上記範囲を下回ると、通常、結晶が未発達であるために充放電の可逆性が劣る等、二次電池の性能を低下させる場合がある。
正極活物質のBET比表面積は、BET法を用いて測定した比表面積の値で、通常0.2m2・g−1以上であり、0.3m2・g−1以上が好ましく、0.4m2・g−1以上が更に好ましく、また、通常4.0m2・g−1以下であり、2.5m2・g−1以下が好ましく、1.5m2・g−1以下が更に好ましい。BET比表面積の値が、上記範囲を下回ると、電池性能が低下しやすくなる。また、上記範囲を上回ると、タップ密度が上がりにくくなり、正極活物質層形成時の塗布性が低下する場合がある。
正極活物質の製造法としては、本発明の要旨を超えない範囲で特には制限されないが、いくつかの方法が挙げられ、無機化合物の製造法として一般的な方法が用いられる。
以下に、本発明に使用される正極の構成及びその作製法について説明する。
正極は、正極活物質粒子とバインダーとを含有する正極活物質層を、集電体上に形成して作製される。正極活物質を用いる正極の製造は、公知の何れの方法で作製することができる。すなわち、正極活物質とバインダー、並びに必要に応じて導電材及び増粘剤等を乾式で混合してシート状にしたものを正極集電体に圧着するか、又はこれらの材料を液体媒体に溶解又は分散させてスラリーとして、これを正極集電体に塗布し、乾燥することにより、正極活物質層を集電体上に形成させることにより正極を得ることができる。
導電材としては、公知の導電材を任意に用いることができる。具体例としては、銅、ニッケル等の金属材料;天然黒鉛、人造黒鉛等の黒鉛(グラファイト);アセチレンブラック等のカーボンブラック;ニードルコークス等の無定形炭素等の炭素質材料等が挙げられる。なお、これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
正極活物質層の製造に用いるバインダーは、非水系電解液や電極製造時用いる溶媒に対して安定な材料であれば、特に限定されない。
正極活物質層を形成するためのスラリーの調製に用いる液体媒体としては、正極活物質、導電材、バインダー、並びに必要に応じて使用される増粘剤を溶解又は分散することが可能な溶媒であれば、その種類に特に制限はなく、水系溶媒と有機系溶媒のどちらを用いてもよい。
スラリーを形成するための液体媒体として水系媒体を用いる場合、増粘剤と、スチレンブタジエンゴム(SBR)等のラテックスを用いてスラリー化するのが好ましい。増粘剤は、通常、スラリーの粘度を調製するために使用される。
集電体への上記スラリーの塗布、乾燥によって得られた正極活物質層は、正極活物質の充填密度を上げるために、ハンドプレス、ローラープレス等により圧密化することが好ましい。正極活物質層の密度は、1g・cm−3以上が好ましく、1.5g・cm−3以上が更に好ましく、2g・cm−3以上が特に好ましく、また、4g・cm−3以下が好ましく、3.5g・cm−3以下が更に好ましく、3g・cm−3以下が特に好ましい。
正極集電体の材質としては特に制限は無く、公知のものを任意に用いることができる。具体例としては、アルミニウム、ステンレス鋼、ニッケルメッキ、チタン、タンタル等の金属材料;カーボンクロス、カーボンペーパー等の炭素質材料が挙げられる。中でも金属材料、特にアルミニウムが好ましい。
正極と負極との間には、短絡を防止するために、通常はセパレータを介在させる。この場合、本発明の非水系電解液は、通常はこのセパレータに含浸させて用いる。
(電極群)
電極群は、前述の正極板と負極板とを前述のセパレータを介してなる積層構造のもの、及び前述の正極板と負極板とを前述のセパレータを介して渦巻き状に捲回した構造のものの何れでもよい。電極群の体積が電池内容積に占める割合(以下、電極群占有率と称する)は、通常40%以上であり、50%以上が好ましく、また、通常90%以下であり、80%以下が好ましい。電極群占有率が、上記範囲を下回ると、電池容量が小さくなる。また、上記範囲を上回ると空隙スペースが少なく、電池が高温になることによって部材が膨張したり電解質の液成分の蒸気圧が高くなったりして内部圧力が上昇し、電池としての充放電繰り返し性能や高温保存等の諸特性を低下させたり、更には、内部圧力を外に逃がすガス放出弁が作動する場合がある。
集電構造は特に限定されるものではないが、本発明の非水系電解液による放電特性の向上をより効果的に実現するには、配線部分や接合部分の抵抗を低減する構造にすることが好ましい。この様に内部抵抗を低減させた場合、本発明の非水系電解液を使用した効果は特に良好に発揮される。
保護素子として、異常発熱や過大電流が流れた時に抵抗が増大するPTC(Positive Temperature Coefficient)、温度ヒューズ、サーミスター、異常発熱時に電池内部圧力や内部温度の急激な上昇により回路に流れる電流を遮断する弁(電流遮断弁)等が挙げられる。前記保護素子は高電流の通常使用で作動しない条件のものを選択することが好ましく、高出力の観点から、保護素子がなくても異常発熱や熱暴走に至らない設計にすることがより好ましい。
本発明の非水系電解液二次電池は、通常、上記の非水系電解液、負極、正極、セパレータ等を外装体(外装ケース)内に収納して構成される。この外装体に制限は無く、本発明の効果を著しく損なわない限り公知のものを任意に採用することができる。
コバルト酸リチウム(LiCoO2)92重量部とポリフッ化ビニリデン(以下、「PVdF」と略記する)4重量部とアセチレンブラック4重量部とを混合し、N−メチルピロリドンを加えてスラリー状にしたものを、アルミニウムからなる集電体の両面に塗布・乾燥して正極を得た。
グラファイト粉末92重量部とPVdF8重量部とを混合し、N−メチルピロリドンを加えスラリー状にしたものを、銅からなる集電体の片面に塗布・乾燥して負極を得た。
上記の正極、負極、及びポリエチレン製セパレータを、負極、セパレータ、正極、セパレータ、負極の順に積層した。こうして得られた電池要素を筒状のアルミニウムラミネートフィルムで包み込み、後述する電解液を注入した後で真空封止し、シート状の非水系電解液二次電池を作製した。更に、電極間の密着性を高めるために、ガラス板でシート状電池を挟んで加圧した。
25℃の恒温槽中、シート状の非水系電解液二次電池を0.2Cで4.4Vまで定電流−定電圧充電(以下適宜、「CCCV充電」という)した後、0.2Cで3.0Vまで放電した。これを3回繰り返してコンディショニングを行なった。ついで、0.7Cで4.4VまでCCCV充電し、1Cで3.0Vまで再度放電し、初期放電容量を求めた。充電時のカットオフ電流はいずれも0.05Cとした。なお、1Cとは電池の全容量を1時間で放電させる場合の電流値のことである。
容量評価試験の終了した電池を25℃の恒温槽に入れ、0.7Cで4.4VまでCCCV充電し、1Cで3Vまで定電流放電する充放電サイクルを50回繰り返した。50サイクル後の容量維持率を下記の計算式により求め、その値でサイクル特性の評価をした。この数値が大きいほど電池のサイクル劣化が少ないことを示している。
=[50回目の放電容量(mAh/g)/初期放電容量(mAh/g)]×100
エチレンカーボネート(EC)とエチルメチルカーボネート(EMC)との混合溶媒(混合容量比2:8)に、電解質であるLiPF6を1mol/Lの割合で溶解したものをベース電解液(I)とし、このベース電解液(I)に、ジフルオロリン酸リチウム(LiPO2F2)と、鉄族化合物としてヘキサフルオロリン酸ニッケル(II)(Ni(PF6)2)とを、非水系電解液に対する濃度がそれぞれ0.5質量%及び0.1ppm(Ni元素の濃度として0.02ppm相当)となるように加えて非水系電解液とした。得られた非水系電解液を用いて、上述した方法に従って非水系電解液二次電池を作製し、容量評価及びサイクル特性評価を行なった。結果を表1に示す。
ベース電解液(I)に、ジフルオロリン酸リチウム(LiPO2F2)と、鉄族化合物としてヘキサフルオロリン酸ニッケル(II)(Ni(PF6)2)とを、非水系電解液に対する濃度がそれぞれ0.5質量%及び1ppm(Ni元素の濃度として0.17ppm相当)となるように添加した非水系電解液を用いて、上述した方法に従って非水系電解液二次電池を作製し、容量評価及びサイクル特性評価を行なった。結果を表1に示す。
ベース電解液(I)に、ジフルオロリン酸リチウム(LiPO2F2)と、鉄族化合物としてヘキサフルオロリン酸ニッケル(II)(Ni(PF6)2)とを、非水系電解液に対する濃度がそれぞれ0.5質量%及び3ppm(Ni元素の濃度として0.51ppm相当)となるように添加した非水系電解液を用いて、上述した方法に従って非水系電解液二次電池を作製し、容量評価及びサイクル特性評価を行なった。結果を表1に示す。
ベース電解液(I)に、ジフルオロリン酸リチウム(LiPO2F2)と、鉄族化合物としてヘキサフルオロリン酸ニッケル(II)(Ni(PF6)2)とを、非水系電解液に対する濃度がそれぞれ0.5質量%及び5ppm(Ni元素の濃度として0.84ppm相当)となるように添加した非水系電解液を用いて、上述した方法に従って非水系電解液二次電池を作製し、容量評価及びサイクル特性評価を行なった。結果を表1に示す。
ベース電解液(I)に、ジフルオロリン酸リチウム(LiPO2F2)と、鉄族化合物としてヘキサフルオロリン酸コバルト(II)(Co(PF6)2)とを、非水系電解液に対する濃度がそれぞれ0.5質量%及び3ppm(Co元素の濃度として0.51ppm相当)となるように添加した非水系電解液を用いて、上述した方法に従って非水系電解液二次電池を作製し、容量評価及びサイクル特性評価を行なった。結果を表1に示す。
ベース電解液(I)に、ジフルオロリン酸リチウム(LiPO2F2)のみを、非水系電解液に対する濃度が0.5質量%となるように添加した非水系電解液を用いて、上述した方法に従って非水系電解液二次電池を作製し、容量評価及びサイクル特性評価を行なった。結果を表1に示す。
ベース電解液(I)に、鉄族化合物としてヘキサフルオロリン酸ニッケル(II)(Ni(PF6)2)のみを、非水系電解液に対する濃度が100ppm(Ni元素の濃度として16.8ppm相当)となるように添加した非水系電解液を用いて、上述した方法に従って非水系電解液二次電池を作製し、容量評価及びサイクル特性評価を行なった。結果を表1に示す。
Claims (4)
- 電解質及びこれを溶解する非水系溶媒を含有してなる非水系電解液であって、該非水系電解液が、モノフルオロリン酸塩及び/又はジフルオロリン酸塩を含有し、更に非水系電解液全体に対して0.001ppm以上1ppm未満のニッケル元素を含有していることを特徴とする非水系電解液。
- モノフルオロリン酸塩及び/又はジフルオロリン酸塩が、ジフルオロリン酸塩である請求項1に記載の非水系電解液。
- モノフルオロリン酸塩及び/又はジフルオロリン酸塩の含有量が、非水系電解液全体に対して、合計量で、0.001質量%〜5質量%である請求項1又は請求項2に記載の非水系電解液。
- 請求項1ないし請求項3の何れかの請求項に記載の非水系電解液を用いたことを特徴とする非水系電解液二次電池。
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