JP5050416B2 - 非水系電解液及び非水系電解液二次電池 - Google Patents
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Description
本発明は上記課題に鑑みて創案されたもので、より優れたサイクル特性を得ることができるようにした、非水系電解液及びそれを用いた非水系電解液二次電池を提供することを目的とする。
また、本発明の非水系電解液二次電池によれば、優れた充放電サイクル特性を得ることができる。
本発明の非水系電解液は、非水溶媒中に、下記一般式(1)で表わされる化合物(以下適宜、「特定化合物」という)と、不飽和結合又はハロゲン原子を有するカーボネート(以下適宜、「特定カーボネート」という)とを、それぞれ少なくとも1種含有するものである。また、本発明の非水系電解液は通常は電解質を含有し、更に、適宜、添加剤を含有する。
本発明にかかる特定化合物は、上記一般式(1)で表わされるものである。
一般式(1)において、Aは、水素以外の任意の元素又は基を表わす。ただし、一般式(1)で表わされる特定化合物の電気化学的な安定性から、Aは、アリール基又はアリール基を置換基として有する基以外であることが好ましい。即ち、Aは、アリール基以外の元素又は基であることが好ましく、また、アリール基を置換基として有する基以外の元素又は基であることが好ましい。
一般式(2)において、X1,X2はそれぞれ独立に水素以外の元素を表わす。X1,X2は、上記一般式(2)の化学構造を成立せしめる限り水素以外の任意の元素を用いることができる。X1の好適なものの具体例としては、炭素、硫黄、リン等を挙げることができる。また、X2の好適なものの具体例としては、酸素、窒素等を挙げることができる。
一般式(2)で表される特定化合物の中で好ましいものの具体例としては、以下の化合物が挙げられる。なお、以下の例示化合物において、R1はそれぞれ独立にアルキル基を表わす。また、R1の具体例としては、一般式(2)のZの好ましい例として先に挙げたアルキル基が挙げられる。
ここで、Rの具体例としては、Rがアルキル基である場合、メチル基、エチル基、フルオロメチル基、トリフルオロメチル基、2−フルオロエチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基等が挙げられる。中でも、メチル基、エチル基が好ましい。
また、Rがアリール基である場合、具体例としては、フェニル基、o−トシル基、m−トシル基、p−トシル基、o−フルオロフェニル基、m−フルオロフェニル基、p−フルオロフェニル基等が挙げられる。
なお、Rは互いに同種でもよく、異種であってもよい。更に、複数のRが互いに環を形成していてもよい。
また、特定化合物の分子量に制限は無く、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、通常100以上である。また、上限に特に制限は無いが、通常300以下、好ましくは200以下が実用的である。
本発明に係る特定カーボネートは、不飽和結合及びハロゲン原子のうち少なくとも一方を有するカーボネートである。即ち、本発明に係る特定カーボネートは、不飽和結合のみを有していてもよく、ハロゲン原子のみを有していてもよく、不飽和結合及びハロゲン原子の双方を有していてもよい。
ビニレンカーボネート、
メチルビニレンカーボネート、
4,5−ジメチルビニレンカーボネート、
フェニルビニレンカーボネート、
4,5−ジフェニルビニレンカーボネート、等が挙げられる。
ビニルエチレンカーボネート、
4,5−ジビニルエチレンカーボネート、
フェニルエチレンカーボネート、
4,5−ジフェニルエチレンカーボネート、等が挙げられる。
ジフェニルカーボネート、
エチルフェニルカーボネート、
メチルフェニルカーボネート、
t−ブチルフェニルカーボネート、等が挙げられる。
ジビニルカーボネート、
メチルビニルカーボネート、等が挙げられる。
ジアリルカーボネート、
アリルメチルカーボネート、等が挙げられる。
フルオロエチレンカーボネート、
クロロエチレンカーボネート、
4,4−ジフルオロエチレンカーボネート、
4,5−ジフルオロエチレンカーボネート、
4,4−ジクロロエチレンカーボネート、
4,5−ジクロロエチレンカーボネート、
4−フルオロ−4−メチルエチレンカーボネート、
4−クロロ−4−メチルエチレンカーボネート、
4,5−ジフルオロ−4−メチルエチレンカーボネート、
4,5−ジクロロ−4−メチルエチレンカーボネート、
4−フルオロ−5−メチルエチレンカーボネート、
4−クロロ−5−メチルエチレンカーボネート、
4,4−ジフルオロ−5−メチルエチレンカーボネート、
4,4−ジクロロ−5−メチルエチレンカーボネート、
4−(フルオロメチル)−エチレンカーボネート、
4−(クロロメチル)−エチレンカーボネート、
4−(ジフルオロメチル)−エチレンカーボネート、
4−(ジクロロメチル)−エチレンカーボネート、
4−(トリフルオロメチル)−エチレンカーボネート、
4−(トリクロロメチル)−エチレンカーボネート、
4−(フルオロメチル)−4−フルオロエチレンカーボネート、
4−(クロロメチル)−4−クロロエチレンカーボネート、
4−(フルオロメチル)−5−フルオロエチレンカーボネート、
4−(クロロメチル)−5−クロロエチレンカーボネート、
4−フルオロ−4,5−ジメチルエチレンカーボネート、
4−クロロ−4,5−ジメチルエチレンカーボネート、
4,5−ジフルオロ−4,5−ジメチルエチレンカーボネート、
4,5−ジクロロ−4,5−ジメチルエチレンカーボネート、
4,4−ジフルオロ−5,5−ジメチルエチレンカーボネート、
4,4−ジクロロ−5,5−ジメチルエチレンカーボネート、等が挙げられる。
フルオロメチルメチルカーボネート、
ジフルオロメチルメチルカーボネート、
トリフルオロメチルメチルカーボネート、
ビス(フルオロメチル)カーボネート、
ビス(ジフルオロ)メチルカーボネート、
ビス(トリフルオロ)メチルカーボネート、
クロロメチルメチルカーボネート、
ジクロロメチルメチルカーボネート、
トリクロロメチルメチルカーボネート、
ビス(クロロメチル)カーボネート、
ビス(ジクロロ)メチルカーボネート、
ビス(トリクロロ)メチルカーボネート、等が挙げられる。
2−フルオロエチルメチルカーボネート、
エチルフルオロメチルカーボネート、
2,2−ジフルオロエチルメチルカーボネート、
2−フルオロエチルフルオロメチルカーボネート、
エチルジフルオロメチルカーボネート、
2,2,2−トリフルオロエチルメチルカーボネート、
2,2−ジフルオロエチルフルオロメチルカーボネート、
2−フルオロエチルジフルオロメチルカーボネート、
エチルトリフルオロメチルカーボネート、
2−クロロエチルメチルカーボネート、
エチルクロロメチルカーボネート、
2,2−ジクロロエチルメチルカーボネート、
2−クロロエチルクロロメチルカーボネート、
エチルジクロロメチルカーボネート、
2,2,2−トリクロロエチルメチルカーボネート、
2,2−ジクロロエチルクロロメチルカーボネート、
2−クロロエチルジクロロメチルカーボネート、
エチルトリクロロメチルカーボネート、等が挙げられる。
エチル−(2−フルオロエチル)カーボネート、
エチル−(2,2−ジフルオロエチル)カーボネート、
ビス(2−フルオロエチル)カーボネート、
エチル−(2,2,2−トリフルオロエチル)カーボネート、
2,2−ジフルオロエチル−2’−フルオロエチルカーボネート、
ビス(2,2−ジフルオロエチル)カーボネート、
2,2,2−トリフルオロエチル−2’−フルオロエチルカーボネート、
2,2,2−トリフルオロエチル−2’,2’−ジフルオロエチルカーボネート、
ビス(2,2,2−トリフルオロエチル)カーボネート、
エチル−(2−クロロエチル)カーボネート、
エチル−(2,2−ジクロロエチル)カーボネート、
ビス(2−クロロエチル)カーボネート、
エチル−(2,2,2−トリクロロエチル)カーボネート、
2,2−ジクロロエチル−2’−クロロエチルカーボネート、
ビス(2,2−ジクロロエチル)カーボネート、
2,2,2−トリクロロエチル−2’−クロロエチルカーボネート、
2,2,2−トリクロロエチル−2’,2’−ジクロロエチルカーボネート、
ビス(2,2,2−トリクロロエチル)カーボネート、等が挙げられる。
フルオロビニレンカーボネート、
4−フルオロ−5−メチルビニレンカーボネート、
4−フルオロ−5−フェニルビニレンカーボネート、
クロロビニレンカーボネート、
4−クロロ−5−メチルビニレンカーボネート、
4−クロロ−5−フェニルビニレンカーボネート、等が挙げられる。
4−フルオロ−4−ビニルエチレンカーボネート、
4−フルオロ−5−ビニルエチレンカーボネート、
4,4−ジフルオロ−4−ビニルエチレンカーボネート、
4,5−ジフルオロ−4−ビニルエチレンカーボネート、
4−クロロ−5−ビニルエチレンカーボネート、
4,4−ジクロロ−4−ビニルエチレンカーボネート、
4,5−ジクロロ−4−ビニルエチレンカーボネート、
4−フルオロ−4,5−ジビニルエチレンカーボネート、
4,5−ジフルオロ−4,5−ジビニルエチレンカーボネート、
4−クロロ−4,5−ジビニルエチレンカーボネート、
4,5−ジクロロ−4,5−ジビニルエチレンカーボネート、
4−フルオロ−4−フェニルエチレンカーボネート、
4−フルオロ−5−フェニルエチレンカーボネート、
4,4−ジフルオロ−5−フェニルエチレンカーボネート、
4,5−ジフルオロ−4−フェニルエチレンカーボネート、
4−クロロ−4−フェニルエチレンカーボネート、
4−クロロ−5−フェニルエチレンカーボネート、
4,4−ジクロロ−5−フェニルエチレンカーボネート、
4,5−ジクロロ−4−フェニルエチレンカーボネート、
4,5−ジフルオロ−4,5−ジフェニルエチレンカーボネート、
4,5−ジクロロ−4,5−ジフェニルエチレンカーボネート、等が挙げられる。
フルオロメチルフェニルカーボネート、
2−フルオロエチルフェニルカーボネート、
2,2−ジフルオロエチルフェニルカーボネート、
2,2,2−トリフルオロエチルフェニルカーボネート、
クロロメチルフェニルカーボネート、
2−クロロエチルフェニルカーボネート、
2,2−ジクロロエチルフェニルカーボネート、
2,2,2−トリクロロエチルフェニルカーボネート、等が挙げられる。
フルオロメチルビニルカーボネート、
2−フルオロエチルビニルカーボネート、
2,2−ジフルオロエチルビニルカーボネート、
2,2,2−トリフルオロエチルビニルカーボネート、
クロロメチルビニルカーボネート、
2−クロロエチルビニルカーボネート、
2,2−ジクロロエチルビニルカーボネート、
2,2,2−トリクロロエチルビニルカーボネート、等が挙げられる。
フルオロメチルアリルカーボネート、
2−フルオロエチルアリルカーボネート、
2,2−ジフルオロエチルアリルカーボネート、
2,2,2−トリフルオロエチルアリルカーボネート、
クロロメチルアリルカーボネート、
2−クロロエチルアリルカーボネート、
2,2−ジクロロエチルアリルカーボネート、
2,2,2−トリクロロエチルアリルカーボネート、等が挙げられる。
本発明の非水系電解液において、特定化合物と特定カーボネートとの比率も任意であるが、「特定化合物の重量/特定カーボネートの重量」で表わされる両者の相対重量比が、通常0.001以上、中でも0.01以上、更には0.1以上、また、通常1000以下、中でも100以下、更には10以下の範囲とすることが好ましい。上記相対重量比が低過ぎても高過ぎても、特定化合物及び特定カーボネートの併用による相乗効果が得られ難くなる傾向がある。
なお、特定化合物と特定カーボネートとを併用することによる本発明の効果は、負極活物質としてSi、Sn、Pb、或いは、これらの元素を含有する物質を用いた場合に、より顕著である。
本発明の非水系電解液が含有する非水溶媒としては、本発明の効果を著しく損なわない範囲において、任意のものを用いることができる。なお、非水溶媒は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
環状カーボネート、
鎖状カーボネート、
鎖状及び環状カルボン酸エステル、
鎖状及び環状エーテル類、
含リン有機溶媒、
含硫黄有機溶媒、などが挙げられる。
エチレンカーボネート、
プロピレンカーボネート、
ブチレンカーボネート、等が挙げられる。
ジメチルカーボネート、
エチルメチルカーボネート、
ジエチルカーボネート、
メチル−n−プロピルカーボネート、
エチル−n−プロピルカーボネート、
ジ−n−プロピルカーボネート、等が挙げられる。
酢酸メチル、
酢酸エチル、
酢酸−n−プロピル、
酢酸−i−プロピル、
酢酸−n−ブチル、
酢酸−i−ブチル、
酢酸−t−ブチル、
プロピオン酸メチル、
プロピオン酸エチル、
プロピオン酸−n−プロピル、
プロピオン酸−i−プロピル、
プロピオン酸−n−ブチル、
プロピオン酸−i−ブチル、
プロピオン酸−t−ブチル、等が挙げられる。
これらの中でも、酢酸エチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチルがより好ましい。
γ−ブチロラクトン、
γ−バレロラクトン、
δ−バレロラクトン、等が挙げられる。
これらの中でも、γ−ブチロラクトンがより好ましい。
ジメトキシメタン、
ジメトキシエタン、
ジエトキシメタン、
ジエトキシエタン、
エトキシメトキシメタン、
エトキシメトキシエタン、等が挙げられる。
これらの中でも、ジメトキシエタン、ジエトキシエタンがより好ましい。
テトラヒドロフラン、
2−メチルテトラヒドロフラン、等が挙げられる。
リン酸トリメチル、
リン酸トリエチル、
リン酸トリフェニル、等のリン酸エステル類;
亜リン酸トリメチル、
亜リン酸トリエチル、
亜リン酸トリフェニル、等の亜リン酸エステル類;
トリメチルホスフィンオキシド、
トリエチルホスフィンオキシド、
トリフェニルホスフィンオキシド、等のホスフィンオキシド類;などが挙げられる。
エチレンサルファイト、
1,3−プロパンスルトン、
1,4−ブタンスルトン、
メタンスルホン酸メチル、
ブスルファン、
スルホラン、
スルホレン、
ジメチルスルホン、
ジフェニルスルホン、
メチルフェニルスルホン、
ジブチルジスルフィド、
ジシクロヘキシルジスルフィド、
テトラメチルチウラムモノスルフイド、
N,N−ジメチルメタンスルホンアミド、
N,N−ジエチルメタンスルホンアミド、等が挙げられる。
本発明の非水系電解液に用いる電解質に制限は無く、目的とする非水系電解液二次電池に電解質として用いられるものであれば公知のものを任意に採用することができる。本発明の非水系電解液をリチウム二次電池に用いる場合には、通常は、電解質としてリチウム塩を用いる。
LiClO4、
LiAsF6、
LiPF6、
Li2CO3、
LiBF4、等の無機リチウム塩;
LiCF3SO3、
LiN(CF3SO2)2、
LiN(C2F5SO2)2、
リチウム1,3−ヘキサフルオロプロパンジスルホニルイミド、
リチウム1,2−テトラフルオロエタンジスルホニルイミド、
LiN(CF3SO2)(C4F9SO2)、
LiC(CF3SO2)3、
LiPF4(CF3)2、
LiPF4(C2F5)2、
LiPF4(CF3SO2)2、
LiPF4(C2F5SO2)2、
LiBF2(CF3)2、
LiBF2(C2F5)2、
LiBF2(CF3SO2)2、
LiBF2(C2F5SO2)2、等の含フッ素有機リチウム塩;
リチウムビス(オキサラト)ボレート、
リチウムトリス(オキサラト)フォスフェート、
リチウムジフルオロオキサラトボレート、等の含ジカルボン酸錯体リチウム塩;
KPF6、
NaPF6、
NaBF4、
NaCF3SO3、等のナトリウム塩又はカリウム塩;などが挙げられる。
本発明の非水系電解液は、本発明の効果を著しく損なわない範囲において、各種の添加剤を含有していることが好ましい。添加剤としては、従来公知のものを任意に用いることができる。なお、添加剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
ビフェニル、
アルキルビフェニル、
ターフェニル、
ターフェニルの部分水素化体、
シクロヘキシルベンゼン、
t−ブチルベンゼン、
t−アミルベンゼン、
ジフェニルエーテル、
ジベンゾフラン、等の芳香族化合物;
2−フルオロビフェニル、
o−シクロヘキシルフルオロベンゼン、
p−シクロヘキシルフルオロベンゼン、等の前記芳香族化合物の部分フッ素化物;
2,4−ジフルオロアニソール、
2,5−ジフルオロアニソール、
2,6−ジフルオロアニオール、等の含フッ素アニソール化合物;などが挙げられる。
コハク酸、
マレイン酸、
フタル酸、等のジカルボン酸の無水物;
エリスリタンカーボネート、
スピロービスージメチレンカーボネート、等の特定カーボネートに該当するもの以外のカーボネート化合物;
エチレンサルファイト、
1,3−プロパンスルトン、
1,4−ブタンスルトン、
メタンスルホン酸メチル、
ブスルファン、
スルホラン、
スルホレン、
ジメチルスルホン、
ジフェニルスルホン、
メチルフェニルスルホン、
ジブチルジスルフィド、
ジシクロヘキシルジスルフィド、
テトラメチルチウラムモノスルフイド、
N,N−ジメチルメタンスルホンアミド、
N,N−ジエチルメタンスルホンアミド、等の含硫黄化合物;
1−メチル−2−ピロリジノン、
1−メチル−2−ピペリドン、
3−メチル−2−オキサゾリジノン、
1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、
N−メチルスクシイミド、等の含窒素化合物;
ヘプタン、
オクタン、
シクロヘプタン、等の炭化水素化合物;
フルオロベンゼン、
ジフルオロベンゼン、
ベンゾトリフルオライド、等の含フッ素芳香族化合物;などが挙げられる。
次いで、上述した本発明の非水系電解液を用いた非水系電解液二次電池(これを以下「本発明の非水系電解液二次電池」と略称する。)について説明する。
本発明の非水系電解液二次電池は、リチウムイオンを吸蔵及び放出し得る負極及び正極と非水系電解液とを備え、負極が、Si原子、Sn原子及びPb原子よりなる群から選ばれる少なくとも一種の原子を有する負極活物質を含有するとともに、非水系電解液が、上述の本発明の非水系電解液であることを特徴とするものである。
本発明の非水系電解液二次電池は、負極及び非水系電解液以外の構成については、従来公知の非水系電解液二次電池と同様であり、通常は、本発明の非水系電解液が含浸されている多孔膜(セパレータ)を介して正極と負極とが積層され、これらがケース(外装体)に収納された形態を有する。従って、本発明の非水系電解液二次電池の形状は特に制限されるものではなく、円筒型、角形、ラミネート型、コイン型、大型等の何れであってもよい。
非水系電解液としては、上述の本発明の非水系電解液を用いる。なお、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、本発明の非水系電解液に対し、その他の非水系電解液を混合して用いることも可能である。
本発明の非水系電解液二次電池における負極は、Si(ケイ素)原子、Sn(スズ)原子及びPb(鉛)原子(これらを以下「特定金属元素」という場合がある。)よりなる群から選ばれる少なくとも一種の原子を有する負極活物質を含有する。
また、これらの複合化合物が、金属単体、合金、又は非金属元素等の数種の元素と複雑に結合した化合物も例として挙げることができる。より具体的には、例えばSiやSnでは、これらの元素と負極として動作しない金属との合金を用いることができる。また例えばSnでは、SnとSi、Sn、Pb以外で負極として作用する金属と、更に負極として動作しない金属と、非金属元素との組み合わせで5〜6種の元素を含むような複雑な化合物も用いることができる。
・Si及び/又はSnと酸素との元素比が通常0.5〜1.5、好ましくは0.7〜1.3、更に好ましくは0.9〜1.1の、Si及び/又はSnの酸化物。
・Si及び/又はSnと窒素との元素比が通常0.5〜1.5、好ましくは0.7〜1.3、更に好ましくは0.9〜1.1の、Si及び/又はSnの窒化物。
・Si及び/又はSnと炭素との元素比が通常0.5〜1.5、好ましくは0.7〜1.3、更に好ましくは0.9〜1.1の、Si及び/又はSnの炭化物。
本発明の非水系電解液二次電池における正極は、通常の非水系電解液二次電池と同様、正極活物質を含有してなる。
塗布法を用いる場合、上述の正極活物質に結着剤、増粘剤、導電材、溶媒等を加えてスラリー状とし、これを正極集電体に塗布、乾燥した後にプレスして高密度化することにより、正極集電体上に正極活物質層を形成する。
スラリーの粘度は、集電体上に塗布が可能な粘度であれば特に制限されず、塗布が可能な粘度となるように、スラリーの調製時に溶媒の使用量等を変えて適宜調整すればよい。
正極と負極との間には、短絡を防止するために、通常はセパレータを介在させる。この場合、本発明の非水系電解液は、通常はこのセパレータに含浸させて用いる。
本発明の非水系電解液二次電池は、通常、上記の非水系電解液、負極、正極、セパレータ等を外装体内に収納して構成される。この外装体に制限は無く、本発明の効果を著しく損なわない限り公知のものを任意に採用することができる。
実施例1〜11及び比較例1〜4において、それぞれ、以下の手順で非水系電解液二次電池を組み立て、その評価を行ない、結果を表1に示した。
正極活物質としてLiCoO2(日本化学工業杜製「C5」)85重量%に、カーボンブラック(電気化学工業杜製商品名「デンカブラック」)6重量%、及び、ポリフッ化ビニリデン(呉羽化学杜製商品名「KF−1000」)9重量%を加えて混合し、N−メチル−2−ピロリドンで分散してスラリー状としたものを、正極集電体である厚さ20μmのアルミニウム箔上に、用いる負極の理論容量の9割となるように均一に塗布し、100℃で12時間乾燥後、直径12.5mmの円盤状に打ち抜いて正極とした。
人造黒鉛粉末(ティムカル杜製商品名「KS−6」)100重量部に、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)を12重量%含有するN−メチルピロリドン溶液83.5重量部、及び、N−メチルピロリドン50重量部をディスパーザーで混合してスラリー状としたものを、負極集電体である厚さ18μmの銅箔上に均一に塗布し、乾燥後、電極密度が1.5g/cm3程度となるようにプレスし、その後、直径12.5μmの円盤状に打ち抜いてグラファイト製の負極(グラファイト負極)とした。
エチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートとを体積比3:7の比率で混合させた溶液に、電解質としてLiPF6を1モル/リットルの濃度となるように溶解させ、更に、表1に示す割合で、適宜、添加剤(即ち、特定化合物、特定カーボネート及び各種のその他の添加剤)を加え、非水系電解液を調製した。なお、表1中の「−」は、その欄に該当する特定化合物又はその他の添加剤を使用しなかったことを表わす。
上記の正極及び負極と、各実施例及び比較例で調製した非水系電解液とを用いて、正極導電体を兼ねるステンレス鋼製の缶体に正極を収容し、その上に電解液を含浸させたポリエチレン製のセパレータを介して負極を載置した。
この缶体と負極導電体を兼ねる封口板とを、絶縁用のガスケットを介してかしめて密封し、コイン型セルを作製した。
25℃において、充電終止電圧4.2V、定電流時電流3mA、充電終了電流0.15μAの定電流定電圧充電と、放電終止電圧3.0V、定電流時電流3mAの定電流放電とを1サイクルとして、100サイクル充放電を実施した。この時の、1サイクル目及び100サイクル目の放電容量を測定し、100サイクル目における容量維持率を下記式で算出した。なお、容量は何れも負極活物質単位重量当りの容量とした。
実施例12〜19及び比較例5〜7として、それぞれ、負極をケイ素合金製のものに代え、また、非水系電解液に混合する添加剤として表2に示すものを用い、更に、10サイクル目の放電容量を測定することにより100サイクル目の容量維持率の代わりに10サイクル目の容量維持率を算出した他は、上述した〔実施例1〜9及び比較例1〜4〕と同様の手順で、非水系電解液二次電池を組み立て、その評価を行なった。それぞれの結果を表2に示した。なお、表2中の「−」は、その欄に該当する特定化合物又はその他の添加剤を使用しなかったことを表わす。また、10サイクル目の容量維持率は下記式で算出した。更に、容量は何れも負極活物質単位重量当りの容量とした。
〔ケイ素合金負極の作製〕
負極活物質の非炭素材料としてケイ素73.2重量部と銅8.1重量部とを用い、これに、人造黒鉛粉末(ティムカル杜製商品名「KS−6」)12.2重量%と、PVDFを12重量%含有するN−メチルピロリドン溶液54.2重量部と、N−メチルビロリドン50重量部とをディスパーザーで混合してスラリー状としたものを、負極集電体である厚さ18μmの銅箔上に均−に塗布し、乾燥後、電極密度が1.5g/cm3程度となるようにプレスし、その後、直径12.5mmの円盤状に打ち抜いてケイ素合金製の負極(ケイ素合金負極)とした。
表1,2より、次のことが明らかである。
負極にグラファイトを用いた場合、非水系電解液中に特定化合物及び特定カーボネートを含有させた実施例1〜11においては、比較例1〜4に対して、サイクル特性が良好である。
また、負極にケイ素合金を用いた実施例12〜19と比較例5〜7との比較においても、同様の傾向を示すことがわかる。
Claims (9)
- 非水系電解液中における上記一般式(1)で表わされる化合物の濃度が、0.01重量%以上10重量%以下であることを特徴とする、請求項1〜3の何れか一項に記載の非水系電解液。
- 非水系電解液中における上記のハロゲン原子を有するエチレンカーボネート誘導体の濃度が、0.01重量%以上70重量%以下である
ことを特徴とする、請求項1〜4の何れか一項に記載の非水系電解液。 - 上記のハロゲン原子を有するエチレンカーボネート誘導体が、フルオロエチレンカーボネート、及びジフルオロエチレンカーボネート、並びにこれらの誘導体よりなる群から選ばれる1種以上である
ことを特徴とする、請求項1〜5の何れか一項に記載の非水系電解液。 - エチレンカーボネート及び/又はプロピレンカーボネートを含むことを特徴とする、請求項1〜6の何れか一項に記載の非水系電解液。
- ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチル−n−プロピルカーボネート、エチル−n−プロピルカーボネート、及びジ−n−プロピルカーボネートよりなる群から選ばれる少なくとも1種を含有する
ことを特徴とする、請求項1〜7の何れか一項に記載の非水系電解液。 - リチウムイオンを吸蔵及び放出しうる負極及び正極と、
請求項1〜8の何れか一項に記載の非水系電解液とを備える
ことを特徴とする、非水系電解液二次電池。
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