JP2011042758A - インクジェットプリンタ用インク、導電性配線の形成方法および導電性配線 - Google Patents
インクジェットプリンタ用インク、導電性配線の形成方法および導電性配線 Download PDFInfo
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Abstract
【解決手段】ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドおよびN−メチルピロリドンからなる群から選択される少なくとも1種の極性溶媒(A)と、水酸基を1個以上有する脂肪酸銀塩(B)および/または沸点が180℃以下の2級脂肪酸を用いて得られる2級脂肪酸銀塩(C)と、を含有し、酸化銀の含有量が前記極性溶媒(A)100質量部に対して10質量部以下であるインクジェットプリンタ用インク。
【選択図】なし
Description
また、特許文献5に記載の回路パターンの形成方法では、高温もしくは長時間の加熱処理を要するため、導電性配線の生産性が低いという問題があった。
式(II)中、R1は水素原子または炭素数1〜10のアルキル基を表し、複数のR1はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。
式(III)中、R1は水素原子または炭素数1〜10のアルキル基を表し、R3は炭素数1〜6のアルキレン基を表す。複数のR1はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。
本発明のインクジェットプリンタ用インクを用いれば、耐熱性の低い基材上にも電子回路等の導電性回路を容易かつ短時間で作製することができるため非常に有用である。
以下に、極性溶媒(A)、脂肪酸銀塩(B)および2級脂肪酸銀塩(C)について詳述する。
本発明のインクで用いる極性溶媒(A)は、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドおよびN−メチルピロリドンからなる群から選択される少なくとも1種の極性溶媒である。
これらのうち、後述する脂肪酸銀塩(B)および2級脂肪酸銀塩(C)を容易に溶解することができる結果、本発明のインクが均一な溶液となり、粒子の沈降等の不具合が起こらない理由から、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドであるのが好ましい。
また、本発明においては、酸化銀の含有量は上記極性溶媒(A)100質量部に対して5質量部以下であるのが好ましく、1質量部以下であるのがより好ましい。
本発明のインクで用いる脂肪酸銀塩(B)は、水酸基を1個以上、好ましくは2個以上有する脂肪酸銀塩であり、具体的には、以下に示す水酸基を1個以上有する脂肪酸と酸化銀とを反応させて得られるものである。
式(2)中、R1は水素原子または炭素数1〜10のアルキル基を表し、複数のR1はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。
式(3)中、R1は水素原子または炭素数1〜10のアルキル基を表し、R3は炭素数1〜6のアルキレン基を表す。複数のR1はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。
また、上記式(1)中、R2の炭素数1〜6のアルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、プロパン−1,3−ジイル基、ブタン−1,4−ジイル基、ヘプタン−1,5−ジイル基、ヘキサン−1,6−ジイル基が挙げられる。R2としては、メチレン基、エチレン基であるのが好ましい。上記式(1)中、nの0〜2の整数としては、1または2であるのが好ましい。
また、上記式(3)中、R3の炭素数1〜6のアルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、プロパン−1,3−ジイル基、ブタン−1,4−ジイル基、ヘプタン−1,5−ジイル基、ヘキサン−1,6−ジイル基が挙げられる。R2としては、メチレン基、エチレン基であるのが好ましい。
この反応は、例えば、上記式(1)〜(3)で表される化合物を用いた場合は以下に示す反応式で表される反応が進行するものであれば特に限定されないが、上記酸化銀を粉砕しつつ進行させる方法や、上記酸化銀を粉砕した後に上記脂肪酸を反応させる方法が好ましい。前者の方法としては、具体的には、上記酸化銀と、溶剤により上記脂肪酸を溶液化したものとを、ボールミル等により混練し、固体である上記酸化銀を粉砕させながら、室温で、1〜24時間程度、好ましくは2〜8時間反応させるのが好ましい。
式(II)中、R1は水素原子または炭素数1〜10のアルキル基を表し、複数のR1はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。
式(III)中、R1は水素原子または炭素数1〜10のアルキル基を表し、R3は炭素数1〜6のアルキレン基を表す。複数のR1はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。
これらの溶媒を用いて脂肪酸銀塩(B)を調製した場合、脂肪酸銀塩(B)を結晶として取り出した後に上述した極性溶媒(A)に溶解させるのが好ましい。
具体的には、160℃程度の温度で1分程度で、比抵抗が10×10-6Ω・cm以下の導電性配線を形成することができる。ここで、本明細書においては、比抵抗は、160℃で1分間乾燥させた導電性配線について、低抵抗率計(ロレスターGP、三菱化学社製)を用いた4端子4探針法により比抵抗(体積固有抵抗値)を測定した値である。
これは、脂肪酸銀塩(B)が有する分子内の水酸基の存在により、熱処理による銀への分解(還元)が非常に促進されるためであると考えられる。また、熱重量測定(TGA)の結果からも、3級脂肪酸銀塩よりも還元されやすいことが明らかとなっている。
本発明のインクで用いる2級脂肪酸銀塩(C)は、沸点が180℃以下の2級脂肪酸を用いて得られるものであり、具体的には、以下に示す沸点が180℃以下の2級脂肪酸と酸化銀とを反応させて得られるものである。
また、上記式(4)中、R5の炭素数1〜10のアルキル基としては、上記R4の炭素数1〜6のアルキル基以外に、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基が挙げられる。R5としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基であるのが好ましい。
これらのうち、2−メチルプロパン酸、2−メチルブタン酸であるのが、得られる2級脂肪酸銀塩(C)である2−メチルプロパン酸銀塩、2−メチルブタン酸銀塩を含有する本発明のインクを用いて形成される導電性配線の形成がより低温かつ短時間で可能となる理由から好ましい。
この反応は、例えば、上記式(4)で表される化合物を用いた場合は以下に示す反応式で表される反応が進行するものであれば特に限定されないが、上記酸化銀を粉砕しつつ進行させる方法や上記酸化銀を粉砕した後に上記2級脂肪酸を反応させる方法が好ましい。前者の方法としては、具体的には、上記酸化銀と、溶剤により上記2級脂肪酸を溶液化したものとを、ボールミル等により混練し、固体である上記酸化銀を粉砕させながら、室温で、1〜24時間程度、好ましくは2〜8時間反応させるのが好ましい。
これらの溶媒を用いて2級脂肪酸銀塩(C)を調製した場合、2級脂肪酸銀塩(C)を結晶として取り出した後に上述した極性溶媒(A)に溶解させるのが好ましい。
具体的には、160℃程度の温度で1分程度で、比抵抗が10×10-6Ω・cm以下の導電性配線を形成することができる。
これは、2級脂肪酸銀塩(C)が熱処理により銀に分解されやすく、かつ、分解により生じる2級脂肪酸またはその分解物が揮発されやすいためであると考えられる。また、熱重量測定(TGA)の結果からも、3級脂肪酸銀塩よりも還元されやすいことが明らかとなっている。
ここで、上記質量比は、上記脂肪酸銀塩(B)および上記2級脂肪酸銀塩(C)をいずれも含有する場合は、上記極性溶剤(A)の質量と上記脂肪酸銀塩(B)および上記2級脂肪酸銀塩(C)の合計質量との比をいう。
以下に、配線形成工程、熱処理工程について詳述する。
上記配線形成工程は、本発明のインクを基材上に塗布して配線を形成する工程である。
ここで、基材としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート、ポリイミドなどのフィルム;銅板、銅箔、ガラス、エポキシ、紙などの基板;等が挙げられる。
上記熱処理工程は、上記配線形成工程で得られた配線を熱処理して導電性配線を得る工程である。
本発明においては、配線を熱処理することにより、上記脂肪酸銀塩(B)および/または上記2級脂肪酸銀塩(C)が熱処理により銀に分解され、分解により生じた脂肪酸またはその分解物が揮発することにより本発明の導電性配線(銀膜)が形成される。
ボールミルに、下記第1表に示す脂肪酸銀塩等を下記第1表中に示す組成比となるように添加し、これらを混合することによりインクを調製した。
ここで、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−n−酪酸銀塩は、脂肪酸である2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−n−酪酸と酸化銀との反応により得られるものである。同様に、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸銀塩は、脂肪酸である2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸と酸化銀との反応により得られるものである。同様に、ヒドロキシピバル酸銀塩は、脂肪酸であるヒドロキシピバル酸と酸化銀との反応により得られるものである。
また、2−メチルプロパン酸銀塩は、脂肪酸である2−メチルプロパン酸(イソ酪酸)と酸化銀との反応により得られるものである。なお、下記第1表中に、脂肪酸銀塩の反応に用いたイソ酪酸の級数と沸点を記載した。
更に、ネオデカン銀塩は、脂肪酸であるネオデカン酸と酸化銀との反応により得られるものである。
調製したインクを基材である厚さ100μmのPETフイルム(ルミラーS56、東レ社製)上に、インクジェット印刷法(ピエゾ方式)で印刷して配線を形成した後、オーブンにて160℃で1分間乾燥し、導電性配線を作製した。
その結果、配線(導電性配線)の線形が明瞭なものを印刷性が良好なものとして「◎」と評価し、目視にて配線に断線は確認できないものの一部に滲みが見られるものを印刷性が普通なものとして「○」と評価した。その結果を下記第1表に示す。
なお、実施例4については、印刷性は「○」と評価できるものの、他の実施例に比較して導電性配線(銀膜)の膜厚が薄くなる結果となった。また、下記第1表中、比較例2〜4については、ノズルが詰まり、印刷ができなかったため「−」と表記した。
160℃で1分間乾燥させて得られた各導電性配線について、低抵抗率計(ロレスターGP、三菱化学社製)を用いた4端子4探針法により比抵抗(体積固有抵抗値)を測定した。その結果を下記第1表に示す。
なお、下記第1表中、比較例1については、焼成不足により導電性配線の状態が悪く、値が得られなかったため「測定不可」と表記し、比較例2および3については、印刷ができなかったため「−」と表記した。
また、酸化銀を含有するインク(比較例2および3)は、極性溶媒(A)を用いていてもいずれもノズルの目詰まりが起こり、インクジェット印刷法によって印刷できないことが分かった。
更に、酸化銀を含有しないインク(比較例4)は、極性溶媒(A)ではないα−テルピネオールを用いていると、やはりノズルの目詰まりが起こり、インクジェット印刷法によって印刷できないことが分かった。
これに対し、実施例1〜7で調製したインクは、インクジェット印刷法により配線を形成することができ、乾燥条件が160℃、1分間であっても比抵抗の小さい導電性配線を形成できることが分かった。
Claims (8)
- ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドおよびN−メチルピロリドンからなる群から選択される少なくとも1種の極性溶媒(A)と、水酸基を1個以上有する脂肪酸銀塩(B)および/または沸点が180℃以下の2級脂肪酸を用いて得られる2級脂肪酸銀塩(C)と、を含有し、酸化銀の含有量が前記極性溶媒(A)100質量部に対して10質量部以下であるインクジェットプリンタ用インク。
- 前記極性溶剤(A)と前記脂肪酸銀塩(B)および/または前記2級脂肪酸銀塩(C)との質量比が、10/90〜90/10である請求項1に記載のインクジェットプリンタ用インク。
- 前記脂肪酸銀塩(B)が、下記式(I)〜(III)のいずれかで表される化合物である請求項1または2に記載のインクジェットプリンタ用インク。
式(II)中、R1は水素原子または炭素数1〜10のアルキル基を表し、複数のR1はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。
式(III)中、R1は水素原子または炭素数1〜10のアルキル基を表し、R3は炭素数1〜6のアルキレン基を表す。複数のR1はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。) - 前記2級脂肪酸銀塩(C)が、下記式(IV)で表される化合物である請求項1〜3のいずれかに記載のインクジェットプリンタ用インク。
- 前記脂肪酸銀塩(B)が、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−n−酪酸銀塩、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸銀塩およびヒドロキシピバリン酸銀塩からなる群から選択される少なくとも一種である請求項1〜4のいずれかに記載のインクジェットプリンタ用インク。
- 前記2級脂肪酸銀塩(C)が、2−メチルプロパン酸銀塩である請求項1〜5のいずれかに記載のインクジェットプリンタ用インク。
- 請求項1〜6のいずれかに記載のインクジェットプリンタ用インクを基材上に塗布して配線を形成する配線形成工程と、得られた配線を熱処理して導電性配線を得る熱処理工程と、を具備する導電性配線の形成方法。
- 請求項7に記載の導電性配線の形成方法により得られる導電性配線。
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