JP5471967B2 - ジフルオロリン酸塩組成物及びそれからなる非水系電解液用添加剤、並びにそれを用いた二次電池用非水系電解液及び非水系電解液二次電池 - Google Patents
ジフルオロリン酸塩組成物及びそれからなる非水系電解液用添加剤、並びにそれを用いた二次電池用非水系電解液及び非水系電解液二次電池 Download PDFInfo
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しかしながら、このような化合物を含有させた場合に、保存特性やサイクル特性を改善することができるものの、負極側で抵抗の高い皮膜が形成されるために、低温放電特性や大電流放電特性などが低下するという課題があった。
また、本発明は、上記ジフルオロリン酸塩組成物からなる非水系電解液用添加剤、並びに二次電池用非水系電解液及びこれを用いた非水系電解液二次電池である。
本発明のジフルオロリン酸塩組成物は、ジフルオロリン酸塩とモノフルオロリン酸塩とを含み、アニオン100質量%に対して、ジフルオロリン酸イオンを65質量%を超えて99.98質量%以下含み、且つモノフルオロリン酸イオンを0.02〜49.1質量%含むことを特徴とする。
また、ジフルオロリン酸塩組成物中のアニオン100質量%に対して、モノフルオロリン酸イオンの含有量は、0.02〜49.1質量%、好ましくは0.02〜40質量%、より好ましくは0.05〜30質量%、更に好ましくは0.05〜20質量%、特に好ましくは0.05〜10質量%であり、もっとも好ましくは下限値として1質量%を超える範囲であり、1質量%を超えて35質量%未満であることが特に好ましい。上記範囲内であると、大電流を流したときでも放電容量維持率がより高くなる。
中でも第4級アンモニウムイオンが好ましくは、第4級アンモニウムイオンとしては、 テトラメチルアンモニウム、エチルトリメチルアンモニウム、ジエチルジメチルアンモニウム、トリエチルメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、トリメチル−n−プロピルアンモニウム、トリメチルイソプロピルアンモニウム、トリメチル−n−ブチルアンモニウム、トリメチルイソブチルアンモニウム、トリメチル−t−ブチルアンモニウム、トリメチル−n−ヘキシルアンモニウム、ジメチルジ−n−プロピルアンモニウム、ジメチルジイソプロピルアンモニウム、ジメチル−n−プロピルイソプロピルアンモニウム、メチルトリ−n−プロピルアンモニウム、メチルトリイソプロピルアンモニウム、メチルジ−n−プロピルイソプロピルアンモニウム、メチル−n−プロピルジイソプロピルアンモニウム、トリエチル−n−プロピルアンモニウム、トリエチルイソプロピルアンモニウム、トリエチル−n−ブチルアンモニウム、トリエチルイソブチルアンモニウム、トリエチル−t−ブチルアンモニウム、ジメチルジ−n−ブチルアンモニウム、ジメチルジイソブチルアンモニウム、ジメチルジ−t−ブチルアンモニウム、ジメチル−n−ブチルエチルアンモニウム、ジメチルイソブチルエチルアンモニウム、ジメチル−t−ブチルエチルアンモニウム、ジメチル−n−ブチルイソブチルアンモニウム、メトキシエチルジエチルメチルアンモニウム、ジメチル−n−ブチル−t−ブチルアンモニウム、ジメチルイソブチル−t−ブチルアンモニウム、ジエチルジ−n−プロピルアンモニウム、ジエチルジイソプロピルアンモニウム、ジエチル−n−プロピルイソプロピルアンモニウム、エチルトリ−n−プロピルアンモニウム、エチルトリイソプロピルアンモニウム、エチルジ−n−プロピルイソプロピルアンモニウム、エチル−n−プロピルジイソプロピルアンモニウム、ジエチルメチル−n−プロピルアンモニウム、エチルジメチル−n−プロピルアンモニウム、エチルメチルジ−n−プロピルアンモニウム、ジエチルメチルイソプロピルアンモニウム、エチルジメチルイソプロピルアンモニウム、エチルメチルジイソプロピルアンモニウム、エチルメチル−n−プロピルイソプロピルアンモニウム、テトラ−n−プロピルアンモニウム、テトライソプロピルアンモニウム、n−プロピルトリイソプロピルアンモニウム、ジ−n−プロピルジイソプロピルアンモニウム、トリ−n−プロピルイソプロピルアンモニウム、トリメチルブチルアンモニウム、トリメチルペンチルアンモニウム、トリメチルヘキシルアンモニウム、トリメチルヘプチルアンモニウム、トリメチルオクチルアンモニウム、テトラ−n−ブチルアンモニウム、トリメチルノニルアンモニウム、トリメチルデシルアンモニウム、トリメチルウンデシルアンモニウム、トリメチルドデシルアンモニウム、N,N−ジエチル−N−メチル−N−(2−メトキシエチル)アンモニウム等のテトラアルキルアンモニウムイオン;1,3−ジメチルイミダゾリウム、1,2,3−トリメチルイミダゾリウム、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム等のイミダゾリウムイオン;1,2−ジメチルピラゾリウム、1−メチル−2−エチルピラゾリウム、1−プロピル−2−メチルピラゾリウム、1−メチル−2−ブチルピラゾリウム等のピラゾリウムイオン;N−メチルピリジニウム、N−エチルピリジニウム、N−プロピルピリジニウム、N−ブチルピリジニウム等のピリジニウムイオン;1−メチルトリアゾリウム、1−エチルトリアゾリウム、1−プロピルトリアゾリウム、1−ブチルトリアゾリウム等のトリアゾリウムイオン;1−メチルピリダジニウム、1−エチルピリダジニウム、1−プロピルピリダジニウム、1−ブチルピリダジニウム等のピリダジニウムイオン;1,2−ジメチルチアゾリウム、1,2−ジメチル−3−プロピルチアゾリウム等のチアゾリウムイオン;1−エチル−2−メチルオキサゾリウム、1,3−ジメチルオキサゾリウム等のオキサゾリウムイオン;1,2−ジメチルピリミジニウム、1−メチル−3−プロピルピリミジニウム等のピリミジニウムイオン;1−エチル−2−メチルピラジニウム、1−ブチルピラジニウム等のピラジニウムイオン等が挙げられる。
第1〜3級アンモニウムイオンとしては、モノメチルアンモニウム、モノエチルアンモニウム、デシルアンモニウム、ドデシルアンモニウム、オクタデシルアンモニウム、ジメチルアンモニウム、ジエチルアンモニウム、メチルドデシルアンモニウム、メチルオクタデシルアンモニウム、トリメチルアンモニウム、トリエチルアンモニウム、ジメチルドデシルアンモニウム、ジメチルオクタデシルアンモニウム等のアルキルアンモニウムイオン;モノメタノールアンモニウム、モノエタノールアンモニウム、ジメタノールアンモニウム、ジエタノールアンモニウム、トリメタノールアンモニウム、トリエタノールアンモニウム等のアルカノールアンモニウムイオン等が挙げられる。
例えば、ジフルオロリン酸塩組成物の製造方法としては、ジフルオロリン酸イオンとモノフルオロリン酸イオンの含有量が上記範囲内となるように、ジフルオロリン酸塩とモノフルオロリン酸塩を混合して組成物としても良い。この場合、ジフルオロリン酸塩のカチオンと、モノフルオロリン酸塩のカチオンは、同一でも、異なっていても良い。また、ジフルオロリン酸塩及びモノフルオロリン酸塩は、それぞれ1種を用いてもよく、どちらか一方を1種と他方を2種以上、両方を2種以上併用しても良い。また、必要に応じて、得られたジフルオロリン酸塩組成物を精製しても良い。精製方法は特に限定されず、洗浄や再結晶等の方法を用いる事ができる。
ジフルオロリン酸塩の製造方法としては、例えば五酸化ニリン(P2O5)とフッ化アンモニウム(NH4F)やフッ化ナトリウム(NaF)、フッ化リチウム(LiF)等を反応させてジフルオロリン酸塩を得る方法、無水ジフルオロリン酸(P2O3F4)と酸化物(例えばLi2O)や水酸化物(例えばLiOH)等と反応させてジフルオロリン酸塩を得る方法、六フッ化リン酸カリウム(KPF6)とメタリン酸カリウム((KPO3)n)を混合融解させてジフルオロリン酸カリウムを得る方法、リン酸二水素カリウム(KH2PO4)とフッ化アンモニウム(NH4F)を融解、反応させて、ジフルオロリン酸カリウムを得る方法、六フッ化リン酸塩或いは5フッ化リン(PF5)と、メタリン酸塩、二酸化ケイ素(SiO2)、或いは炭酸塩のいずれか1種と反応させてジフルオロリン酸塩を得る方法、六フッ化リン酸塩とSi−O−Si結合を有する化合物とを有機電解液中で反応させてジフルオロリン酸塩を得る方法、ハロゲン化合物とジフルオロリン酸を反応させてジフルオロリン酸塩を得る方法等いずれも好適に用いることができる。得られたジフルオロリン酸塩を、さらに精製しても良い。精製方法は特に限定されず、洗浄や再結晶等の方法を用いることができる。
モノフルオロリン酸塩の製造方法としては、例えばメタリン酸塩とフッ化物を反応させてモノフルオロリン酸塩を得る方法、リン酸と酸性フッ化物を反応させてモノフルオロリン酸塩を得る方法、ハロゲン化合物や炭酸塩とモノフルオロリン酸を反応させてモノフルオロリン酸塩を得る方法等いずれも好適に用いることができる。得られたジフルオロリン酸塩を、さらに精製しても良い。精製方法は特に限定されず、洗浄や再結晶等の方法を用いることができる。
本発明の非水系電解液は、上記ジフルオロリン酸塩組成物と、電解質と、非水系溶媒を含むものである。
非水系電解液中のジフルオロリン酸塩組成物の含有量は、非水系電解液全体100質量%に対して、好ましくは0.001〜10質量%、より好ましくは0.01〜5質量%、更に好ましくは0.05〜3質量%、特に更に好ましくは0.1〜3質量%である。
非水系電解液中のジフルオロリン酸塩組成物の含有量が上記範囲内であると、低温放電特性、大電流放電特性、高温保存特性、サイクル特性に優れた電池を得ることができる。
非水系電解液中のジフルオロリン酸塩組成物の含有量が0.001質量%未満であると、低温放電率や大電流放電特性等の電池特性の改善効果が得られ難い場合があり、10質量%を越えると、充放電効率の低下を招く場合がある。
非水系電解液中の遊離酸分(HF)は、好ましくは1.0〜200ppm、より好ましくは1.2〜100ppm、更に好ましくは1.5〜50ppmである。
非水系電解液中の遊離酸分(HF)が上記範囲内であると、電池の抵抗値を上げることなく、電池特性改善効果が得られるため好ましい。
本発明の非水系電解液に用いる電解質としては、特に制限はされず、公知の電解液を任意に採用して用いることができる。なお、本発明の非水系電解液を非水系電解液二次電池に用いる場合には、電解質は、リチウム塩が好ましい。
LiClO4、
LiAsF6、
LiPF6、
Li2CO3、
LiBF4等の無機リチウム塩;
LiCF3SO3、
LiN(CF3SO2)2、
LiN(C2F5SO2)2、
LiN(CF3SO2)(C4F9SO2)、
リチウム環状1,2−エタンジスルホニルイミド、
リチウム環状1,3−プロパンジスルホニルイミド、
リチウム環状1,2−パーフルオロエタンジスルホニルイミド、
リチウム環状1,3−パーフルオロプロパンジスルホニルイミド、
リチウム環状1,4−パーフルオロブタンジスルホニルイミド
LiC(CF3SO2)3、
LiPF4(CF3)2、
LiPF4(C2F5)2、
LiPF4(CF3SO2)2、
LiPF4(C2F5SO2)2、
LiBF3(CF3)、
LiBF3(C2F5)、
LiBF2(CF3)2、
LiBF2(C2F5)2、
LiBF2(CF3SO2)2、
LiBF2(C2F5SO2)2等の含フッ素有機リチウム塩;
リチウムビス(オキサラト)ボレート、
リチウムジフルオロオキサラトボレート、
リチウムテトラフルオロ(オキサラト)フォスフェート、
リチウムジフルオロビス(オキサラト)フォスフェート、
リチウムトリス(オキサラト)フォスフェート等の含ジカルボン酸錯体リチウム塩;
KPF6、
NaPF6、
NaBF4、
CF3SO3Na等のナトリウム塩又はカリウム塩等が挙げられる。
本発明の非水系電解液が含有する非水系溶媒は、電池とした時に電池特性に対して悪影響を及ぼさない溶媒であれば特に制限されないが、以下に掲げる非水系電解液に用いられる溶媒の内の1種以上であることが好ましい。
鎖状及び環状カーボネート、
鎖状及び環状カルボン酸エステル、
鎖状及び環状エーテル、
含リン有機溶媒、
含硫黄有機溶媒、等が挙げられる。
ジメチルカーボネート、
エチルメチルカーボネート、
ジエチルカーボネート、
メチル−n−プロピルカーボネート、
エチル−n−プロピルカーボネート、
ジ−n−プロピルカーボネート、等が挙げられる。
エチレンカーボネート、
プロピレンカーボネート、
ブチレンカーボネート(2−エチルエチレンカーボネート、シス及びトランス2,3−ジメチルエチレンカーボネート)、等が挙げられる。
酢酸メチル、
酢酸エチル、
酢酸−n−プロピル、
酢酸−i−プロピル、
酢酸−n−ブチル、
酢酸−i−ブチル、
酢酸−t−ブチル、
プロピオン酸メチル、
プロピオン酸エチル、
プロピオン酸−n−プロピル、
プロピオン酸−i−プロピル、
プロピオン酸−n−ブチル、
プロピオン酸−i−ブチル、
プロピオン酸−t−ブチル
酪酸メチル、
酪酸エチル、等が挙げられる。
γ−バレロラクトン、
δ−バレロラクトン、等が挙げられる。
ジメトキシメタン、
ジメトキシエタン、
ジエトキシメタン、
ジエトキシエタン、
エトキシメトキシメタン、
エトキシメトキシエタン、等が挙げられる。
テトラヒドロフラン、
2−メチルテトラヒドロフラン、
テトラヒドロピラン等が挙げられる。
リン酸トリメチル、
リン酸トリエチル、
リン酸トリフェニル、等のリン酸エステル類;
亜リン酸トリメチル、
亜リン酸トリエチル、
亜リン酸トリフェニル、等の亜リン酸エステル類;
トリメチルホスフィンオキシド、
トリエチルホスフィンオキシド、
トリフェニルホスフィンオキシド等のホスフィンオキシド類等が挙げられる。
エチレンサルファイト、
1,3−プロパンスルトン、
1,4−ブタンスルトン、
メタンスルホン酸メチル、
ブスルファン、
スルホラン、
スルホレン、
ジメチルスルホン、
ジフェニルスルホン、
メチルフェニルスルホン、
ジブチルジスルフィド、
ジシクロヘキシルジスルフィド、
テトラメチルチウラムモノスルフイド、
N,N−ジメチルメタンスルホンアミド、
N,N−ジエチルメタンスルホンアミド等が挙げられる。
中でも、非水系溶媒に占めるエチレンカーボネートとγ−ブチロラクトンとの合計が、80容量%以上、好ましくは90容量%以上であり、且つエチレンカーボネートとγ−ブチロラクトンとの容量比が5:95〜45:55であるもの、又はエチレンカーボネートとプロピレンカーボネートとの合計が、80容量%以上、好ましくは90容量%以上であり、且つエチレンカーボネートとプロピレンカーボネートの容量比が30:70〜80:20であるものを用いると、一般にサイクル特性と放電負荷特性等のバランスがよくなる。
本発明の非水系電解液は、本発明の効果を著しく損なわない範囲において、各種の添加剤を含有していてもよい。添加剤を追加して調製処理を行う場合は、従来公知のものを任意に用いることができる。なお、添加剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の比率で任意に組み合わせて用いてもよい。
特定カーボネートは、不飽和結合及びハロゲン原子のうち少なくとも一方を有するカーボネートであるが、特定カーボネートは、不飽和結合のみを有していてもよく、ハロゲン原子のみを有していてもよく、不飽和結合及びハロゲン原子の双方を有していてもよい。
本発明に係る特定カーボネートのうち、不飽和結合を有するカーボネート(以下、「不飽和カーボネート」と略記する場合がある)としては、炭素−炭素二重結合や炭素−炭素三重結合等の炭素−炭素不飽和結合を有するカーボネートであればその他に制限は無く、任意の不飽和カーボネートを用いることができる。なお、芳香環を有するカーボネートも、不飽和結合を有するカーボネートに含まれるものとする。
ビニレンカーボネート、
メチルビニレンカーボネート、
4,5−ジメチルビニレンカーボネート、
フェニルビニレンカーボネート、
4,5−ジフェニルビニレンカーボネート、
カテコールカーボネート、等が挙げられる。
ビニルエチレンカーボネート、
4,5−ジビニルエチレンカーボネート、
フェニルエチレンカーボネート、
4,5−ジフェニルエチレンカーボネート、等が挙げられる。
ジフェニルカーボネート、
エチルフェニルカーボネート、
メチルフェニルカーボネート、
t−ブチルフェニルカーボネート、等が挙げられる。
ジビニルカーボネート、
メチルビニルカーボネート、等が挙げられる。
ジアリルカーボネート、
アリルメチルカーボネート、等が挙げられる。
一方、本発明に係る特定カーボネートのうち、ハロゲン原子を有するカーボネート(以下、「ハロゲン化カーボネート」と略記する場合がある)としては、ハロゲン原子を有するものであれば、その他に特に制限は無く、任意のハロゲン化カーボネートを用いることができる。
フルオロエチレンカーボネート、
クロロエチレンカーボネート、
4,4−ジフルオロエチレンカーボネート、
4,5−ジフルオロエチレンカーボネート、
4,4−ジクロロエチレンカーボネート、
4,5−ジクロロエチレンカーボネート、
4−フルオロ−4−メチルエチレンカーボネート、
4−クロロ−4−メチルエチレンカーボネート、
4,5−ジフルオロ−4−メチルエチレンカーボネート、
4,5−ジクロロ−4−メチルエチレンカーボネート、
4−フルオロ−5−メチルエチレンカーボネート、
4−クロロ−5−メチルエチレンカーボネート、
4,4−ジフルオロ−5−メチルエチレンカーボネート、
4,4−ジクロロ−5−メチルエチレンカーボネート、
4−(フルオロメチル)−エチレンカーボネート、
4−(クロロメチル)−エチレンカーボネート、
4−(ジフルオロメチル)−エチレンカーボネート、
4−(ジクロロメチル)−エチレンカーボネート、
4−(トリフルオロメチル)−エチレンカーボネート、
4−(トリクロロメチル)−エチレンカーボネート、
4−(フルオロメチル)−4−フルオロエチレンカーボネート、
4−(クロロメチル)−4−クロロエチレンカーボネート、
4−(フルオロメチル)−5−フルオロエチレンカーボネート、
4−(クロロメチル)−5−クロロエチレンカーボネート、
4−フルオロ−4,5−ジメチルエチレンカーボネート、
4−クロロ−4,5−ジメチルエチレンカーボネート、
4,5−ジフルオロ−4,5−ジメチルエチレンカーボネート、
4,5−ジクロロ−4,5−ジメチルエチレンカーボネート、
4,4−ジフルオロ−5,5−ジメチルエチレンカーボネート、
4,4−ジクロロ−5,5−ジメチルエチレンカーボネート等が挙げられる。
フルオロメチルメチルカーボネート、
ジフルオロメチルメチルカーボネート、
トリフルオロメチルメチルカーボネート、
ビス(フルオロメチル)カーボネート、
ビス(ジフルオロ)メチルカーボネート、
ビス(トリフルオロ)メチルカーボネート、
クロロメチルメチルカーボネート、
ジクロロメチルメチルカーボネート、
トリクロロメチルメチルカーボネート、
ビス(クロロメチル)カーボネート、
ビス(ジクロロ)メチルカーボネート、
ビス(トリクロロ)メチルカーボネート等が挙げられる。
2−フルオロエチルメチルカーボネート、
エチルフルオロメチルカーボネート、
2,2−ジフルオロエチルメチルカーボネート、
2−フルオロエチルフルオロメチルカーボネート、
エチルジフルオロメチルカーボネート、
2,2,2−トリフルオロエチルメチルカーボネート、
2,2−ジフルオロエチルフルオロメチルカーボネート、
2−フルオロエチルジフルオロメチルカーボネート、
エチルトリフルオロメチルカーボネート、
2−クロロエチルメチルカーボネート、
エチルクロロメチルカーボネート、
2,2−ジクロロエチルメチルカーボネート、
2−クロロエチルクロロメチルカーボネート、
エチルジクロロメチルカーボネート、
2,2,2−トリクロロエチルメチルカーボネート、
2,2−ジクロロエチルクロロメチルカーボネート、
2−クロロエチルジクロロメチルカーボネート、
エチルトリクロロメチルカーボネート等が挙げられる。
エチル−(2−フルオロエチル)カーボネート、
エチル−(2,2−ジフルオロエチル)カーボネート、
ビス(2−フルオロエチル)カーボネート、
エチル−(2,2,2−トリフルオロエチル)カーボネート、
2,2−ジフルオロエチル−2’−フルオロエチルカーボネート、
ビス(2,2−ジフルオロエチル)カーボネート、
2,2,2−トリフルオロエチル−2’−フルオロエチルカーボネート、
2,2,2−トリフルオロエチル−2’,2’−ジフルオロエチルカーボネート、
ビス(2,2,2−トリフルオロエチル)カーボネート、
エチル−(2−クロロエチル)カーボネート、
エチル−(2,2−ジクロロエチル)カーボネート、
ビス(2−クロロエチル)カーボネート、
エチル−(2,2,2−トリクロロエチル)カーボネート、
2,2−ジクロロエチル−2’−クロロエチルカーボネート、
ビス(2,2−ジクロロエチル)カーボネート、
2,2,2−トリクロロエチル−2’−クロロエチルカーボネート、
2,2,2−トリクロロエチル−2’,2’−ジクロロエチルカーボネート、
ビス(2,2,2−トリクロロエチル)カーボネート等が挙げられる。
更に、特定カーボネートとしては、不飽和結合とハロゲン原子とを共に有するカーボネート(これを適宜「ハロゲン化不飽和カーボネート」と略称する。)を用いることもできる。ハロゲン化不飽和カーボネートとしては、特に制限は無く、本発明の効果を著しく損なわない限り、任意のハロゲン化不飽和カーボネートを用いることができる。
フルオロビニレン、
4−フルオロ−5−メチルビニレンカーボネート、
4−フルオロ−5−フェニルビニレンカーボネート、
4−(トリフルオロメチル)ビニレンカーボネート
クロロビニレンカーボネート、
4−クロロ−5−メチルビニレンカーボネート、
4−クロロ−5−フェニルビニレンカーボネート、
4−(トリクロロメチル)ビニレンカーボネート
等が挙げられる。
4−フルオロ−4−ビニルエチレンカーボネート、
4−フルオロ−5−ビニルエチレンカーボネート、
4,4−ジフルオロ−4−ビニルエチレンカーボネート、
4,5−ジフルオロ−4−ビニルエチレンカーボネート、
4−クロロ−5−ビニルエチレンカーボネート、
4,4−ジクロロ−4−ビニルエチレンカーボネート、
4,5−ジクロロ−4−ビニルエチレンカーボネート、
4−フルオロ−4,5−ジビニルエチレンカーボネート、
4,5−ジフルオロ−4,5−ジビニルエチレンカーボネート、
4−クロロ−4,5−ジビニルエチレンカーボネート、
4,5−ジクロロ−4,5−ジビニルエチレンカーボネート、
4−フルオロ−4−フェニルエチレンカーボネート、
4−フルオロ−5−フェニルエチレンカーボネート、
4,4−ジフルオロ−5−フェニルエチレンカーボネート、
4,5−ジフルオロ−4−フェニルエチレンカーボネート、
4−クロロ−4−フェニルエチレンカーボネート、
4−クロロ−5−フェニルエチレンカーボネート、
4,4−ジクロロ−5−フェニルエチレンカーボネート、
4,5−ジクロロ−4−フェニルエチレンカーボネート、
4,5−ジフルオロ−4,5−ジフェニルエチレンカーボネート、
4,5−ジクロロ−4,5−ジフェニルエチレンカーボネート等が挙げられる。
フルオロメチルフェニルカーボネート、
2−フルオロエチルフェニルカーボネート、
2,2−ジフルオロエチルフェニルカーボネート、
2,2,2−トリフルオロエチルフェニルカーボネート、
クロロメチルフェニルカーボネート、
2−クロロエチルフェニルカーボネート、
2,2−ジクロロエチルフェニルカーボネート、
2,2,2−トリクロロエチルフェニルカーボネート等が挙げられる。
フルオロメチルビニルカーボネート、
2−フルオロエチルビニルカーボネート、
2,2−ジフルオロエチルビニルカーボネート、
2,2,2−トリフルオロエチルビニルカーボネート、
クロロメチルビニルカーボネート、
2−クロロエチルビニルカーボネート、
2,2−ジクロロエチルビニルカーボネート、
2,2,2−トリクロロエチルビニルカーボネート等が挙げられる。
フルオロメチルアリルカーボネート、
2−フルオロエチルアリルカーボネート、
2,2−ジフルオロエチルアリルカーボネート、
2,2,2−トリフルオロエチルアリルカーボネート、
クロロメチルアリルカーボネート、
2−クロロエチルアリルカーボネート、
2,2−ジクロロエチルアリルカーボネート、
2,2,2−トリクロロエチルアリルカーボネート等が挙げられる。
以下、特定カーボネート以外の添加剤について説明する。特定カーボネート以外の添加剤としては、過充電防止剤、高温保存後の容量維持特性やサイクル特性を改善するための助剤等が挙げられる。
過充電防止剤の具体例としては、
トルエン、
キシレン、等のトルエン誘導体;
ビフェニル、
2−メチルビフェニル、
3−メチルビフェニル、
4−メチルビフェニル等、の無置換あるいはアルキル基で置換されたビフェニル誘導体;
o−ターフェニル、
m−ターフェニル、
p−ターフェニル、等の無置換あるいはアルキル基で置換されたターフェニル誘導体;
無置換あるいはアルキル基で置換されたターフェニル誘導体の部分水素化物;
シクロペンチルベンゼン、
シクロヘキシルベンゼン、等のシクロアルキルベンゼン誘導体;
クメン、
1,3−ジイソプロピルベンゼン、
1,4−ジイソプロピルベンゼン、等のベンゼン環に直接結合する第3級炭素を有するアルキルベンゼン誘導体;
t−ブチルベンゼン、
t−アミルベンゼン、
t−ヘキシルベンゼン、等のベンゼン環に直接結合する第4級炭素を有するアルキルベンゼン誘導体;
ジフェニルエーテル、
ジベンゾフラン、等の酸素原子を有する芳香族化合物;
等の芳香族化合物が挙げられる。
フルオロベンゼン、
フルオロトルエン、
ベンゾトリフルオリド、
2−フルオロビフェニル、
o−シクロヘキシルフルオロベンゼン、
p−シクロヘキシルフルオロベンゼン、等の前記芳香族化合物の部分フッ素化物;
2,4−ジフルオロアニソール、
2,5−ジフルオロアニソール、
1,6−ジフルオロアニオール、等の含フッ素アニソール化合物;
等も挙げられる。
トルエン誘導体とビフェニル誘導体;
トルエン誘導体とターフェニル誘導体;
トルエン誘導体とターフェニル誘導体の部分水素化物;
トルエン誘導体とシクロアルキルベンゼン誘導体;
トルエン誘導体とベンゼン環に直接結合する第3級炭素を有するアルキルベンゼン誘導体;
トルエン誘導体とベンゼン環に直接結合する第4級炭素を有するアルキルベンゼン誘導体;
トルエン誘導体と酸素原子を有する芳香族化合物;
トルエン誘導体と芳香族化合物の部分フッ素化物;
トルエン誘導体と含フッ素アニソール化合物;
ビフェニル誘導体とターフェニル誘導体の部分水素化物;
ビフェニル誘導体とシクロアルキルベンゼン誘導体;
ビフェニル誘導体とベンゼン環に直接結合する第3級炭素を有するアルキルベンゼン誘導体;
ビフェニル誘導体とベンゼン環に直接結合する第4級炭素を有するアルキルベンゼン誘導体;
ビフェニル誘導体と酸素原子を有する芳香族化合物;
ビフェニル誘導体と芳香族化合物の部分フッ素化物;
ビフェニル誘導体と含フッ素アニソール化合物;
ターフェニル誘導体とシクロアルキルベンゼン誘導体;
ターフェニル誘導体とベンゼン環に直接結合する第3級炭素を有するアルキルベンゼン誘導体;
ターフェニル誘導体とベンゼン環に直接結合する第4級炭素を有するアルキルベンゼン誘導体;
ターフェニル誘導体と酸素原子を有する芳香族化合物;
ターフェニル誘導体と芳香族化合物の部分フッ素化物;
ターフェニル誘導体と含フッ素アニソール化合物;
ターフェニル誘導体の部分水素化物とシクロアルキルベンゼン誘導体;
ターフェニル誘導体の部分水素化物とベンゼン環に直接結合する第3級炭素を有するアルキルベンゼン誘導体;
ターフェニル誘導体の部分水素化物とベンゼン環に直接結合する第4級炭素を有するアルキルベンゼン誘導体;
ターフェニル誘導体の部分水素化物と酸素原子を有する芳香族化合物;
ターフェニル誘導体の部分水素化物と芳香族化合物の部分フッ素化物;
ターフェニル誘導体の部分水素化物と含フッ素アニソール化合物;
シクロアルキルベンゼン誘導体とベンゼン環に直接結合する第4級炭素を有するアルキルベンゼン誘導体;
シクロアルキルベンゼン誘導体と酸素原子を有する芳香族化合物;
シクロアルキルベンゼン誘導体と芳香族化合物の部分フッ素化物;
シクロアルキルベンゼン誘導体と含フッ素アニソール化合物;
ベンゼン環に直接結合する第3級炭素を有するアルキルベンゼン誘導体と酸素原子を有する芳香族化合物;
ベンゼン環に直接結合する第3級炭素を有するアルキルベンゼン誘導体と芳香族化合物の部分フッ素化物;
ベンゼン環に直接結合する第3級炭素を有するアルキルベンゼン誘導体と含フッ素アニソール化合物;
ベンゼン環に直接結合する第4級炭素を有するアルキルベンゼン誘導体と酸素原子を有する芳香族化合物;
ベンゼン環に直接結合する第4級炭素を有するアルキルベンゼン誘導体と芳香族化合物の部分フッ素化物;
ベンゼン環に直接結合する第4級炭素を有するアルキルベンゼン誘導体と含フッ素アニソール化合物;
酸素原子を有する芳香族化合物と含フッ素アニソール化合物;
が挙げられる。
ビフェニルとo−ターフェニルとの組合せ、
ビフェニルとm−ターフェニルとの組合せ、
ビフェニルとターフェニル誘導体の部分水素化物との組合せ、
ビフェニルとクメンとの組合せ、
ビフェニルとシクロペンチルベンゼンとの組合せ、
ビフェニルとシクロヘキシルベンゼンとの組合せ、
ビフェニルとt−ブチルベンゼンとの組合せ、
ビフェニルとt−アミルベンゼンとの組合せ、
ビフェニルとジフェニルエーテルとの組合せ、
ビフェニルとジベンゾフランとの組合せ、
ビフェニルとフルオロベンゼンとの組合せ、
ビフェニルとベンゾトリフルオリドとの組合せ、
ビフェニルと2−フルオロビフェニルとの組合せ、
ビフェニルとo−フルオロシクロヘキシルベンゼンとの組合せ、
ビフェニルとp−フルオロシクロヘキシルベンゼンとの組合せ、
ビフェニルと2,4−ジフルオロアニソールとの組合せ、
o−ターフェニルとクメンとの組合せ、
o−ターフェニルとシクロペンチルベンゼンとの組合せ、
o−ターフェニルとシクロヘキシルベンゼンとの組合せ、
o−ターフェニルとt−ブチルベンゼンとの組合せ、
o−ターフェニルとt−アミルベンゼンとの組合せ、
o−ターフェニルとジフェニルエーテルとの組合せ、
o−ターフェニルとジベンゾフランとの組合せ、
o−ターフェニルとフルオロベンゼンとの組合せ、
o−ターフェニルとベンゾトリフルオリドとの組合せ、
o−ターフェニルと2−フルオロビフェニルとの組合せ、
o−ターフェニルとo−フルオロシクロヘキシルベンゼンとの組合せ、
o−ターフェニルとp−フルオロシクロヘキシルベンゼンとの組合せ、
o−ターフェニルと2,4−ジフルオロアニソールとの組合せ、
m−ターフェニルとクメンとの組合せ、
m−ターフェニルとシクロペンチルベンゼンとの組合せ、
m−ターフェニルとシクロヘキシルベンゼンとの組合せ、
m−ターフェニルとt−ブチルベンゼンとの組合せ、
m−ターフェニルとt−アミルベンゼンとの組合せ、
m−ターフェニルとジフェニルエーテルとの組合せ、
m−ターフェニルとジベンゾフランとの組合せ、
m−ターフェニルとフルオロベンゼンとの組合せ、
m−ターフェニルとベンゾトリフルオリドとの組合せ、
m−ターフェニルと2−フルオロビフェニルとの組合せ、
m−ターフェニルとo−フルオロシクロヘキシルベンゼンとの組合せ、
m−ターフェニルとp−フルオロシクロヘキシルベンゼンとの組合せ、
m−ターフェニルと2,4−ジフルオロアニソールとの組合せ、
ターフェニル誘導体の部分水素化物とシクロペンチルベンゼンとの組合せ、
ターフェニル誘導体の部分水素化物とシクロヘキシルベンゼンとの組合せ、
ターフェニル誘導体の部分水素化物とt−ブチルベンゼンとの組合せ、
ターフェニル誘導体の部分水素化物とt−アミルベンゼンとの組合せ、
ターフェニル誘導体の部分水素化物とジフェニルエーテルとの組合せ、
ターフェニル誘導体の部分水素化物とジベンゾフランとの組合せ、
ターフェニル誘導体の部分水素化物とフルオロベンゼンとの組合せ、
ターフェニル誘導体の部分水素化物とベンゾトリフルオリドとの組合せ、
ターフェニル誘導体の部分水素化物と2−フルオロビフェニルとの組合せ、
ターフェニル誘導体の部分水素化物とo−フルオロシクロヘキシルベンゼンとの組合せ、
ターフェニル誘導体の部分水素化物とp−フルオロシクロヘキシルベンゼンとの組合せ、
ターフェニル誘導体の部分水素化物と2,4−ジフルオロアニソールとの組合せ、
クメンとシクロヘキシルベンゼンとの組合せ、
クメンとt−ブチルベンゼンとの組合せ、
クメンとt−アミルベンゼンとの組合せ、
クメンとジフェニルエーテルとの組合せ、
クメンとジベンゾフランとの組合せ、
クメンとフルオロベンゼンとの組合せ、
クメンとベンゾトリフルオリドとの組合せ、
クメンと2−フルオロビフェニルとの組合せ、
クメンとo−フルオロシクロヘキシルベンゼンとの組合せ、
クメンとp−フルオロシクロヘキシルベンゼンとの組合せ、
クメンと2,4−ジフルオロアニソールとの組合せ、
シクロヘキシルベンゼンとt−アミルベンゼンとの組合せ、
シクロヘキシルベンゼンとジフェニルエーテルとの組合せ、
シクロヘキシルベンゼンとジベンゾフランとの組合せ、
シクロヘキシルベンゼンとフルオロベンゼンとの組合せ、
シクロヘキシルベンゼンとベンゾトリフルオリドとの組合せ、
シクロヘキシルベンゼンと2−フルオロビフェニルとの組合せ、
シクロヘキシルベンゼンとo−フルオロシクロヘキシルベンゼンとの組合せ、
シクロヘキシルベンゼンとp−フルオロシクロヘキシルベンゼンとの組合せ、
シクロヘキシルベンゼンと2,4−ジフルオロアニソールとの組合せ、
t−ブチルベンゼンとジフェニルエーテルとの組合せ、
t−ブチルベンゼンとジベンゾフランとの組合せ、
t−ブチルベンゼンとフルオロベンゼンとの組合せ、
t−ブチルベンゼンとベンゾトリフルオリドとの組合せ、
t−ブチルベンゼンと2−フルオロビフェニルとの組合せ、
t−ブチルベンゼンとo−フルオロシクロヘキシルベンゼンとの組合せ、
t−ブチルベンゼンとp−フルオロシクロヘキシルベンゼンとの組合せ、
t−ブチルベンゼンと2,4−ジフルオロアニソールとの組合せ、
t−アミルベンゼンとジベンゾフランとの組合せ、
t−アミルベンゼンとフルオロベンゼンとの組合せ、
t−アミルベンゼンとベンゾトリフルオリドとの組合せ、
t−アミルベンゼンと2−フルオロビフェニルとの組合せ、
t−アミルベンゼンとo−フルオロシクロヘキシルベンゼンとの組合せ、
t−アミルベンゼンとp−フルオロシクロヘキシルベンゼンとの組合せ、
t−アミルベンゼンと2,4−ジフルオロアニソールとの組合せ、
ジフェニルエーテルとフルオロベンゼンとの組合せ、
ジフェニルエーテルとベンゾトリフルオリドとの組合せ、
ジフェニルエーテルと2−フルオロビフェニルとの組合せ、
ジフェニルエーテルとo−フルオロシクロヘキシルベンゼンとの組合せ、
ジフェニルエーテルとp−フルオロシクロヘキシルベンゼンとの組合せ、
ジフェニルエーテルと2,4−ジフルオロアニソールとの組合せ、
ジベンゾフランとベンゾトリフルオリドとの組合せ、
ジベンゾフランと2−フルオロビフェニルとの組合せ、
ジベンゾフランとo−フルオロシクロヘキシルベンゼンとの組合せ、
ジベンゾフランとp−フルオロシクロヘキシルベンゼンとの組合せ、
ジベンゾフランと2,4−ジフルオロアニソールとの組合せ、
フルオロベンゼンと2−フルオロビフェニルとの組合せ、
フルオロベンゼンとo−フルオロシクロヘキシルベンゼンとの組合せ、
フルオロベンゼンとp−フルオロシクロヘキシルベンゼンとの組合せ、
フルオロベンゼンと2,4−ジフルオロアニソールとの組合せ、
ベンゾトリフルオリドとo−フルオロシクロヘキシルベンゼンとの組合せ、
ベンゾトリフルオリドとp−フルオロシクロヘキシルベンゼンとの組合せ、
ベンゾトリフルオリドと2,4−ジフルオロアニソールとの組合せ、
2−フルオロビフェニルとp−フルオロシクロヘキシルベンゼンとの組合せ、
2−フルオロビフェニルと2,4−ジフルオロアニソールとの組合せ、
o−フルオロシクロヘキシルベンゼンと2,4−ジフルオロアニソールとの組合せ、
p−フルオロシクロヘキシルベンゼンと2,4−ジフルオロアニソールとの組合せ、
等が挙げられる。
一方、高温保存後の容量維持特性やサイクル特性を改善するための助剤の具体例としては、
コハク酸、マレイン酸、フタル酸等のジカルボン酸の無水物;
エリスリタンカーボネート、
スピロービスージメチレンカーボネート等の特定カーボネートに該当するもの以外のカーボネート化合物;
エチレンサルファイト、
1,3−プロパンスルトン、
1,4−ブタンスルトン、
メタンスルホン酸メチル、
ブスルファン、
スルホラン、
スルホレン、
ジメチルスルホン、
ジフェニルスルホン、
メチルフェニルスルホン、
ジブチルジスルフィド、
ジシクロヘキシルジスルフィド、
テトラメチルチウラムモノスルフイド、
N,N−ジメチルメタンスルホンアミド、
N,N−ジエチルメタンスルホンアミド、等の含硫黄化合物;
1−メチル−2−ピロリジノン、
1−メチル−2−ピペリドン、
3−メチル−2−オキサゾリジノン、
1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、
N−メチルスクシイミド、
マロノニトリル
スクシノニトリル、
アジポニトリル、
ピメロニトリル、
ドデカンジニトリル、
ラウロニトリル、等の含窒素化合物;
ヘプタン、
オクタン、
シクロヘプタン、等の炭化水素化合物;
フルオロベンゼン、
ジフルオロベンゼン、
ベンゾトリフルオライド、等の含フッ素芳香族化合物等が挙げられる。
本発明の非水系電解液二次電池は、イオンを吸蔵及び放出し得る負極及び正極と前記の本発明非水系電解液とを備えるものである。
本発明の非水系電解液電池は、非水系電解液以外の構成については、従来公知の非水系電解液二次電池と同様であり、通常は、本発明の非水系電解液が含浸されている多孔膜(セパレータ)を介して正極と負極とが積層され、これらがケース(外装体)に収納された形態を有する。従って、本発明の非水系電解液電池の形状は特に制限されるものではなく、円筒型、角形、ラミネート型、コイン型、大型等の何れであってもよい。また、一次電池にも二次電池にも好適である。
非水系電解液としては、上述の本発明の非水系電解液を用いる。なお、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、本発明の非水系電解液に対し、その他の非水系電解液を混合して用いることも可能である。
以下に負極に使用される負極活物質について述べる。負極活物質としては、電気化学的にイオンを吸蔵・放出可能なものであれば、特に制限はない。その具体例としては、炭素質材料、合金系材料、リチウム含有金属複合酸化物材料等が挙げられる。
負極活物質として用いられる炭素質材料としては、
(1)天然黒鉛、
(2)人造炭素質物質及び人造黒鉛質物質を400〜3200℃の範囲で1回以上熱処理した炭素質材料、
(3)負極活物質層が少なくとも2種類以上の異なる結晶性を有する炭素質から成る炭素質材料、又はその異なる2種類の結晶性の炭素質が接する界面を有している炭素質材料、(4)負極活物質層が少なくとも2種類以上の異なる配向性を有する炭素質から成る炭素質材料、又は、その異なる2種類の配向性の炭素質が接する界面を有している炭素質材料、
から選ばれるものが初期不可逆容量、高電流密度充放電特性のバランスが良く好ましい。また、(1)〜(4)の炭素質材料は1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
炭素質材料についての性質や炭素質材料を含有する負極電極及び電極化手法、集電体、非水系電解液二次電池については、次に示す(1)〜(21)の何れか1項又は複数項を同時に満たしていることが望ましい。
炭素質材料の学振法によるX線回折で求めた格子面(002面)のd値(層間距離)が、0.335nm以上であることが好ましく、また、通常0.360nm以下であり、0.350nm以下が好ましく、0.345nm以下が更に好ましい。また、学振法によるX線回折で求めた結晶子サイズ(Lc)は、通常1.0nm以上、好ましくは1.5nm以上、特に好ましくは2nm以上である。
炭素質材料中に含まれる灰分は、炭素質材料の全質量に対して、1.0質量%以下、中でも0.5質量%以下、特に0.1質量%以下が好ましく、下限としては1ppm以上であることが好ましい。灰分の重量割合が上記の範囲を上回ると、充放電時の非水系電解液との反応による電池性能の劣化が無視できなくなる場合がある。また、上記範囲を下回ると、製造に多大な時間とエネルギーと汚染防止のための設備とを必要とし、コストが上昇する場合がある。
炭素質材料の体積基準平均粒径は、レーザー回折・散乱法により求めた体積基準の平均粒径(メジアン径)が、1〜100μm、好ましくは3〜50μm、より好ましくは5〜40μm、更に好ましくは7〜30μm、特に好ましくは7〜25μmである。体積基準の平均粒径が1μm未満であると、不可逆容量が増大して、初期の電池容量の損失を招くことになる場合がある。一方、100μmを超えると、塗布により電極を作製する際に、不均一な塗面になりやすく、電池製作工程上望ましくない場合がある。
炭素質材料のラマンR値は、アルゴンイオンレーザーラマンスペクトル法を用いて測定した値が、好ましくは0.01〜1.5、より好ましくは0.03〜1.2、更に好ましくは0.1〜0.5である。
・アルゴンイオンレーザー波長 :514.5nm
・試料上のレーザーパワー :15〜25mW
・分解能 :10〜20cm−1
・測定範囲 :1100cm−1〜1730cm−1
・ラマンR値、ラマン半値幅解析:バックグラウンド処理
・スムージング処理 :単純平均、コンボリューション5ポイント
炭素質材料のBET比表面積は、BET法を用いて測定した比表面積の値が、好ましくは0.1〜100m2・g−1であり、より好ましくは0.7〜25m2・g−1以上、更に好ましくは1.0〜15m2・g−1以上、特に好ましくは1.5〜10m2・g−1以上である。
炭素質材料の細孔径分布は、水銀圧入量の測定することによって算出される。水銀ポロシメトリー(水銀圧入法)を用いることで、炭素質材料の粒子内の空隙、粒子表面のステップによる凹凸、及び粒子間の接触面等による細孔が、直径0.01μm以上1μm以下の細孔に相当すると測定される炭素質材料が、好ましくは通常0.01〜0.6cm3・g−1、より好ましくは0.05〜0.4cm3・g−1、更に好ましくは0.1〜0.3cm3・g−1細孔径分布を有することが望ましい。
炭素質材料の球形の程度として円形度を測定した場合、以下の範囲に収まることが好ましい。なお、円形度は、「円形度=(粒子投影形状と同じ面積を持つ相当円の周囲長)/(粒子投影形状の実際の周囲長)」で定義され、円形度が1のときに理論的真球となる。
炭素質材料の真密度は、好ましくは1.4g・cm−3以上、より好ましくは1.6g・cm−3以上、更に好ましくは1.8g・cm−3以上、特に好ましくは2.0g・cm−3以上、また、好ましくは2.26g・cm−3以下である。真密度が、上記範囲を下回ると炭素の結晶性が低すぎて初期不可逆容量が増大する場合がある。なお、上記範囲の上限は、黒鉛の真密度の理論上限値である。
炭素質材料のタップ密度は、好ましくは0.1〜2.0g・cm−3、より好ましくは0.5〜1.8g・cm−3、更に好ましくは0.7〜1.6g・cm−、特に好ましくは1.0〜1.6g・cm−3である。
炭素質材料の配向比は、通常0.005以上であり、0.01以上が好ましく、0.015以上が更に好ましく、また、通常0.67以下である。配向比が、上記範囲を下回ると、高密度充放電特性が低下する場合がある。なお、上記範囲の上限は、炭素質材料の配向比の理論上限値である。
・ターゲット:Cu(Kα線)グラファイトモノクロメーター
・スリット :
発散スリット=0.5度
受光スリット=0.15mm
散乱スリット=0.5度
・測定範囲及びステップ角度/計測時間:
(110)面:75度≦2θ≦80度 1度/60秒
(004)面:52度≦2θ≦57度 1度/60秒
炭素質材料のアスペクト比は、通常1以上、また、10以下であり、8以下が好ましく、5以下が更に好ましい。アスペクト比が、上記範囲を上回ると、極板化時にスジ引きや、均一な塗布面が得られず、高電流密度充放電特性が低下する場合がある。なお、上記範囲の下限は、炭素質材料のアスペクト比の理論下限値である。
副材混合とは、負極電極中及び/又は負極活物質中に性質の異なる炭素質材料が2種以上含有していることである。ここでいう性質とは、X線回折パラメータ、メジアン径、アスペクト比、BET比表面積、配向比、ラマンR値、タップ密度、真密度、細孔分布、円形度、灰分量の群から選ばれる1つ以上の特性を示す。
電極の製造は、本発明の効果を著しく制限しない限り、公知の何れの方法を用いることができる。例えば、負極活物質に、バインダー、溶媒、必要に応じて、増粘剤、導電材、充填材等を加えてスラリーとし、これを集電体に塗布、乾燥した後にプレスすることによって形成することができる。
負極活物質を保持させる集電体としては、公知のものを任意に用いることができる。負極の集電体としては、例えば、銅、ニッケル、ステンレス鋼、ニッケルメッキ鋼等の金属材料が挙げられるが、加工し易さとコストの点から特に銅が好ましい。
JISB0601−1994に記載の方法で規定される集電体基板の負極活物質薄膜形成面の平均表面粗さ(Ra)は、特に制限されないが、好ましくは0.05〜1.5μm、より好ましくは0.1〜1.3μm、更に好ましくは0.15〜1.0μmである。集電体基板の平均表面粗さ(Ra)が、上記の範囲内であると、良好な充放電サイクル特性が期待できるためである。また、負極活物質薄膜との界面の面積が大きくなり、負極活物質薄膜との密着性が向上する。なお、平均表面粗さ(Ra)の上限値は特に制限されるものではないが、平均表面粗さ(Ra)が1.5μmを超えるものは電池として実用的な厚みの箔としては一般に入手しにくいため、1.5μm以下のものが通常用いられる。
引張強度とは、試験片が破断に至るまでに要した最大引張力を、試験片の断面積で割ったものである。本発明における引張強度は、JISZ2241(金属材料引張試験方法)に記載と同様な装置及び方法で測定される。
0.2%耐力とは、0.2%の塑性(永久)歪みを与えるに必要な負荷の大きさであり、この大きさの負荷を加えた後に除荷しても0.2%変形していることを意味している。0.2%耐力は、引張り強度と同様な装置及び方法で測定される。
集電体の厚さは任意であるが、好ましくは1〜1000μm以上であり、より好ましくは3〜100μm、更に好ましくは5〜30μmである。金属皮膜の厚さが、1μm未満の厚さであると、強度が低下するため塗布が困難となる場合がある。また、100μmを超えると厚さであると、捲回等の電極の形を変形させる場合がある。なお、集電体は、メッシュ状でもよい。
集電体と負極活物質層の厚さの比は特には限定されないが、「(非水系電解液注液直前の片面の負極活物質層厚さ)/(集電体の厚さ)」の値が、好ましくは0.1〜150、より好ましくは0.4〜20、更に好ましくは1.0〜10である。
負極活物質を電極化した際の電極構造は特には限定されないが、集電体上に存在している負極活物質の密度は、好ましくは1.0〜2.0g・cm−3以上、より好ましくは1.2〜1.9g・cm−3、更に好ましくは1.3〜1.8g・cm−3以上、特に好ましくは1.3〜1.7g・cm−3である。集電体上に存在している負極活物質の密度が、上記範囲を上回ると、負極活物質粒子が破壊され、初期不可逆容量の増加や、集電体/負極活物質界面付近への非水系電解液の浸透性低下による高電流密度充放電特性悪化を招く場合がある。また、上記範囲を下回ると、負極活物質間の導電性が低下し、電池抵抗が増大し、単位容積当たりの容量が低下する場合がある。
負極活物質を結着するバインダーとしては、非水系電解液や電極製造時に用いる溶媒に対して安定な材料であれば、特に制限されない。
極板配向比は、通常0.001以上であり、0.005以上が好ましく、0.01以上が更に好ましく、また、通常0.67以下である。極板配向比が、上記範囲を下回ると、高密度充放電特性が低下する場合がある。なお、上記範囲の上限は、炭素質材料の極板配向比の理論上限値である。
・ターゲット:Cu(Kα線)グラファイトモノクロメーター
・スリット :発散スリット=1度、受光スリット=0.1mm、散乱スリット=1度
・測定範囲、及び、ステップ角度/計測時間:
(110)面:76.5度≦2θ≦78.5度 0.01度/3秒
(004)面:53.5度≦2θ≦56.0度 0.01度/3秒
・試料調製 :硝子板に0.1mm厚さの両面テープで電極を固定
放電状態から公称容量の60%まで充電した時の負極の抵抗は、100Ω以下が好ましく、50Ω以下が更に好ましく、20Ω以下が特に好ましく、及び/又は二重層容量が1×10-6F以上が好ましく、1×10-5F以上が更に好ましく、1×10-4Fが特に好ましい。上記範囲の負極電極を用いると出力特性が良く好ましいためである。
負極板の面積は特に限定されるものではないが、対向する正極板よりもわずかに大きくして正極板が負極板から外にはみ出すことがないように設計することが好ましい。充放電を繰り返したサイクルの寿命や高温保存による劣化を抑制する観点から、出来る限り正極に等しい面積に近づけることが、より均一かつ有効に働く電極割合を高めて特性が向上するので好ましい。特に、大電流で使用される場合には、この電極面積の設計が重要である。
負極板の厚さは用いられる正極板に合わせて設計されるものであり、特に限定されるものではないが、芯材の金属箔厚さを差し引いた合材層の厚さは、好ましくは通常15〜150μm、より好ましくは20〜120μm、更に好ましくは30〜100μmが望ましい。
負極活物質として用いられる合金系材料としては、リチウムを吸蔵・放出可能であれば、リチウム合金を形成する単体金属若しくは合金、又はそれらの酸化物、炭化物、窒化物、珪化物、硫化物、燐化物等の化合物の何れであっても特に限定はされない。このような金属化合物としては、Ag、Al、Ba、Bi、Cu、Ga、Ge、In、Ni、P、Pb、Sb、Si、Sn、Sr、Zn等の金属を含有する化合物が挙げられる。中でも、リチウム合金を形成する単体金属若しくは合金であることが好ましく、13族又は14族の金属・半金属元素(すなわち炭素を除く)を含む材料あることがより好ましく、更には、アルミニウム(Al)、ケイ素(Si)、又はスズ(Sn)(以下、これらの元素を「特定金属元素」という場合がある)の単体金属若しくはこれら原子を含む合金、又は、それらの金属(特定金属元素)の化合物であることが好ましい。これらは、1種を単独で用いてもよく、また2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
・ケイ素及び/又はスズと酸素との元素比が、好ましくは0.5〜1.5、より好ましくは0.7〜1.3、更に好ましくは0.9〜1.1の「ケイ素及び/又はスズの酸化物」。
・ケイ素及び/又はスズと窒素との元素比が、好ましくは常0.5〜1.5であり、より好ましくは0.7〜1.3、更に好ましくは0.9〜1.1の「ケイ素及び/又はスズの窒化物」。
・ケイ素及び/又はスズと炭素との元素比が、好ましくは常0.5〜1.5、より好ましくは0.7〜1.3以上、更に好ましくは0.9〜1.1の「ケイ素及び/又はスズの炭化物」。
負極活物質として用いられるリチウム含有金属複合酸化物材料としては、リチウムを吸蔵・放出可能であれば特に限定はされないが、チタンを含むリチウム含有複合金属酸化物材料が好ましく、リチウムとチタンの複合酸化物(以下、「リチウムチタン複合酸化物」と略記する)が特に好ましい。すなわち、スピネル構造を有するリチウムチタン複合酸化物を、リチウムイオン二次電池用負極活物質に含有させて用いると、出力抵抗が大きく低減するので特に好ましい。
[一般式(3)中、Mは、Na、K、Co、Al、Fe、Ti、Mg、Cr、Ga、Cu、Zn及びNbからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素を表わす。]
(a)1.2≦x≦1.4、1.5≦y≦1.7、z=0
(b)0.9≦x≦1.1、1.9≦y≦2.1、z=0
(c)0.7≦x≦0.9、2.1≦y≦2.3、z=0
の構造が、電池性能のバランスが良好なため特に好ましい。
負極活物質として用いられるリチウムチタン複合酸化物のBET比表面積は、BET法を用いて測定した比表面積の値が、好ましくは0.5〜200m2・g−1以上、より好ましくは0.7〜100m2・g−1、更に好ましくは1.0〜50m2・g−1、特に好ましくは1.5〜25m2・g−1である。
リチウムチタン複合酸化物の体積基準の平均粒径(一次粒子が凝集して二次粒子を形成している場合には二次粒子径)は、レーザー回折・散乱法により求めた体積基準の平均粒径(メジアン径)で定義される。
一次粒子が凝集して二次粒子を形成している場合においては、リチウムチタン複合酸化物の平均一次粒子径が、好ましくは0.01〜2μm、より好ましくは0.05〜1.6μm、更に好ましくは0.1〜1.3μm、特に好ましくは0.2〜1μmである。体積基準の平均一次粒子径が、2μmを超えると、球状の二次粒子を形成し難く、粉体充填性に悪影響を及ぼしたり、比表面積が大きく低下したりするために、出力特性等の電池性能が低下する可能性が高くなる場合がある。また、0.01μm未満であると、通常、結晶が未発達になるために充放電の可逆性が劣る等、二次電池の性能を低下させる場合がある。
リチウムチタン複合酸化物の粒子の形状は、従来用いられるような、塊状、多面体状、球状、楕円球状、板状、針状、柱状等が用いられるが、中でも一次粒子が凝集して、二次粒子を形成して成り、その二次粒子の形状が球状ないし楕円球状であるものが好ましい。
リチウムチタン複合酸化物のタップ密度は、好ましくは0.05〜2.8g・cm−3、より好ましくは0.1〜2.4g・cm−3、更に好ましくは0.2〜2.4g・cm−3、特に好ましくは0.4〜2.0g・cm−3である。タップ密度が、0.05g・cm−3未満であると、負極として用いた場合に充填密度が上がり難く、また粒子間の接触面積が減少するため、粒子間の抵抗が増加し、出力抵抗が増加する場合がある。また、2.8g・cm−3を超えると、電極中の粒子間の空隙が少なくなり過ぎ、非水系電解液の流路が減少することで、出力抵抗が増加する場合がある。
リチウムチタン複合酸化物の球形の程度として、円形度を測定した場合、以下の範囲に収まることが好ましい。円形度は、「円形度=(粒子投影形状と同じ面積を持つ相当円の周囲長)/(粒子投影形状の実際の周囲長)」で定義され、円形度が1のときに理論的真球となる。
リチウムチタン複合酸化物のアスペクト比は、通常1以上、また、5以下であり、4以下が好ましく、3以下が更に好ましく、2以下が特に好ましい。アスペクト比が、5を超えると、極板化時にスジ引きや、均一な塗布面が得られず、短時間高電流密度充放電特性が低下する場合がある。なお、上記範囲の下限は、リチウムチタン複合酸化物のアスペクト比の理論下限値である。
リチウムチタン複合酸化物の製造法としては、本発明の要旨を超えない範囲で特には制限されないが、いくつかの方法が挙げられ、無機化合物の製造法として一般的な方法が用いられる。
電極の製造は、公知の何れの方法を用いることができる。例えば、負極活物質に、バインダー、溶媒、必要に応じて、増粘剤、導電材、充填材等を加えてスラリーとし、これを集電体に塗布、乾燥した後にプレスすることによって形成することができる。
負極活物質を保持させる集電体としては、公知のものを任意に用いることができる。負極の集電体としては、銅、ニッケル、ステンレス鋼、ニッケルメッキ鋼等の金属材料が挙げられ、中でも加工し易さとコストの点から特に銅が好ましい。
(10−1)平均表面粗さ(Ra)
JISB0601−1994に記載の方法で規定される集電体基板の活物質薄膜形成面の平均表面粗さ(Ra)は、特に制限されないが、好ましくは0.01〜1.5μm、より好ましくは0.03〜1.0μmである。
引張強度とは、試験片が破断に至るまでに要した最大引張力を、試験片の断面積で割ったものである。本発明における引張強度は、JISZ2241(金属材料引張試験方法)に記載と同様な装置及び方法で測定される。
0.2%耐力とは、0.2%の塑性(永久)歪みを与えるに必要な負荷の大きさであり、この大きさの負荷を加えた後に除荷しても0.2%変形していることを意味している。0.2%耐力は、引張強度と同様な装置及び方法で測定される。
集電体の厚さは任意であるが、好ましくは1〜1000μm、より好ましくは3〜100μm、更に好ましくは5〜50μmである。
集電体と活物質層の厚さの比は特には限定されないが、「(非水系電解液注液直前の片面の活物質層の厚さ)/(集電体の厚さ)」の値が、好ましくは0.1〜150、より好ましくは0.4〜20、更に好ましくは1.0〜10である。
負極活物質の電極化した際の電極構造は特には限定されないが、集電体上に存在している活物質の密度は、好ましくは1.0〜3.0g・cm−3、より好ましくは1.2〜2.5g・cm−3、更に好ましくは1.3〜2.2g・cm−3、特に好ましくは1.5〜2.0g・cm−3である。
負極活物質を結着するバインダーとしては、非水系電解液や電極製造時に用いる溶媒に対して安定な材料であれば、特に制限されない。
放電状態から公称容量の60%まで充電した時の負極の抵抗は、500Ω以下が好ましく、100Ω以下が更に好ましく、50Ω以下が特に好ましく、及び/又は二重層容量が1×10-6F以上が好ましく、1×10-5F以上が更に好ましく、3×10-5F以上が特に好ましい。上記範囲の負極電極を用いると出力特性が良く好ましいためである。
負極板の面積は特に限定されるものではないが、対向する正極板よりもわずかに大きくして正極板が負極板から外にはみ出すことがないように設計することが好ましい。充放電を繰り返したサイクルの寿命や高温保存による劣化を抑制する観点から、出来る限り正極に等しい面積に近づけることが、より均一かつ有効に働く電極割合を高めて特性が向上するので好ましい。特に、大電流で使用される場合には、この電極面積の設計が重要である。
負極板の厚さは用いられる正極板に合わせて設計されるものであり、特に限定されるものではないが、芯材の金属箔厚さを差し引いた合材層の厚さは、好ましくは15〜150μm、より好ましくは20〜120μm、更に好ましくは30〜100μmが望ましい。
以下に本発明の非水系電解液二次電池に使用される正極について説明する。
以下に正極に使用される正極活物質について説明する。
正極活物質としては、電気化学的にリチウムイオンを吸蔵・放出可能なものであれば特に制限はないが、例えば、リチウムと少なくとも1種の遷移金属を含有する物質が好ましい。具体例としては、リチウム遷移金属複合酸化物、リチウム含有遷移金属リン酸化合物が挙げられる。
上記の正極活物質の表面に、主体となる正極活物質を構成する物質とは異なる組成の物質(以後、適宜「表面付着物質」という)が付着したものを用いることもできる。表面付着物質の例としては酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化ホウ素、酸化アンチモン、酸化ビスマス等の酸化物、硫酸リチウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム、硫酸アルミニウム等の硫酸塩、炭酸リチウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の炭酸塩等が挙げられる。
正極活物質粒子の形状は、従来用いられるような、塊状、多面体状、球状、楕円球状、板状、針状、柱状等が用いられるが、中でも一次粒子が凝集して、二次粒子を形成して成り、その二次粒子の形状が球状又は楕円球状であるものが好ましい。
正極活物質のタップ密度は、通常1.3g・cm−3以上であり、1.5g・cm−3以上が好ましく、1.6g・cm−3以上が更に好ましく、1.7g・cm−3以上が特に好ましく、また、通常2.5g・cm−3以下であり、2.4g・cm−3以下が好ましい。
正極活物質の粒子のメジアン径d50(一次粒子が凝集して二次粒子を形成している場合には二次粒子径)は、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置を用いても測定することができる。
一次粒子が凝集して二次粒子を形成している場合、正極活物質の平均一次粒子径は、好ましくは0.01〜3μm、より好ましくは0.05〜2μm、更に好ましくは0.08〜1μm、特に好ましくは0.1〜0.6μmである。正極活物質の平均一次粒子径が3μmを超えると、球状の二次粒子を形成し難く、粉体充填性に悪影響を及ぼしたり、比表面積が大きく低下するために、出力特性等の電池性能が低下する可能性が高くなる場合がある。また、0.01μm未満であると、通常、結晶が未発達であるために充放電の可逆性が劣る等、二次電池の性能を低下させる場合がある。
正極活物質のBET比表面積は、BET法を用いて測定した比表面積の値が、好ましくは0.2〜4m2・g−1、より好ましくは0.3〜2.5m2・g−1以上、更に好ましくは0.4〜1.5m2・g−1である。BET比表面積の値が、0.2m2・g−1未満であると、電池性能が低下しやすくなる。また、4m2・g−1を超えると、タップ密度が上がりにくくなり、正極活物質形成時の塗布性が低下する場合がある。
正極活物質の製造法としては、本発明の要旨を超えない範囲で特には制限されないが、いくつかの方法が挙げられ、無機化合物の製造法として一般的な方法が用いられる。
以下に、本発明に使用される正極の構成及びその作製法について説明する。
正極は、正極活物質粒子と結着剤とを含有する正極活物質層を、集電体上に形成して作製される。正極活物質を用いる正極の製造は、公知の何れの方法で作製することができる。すなわち、正極活物質と結着剤、並びに必要に応じて導電材及び増粘剤等を乾式で混合してシート状にしたものを正極集電体に圧着するか、又はこれらの材料を液体媒体に溶解又は分散させてスラリーとして、これを正極集電体に塗布し、乾燥することにより、正極活物質層を集電体上に形成させることにより正極を得ることができる。
導電材としては、公知の導電材を任意に用いることができる。具体例としては、銅、ニッケル等の金属材料;天然黒鉛、人造黒鉛等の黒鉛(グラファイト);アセチレンブラック等のカーボンブラック;ニードルコークス等の無定形炭素等の炭素質材料等が挙げられる。なお、これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の比率で任意に組み合わせて用いてもよい。
正極活物質層の製造に用いる結着剤は、非水系電解液や電極製造時用いる溶媒に対して安定な材料であれば、特に限定されない。
スラリーを形成するための液体媒体としては、正極活物質、導電材、結着剤、並びに必要に応じて使用される増粘剤を溶解又は分散することが可能な溶媒であれば、その種類に特に制限はなく、水系溶媒と有機系溶媒のどちらを用いてもよい。
スラリーを形成するための液体媒体として水系媒体を用いる場合、増粘剤と、スチレンブタジエンゴム(SBR)等のラテックスを用いてスラリー化するのが好ましい。増粘剤は、通常、スラリーの粘度を調製するために使用される。
塗布、乾燥によって得られた正極活物質層は、正極活物質の充填密度を上げるために、ハンドプレス、ローラープレス等により圧密化することが好ましい。正極活物質層の密度は、好ましくは1〜4g・cm−3、より好ましくは1.5〜3.5g・cm−3、更に好ましくは2〜3g・cm−3である。
正極集電体の材質としては特に制限は無く、公知のものを任意に用いることができる。具体例としては、アルミニウム、ステンレス鋼、ニッケルメッキ、チタン、タンタル等の金属材料;カーボンクロス、カーボンペーパー等の炭素質材料が挙げられる。中でも金属材料、特にアルミニウムが好ましい。
高出力かつ高温時の安定性を高める観点から、正極活物質層の面積は、電池外装ケースの外表面積に対して大きくすることが好ましい。具体的には、二次電池の外装の表面積に対する前記正極の電極面積の総和が面積比で20倍以上とすることが好ましく、更に40倍以上とすることがより好ましい。外装ケースの外表面積とは、有底角型形状の場合には、端子の突起部分を除いた発電要素が充填されたケース部分の縦と横と厚さの寸法から計算で求める総面積をいう。有底円筒形状の場合には、端子の突起部分を除いた発電要素が充填されたケース部分を円筒として近似する幾何表面積である。正極の電極面積の総和とは、負極活物質を含む合材層に対向する正極合材層の幾何表面積であり、集電体箔を介して両面に正極合材層を形成してなる構造では、それぞれの面を別々に算出する面積の総和をいう。
本発明の二次電池用非水系電解液を用いる場合、二次電池の1個の電池外装に収納される電池要素のもつ電気容量(電池を満充電状態から放電状態まで放電したときの電気容量)が、3アンペアーアワー(Ah)以上であると、低温放電特性の向上効果が大きくなるため好ましい。そのため、正極板は、放電容量が満充電で、好ましくは3〜20Ah(アンペアアワー)、より好ましくは4〜10Ah以上になるように設計する。
正極板の厚さは特に限定されるものではないが、高容量かつ高出力、高レート特性の観点から、芯材の金属箔厚さを差し引いた合材層の厚さは、集電体の片面に対して、好ましくは10〜200μm、より好ましくは20〜100μmである。
正極と負極との間には、短絡を防止するために、通常はセパレータを介在させる。この場合、本発明の非水系電解液は、通常はこのセパレータに含浸させて用いる。
[電極群]
電極群は、前述の正極板と負極板とを前述のセパレータを介してなる積層構造のもの、及び前述の正極板と負極板とを前述のセパレータを介して渦巻き状に捲回した構造のものの何れでもよい。電極群の体積が電池内容積に占める割合(以下、電極群占有率と称する)は、好ましくは40〜90%、より好ましくは50〜80%である。電極群占有率が、40%未満であると、電池容量が小さくなる。また、90%を超えると空隙スペースが少なく、電池が高温になることによって部材が膨張したり電解質の液成分の蒸気圧が高くなったりして内部圧力が上昇し、電池としての充放電繰り返し性能や高温保存等の諸特性を低下させたり、更には、内部圧力を外に逃がすガス放出弁が作動する場合がある。
集電構造は特に限定されるものではないが、本発明の非水系電解液による放電特性の向上をより効果的に実現するには、配線部分や接合部分の抵抗を低減する構造にすることが好ましい。この様に内部抵抗を低減させた場合、本発明の非水系電解液を使用した効果は特に良好に発揮される。
外装ケースの材質は用いられる非水電解質に対して安定な物質であれば特に限定されるものではない。具体的には、ニッケルめっき鋼板、ステンレス、アルミニウム又はアルミニウム合金、マグネシウム合金等の金属類、又は、樹脂とアルミ箔との積層フィルム(ラミネートフィルム)が用いられる。軽量化の観点から、アルミニウム又はアルミニウム合金の金属、ラミネートフィルムが好適に用いられる。
前述の保護素子として、異常発熱や過大電流が流れた時に抵抗が増大するPTC(Positive Temperature Coefficient)、温度ヒューズ、サーミスター、異常発熱時に電池内部圧力や内部温度の急激な上昇により回路に流れる電流を遮断する弁(電流遮断弁)等が挙げられる。前記保護素子は高電流の通常使用で作動しない条件のものを選択することが好ましく、高出力の観点から、保護素子がなくても異常発熱や熱暴走に至らない設計にすることがより好ましい。
本発明の非水系電解液二次電池は、通常、上記の非水系電解液、負極、正極、セパレータ等を外装体内に収納して構成される。この外装体に制限は無く、本発明の効果を著しく損なわない限り公知のものを任意に採用することができる。
[正極の作製]
正極活物質としてニッケルマンガンコバルト酸リチウム(LiNi1/3Mn1/3Co1/3O2)85重量部を用い、カーボンブラック6重量部とポリフッ化ビニリデン(呉羽化学社製、商品名「KF−1000」)9重量部を混合し、N−メチル−2−ピロリドンを加えスラリー化し、これを厚さ15μmのアルミニウム箔の両面に均一に塗布、乾燥した後、正極活物質層の密度が3.0g・cm−3になるようにプレスして正極とした。
人造黒鉛粉末KS−44(ティムカル社製、商品名)98重量部に、増粘剤、バインダーとしてそれぞれ、カルボキシメチルセルロースナトリウムの水性ディスパージョン(カルボキシメチルセルロースナトリウムの濃度1質量%)100重量部、及び、スチレン−ブタジエンゴムの水性ディスパージョン(スチレン−ブタジエンゴムの濃度50質量%)2重量部を加え、ディスパーザーで混合してスラリー化した。得られたスラリーを厚さ12μmの銅箔の片面に均一に塗布して乾燥し、その後、負極活物質層の密度が1.5g・cm−3になるようにプレスして負極とした。
上記の正極、負極、及びポリエチレン製セパレータを、負極、セパレータ、正極、セパレータ、負極の順に積層した。こうして得られた電池要素を筒状のアルミニウムラミネートフィルムで包み込み、後述する電解液を注入した後で真空封止し、シート状の非水系電解液二次電池を作製した。更に、電極間の密着性を高めるために、ガラス板でシート状電池を挟んで加圧した。
[ジフルオロリン酸リチウムの製造]
ジフルオロリン酸塩を特開2008−140767号公報記載の例を参考にして、以下のように製造した。
内容積が130mLのSUS316L製密閉容器の蓋に、バルブ・温度計・圧力計と安全弁を取り付け反応装置とし、この反応装置を十分に乾燥させた後、アルゴンガスで満たされたチャンバー内に入れ、反応槽の中に、六フッ化リン酸リチウム(試薬:ステラケミファ製)15.2g、ジメチルカーボネート(試薬:三菱化学製)30mL及びヘキサメチルジシロキサン(試薬:和光純薬製)を加えて溶解し、更にマグネチックスターラ用の攪拌子を入れた状態で蓋を取り付けて密閉し、反応容器をチャンバーから取り出した。続いてマグネチックスターラを用いて攪拌しながら60℃にて30時間反応させた。反応終了後、析出した固体を、メンブレンフィルターを用いた減圧濾過により濾別し、ジメチルカーボネートで洗浄した後、50℃、1000Pa以下にて減圧乾燥した。減圧乾燥で得られた固体を、イオンクロマトグラフィーにてカチオン分析し、その純度を求めた。イオンクロマトグラフィーはダイオネクス社のICS−3000を、カラムはダイオネクス社のAS14を、溶離液はダイオネクス社のAS14専用溶離液を用いて電気伝導度で検出した。
前記の方法で得られたジフルオロリン酸リチウムをイオンクロマトグラフィーにして分析したところ、カチオンを除いたアニオン100質量%に対して、ジフルオロリン酸イオンの含有量が99.35質量%であった。これにモノフルオロリン酸イオンの含有量が0.02質量%となるようにモノフルオロリン酸リチウムを添加し、ジフルオロリン酸リチウム組成物を得た。この組成物を乾燥アルゴン雰囲気下、エチレンカーボネートとジメチルカーボネートとエチルメチルカーボネートとの混合物(容量比1:1:1)に、十分に乾燥したLiPF6を1mol/L、及び前記のLiPF6を1mol/L溶解した溶液に対して、上記にて得られたジフルオロリン酸リチウム組成物1質量%を溶解し、所望の非水系電解液とした。
(初期充放電)
25℃の恒温槽中、シート状の非水系電解液二次電池を0.2Cで4.2Vまで定電流−定電圧充電(以下適宜、「CCCV充電」という)した後、0.2Cで3.0Vまで放電した。これを5サイクル行って電池を安定させた。このときの第5サイクルの放電容量を初期容量とした。なお、1Cとは電池の全容量を1時間で放電させる場合の電流値のことである。
初期充放電を実施した電池を、25℃において、0.2Cの定電流定電圧充電法で4.2Vまで充電した後、0.2Cで定電流放電を実施した。再び0.2Cの定電流定電圧充電法で4.2Vまで充電した後、10Cの大電流で定電流放電を実施した。このときの0.2C放電容量に対する10C放電容量の割合を大電流放電容量維持率とした。
組成物中のカチオンを除いたアニオン100質量%に対して、モノフルオロリン酸イオンの含有量が0.01質量%となるようにモノフルオロリン酸リチウムを添加して、ジフルオロリン酸塩組成物を得たこと以外は、実施例1と同様にして、電池の評価をおこなった。結果を表1に記す。
250mlPFA容器に炭酸リチウム(試薬:和光純薬製)1.7gと五酸化ニリン(試薬:和光純薬製)3.3gを加えた。続いて、30%フッ化水素酸炭酸ジメチル溶液8.0gを加え、窒素気流下1時間攪拌したのち、130℃で加熱した。得られた結晶を十分に乾燥させた後、アセトニトリルでデカンテーションしてジフルオロリン酸リチウム組成物を得た。この組成物は、カチオンを除いたアニオン100質量%に対して、ジフルオロリン酸イオンの含有量が53.2質量%、モノフルオロリン酸イオンの含有量が44.0質量%であった。このジフルオロリン酸リチウム組成物を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、電池の評価を行った。結果を表1に記す。
実施例2と同様の操作を行い、ジフルオロリン酸リチウム組成物を得た。この組成物は、カチオンを除いたアニオン100質量%に対して、ジフルオロリン酸イオンの含有量が50.8質量%、モノフルオロリン酸イオンの含有量が45.5質量%であった。このジフルオロリン酸リチウム組成物を用いて、実施例1と同様にして、電池の評価を行った。
結果を表1に記す。
ジフルオロリン酸リチウムとモノフルオロリン酸リチウムを混合し、カチオンを除いたアニオン100質量%に対して、ジフロリン酸イオンの含有量が67.7質量%、モノフルオロリン酸イオンの含有量が29.3%になる組成物を得た。この組成物を用いて、実施例1と同様にして電池評価を行った。
結果を表1に記す。
実施例1で得られたジフルオロリン酸リチウム組成物を乾燥アルゴン雰囲気下、エチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートとの混合物(容量比1:2)に、十分に乾燥したLiPF6を1.2mol/L、及び前記組成物に対して、ジフルオロリン酸リチウム組成物0.5質量%を溶解し、所望の非水系電解液とした。本電解液を中和滴定で遊離酸分(HF)を測定したところ、1.5ppmであった。この非水系電解液と、正極活物質としてニッケルマンガンコバルト酸リチウムに変えてコバルト酸リチウムを用いた以外は、実施例1と同様に電池を作製して以下のサイクル試験評価を行った。
初期充放電を実施した電池を、60℃において、1Cの定電流定電圧法で4.2Vまで充電した後、1Cの定電流で3.0Vまで放電する充放電を500サイクル行った。このときの第1サイクル放電容量に対する第500サイクル放電容量の割合をサイクル維持率とした。
結果を表2に記す。
実施例4において、非水系電解液の遊離酸分(HF)が0.8ppmであること以外は同様に電池の評価をおこなった。結果を表2に記す。
まず、実施例1と比較例1とを比較すると、ジフルオロリン酸イオンの含有量が同じであっても、モノフルオロリン酸イオンの含有量が異なると、敏感に大電流放電容量維持率に影響し、モノフルオロリン酸イオンの含有量が本発明の範囲外の比較例1に対して、実施例1の大電流放電容量維持率は大きく向上し、電池特性が改善されていた。
更に、ジフルオロリン酸イオンの含有量が67.7質量%(実施例3)と65質量%を超えたときには、53.2質量%(参考例2)の大電流放電維持率を超える値を示しており、この範囲であると大電流を流したときでも放電容量維持率がより高くなることがわかる。
更に、表2の結果から遊離酸分(HF)の量が、200ppm以下の範囲内において、遊離酸分の量が非水系電解液二次電池のサイクル特性に影響することが分かった。即ち、表2の結果から非水系電解液中の遊離酸分の量が200ppm以下の範囲内において、遊離酸分の量が1.0ppm以上である方がサイクル維持率が改善されることが分かった。
以上のことから、本発明の非水系電解液を用いた非水系電解液二次電池は、低温放電特性や大電流放電特性に優れ、なおかつ、サイクル特性にも優れ、安全性にも問題の無いことがわかる。
特に、本発明のジフルオロリン酸塩組成物は、非水系電解液の添加剤として好適に使用することができる。
更に、上記ジフルオロリン酸塩組成物を含む非水系電解液を用いた非水系電解系二次電池は、公知の各種の用途に使用することが可能である。具体例としては、ノートパソコン、ペン入力パソコン、モバイルパソコン、電子ブックプレーヤー、携帯電話、携帯ファックス、携帯コピー、携帯プリンター、ヘッドフォンステレオ、ビデオムービー、液晶テレビ、ハンディークリーナー、ポータブルCD、ミニディスク、トランシーバー、電子手帳、電卓、メモリーカード、携帯テープレコーダー、ラジオ、バックアップ電源、モーター、自動車、バイク、原動機付自転車、自転車、照明器具、玩具、ゲーム機器、時計、電動工具、ストロボ、カメラ等を挙げることができる。
Claims (8)
- ジフルオロリン酸塩とモノフルオロリン酸塩とを含むジフルオロリン酸塩組成物であって、該ジフルオロリン酸塩組成物中に含まれるアニオン100質量%に対して、ジフルオロリン酸イオンを65質量%を超えて99.98質量%以下含み、且つモノフルオロリン酸イオンを0.02〜49.1質量%含むことを特徴とするジフルオロリン酸塩組成物。
- アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、第4級アンモニウムイオンから選ばれる少なくとも1つのカチオンを含む、請求項1に記載のジフルオロリン酸塩組成物。
- リチウムイオンを含む、請求項1又は2に記載のジフルオロリン酸塩組成物。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載されたジフルオロリン酸塩組成物からなる、非水系電解液用添加剤。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載されたジフルオロリン酸塩組成物と、電解質と、非水系溶媒とを含む二次電池用非水系電解液。
- ジフルオロリン酸塩組成物を0.001〜10質量%含む、請求項5に記載の二次電池用非水系電解液。
- 遊離酸分が1.0〜200ppmである、請求項5又は6に記載の二次電池用非水系電解液。
- 非水系電解液と、リチウムイオンを吸蔵及び放出可能な負極と、正極、とを備えた非水系電解液二次電池において、該非水系電解液が、請求項5〜7のいずれか1項に記載の二次電池用非水系電解液であることを特徴とする非水系電解液二次電池。
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