JP2007006606A - 電力変換装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 過負荷耐量に優れ、電力回生可能で、変換器の電圧利用率が高く、スイッチング素子の最大遮断電流が小さく、高効率、高力率で経済的な電力変換装置を提供する。
【解決手段】 交流電源に変圧器を介して交流端子が接続される電力用ダイオード整流器と、電力用ダイオード整流器の交流端子に交流リアクトルを介して交流端子が接続された電力変換器と、電力変換器及び電力用ダイオード整流器の共通直流端子間に接続された直流平滑コンデンサと、電力変換器を一定のパルスパターンで動作させ、交流電源の電圧に対する電力変換器の交流端子電圧の位相角を調整することにより直流平滑コンデンサに印加される電圧を制御する直流電圧制御手段とを備えた電力変換装置。
【選択図】 図1

Description

本発明は、電気車の電力変換装置に関する。
電気鉄道直流き電システム等では、3相ブリッジ結線された電力用ダイオード整流器により3相交流電力を直流電力に変換する方式が多く採用されている。この方式は過負荷耐量に優れ、変換器コストが安くできる利点を有する。しかし、電車が回生ブレーキをかけたときにその電力を交流電源側に回生できず、しばしば回生失効を起こすという問題点があった。また、負荷電流依存性があり、直流き電電圧が負荷によって大きく変動する欠点があった。
図43は、従来の電力回生可能なPWMコンバータ(パルス幅変調制御コンバータ)の構成を示すものである。図中、R、S、Tは3相交流電源SUPの端子、Lsは交流リアクトル、CNVはPWMコンバータ、Cdは直流平滑コンデンサ、INVは3相出力のVVVF(可変電圧可変周波数)インバータ、Mは交流電動機をそれぞれ示す。また、制御回路として、比較器C1、C2、電圧制御補償器Gv(S)、乗算器ML、電流制御補償器Gi(S)及びパルス幅変調制御回路PWMCが備えられている。破線で囲まれた部分は3相分用意されており、R相のみを詳しく示しているが、S相及びT相も同様に構成されている。
PWMコンバータCNVは、直流平滑コンデンサCdに印加される電圧Vdがその指令値Vd*に一致するように入力電流Ir、Is、Itを制御する。そのために制御回路において、次の制御を実行する。電圧指令値Vd*と電圧検出値Vdの偏差を制御補償器Gv(S)で増幅し、入力電流の振幅指令値Ismとする。乗算機MLでR相の電圧に同期した単位正弦波sinωtと入力電流の振幅指令値Ismとを掛け算し、それをR相の電流指令値Ir*とする。そしてR相電流指令値Ir*とR相電流検出値Irとを比較し、その偏差を電流制御補償器Gi(S)で、反転増幅する。ここには通常比例増幅が使われ、Gi(S)=−Kiとなる。Kiは比例定数である。Gi(S)の出力である電圧指令値er*=−Ki×(Ir*−Ir)をPWM制御回路PWMCに入力し、コンバータのR相の自己消弧素子S1とS4のゲート信号g1、g4を作る。PWM制御回路PWMCは、電圧指令値er*とキャリア信号X(例えば、1kHzの三角波)を比較し、er*>Xのときは、素子S1をオンさせ(S4はオフ)、er*<Xのときは、素子S4をオン(S1はオフ)させる。この結果、コンバータのR相電圧Vrは電圧指令値er*に比例した電圧を発生する。
Ir*>Irの場合、電圧指令値er*は負の値となり、Irを増加させる。逆に、Ir*<Irの場合、電圧指令値er*は正の値となり、Irを減少させる。故に、Ir*=Irとなるように制御される。S相、T相の電流も同様に制御される。
また、直流平滑コンデンサに印加される電圧Vdは、次のように制御される。Vd*>Vdとなった場合、入力電流の振幅指令値Ismが増加する。各相の電流指令値は電源電圧と同相となり、Ismに比例した有効電力Psが交流電源SUPから直流平滑コンデンサCdに供給されることになる。この結果、Vdが上昇し、Vd*=Vdとなるように制御される。逆に、Vd*<Vdとなった場合、入力電流の振幅指令値Ismは負の値となり、交流電源側に電力Psを回生する。故に、直流平滑コンデンサCdの蓄積エネルギーが減少し、Vdが減って、やはり、Vd*=Vdとなるように制御される。
VVVFインバータINV及び交流電動機Mは、直流平滑コンデンサCdを電圧源とする負荷で、力行運転時はコンデンサCdのエネルギーを消費し、Vdを減少させる方向に働く。また、回生運転時はその回生エネルギーを平滑コンデンサCdに戻すため、Vdを上昇させる方向に働く。前述のようにPMWコンバータCNVによって直流電圧Vdが一定になるように制御するため、自動的に、力行運転では交流電源から見合った有効電力を供給し、回生運転時は回生エネルギーに見合った有効電力を交流電源側に回生することになる。
このように、従来のPWMコンバータによれば、直流電圧を安定化することができ、電力回生が可能となり、電気鉄道の直流き電システムでの回生失効の問題も解決される。しかし、PWMコンバータは、高周波でスイッチングを行うためスイッチング損失が大きくなる欠点がある。また、スイッチング素子は、遮断電流として交流入力電流の最大値を切る能力が必要となる。従って、短時間の過負荷(例えば、定格電流の300%)でもその遮断電流に耐えるように設計しなければならず、電力変換器として大きなものが必要となり、不経済なシステムとなってしまう問題点がある。
以上のように、従来、電力回生が可能な電力変換器として、パルス幅変調制御によるPWMコンバータ(自励式変換器)があるが、入力電流リプルを小さくするにはスイッチング周波数(PWM制御のキャリア周波数)を高くする必要があり、変換器損失が大きくなる問題点があり、また変換器の電圧利用率(交流出力電圧/直流電圧)が低いため、変換器トランスの2次電圧が上げられず、その分変換器の電流容量を上げなければならない問題点があった。
特公平5−7950号公報
本発明は、以上の従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、スイッチング周波数を高くすることなく入力電流歪みを小さくし、高効率、高力率で経済的な交流/直流電力変換装置を提供することを目的とする。
本願の第1の発明は、交流電力を直流電力に変換して負荷装置に供給する電力変換装置において、交流電源に変圧器を介して交流端子が接続される電力用ダイオード整流器と、前記電力用ダイオード整流器の交流端子に交流リアクトルを介して交流端子が接続された電力変換器と、前記電力変換器及び前記電力用ダイオード整流器の共通直流端子間に接続された直流平滑コンデンサと、前記電力変換器を一定のパルスパターンで動作させ、前記交流電源の電圧に対する前記電力変換器の交流端子電圧の位相角を調整することにより前記直流平滑コンデンサに印加される電圧を制御する直流電圧制御手段とを備えたことを特徴とするものである。
本願の第2の発明は、交流電力を直流電力に変換して負荷装置に供給する電力変換装置において、交流電源に変圧器を介して交流端子が接続される電力用ダイオード整流器と、前記電力用ダイオード整流器の交流端子に交流リアクトルと抵抗器を介して交流端子が接続された電力変換器と、前記電力変換器及び前記電力用ダイオード整流器の共通直流端子間に接続された直流平滑コンデンサと、前記電力変換器を一定のパルスパターンで動作させ、前記交流電源の電圧に対する前記電力変換器の交流端子電圧の位相角を調整することにより前記直流平滑コンデンサに印加される電圧を制御する直流電圧制御手段とを備えたことを特徴とするものである。
本願の第3の発明は、交流電力を直流電力に変換して負荷装置に供給する電力変換装置において、交流電源に変圧器を介して交流端子が接続された複数台の電力用ダイオード整流器と、前記複数台の電力用ダイオード整流器の交流端子に交流リアクトルを介して交流側端子が接続された複数台の電力変換器と、前記複数台の電力変換器及び前記複数台の電力用ダイオード整流器の共通直流端子に接続された直流平滑コンデンサと、前記複数台の電力変換器を一定のパルスパターンで動作させ、前記交流電源の電圧に対する前記各電力変換器の交流電圧の位相角を調整することにより前記直流平滑コンデンサに印加される電圧を制御する直流電圧制御手段とを具備したことを特徴とするものである。
本願の第4の発明は、交流電力を直流電力に変換して負荷装置に供給する電力変換装置において、交流電源に変圧器を介して交流端子が接続された複数台の電力用ダイオード整流器と、前記複数台の電力用ダイオード整流器の交流端子に交流リアクトルと抵抗器を介して交流側端子が接続された複数台の電力変換器と、前記複数台の電力変換器及び前記複数台の電力用ダイオード整流器の共通直流端子に接続された直流平滑コンデンサと、前記複数台の電力変換器を一定のパルスパターンで動作させ、前記交流電源の電圧に対する前記各電力変換器の交流電圧の位相角を調整することにより前記直流平滑コンデンサに印加される電圧を制御する直流電圧制御手段とを具備したことを特徴とするものである。
本願の第5の発明の電力変換装置は、交流電源に変圧器を介して交流端子が接続される複数台の電力用ダイオード整流器と、前記複数台の電力用ダイオード整流器の交流端子に交流リアクトルを介して交流側端子が接続され、直流端子が前記電力用ダイオード整流器の直流端子にそれぞれ並列接続された複数台の電力変換器と、前記複数台の電力変換器の各直流端子に接続された複数個の直流平滑コンデンサであって、複数個の直流リアクトルを介して並列接続され、負荷装置に直流電力を供給する複数個の直流平滑コンデンサと、前記複数台の電力変換器を、前記交流電源の周波数に同期した一定のパルスパターンで動作させ、前記交流電源の電圧に対する各電力変換器の交流側端子電圧の位相角を調整することにより前記複数個の直流平滑コンデンサに印加される各直流電圧を制御する直流電圧制御手段とを具備したことを特徴とするものである。
本願の第6の発明の電力変換装置は、交流電源に変圧器を介して交流端子が接続された複数台の電力用ダイオード整流器と、前記複数台の電力用ダイオード整流器の交流端子に交流リアクトルと抵抗器を介して交流側端子が接続され、直流端子が前記電力用ダイオード整流器の直流端子にそれぞれ並列接続された複数台の電力変換器と、前記複数台の電力変換器の各直流端子に接続された複数個の直流平滑コンデンサであって、複数個の直流リアクトルを介して並列接続され、負荷装置に直流電力を供給する複数個の直流平滑コンデンサと、前記複数台の電力変換器を、前記交流電源の周波数に同期した一定のパルスパターンで動作させ、前記交流電源の電圧に対する各電力変換器の交流側端子電圧の位相角を調整することにより前記複数個の直流平滑コンデンサに印加される各直流電圧を制御する直流電圧制御手段とを具備したことを特徴とするものである。
本願の第7の発明は、交流電力を直流電力に変換して負荷装置に供給する電力変換装置において、交流電源に対し、1次巻線が各相毎に直列接続され、2次巻線の出力電圧が適宜の位相差を持つように構成された複数台の変圧器と、前記複数台の変圧器の各2次巻線に交流側端子が接続された複数台の電力用ダイオード整流器と、前記複数台の電力用ダイオード整流器の交流端子に交流リアクトルを介して交流側端子が接続された複数台の電力変換器と、前記複数台の電力変換器と前記複数台の電力用ダイオード整流器の共通直流端子に接続された直流平滑コンデンサと、前記複数台の電力変換器を一定のパルスパターンで動作させ、前記交流電源の電圧に対する前記各電力変換器の交流電圧の位相角を調整することにより前記直流平滑コンデンサに印加される電圧を制御する直流電圧制御手段とを具備したことを特徴とするものである。
本願の第8の発明は、交流電力を直流電力に変換して負荷装置に供給する電力変換装置において、交流電源に対し、1次巻線が各相毎に直列接続され、2次巻線の出力電圧が適宜の位相差を持つように構成された複数台の変圧器と、前記複数台の変圧器の各2次巻線に交流側端子が接続された複数台の電力用ダイオード整流器と、前記複数台の電力用ダイオード整流器の交流端子に交流リアクトルと抵抗器を介して交流側端子が接続された複数台の電力変換器と、前記複数台の電力変換器と前記複数台の電力用ダイオード整流器の共通直流端子に接続された直流平滑コンデンサと、前記複数台の電力変換器を一定のパルスパターンで動作させ、前記交流電源の電圧に対する前記各電力変換器の交流電圧の位相角を調整することにより前記直流平滑コンデンサに印加される電圧を制御する直流電圧制御手段とを具備したことを特徴とするものである。
本願の第8の発明は、交流電力を直流電力に変換して負荷装置に供給する電力変換装置において、交流電源に変圧器を介して交流側端子が接続された複数台の電力用ダイオード整流器と、前記複数台の電力用ダイオード整流器の交流端子に交流リアクトルを介して交流側端子を接続し、直流端子を前記電力用ダイオード整流器の直流端子にそれぞれ並列接続した複数台の電力変換器と、前記複数台の電力変換器の各直流端子に接続され、互いに直列接続された複数個の直流平滑コンデンサと、前記複数台の電力変換器を、前記交流電源の周波数に同期した一定のパルスパターンで動作させ、前記交流電源の電圧に対する交流側端子電圧の位相角を調整することにより、前記複数個の直流平滑コンデンサに印加される各直流電圧を制御する直流電圧制御手段とを具備したことを特徴とするものである。
本願の第10の発明は、交流電力を直流電力に変換して負荷装置に供給する電力変換装置において、交流電源に変圧器を介して交流側端子が接続された複数台の電力用ダイオード整流器と、前記複数台の電力用ダイオード整流器の交流端子に交流リアクトルと抵抗器を介して交流側端子が接続され、直流端子が前記電力用ダイオード整流器の直流端子にそれぞれ並列接続された複数台の電力変換器と、前記複数台の電力変換器の各直流端子に接続され、互いに直列接続された複数個の直流平滑コンデンサと、前記複数台の電力変換器を、前記交流電源の周波数に同期した一定のパルスパターンで動作させ、前記交流電源の電圧に対する交流側端子電圧の位相角を調整することにより、前記複数個の直流平滑コンデンサに印加される各直流電圧を制御する直流電圧制御手段とを具備したことを特徴とするものである。
本発明によれば、スイッチング周波数を高くすることなく入力電流歪みを小さくし、高効率、高力率で経済的な交流/直流電力変換装置を提供することができる。
以下、本発明の実施の形態を図に基づいて詳説する。尚、以下の図1〜図43の中の構成要素において、同一の要素には同一の符号を用いて表している。
(第1の実施の形態)図1は、本発明の第1の実施の形態の電力変換装置のブロック図である。図中、SUPは3相交流電源、TRは3相変圧器、RECは電力用ダイオード整流器で、PD1〜PD6は電力用ダイオード、Laは交流リアクトル(3相)、CNVは電圧形自励式電力変換器で、S1〜S6は自己消弧素子、D1〜D6は高速ダイオード、DCCTは直流電流検出器、Cdは直流平滑コンデンサ、Loadは負荷装置を示している。ILは負荷電流検出器及びその検出電流である負荷電流、Vdは電圧検出器及びその検出電圧を示している。交流リアクトルLaは、電圧形自励式電力変換器CNVの自己消弧素子S1〜S6がオンしたときに電力用ダイオード整流器RECの各ダイオードPD1〜PD6に過大なリカバリ電流が流れ込むのを抑える役目をする。
一方、制御回路として、比較器C1、電圧制御補償回路Gv(S)、加算器AD、フィードフォワード補償器FF、電源同期位相検出回路PLL、位相制御回路PHC、過電流検出器OCを備えている。
直流平滑コンデンサCdに印加される電圧Vdを検出し、比較器C1により、電圧指令値Vd*と比較する。その偏差εv=Vd*−Vdを電圧制御補償回路Gv(S)により、積分又は比例増幅し、加算器ADに入力する。一方、負荷装置Loadに供給される電力PLを検知し、フィードフォワード補償器FFを介して、補償位相角φFFを前向き演算し、加算器ADに入力する。加算器ADの出力信号が位相角指令値φ*となる。
電源同期位相検出回路PLLは3相交流電源電圧に同期した位相信号θr、θs、θtを作り、位相制御回路PHCに入力する。位相制御回路PHCは、位相角指令値φ*と位相信号θr、θs、θtを用いて自励式電力変換器CNVの自己消弧素子S1〜S6のゲート信号g1〜g6を発生する。
電圧形自励式電力変換器CNVは、電源電圧に同期した一定のパルスパターン(1パルス、3パルス、5パルス等)で電源電圧に対する位相角φを制御することにより、交流電源SUPからの入力電流Ir、Is、Itを調整し、直流電圧Vdを制御する。
図2は、図1の装置の制御動作を説明するための交流側等価回路を示す図である。また、図3はその電圧・電流ベクトルを示す図である。図中、Vsは電源電圧、Vcは自励式電力変換器の交流出力電圧、Isは入力電流、jωLs・Isは変圧器のもれインダクタンスLsによる電圧降下分(ただし、抵抗分は十分小さいものとして無視した)を表わす。ベクトル的に、Vs=Vc+jωLs・Isの関係がある。
電源電圧Vsの波高値と自励式電力変換器CNVの交流出力電圧Vcの基本波波高値は大略一致するように合わせる。直流電圧Vdは負荷側からの要求で決まる場合が多く、パルスパターンを決めると、交流出力電圧Vcの基本波波高値は決まってしまう。そこで、電源側に変圧器を設置し、その2次電圧をVsとして、波高値を合わせる。
入力電流Isは、電源電圧Vsに対する自励式電力変換器の交流出力電圧Vcの位相角φを調整することにより制御できる。すなわち、位相角φ=0とすると、交流リアクトルLsに印加される電圧jωLs・Isはゼロとなり、入力電流Isもゼロとなる。位相角(遅れ)φを増やしていくと、jωLs・Isの電圧が増加し、入力電流Isもその値に比例して増加する。入力電流ベクトルIsは、電圧jωLs・Isに対し90°遅れており、電源電圧Vsに対しては、φ/2だけ遅れたベクトルとなる。従って、電源側から見た入力力率は、cos(φ/2)となる。
一方、自励式電力変換器CNVの交流出力電圧を図3のVc’のように位相角φを進み方向に増やしていくと、インダクタンスLsに印加される電圧jωLs・Isも負となり、入力電流はIs’のように、電源電圧Vsに対し(π−φ/2)の位相角となる。すなわち、電力Ps=Vs・Isは負となり、電力を電源SUPに回生することができる。電源電圧Vsを基準にして、交流出力電圧Vcを図の破線に沿ってVc’の方向に回していくと、入力電流ベクトルIsは破線に沿ってIs’の方向に変化する。
図1において、直流平滑コンデンサCdに印加される電圧Vdは次のように制御される。Vd*>Vdとなった場合、電圧制御補償回路Gv(S)の出力である位相角指令値φ*が増加し、入力電流Isが増えて、有効電力Psが交流電源SUPから直流平滑コンデンサCdに供給される。その結果、直流電圧Vdが増加し、Vd*=Vdとなるように制御される。
逆に、Vd*<Vdとなった場合、電圧制御補償回路Gv(S)の出力である位相角指令値φ*が減少し又は負の値となり、入力電流Isの位相が反転し、有効電力Psが直流平滑コンデンサCdから交流電源SUP側に回生される。その結果、直流電圧Vdが減少し、やはりVd*=Vdとなるように制御される。
図1の装置では、負荷Loadに供給する電力PLを検知し、当該負荷電力PLに見合った有効電力Psを交流電源SUPから供給するようにフィードフォワード補償器FFで位相角補償量φFF=kFF・PLを演算し、加算器ADに入力している。これにより、負荷が急変した場合、それに見合った有効電力Psが電源SUPからすぐに供給され、直流平滑コンデンサCdの印加電圧Vdの変動を抑えることができる。
このように、本実施の形態の装置では、直流電圧を直接制御し、電流制御マイナーループを省略して制御系の簡素化を図ることができる。
図4は、図1の装置における位相制御回路PHCの回路例を示す。図中、ADr、ADs、ADtは加減算器、PTN1〜PTN3はパルスパターン発生器を示す。
加減算器ADr、ADs、ADtは、位相信号θr、θs、θtから位相角指令値φ*を引き算し、新たな位相信号θcr、θcs、θctを作る。当該新たな位相信号θcr、θcs、θctは、0〜2πの周期関数で、電源周波数に同期して変化する。
パルスパターン発生器PTN1〜PTN3は、新たな位相信号θcr、θcs、θctに対して、一定のパルスパターンとなるようにゲート信号g1〜g6を発生する。
パルスパターン発生器PTN1は、位相信号θcrに対するR相素子S1、S4のパルスパターンをテーブル関数として記憶したもので、図5に1パルス動作時の波形を示す。
図5において、VrはR相電源電圧、θrは電源電圧Vrに同期した位相信号で、0〜2πの間で変化する周期関数となる。新たな位相信号θcr=θr−φ*は、0〜2πの間で変化する周期関数で、θrの信号に対しφ*だけ遅れた信号で与えられる。すなわち、入力θcrに対し、次のようなゲート信号g1(又はg4)を出力する。
Figure 2007006606
自励式電力変換器CNVの交流側出力電圧(R相)Vcrは、
Figure 2007006606
となる。直流電圧Vdが一定ならば、交流出力電圧Vcrの振幅値は一定となる。Vcrの基本波Vcr*の位相は、電源電圧Vrに対し位相角φ*だけ遅れている。S相、T相も同様に与えられる。
図6は、図5のパルスパターンで自励式電力変換器CNVを動作させた場合の力行運転時のR相各部動作波形を示す。尚、説明の便宜上、入力電流Irは正弦波としてリプル分を省略して描いている。
図6において、変換器の交流出力電圧Vcrの基本波は電源電圧Vrに対し、位相角φだけ遅れている。また、入力電流Irは電源電圧Vrに対し、位相角(φ/2)だけ遅れて流れる。このとき、IS1、IS4はR相の自己消弧素子S1とS4の電流を、ID1、ID4は高速ダイオードD1とD4の電流を、また、IPD1、IPD4は電力用ダイオードの電流波形をそれぞれ表わしている。以下に、図1を用いてそのときの動作を説明する。
入力電流Irが負から正に変わるまでは電力用ダイオードPD4を介して電流が流れている。この状態から電流Irの向きが変わると素子S4がオン状態にあるので、入力電流Irはリカバリ電流抑制用交流リアクトルLaと素子S4を介して流れるようになる。次に、素子S4をオフすると、リカバリ電流抑制用交流リアクトルLaの作用により、電流Irはまず高速ダイオードD1を介して流れる。高速ダイオードD1の順方向降下電圧VFaに対し、電力用ダイオードPD1の順方向降下電圧VFbの方が低いため、その電圧差により、リカバリ電流抑制用交流リアクトルLaに流れている電流が徐々に小さくなり、入力電流Irは、高速ダイオードD1から電力用ダイオードPD1に移っていく。その転流時間はリカバリ電流抑制用交流リアクトルLaのインダクタンス値に反比例する。Laを過飽和リアクトルにすることにより、流れる電流の大きいところでインダクタンス値が小さくなり、高速ダイオードに流れていた電流がより速く電力用ダイオードに移り、損失が低減される。
入力電流Irが再び反転するまでその電流は電力用ダイオードPD1に流れる。入力電流Irが反転した後は、素子S1と高速ダイオードD4及び電力用ダイオードPD4の間で、上記と同様の動作が行われる。
力行運転時の入力電流Irの大部分は電力用ダイオードPD1、PD4に流れるので、損失が小さく、過負荷耐量の大きな電力変換装置を提供できる。
自己消弧素子S1〜S6が遮断する最大電流Imaxは、入力電流の波高値をIsmとした場合、Imax=Ism×sin(φ/2)となる。例えば、φ=20°の場合、Imax=0.174×Ismとなる。すなわち、自己消弧素子の遮断電流が小さいものを用意すればよく、変換器効率が高く、経済的な電力変換装置を提供できる。
図7は、本発明の装置の回生運転時の動作波形を示すもので、IS1、IS4はR相の自己消弧素子S1とS4の電流を、ID1、ID4は高速ダイオードD1とD4の電流を、また、IPD1、IPD4は電力用ダイオードの電流波形をそれぞれ表わしている。変換器の交流出力電圧Vcrの基本波は電源電圧Vrに対し、位相角φだけ進んでいる。また、入力電流Irは電源電圧の反転値−Vrに対し、位相角(φ/2)だけ進んで流れる。
入力電流Irが負で、素子S1がオン(S4はオフ)のときは、入力電流Irは素子S1とリカバリ電流抑制用交流リアクトルLaを介して流れる。素子S1をオフ(S4をオン)すると、リカバリ電流抑制用交流リアクトルLaの作用により、電流Irはまず高速ダイオードD4を介して流れる。高速ダイオードD4の順方向降下電圧VFaに対し、電力用ダイオードPD4の順方向降下電圧VFbの方が低いため、その電圧差により、リカバリ電流抑制用交流リアクトルLaに流れている電流が徐々に小さくなり、入力電流Irは、高速ダイオードD4から電力用ダイオードPD4に移っていく。入力電流Irが反転すると、素子S4に電流が流れ、上記と同様に素子S4をオフすることにより、まず高速ダイオードD1に電流が流れ、やがて電力ダイオードPD1に電流が移る。
回生運転時、自己消弧素子S1〜S6が遮断する最大電流Imaxは、入力電流の波高値をIsmとした場合、Imax=Ism×sin(φ/2)となる。例えば、φ=20°の場合、Imax=0.174×Ismとなる。S相、T相も同様に制御される。
以上のように、回生運転時の入力電流Irの大部分は自己消弧素子に流れるが、当該素子S1〜S6の遮断電流は小さくてすみ、変換器効率が高く、経済的な電力変換装置を提供できる。
図8は、図4の位相制御回路PHCのパルスパターン発生器PTN1〜PTN3として、3パルス出力を行ったときの動作波形を示すものであり、R相について描いている。図中、VrはR相電源電圧、θrは電源電圧Vrに同期した位相信号で、0〜2πの間で変化する周期関数となる。新たな位相信号θcr=θr−φ*は、0〜2πの間で変化する周期関数で、θrの信号に対しφ*だけ遅れた信号で与えられる。また、位相信号θcrに対するR相素子S1、S4のパルスパターンは次のようになる。
Figure 2007006606
このとき、自励式電力変換器CNVの交流側出力電圧(R相)Vcrは、
Figure 2007006606
となる。出力電圧Vcrの基本波Vcr*の位相は、電源電圧Vrに対し位相角φだけ遅れている。S相、T相も同様に与えられる。この場合もパルスパターンは固定され、直流電圧Vdを一定とした場合、自励式電力変換器CNVの交流出力電圧の基本波波高値は一定となる。
図9は、図1の装置の自励式電力変換器CNVを3パルス動作させた場合の力行運転時のR相各部動作波形を示す。尚、説明を簡略化するため、入力電流Irはリプル分を省略し、正弦波として描いている。
図9において、変換器の交流出力電圧Vcrの基本波は電源電圧Vrに対し、位相角φだけ遅れる。また、入力電流Irは電源電圧Vrに対し、位相角(φ/2)だけ遅れて流れる。このとき、IS1、IS4はR相の自己消弧素子S1とS4の電流を、ID1、ID4は高速ダイオードD1とD4の電流を、また、IPD1、IPD4は電力用ダイオードの電流波形をそれぞれ表わしている。そのときの動作を以下に説明する。
入力電流Irが負から正に変わるまでは電力用ダイオードPD4を介して電流が流れている。この状態から電流Irの向きが変わると素子S4がオン状態にあるので、入力電流Irはリカバリ電流抑制用交流リアクトルLaと素子S4を介して流れるようになる。次に、素子S4をオフすると、リカバリ電流抑制用交流リアクトルLaの作用により、電流Irはまず高速ダイオードD1を介して流れる。高速ダイオードD1の順方向降下電圧VFaに対し、電力用ダイオードPD1の順方向降下電圧VFbの方が低いため、その電圧差により、リカバリ電流抑制用交流リアクトルLaに流れている電流が徐々に小さくなり、入力電流Irは、高速ダイオードD1から電力用ダイオードPD1に移っていく。その転流時間はリカバリ電流抑制用交流リアクトルLaのインダクタンス値に反比例する。
次に、素子S4を再びオンすると、入力電流Irはリカバリ電流抑制用交流リアクトルLaと素子S4を介して流れ、電力用ダイオードPD1及び高速ダイオードD1の電流はゼロとなる。さらに、図8のθ1で、素子S4をオフすると、上記と同じように、まず高速ダイオードD1に電流が流れ、次に電力用ダイオードPD1に電流が移っていき、入力電流Irが再び反転するまでその電流は電力用ダイオードPD1に流れる。入力電流Irが反転した後は、素子S1と高速ダイオードD4及び電力用ダイオードPD4の間で、上記と同様の動作が行われる。
3パルス動作の場合、自己消弧素子S1〜S6が遮断する最大電流Imaxは、入力電流の波高値をIsmとした場合、
Figure 2007006606
となる。例えば、φ=20°、θ1=10°とした場合、
Figure 2007006606
となる。
このように、本実施の形態の装置によれば、力行運転時には大部分の電流が、オン電圧の小さい電力用ダイオードPD1〜PD6を通って流れ、高速ダイオードD1〜D6に流れる電流はわずかとなり、高効率の変換装置を達成できる。また、自己消弧素子S1〜S6の遮断電流を小さくでき、装置全体のコストを大幅に低減できる。
さらに、本発明の装置によれば、直流電圧Vdに対する変換器CNVの交流出力電圧Vcの割合(電圧利用率)が高く、変圧器TRの2次電圧を高くでき、同じ出力容量とした場合、変換器の入力電流値を下げることができ、経済的な電力変換装置を提供することができる。
図1において、フィードフォワード補償器FFは、負荷電力PLから位相角指令値φFFを演算(又は推定)し、加算器ADに入力する。すなわち、交流電源の電圧Vsに対する電圧形自励式電力変換器の交流側端子電圧Vcの位相角φは、φo*+φFFによって制御される。
図10は、前向き演算による位相角指令値φFFと負荷電力PLとの関係を説明するための交流側の電圧・電流ベクトル(1相分)を示す図である。図10(a)は、電源電圧Vsと電圧形自励式電力変換器の交流側電圧Vcの基本波の波高値が等しいと仮定した場合のベクトル図で、位相角φの二等辺三角形となり、入力電流Isは電源電圧Vsに対し、(φ/2)だけ位相が遅れる。従って、定格電力PLoを出力するときの位相角φは、変圧器TRのパーセントインピーダンスを%XI(抵抗分は無視)とすると、
Figure 2007006606
が成り立つ。任意の負荷PLに対しては、
Figure 2007006606
となり、位相角φがある程度小さい範囲では、
Figure 2007006606
が求められる。
図10(b)は、電源電圧Vsと変換器の交流側電圧Vcの波高値が異なる場合のベクトル図を示したもので、一般化して考えることができる。すなわち、電源電圧Vsと変換器交流側電圧Vcの差電圧が変圧器のもれインダクタンスLsに印加され、ベクトル的にVs−Vc=jωLs・Isが成り立つ。電流Isを有効分Ipと無効分IQに分離すると、Lsに印加される電圧は、有効電流Ipに対してjωLs・Ipが印加され、無効電流IQに対してjωLs・IQが印加される。すなわち、jωLs・IsがjωLs・IpとjωLs・IQに分離される。
ここで、VsとVcの位相角φに対し、ωLs・Ip=Vc・sinφが成り立つ。3相電源の場合、有効電力Ps=3Vs・Ipとなるので、
Figure 2007006606
となる。定格入力電流Isoとすると、変圧器の%XI=ωLs・Iso/Vsなので、
Figure 2007006606
となる。位相角φがあまり大きくないとすれば、
Figure 2007006606
となる。Vcの基本波波高値とVsの波高値が同じ場合、3Iso・Vc=Pso=PLoとなるので、式φFF≒PL×%XI/PLoに一致する。ただし、変換器の損失が十分小さいものとして無視し、Ps=PLとする。Vcの大きさは、直流電圧Vdに比例し、Vc=k・Vdとなるので、一般的には、
Figure 2007006606
とすればよい。ただし、VdoはVcの基本波波高値が電源電圧Vsの波高値に一致するときの直流電圧値である。
図10(a)のケースは、Vcの波高値がVsの波高値に等しい場合で、当然Vd=Vdoとなる。すなわち、
Figure 2007006606
が成り立っている。この位相角φFFを前向き補償として、直流電圧制御回路Gv(S)からの出力信号φo*に加えることにより、負荷PLが急変したときの制御応答を改善することができる。
直流電圧制御では、負荷PLが急変した場合、直流電圧Vdが変化し、偏差εv=Vd*−Vdに応じて位相角φo*が変わり、最終的にVd*=Vdとなって落ち着く。このとき、前向き補償φFFを加えることにより、負荷PLが変わると同時に上記φFFが演算され、φo*が変わる前に位相角φを必要なだけ動かして、負荷電力PLに見合った電力を交流電源SUPから供給する。この結果、直流平滑コンデンサCdに出入りする電力はほとんど無く、その印加電圧Vdは変化しないで済む。
このように、フィードフォワード補償器FFは、負荷急変時の直流電圧制御の応答を改善する役目を果たす。
図1の装置において、過電流が発生した場合、自励式電力変換器CNVの過電流を検知し、当該自励式電力変換器CNVを構成する自己消弧素子S1〜S6をオフさせる。すなわち、自励式電力変換器CNVの直流電流Icnvを電流検出器DCCTで検出し、過電流検出器OCに入力する。電流Icnvが設定値Icnvoを超えた場合には、位相制御回路PHCにゲートブロック信号GBを与え、自己消弧素子S1〜S6をオフさせる。尚、自励式電力変換器CNVの直流入力電流Icnvを検出する代わりに、交流リアクトルLaに流れる3相交流電流Iaを検出しても同様に過電流検知ができる。
電気鉄道では、1つの変電所から複数の車両に電力供給を行うため、回生車両からの電力の大部分は力行車両に消費され、変電所としては、一般に力行運転時の負荷が重く、回生電力は小さくなる。例えば、力行運転時の過負荷耐量として定格出力の300%が要求されるが、回生電力は100%定格を持てばよい。本電力変換装置は、このような力行運転時の過負荷耐量として大きなものに適している。
例えば、定格3000kWとした場合、力行運転では1分間の過負荷9000kWが要求される。このとき、大部分の電流は電力用ダイオード整流器RECに流れ、当該電力用ダイオードPD1〜PD6に流れる電流の最大値Ismは、トランスTRの2次電圧をV2=1.2kVとした場合、
Figure 2007006606
となる。このとき、自励式電力変換器CNVの自己消弧素子S1〜S6は、前述のように上記最大電流Ismの約1/3の電流(2041A)を遮断することになる。
一方、回生運転では3000kWが最大であり、そのとき大部分の電流は自励式電力変換器CNVの自己消弧素子S1〜S6を介して流れ、その最大値はIsm’は、
Figure 2007006606
となる。通常の回生運転では、回生3000kW時の最大値の約1/3の電流(680A)を自己消弧素子S1〜S6が遮断することになる。
この装置全体に流れる入力電流の最大値は、上記のようにIsm=6.124Aとなり、従来のように、装置全体の入力電流又は直流出力電流を基準にして過電流レベルを決めると、自己消弧素子S1〜S6の最大遮断電流として、例えば、1.2×6124A=7350Aの素子を用意しなければならない。
これに対し、本発明の装置では、自励式電力変換器CNV自体の交流又は直流電流により過電流検知を行うことにより、過電流設定値Incvoとして、上記力行9000kW運転及び回生3000kW運転時に自励式電力変換器CNVの自己消弧素子S1〜S6に流れる電流の最大値(この場合、約2041A)より少し大きな値、例えば1.2×2041A=2450Aに選ぶことが可能となる。すなわち、力行側過負荷耐量が大きく、回生側容量が小さくて済む電気鉄道応用等では、自励式電力変換器CNVを構成する自己消弧素子の最大遮断電流容量を大幅に低減することができ、経済的な電力変換装置を提供できる。
図11は、図1の装置における制御回路の別の回路例を示すブロック図である。図中、Fd(x)は直流電圧指令発生器、C1は比較器、Gv(S)は電圧制御補償回路、ADは加算器、FFはフィードフォワード補償器、OCは過電流検出器、PLLは電源同期位相検出回路、PHCは位相制御回路である。
直流平滑コンデンサに印加される電圧Vdを検出し、比較器C1により、電圧指令値Vd*と比較して、偏差εv=Vd*−Vdを求める。さらに、電圧制御補償回路Gv(S)により偏差εvを比例又は積分増幅して、加算器ADに入力する。加算器ADでは直流電圧制御補償器Gv(S)からの出力信号φo*と次のフィードフォワード補償器FFからの出力信号φFFを加算し、位相角指令値φ*として位相制御回路PHCに入力する。
フィードフォワード補償器FFでは、負荷電力PLから位相角指令値φFFを演算(推定)し、加算器ADに入力する。すなわち、交流電源の電圧Vsに対する電圧形自励式電力変換器の交流側端子電圧Vcの位相角φは、φo*+φFFによって制御される。このフィードフォワード補償器FFは、負荷急変時の直流電圧制御の応答を改善する役目を果たす。
本実施の形態の電力変換装置は、直流平滑コンデンサCdに印加される電圧Vdは指令値Vd*に一致するように制御される。当然のことながら、当該指令値Vd*を一定にして制御することもできる。
電気鉄道の直流き電システムでは、交流/直流電力変換器として、シリコン整流器(ダイオード整流器)が多く使われており、本発明の電力変換装置を既存のシリコン整流器と並列運転することも必要になってくる。その場合、直流電圧指令値Vd*を直流出力電流又は負荷電力に応じて変化させることにより、並列運転時の負荷分担を調整することが可能になる。
また、将来的に、PWMコンバータや本発明の電力変換装置が普及した場合、直流電圧指令値Vd*を直流出力電流IL又は負荷電力PLに応じて変化させることにより、それらの電力変換器との間で負荷分担を調整することが可能になる。
図12は、図11の制御回路の直流電圧発生器Fd(x)の動作特性例を示すもので、負荷電力PL(又は負荷電流IL)に応じて、直流電圧指令値Vd*を次のように変えている。すなわち、力行運転では、ある設定電流値ILoに対し、直流電圧指令値Vd*を、
Figure 2007006606
として与えている。ただし、k1は比例定数である。
自励式電力変換器CNVにより、直流平滑コンデンサCdに印加される電圧Vdを、
Figure 2007006606
となるように大略調整することにより、負荷電流ILが大きくなったときに直流電圧Vdが低下し、変換器CNVの交流側出力電圧Vcの実効値も低くなる。この結果、負荷が重いときに入力電流ベクトルIsが変換器電圧Vcの位相に近くなり、変換器CNVの自己消弧素子は、入力電流Isのゼロクロス点に近いところでオン/オフするようになり、自己消弧素子の最大遮断電流を小さく抑えることができる。
さらに、力行負荷が増えて、IL>ILmaxとなった場合、自励式電力変換器CNVの自己消弧素子S1〜S6をゲートブロックする。これにより、電力変換装置は、電力用ダイオード整流器RECと、自励式電力変換器CNVの高速ダイオードD1〜D6で構成される整流器の並列運転とする。この結果、直流電圧Vdは、変圧器TRの%XIで決まるレギュレーション特性を持って減衰する。このように、本実施の形態によれば、過負荷定格を超えた場合でも、運転継続が可能となり、しかも、自己消弧素子S1〜S6を保護することができる。
また、回生運転(IL<0)の場合、Vd*=Vdb*=一定として制御する。また、回生電力PLが最大設定値PLmaxを超えた場合、直流電圧指令値Vd*をVdm*まで上げる。電気鉄道において、電車負荷Load側では、直流き電電圧Vdが上がったことを検知して、回生ブレーキを緩め又は止めて、機械ブレーキで電車を減速させる。一方、回生運転時にVdb*>Vda*にすることにより、他の電力変換装置(シリコン整流器を含む)と並列運転する場合に無駄な循環電流が流れるのを防止することができる。
尚、電気鉄道の直流き電システムにおいて、既設のシリコン整流器と並列運転する場合には、図12の特性で、力行運転のILo=0とし、Vd*=Vda*−k1・ILとして与える。このとき、係数k1を調整することにより、シリコン整流器と本発明の電力変換装置との負荷分担を調整することができる。
また、図12の特性で、力行運転時、Vd*=Vda*=一定、及び回生運転時、Vd*=Vdb*=一定として与えたが、本発明の電力変換装置を複数セット設置し、並列運転する場合には、適当な電圧レギュレーションを持たせて、負荷分担の平衡化を図ることもできる。
図13は、図1の装置における制御回路のさらに別の回路例を示すブロック図である。図中、Fd(x)は直流電圧発生器、C1、C2は比較器、Ksは比例要素、Gv(S)は電圧制御補償回路、AD1、AD3は加算器、FFはフィードフォワード補償器、PLLは電源同期位相検出回路、PHCは位相制御回路、OCは過電流検出器を表す。
直流電圧指令発生器Fd(x)は、負荷電流IL又は負荷電力PLに応じて直流電圧指令値Vd*を発生するもので、例えば、図12に示したような特性とする。負荷電流ILが過負荷電流の最大値を超えた場合、過電流検出器OCによりそれを検知し、自励式電力変換器CNVをゲートブロックする。これにより、電力用ダイオード整流器RECと自励式電力変換器CNVを構成する高速ダイオード整流器が継続して運転され、より冗長性の高いシステムを提供できる。
比較器C2により、電源電圧の実効値Vs(rms)を検出し、定格値Vso(rms)と比較する。その差分Vs(rms)−Vso(rms)=ΔVsは比例要素Ksを介して定数倍され、直流電圧指令の補償値ΔVd*=Ks・ΔVsとなる。加算器AD1により、本来の直流電圧指令値Vd*と補償値ΔVd*を加え、新たな直流電圧指令値Vd**=Vd*+ΔVd*とする。
直流平滑コンデンサCdに印加される電圧Vdが上記指令値Vd**に一致するように制御されるのは、前に説明した通りである。このとき、フィードフォワード補償器FFは、負荷急変時の直流電圧制御の応答を改善する役目を果たす。
図14(a)は、直流電圧Vdを一定に制御したとき、電源電圧Vsの実効値が変化した場合の交流電源側の電圧・電流ベクトル図を示す。図中、Vs1は定格値の電源電圧ベクトルで、Vs(rms)=Vc(rms)となっている。電源電圧ベクトルVsに対する電力変換器の交流電圧Vcの位相角φを増やす(遅れ)ことにより、入力電流Is1が増加する。位相角φ=0にすると、Is1=0になる。これに対し、電源電圧の実効値Vs(rms)が増加し、電源電圧ベクトルがVs2のようになった場合、入力電流はIs2のようになり、位相角φ=0にすると、Vs(rms)>Vc(rms)なので、遅れ入力電流が流れる。逆に、電源電圧の実効値Vs(rms)が減少し、電源電圧ベクトルがVs3のようになった場合、入力電流はIs3のようになり、位相角φ=0にすると、Vs(rms)<Vc(rms)なので、進み入力電流が流れる。
すなわち、電圧形自励式電力変換器を一定パルスパターンで運転した場合、当該電力変換器CNVの交流側出力電圧Vcの振幅値は一定となり、電源電圧Vsが高くなると、変換器CNVは遅れ力率運転となり、また、電源電圧Vsが低くなると、変換器CNVは進み力率運転となってしまう。また、変換器CNVの力率低下に伴い、自励式電力変換器CNVの交流側出力電圧Vcと入力電流Isの位相差が大きくなり、自励式電力変換器を構成する自己消弧素子の遮断電流が大きくなってしまう。
図14(b)は、図13の回路例での電圧・電流ベクトル図を示すもので、電源電圧ベクトルVs1がベクトルVs2のように実効値が大きくなった場合、それに合わせて直流電圧Vdを増加させる。電力変換器CNVの交流電圧Vcの実効値は直流電圧Vdに比例するので、電圧ベクトルVcはVc’のようになり、電源電圧Vs2と変換器の交流電圧Vc’の波高値を合わせることができる。これにより、電源力率あるいは変換器力率の極端な低下を防ぐことが可能となり、自己消弧素子の遮断電流の増加を防止できる。
(第2の実施の形態)図15は、本発明の第2の実施の形態の電力変換装置のブロック図である。図中、SUPは3相交流電源、TRは3相トランス、RECは電力用ダイオード整流器で、PD1〜PD6は電力用ダイオード、Laは交流リアクトル(3相)、Raは抵抗器(3相)、CNVは電圧形自励式変換器で、S1〜S6は自己消弧素子、D1〜D6は高速ダイオード、Cdは直流平滑コンデンサ、Loadは負荷装置を示している。ILは負荷電流検出器及びその検出電流である負荷電流、Vdは電圧検出器及びその検出電圧を示している。交流リアクトルLaは、電圧形自励式電力変換器CNVの自己消弧素子S1〜S6がオンしたときに電力用ダイオード整流器RECの各ダイオードPD1〜PD6に過大なリカバリ電流が流れ込むのを抑える役目をする。また、抵抗器Raは高速ダイオードD1〜D6に流れる電流を軽減させ、転流時に交流リアクトルLaの電流を減衰させる役目を果たす。
一方、制御回路として、比較器C1、加算器AD、電圧制御補償回路Gv(S)、フィードフォワード補償器FF、電源同期位相検出回路PLL、位相制御回路PHC、過電流検出器OCを用意している。
直流平滑コンデンサCdに印加される電圧Vdを検出し、比較器C1により、電圧指令値Vd*と比較する。その偏差εv=Vd*−Vdを電圧制御補償回路Gv(S)により、積分又は比例増幅し、加算器ADに入力する。一方、負荷装置Loadに供給される電流ILを検知し、フィードフォワード補償器FFを介して、加算器ADに入力する。加算器ADの出力信号が位相角指令値φ*となる。
電源同期位相検出回路PLLは3相交流電源電圧に同期した位相信号θr、θs、θtを作り、位相制御回路PHCに入力する。位相制御回路PHCは、位相角指令値φ*と位相信号θr、θs、θtを用いて自励式電力変換器CNVの自己消弧素子S1〜S6のゲート信号g1〜g6を発生する。
電圧形自励式電力変換器CNVは、電源電圧に同期した一定のパルスパターン(1パルス、3パルス、5パルス等)で電源電圧に対する位相角φを制御することにより、入力電流を調整し、直流電圧Vdを制御する。
図16〜図19は、図15の装置の動作を説明するための1相分の主回路構成を示すもので、PD1、PD4は電力用ダイオード、S1、S4は自己消弧素子、D1、D4は高速ダイオード、Laはリカバリ電流抑制用交流リアクトル、Raは直列抵抗器、Vdは直流平滑コンデンサCdの印加電圧を表す。端子Uは3相トランスTRの2次巻線のR相端子に接続される。
図16のモード(1)は、電力用ダイオードPD1を介して入力電流Irが流れていたとき、下アームの自己消弧素子S4をオンした場合の電流の流れを示すもので、素子S4をオンすることにより、リカバリ電流が、Vd(+)→PD1→La→Ra→S4→Vd(−)の経路で流れる。このとき、リアクトルLa及び抵抗Raは当該リカバリ電流を抑制する役目を果たす。やがて、電力用ダイオードPD1がオフし、入力電流IrはリアクトルLaに流れる電流Iaと等しくなる。
次に図17に示すモード(2)において、自己消弧素子S4がオフすると、リアクトルLaに流れていた電流Iaは、まず、上アームの高速ダイオードD1を介して流れる。
さらに図18に示すモード(3)に移り、電力用ダイオードPD1にも入力電流Irの一部が流れるようになるが、当該電力用ダイオードPD1の順方向電圧降下VFbが高速ダイオードD1の順方向電圧降下VFaより小さい場合には、その差電圧(VFa−VFb)により、リアクトルLaに流れていた電流Iaが徐々に減衰し、やがて、図19に示すモード(4)のように、全ての入力電流Irが電力用ダイオードPD1を介して流れるようになる。
しかし、差電圧(VFa−VFb)が小さい場合には、リアクトルLaに流れていた電流がなかなか減衰せず、長い時間高速ダイオードD1に大電流が流れ続け、損失の増加を招くことになる。直列抵抗Raは、差電圧(VFa−VFb)が小さい場合でも、時定数T=La/Raで、リアクトルLaの電流Iaを減衰させる役目を果たす。これにより、高速ダイオードD1に流れる電流を小さくすることが可能となり、当該ダイオードは電流容量の小さいもので構成でき、かつ、装置の損失低減を図ることができる。
この直列抵抗器Raにより、シリコン整流器RECの電力用ダイオードPD1〜PD6に流れる電流と、高速ダイオードD1〜D6に流れる電流の配分を調整することが可能となり、高効率で、過負荷耐量に優れた電力変換装置を提供することができる。
(第3の実施の形態)図20は、本発明の第3の実施の形態の電力変換装置のブロック図である。図中、SUPは3相交流電源、TRは3相トランス、RECは電力用ダイオード整流器で、PD1〜PD6は電力用ダイオード、Laは交流リアクトル(3相)、CNVは電圧形自励式変換器で、S1〜S6は自己消弧素子、D1〜D6は高速ダイオード、ACSWは交流側開閉器(3相)、DCSWは直流側開閉器、Cdは直流平滑コンデンサ、Loadは負荷装置を示している。ILは負荷電流検出器及びその検出電流である負荷電流、Vdは電圧検出器及びその検出電圧を示している。交流リアクトルLaは、電圧形自励式電力変換器CNVの自己消弧素子S1〜S6がオンしたときに電力用ダイオード整流器RECの各ダイオードPD1〜PD6に過大なリカバリ電流が流れ込むのを抑える役目をする。
一方、制御回路として、比較器C1、加算器AD、電圧制御補償回路Gv(S)、フィードフォワード補償器FF、過電流検出器OC、電源同期位相検出回路PLL、位相制御回路PHCを用意している。当該制御回路は、図1に示した第1の実施の形態の電力変換装置で説明したものと同様に動作する。
図20において、自励式電力変換器CNVが故障した場合、交流側開閉器ACSW(3相)と直流側開閉器DCSWを開放するように構成している。これにより、一旦装置の運転を停止するが、短時間で自励式電力変換器CNVを電気的に切り離し、引き続いて電力用ダイオード整流器RECのみで、力行負荷車両Loadに電力を供給することができる。この場合、回生車両の回生電力が力行車両の負荷電力より大きくなり、回生失効に至ることが考えられるが、従来の運転と同様に機械ブレーキにより列車を減速させ、列車の運転ダイヤを確保する。
電気鉄道では、まず、列車の運行を優先させることが不可欠となる。本実施の形態の電力変換装置は、前に述べたように、電力用ダイオード整流器RECと電圧形自励式電力変換器CNVを組み合わせたもので、電力回生ができ、入力力率が高く、入力電流高調波の少ない高効率の電力変換装置を提供できる利点がある。
電力用ダイオード整流器RECと、電圧形自励式電力変換器CNVを比べた場合、故障する確率は後者の方が高いのは否めない。自励式電力変換器CNVが故障した場合、交流側端子及び直流側端子を電気的に切り離せるように構成することにより、装置として一旦運転停止はするものの、再び電力用ダイオード整流器RECのみを運転させ、列車を走らせることが可能となる。これにより、より冗長性の高いシステムを提供できるようになる。
(第4の実施の形態)図21は、本発明の第4の実施の形態の装置の電力変換装置のブロック図である。図中、SUPは3相交流電源、TRは3相トランス、RECは電力用ダイオード整流器で、PD1〜PD6は電力用ダイオード、Laは交流リアクトル(3相)、CNVは電圧形自励式変換器で、S1〜S6は自己消弧素子、D1〜D6は高速ダイオード、Cdは直流平滑コンデンサ、Ldは直流リアクトル、HSCBは直流高速遮断器、Loadは負荷装置を示している。ILは負荷電流検出器及びその検出電流である負荷電流、Vdは電圧検出器及びその検出電圧を示している。
交流リアクトルLaは、電圧形自励式電力変換器CNVの自己消弧素子S1〜S6がオンしたときに電力用ダイオード整流器RECの各ダイオードPD1〜PD6に過大なリカバリ電流が流れ込むのを抑える役目をする。
一方、制御回路として、比較器C1、加算器AD、電圧制御補償回路Gv(S)、フィードフォワード補償器FF、過電流検出器OC、電源同期位相検出回路PLL、位相制御回路PHCを用意している。当該制御回路は、図1に示した第1の実施の形態の電力変換装置で説明したものと同様に動作する。
高速遮断器HSCBは、直流き電線の地絡事故などにより、過大な電流が流れた場合、過電流検出器OCのGB信号出力にて遮断動作し、いち早く回路を切り離す役目を果たし、事故が拡大するのを防止する。しかし、直流平滑コンデンサCdが電圧源となっており、至近端で地絡事故などが発生した場合には、事故電流の立ち上がりが速く高速遮断器HSCBでも切り離せないことがある。直流リアクトルLdは、事故電流の立ち上がりを抑制するもので、事故時に高速遮断器HSCBを確実に動作させることが可能となる。
(第5の実施の形態)図22は、本発明の第5の実施の形態の電力変換装置のブロック図である。図中、SUPは3相交流電源、MCBは交流主遮断器、TRは3相変圧器、REC1、REC2は電力用ダイオード整流器、La1、La2はリカバリ電流抑制用交流リアクトル(3相)、CNV1、CNV2は電圧形自励式電力変換器、DCCT1、DCCT2は直流電流検出器、Cdは直流平滑コンデンサ、Loadは負荷装置を示している。ILは負荷電流検出器及びその検出電流である負荷電流、Vdは電圧検出器及びその検出電圧を示している。
また、制御回路として、直流電圧制御回路Vd−Cont、位相制御回路PHC1、PHC2が用意されている。尚、制御回路には図24〜図26のいずれかの回路構成のものを採用するが、詳しい説明は後述する。
3相変圧器TRは、Δ結線された1次巻線と、Δ結線された第1の2次巻線及びY結線された第2の2次巻線を持っている。すなわち、第1の2次巻線の3相電圧に対し、第2の2次巻線の電圧は、波高値は同じで、位相角が30°だけずれた3相電圧となる。
第1の電力用ダイオード整流器REC1の交流端子は、3相変圧器TRの第1の2次巻線に接続されている。また、第1の自励式電力変換器CNV1の交流端子は、第1のリカバリ電流抑制用交流リアクトルLa1を介して第1の電力用ダイオード整流器REC1の交流端子に接続されている。
また、第2の電力用ダイオード整流器REC2の交流端子は、3相変圧器TRの第2の2次巻線に接続されている。また、第2の自励式電力変換器CNV2の交流端子は、第2のリカバリ電流抑制用交流リアクトルLa2を介して第2の電力用ダイオード整流器REC2の交流端子に接続されている。
第1及び第2の電力用ダイオード整流器REC1、REC2、及び第1及び第2の自励式電力変換器CNV1、CNV2の直流端子は並列接続され、直流平滑コンデンサCdに接続されている。また、負荷装置Loadは、当該直流平滑コンデンサCdを電圧源として電力の授受を行う。第1の電力用ダイオード整流器REC1と第1の自励式電力変換器CNV1は一体として動作し、また、第2の電力用ダイオード整流器REC2と第2の自励式電力変換器CNV2は一体として動作する。
第1及び第2の自励式電力変換器CNV1、CNV2は一定のパルスパターンで位相制御を行い、直流電圧Vdを制御する。すなわち、第1の自励式電力変換器CNV1は、3相変圧器TRの第1の2次巻線(Δ結線)の電圧Vs1を基準にして位相制御するもので、当該電源電圧Vs1に対する第1の自励式電力変換器CNV1の交流電圧Vc1の位相角φ1を調整することにより、供給電力Pc1を調整する。すなわち、位相角φ1(遅れ)を増やすことにより、入力電流Ic1が増加し、電源からの供給電力Pc1が増加する。逆に、位相角φ1を負にすることにより、入力電流Ic1の位相が反転し、電力Pc1を電源に回生することができる。
また、第2の自励式電力変換器CNV2は、3相変圧器TRの第2の2次巻線(Y結線)の電圧Vs2を基準にして位相制御するもので、当該電源電圧Vs2に対する第2の自励式電力変換器CNV2の交流電圧Vc2の位相角φ2を調整することにより、供給電力Pc2を調整する。すなわち、位相角φ2(遅れ)を増やすことにより、入力電流Ic2が増加し、電源からの供給電力Pc2が増加する。逆に、位相角φ2を負にすることにより、入力電流Ic2の位相が反転し、電力Pc2を電源に回生することができる。交流電源SUPから供給される電力Psは、上記電力Pc1とPc2の和となり、交流入力電流Isは上記変圧器TRの2次電流Ic1とIc2の和となる。
直流平滑コンデンサCdに印加される電圧Vdが指令値Vd*に一致するように制御位相角φ1、φ2を制御する。負荷電流ILが増加し、直流電圧Vdが下がった場合、制御位相角φ1、φ2が大きくなり、交流電源SUPからの供給電力Psが増加して、直流電圧Vdが上昇し、Vd=Vd*となるように制御される。また、回生運転(IL<0)で、直流電圧Vdが上昇した場合には、供給電力Psを負にすることにより、電力を電源SUPに回生し、直流電圧Vdが下がり、やはり、Vd=Vd*となるように制御される。
このように、本実施の形態の装置では、直流電圧を直接制御し、電流制御マイナーループを省略して制御系の簡素化を図ることができる。
本実施の形態では、2台の変換器を変圧器TRを介して並列2多重運転を行っている。これにより、変換装置の容量を増加でき、かつ、入力電流Isの高調波を低減できる。この場合でも、変換装置の過電流は、直流電流検出器DCCT1、DCCT2により、それぞれの自励式電力変換器CNV1、CNV2の直流電流Icnv1及びIcnv2を検出し、その電流Icnv1、Icnv2が過電流レベルを超えた場合に、自励式電力変換器CNV1、CNV2をゲートブロックする。電気鉄道などでは過負荷300%で1分間の運転が要求され、従来のように電力変換装置全体の過電流を検知する方式では、過負荷300%以上の電流で過電流レベルを設定しなければならず、実際に自励式電力変換器CNV1、CNV2にそのような大電流が流れた場合に備えて、それを遮断するだけの自己消弧素子を用意するのは不経済である。通常の力行運転では、大部分の電流が電力用ダイオード整流器REC1、REC2に流れ、わずかな電流が自励式電力変換器CNV1、CNV2の自己消弧素子に流れる。そこで、本実施の形態では、直流電流検出器DCCT1及びDCCT2により、電圧形自励式電力変換器CNV1、CNV2の直流電流Icnv1、Icnv2の過電流を検知して、当該自励式電力変換器CNV1、CNV2を構成する自己消弧素子をオフするように制御することにより、実用的な電流レベルで自己消弧素子の過電流保護がかかり、装置を確実に保護することが可能となる。尚、電圧形自励式電力変換器CNV1及びCNV2の交流入力電流Iaを検知して、過電流保護をかけても同様に目的を達成できる。
(第6の実施の形態)図23は、本発明の第6の実施の形態の電力変換装置のブロック図である。図中、SUPは3相交流電源、MCBは交流主遮断器、TRは3相変圧器、REC1、REC2は電力用ダイオード整流器、La1、La2はリカバリ電流抑制用交流リアクトル(3相)、Ra1、Ra2は直列抵抗器(3相)、CNV1、CNV2は電圧形自励式変換器、DCCT1、DCCT2は直流電流検出器、Cdは直流平滑コンデンサ、Loadは負荷装置を示している。ILは負荷電流検出器及びその検出電流である負荷電流、Vdは電圧検出器及びその検出電圧を示している。
また、制御回路として、直流電圧制御回路Vd−Cont、位相制御回路PHC1、PHC2が用意されている。この制御回路については後述する。
3相変圧器TRは、Δ結線された1次巻線と、Δ結線された第1の2次巻線及びY結線された第2の2次巻線を持っている。すなわち、第1の2次巻線の3相電圧に対し、第2の2次巻線の電圧は、波高値は同じで、位相角が30°だけずれた3相電圧となる。
第1の電力用ダイオード整流器REC1の交流端子は、3相変圧器TRの第1の2次巻線に接続されている。また、第1の自励式電力変換器CNV1の交流端子は、第1のリカバリ電流抑制用交流リアクトルLa1及び第1の直列抵抗器Ra1を介して第1の電力用ダイオード整流器REC1の交流端子に接続されている。
また、第2の電力用ダイオード整流器REC2の交流端子は、3相変圧器TRの第2の2次巻線に接続されている。また、第2の自励式電力変換器CNV2の交流端子は、第2のリカバリ電流抑制用交流リアクトルLa2及び第2の直列抵抗器Ra2を介して第2の電力用ダイオード整流器REC2の交流端子に接続されている。
第1及び第2の電力用ダイオード整流器REC1、REC2、及び第1及び第2の自励式電力変換器CNV1、CNV2の直流端子は並列接続され、直流平滑コンデンサCdに接続されている。また、負荷装置Loadは、当該直流平滑コンデンサCdを電圧源として電力の授受を行う。、第1の電力用ダイオード整流器REC1と第1の自励式電力変換器CNV1は一体として動作し、また、第2の電力用ダイオード整流器REC2と第2の自励式電力変換器CNV2は一体として動作する。
直列抵抗器Ra1、Ra2は、図15及び図16で説明したように、自励式変換器CNV1、CNV2を構成する高速ダイオード(順方向電圧降下VFa)とシリコン整流器REC1、REC2を構成する電力用ダイオード(順方向電圧降下VFb)に流れる電流配分を調整するもので、転流時に、リアクトルLa1、La2の電流Ia1、Ia2を速やかに減衰させる役目を果たす。また、上記順方向電圧降下VFaとVFbに大きな差がない場合でも、高速ダイオードから電力用ダイオードへの転流を確実なものとすることができる。
これにより、力行運転時の大部分の電流を電力用ダイオードを介して流すことができ、自励式電力変換器CNV1、CNV2を構成する高速ダイオードに流れる電流を小さくすることができる。この結果、当該高速ダイオードは電流容量の小さいもので構成でき、かつ、装置の損失低減を図ることができる。
すなわち、直列抵抗器Ra1、Ra2により、シリコン整流器REC1、REC2の電力用ダイオードに流れる電流と、自励式変換器CNV1、CNV2の高速ダイオードに流れる電流の配分を調整することが可能となり、高効率で、過負荷耐量に優れた電力変換装置を提供することができる。
第1及び第2の自励式電力変換器CNV1、CNV2は一定のパルスパターンで位相制御を行い、直流電圧Vdを制御する。すなわち、第1の自励式電力変換器CNV1は、3相変圧器TRの第1の2次巻線(Δ結線)の電圧Vs1を基準にして位相制御するもので、当該電源電圧Vs1に対する第1の自励式電力変換器CNV1の交流電圧Vc1の位相角φ1を調整することにより、供給電力Pc1を調整する。すなわち、位相角φ1(遅れ)を増やすことにより、入力電流Ic1が増加し、電源からの供給電力Pc1が増加する。逆に、位相角φ1を負にすることにより、入力電流Ic1の位相が反転し、電力Pc1を電源に回生することができる。
また、第2の自励式電力変換器CNV2は、3相変圧器TRの第2の2次巻線(Y結線)の電圧Vs2を基準にして位相制御するもので、当該電源電圧Vs2に対する第2の自励式電力変換器CNV2の交流電圧Vc2の位相角φ2を調整することにより、供給電力Pc2を調整する。すなわち、位相角φ2(遅れ)を増やすことにより、入力電流Ic2が増加し、電源からの供給電力Pc2が増加する。逆に、位相角φ2を負にすることにより、入力電流Ic2の位相が反転し、電力Pc2を電源に回生することができる。
交流電源SUPから供給される電力Psは、上記電力Pc1とPc2の和となり、交流入力電流Isは上記変圧器TRの2次電流Ic1とIc2の和となる。
直流平滑コンデンサCdに印加される電圧Vdが指令値Vd*に一致するように制御位相角φ1、φ2を制御する。負荷電流ILが増加し、直流電圧Vdが下がった場合、制御位相角φ1、φ2が大きくなり、交流電源SUPからの供給電力Psが増加して、直流電圧Vdが上昇し、Vd=Vd*となるように制御される。また、回生運転(IL<0)で、直流電圧Vdが上昇した場合には、供給電力Psを負にすることにより、電力を電源SUPに回生し、直流電圧Vdが下がり、やはり、Vd=Vd*となるように制御される。
本実施の形態では、2台の変換器は変圧器TRを介して並列2多重運転を行っている。これにより、変換装置の容量を増加でき、かつ、入力電流Isの高調波を低減できる。電気鉄道などでは過負荷300%で1分間の運転が要求され、従来のように電力変換装置全体の過電流を検知する方式では、過負荷300%以上の電流で過電流レベルを設定しなければならず、実際に自励式電力変換器CNV1、CNV2にそのような大電流が流れた場合に備えて、それを遮断するだけの自己消弧素子を用意するのは不経済である。そこで、本実施の形態では、直流電流検出器DCCT1及びDCCT2により、電圧形自励式電力変換器CNV1、CNV2の直流電流Icnv1、Icnv2の過電流を検知して、当該自励式電力変換器CNV1、CNV2を構成する自己消弧素子をゲートブロックすることにより、実用的な電流レベルで自己消弧素子の過電流保護がかかり、装置を確実に保護することが可能となる。尚、電圧形自励式電力変換器CNV1及びCNV2の交流入力電流(リアクトルLa1、La2に流れる電流)を検知して、過電流保護をかけても同様に目的を達成できる。
図24は、図22又は図23の装置における制御回路の例を示すブロック図である。図中、Fd(x)は直流電圧指令発生器、C1、C2は比較器、Gv(S)は電圧制御補償回路、Ksは比例要素、AD1、AD3は加算器、FFはフィードフォワード補償器、PLL1、PLL2は電源同期位相検出回路、PHC1、PHC2は位相制御回路、OC1、OC2は過電流検出器をそれぞれ表す。
直流電圧指令発生器Fd(x)は、負荷電流IL又は負荷電力PLに応じて直流電圧指令値Vd*を発生するもので、例えば、図12に示したような特性とする。負荷電流ILが過負荷電流の最大値を超えた場合、過電流検出器OC1、OC2によりそれを検知し、自励式電力変換器CNV1及びCNV2をゲートブロックする。これにより、電力用ダイオード整流器REC1、REC2と自励式電力変換器CNV1、CNV2を構成する高速ダイオード整流器が継続して運転され、より冗長性の高いシステムを提供できる。
比較器C2により、電源電圧の実効値Vs(rms)を検出し、定格値Vso(rms)と比較する。その差分Vs(rms)−Vso(rms)=ΔVsは比例要素Ksを介して定数倍され、直流電圧指令の補償値ΔVd*=Ks・ΔVsとなる。加算器AD1により、本来の直流電圧指令値Vd*と補償値ΔVd*を加え、新たな直流電圧指令値Vd**=Vd*+ΔVd*とする。
直流電圧制御回路では、比較器C1により、直流電圧指令値Vd**と、直流平滑コンデンサCdに印加される電圧Vdの検出値を比較し、当該偏差εv=Vd**−Vdをとる。当該偏差εvを電圧制御補償回路Gv(S)により比例又は積分増幅し、加算器AD3を介して、位相角指令値φ*として位相制御回路PHC1及びPHC2に入力する。
フィードフォワード補償器FFでは、負荷電力PLから位相角指令値φFFを演算(推定)し、加算器AD3に入力する。すなわち、交流電源の電圧Vsに対する電圧形自励式電力変換器の交流側端子電圧Vc1、Vc2の位相角φ1、φ2は、φ*=φo*+φFFによって制御される。このフィードフォワード補償器FFは、負荷急変時の直流電圧制御の応答を改善する役目を果たす。
電源同期位相検出器PHC1は、変圧器TRのΔ結線の2次電圧Vr1、Vs1、Vt1に同期した位相信号θr1、θs1、θt1を作り、位相制御回路PHC1に与える。
同様に、電源同期位相検出器PHC2は、変圧器TRのY結線の2次電圧Vr2、Vs2、Vt2に同期した位相信号θr2、θs2、θt2を作り、位相制御回路PHC2に与える。位相信号θr2、θs2、θt2は、位相信号θr1、θs1、θt1に対し30°の位相差を持っている。
それぞれの変換器CNV1及びCNV2を一定パルスで位相制御する方法は、図4〜図9で説明したものと同様になる。このとき、第1の変換器(CNV1+REC1)の入力電流Ic1(Icr1、Ics1、Ict1)は第2の変換器(CNV2+REC2)の入力電流Ic2(Icr2、Ics2、Ict2)に対し、それぞれ30°の位相差があり、それを合成した変圧器TRの1次電流波形Is(Ir、Is、It)は高調波分が打ち消され、より正弦波に近い波形になる。
Vd**>Vdとなった場合、制御位相角指令値φ*は正の値(遅れ)で増加し、その結果、交流電源SUPから供給される有効電力Psが増加し、直流電圧Vdを増加させ、最終的にVd**=Vdとなる。逆に、Vd**<Vdとなった場合、制御位相角指令値φ*は負の値となり、φは進み位相角となる。その結果、交流電源SUPへ有効電力Psが回生され、直流電圧Vdを減少させ、やはり、Vd**=Vdに制御される。このようにして、2台の変換器CNV1、CNV2の位相角φ1、φ2を調整することにより、直流平滑コンデンサに印加される直流電圧Vdを直接制御することができる。これにより、入力電流制御のマイナーループを省略でき、制御回路を簡略化できる。
電源電圧Vsの実効値と、自励式電力変換器の交流側端子電圧Vc1、Vc2の基本波実効値が等しい場合、入力電流Isの位相角は、電源電圧Vsに対し、φ/2又は、π−φ/2となり、入力力率は、cos(φ/2)となる。また、入力電流Isと電圧形自励式電力変換器の交流側端子電圧Vcとの位相差は、−φ/2又は、π+φ/2となり、変換器力率は、cos(φ/2)となる。
位相角φは、入力電流Isと交流リアクトルLs(又は変圧器のもれインダクタンス)の値に依存する。位相角φは、過負荷運転時でも高々φ=30°程度で、力率はcos15°=0.966となる。
自励式電力変換器を一定のパルスパターンで制御する場合、入力電流Isの高調波成分が小さくなるようにスイッチングパターンを決めるが、上記のように変換器力率が1に近いため、電流Isのゼロ点付近でスイッチングが行われ、自励式電力変換器を構成する自己消弧素子の遮断電流は小さくて済む。
また、自励式電力変換器の交流側端子電圧Vcの波高値を一定にして位相角φだけを制御するため、変換器の電圧利用率(交流出力電圧の実効値/直流電圧)を高くできる。すなわち、変圧器の2次電圧を高くできるため、出力容量が同じならば、変換器の電流容量を小さくでき、自己消弧素子の電流容量の小さいもので済む。
回生運転時も電源力率はほぼ1に制御され、同様に自己消弧素子のスイッチングは入力電流Isのゼロクロス付近で行われ、素子の遮断電流は小さく抑えることができる。故に、スイッチング損失は大幅に軽減され、遮断電流の小さい自己消弧素子で自励式電力変換器を構成できるようになり、経済的な装置を提供できる。
電圧形自励式電力変換器CNV1、CNV2を一定パルスパターンで運転した場合、当該電力変換器CNV1、CNV2の交流側出力電圧の振幅値は一定となり、電源電圧Vsが高くなると、変換器CNV1、CNV2は遅れ力率運転となり、また、電源電圧Vsが低くなると、変換器CNV1、CNV2は進み力率運転となってしまう。また、変換器CNV1、CNV2の力率低下に伴い、自励式電力変換器CNV1、CNV2の交流側出力電圧Vc1、Vc2と入力電流Ic1、Ic2の位相差が大きくなり、自励式電力変換器CNV1、CNV2を構成する自己消弧素子の遮断電流が大きくなってしまう。
図24に示した制御回路では、電源電圧の実効値の検出値Vs(rms)と定格値Vso(rms)と比較し、その差分Vs(rms)−Vso(rms)=ΔVsを比例要素Ksを介して定数倍し、直流電圧指令の補償値ΔVd*=Ks・ΔVsとしている。すなわち、加算器AD1により、本来の直流電圧指令値Vd*と補償値ΔVd*を加え、新たな直流電圧指令値Vd**=Vd*+ΔVd*として制御している。
Vs(rms)>Vso(rms)となった場合、補償値ΔVd*=Ks・ΔVsが正の値で増加し、直流電圧指令値Vd**=Vd*+ΔVd*を増加させる。これにより、自励式電力変換器CNV1、CNV2の交流側出力電圧Vc1、Vc2の実効値(波高値)が増加し、電源電圧Vsの実効値と変換器CNV1、CNV2の交流出力電圧Vc1、Vc2の実効値がほぼ同じになり、無駄な無効電流が流れるのを防ぐことができる。逆に、Vs(rms)<Vso(rms)となった場合には、補償値ΔVd*は負の値となり、直流電圧指令値Vd**を減らし、電源電圧の実効値と変換器の交流出力電圧の実効値を合わせることができ、やはり、無駄な無効電流が流れるのを防ぐことができる。これにより、電源力率あるいは変換器力率の極端な低下を防ぐことが可能となり、自己消弧素子の遮断電流の増加を防止できる。
図24の過電流検出器OC1、OC2は、それぞれ2つの情報に基づき、自励式電力変換器CNV1、CNV2にゲートブロック信号GB1、GB2を与える。1つは、自励式電力変換器CNV1あるいはCNV2の直流電流Icnv1又はIcnv2が過電流になったことを検知し、ゲートブロックする。これにより、自励式電力変換器CNV1あるいはCNV2の実用的な電流レベルで自己消弧素子の過電流保護がかかり、装置を確実に保護することが可能となる。尚、電圧形自励式電力変換器CNV1及びCNV2の交流入力電流を検知して、過電流保護をかけても同様に目的を達成できる。
もう1つは、図12で説明したように、装置全体の出力電流(負荷電流)ILが過負荷最大値ILmaxを超えた場合に、全ての自己消弧素子をゲートブロックする。これにより、電力用ダイオード整流器REC1、REC2と自励式電力変換器CNV1、CNV2の高速ダイオード整流器との並列運転に移行し、過負荷力行運転を継続することが可能となり、かつ、自己消弧素子を保護することが可能になる。これにより、過負荷耐量に優れ、電力回生が可能で、高力率・高効率で、低コストの電力変換装置を提供できる。
図25は、図22及び図23の装置における制御回路の別の例を示すブロック図である。図中、Fd(x)は直流電圧指令発生器、C1、C3は比較器、Gv(S)は電圧制御補償回路、FFはフィードフォワード補償器、Z1、Z2は座標変換器、Kφは比例要素、AD21、AD22、AD3は加算器、PLL1、PLL2は電源同期位相検出回路、PHC1、PHC2は位相制御回路、OC1、OC2は過電流検出器である。
直流電圧指令発生器Fd(x)は、負荷電流IL又は負荷電力PLに応じて直流電圧指令値Vd*を発生するもので、例えば、図12に示したような特性とする。負荷電流ILが過負荷電流の最大値を超えた場合、過電流検出器OC1、OC2によりそれを検知し、自励式電力変換器CNV1及びCNV2をゲートブロックする。これにより、電力用ダイオード整流器REC1、REC2と自励式電力変換器CNV1、CNV2を構成する高速ダイオード整流器が継続して運転され、より冗長性の高いシステムを提供できる。
直流電圧制御回路では、比較器C1により、直流電圧指令値Vd*と、直流平滑コンデンサCdに印加される電圧Vdの検出値を比較し、当該偏差εv=Vd*−Vdをとる。当該偏差εvを電圧制御補償回路Gv(S)により比例又は積分増幅し、加算器AD3を介して、位相角指令値φ*とする。
フィードフォワード補償器FFでは、負荷電力PLから位相角指令値φFFを演算(推定)し、加算器AD3に入力する。すなわち、交流電源の電圧Vsに対する電圧形自励式電力変換器の交流側端子電圧Vc1、Vc2の位相角φ1、φ2は、φ*=φo*+φFFによって制御される。このフィードフォワード補償器FFは、負荷急変時の直流電圧制御の応答を改善する役目を果たす。
座標変換器Z1、Z2は3相電流(静止座標量)をdq軸電流(回転座標量)に変換するもので、座標変換器Z1には変圧器TRのΔ結線の2次電圧Vr1、Vs1、Vt1に同期した二相単位正弦波sinθ1とcosθ1を用い、座標変換器Z2には変圧器TRのY結線の2次電圧Vr2、Vs2、Vt2に同期した二相単位正弦波sinθ2とcosθ2を用いている。すなわち、座標変換器Z1により、第1の変換器(CNV1+REC1)の入力電流Icr1、Ics1、Ict1から有効電流Ip1と無効電流IQ1を得る。また、座標変換器Z2により、第2の変換器(CNV2+REC2)の入力電流Icr2、Ics2、Ict2から有効電流Ip2と無効電流IQ2を得る。このとき、Ip1、Ip2、IQ1、IQ2は直流量となる。
上記有効電流Ip1とIp2を比較器C3に入力し、偏差εp=Ip1−Ip2を求める。当該偏差εpを比例要素Kφで増幅し、位相角補正値Δφとして、加算器AD21及びAD22に入力する。
加算器AD21により、加算器AD3の出力信号φ*から位相角補正値Δφを引き算し、位相制御回路PHC1の位相制御信号φ1*=φ*−Δφとして、第1の電力変換器(CNV1+REC1)を制御する。
同様にして、加算器AD22により、加算器AD3の出力信号φ*に位相角補正値Δφを加算し、位相制御回路PHC2の位相制御信号φ2*=φ*+Δφとして、第2の電力変換器CNV2を制御する。
並列運転される複数台の電圧形自励式電力変換器の制御位相角φを同じにして制御した場合、それぞれの交流入力電流(変圧器の2次電流)は平衡化されて流れる。しかし、変圧器のもれインダクタンス(2次側換算値)がバラツキを持つ場合、その分、各電力変換器の交流入力電流(変圧器の2次電流)もばら付き、負荷分担も異なったものになる。また、並列多重運転する場合、2次電流値が不平衡になると、交流電源から供給される入力電流の高調波が増加してしまう問題が生じる。
第1の変換器(CNV1+REC1)の入力電流有効分Ip1が、第2の変換器(CNV2+REC2)の入力電流有効分Ip2より大きくなった場合、偏差εpは正の値となり、位相角補正値Δφも正の値となる。この結果、φ1*<φ2*となり、第1の変換器(CNV1+REC1)の入力電流有効分Ip1が減少し、第2の変換器(CNV2+REC2)の入力電流有効分Ip2は増加する。逆に、Ip1<Ip2となった場合、偏差εpは負の値となり、位相角補正値Δφも負の値となる。この結果、φ1*>φ2*となり、第1の変換器(CNV1+REC1)の入力電流有効分Ip1が増加し、第2の変換器(CNV2+REC2)の入力電流有効分Ip2は減少する。最終的に、Ip1=Ip2となって落ち着く。このようにして、2組の変換器(CNV1+REC1)及び(CNV2+REC2)の入力電流の有効分を平衡化させることができ、どちらかの変換器に負荷が偏るのを防止することができる。尚、本発明の装置では前に説明したように入力力率が高いので、入力電流の無効分は小さく、その不平衡については無視することができる。
3組以上の変換器を並列運転する場合には、全体の有効電流を求め、それを変換器の組数で割ったものを基準にして、それぞれの変換器の入力電流有効分が当該基準有効電流に一致するように各電力変換器の位相角指令値を補正すればよい。
これにより、複数台の電圧形自励式電力変換器の各交流入力電流の有効分が平衡化され、変圧器のもれインダクタンスのバラツキによる影響をなくすことができる。
図25の過電流検出器OC1、OC2は、それぞれ2つの情報に基づき、自励式電力変換器CNV1、CNV2にゲートブロック信号GB1、GB2を与える。1つは、自励式電力変換器CNV1あるいはCNV2の直流電流Icnv1又はIcnv2が過電流になったことを検知し、ゲートブロックする。これにより、自励式電力変換器CNV1あるいはCNV2の実用的な電流レベルで自己消弧素子の過電流保護がかかり、装置を確実に保護することが可能となる。
もう1つは、図12で説明したように、装置全体の出力電流(負荷電流)ILが過負荷最大値ILmaxを超えた場合に、全ての自己消弧素子をゲートブロックする。これにより、電力用ダイオード整流器REC1、REC2と自励式電力変換器CNV1、CNV2の高速ダイオード整流器との並列運転に移行し、過負荷力行運転を継続することが可能となり、かつ、自己消弧素子を保護することが可能になる。これにより、過負荷耐量に優れ、電力回生が可能で、高力率・高効率で、低コストの電力変換装置を提供できる。
図26は、図22及び図23の装置における制御回路の別の例を示すブロック図である。図中、Fd(x)は直流電圧指令発生器、C1、C3は比較器、Gv(S)は電圧制御補償回路、FFはフィードフォワード補償器、Kφは比例要素、AD21、AD22、AD3は加算器、PLL1、PLL2は電源同期位相検出回路、PHC1、PHC2は位相制御回路、OC1、OC2は過電流検出器である。
直流電圧指令発生器Fd(x)は、負荷電流IL又は負荷電力PLに応じて直流電圧指令値Vd*を発生するもので、例えば、図12に示したような特性とする。負荷電流ILが過負荷電流の最大値を超えた場合、過電流検出器OC1、OC2によりそれを検知し、自励式電力変換器CNV1及びCNV2をゲートブロックする。これにより、電力用ダイオード整流器REC1、REC2と自励式電力変換器CNV1、CNV2を構成する高速ダイオード整流器が継続して運転され、より冗長性の高いシステムを提供できる。
直流電圧制御回路では、比較器C1により、直流電圧指令値Vd*と、直流平滑コンデンサCdに印加される電圧Vdの検出値を比較し、当該偏差εv=Vd*−Vdをとる。当該偏差εvを電圧制御補償回路Gv(S)により比例又は積分増幅し、加算器AD3を介して、位相角指令値φ*とする。
フィードフォワード補償器FFでは、負荷電力PLから位相角指令値φFFを演算(推定)し、加算器AD3に入力する。すなわち、交流電源の電圧Vsに対する電圧形自励式電力変換器の交流側端子電圧Vc1、Vc2の位相角φ1、φ2は、φ*=φo*+φFFによって制御される。このフィードフォワード補償器FFは、負荷急変時の直流電圧制御の応答を改善する役目を果たす。
第1の変換器(CNV1+REC1)の入力電流Icr1、Ics1、Ict1の実効値Ic1(rms)と、第2の変換器(CNV2+REC2)の入力電流Icr2、Ics2、Ict2の実効値Ic2(rms)を検出し、比較器C3により、偏差εrms=Ic1(rms)−Ic2(rms)を求める。当該偏差εrmsを比例要素Kφで増幅し、位相角補正値Δφとして、加算器AD21及びAD22に入力する。
加算器AD21により、加算器AD3の出力信号φ*から位相角補正値Δφを引き算し、位相制御回路PHC1の位相制御信号φ1*=φ*−Δφとして、第1の電力変換器(CNV1+REC1)を制御する。同様にして、加算器AD22により、加算器AD3の出力信号φ*に位相角補正値Δφを加算し、位相制御回路PHC2の位相制御信号φ2*=φ*+Δφとして、第2の電力変換器CNV2を制御する。
第1の変換器(CNV1+REC1)の入力電流実効値Ic1(rms)が、第2の変換器(CNV2+REC2)の入力電流実効値Ic2(rms)より大きくなった場合、偏差εrmsは正の値となり、位相角補正値Δφも正の値となる。この結果、φ1*<φ2*となり、第1の変換器(CNV1+REC1)の入力電流実効値Ic1(rms)が減少し、第2の変換器(CNV2+REC2)の入力電流実効値Ic2(rms)が増加する。逆に、Ic1(rms)<Ic2(rms)となった場合、偏差εrmsは負の値となり、位相角補正値Δφも負の値となる。この結果、φ1*>φ2*となり、第1の変換器(CNV1+REC1)の入力電流実効値Ic1(rms)が増加し、第2の変換器(CNV2+REC2)の入力電流実効値Ic2(rms)は減少する。最終的に、Ic1(rms)=Ic2(rms)となって落ち着く。このようにして、2組の変換器(CNV1+REC1)及び(CNV2+REC2)の入力電流の実効値を平衡化させることができ、どちらかの変換器に負荷が偏るのを防止することができる。
3組以上の変換器を並列運転する場合には、全体の入力電流の実効値Is(rms)を求め、それを変換器の組数で割ったものを基準にして、それぞれの変換器の入力電流実効値が当該基準実効値に一致するように各電力変換器の位相角指令値を補正すればよい。
これにより、複数組の電力変換器の各交流入力電流の実効値が平衡化され、変圧器のもれインダクタンスのバラツキによる影響をなくすことができる。
(第7の実施の形態)図27は、本発明の第7の実施の形態の電力変換装置のブロック図である。図中、SUPは3相交流電源、MCBは交流主遮断器、TRは3相変圧器、REC1、REC2は電力用ダイオード整流器、La1、La2は交流リアクトル(3相)、CNV1、CNV2は電圧形自励式変換器、DCCT1、DCCT2は直流電流検出器、Cd1、Cd2は直流平滑コンデンサ、Ld1、Ld2は直流リアクトル、Loadは負荷装置を示している。ILは負荷電流検出器及びその検出電流である負荷電流、Vd1、Vd2は電圧検出器及びその検出電圧を示している。
また、制御回路として、電流平衡化制御回路Bal−Cont、直流電圧制御回路Vd1−Cont、Vd1−Cont、位相制御回路PHC1、PHC2が用意されている。
3相変圧器TRは、Y結線された1次巻線と、Y結線された第1の2次巻線及びΔ結線された第2の2次巻線を持っている。すなわち、第1の2次巻線の3相電圧に対し、第2の2次巻線の電圧は、波高値は同じで、位相角が30°だけずれた3相電圧となる。
第1の電力用ダイオード整流器REC1の交流端子は、3相変圧器TRの第1の2次巻線(Y結線)に接続されている。また、第1の自励式電力変換器CNV1の交流端子は、第1のリカバリ電流抑制用交流リアクトルLa1を介して第1の電力用ダイオード整流器REC1の交流端子に接続されている。
また、第2の電力用ダイオード整流器REC2の交流端子は、3相変圧器TRの第2の2次巻線(Δ結線)に接続されている。また、第2の自励式電力変換器CNV2の交流端子は、第2のリカバリ電流抑制用交流リアクトルLa2を介して第2の電力用ダイオード整流器REC2の交流端子に接続されている。
第1の電力用ダイオード整流器REC1と、第1の自励式電力変換器CNV1の直流端子は並列接続され、直流平滑コンデンサCd1に接続されている。また、第2の電力用ダイオード整流器REC2と、第2の自励式電力変換器CNV2の直流端子は並列接続され、直流平滑コンデンサCd2に接続されている。当該2つの直流平滑コンデンサCd1とCd2はそれぞれ直流リアクトルLd1及びLd2を介して並列接続され、負荷装置Loadに接続されている。このとき、第1の電力用ダイオード整流器REC1と第1の自励式電力変換器CNV1は一体として動作し、また、第2の電力用ダイオード整流器REC2と第2の自励式電力変換器CNV2は一体として動作する。
第1及び第2の自励式電力変換器CNV1、CNV2は一定のパルスパターンで位相制御を行い、直流電圧Vdを制御する。
すなわち、第1の自励式電力変換器CNV1は、3相変圧器TRの第1の2次巻線(Y結線)の電圧Vs1を基準にして位相制御するもので、当該電源電圧Vs1に対する第1の自励式電力変換器CNV1の交流電圧Vc1の位相角φ1を調整することにより、供給電力Pc1を調整する。すなわち、位相角φ1(遅れ)を増やすことにより、入力電流Ic1が増加し、電源からの供給電力Pc1が増加する。逆に、位相角φ1を負にすることにより、入力電流Ic1の位相が反転し、電力Pc1を電源に回生することができる。
また、第2の自励式電力変換器CNV2は、3相変圧器TRの第2の2次巻線(Δ結線)の電圧Vs2を基準にして位相制御するもので、当該電源電圧Vs2に対する第2の自励式電力変換器CNV2の交流電圧Vc2の位相角φ2を調整することにより、供給電力Pc2を調整する。すなわち、位相角φ2(遅れ)を増やすことにより、入力電流Ic2が増加し、電源からの供給電力Pc2が増加する。逆に、位相角φ2を負にすることにより、入力電流Ic2の位相が反転し、電力Pc2を電源に回生することができる。
交流電源SUPから供給される電力Psは、上記電力Pc1とPc2の和となり、交流入力電流Isは上記変圧器TRの2次電流Ic1とIc2の和となる。
直流平滑コンデンサCd1及びCd2に印加される電圧Vd1及びVd2がそれぞれの電圧指令値Vd1*及びVd2*に一致するように制御位相角φ1、φ2を制御する。負荷電流ILが増加し、直流電圧Vd1、Vd2が下がった場合、制御位相角φ1、φ2が大きくなり、交流電源SUPからの供給電力Psが増加して、直流電圧Vd1及びVd2が上昇し、それぞれVd1=Vd1*、Vd2=Vd2*となるように制御される。また、回生運転(IL<0)で、直流電圧Vd1、Vd2が上昇した場合には、制御位相角φ1、φ2が負の値になり、電力Psが負となり、電力が電源SUPに回生されて、直流電圧Vd1、Vd2が下がり、やはり、Vd1=Vd1*、Vd2=Vd2*となるように制御される。
このように、本実施の形態の装置では、直流電圧を直接制御し、電流制御マイナーループを省略して制御系の簡素化を図ることができる。また、本実施の形態では、2台の変換器は変圧器TRを介して並列2多重運転を行っている。これにより、変換装置の容量を増加でき、かつ、入力電流Isの高調波を低減できる。
電気鉄道などでは過負荷300%で1分間の運転が要求され、従来のように電力変換装置全体の過電流を検知する方式では、過負荷300%以上の電流で過電流レベルを設定しなければならず、実際に自励式電力変換器CNV1、CNV2にそのような大電流が流れた場合に備えて、それを遮断するだけの自己消弧素子を用意するのは不経済である。通常の力行運転では、大部分の電流が電力用ダイオード整流器REC1、REC2に流れ、わずかな電流が自励式電力変換器CNV1、CNV2の自己消弧素子に流れる。そこで、図27の例では、変換装置の過電流は、直流電流検出器DCCT1、DCCT2により、それぞれの自励式電力変換器CNV1、CNV2の直流電流Icnv1及びIcnv2を検出し、その電流Icnv1、Icnv2が過電流レベルを超えた場合に、自励式電力変換器CNV1、CNV2をゲートブロックする。これにより、実用的な電流レベルで自己消弧素子の過電流保護がかかり、装置を確実に保護することが可能となる。尚、電圧形自励式電力変換器CNV1及びCNV2の交流入力電流(交流リアクトルLa1、La2に流れる電流)を検知して、過電流保護をかけても同様に目的を達成できる。
図27の装置において、第1の電力変換器(CNV1+REC1)と、第2の電力変換器(CNV2+REC2)との負荷バランスをとるため、各電力変換器の直流出力電流Idc1、Idc2を用いている。当該電流Idc1、Idc2は、それぞれ直流リアクトルLd1及びLd2に流れる電流で、電流リプルの少ない電流を検出できる利点がある。
当該2つの直流電流検出値Idc1とIdc2を比較し、その偏差に応じて直流電圧指令値Vdc1*とVdc2*を補正する。その具体的な動作は、図29を用いて後で説明する。
(第8の実施の形態)図28は、本発明の第8の実施の形態の電力変換装置のブロック図である。図中、SUPは3相交流電源、MCBは交流主遮断器、TRは3相変圧器、REC1、REC2は電力用ダイオード整流器、La1、La2は交流リアクトル(3相)、Ra1、Ra2は直列抵抗器(3相)、CNV1、CNV2は電圧形自励式変換器、DCCT1、DCCT2は直流電流検出器、Cd1、Cd2は直流平滑コンデンサ、Ld1、Ld2は直流リアクトル、Loadは負荷装置を示している。ILは負荷電流検出器及びその検出電流である負荷電流、Vd1、Vd2は電圧検出器及びその検出電圧を示している。また、制御回路として、電流平衡化制御回路Bal−Cont、直流電圧制御回路Vd1−Cont、Vd1−Cont、位相制御回路PHC1、PHC2が用意されている。
3相変圧器TRは、Y結線された1次巻線と、Y結線された第1の2次巻線及びΔ結線された第2の2次巻線を持っている。すなわち、第1の2次巻線の3相電圧に対し、第2の2次巻線の電圧は、波高値は同じで、位相角が30°だけずれた3相電圧となる。
第1の電力用ダイオード整流器REC1の交流端子は、3相変圧器TRの第1の2次巻線(Y結線)に接続されている。また、第1の自励式電力変換器CNV1の交流端子は、第1のリカバリ電流抑制用交流リアクトルLa1と直列抵抗器Ra1を介して第1の電力用ダイオード整流器REC1の交流端子に接続されている。
また、第2の電力用ダイオード整流器REC2の交流端子は、3相変圧器TRの第2の2次巻線(Δ結線)に接続されている。また、第2の自励式電力変換器CNV2の交流端子は、第2のリカバリ電流抑制用交流リアクトルLa2と直列抵抗器Ra2を介して第2の電力用ダイオード整流器REC2の交流端子に接続されている。
第1の電力用ダイオード整流器REC1と、第1の自励式電力変換器CNV1の直流端子は並列接続され、直流平滑コンデンサCd1に接続されている。また、第2の電力用ダイオード整流器REC2と、第2の自励式電力変換器CNV2の直流端子は並列接続され、直流平滑コンデンサCd2に接続されている。当該2つの直流平滑コンデンサCd1とCd2はそれぞれ直流リアクトルLd1及びLd2を介して並列接続され、負荷装置Loadに接続されている。第1の電力用ダイオード整流器REC1と第1の自励式電力変換器CNV1は一体として動作し、また、第2の電力用ダイオード整流器REC2と第2の自励式電力変換器CNV2は一体として動作する。
直列抵抗器Ra1、Ra2は、図15及び図16で説明したように、自励式変換器CNV1、CNV2を構成する高速ダイオード(順方向電圧降下VFa)とシリコン整流器REC1、REC2を構成する電力用ダイオード(順方向電圧降下VFb)に流れる電流配分を調整するもので、転流時に、リアクトルLa1、La2の電流Ia1、Ia2を速やかに減衰させる役目を果たす。また、上記順方向電圧降下VFaとVFbに大きな差がない場合でも、高速ダイオードから電力用ダイオードへの転流を確実なものとすることができる。これにより、力行運転時の大部分の電流を電力用ダイオードを介して流すことができ、自励式電力変換器CNV1、CNV2を構成する高速ダイオードに流れる電流を小さくすることができる。この結果、当該高速ダイオードは電流容量の小さいもので構成でき、かつ、装置の損失低減を図ることができる。すなわち、直列抵抗器Ra1、Ra2により、シリコン整流器REC1、REC2の電力用ダイオードに流れる電流と、自励式電力変換器CNV1、CNV2の高速ダイオードに流れる電流の配分を調整することが可能となり、高効率で、過負荷耐量に優れた電力変換装置を提供することができる。
第1及び第2の自励式電力変換器CNV1、CNV2は一定のパルスパターンで位相制御を行い、直流電圧Vdを制御する。すなわち、第1の自励式電力変換器CNV1は、3相変圧器TRの第1の2次巻線(Y結線)の電圧Vs1を基準にして位相制御するもので、当該電源電圧Vs1に対する第1の自励式電力変換器CNV1の交流電圧Vc1の位相角φ1を調整することにより、供給電力Pc1を調整する。すなわち、位相角φ1(遅れ)を増やすことにより、入力電流Ic1が増加し、電源からの供給電力Pc1が増加する。逆に、位相角φ1を負にすることにより、入力電流Ic1の位相が反転し、電力Pc1を電源に回生することができる。
また、第2の自励式電力変換器CNV2は、3相変圧器TRの第2の2次巻線(Δ結線)の電圧Vs2を基準にして位相制御するもので、当該電源電圧Vs2に対する第2の自励式電力変換器CNV2の交流電圧Vc2の位相角φ2を調整することにより、供給電力Pc2を調整する。すなわち、位相角φ2(遅れ)を増やすことにより、入力電流Ic2が増加し、電源からの供給電力Pc2が増加する。逆に、位相角φ2を負にすることにより、入力電流Ic2の位相が反転し、電力Pc2を電源に回生することができる。
交流電源SUPから供給される電力Psは、上記電力Pc1とPc2の和となり、交流入力電流Isは上記変圧器TRの2次電流Ic1とIc2の和となる。
直流平滑コンデンサCd1及びCd2に印加される電圧Vd1及びVd2がそれぞれの電圧指令値Vd1*及びVd2*に一致するように制御位相角φ1、φ2を制御する。負荷電流ILが増加し、直流電圧Vd1、Vd2が下がった場合、制御位相角φ1、φ2が大きくなり、交流電源SUPからの供給電力Psが増加して、直流電圧Vd1及びVd2が上昇し、それぞれVd1=Vd1*、Vd2=Vd2*となるように制御される。また、回生運転(IL<0)で、直流電圧Vd1、Vd2が上昇した場合には、制御位相角φ1、φ2が負の値になり、電力Psが負となり、電力が電源SUPに回生されて、直流電圧Vd1、Vd2が下がり、やはり、Vd1=Vd1*、Vd2=Vd2*となるように制御される。このように、本実施の形態の装置では、直流電圧を直接制御し、電流制御マイナーループを省略して制御系の簡素化を図ることができる。また、本実施の形態では、2台の変換器は変圧器TRを介して並列2多重運転を行っている。これにより、変換装置の容量を増加でき、かつ、入力電流Isの高調波を低減できる。
電気鉄道などでは過負荷300%で1分間の運転が要求され、従来のように電力変換装置全体の過電流を検知する方式では、過負荷300%以上の電流で過電流レベルを設定しなければならず、実際に自励式電力変換器CNV1、CNV2にそのような大電流が流れた場合に備えて、それを遮断するだけの自己消弧素子を用意するのは不経済である。
通常の力行運転では、大部分の電流が電力用ダイオード整流器REC1、REC2に流れ、わずかな電流が自励式電力変換器CNV1、CNV2の自己消弧素子に流れる。
本実施の形態では、変換装置の過電流は、直流電流検出器DCCT1、DCCT2により、それぞれの自励式電力変換器CNV1、CNV2の直流電流Icnv1及びIcnv2を検出し、その電流Icnv1、Icnv2が過電流レベルを超えた場合に、自励式電力変換器CNV1、CNV2をゲートブロックする。これにより、実用的な電流レベルで自己消弧素子の過電流保護がかかり、装置を確実に保護することが可能となる。尚、電圧形自励式電力変換器CNV1及びCNV2の交流入力電流(交流リアクトルLa1、La2に流れる電流)を検知して、過電流保護をかけても同様に目的を達成できる。
本実施の形態において、第1の電力変換器(CNV1+REC1)と、第2の電力変換器(CNV2+REC2)との負荷バランスをとるため、各電力変換器の直流出力電流Idc1、Idc2を用いている。当該電流Idc1、Idc2は、それぞれ直流リアクトルLd1及びLd2に流れる電流で、電流リプルの少ない電流を検出できる利点がある。
当該2つの直流電流検出値Idc1とIdc2を比較し、その偏差に応じて直流電圧指令値Vdc1*とVdc2*を補正する。その具体的な動作は、図29を用いて後で説明する。
図29は、図27及び図28の装置における制御回路の例を示すブロック図である。図中、Fd(x)は直流電圧指令発生器、C11、C12、C3は比較器、Gv(S)は電圧制御補償回路、FFはフィードフォワード補償器、Kvは比例要素、AD21、AD22、AD31、AD32は加算器、PLL1、PLL2は電源同期位相検出回路、PHC1、PHC2は位相制御回路、OC1、OC2は過電流検出器である。
直流電圧指令発生器Fd(x)は、負荷電流IL又は負荷電力PLに応じて直流電圧指令値Vd*を発生するもので、例えば、図12に示したような特性とする。負荷電流ILが過負荷電流の最大値を超えた場合、過電流検出器OC1、OC2によりそれを検知し、自励式電力変換器CNV1及びCNV2をゲートブロックする。これにより、電力用ダイオード整流器REC1、REC2と自励式電力変換器CNV1、CNV2を構成する高速ダイオード整流器が継続して運転され、より冗長性の高いシステムを提供できる。
第1の電力変換器(CNV1+REC1)の直流出力電流Idc1と、第2の電力変換器(CNV2+REC2)の直流出力電流Idc2を検出し、比較器C3により、偏差εd=Idc1−Idc2を求める。当該偏差εdを比例要素Kvで定数倍し、直流電圧補償値ΔVd*として、加算器AD21及びAD22に入力する。
加算器AD21では、直流電圧指令発生器Fd(x)からの出力信号Vd*から補償値ΔVd*を引き算し、第1の直流電圧指令値Vd1*=Vd*−ΔVd*を作る。また、加算器AD22では、直流電圧指令発生器Fd(x)からの出力信号Vd*と補償値ΔVd*を加算し、第2の直流電圧指令値Vd2*=Vd*+ΔVd*を作る。
第1の直流電圧制御回路では、比較器C11により、直流電圧指令値Vd1*と、直流平滑コンデンサCd1に印加される電圧Vd1の検出値を比較し、当該偏差εv1=Vd1*−Vd1をとる。当該偏差εv1を電圧制御補償回路Gv1(S)により比例又は積分増幅し、加算器AD31を介して、位相角指令値φ1*とする。前に説明したように、直流平滑コンデンサCd1に印加される電圧Vd1は指令値Vd1*に一致するように制御される。
フィードフォワード補償器FFでは、負荷電力PLから位相角指令値φFFを演算(推定)し、加算器AD31に入力し、第1の直流電圧制御回路からの出力信号φo1*と加算する。すなわち、交流電源の電圧Vs1に対する第1の電圧形自励式電力変換器CNV1の交流側端子電圧Vc1の位相角φ1は、φ1*=φo1*+φFFによって制御される。
同様に、第2の直流電圧制御回路では、比較器C12により、直流電圧指令値Vd2*と、直流平滑コンデンサCd2に印加される電圧Vd2の検出値を比較し、当該偏差εv2=Vd2*−Vd2をとる。当該偏差εv2を電圧制御補償回路Gv2(S)により比例又は積分増幅し、加算器AD32を介して、位相角指令値φ2*とする。前に説明したように、直流平滑コンデンサCd2に印加される電圧Vd2は指令値Vd2*に一致するように制御される。
フィードフォワード補償器FFで求めた位相角指令値φFFを加算器AD32に入力し、第2の直流電圧制御回路からの出力信号φo2*と加算する。すなわち、交流電源の電圧Vs2に対する第2の電圧形自励式電力変換器CNV2の交流側端子電圧Vc2の位相角φ2は、φ2*=φo2*+φFFによって制御される。このフィードフォワード補償器FFは、負荷急変時の直流電圧制御の応答を改善する役目を果たす。
第1の電力変換器(CNV1+REC1)の直流出力電流Idc1が、第2の電力変換器(CNV2+REC2)の直流出力電流Idc2より大きくなった場合、偏差εdは正の値となり、直流電圧補正値ΔVd*も正の値となる。この結果、Vd1*<Vd2*となり、第1の変換器(CNV1+REC1)の直流出力電流Idc1が減少し、第2の変換器(CNV2+REC2)の直流出力電流Idc2が増加する。逆に、Idc1<Idc2となった場合、偏差εdは負の値となり、直流電圧補正値ΔVd*も負の値となる。この結果、Vd1*>Vd2*となり、第1の変換器(CNV1+REC1)の直流出力電流Idc1が増加し、第2の変換器(CNV2+REC2)の直流出力電流Idc2は減少する。最終的に、Idc1=Idc2となって落ち着く。
このようにして、2組の変換器(CNV1+REC1)及び(CNV2+REC2)の直流出力電流を平衡化させることができ、どちらかの変換器に負荷が偏るのを防止することができる。
3組以上の変換器を並列運転する場合には、装置全体の直流出力電流Idcを求め、それを変換器の組数で割ったものを基準にして、それぞれの変換器の直流出力電流が当該基準直流出力電流に一致するように各電力変換器の直流電圧指令値を補正すればよい。
これにより、複数組の電力変換器の各直流出力電流が平衡化され、変圧器のもれインダクタンスのバラツキによる影響をなくすことができる。
図30は、図27及び図28の装置における制御回路の別の例を示すブロック図である。図中、Fd(x)は直流電圧指令発生器、C1、C3は比較器、Gv(S)は電圧制御補償回路、FFはフィードフォワード補償器、Kφは比例要素、AD21、AD22、AD3は加算器、PLL1、PLL2は電源同期位相検出回路、PHC1、PHC2は位相制御回路、OC1、OC2は過電流検出器である。
直流電圧指令発生器Fd(x)は、負荷電流IL又は負荷電力PLに応じて直流電圧指令値Vd*を発生するもので、例えば、図12に示したような特性とする。負荷電流ILが過負荷電流の最大値を超えた場合、過電流検出器OC1、OC2によりそれを検知し、自励式電力変換器CNV1及びCNV2をゲートブロックする。これにより、電力用ダイオード整流器REC1、REC2と自励式電力変換器CNV1、CNV2を構成する高速ダイオード整流器が継続して運転され、より冗長性の高いシステムを提供できる。
直流電圧制御回路では、比較器C1により、直流電圧指令値Vd*と、直流平滑コンデンサCdに印加される電圧Vdの検出値を比較し、当該偏差εv=Vd*−Vdをとる。当該偏差εvを電圧制御補償回路Gv(S)により比例又は積分増幅し、加算器AD3を介して、位相角指令値φ*とする。
フィードフォワード補償器FFでは、負荷電力PLから位相角指令値φFFを演算(推定)し、加算器AD3に入力する。すなわち、交流電源の電圧Vsに対する電圧形自励式電力変換器の交流側端子電圧Vc1、Vc2の位相角φ1、φ2は、φ*=φo*+φFFによって制御される。このフィードフォワード補償器FFは、負荷急変時の直流電圧制御の応答を改善する役目を果たす。
第1の電力変換器(CNV1+REC1)の直流出力電流Idc1と、第2の変換器(CNV2+REC2)の直流出力電流Idc2を検出し、比較器C3により、偏差εd=Idc1−Idc2を求める。当該偏差εdを比例要素Kφで増幅し、位相角補正値Δφとして、加算器AD21及びAD22に入力する。
加算器AD21により、加算器AD3の出力信号φ*から位相角補正値Δφを引き算し、位相制御回路PHC1の位相制御信号φ1*=φ*−Δφとして、第2の電力変換器(CNV1+REC1)を制御する。同様にして、加算器AD22により、加算器AD3の出力信号φ*に位相角補正値Δφを加算し、位相制御回路PHC2の位相制御信号φ2*=φ*+Δφとして、第2の電力変換器(CNV2+REC2)を制御する。
第1の電力変換器(CNV1+REC1)の直流出力電流Idc1が、第2の電力変換器(CNV2+REC2)の直流出力電流Idc2より大きくなった場合、偏差εdは正の値となり、位相角補正値Δφも正の値となる。この結果、φ1*<φ2*となり、第1の変換器(CNV1+REC1)の直流出力電流Idc1が減少し、第2の変換器(CNV2+REC2)の直流出力電流Idc2が増加する。逆に、Idc1<Idc2となった場合、偏差εdは負の値となり、位相角補正値Δφも負の値となる。この結果、φ1*>φ2*となり、第1の変換器(CNV1+REC1)の直流出力電流Idc1が増加し、第2の変換器(CNV2+REC2)の直流出力電流Idc2は減少する。最終的に、Idc1=Idc2となって落ち着く。このようにして、2組の変換器(CNV1+REC1)及び(CNV2+REC2)の直流出力電流Idc1とIdc2を平衡化させることができ、どちらかの変換器に負荷が偏るのを防止することができる。
3組以上の変換器を並列運転する場合には、装置全体の直流出力電流Idcを求め、それを変換器の組数で割ったものを基準にして、それぞれの変換器の直流出力電流が当該基準実効値に一致するように各電力変換器の位相角指令値を補正すればよい。
これにより、複数組の電力変換器の各直流出力電流が平衡化され、変圧器のもれインダクタンスのバラツキによる影響をなくすことができる。
図31は、図27及び図28の装置における制御回路のさらに別の例を示すブロック図である。図中、Fd(x)は直流電圧指令発生器、C1、C3は比較器、Gv(S)は電圧制御補償回路、FFはフィードフォワード補償器、Z1、Z2は座標変換器、Kφは比例要素、AD21、AD22、AD3は加算器、PLL1、PLL2は電源同期位相検出回路、PHC1、PHC2は位相制御回路、OC1、OC2は過電流検出器である。
直流電圧指令発生器Fd(x)は、負荷電流IL又は負荷電力PLに応じて直流電圧指令値Vd*を発生するもので、例えば、図12に示したような特性とする。負荷電流ILが過負荷電流の最大値を超えた場合、過電流検出器OC1、OC2によりそれを検知し、自励式電力変換器CNV1及びCNV2をゲートブロックする。これにより、電力用ダイオード整流器REC1、REC2と自励式電力変換器CNV1、CNV2を構成する高速ダイオード整流器が継続して運転され、より冗長性の高いシステムを提供できる。
直流電圧制御回路では、比較器C1により、直流電圧指令値Vd*と、直流平滑コンデンサCdに印加される電圧Vdの検出値を比較し、当該偏差εv=Vd*−Vdをとる。当該偏差εvを電圧制御補償回路Gv(S)により比例又は積分増幅し、φo*=Gv(S)・εvとする。さらに、加算器AD3を介して、位相角指令値φ*=φo*+φFFとする。
フィードフォワード補償器FFでは、負荷電力PLから位相角指令値φFFを演算(推定)し、加算器AD3に入力する。すなわち、交流電源の電圧Vsに対する電圧形自励式電力変換器の交流側端子電圧Vc1、Vc2の位相角φ1、φ2は、φ*=φo*+φFFによって制御される。このフィードフォワード補償器FFは、負荷急変時の直流電圧制御の応答を改善する役目を果たす。
座標変換器Z1、Z2は3相電流(静止座標量)をdq軸電流(回転座標量)に変換するもので、座標変換器Z1には変圧器TRのY結線の2次電圧Vr1、Vs1、Vt1に同期した二相単位正弦波sinθ1とcosθ1を用い、座標変換器Z2には変圧器TRのΔ結線の2次電圧Vr2、Vs2、Vt2に同期した二相単位正弦波sinθ2とcosθ2を用いている。すなわち、座標変換器Z1により、第1の変換器(CNV1+REC1)の入力電流Ir1、Is1、It1から有効電流Ip1と無効電流IQ1を得る。また、座標変換器Z2により、第2の変換器(CNV2+REC2)の入力電流Ir2、Is2、It2から有効電流Ip2と無効電流IQ2を得る。このとき、Ip1、Ip2、IQ1、IQ2は直流量となる。
上記有効電流Ip1とIp2を比較器C3に入力し、偏差εp=Ip1−Ip2を求める。当該偏差εpを比例要素Kφで増幅し、位相角補正値Δφとして、加算器AD21及びAD22に入力する。加算器AD21により、加算器AD3の出力信号φ*から位相角補正値Δφを引き算し、位相制御回路PHC1の位相制御信号φ1*=φ*−Δφとして、第1の電力変換器CNV1を制御する。同様にして、加算器AD22により、加算器AD3の出力信号φ*に位相角補正値Δφを加算し、位相制御回路PHC2の位相制御信号φ2*=φ*+Δφとして、第2の電力変換器CNV2を制御する。
第1の変換器(CNV1+REC1)の入力電流有効分Ip1が、第2の変換器(CNV2+REC2)の入力電流有効分Ip2より大きくなった場合、偏差εpは正の値となり、位相角補正値Δφも正の値となる。この結果、φ1*<φ2*となり、第1の変換器(CNV1+REC1)の入力電流有効分Ip1が減少し、第2の変換器(CNV2+REC2)の入力電流有効分Ip2は増加する。
逆に、Ip1<Ip2となった場合、偏差εpは負の値となり、位相角補正値Δφも負の値となる。この結果、φ1*>φ2*となり、第1の変換器(CNV1+REC1)の入力電流有効分Ip1が増加し、第2の変換器(CNV2+REC2)の入力電流有効分Ip2は減少する。最終的に、Ip1=Ip2となって落ち着く。
このようにして、2台の変換器(CNV1+REC1)及び(CNV2+REC2)の入力電流の有効分を平衡化させることができ、どちらかの変換器に負荷が偏るのを防止することができる。尚、本発明の装置では前に説明したように入力力率が高いので、入力電流の無効分は小さく、その不平衡については無視することができる。
3台以上の変換器を並列運転する場合には、全体の有効電流を求め、それを変換器台数で割ったものを基準にして、それぞれの変換器の入力電流の有効分が当該基準有効電流に一致するように各電力変換器の位相角指令値を補正すればよい。
図32は、図27及び図28の装置における制御回路のさらに別の例を示すブロック図である。図中、Fd(x)は直流電圧指令発生器、AD21、AD22、AD31、AD32は加算器、C11、C12、C3は比較器、Gv1(S)、Gv2(S)は電圧制御補償回路、FFはフィードフォワード補償器、Kvは比例要素、PLL1、PLL2は電源同期位相検出回路、PHC1、PHC2は位相制御回路、OC1、OC2は過電流検出器である。
直流電圧指令発生器Fd(x)は、負荷電流IL又は負荷電力PLに応じて直流電圧指令値Vd*を発生するもので、例えば、図12に示したような特性とする。当該電圧指令値Vd*は、加算器AD21及びAD22を介して各電力変換器の直流電圧制御回路にそれぞれ電圧指令値Vd1*、Vd2*として与えている。
図27及び図28の実施の形態の装置において、直流平滑コンデンサCd1及びCd2に印加される電圧Vd1、Vd2は、上記電圧指令値Vd1*、Vd2*にそれぞれ一致するように制御される。このとき、フィードフォワード補償器FFからの補償信号φFFを、直流電圧制御回路からの出力信号φo1*、φo2*に加えることにより、負荷急変時の直流電圧制御応答を改善することができる。
本制御回路が、図31で示した制御回路と異なる点は、入力電流有効分Ip1とIp2の差分に比例した補正信号ΔVd*により2台の変換器の直流電圧指令値Vd1*及びVd2*を補正している点である。すなわち、図31で説明したと同様に2台の変換器の入力電流有効分Ip1とIp2を検出し、それらを比較器C3に入力し、偏差εd=Ip1−Ip2を求める。当該偏差εpを比例要素Kvで増幅し、直流電圧指令補正値ΔVd*として、加算器AD21及びAD22に入力する。
加算器AD21により、直流電圧指令発生器からの出力信号Vd*から電圧指令補正値ΔVd*を引き算し、第1の変換器(CNV1+REC1)の直流電圧指令値Vd1*とする。図27及び図28の装置の直流平滑コンデンサCd1に印加される電圧Vd1は指令値Vd1*に一致するように制御される。同様に、加算器AD22により、直流電圧指令発生器からの出力信号Vd*から電圧指令補正値ΔVd*を加算し、第2の変換器(CNV2+REC2)の直流電圧指令値Vd2*とする。図27及び図28の実施の形態の装置の直流平滑コンデンサCd2に印加される電圧Vd2は指令値Vd2*に一致するように制御される。
第1の変換器(CNV1+REC1)の入力電流有効分Ip1が、第2の変換器(CNV2+REC2)の入力電流有効分Ip2より大きくなった場合、偏差εpは正の値となり、電圧指令補正値ΔVd*も正の値となる。この結果、Vd1*<Vd2*となり、第1の変換器(CNV1+REC1)の入力電流有効分Ip1が減少し、第2の変換器(CNV2+REC2)の入力電流有効分Ip2は増加する。逆に、Ip1<Ip2となった場合、偏差εpは負の値となり、電圧指令補正値ΔVd*も負の値となる。この結果、Vd1*>Vd2*となり、第1の変換器(CNV1+REC1)の入力電流有効分Ip1が増加し、第2の変換器(CNV2+REC2)の入力電流有効分Ip2は減少する。最終的に、Ip1=Ip2となって落ち着く。このようにして、2台の変換器(CNV1+REC1)及び(CNV2+REC2)の入力電流有効分Ip1とIp2を平衡化させることができ、どちらかの変換器に負荷が偏るのを防止することができる。
3台以上の変換器を並列運転する場合には、全体の入力電流有効分を求め、それを変換器台数で割ったものを基準にして、それぞれの変換器の入力電流有効分が当該基準有効電流に一致するように各電力変換器の直流電圧指令値を補正すればよい。
図33は、図27及び図28の装置における制御回路のさらに別の例を示すブロック図である。図中、Fd(x)は直流電圧指令発生器、C1、C3は比較器、Gv(S)は電圧制御補償回路、FFはフィードフォワード補償器、Kφは比例要素、AD21、AD22、AD3は加算器、PLL1、PLL2は電源同期位相検出回路、PHC1、PHC2は位相制御回路、OC1、OC2は過電流検出器である。
本制御回路の図31で示した制御回路と方式の異なるところは、2台の変換器(CNV1+REC1)、(CNV2+REC2)の各入力電流の実効値Is1(rms)、Is2(rms)を用い、その差分により位相角補正値Δφを求めている点である。
Is1(rms)>Is2(rms)となった場合、位相角補正値Δφは正の値となり、φ1*<φ2*となって、第1の変換器(CNV1+REC1)の入力電流実効値Is1(rms)が減少し、第2の変換器(CNV2+REC2)の入力電流実効値Is2(rms)は増加する。逆に、Is1(rms)<Is2(rms)となった場合、位相角補正値Δφは負の値となり、φ1*>φ2*となって、第1の変換器(CNV1+REC1)の入力電流実効値Is1(rms)が増加し、第2の変換器(CNV2+REC2)の入力電流実効値Is2(rms)は減少する。最終的に、Is1(rms)=Is2(rms)となって落ち着く。この場合、入力電流の実効値Is1(rms)、Is2(rms)は、交流電流の平均値的な量として求められ、有効分と無効分を含んでいるが、無効分はわずかなので、負荷分担の平衡化という面では問題にならない。また、入力電流の平衡化はゆっくり行えばよく、平均値的な量の補正でも十分な効果が期待できる。
本制御回路では、図31で示した制御回路に比べると、座標変換器Z1、Z2は必要ないのでより簡単に負荷分担の平衡化が得られる利点がある。
3台以上の変換器を並列運転する場合には、全体の入力電流実効値を求め、それを変換器台数で割ったものを基準にして、それぞれの変換器の入力電流実効値が当該基準電流実効値に一致するように各電力変換器の位相角指令値を補正すればよい。
図34は、図27及び図28の装置における制御回路のさらに別の例を示すブロック図である。図中、Fd(x)は直流電圧指令発生器、AD21、AD22、AD31、AD32は加算器、C11、C12、C3は比較器、Gv1(S)、Gv2(S)は電圧制御補償回路、FFはフィードフォワード補償器、Kvは比例要素、PLL1、PLL2は電源同期位相検出回路、PHC1、PHC2は位相制御回路、OC1、OC2は過電流検出器である。
直流電圧指令発生器Fd(x)は、負荷電流IL又は負荷電力PLに応じて直流電圧指令値Vd*を発生するもので、例えば、図12に示したような特性とする。当該電圧指令値Vd*は、加算器AD21及びAD22を介して各電力変換器の直流電圧制御回路にそれぞれ電圧指令値Vd1*、Vd2*として与えている。
図27及び図28の装置の直流平滑コンデンサCd1及びCd2に印加される電圧Vd1、Vd2は、上記電圧指令値Vd1*、Vd2*にそれぞれ一致するように制御される。このとき、フィードフォワード補償器FFからの補償信号φFFを、直流電圧制御回路からの出力信号φo1*、φo2*に加えることにより、負荷急変時の直流電圧制御応答を改善することができる。
本制御回路が図33で示した制御回路と異なる点は、入力電流の実効値Is1(rms)とIs2(rms)の差分に比例した補正信号ΔVd*により2台の変換器の直流電圧指令値Vd1*及びVd2*を補正している点である。
すなわち、2台の変換器の入力電流の実効値Is1(rms)とIs2(rms)を検出し、それらを比較器C3に入力し、偏差εs=Is1(rms)−Is2(rms)を求める。当該偏差εsを比例要素Kvで増幅し、直流電圧指令補正値ΔVd*として、加算器AD21及びAD22に入力する。
加算器AD21により、直流電圧指令発生器からの出力信号Vd*から電圧指令補正値ΔVd*を引き算し、第1の変換器(CNV1+REC1)の直流電圧指令値Vd1*とする。図27及び図28の装置の直流平滑コンデンサCd1に印加される電圧Vd1は指令値Vd1*に一致するように制御される。同様に、加算器AD22により、直流電圧指令発生器からの出力信号Vd*から電圧指令補正値ΔVd*を加算し、第2の変換器(CNV2+REC2)の直流電圧指令値Vd2*とする。図27及び図28の装置の直流平滑コンデンサCd2に印加される電圧Vd2は指令値Vd2*に一致するように制御される。
第1の変換器(CNV1+REC1)の入力電流実効値Is1(rms)が、第2の変換器(CNV2+REC2)の入力電流実効値Is2(rms)より大きくなった場合、電圧指令補正値ΔVd*は正の値となる。この結果、Vd1*<Vd2*となり、第1の変換器(CNV1+REC1)の入力電流実効値Is1(rms)が減少し、第2の変換器(CNV2+REC2)の入力電流実効値Is2(rms)は増加する。逆に、Is1(rms)<Is2(rms)となった場合、電圧指令補正値ΔVd*は負の値となる。この結果、Vd1*>Vd2*となり、第1の変換器(CNV1+REC1)の入力電流実効値Is1(rms)が増加し、第2の変換器(CNV2+REC2)の入力電流実効値Is2(rms)は減少する。最終的に、Is1(rms)=Is2(rms)となって落ち着く。このようにして、2台の変換器(CNV1+REC1)及び(CNV2+REC2)の入力電流実効値Is1(rms)、Is2(rms)を平衡化させることができ、どちらかの変換器に負荷が偏るのを防止することができる。
3台以上の変換器を並列運転する場合には、全体の入力電流実効値を求め、それを変換器台数で割ったものを基準にして、それぞれの変換器の入力電流実効値が当該基準電流実効値に一致するように各電力変換器の直流電圧指令値を補正すればよい。
図35は、図29〜図34の制御回路に示された直流電圧指令発生器Fd(x)の別の特性例を示すものである。直流電圧指令値Vd*として、力行運転では、Vd*=Vda*−k1・ILを与え、回生運転では、Vd*=Vdb*−k2・ILを与えている。ここで、k1、k2は比例定数、ILは負荷電流で、Vdb*>Vda*とする。
電気鉄道の直流き電システムでは、シリコン整流器(ダイオード整流器)が多く使われており、本発明の電力変換装置と並列運転する場合も出てくる。その場合、既設のシリコン整流器の直流電圧レギュレーションに合わせて、本発明の電力変換装置の直流電圧指令値Vd*として、力行側特性カーブを図35のように与えることにより、両者の負荷分担を適正にすることができる。
また、本実施の形態の電力変換装置が普及し、それらの変換装置を複数台並列運転する場合には、力行側に電圧レギュレーションを持たせるだけでなく、図35に示したように、回生側にも電圧レギュレーションを持たせることにより、各電力変換装置の負荷分担を適正にすることができる。すなわち、力行側及び回生側ともに負荷電流に応じた電圧レギュレーションを持たせていることにより、並列運転される他の電力変換装置との負荷分担を最適化することが可能となる。また、無負荷時の電圧設定値として、Vdb*>Vda*とすることにより、並列運転される他の電力変換装置との間で無駄な循環電流が流れるのを防止することができる。さらに、力行負荷電流ILが最大過負荷電流値Ilmaxを超えた場合、本発明の装置の自励式電力変換器CNV1、CNV2をゲートブロックすることにより、電力ダイオード整流器REC1、REC2と自励式電力変換器CNV1、CNV2を構成する高速ダイオード整流器とが継続して動作し、過負荷耐量が高く、冗長性の高いシステムを提供できる。
(第9の実施の形態)図36は、本発明の第9の実施の形態の電力変換装置のブロック図である。図中、SUPは3相交流電源、MCBは交流主遮断器、TR1、TR2は3相変圧器、REC1、REC2は電力用ダイオード整流器、La1、La2はリカバリ電流抑制用交流リアクトル(3相)、CNV1、CNV2は電圧形自励式変換器、DCCT1、DCCT2は直流電流検出器、Cdは直流平滑コンデンサ、Ldは直流リアクトル、HSCBは直流高速遮断器、Loadは負荷装置を示している。ILは負荷電流検出器及びその検出電流である負荷電流、Vdは電圧検出器及びその検出電圧を示している。また、制御回路として、直流電圧制御回路Vd−Cont、位相制御回路PHC1、PHC2が用意されている。この制御回路については後述する。
3相変圧器TR1は、1次巻線はオープンスター結線、2次巻線はデルタ(Δ)結線されている。また、3相変圧器TR2は、1次巻線はデルタ(Δ)結線、2次巻線もデルタ(Δ)結線されている。変圧器TR1とTR2の1次巻線は各相毎に直列接続される。第1の3相変圧器TR1の2次電圧と第2の3相変圧器TR2の2次電圧は、それぞれ位相が30°ずつずれた3相電圧となる。尚、第1の変圧器TR1の1次巻線をオープンスター結線、2次巻線をスター(Y)結線とし、第2の変圧器TR2の1次巻線をスター(Y)結線、2次巻線をデルタ(Δ)結線としても同様になる。
第1の電力用ダイオード整流器REC1の交流端子は、第1の3相変圧器TR1の2次巻線に接続されている。また、第1の自励式電力変換器CNV1の交流端子は、第1のリカバリ電流抑制用交流リアクトルLa1を介して第1の電力用ダイオード整流器REC1の交流端子に接続されている。
また、第2の電力用ダイオード整流器REC2の交流端子は、第2の3相変圧器TR2の2次巻線に接続されている。また、第2の自励式電力変換器CNV2の交流端子は、第2のリカバリ電流抑制用交流リアクトルLa2を介して第2の電力用ダイオード整流器REC2の交流端子に接続されている。
第1の電力用ダイオード整流器REC1と、第1の自励式電力変換器CNV1の直流端子は並列接続され、直流平滑コンデンサCdに接続されている。同様に、第2の電力用ダイオード整流器REC2と、第2の自励式電力変換器CNV2の直流端子は並列接続され、直流平滑コンデンサCdに接続されている。当該直流平滑コンデンサCdは直流リアクトルLd及び直流高速遮断器HSCBを介して負荷装置Loadに接続されている。
図1の装置で説明したように、第1の電力用ダイオード整流器REC1と第1の自励式電力変換器CNV1は一体として動作し、また、第2の電力用ダイオード整流器REC2と第2の自励式電力変換器CNV2は一体として動作する。
電圧形自励式電力変換器CNV1、CNV2は、一定のパルスパターンで動作し、交流電源電圧Vsに同期したスイッチングを行う。直流電圧Vdが一定ならば、自励式変換器CNV1、CNV2の交流出力電圧Vc1、Vc2の振幅値は一定になる。この状態で、電源電圧Vsに対する各変換器出力電圧の和Vc=Vc1+Vc2の位相角φを変えることより、変圧器TR1、TR2のもれインダクタンスの和Lxo=Lx1+Lx2に印加される電圧が変化し、入力電流Isが調整され、共通の直流平滑コンデンサCdに印加される直流電圧Vdを制御することができる。
電源電圧Vsに対する各電力変換器の交流側出力電圧の和Vc=Vc1+Vc2の位相角φを遅れ方向に増加させることにより、交流電源から供給される有効電力Psが増加し、直流電圧Vdが増加する。逆に位相角φを進み方向に増やすと、有効電力Psが交流電源に回生され、直流電圧Vdは減少する。
このように、本実施の形態の装置では、直流電圧を直接制御し、電流制御マイナーループを省略して制御系の簡素化を図ることができる。
高速遮断器HSCBは、電気鉄道の直流き電線の地絡事故などにより、過大な電流が流れた場合、いち早く回路を切り離す役目を果たし、事故が拡大するのを防止する。
しかし、直流平滑コンデンサCdが電圧源となっており、至近端で地絡事故などが発生した場合には、事故電流の立ち上がりが速く高速遮断器HSCBでも切り離せないことがある。直流リアクトルLdは、事故電流の立ち上がりを抑制するもので、事故時に高速遮断器HSCBを確実に動作させることが可能となる。
直列多重化により、その入力電流Isは、極めて歪みの少ない波形に制御できる。このとき、変圧器TR1、TR2の2次電流Ic1、Ic2も歪みの少ない正弦波電流となり、リプルが少なくなった分、変換器CNV1、CNV2を構成する自己消弧素子の遮断電流を小さくできる利点がある。これにより、より経済的な電力変換装置を提供することが可能となる。
(第10の実施の形態)図37は、本発明の第10の実施の形態の電力変換装置のブロック図である。図中、SUPは3相交流電源、MCBは交流主遮断器、TR1、TR2は3相変圧器、REC1、REC2は電力用ダイオード整流器、La1、La2はリカバリ電流抑制用交流リアクトル(3相)、Ra1、Ra2は直列抵抗(3相)、CNV1、CNV2は電圧形自励式変換器、DCCT1、DCCT2は直流電流検出器、Cdは直流平滑コンデンサ、Ldは直流リアクトル、HSCBは直流高速遮断器、Loadは負荷装置を示している。ILは負荷電流検出器及びその検出電流である負荷電流、Vdは電圧検出器及びその検出電圧を示している。また、制御回路として、直流電圧制御回路Vd−Cont、位相制御回路PHC1、PHC2が用意されている。この制御回路については後述する。
3相変圧器TR1は、1次巻線はオープンスター結線、2次巻線はデルタ(Δ)結線されている。また、3相変圧器TR2は、1次巻線はデルタ(Δ)結線、2次巻線もデルタ(Δ)結線されている。変圧器TR1とTR2の1次巻線は各相毎に直列接続される。第1の3相変圧器TR1の2次電圧と第2の3相変圧器TR2の2次電圧は、位相が30°ずつずれた3相電圧となる。
第1の電力用ダイオード整流器REC1の交流端子は、第1の3相変圧器TR1の2次巻線に接続されている。また、第1の自励式電力変換器CNV1の交流端子は、第1のリカバリ電流抑制用交流リアクトルLa1及び直列抵抗Ra1を介して第1の電力用ダイオード整流器REC1の交流端子に接続されている。
また、第2の電力用ダイオード整流器REC2の交流端子は、第2の3相変圧器TR2の2次巻線に接続されている。また、第2の自励式電力変換器CNV2の交流端子は、第2のリカバリ電流抑制用交流リアクトルLa2及び直列抵抗Ra2を介して第2の電力用ダイオード整流器REC2の交流端子に接続されている。
第1の電力用ダイオード整流器REC1と、第1の自励式電力変換器CNV1の直流端子は並列接続され、直流平滑コンデンサCdに接続されている。同様に、第2の電力用ダイオード整流器REC2と、第2の自励式電力変換器CNV2の直流端子は並列接続され、直流平滑コンデンサCdに接続されている。当該直流平滑コンデンサCdは直流リアクトルLd及び直流高速遮断器HSCBを介して負荷装置Loadに接続されている。
第1の電力用ダイオード整流器REC1と第1の自励式電力変換器CNV1は一体として動作し、また、第2の電力用ダイオード整流器REC2と第2の自励式電力変換器CNV2は一体として動作する。
直列抵抗器Ra1、Ra2は、図15及び図16で説明したように、自励式変換器CNV1、CNV2を構成する高速ダイオード(順方向電圧降下VFa)とシリコン整流器REC1、REC2を構成する電力用ダイオード(順方向電圧降下VFb)に流れる電流配分を調整するもので、転流時に、リアクトルLa1、La2の電流Ia1、Ia2を速やかに減衰させる役目を果たす。また、上記順方向電圧降下VFaとVFbに大きな差がない場合でも、高速ダイオードから電力用ダイオードへの転流を確実なものとすることができる。
これにより、力行運転時の大部分の電流を電力用ダイオードを介して流すことができ、自励式電力変換器CNV1、CNV2を構成する高速ダイオードに流れる電流を小さくすることができる。この結果、当該高速ダイオードは電流容量の小さいもので構成でき、かつ、装置の損失低減を図ることができる。
すなわち、直列抵抗器Ra1、Ra2により、シリコン整流器REC1、REC2の電力用ダイオードに流れる電流と、自励式電力変換器CNV1、CNV2の高速ダイオードに流れる電流の配分を調整することが可能となり、高効率で、過負荷耐量に優れた電力変換装置を提供することができる。
電圧形自励式電力変換器CNV1、CNV2は、一定のパルスパターンで動作し、交流電源電圧Vsに同期したスイッチングを行う。直流電圧Vdが一定ならば、自励式変換器CNV1、CNV2の交流出力電圧Vc1、Vc2の振幅値は一定になる。この状態で、電源電圧Vsに対する各変換器出力電圧の和Vc=Vc1+Vc2の位相角φを変えることより、変圧器TR1、TR2のもれインダクタンスの和Lxo=Lx1+Lx2に印加される電圧が変化し、入力電流Isが調整され、共通の直流平滑コンデンサCdに印加される直流電圧Vdを制御することができる。
電源電圧Vsに対する各電力変換器の交流側出力電圧の和Vc=Vc1+Vc2の位相角φを遅れ方向に増加させることにより、交流電源SUPから供給される有効電力Psが増加し、直流電圧Vdが増加する。逆に位相角φを進み方向に増やすと、有効電力Psが交流電源SUPに回生され、直流電圧Vdは減少する。
このように、本実施の形態の装置では、直流電圧を直接制御し、電流制御マイナーループを省略して制御系の簡素化を図ることができる。
高速遮断器HSCBは、電気鉄道の直流き電線の地絡事故などにより、過大な電流が流れた場合、いち早く回路を切り離す役目を果たし、事故が拡大するのを防止する。
しかし、直流平滑コンデンサCdが電圧源となっており、至近端で地絡事故などが発生した場合には、事故電流の立ち上がりが速く高速遮断器HSCBでも切り離せないことがある。直流リアクトルLdは、事故電流の立ち上がりを抑制するもので、事故時に高速遮断器HSCBを確実に動作させることが可能となる。
直列多重化により、その入力電流Isは、極めて歪みの少ない波形に制御できる。このとき、変圧器TR1、TR2の2次電流Ic1、Ic2も歪みの少ない正弦波電流となり、リプルが少なくなった分、変換器CNV1、CNV2の遮断電流の小さくできる利点がある。これにより、より経済的な電力変換装置を提供することが可能となる。
図38は、図36及び図37の実施の形態の電力変換装置における制御回路の例を示すブロック図である。図中、Fd(x)は直流電圧発生器、C1、C2は比較器、Ksは比例要素、Gv(S)は電圧制御補償回路、AD1、AD3は加算器、FFはフィードフォワード補償器、PLL1、PLL2は電源同期位相検出回路、PHC1、PHC2は位相制御回路を表す。
直流電圧指令発生器Fd(x)は、負荷電流IL又は負荷電力PLに応じて直流電圧指令値Vd*を発生するもので、例えば、図12に示したような特性とする。
比較器C2により、電源電圧の実効値Vs(rms)を検出し、定格値Vso(rms)と比較する。その差分Vs(rms)−Vso(rms)=ΔVsは比例要素Ksを介して定数倍され、直流電圧指令の補償値ΔVd*=Ks・ΔVsとなる。加算器AD1により、本来の直流電圧指令値Vd*と補償値ΔVd*を加え、新たな直流電圧指令値Vd**=Vd*+ΔVd*とする。
直流電圧制御回路では、比較器C1により、直流電圧指令値Vd**と、直流平滑コンデンサCdに印加される電圧Vdの検出値を比較し、当該偏差εv=Vd**−Vdをとる。当該偏差εvを電圧制御補償回路Gv(S)により比例又は積分増幅し、加算器AD3を介して、位相角指令値φ*として位相制御回路PHC1及びPHC2に入力する。
フィードフォワード補償器FFでは、負荷電力PLから位相角指令値φFFを演算(推定)し、加算器AD3に入力する。すなわち、交流電源の電圧Vsに対する電圧形自励式電力変換器の交流側端子電圧Vc1、Vc2の位相角φ1=φ2は、φ*=φo*+φFFによって制御される。このフィードフォワード補償器FFは、負荷急変時の直流電圧制御の応答を改善する役目を果たす。
電源同期位相検出器PHC1は、変圧器TR1の2次電圧Vr1、Vs1、Vt1に同期した位相信号θr1、θs1、θt1を作り、位相制御回路PHC1に与える。
同様に、電源同期位相検出器PHC2は、変圧器TR2の2次電圧Vr2、Vs2、Vt2に同期した位相信号θr2、θs2、θt2を作り、位相制御回路PHC2に与える。位相信号θr2、θs2、θt2は、位相信号θr1、θs1、θt1に対し30°の位相差を持っている。
図4〜図9で説明したように、電圧形自励式電力変換器CNV1、CNV2を一定パルスパターンで位相制御され、結果的に直流平滑コンデンサCdに印加される電圧Vdは電圧指令値Vd**に一致するように制御される。
電圧形自励式電力変換器CNV1、CNV2を一定パルスパターンで運転した場合、当該電力変換器CNV1、CNV2の交流側出力電圧の振幅値は一定となり、電源電圧Vsが高くなると、変換器CNV1、CNV2は遅れ力率運転となり、また、電源電圧Vsが低くなると、変換器CNV1、CNV2は進み力率運転となってしまう。また、変換器CNV1、CNV2の力率低下に伴い、自励式電力変換器CNV1、CNV2の交流側出力電圧Vc1、Vc2と入力電流Ic1、Ic2の位相差が大きくなり、自励式電力変換器CNV1、CNV2を構成する自己消弧素子の遮断電流が大きくなってしまう。
図38に示す制御回路では、電源電圧の実効値の検出値Vs(rms)と定格値Vso(rms)と比較し、その差分Vs(rms)−Vso(rms)=ΔVsを比例要素Ksを介して定数倍し、直流電圧指令の補償値ΔVd*=Ks・ΔVsとしている。すなわち、加算器AD1により、本来の直流電圧指令値Vd*と補償値ΔVd*を加え、新たな直流電圧指令値Vd**=Vd*+ΔVd*として制御している。
Vs(rms)>Vso(rms)となった場合、補償値ΔVd*=Ks・ΔVsが正の値で増加し、直流電圧指令値Vd**=Vd*+ΔVd*を増加させる。これにより、自励式電力変換器CNV1、CNV2の交流側出力電圧Vc1、Vc2の実効値(波高値)が増加し、電源電圧Vsの実効値と変換器CNV1、CNV2の交流出力電圧Vc1、Vc2の実効値がほぼ同じになり、無駄な無効電流が流れるのを防ぐことができる。
逆に、Vs(rms)<Vso(rms)となった場合には、補償値ΔVd*は負の値となり、直流電圧指令値Vd**を減らし、電源電圧の実効値と変換器の交流出力電圧の実効値を合わせることができ、やはり、無駄な無効電流が流れるのを防ぐことができる。
これにより、電源力率あるいは変換器力率の極端な低下を防ぐことが可能となり、自己消弧素子の遮断電流の増加を防止できる。
(第11の実施の形態)図39は、本発明の第11の実施の形態の電力変換装置のブロック図である。図中、SUPは3相交流電源、MCBは交流主遮断器、TRは3相変圧器、REC1、REC2は電力用ダイオード整流器、La1、La2はリカバリ電流抑制用交流リアクトル(3相)、CNV1、CNV2は電圧形自励式変換器、DCCT1、DCCT2は直流電流検出器、Cd1、Cd2は直流平滑コンデンサ、Loadは負荷装置を示している。ILは負荷電流検出器及びその検出電流である負荷電流、Vdは電圧検出器及びその検出電圧を示している。また、制御回路として、直流電圧制御回路Vd1−Cont、Vd2−Cont、位相制御回路PHC1、PHC2が用意されている。この制御回路については後述する。
3相変圧器TRは、1次巻線はΔ結線、2次巻線の1つはΔ結線、もう1つはY結線されている。2つの2次巻線の3相電圧は、位相が30°ずつずれている。
第1の電力用ダイオード整流器REC1の交流端子は、3相変圧器TRの第1の2次巻線(Δ結線)に接続されている。また、第1の自励式電力変換器CNV1の交流端子は、第1のリカバリ電流抑制用交流リアクトルLa1を介して第1の電力用ダイオード整流器REC1の交流端子に接続されている。
また、第2の電力用ダイオード整流器REC2の交流端子は、3相変圧器TRの第2のの2次巻線(Y結線)に接続されている。また、第2の自励式電力変換器CNV2の交流端子は、第2のリカバリ電流抑制用交流リアクトルLa2を介して第2の電力用ダイオード整流器REC2の交流端子に接続されている。
第1の電力用ダイオード整流器REC1と、第1の自励式電力変換器CNV1の直流端子は並列接続され、第1の直流平滑コンデンサCd1に接続されている。同様に、第2の電力用ダイオード整流器REC2と、第2の自励式電力変換器CNV2の直流端子は並列接続され、第2の直流平滑コンデンサCd2に接続されている。当該2つの直流平滑コンデンサCd1とCd2は直列接続され、負荷装置Loadに接続されている。
第1の電力用ダイオード整流器REC1と第1の自励式電力変換器CNV1は一体として動作し、第1の直流平滑コンデンサCd1に印加される電圧Vd1が電圧指令値Vd1*に一致するように、当該自励式電力変換器CNV1を一定のパルスパターンで位相制御している。また、第2の電力用ダイオード整流器REC2と第2の自励式電力変換器CNV2は一体として動作し、第2の直流平滑コンデンサCd2に印加される電圧Vd2が電圧指令値Vd2*に一致するように、当該自励式電力変換器CNV2を一定のパルスパターンで位相制御している。
すなわち、第1の自励式電力変換器CNV1は、3相変圧器TRの第1の2次巻線(Δ結線)の電圧Vs1を基準にして位相制御するもので、当該電源電圧Vs1に対する第1の自励式電力変換器CNV1の交流電圧Vc1の位相角φ1を調整することにより、供給電力Pc1を調整する。すなわち、位相角φ1(遅れ)を増やすことにより、入力電流Ic1が増加し、電源からの供給電力Pc1が増加する。逆に、位相角φ1を負にすることにより、入力電流Ic1の位相が反転し、電力Pc1を電源に回生することができる。
また、第2の自励式電力変換器CNV2は、3相変圧器TRの第2の2次巻線(Y結線)の電圧Vs2を基準にして位相制御するもので、当該電源電圧Vs2に対する第2の自励式電力変換器CNV2の交流電圧Vc2の位相角φ2を調整することにより、供給電力Pc2を調整する。すなわち、位相角φ2(遅れ)を増やすことにより、入力電流Ic2が増加し、電源からの供給電力Pc2が増加する。逆に、位相角φ2を負にすることにより、入力電流Ic2の位相が反転し、電力Pc2を電源に回生することができる。
交流電源SUPから供給される電力Psは、上記電力Pc1とPc2の和となり、交流入力電流Isは上記変圧器TRの2次電流Ic1とIc2の和となる。多重化により、当該入力電流Isは歪みの少ない正弦波電流となる。
直流平滑コンデンサCd1及びCd2に印加される電圧Vd1及びVd2がそれぞれの電圧指令値Vd1*及びVd2*に一致するように制御位相角φ1、φ2を制御する。負荷電流ILが増加し、直流電圧Vd1、Vd2が下がった場合、制御位相角φ1、φ2が大きくなり、交流電源SUPからの供給電力Psが増加して、直流電圧Vd1及びVd2が上昇し、それぞれVd1=Vd1*、Vd2=Vd2*となるように制御される。また、回生運転(IL<0)で、直流電圧Vd1、Vd2が上昇した場合には、制御位相角φ1、φ2が負の値になり、電力Psが負となり、電力が電源SUPに回生されて、直流電圧Vd1、Vd2が下がり、やはり、Vd1=Vd1*、Vd2=Vd2*となるように制御される。
このように、本実施の形態の装置では、直流電圧を直接制御し、電流制御マイナーループを省略して制御系の簡素化を図ることができる。
本実施の形態では、2台の変換器は3相変圧器TRを介して並列2多重運転を行っている。これにより、変換装置の容量を増加でき、かつ、入力電流Isの高調波を低減できる。本実施の形態ではまた、直流平滑コンデンサCd1とCd2を直列接続し、当該2つのコンデンサに印加される電圧Vd1とVd2の和電圧Vdo=Vd1+Vd2が負荷装置Loadに印加されるように構成している。これにより、直流側電圧の高圧化を図ることが容易になり、電力回生が可能で、高効率・高力率の電力変換装置を提供できるようになる。
(第12の実施の形態)図40は、本発明の第12の実施の形態の電力変換装置のブロック図である。図中、SUPは3相交流電源、MCBは交流主遮断器、TRは3相変圧器、REC1、REC2は電力用ダイオード整流器、La1、La2はリカバリ電流抑制用交流リアクトル(3相)、Ra1、Ra2は直列抵抗(3相)、CNV1、CNV2は電圧形自励式変換器、DCCT1、DCCT2は直流電流検出器、Cd1、Cd2は直流平滑コンデンサ、Loadは負荷装置を示している。ILは負荷電流検出器及びその検出電流である負荷電流、Vdは電圧検出器及びその検出電圧を示している。また、制御回路として、直流電圧制御回路Vd1−Cont、Vd2−Cont、位相制御回路PHC1、PHC2が用意されている。この制御回路については後述する。
3相変圧器TRは、1次巻線はΔ結線、2次巻線の1つはΔ結線、もう1つはY結線されている。2つの2次巻線の3相電圧は、それぞれの位相が30°ずつずれている。
第1の電力用ダイオード整流器REC1の交流端子は、第1の2次巻線(Δ結線)に接続されている。また、第1の自励式電力変換器CNV1の交流端子は、第1のリカバリ電流抑制用交流リアクトルLa1及び直列抵抗Ra1を介して第1の電力用ダイオード整流器REC1の交流端子に接続されている。また、第2の電力用ダイオード整流器REC2の交流端子は、第2の2次巻線(Y結線)に接続されている。また、第2の自励式電力変換器CNV2の交流端子は、第2のリカバリ電流抑制用交流リアクトルLa2及び直列抵抗Ra2を介して第2の電力用ダイオード整流器REC2の交流端子に接続されている。
第1の電力用ダイオード整流器REC1と、第1の自励式電力変換器CNV1の直流端子は並列接続され、第1の直流平滑コンデンサCd1に接続されている。同様に、第2の電力用ダイオード整流器REC2と、第2の自励式電力変換器CNV2の直流端子は並列接続され、第2の直流平滑コンデンサCd2に接続されている。当該2つの直流平滑コンデンサCd1とCd2は直列接続され、負荷装置Loadに接続されている。
直列抵抗器Ra1、Ra2は、図15及び図16で説明したように、自励式変換器CNV1、CNV2を構成する高速ダイオード(順方向電圧降下VFa)とシリコン整流器REC1、REC2を構成する電力用ダイオード(順方向電圧降下VFb)に流れる電流配分を調整するもので、転流時に、リアクトルLa1、La2の電流Ia1、Ia2を速やかに減衰させる役目を果たす。また、上記順方向電圧降下VFaとVFbに大きな差がない場合でも、高速ダイオードから電力用ダイオードへの転流を確実なものとすることができる。
これにより、力行運転時の大部分の電流を電力用ダイオードを介して流すことができ、自励式電力変換器CNV1、CNV2を構成する高速ダイオードに流れる電流を小さくすることができる。この結果、当該高速ダイオードは電流容量の小さいもので構成でき、かつ、装置の損失低減を図ることができる。すなわち、直列抵抗器Ra1、Ra2により、シリコン整流器REC1、REC2の電力用ダイオードに流れる電流と、自励式電力変換器CNV1、CNV2の高速ダイオードに流れる電流の配分を調整することが可能となり、高効率で、過負荷耐量に優れた電力変換装置を提供することができる。
第1の電力用ダイオード整流器REC1と第1の自励式電力変換器CNV1は一体として動作し、第1の直流平滑コンデンサCd1に印加される電圧Vd1が電圧指令値Vd1*に一致するように、当該自励式電力変換器CNV1を一定のパルスパターンで位相制御している。また、第2の電力用ダイオード整流器REC2と第2の自励式電力変換器CNV2は一体として動作し、第2の直流平滑コンデンサCd2に印加される電圧Vd2が電圧指令値Vd2*に一致するように、当該自励式電力変換器CNV2を一定のパルスパターンで位相制御している。
すなわち、第1の自励式電力変換器CNV1は、3相変圧器TRの第1の2次巻線(Δ結線)の電圧Vs1を基準にして位相制御するもので、当該電源電圧Vs1に対する第1の自励式電力変換器CNV1の交流電圧Vc1の位相角φ1を調整することにより、供給電力Pc1を調整する。すなわち、位相角φ1(遅れ)を増やすことにより、入力電流Ic1が増加し、電源からの供給電力Pc1が増加する。逆に、位相角φ1を負にすることにより、入力電流Ic1の位相が反転し、電力Pc1を電源に回生することができる。
また、第2の自励式電力変換器CNV2は、3相変圧器TRの第2の2次巻線(Y結線)の電圧Vs2を基準にして位相制御するもので、当該電源電圧Vs2に対する第2の自励式電力変換器CNV2の交流電圧Vc2の位相角φ2を調整することにより、供給電力Pc2を調整する。すなわち、位相角φ2(遅れ)を増やすことにより、入力電流Ic2が増加し、電源からの供給電力Pc2が増加する。逆に、位相角φ2を負にすることにより、入力電流Ic2の位相が反転し、電力Pc2を電源に回生することができる。
交流電源SUPから供給される電力Psは、上記電力Pc1とPc2の和となり、交流入力電流Isは上記変圧器TRの2次電流Ic1とIc2の和となる。多重化により、当該入力電流Isは歪みの少ない正弦波電流となる。
直流平滑コンデンサCd1及びCd2に印加される電圧Vd1及びVd2がそれぞれの電圧指令値Vd1*及びVd2*に一致するように制御位相角φ1、φ2を制御する。負荷電流ILが増加し、直流電圧Vd1、Vd2が下がった場合、制御位相角φ1、φ2が大きくなり、交流電源SUPからの供給電力Psが増加して、直流電圧Vd1及びVd2が上昇し、それぞれVd1=Vd1*、Vd2=Vd2*となるように制御される。また、回生運転(IL<0)で、直流電圧Vd1、Vd2が上昇した場合には、制御位相角φ1、φ2が負の値になり、電力Psが負となり、電力が電源SUPに回生されて、直流電圧Vd1、Vd2が下がり、やはり、Vd1=Vd1*、Vd2=Vd2*となるように制御される。
このように、本実施の形態の装置では、直流電圧を直接制御し、電流制御マイナーループを省略して制御系の簡素化を図ることができる。
本実施の形態では、2台の変換器は3相変圧器TRを介して並列2多重運転を行っている。これにより、変換装置の容量を増加でき、かつ、入力電流Isの高調波を低減できる。本実施の形態ではまた、直流平滑コンデンサCd1とCd2を直列接続し、当該2つのコンデンサに印加される電圧Vd1とVd2の和電圧Vdo=Vd1+Vd2が負荷装置Loadに印加されるように構成している。これにより、直流側電圧の高圧化を図ることが容易になり、電力回生が可能で、高効率・高力率の電力変換装置を提供できるようになる。
図41は、図39又は図40の装置における別の制御回路の例を示すブロック図である。図中、Fd(x)は直流電圧指令発生器、C11、C12、C2は比較器、Gv1(S)、Gv2(S)は電圧制御補償回路、Kn、Ksは比例要素、AD1、AD31、AD32は加算器、FFはフィードフォワード補償器、PLL1、PLL2は電源同期位相検出回路、PHC1、PHC2は位相制御回路、OC1、OC2は過電流検出器をそれぞれ表す。
直流電圧指令発生器Fd(x)は、負荷電流IL又は負荷電力PLに応じて直流電圧指令値Vd*を発生するもので、例えば、図12に示したような特性とする。
比較器C2により、電源電圧の実効値Vs(rms)を検出し、定格値Vso(rms)と比較する。その差分Vs(rms)−Vso(rms)=ΔVsは比例要素Ksを介して定数倍され、直流電圧指令の補償値ΔVd*=Ks・ΔVsとなる。加算器AD1により、本来の直流電圧指令値Vd*と補償値ΔVd*を加え、新たな直流電圧指令値Vd**=Vd*+ΔVd*とする。当該電圧指令値Vd**は、直流平滑コンデンサCd1及びCd2に印加される電圧Vd1とVd2の和Vd1+Vd2の指令値となる。比例要素Knは、和電圧指令値Vd**を(1/n)倍するもので、図39又は図40の装置では、n=2となる。
第1の直流電圧制御回路では、比較器C11により、直流電圧指令値Vd**/2と、第1の直流平滑コンデンサCd1に印加される直流電圧Vd1の検出値を比較し、当該偏差εv1=Vd**/2−Vd1をとる。当該偏差εv1を電圧制御補償回路Gv1(S)により比例又は積分増幅し、位相角指令値φ1o*とする。さらに、当該信号φ1o*を加算器AD31を介して、位相角指令値φ1*として位相制御回路PHC1に入力する。
フィードフォワード補償器FFでは、負荷電力PLから位相角指令値φFFを演算(推定)し、加算器AD31に入力する。すなわち、交流電源の電圧Vs1に対する電圧形自励式電力変換器の交流側端子電圧Vc1の位相角φ1は、φ1*=φ1o*+φFFによって制御される。このフィードフォワード補償器FFは、負荷急変時の直流電圧制御の応答を改善する役目を果たす。
電源同期位相検出器PHC1は、変圧器TRのΔ結線の2次電圧Vr1、Vs1、Vt1に同期した位相信号θr1、θs1、θt1を作り、位相制御回路PHC1に与える。
変換器CNV1を一定のパルスパターンで位相制御する方法は、図4〜図9で説明したものと同様になる。
Vd**/2>Vd1となった場合、制御位相角指令値φ1*は正の値(遅れ)で増加し、その結果、交流電源SUPから供給される有効電力Pc1が増加し、直流電圧Vd1を増加させ、最終的にVd**/2=Vd1となる。
逆に、Vd**/2<Vd1となった場合、制御位相角指令値φ1*は負の値となり、φ1は進み位相角となる。その結果、交流電源SUPへ有効電力Pc1が回生され、直流電圧Vd1を減少させ、やはり、Vd**/2=Vd1に制御される。
同様に第2の直流電圧制御回路では、比較器C12により、直流電圧指令値Vd**/2と、第2の直流平滑コンデンサCd2に印加される直流電圧Vd2の検出値を比較し、当該偏差εv2=Vd**/2−Vd2をとる。当該偏差εv2を電圧制御補償回路Gv2(S)により比例又は積分増幅し、位相角指令値φ2o*とする。さらに、当該信号φ2o*を加算器AD32を介して、位相角指令値φ2*として位相制御回路PHC2に入力する。
フィードフォワード補償器FFで演算した位相角指令値φFFを加算器AD32に入力する。すなわち、交流電源の電圧Vs2に対する電圧形自励式電力変換器の交流側端子電圧Vc2の位相角φ2は、φ2*=φ2o*+φFFによって制御される。このフィードフォワード補償器FFは、負荷急変時の直流電圧制御の応答を改善する役目を果たす。
電源同期位相検出器PHC2は、変圧器TRのY結線の2次電圧Vr2、Vs2、Vt2に同期した位相信号θr2、θs2、θt2を作り、位相制御回路PHC2に与える。位相信号θr2、θs2、θt2は、位相信号θr1、θs1、θt1に対し30°の位相差を持っている。
変換器CNV2を一定のパルスパターンで位相制御する方法は、図4〜図9で説明したものと同様になる。Vd**/2>Vd2となった場合、制御位相角指令値φ2*は正の値(遅れ)で増加し、その結果、交流電源SUPから供給される有効電力Pc2が増加し、直流電圧Vd2を増加させ、最終的にVd**/2=Vd2となる。
逆に、Vd**/2<Vd2となった場合、制御位相角指令値φ2*は負の値となり、φ2は進み位相角となる。その結果、交流電源SUPへ有効電力Pc2が回生され、直流電圧Vd2を減少させ、やはり、Vd**/2=Vd2に制御される。
第1の変換器(CNV1+REC1)の入力電流Ic1(Icr1、Ics1、Ict1)は第2の変換器(CNV2+REC2)の入力電流Ic2(Icr2、Ics2、Ict2)に対し、それぞれ30°の位相差があり、それを合成した変圧器TRの1次電流波形Is(Ir、Is、It)は高調波分が打ち消され、より正弦波に近い波形になる。
このようにして、2台の変換器CNV1とCNV2の位相角φ1、φ2を調整することにより、直流平滑コンデンサCd1及びCd2に印加される各直流電圧Vd1及びVd2を直接制御することができる。これにより、入力電流制御のマイナーループを省略でき、制御回路を簡略化できる。
また、Vd1=Vd2=Vd**/2に制御され、直流電圧が平衡化され、結果的に、2台の各電力変換器CNV1、CNV2の構成素子に印加される最大電圧も均等になる。また、直流電圧Vd1、Vd2が均等化されたことにより、交流側多重化の効果がそのまま出て、交流入力電流Isの高調波が低減される。
これにより、直流出力電圧の高圧化を図ることができ、入力電流Isの高調波成分が小さく、電力回生が可能で、高力率・高効率で、低コストの電力変換装置を提供できる。
電圧形自励式電力変換器CNV1、CNV2を一定パルスパターンで運転した場合、当該電力変換器CNV1、CNV2の交流側出力電圧の振幅値は一定となり、電源電圧Vsが高くなると、変換器CNV1、CNV2は遅れ力率運転となり、また、電源電圧Vsが低くなると、変換器CNV1、CNV2は進み力率運転となってしまう。また、変換器CNV1、CNV2の力率低下に伴い、自励式電力変換器CNV1、CNV2の交流側出力電圧Vc1、Vc2と入力電流Ic1、Ic2の位相差が大きくなり、自励式電力変換器CNV1、CNV2を構成する自己消弧素子の遮断電流が大きくなってしまう。
図41に示す制御回路では、電源電圧の実効値の検出値Vs(rms)と定格値Vso(rms)と比較し、その差分Vs(rms)−Vso(rms)=ΔVsを比例要素Ksを介して定数倍し、直流電圧指令の補償値ΔVd*=Ks・ΔVsとしている。すなわち、加算器AD1により、本来の直流電圧指令値Vd*と補償値ΔVd*を加え、新たな直流電圧指令値Vd**=Vd*+ΔVd*として制御している。
Vs(rms)>Vso(rms)となった場合、補償値ΔVd*=Ks・ΔVsが正の値で増加し、直流電圧指令値Vd**=Vd*+ΔVd*を増加させる。これにより、自励式電力変換器CNV1、CNV2の交流側出力電圧Vc1、Vc2の実効値(波高値)が増加し、電源電圧Vsの実効値と変換器CNV1、CNV2の交流出力電圧Vc1、Vc2の実効値がほぼ同じになり、無駄な無効電流が流れるのを防ぐことができる。
逆に、Vs(rms)<Vso(rms)となった場合には、補償値ΔVd*は負の値となり、直流電圧指令値Vd**を減らし、電源電圧の実効値と変換器の交流出力電圧の実効値を合わせることができ、やはり、無駄な無効電流が流れるのを防ぐことができる。
これにより、電源力率あるいは変換器力率の極端な低下を防ぐことが可能となり、自己消弧素子の遮断電流の増加を防止できる。
図41の過電流検出器OC1、OC2は、それぞれ2つの情報に基づき、図39又は図40の自励式電力変換器CNV1、CNV2にゲートブロック信号GB1、GB2を与える。1つは、自励式電力変換器CNV1あるいはCNV2の直流電流Icnv1又はIcnv2が過電流になったことを検知し、ゲートブロックする。これにより、自励式電力変換器CNV1あるいはCNV2の実用的な電流レベルで自己消弧素子の過電流保護がかかり、装置を確実に保護することが可能となる。尚、電圧形自励式電力変換器CNV1及びCNV2の交流入力電流を検知して、過電流保護をかけても同様に目的を達成できる。
もう1つは、図12で説明したように、装置全体の出力電流(負荷電流)ILが過負荷最大値ILmaxを超えた場合に、全ての自己消弧素子をゲートブロックする。これにより、電力用ダイオード整流器REC1、REC2と自励式電力変換器CNV1、CNV2の高速ダイオード整流器との並列運転に移行し、過負荷力行運転を継続することが可能となり、かつ、自己消弧素子を保護することが可能になる。
これにより、過負荷耐量に優れ、電力回生が可能で、高力率・高効率で、低コストの電力変換装置を提供できる。
図42は、図39又は図40の装置における制御回路のさらに別の例を示すブロック図である。図中、Fd(x)は直流電圧指令発生器、Z1、Z2は座標変換器、AD21、AD22、AD31、AD32は加算器、Kdは比例要素、C11、C12、C3は比較器、Gv1(S)、Gv2(S)は電圧制御補償回路、FFはフィードフォワード補償器、PLL1、PLL2は電源同期位相検出回路、PHC1、PHC2は位相制御回路である。
直流電圧指令発生器Fd(x)は、負荷電流IL又は負荷電力PLに応じて直流電圧指令値Vd*を発生するもので、例えば、図12に示したような特性とする。
座標変換器Z1、Z2は3相電流(静止座標量)をdq軸電流(回転座標量)に変換するもので、座標変換器Z1には変圧器TRのΔ結線の2次電圧Vr1、Vs1、Vt1に同期した二相単位正弦波sinθ1とcosθ1を用い、座標変換器Z2には変圧器TRのY結線の2次電圧Vr2、Vs2、Vt2に同期した二相単位正弦波sinθ2とcosθ2を用いている。
すなわち、座標変換器Z1により、変換器(CNV1+REC1)の入力電流Ic1(Icr1、Ics1、Ict1)から有効電流Ip1と無効電流IQ1を得る。また、座標変換器Z2により、変換器(CNV2+REC2)の入力電流Ic2(Icr2、Ics2、Ict2)から有効電流Ip2と無効電流IQ2を得る。このとき、Ip1、Ip2、IQ1、IQ2は直流量となる。
上記無効電流IQ1とIQ2を比較器C3に入力し、偏差εQ=IQ1−IQ2を求める。当該偏差εQを比例要素Kdで増幅し、電圧指令補正値ΔVd*として、加算器AD21及びAD22に入力する。
加算器AD21により、直流電圧指令発生器Fd(x)からの出力信号Vd*と電圧指令補正値ΔVd*を加算し、第1の電力変換器CNV1の直流電圧指令値Vd1*とする。比較器C11により、直流電圧指令値Vd1*と直流平滑コンデンサCd1に印加される電圧Vd1の検出値を比較し、偏差εv1=Vd1*−Vd1を求める。電圧制御補償回路Gv1(S)により、当該偏差εv1を比例又は積分増幅する。当該電圧制御補償回路Gv1(S)からの出力信号φo1*にフィードフォワード補償器FFからの出力信号φFFを加算し、制御位相角指令値φ1*=φo1*+φFFとして、第1の変換器CNV1の位相制御回路PHC1に入力する。直流平滑コンデンサCd1に印加される電圧Vd1は指令値Vd1*に一致するように制御される。
同様に、加算器AD22により、直流電圧指令発生器Fd(x)からの出力信号Vd*と電圧指令補正値ΔVd*を加算し、第2の電力変換器CNV2の直流電圧指令値Vd2*とする。比較器C12により、直流電圧指令値Vd2*と直流平滑コンデンサCd2に印加される電圧Vd2の検出値を比較し、偏差εv2=Vd2*−Vd2を求める。電圧制御補償回路Gv2(S)により、当該偏差εv2を比例又は積分増幅する。当該電圧制御補償回路Gv2(S)からの出力信号φo2*にフィードフォワード補償器FFからの出力信号φFFを加算し、制御位相角指令値φ2*=φo2*+φFFとし、第2の変換器CNV2の位相制御回路PHC2に入力する。直流平滑コンデンサCd2に印加される電圧Vd2は指令値Vd2*に一致するように制御される。
このとき、フィードフォワード補償器FFは、負荷電力PL又は負荷電流ILから位相角指令値φFFを演算し、前向き補償信号として加えることにより、負荷急変時の直流電圧Vd1、Vd2の変動を抑制し、直流電圧制御の応答を改善する。
変圧器TRの2次電圧にバラツキがある場合、各電力変換器CNV1、CNV2の入力電流の無効分が異なった値になる。変圧器の2次電圧が高い電力変換器では入力電流の無効分(遅れ)が大きくなり、逆に、2次電圧が低い電力変換器では入力電流の無効分(遅れ)は小さくなる。
第1の変換器(CNV1+REC1)の入力電流無効分IQ1が、第2の変換器(CNV2+REC2)の入力電流無効分IQ2より大きくなった場合、偏差εQは正の値となり、電圧指令補正値ΔVd*も正の値となる。この結果、Vd1*>Vd2*となり、第1の変換器(CNV1+REC1)の入力電流無効分IQ1が減少し、第2の変換器(CNV2+REC2)の入力電流無効分IQ2は増加する。逆に、IQ1<IQ2となった場合、偏差εQは負の値となり、電圧指令補正値ΔVd*も負の値となる。この結果、Vd1*<Vd2*となり、第1の変換器(CNV1+REC1)の入力電流無効分IQ1が増加し、第2の変換器(CNV2+REC2)の入力電流無効分IQ2は減少する。最終的に、IQ1=IQ2となって落ち着く。
3台以上の電力変換器では、全体の交流入力電流の遅れ無効分を台数分で割り、その値を基準にして、大きいか小さいかで、それぞれの補正量ΔVd*を求めて、直流電圧指令値Vd1*〜Vdn*を補正する。
これにより、複数台の電圧形自励式電力変換器の各入力電流の無効分が平衡化され、変圧器の2次電圧のバラツキによる影響をなくすことができる。
図42の過電流検出器OC1、OC2は、それぞれ2つの情報に基づき、図39又は図40の自励式電力変換器CNV1、CNV2にゲートブロック信号GB1、GB2を与える。1つは、図39又は図40の装置の自励式電力変換器CNV1あるいはCNV2の直流電流Icnv1又はIcnv2が過電流になったことを検知し、ゲートブロックする。これにより、自励式電力変換器CNV1あるいはCNV2の実用的な電流レベルで自己消弧素子の過電流保護がかかり、装置を確実に保護することが可能となる。尚、電圧形自励式電力変換器CNV1及びCNV2の交流入力電流を検知して、過電流保護をかけても同様に目的を達成できる。
もう1つは、図12で説明したように、装置全体の出力電流(負荷電流)ILが過負荷最大値ILmaxを超えた場合に、全ての自己消弧素子をゲートブロックする。これにより、電力用ダイオード整流器REC1、REC2と自励式電力変換器CNV1、CNV2の高速ダイオード整流器との並列運転に移行し、過負荷力行運転を継続することが可能となり、かつ、自己消弧素子を保護することが可能になる。
これにより、過負荷耐量に優れ、電力回生が可能で、高力率・高効率で、低コストの電力変換装置を提供できる。
本発明の第1の実施の形態の電力変換装置のブロック図。 本発明の第1の実施の形態の電力変換装置の制御動作を説明するための交流側等価回路図。 本発明の第1の実施の形態の電力変換装置の制御動作を説明するための電圧・電流ベクトル図。 図1の電力変換装置の自励式電力変換器CNVの位相制御回路PHCのブロック図。 図4の位相制御回路PHCの1パルス動作時の波形図。 本発明の第1の実施の形態の電力変換装置の自励式電力変換器を1パルスで力行運転した場合の各部動作波形図。 本発明の第1の実施の形態の電力変換装置の自励式電力変換器を1パルスで回生運転した場合の各部動作波形図。 図4の位相制御回路PHCの3パルス動作時の波形図。 本発明の第1の実施の形態の電力変換装置の自励式電力変換器を3パルスで力行運転した場合の各部動作波形図。 本発明の第1の実施の形態の電力変換装置の前向き補償の動作を説明するための電圧・電流ベクトル図。 図1の電力変換装置における制御回路の別の例を示すブロック図。 図11の制御回路の直流電圧発生器Fd(x)の動作特性を示す図。 図1の電力変換装置における制御回路のさらに別の例を示すブロック図。 本発明の第1の実施の形態の電力変換装置の電源電圧変動時の動作を説明するための電圧・電流ベクトル図。 本発明の第2の実施の形態の電力変換装置のブロック図。 図15の電力変換装置によるモード(1)の動作を説明するための1相分の主回路図。 図15の電力変換装置によるモード(2)の動作を説明するための1相分の主回路図。 図15の電力変換装置によるモード(3)の動作を説明するための1相分の主回路図。 図15の電力変換装置によるモード(4)の動作を説明するための1相分の主回路図。 本発明の第2の実施の形態の電力変換装置の別の例の電力変換装置のブロック図。 本発明の第2の実施の形態の電力変換装置のさらに別の例の電力変換装置のブロック図。 本発明の第3の実施の形態の電力変換装置のブロック図。 本発明の第4の実施の形態の電力変換装置のブロック図。 図22及び図23の装置における制御回路の例を示すブロック図。 図22及び図23の装置における制御回路の別の例を示すブロック図。 図22及び図23の装置における制御回路のさらに別の例を示すブロック図。 本発明の第5の実施の形態の電力変換装置のブロック図。 本発明の第6の実施の形態の電力変換装置のブロック図。 図27及び図28の装置における制御回路の例を示すブロック図。 図27及び図28の装置における制御回路の別の例を示すブロック図。 図27及び図28の装置における制御回路のさらに別の例を示すブロック図。 図27及び図28の装置における制御回路のさらに別の例を示すブロック図。 図27及び図28の装置における制御回路のさらに別の例を示すブロック図。 図27及び図28の装置における制御回路のさらに別の例を示すブロック図。 本発明の第6の実施の形態の電力変換装置の制御回路に示された直流電圧指令発生器Fd(x)の別の特性を示す図。 本発明の第7の実施の形態の電力変換装置のブロック図。 本発明の第8の実施の形態の電力変換装置のブロック図。 図36及び図37の装置における制御回路の例を示すブロック図。 本発明の第9の実施の形態の電力変換装置のブロック図。 本発明の第10の実施の形態の電力変換装置のブロック図。 図39又は図40の装置における別の制御回路の例を示すブロック図。 図39又は図40の装置におけるさらに別の制御回路の例を示すブロック図。 従来の電力変換装置のブロック図。
符号の説明
SUP 3相交流電源
MCB 交流主遮断器
TR、TR1、TR2 3相変圧器
REC、REC1、REC2 電力用ダイオード整流器
PD1〜PD6 電力用ダイオード
CNV、CNV1、CNV2 電圧形自励式変換器
S1〜S6 自己消弧素子
D1〜D6 高速ダイオード
La、La1、La2 交流リアクトル
Ra、Ra1、Ra2 抵抗器
ACSW 交流側開閉器
DCSW 直流側開閉器
Cd、Cd1、Cd2 直流平滑コンデンサ
Ld、Ld1、Ld2 直流リアクトル
HSCB 直流高速遮断器
Load 負荷装置
DCCT、DCCT1、DCCT2 直流電流検出器
Fd(x) 直流電圧指令発生器
C1、C11、C12、C2、C3、C31、C32 比較器
AD、AD1、AD21、AD22、AD3、AD31、AD32 加算器
Gv(S)、Gv1(S)、Gv2(S) 電圧制御補償回路
FF フィードフォワード補償器
PLL、PLL1、PLL2 電源同期位相検出回路
PHC、PHC1、PHC2 位相制御回路
Ks、Kv、Kφ 比例要素
OC、OC1、OC2 過電流検出器
Z1、Z2 座標変換器
Vd−Cont、Vd1−Cont、Vd2−Cont 直流電圧制御回路
Bal−Cont 電流平衡化補償回路

Claims (44)

  1. 交流電力を直流電力に変換して負荷装置に供給する電力変換装置において、
    交流電源に変圧器を介して交流端子が接続される電力用ダイオード整流器と、
    前記電力用ダイオード整流器の交流端子に交流リアクトルを介して交流端子が接続された電力変換器と、
    前記電力変換器及び前記電力用ダイオード整流器の共通直流端子間に接続された直流平滑コンデンサと、
    前記電力変換器を一定のパルスパターンで動作させ、前記交流電源の電圧に対する前記電力変換器の交流端子電圧の位相角を調整することにより前記直流平滑コンデンサに印加される電圧を制御する直流電圧制御手段とを備えたことを特徴とする電力変換装置。
  2. 交流電力を直流電力に変換して負荷装置に供給する電力変換装置において、
    交流電源に変圧器を介して交流端子が接続される電力用ダイオード整流器と、
    前記電力用ダイオード整流器の交流端子に交流リアクトルと抵抗器を介して交流端子が接続された電力変換器と、
    前記電力変換器及び前記電力用ダイオード整流器の共通直流端子間に接続された直流平滑コンデンサと、
    前記電力変換器を一定のパルスパターンで動作させ、前記交流電源の電圧に対する前記電力変換器の交流端子電圧の位相角を調整することにより前記直流平滑コンデンサに印加される電圧を制御する直流電圧制御手段とを備えたことを特徴とする電力変換装置。
  3. 前記直流電圧制御手段は、前記電力変換器の直流出力電流値又は出力電力値から位相角指令値を演算し、前向き補償として自身の出力信号に加え、前記交流電源の電圧に対する前記電力変換器の交流側端子電圧の位相角を調整することを特徴とする請求項1又は2に記載の電力変換装置。
  4. 前記直流電圧制御手段は、前記電力変換器の直流出力電流又は出力電力に応じて、前記直流平滑コンデンサに印加される電圧の指令値を変えて制御することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の電力変換装置。
  5. 前記直流電圧制御手段は、前記電力変換器の回生運転時の直流電圧指令を力行運転時の直流電圧指令より大きくすることを特徴とする請求項4に記載の電力変換装置。
  6. 前記直流電圧制御手段は、前記電力変換器の直流出力電流が力行過負荷電流設定値以上になった場合、前記電力変換器を構成する全ての自己消弧素子をゲートブロックするように制御することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の電力変換装置。
  7. 前記直流電圧制御手段は、前記電力変換器の直流電流又は交流電流の過電流を検知して、前記電力変換器を構成する自己消弧素子を全てオフするように制御することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の電力変換装置。
  8. 前記直流電圧制御手段は、前記電力変換器を、前記交流電源の電圧の実効値が変化した場合にその変化分に応じて前記直流電圧指令値を変えて制御することを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の電力変換装置。
  9. 前記電力変換器及び前記電力用ダイオード整流器の直流共通端子と前記負荷装置との間に直流リアクトル及び高速遮断器を設置したことを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の電力変換装置。
  10. 前記電力変換器の交流側端子及び直流側端子には、故障時に電気的に切り離す切り離し手段を設けたことを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の電力変換装置。
  11. 交流電力を直流電力に変換して負荷装置に供給する電力変換装置において、
    交流電源に変圧器を介して交流端子が接続された複数台の電力用ダイオード整流器と、
    前記複数台の電力用ダイオード整流器の交流端子に交流リアクトルを介して交流側端子が接続された複数台の電力変換器と、
    前記複数台の電力変換器及び前記複数台の電力用ダイオード整流器の共通直流端子に接続された直流平滑コンデンサと、
    前記複数台の電力変換器を一定のパルスパターンで動作させ、前記交流電源の電圧に対する前記各電力変換器の交流電圧の位相角を調整することにより前記直流平滑コンデンサに印加される電圧を制御する直流電圧制御手段とを具備したことを特徴とする電力変換装置。
  12. 交流電力を直流電力に変換して負荷装置に供給する電力変換装置において、
    交流電源に変圧器を介して交流端子が接続された複数台の電力用ダイオード整流器と、
    前記複数台の電力用ダイオード整流器の交流端子に交流リアクトルと抵抗器を介して交流側端子が接続された複数台の電力変換器と、
    前記複数台の電力変換器及び前記複数台の電力用ダイオード整流器の共通直流端子に接続された直流平滑コンデンサと、
    前記複数台の電力変換器を一定のパルスパターンで動作させ、前記交流電源の電圧に対する前記各電力変換器の交流電圧の位相角を調整することにより前記直流平滑コンデンサに印加される電圧を制御する直流電圧制御手段とを具備したことを特徴とする電力変換装置。
  13. 前記直流電圧制御手段は、前記複数台の電力変換器の直流出力電流値又は出力電力値から位相角指令値を演算し、前向き補償として自身の出力信号に加え、前記交流電源の電圧に対する前記各電力変換器の交流電圧の位相角を調整することを特徴とする請求項11又は12に記載の電力変換装置。
  14. 前記直流電圧制御手段は、前記複数台の電力変換器の直流出力電流又は出力電力に応じて、前記直流平滑コンデンサに印加される電圧の指令値を変えて制御することを特徴とする請求項11〜13のいずれかに記載の電力変換装置。
  15. 前記直流電圧制御手段は、前記複数台の電力変換器の直流出力電流が力行過負荷電流設定値以上になった場合、前記複数台の電力変換器を構成する全ての自己消弧素子をゲートブロックするように制御することを特徴とする請求項11〜14のいずれかに記載の電力変換装置。
  16. 前記直流電圧制御手段は、前記複数台の電力変換器の直流電流又は交流電流の過電流を検知して、前記複数台の電力変換器を構成する自己消弧素子を全てオフするように制御することを特徴とする請求項11〜15のいずれかに記載の電力変換装置。
  17. 前記直流電圧制御手段は、前記複数台の電力変換器を、前記交流電源の電圧の実効値が変化した場合にその変化分に応じて前記直流平滑コンデンサに印加される電圧の指令値を変えて制御することを特徴とする請求項11〜16のいずれかに記載の電力変換装置。
  18. 前記直流電圧制御手段は、前記変圧器の各2次電流の有効分又は実効値が平衡するように前記各電力変換器の制御位相角を補正することを特徴とする請求項11〜17のいずれかに記載の電力変換装置。
  19. 前記直流電圧制御手段は、前記各電力変換器と前記各電力用ダイオード整流器の各直流和電流が平衡するように前記各電力変換器の制御位相角を補正することを特徴とする請求項11〜18のいずれかに記載の電力変換装置。
  20. 交流電源に変圧器を介して交流端子が接続される複数台の電力用ダイオード整流器と、
    前記複数台の電力用ダイオード整流器の交流端子に交流リアクトルを介して交流側端子が接続され、直流端子が前記電力用ダイオード整流器の直流端子にそれぞれ並列接続された複数台の電力変換器と、
    前記複数台の電力変換器の各直流端子に接続された複数個の直流平滑コンデンサであって、複数個の直流リアクトルを介して並列接続され、負荷装置に直流電力を供給する複数個の直流平滑コンデンサと、
    前記複数台の電力変換器を、前記交流電源の周波数に同期した一定のパルスパターンで動作させ、前記交流電源の電圧に対する各電力変換器の交流側端子電圧の位相角を調整することにより前記複数個の直流平滑コンデンサに印加される各直流電圧を制御する直流電圧制御手段とを具備したことを特徴とする電力変換装置。
  21. 交流電源に変圧器を介して交流端子が接続された複数台の電力用ダイオード整流器と、
    前記複数台の電力用ダイオード整流器の交流端子に交流リアクトルと抵抗器を介して交流側端子が接続され、直流端子が前記電力用ダイオード整流器の直流端子にそれぞれ並列接続された複数台の電力変換器と、
    前記複数台の電力変換器の各直流端子に接続された複数個の直流平滑コンデンサであって、複数個の直流リアクトルを介して並列接続され、負荷装置に直流電力を供給する複数個の直流平滑コンデンサと、
    前記複数台の電力変換器を、前記交流電源の周波数に同期した一定のパルスパターンで動作させ、前記交流電源の電圧に対する各電力変換器の交流側端子電圧の位相角を調整することにより前記複数個の直流平滑コンデンサに印加される各直流電圧を制御する直流電圧制御手段とを具備したことを特徴とする電力変換装置。
  22. 前記直流電圧制御手段は、前記負荷装置へ供給する電力又は電流値から位相角指令値を演算し、前向き補償として自身の直流電圧制御信号に加え、前記交流電源の電圧に対する前記各電力変換器の交流電圧の位相角を調整することを特徴とする請求項20又は21に記載の電力変換装置。
  23. 前記直流電圧制御手段は、前記電力変換器の直流出力電流又は出力電力に応じて、前記直流平滑コンデンサに印加される電圧の指令値を変えて制御することを特徴とする請求項20〜22のいずれかに記載の電力変換装置。
  24. 前記直流電圧制御手段は、前記複数台の電力変換器の直流出力電流が力行過負荷電流設定値以上になった場合、前記複数台の電力変換器を構成する全ての自己消弧素子をゲートブロックするように制御することを特徴とする請求項20〜23のいずれかに記載の電力変換装置。
  25. 前記直流電圧制御手段は、前記複数台の電力変換器の直流電流又は交流電流の過電流を検知して、前記複数台の電力変換器を構成する自己消弧素子を全てオフするように制御することを特徴とする請求項20〜24のいずれかに記載の電力変換装置。
  26. 前記直流電圧制御手段は、前記交流電源の電圧の実効値が変化した場合、その変化分に応じて前記直流平滑コンデンサに印加される電圧の指令値を変えて前記複数台の電力変換器を制御することを特徴とする請求項20〜25のいずれかに記載の電力変換装置。
  27. 前記直流電圧制御手段は、前記変圧器の各2次電流の有効分又は実効値が平衡するように前記各電力変換器の制御位相角を補正することを特徴とする請求項20〜26のいずれかに記載の電力変換装置。
  28. 前記直流電圧制御手段は、前記各電力変換器と前記各電力用ダイオード整流器の各直流和電流が平衡するように前記各電力変換器の制御位相角を補正することを特徴とする請求項20〜26のいずれかに記載の電力変換装置。
  29. 前記直流電圧制御手段は、前記変圧器の各2次電流の有効分又は実効値が平衡するように前記各直流平滑コンデンサに印加される電圧の指令値を補正することを特徴とする請求項20〜26のいずれかに記載の電力変換装置。
  30. 前記直流電圧制御手段は、前記各電力変換器と前記各電力用ダイオード整流器の各直流和電流が平衡するように前記各直流平滑コンデンサに印加される電圧の指令値を補正することを特徴とする請求項20〜26のいずれかに記載の電力変換装置。
  31. 交流電力を直流電力に変換して負荷装置に供給する電力変換装置において、
    交流電源に対し、1次巻線が各相毎に直列接続され、2次巻線の出力電圧が適宜の位相差を持つように構成された複数台の変圧器と、
    前記複数台の変圧器の各2次巻線に交流側端子が接続された複数台の電力用ダイオード整流器と、
    前記複数台の電力用ダイオード整流器の交流端子に交流リアクトルを介して交流側端子が接続された複数台の電力変換器と、
    前記複数台の電力変換器と前記複数台の電力用ダイオード整流器の共通直流端子に接続された直流平滑コンデンサと、
    前記複数台の電力変換器を一定のパルスパターンで動作させ、前記交流電源の電圧に対する前記各電力変換器の交流電圧の位相角を調整することにより前記直流平滑コンデンサに印加される電圧を制御する直流電圧制御手段とを具備したことを特徴とする電力変換装置。
  32. 交流電力を直流電力に変換して負荷装置に供給する電力変換装置において、
    交流電源に対し、1次巻線が各相毎に直列接続され、2次巻線の出力電圧が適宜の位相差を持つように構成された複数台の変圧器と、
    前記複数台の変圧器の各2次巻線に交流側端子が接続された複数台の電力用ダイオード整流器と、
    前記複数台の電力用ダイオード整流器の交流端子に交流リアクトルと抵抗器を介して交流側端子が接続された複数台の電力変換器と、
    前記複数台の電力変換器と前記複数台の電力用ダイオード整流器の共通直流端子に接続された直流平滑コンデンサと、
    前記複数台の電力変換器を一定のパルスパターンで動作させ、前記交流電源の電圧に対する前記各電力変換器の交流電圧の位相角を調整することにより前記直流平滑コンデンサに印加される電圧を制御する直流電圧制御手段とを具備したことを特徴とする電力変換装置。
  33. 前記直流電圧制御手段は、前記複数台の電力変換器の直流出力電流値又は出力電力値から位相角指令値を演算し、前向き補償として自身の直流電圧制御出力信号に加え、前記交流電源の電圧に対する前記各電力変換器の交流電圧の位相角を調整することを特徴とする請求項31又は32に記載の電力変換装置。
  34. 前記直流電圧制御手段は、前記複数台の電力変換器の直流出力電流又は出力電力に応じて、前記直流平滑コンデンサに印加される電圧の指令値を変えて制御することを特徴とする請求項31〜33のいずれかに記載の電力変換装置。
  35. 前記直流電圧制御手段は、前記複数台の電力変換器の直流出力電流が力行過負荷電流設定値以上になった場合、前記複数台の電力変換器を構成する全ての自己消弧素子をゲートブロックするように制御することを特徴とする請求項31〜34のいずれかに記載の電力変換装置。
  36. 前記直流電圧制御手段は、前記複数台の電力変換器の直流電流又は交流電流の過電流を検知して、前記複数台の電力変換器を構成する自己消弧素子を全てオフするように制御することを特徴とする請求項31〜35のいずれかに記載の電力変換装置。
  37. 前記直流電圧制御手段は、前記複数台の電力変換器を、前記交流電源の電圧の実効値が変化した場合にその変化分に応じて前記直流平滑コンデンサに印加される電圧の指令値を変えて制御することを特徴とする請求項31〜36のいずれかに記載の電力変換装置。
  38. 交流電力を直流電力に変換して負荷装置に供給する電力変換装置において、
    交流電源に変圧器を介して交流側端子が接続された複数台の電力用ダイオード整流器と、
    前記複数台の電力用ダイオード整流器の交流端子に交流リアクトルを介して交流側端子を接続し、直流端子を前記電力用ダイオード整流器の直流端子にそれぞれ並列接続した複数台の電力変換器と、
    前記複数台の電力変換器の各直流端子に接続され、互いに直列接続された複数個の直流平滑コンデンサと、
    前記複数台の電力変換器を、前記交流電源の周波数に同期した一定のパルスパターンで動作させ、前記交流電源の電圧に対する交流側端子電圧の位相角を調整することにより、前記複数個の直流平滑コンデンサに印加される各直流電圧を制御する直流電圧制御手段とを具備したことを特徴とする電力変換装置。
  39. 交流電力を直流電力に変換して負荷装置に供給する電力変換装置において、
    交流電源に変圧器を介して交流側端子が接続された複数台の電力用ダイオード整流器と、
    前記複数台の電力用ダイオード整流器の交流端子に交流リアクトルと抵抗器を介して交流側端子が接続され、直流端子が前記電力用ダイオード整流器の直流端子にそれぞれ並列接続された複数台の電力変換器と、
    前記複数台の電力変換器の各直流端子に接続され、互いに直列接続された複数個の直流平滑コンデンサと、
    前記複数台の電力変換器を、前記交流電源の周波数に同期した一定のパルスパターンで動作させ、前記交流電源の電圧に対する交流側端子電圧の位相角を調整することにより、前記複数個の直流平滑コンデンサに印加される各直流電圧を制御する直流電圧制御手段とを具備したことを特徴とする電力変換装置。
  40. 前記直流電圧制御手段は、直列接続された前記複数個の直流平滑コンデンサの両端に接続される負荷装置へ供給する電力又は電流値から位相角指令値を演算し、前向き補償として前記直流電圧制御の出力信号に加え、前記交流電源の電圧に対する前記各電力変換器の交流電圧の位相角を調整することを特徴とする請求項38又は39に記載の電力変換装置。
  41. 前記直流電圧制御手段は、前記複数台の電力変換器を、前記複数個の直流平滑コンデンサに印加される各直流電圧がほぼ等しくなるように制御することを特徴とする請求項38〜40のいずれかに記載の電力変換装置。
  42. 前記直流電圧制御手段は、前記複数台の電力変換器を、直流出力電流又は負荷電力の大きさに応じて、前記複数個の直流平滑コンデンサに印加される直流電圧の和の指令値を変えて制御することを特徴とする請求項38〜41のいずれかに記載の電力変換装置。
  43. 前記直流電圧制御手段は、前記複数台の電力変換器を、前記交流電源の電圧が変動した場合、前記交流電源電圧の実効値の変化に合わせて前記複数個の直流平滑コンデンサに印加される直流電圧の和の指令値を変えて制御することを特徴とする請求項38〜42のいずれかに記載の電力変換装置。
  44. 前記直流電圧制御手段は、前記複数台の電力変換器をその交流入力電流の無効分が平衡するように、前記複数個の直流平滑コンデンサに印加される各直流電圧の指令値を補正して制御することを特徴とする請求項38〜43のいずれかに記載の電力変換装置。
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