JP2007006601A - 電力変換装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 スイッチング周波数を高くすることなく入力電流歪みを小さくし、電力回生可能で、変換器の電圧利用率が高く、スイッチング素子の最大遮断電流が小さく、高効率、高力率で経済的な交流/直流電力変換が行える電力変換装置を提供する。
【解決手段】 本発明の負荷装置Loadに直流電力を供給する電力変換装置は、交流電源SUPと、交流電源に変圧器TRを介して交流側端子が接続された電力変換器CNVと、電力変換器の直流側端子に接続された直流平滑コンデンサCdと、交流電源の周波数に同期した一定のパルスパターンで動作させ、交流電源の電圧に対する電力変換器の交流側端子電圧の位相角を調整することによって直流平滑コンデンサに印加される直流電圧を制御する制御回路PHCとを備えている。
【選択図】 図1

Description

本発明は、電力変換装置に関する。
電気鉄道直流き電システム等では、3相ブリッジ結線された電力用ダイオード整流器により3相交流電力を直流電力に変換する方式が多く採用されている。この方式は過負荷耐量に優れ、変換器コストが安くできる利点を有する。しかし、電車が回生ブレーキをかけたときにその電力を交流電源側に回生できず、しばしば回生失効を起こすという問題点があった。また、負荷電流依存性があり、直流き電電圧が負荷によって大きく変動する欠点があった。
図35は、従来の電力回生可能なPWMコンバータ(パルス幅変調制御コンバータ)の構成を示すものである。図中、R、S、Tは3相交流電源SUPの端子、Lsは交流リアクトル、CNVはPWMコンバータ、Cdは直流平滑コンデンサ、INVは3相出力のVVVF(可変電圧可変周波数)インバータ、Mは交流電動機をそれぞれ示す。また、制御回路として、比較器C1、C2、電圧制御補償器Gv(S)、乗算器ML、電流制御補償器Gi(S)及びパルス幅変調制御回路PWMCが備えられている。破線で囲まれた部分は3相分用意されており、R相のみを詳しく示しているが、S相及びT相も同様に構成されている。
PWMコンバータCNVは、直流平滑コンデンサCdに印加される電圧Vdがその指令値Vd*に一致するように入力電流Ir、Is、Itを制御する。そのために制御回路において、次の制御を実行する。電圧指令値Vd*と電圧検出値Vdの偏差を制御補償器Gv(S)で増幅し、入力電流の振幅指令値Ismとする。乗算機MLでR相の電圧に同期した単位正弦波sinωtと前記入力電流の振幅指令値Ismとを掛け算し、それをR相の電流指令値Ir*とする。そしてR相電流指令値Ir*とR相電流検出値Irとを比較し、その偏差を電流制御補償器Gi(S)で、反転増幅する。ここには通常比例増幅が使われ、Gi(S)=−Kiとなる。Kiは比例定数である。Gi(S)の出力である電圧指令値er*=−Ki×(Ir*−Ir)をPWM制御回路PWMCに入力し、コンバータのR相の自己消弧素子S1とS4のゲート信号g1、g4を作る。PWM制御回路PWMCは、前記電圧指令値er*とキャリア信号X(例えば、1kHzの三角波)を比較し、er*>Xのときは、素子S1をオンさせ(S4はオフ)、er*<Xのときは、素子S4をオン(S1はオフ)させる。この結果、コンバータのR相電圧Vrは前記電圧指令値er*に比例した電圧を発生する。
Ir*>Irの場合、電圧指令値er*は負の値となり、Irを増加させる。逆に、Ir*<Irの場合、電圧指令値er*は正の値となり、Irを減少させる。故に、Ir*=Irとなるように制御される。S相、T相の電流も同様に制御される。
また、直流平滑コンデンサに印加される電圧Vdは、次のように制御される。Vd*>Vdとなった場合、前記入力電流の振幅指令値Ismが増加する。各相の電流指令値は電源電圧と同相となり、前記Ismに比例した有効電力Psが前記交流電源SUPから直流平滑コンデンサCdに供給されることになる。この結果、Vdが上昇し、Vd*=Vdとなるように制御される。逆に、Vd*<Vdとなった場合、前記入力電流の振幅指令値Ismは負の値となり、交流電源側に電力Psを回生する。故に、直流平滑コンデンサCdの蓄積エネルギーが減少し、Vdが減って、やはり、Vd*=Vdとなるように制御される。
VVVFインバータINV及び交流電動機Mは、直流平滑コンデンサCdを電圧源とする負荷で、力行運転時はコンデンサCdのエネルギーを消費し、Vdを減少させる方向に働く。また、回生運転時はその回生エネルギーを平滑コンデンサCdに戻すため、Vdを上昇させる方向に働く。前述のようにPMWコンバータCNVによって直流電圧Vdが一定になるように制御するため、自動的に、力行運転では交流電源から見合った有効電力を供給し、回生運転時は回生エネルギーに見合った有効電力を交流電源側に回生することになる。
このように、従来のPWMコンバータによれば、直流電圧を安定化することができ、電力回生が可能となり、電気鉄道の直流き電システムでの回生失効の問題も解決される。しかし、PWMコンバータは、高周波でスイッチングを行うためスイッチング損失が大きくなる欠点がある。また、スイッチング素子は、遮断電流として交流入力電流の最大値を切る能力が必要となる。従って、短時間の過負荷(例えば、定格電流の300%)でもその遮断電流に耐えるように設計しなければならず、電力変換器として大きなものが必要となり、不経済なシステムとなってしまう問題点がある。
以上のように、従来、電力回生が可能な電力変換器として、パルス幅変調制御によるPWMコンバータ(自励式変換器)があるが、入力電流リプルを小さくするにはスイッチング周波数(PWM制御のキャリア周波数)を高くする必要があり、変換器損失が大きくなる問題点があり、また変換器の電圧利用率(交流出力電圧/直流電圧)が低いため、変換器トランスの2次電圧が上げられず、その分変換器の電流容量を上げなければならない問題点があった。
特公平5−7950号公報
本発明は、上述のような従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、スイッチング周波数を高くすることなく、高効率、高力率で経済的な交流/直流電力変換が行える電力変換装置を提供することを目的とする。
本願の第1の発明は、負荷装置に直流電力を供給する電力変換装置において、交流電源と、前記交流電源に変圧器を介して交流側端子が接続された電力変換器と、前記電力変換器の直流側端子に接続された直流平滑コンデンサと、前記交流電源の周波数に同期した一定のパルスパターンで動作させ、前記交流電源の電圧に対する前記電力変換器の交流側端子電圧の位相角を調整することにより前記直流平滑コンデンサに印加される直流電圧を制御する制御回路とを備えたことを特徴とする。
本願の第2の発明は、負荷装置に直流電力を供給する電力変換装置において、交流電源と、前記交流電源に変圧器を介して交流側端子が接続された複数台の電力変換器と、前記複数台の電力変換器の直流側共通端子に接続された直流平滑コンデンサと、前記交流電源の周波数に同期した一定のパルスパターンで動作させ、前記交流電源の電圧に対する各電力変換器の交流側端子電圧の位相角を調整することにより前記直流平滑コンデンサに印加される直流電圧を制御するように前記複数台の電力変換器を制御する制御回路とを備えたことを特徴とする。
本願の第3の発明は、負荷装置に直流電力を供給する電力変換装置において、交流電源と、前記交流電源に変圧器を介して交流側端子が接続された複数台の電力変換器と、前記複数台の電力変換器の直流側端子にそれぞれ並列に接続された複数個の直流平滑コンデンサと、前記交流電源の周波数に同期した一定のパルスパターンで動作させ、前記交流電源の電圧に対する各電力変換器の交流側端子電圧の位相角を調整することにより前記複数個の直流平滑コンデンサに印加される直流電圧を制御し、かつ前記複数台の電力変換器の各直流出力電流が平衡するように、前記各電力変換器の制御位相角を補正するように前記複数台の電力変換器を制御する制御回路とを備えたことを特徴とする。
本願の第4の発明は、負荷装置に直流電力を供給する電力変換装置において、交流電源と、前記交流電源に変圧器を介して交流側端子が接続された複数台の電力変換器と、前記複数台の電力変換器の直流側端子にそれぞれ並列に接続され、かつ、複数個の直流リアクトルそれぞれを介して前記負荷装置に接続される直流平滑コンデンサと、前記交流電源の周波数に同期する一定のパルスパターンで動作させ、前記交流電源の電圧に対する各電力変換器の交流側端子電圧の位相角を調整することにより前記複数個の直流平滑コンデンサに印加される各直流電圧を制御するように前記複数台の電力変換器を制御する制御回路とを備えたことを特徴とする。
本願の第5の発明は、負荷装置に直流電力を供給する電力変換装置において、3相交流電源と、前記3相交流電源に対し、1次巻線が各相毎に直列接続され、2次巻線の出力電圧が適宜の位相差を持つように構成された複数台の3相変圧器と、前記複数台の3相変圧器の各々の2次巻線に交流側端子が接続された複数台の3相ブリッジ結線の電力変換器と、前記複数台の電力変換器の直流側共通端子に接続された直流平滑コンデンサと、前記交流電源の電圧に同期する一定のパルスパターンで動作させ、前記交流電源の電圧に対する交流側端子電圧の位相角を調整することにより前記直流平滑コンデンサに印加される直流電圧を制御するように前記複数台の電力変換器を制御する制御回路とを備えたことを特徴とする。
本願の第6の発明は、負荷装置に直流電力を供給する電力変換装置において、交流電源と、前記交流電源に変圧器を介して交流側端子が接続された複数台の電力変換器と、前記複数台の電力変換器の直流側端子それぞれに並列接続され、かつ互いに直列接続され、その直列接続された両端に負荷装置を接続する複数個の直流平滑コンデンサと、前記交流電源の周波数に同期する一定のパルスパターンで動作させ、前記交流電源の電圧に対する交流側端子電圧の位相角を調整することにより前記複数個の直流平滑コンデンサに印加される各直流電圧を制御するように前記複数台の電力変換器を制御する制御回路とを備えたことを特徴とする。
本願の第7の発明は、並列運転される固定パルス位相制御の複数台の電力変換器を具備し、その運転台数を切り替えられるように構成された交流/直流変換用の電力変換装置において、前記複数台の電力変換器は、各変換器の直流電圧を制御する直流電圧制御手段と電圧指令補正手段とを有し、前記電圧指令補正手段は、前記複数台の電力変換器の運転情報と合計入力電流実効値とを使って、前記各変換器がそれぞれの定格容量に概ね比例して負荷を分担するように各直流電圧制御手段に与える電圧指令値を補正することを特徴とする。
本発明によれば、スイッチング周波数を高くすることなく、高効率、高力率で経済的な交流/直流電力変換装置を提供することができる。
以下、本発明の実施の形態を図に基づいて詳説する。
(第1の実施の形態)図1は本発明の第1の実施の形態の電力変換装置の構成図である。図1において、SUPは3相交流電源、R、S、Tはその受電端子、TRは変圧器、CNVは電圧形自励式電力変換器で、S1〜S6は自己消弧素子、D1〜D6は高速ダイオード、Cdは直流平滑コンデンサ、Loadは負荷装置を示している。
一方、制御回路として、比較器C1、電圧制御補償回路Gv(S)、加算器AD3、フィードフォワード補償器FF、電源同期位相検出回路PLL、位相制御回路PHCを備えている。尚、図35と同一の要素には同一の符号を用いて表している。
この制御回路では、直流平滑コンデンサCdに印加される電圧Vdを検出し、比較器C1により電圧指令値Vd*と比較する。その偏差εv=Vd*−Vdを電圧制御補償回路Gv(S)により積分又は比例増幅し、加算器AD3を介し、位相角指令値φ*として位相制御回路PHCに入力する。
電源同期位相検出回路PLLは3相交流電源電圧Vr、Vs、Vtに同期した位相信号θr、θs、θtを作り、位相制御回路PHCに入力する。位相制御回路PHCは、位相角指令値φ*と位相信号θr、θs、θtを用いて自励式電力変換器CNVの自己消弧素子S1〜S6のゲート信号g1〜g6を発生する。
電圧形自励式電力変換器CNVは、電源電圧に同期した一定のパルスパターン(1パルス、3パルス、5パルス等)で電源電圧に対する位相角φを制御することにより、直流電圧Vdを直接制御する。本実施の形態の装置では、入力電流制御のマイナーループを持たず、直流平滑コンデンサCdに印加される電圧Vdを直接制御するため、制御の簡略化を図ることができる。
図2は本発明の第1の実施の形態の電力変換装置の制御動作を説明するための交流側等価回路図である。図2において、Vsは電源電圧、Vcは自励式電力変換器CNVの交流出力電圧、Isは入力電流、Lsは交流リアクトル(又は変圧器のもれインダクタンス)である。
また、図3は図2の電圧・電流ベクトルを示す図である。jωLs・Isは交流リアクトルLsによる電圧降下分(ただし、リアクトルLsの抵抗分は十分小さいものとして無視した)を表わす。ベクトル的に、Vs=Vc+jωLs・Isの関係がある。
電源電圧Vsの波高値と自励式電力変換器CNVの交流出力電圧Vcの基本波波高値は大略一致するように合わせる。直流電圧Vdは負荷側からの要求で決まる場合が多く、パルスパターンを決めると、交流出力電圧Vcの基本波波高値は決まってしまう。そこで、電源側に変圧器TRを設置し、その2次電圧をVsとして波高値を合わせる。
電源電圧Vsに対する自励式電力変換器CNVの交流出力電圧Vcの位相角φを変えることにより入力電流Isを調整できる。すなわち、位相角φ=0とすると、交流リアクトルLsに印加される電圧jωLs・Isはゼロとなり、入力電流Isもゼロとなる。位相角(遅れ)φを増やしていくと、jωLs・Isの電圧が増加し、入力電流Isもその値に比例して増加する。入力電流ベクトルIsは、電圧jωLs・Isに対し電気角90°遅れており、電源電圧Vsに対しては、φ/2だけ遅れたベクトルとなる。従って、電源側から見た入力力率は、cos(φ/2)となる。
一方、自励式電力変換器CNVの交流出力電圧をVc’のように位相角φを進み方向に増やしていくと、交流リアクトルLsに印加される電圧jωLs・Isも負となり、入力電流はIs’のように、電源電圧Vsに対し(π−φ/2)の位相角となる。すなわち、電力Ps=Vs・Isは負となり、電力を電源に回生することができる。電源電圧Vsを基準にして、交流出力電圧Vcを図の破線に沿ってVc’の方向に回していくと、入力電流ベクトルIsは破線に沿ってIs’の方向に変化する。
図1において、直流平滑コンデンサCdに印加される電圧Vdは次のように制御される。Vd*>Vdとなった場合、電圧制御補償回路Gv(S)の出力である位相角指令値φ*が増加し、有効電力Psが交流電源SUPから直流平滑コンデンサCdに供給される。その結果、直流電圧Vdが増加し、Vd*=Vdとなるように制御される。逆に、Vd*<Vdとなった場合、電圧制御補償回路Gv(S)の出力である位相角指令値φ*が減少し又は負の値となり、有効電力Psが直流平滑コンデンサCdから交流電源SUP側に回生される。その結果、直流電圧Vdが減少し、やはりVd*=Vdとなるように制御される。
図4は、図1の電力変換装置における位相制御回路PHCの動作を示す図である。図4において、ADr、ADs、ADtは加減算器、PTN1〜PTN3はパルスパターン発生器を示す。加減算器ADr、ADs、ADtは、位相信号θr、θs、θtから位相角指令値φ*を引き算し、新たな位相信号θcr、θcs、θctを作る。当該新たな位相信号θcr、θcs、θctは、0〜2πの周期関数で、電源周波数に同期して変化する。パルスパターン発生器PTN1〜PTN3は、新たな位相信号θcr、θcs、θctに対して、一定のパルスパターンとなるようにゲート信号g1〜g6を発生する。
パルスパターン発生器PTN1は、位相信号θcrに対するR相素子S1、S4のパルスパターンをテーブル関数として記憶したもので、図5に1パルス動作時の波形を示す。図5において、VrはR相電源電圧、θrは電源電圧Vrに同期した位相信号で、0〜2πの間で変化する周期関数となる。新たな位相信号θcr=θr−φ*は、0〜2πの間で変化する周期関数で、θrの信号に対しφ*だけ遅れた信号で与えられる。すなわち、入力θcrに対し、次のようなゲート信号g1(又はg4)を出力する。
0≦θcr<πの範囲で、g1=1、g4=0(S1:オン、S4:オフ)、
π≦θcr<2πの範囲で、g1=0、g4=1(S1:オフ、S4:オン)。
自励式電力変換器CNVの交流側出力電圧(R相)Vcrは、
S1:オン(S4:オフ)のとき、Vcr=+Vd/2、
S1:オフ(S4:オン)のとき、Vcr=−Vd/2、
となる。直流電圧Vdが一定ならば、交流出力電圧Vcrの振幅値は一定となる。Vcrの基本波Vcr*の位相は、電源電圧Vrに対し位相角φだけ遅れている。S相、T相も同様に与えられる。
図6は、図5のパルスパターンで自励式電力変換器CNVを動作させた場合の力行運転時のR相各部動作波形を示す。尚、説明の便宜上、入力電流Irは正弦波としてリプル分を省略して描いている。自励式電力変換器CNVの交流出力電圧Vcrの基本波は電源電圧Vrに対し、位相角φだけ遅れている。また、入力電流Irは電源電圧Vrに対し、位相角(φ/2)だけ遅れて流れる。このとき、IS1、IS4はR相の自己消弧素子S1とS4の電流を、ID1、ID4は高速ダイオードD1とD4の電流をそれぞれ表わしている。以下に、そのときの動作を図1を用いて説明する。
入力電流Irが負から正に変わるまでは高速ダイオードD4を介して電流が流れている。この状態から電流Irの向きが変わると素子S4がオン状態にあるので、入力電流Irは自己消弧素子S4を介して流れるようになる。次に、素子S4をオフすると、電流Irは高速ダイオードD1を介して流れる。入力電流Irが再び反転するまでその電流は高速ダイオードD1に流れる。入力電流Irが反転した後は、素子S1と高速ダイオードD4の間で、上記と同様の動作が行われる。
自己消弧素子S1〜S6が遮断する最大電流Imaxは、入力電流の波高値をIsmとした場合、Imax=Ism×sin(φ/2)となる。例えば、φ=20°の場合、Imax=0.174×Ismとなる。すなわち、自己消弧素子の遮断電流が小さいものを用意すればよく、コストの安い電力変換装置を提供できる。
図7は、回生運転時のR相各部の動作波形を示すもので、IS1、IS4はR相の自己消弧素子S1とS4の電流を、ID1、ID4は高速ダイオードD1とD4の電流をそれぞれ表わしている。電力変換器CNVの交流出力電圧Vcrの基本波は電源電圧Vrに対し、位相角φだけ進んでいる。また、入力電流Irは電源電圧の反転値−Vrに対し、位相角(φ/2)だけ進んで流れる。
入力電流Irが負で、自己消弧素子S1がオン(S4はオフ)のときは、入力電流Irは素子S1を介して流れる。素子S1をオフ(S4をオン)すると、電流Irは高速ダイオードD4を介して流れる。入力電流Irが反転すると、自己消弧素子S4に電流が流れ、上記と同様に素子S4をオフすることにより、高速ダイオードD1に電流が移る。
回生運転時、自己消弧素子S1〜S6が遮断する最大電流Imaxは、入力電流の波高値をIsmとした場合、Imax=Ism×sin(φ/2)となる。例えば、φ=20°の場合、Imax=0.174×Ismとなる。
以上のように、回生運転時の入力電流Irの大部分は自己消弧素子に流れるが、当該素子S1〜S6の遮断電流は小さくてすみ、コストの安い電力変換装置を提供できる。
自励式変換器CNVを固定パルスで運転することにより、スイッチング回数が最小になり、変換器効率はさらに向上する。また、交流側出力電圧Vcの基本波成分が大きくなり、自励式変換器の電圧利用率が向上する。また、変換器力率がほぼ1で運転されるため、入力電流Isのゼロ点付近でスイッチングを行うことになり、力行運転時も回生運転時も自己消弧素子の遮断電流は極めて小さくなる。この結果、高効率で低コストな電力変換装置を提供できる。また、大電流を遮断しないということは、ソフトスイッチングに近くなり、EMIノイズが小さくなり、環境にもやさしい電力変換装置を提供できる。
図8は、パルスパターン発生器PTN1として、3パルス出力を行ったときの動作波形を示すもので、R相について描いている。図中、VrはR相電源電圧、θrは電源電圧Vrに同期した位相信号で、0〜2πの間で変化する周期関数となる。新たな位相信号θcr=θr−φ*は、0〜2πの間で変化する周期関数で、θrの信号に対しφ*だけ遅れた信号で与えられる。また、位相信号θcrに対するR相素子S1、S4のパルスパターンは次のようになる。
0≦θcr<θ1の範囲で、g1=0、g4=1(S1:オフ、S4:オン)、
θ1≦θcr<θ2の範囲で、g1=1、g4=0(S1:オン、S4:オフ)、
θ2≦θcr<πの範囲で、g1=0、g4=1(S1:オフ、S4:オン)、
π≦θcr<θ3の範囲で、g1=1、g4=0(S1:オン、S4:オフ)、
θ3≦θcr<θ4の範囲で、g1=0、g4=1(S1:オフ、S4:オン)、
θ4≦θcr<2π の範囲で、g1=1、g4=0(S1:オン、S4:オフ)。
このとき、自励式電力変換器CNVの交流側出力電圧(R相)Vcrは、
S1:オン(S4:オフ)のとき、Vcr=+Vd/2、
S1:オフ(S4:オン)のとき、Vcr=−Vd/2、
となる。出力電圧Vcrの基本波Vcr*の位相は、電源電圧Vrに対し位相角φだけ遅れている。S相、T相も同様に与えられる。
この場合もパルスパターンは固定され、直流電圧Vdを一定とした場合、自励式電力変換器CNVの交流出力電圧の基本波波高値は一定となる。
図9は、図8のパルスパターンで自励式電力変換器CNVを動作させた場合の力行運転時のR相の各部動作波形を示す。尚、説明を簡略化するため、入力電流Irは正弦波としてリプル分を省略して描いている。電力変換器CNVの交流出力電圧Vcrの基本波は電源電圧Vrに対し、位相角φだけ遅れる。また、入力電流Irは電源電圧Vrに対し、位相角(φ/2)だけ遅れて流れる。このとき、IS1、IS4はR相の自己消弧素子S1とS4の電流を、ID1、ID4は高速ダイオードD1とD4の電流をそれぞれ表わしている。そのときの動作を以下に説明する。
入力電流Irが負から正に変わるまでは高速ダイオードD4を介して電流が流れている。この状態から電流Irの向きが変わると素子S4がオン状態にあるので、入力電流Irは素子S4を介して流れるようになる。次に素子S4をオフすると、電流Irは高速ダイオードD1を介して流れる。次に、交流出力電圧Vcrの基本波のゼロクロス点で、自己消弧素子S4を再びオンすると、入力電流Irは素子S4を介して流れ、高速ダイオードD1の電流はゼロとなる。さらに、図9のθ1で、素子S4をオフすると、上記と同じように、高速ダイオードD1に電流が流れ、入力電流Irが再び反転するまでその電流は高速ダイオードD1に流れる。入力電流Irが反転した後は、素子S1と高速ダイオードD4の間で、上記と同様の動作が行われる。
図9のパルスパターンは3パルスの場合を示したが、自己消弧素子S1〜S6が遮断する最大電流Imaxは、入力電流の波高値をIsmとした場合、
Imax=Ism×sin(φ/2+θ1)
となる。例えば、φ=20°、θ1=10°とした場合、Imax=0.342×Ismとなる。このように、3パルスで運転した場合でも、自己消弧素子S1〜S6の最大遮断電流Imaxは入力電流波高値Ismの1/3程度に抑えることができ、装置のコストを大幅に低減できる。
図1において、フィードフォワード補償器FFは、負荷電力PLから位相角指令値φFFを演算(又は推定)して加算器AD3に入力する。すなわち、交流電源の電圧Vsに対する電圧形自励式電力変換器CNVの交流側端子電圧Vcの位相角φは、φo*+φFFによって制御される。
図10は、フィードフォワード演算による位相角指令値φFFと負荷電力PLとの関係を説明するための交流側の電圧・電流ベクトル図(1相分)を示すものである。
図10(a)は、電源電圧Vsと電圧形自励式電力変換器の交流側電圧Vcの基本波の波高値が等しいと仮定した場合のベクトル図で、位相角φの二等辺三角形となり、入力電流Isは電源電圧Vsに対し、(φ/2)だけ位相が遅れる(又は進む)。従って、定格電力PLoを出力するときの位相角φは、変圧器のパーセントインピーダンスを%XI(抵抗分は無視)とすると、
sin(φ/2)=jωLs・Is/(2・Vs)=%XI/2
が成り立つ。任意の負荷PLに対しては、
sin(φ/2)=(PL/PLo)×%XI/2
となり、位相角φがある程度小さい範囲では、
φFF=2×sin−1{(PL/PLo)×%XI/2}
≒(%XI/PLo)×PL[rad]
=(%XI/PLo)×Vd・IL
が求められる。
図10(b)は、電源電圧Vsと変換器の交流側電圧Vcの波高値が異なる場合のベクトル図を示したもので、一般化して考えることができる。すなわち、電源電圧Vsと変換器交流側電圧Vcの差電圧が変圧器のもれインダクタンスLsに印加され、ベクトル的にVs−Vc=jωLs・Isが成り立つ。電流Isを有効分Ipと無効分IQに分離すると、Lsに印加される電圧は、有効電流Ipに対してjωLs・Ipが印加され、無効電流IQに対してjωLs・IQが印加される。すなわち、jωLs・IsがjωLs・IpとjωLs・IQに分離される。ここで、VsとVcの位相角φに対し、ωLs・Ip=Vc・sinφが成り立つ。3相電源の場合、有効電力Ps=3Vs・Ipとなるので、
sinφ=ωLs・Ip/Vc=ωLs・Ps/(3Vs・Vc)
となる。定格入力電流Isoとすると、変圧器の%XI=ωLs・Iso/Vsなので、
sinφ=%XI・Ps/(3Iso・Vc)
となる。位相角φがあまり大きくないとすれば、
φFF≒%XI・Ps/(3Iso・Vc)
となる。
Vcの基本波波高値とVsの波高値が同じ場合、3Iso・Vc=Pso=PLoとなるので、前式φFF≒PL×%XI/PLoに一致する。ただし、変換器の損失が十分小さいものとして無視し、Ps=PLとする。
Vcの大きさは、直流電圧Vdに比例し、Vc=k・Vdとなるので、一般的には、
φFF≒%XI・Ps/(3Iso・k・Vd)
=%XI・(PL/PLo)(Vdo/Vd)
=(%XI/PLo)(PL・Vdo/Vd)
=(%XI/PLo)・Vdo・IL [rad]
とすればよい。ただし、VdoはVcの基本波波高値が電源電圧Vsの波高値に一致するときの直流電圧値である。
図10(a)のケースは、Vcの波高値がVsの波高値に等しい場合で、当然Vd=Vdoとなる。すなわち、φFF=(%XI/PLo)・Vdo・IL[rad]が成り立っている。この位相角φFFを前向き補償として、直流電圧制御からの出力信号φo*に加えることにより、負荷PLが急変したときの制御応答を改善することができる。
直流電圧制御では、負荷PLが急変した場合、直流電圧Vdが変化し、偏差εv=Vd*−Vdに応じて位相角φo*が変わり、最終的にVd*=Vdとなって落ち着く。このとき、フィードフォワード補償φFFを加えることにより、負荷PLが変わると同時に上記φFFが演算され、位相角φo*が変わる前に位相角φを必要なだけ動かして、負荷電力PLに見合った電力を交流電源から供給する。この結果、直流平滑コンデンサCdに出入りする電力はほとんど無く、その印加電圧Vdは変化しないですむ。このように、フィードフォワード補償器FFは、負荷急変時の直流電圧制御の応答を改善する役目を果たす。
図11は、図1の電力変換装置における制御回路の別の構成を示す図である。図11において、Fd(x)は直流電圧指令発生器、C1は比較器、Gv(S)は電圧制御補償回路、AD3は加算器、FFはフィードフォワード補償器、PLLは電源同期位相検出回路、PHCは位相制御回路である。尚、図1、図35と同一の要素には同一の符号を用いて表している。
直流平滑コンデンサに印加される電圧Vdを検出し、比較器C1により電圧指令値Vd*と比較して、偏差εv=Vd*−Vdを求める。さらに、電圧制御補償回路Gv(S)により偏差εvを比例又は積分増幅して、加算器AD3に入力する。加算器AD3では直流電圧制御補償器Gv(S)からの出力信号φo*と次に説明するフィードフォワード補償器FFからの出力信号φFFを加算して位相角指令値φ*とし、位相制御回路PHCに入力する。
フィードフォワード補償器FFでは、負荷電力PLから位相角指令値φFFを演算(推定)し、加算器AD3に入力する。すなわち、交流電源の電圧Vsに対する電圧形自励式電力変換器の交流側端子電圧Vcの位相角φは、φo*+φFFによって制御される。このフィードフォワード補償器FFは、負荷急変時の直流電圧制御の応答を改善する役目を果たす。
本実施の形態の電力変換装置では、直流平滑コンデンサCdに印加される電圧Vdが指令値Vd*に一致するように制御される。当然のことながら、当該指令値Vd*を一定にして制御することもできる。
電気鉄道の直流き電システムでは、交流/直流電力変換器としてシリコン整流器(ダイオード整流器)が多く使われており、本実施の形態の電力変換装置を既存のシリコン整流器と並列運転することも必要になってくる。その場合、直流電圧指令値Vd*を直流出力電流又は負荷電力に応じて変化させることにより、並列運転時の負荷分担を調整することが可能になる。また、将来的に、PWMコンバータや本実施の形態の電力変換装置が普及した場合、直流電圧指令値Vd*を直流出力電流又は負荷電力に応じて変化させることにより、それらの電力変換器との間で負荷分担を調整することが可能になる。
図12は、図11の制御回路の直流電圧発生器Fd(x)の動作特性例を示すもので、負荷電力PL(又は負荷電流IL)に応じて、直流電圧指令値Vd*を次のように変えている。すなわち、力行運転(IL>0)では、直流電圧指令値Vda*を、無負荷直流電圧Vdo*、比例係数k1として、
Vda*=Vdo*−k1・IL
として与えている。
自励式電力変換器CNVにより、直流平滑コンデンサCdに印加される電圧Vdを、Vd=Vd*=Vdo*−k1・ILとなるように大略調整することにより、負荷電流ILに比例して直流電圧Vdが低下し、変換器CNVの交流側出力電圧Vcの実効値も低くなる。この結果、負荷が重いときに入力電流ベクトルIsが変換器電圧Vcの位相に近くなり、変換器CNVの自己消弧素子は、入力電流Isのゼロクロス点に近いところでオン/オフするようになり、自己消弧素子の最大遮断電流を小さく抑えることができる。
また、回生運転(IL<0)の場合、Vdb*=一定とし、かつ、Vdb*>Vdo*としている。さらに、回生電流IL2に至るまで、Vdo*からVdb*まで傾斜をつけて徐々に大きくしている。すなわち、シリコン整流器等と並列運転する場合、本実施の形態の電力変換装置を回生運転時にVdb*>Vdo*にすることにより、シリコン整流器からの電力供給を停止させ、負荷電力PLだけを回生することが可能になる。すなわち、本実施の形態の電力変換装置と既設のシリコン整流器とで並列運転する場合、力行運転時は両者の負荷分担を調整することができ、かつ、回生運転時には無駄な循環電流が流れるのを防止することが可能となる。
図13は、図1の装置における制御回路のさらに別の構成を示す図である。図13において、Fd(x)は直流電圧発生器、C1、C2は比較器、Ksは比例要素、Gv(S)は電圧制御補償回路、AD1、AD3は加算器、FFはフィードフォワード補償器、PLLは電源同期位相検出回路、PHCは位相制御回路を表す。尚、図1、図11、図35と同一の要素には同一の符号を用いて表している。
直流電圧指令発生器Fd(x)は、負荷電流IL又は負荷電力PLに応じて直流電圧指令値Vd*を発生するもので、例えば、図12に示したような特性とする。比較器C2により、電源電圧の実効値Vs(rms)を検出し、定格値Vso(rms)と比較する。その差分Vs(rms)−Vso(rms)=ΔVsは比例要素Ksを介して定数倍され、直流電圧指令の補償値ΔVd*=Ks・ΔVsとなる。加算器AD1により、本来の直流電圧指令値Vd*と補償値ΔVd*を加え、新たな直流電圧指令値Vd**=Vd*+ΔVd*とする。直流平滑コンデンサCdに印加される電圧Vdが上記指令値Vd**に一致するように制御されるのは、前に説明した通りである。このとき、フィードフォワード補償器FFは、負荷急変時の直流電圧制御の応答を改善する役目を果たす。
図14(a)は、直流電圧Vdを一定に制御したとき、電源電圧Vsの実効値が変化した場合の交流電源側の電圧・電流ベクトル図を示す。図14において、Vs1は定格値の電源電圧ベクトルで、Vs(rms)=Vc(rms)となっている。電源電圧ベクトルVsに対する電力変換器の交流電圧Vcの位相角φを増やす(遅らす)ことにより、入力電流Is1が増加する。位相角φ=0にすると、Is1=0になる。
これに対し、電源電圧の実効値Vs(rms)が増加し、電源電圧ベクトルがVs2のようになった場合、入力電流はIs2のようになり、位相角φ=0にすると、Vs(rms)>Vc(rms)なので、遅れ入力電流が流れる。逆に、電源電圧の実効値Vs(rms)が減少し、電源電圧ベクトルがVs3のようになった場合、入力電流はIs3のようになり、位相角φ=0にすると、Vs(rms)<Vc(rms)なので、進み入力電流が流れる。
すなわち、電圧形自励式電力変換器を一定パルスパターンで運転した場合、当該電力変換器CNVの交流側出力電圧Vcの振幅値は一定となり、電源電圧Vsが高くなると、変換器CNVは遅れ力率運転となり、また、電源電圧Vsが低くなると、変換器CNVは進み力率運転となってしまう。また、変換器CNVの力率低下に伴い、自励式電力変換器CNVの交流側出力電圧Vcと入力電流Isの位相差が大きくなり、自励式電力変換器を構成する自己消弧素子の遮断電流が大きくなってしまう。
図14(b)は、図13の構成の制御回路の電圧・電流ベクトル図を示すもので、電源電圧ベクトルVs1がベクトルVs2のように実効値が大きくなった場合、それに合わせて直流電圧Vdを増加させる。電力変換器CNVの交流電圧Vcの実効値は直流電圧Vdに比例するので、電圧ベクトルVcはVc’のようになり、電源電圧Vs2と変換器の交流電圧Vc’の波高値を合わせることができる。これにより、電源力率あるいは変換器力率の極端な低下を防ぐことが可能となり、自己消弧素子の遮断電流の増加を防止できる。
(第2の実施の形態)図15は、本発明の第2の実施の形態の電力変換装置の構成図である。図15において、SUPは3相交流電源、R、S、Tはその受電端子、TRは変圧器、CNV1、CNV2は電圧形自励式電力変換器、Cdは直流平滑コンデンサ、Loadは負荷装置を示している。尚、図1、図35と同一の要素には同一の符号を用いて表している。
3相変圧器TRの1次側はY接続、2次側はY接続とΔ接続とされている。第1の変換器CNV1の交流端子は変圧器TRのY接続の2次巻線に接続され、第2の変換器CNV2の交流端子は変圧器TRのΔ接続の2次巻線に接続されている。3相ブリッジ結線の電力変換器CNV1とCNV2は、それぞれ自己消弧素子6個と逆並列ダイオード6個で構成され、その直流端子は直流平滑コンデンサCdに接続されている。
2台の電圧形自励式電力変換器CNV1、CNV2を並列運転するもので、変圧器の2次巻線の位相をずらすことにより、交流電源から供給される入力電流の高調波を減らすことができる。電圧形自励式電力変換器CNV1及びCNV2は、交流電源SUPの周波数に同期した一定のパルスパターン(1パルス、3パルス、5パルス等)で動作し、その交流側出力電圧Vc1、Vc2の電源電圧Vsに対する位相角φ1、φ2を制御することにより、直流電圧Vdを直接制御する。
パルスパターンを固定すると、直流電圧Vdが一定ならば、自励式変換器CNV1、CNV2の交流出力電圧Vc1、Vc2の振幅値は一定になる。この状態で、電源電圧Vsに対する交流側端子電圧Vc1、Vc2の位相角φ1、φ2を変えることにより、変圧器のもれインダクタンスに印加される電圧が変化し、入力電流Is1、Is2を調整することができる。多重化により、その合成電流Is=Is1+Is2は、極めて歪みの少ない波形に制御できる。
電源電圧Vsに対する出力電圧Vc1、Vc2の位相角φ1、φ2を遅れ方向に増加させることにより、交流電源から供給される有効電力Psが増加し、直流電圧Vdを増加させる。逆に、位相角φ1、φ2を進み方向に増やすと、有効電力Psが交流電源に回生され、直流電圧Vdは低下する。ちなみに、位相角φ1=φ2=0では、有効電力Psの授受はない。
図16は、図15の電力変換装置における制御回路の構成を示す図である。図16において、Fd(x)は直流電圧指令発生器、C1は比較器、Gv(S)は電圧制御補償回路、AD3は加算器、FFはフィードフォワード補償器、PLL1、PLL2は電源同期位相検出回路、PHC1、PHC2は位相制御回路である。尚、図1、図11、図13、図35と同一の要素には同一の符号を用いて表している。
直流電圧指令発生器Fd(x)は、負荷電流IL又は負荷電力PLに応じて直流電圧指令値Vd*を発生するもので、例えば、図12に示したような特性とする。直流電圧制御回路では、比較器C1により、直流電圧指令値Vd*と、直流平滑コンデンサCdに印加される電圧Vdの検出値を比較し、当該偏差εv=Vd*−Vdをとる。当該偏差εvを電圧制御補償回路Gv(S)により比例又は積分増幅し、加算器AD3を介して、位相角指令値φ*として位相制御回路PHC1及びPHC2に入力する。
フィードフォワード補償器FFでは、負荷電力PLから位相角指令値φFFを演算(推定)し、加算器AD3に入力する。すなわち、交流電源の電圧Vsに対する電圧形自励式電力変換器CNV1、CNV2の交流側端子電圧Vc1、Vc2の位相角φ1、φ2は、φ*=φo*+φFFによって制御される。このフィードフォワード補償器FFは、負荷急変時の直流電圧制御の応答を改善する役目を果たす。
電源同期位相検出器PLL1は、変圧器TRのY結線の2次電圧Vr1、Vs1、Vt1に同期した位相信号θr1、θs1、θt1を作り、位相制御回路PHC1に与える。同様に、電源同期位相検出器PLL2は、変圧器TRのΔ結線の2次電圧Vr2、Vs2、Vt2に同期した位相信号θr2、θs2、θt2を作り、位相制御回路PHC2に与える。位相信号θr2、θs2、θt2は、位相信号θr1、θs1、θt1に対し30°の位相差を持っている。
それぞれの変換器CNV1及びCNV2を一定パルスで位相制御する方法は、図4〜図9で説明したものと同様になる。このとき、第1の変換器CNV1の入力電流Ir1、Is1、It1は第2の変換器CNV2の入力電流Ir2、Is2、It2に対し、それぞれ30°の位相差があり、それを合成した変圧器TRの1次電流波形は高調波分が打ち消され、より正弦波に近い波形になる。
Vd*>Vdとなった場合、制御位相角指令値φ*は正の値(遅れ)で増加し、その結果、交流電源SUPから供給される有効電力Psが増加し、直流電圧Vdを増加させ、最終的にVd*=Vdとなる。逆に、Vd*<Vdとなった場合、制御位相角指令値φ*は負の値となり、φは進み位相角となる。その結果、交流電源SUPへ有効電力Psが回生され、直流電圧Vdを減少させ、やはり、Vd*=Vdに制御される。このようにして、2台の変換器CNV1、CNV2の位相角φ1、φ2を調整することにより、直流平滑コンデンサに印加される直流電圧Vdを直接制御することができる。これにより、入力電流制御のマイナーループを省略でき、制御回路を簡略化できる。
電源電圧Vsの実効値と、自励式電力変換器の交流側端子電圧Vc1、Vc2の基本波実効値が等しい場合、入力電流Isの位相角は、電源電圧Vsに対し、φ/2又はπ−φ/2となり、入力力率はcos(φ/2)となる。また、入力電流Isと電圧形自励式電力変換器の交流側端子電圧Vcとの位相差は、−φ/2又はπ+φ/2となり、変換器力率はcos(φ/2)となる。位相角φは、入力電流Isと交流リアクトルLs(又は変圧器のもれインダクタンス)の値に依存する。位相角φは、過負荷運転時でも高々φ=30°程度で、力率はcos15°=0.966となる。
自励式電力変換器を一定のパルスパターンで制御する場合、入力電流Isの高調波成分が小さくなるようにスイッチングパターンを決めるが、上記のように変換器力率が1に近いため、電流Isのゼロ点付近でスイッチングが行われ、自励式電力変換器を構成する自己消弧素子の遮断電流は小さくてすむ。また、自励式電力変換器の交流側端子電圧Vcの波高値を一定にして位相角φだけを制御するため、変換器の電圧利用率(交流出力電圧の実効値/直流電圧)を高くできる。すなわち、変圧器の2次電圧を高くできるため、出力容量が同じならば、変換器の電流容量を小さくでき、自己消弧素子の電流容量の小さいものですむ。回生運転時も電源力率はほぼ1に制御され、同様に自己消弧素子のスイッチングは入力電流Isのゼロクロス付近で行われ、素子の遮断電流は小さく抑えることができる。故に、スイッチング損失は大幅に軽減され、遮断電流の小さい自己消弧素子で自励式電力変換器を構成できるようになり、経済的な装置を提供できる。これにより、電力回生が可能で、高力率・高効率で、低コストの電力変換装置を提供できる。
並列運転される複数台の電圧形自励式電力変換器の制御位相角φを同じにして制御した場合、それぞれの交流入力電流(変圧器の2次電流)は平衡化されて流れる。しかし、変圧器のもれインダクタンス(2次側換算値)がバラツキを持つ場合、その分、各変換器の交流入力電流(変圧器の2次電流)もバラツキ、負荷分担も異なったものになる。また、並列多重運転する場合、2次電流値が不平衡になると、交流電源から供給される入力電流の高調波が増加してしまう問題が生じる。
図17は、図15の電力変換装置における制御回路の他の構成を示す図である。図17において、Fd(x)は直流電圧指令発生器、C1、C3は比較器、Gv(S)は電圧制御補償回路、FFはフィードフォワード補償器、Z1、Z2は座標変換器、Kφは比例要素、AD21、AD22、AD3は加算器、PLL1、PLL2は電源同期位相検出回路、PHC1、PHC2は位相制御回路である。尚、図1、図11、図13、図16、図35と同一の要素には同一の符号を用いて表している。
直流電圧指令発生器Fd(x)は、負荷電流IL又は負荷電力PLに応じて直流電圧指令値Vd*を発生するもので、例えば、図12に示したような特性とする。直流電圧制御回路では、比較器C1により、直流電圧指令値Vd*と、直流平滑コンデンサCdに印加される電圧Vdの検出値を比較し、当該偏差εv=Vd*−Vdをとる。当該偏差εvを電圧制御補償回路Gv(S)により比例又は積分増幅し、加算器AD3を介して、位相角指令値φ*とする。
フィードフォワード補償器FFでは、負荷電力PLから位相角指令値φFFを演算(推定)し、加算器AD3に入力する。すなわち、交流電源の電圧Vsに対する電圧形自励式電力変換器の交流側端子電圧Vc1、Vc2の位相角φ1、φ2は、φ*=φo*+φFFによって制御される。このフィードフォワード補償器FFは、負荷急変時の直流電圧制御の応答を改善する役目を果たす。
座標変換器Z1、Z2は3相電流(静止座標量)をdq軸電流(回転座標量)に変換するもので、座標変換器Z1には変圧器TRのY結線の2次電圧Vr1、Vs1、Vt1に同期した二相単位正弦波sinθ1とcosθ1を用い、座標変換器Z2には変圧器TRのΔ結線の2次電圧Vr2、Vs2、Vt2に同期した二相単位正弦波sinθ2とcosθ2を用いている。すなわち、座標変換器Z1により、変換器CNV1の入力電流Ir1、Is1、It1から有効電流Ip1と無効電流IQ1を得る。また、座標変換器Z2により、変換器CNV2の入力電流Ir2、Is2、It2から有効電流Ip2と無効電流IQ2を得る。このとき、Ip1、Ip2、IQ1、IQ2は直流量となる。
有効電流Ip1とIp2を比較器C3に入力し、偏差εp=Ip1−Ip2を求める。当該偏差εpを比例要素Kφで増幅し、位相角補正値Δφとして、加算器AD21及びAD22に入力する。加算器AD21により、加算器AD3の出力信号φ*から位相角補正値Δφを引き算し、位相制御回路PHC1の位相制御信号φ1*=φ*−Δφとして、第1の電力変換器CNV1を制御する。同様にして、加算器AD22により、加算器AD3の出力信号φ*に位相角補正値Δφを加算し、位相制御回路PHC2の位相制御信号φ2*=φ*+Δφとして、第2の電力変換器CNV2を制御する。
第1の変換器CNV1の入力電流有効分Ip1が、第2の変換器CNV2の入力電流有効分Ip2より大きくなった場合、偏差εpは正の値となり、位相角補正値Δφも正の値となる。この結果、φ1*<φ2*となり、第1の変換器CNV1の入力電流有効分Ip1が減少し、第2の変換器CNV2の入力電流有効分Ip2は増加する。逆に、Ip1<Ip2となった場合、偏差εpは負の値となり、位相角補正値Δφも負の値となる。この結果、φ1*>φ2*となり、第1の変換器CNV1の入力電流有効分Ip1が増加し、第2の変換器CNV2の入力電流有効分Ip2は減少する。最終的に、Ip1=Ip2となって落ち着く。このようにして、2台の変換器CNV1及びCNV2の入力電流の有効分を平衡化させることができ、どちらかの変換器に負荷が偏るのを防止することができる。尚、本発明装置では前に説明したように入力力率が高いので、入力電流の無効分は小さく、その不平衡については無視することができる。
3台以上の変換器を並列運転する場合には、全体の有効電流を求め、それを変換器台数で割ったものを基準にして、それぞれの変換器の入力電流有効分が当該基準有効電流に一致するように各変換器の位相角指令値を補正すればよい。これにより、複数台の電圧形自励式電力変換器の各交流入力電流の有効分が平衡化され、変圧器のもれインダクタンスのバラツキによる影響をなくすことができる。
図18は、図15の電力変換装置における制御回路のさらに別の構成を示す図である。図18において、Fd(x)は直流電圧指令発生器、C1、C3は比較器、Gv(S)は電圧制御補償回路、FFはフィードフォワード補償器、Kφは比例要素、AD21、AD22、AD3は加算器、PLL1、PLL2は電源同期位相検出回路、PHC1、PHC2は位相制御回路である。尚、図1、図11、図13、図16、図17、図35と同一の要素には同一の符号を用いて表している。
図18に示す制御回路が、図17で示したものと異なるところは、2台の変換器CNV1、CNV2の各入力電流の実効値Is1(rms)、Is2(rms)を用い、その差分により位相角補正値Δφを求めている点である。
Is1(rms)>Is2(rms)となった場合、位相角補正値Δφは正の値となり、φ1*<φ2*となって、第1の変換器CNV1の入力電流実効値Is1(rms)が減少し、第2の変換器CNV2の入力電流実効値Is2(rms)は増加する。逆に、Is1(rms)<Is2(rms)となった場合、位相角補正値Δφは負の値となり、φ1*>φ2*となって、第1の変換器CNV1の入力電流実効値Is1(rms)が増加し、第2の変換器CNV2の入力電流実効値Is2(rms)は減少する。最終的に、Is1(rms)=Is2(rms)となって落ち着く。この場合、入力電流の実効値Is1(rms)、Is2(rms)は、交流電流の平均値的な量として求められ、有効分と無効分を含んでいるが、無効分はわずかなので、負荷分担の平衡化という面では問題にならない。また、入力電流の平衡化はゆっくり行えばよく、平均値的な量の補正でも十分な効果が期待できる。本方式の場合、図17で示した方式に比べると、座標変換器Z1、Z2は必要ないので、より簡単に負荷分担の平衡化が得られる利点がある。
3台以上の変換器を並列運転する場合には、全体の入力電流実効値を求め、それを変換器台数で割ったものを基準にして、それぞれの変換器の入力電流実効値が当該基準電流実効値に一致するように各変換器の位相角指令値を補正すればよい。これにより、複数台の電圧形自励式電力変換器の各交流入力電流実効値が平衡化され、変圧器のもれインダクタンスのバラツキによる影響をなくすことができる。
(第3の実施の形態)図19は、本発明の第3の実施の形態の電力変換装置の構成図である。図19において、SUPは3相交流電源、R、S、Tはその受電端子、TRは変圧器、CNV1、CNV2は電圧形自励式電力変換器、Cd1、Cd2は直流平滑コンデンサ、Ldは直流リアクトル、HSCBは直流高速度遮断器、Loadは負荷装置を示している。尚、図1、図15、図35と同一の要素には同一の符号を用いて表している。
3相変圧器TRの1次側はスター接続(Y接続)、2次側はスター接続(Y接続)とデルタ接続(Δ接続)とされている。第1の変換器CNV1の交流端子は変圧器TRのY接続の2次巻線に接続され、第2の変換器CNV2の交流端子は変圧器TRのΔ接続の2次巻線に接続されている。3相ブリッジ結線の電力変換器CNV1とCNV2は、それぞれ自己消弧素子6個と逆並列ダイオード6個で構成され、その直流端子はそれぞれ直流平滑コンデンサCd1及びCd2に接続されている。当該直流コンデンサCd1とCd2は並列接続され、直流リアクトルLd及び直流高速度遮断器HSCBを介して負荷Loadに接続されている。
電気鉄道の直流き電システムの本実施の形態の装置を適用する場合、変電所近傍の直流き電線で地絡事故などが発生した場合、直流平滑コンデンサCd1、Cd2の放電電流が過大となり、高速度遮断器HSCBを開放できない場合が起こり得る。直流リアクトルLdは当該事故時の電流を抑制するもので、事故時の電流の立ち上がり(di/dt)を抑え、確実に高速度遮断器HSCBを動作させる役目を果たす。
図15で示した電力変換装置と異なる点は、直流平滑コンデンサCd1、Cd2をそれぞれ分割して各変換器CNV1及びCNV2の直流端子に接続しているところである。このように構成することにより、各変換器CNV1、CNV2の各直流出力電流Idc1、Idc2を分離して検出できるようになる。
電圧形自励式電力変換器CNV1及びCNV2は、交流電源SUPの周波数に同期した一定のパルスパターン(1パルス、3パルス、5パルス等)で動作し、電源電圧Vsに対する各変換器の交流側出力電圧Vc1、Vc2の位相角φ1、φ2を制御することにより、直流電圧Vdを制御する。
パルスパターンを固定すると、直流電圧Vdが一定ならば、交流側端子電圧Vc1、Vc2の振幅値は一定になる。この状態で、電源電圧Vsに対する交流側端子電圧Vc1、Vc2の位相角φ1、φ2を調整ことにより、変圧器のもれインダクタンスに印加される電圧が変化し、入力電流Is1、Is2を調整することができる。電源電圧Vsに対する出力電圧Vc1、Vc2の位相角φ1、φ2を遅れ方向に増加させることにより、交流電源から供給される有効電力Psが増加し、直流電圧Vdを増加させる。逆に、位相角φ1、φ2を進み方向に増やすと、有効電力Psが交流電源に回生され、直流電圧Vdは低下する。ちなみに、位相角φ=0では、有効電力Psの授受はない。
図20は、図19の電力変換装置における制御回路の構成を示す図である。図20において、Fd(x)は直流電圧指令発生器、C1、C3は比較器、Gv(S)は電圧制御補償回路、FFはフィードフォワード補償器、FL1、FL2はフィルタ回路、Kφは比例要素、AD21、AD22、AD3は加算器、PLL1、PLL2は電源同期位相検出回路、PHC1、PHC2は位相制御回路である。尚、図1、図11、図13、図16〜18、図35と同一の要素には同一の符号を用いて表している。
直流電圧指令発生器Fd(x)は、負荷電流IL又は負荷電力PLに応じて直流電圧指令値Vd*を発生するもので、例えば、図12に示したような特性とする。直流電圧制御回路では、比較器C1により、直流電圧指令値Vd*と、直流平滑コンデンサCdに印加される電圧Vdの検出値を比較し、当該偏差εv=Vd*−Vdをとる。当該偏差εvを電圧制御補償回路Gv(S)により比例又は積分増幅し、位相角指令値φ*として加算器AD3及びAD21、AD22を介して、位相制御回路PHC1及びPHC2に入力する。
電源同期位相検出器PLL1は、変圧器TRのY結線の2次電圧Vr1、Vs1、Vt1に同期した位相信号θr1、θs1、θt1を作り、位相制御回路PHC1に与える。同様に、電源同期位相検出器PLL2は、変圧器TRのΔ結線の2次電圧Vr2、Vs2、Vt2に同期した位相信号θr2、θs2、θt2を作り、位相制御回路PHC2に与える。位相信号θr2、θs2、θt2は、位相信号θr1、θs1、θt1に対し30°の位相差を持っている。
それぞれの変換器CNV1及びCNV2を一定パルスで位相制御する方法は、図4〜図9で説明したものと同様になる。このとき、第1の変換器CNV1の入力電流Ir1、Is1、It1は第2の変換器CNV2の入力電流Ir2、Is2、It2に対し、それぞれ30°の位相差があり、それを合成した変圧器TRの1次電流波形は高調波分が打ち消され、より正弦波に近い波形になる。
Vd*>Vdとなった場合、制御位相角指令値φ*は正の値(遅れ)で増加し、その結果、交流電源SUPから供給される有効電力Psが増加し、直流電圧Vdを増加させ、最終的にVd*=Vdとなる。逆に、Vd*<Vdとなった場合、制御位相角指令値φ*は負の値となり、φは進み位相角となる。その結果、交流電源SUPへ有効電力Psが回生され、直流電圧Vdを減少させ、やはり、Vd*=Vdに制御される。
フィードフォワード補償器FFでは、負荷電力PLから位相角指令値φFFを演算(又は推定)し、加算器AD3に入力する。すなわち、交流電源の電圧Vsに対する電圧形自励式電力変換器の交流側端子電圧Vc1、Vc2の位相角φ1、φ2は、φ*=φo*+φFFによって制御される。このフィードフォワード補償器FFは、負荷急変時の直流電圧制御の応答を改善する役目を果たす。このようにして、2台の変換器CNV1、CNV2の位相角φ1、φ2を調整することにより、直流平滑コンデンサに印加される直流電圧Vdを直接制御することができる。これにより、入力電流制御のマイナーループを省略でき、制御回路を簡略化できる。
2台の変換器CNV1、CNV2の直流出力電流Idc1とIdc2を検出し、フィルタ回路FL1、FL2を介してノイズ成分を減らす。それらを比較器C3に入力し、偏差εd=Idc1−Idc2を求める。当該偏差εdを比例要素Kφで増幅し、位相角補正値Δφとして、加算器AD21及びAD22に入力する。加算器AD21により、加算器AD3の出力信号φ*=φo*+φFFから位相角補正値Δφを引き算し、位相制御回路PHC1の位相制御信号φ1*=φ*−Δφとして、第1の電力変換器CNV1を制御する。同様に、加算器AD22により、加算器AD3の出力信号φ*=φo*+φFFに位相角補正値Δφを加算し、位相制御回路PHC2の位相制御信号φ2*=φ*+Δφとして、第2の電力変換器CNV2を制御する。
第1の変換器CNV1の直流出力電流Idc1が、第2の変換器CNV2の直流出力電流Idc2より大きくなった場合、偏差εdは正の値となり、位相角補正値Δφも正の値となる。この結果、φ1*<φ2*となり、第1の変換器CNV1の直流電流Idc1が減少し、第2の変換器CNV2の直流電流Idc2は増加する。逆に、Idc1<Idc2となった場合、偏差εdは負の値となり、位相角補正値Δφも負の値となる。この結果、φ1*>φ2*となり、第1の変換器CNV1の直流電流Idc1が増加し、第2の変換器CNV2の直流電流Idc2は減少する。最終的に、Idc1=Idc2となって落ち着く。このようにして、2台の変換器CNV1及びCNV2の直流出力電流を平衡化させることができ、どちらかの変換器に負荷が偏るのを防止することができる。
3台以上の変換器を並列運転する場合には、全体の直流出力電流を求め、それを変換器台数で割ったものを基準にして、それぞれの変換器の直流出力電流が当該基準電流に一致するように各変換器の位相角指令値を補正すればよい。
(第4の実施の形態)図21は、本発明の第4の実施の形態の電力変換装置の構成図である。図21において、SUPは3相交流電源、R、S、Tはその受電端子、TRは変圧器、CNV1、CNV2は電圧形自励式電力変換器、Cd1、Cd2は直流平滑コンデンサ、Ld1、Ld2は直流リアクトル、HSCBは直流高速度遮断器、Loadは負荷装置を示している。尚、図1、図15、図19、図35と同一の要素には同一の符号を用いて表している。
3相変圧器TRの1次側はY接続、2次側はY接続とΔ接続とされている。第1の変換器CNV1の交流端子は変圧器TRのY接続の2次巻線に接続され、第2の変換器CNV2の交流端子は変圧器TRのΔ接続の2次巻線に接続されている。3相ブリッジ結線の電力変換器CNV1とCNV2は、それぞれ自己消弧素子6個と逆並列ダイオード6個で構成され、その直流端子はそれぞれ直流平滑コンデンサCd1及びCd2に接続されている。当該直流コンデンサCd1とCd2はそれぞれ直流リアクトルLd1及びLd2を介して並列接続され、さらに直流高速度遮断器HSCBを介して負荷Loadに接続されている。
電気鉄道の直流き電システムの本実施の形態装置を適用する場合、変電所近傍の直流き電線で地絡事故などが発生した場合、直流平滑コンデンサCd1、Cd2の放電電流が過大となり、高速度遮断器HSCBを開放できない場合が起こり得る。直流リアクトルLd1、Ld2は、当該事故時の電流を抑制するもので、事故時の電流の立ち上がり(di/dt)を抑え、確実に高速度遮断器HSCBを動作させる役目を果たす。
図19で示した電力変換装置と異なる点は、2台の変換器CNV1、CNV2に分割して接続された2つの直流平滑コンデンサCd1、Cd2をそれぞれ直流リアクトルLd1、Ld2を介して並列接続しているところである。このように構成することにより、各変換器CNV1、CNV2の各直流出力電流Idc1、Idc2を分離して検出でき、かつ、当該電流は直流リアクトルLd1及びLd2により平滑化され、ノイズ成分の少ない直流電流を検出できるようになる。
電圧形自励式電力変換器CNV1及びCNV2は、交流電源SUPの周波数に同期した一定のパルスパターン(1パルス、3パルス、5パルス等)で動作し、電源電圧Vsに対する各変換器の交流側出力電圧Vc1、Vc2の位相角φ1、φ2を制御することにより、直流電圧Vdを制御する。パルスパターンを固定すると、直流電圧Vdが一定ならば、交流側端子電圧Vc1、Vc2の振幅値は一定になる。この状態で、電源電圧Vsに対する交流側端子電圧Vc1、Vc2の位相角φ1、φ2を調整ことにより、変圧器のもれインダクタンスに印加される電圧が変化し、入力電流Is1、Is2を調整することができる。電源電圧Vsに対する出力電圧Vc1、Vc2の位相角φ1、φ2を遅れ方向に増加させることにより、交流電源から供給される有効電力Psが増加し、直流電圧Vdを増加させる。逆に、位相角φ1、φ2を進み方向に増やすと、有効電力Psが交流電源に回生され、直流電圧Vdは低下する。ちなみに、位相角φ=0では、有効電力Psの授受はない。
図22は、図21の電力変換装置における制御回路の構成図である。図22において、Fd(x)は直流電圧指令発生器、C1、C3は比較器、Gv(S)は電圧制御補償回路、FFはフィードフォワード補償器、Kφは比例要素、AD21、AD22、AD3は加算器、PLL1、PLL2は電源同期位相検出回路、PHC1、PHC2は位相制御回路である。尚、図1、図11、図13、図16〜18、図20、図35と同一の要素には同一の符号を用いて表している。
直流電圧指令発生器Fd(x)は、負荷電流IL又は負荷電力PLに応じて直流電圧指令値Vd*を発生するもので、例えば、図12に示したような特性とする。直流電圧制御回路では、比較器C1により、直流電圧指令値Vd*と、直流平滑コンデンサCdに印加される電圧Vdの検出値を比較し、当該偏差εv=Vd*−Vdをとる。当該偏差εvを電圧制御補償回路Gv(S)により比例又は積分増幅し、φo*=Gv(S)・εvとする。さらに、加算器AD3を介して、位相角指令値φ*=φo*+φFFとする。
フィードフォワード補償器FFでは、負荷電力PLから位相角指令値φFFを演算(推定)し、加算器AD3に入力する。すなわち、交流電源の電圧Vsに対する電圧形自励式電力変換器の交流側端子電圧Vc1、Vc2の位相角φ1、φ2は、φ*=φo*+φFFによって制御される。このフィードフォワード補償器FFは、負荷急変時の直流電圧制御の応答を改善する役目を果たす。
電源同期位相検出器PLL1は、変圧器TRのY結線の2次電圧Vr1、Vs1、Vt1に同期した位相信号θr1、θs1、θt1を作り、位相制御回路PHC1に与える。同様に、電源同期位相検出器PLL2は、変圧器TRのΔ結線の2次電圧Vr2、Vs2、Vt2に同期した位相信号θr2、θs2、θt2を作り、位相制御回路PHC2に与える。位相信号θr2、θs2、θt2は、位相信号θr1、θs1、θt1に対し30°の位相差を持っている。
それぞれの変換器CNV1及びCNV2を一定パルスで位相制御する方法は、図4〜図9で説明したものと同様になる。このとき、第1の変換器CNV1の入力電流Ir1、Is1、It1は第2の変換器CNV2の入力電流Ir2、Is2、It2に対し、それぞれ30°の位相差があり、それを合成した変圧器TRの1次電流波形は高調波分が打ち消され、より正弦波に近い波形になる。Vd*>Vdとなった場合、制御位相角指令値φ*は正の値(遅れ)で増加し、その結果、交流電源SUPから供給される有効電力Psが増加し、直流電圧Vdを増加させ、最終的にVd*=Vdとなる。逆に、Vd*<Vdとなった場合、制御位相角指令値φ*は負の値となり、φは進み位相角となる。その結果、交流電源SUPへ有効電力Psが回生され、直流電圧Vdを減少させ、やはり、Vd*=Vdに制御される。このようにして、2台の変換器CNV1、CNV2の位相角φ1、φ2を調整することにより、直流平滑コンデンサに印加される直流電圧Vdを直接制御することができる。これにより、入力電流制御のマイナーループを省略でき、制御回路を簡略化できる。
2台の変換器CNV1とCNV2の直流出力電流Idc1とIdc2を検出し、それらを比較器C3に入力し、偏差εd=Idc1−Idc2を求める。当該偏差εdを比例要素Kφで増幅し、位相角補正値Δφとして、加算器AD21及びAD22に入力する。加算器AD21により、加算器AD3の出力信号φ*=φo*+φFFから位相角補正値Δφを引き算し、位相制御回路PHC1の位相制御信号φ1*=φ*−Δφとして、第1の電力変換器CNV1を制御する。同様に、加算器AD22により、加算器AD3の出力信号φ*=φo*+φFFに位相角補正値Δφを加算し、位相制御回路PHC2の位相制御信号φ2*=φ*+Δφとして、第2の電力変換器CNV2を制御する。
第1の変換器CNV1の直流出力電流Idc1が、第2の変換器CNV2の直流出力電流Idc2より大きくなった場合、偏差εpは正の値となり、位相角補正値Δφも正の値となる。この結果、φ1*<φ2*となり、第1の変換器CNV1の直流電流Idc1が減少し、第2の変換器CNV2の直流電流Idc2は増加する。逆に、Idc1<Idc2となった場合、偏差εpは負の値となり、位相角補正値Δφも負の値となる。この結果、φ1*>φ2*となり、第1の変換器CNV1の直流電流Idc1が増加し、第2の変換器CNV2の直流電流Idc2は減少する。最終的に、Idc1=Idc2となって落ち着く。このようにして、2台の変換器CNV1及びCNV2の直流出力電流を平衡化させることができ、どちらかの変換器に負荷が偏るのを防止することができる。
3台以上の変換器を並列運転する場合には、全体の直流出力電流を求め、それを変換器台数で割ったものを基準にして、それぞれの変換器の直流出力電流が当該基準電流に一致するように各変換器の位相角指令値を補正すればよい。
図23は、図21の電力変換装置における制御回路の別の構成を示す図である。図23において、Fd(x)は直流電圧指令発生器、AD21、AD22、AD31、AD32は加算器、C11、C12、C3は比較器、Gv1(S)、Gv2(S)は電圧制御補償回路、FFはフィードフォワード補償器、Kvは比例要素、PLL1、PLL2は電源同期位相検出回路、PHC1、PHC2は位相制御回路である。尚、図1、図11、図13、図16〜18、図20、図22、図35と同一の要素には同一の符号を用いて表している。
直流電圧指令発生器Fd(x)は、負荷電流IL又は負荷電力PLに応じて直流電圧指令値Vd*を発生するもので、例えば、図12に示したような特性とする。当該電圧指令値Vd*は、加算器AD21及びAD22を介して各変換器の直流電圧制御回路にそれぞれ電圧指令値Vd1*、Vd2*として与えている。
図21の装置の直流平滑コンデンサCd1及びCd2に印加される電圧Vd1、Vd2は、上記電圧指令値Vd1*、Vd2*にそれぞれ一致するように制御される。このとき、フィードフォワード補償器FFからの補償信号φFFを、直流電圧制御回路からの出力信号φo1*、φo2*に加えることにより、負荷急変時の直流電圧制御応答を改善することができる。図23の制御回路が図22で示した制御回路と異なる点は、直流出力電流Idc1とIdc2の差分に比例した補正信号ΔVd*により2台の変換器の直流電圧指令値Vd1*及びVd2*を補正している点である。すなわち、2台の変換器の直流出力電流Idc1とIdc2を検出し、それらを比較器C3に入力し、偏差εd=Idc1−Idc2を求める。当該偏差εdを比例要素Kvで増幅し、直流電圧指令補正値ΔVd*として、加算器AD21及びAD22に入力する。加算器AD21により、直流電圧指令発生器からの出力信号Vd*から電圧指令補正値ΔVd*を引き算し、第1の変換器CNV1の直流電圧指令値Vd1*とする。図20の装置の直流平滑コンデンサCd1に印加される電圧Vd1は指令値Vd1*に一致するように制御される。同様に、加算器AD22により、直流電圧指令発生器からの出力信号Vd*から電圧指令補正値ΔVd*を加算し、第2の変換器CNV2の直流電圧指令値Vd2*とする。図21の装置の直流平滑コンデンサCd2に印加される電圧Vd2は指令値Vd2*に一致するように制御される。
第1の変換器CNV1の直流出力電流Idc1が、第2の変換器CNV2の直流出力電流Idc2より大きくなった場合、偏差εdは正の値となり、電圧指令補正値ΔVd*も正の値となる。この結果、Vd1*<Vd2*となり、第1の変換器CNV1の直流電流Idc1が減少し、第2の変換器CNV2の直流電流Idc2は増加する。逆に、Idc1<Idc2となった場合、偏差εdは負の値となり、電圧指令補正値ΔVd*も負の値となる。この結果、Vd1*>Vd2*となり、第1の変換器CNV1の直流電流Idc1が増加し、第2の変換器CNV2の直流電流Idc2は減少する。最終的に、Idc1=Idc2となって落ち着く。このようにして、2台の変換器CNV1及びCNV2の直流出力電流を平衡化させることができ、どちらかの変換器に負荷が偏るのを防止することができる。
3台以上の変換器を並列運転する場合には、全体の直流出力電流を求め、それを変換器台数で割ったものを基準にして、それぞれの変換器の直流出力電流が当該基準電流に一致するように各変換器の直流電圧指令値を補正すればよい。
図24は、図21の電力変換装置における制御回路のさらに別の構成を示す図である。図24において、Fd(x)は直流電圧指令発生器、C1、C3は比較器、Gv(S)は電圧制御補償回路、FFはフィードフォワード補償器、Z1、Z2は座標変換器、Kφは比例要素、AD21、AD22、AD3は加算器、PLL1、PLL2は電源同期位相検出回路、PHC1、PHC2は位相制御回路である。尚、図1、図11、図13、図16〜18、図20、図22、図23、図35と同一の要素には同一の符号を用いて表している。
直流電圧指令発生器Fd(x)は、負荷電流IL又は負荷電力PLに応じて直流電圧指令値Vd*を発生するもので、例えば、図12に示したような特性とする。直流電圧制御回路では、比較器C1により、直流電圧指令値Vd*と、直流平滑コンデンサCdに印加される電圧Vdの検出値を比較し、当該偏差εv=Vd*−Vdをとる。当該偏差εvを電圧制御補償回路Gv(S)により比例又は積分増幅し、φo*=Gv(S)・εvとする。さらに、加算器AD3を介して、位相角指令値φ*=φo*+φFFとする。
フィードフォワード補償器FFでは、負荷電力PLから位相角指令値φFFを演算(推定)し、加算器AD3に入力する。すなわち、交流電源の電圧Vsに対する電圧形自励式電力変換器の交流側端子電圧Vc1、Vc2の位相角φ1、φ2は、φ*=φo*+φFFによって制御される。このフィードフォワード補償器FFは、負荷急変時の直流電圧制御の応答を改善する役目を果たす。
座標変換器Z1、Z2は3相電流(静止座標量)をdq軸電流(回転座標量)に変換するもので、座標変換器Z1には変圧器TRのY結線の2次電圧Vr1、Vs1、Vt1に同期した二相単位正弦波sinθ1とcosθ1を用い、座標変換器Z2には変圧器TRのΔ結線の2次電圧Vr2、Vs2、Vt2に同期した二相単位正弦波sinθ2とcosθ2を用いている。すなわち、座標変換器Z1により、変換器CNV1の入力電流Ir1、Is1、It1から有効電流Ip1と無効電流IQ1を得る。また、座標変換器Z2により、変換器CNV2の入力電流Ir2、Is2、It2から有効電流Ip2と無効電流IQ2を得る。このとき、Ip1、Ip2、IQ1、IQ2は直流量となる。
上記有効電流Ip1とIp2を比較器C3に入力し、偏差εp=Ip1−Ip2を求める。当該偏差εpを比例要素Kφで増幅し、位相角補正値Δφとして、加算器AD21及びAD22に入力する。加算器AD21により、加算器AD3の出力信号φ*から位相角補正値Δφを引き算し、位相制御回路PHC1の位相制御信号φ1*=φ*−Δφとして、第1の電力変換器CNV1を制御する。同様にして、加算器AD22により、加算器AD3の出力信号φ*に位相角補正値Δφを加算し、位相制御回路PHC2の位相制御信号φ2*=φ*+Δφとして、第2の電力変換器CNV2を制御する。
第1の変換器CNV1の入力電流有効分Ip1が、第2の変換器CNV2の入力電流有効分Ip2より大きくなった場合、偏差εpは正の値となり、位相角補正値Δφも正の値となる。この結果、φ1*<φ2*となり、第1の変換器CNV1の入力電流有効分Ip1が減少し、第2の変換器CNV2の入力電流有効分Ip2は増加する。逆に、Ip1<Ip2となった場合、偏差εpは負の値となり、位相角補正値Δφも負の値となる。この結果、φ1*>φ2*となり、第1の変換器CNV1の入力電流有効分Ip1が増加し、第2の変換器CNV2の入力電流有効分Ip2は減少する。最終的に、Ip1=Ip2となって落ち着く。このようにして、2台の変換器CNV1及びCNV2の入力電流の有効分を平衡化させることができ、どちらかの変換器に負荷が偏るのを防止することができる。尚、本実施の形態の装置では前に説明したように入力力率が高いので、入力電流の無効分は小さく、その不平衡については無視することができる。
3台以上の変換器を並列運転する場合には、全体の有効電流を求め、それを変換器台数で割ったものを基準にして、それぞれの変換器の入力電流の有効分が当該基準有効電流に一致するように各変換器の位相角指令値を補正すればよい。
図25は、図21の電力変換装置における制御回路のさらに別の構成を示す図である。図25において、Fd(x)は直流電圧指令発生器、AD21、AD22、AD31、AD32は加算器、C11、C12、C3は比較器、Gv1(S)、Gv2(S)は電圧制御補償回路、FFはフィードフォワード補償器、Kvは比例要素、PLL1、PLL2は電源同期位相検出回路、PHC1、PHC2は位相制御回路である。尚、図1、図11、図13、図16〜18、図20、図22〜24、図35と同一の要素には同一の符号を用いて表している。
直流電圧指令発生器Fd(x)は、負荷電流IL又は負荷電力PLに応じて直流電圧指令値Vd*を発生するもので、例えば、図12に示したような特性とする。当該電圧指令値Vd*は、加算器AD21及びAD22を介して各変換器の直流電圧制御回路にそれぞれ電圧指令値Vd1*、Vd2*として与えている。図21の装置の直流平滑コンデンサCd1及びCd2に印加される電圧Vd1、Vd2は、上記電圧指令値Vd1*、Vd2*にそれぞれ一致するように制御される。このとき、フィードフォワード補償器FFからの補償信号φFFを、直流電圧制御回路からの出力信号φo1*、φo2*に加えることにより、負荷急変時の直流電圧制御応答を改善することができる。
図25の制御回路が図24で示した制御回路と異なる点は、入力電流有効分Ip1とIp2の差分に比例した補正信号ΔVd*により2台の変換器の直流電圧指令値Vd1*及びVd2*を補正している点である。すなわち、図24で説明したと同様に2台の変換器の入力電流有効分Ip1とIp2を検出し、それらを比較器C3に入力し、偏差εd=Ip1−Ip2を求める。当該偏差εpを比例要素Kvで増幅し、直流電圧指令補正値ΔVd*として、加算器AD21及びAD22に入力する。加算器AD21により、直流電圧指令発生器からの出力信号Vd*から電圧指令補正値ΔVd*を引き算し、第1の変換器CNV1の直流電圧指令値Vd1*とする。図20の装置の直流平滑コンデンサCd1に印加される電圧Vd1は指令値Vd1*に一致するように制御される。同様に、加算器AD22により、直流電圧指令発生器からの出力信号Vd*から電圧指令補正値ΔVd*を加算し、第2の変換器CNV2の直流電圧指令値Vd2*とする。図20の装置の直流平滑コンデンサCd2に印加される電圧Vd2は指令値Vd2*に一致するように制御される。
第1の変換器CNV1の入力電流有効分Ip1が、第2の変換器CNV2の入力電流有効分Ip2より大きくなった場合、偏差εpは正の値となり、電圧指令補正値ΔVd*も正の値となる。この結果、Vd1*<Vd2*となり、第1の変換器CNV1の入力電流有効分Ip1が減少し、第2の変換器CNV2の入力電流有効分Ip2は増加する。逆に、Ip1<Ip2となった場合、偏差εpは負の値となり、電圧指令補正値ΔVd*も負の値となる。この結果、Vd1*>Vd2*となり、第1の変換器CNV1の入力電流有効分Ip1が増加し、第2の変換器CNV2の入力電流有効分Ip2は減少する。最終的に、Ip1=Ip2となって落ち着く。このようにして、2台の変換器CNV1及びCNV2の入力電流有効分Ip1とIp2を平衡化させることができ、どちらかの変換器に負荷が偏るのを防止することができる。
3台以上の変換器を並列運転する場合には、全体の入力電流有効分を求め、それを変換器台数で割ったものを基準にして、それぞれの変換器の入力電流有効分が当該基準有効電流に一致するように各変換器の直流電圧指令値を補正すればよい。
図26は、図21の電力変換装置における制御回路のさらに別の構成を示す図である。図26において、Fd(x)は直流電圧指令発生器、C1、C3は比較器、Gv(S)は電圧制御補償回路、FFはフィードフォワード補償器、Kφは比例要素、AD21、AD22、AD3は加算器、PLL1、PLL2は電源同期位相検出回路、PHC1、PHC2は位相制御回路である。尚、図1、図11、図13、図16〜18、図20、図22〜25、図35と同一の要素には同一の符号を用いて表している。
図26の制御回路が図24で示した制御回路と異なるところは、2台の変換器CNV1、CNV2の各入力電流の実効値Is1(rms)、Is2(rms)を用い、その差分により位相角補正値Δφを求める点である。Is1(rms)>Is2(rms)となった場合、位相角補正値Δφは正の値となり、φ1*<φ2*となって、第1の変換器CNV1の入力電流実効値Is1(rms)が減少し、第2の変換器CNV2の入力電流実効値Is2(rms)は増加する。逆に、Is1(rms)<Is2(rms)となった場合、位相角補正値Δφは負の値となり、φ1*>φ2*となって、第1の変換器CNV1の入力電流実効値Is1(rms)が増加し、第2の変換器CNV2の入力電流実効値Is2(rms)は減少する。最終的に、Is1(rms)=Is2(rms)となって落ち着く。この場合、入力電流の実効値Is1(rms)、Is2(rms)は、交流電流の平均値的な量として求められ、有効分と無効分を含んでいるが、無効分はわずかなので、負荷分担の平衡化という面では問題にならない。また、入力電流の平衡化はゆっくり行えばよく、平均値的な量の補正でも十分な効果が期待できる。図26の制御回路は、図24で示したものに比べると座標変換器Z1、Z2が必要でないので、より簡単に負荷分担の平衡化が得られる利点がある。
3台以上の変換器を並列運転する場合には、全体の入力電流実効値を求め、それを変換器台数で割ったものを基準にして、それぞれの変換器の入力電流実効値が当該基準電流実効値に一致するように各変換器の位相角指令値を補正すればよい。
図27は、図21の電力変換装置における制御回路のさらに別の構成を示す図である。図27において、Fd(x)は直流電圧指令発生器、AD21、AD22、AD31、AD32は加算器、C11、C12、C3は比較器、Gv1(S)、Gv2(S)は電圧制御補償回路、FFはフィードフォワード補償器、Kvは比例要素、PLL1、PLL2は電源同期位相検出回路、PHC1、PHC2は位相制御回路である。尚、図1、図11、図13、図16〜18、図20、図22〜26、図35と同一の要素には同一の符号を用いて表している。
直流電圧指令発生器Fd(x)は、負荷電流IL又は負荷電力PLに応じて直流電圧指令値Vd*を発生するもので、例えば、図12に示したような特性とする。当該電圧指令値Vd*は、加算器AD21及びAD22を介して各変換器の直流電圧制御回路にそれぞれ電圧指令値Vd1*、Vd2*として与えている。図21の装置の直流平滑コンデンサCd1及びCd2に印加される電圧Vd1、Vd2は、上記電圧指令値Vd1*、Vd2*にそれぞれ一致するように制御される。このとき、フィードフォワード補償器FFからの補償信号φFFを、直流電圧制御回路からの出力信号φo1*、φo2*に加えることにより、負荷急変時の直流電圧制御応答を改善することができる。
図27の制御回路が図26で示した制御回路と異なる点は、入力電流の実効値Is1(rms)とIs2(rms)の差分に比例した補正信号ΔVd*により2台の変換器の直流電圧指令値Vd1*及びVd2*を補正している点である。すなわち、2台の変換器CNV1とCNV2の入力電流の実効値Is1(rms)とIs2(rms)を検出し、それらを比較器C3に入力し、偏差εs=Is1(rms)−Is2(rms)を求める。当該偏差εsを比例要素Kvで増幅し、直流電圧指令補正値ΔVd*として、加算器AD21及びAD22に入力する。加算器AD21により、直流電圧指令発生器からの出力信号Vd*から電圧指令補正値ΔVd*を引き算し、第1の変換器CNV1の直流電圧指令値Vd1*とする。図20の装置の直流平滑コンデンサCd1に印加される電圧Vd1は指令値Vd1*に一致するように制御される。同様に、加算器AD22により、直流電圧指令発生器からの出力信号Vd*から電圧指令補正値ΔVd*を加算し、第2の変換器CNV2の直流電圧指令値Vd2*とする。図21の装置の直流平滑コンデンサCd2に印加される電圧Vd2は指令値Vd2*に一致するように制御される。
第1の変換器CNV1の入力電流実効値Is1(rms)が、第2の変換器CNV2の入力電流実効値Is2(rms)より大きくなった場合、電圧指令補正値ΔVd*は正の値となる。この結果、Vd1*<Vd2*となり、第1の変換器CNV1の入力電流実効値Is1(rms)が減少し、第2の変換器CNV2の入力電流実効値Is2(rms)は増加する。逆に、Is1(rms)<Is2(rms)となった場合、電圧指令補正値ΔVd*は負の値となる。この結果、Vd1*>Vd2*となり、第1の変換器CNV1の入力電流実効値Is1(rms)が増加し、第2の変換器CNV2の入力電流実効値Is2(rms)は減少する。最終的に、Is1(rms)=Is2(rms)となって落ち着く。このようにして、2台の変換器CNV1及びCNV2の入力電流実効値Is1(rms)、Is2(rms)を平衡化させることができ、どちらかの変換器に負荷が偏るのを防止することができる。
3台以上の変換器を並列運転する場合には、全体の入力電流実効値を求め、それを変換器台数で割ったものを基準にして、それぞれの変換器の入力電流実効値が当該基準電流実効値に一致するように各変換器の直流電圧指令値を補正すればよい。
(第5の実施の形態)図28は、本発明の第5の実施の形態の電力変換装置の構成図である。図28において、SUPは3相交流電源、R、S、Tはその受電端子、TR1、TR2は変圧器、CNV1、CNV2は電圧形自励式電力変換器、Cdは直流平滑コンデンサ、Loadは負荷装置を表す。尚、図1、図15、図19、図21、図35と同一の要素には同一の符号を用いて表している。
3相変圧器TR1は、1次巻線はオープンスター結線、2次巻線はデルタ(Δ)結線されている。また、3相変圧TR2は、1次巻線はデルタ(Δ)結線、2次巻線もデルタ(Δ)結線されている。変圧器TR1とTR2の1次巻線は各相毎に直列接続されている。
電圧形自励式電力変換器CNV1、CNV2は、一定のパルスパターンで動作し、交流電源電圧Vsに同期したスイッチングを行う。直流電圧Vdが一定ならば、自励式変換器CNV1、CNV2の交流出力電圧Vc1、Vc2の振幅値は一定になる。この状態で、電源電圧Vsに対する各変換器出力電圧の和Vc=Vc1+Vc2の位相角φを変えることより、変圧器TR1、TR2のもれインダクタンスの和Lxo=Lx1+Lx2に印加される電圧が変化し、入力電流Isが調整され、共通の直流平滑コンデンサCdに印加される直流電圧Vdを制御することができる。多重化により、その入力電流Isは、極めて歪みの少ない波形に制御できる。
電源電圧Vsに対する各変換器の交流側出力電圧の和Vc=Vc1+Vc2の位相角φを遅れ方向に増加させることにより、交流電源から供給される有効電力Psが増加し、直流電圧Vdが増加する。逆に位相角φを進み方向に増やすと、有効電力Psが交流電源に回生され、直流電圧Vdは減少する。
図29は、図28の電力変換装置における制御回路の構成を示す図である。図29において、Fd(x)は直流電圧指令発生器、AD1、AD3は加算器、C1、C2は比較器、Gv(S)は電圧制御補償回路、FFはフィードフォワード補償器、Ksは比例要素、PLL1、PLL2は電源同期位相検出回路、PHC1、PHC2は位相制御回路である。尚、図1、図11、図13、図16〜18、図20、図22〜27、図35と同一の要素には同一の符号を用いて表している。
直流電圧指令発生器Fd(x)は、負荷電流IL又は負荷電力PLに応じて直流電圧指令値Vd*を発生するもので、例えば、図12に示したような特性とする。
比較器C2により、電源電圧の実効値Vs(rms)を検出し、定格値Vso(rms)と比較する。その差分Vs(rms)−Vso(rms)=ΔVsを比例要素Ksを介して定数倍し、直流電圧指令の補償値ΔVd*=Ks・ΔVsとする。加算器AD1により、本来の直流電圧指令値Vd*と補償値ΔVd*を加え、新たな直流電圧指令値Vd**=Vd*+ΔVd*とする。比較器C1により、直流電圧指令値Vd**と直流平滑コンデンサCdに印加される電圧Vdの検出値を比較し、偏差εv=Vd**−Vdを求める。電圧制御補償回路Gv(S)により、当該偏差εvを比例又は積分増幅する。加算器AD3により、当該直流電圧制御回路からの出力信号φo*にフィードフォワード補償器FFからの出力信号φFFを加えて、制御位相角指令値φ*=φo*+φFFとし、2台の変換器CNV1、CNV2の位相制御回路PHC1、PHC2に入力する。このフィードフォワード補償器FFは、負荷急変時の直流電圧制御の応答を改善する役目を果たす。
電源同期位相検出器PLL1は、変圧器TR1の2次電圧Vr1、Vs1、Vt1に同期した位相信号θr1、θs1、θt1を作り、位相制御回路PHC1に与える。同様に、電源同期位相検出器PLL2は、変圧器TR2の2次電圧Vr2、Vs2、Vt2に同期した位相信号θr2、θs2、θt2を作り、位相制御回路PHC2に与える。位相信号θr2、θs2、θt2は、位相信号θr1、θs1、θt1に対し30°の位相差を持っている。
直流平滑コンデンサCdに印加される電圧Vdは上記指令値Vd**に一致するように制御される。すなわち、Vd**>Vdとなった場合、制御位相角指令値φ*は正の値(遅れ)で増加し、その結果、前述のように、交流電源から供給される有効電力Psが増加し、直流電圧Vdを増加させ、最終的にVd**=Vdとなる。逆に、Vd**<Vdとなった場合、制御位相角指令値φ*は負の値となり、φは進み位相角となる。その結果、交流電源へ有効電力Psが回生され、直流電圧Vdを減少させ、やはり、Vd**=Vdに制御される。このようにして、位相角φを調整することにより、直流平滑コンデンサに印加される直流電圧Vdを直接制御することができる。これにより、入力電流制御のマイナーループを省略でき、制御回路を簡略化できる。
電圧形自励式電力変換器CNV1、CNV2を固定パルスパターンで運転した場合、当該電力変換器CNV1、CNV2の交流側出力電圧の和Vc1+Vc2の振幅値は一定となり、電源電圧Vsが高くなると、変換器CNV1、CNV2は遅れ力率運転となり、また、電源電圧Vsが低くなると、変換器CNV1、CNV2は進み力率運転となってしまう。また、力率低下に伴い、自励式電力変換器CNV1、CNV2の交流側出力電圧の和Vc1+Vc2と入力電流Isの位相差が大きくなり、自励式電力変換器を構成する自己消弧素子の遮断電流が大きくなってしまう。そこで、直流平滑コンデンサCdに印加される電圧Vdを電源電圧Vsの振幅値(実効値)に合わせて調整制御することにより、直列多重運転では、常に、|Vs|≒|Vc1+Vc2|となるように制御される。これにより、電源力率あるいは変換器力率の極端な低下を防ぐことが可能となり、自己消弧素子の遮断電流の増加を防止できる。
以上は、直列2多重構成の電力変換装置について説明したが、直列n多重構成の電力変換装置についても同様に達成できる。すなわち、電圧形自励式電力変換器を複数台(n台)用意し、1次巻線を直列接続し、適宜の位相差を持たせた2次巻線を有するn台の3相変圧器TR1〜TRnを用いて、直列多重運転するように構成した本発明の電力変換装置は、変換装置の大容量化と、交流電源から供給される入力電流Isの高調波成分の低減を図ることができる。特に、直列多重運転により、各変換器CNV1〜CNVnに流れる交流側入力電流のリプルを抑制することができ、かつ、変換器CNV1〜CNVn間に横流が流れないので、自励式電力変換器CNV1〜CNVnの自己消弧素子の最大遮断電流を小さくできる利点がある。
(第6の実施の形態)図30は、本発明の第6の実施の形態の電力変換装置の構成図である。図中、SUPは3相交流電源、R、S、Tはその受電端子、TRは変圧器、CNV1、CNV2は電圧形自励式電力変換器、Cd1、Cd2は直流平滑コンデンサ、Loadは負荷装置を示している。尚、図1、図15、図19、図21、図28、図35と同一の要素には同一の符号を用いて表している。
3相変圧器TRの1次側はスター接続(Y接続)、2次側はスター接続(Y接続)とデルタ(Δ接続)されている。第1の変換器CNV1の交流端子は変圧器TRのY接続の2次巻線に接続され、第2の変換器CNV2の交流端子は変圧器TRのΔ接続の2次巻線に接続されている。3相ブリッジ結線の電力変換器CNV1とCNV2は、それぞれ自己消弧素子6個と逆並列ダイオード6個で構成され、その直流端子はそれぞれ直流平滑コンデンサCd1及びCd2に接続されている。当該直流平滑コンデンサCd1とCd2は直列接続され、当該コンデンサCd1及びCd2に印加される電圧の和Vd1+Vd2が負荷Loadに印加される。
本実施の形態の装置は、電圧形自励式電力変換器CNVを複数台(n台)用意し、適宜の位相差を持たせたn組の2次巻線を有する3相変圧器TRを用いて、交流側で並列多重運転し、直流側で直列接続するように構成したもので、変換装置の大容量化と、直流出力電圧Vdの高圧化、及び交流電源から供給される入力電流Isの高調波成分の低減を図ることができる。
電圧形自励式電力変換器CNV1、CNV2は、一定のパルスパターンで、交流電源の電圧Vsに同期したスイッチングを行う。直流電圧Vdが一定ならば、自励式変換器CNV1、CNV2の交流出力電圧Vc1、Vc2の振幅値は一定になる。この状態で、電源電圧Vsに対する出力電圧Vc1、Vc2の位相角φ1、φ2を変えることより、交流リアクトルLs1、Ls2(又は、変圧器TRのもれインダクタンス)に印加される電圧が変化し、各電圧形自励式電力変換器CNV1、CNV2の入力電流を調整することができる。自励式変換器CNV1、CNV2を一定のパルスパターンで制御する場合、入力電流Isの高調波成分が小さくなるようにスイッチングパターンを決めるが、変換器力率が1に近いところで動作させることにより、電流Isのゼロ点付近でスイッチングが行われ、自励式変換器CNV1、CNV2を構成する自己消弧素子の遮断電流を小さくすることができる。
電源電圧Vsに対する各変換器の出力電圧Vc1、Vc2の位相角φ1、φ2を遅れ方向に増加させることにより、交流電源から供給される有効電力Psが増加し、直流平滑コンデンサCd1、Cd2に印加される電圧の和Vd1+Vd2を増加させる。逆に位相角φを進み方向に増やすと、有効電力Psが交流電源に回生され、直流平滑コンデンサCd1とCd2に印加される電圧の和Vd1+Vd2を減少させる。これにより、直流平滑コンデンサCd1、Cd2に印加される電圧の和Vd1+Vd2を直接制御することができる。このとき、各直流平滑コンデンサCd1、Cd2に印加される電圧Vd1、Vd2は平衡するように制御される。すなわち、入力電流の制御ループを省略することができる。これにより、直流出力電圧の高圧化を図ることができ、入力電流Isの高調波成分が小さく、電力回生が可能で、高力率・高効率で、低コストの電力変換装置を提供できる。
図31は、図30の電力変換装置における制御回路の構成を示す図である。図31において、Fd(x)は直流電圧指令発生器、AD1、AD31、AD32は加算器、Kn、Ksは比例要素、C11、C12、C2は比較器、Gv1(S)、Gv2(S)は電圧制御補償回路、FFはフィードフォワード補償器、PLL1、PLL2は電源同期位相検出回路、PHC1、PHC2は位相制御回路である。尚、図1、図11、図13、図16〜18、図20、図22〜27、図29、図35と同一の要素には同一の符号を用いて表している。
直流電圧指令発生器Fd(x)は、負荷電流IL又は負荷電力PLに応じて直流電圧指令値Vd*を発生するもので、例えば、図12に示したような特性とする。
電源同期位相検出器PLL1は、変圧器TRのスター結線(Y結線)の2次電圧Vr1、Vs1、Vt1に同期した位相信号θr1、θs1、θt1を作り、位相制御回路PHC1に与える。同様に、電源同期位相検出器PLL2は、変圧器TRのデルタ結線(Δ結線)の2次電圧Vr2、Vs2、Vt2に同期した位相信号θr2、θs2、θt2を作り、位相制御回路PHC2に与える。位相信号θr2、θs2、θt2は、位相信号θr1、θs1、θt1に対し30°の位相差を持っている。
それぞれの変換器CNV1及びCNV2を一定パルスで位相制御する方法は、図4〜図9で説明したものと同様になる。このとき、第1の変換器CNV1の入力電流Ir1、Is1、It1は第2の変換器CNV2の入力電流Ir2、Is2、It2に対し、それぞれ30°の位相差があり、それを合成した変圧器TRの1次電流波形は高調波分が打ち消され、より正弦波に近い波形になる。
比較器C2により、電源電圧の実効値Vs(rms)を検出し、定格値Vso(rms)と比較する。その差分Vs(rms)−Vso(rms)=ΔVsを比例要素Ksを介して定数倍し、直流電圧指令の補償値ΔVd*=Ks・ΔVsとする。加算器AD1により、直流電圧指令値Vd*と補償値ΔVd*を加え、新たな直流電圧指令値Vd**=Vd*+ΔVd*とする。さらに、各変換器CNV1及びCNV2の直流電圧Vd1とVd2が同じになるように、比例要素Knを介して、上記直流電圧指令値Vd**を1/n=1/2倍する。
2台の変換器CNV1とCNV2の直流電圧は独立に制御される。すなわち、比較器C11により、直流電圧指令値Vd**/2と直流平滑コンデンサCd1に印加される電圧Vd1の検出値を比較し、偏差εv1=Vd**/2−Vd1を求める。電圧制御補償回路Gv1(S)により、当該偏差εv1を比例又は積分増幅する。当該直流電圧制御回路からの出力信号φo1*にフィードフォワード補償器FFからの出力信号φFFを加算し、制御位相角指令値φ1*=φo1*+φFFとして、第1の変換器CNV1の位相制御回路PHC1に入力する。直流平滑コンデンサCd1に印加される電圧Vd1は指令値Vd**/2に一致するように制御される。同様に、比較器C12により、直流電圧指令値Vd**/2と直流平滑コンデンサCd2に印加される電圧Vd2の検出値を比較し、偏差εv2=Vd**/2−Vd2を求める。電圧制御補償回路Gv2(S)により、当該偏差εv2を比例又は積分増幅する。当該直流電圧制御回路からの出力信号φo2*にフィードフォワード補償器FFからの出力信号φFFを加算し、制御位相角指令値φ2*=φo2*+φFFとし、第2の変換器CNV2の位相制御回路PHC2に入力する。直流平滑コンデンサCd2に印加される電圧Vd2は指令値Vd**/2に一致するように制御される。このとき、フィードフォワード補償器FFは、負荷電力PL又は直流出力電流ILから位相角指令値φFFを演算し、前向き補償信号として加えることにより、負荷急変時の直流電圧Vd1、Vd2の変動を抑制し、直流電圧制御の応答を改善する。
このようにして、Vd1=Vd2=Vd**/2に制御され、直流電圧が平衡化され、結果的に、2台の各電力変換器CNV1、CNV2の構成素子に印加される最大電圧も均等になる。また、直流電圧Vd1、Vd2が均等化されたことにより、交流側多重化の効果がそのまま出て、交流入力電流Isの高調波が低減される。これにより、直流出力電圧の高圧化を図ることができ、入力電流Isの高調波成分が小さく、電力回生が可能で、高力率・高効率で、低コストの電力変換装置を提供できる。尚、変圧器TRの2次電圧にバラツキがある場合、各電力変換器CNV1、CNV2の入力電流の無効分が異なった値になる。変圧器の2次電圧が高い電力変換器では入力電流の無効分(遅れ)が大きくなり、逆に、2次電圧が低い電力変換器では入力電流の無効分(遅れ)は小さくなる。
図32は、図30の装置における制御回路の他の構成を示す図である。図32において、Fd(x)は直流電圧指令発生器、Z1、Z2は座標変換器、AD21、AD22、AD31、AD32は加算器、Kdは比例要素、C11、C12、C3は比較器、Gv1(S)、Gv2(S)は電圧制御補償回路、FFはフィードフォワード補償器、PLL1、PLL2は電源同期位相検出回路、PHC1、PHC2は位相制御回路である。尚、図1、図11、図13、図16〜18、図20、図22〜27、図29、図31、図35と同一の要素には同一の符号を用いて表している。
直流電圧指令発生器Fd(x)は、負荷電流IL又は負荷電力PLに応じて直流電圧指令値Vd*を発生するもので、例えば、図12に示したような特性とする。
座標変換器Z1、Z2は3相電流(静止座標量)をdq軸電流(回転座標量)に変換するもので、座標変換器Z1には変圧器TRのY結線の2次電圧Vr1、Vs1、Vt1に同期した二相単位正弦波sinθ1とcosθ1を用い、座標変換器Z2には変圧器TRのΔ結線の2次電圧Vr2、Vs2、Vt2に同期した二相単位正弦波sinθ2とcosθ2を用いている。すなわち、座標変換器Z1により、変換器CNV1の入力電流Ir1、Is1、It1から有効電流Ip1と無効電流IQ1を得る。また、座標変換器Z2により、変換器CNV2の入力電流Ir2、Is2、It2から有効電流Ip2と無効電流IQ2を得る。このとき、Ip1、Ip2、IQ1、IQ2は直流量となる。
上記無効電流IQ1とIQ2を比較器C3に入力し、偏差εQ=IQ1−IQ2を求める。当該偏差εQを比例要素Kdで増幅し、電圧指令補正値ΔVd*として、加算器AD21及びAD22に入力する。加算器AD21により、直流電圧指令発生器Fd(x)からの出力信号Vd*と電圧指令補正値ΔVd*を加算し、第1の電力変換器CNV1の直流電圧指令値Vd1*とする。
比較器C11により、直流電圧指令値Vd1*と直流平滑コンデンサCd1に印加される電圧Vd1の検出値を比較し、偏差εv1=Vd1*−Vd1を求める。電圧制御補償回路Gv1(S)により、当該偏差εv1を比例又は積分増幅する。当該電圧制御補償回路Gv1(S)からの出力信号φo1*にフィードフォワード補償器FFからの出力信号φFFを加算し、制御位相角指令値φ1*=φo1*+φFFとして、第1の変換器CNV1の位相制御回路PHC1に入力する。直流平滑コンデンサCd1に印加される電圧Vd1は指令値Vd1*に一致するように制御される。同様に、加算器AD22により、直流電圧指令発生器Fd(x)からの出力信号Vd*と電圧指令補正値ΔVd*を加算し、第2の電力変換器CNV2の直流電圧指令値Vd2*とする。
比較器C12により、直流電圧指令値Vd2*と直流平滑コンデンサCd2に印加される電圧Vd2の検出値を比較し、偏差εv2=Vd2*−Vd2を求める。電圧制御補償回路Gv2(S)により、当該偏差εv2を比例又は積分増幅する。当該電圧制御補償回路Gv2(S)からの出力信号φo2*にフィードフォワード補償器FFからの出力信号φFFを加算し、制御位相角指令値φ2*=φo2*+φFFとし、第2の変換器CNV2の位相制御回路PHC2に入力する。直流平滑コンデンサCd2に印加される電圧Vd2は指令値Vd2*に一致するように制御される。このとき、フィードフォワード補償器FFは、負荷電力PL又は直流出力電流ILから位相角指令値φFFを演算し、前向き補償信号として加えることにより、負荷急変時の直流電圧Vd1、Vd2の変動を抑制し、直流電圧制御の応答を改善する。
第1の変換器CNV1の入力電流無効分IQ1が、第2の変換器CNV2の入力電流無効分IQ2より大きくなった場合、偏差εQは正の値となり、電圧指令補正値ΔVd*も正の値となる。この結果、Vd1*>Vd2*となり、第1の変換器CNV1の入力電流無効分IQ1が減少し、第2の変換器CNV2の入力電流無効分IQ2は増加する。逆に、IQ1<IQ2となった場合、偏差εQは負の値となり、電圧指令補正値ΔVd*も負の値となる。この結果、Vd1*<Vd2*となり、第1の変換器CNV1の入力電流無効分IQ1が増加し、第2の変換器CNV2の入力電流無効分IQ2は減少する。最終的に、IQ1=IQ2となって落ち着く。
3台以上の電力変換器では、全体の交流入力電流の遅れ無効分を台数分で割り、その値を基準にして、大きいか小さいかで、それぞれの補正量ΔVd*を求めて、直流電圧指令値Vd1*〜Vdn*を補正する。
これにより、複数台の電圧形自励式電力変換器の各入力電流の無効分が平衡化され、変圧器の2次電圧のバラツキによる影響をなくすことができる。
(第7の実施の形態)図33は、本発明の第7の実施の形態の電力変換装置の構成図である。図33において、SUPは3相交流電源、TR1、TR2、TR3は変圧器、CNV1、CNV2、CNV3は第1、第2及び第3の電圧形電力変換器、Cd1、Cd2、Cd3は直流平滑コンデンサ、Ld1、Ld2、Ld3は直流リアクトル、CB1、CB2、CB3は直流遮断器、Loadは負荷を示す。尚、図1、図15、図19、図21、図28、図30、図35と同一の要素には同一の符号を用いて表している。
例えば、電気鉄道用直流き電システムの変電所で、上記3台の電圧形自励式電力変換器CNV1〜CNV3は独立した運転がなされ、それぞれの直流平滑コンデンサCd1〜Cd3に印加される電圧を独立に制御するものである。
すなわち、電圧形自励式電力変換器CNV1は、交流電源SUPの周波数に同期した一定のパルスパターン(1パルス、3パルス、5パルス等)で動作し、その交流側出力電圧Vc1の電源電圧Vsに対する位相角φを制御することにより、直流電圧Vd1を制御する。パルスパターンを固定すると、直流電圧Vd1が一定ならば、交流側端子電圧Vc1の振幅値は一定になる。この状態で、電源電圧Vsに対する交流側端子電圧Vc1の位相角φ1を変えることにより、交流リアクトルLs(又は変圧器のもれインダクタンス)に印加される電圧(Vs−Vc1)が変化し、入力電流Is1=(Vs−Vc1)/(jω・Ls)を調整することができる。電源電圧Vsに対する出力電圧Vc1の位相角φ1を遅れ方向に増加させることにより、交流電源から供給される有効電力Ps1が増加し、直流電圧Vd1を増加させる。逆に、位相角φ1を進み方向に増やすと、有効電力Ps1が交流電源に回生され、直流電圧Vd1は低下する。ちなみに、位相角φ1=0では、有効電力Ps1の授受はない。他の電力変換器CNV2及びCNV3も同様に制御される。
このような電気鉄道の変電所では、複数台の電力変換器CNV1〜CNV3が距離的に離れた場所に設置される場合が多く、各変換器の出力電流や入力電流の検出値を他の変換器の制御に取り入れて負荷の平衡化を図る制御を行うことが難しい。しかし、変電所として、全体の装置の運転管理を行っており、実効値レベルではあるが複数の電力変換器の合計電流を検出し、運転管理制御に用いていることが多い。
図34は、図33の装置における制御回路の構成を示す図である。図34において、Gs1(S)〜Gs3(S)は電流平衡化制御補償回路、C11〜C13、C31〜C33は比較器、AD21〜AD23は加算器、Gv1(S)〜Gv3(S)は電圧制御補償回路、PLL1〜PLL3は電源同期位相検出回路、PHC1〜PHC3は位相制御回路である。尚、図1、図11、図13、図16〜18、図20、図22〜27、図29、図31、図32、図35と同一の要素には同一の符号を用いて表している。
運転管理制御盤から、変電所の電力変換器CNV1〜CNV3の運転台数と、入力電流の合計実効値Iso(rms)を各電力変換器CNV1〜CNV3の制御盤に取り入れる。例えば、運転台数が3台の場合、Iso(rms)/3を各変換器CNV1〜CNV3の入力電流実効値基準とする。例えば、第1の電力変換器CNV1では、比較器C31により、当該変換器の入力電流実効値Is1(rms)の検出値と基準電流Iso(rms)/3を比較し、その偏差を電流平衡化制御補償回路Gs1(S)で増幅して直流電圧指令の補正値ΔVd1*を作る。加算器AD21により、電圧指令値Vd1*と補正値ΔVd1*を加算し、新たな電圧指令値Vd1**を作る。当該電圧指令値Vd**に従って第1の電力変換器CNV1の直流平滑コンデンサCd1に印加される電圧Vd1が制御され、Vd1=Vd**となるように制御される。
Iso(rms)/3>Is1(rms)となった場合、補正値ΔVd1*が正の値となり、電圧指令値Vd1**を増加させる。その結果、第1の電力変換器CNV1の直流出力電流Idc1が増加し、入力電流実効値Is1(rms)も増加する。逆に、Iso(rms)/3<Is1(rms)となった場合、補正値ΔVd1*が負の値となり電圧指令値Vd1**が減少する。その結果、第1の電力変換器CNV1の直流出力電流Idc1が減少し、入力電流実効値Is1(rms)も減少する。最終的に、Iso(rms)/3≒Is1(rms)となって落ち着く。第2及び第3の電力変換器CNV2、CNV3も同様に制御され、各変換器の負荷バランスをとることができる。
電力変換器の運転台数が2台になった場合には、その情報に基づき、基準電流をIso(rms)/2にして制御すればよい。さらに、3台の電力変換器の定格出力容量が異なる場合には、次のように各電力変換器CNV1〜CNV3の電流基準Is1(rms)*〜Is3(rms)*を作る。すなわち、3台の電力変換器の定格出力をそれぞれPo1、Po2、Po3とした場合、
Is1(rms)*=Iso(rms)×Po1/(Po1+Po2+Po3)、
Is2(rms)*=Iso(rms)×Po2/(Po1+Po2+Po3)、
Is3(rms)*=Iso(rms)×Po3/(Po1+Po2+Po3)、
となり、運転する変換器の台数が2台になった場合には、停止する電力変換器の情報を運転管理制御盤から取り入れ、それを上記式に反映させればよい。例えば、CNV2が停止の場合、
Is1(rms)*=Iso(rms)×Po1/(Po1+Po3)、
Is3(rms)*=Iso(rms)×Po3/(Po1+Po3)、
となる。
以上のように、複数台の固定パルス位相制御の電圧形自励式電力変換器を並列運転する場合、各変換器の負荷分担を定格容量に応じて配分することができ、電気鉄道変電所の効率的な運転が可能となる。
本発明の第1の実施の形態の電力変換装置の構成図。 本発明の第1の実施の形態の電力変換装置の制御動作を説明するための交流側等価回路図。 本発明の第1の実施の形態の電力変換装置の制御動作を説明するための交流側電圧・電流ベクトル図。 本発明の第1の実施の形態の電力変換装置の位相制御動作を説明するための制御ブロック図。 本発明の第1の実施の形態の電力変換装置の位相制御動作を説明するためのタイムチャート図。 本発明の第1の実施の形態の電力変換装置の力行運転時の制御動作を説明するための各部動作波形図。 本発明の第1の実施の形態の電力変換装置の回生運転時の制御動作を説明するための各部動作波形図。 本発明の第1の実施の形態の電力変換装置の別の位相制御動作を説明するための別のタイムチャート図。 本発明の第1の実施の形態の電力変換装置の力行運転時の別の制御動作を説明するための各部動作波形図。 本発明の第1の実施の形態の電力変換装置の制御動作を説明するための交流側電圧・電流ベクトル図。 本発明の第1の実施の形態の電力変換装置における制御回路の別の構成を示すブロック図。 図11の制御回路の直流電圧発生器Fd(x)の動作特性例。 本発明の第1の実施の形態の電力変換装置における制御回路のさらに別の構成を示す図。 図13の制御回路動作を説明するための交流電源側の電圧・電流ベクトル図。 本発明の第2の実施の形態の電力変換装置の構成図。 本発明の第2の実施の形態の電力変換装置における制御回路の構成を示す図。 本発明の第2の実施の形態の電力変換装置における制御回路の別の構成を示すブロック図。 本発明の第2の実施の形態の電力変換装置における制御回路のさらに別の構成を示す図。 本発明の第3の実施の形態の電力変換装置の構成図。 本発明の第3の実施の形態の電力変換装置における制御回路の構成を示す図。 本発明の第4の実施の形態の電力変換装置の構成図。 本発明の第4の実施の形態の電力変換装置における制御回路の構成を示す図。 本発明の第4の実施の形態の電力変換装置における制御回路の別の構成を示すブロック図。 本発明の第4の実施の形態の電力変換装置における制御回路のさらに別の構成を示す図。 本発明の第4の実施の形態の電力変換装置における制御回路のさらに別の構成を示す図。 本発明の第4の実施の形態の電力変換装置における制御回路のさらに別の構成を示す図。 本発明の第4の実施の形態の電力変換装置における制御回路のさらに別の構成を示す図。 本発明の第5の実施の形態の電力変換装置の構成図。 本発明の第5の実施の形態の電力変換装置における制御回路の構成を示す図。 本発明の第6の実施の形態の電力変換装置の構成図。 本発明の第6の実施の形態の電力変換装置における制御回路の構成を示す図。 本発明の第6の実施の形態の電力変換装置における制御回路の別の構成を示すブロック図。 本発明の第7の実施の形態の電力変換装置の構成図。 本発明の第7の実施の形態の電力変換装置における制御回路の構成を示す図。 従来例の電力変換装置のブロック図。
符号の説明
SUP 交流電源
TR、TR1〜TR3 変圧器
CNV、CNV1〜CNV3 電圧形自励式電力変換器
S1〜S6 自己消弧素子
D1〜D6 高速ダイオード
Cd、Cd1〜Cd3 直流平滑コンデンサ
Ls 交流リアクトル(変圧器のもれインダクタンス)
Ld、Ld1〜Ld3 直流リアクトル
HSCB、CB1〜CB3 高速直流遮断器
Load 負荷
Fd(x) 直流電圧指令発生器
C1〜C3、C11〜C13、C21、C22、C31〜C33 比較器
AD、AD1、AD21〜AD23、AD3 加算器
ADr、ADs、ADt 加減算器
PTN1〜PTN3 パターン発生器
Gv(S)、Gv1(S)〜Gv3(S) 電圧制御補償回路
KΦ、Kv、Ks、Kn 比例要素
FF フィードフォワード補償器
Z1、Z2 3相/dq座標変換回路
PLL、PLL1〜PLL3 電源同期位相検出回路
PHC、PHC1〜PHC3 位相制御回路

Claims (27)

  1. 負荷装置に直流電力を供給する電力変換装置において、
    交流電源と、
    前記交流電源に変圧器を介して交流側端子が接続された電力変換器と、
    前記電力変換器の直流側端子に接続された直流平滑コンデンサと、
    前記交流電源の周波数に同期した一定のパルスパターンで動作させ、前記交流電源の電圧に対する前記電力変換器の交流側端子電圧の位相角を調整することにより前記直流平滑コンデンサに印加される直流電圧を制御する制御回路とを備えたことを特徴とする電力変換装置。
  2. 前記制御回路は、前記負荷装置への電力供給値から位相角指令値を演算し、前向き補償として前記直流電圧制御の出力信号に加え、前記交流電源の電圧に対する前記電力変換器の交流側端子電圧の位相角を調整することを特徴とする請求項1に記載の電力変換装置。
  3. 前記制御回路は、直流出力電流の大きさに応じて、前記直流平滑コンデンサに印加される直流電圧の指令値を変えるように前記電力変換器を制御することを特徴とする請求項1又は2に記載の電力変換装置。
  4. 前記制御回路は、前記直流平滑コンデンサに印加される直流電圧の指令値Vd*を、無負荷時の直流電圧指令値をVdo*、直流出力電流をIL、比例定数をklとした場合、Vd*=Vdo*−kl・ILとするように前記電力変換器を制御することを特徴とする請求項3に記載の電力変換装置。
  5. 前記制御回路は、前記交流電源の電圧が変動した場合、当該電源電圧の実効値の変化に合わせて前記直流平滑コンデンサに印加される電圧の指令値を変えるように前記電力変換器を制御することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の電力変換装置。
  6. 負荷装置に直流電力を供給する電力変換装置において、
    交流電源と、
    前記交流電源に変圧器を介して交流側端子が接続された複数台の電力変換器と、
    前記複数台の電力変換器の直流側共通端子に接続された直流平滑コンデンサと、
    前記交流電源の周波数に同期した一定のパルスパターンで動作させ、前記交流電源の電圧に対する各電力変換器の交流側端子電圧の位相角を調整することにより前記直流平滑コンデンサに印加される直流電圧を制御するように前記複数台の電力変換器を制御する制御回路とを備えたことを特徴とする電力変換装置。
  7. 前記制御回路は、直流出力電流又は負荷電力の大きさに応じて、前記直流平滑コンデンサに印加される電圧の指令値を変えて前記複数台の電力変換器を制御することを特徴とする請求項6に記載の電力変換装置。
  8. 前記制御回路は、前記複数台の電力変換器の各交流入力電流の有効分が平衡するように、前記電力変換器の制御位相角を補正することを特徴とする請求項6又は7に記載の電力変換装置。
  9. 前記制御回路は、前記複数台の電力変換器の各交流入力電流の実効値が平衡するように、前記電力変換器の制御位相角を補正することを特徴とする請求項6又は7に記載の電力変換装置。
  10. 負荷装置に直流電力を供給する電力変換装置において、
    交流電源と、
    前記交流電源に変圧器を介して交流側端子が接続された複数台の電力変換器と、
    前記複数台の電力変換器の直流側端子にそれぞれ並列に接続された複数個の直流平滑コンデンサと、
    前記交流電源の周波数に同期した一定のパルスパターンで動作させ、前記交流電源の電圧に対する各電力変換器の交流側端子電圧の位相角を調整することにより前記複数個の直流平滑コンデンサに印加される直流電圧を制御し、かつ前記複数台の電力変換器の各直流出力電流が平衡するように、前記各電力変換器の制御位相角を補正するように前記複数台の電力変換器を制御する制御回路とを備えたことを特徴とする電力変換装置。
  11. 負荷装置に直流電力を供給する電力変換装置において、
    交流電源と、
    前記交流電源に変圧器を介して交流側端子が接続された複数台の電力変換器と、
    前記複数台の電力変換器の直流側端子にそれぞれ並列に接続され、かつ、複数個の直流リアクトルそれぞれを介して前記負荷装置に接続される直流平滑コンデンサと、
    前記交流電源の周波数に同期する一定のパルスパターンで動作させ、前記交流電源の電圧に対する各電力変換器の交流側端子電圧の位相角を調整することにより前記複数個の直流平滑コンデンサに印加される各直流電圧を制御するように前記複数台の電力変換器を制御する制御回路とを備えたことを特徴とする電力変換装置。
  12. 前記制御回路は、直流出力電流又は負荷電力の大きさに応じて、前記複数個の直流平滑コンデンサに印加される各直流電圧の指令値を変えるように前記複数台の電力変換器を制御することを特徴とする請求項11に記載の電力変換装置。
  13. 前記制御回路は、前記複数台の電力変換器の各直流出力電流が平衡するように、前記複数台の電力変換器の各制御位相角を補正することを特徴とする請求項11又は12に記載の電力変換装置。
  14. 前記制御回路は、前記複数台の電力変換器の各直流出力電流が平衡するように、前記複数個の直流平滑コンデンサに印加される各電圧の指令値を補正することを特徴とする請求項11又は12に記載の電力変換装置。
  15. 前記制御回路は、前記複数台の電力変換器の各交流入力電流の有効分が平衡するように、前記複数台の電力変換器の各制御位相角を補正することを特徴とする請求項11又は12に記載の電力変換装置。
  16. 前記制御回路は、前記複数台の電力変換器の各交流入力電流の有効分が平衡するように、前記複数個の直流平滑コンデンサに印加される各直流電圧の指令値を補正することを特徴とする請求項11又は12に記載の電力変換装置。
  17. 前記制御回路は、前記複数台の電力変換器の各交流入力電流の実効値が平衡するように、前記複数台の電力変換器の各制御位相角を補正することを特徴とする請求項11又は12に記載の電力変換装置。
  18. 前記制御回路は、前記複数台の電力変換器の各交流入力電流の実効値が平衡するように、前記複数個の直流平滑コンデンサに印加される各直流電圧の指令値を補正することを特徴とする請求項11又は12に記載の電力変換装置。
  19. 負荷装置に直流電力を供給する電力変換装置において、
    3相交流電源と、
    前記3相交流電源に対し、1次巻線が各相毎に直列接続され、2次巻線の出力電圧が適宜の位相差を持つように構成された複数台の3相変圧器と、
    前記複数台の3相変圧器の各々の2次巻線に交流側端子が接続された複数台の3相ブリッジ結線の電力変換器と、
    前記複数台の電力変換器の直流側共通端子に接続された直流平滑コンデンサと、
    前記交流電源の電圧に同期する一定のパルスパターンで動作させ、前記交流電源の電圧に対する交流側端子電圧の位相角を調整することにより前記直流平滑コンデンサに印加される直流電圧を制御するように前記複数台の電力変換器を制御する制御回路とを備えたことを特徴とする電力変換装置。
  20. 前記制御回路は、直流出力電流又は負荷電力の大きさに応じて、前記直流平滑コンデンサに印加される直流電圧の指令値を変えるように前記複数台の電力変換器を制御することを特徴とする請求項19に記載の電力変換装置。
  21. 前記制御回路は、前記交流電源の電圧が変動する場合、前記電源電圧の実効値の変化に合わせて前記直流平滑コンデンサに印加される直流電圧の指令値を変えるように前記複数台の電力変換器を制御することを特徴とする請求項19又は20に記載の電力変換装置。
  22. 負荷装置に直流電力を供給する電力変換装置において、
    交流電源と、
    前記交流電源に変圧器を介して交流側端子が接続された複数台の電力変換器と、
    前記複数台の電力変換器の直流側端子それぞれに並列接続され、かつ互いに直列接続され、その直列接続された両端に負荷装置を接続する複数個の直流平滑コンデンサと、
    前記交流電源の周波数に同期する一定のパルスパターンで動作させ、前記交流電源の電圧に対する交流側端子電圧の位相角を調整することにより前記複数個の直流平滑コンデンサに印加される各直流電圧を制御するように前記複数台の電力変換器を制御する制御回路とを備えたことを特徴とする電力変換装置。
  23. 前記制御回路は、前記複数個の直流平滑コンデンサに印加される各直流電圧がほぼ等しくなるように前記複数台の電力変換器を制御することを特徴とする請求項22に記載の電力変換装置。
  24. 前記制御回路は、直流出力電流又は負荷電力の大きさに応じて、前記複数個の直流平滑コンデンサに印加される直流電圧の和の指令値を変えるように前記複数台の電力変換器を制御することを特徴とする請求項22又は23に記載の電力変換装置。
  25. 前記制御回路は、前記交流電源の電圧が変動する場合、前記交流電源電圧の実効値の変化に合わせて前記複数個の直流平滑コンデンサに印加される直流電圧の和の指令値を変えるように前記複数台の電力変換器を制御することを特徴とする請求項22〜24のいずれかに記載の電力変換装置。
  26. 前記制御回路は、前記各変換器の交流入力電流の無効分が平衡するように、前記複数個の直流平滑コンデンサに印加される各直流電圧の指令値を補正するように前記複数台の電力変換器を制御することを特徴とする請求項22〜25のいずれかに記載の電力変換装置。
  27. 並列運転される固定パルス位相制御の複数台の電力変換器を具備し、その運転台数を切り替えられるように構成された交流/直流変換用の電力変換装置において、
    前記複数台の電力変換器は、各変換器の直流電圧を制御する直流電圧制御手段と電圧指令補正手段とを有し、
    前記電圧指令補正手段は、前記複数台の電力変換器の運転情報と合計入力電流実効値とを使って、前記各変換器がそれぞれの定格容量に概ね比例して負荷を分担するように各直流電圧制御手段に与える電圧指令値を補正することを特徴とする電力変換装置。

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