JP4284053B2 - 電力変換装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電気鉄道直流き電システムにおける変電所等の地上設備で用いられる電力変換装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
電気鉄道直流き電システムにおける変電所等の地上設備で用いられる電力変換装置については、3相ブリッジ結線された電力用ダイオード整流器により3相交流電力を直流電力に変換する方式が多く採用されている(例えば、特許文献1参照)。この方式は過負荷耐量に優れ、変換器コストが安くできる利点を有する。しかし、電車が回生ブレーキをかけたときにその電力を交流電源側に回生できず、しばしば回生失効を起こすという欠点がある。また、負荷電流依存性があり、直流き電電圧が負荷によって大きく変動するという欠点もある。
【0003】
そこで、電圧形自励式電力変換器により電力変換を行う方式が採用されることがある(例えば、特許文献2参照)。図18は、電圧形自励式電力変換器として電力回生可能なPWMコンバータ(パルス幅変調制御コンバータ)を用いた従来の電力変換装置の構成図である。図中、R,S,Tは3相交流電源SUPの端子、Lsは交流リアクトル、CNVはPWMコンバータ(電圧形自励式電力変換器)、Cdは直流平滑コンデンサ,INVは3相出力のVVVF(可変電圧可変周波数)インバータ、Mは交流電動機、PTCは電力変換器制御回路をそれぞれ示す。
【0004】
この電力変換器制御回路PTCは、比較器C1,C2、電圧制御補償器Gv(S),乗算器ML,電流制御補償器Gi(S)、及びパルス幅変調制御回路PWMCを有している。図中、破線で囲まれた部分はR,S,Tの各相用の回路であり、図ではR相部分のみを詳しく示しているが、S相及びT相も同様に構成されている。但し、S相及びT相の各乗算器MLの下側入力端子にはSin{ωt+(2/3)π},Sin{ωt−(2/3)π}が入力される。
【0005】
電力変換器制御回路PTCは、直流平滑コンデンサCdに印加される電圧Vdが指令値Vd*に一致するように入力電流Ir,Is,Itを制御する。すなわち、電圧指令値Vd*と電圧検出値Vdとの偏差は制御補償器Gv(S)で増幅され、入力電流の振幅指令値Ismとされる。乗算器MLでR相の電圧に同期した単位正弦波sinωtと入力電流の振幅指令値Ismとが乗算され、これがR相の電流指令値Ir*とされる。
【0006】
R相電流指令値IrとR相電流検出値Irとが比較され、その偏差が電流制御補償器Gi(S)で反転増幅される。通常、比例増幅が使われ、Gi(S)=−Kiとなる。Kiは比例定数である。Gi(S)の出力である電圧指令値er=−Ki×(Ir−Ir)がPWM制御回路PWMCに入力され、コンバータCNVのR相の自己消弧素子S1,S4のゲート信号g1,g2が生成される。
【0007】
PWM制御回路PWMCは、電圧指令値erとキャリア信号X(例えば、1kHzの三角波)とを比較し、er>Xのときは、素子S1をオンさせ(S4はオフ)、er<Xのときは、素子S4をオン(S1はオフ)させる。この結果、コンバータCNVのR相電圧Vrは電圧指令値erに比例した電圧を発生する。
【0008】
Ir>Irの場合、電圧指令値erは負の値となり、Irを増加させる。逆に、Ir<Irの場合、電圧指令値erは正の値となり、Irを減少させる。故に、Ir=Irとなるように制御される。S相,T相の電流も同様に制御される。
【0009】
また、直流平滑コンデンサに印加される電圧Vdは、次のように制御される。すなわち、Vd>Vdとなった場合、入力電流の振幅指令値Ismが増加する。各相の電流指令値は電源電圧と同相となり、Ismに比例した有効電力Psが交流電源SUPから直流平滑コンデンサCdに供給されることになる。この結果。Vdが上昇し、Vd=Vdとなるように制御される。
【0010】
逆に、Vd<Vdとなった場合、入力電流の振幅指令値Ismは負の値となり、交流電源側に電力Psを回生する。故に、直流平滑コンデンサCdの蓄積エネルギーが減少し、Vdが減って、やはり、Vd=Vdとなるように制御される。
【0011】
VVVFインバータINV及び交流電動機Mは、直流平滑コンデンサCdを電圧源とする負荷で、力行運転時はコンデンサCdのエネルギーを消費し、Vdを減少させる方向に働く。また、回生運転時はその回生エネルギーを平滑コンデンサCdにもどすため、Vdを上昇させる方向に働く。前述のようにPWMコンバータCNVによって直流電圧Vdが一定になるように制御されるため、自動的に、力行運転では交流電源から見合った有効電力が供給され、回生運転時では回生エネルギーに見合った有効電力が交流電源側に回生されることになる。
【0012】
このように、PWMコンバータを用いた従来装置によれば、直流電圧を安定化することができ、電力回生が可能となり、電気鉄道の直流き電システムでの回生失効の問題も解決される。
【0013】
【特許文献1】
特開平8−242502号公報(第4頁、図2)
【特許文献2】
特開平7−79567号公報(第18頁、図1)
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、PWMコンバータは、高周波でスイッチングを行うためスイッチング損失が大きくなる欠点がある。また、スイッチング素子は、しゃ断電流として交流入力電流の最大値を切る能力が必要となる。従って、短時間の過負荷(例えば、定格電流の300%)でもそのしゃ断電流に耐えるように設計しなければならず、電力変換器として大きなものが必要となり、不経済なシステムとなってしまう問題がある。
【0015】
また、既設の電力用ダイオード整流器と並列運転する場合、PWMコンバータの入力電流は正弦波に近い波形に制御できるが、既設の電力用ダイオード整流器の入力電流高調波は、そのまま発生し、全体の入力電流高調波が大きく残ってしまう欠点があった。これを解決するため、PWMコンバータにアクティブフィルタの機能を持たせて、電力用ダイオード整流器の入力電流高調波を補償することも考えられるが、高調波を補償するだけの制御応答がPWMコンバータに要求され、PWM制御のキャリア周波数をさらに高くしなければならなくなる。また、アクティブフィルタ機能の分だけPWMコンバータの容量に余裕を持たせる必要があり、不経済なシステムとなってしまう。
【0016】
このように、従来装置では、電力回生が可能な電力変換器として、パルス幅変調制御による自励式変換器(PWMコンバータと呼ぶ)を用いた場合、ダイオード整流器を用いた場合に比べるとコストが高く、過負荷耐量も大きく出来ないという難点がある。また、PWM制御に伴うスイッチング損失が大きくなり、変換器効率が悪い等の問題もあった。更に、既設の電力用ダイオード整流器との並列運転では、当該ダイオード整流器の入力電流高調波が残ってしまい、システム全体としての高調波低減は、PWMコンバータを導入するだけの効果が得られないという問題もあった。
【0017】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、既設の電力用ダイオード整流器との並列運転ではシステム全体の高調波低減を図ることができ、また、過負荷耐量に優れ、電力回生が可能で、変換器効率が高く、経済的な電力変換装置を提供することを目的としている。
【0018】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するための手段として、請求項1記載の発明は、3相交流電源SUPに1次側が接続された第1の3相変圧器TRaと、前記3相交流電源SUPに1次側が接続され、且つ2次側電圧が前記第1の3相変圧器TRaと30°の位相差を有する第2の3相変圧器TRbと、電力用ダイオードが3相ブリッジ結線されて成り、前記第1の3相変圧器TRaの2次側に交流側端子が接続された電力用ダイオード整流器RECと、逆並列接続された高速ダイオードを有する自己消弧素子が3相ブリッジ結線されて成り、前記第2の3相変圧器TRbの2次側に交流側端子が接続された電圧形自励式電力変換器CNVと、前記電圧形自励式電力変換器CNVの交流側端子電圧Vcについてのパルスパターンを固定する固定パルス位相制御に基づき、前記自己消弧素子に対するスイッチング制御を行い、このスイッチング制御の際に前記自己消弧素子及び前記高速ダイオードを流れる入力電流Icについての制御を行うことにより前記直流平滑コンデンサCdの印加電圧Vdを制御する電力変換器制御回路PTCと、前記電力用ダイオード整流器REC及び電圧形自励式電力変換器CNVの直流共通端子間に接続され、力行時には負荷装置LOADに対して電力供給を行うと共に、回生時には負荷装置LOADから電力供給を受ける直流平滑コンデンサCdと、を備え、しかも前記電力変換器制御回路PTCは、前記交流電源SUPの電圧Vsに対する前記交流側端子電圧Vcの位相角φを調整することにより、力行時又は回生時における前記自己消弧素子のスイッチングを前記入力電流Icのゼロ点付近で行うようにし、これにより自己消弧素子の遮断電流及びスイッチング損失を低減させるものである、ことを特徴とする。
【0019】
本発明は、3相ブリッジ結線の電力用ダイオード整流器RECと3相ブリッジ結線の電圧形自励式電力変換器CNVの並列運転装置に係るもので、電力用ダイオード整流器RECの変圧器TRaと電圧形自励式電力変換器CNVの変圧器TRbのそれぞれの3相2次電圧に、電気角で30°の位相差を持たせている。
【0020】
電圧形自励式電力変換器CNVは、電源電圧に同期した一定のパルスパターン(1パルス,3パルス,5パルス等)で動作し、電源電圧Vsに対する位相角φを調整することにより、変換器CNVの入力電流Ic(有効分)を制御する。このとき、電圧形自励式電力変換器CNVは、力率=1付近で運転され、変換器を構成する自己消弧素子のスイッチングは入力電流Icのゼロ点付近で行われる。その結果、自己消弧素子のしゃ断電流は小さくなり、スイッチング損失は大幅に低減される。
【0021】
また、電圧形自励式電力変換器CNVは、入力電流Icの有効分を調整することにより、直流平滑コンデンサCdに印加される直流電圧Vdを指令値Vdに従って制御する。電圧形自励式電力変換器CNVは、一定のパルスパターンで、交流電源の電圧Vsに同期したスイッチングを行う。そのため、直流電圧Vdが一定ならば、変換器の交流出力電圧Vcの振幅値は一定になる。この状態で、電源電圧Vsに対する出力電圧Vcの位相角φを調整することにより、第2の変圧器TRbの漏れインダクタンスLbに印加される電圧(Vs−Vc)が変化し、変換器の入力電流Ic=(Vs−Vc)/(jω・Lb)を制御することができる。
【0022】
電源電圧Vsに対する出力電圧Vcの位相角φを遅れ方向に増加させることにより、交流電源SUPから供給される有効電力Psが増加する。逆に位相角φを進み方向に増やすと、有効電力Psが交流電源SUPに回生される。ちなみに、位相角φ=0では、有効電力の授受はない。電源電圧Vsと出力電圧Vcの大きさが同じ場合、入力電流Icの位相角は、電源電圧Vsに対し、φ/2又は、π−φ/2となり、入力力率は、cos(φ/2)となる。また、入力電流Icと自励式変換器CNVの交流出力電圧Vcとの位相差は、−φ/2又は、π+φ/2となり、変換器力率は、cos(φ/2)となる。位相角φは、入力電流Icと第2の変圧器TRbの漏れインダクタンスLbの値に依存する。位相角φは、過負荷運転時でも高々φ=30°程度で、入力力率はcos15°=0.966となる。
【0023】
力行運転時は、電圧形自励式電力変換器CNVの入力電流Icを制限することにより、直流電圧Vdが低下し、電力用ダイオード整流器RECから電力が供給されるようになり、電力用ダイオード整流器REC(6相相当)と電圧形自励式電力変換器CNV(6相相当)が並列運転される。このとき、当該電圧形自励式電力変換器CNVを1パルスモードで運転することにより、変圧器TRaとTRbとの間に位相差30°を持たせたことにより等価的に12相運転ができ、装置全体の入力電流高調波を低減させることができる。また、自励式電力変換器CNVを1パルスで運転することにより、スイッチング回数が最小になり、変換器効率が向上する。更に、交流側出力電圧Vcの基本波成分が大きくなり、自励式変換器の電圧利用率も向上する。また、変換器力率がほぼ1で運転されるため、入力電流Isのゼロ点付近で1回だけスイッチングを行うことになり、自己消弧素子のしゃ断電流は極めて小さくなる。この結果、高効率で低コストな電力変換装置を提供できる。
【0024】
一方、回生運転時は、電力用ダイオード整流器RECには電流が流れず、大部分の電流が電圧形自励式電力変換器CNVの自己消弧素子に流れる。従って、自励式電力変換器CNVの単独運転(6相相当)となり、入力電流高調波が大きくなることが懸念される。そこで、回生運転時には、制御パルス数を増やして、高調波を低減させる。
【0025】
自励式変換器CNVを一定のパルスパターンで制御する場合、入力電流Icの高調波成分が小さくなるようにスイッチングパターンを決めるが、回生運転時にも変換器力率が1に近いため、電流Icのゼロ点付近でスイッチングが行われ、自励式変換器CNVを構成する自己消弧素子の遮断電流は小さくて済む。これにより、電力回生が可能で、高力率・高効率で、低コストの電力変換装置を提供できる。
【0026】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記電力変換器制御回路PTCは、前記直流平滑コンデンサCdの印加電圧Vdが前記電力用ダイオード整流器RECの整流電圧Vrecより高くなるように、前記電圧形自励式電力変換器CNVの制御を行うものである、ことを特徴とする。
【0027】
入力電流Icは、電力変換器CNVの交流側出力電圧Vcの位相角φ(電源電圧Vsに対する)を調整することにより制御する。Vd>Vdとなった場合、位相角φを増やすことにより、入力電流Icの有効分が増加し、直流平滑コンデンサCdにエネルギーが供給され、電圧Vdは高くなる。逆に、Vd<Vdとなった場合、位相角φを負にすることにより、入力電流Icの有効分が負になり、電力が電源SUPに回生され、直流平滑コンデンサCdの蓄積エネルギーが減少し、電圧Vdは下がる。この結果、Vd=Vdに制御される。
【0028】
直流電圧指令値Vdは、電力用ダイオード整流器RECの整流電圧Vrecより高い値に設定する。Vd=Vd<Vrecとすると、電力用ダイオード整流器RECから電力が供給され、その電力を自励式電力変換器CNVが回生することになり、無駄な横流が流れてしまう。故に、Vd>Vrecに設定することにより、無駄な横流を流すことを防止できる。
【0029】
力行運転時(負荷LOADが電力を消費する場合)は、電力用ダイオード整流器RECと自励式電力変換器CNVの並列運転となるが、Vd>Vrecとなっているので、電力用ダイオード整流器RECからは電力を供給できない。負荷LOADには自励式電力変換器CNVから電力PLを供給することになる。そこで、自励式電力変換器CNVの電力供給を制限することにより、Vd>Vd=Vrecとなり、自励式電力変換器CNVは一定の電力Pcnvを供給し、電力用ダイオード整流器RECは、Prec=PL−Pcnv を供給するようになる。
【0030】
従来、電力用ダイオード整流器RECだけで運転した場合、負荷電力PLが増加するに従い、直流電圧Vrecは徐々に低下していたが、本発明の装置では、自励式電力変換器CNVの電力制限値Pcnvまでは、直流電圧Vdは一定に保持され、さらにそれ以上の負荷が増えると、直流電圧はVd=Vrecで徐々に下がっていくことになる。
【0031】
回生運転時(負荷側から電源側に電力を戻す場合)は、自励式電力変換器CNVだけで動作し、直流電圧Vd=Vd>Vrecで、ほぼ一定に制御される。
【0032】
これにより、無駄な横流を流すことなく直流電圧Vdの安定化が図られ、電気鉄道などでは、車載設備容量の低減が図られる。
【0033】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の発明において、前記電力変換器制御回路PTCは、前記負荷装置LOADで消費又は発生する有効電力PLの検出又は推定により前向き補償量IqFF*を求め、この前向き補償量IqFF*を前記入力電流Icの指令値に加えて、前記電圧形自励式電力変換器CNVの制御を行うものである、ことを特徴とする。
【0034】
電圧形自励式変換器CNVによって、直流電圧Vdが指令値Vdに一致するようにフィードバック制御を行っているが、負荷が急変した場合、その応答が間に合わないと、直流電圧Vdが大きく変動する。すなわち、負荷消費電力PLが急激に増えると、直流電圧Vdが低下し、必要な電力を送れなくなるだけでなく、電圧不足により、自励式変換器CNVの制御にも影響を与え、制御全体を不安定にすることもある。また、逆に、電車の回生ブレーキ等により、負荷側からの回生電力が急激に増えると、直流電圧Vdが上昇し、電力変換装置や負荷装置の耐圧を脅かすことになる。
【0035】
負荷装置LOADが消費又は発生する有効電力(又は有効電流)PLを検出又は推定し、当該有効電力PLに比例した前向き補償量IqFFを演算により求め、当該補償量IqFFを前記変換器の入力電流Icの有効分指令値に加えて制御することにより、直流電圧制御の応答を高めることができ、負荷急変に対しても、直流電圧Vdの変動幅が小さくなり、上記問題を解決することができる。
【0036】
請求項4記載の発明は、請求項2記載の発明において、前記電力変換器制御回路PTCは、前記入力電流Icの力行時における有効分指令値Iq*が所定値を超えないように制限を加えるものである、ことを特徴とする。
【0037】
力行運転時(負荷LOADが電力を消費する場合)は、電力用ダイオード整流器RECと自励式電力変換器CNVの並列運転となるが、Vd>Vrecとなっているので、電力用ダイオード整流器RECからは電力を供給できない。負荷LOADには自励式電力変換器CNVから電力PLを供給することになる。
【0038】
そこで、力行運転時には、電圧形自励式電力変換器CNVの入力電流Icを制限して制御することにより、自励式電力変換器CNVからの電力供給が制限され、直流電圧Vdは負荷が増加するに従って徐々に低下し、Vd>Vd=Vrecとなる。この結果、自励式電力変換器CNVは一定の電力Pcnvを供給するようになり、電力用ダイオード整流器RECからは、Prec=PL−Pcnvを供給するようになる。
【0039】
本発明の装置では、自励式電力変換器CNVの電力制限値Pcnvまでは、直流電圧Vdは一定に保持され、さらにそれ以上の負荷が増えるに従って徐々に直流電圧Vdが下がっていくことになる。回生運転時(負荷側から電源側に電力を戻す場合)は、自励式電力変換器CNVだけで動作し、直流電圧Vd=Vd>Vrecで、ほぼ一定に制御される。
【0040】
これにより、電力用ダイオード整流器RECと自励式電力変換器CNVの安定した並列運転が可能となる。また、力行運転時の自励式電力変換器CNVの出力がPcnvに制限され、高速ダイオードD1〜D6の最大電流を小さく抑えることができ、かつ、自己消弧素子S1〜S6のしゃ断電流も抑えることが可能となる。さらに、直流電圧Vdの安定化が図られ、電気鉄道などでは、車載設備容量の低減が図られる。
【0041】
請求項5記載の発明は、請求項1乃至4のいずれかに記載の発明において、前記電力変換器制御回路PTCは、前記固定パルス位相制御を行う場合の固定パルス数を、力行時の負荷電力が所定値PLo以上のときは1パルスとし、力行時の負荷電力が所定値PLoを下回るときは3パルス以上とする、ことを特徴とする。
【0042】
力行運転で、消費する負荷電力が大きくなり、電力用ダイオード整流器RECと電圧形自励式電力変換器CNVで並列運転する場合、変圧器TRaとTRbの2次電圧位相を30°ずらしているため、電圧形自励式電力変換器CNV(6相相当)を1パルスモードで運転することにより、電力用ダイオード整流器REC(6相1パルス運転)とで等価的に12相運転ができ、全体の入力電流の高調波を低減させることができる。負荷電力が設定した値PLoより小さいときは、電圧形自励式電力変換器CNVがその負荷を負担するので、当該自励式電力変換器CNVの制御パルス数を増やすことにより、入力電流高調波を減らすことができる。
【0043】
回生運転では、全て電圧形自励式電力変換器CNVが回生電力を負担するので、やはり、当該自励式電力変換器CNVの制御パルス数を増やすことにより、入力電流高調波を減らすことができる。
【0044】
請求項6記載の発明は、請求項1乃至3のいずれかに記載の発明において、前記電力変換器制御回路PTCは、力行時には前記電圧形自励式電力変換器CNVの自己消弧素子をゲートブロックして、この電力変換器CNVをダイオード整流器として運転し、回生時に上記ゲートブロックの解除を行うものである、ことを特徴とする。
【0045】
3相ブリッジ結線の電圧形自励式電力変換器CNVは、6個の自己消弧素子(GTOやIGBT等)と逆並列接続された6個のダイオードで構成されている。力行運転時に、当該自己消弧素子をゲートブロックすることにより、電圧形自励式電力変換器CNVは3相ブリッジ結線のダイオード整流器(6相相当)として動作する。その結果、3相ブリッジ結線された電力用ダイオード整流器REC(6相相当)と当該自励式変換器CNVのダイオード整流器(6相相当)が並列運転され、変圧器TRaとTRbの2次電圧位相を30°ずらしているため、等価的に12相運転が行われ、その全体の入力電流高調波を低減することができる。
【0046】
回生運転時に、当該ゲートブロックを解除することにより、電圧形自励式電力変換器CNVの本来の動作が行われ、電力回生と直流電圧の安定化が図られる。
【0047】
請求項7記載の発明は、請求項1乃至6のいずれかに記載の発明において、前記電力変換器制御回路PTCは、回生時には前記固定パルス位相制御を行う場合の固定パルス数を3パルス以上とする、ことを特徴とする。
【0048】
すなわち、回生運転では、電圧形自励式電力変換器CNV(6相相当)が全て回生電力を負担するので、1パルスモードで運転すると、入力電流高調波が増加する。そこで、当該自励式電力変換器CNVの制御パルス数を増やすことにより、入力電流高調波を減らすことができる。
【0049】
自励式変換器CNVを一定のパルスパターンで制御する場合、入力電流Icの高調波成分が小さくなるようにスイッチングパターンを決めるが、回生運転時にも変換器力率が1に近いため、電流Icのゼロ点付近でスイッチングが行われ、自励式変換器CNVを構成する自己消弧素子の遮断電流は小さくて済む。これにより、電力回生が可能で、高力率・高効率で、入力電流高調波が少ない電力変換装置を提供できる。
【0050】
請求項8記載の発明は、3相交流電源SUPに1次側が接続された第1の3相変圧器TRaと、前記3相交流電源SUPに1次側が接続され、且つ2次側電圧が前記第1の3相変圧器TRaと30°の位相差を有する第2の3相変圧器TRbと、電力用ダイオードが3相ブリッジ結線されて成り、前記第1の3相変圧器TRaの2次側に交流側端子が接続された第1の電力用ダイオード整流器REC1と、電力用ダイオードが3相ブリッジ結線されて成り、前記第2の3相変圧器TRbの2次側に交流側端子が接続された第2の電力用ダイオード整流器REC2と、逆並列接続された高速ダイオードを有する自己消弧素子が3相ブリッジ結線されて成り、前記第2の3相変圧器TRbの2次側にリカバリ電流抑制リアクトルLaを介して交流側端子が接続された電圧形自励式電力変換器CNVと、前記電圧形自励式電力変換器CNVの交流側端子電圧Vcについてのパルスパターンを固定する固定パルス位相制御に基づき、前記自己消弧素子に対するスイッチング制御を行い、このスイッチング制御の際に前記自己消弧素子及び前記高速ダイオードを流れる入力電流Icについての制御を行うことにより前記直流平滑コンデンサCdの印加電圧Vdを制御する電力変換器制御回路PTCと、前記第1及び第2の電力用ダイオード整流器REC1,REC2並びに電圧形自励式電力変換器CNVの直流共通端子間に接続され、力行時には負荷装置LOADに対して電力供給を行うと共に、回生時には負荷装置LOADから電力供給を受ける直流平滑コンデンサCdと、を備え、しかも前記電力変換器制御回路PTCは、前記交流電源SUPの電圧Vsに対する前記交流側端子電圧Vcの位相角φを調整することにより、力行時又は回生時における前記自己消弧素子のスイッチングを前記入力電流Icのゼロ点付近で行うようにし、これにより自己消弧素子の遮断電流及びスイッチング損失を低減させるものである、ことを特徴とする。
【0051】
本発明は、3相ブリッジ結線の第1及び第2の電力用ダイオード整流器REC1,REC2と3相ブリッジ結線の電圧形自励式電力変換器CNVの並列運転装置に係るもので、第1の電力用ダイオード整流器REC1の変圧器TRaと第2の電力用ダイオード整流器REC2の変圧器TRbのそれぞれの3相2次電圧は、電気角で30°の位相差を持たせている。
【0052】
また、電圧形自励式電力変換器CNVの交流側端子は、第2の電力用ダイオード整流器REC2の変圧器TRbの2次側端子にリカバリ電流抑制リアクトルとしての交流リアクトルLaを介して接続されている。当該交流リアクトルLaは、電圧形自励電力変換器CNVの自己消弧素子が動作したとき、第2の電力用ダイオード整流器REC2の電力用ダイオードに流れ込むリカバリ電流を抑制する役目をする。
【0053】
電圧形自励式電力変換器CNVは、電源電圧に同期した一定のパルスパターン(1パルス,3パルス,5パルス等)で動作し、電源電圧Vに対する位相角φを調整することにより、変換器CNVの入力電流I(有効分)を制御する。このとき、電圧形自励式電力変換器CNVは力率=1付近で運転され、変換器を構成する自己消弧素子のスイッチングは入力電流Iのゼロ点付近で行われる。その結果、自己消弧素子のしゃ断電流は小さくなり、スイッチング損失は大幅に低減される。
【0054】
また、電圧形自励式電力変換器CNVは、前記入力電流Iの有効分を調整することにより、直流平滑コンデンサCに印加される電圧Vdを指令値Vdに従って制御する。電圧形自励式電力変換器CNVは、一定のパルスパターンで、交流電源の電圧Vに同期したスイッチングを行う。そのため、直流電圧Vdが一定ならば、変換器CNVの交流側端子電圧Vの振幅値は一定になる。この状態で、電源電圧Vに対する変換器CNVの交流側端子電圧Vの位相角φを調整することにより、第2の変圧器TRbのもれインダクタンスLに印加される電圧(V−V)が変化し、変換器の入力電流I=(V−V)/(jω・L)を制御することができる。
【0055】
電源電圧Vに対する変換器CNVの交流側端子電圧Vの位相角φを遅れ方向に増加させることにより、交流電源SUPから供給される有効電力Pが増加し、直流平滑コンデンサCに印加される直流電圧Vdが増加する。逆に、位相角φを進み方向に増やすと、有効電力Pが交流電源SUPに回生され、直流電圧Vdが減少する。このようにして、Vd=Vdに制御される。
【0056】
力行運転時は、電圧形自励式電力変換器CNVの入力電流Iを制限することにより、直流電圧Vdが低下し、第1及び第2の電力用ダイオード整流器REC1,REC2から電力が負荷に供給されるようになる。このとき、変圧器TRaとTRbとの間に位相差30°を持たせたことにより、等価的に12相運転ができ、装置全体の入力電流高調波を低減させることができる。
【0057】
一方、回生運転時は、電力用ダイオード整流器REC1,REC2には電流が流れず、大部分の電流が電圧形自励式電力変換器CNVの自己消弧素子に流れる。従って、自励式電力変換器CNVの単独運転(6相相当)となり、入力電流高調波が大きくなることが懸念される。そこで、回生運転時には、自励式電力変換器の制御パルス数を増やして、高調波を低減させる。
【0058】
自励式変換器CNVを一定のパルスパターンで制御する場合、入力電流Iの高調波成分が小さくなるようにスイッチングパターンを決めるが、回生運転時にも変換器力率が1に近いため、電流Iのゼロ点付近でスイッチングが行われ、自励式変換器CNVを構成する自己消弧素子の遮断電流は小さくて済む。これにより、電力回生が可能で、高力率・高効率で、低コストの電力変換装置を提供できる。
【0059】
請求項9記載の発明は、請求項8記載の発明において、前記電力変換器制御回路PTCは、前記入力電流Icの制御に変えて、この入力電流Icと前記第2の電力用ダイオード整流器REC2の入力電流Irec2との和電流Is2の制御を行うものである、ことを特徴とする。
【0060】
本発明は、請求項8記載の発明と同様に、3相ブリッジ結線の第1及び第2の電力用ダイオード整流器REC1,REC2と3相ブリッジ結線の電圧形自励式電力変換器CNVの並列運転装置に係るもので、第1の電力用ダイオード整流器REC1の変圧器TRaと第2の電力用ダイオード整流器REC2の変圧器TRbのそれぞれの3相2次電圧は、電気角で30°の位相差を持たせている。また、電圧形自励式電力変換器CNVの交流側端子は、第2の電力用ダイオード整流器REC2の変圧器TRbの2次側端子に交流リアクトルLaを介して接続されている。当該交流リアクトルLaは、前記電圧形自励電力変換器CNVの自己消弧素子が動作したとき、第2の電力用ダイオード整流器REC2の電力用ダイオードに流れ込むリカバリ電流を抑制する役目をする。
【0061】
電圧形自励式電力変換器CNVは、電源電圧に同期した一定のパルスパターン(1パルス,3パルス,5パルス等)で動作し、電源電圧Vに対する位相角φを調整することにより、当該自励式電力変換器CNVの入力電流Iと第2の電力用ダイオード整流器REC2の入力電流Irec2との和電流Is2を制御する。このとき、電圧形自励式電力変換器CNVは力率=1付近で運転され、変換器を構成する自己消弧素子のスイッチングは前記入力和電流Is2のゼロ点付近で行われる。その結果、自己消弧素子のしゃ断電流は小さくなり、スイッチング損失は大幅に低減される。
【0062】
また、電圧形自励式電力変換器CNVは、入力和電流Is2の有効分を調整することにより、直流平滑コンデンサCに印加される電圧Vdを指令値Vdに従って制御する。電圧形自励式電力変換器CNVは、一定のパルスパターンで、交流電源の電圧Vに同期したスイッチングを行う。そのため、直流電圧Vdが一定ならば、変換器CNVの交流側端子電圧Vの振幅値は一定になる。この状態で、電源電圧Vに対する変換器CNVの交流側端子電圧Vの位相角φを調整することにより、第2の変圧器TRbのもれインダクタンスLに印加される電圧(V−V)が変化し、入力和電流Is2=(V−V)/(jω・L)を制御することができる。電源電圧Vに対する変換器CNVの交流側端子電圧Vの位相角φを遅れ方向に増加させることにより、交流電源SUPから供給される有効電力Pが増加し、直流平滑コンデンサCに印加される直流電圧Vdが増加する。逆に位相角φを進み方向に増やすと、有効電力Pが交流電源SUPに回生され、直流電圧Vdが減少する。このようにして、Vd=Vdに制御される。
【0063】
力行運転時は、自励式電力変換器CNVの入力電流Iと第2の電力用ダイオード整流器REC2の入力電流Irec2との和電流Is2を制限することにより、直流電圧Vdが低下し、第1の電力用ダイオード整流器REC1から電力が負荷に供給されるようになる。このとき、変圧器TRaとTRbと間に位相差30°を持たせているため、当該「電圧形自励式電力変換器CNV+第2の電力用ダイオード整流器REC2」を1パルスモードで運転することにより、第1の電力用ダイオード整流器REC1と合せて、等価的に12相運転ができ、装置全体の入力電流高調波を低減させることができる。また、自励式電力変換器CNVを1パルスで運転することにより、スイッチング回数が最小になり、変換器効率が向上する。また、交流側出力電圧Vの基本波成分が大きくなり、自励式変換器の電圧利用率も向上する。また、変換器力率がほぼ1で運転されるため、入力電流Iのゼロ点付近で1回だけスイッチングを行うことになり、自己消弧素子のしゃ断電流は極めて小さくなる。この結果、高効率で低コストな電力変換装置を提供できる。
【0064】
請求項10記載の発明は、請求項8又は9記載の発明において、前記電力変換器制御回路PTCは、前記直流平滑コンデンサCdの印加電圧Vdが前記第1及び第2の電力用ダイオード整流器REC1,REC2の整流電圧Vrecより高くなるように、前記電圧形自励式電力変換器CNVの制御を行うものである、ことを特徴とする。
【0065】
入力電流Iは、電力変換器CNVの交流側出力電圧Vの位相角φ(電源電圧Vに対する)を調整することにより制御する。Vd>Vdとなった場合、位相角φを増やすことにより、入力電流Iの有効分が増加し、直流平滑コンデンサCにエネルギーが供給され、電圧Vdは高くなる。逆に、Vd<Vdとなった場合、位相角φを負にすることにより、入力電流Iの有効分が負になり、電力が電源SUPに回生され、直流平滑コンデンサCの蓄積エネルギーが減少し、直流電圧Vdは下がる。この結果、Vd=Vdに制御される。
【0066】
直流電圧指令値Vdは、第1及び第2の電力用ダイオード整流器REC1,REC2の整流電圧Vrecより高い値に設定する。Vd=Vd<Vrecとすると、第1及び第2の電力用ダイオード整流器REC1,REC2から負荷に電力が供給され、その電力を自励式電力変換器CNVが回生することになり、無駄な横流が流れてしまう。故に、Vd>Vrecに設定することにより、無駄な横流が流れることを防止できる。
【0067】
力行運転時(負荷LOADが電力を消費する場合)は、第1及び第2の電力用ダイオード整流器REC1,REC2と、自励式電力変換器CNVの並列運転となるが、Vd>Vrecとなっているので、第1及び第2の電力用ダイオード整流器REC1,REC2からは電力を供給できない。負荷LOADには自励式電力変換器CNVから電力Pを供給することになる。そこで、自励式電力変換器CNVの電力供給を制限することにより、Vd>Vd=Vrecとなり、自励式電力変換器CNVは一定の電力Pcnvを供給し、第1及び第2の電力用ダイオード整流器REC1,REC2は、Prec=P−Pcnv を供給するようになる。
【0068】
従来、電力用ダイオード整流器REC1,REC2だけで運転した場合、負荷電力Pが増加するに従い、直流電圧Vrecは徐々に低下していたが、本発明装置では、自励式電力変換器CNVの電力制限値Pcnvまでは、直流電圧Vdは一定に保持され、さらにそれ以上負荷が増えると、直流電圧はVd=Vrecで徐々に下がっていくことになる。
【0069】
回生運転時(負荷側から電源側に電力を戻す場合)は、自励式電力変換器CNVだけで動作し、直流電圧Vd=Vd>Vrecで、ほぼ一定に制御される。
【0070】
これにより、無駄な横流を流すことなく直流電圧Vdの安定化が図られ、電気鉄道などでは、車載設備容量の低減が図られる。
【0071】
請求項11記載の発明は、請求項8又は10記載の発明において、前記電力変換器制御回路PTCは、前記負荷装置LOADで消費又は発生する有効電力PLの検出又は推定により前向き補償量IqFF*を求め、この前向き補償量IqFF*を前記入力電流Icの指令値に加えて、前記電圧形自励式電力変換器CNVの制御を行うものである、ことを特徴とする。
【0072】
電圧形自励式変換器CNVによって、直流電圧Vdが指令値Vdに一致するようにフィードバック制御を行っているが、負荷が急変した場合、その応答が間に合わないと、直流電圧Vdが大きく変動する。すなわち、負荷消費電力Pが急激に増えると、直流電圧Vdが低下し、必要な電力を送れなくなるだけでなく、電圧不足により、自励式変換器CNVの制御にも影響を与え、制御全体を不安定にすることもある。また、逆に、電車の回生ブレーキ等により、負荷側からの回生電力が急激に増えると、直流電圧Vdが上昇し、電力変換装置や負荷装置の耐圧を脅かすことになる。
【0073】
負荷装置LOADが消費又は発生する有効電力(又は有効電流)Pを検出又は推定し、当該有効電力Pに比例した前向き補償量IqFF を演算により求め、当該補償量IqFF を変換器の入力電流Iの有効分指令値に加えて制御することにより、直流電圧制御の応答を高めることができ、負荷急変に対しても、直流電圧Vdの変動幅が小さくなり、上記問題を解決することができる。
【0074】
請求項12記載の発明は、請求項9又は10記載の発明において、前記電力変換器制御回路PTCは、前記負荷装置LOADで消費又は発生する有効電力PLの検出又は推定により前向き補償量IqFF*を求め、この前向き補償量IqFF*を前記入力電流Icと前記第2の電力用ダイオード整流器REC2の入力電流Irec2との和電流Is2の指令値に加えて、前記電圧形自励式電力変換器CNVの制御を行うものである、ことを特徴とする。
【0075】
電圧形自励式変換器CNVによって、直流電圧Vdが指令値Vdに一致するようにフィードバック制御を行っているが、負荷が急変した場合、その応答が間に合わないと、直流電圧Vdが大きく変動する。すなわち、負荷消費電力Pが急激に増えると、直流電圧Vdが低下し、必要な電力を送れなくなるだけでなく、電圧不足により、自励式変換器CNVの制御にも影響を与え、制御全体を不安定にすることもある。また、逆に、電車の回生ブレーキ等により、負荷側からの回生電力が急激に増えると、直流電圧Vdが上昇し、電力変換装置や負荷装置の耐圧を脅かすことになる。
【0076】
負荷装置LOADが消費又は発生する有効電力(又は有効電流)Pを検出又は推定し、当該有効電力Pに比例した前向き補償量IqFF を演算により求め、当該補償量IqFF を、当該電力変換器CNVの入力電流Iと第2の電力用ダイオード整流器REC2の入力電流Irec2との和電流Is2の有効分指令値に加えて制御することにより、直流電圧制御の応答を高めることができ、負荷急変に対しても、直流電圧Vdの変動幅が小さくなり、上記問題を解決することができる。
【0077】
請求項13記載の発明は、請求項11記載の発明において、前記電力変換器制御回路PTCは、前記入力電流Icの力行時における有効分指令値Iq*が所定値を超えないように制限を加えるものである、ことを特徴とする。
【0078】
自励式電力変換器CNVの直流電圧指令値Vdは、第1及び第2の電力用ダイオード整流器REC1,REC2の整流電圧Vrecより高い値に設定する。Vd=Vd<Vrecとすると、電力用ダイオード整流器REC1,REC2から電力が供給され、その電力を自励式電力変換器CNVが回生することになり、無駄な横流が流れてしまう。故に、常に、Vd>Vrecに設定する必要がある。
【0079】
力行運転時(負荷LOADが電力を消費する場合)は、電力用ダイオード整流器REC1,REC2と自励式電力変換器CNVの並列運転となるが、Vd>Vrecとなっているので、電力用ダイオード整流器REC1,REC2からは電力を供給できない。負荷LOADには自励式電力変換器CNVから電力Pを供給することになる。
【0080】
そこで、力行運転時には、電圧形自励式電力変換器CNVの入力電流Iを制限して制御することにより、自励式電力変換器CNVからの電力供給が制限され、直流電圧Vdは負荷が増加するに従って徐々に低下し、Vd>Vd=Vrecとなる。この結果、自励式電力変換器CNVは一定の電力Pcnvを供給するようになり、電力用ダイオード整流器REC1,REC2からは、Prec=P−Pcnvを供給するようになる。
【0081】
本発明では、自励式電力変換器CNVの電力制限値Pcnvまでは、直流電圧Vdは一定に保持され、さらにそれ以上の負荷が増えるに従って徐々に直流電圧Vdが下がっていくことになる。回生運転時(負荷側から電源側に電力を戻す場合)は、自励式電力変換器CNVだけで動作し、直流電圧Vd=Vd>Vrecで、ほぼ一定に制御される。
【0082】
これにより、電力用ダイオード整流器REC1,REC2と電圧形自励式電力変換器CNVの安定した並列運転が可能となる。また、力行運転時の自励式電力変換器CNVの出力がPcnvに制限され、高速ダイオードD1〜D6の最大電流を小さく抑えることができ、かつ、自己消弧素子S1〜S6のしゃ断電流も抑えることが可能となる。さらに、直流電圧Vdの安定化が図られ、電気鉄道などでは、車載設備容量の低減が図られる。
【0083】
請求項14記載の発明は、請求項8乃至13のいずれかに記載の発明において、前記電力変換器制御回路PTCは、前記固定パルス位相制御を行う場合の固定パルス数を、力行時の負荷電力が所定値PLo以上のときは1パルスとし、力行時の負荷電力が所定値PLoを下回るときは3パルス以上とする、ことを特徴とする。
【0084】
力行運転で、消費する負荷電力が大きくなり、第1の電力用ダイオード整流器REC1と、「電圧形自励式電力変換器CNV+第2の電力用ダイオード整流器REC2」で並列運転する場合、変圧器TRaとTRbの2次電圧位相を30°ずらしているため、「電圧形自励式電力変換器CNV+第2の電力用ダイオード整流器REC2」(6相相当)を1パルスモードで運転することにより、第1の電力用ダイオード整流器REC1(6相1パルス運転)とで等価的に12相運転ができ、装置全体の入力電流の高調波を低減することができる。負荷電力が設定した値PLoより小さいときは、「電圧形自励式電力変換器CNV+第2の電力用ダイオード整流器REC2」がその負荷を負担するので、当該自励式電力変換器CNVの制御パルス数を増やすことにより、入力電流高調波を減らすことができる。
【0085】
回生運転では、全て「電圧形自励式電力変換器CNV+第2の電力用ダイオード整流器REC2」が回生電力を負担するので、やはり、当該自励式電力変換器CNVの制御パルス数を増やすことにより、入力電流高調波を減らすことができる。
【0086】
請求項15記載の発明は、請求項8乃至12のいずれかに記載の発明において、前記電力変換器制御回路PTCは、力行時には前記電圧形自励式電力変換器CNVの自己消弧素子をゲートブロックして、この電力変換器CNVをダイオード整流器として運転し、回生時に上記ゲートブロックの解除を行うものである、ことを特徴とする。
【0087】
力行運転時に、電圧形自励式電力変換器CNVをゲートブロックすることにより、第1の電力用ダイオード整流器REC1(6相相当)と、第2の電力用ダイオード整流器REC2(6相相当)が並列運転され、変圧器TRaとTRbの2次電圧位相を30°ずらしているため、等価的に12相運転が行われ、その全体の入力電流高調波を低減することができる。
【0088】
回生運転時に、当該ゲートブロックを解除することにより、電圧形自励式電力変換器CNVの本来の動作が行われ、電力回生と直流電圧の安定化が図られる。
【0089】
請求項16記載の発明は、請求項8乃至15のいずれかに記載の発明において、前記電力変換器制御回路PTCは、回生時には前記固定パルス位相制御を行う場合の固定パルス数を3パルス以上とする、ことを特徴とする。
【0090】
すなわち、回生運転では、「電圧形自励式電力変換器CNV+第2の電力用ダイオード整流器REC2」が全て回生電力を負担するので、1パルスモードで運転すると、入力電流高調波が増加する。本発明装置では、当該自励式電力変換器CNVの制御パルス数を増やすことにより、入力電流高調波を減らすことができる。
【0091】
自励式変換器CNVを一定のパルスパターンで制御する場合、入力電流Iの高調波成分が小さくなるようにスイッチングパターンを決めるが、回生運転時にも変換器力率が1に近いため、電流Iのゼロ点付近でスイッチングが行われ、自励式変換器CNVを構成する自己消弧素子の遮断電流は小さくて済む。これにより、電力回生が可能で、高力率・高効率で、入力電流高調波が少ない電力変換装置を提供できる。
【0092】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図に基づき説明する。但し、図18と同様の構成要素には同一符号を付し、重複した説明は適宜省略することがある。図1は第1の実施形態の構成図である。
【0093】
図1において、SUPは3相交流電源、TRaは第1の3相変圧器、TRbは第2の3相変圧器、RECは電力用ダイオード整流器、CNVは電圧形自励式電力変換器、Cは直流平滑コンデンサ、LOADは負荷装置、PTCは電力変換器制御回路をそれぞれ示す。
【0094】
電力変換器制御回路PTCは、比較器C1,C2、加算器AD、電圧制御補償回路G(S)、電流制御補償回路G(S)、フィードフォワード補償回路FF、リミッタ回路LIM、座標変換回路Z、電源同期位相検出回路PLL、位相制御回路PHCを有している。
【0095】
図2は、図1の装置の主回路の具体的構成例を示すもので、電力用ダイオード整流器RECは、電力用ダイオードPD1〜PD6により3相ブリッジ結線されて構成されている。また、電圧形自励式電力変換器CNVは、自己消弧素子(GTOやIGBT等)S1〜S6と、当該自己消弧素子S1〜S6に逆並列接続された高速ダイオードD1〜D6とで構成されている。
【0096】
電力用ダイオード整流器RECの交流側端子は第1の3相変圧器TRaを介して、また、電圧形自励式電力変換器CNVの交流側端子は第2の3相変圧器TRbを介して交流電源SUPに接続されている。電力用ダイオード整流器RECの3相変圧器TRaは、例えば、Δ/Δ結線されるのに対し、電圧形自励式電力変換器CNVの3相変圧器TRbは、例えば、Δ/Y結線することにより、それぞれの3相2次電圧は、電気角で30°の位相差を持たせている。また、電力用ダイオード整流器RECの直流側端子と、電圧形自励式電力変換器CNVの直流側端子は並列接続され、これら直流共通端子間に直流平滑コンデンサCdが接続されている。
【0097】
電圧形自励式電力変換器CNVは、固定パルスパターンで動作し、交流電源SUPの電圧V(Vr,Vs,Vt)に対する交流側端子電圧V(Vcr,Vcs,Vct)の位相角φを調整することにより入力電流I(Icr,Ics,Ict)を制御する。また、直流平滑コンデンサCに印加される電圧Vdが指令値Vdに一致するように電力変換器CNVの入力電流I(Icr,Ics,Ict)を制御する。
【0098】
次に、図1の装置の制御動作を説明する。電力変換器制御回路PTCは、直流平滑コンデンサCに印加される電圧Vdを検出し、比較器C1により、電圧指令値Vdと比較する。その偏差εを電圧制御補償回路G(S)により、積分又は比例増幅し、加算器ADに入力する。一方、負荷LOADに流れる直流電流ILoadを検知し、フィードフォワード補償器FFを介して、前向き補償値IqFF を求め、加算器ADに入力する。加算器ADの出力をリミッタ回路LIMを介して有効電流指令値I とする。
【0099】
座標変換器Zは、電源SUPから自励式変換器CNVに供給される3相入力電流Icr,Ics,Ictの検出値をdq軸量(直流量)に変換する。座標変換されたq軸電流Iは有効電流検出値を、d軸電流Iは無効電流検出値を表わす。比較器C2により、有効電流指令値I と有効電流検出値Iを比較し、その偏差εを電流制御補償回路G(S)により増幅して、位相角指令値φ*とする。電源同期位相検出回路PLLは3相交流電源電圧V,V,Vに同期した位相信号θ,θ,θを作り、位相制御回路PHCに入力する。位相制御回路PHCは、位相角指令値φ*と位相信号θ,θ,θとを用いて自励式電力変換器CNVの自己消弧素子S1〜S6のゲート信号g1〜g6を発生する。当該位相信号θ,θ,θは、座標変換器Zの位相信号としても使われる。そして、電源電圧に同期した一定のパルスパターン(1パルス,3パルス,5パルス等)で電源電圧に対する位相角φを制御することにより、電圧形自励式電力変換器CNVの入力電流Iを制御する。
【0100】
図3は、本発明における固定パルス位相制御の動作を説明するための電圧・電流ベクトル図を示す。図中、Vは電源電圧,Vは自励式電力変換器の交流側端子電圧,Iは自励式電力変換器CNVの入力電流、jωL・Iは第2の変圧器TRbの漏れインダクタンスLによる電圧降下分を表わす。ベクトル的に、V=V+jωL・Iの関係がある。
【0101】
電源電圧Vの波高値と自励式電力変換器CNVの交流側端子電圧Vの基本波波高値は大略一致するように合わせる。直流電圧Vdは負荷側からの要求で決まる場合が多く、パルスパターンを決めると、交流出力電圧Vの基本波波高値は決まってしまう。そこで、電源側に変圧器TRbを設置し、その2次電圧V2bをVとして、波高値を合わせる。
【0102】
入力電流Iは、電源電圧Vに対する自励式電力変換器の交流出力電圧Vの位相角φを調整することにより制御できる。すなわち、位相角φ=0とすると、インダクタンスLに印加される電圧jωL・Iはゼロとなり、入力電流Iもゼロとなる。位相角(遅れ)φを増やしていくと、jωL・Iの電圧が増加し、入力電流Iもその値に比例して増加する。入力電流ベクトルIは、電圧jωL・Iに対し90°遅れており、電源電圧Vに対しては、φ/2だけ遅れたベクトルとなる。従って、電源側から見た入力力率は、cos(φ/2)となる。
【0103】
一方、自励式電力変換器CNVの交流側端子電圧をV’のように位相角φを進み方向(負の方向)に増やしていくと、インダクタンスLに印加される電圧jωL・Iも負となり、入力電流はI’のように、電源電圧Vに対し(π−φ/2)の位相角となる。すなわち、電力P=V・I’は負となり、電力を電源SUPに回生することができる。電源電圧Vを基準にして、交流側端子電圧Vを図の破線に沿ってV’の方向に回していくと、入力電流ベクトルIは破線に沿ってI’の方向に変化する。
【0104】
図1において、入力電流Iの有効分Iは次のように制御される。I >Iとなった場合、電流制御補償回路G(S)の出力φが増加し、入力電流Iを増加させる。入力力率≒1なので、有効電流Iが増加し、やがてI =Iとなって落ち着く。逆に、I <Iとなった場合、電流制御補償回路G(S)の出力φが減少し又は負の値になり、入力電流Iを減少させる。入力力率≒1なので、有効電流Iが減少し、やはりI =Iとなって落ち着く。
【0105】
また、直流平滑コンデンサCに印加される電圧Vdは次のように制御される。Vd>Vdとなった場合、電圧制御補償回路Gv(S)の出力I が増加し、上記のようにI =Iに制御されるので、有効電力が交流電源SUPから前記直流平滑コンデンサCに供給される。その結果、直流電圧Vdが増加し、Vd=Vdとなるように制御される。逆に、Vd<Vdとなった場合、電圧制御補償回路Gv(S)の出力I が減少し、又は負の値となり、有効電力が直流平滑コンデンサCから交流電源SUP側に回生される。その結果、直流電圧Vdが減少し、やはりVd=Vdとなるように制御される。
【0106】
図4は、図1における位相制御回路PHCの構成図である。図中、AD1〜AD3は加減算器、PTN1〜PTN3はパルスパターン発生器を示す。加減算器AD1〜AD3は、位相信号θ,θ,θから前記位相角指令値φ*を引き算し、新たな位相信号θcr,θcs,θctを作る。当該新たな位相信号θcr,θcs,θctは、0〜2πの周期関数で、電源周波数に同期して変化する。
【0107】
パルスパターン発生器PTN1〜PTN3は、新たな位相信号θcr,θcs,θctに対して、一定のパルスパターンとなるようにゲート信号g1〜g6を発生する。パルスパターン発生器PTN1は、位相信号θcrに対するR相素子S1,S4のパルスパターンをテーブル関数として記憶している。
【0108】
図5は、このパルスパターン及びこれに基づく1パルス動作時の各信号波形を示す波形図である。図中、VはR相電源電圧、θは電源電圧Vに同期した位相信号で、0〜2πの間で変化する周期関数となる。新たな位相信号θcr=θ−φ*は、0〜2πの間で変化する周期関数で、θの信号に対しφ*だけ遅れた信号で与えられる。すなわち、入力θcrに対し、次のようなゲート信号g1(又はg4)を出力する。
【0109】
0≦θcr<π の範囲で、g1=1,g4=0(S1:オン,S4:オフ)
π≦θcr<2π の範囲で、g1=0,g4=1(S1:オフ,S4:オン)
自励式電力変換器CNVの交流側端子電圧(R相)Vcrは、
S1:オン(S4:オフ)のとき、Vcr=+V/2
S1:オフ(S4:オン)のとき、Vcr=−V/2
となる。直流電圧Vdが一定ならば、交流側端子電圧Vcrの振幅値は一定となる。Vcrの基本波Vcr の位相は、電源電圧Vに対し位相角φだけ遅れている。S相,T相も同様に与えられる。
【0110】
図6は、図5のパルスパターンに基づき自励式電力変換器CNVを動作させた場合のR相各部についての動作波形図である。なお、説明の便宜上、入力電流Icrは正弦波としてリップル分を省略して描いている。
【0111】
図6は力行運転時の動作波形を示すもので、変換器の交流出力電圧Vcrの基本波は電源電圧Vに対し、位相角φだけ遅れている。また、入力電流Icrは電源電圧Vに対し、位相角(φ/2)だけ遅れて流れる。このとき、IS1,IS4はR相の自己消弧素子S1とS4の電流を、ID1,ID4は高速ダイオードD1とD4の電流を、それぞれ表わしている。以下に、そのときの動作を図2を用いて説明する。
【0112】
入力電流Icrが負から正に変るまでは高速ダイオードD4を介して電流が流れている。この状態から電流Icrの向きが変ると素子S4がオン状態にあるので、入力電流Icrは自己消弧素子S4を介して流れるようになる。次に、位相角φで素子S4をオフすると、電流Icrは高速ダイオードD1を介して流れる。入力電流Icrが再び反転するまで、その電流は高速ダイオードD1に流れる。入力電流Icrが反転した後は、素子S1と高速ダイオードD4の間で、上記と同様の動作が行われる。
【0113】
自己消弧素子S1〜S6がしゃ断する最大電流Imaxは、入力電流の波高値をI (peak)とした場合、Imax=I (peak)×sin(φ/2)となる。例えば、φ=20°の場合、Imax=0.174×I (peak) となる。すなわち、自己消弧素子のしゃ断電流容量が小さいものを用意すればよく、低損失で、経済的な電力変換装置を提供できる。
【0114】
図7は、回生運転時の動作波形を示すもので、IS1,IS4はR相の自己消弧素子S1,S4の電流を、ID1,ID4は高速ダイオードD1とD4の電流を、それぞれ表わしている。変換器の交流出力電圧Vcrの基本波は電源電圧Vに対し、位相角φだけ進んでいる。また、入力電流Icrは電源電圧の反転値−Vに対し、位相角(φ/2)だけ進んで流れる。なお、説明の便宜上、入力電流Icrは正弦波としてリップル分を省略して描いている。
【0115】
入力電流Icrが負で、素子S1がオン(S4はオフ)のときは、入力電流Icrは素子S1を介して流れる。素子S1をオフ(S4をオン)すると、電流Icrは高速ダイオードD4を介して流れる。入力電流Icrが反転すると、素子S4に電流が流れ、上記と同様に素子S4をオフすることにより、高速ダイオードD1に電流が移る。
【0116】
回生運転時、自己消弧素子S1〜S6がしゃ断する最大電流Imaxは、入力電流の波高値をI (peak)とした場合、Imax=I (peak)×sin(φ/2)となる。例えば、φ=20°の場合、Imax=0.174×I (peak) となる。以上のように、回生運転時の入力電流Icrの大部分は自己消弧素子に流れるが、当該素子S1〜S6のしゃ断電流は小さくてすみ、低損失で経済的な電力変換装置を提供できる。
【0117】
力行運転時は、電圧形自励式電力変換器CNVの入力電流Icを制限することにより、その制限値を超える負荷がかかった場合、直流電圧Vdが低下し、電力用ダイオード整流器RECから電力が供給されるようになり、電力用ダイオード整流器REC(6相相当)と前記電圧形自励式電力変換器CNV(6相相当)が並列運転される。このとき、当該電圧形自励式電力変換器CNVを1パルスモードで運転することにより、変圧器TRaとTRbとの間に位相差30°を持たせたことにより等価的に12相運転ができ、装置全体の入力電流高調波を低減させることができる。
【0118】
自励式変換器CNVを1パルスで運転することにより、スイッチング回数が最小になり、変換器効率が高くなる。また、交流側出力電圧Vの基本波成分が大きくなり、自励式変換器CNVの電圧利用率が向上する。また、変換器力率がほぼ1で運転されるため、入力電流Iのゼロ点付近で1回だけスイッチングを行うことになり、力行運転時も回生運転時も、自己消弧素子のしゃ断電流は極めて小さくなる。この結果、高効率で低コストな電力変換装置を提供できる。また、大電流をしゃ断しないということは、ソフトスイッチングに近くなり、EMIノイズが小さくなり、環境にもやさしい電力変換装置を提供できる。
【0119】
電気鉄道では、1つの変電所から複数の車両に電力供給を行うため、短時間であるが大きな過負荷耐量が要求される。本発明の電力変換装置によれば、自励式変換器CNVを構成する自己消弧素子のしゃ断電流を小さく抑えることができ、過負荷耐量の大きな電力変換装置を提供できる。また、本発明装置では、変圧器TRaとTRbとの間に位相差30°を持たせたことにより、等価的に12相運転が可能となり、入力電流高調波の少ない電力変換装置を提供できる。
【0120】
回生運転時には、自励式電力変換器CNVだけが動作し、電力用ダイオード整流器RECからは電力を供給しない。そのため、変圧器TRaとTRbの2次電圧に位相差30°を設けた効果は期待できない。本発明装置では、回生運転時に自励式電力変換器CNVの制御パルス数を3パルス以上にして固定パルスパターンで位相制御するようにしている。この結果、入力電流高調波が少ない電力変換装置を提供できる。
【0121】
図8は、パルスパターン発生器PTN1が3パルス出力を行ったときの動作波形図であり、R相について描いている。図中、VはR相電源電圧、θは電源電圧Vに同期した位相信号で、0〜2πの間で変化する周期関数となる。新たな位相信号θcr=θ−φ*は、0〜2πの間で変化する周期関数で、θの信号に対しφ*だけ遅れた信号で与えられる。また、位相信号θcrに対するR相素子S1,S4のパルスパターンは次のようになる。
【0122】
0≦θcr<θ の範囲で、g1=0,g4=1(S1:オフ,S4:オン)
θ≦θcr<θ の範囲で、g1=1,g4=0(S1:オン,S4:オフ)
θ≦θcr<π の範囲で、g1=0,g4=1(S1:オフ,S4:オン)
π≦θcr<θ の範囲で、g1=1,g4=0(S1:オン,S4:オフ)
θ≦θcr<θ の範囲で、g1=0,g4=1(S1:オフ,S4:オン)
θ≦θcr<2π の範囲で、g1=1,g4=0(S1:オン,S4:オフ)
このとき、自励式電力変換器CNVの交流側端子電圧(R相)Vcrは、
S1:オン(S4:オフ)のとき、Vcr=+Vd/2
S1:オフ(S4:オン)のとき、Vcr=−Vd/2
となる。交流側端子電圧Vcrの基本波Vcr の位相は、電源電圧Vに対し位相角φだけ遅れている。S相,T相も同様に与えられる。この場合もパルスパターンは固定され、直流電圧Vdを一定とした場合、自励式電力変換器CNVの交流側端子電圧の基本波波高値は一定となる。
【0123】
図9は、図8の3パルスパターンで自励式電力変換器を動作させた場合のR相各部の動作波形図である。なお、説明を簡略化するため、入力電流Icrは正弦波としてリップル分を省略して描いている。
【0124】
図9は力行運転時の動作波形を示すもので、変換器の交流側端子電圧Vcrの基本波は電源電圧Vに対し、位相角φだけ遅れる。また、入力電流Icrは電源電圧Vに対し、位相角(φ/2)だけ遅れて流れる。このとき、IS1,IS4はR相の自己消弧素子S1とS4の電流を、ID1,ID4は高速ダイオードD1とD4の電流を、それぞれ表わしている。そのときの動作を以下に説明する。
【0125】
入力電流Icrが負から正に変るまでは高速ダイオードD4を介して電流が流れている。この状態から電流Icrの向きが変ると素子S4がオン状態にあるので、電流Icrは素子S4を介して流れるようになる。次に、素子S4をオフすると、電流Icrは高速ダイオードD1を介して流れるようになる。
【0126】
次に、素子S4を再びオンすると、入力電流Icrは素子S4を介して流れ、高速ダイオードD1の電流はゼロとなる。さらに、図9のθで、素子S4をオフすると、高速ダイオードD1に電流が移り、入力電流Icrが再び反転するまでその電流は高速ダイオードD1に流れる。入力電流Icrが反転した後は、素子S1と高速ダイオードD4の間で、上記と同様の動作が行われる。
【0127】
図9は、固定パルスパターンとして3パルスの場合を示したが、自己消弧素子S1〜S6がしゃ断する最大電流Imaxは、入力電流の波高値をI (peak)とした場合、
max=I (peak)×sin(φ/2+θ
となる。例えば、φ=20°,θ=10°とした場合、
max=0.342×I (peak)
となる。
【0128】
パルス数を増やしていくことにより、入力電流Icrの高調波成分が低減し、電流脈動を小さくすることができるが、反面、自己消弧素子のしゃ断電流の最大値Imaxが増加してくる欠点がある。故に、できるだけ少ない制御パルス数で、高調波を低減することが望ましい。
【0129】
自励式変換器CNVを一定のパルスパターンで制御する場合、入力電流Icrの高調波成分が小さくなるようにスイッチングパターンを決めるが、上記のように変換器力率が1に近いところで運転されるため、電流Icrのゼロ点付近でスイッチングが行われ、自励式変換器CNVを構成する自己消弧素子S1〜S6のしゃ断電流は小さくて済む。これにより、電力回生が可能で、高力率・高効率で、高調波の少ない経済的な電力変換装置を提供できる。
【0130】
ところで、図1の装置において、直流電圧指令値Vdを電力用ダイオード整流器RECの整流電圧Vrecより高い値に設定することにより横流の発生を防止することができる。仮に、Vd=Vd<Vrecとすると、電力用ダイオード整流器RECから電力が供給され、その電力を自励式電力変換器CNVが回生することになり、無駄な横流が流れてしまう。本発明に係る装置では、Vd>Vrecに設定することにより、無駄な横流を流すことを防止している。
【0131】
すなわち、力行運転時(負荷LOADが電力を消費する場合)は、電力用ダイオード整流器RECと自励式電力変換器CNVの並列運転となるが、Vd>Vrecとなっているので、電力用ダイオード整流器RECからは電力を供給できない。負荷LOADには全て自励式電力変換器CNVから電力Pを供給することになる。
【0132】
そこで、自励式電力変換器CNVからの電力供給を制限することにより、自励式電力変換器CNVは一定の有効電力Pcnvを供給し、Vd>Vd=Vrecとなる。この結果、電力用ダイオード整流器RECは、Prec=P−Pcnv の電力を供給するようになる。
【0133】
従来、電力用ダイオード整流器RECだけで運転した場合、負荷電力Pが増加するに従い、直流電圧Vrecは徐々に低下していたが、本発明に係る装置では、自励式電力変換器CNVの電力制限値Pcnvまでは、直流電圧Vdは一定に保持され、さらにそれ以上の負荷が増えると、直流電圧はVd=Vrecで徐々に下がっていくことになる。
【0134】
回生運転時(負荷側から電源側に電力を戻す場合)は、自励式電力変換器CNVだけで動作し、直流電圧Vd=Vd>Vrecで、ほぼ一定に制御される。
【0135】
このように、本発明に係る装置では、無駄な横流を流すことなく直流電圧Vdの安定化を図ることができ、電気鉄道などでは車載設備容量の低減を図ることができる。
【0136】
また、図1の電力変換装置において、電圧形自励式電力変換器CNVは、負荷装置LOADが消費又は発生する有効電力(又は有効電流)Pを検出又は推定し、当該有効電力Pに比例した前向き補償量IqFF を求め、当該補償量IqFF を前記変換器の入力電流Iの有効分指令値に加えて制御することにより、負荷が急変した場合でも、印加電圧Vdの変動を抑制することができる。
【0137】
つまり、電圧形自励式変換器CNVによって、直流電圧Vdが指令値Vdに一致するようにフィードバック制御を行っているが、負荷が急変した場合、その応答が間に合わないと、直流電圧Vdが大きく変動する。すなわち、負荷消費電力Pが急激に増えると、直流電圧Vdが低下し、必要な電力を送れなくなるだけでなく、電圧不足により、自励式変換器CNVの制御にも影響を与え、制御全体を不安定にすることもある。また、逆に、電車の回生ブレーキ等により、負荷側からの回生電力が急激に増えると、直流電圧Vdが上昇し、電力変換装置や負荷装置の耐圧を脅かすことになる。
【0138】
負荷装置LOADが消費又は発生する有効電力(又は有効電流)Pを検出又は推定し、当該有効電力Pに比例する前向き補償量IqFF を演算して求め、当該補償量IqFF を前記変換器の入力電流Iの有効分指令値に加えて制御することにより、直流電圧制御の応答を高めることができ、負荷急変に対しても、直流電圧Vdの変動幅が小さくなり、上記問題を解決することができる。
【0139】
図1の装置では、負荷がとる直流電流ILoadを検知し、その量に見合った有効電流を供給するようにフィードフォワード補償器FFで補償量IqFF =kFF・ILoadを演算し、加算器ADに入力している。これにより、負荷Pが急変した場合、それに見合った入力電流(有効電流)Iが直ちに供給され、直流平滑コンデンサCの印加電圧Vdの変動を抑えることが可能となる。
【0140】
また、図1の電力変換装置において、電圧形自励式電力変換器CNVを、力行運転時の入力電流Iを制限して制御することができる。前述のように、電力用ダイオード整流器RECからの横流が流れ込むのを防止するために、自励式電力変換器CNVの直流電圧指令値Vdは、電力用ダイオード整流器RECの整流電圧Vrecより高い値に設定する。
【0141】
力行運転時(負荷LOADが電力を消費する場合)は、電力用ダイオード整流器RECと自励式電力変換器CNVの並列運転となるが、Vd>Vrecとなっているので、電力用ダイオード整流器RECからは電力を供給できない。従って、負荷LOADには自励式電力変換器CNVから電力Pを供給することになる。そこで本発明に係る装置では、力行運転時には、電圧形自励式電力変換器CNVの入力電流Iの有効電流指令値I を制限することにより、負荷分担の適正化を図っている。
【0142】
図10は、図1の装置における電力変換器制御回路PTCのリミッタ回路LIMの入出力特性についての説明図である。この図に示すように、入力Iqi に対し、出力I は、正側(力行側)に制限が設けられている。
【0143】
図11は、自励式変換器CNVの力行側有効電力を定格100%で制限した場合の運転特性についての説明図である。この図に示すように、力行時において、100%負荷までは自励式変換器CNVから全て電力供給が行われ、直流電圧Vdは一定(=1680V)に保たれる。さらに負荷が増えると、自励式変換器CNVの出力電流Icnvは100%一定となり、直流電圧Vdは下がってくる。その結果、電力用ダイオード整流器RECから直流電流Iddが流れはじめ、負荷の増加に従ってIddが増えてくる。すなわち、自励式電力変換器CNVからの電力供給が制限され、直流電圧Vdは負荷Pが増加するに従って徐々に低下し、Vd>Vd=Vrecとなる。この結果、自励式電力変換器CNVは一定の電力Pcnvを供給するようになり、電力用ダイオード整流器RECからは、Prec=P−Pcnv を供給するようになる。
【0144】
例えば、従来装置では、図11の破線Uで示すように、100%負荷でVrec=1500Vまで低下し、300%負荷ではVrec=1140Vに下がってしまう。これに対し、本発明に係る装置では、自励式電力変換器CNVの電力制限値100%負荷までは直流電圧Vdは一定に保持され、さらにそれ以上の負荷が増えるに従って徐々に直流電圧Vdが下がっていくことになる。また、回生運転時(負荷側から電源側に電力を戻す場合)は、自励式電力変換器CNVだけで動作し、直流電圧Vd=Vd>Vrecで、ほぼ一定に制御される。
【0145】
これにより、電力用ダイオード整流器RECと自励式電力変換器CNVの安定した並列運転が可能となる。そして、力行運転時の自励式電力変換器CNVの出力がPcnvに制限され、高速ダイオードD1〜D6の最大電流を小さく抑えることができ、かつ、自己消弧素子S1〜S6のしゃ断電流も抑えることが可能となる。さらに、直流電圧Vdの安定化が図られ、電気鉄道などでは、車載設備容量の低減が図られる。
【0146】
また、図1の電力変換装置において、電圧形自励式電力変換器CNVを、力行運転のある負荷電力PLo以上では、1パルスモードで運転し、当該負荷電力PLo以下(回生を含む)では、3パルス以上の固定パルスモードで運転することもできる。
【0147】
図12は、負荷電力PLに対する自励式電力変換器CNVの制御パルス数の関係を示すものである。PLoはパルス数を切り換える負荷電力設定値で、PL>PLoで、1パルス運転を行い、PL<PLoで、5パルス運転を行うようにしている。回生運転ではPL<0となるので、5パルス運転が行われる。
【0148】
力行運転で、消費する負荷電力が大きくなり、電力用ダイオード整流器RECと電圧形自励式電力変換器CNVで並列運転する場合、前記変圧器TRaとTRbの2次電圧位相を30°ずらしているため、電圧形自励式電力変換器CNV(6相相当)を1パルスモードで運転することにより、電力用ダイオード整流器REC(6相1パルス運転)とで等価的に12相運転ができ、全体の入力電流の高調波を低減することができる。負荷電力が設定した値PLoより小さいときは、電圧形自励式電力変換器CNVがその負荷を多く負担するので、当該自励式電力変換器CNVの制御パルス数を増やすことにより、入力電流高調波を減らすことができる。そして、回生運転では、全て電圧形自励式電力変換器CNVが回生電力を負担するので、やはり、当該自励式電力変換器CNVの制御パルス数を増やすことにより、入力電流高調波を減らすことができる。
【0149】
また、図1の電力変換装置において、電圧形自励式電力変換器CNVを、力行運転時にゲートブロックしてダイオード整流器として運転し、回生運転時にゲートブロックを解除するようにすることができる。
【0150】
図13は、負荷電力PLに対する自励式電力変換器CNVのゲートブロックGB又はゲートデブロックGDBの関係を示す説明図である。3相ブリッジ結線の電圧形自励式電力変換器CNVは、6個の自己消弧素子(GTOやIGBT等)と逆並列接続された6個のダイオードで構成されている。
【0151】
力行運転時(PL>0)に、当該自己消弧素子をゲートブロックすることにより、電圧形自励式電力変換器CNVは3相ブリッジ結線のダイオード整流器(6相相当)として動作する。その結果、3相ブリッジ結線された電力用ダイオード整流器REC(6相相当)と当該自励式変換器CNVのダイオード整流器(6相相当)とが並列運転され、変圧器TRaとTRbとの間では2次電圧位相が30°ずれているため、等価的に12相運転が行われることになる。したがって、全体の入力電流高調波を低減することができる。そして、回生運転時(PL<0)には、当該ゲートブロックを解除することにより、電圧形自励式電力変換器CNVの本来の動作が行われ、電力回生と直流電圧の安定化が図られる。
【0152】
また、図1の電力変換装置において、電圧形自励式電力変換器CNVを、回生運転時に3パルス以上のパルス数にして固定パルス位相制御を行うようにすることができる。
【0153】
図14は、負荷電力PLに対する自励式電力変換器CNVの制御パルス数の関係を示す説明図である。ここでは、力行運転領域では1パルスモードで、回生運転領域では5パルスモードで運転する場合を示している。回生運転時(PL<0)では、電圧形自励式電力変換器CNV(6相相当)が全て回生電力を負担するので、1パルスモードで運転すると、入力電流高調波が増加する。そこで、本発明では、回生運転時の当該自励式電力変換器CNVの制御パルス数を5パルスに増やすことにより、入力電流高調波を減らすようにしている。
【0154】
自励式変換器CNVを一定のパルスパターンで制御する場合、入力電流Iの高調波成分が小さくなるようにスイッチングパターンを決めるが、回生運転時にも変換器力率が1に近いため、電流Iのゼロ点付近でスイッチングが行われ、自励式変換器CNVを構成する自己消弧素子の遮断電流は小さくて済む。これにより、電力回生が可能で、高力率・高効率で、入力電流高調波が少ない電力変換装置を提供できる。
【0155】
図15は、本発明の第2の実施形態の構成図である。この図15の構成は、図1の構成における第2の3相変圧器TRbと電圧形自励式電力変換器CNVとの間にリカバリ電流抑制リアクトルLa介して電力用ダイオード整流器REC2を設け、入力電流Icの制御に基づき印加電圧Vdを制御するようにしたものである。
【0156】
すなわち、図15において、SUPは3相交流電源、TRaは第1の変圧器、TRbは第2の変圧器、REC1は第1の電力用ダイオード整流器、REC2は第2の電力用ダイオード整流器、Laはリカバリ電流抑制リアクトルとしての交流リアクトル、CNVは電圧形自励式電力変換器、Cは直流平滑コンデンサ、LOADは負荷装置をそれぞれ示す。
【0157】
電力変換器制御回路PTCは、図1の場合と同様に、比較器C1,C2、加算器AD、電圧制御補償回路G(S)、電流制御補償回路G(S)、フィードフォワード補償回路FF、リミッタ回路LIM、座標変換回路Z、電源同期位相検出回路PLL、位相制御回路PHCを有している。
【0158】
図16は、図15の装置の主回路の具体的構成例を示すもので、第1の電力用ダイオード整流器REC1は、電力用ダイオードPD11〜PD16により3相ブリッジ結線されて構成されている。また、第2の電力用ダイオード整流器REC2は、電力用ダイオードPD21〜PD26により3相ブリッジ結線されている。また、電圧形自励式電力変換器CNVは、自己消弧素子(GTOやIGBT等)S1〜S6と、当該自己消弧素子S1〜S6に逆並列接続された高速ダイオードD1〜D6とで構成されている。電圧形自励式電力変換器CNVの直流側端子には直流平滑コンデンサCが接続されている。
【0159】
第1の電力用ダイオード整流器REC1の交流側端子は第1の3相変圧器TRaを介して、また、第2の電力用ダイオード整流器REC2の交流側端子は第2の3相変圧器TRbを介して交流電源SUPに接続されている。電圧形自励式電力変換器CNVの交流側端子は交流リアクトルLaを介して第2の変圧器TRbの2次側端子に接続されている。当該交流リアクトルLaは、電圧形自励電力変換器CNVの自己消弧素子が動作(オン)したとき、第2の電力用ダイオード整流器REC2の電力用ダイオードに流れ込むリカバリ電流を抑制する役目をする。
【0160】
第1の電力用ダイオード整流器REC1の3相変圧器TRaは、例えば、Δ/Δ結線されるのに対し、第2の電力用ダイオード整流器REC2の3相変圧器TRbは、例えば、Δ/Y結線することにより、それぞれの3相2次電圧は、電気角で30°の位相差を持たせている。また、第1及び第2の電力用ダイオード整流器REC1,REC2の直流側端子と、電圧形自励式電力変換器CNVの直流側端子は並列接続され、負荷LOADへ電力を供給する。
【0161】
電圧形自励式電力変換器CNVは、固定パルスパターンで動作し、交流電源SUPの電圧V(Vr,Vs,Vt)に対する交流側出力電圧V(Vcr,Vcs,Vct)の位相角φを調整することにより当該変換器CNVの入力電流I(Icr,Ics,Ict)を制御する。また、直流平滑コンデンサCに印加される電圧Vdが指令値Vdに一致するように電力変換器CNVの入力電流I(Icr,Ics,Ict)を制御する。
【0162】
次に、図15の装置の制御動作を説明する。電力変換器制御回路PTCは、直流平滑コンデンサCに印加される電圧Vdを検出し、比較器C1により、電圧指令値Vdと比較する。その偏差εを電圧制御補償回路G(S)により、積分又は比例増幅し、加算器ADに入力する。一方、負荷LOADに流れる直流電流ILoadを検知し、フィードフォワード補償器FFを介して、前向き補償値IqFF を求め、加算器ADに入力する。加算器ADの出力をリミッタ回路LIMを介して有効電流指令値I とする。
【0163】
座標変換器Zは、電源SUPから自励式変換器CNVに供給される3相入力電流Icr,Ics,Ictの検出値をdq軸量(直流量)に変換する。座標変換されたq軸電流Iは有効電流検出値を、d軸電流Iは無効電流検出値を表わす。比較器C2により、有効電流指令値I と有効電流検出値Iを比較し、その偏差εを電流制御補償回路G(S)により増幅して、位相角指令値φ*とする。電源同期位相検出回路PLLは3相交流電源電圧V,V,Vに同期した位相信号θ,θ,θを作り、位相制御回路PHCに入力する。位相制御回路PHCは、位相角指令値φ*と上記位相信号θ,θ,θを用いて自励式電力変換器CNVの自己消弧素子S1〜S6のゲート信号g1〜g6を発生する。当該位相信号θ,θ,θは、座標変換器Zの位相信号としても使われる。
【0164】
電圧形自励式電力変換器CNVは、電源電圧に同期した一定のパルスパターン(1パルス,3パルス,5パルス等)で動作し、電源電圧Vに対する位相角φを調整することにより、変換器CNVの入力電流I(有効分)を制御する。このとき、電圧形自励式電力変換器CNVは力率=1付近で運転され、変換器を構成する自己消弧素子のスイッチングは入力電流Iのゼロ点付近で行われる。その結果、自己消弧素子のしゃ断電流は小さくなり、スイッチング損失は大幅に低減される。
【0165】
また、電圧形自励式電力変換器CNVは、入力電流Iの有効分を調整することにより、直流平滑コンデンサCに印加される電圧Vdを指令値Vdに従って制御する。
【0166】
電圧形自励式電力変換器CNVは、一定のパルスパターンで、交流電源の電圧Vに同期したスイッチングを行う。そのため、直流電圧Vdが一定ならば、変換器CNVの交流側端子電圧Vの振幅値は一定になる。この状態で、電源電圧Vに対する変換器CNVの交流側端子電圧Vの位相角φを調整することにより、第2の変圧器TRbの漏れインダクタンスLに印加される電圧(V−V)が変化し、変換器の入力電流I=(V−V)/(jω・L)を制御することができる。電源電圧Vに対する変換器CNVの交流側端子電圧Vの位相角φを遅れ方向に増加させることにより、交流電源SUPから供給される有効電力Pが増加し、直流平滑コンデンサCに印加される直流電圧Vdが増加する。逆に、位相角φを進み方向に増やすと、有効電力Pが交流電源SUPに回生され、直流電圧Vdが減少する。このようにして、Vd=Vdに制御される。
【0167】
力行運転時は、電圧形自励式電力変換器CNVの入力電流Iを制限することにより、直流電圧Vdが低下し、第1及び第2の電力用ダイオード整流器REC1,REC2から電力が負荷装置LOADに供給されるようになる。このとき、変圧器TRaとTRbとの間に位相差30°を持たせたことにより、等価的に12相運転ができ、装置全体の入力電流高調波を低減させることができる。
【0168】
一方、回生運転時は、電力用ダイオード整流器REC1,REC2には電流が流れず、大部分の電流が電圧形自励式電力変換器CNVの自己消弧素子に流れる。従って、自励式電力変換器CNVの単独運転(6相相当)となり、入力電流高調波が大きくなることが懸念されるが、本発明では回生運転時に、自励式電力変換器の制御パルス数を増やして、高調波を低減させている。
【0169】
自励式変換器CNVを一定のパルスパターンで制御する場合、入力電流Iの高調波成分が小さくなるようにスイッチングパターンを決めるが、回生運転時にも変換器力率が1に近いため、電流Iのゼロ点付近でスイッチングが行われ、自励式変換器CNVを構成する自己消弧素子の遮断電流は小さくて済む。これにより、電力回生が可能で、高力率・高効率で、低コストの電力変換装置を提供できる。
【0170】
ここで、図15の装置において、直流電圧指令値Vdを、第1及び第2の電力用ダイオード整流器REC1,REC2の整流電圧Vrecより高い値に設定することにより横流の発生を防止することができる。仮に、直流電圧がVd=Vd<Vrecとすると、第1及び第2の電力用ダイオード整流器REC1,REC2から電力が供給され、その電力を自励式電力変換器CNVが回生することになり、無駄な横流が流れてしまう。本発明装置では、Vd>Vrecに設定することにより、無駄な横流を流すことを防止している。
【0171】
すなわち、力行運転時(負荷LOADが電力を消費する場合)は、第1及び第2の電力用ダイオード整流器REC1,REC2と、自励式電力変換器CNVの並列運転となるが、Vd>Vrecとなっているので、電力用ダイオード整流器REC1,REC2からは電力を供給できない。負荷LOADには全て自励式電力変換器CNVから電力Pを供給することになる。
【0172】
そこで、自励式電力変換器CNVの電力供給を制限することにより、自励式電力変換器CNVは一定の有効電力Pcnvを供給し、Vd>Vd=Vrecとなる。この結果、電力用ダイオード整流器REC1,REC2は、Prec=P−Pcnv の電力を供給するようになる。
【0173】
本発明に係る装置では、自励式電力変換器CNVの電力制限値Pcnvまでは、直流電圧Vdは一定に保持され、さらにそれ以上の負荷が増えると、直流電圧はVd=Vrecで徐々に下がっていくことになる。
【0174】
回生運転時(負荷側から電源側に電力を戻す場合)は、自励式電力変換器CNVだけで動作し、直流電圧Vd=Vd>Vrecで、ほぼ一定に制御される。
【0175】
このように、本発明に係る装置では、無駄な横流を流すことなく直流電圧Vdの安定化が図られ、電気鉄道などでは、車載設備容量の低減が図られる。
【0176】
また、図15の電力変換装置において、電圧形自励式電力変換器CNVは、負荷装置LOADが消費又は発生する有効電力(又は有効電流)Pを検出又は推定し、当該有効電力Pに比例した前向き補償量IqFF を求め、当該補償量IqFF を変換器の入力電流Iの有効分指令値に加えて制御している。
【0177】
電圧形自励式変換器CNVによって、直流電圧Vdが指令値Vdに一致するようにフィードバック制御を行っているが、負荷が急変した場合、その応答が間に合わないと、直流電圧Vdが大きく変動する。すなわち、負荷消費電力Pが急激に増えると、直流電圧Vdが低下し、必要な電力を送れなくなるだけでなく、電圧不足により、自励式変換器CNVの制御にも影響を与え、制御全体を不安定にすることもある。また、逆に、電車の回生ブレーキ等により、負荷側からの回生電力が急激に増えると、直流電圧Vdが上昇し、電力変換装置や負荷装置の耐圧を脅かすことになる。
【0178】
負荷装置LOADが消費又は発生する有効電力(又は有効電流)Pを検出又は推定し、当該有効電力Pに比例する前向き補償量IqFF を演算して求め、当該補償量IqFF を変換器の入力電流Iの有効分指令値に加えて制御することにより、直流電圧制御の応答を高めることができ、負荷急変に対しても、直流電圧Vdの変動幅が小さくなり、上記問題を解決することができる。
【0179】
図15の装置では、負荷がとる直流電流ILoadを検知し、その量に見合った有効電流を供給するようにフィードフォワード補償器FFで補償量IqFF =kFF・ILoadを演算し、加算器ADに入力している。これにより、負荷Pが急変した場合、それに見合った入力電流(有効電流)Iが直ちに供給され、直流平滑コンデンサCの印加電圧Vdの変動を抑えることが可能となる。
【0180】
また、図15の電力変換装置において、電圧形自励式電力変換器CNVは、力行運転時の入力電流Iを制限して制御することができる。前述のように、電力用ダイオード整流器REC1,REC2からの横流が流れ込むのを防止するために、自励式電力変換器CNVの直流電圧指令値Vdは、電力用ダイオード整流器RECの整流電圧Vrecより高い値に設定する。
【0181】
力行運転時(負荷LOADが電力を消費する場合)は、第1及び第2の電力用ダイオード整流器REC1,REC2と自励式電力変換器CNVの並列運転となるが、Vd>Vrecとなっているので、電力用ダイオード整流器REC1,REC2からは電力を供給できない。従って、負荷LOADには自励式電力変換器CNVから電力Pを供給することになる。そこで本発明に係る装置では、力行運転時には、電圧形自励式電力変換器CNVの入力電流Iの有効電流指令値I を制限することにより、負荷分担の適正化を図っている。
【0182】
これにより、第1及び第2の電力用ダイオード整流器REC1,REC2と自励式電力変換器CNVとの安定した並列運転が可能となる。また、力行運転時の自励式電力変換器CNVの出力がPcnvに制限され、高速ダイオードD1〜D6の最大電流を小さく抑えることができ、かつ、自己消弧素子S1〜S6のしゃ断電流も抑えることが可能となる。さらに、直流電圧Vdの安定化が図られ、電気鉄道などでは、車載設備容量の低減が可能となる。
【0183】
また、図15の電力変換装置において、前記電圧形自励式電力変換器CNVは、力行運転時にゲートブロックしてダイオード整流器として運転し、回生運転時にゲートブロックを解除するようにすることができる。
【0184】
3相ブリッジ結線の電圧形自励式電力変換器CNVは、6個の自己消弧素子(GTOやIGBT等)と逆並列接続された6個の高速ダイオードで構成されている。力行運転時(PL>0)に、当該自己消弧素子をゲートブロックすることにより、電圧形自励式電力変換器CNVは3相ブリッジ結線のダイオード整流器(6相相当)として動作する。
【0185】
その結果、3相ブリッジ結線された第2の電力用ダイオード整流器REC2(6相相当)と当該自励式変換器CNVのダイオード整流器(6相相当)とが並列運転されるが、電力用ダイオードの順方向電圧降下に対し、高速ダイオードの順方向電圧降下が大きいため、大部分の電流は、電力用ダイオード整流器を介して流れる。一方、変圧器TRaとTRbの3相2次電圧は位相差30°を持たせているため、第1及び第2の電力用ダイオード整流器REC1,REC2で、等価的に12相運転が行われ、装置全体の入力電流高調波を低減することができる。そして、回生運転時(PL<0)には、当該ゲートブロックを解除することにより、前記電圧形自励式電力変換器CNVの本来の動作が行われ、電力回生と直流電圧の安定化が図られる。
【0186】
また、図15の電力変換装置において、電圧形自励式電力変換器CNVを、回生運転時に3パルス以上のパルス数にして固定パルス位相制御を行うようにすることができる。すなわち、回生運転(PL<0)では、電圧形自励式電力変換器CNV(6相相当)が全て回生電力を負担するので、1パルスモードで運転すると、入力電流高調波が増加する。そこで、本発明では、回生運転時の当該自励式電力変換器CNVの制御パルス数を増やすことにより、入力電流高調波を減らすようにしている。
【0187】
自励式変換器CNVを一定のパルスパターンで制御する場合、入力電流Iの高調波成分が小さくなるようにスイッチングパターンを決めるが、回生運転時にも変換器力率が1に近いため、電流Iのゼロ点付近でスイッチングが行われ、自励式変換器CNVを構成する自己消弧素子の遮断電流は小さくて済む。これにより、電力回生が可能で、高力率・高効率で、入力電流高調波が少ない電力変換装置を提供できる。
【0188】
図17は、本発明の第3の実施形態の構成図である。図15の第2の実施形態の構成では、入力電流Icの制御に基づき印加電圧Vdを制御していたが、この第3の実施形態では、入力電流Iと第2の電力用ダイオード整流器REC2の入力電流Irec2との和電流Is2(Is2r,Is2s,Is2t)を制御することにより、印加電圧Vdの制御を行っている。
【0189】
すなわち、図17において、SUPは3相交流電源、TRaは第1の変圧器、TRbは第2の変圧器、REC1は第1の電力用ダイオード整流器、REC2は第2の電力用ダイオード整流器、Laはリカバリ電流抑制リアクトルとしての交流リアクトル、CNVは電圧形自励式電力変換器、Cは直流平滑コンデンサ、LOADは負荷装置をそれぞれ示す。図17の装置の主回路構成は、例えば、図16で示したものと同様であるため図示を省略する。
【0190】
電力変換器制御回路PTCは、図1及び図15の場合と同様に、比較器C1,C2、加算器AD、電圧制御補償回路G(S)、電流制御補償回路G(S)、フィードフォワード補償回路FF、リミッタ回路LIM、座標変換回路Z、電源同期位相検出回路PLL、位相制御回路PHCを有している。
【0191】
第1の電力用ダイオード整流器REC1の交流側端子は第1の3相変圧器TRaを介して、また、第2の電力用ダイオード整流器REC2の交流側端子は第2の3相変圧器TRbを介して交流電源SUPに接続されている。電圧形自励式電力変換器CNVの交流側端子は交流リアクトルLaを介して第2の変圧器TRbの2次側端子に接続されている。当該交流リアクトルLaは、電圧形自励電力変換器CNVの自己消弧素子が動作(オン)したとき、第2の電力用ダイオード整流器REC2の電力用ダイオードに流れ込むリカバリ電流を抑制する役目をする。
【0192】
第1の電力用ダイオード整流器REC1の3相変圧器TRaは、例えば、Δ/Δ結線されるのに対し、第2の電力用ダイオード整流器REC2の3相変圧器TRbは、例えば、Δ/Y結線することにより、それぞれの3相2次電圧は、電気角で30°の位相差を持たせている。また、第1及び第2の電力用ダイオード整流器REC1,REC2の直流側端子と、電圧形自励式電力変換器CNVの直流側端子は並列接続され、負荷LOADへ電力を供給する。
【0193】
電圧形自励式電力変換器CNVは、固定パルスパターンで動作し、交流電源SUPの電圧Vに対する交流側端子電圧Vの位相角φを調整することにより当該電圧形自励式電力変換器CNVの入力電流Iと第2の電力用ダイオード整流器REC2の入力電流Irec2との和電流Is2(Is2r,Is2s,Is2t)を制御する。また、直流平滑コンデンサCに印加される電圧Vdが指令値Vdに一致するように当該和電流Is2を制御する。
【0194】
次に、図17の装置の制御動作を説明する。電力変換器制御回路PTCは、直流平滑コンデンサCに印加される電圧Vdを検出し、比較器C1により、電圧指令値Vdと比較する。その偏差εを電圧制御補償回路G(S)により、積分又は比例増幅し、加算器ADに入力する。一方、負荷LOADに流れる直流電流ILoadを検知し、フィードフォワード補償器FFを介して、前向き補償値IqFF を求め、加算器ADに入力する。加算器ADの出力をリミッタ回路LIMを介して有効電流指令値Iq2 とする。
【0195】
座標変換器Zは、電源SUPから自励式変換器CNV及び第2の電力用ダイオード整流器REC2に供給される3相入力和電流Is2(Is2r,Is2s,Is2t)の検出値をdq軸量(直流量)に変換する。座標変換されたq軸電流Iq2は有効電流検出値を、d軸電流Id2は無効電流検出値を表わす。比較器C2により、有効電流指令値Iq2 と有効電流検出値Iq2を比較し、その偏差εを電流制御補償回路G(S)により増幅して、位相角指令値φ*とする。電源同期位相検出回路PLLは3相交流電源電圧V,V,Vに同期した位相信号θ,θ,θを作り、位相制御回路PHCに入力する。位相制御回路PHCは、位相角指令値φ*と上記位相信号θ,θ,θを用いて自励式電力変換器CNVの自己消弧素子S1〜S6のゲート信号g1〜g6を発生する。当該位相信号θ,θ,θは、座標変換器Zの位相信号としても使われる。
【0196】
電圧形自励式電力変換器CNVは、電源電圧に同期した一定のパルスパターン(1パルス,3パルス,5パルス等)で動作し、電源電圧Vに対する位相角φを調整することにより、自励式変換器CNV及び第2の電力用ダイオード整流器REC2に供給される3相入力和電流Is2(有効分Iq2)を制御する。このとき、電圧形自励式電力変換器CNVは力率=1付近で運転され、変換器を構成する自己消弧素子のスイッチングは入力和電流Is2のゼロ点付近で行われる。その結果、自己消弧素子のしゃ断電流は小さくなり、スイッチング損失は大幅に低減される。
【0197】
また、電圧形自励式電力変換器CNVは、入力和電流Is2の有効分を調整することにより、直流平滑コンデンサCに印加される電圧Vdを指令値Vdに従って制御する。
【0198】
電圧形自励式電力変換器CNVは、一定のパルスパターンで、交流電源の電圧Vに同期したスイッチングを行う。そのため、直流電圧Vdが一定ならば、変換器CNVの交流側端子電圧Vの振幅値は一定になる。この状態で、電源電圧Vに対する変換器CNVの交流側端子電圧Vの位相角φを調整することにより、第2の変圧器TRbの漏れインダクタンスLに印加される電圧(V−V)が変化し、自励式変換器CNV及び第2の電力用ダイオード整流器REC2に供給される入力和電流Is2=(V−V)/(jω・L)を制御することができる。電源電圧Vに対する変換器CNVの交流側端子電圧Vの位相角φを遅れ方向に増加させることにより、交流電源SUPから供給される有効電力Pが増加し、直流平滑コンデンサCに印加される直流電圧Vdが増加する。逆に位相角φを進み方向に増やすと、有効電力Pが交流電源SUPに回生され、直流電圧Vdが減少する。このようにして、Vd=Vdに制御される。
【0199】
力行運転時は、自励式変換器CNV及び第2の電力用ダイオード整流器REC2に供給される入力和電流Is2を制限することにより、直流電圧Vdが低下し、第1の電力用ダイオード整流器REC1から電力が負荷に供給されるようになる。このとき、変圧器TRaとTRbと間に位相差30°を持たせたことにより、等価的に12相運転ができ、装置全体の入力電流高調波を低減させることができる。
【0200】
一方、回生運転時は、第1の電力用ダイオード整流器REC1には電流が流れず、「自励式変換器CNV+第2の電力用ダイオード整流器REC2」に流れる。従って、「自励式変換器CNV+第2の電力用ダイオード整流器REC2」による並列運転(6相相当)となり、入力電流高調波が大きくなることが懸念されるが、本発明では、回生運転時に、自励式電力変換器の制御パルス数を増やして、高調波を低減させている。
【0201】
自励式変換器CNVを一定のパルスパターンで制御する場合、入力和電流Is2の高調波成分が小さくなるようにスイッチングパターンを決めるが、回生運転時にも変換器力率が1に近いため、入力和電流Is2のゼロ点付近でスイッチングが行われ、自励式変換器CNVを構成する自己消弧素子の遮断電流は小さくて済む。これにより、電力回生が可能で、高力率・高効率で、低コストの電力変換装置を提供できる。
【0202】
ここで、図17の装置において、直流電圧指令値Vdを、第1の電力用ダイオード整流器REC1の整流電圧Vrec1より高い値に設定することにより横流の発生を防止することができる。仮に、直流電圧がVd=Vd<Vrec1とすると、第1の電力用ダイオード整流器REC1から電力が供給され、その電力を「自励式電力変換器CNV+第2の電力ダイオード整流器REC2」が回生することになり、無駄な横流が流れてしまう。本発明装置では、Vd>Vrec1に設定することにより、無駄な横流を流すことを防止している。
【0203】
すなわち、力行運転時(負荷LOADが電力を消費する場合)は、第1の電力用ダイオード整流器REC1と、「自励式電力変換器CNV+第2の電力ダイオード整流器REC2」の並列運転となるが、Vd>Vrecとなっているので、第1の電力用ダイオード整流器REC1からは電力を供給できない。負荷LOADには全て「自励式電力変換器CNV+第2の電力ダイオード整流器REC2」から電力Pを供給することになる。
【0204】
そこで、「自励式電力変換器CNV+第2の電力ダイオード整流器REC2」の電力供給を制限することにより、「自励式電力変換器CNV+第2の電力ダイオード整流器REC2」は一定の有効電力Pcnvを供給し、Vd>Vd=Vrec1となる。この結果、第1の電力用ダイオード整流器REC1は、Prec=P−Pcnv の電力を供給するようになる。
【0205】
本発明に係る装置では、自励式電力変換器CNVの電力制限値Pcnvまでは、直流電圧Vdは一定に保持され、さらにそれ以上の負荷が増えると、直流電圧はVd=Vrec1で徐々に下がっていくことになる。
【0206】
回生運転時(負荷側から電源側に電力を戻す場合)は、「自励式電力変換器CNV+第2の電力ダイオード整流器REC2」だけで動作し、直流電圧Vd=Vd>Vrec1で、ほぼ一定に制御される。
【0207】
このように、本発明に係る装置では、無駄な横流を流すことなく直流電圧Vdの安定化が図られ、電気鉄道などでは、車載設備容量の低減が図られる。
【0208】
また、図17の電力変換装置において、電圧形自励式電力変換器CNVは、負荷装置LOADが消費又は発生する有効電力(又は有効電流)Pを検出又は推定し、当該有効電力Pに比例した前向き補償量IqFF を求め、当該補償量IqFF を自励式変換器CNV及び第2の電力用ダイオード整流器REC2に供給される入力和電流Is2の有効分指令値に加えて制御している。
【0209】
電圧形自励式変換器CNVによって、直流電圧Vdが指令値Vdに一致するようにフィードバック制御を行っているが、負荷が急変した場合、その応答が間に合わないと、直流電圧Vdが大きく変動する。すなわち、負荷消費電力Pが急激に増えると、直流電圧Vdが低下し、必要な電力を送れなくなるだけでなく、電圧不足により、自励式変換器CNVの制御にも影響を与え、制御全体を不安定にすることもある。また、逆に、電車の回生ブレーキ等により、負荷側からの回生電力が急激に増えると、直流電圧Vdが上昇し、電力変換装置や負荷装置の耐圧を脅かすことになる。
【0210】
負荷装置LOADが消費又は発生する有効電力(又は有効電流)Pを検出又は推定し、当該有効電力Pに比例する前向き補償量IqFF を演算して求め、当該補償量IqFF を「自励式変換器CNV+第2の電力用ダイオード整流器REC2」に供給される入力和電流Is2の有効分指令値に加えて制御することにより、直流電圧制御の応答を高めることができ、負荷急変に対しても、直流電圧Vdの変動幅が小さくなり、上記問題を解決することができる。
【0211】
図17の装置では、負荷がとる直流電流ILoadを検知し、その量に見合った有効電流を供給するようにフィードフォワード補償器FFで補償量IqFF =kFF・ILoadを演算し、加算器ADに入力している。これにより、負荷Pが急変した場合、それに見合った入力電流(有効電流)Iq2が直ちに供給され、直流平滑コンデンサCの印加電圧Vdの変動を抑えることが可能となる。
【0212】
また、図17の電力変換装置において、電圧形自励式電力変換器CNVは、力行運転のある負荷電力PLo以上では、1パルスモードで運転し、当該負荷PLo以下(回生を含む)では、3パルス又はそれ以上のパルスモードで、固定パルス位相制御により運転することができる。例えば、パルス数を切り換える負荷電力設定値をPLoとした場合、負荷電力がPL>PLoで1パルス運転を行い、PL<PLoで5パルス運転を行うようにしている。回生運転ではPL<0となるので、5パルス運転が行われる。
【0213】
力行運転で、消費する負荷電力が大きくなり、第1の電力用ダイオード整流器REC1と「電圧形自励式電力変換器CNV+第2の電力用ダイオード整流器REC2」で並列運転する場合、変圧器TRaとTRbの2次電圧位相を30°ずらしているため、「電圧形自励式電力変換器CNV+第2の電力用ダイオード整流器REC2」(6相相当)を1パルスモードで運転することにより、第1の電力用ダイオード整流器REC1(6相1パルス運転)とで等価的に12相運転ができ、装置全体の入力電流の高調波を低減することができる。負荷電力PLが設定した値PLoより小さいときは、「電圧形自励式電力変換器CNV+第2の電力用ダイオード整流器REC2」がその負荷を多く負担するので、当該自励式電力変換器CNVの制御パルス数を増やすことにより、入力電流高調波を減らすことができる。そして、回生運転では、全て「電圧形自励式電力変換器CNV+第2の電力用ダイオード整流器REC2」が回生電力を負担するので、やはり、当該自励式電力変換器CNVの制御パルス数を増やすことにより、入力電流高調波を減らすことができる。
【0214】
また、図17の電力変換装置において、電圧形自励式電力変換器CNVを、力行運転時にゲートブロックしてダイオード整流器として運転し、回生運転時にゲートブロックを解除するようにすることができる。
【0215】
3相ブリッジ結線の電圧形自励式電力変換器CNVは、6個の自己消弧素子(GTOやIGBT等)と逆並列接続された6個の高速ダイオードで構成されている。力行運転時(PL>0)に、当該自己消弧素子をゲートブロックすることにより、電圧形自励式電力変換器CNVは3相ブリッジ結線のダイオード整流器(6相相当)として動作する。
【0216】
その結果、3相ブリッジ結線された第2の電力用ダイオード整流器REC2(6相相当)と当該自励式変換器CNVのダイオード整流器(6相相当)とが並列運転されるが、電力用ダイオードの順方向電圧降下に対し、高速ダイオードの順方向電圧降下が大きいため、大部分の電流は、第2の電力用ダイオード整流器REC2を介して流れる。一方、変圧器TRaとTRbの3相2次電圧は位相差30°を持たせているため、第1の電力用ダイオード整流器REC1との間で、等価的に12相運転が行われ、装置全体の入力電流高調波を低減させることができる。そして、回生運転時(PL<0)には、当該ゲートブロックを解除することにより、電圧形自励式電力変換器CNVの本来の動作が行われ、電力回生と直流電圧の安定化が図られる。
【0217】
また、図17の電力変換装置において、電圧形自励式電力変換器CNVを、回生運転時に3パルス又はそれ以上のパルス数にして固定パルス位相制御を行うようにすることができる。すなわち、回生運転(PL<0)では、「電圧形自励式電力変換器CNV+第2の電力用ダイオード整流器REC2」(6相相当)が全て回生電力を負担するので、1パルスモードで運転すると、入力電流高調波が増加する。そこで、本発明では、回生運転時の当該自励式電力変換器CNVの制御パルス数を増やすことにより、入力電流高調波を減らすことができる。
【0218】
自励式変換器CNVを一定のパルスパターンで制御する場合、当該自励式変換器CNV及び第2の電力用ダイオード整流器REC2に供給される入力和電流Is2の高調波成分が小さくなるようにスイッチングパターンを決めるが、回生運転時にも変換器力率が1に近いため、和電流Is2のゼロ点付近でスイッチングが行われ、自励式変換器CNVを構成する自己消弧素子の遮断電流は小さくて済む。これにより、電力回生が可能で、高力率・高効率で、入力電流高調波が少ない電力変換装置を提供できる。
【0219】
【発明の効果】
以上のように、本発明の電力変換装置によれば、既設の電力用ダイオード整流器と自励式電力変換器との協調運転が可能となり、装置全体の入力電流高調波を大幅に低減することができる。また、当該自励式電力変換器を構成する自己消弧素子の遮断電流を大幅に低減でき、これにより、電力回生が可能で、過負荷耐量に優れ、低コストで高効率の電力変換装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態の構成図。
【図2】図1の装置に係る主回路の具体的構成図。
【図3】図1又は図2の構成において行われる固定パルス位相制御の動作を説明するための電圧・電流ベクトル図。
【図4】図1における位相制御回路PHCの構成図。
【図5】1パルスパターンの固定パルス位相制御に基づく図1又は図2の制御動作を説明するための波形図。
【図6】図5のパルスパターンにより力行運転を行った場合のR相各部の信号波形を示す波形図。
【図7】図5のパルスパターンにより回生運転を行った場合のR相各部の信号波形を示す波形図。
【図8】3パルスパターンの固定パルス位相制御に基づく図1又は図2の制御動作を説明するための波形図。
【図9】図8のパルスパターンにより力行運転を行った場合のR相各部の信号波形を示す波形図。
【図10】図1の装置における電力変換器制御回路PTCのリミッタ回路LIMの入出力特性についての説明図。
【図11】自励式変換器CNVの力行側有効電力を定格100%で制限した場合の運転特性についての説明図。
【図12】負荷電力PLに対する自励式電力変換器CNVの制御パルス数の関係を示す説明図。
【図13】負荷電力PLに対する自励式電力変換器CNVのゲートブロックGB又はゲートデブロックGDBの関係を示す説明図。
【図14】負荷電力PLに対する自励式電力変換器CNVの制御パルス数の関係を示す説明図。
【図15】本発明の第2の実施形態の構成図。
【図16】図15の装置に係る主回路の具体的構成図。
【図17】本発明の第3の実施形態の構成図。
【図18】従来装置の構成図。
【符号の説明】
SUP 交流電源
REC 電力用ダイオード整流器
REC1 第1の電力用ダイオード整流器
REC2 第2の電力用ダイオード整流器
TRa 第1の3相変圧器
TRb 第2の3相変圧器
CNV 電圧形自励式電力変換器
PTC 電力変換器制御回路
Cd 直流平滑コンデンサ
LOAD 負荷装置
La 交流リアクトル(リカバリ電流抑制リアクトル)
PD1〜PD6 電力用ダイオード
PD11〜PD16 電力用ダイオード
PD21〜PD26 電力用ダイオード
S1〜S6 自己消弧素子
D1〜D6 高速ダイオード
g1〜g6 ゲート信号
INV インバータ
M 交流電動機

Claims (16)

  1. 3相交流電源SUPに1次側が接続された第1の3相変圧器TRaと、
    前記3相交流電源SUPに1次側が接続され、且つ2次側電圧が前記第1の3相変圧器TRaと30°の位相差を有する第2の3相変圧器TRbと、
    電力用ダイオードが3相ブリッジ結線されて成り、前記第1の3相変圧器TRaの2次側に交流側端子が接続された電力用ダイオード整流器RECと、
    逆並列接続された高速ダイオードを有する自己消弧素子が3相ブリッジ結線されて成り、前記第2の3相変圧器TRbの2次側に交流側端子が接続された電圧形自励式電力変換器CNVと、
    前記電圧形自励式電力変換器CNVの交流側端子電圧Vcについてのパルスパターンを固定する固定パルス位相制御に基づき、前記自己消弧素子に対するスイッチング制御を行い、このスイッチング制御の際に前記自己消弧素子及び前記高速ダイオードを流れる入力電流Icについての制御を行うことにより前記直流平滑コンデンサCdの印加電圧Vdを制御する電力変換器制御回路PTCと、
    前記電力用ダイオード整流器REC及び電圧形自励式電力変換器CNVの直流共通端子間に接続され、力行時には負荷装置LOADに対して電力供給を行うと共に、回生時には負荷装置LOADから電力供給を受ける直流平滑コンデンサCdと、
    を備え、
    しかも前記電力変換器制御回路PTCは、前記交流電源SUPの電圧Vsに対する前記交流側端子電圧Vcの位相角φを調整することにより、力行時又は回生時における前記自己消弧素子のスイッチングを前記入力電流Icのゼロ点付近で行うようにし、これにより自己消弧素子の遮断電流及びスイッチング損失を低減させるものである、
    ことを特徴とする電力変換装置。
  2. 前記電力変換器制御回路PTCは、前記直流平滑コンデンサCdの印加電圧Vdが前記電力用ダイオード整流器RECの整流電圧Vrecより高くなるように、前記電圧形自励式電力変換器CNVの制御を行うものである、
    ことを特徴とする請求項1記載の電力変換装置。
  3. 前記電力変換器制御回路PTCは、前記負荷装置LOADで消費又は発生する有効電力PLの検出又は推定により前向き補償量IqFF*を求め、この前向き補償量IqFF*を前記入力電流Icの指令値に加えて、前記電圧形自励式電力変換器CNVの制御を行うものである、
    ことを特徴とする請求項1又は2記載の電力変換装置。
  4. 前記電力変換器制御回路PTCは、前記入力電流Icの力行時における有効分指令値Iq*が所定値を超えないように制限を加えるものである、
    ことを特徴とする請求項2記載の電力変換装置。
  5. 前記電力変換器制御回路PTCは、前記固定パルス位相制御を行う場合の固定パルス数を、力行時の負荷電力が所定値PLo以上のときは1パルスとし、力行時の負荷電力が所定値PLoを下回るときは3パルス以上とする、
    ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の電力変換装置。
  6. 前記電力変換器制御回路PTCは、力行時には前記電圧形自励式電力変換器CNVの自己消弧素子をゲートブロックして、この電力変換器CNVをダイオード整流器として運転し、回生時に上記ゲートブロックの解除を行うものである、
    ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の電力変換装置。
  7. 前記電力変換器制御回路PTCは、回生時には前記固定パルス位相制御を行う場合の固定パルス数を3パルス以上とする、
    ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の電力変換装置。
  8. 3相交流電源SUPに1次側が接続された第1の3相変圧器TRaと、
    前記3相交流電源SUPに1次側が接続され、且つ2次側電圧が前記第1の3相変圧器TRaと30°の位相差を有する第2の3相変圧器TRbと、
    電力用ダイオードが3相ブリッジ結線されて成り、前記第1の3相変圧器TRaの2次側に交流側端子が接続された第1の電力用ダイオード整流器REC1と、
    電力用ダイオードが3相ブリッジ結線されて成り、前記第2の3相変圧器TRbの2次側に交流側端子が接続された第2の電力用ダイオード整流器REC2と、
    逆並列接続された高速ダイオードを有する自己消弧素子が3相ブリッジ結線されて成り、前記第2の3相変圧器TRbの2次側にリカバリ電流抑制リアクトルLaを介して交流側端子が接続された電圧形自励式電力変換器CNVと、
    前記電圧形自励式電力変換器CNVの交流側端子電圧Vcについてのパルスパターンを固定する固定パルス位相制御に基づき、前記自己消弧素子に対するスイッチング制御を行い、このスイッチング制御の際に前記自己消弧素子及び前記高速ダイオードを流れる入力電流Icについての制御を行うことにより前記直流平滑コンデンサCdの印加電圧Vdを制御する電力変換器制御回路PTCと、
    前記第1及び第2の電力用ダイオード整流器REC1,REC2並びに電圧形自励式電力変換器CNVの直流共通端子間に接続され、力行時には負荷装置LOADに対して電力供給を行うと共に、回生時には負荷装置LOADから電力供給を受ける直流平滑コンデンサCdと、
    を備え、
    しかも前記電力変換器制御回路PTCは、前記交流電源SUPの電圧Vsに対する前記交流側端子電圧Vcの位相角φを調整することにより、力行時又は回生時における前記自己消弧素子のスイッチングを前記入力電流Icのゼロ点付近で行うようにし、これにより自己消弧素子の遮断電流及びスイッチング損失を低減させるものである、
    ことを特徴とする電力変換装置。
  9. 前記電力変換器制御回路PTCは、前記入力電流Icの制御に変えて、この入力電流Icと前記第2の電力用ダイオード整流器REC2の入力電流Irec2との和電流Is2の制御を行うものである、
    ことを特徴とする請求項8記載の電力変換装置。
  10. 前記電力変換器制御回路PTCは、前記直流平滑コンデンサCdの印加電圧Vdが前記第1及び第2の電力用ダイオード整流器REC1,REC2の整流電圧Vrecより高くなるように、前記電圧形自励式電力変換器CNVの制御を行うものである、
    ことを特徴とする請求項8又は9記載の電力変換装置。
  11. 前記電力変換器制御回路PTCは、前記負荷装置LOADで消費又は発生する有効電力PLの検出又は推定により前向き補償量IqFF*を求め、この前向き補償量IqFF*を前記入力電流Icの指令値に加えて、前記電圧形自励式電力変換器CNVの制御を行うものである、
    ことを特徴とする請求項8又は10記載の電力変換装置。
  12. 前記電力変換器制御回路PTCは、前記負荷装置LOADで消費又は発生する有効電力PLの検出又は推定により前向き補償量IqFF*を求め、この前向き補償量IqFF*を前記入力電流Icと前記第2の電力用ダイオード整流器REC2の入力電流Irec2との和電流Is2の指令値に加えて、前記電圧形自励式電力変換器CNVの制御を行うものである、
    ことを特徴とする請求項9又は10記載の電力変換装置。
  13. 前記電力変換器制御回路PTCは、前記入力電流Icの力行時における有効分指令値Iq*が所定値を超えないように制限を加えるものである、
    ことを特徴とする請求項11記載の電力変換装置。
  14. 前記電力変換器制御回路PTCは、前記固定パルス位相制御を行う場合の固定パルス数を、力行時の負荷電力が所定値PLo以上のときは1パルスとし、力行時の負荷電力が所定値PLoを下回るときは3パルス以上とする、
    ことを特徴とする請求項8乃至13のいずれかに記載の電力変換装置。
  15. 前記電力変換器制御回路PTCは、力行時には前記電圧形自励式電力変換器CNVの自己消弧素子をゲートブロックして、この電力変換器CNVをダイオード整流器として運転し、回生時に上記ゲートブロックの解除を行うものである、
    ことを特徴とする請求項8乃至12のいずれかに記載の電力変換装置。
  16. 前記電力変換器制御回路PTCは、回生時には前記固定パルス位相制御を行う場合の固定パルス数を3パルス以上とする、
    ことを特徴とする請求項8乃至15のいずれかに記載の電力変換装置。
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