JP4045117B2 - 電力変換装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電力用ダイオード整流器と電圧形自励式電力変換器を組み合わせた電力変換装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
電気鉄道直流き電システムでは、3相ブリッジ接続された電力用ダイオード整流器により3相交流電力を直流電力に変換する方式が多く採用されている。この方式は過負荷耐量に優れ、変換器コストを安くすることができるという利点を有する。しかし、電車が回生ブレーキをかけたときにその電力を交流電源側に回生できず、しばしば回生失効を起こすという問題があった。また、負荷電流依存性があり、直流き電電圧が負荷によって大きく変動するという問題もあった。
【0003】
電力回生を可能にする従来の電力変換装置として、例えば、図25に主回路構成を、図26に制御回路の構成をそれぞれ示すPWMコンバータ(パルス幅変調制御コンバータ)がある。図25において、3相交流電源SUPの端子R,S,Tに、それぞれ交流リアクトルLsを介して、PWMコンバータCNVの交流側端子が接続されている。PWMコンバータCNVの直流側端子には、平滑コンデンサCdが接続されると共に、3相のVVVF(可変電圧可変周波数)インバータINVの入力側端子が接続されている。そして、このVVVFインバータINVの出力側端子に交流電動機Mが接続されている。
【0004】
ここで、PWMコンバータCNVは、それぞれ還流用のダイオードが逆並列接続された自己消弧素子S1及びS4の直列接続回路、自己消弧素子S2及びS5の直列接続回路、自己消弧素子S3及びS6の直列接続回路が並列接続されている。そして、直列接続回路を構成する自己消弧素子S1及びS4の相互接続点、自己消弧素子S2及びS5の相互接続点、自己消弧素子S3及びS6の相互接続点をそれぞれ交流側入力端子として3相交流電源SUPが接続され、各直列接続回路を並列接続した両端を出力側端子としてその両端子間に平滑コンデンサCd及びVVVFインバータINVが接続されている。
【0005】
一方、図26に示す制御回路は、直流電圧指令値Vdc*と実際の直流電圧Vdcとを比較してその偏差分を出力する比較器C1と、その偏差分を、例えば、PI演算する電圧制御補償器Gv(S)と、電圧制御補償器Gv(S)の出力信号に応じてR,S,T各相の自己消弧素子のゲート信号g1及びg4、g2及びg5、g3及びg6を出力する3組の乗算器ML、比較器C2、電流制御補償器Gi(S)及びパルス幅変調制御回路PWMCとを備えている。この場合、R相のみを詳しく示しているが、S相およぴT相も同様に構成されている。
【0006】
このうち、乗算器MLは電圧制御補償器Gv(S)の出力とR相の電圧に同期した単位正弦波sinωtとを掛け算するもの、比較器C2は乗算器MLの出力とR相電流検出値とを比較し、その偏差を電流制御補償器Gi(S)に加えるもので、電流制御補償器Gi(S)はその入力を反転増幅するものである。
【0007】
上記のように構成されたPWMコンバータCNVの動作について、以下に説明する。PWMコンバータCNVは、平滑コンデンサCdに印加される電圧Vdcが電圧指令値Vdc*に一致するように入力電流Ir,Is,Itを制御する。
【0008】
この場合、電圧指令値Vdc*と電圧検出値Vdcの偏差を電圧制御補償器Gv(S)で増幅し、入力電流の振幅指令値Ismとする。乗算器MLでR相の電圧に同期した単位正弦波sinωtと入力電流の振幅指令値Ismとを掛け算し、得られた値をR相の電流指令値Ir*とする。比較器C2によって、R相電流指令値Ir*とR相電流検出値Irとを比較し、その偏差を電流制御補償器Gi(S)で、反転増幅する。電流制御補償器Gi(S)には、通常、比例増幅が使われ、Gi(S)=−Kiとなる。Kiは比例定数である。電流制御補償器Gi(S)の出力である電圧指令値er*=−Ki×(Ir*−Ir)をパルス幅変調制御回路PWMCに入力し、PWMコンバータのR相の自己消弧素子S1とS4のゲート信号g1,g4を作る。パルス幅変調制御回路PWMCは、電圧指令値er*とキャリア信号X(例えば、1kHzの三角波)を比較し、er*>Xのときは、自己消弧素子S1をオンさせ(S4はオフ)、er*<Xのときは、自己消弧素子S4をオン(S1はオフ)させる。この結果、PWMコンバータのR相電圧Vrは前記電圧指令値er*に比例した電圧を発生する。
【0009】
Ir*>Irの場合、電圧指令値er*は負の値となり、Irを増加させる。逆に、Ir*<Irの場合、電圧指令値er*は正の値となり、Irを減少させる。
従って、Ir*=Irとなるように制御される。S相、T相の電流も同様に制御される。
【0010】
また、平滑コンデンサに印加される電圧Vdcは、次のように制御される。Vdc*>Vdcとなった場合、入力電流の振幅指令値Ismが増加する。各相の電流指令値は電源電圧と同相となり、振幅指令値Ismに比例した有効電力Psが交流電源SUPから平滑コンデンサCdに供給されることになる。この結果。電圧検出値Vdcが上昇し、Vdc*=Vdcとなるように制御される。
【0011】
逆に、Vdc*<Vdcとなった場合、入力電流の振幅指令値Ismは負の値となり、交流電源側に電力Psを回生する。従って、平滑コンデンサCdの蓄積エネルギーが減少し、電圧検出値Vdcが減って、やはり、Vdc*=Vdcとなるように制御される。
【0012】
VVVFインバータINV及び交流電動機Mは、平滑コンデンサCdを電圧源とする負荷で、力行運転時はコンデンサCdのエネルギーを消費し、Vdcを減少させる方向に働く。また、回生運転時はその回生エネルギーを平滑コンデンサCdに戻すため、Vdcを上昇させる方向に働く。前述のようにPWMコンバータCNVによって直流電圧Vdcが一定になるように制御されるため、力行運転時には交流電源から負荷に見合った有効電力が自動的に供給され、回生運転時には回生エネルギーに見合った有効電力が交流電源側に自動的に回生されることになる。
【0013】
このように、従来のPWMコンバータによれば、直流電圧を安定化させることができると共に、電力回生が可能となり、電気鉄道の直流き電システムでの回生失効の問題も解決される。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、PWMコンバータCNVは、高周波でスイッチングを行うためスイッチング損失が大きくなる欠点がある。また、スイッチング素子は、しゃ断電流として交流入力電流の最大値を遮断する能力も必要となる。従って、短時間の過負荷(例えば、定格電流の300%)でもそのしゃ断電流に耐えるように設計しなければならず、電力変換器として大きなものが必要となり、不経済なシステムとなってしまうという問題がある。
【0015】
また、ダイオード整流器に比ぺるとコストが高く、過負荷耐量も大きく出来ないという難点もあった。
【0016】
本発明は上記の問題点を解決するためになされたもので、過負荷耐量に優れ、電力回生が可能で、変換器効率が高く、経済的な電力変換装置を提供することを目的とする。
【0018】
請求項1に係る発明は、
交流電源に、第1の変圧器を介して、交流側端子が接続された電力用ダイオード整流器と、前記交流電源に、第2の変圧器を介して、交流側端子が接続された電圧形自励式電力変換器と、前記電圧形自励式電力変換器を1パルス又は固定パルスパターンで動作させ、前記交流電源の電圧に対する交流側出力電圧の位相角を調整することにより前記電圧形自励式電力変換器の入力電流を制御する手段と、前記電圧形自励式電力変換器の直流側端子に接続された平滑コンデンサと、を備え、前記電力用ダイオード整流器及び前記電圧形自励式電力変換器の各直流側端子を共通接続して負荷装置に電力を供給する電力変換装置において、
前記第2の変圧器の2次側電圧の実効値を、前記第1の変圧器の2次側電圧の実効値より高くすることを特徴とする電力変換装置。
【0019】
請求項2に係る発明は、
請求項1記載の電力変換装置において、
前記平滑コンデンサに印加される電圧が直流電圧指令値に一致するように前記電圧形自励式電力変換器の入力電流を制御し、かつ、前記直流電圧指令値を前記電力用ダイオード整流器の整流電圧より大きな値に設定することを特徴とする電力変換装置。
【0027】
請求項3に係る発明は、
m,nを2以上の整数として、3相交流電源に1次巻線が接続され、適宜の位相差を持たせたn組の2次巻線を有する第1の3相変圧器と、前記第1の3相変圧器の各々の2次巻線に交流側端子が接続されたn台の電力用ダイオード整流器と、前記3相交流電源に1次巻腺が接続され、適宜の位相差を持たせたm組の2次巻線を有する第2の3相変圧器と、前記第2の3相変圧器の各々の2次巻線に交流側端子が接続され、直流側端子が共通接続されたm台の電圧形自励式電力変換器と、前記m台の電圧形自励式電力変換器を1パルス又は固定パルスパターンで動作させ、前記交流電源の電圧に対する位相角を調整することにより前記m台の電圧形自励式電力変換器の入力電流を制御する手段と、前記m台の電圧形自励式電力変換器の直流側共通端子に接続された平滑コンデンサと、を備え、前記n台の電力用ダイオード整流器及び前記m台の電圧形自励式電力変換器の直流側端子を共通接続して負荷装置に電力を供給する電力変換装置において、
前記第2の3相変圧器の2次側巻線電圧実効値を、前記第1の3相変圧器の2次側巻線電圧実効値より高くすることを特徴とする電力変換装置。
【0028】
請求項4に係る発明は、
請求項3記載の電力変換装置において、
前記m台の電圧形自励式電力変換器は、前記平滑コンデンサに印加される電圧が指令値に一致するように前記m台の電圧形自励式電力変換器の入力電流を制御し、かつ、前記直流電圧指令値を前記電力用ダイオード整流器の整流電圧より大きな値に設定することを特徴とする電力変換装置。
【0034】
請求項5に係る発明は、
m,nを2以上の整数として、3相交流電源に1次巻線が接続され、適宜の位相差を持たせたn組の2次巻線を有する第1の3相変圧器と、前記第1の3相変圧器の各々の2次巻線に交流側端子が接続されたn台の電力用ダイオード整流器と、前記交流電源に対し、1次巻線が各相毎に前記第1の3相変圧器の1次巻線に直列接続され、2次巻線の出力電圧が適宜の位相差を持つように構成されたm台の3相変圧器と、前記m台の3相変圧器の各々の2次巻線に交流側端子が接続されたm台の電圧形自励式電力変換器と、前記m台の電圧形自励式電力変換器を1パルス又は固定パルスパターンで動作させ、前記交流電源の電圧に対する位相角を調整することにより前記m台の電圧形自励式電力変換器の入力電流を制御する手段と、前記m台の電圧形自励式電力変換器の直流側端子に接続された平滑コンデンサと、を備え、前記n台の電力用ダイオード整流器及び前記m台の電圧形自励式電力変換器の直流側端子を共通接続して負荷装置に電力を供給する電力変換装置において、
前記m台の3相変圧器の2次側巻線電圧実効値を、前記第1の3相変圧器のn組の2次側巻線電圧実効値より高くすることを特徴とする力変換装置。
【0035】
請求項6に係る発明は、
請求項5記載の電力変換装置において、
前記m台の電圧形自励式電力変換器は、前記平滑コンデンサに印加される電圧が指令値に一致するように前記m台の電圧形自励式電力変換器の入力電流を制御し、かつ、前記直流電圧指令値を前記電力用ダイオード整流器の整流電圧より大きな値に設定することを特徴とする電力変換装置。
【0040】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図面に示す好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。
【0041】
図1は本発明に係る電力変換装置の第1の実施形態の主回路の構成を示す回路図である。同図において、3相交流電源SUPに第1の変圧器TRaの1次巻線が接続されると共に、第2の変圧器TRbの1次巻線が接続されている。このうち、第1の変圧器TRaの2次巻線には電力用ダイオード整流器(以下、ダイオード整流器と略称する)RECの交流側端子が接続され、第2の変圧器TRbの2次巻線には、インダクタンスがLbのリアクトルLを介して、電圧形自励式電力変換器(以下、単に電力変換器と略称する)CNVの交流側端子が接続されている。この電力変換器CNVの直流側端子には、平滑コンデンサCdが接続されている。そして、この平滑コンデンサCdの両端に、ダイオード整流器RECの直流側端子がその極性を合わせて接続され、さらに、負荷装置Loadが接続されている。
【0042】
図2は電力変換器CNVの制御回路の構成を示すブロック図である。同図において、比較器C1は直流電圧指令値Vdc*と直流電圧Vdcとを比較してその偏差分εvを出力するもので、その出力端に電圧偏差分εvを例えばPI演算する電圧制御補償器Gv(S)が接続され、この電圧制御補償器Gv(S)の出力が加算器ADの一方入力として加えられる。また、負荷電流値ILoadに応じてフィードフォワード補償量IqFF*を演算するフィードフォワード補償回路FFが設けられ、そのフィードフォワード補償量IqFF*が加算器ADの他方入力として加えられる。加算器ADの出力経路に、正側の信号を制限して有効電流(q軸電流)指令値Iq*を出力するリミッタLIMが設けられている。
【0043】
比較器C2はこの有効電流指令値Iq*と実際の有効電流Iqとを比較してその偏差分εiを出力するもので、その出力端に電流偏差分εiを例えばPI演算する電流制御補償器Gi(S)が接続され、その出力が位相角基準φ*として位相制御回路PHCに加えられる。電源同期位相検出回路PLLは3相交流電圧Vr,Vs,Vtを入力して回転座標上の位相角θr,θs,θtを求めて位相制御回路PHCに加えるものである。位相制御回路PHCは位相角基準φ*と位相角θr,θs,θtとに基づいて、電力変換器CNVを構成する自己消弧素子のゲート信号g1〜g6を発生するものである。座標変換回路Zは3相の入力電流Icr,Ics,Ictを3相2相変換して静止直角座標系の有効電流(q軸電流)Iq及び無効電流(d軸電流)Idを演算するもので、このうち、有効電流Iqが比較器C2で有効電流指令値Iq*と比較される。
【0044】
図3は、図1に示したダイオード整流器REC及び電力変換器CNVの詳細な構成を示す回路図である。同図において、ダイオード整流器RECは、電力用ダイオードPD1及びPD4の直列接続回路と、電力用ダイオードPD2及びPD5の直列接続回路と、電力用ダイオードPD3及びPD6の直列接続回路とが並列接続され、このうち、電力用ダイオードPD1及びPD4の相互接続点、電力用ダイオードPD2及びPD5の相互接続点、並びに、電力用ダイオードPD3及びPD6の相互接続点が3相交流電圧の入力側端子となり、並列接続回路の両端が直流側端子となっている、周知の3相ブリッジ回路によって構成されている。
【0045】
一方、電力変換器CNVは、それぞれ還流用のダイオードD1,D4が逆並列接続されたGTOやIGBT等の自己消弧素子S1及びS4の直列接続回路と、それぞれ還流用のダイオードD2,D5が逆並列接続された自己消弧素子S2及びS5の直列接続回路と、それぞれ還流用のダイオードD3,D6が逆並列接続された自己消弧素子S3及びS6の直列接続回路とが並列接続され、このうち、自己消弧素子S1及びS4の相互接続点、自己消弧素子S2及びS5の相互接続点、並びに、自己消弧素子S3及びS6の相互接続点が3相交流電圧の入力側端子となり、並列接続回路の両端が直流側端子となっており、これらの直流出力端子間に平滑コンデンサCdが接続されている。
【0046】
上述したダイオード整流器RECは、第1の3相変圧器TRaを介して、3相交流電源SUPに接続され、電力変換器CNVは、第2の3相変圧器TRbを介して、3相交流電源SUPに接続されている。また、ダイオード整流器RECの直流出力端子と、電力変換器CNVの直流出力端子は並列接続され、負荷Loadへ電力を供給する。電力変換器CNVは、1パルス又は固定パルスパターンで動作し、前記交流電源SUPの電圧Vs(Vr,Vs,Vt)に対する交流側出力電圧Vc(Vcr,Vcs,Vct)の位相角φを調整することにより入力電流Ic(Icr,Ics,Ict)を制御する。また、前記平滑コンデンサCdに印加される電圧Vdcが直流電圧指令値Vdc*に一致するように前記電力変換器CNVの入力電流Ic(Icr,Ics,Ict)を制御する。
【0047】
次に、図1乃至図3にその構成を示した第1の実施形態の動作について説明する。平滑コンデンサCdに印加される電圧Vdcを検出し、比較器C1により、電圧指令値Vdc*と比較する。その偏差εvを電圧制御補慣回路Gv(S)により、積分又は比例増幅し、加算器ADに入力する。一方、負荷Loadに流れる直流電流ILoadを検知し、フィードフォワード補償回路FFを介して、フィードフォワード補償量IqFF*を求め、加算器ADに入力する。加算器ADの出力をリミッタ回路LIMで正側の大きさを制限して有効電流指令値Iq*とする。
【0048】
一方、座標変換回路Zは、電源SUPから電力変換器CNVに供給される3相入力電流Icr,Ics,Ictの検出値をd,q軸量(直流量)に変換する。座標変換されたq軸電流Iqは有効電流検出値を、d軸電流Idは無効電流検出値を表わす。比較器C2により、有効電流指令値Iq*と有効電流検出値Iqとを比較し、その偏差εiを電流制御補償回路Gi(S)により増幅して、位相角指令値φ*とする。電源同期位相検出回路PLLは3相交流電源電圧Vr,Vs,Vtに同期した位相信号θr,θs,θtを作り、位相制御回路PHCに入力する。位相制御回路PHCは、位相角指令値φ*と位相信号θr,θs,θtを用いて電力変換器CNVの自己消弧素子S1〜S6のゲート信号g1〜g6を発生する。位相信号θr,θs,θtは、座標変換回路Zの位相信号としても使用される。
【0049】
電力変換器CNVは、電源電圧に同期した一定のパルスパターン(1パルス,3パルス,5パルス等)で電源電圧に対する位相角φを制御することにより、入力電流Icを制御する。
【0050】
図4は、本実施形態の制御動作を説明するための電圧・電流ベクトル図である。図中、Vsは電源電圧、Vcは電力変換器の交流端子側電圧、Icは電力変換器CNVの入力電流、jωLb・Icは第2の変圧器TRbのもれインダクタンスLbによる電圧降下分を表わす。ベクトル的に、Vs=Vc+jωLb・Icの関係がある。
【0051】
電源電圧Vsの波高値と電力変換器の交流端子側電圧Vcの基本波波高値は大略一致するように合わせる。直流電圧Vdcは負荷側からの要求で決まる場合が多く、上記パルスパターンを決めると、交流端子側電圧Vcの基本波波高値は決まってしまう。そこで、電源側に変圧器TRbを設置し、その2次電圧V2bをVsとして、波高値を合わせる。
【0052】
入力電流Icは、電源電圧Vsに対する電力変換器の交流端子側電圧Vcの位相角φを調整することにより制御できる。すなわち、位相角φ=0とすると、インダクタンスLbに印加される電圧jωLb・Icはゼロとなり、入力電流Icもゼロとなる。位相角(遅れ)φを増やしていくと、jωLb・Icの電圧が増加し、入力電流Icもその値に比例して増加する。入力電流ベクトルIcは、電圧jωLb・Icに対し90°遅れており、電源電圧Vsに対しては、φ/2だけ遅れたべクトルとなる。従って、電源側から見た入力力率は、cos(φ/2)となる。
【0053】
一方、電力変換器の交流端子側電圧をVc’のように位相角φを進み方向(負の方向)に増やしていくと、インダクタンスLbに印加される電圧jωLb・Icも負となり、入力電流はIc’のように、電源電圧Vsに対し(π−φ/2)の位相角となる。すなわち、電力Pc=Vs・Ic’は負となり、電力を電源に回生することができる。電源電圧Vsを基準にして、交流端子側電圧Vcを図の破線に沿ってVc’の方向に回転していくと、入力電流ベクトルIcは破線に沿ってIc’の方向に変化する。
【0054】
図1及び図2において、入力電流Icの有効分Iqは次のように制御される。
【0055】
Iq*>Iqとなった場合、電流制御補償回路Gi(S)の出力φ*が増加し、入力電流Icを増加させる。入力力率≒1なので、有効電流Iqが増加し、やがてIq*=Iqとなって落ち着く。逆に、Iq*<Iqとなった場合、電流制御補償回路Gi(S)の出力φ*が減少するか又は負の値になり、入力電流Icを減少させる。入力力率≒1なので、有効電流Iqが減少し、やはりIq*=Iqとなって落ち着く。
【0056】
また、平滑コンデンサCdに印加される電圧Vdcは次のように制御される。Vdc*>Vdcとなった場合、電圧制御補償回路Gv(S)の出力Iq*が増加し、上記のようにIq*=Iqに制御されるので、有効電力が交流電源SUPから前記平滑コンデンサCdに供給される。その結果、直流電圧Vdcが増加し、Vdc*=Vdcとなるように制御される。
【0057】
逆に、Vdc*<Vdcとなった場合、電圧制御補償回路Gv(S)の出力Iq*が減少するか又は負の値となり、有効電力が平滑コンデンサCdから交流電源SUP側に回生される。その結果、直流電圧Vdcが減少し、やはりVdc*=Vdcとなるように制御される。
【0058】
図5は、図2に示した電力変換器を構成する位相制御回路PHCの詳細な構成例を示す。図中、AD1〜AD3は加減算器、PTN1〜PTN3はパルスパターン発生器を示す。加減算器AD1〜AD3は、位相信号θr,θs,θtから位相角指令値φ*を引き算し、新たな位相信号θcr,θcs,θctを作る。
この新たな位相信号θcr,θcs,θctは、0〜2πの周期関数で、電源周波数に同期して変化する。
【0059】
パルスパターン発生器PTN1〜PTN3は、上記新たな位相信号θcr,θcs,θctに対して、一定のパルスパターンとなるようにゲート信号g1〜g6を発生する。パルスパターン発生器PTN1は、位相信号θcrに対するR相の自己消弧素子S1,S4のパルスパターンをテーブル関数として記憶したもので、図6に1パルス動作時の波形を示す。
【0060】
図中、VrはR相電源電圧、θrは電源電圧Vrに同期した位相信号で、0〜2πの間で変化する周期関数となる。新たな位相信号θcr=θr−φ*は、0〜2πの間で変化する周期関数で、θrの信号に対しφ*だけ遅れた信号で与えられる。すなわち、入力される位相信号θcrに対して、次のようなゲート信号g1(又はg4)を出力する。
【0061】
0≦θcr<πの範囲で、g1=1,g4=0(S1:オン,S4:オフ)
π≦θcr<2πの範囲で、g1=0,g4=1(S1:オフ,S4:オン)
電力変換器CNVの交流側出力電圧(R相)Vcrは、
S1:オン(S4:オフ)のとき、Vcr=+Vd/2
S1:オフ(S4:オン)のとき、Vcr=−Vd/2
となる。直流電圧Vdcが一定ならば、交流端子側電圧Vcrの振幅値は一定となる。Vcrの基本波Vcr*の位相は、電源電圧Vrに対して位相角φだけ遅れている。S相,T相も同様にして与えられる。
【0062】
図7は、図6のパルスパターンで電力変換器CNVを動作させた場合のR相の各部の動作波形を示す。なお、説明の都合上、入力電流Icrは正弦波としてリップル分を省略して描いている。
【0063】
図7は力行運転時の動作波形を示すもので、電力変換器の交流入力電圧Vcrの基本波は電源電圧Vrに対し、位相角φだけ遅れている。また、入力電流Icrは電源電圧Vrに対し、位相角(φ/2)だけ遅れて流れる。このとき、IS1,IS4はR相の自己消弧素子S1とS4の電流を、ID1,ID4は高速ダイオードD1とD4の電流を、それぞれ表わしている。以下に、そのときの動作を図3を用いて説明する。
【0064】
入力電流Icrが負から正に変るまでは高速ダイオードD4を介して電流が流れている。この状態から電流Icrの向きが変ると自己消弧素子S4がオン状態にあるので、入力電流Icrは自己消弧素子S4を介して流れるようになる。次に、位相角φで自己消弧素子S4をオフすると、電流Icrは高速ダイオードD1を介して流れる。入力電流Icrが再ぴ反転するまで、その電流は高速ダイオードD1に流れる。入力電流1crが反転した後は、自己消弧素子S1と高速ダイオードD4の間で、上記と同様の動作が行われる。
【0065】
自己消弧素子S1〜S6がしゃ断する最大電流Imaxは、入力電流の波高値をIc(peak)とした場合、Imax=Ic(peak)×sin(φ/2)となる。例えば、φ=20°の場合、Imax=0.174×Ic(peak)となる。すなわち、自己消弧素子のしゃ断電流容量が小さいものを用意すればよく、コストの安い電力変換装置を提供することができる。
【0066】
図8は、回生運転時の動作波形を示すもので、IS1,IS4はR相の自己消弧素子S1,S4の電流を、ID1,ID4は高速ダイオードD1とD4の電流を、それぞれ表わしている。変換器の交流端子側電圧Vcrの基本波は電源電圧Vrに対して、位相角φだけ進んでいる。また、入力電流Icrは電源電圧の反転値−Vrに対して、位相角(φ/2)だけ進んで流れる。なお、説明の都合上、入力電流Icrは正弦波としてリップル分を省略して描いている。
【0067】
入力電流Icrが負で、自己消弧素子S1がオン(S4はオフ)のときは、入力電流Icrは自己消弧素子S1を介して流れる。自己消弧素子S1をオフ(S4をオン)にすると、電流Icrは高速ダイオードD4を介して流れる。入力電流Icrが反転すると、自己消弧素子S4に電流が流れ、上記と同様に自己消弧素子S4をオフすることにより、高速ダイオードD1に電流が移る。
【0068】
回生運転時、自己消弧素子S1〜S6がしゃ断する最大電流Imaxは、入力電流の波高値をIc(peak)とした場合、Imax=Ic(peak)×sin(φ/2)となる。例えば、φ=20°の場合、Imax=0.174×Ic(peak)となる。
【0069】
以上のように、回生運転時の入力電流Icrの大部分は自己消弧素子に流れるが、当該自己消弧素子S1〜S6のしゃ断電流は小さくてすみ、コストの安い電力変換装置を提供することができる。
【0070】
自励式変換器CNVを1パルスで運転することにより、スイッチング回数が最小になり、変換器効率が高くなる。また、交流側出力電圧Vcの基本波成分が大きくなり、自励式変換器CNVの電圧利用率が向上する。また、変換器力率がほぼ1で運転されるため、入力電流Icのゼロ点付近で1回だけスイッチングを行うことになり、力行運転時も回生運転時も、自己消弧素子のしゃ断電流は極めて小さくなる。この結果、高効率で低コストな電力変換装置を提供できる。また、大電流をしゃ断しないということは、ソフトスイッチングに近くなり、EMI(Electromagnetic Interfereuce)ノイズが小さくなり、環境にもやさしい電力変換装置を提供することができる。
【0071】
電気鉄道では、1つの変電所から複数の車両に電力供給を行うため、短時間ではあるが大きな過負荷耐量が要求される。本実施形態の電力変換装置によれば、自励式変換器CNVを構成する自己消弧素子のしゃ断電流を小さく抑えることができ、過負荷耐量の大きな電力変換装置を提供することができる。
【0072】
図9は、パルスパターン発生器PTN1として、3パルス出力を行ったときの動作波形図で、R相について描いている。図中、VrはR相電源電圧、θrは電源電圧Vrに同期した位相信号で、0〜2πの間で変化する周期関数となる。新たな位相信号θcr=θr−φ*は、0〜2πの間で変化する周期関数で、θrの信号に対してφ*だけ遅れた信号で与えられる。また、位相信号θcrに対するR相自己消弧素子S1,S4のパルスパターンは次のようになる。
【0073】
0≦θcr<θ1の範囲で、g1=0,g4=1(S1:オフ、S4:オン)
θ1≦θcr<θ2の範囲で、g1=1,g4=0(S1:オン、S4:オフ)
θ2≦θcr<πの範囲で、g1=0,g4=1(S1:オフ、S4:オン)
π≦θcr<θ3の範囲で、g1=1,g4=0(S1:オン、S4:オフ)
θ3≦θcr<θ4の範囲で、g1=0,g4=1(S1:オフ、S4:オン)
θ4≦θcr<2πの範囲で、g1=1,g4=0(S1:オン、S4:オフ)
このとき、電力変換器CNVの交流側出力電圧(R相)Vcrは、
S1:オン(S4:オフ)のとき、Vcr=+Vdc/2
S1:オフ(S4:オン)のとき、Vcr=−Vdc/2
となる。出力電圧Vcrの基本波Vcr*の位相は、電源電圧Vrに対して位相角φだけ遅れている。S相、T相も同様に与えられる。この場合もパルスパターンは固定され、直流電圧Vdcを一定とした場合、電力変換器CNVの交流端子側電圧の基本波波高値は一定となる。
【0074】
図10は、図9のパルスパターンで電力変換器を動作させた場合のR相の各部の動作波形を示す。なお、説明を簡易にするため、入力電流Icrは正弦波としてリップル分を省略して描いている。図10は力行運転時の動作波形を示すのもので、変換器の交流端子側電圧Vcrの基本波は電源電圧Vrに対して、位相角φだけ遅れる。また、入力電流Icrは電源電圧Vrに対して、位相角(φ/2)だけ遅れて流れる。このとき、IS1,IS4はR相の自己消弧素子S1とS4の電流を表し、ID1,ID4は高速ダイオードD1とD4の電流を、それぞれ表わしている。そのときの動作を以下に説明する。
【0075】
入力電流Icrが負から正に変るまでは高速ダイオードD4を介して電流が流れている。この状態から電流Icrの向きが変ると自己消弧素子S4がオン状態にあるので、電流Icrは自己消弧素子S4を介して流れるようになる。次に、自己消弧素子S4をオフすると、電流Icrは高速ダイオードD1を介して流れるようになる。
【0076】
次に、自己消弧素子S4を再びオンすると、入力電流Icrは自己消弧素子S4を介して流れ、高速ダイオードD1の電流はゼロとなる。さらに、図10のθ1で、自己消弧素子S4をオフすると、高速ダイオードD1に電流が移り、入力電流Icrが再び反転するまでその電流は高速ダイオードD1に流れる。入力電流Icrが反転した後は、自己消弧素子S1と高速ダイオードD4の間で、上記と同様の動作が行われる。
【0077】
図10は、固定パルスパターンとして3パルスの場合を示したが、自己消弧素子S1〜S6がしゃ断する最大電流Imaxは、入力電流の波高値をIc(peak)とした場合、
Imax=Ic(peak)×sin(φ/2+θ1)
となる。例えば、φ=20°,θ1=10°とした堀合、
Imax=0.342×Ic(peak)
となる。
【0078】
パルス数を増やしていくことにより、入力電流Icrの高調波成分を低減し、電流脈動を小さくすることができるが、反面、自己消弧素子のしゃ断電流の最大値Imaxが増加してくる欠点がある。後で説明するように、電力変換器の多重化等により、入力電流高調波を減らし、出来るだけ少ないパルス数で運転することが望ましい。
【0079】
自励式変換器CNVを一定のパルスパターンで制御する場合、入力電流1crの高調波成分が小さくなるようにスイッチングパターンを決めるが、上記のように変換器力率が1に近いところで運転されるため、電流Icrのゼロ点付近でスイッチングが行われ、自励式変換器CNVを構成する自己消弧素子S1〜S6のしゃ断電流は小さくて済む。これにより、電力回生が可能で、高力率・高効率で、低コストの電力変換装置を提供することができる。
【0080】
図1乃至図10を用いて説明した電力変換装置において、直流電圧指令値Vdc*を、ダイオード整流器RECの整流電圧Vrecより高い値に設定する。仮に、Vdc=Vdc*<Vrecとすると、ダイオード整流器RECから電力が供給され、その電力を電力変換器CNVが回生することになり、無駄な横流が流れてしまう。そこで、Vdc*>Vrecに設定することになり、無駄な横流を流すことを防止する。
【0081】
力行運転時(負荷Loadが電力を消費する場合)は、ダイオード整流器RECと電力変換器CNVの並列運転となるが、Vdc*>Vrecとなっているので、ダイオード整流器RECから電力供給はできない。負荷Loadには全て電力変換器CNVから電力PLを供給することになる。そこで、電力変換器CNVの電力供給を制限することにより、電力変換器CNVは一定の有効電力Pcnvを供給し、Vdc*>Vdc=Vrecとなる。この結果、ダイオード整流器RECは、Prec=PL−Pcnvの電力を供給するようになる。
【0082】
従来、ダイオード整流器RECだけで運転した場合、負荷電力PLが増加するに従い、直流電圧Vrecは徐々に低下していたが、本実施形態では、電力変換器CNVの電力制限値Pcnvまでは、直流電圧Vdcは一定に保持され、さらに負荷がそれ以上に増えると、直流電圧はVdc=Vrecで徐々に下がっていくことになる。回生運転時(負荷側から電源側に電力を戻す場合)は、電力変換器CNVだけで動作し、直流電圧Vdc=Vdc*>Vrecで、ほぽ一定に制御される。
【0083】
これにより、無駄な横流を流すことなく直流電圧Vdcの安定化が図られ、電気鉄道などでは、車載設備容量の低減が図られる。
【0084】
図1乃至図10を用いて説明した電力変換装置において、第2の3相変圧器TRbの2次側電圧の実効値V2bを、第1の3相変圧器TRaの2次側電圧実効値V2aより高くしている。
【0085】
前述したように、電力変換器CNVの直流電圧指令値Vdc*は、ダイオード整流器RECの整流電圧Vrecより大きくする必要がある。この整流電圧Vrecは、第1の変圧器TRaの2次側電圧V2aによって決まる。すなわち、Vrec=k1×V2aとなる。一方、電力変換器CNVは、固定パルスパターンで動作するため、その交流側出力電圧Vcの実効値Vc(rms)は、直流電圧Vdcによって決まる。すなわち、Vc(rms)=k2×Vdcとなる。Vdc>Vrecとした場合、Vc(rms)>k1・k2・V2bとなる。
【0086】
第2の変圧器TRbの2次側電圧実効値V2bと、第1の変圧器TRaの2次側電圧実効値V2aとを同じにした場合、上記関係から、Vc(rms)>k1・k2・V2bとなる。
【0087】
Vc(rms)=k1・k2・V2bのとき、位相角φとした場合、入力電流Icと変換器出力電圧Vcの位相角θは、θ=φ/2となるのに対し、Vc(rms)>k1・k2・V2bでは、θ>φ/2となる。すなわち、入力電流Icと変換器出力電圧Vcの位相差θが大きくなり、力行運転及び回生運転に関わらず、電力変換器CNVを構成する自己消弧素子のしゃ断電流が増加してしまう。
【0088】
そこで、第2の変圧器TRbの2次側電圧実効値V2bを、第1の変圧器TRaの2次側電圧実効値V2aより高くすることにより、Vc(rms)=k1・k2・V2bあるいは、Vc(rms)<k1・k2・V2bとする。これにより、入力電流Icと変換器出力電圧Vcの位相差θが、θ=φ/2あるいは、θ<φ/2となり、特に過負荷運転時の前記位相差θが小さくなるように第2の変圧器TRbの2次側電圧実効値V2bを選ぶことにより、電力変換器CNVを構成する自己消弧素子のしゃ断電流を小さくすることが可能となる。
【0089】
図11は、第2の変圧器TRbの2次側電圧実効値V2bを高めたときの電力変換器の交流側ベクトル図を示すもので、電源電圧Vsの振幅値は変換器出力電圧Vcの振幅値より大きくなっている。図11は、最大負荷時に、電源電圧Vsに対する変換器出力電圧Vcの位相角がφとなっている場合を示すもので、入力電流Icと変換器出力電圧Vcの位相差θはゼロとなっている。従って、自励式変換器CNVを構成する自己消弧素子のしゃ断電流は理論的にはゼロとなる。次に、電圧Vcのベクトルの位相角φを破線に沿ってVc’まで変えることにより、入力電流Icのベクトルは図の下方の破線に沿ってIc’まで移動し、電力回生運転になる。この場合は、入力電流Icと変換器出力電圧Vcの位相差θは180°となり、自励式変換器CNVを構成する自己消弧素子のしゃ断電流は理論的にはゼロとなる。ただし、|Vs|>|Vc|となっているため、位相角φ=0のときでも若干の遅れ電流Icが流れる。
【0090】
図12は、本実施形態の力行運転時、入力電流Icと変換器出力電圧Vcの位相差θをゼロとした場合の動作波形を示すもので、図中、VrはR相電源電圧、VcrはR相変換器出力電圧、IcrはR相入力電流、IS1,IS4は自己消弧素子S1およぴS4に流れる電流、ID1,ID4は高速ダイオードD1及びD4に流れる電流を表わす。全ての電流が高速ダイオードD1又はD4に流れ、自己消弧素子S1及びS4の電流はゼロとなる。当然のことながら、自己消弧素子のしゃ断電流はゼロとなる。
【0091】
図13は、本実施形態の回生運転時、位相差θ=180°とした場合の動作波形を示すもので、参照符号は図12に準ずる。この場合には、全ての電流が自己消弧素子S1及びS4に流れ、高速ダイオードD1又はD4の電流はゼロとなる。この場合も、自己消弧素子のしゃ断電流はゼロとなる。このように、最大負荷運転時に前記位相差がθ=0となるように、前記第2の変圧器TRbの2次電圧V2bを合せることにより、しゃ断電流をゼロとすることが可能となる。
【0092】
この結果、しゃ断電流容量の小さい自己消弧素子を用いて電力変換器CNVを構成することが可能となり、過負荷耐量に優れた経済的な装置を提供することができる。
【0093】
なお、第2の3相変圧器TRbの2次側電圧の実効値V2bを、第1の3相変圧器TRaの2次側電圧実効値V2aより高くすることは、請求項2に関連する欄で説明したように、直流電圧指令値Vdc*をダイオード整流器RECの整流電圧Vrecより高い値に設定することと併せて実施しても上述したと同様な効果が得られる。
【0094】
図1乃至図10を用いて説明した電力変換装置において、第2の変圧器TRbのもれインダクタンスLbを、第1の変圧器TRaのもれインダクタンスLaより大きく設計する。
【0095】
図14は、ダイオード整流器RECの負荷特性を示すもので、パーセントインピーダンス%XIが大きい変圧器は、パーセントインピーダンス%XIが小さい変圧器に比べて、過負荷運転時の直流整流電圧Vrecの低下が大きくなる。
【0096】
一般に、ダイオード整流器RECの変圧器TRaのパーセントインピーダンス%XIは、略0.05pu〜0.1puに設計される(puはパーユニットを表わす)。パーセントインピーダンス%XIを大きくすると、過負荷運転時の直流整流電圧Vrecの低下が大きくなるので、上記値が適当とされている。変圧器TRaのもれインダクタンスLaはパーセントインピーダンス%XIに比例する。
【0097】
一方、電力変換器CNVは、1パルス又は3パルス程度の固定パルスパターンで動作し、変換器CNVの交流側出力電圧Vcは矩形波電圧となる。第2の変圧器TRbのもれインダクタンスLbに、電源電圧Vsと出力電圧Vcの差電圧が印加され、入力電流Icが流れる。もれインダクタンス値Lbは、変圧器TRbのパーセントインピーダンス%XIに比例し、その値が小さいと、上記矩形波電圧Vcによって電流Icのリップルが大きくなる。
【0098】
第2の変圧器TRbのもれインダクタンスLbを、第1の変圧器TRaのもれインダクタンスLaより大きく設計することにより、電力変換器CNVの入力電流Icのリップルを抑えるとともに、ダイオード整流器RECの整流電圧Vrecの電圧低下を抑えることが可能となる。これにより、既存のダイオード整流器RECの利用が可能となり、電力回生が可能な低コストの電力変換装置をより簡単に提供することができる。
【0099】
なお、第2の変圧器TRbのもれインダクタンスLbを、第1の変圧器TRaのもれインダクタンスLaより大きく設計することは、第2の実施形態で説明したように、直流電圧指令値Vdc*をダイオード整流器RECの整流電圧Vrecより高い値に設定すること、第3の実施形態で説明したように、第2の3相変圧器TRbの2次側電圧の実効値V2bを、第1の3相変圧器TRaの2次側電圧実効値V2aより高くすることと併せて実施しても上述したと同様な効果が得られる。
【0100】
図1乃至図10を用いて説明した電力変換装置において、電力変換器CNVは、力行運転時の入力電流Icを制限して制御する。前述したように、ダイオード整流器RECからの横流が流れ込むのを防止するために、電力変換器CNVの直流電圧指令値Vdc*を、ダイオード整流器RECの整流電圧Vrecより高い値に設定する。力行運転時(負荷Loadが電力を消費する場合)は、ダイオード整流器RECと電力変換器CNVの並列運転となるが、Vdc*>Vrecとなっているので、ダイオード整流器RECからは電力を供給できない。従って、負荷Loadには電力変換器CNVから電力PLを供給することになる。
【0101】
そこで本実施形態では、力行運転時には、電力変換器CNVの入力電流Icの有効電流指令値Iq*を制限することにより、負荷分担の適正化を図っている。
【0102】
図15は、図2に示したリミッタ回路LIMの入出力特性を示すもので、有効電流指令値Iqi*に対して、その出力Iq*は、正側(力行側)のみに制限を設けている特性図である。
【0103】
図16は、自励式変換器CNVの力行側有効電力を定格100%で制限した場合の運転特性を示すもので、力行100%負荷までは、自励式変換器CNVから全て電力供給が行われ、直流電圧Vdcは一定(=1680V)に保たれる。さらに負荷が増えると、自励式変換器CNVの出力電流Icnvは100%で一定となり、直流電圧Vdcは下がってくる。その結果、ダイオード整流器RECから直流電流Irecが流れはじめ、負荷の増加に従ってIrecが増えてくる。
【0104】
すなわち、電力変換器CNVからの電力供給が制限され、直流電圧Vdcは負荷PLが増加するに従って徐々に低下し、Vdc*>Vdc=Vrecとなる。この結果、電力変換器CNVは一定の電力Pcnvを供給するようになり、ダイオード整流器RECからは、Prec=PL−Pcnvを供給するようになる。
【0105】
例えば、従来装置では、図16の破線Uで示すように、100%負荷でVrec=1500Vまで低下し、300%負荷ではVrec=1140Vに下がってしまう。これに対し、本実施形態では、電力変換器CNVの電力制限値100%負荷までは、直流電圧Vdcは一定に保持され、さらにそれ以上の負荷が増えるに従って徐々に直流電圧Vdcが下がっていくことになる。回生運転時(負荷側から電源側に電力を戻す場合)は、電力変換器CNVだけで動作し、直流電圧Vdc=Vdc*>Vrecで、ほぼ一定に制御される。
【0106】
これにより、ダイオード整流器RECと電力変換器CNVの安定した並列運転が可能となる。また、力行運転時の自励式亀力変換器CNVの出力がPcnvに制限され、高速ダイオードD1〜D6の最大電流を小さく抑えることができ、かつ、自己消弧素子S1〜S6のしゃ断電流も抑えることが可能となる。さらに、直流電圧Vdcの安定化が図られ、電気鉄道などでは、車載設備容量の低減が図られる。
【0107】
図1乃至図10を用いて説明した電力変換装置において、電力変換器CNVは、負荷装置Loadが消費又は発生する有効電力(又は有効電流)PLを検出又は推定し、当該有効電力PLに比例したフィードフォワード補償量IqFF*を求め、当該補償量IqFF*を前記変換器の入力電流Icの有効分指令値に加えて制御している。
【0108】
電圧形自励式変換器CNVによって、直流電圧Vdcが指令値Vdc*に一致するようにフィードバック制御を行っているが、負荷が急変した場合、その応答が間に合わないと、直流電圧Vdcが大きく変動する。すなわち、負荷消費電力PLが急激に増えると、直流電圧Vdcが低下し、必要な電力を送れなくなるだけでなく、電圧不足により、自励式変換器CNVの制御にも影響を与え、制御全体を不安定にすることもある。また、逆に、電車の回生プレーキ等により、負荷側からの回生電力が急激に増えると、直流電圧Vdcが上昇し、電力変換装置や負荷装置の耐圧を脅かすことになる。
【0109】
負荷装置Loadが消費又は発生する有効電力(又は有効電流)PLを検出又は推定し、この有効電力PLに比例するフィードフォワード補償量IqFF*を演算して求め、当該補債量IqFF*を変換器の入力電流Icの有効分指令値に加えて制御することにより、直流電圧制御の応答を高めることができ、負荷急変に対しても、直流電圧Vdcの変動幅が小さくなり、上記問題を解決することができる。
【0110】
図1乃至図10を用いて説明した電力変換装置では、負荷がとる直流電流ILoadを検知し、その量に見合った有効電流を供給するようにフィードフォワード補償回路FFで補慣量IqFF*=kFF・ILoadを演算し、加算器ADに入力している。これにより、負荷PLが急変した場合、それに見合った入力電流(有効電流)Iqが直ちに供給され、平滑コンデンサCdの印加電圧Vdcの変動を抑えることが可能となる。
【0111】
図1及び図2に示した電力変換装置において、電力変換器CNVは、交流電源の電圧Vsが変動した場合、この電源電圧Vsの変化に合わせて平滑コンデンサCdに印加される電圧Vdcの指令値を変えて制御している。
【0112】
図17は、本発明に係る電力変換装置の第2の実施形態として、電力変換器CNVの制御回路の他の構成例を示すブロック図で、図中、図2と同一の要素には同一の符号を付して、その説明を省略する。この実施形態は演算回路CALに電源電圧の波高値Vsmoと入力電流の波高値Icmoとを入力して直流電圧指令値Vdc*を変化させている点が図2と構成を異にし、これ以外は図2と全く同様に構成されている。図17に示した制御回路の1つの制御方式として、演算回路CALは、電源電圧Vsの波高値に比例させて直流電圧指令値Vdc*を与える。
【0113】
図18(a),(b),(c)は、直流電圧Vdcを一定に制御したとき、電源電圧Vsの振幅値が変動した場合の電力変換器CNVの交流電源側の電圧・電流ベクトル図を示す。
【0114】
直流電圧Vdcを一定に制御し、電力変換器CNVを1パルス又は一定パルスパターンで運転した場合、電力変換器CNVの交流側出力電圧Vcの振幅値は一定となる。Vs=Vcでは、図18(b)に示すように、位相角φ=0で、入力電流Icはゼロとなる。これに対し、Vs<Vcでは、図18(a)に示すように、φ=0のときに進み電流が流れてしまう。逆に、Vs>Vcでは、図18(c)に示すように、φ=0のときに遅れ電流が流れてしまう。また、Vs<Vcの場合、電力変換器CNVの交流側出力電圧Vcと入力電流Icの位相差が大きくなり、電力変換器を構成する自己消弧素子のしゃ断電流が大きくなってしまう。
【0115】
そこで、電源電圧Vsが変動した場合、それに合わせて直流電圧Vdcを調整することにより、変換器出力電圧Vcの基本波波高値を常に電源電圧Vsの波高値に合わせる。これにより、位相角φ=0のとき無駄な無効電流を電源からとることを防ぐことができ、自己消弧素子のしゃ断電流の増加を防止できる。
【0116】
次に、もう1つの制御方式として、図17の制御回路において、演算回路CALは、直流電圧指令値Vdc*を、
Vdc*=K1・√{Vsmo2+K2・Icmo2}
として与えている。ここで、Vsmoは電源電圧波高値、Icmoは入力電流波高値、K1,K2は比例定数を表わす。
【0117】
図19は、入力電流波高値1cmoに対する直流電圧指令値Vdc*の関係を示したもので、電流Icmoが大きくなるに従って直流電圧指令値Vdc*を増加させている。この制御方式では、電源電圧Vsの大きさによって直流電圧指令値Vdc*を変化させるだけでなく、入力電流波高値Icmoにも関係させてVdc*を調整している。
【0118】
変換器出力電圧は、Vc=√{Vs2+(ωL・Ic)2}の関係が保たれる。
この結果、電源電圧ベクトルVsと交流リアクトルL(変圧器TRbのもれインダクタンス)の印加電圧(jωL・Ic)が常に直交関係を保つようになり、電力変換器CNVの入力電流Icは電源電圧Vsと同相となって、入力力率=1となる。なお、この制御方式では、無負荷のときVc=Vsを満足し、入力電流Ic=0となり、無効電流が流れることはない。
【0119】
この効果は回生運転においても同じである。これにより、過負荷耐量に優れ、低コストで高力率の電力変換装置を提供できる。
【0120】
次に、もう一つ他の制御方式として、図17の制御回路において、演算回路CALは、直流電圧指令値Vdc*を、
Vdc*=K1・√{Vsmo2−K2・Icmo2}
として与えている。ここで、Vsmoは電源電圧波高値、Icmoは入力電流波高値、K1,K2は比例定数を表わす。この制御方式でも、電源電圧Vsの大きさによって直流電圧指令値Vdc*を変化させるだけでなく、入力電流波高値Icmoにも関係させてVdc*を調整している。
【0121】
図20は、入力電流波高値Icmoに対する直流電圧指令値Vdc*の関係を示したもので、電流Icmoが大きくなるに従って直流電圧指令値Vdc*は減少する。
【0122】
すなわち、変換器出力電圧は、Vc=√{Vs2−(ωL・Ic)2}の関係が保たれる。この結果、変換器出力電圧ベクトルVcと交流リアクトルL(変圧器TRbのもれインダクタンス)の印加電圧(jωL・Ic)が常に直交関係を保つようになり、入力電流Icは変換器出力電圧Vcと同相(又は逆相)となって、変換器力率が1となる。なお、この制御方式では、無負荷のときVc=Vsを満足し、入力電流Ic=0となり、焦効電流が流れることはない。
【0123】
変換器力率=1の運転では、図12(力行運転)及び図13(回生運転)で説明したように、自己消弧素子S1〜S6のしゃ断電流はゼロとなる。
【0124】
すなわち、直流電圧指令値Vdc*を、
Vdc*=K1・√{Vsmo2−K2・Ismo2}
として制御することにより、常に、変換器力率=1で運転でき、その結果、自励式変換器CNVを構成する自己消弧素子のしゃ断電流をゼロにして運転することが可能となり、変換器コストを大幅に低減することができる。また、ゼロ電流スイッチング、すなわち、ソフトスイッチングが可能となり、現在ハードスイッチングで問題とされているEMIノイズや誘導障害の問題が解決される。
【0125】
図21は、本発明に係る電力変換装置の第3の実施形態の主回路の構成例である。同図において、3相交流電源SUPにそれぞれ1次巻線が接続され、互いに30°の位相差の電圧を出力する第1の3相変圧器TRaと、第2の3相変圧器TRbとを備えている。このうち、第1の3相変圧器の2次巻線の一方にダイオード整流器REC1が接続され、2次巻線の他方にダイオード整流器REC2が接続されている。また、第2の3相変圧器の2次巻線の一方に電力変換器CNV1が接続され、2次巻線の他方に電力変換器CNV2が接続されている。
【0126】
ダイオード整流器REC1,REC2の出力端は相互に並列接続されて負荷Loadに直流電力を供給し、さらに、電力変換器CNV1,CNV2の出力端も相互に接続され、平滑コンデンサCdを介して、負荷Loadに直流電力を供給する構成になっている。なお、制御回路CONTが電力変換器CNV1,CNV2の入力電流Ic1,Ic2及び負荷Loadに印加される出力電圧Vdcに基づいて電力変換器CNV1,CNV2を制御するように構成されている。この装置では、変圧器のもれインダクタンスを利用することにより、交流リアクトルを省略している。もちろん、外部に交流リアクトルを設けても原理的には同じになる。
【0127】
図22は、図21に主回路構成を示した電力変換器CNV1,CNV2の制御回路CONTの詳細な構成を示すブロック図である。図中、図17と同一の符号を付したものはそれぞれ同一の要素を示している。ここで、演算回路CALは電源電圧の波高値Vsmoを入力して直流電圧指令値Vdc*を出力するもので、比較器C1は直流電圧指令値Vdc*と直流電圧Vdcとを比較してその偏差分εvを出力するもので、その出力端に電圧偏差分εvを例えばPI演算する電圧制御補償器Gv(S)が接続され、その出力が加算器ADの一方入力として加えられる。また、負荷電流値ILoadに応じてフィードフォワード補償量IqFF*を演算するフィードフォワード補償回路FFが設けられ、このフィードフォワード補償量IqFF*が加算器ADの他方入力として加えられる。加算器ADの出力経路に、正側の信号を制限して有効電流(q軸電流)指令値Iq*を出力するリミッタLIMが設けられている。
【0128】
比較器C2はこの有効電流指令値Iq*と電力変換器CNV1の有効電流Iq1とを比較してその偏差分εiを出力するもので、その出力端に電流偏差分εiを例えばPI演算する電流制御補償器Gi1(S)が接続され、その出力が位相角基準φ1*として位相制御回路PHC1に加えられる。電源同期位相検出回路PLL1は3相交流電圧Vr1,Vs1,Vt1を入力して回転座標上の位相角θr1,θs1,θt1を求めて位相制御回路PHC1に加えるものである。位相制御回路PHC1は位相角基準φ1*と位相角θr1,θs1,θt1とに基づいて、電力変換器CNV1を構成する自己消弧素子のゲート信号g11〜g16を発生するものである。座標変換回路Z1は3相の入力電流Icr1,Ics1,Ict1を3相2相変換して静止直角座標系の有効電流(q軸電流)Iq1及び無効電流(d軸電流)Id1を演算するもので、このうち、有効電流Iq1が比較器C2で有効電流指令値Iq*と比較される。
【0129】
一方、比較器C3は有効電流指令値Iq*と電力変換器CNV2の有効電流Iq2とを比較してその偏差分εiを出力するもので、その出力端に電流偏差分εiを例えばPI演算する電流制御補償器Gi2(S)が接続され、その出力が位相角基準φ2*として位相制御回路PHC2に加えられる。電源同期位相検出回路PLL2は3相交流電圧Vr2,Vs2,Vt2を入力して回転座標上の位相角θr2,θs2,θt2を求めて位相制御回路PHC2に加えるものである。位相制御回路PHC2は位相角基準φ2*と位相角θr2,θs2,θt2とに基づいて、電力変換器CNV2を構成する自己消弧素子のゲート信号g21〜g26を発生するものである。座標変換回路Z2は3相の入力電流Icr2,Ics2,Ict2を3相2相変換して静止直角座標系の有効電流(q軸電流)Iq2及び無効電流(d軸電流)Id2を演算するもので、このうち、有効電流Iq2が比較器C2で有効電流指令値Iq*と比較される。
【0130】
電力変換器CNV1,CNV2は、電源電圧に同期した一定のパルスパターン(1パルス,3パルス,5パルス等)で電源電圧に対する位相角φ1,φ2を制御することにより、入力電流Ic1,Ic2を制御する。位相角φ1,φ2を遅れ方向に増加させることにより、交流電源SUPから供給される有効電力Psが増加し、逆に位相角φ1,φ2を進み方向に増やすと、有効電力Psが交流電源SUPに回生される。この場合でも、変換器力率が1に近いところで運転されるため、入力電流Icのゼロ点付近でスイッチングが行われ、自励式変換器CNV1,CNV2を構成する自己消弧素子のしゃ断電流を小さくすることができる。
【0131】
2台の電力変換器CNV1,CNV2の入力電流(変圧器TRbの2次電流)Ic1,Icsは独立に制御されるが、指令値Iq*は同じなので、ほぽ同じ値に制御される。その結果、変圧器TRbの1次電流の高調波が互いに打ち消し合い電流リップルの少ない運転ができる。3組以上の電力変換装置を組み合わせて並列多重運転した場合には、変圧器TRbの1次電流リップルをさらに低減することができる。
【0132】
一方、2台のダイオード整流器REC1,REC2は第1の変圧器TRaにより、並列多重運転され、その1次側電流も高調波の少ない正弦波電流となる。それぞれ、並列多重接続されたダイオード整流器REC1,REC2と電力変換器CNV1,CNV2を組み合わせて強調運転することにより、変換装置の大容量化、及び交流電源から供給される入力電流Isの高調波成分の低減を図ることができ、かつ、過負荷耐量に優れ、電力回生が可能な、高効率・低コストの大容量電力変換装置を提供することが可能となる。
【0133】
次に、もう一つ他の制御方式として、図17の制御回路において、演算回路CALは、直流電圧指令値Vdc*を、
Vdc*=K1・√{Vsmo2−K2・Icmo2}
として与えている。ここで、Vsmoは電源電圧波高値、Icmoは入力電流波高値、K1,K2は比例定数を表わす。この制御方式でも、電源電圧Vsの大きさによって直流電圧指令値Vdc*を変化させるだけでなく、入力電流波高値Icmoにも関係させてVdc*を調整している。
【0134】
力行運転時(負荷Loadが電力を消費する場合)は、ダイオード整流器REC1,REC2と電力変換器CNV1,CNV2の並列運転となるが、Vdc*>Vrecとなっているので、ダイオード整流器RECからは電力を供給できない。負荷Loadには全て電力変換器CNV1,CNV2から電力PLを供給することになる。そこで、電力変換器CNV1,CNV2の電力供給を制限することにより、電力変換器CNV1,CNV2は一定の有効電力Pcnvを供給し、Vdc*>Vdc=Vrecとなる。この結果、ダイオード整流器REC1,REC2は、Prec=PL−Pcnvの電力を供給するようになる。
【0135】
従来、ダイオード整流器REC1,REC2だけで運転した場合、負荷電力PLが増加するに従い、直流電圧Vrecは徐々に低下していたが、本実施形態では、電力変換器CNV1,CNV2の電力制限値Pcnvまでは、直流電圧Vdcは一定に保持され、さらにそれ以上の負荷が増えると、直流電圧はVdc=Vrecで徐々に下がっていくことになる。回生運転時(負荷側から電源側に電力を戻す場合)は、電力変換器CNV1,CNV2だけで動作し、直流電圧Vdc=Vdc*>Vrecで、ほぼ一定に制御される。
【0136】
これにより、無駄な横流を流すことなく直流電圧Vdcの安定化が図られ、電気鉄道などでは、車載設備容量の低減が図られる。
【0137】
図21に示した電力変換装置において、第2の3相変圧器TRbの2次側電圧実効値V2bを、第1の3相変圧器TRaの2次側電圧実効値V2aより高くしている。
【0138】
前述のように、電力変換器CNV1,CNV2の直流電圧指令値Vdc*は、ダイオード整流器REC1,REC2の整流電圧Vrecより大きくする必要がある。当該整流電圧Vrecは、第1の変圧器TRaの2次側電圧V2aによって決まる。すなわち、Vrec=kl×V2aとなる。
【0139】
一方、電力変換器CNV1,CNV2は、固定パルスパターンで動作するため、その交流側出力電圧Vcの実効値Vc(rms)は、直流電圧Vdcによって決まる。すなわち、Vc(rms)=k2×Vdcとなる。Vdc>Vrecとした切合、Vc(rms)>k1・k2・V2aとなる。
【0140】
第2の変圧器TRbの2次側電圧実効値V2bと、第1の変圧器TRaの2次側電圧実効値V2aを同じにした場合、上記関係から、Vc(rms)>k1・k2・V2bとなる。
【0141】
Vc(rms)=k1・k2・V2bのとき、位相角φ1≒φ2≒φとした場合、入力電流Ic1と変換器出力電圧Vc1の位相角θ1(又は、入力電流Ic2と変換器出力電圧Vc2の位相差θ2)は、θ1≒θ2≒φ/2となるのに対し、Vc(rms)>k1・k2・V2bでは、θ1≒θ2>φ/2となる。すなわち、入力電流Ic1と変換器出力電圧Vc1の位相差θ1(又は、入力電流Ic2と変換器出力電圧Vc2の位相差θ2)が大きくなり、力行運転及び回生運転に関わらず、電力変換器CNV1,CNV2を構成する自己消弧素子のしゃ断電流が増加してしまう。
【0142】
そこで、第2の変圧器TRbの2次側電圧実効値V2bを、第1の変圧器TRaの2次側電圧実効値V2aより高くすることにより、Vc(rms)=k1・k2・V2bあるいは、Vc(rms)<k1・k2・V2bとする。これにより、入力電流Ic1と変換器出力電圧Vc1の位相角θ1(又は、入力電流Ic2と変換器出力電圧Vc2の位相差θ2)が、θ1≒θ2≒φ/2あるいは、θ1≒θ2<φ/2となり、特に過負荷運転時の位相差θ1≒θ2が小さくなるように第2の変圧器TRbの2次側電圧実効値V2bを選ぶことにより、電力変換器CNV1,CNV2を構成する自己消弧素子のしゃ断電流を小さくすることが可能となる。
【0143】
この結果、本実施形態では、しゃ断電流容量の小さい自己消弧素子を用いて電力変換器CNV1,CNV2を構成することが可能となり、過負荷耐量に優れた経済的な電力変換装置を提供できる。
【0144】
図21に示した電力変換装置において、第2の変圧器TRbのもれインダクタンスLbを、第1の変圧器TRaのもれインダクタンスLaより大きく設計する。
【0145】
一般に、ダイオード整流器REC1,REC2の変圧器TRaのパーセントインピーダンス%XIは、大略0.05pu〜0.1puに設計される(puはパーユニットを表わす)。パーセントインピーダンス%XIを大きくすると、過負荷運転時の直流整流電圧Vrecの低下が大きくなるので、上記の値が適当とされている。変圧器TRaのもれインダクタンスLaはパーセントインピーダンス%XI%XIに比例する。
【0146】
一方、電力変換器CNV1,CNV2は、1パルス又は3パルス程度の固定パルスパターンで動作し、当該変換器CNV1,CNV2の交流側出力電圧Vc1,Vc2は矩形波電圧となる。第2の変圧器TRbのもれインダクタンスLbに、電源電圧Vsと出力電圧Vc1,Vc2の差電圧が印加され、入力電流Icが流れる。もれインダクタンスLbは、変圧器TRbのパーセントインピーダンス%XIに比例し、その値が小さいと、矩形波電圧Vc1,Vc2によって電流Ic1,Ic2のリップルが大きくなる。また、2台の変換器CNV1,CNV2間の横流を抑制するためにも、第2の変圧器TRbのもれインダクタンスLbはある程度大きくすることが望まれる。
【0147】
第2の変圧器TRbのもれインダクタンスLbを、第1の変圧器TRaのもれインダクタンスLaより大きく設計することにより、電力変換器CNV1,CNV2の入力電流Ic1,Ic2のリップルを抑えると共に、ダイオード整流器REC1,REC2の整流電圧Vrecの電圧低下を抑えることが可能となる。これにより、既存のダイオード整流器REC1,REC2の利用が可能となり、電力回生が可能な低コストの電力変換装置をより簡単に提供できる。
【0148】
図21及び図22に示した電力変換装置において、2台の電力変換器CNV1,CNV2は、力行運転時の入力電流Ic1,Ic2を制限して制御する。
【0149】
ダイオード整流器REC1,REC2から直流回路を介して電力変換器CNV1,CNV2へ横流が流れ込むのを防止するために、電力変換器CNV1,CNV2の直流電圧指令値Vdc*は、ダイオード整流器REC1,REC2の整流電圧Vrecより高い値に設定する。この場合、力行運転時(負荷Loadが電力を消費する場合)は、ダイオード整流器REC1,REC2と電力変換器CNV1,CNV2の並列運転となるが、Vdc*>Vrecとなっているので、ダイオード整流器REC1,REC2からは電力を供給できない。従って、負荷Loadには電力変換器CNV1,CNV2から電力PLを供給することになる。
【0150】
そこで本発明では、力行運転時には、電力変換器CNV1,CNV2の入力電流Ic1,Ic2の有効電流指令値Iq*を制限することにより、負荷分担の適正化を図っている。
【0151】
図22のリミッタ回路LIMは、加算器ADからの出力信号の正側(力行側)に制限を設けている。そのため、有効電流指令値Iq*は、例えば、力行運転時は定格100%の値に制限される。この結果、力行100%負荷までは、自励式変換器CNV1,CNV2から全て電力供給が行われ、直流電圧Vdcは、Vdc>Vrecで、一定に保たれる。さらに負荷が増えると、自励式変換器CNV1,CNV2の出力電流Icnvは100%一定となり、直流電圧Vdcは下がってくる。その結果、ダイオード整流器REC1,REC2から直流電流Iddが流れはじめ、負荷の増加に従ってIddが増えてくる。
【0152】
すなわち、電力変換器CNV1,CNV2からの電力供給が制限され、直流電圧Vdcは負荷PLが増加するに従って徐々に低下し、Vdc*>Vdc=Vrecとなる。この結果、電力変換器CNV1,CNV2は一定の電力Pcnvを供給するようになり、ダイオード整流器REC1,REC2から、Prec=PL−Pcnvを供給するようになる。
【0153】
これにより、ダイオード整流器REC1,REC2と電力変換器CNV1,CNV2の安定した並列運転が可能となる。また、力行運転時の電力変換器CNV1,CNV2の出力がPcnvに制限され、この自励式変換器を構成する高速ダイオードの最大電流を抑えることができ、かつ、自己消弧素子のしゃ断電流も抑えることが可能となる。さらに、直流電圧Vdcの安定化が図られ、電気気鉄道などでは、車載設備容量の低減が図られる。
【0154】
図21及び図22の電力変換装置において、電力変換器CNV1,CNV2は、負荷装置Loadが消費又は発生する有効電力(又は有効電流)PLを検出又は推定し、当該有効電力PLに比例したフィードフォワード補償量IqFF*を求め、当該補償量IqFF*を前記変換器の入力電流Icの有効分指令値に加えて制御している。
【0155】
電圧形自励式変換器CNV1,CNV2によって、直流電圧Vdcが指令値Vdc*に一致するようにフィードバック制御を行っているが、負荷が急変した場合、その応答が間に合わないと、直流電圧Vdcが大きく変動する。すなわち、負荷消費電力PLが急激に増えると、直流電圧Vdcが低下し、必要な電力を送れなくなるだけでなく、電圧不足により、自励式変換器CNV1,CNV2の制御にも影響を与え、制御全体を不安定にすることもある。また、逆に、電車の回生ブレーキ等により、負荷側からの回生電力が急激に増えると、直流電圧Vdcが上昇し、電力変換装置や負荷装置の耐圧を脅かすことになる。
【0156】
図22の制御装置では、負荷がとる直流電流ILoadを検知し、その量に見合った有効電流を供給するようにフィードフォワード補償回路FFで補償量IqFF*=kFF・ILoadを演算し、加算器ADに入力している。これにより、負荷PLが急変した場合、それに見合った入力電流(有効電流)Iqが直ちに供給され、平滑コンデンサCdの印加電圧Vdcの変動を抑えることが可能となる。
【0157】
負荷装置Loadが消費又は発生する有効電力(又は有効電流)PLを検出又は推定し、当該有効電力PLに比例するフィードフォワード補償量IqFF*を演算して求め、当該補償量IqFF*を変換器の入力電流Icの有効分指令値に加えて制御することにより、直流電圧制御の応答を高めることができ、負荷急変に対しても、直流電圧Vdcの変動幅が小さくなり、上記問題を解決することができる。
【0158】
図21及び図22に示した電力変換装置において、2台の電力変換器CNV1,CNV2は、交流電源の電圧Vsが変動した場合、電源電圧Vsの変化に合わせて平滑コンデンサCdに印加される電圧Vdcの指令値を変えて制御している。
【0159】
直流電圧Vdcを一定に制御し、電力変換器CNVを1パルス又は一定パルスパターンで運転した場合、当該電力変撲器CNV1,CNV2の交流側出力電圧Vc1,Vc2の振幅値は一定となる。
【0160】
電源電圧Vs(変圧器TRbの2次電圧)の波高値が変換器出力電圧のVc1,Vc2の波高値と同じ場合は、位相角φ=0で、入力電流Icはゼロとなる。これに対し、電源電圧Vsが高くなると、φ=0のときに進み電流が流れ、逆に、電源電圧Vsが低くなると、φ=0のときに遅れ電流が流れてしまう。また、電源電圧Vs(変圧器TRbの2次電圧)の波高値がVc1,Vc2の波高値より低くなった場合、前記2台の電力変換器CNV1,CNV2の交流側出力電圧Vc1,Vc2と入力電流Ic1,Ic2のそれぞれの位相差が大きくなり、当該電力変換器CNV1,CNV2を構成する自己消弧素子のしゃ断電流が大きくなってしまう。
【0161】
そこで、図22の制御回路において、演算回路CALは、電源電圧Vsの波高値Vsmoに比例させて直流電圧指令値Vdc*を与えている。電源電圧Vsが変動した場合、それに合わせて直流電圧Vdcを調整することにより、変換器出力電圧Vc1,Vc2の基本波波高値を常に電源電圧Vsの波高値に合わせる。これにより、位相角φ=0のとき無駄な無効電流を電源からとることを防ぐことができ、自己消弧素子のしゃ断電流の増加を防止できる。
【0162】
図23は、本発明に係る電力変換装置の第4の実施形態の主回路構成を示すブロック回路図である。図中、図21と同一の要素には同一の符号を付してその説明を省略する。この実施形態は、図21に示した第2の変圧器TRbの代わりに、それぞれ1次巻線と2次巻線を有し、1次巻線をY接続し、2次巻線をΔ接続した3相交流変圧器TRb1と、1次巻線及び2次巻線をともにΔ接続して、1次巻線を変圧器TRb1の1次巻線に直列接続した3相交流変圧器TRb2とを用いた点が図21と構成を異にし、これ以外は全て図21と同一に構成されている。
【0163】
図24は、図23に示した主回路に適用する制御回路CONTの構成例を示すブロック図である。同図において、演算回路CALは電源電圧の波高値Vsmoと入力電流の波高値Icmoとを入力して直流電圧指令値Vdc*を変化させるものである。比較器C1は直流電圧指令値Vdc*と直流電圧Vdcとを比較してその偏差分εvを出力するもので、その出力端に電圧偏差分εvを例えばPI演算する電圧制御補償器Gv(S)が接続され、その出力が加算器ADの一方入力として加えられる。また、負荷電流値ILoadに応じてフィードフォワード補償量IqFF*を演算するフィードフォワード補償回路FFが設けられ、このフィードフォワード補償量IqFF*が加算器ADの他方入力として加えられる。加算器ADの出力経路に、正側の信号を制限して有効電流(q軸電流)指令値Iq*を出力するリミッタLIMが設けられている。比較器C2はこの有効電流指令値Iq*と実際の有効電流Iqとを比較してその偏差分εiを出力するもので、その出力端に電流偏差分εiを例えばPI演算する電流制御補償器Gi(S)が接続され、その出力が位相角基準φ*として位相制御回路PHC1及びPHC2に加えられる。電源同期位相検出回路PLL1は3相交流電圧Vr1,Vs1,Vt1を入力して回転座標上の位相角θr1,θs1,θt1を求めて位相制御回路PHC1に加えるものである。電源同期位相検出回路PLL2は3相交流電圧Vr2,Vs2,Vt2を入力して回転座標上の位相角θr2,θs2,θt2を求めて位相制御回路PHC2に加えるものである。位相制御回路PHC1は位相角基準φ*と位相角θr1,θs1,θt1とに基づいて、電力変換器CNV1を構成する自己消弧素子のゲート信号g11〜g16を発生するものである。位相制御回路PHC2は位相角基準φ*と位相角θr2,θs2,θt2とに基づいて、電力変換器CNV2を構成する自己消弧素子のゲート信号g21〜g26を発生するものである。座標変換回路Zは3相の入力電流Icr,Ics,Ictを3相2相変換して静止直角座標系の有効電流(q軸電流)Iq及び無効電流(d軸電流)Idを演算するもので、このうち、有効電流Iqが比較器C2で有効電流指令値Iq*と比較される。
【0164】
上記のように構成された第4の実施形態の動作について、特に、第3の実施形態と構成を異にする部分を中心にして以下に説明する。電力変換器CNV1,CNV2は、電源電圧に同期した一定のパルスパターン(1パルス,3パルス,5パルス等)で電源電圧に対する位相角φを制御することにより、入力電流Icr,Ics,Ictを制御する。この装置では、2台の変圧器TRb1とTRb2が1次側で直列に接続されているので、交流側出力電圧Vc1とVc2の和電圧Vcoにより前記入力電流Icを制御する。また、2台の電力変換器CNV1,CNV2の入力電流は同じになり、高調波の少ない電流となる。変換器の入力電流リップルが小さくなる分、自己消弧素子の遮断電流も小さくなる利点を有する。一方、2台のダイオード整流器REC1,REC2は第1の変圧器TRaにより、並列多重運転され、その1次側電流も高調波の少ない正弦波電流となる。
【0165】
本実施形態によれば、並列多重接続されたダイオード整流器REC1,REC2と、直列多重接続された電力変換器CNV1,CNV2を組み合わせて協調運転することにより、変換装置の大容量化、及び交流電源から供給される入力電流Isの高調波成分の低減を図ることができ、かつ、過負荷耐量に優れ、電力回生が可能な、高効率・低コストの大容量電力変換装置を提供することが可能となる。
【0166】
特に、直列多重運転により、各変換器CNV1,CNV2に流れる交流側入力電流の高調波成分を低減することができ、電力変換器CNV1,CNV2の制御パルスを少なくできる利点がある。また、3相変圧器のもれインダクタンス分を利用することにより、従来の交流リアクトルを省略することが可能となる。
【0167】
なお、第4の実施形態では、2台の電力変換装置を用いた例を示したが、3台以上の電力変換装置を用いて直列多重運転することができることは言うまでもない。これによって、上述したと同様な効果が得られる。
【0168】
図23及び図24に示した電力変換装置において、直流電圧指令値Vdc*は、ダイオード整流器RECの整流電圧Vrecより高い値に設定する。仮に、Vdc=Vdc*<Vrecとすると、ダイオード整流器REC1,REC2から電力が供給され、その電力を電力変換器CNV1,CNV2が回生することになり、焦駄な横流が流れてしまう。本実施形態では、Vdc*>Vrecに設定することにより、焦駄な横流を流すことを防止している。
【0169】
力行運転時(負荷Loadが電力を消費する堀合)は、並列多重のダイオード整流器REC1,REC2と、直列多重の電力変換器CNV1,CNV2の並列運転となるが、Vdc*>Vrecとしているので、ダイオード整流器RECからは電力を供給できない。負荷Loadには全て電力変換器CNV1,CNV2から電力PLを供給することになる。
【0170】
そこで、直列多重の電力変換器CNV1,CNV2の電力供給を制限することにより、電力変換器CNV1,CNV2は一定の有効電力Pcnvを供給し、Vdc*>Vdc=Vrecとなる。この結果、並列多重のダイオード整流器REC1,REC2は、Prec=PL−Pcnvの電力を供給するようになる。
【0171】
従来、並列多重のダイオード整流器REC1,REC2だけで運転した場合、負荷電力PLが増加するに従い、直流電圧Vrecは徐々に低下していたが、本実施形態では、直列多重の電力変換器CNV1,CNV2の電力制限値Pcnvまでは、直流電圧Vdcは一定に保持され、さらにそれ以上の負荷が増えると、直流電圧はVdc=Vrecで徐々に下がっていくことになる。回生運転時(負荷側から電源側に電力を戻す場合)は、直列多重の電力変換器CNV1,CNV2だけで動作し、直流電圧Vdc=Vdc*>Vrecで、ほぼ一定に制御される。
【0172】
これにより、無駄な横流を流すことなく直流電圧Vdcの安定化が図られ、電気鉄道などでは、車載設備容量の低減が図られる。
【0173】
図23及び図24に示す電力変換装置において、直列多重用の3相変圧器TRb1,TRb2の2次側電圧実効値V2bを、第1の3相変圧器TRaの2次側電圧実効値V2aより高くしている。
【0174】
前述のように、直列多重の電力変換器CNV1,CNV2の直流電圧指令値Vdc*は、ダイオード整流器REC1,REC2の整流電圧Vrecより大きくする必要がある。この整流電圧Vrecは、第1の変圧器TRaの2次側電圧V2aによって決まる。すなわち、Vrec=k1×V2aとなる。
【0175】
一方、直列多重の電力変換器CNV1,CNV2は、固定パルスパターンで動作するため、その交流側出力電圧Vco=Vc1+Vc2の実効値Vc(rms)は、直流電圧Vdcによって決まる。すなわち、Vc(rms)=k2×Vdcとなる。Vdc>Vrecとした場合、Vc(rms)>k1・k2・V2aとなる。
【0176】
直列多重用の3相変圧器TRb1,TRb2の2次側電圧実効値V2bと、第1の変圧器TRaの2次側電圧実効値V2aを同じにした場合、上記関係から、Vc(rms)>k1・k2・V2bとなる。
【0177】
Vc(rms)=k1・k2・V2bのとき、位相角φとした場合、入力電流Icと変換器出力電圧Vcoの位相角θは、θ=φ/2となるのに対し、Vc(rms)>k1・k2・V2bでは、θ>φ/2となる。すなわち、入力電流Icと変換器出力電圧Vcoの位相差θが大きくなり、力行運転及び回生運転に関わらず、自励式電力変瑛器CNV1,CNV2を構成する自己消弧素子のしゃ断電流が増加してしまう。
【0178】
そこで、直列多重用の3相変圧器TRb1,TRb2の2次側電圧実効値V2bを、第1の変圧器TRaの2次側電圧実効値V2aより高くすることにより、Vc(rms)=k1・k2・V2bあるいは、Vc(rms)<k1・Ik2・V2bとする。これにより、入力電流Icと変換器出力電圧Vcoの位相角θが、θ≒φ/2あるいは、θ<φ/2となり、特に過負荷運転時の前記位相差θが小さくなるように直列多重用の3相変圧器TRb1,TRb2の2次側電圧実効値V2bを選ぶことにより、電力変換器CNV1,CNV2を構成する自己消弧素子のしゃ断電流を小さくすることが可能となる。
【0179】
この結果、本実施形態では、しゃ断電流容量の小さい自己消弧素子を用いて電力変換器CNV1,CNV2を構成することが可能となり、過負荷耐量に優れた経済的な電力変換装置を提供することができる。
【0180】
図23及び図24に示した電力変換装置において、直列多重用の3相変圧器TRb1,TRb2のもれインダクタンスLb1,Lb2を、第1の変圧器TRaのもれインダクタンスLaより大きく設計する。
【0181】
一般に、ダイオード整流器REC1,REC2の変圧器TRaのパーセントインピーダンス%XIは、大略0.05pu〜0.1puに設計される(puはパーユニットを表わす)。パーセントインピーダンス%XIを大きくすると、過負荷運転時の直流整流電圧Vrecの低下が大きくなるので、上記値が適当とされている。変圧器TRaのもれインダクタンスLaは上記%XIに比例する。
【0182】
一方、直列多重の電圧形自励式電力変瑛器CNV1,CNV2は、1パルス又は3パルス程度の固定パルスパターンで動作し、変換器CNV1,CNV2の交流側出力亀圧Vco=Vc1+Vc2は矩形波電圧となる。直列多重用の3相変圧器TRb1,TRb2のもれインダクタンスLb1,Lb2に、電源電圧Vsと出力電圧Vco=Vc1+Vc2の差電圧が印加され、入力電流Icが流れる。これらのもれインダクタンスLb1,Lb2は、変圧器TRb1,TRb2のパーセントインピーダンス%XIに比例し、その値が小さいと、入力電流Icのリップルが大きくなる。
【0183】
直列多重用の3相変圧器TRb1,TRb2のもれインダクタンスLb1,Lb2を、第1の変圧器TRaのもれインダクタンスLaより大きく設計することにより、直列多重の電力変換器CNV1,CNV2の入力電流Icのリップルを抑えるとともに、ダイオード整流器REC1,REC2の整流電圧Vrecの電圧低下を抑えることが可能となる。これにより、既存のダイオード整流器REC1,REC2の利用が可能となり、電力回生が可能な低コストの電力変換装置をより簡単に提供することができる。
【0184】
図23及び図24に示した電力変換装置において、直列多重運転の電力変換器CNV1,CNV2は、力行運転時の入力電流Icを制限して制御する。
【0185】
ダイオード整流器REC1,REC2から直流回路を介して電力変換器CNV1,CNV2へ横流が流れ込むのを防止するために、直列多重運転の電力変換器CNV1,CNV2の直流電圧指令値Vdc*を、並列多重運転のダイオード整流器REC1,REC2の整流電圧Vrecより高い値に設定する。
【0186】
この場合、力行運転時(負荷Loadが電力を消費する場合)は、並列多重のダイオード整流器REC1,REC2と、直列多重の電力変換器CNV1,CNV2の並列運転となるが、Vdc*>Vrecとなっているので、ダイオード整流器REC1,REC2からは電力を供給できない。従って、負荷Loadには電力変換器CNV1,CNV2から電力PLを供給することになる。そこで本実施形態では、力行運転時には、直列多重運転の電力変換器CNV1,CNV2の入力電流Icの有効電流指令値Iq*を制限することにより、負荷分担の適正化を図っている。
【0187】
図24に示した制御回路を構成するリミッタ回路LIMは、加算器ADからの出力信号の正側(力行側)に制限を設けている。そのため、有効電流指令値Iq*は、例えば、力行運転時は定格100%の値に制限される。この結果、力行100%負荷までは、直列多重運転の自励式変換器CNV1,CNV2から全て電力供給が行われ、直流電圧Vdcは、Vdc>Vrecで、一定に保たれる。さらに負荷が増えると、直列多重運転の自励式変換器CNV1,CNV2の出力電流Icnvは100%一定となり、直流電圧Vdcは下がってくる。その結果、並列多重運転のダイオード整流器REC1,REC2から直流電流Iddが流れはじめ、負荷の増加に従ってIddが増えてくる。
【0188】
すなわち、直列多重運転の電力変換器CNV1,CNV2からの電力供給が制限され、直流電圧Vdcは負荷PLが増加するに従って徐々に低下し、Vdc*>Vdc=Vrecとなる。この結果、電力変換器CNV1,CNV2は一定の電力Pcnvを供給するようになり、ダイオード整流器REC1,REC2から、Prec=PL−Pcnvを供給するようになる。
【0189】
これにより、直列多重のダイオード整流器REC1,REC2と並列多重の電力変換器CNV1,CNV2の安定した並列運転が可能となる。また、力行運転時の電力変換器CNV1,CNV2の出力がPcnvに制限され、自励式変換器を構成する高速ダイオードの最大電流を抑えることができ、かつ、自己消弧素子のしゃ断電流も抑えることが可能となる。さらに、直流電圧Vdcの安定化が図られ、電気鉄道などでは、車載設備容量の低減が図られる。
【0190】
図23及び図24に示した電力変換装置において、直列多重運転の電力変換器CNV1,CNV2は、負荷装置LOADが消費又は発生する有効電力(又は有効電流)PLを検出又は推定し、有効電力PLに比例したフィードフォワード補償量IqFF*を求め、この補償量IqFF*を変換器の入力電流Icの有効分指令値に加えて制御している。
【0191】
直列多重運転の電圧形自励式変換器CNV1,CNV2によって、直流電圧Vdcが指令値Vdc*に一致するようにフィードバック制御を行っているが、負荷が急変した場合、その応答が間に合わないと、直流電圧Vdcが大きく変動する。すなわち、負荷消費電力PLが急激に増えると、直流電圧Vdcが低下し、必要な電力を送れなくなるだけでなく、電圧不足により、自励式変換器CNV1,CNV2の制御にも影響を与え、制御全体を不安定にすることもある。また、逆に、電車の回生ブレーキ等により、負荷側からの回生電力が急激に増えると、直流電圧Vdcが上昇し、電力変換装置や負荷装置の耐圧を脅かすことになる。
【0192】
図24に示した実施形態では、負荷がとる直流電流ILoadを検知し、その量に見合った有効電流を供給するようにフィードフォワード補慣器FFで補撹量IqFF*=kFF・ILoadを演算し、加算器ADに入力している。これにより、負荷PLが急変した場合、それに見合った入力電流(有効電流)Iqが直ちに供給され、平滑コンデンサCdの印加電圧Vdcの変動を抑えることが可能となる。
【0193】
負荷装置Loadが消費又は発生する有効電力(又は有効電流)PLを検出又は推定し、有効電力PLに比例するフィードフォワード補慣量IqFF*を演算して求め、この補債量IqFF*を変換器の入力電流Icの有効分指令値に加えて制御することにより、直流電圧制御の応答を高めることができ、負荷急変に対しても、直流電圧Vdcの変動幅が小さくなり、上記問題を解決することができる。
【0194】
図23及び図24に示した電力変換装置において、直列多重運転の電力変換器CNV1,CNV2は、交流電源の電圧Vsが変動した場合、当該電源電圧Vsの変化に合わせて平滑コンデンサCdに印加される電圧Vdcの指令値を変えて制御している。
【0195】
直流電圧Vdcを一定に制御し、電力変換器CNVを1パルス又は一定パルスパターンで運転した場合、電力変換器CNV1,CNV2の交流側出力電圧Vco=Vc1+Vc2の振幅値は一定となる。
【0196】
電源電圧Vsの波高値が変換器出力電圧Vco=Vc1十Vc2の波高値と同じ場合は、位相角φ=0で、入力電流Icはゼロとなる。これに対し、電源電圧Vsが高くなると、φ=0のときに進み電流が流れ、逆に、電源電圧Vsが低くなると、φ=0のときに遅れ電流が流れてしまう。また、電源電圧Vsの波高値が変換器出力電圧Vco=Vc1+Vc2の波高値より低くなった場合、直列多重の電力変換器の交流側出力電圧Vcoと入力電流Icの位相差が大きくなり、電力変換器CNV1,CNV2を構成する自己消弧素子のしゃ断電流が大きくなってしまう。
【0197】
そこで、図24に示した制御回路において、演算回路CALは、電源電圧Vsの波高値Vsmoに比例させて直流電圧指令値Vdc*を与えている。電源電圧Vsが変動した場合、それに合わせて直流電圧Vdcを調整することにより、変換器出力電圧Vc1,Vc2の基本波波高値を常に電源電圧Vsの波高値に合わせる。これにより、位相角φ=0のとき無駄な無効電流を電源からとることを防ぐことができ、由己消弧素子のしゃ断電流の増加を防止することができる。
【0198】
【発明の効果】
以上の説明によって明らかなように、本発明に係る電力変換装置によれぱ、既設のダイオード整流器と電力変換器との協調運転が可能となり、自励式変換器を構成する自己消弧素子の遮断電流を大幅に低減できる。これにより、電力回生が可能で、過負荷耐量に優れ、低コストで高効率の電力変換装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る電力変換装置の第1の実施形態の主回路の構成を示す回路図。
【図2】本発明に係る電力変換装置の第1の実施形態中、電力変換器の制御回路の構成を示すブロック図。
【図3】本発明に係る電力変換装置の第1の実施形態中、ダイオード整流器及び電力変換器の詳細な構成を示す回路図。
【図4】本発明に係る電力変換装置の第1の実施形態の制御動作を説明するために、電圧と電流の関係を示したベクトル図。
【図5】図2に示した電力変換器を構成する位相制御回路PHCの詳細な構成例を示す図。
【図6】本発明に係る電力変換装置の第1の実施形態の制御動作を説明するために、電圧及び位相の関係を示した波形図。
【図7】本発明に係る電力変換装置の第1の実施形態の制御動作を説明するための電流波形図。
【図8】本発明に係る電力変換装置の第1の実施形態の制御動作を説明するために、電圧及び電流の関係を示した波形図。
【図9】本発明に係る電力変換装置の第1の実施形態の制御動作を説明するために、電圧及び位相の関係を示した波形図。
【図10】本発明に係る電力変換装置の第1の実施形態の制御動作を説明するために、電圧及び電流の関係を示した波形図。
【図11】本発明に係る電力変換装置の第1の実施形態の制御動作を説明するために、電圧と電流の関係を示したベクトル図。
【図12】本発明に係る電力変換装置の第1の実施形態の制御動作を説明するために、電圧及び電流の関係を示した波形図。
【図13】本発明に係る電力変換装置の第1の実施形態の制御動作を説明するために、電圧及び電流の関係を示した波形図。
【図14】本発明に係る電力変換装置の第1の実施形態の制御動作を説明するために、電力用ダイオード整流器の出力電圧と負荷との関係を示す線図。
【図15】本発明に係る電力変換装置の第1の実施形態の制御動作を説明するために、リミッタ回路の入力と出力との関係を示す線図。
【図16】本発明に係る電力変換装置の第1の実施形態の制御動作を説明するために、負荷と、出力電圧及び電流との関係を示す線図。
【図17】本発明に係る電力変換装置の第2の実施形態の電力変換器の制御回路の構成を示すブロック図。
【図18】本発明に係る電力変換装置の第2の実施形態の制御動作を説明するために、電圧と電流の関係を示したベクトル図。
【図19】本発明に係る電力変換装置の第2の実施形態の制御動作を説明するために、直流電圧指令値と入力電流波高値との関係を示した線図。
【図20】本発明に係る電力変換装置の第2の実施形態の制御動作を説明するために、直流電圧指令値と入力電流波高値との関係を示した線図。
【図21】本発明に係る電力変換装置の第3の実施形態の主回路の構成を示す回路図。
【図22】本発明に係る電力変換装置の第3の実施形態中、電力変換器の制御回路の構成を示すブロック図。
【図23】本発明に係る電力変換装置の第4の実施形態の主回路の構成を示す回路図。
【図24】本発明に係る電力変換装置の第4の実施形態中、電力変換器の制御回路の構成を示すブロック図。
【図25】従来の電力変換装置の主回路の構成を示す回路図。
【図26】従来の電力変換装置中、電力変換器の制御回路の構成を示すブロック図。
【符号の説明】
SUP 交流電源
TRa 第1の変圧器
TRb 第2の変圧器
REC,REC1,REC2 電力用ダイオード整流器
CNV,CNV1,CNV2 電圧形自励式電力変換器
Cd 平滑コンデンサ
Load 負荷
C1,C2 比較器
AD 加算器
FF フィードフォワード補債器
LIM リミッタ回路
Gv(S) 電圧制御補償回路
Gi(S) 電流制御補償回路
Z,Z1,Z2 3相/dq座標変換回路
PLL,PLL1,PLL2 電源同期位相検出回路
PHC,PHC1,PHC2 位相制御回路
CAL 演算回路
Claims (6)
- 交流電源に、第1の変圧器を介して、交流側端子が接続された電力用ダイオード整流器と、前記交流電源に、第2の変圧器を介して、交流側端子が接続された電圧形自励式電力変換器と、前記電圧形自励式電力変換器を1パルス又は固定パルスパターンで動作させ、前記交流電源の電圧に対する交流側出力電圧の位相角を調整することにより前記電圧形自励式電力変換器の入力電流を制御する手段と、前記電圧形自励式電力変換器の直流側端子に接続された平滑コンデンサと、を備え、前記電力用ダイオード整流器及び前記電圧形自励式電力変換器の各直流側端子を共通接続して負荷装置に電力を供給する電力変換装置において、
前記第2の変圧器の2次側電圧の実効値を、前記第1の変圧器の2次側電圧の実効値より高くすることを特徴とする電力変換装置。 - 請求項1記載の電力変換装置において、
前記平滑コンデンサに印加される電圧が直流電圧指令値に一致するように前記電圧形自励式電力変換器の入力電流を制御し、かつ、前記直流電圧指令値を前記電力用ダイオード整流器の整流電圧より大きな値に設定することを特徴とする電力変換装置。 - m,nを2以上の整数として、3相交流電源に1次巻線が接続され、適宜の位相差を持たせたn組の2次巻線を有する第1の3相変圧器と、前記第1の3相変圧器の各々の2次巻線に交流側端子が接続されたn台の電力用ダイオード整流器と、前記3相交流電源に1次巻腺が接続され、適宜の位相差を持たせたm組の2次巻線を有する第2の3相変圧器と、前記第2の3相変圧器の各々の2次巻線に交流側端子が接続され、直流側端子が共通接続されたm台の電圧形自励式電力変換器と、前記m台の電圧形自励式電力変換器を1パルス又は固定パルスパターンで動作させ、前記交流電源の電圧に対する位相角を調整することにより前記m台の電圧形自励式電力変換器の入力電流を制御する手段と、前記m台の電圧形自励式電力変換器の直流側共通端子に接続された平滑コンデンサと、を備え、前記n台の電力用ダイオード整流器及び前記m台の電圧形自励式電力変換器の直流側端子を共通接続して負荷装置に電力を供給する電力変換装置において、
前記第2の3相変圧器の2次側巻線電圧実効値を、前記第1の3相変圧器の2次側巻線電圧実効値より高くすることを特徴とする電力変換装置。 - 請求項3記載の電力変換装置において、
前記m台の電圧形自励式電力変換器は、前記平滑コンデンサに印加される電圧が指令値に一致するように前記m台の電圧形自励式電力変換器の入力電流を制御し、かつ、前記直流電圧指令値を前記電力用ダイオード整流器の整流電圧より大きな値に設定することを特徴とする電力変換装置。 - m,nを2以上の整数として、3相交流電源に1次巻線が接続され、適宜の位相差を持たせたn組の2次巻線を有する第1の3相変圧器と、前記第1の3相変圧器の各々の2次巻線に交流側端子が接続されたn台の電力用ダイオード整流器と、前記交流電源に対し、1次巻線が各相毎に前記第1の3相変圧器の1次巻線に直列接続され、2次巻線の出力電圧が適宜の位相差を持つように構成されたm台の3相変圧器と、前記m台の3相変圧器の各々の2次巻線に交流側端子が接続されたm台の電圧形自励式電力変換器と、前記m台の電圧形自励式電力変換器を1パルス又は固定パルスパターンで動作させ、前記交流電源の電圧に対する位相角を調整することにより前記m台の電圧形自励式電力変換器の入力電流を制御する手段と、前記m台の電圧形自励式電力変換器の直流側端子に接続された平滑コンデンサと、を備え、前記n台の電力用ダイオード整流器及び前記m台の電圧形自励式電力変換器の直流側端子を共通接続して負荷装置に電力を供給する電力変換装置において、
前記m台の3相変圧器の2次側巻線電圧実効値を、前記第1の3相変圧器のn組の2次側巻線電圧実効値より高くすることを特徴とする力変換装置。 - 請求項5記載の電力変換装置において、
前記m台の電圧形自励式電力変換器は、前記平滑コンデンサに印加される電圧が指令値に一致するように前記m台の電圧形自励式電力変換器の入力電流を制御し、かつ、前記直流電圧指令値を前記電力用ダイオード整流器の整流電圧より大きな値に設定することを特徴とする電力変換装置。
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