JP2005117804A - 電力変換装置 - Google Patents

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健治 伊藤
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Abstract

【課題】スイッチング素子の最大遮断電流が小さく、高効率,高力率で、過負荷耐量に優れた経済的な電力変換装置の提供。
【解決手段】交流電源SUPに接続される変圧器TR又は交流リアクトルLs、電力用ダイオード整流器REC、リカバリー電流抑制用リアクトルLa、電圧形自励式電力変換器CNV、直流平滑コンデンサCd、双方向チョッパCHO及びエネルギー蓄積装置EDLCを備える電力変換装置において、電圧形自励式電力変換器CNVは、交流電源SUPの周波数に同期した一定のパルスパターンで動作させ、電源電圧Vsに対する位相角φを調整することにより入力電流Icを制御し且つ直流平滑コンデンサCdに印加される電圧Vdが指令値Vdに一致するように制御する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、エネルギー蓄積装置及び/又は抵抗装置と、電力回生可能な交流/直流電力変換器及び電力用ダイオード整流器とを組み合わせ、負荷装置への力行電力の供給及び/又は前記負荷装置からの回生電力の蓄積を行う電力変換装置に関する。
電気鉄道直流き電システム等では、3相ブリッジ結線された電力用ダイオード整流器により3相交流電力を直流電力に変換する方式が多く採用されている。この方式は過負荷耐量に優れ、変換器コストが安くできる利点を有する。
しかし、電車が回生ブレーキをかけたときにその電力を交流電源側に回生できず、しばしば回生失効を起こすという問題点があった。また、負荷電流依存性があり、直流き電電圧が負荷によって大きく変動する欠点があった。
図41は、従来の電気鉄道き電システムにおける電力変換装置の一例を示すもので、3相交流電源SUPに変圧器TRを介してダイオード整流器RECが接続され、このダイオード整流器RECに、抵抗チョッパ装置R−CHO及び電車負荷Loadが接続されている。
抵抗チョッパ装置R−CHOは、スイッチング素子Qと抵抗器R及び還流ダイオードで構成されており、その制御回路として、比較器C、電圧制御回路Gv(S)及びパルス幅変調制御回路PWMが用意されている。
ダイオード整流器RECは、3相交流を直流に変換するもので、電車負荷Loadが力行運転しているときに、その負荷電流ILを供給する。
一般に、電車負荷Loadは、複数の列車からなり、力行車両もあれば回生車両もある。回生車両からの回生電力が力行車両の消費電力より小さければ、電力の不足分はダイオード整流器RECから供給され、あまり問題なく運転できる。しかし回生電力が力行車の消費電力より大きくなった場合、直流き電電圧Vdが上昇し、やがて回生失効に至る。
そこで、直流電圧Vdが上がってきた場合、抵抗チョッパR−CHOを動作させ、余った回生電力を抵抗器Rに消費させる。すなわち、指令値Vd*に対し、直流電圧Vdが大きくなった場合、比較器Cの出力εv=−Vd*+Vdは正の値となり、電圧制御回路Gv(s)により増幅され、PWM制御回路の指令値e*を増加させる。その結果、抵抗器Rに印加される電圧が大きくなり、流れる電流IRが増加し、直流電圧Vdを下げることができる。余った回生電力が小さくなると、PWM制御回路の指令値e*が小さくなり、抵抗器Rに流れる電流IRも小さくなる。
以上のように、図41に示した従来の装置でも回生失効を防止することができるが、あまった回生電力を全て抵抗器Rに熱エネルギーとして消費させるため、運転効率が悪くなり、地球環境への影響からみても望ましくない。また、回生電力を消費するための抵抗チョッパ装置R−CHOの容量も大きくなり、電力変換装置としてのコストも高くなる等の問題があった。
図42は、従来の電気鉄道き電システムにおける電力変換装置の別の例を示すもので、特許文献1等に開示されている。3相交流電源SUPに変圧器TRを介してダイオード整流器RECが接続され、このダイオード整流器RECに、双方向チョッパ装置CHO及びエネルギー蓄積装置EDLCと、直流コンデンサCdと、電車負荷Loadとが接続されている。
双方向チョッパCHOは、スイッチング素子Qa,Qb、還流ダイオードDa,Db及び直流リアクトルLeで構成され、エネルギー蓄積装置EDLC、例えば、鉛蓄電池や電気二重層キャパシタ等への充放電電流Ieを制御する。その制御回路として、比較器C1,C2、電圧制御回路Gv(S)、電流制御回路Gi(S)及びパルス幅変調制御回路PWMが用意されている。
ダイオード整流器RECは、3相交流を直流に変換するもので、電車負荷Loadが力行運転しているときに、その負荷電流ILを供給する。前にも述べたように、回生車両からの回生電力が力行車両の消費電力より小さければ、電力の不足分はダイオード整流器から供給され、あまり問題なく運転できる。
回生電力が力行車の消費電力より大きくなり、直流き電電圧Vdが上昇した場合、双方向チョッパCHOを動作させ、余った回生電力をエネルギー蓄積装置EDLCに蓄える。
すなわち、電圧指令値Vd*に対し直流電圧Vdが大きくなった場合、比較器C1の出力εv=−Vd*+Vdは正の値となり、電圧制御回路Gv(s)により増幅され、電流指令値Ie*を増加させる。比較器C2により、当該指令値Ie*とエネルギー蓄積装置EDLCへの充電電流の検出値Ieを比較し、その偏差εi=Ie*−Ieを次の電流制御回路Gi(S)で増幅して、PWM制御回路の指令値e*を増加させる。その結果、直流リアクトルLeに印加される電圧が大きくなり、エネルギー蓄積装置EDLCへの充電電流Ieが増加し、直流電圧Vdを下げることができる。余った回生電力が小さくなると、PWM制御回路の指令値e*が小さくなり、エネルギー蓄積装置EDLCへの充電電流Ieも小さくなる。結果的に、Vd=Vd*に制御され、回生失効を防止することができる。
図41の従来装置では、エネルギー蓄積装置EDLCに蓄えられたエネルギーは、力行車の消費電力が大きくなったときに利用し、回生電力の有効利用ができる。しかし、電車の回生エネルギーは非常に大きく、そのエネルギーを蓄えるエネルギー蓄積装置EDLCの容量も相当大きくなる。最近は、寿命が長く、急速充放電が可能な電気二重層キャパシタがエネルギー蓄積装置として注目されているが、容量の大きいものとなるとコストが高く、不経済なシステムとなってしまう。
特開2001−260719号公報
以上のように、従来装置では、余った回生電力を一時蓄え、必要なときにそのエネルギーを放出して有効利用を図ることができるが、エネルギー蓄積装置の容量が大きくなり、不経済なシステムとなる問題があった。また、交流電源へ電力回生が可能な電力変換器として、従来、パルス幅変調制御による自励式変換器(PWMコンバータと呼ぶ)があるが、入力電流リプルを小さくするにはスイッチング周波数(PWM制御のキャリア周波数)を高くする必要があり、変換器損失が大きくなる。
また、PWMコンバータを構成する自己消弧素子(IGBTやGTO等)は、当該コンバータの交流入力電流のピーク値を遮断する必要があり、例えば、300%過負荷運転を求められる電鉄用電力変換装置では、当該過負荷時の大電流を遮断するだけの素子を用意することが必要であった。
さらに、変換器の電圧利用率(交流出力電圧/直流電圧)が低いため、変換器トランスの2次電圧が上げられず、その分変換器の電流容量を上げなければならない等の問題があった。
本発明の目的は、瞬間的な回生大電力を吸収又は蓄積し、その蓄積エネルギーの有効利用を図るとともに自励式変換器の容量低減を図り、またこの自励式変換器のスイッチング周波数を高くすることなく入力電流歪みを小さくし、変換器の電圧利用率が高く、スイッチング素子の最大しゃ断電流が小さく、高効率,高力率で、電力回生可能な過負荷耐量に優れた経済的な電力変換装置を提供することを目的とする。
本発明に係る電力変換装置(請求項1)は、交流電源に変圧器及び/又は交流リアクトルを介して接続された電力用ダイオード整流器と、この電力用ダイオード整流器にリカバリー電流抑制用リアクトルを介して接続された電圧形自励式電力変換器と、この電圧形自励式電力変換器と前記電力用ダイオード整流器の直流側共通端子に接続した直流平滑コンデンサと、この直流平滑コンデンサに双方向チョッパを介して並列接続されたエネルギー蓄積装置とを備え、前記直流平滑コンデンサに並列に接続された負荷装置への力行電力の供給及び/又は前記負荷装置からの回生電力の蓄積を行う電力変換装置において、
前記電圧形自励式電力変換器を、前記交流電源の周波数に同期した一定のパルスパターンで動作させ、電源電圧に対する位相角を調整することにより入力電流を制御し、かつ、前記直流平滑コンデンサに印加される電圧が指令値に一致するように制御する制御手段を具備したことを特徴とする。
力行運転時は、大部分の電流が電力用ダイオード整流器に流れるように制御することにより、電圧形自励式電力変換器のしゃ断電流を小さく抑えている。
リカバリー電流抑制リアクトルは、電圧形自励式電力変換器の自己消弧素子がオンしたときに電力用ダイオード整流器の各ダイオードに過大なリカバリー電流が流れ込むのを抑える役目をする。
電圧形自励式電力変換器は、交流電源の周波数に同期した一定のパルスパターン(1パルス,3パルス,5パルス等)で動作し、その交流側出力電圧Vcの電源電圧Vsに対する位相角φを制御することにより、入力電流Icを制御する。
パルスパターンを固定すると、直流電圧Vdが一定ならば、電圧Vcの振幅値は一定になる。この状態で、電源電圧Vsに対する出力電圧Vcの位相角φを変えることにより、交流リアクトルに(又は変圧器のもれインダクタンス)に印加される電圧(Vs−Vc)が変化し、入力電流Ic=(Vs−Vc)/(jω・Ls)を調整することができる。
電源電圧Vsに対する出力電圧Vcの位相角φを遅れ方向に増加させることにより、交流電源から供給される有効電力Psが増加する。逆に位相角φを進み方向に増やすと、有効電力Psが交流電源に回生される。ちなみに、位相角φ=0では、有効電力の授受はない。入力電流Icの位相角は、電源電圧Vsに対し、φ/2又は、π−φ/2となり、入力力率は、cos(φ/2)となる。また、入力電流Icと電圧形自励式電力変換器の交流出力電圧Vcとの位相差は、−φ/2又は、π+φ/2となり、変換器力率は、cos(φ/2)となる。位相角φは、入力電流Isと交流リアクトルLsの値に依存する。位相角φは、過負荷運転時でも高々φ=30°程度で、力率はcos15°=0.966となる。
電圧形自励式電力変換器を一定のパルスパターンで制御する場合、入力電流Icの高調波成分が小さくなるようにスイッチングパターンを決めるが、上記のように変換器力率が1に近いため、電流Icのゼロ点付近でスイッチングが行われ、電圧形自励式電力変換器を構成する自己消弧素子の遮断電流は小さくて済む。
また、電圧形自励式電力変換器の交流側出力電圧の波高値を一定にして位相角φだけを制御するため、電圧形自励式電力変換器の電圧利用率(交流出力電圧の実効値/直流電圧)が高くできる。すなわち、変圧器の2次電圧を高くできるため、出力容量が同じならば、電圧形自励式電力変換器の電流容量を小さくでき、自己消弧素子の電流容量の小さいもので済む。
回生運転時も電源力率はほぼ1に制御され、同様に自己消弧素子のスイッチングを入力電流Icのゼロクロス付近で行うことにより、素子のしゃ断電流は小さく抑えることができる。故に、スイッチング損失は大幅に軽減され、しゃ断電流の小さい自己消弧素子で電圧形自励式電力変換器を構成できるようになり、経済的な装置を提供できる。
これにより、電力回生が可能で、高力率・高効率で、低コストの電力変換装置を提供できる。
電圧形自励式電力変換器は、前記直流平滑コンデンサに印加される電圧Vdがほぼ一定になるように、前記交流電源から供給される電流Icを制御する。負荷装置は、この直流平滑コンデンサを電圧源とするもので、例えば、電車負荷などがある。力行運転で、当該負荷装置が電力PLを消費すると、直流電圧Vdが下がるので、指令値Vd*に一致させるように上記入力電流Icを増加させる。定常的に、負荷装置の消費電力PLと交流電源から供給する電力Psはつりあい、直流電圧もVd=Vd*に制御される。逆に、回生運転では、負荷側から電力PLが戻され、直流電圧Vdが上がるので、入力電流Icの位相を反転させ、有効電力Psを交流電源に回生する。
このとき、エネルギー蓄積装置は、回生運転時に、その回生エネルギーの一部を吸収し、力行運転時に、蓄積されたエネルギーを放出する。これにより、前記電圧形自励式電力変換器が授受する電力が小さくなり、変換器容量が低減される。また、回生エネルギーの有効利用が可能となる。
本発明に係る電力変換装置(請求項5)は、3相交流電源に1次巻線が接続され、適宜の位相差を持たせたn組の2次巻線を有する3相変圧器と、この3相変圧器の各々の2次巻線に交流側端子が接続されたn台の電力用ダイオード整流器と、これら電力用ダイオード整流器のそれぞれの交流側端子にリカバリー電流抑制用リアクトルを介して交流側端子が接続されたn台の電圧形自励式電力変換器と、これらn台の電圧形自励式電力変換器と前記n台の電力用ダイオード整流器の直流側共通端子に接続された直流平滑コンデンサと、この直流平滑コンデンサに双方向チョッパを介して並列接続されたエネルギー蓄積装置とを備え、前記直流平滑コンデンサに並列に接続された負荷装置への力行電力の供給及び/又は前記負荷装置からの回生電力の蓄積を行う電力変換装置において、
前記n台の電圧形自励式電力変換器を、前記交流電源の周波数に同期した一定のパルスパターンで動作させ、前記交流電源の電圧に対する位相角を調整することにより交流入力電流を制御し、前記直流平滑コンデンサに印加される電圧を制御する制御手段を具備することを特徴とする。
本発明では、電力用ダイオード整流器と電圧形自励式電力変換器を組み合わせた電力変換装置をn台用意し、適宜の位相差を持たせたn組の2次巻線を有する3相変圧器を用いて、並列多重運転するように構成したもので、変換装置の大容量化と、交流電源から供給される入力電流Icの高調波成分の低減を図ることができる。
エネルギー蓄積装置は、回生運転時に、その回生エネルギーの一部を吸収し、力行運転時に、蓄積されたエネルギーを放出する。これにより、前記n台の電圧形自励式電力変換器が授受する電力が小さくなり、変換器容量が低減される。また、回生エネルギーの有効利用が可能となる。
n台の電圧形自励式電力変換器は、一定のパルスパターンで動作し、交流電源の電圧Vsに同期したスイッチングを行う。直流電圧Vdが一定ならば、n台の電圧形自励式電力変換器の交流出力電圧Vc1〜Vcnの振幅値は一定になる。この状態で、電源電圧Vsに対する出力電圧Vc1〜Vcnの位相角φを変えることより、前記変圧器のもれインダクタンスLx1〜Lxnに印加される電圧が変化し、入力電流Ic1〜Icnを調整することができる。また、多重化により、その合成電流Ic=Ic1+Ic2+…Icnは、極めて歪みの少ない波形に制御できる。
電源電圧Vsに対する各変換器の出力電圧Vc1〜Vcnの位相角φを遅れ方向に増加させることにより、交流電源から供給される有効電力Psが増加する。逆に位相角φを進み方向に増やすと、有効電力Psが交流電源に回生される。
n台の電圧形自励式電力変換器を一定のパルスパターンで制御する場合、入力電流Ic1〜Icnの高調波成分が小さくなるようにスイッチングパターンを決めるが、変換器力率が1に近いため、電流Icのゼロ点付近でスイッチングが行われ、n台の電圧形自励式電力変換器を構成する自己消弧素子のしゃ断電流は小さくて済む。これにより、入力電流Icの高調波成分が小さく、電力回生が可能で、高力率・高効率で、低コストの電力変換装置を提供できる。
本発明に係る電力変換装置(請求項6)は、3相交流電源に1次巻線が接続され、各2次巻線の出力電圧が適宜の位相差を持つように構成したn台の3相変圧器と、これら3相変圧器の各々の2次巻線に交流側端子が接続されたn台の電力用ダイオード整流器と、これら電力用ダイオード整流器のそれぞれの交流側端子にリカバリー電流抑制用リアクトルを介して交流側端子が接続されたn台の電圧形自励式電力変換器と、これらn台の電圧形自励式電力変換器と前記n台の電力用ダイオード整流器の直流側共通端子に接続された直流平滑コンデンサと、この直流平滑コンデンサに双方向チョッパを介して並列接続されたエネルギー蓄積装置とを備え、前記直流平滑コンデンサに並列に接続された負荷装置への力行電力の供給及び/又は前記負荷装置からの回生電力の蓄積を行う電力変換装置において、
前記n台の電圧形自励式電力変換器を、前記交流電源の周波数に同期した一定のパルスパターンで動作させ、前記交流電源の電圧に対する位相角を調整することにより交流入力電流を制御し、前記直流平滑コンデンサに印加される電圧を制御する制御手段を具備したことを特徴とする。
本発明では、電力用ダイオード整流器と電圧形自励式電力変換器を組み合わせた電力変換装置をn台用意し、各2次巻線の出力電圧が適宜の位相差を持つように構成したn台の3相変圧器を用いて、並列多重運転するように構成したもので、変換器間の横流の抑制と、変換装置の大容量化、及び交流電源から供給される入力電流Icの高調波成分の低減を図ることができる。これにより、過負荷耐量に優れ、電力回生が可能な、高効率・低コストの大容量電力変換装置を提供することができる。
エネルギー蓄積装置は、回生運転時に、その回生エネルギーの一部を吸収し、力行運転時に、蓄積されたエネルギーを放出する。これにより、前記n台の電圧形自励式電力変換器が授受する電力が小さくなり、変換器容量が低減される。また、回生エネルギーの有効利用が可能となる。
n台の電圧形自励式電力変換器を並列多重運転する場合、当該変換器間に横流が流れる。この横流の大きさは、直流電圧Vdの値と前記n台の変圧器のもれインダクタンス値Lx1〜Lxnによってほぼ決定される。
請求項5のように、1台の変圧器に複数の2次巻線を設けて、それぞれに電圧形自励式電力変換器を接続する並列多重運転では、変換器間の横流を抑制するのは、2次側のもれインダクタンス値が関係する。しかし、変圧器のもれインダクタンス値を2次側だけ大きくするのは難しく、コストも高くなる。変圧器の2次側に外部交流リアクトルを挿入することにより、横流を抑制することができるが、当該外部リアクトルの分だけコストは高くなってしまう。
本発明のように、各変換器毎に、変圧器を分けることにより、各変圧器の1次と2次のもれインダクタンス値の和が横流を抑制する作用を果たし、外部リアクトル無しで、横流を十分小さな値に抑えることが可能となる。
n台の電圧形自励式電力変換器は、一定のパルスパターンで動作し、交流電源の電圧Vsに同期したスイッチングを行う。直流電圧Vdが一定ならば、n台の電圧形自励式電力変換器の交流出力電圧Vc1〜Vcnの振幅値は一定になる。この状態で、電源電圧Vsに対する出力電圧Vc1〜Vcnの位相角φを変えることより、n台の変圧器のもれインダクタンスLx1〜Lxnに印加される電圧が変化し、入力電流Ic1〜Icnを調整することができる。また、多重化により、その合成電流Ic=Ic1+Ic2+…Icnは、極めて歪みの少ない波形に制御できる。
電源電圧Vsに対する各変換器の出力電圧Vc1〜Vcnの位相角φを遅れ方向に増加させることにより、交流電源から供給される有効電力Psが増加する。逆に位相角φを進み方向に増やすと、有効電力Psが交流電源に回生される。
n台の電圧形自励式電力変換器を一定のパルスパターンで制御する場合、入力電流Ic1〜Icnの高調波成分が小さくなるようにスイッチングパターンを決めるが、変換器力率が1に近いため、電流Icのゼロ点付近でスイッチングが行われ、n台の電圧形自励式電力変換器を構成する自己消弧素子のしゃ断電流は小さくて済む。これにより、入力電流Icの高調波成分が小さく、電力回生が可能で、高力率・高効率で、低コストの電力変換装置を提供できる。
本発明に係る電力変換装置(請求項7)は、3相交流電源に対し、1次巻線が各相毎に直列接続され、2次巻線の出力電圧が適宜の位相差を持つように構成されたn台の3相変圧器と、これらn台の3相変圧器の各々の2次巻線に交流側端子が接続されたn台の電力用ダイオード整流器と、これら電力用ダイオード整流器のそれぞれの交流側端子にリカバリー電流抑制用リアクトルを介して交流側端子が接続されたn台の3相ブリッジ結線の電圧形自励式電力変換器と、これらn台の電圧形自励式電力変換器と前記n台の電力用ダイオード整流器の直流側共通端子に接続された直流平滑コンデンサと、この直流平滑コンデンサに双方向チョッパを介して並列接続されたエネルギー蓄積装置とを備え、前記直流平滑コンデンサに並列に接続された負荷装置への力行電力の供給及び/又は前記負荷装置からの回生電力の蓄積を行う電力変換装置において、
前記n台の電圧形自励式電力変換器を、前記交流電源の周波数に同期した一定のパルスパターンで動作させ、前記交流電源の電圧に対する位相角を調整することにより交流入力電流を制御し、前記直流平滑コンデンサに印加される電圧を制御する制御手段を具備したことを特徴とする。
本発明では、電力用ダイオード整流器と電圧形自励式電力変換器を組み合わせた電力変換装置をn台用意し、1次巻線を直列接続し、適宜の位相差を持たせた2次巻線を有するn台の3相変圧器を用いて、直列多重運転するように構成したもので、変換装置の大容量化と、交流電源から供給される入力電流Isの高調波成分の低減を図ることができる。特に、直列多重運転により、各変換器に流れる交流側入力電流のリプルを抑制することができ、電圧形自励式電力変換器の自己消弧素子の最大遮断電流を小さくできる利点がある。また、3相変圧器のもれインダクタンス分を利用することにより、従来の交流リアクトルを省略することが可能となる。これにより、過負荷耐量に優れ、電力回生が可能な、高効率・低コストの大容量電力変換装置を提供することができる。
エネルギー蓄積装置は、回生運転時に、その回生エネルギーの一部を吸収し、力行運転時に、蓄積されたエネルギーを放出する。これにより、前記n台の電圧形自励式電力変換器が授受する電力が小さくなり、変換器容量が低減される。また、回生エネルギーの有効利用が可能となる。
n台の電圧形自励式電力変換器は、一定のパルスパターンで動作し、交流電源の電圧Vsに同期したスイッチングを行う。直流電圧Vdが一定ならば、n台の電圧形自励式電力変換器の交流出力電圧Vc1〜Vcnの振幅値は一定になる。この状態で、電源電圧Vsに対する各変換器出力電圧の和Vc=Vc1+Vc2+…Vcnの位相角φを変えることより、n台の変圧器のもれインダクタンスの和Lxo=Lx1+Lx2+…Lxnに印加される電圧が変化し、入力電流Icを調整することができる。また、多重化により、その入力電流Icは、極めて歪みの少ない波形に制御できる。
電源電圧Vsに対する各変換器の出力電圧の和Vc=Vc1+Vc2+…Vcnの位相角φを遅れ方向に増加させることにより、交流電源から供給される有効電力Psが増加する。逆に位相角φを進み方向に増やすと、有効電力Psが交流電源に回生される。
本発明に係る電力変換装置(請求項8)は、3相交流電源に1次巻線が接続され、適宜の位相差を持たせたn組の2次巻線を有する3相変圧器と、この3相変圧器の各々の2次巻線に交流側端子が接続されたn台の電力用ダイオード整流器と、これら電力用ダイオード整流器のそれぞれの交流側端子にリカバリー電流抑制用リアクトルを介して交流側端子が接続されたn台の電圧形自励式電力変換器と、これらn台の電圧形自励式電力変換器と前記n台の電力用ダイオード整流器の直流側端子のそれぞれに接続されたn個の直流平滑コンデンサと、これらn個の直流平滑コンデンサを直列接続し、その直列接続した両端に双方向チョッパを介して並列接続されたエネルギー蓄積装置とを備え、前記n個の直流平滑コンデンサを直列接続した両端に接続された負荷装置への力行電力の供給及び/又は前記負荷装置からの回生電力の蓄積を行う電力変換装置において、
前記n台の電圧形自励式電力変換器を、前記交流電源の周波数に同期した一定のパルスパターンで動作させ、前記交流電源の電圧に対する位相角を調整することにより前記電圧形自励式電力変換器それぞれの入力電流を制御し、前記直流平滑コンデンサそれぞれに印加される電圧を制御する制御手段を具備したことを特徴とする。
本発明において、エネルギー蓄積装置は、回生運転時に、その回生エネルギーの一部を吸収し、力行運転時に、蓄積されたエネルギーを放出する。これにより、n台の電圧形自励式電力変換器が授受する電力が小さくなり、変換器容量が低減される。また、回生エネルギーの有効利用が可能となる。
また本発明は、電力用ダイオード整流器と電圧形自励式電力変換器をn台用意し、適宜の位相差を持たせたn組の2次巻線を有する3相変圧器TRを用いて、交流側で並列多重運転し、直流側で直列接続するように構成したもので、変換装置の大容量化と、直流出力電圧Vdの高圧化、及び交流電源から供給される入力電流Isの高調波成分の低減を図ることができる。
n台の電圧形自励式電力変換器は、一定のパルスパターンで、交流電源の電圧Vsに同期したスイッチングを行う。直流電圧Vdが一定ならば、n台の電圧形自励式電力変換器の交流出力電圧Vc1〜Vcnの振幅値は一定になる。この状態で、電源電圧Vsに対する出力電圧Vc1〜Vcnの位相角φを変えることより、n台の交流リアクトル(又は、変圧器のもれインダクタンス)に印加される電圧が変化し、各電圧形自励式電力変換器の入力電流Ic1〜Icnを調整することができる。n台の電圧形自励式電力変換器を一定のパルスパターンで制御する場合、入力電流Icの高調波成分が小さくなるようにスイッチングパターンを決めるが、変換器力率が1に近いところで動作させることにより、電流Icのゼロ点付近でスイッチングが行われ、n台の電圧形自励式電力変換器を構成する自己消弧素子のしゃ断電流を小さくすることができる。
電源電圧Vsに対する各変換器の出力電圧Vc1〜Vcnの位相角φを遅れ方向に増加させることにより、交流電源から供給される有効電力Psが増加する。逆に位相角φを進み方向に増やすと、有効電力Psが交流電源に回生される。
n台の電圧形自励式電力変換器は、各直流平滑コンデンサCd1〜Cdnに印加される電圧Vd1〜Vdnがほぼ一定になるように制御する。その結果、その和電圧Vdo=Vd1+Vd2+…+Vdnが一定に制御される。これにより、直流出力電圧の高圧化を図ることができ、入力電流Isの高調波成分が小さく、電力回生が可能で、高力率・高効率で、低コストの電力変換装置を提供できる。
本発明に係る電力変換装置(請求項9)は、3相交流電源に1次巻線が接続され、各2次巻線の出力電圧が適宜の位相差を持つように構成したn台の3相変圧器と、これら3相変圧器の各々の2次巻線に交流側端子が接続されたn台の電力用ダイオード整流器と、これら電力用ダイオード整流器のそれぞれの交流側端子にリカバリー電流抑制用リアクトルを介して交流側端子が接続されたn台の電圧形自励式電力変換器と、これらn台の電圧形自励式電力変換器と前記n台の電力用ダイオード整流器の直流側端子のそれぞれに接続されたn個の直流平滑コンデンサと、これらn個の直流平滑コンデンサを直列接続し、その直列接続した両端に双方向チョッパを介して並列接続されたエネルギー蓄積装置とを備え、前記n個の直流平滑コンデンサを直列接続した両端に接続された負荷装置への力行電力の供給及び/又は前記負荷装置からの回生電力の蓄積を行う電力変換装置において、
前記n台の電圧形自励式電力変換器を、前記交流電源の周波数に同期した一定のパルスパターンで動作させ、前記交流電源の電圧に対する位相角を調整することにより前記電圧形自励式電力変換器それぞれの入力電流を制御し、前記直流平滑コンデンサに印加される電圧を制御する制御手段を具備したことを特徴とする。
本発明において、エネルギー蓄積装置は、回生運転時に、その回生エネルギーの一部を吸収し、力行運転時に、蓄積されたエネルギーを放出する。これにより、前記n台の電圧形自励式電力変換器が授受する電力が小さくなり、変換器容量が低減される。また、回生エネルギーの有効利用が可能となる。
本発明は、電力用ダイオード整流器と電圧形自励式電力変換器をn台用意し、各2次巻線の出力電圧が適宜の位相差を持つように構成したn台の3相変圧器を用いて、交流側で並列多重運転し、直流側で直列接続するように構成したもので、変換装置の大容量化と、直流出力電圧Vdの高圧化、及び交流電源から供給される入力電流Isの高調波成分の低減を図ることができる。特に、各変換器毎に変圧器を設けることにより、並列多重運転で流れる横流を低減することができる。
n台の電圧形自励式電力変換器を並列多重運転する場合、当該変換器間に横流が流れる。この横流の大きさは、直流電圧Vdの値と前記n台の変圧器のもれインダクタンス値Lx1〜Lxnによってほぼ決定される。
請求項8のように、1台の変圧器に複数の2次巻線を設けて、それぞれに電圧形自励式電力変換器を接続する並列多重運転では、変換器間の横流を抑制するのは、2次側のもれインダクタンス値が関係する。しかし、変圧器のもれインダクタンス値を2次側だけ大きくするのは難しく、コストも高くなる。変圧器の2次側に外部交流リアクトルLsを挿入することにより、横流を抑制することができるが、当該外部リアクトルの分だけコストは高くなってしまう。
本発明のように、各変換器毎に、変圧器を分けることにより、各変圧器の1次と2次のもれインダクタンス値の和が横流を抑制する作用を果たし、外部リアクトル無しで、横流を十分小さな値に抑えることが可能となる。
n台の電圧形自励式電力変換器は、一定のパルスパターンで動作し、交流電源の電圧Vsに同期したスイッチングを行う。直流電圧Vdが一定ならば、n台の電圧形自励式電力変換器の交流出力電圧Vc1〜Vcnの振幅値は一定になる。この状態で、電源電圧Vsに対する出力電圧Vc1〜Vcnの位相角φを変えることより、n台の変圧器のもれインダクタンスLx1〜Lxnに印加される電圧が変化し、各変換器の入力電流Ic1〜Icnを調整することができる。また、多重化により、その合成入力電流Icは、極めて歪みの少ない波形に制御できる。
電源電圧Vsに対する各変換器の出力電圧Vc1〜Vcnの位相角φを遅れ方向に増加させることにより、交流電源から供給される有効電力Psが増加する。逆に位相角φを進み方向に増やすと、有効電力Psが交流電源に回生される。
n台の電圧形自励式電力変換器を一定のパルスパターンで制御する場合、合成入力電流Icの高調波成分が小さくなるようにスイッチングパターンを決めるが、変換器力率が1に近いため、各変換器の入力電流Ic1〜Icnのゼロ点付近でスイッチングが行われ、n台の電圧形自励式電力変換器を構成する自己消弧素子のしゃ断電流は小さくて済む。これにより、入力電流Icの高調波成分が小さく、電力回生が可能で、高力率・高効率で、低コストの電力変換装置を提供できる。
n台の電圧形自励式電力変換器は、各直流平滑コンデンサCd1〜Cdnに印加される電圧Vd1〜Vdnがほぼ一定になるように制御する。その結果、その和電圧Vdo=Vd1+Vd2+…+Vdnが一定に制御される。これにより、直流出力電圧の高圧化を図ることができ、入力電流Isの高調波成分が小さく、電力回生が可能で、高力率・高効率で、低コストの電力変換装置を提供できる。
本発明に係る電力変換装置(請求項13)は、交流電源に変圧器及び/又は交流リアクトルを介して電力用ダイオード整流器と、この電力用ダイオード整流器にリカバリー電流抑制用リアクトルを介して交流側端子が接続された電圧形自励式電力変換器と、この電圧形自励式電力変換器と前記電力用ダイオード整流器の直流側共通端子に接続した直流平滑コンデンサと、この直流平滑コンデンサに開閉器を介して並列接続された抵抗装置とを備え、前記直流平滑コンデンサに並列接続された負荷装置への力行電力の供給及び/又は前記負荷装置からの回生電力の蓄積を行う電力変換装置において、
前記電圧形自励式電力変換器を、前記交流電源の周波数に同期した一定のパルスパターンで動作させ、前記電源電圧に対する位相角を調整することにより入力電流を制御し、かつ、前記直流平滑コンデンサに印加される電圧が指令値に一致するように制御する制御手段を具備したことを特徴とする。
本発明は、電力用ダイオード整流器と電圧形自励式電力変換器及び抵抗装置を組み合わせることにより、回生運転時の自励式電力変換器の容量低減を図り、かつ、力行運転の過負荷耐量を大きくする。
力行運転時は、大部分の電流が電力用ダイオード整流器に流れるように制御されるため、過負荷耐量を大きくできる。リカバリー電流抑制リアクトルは、電圧形自励式電力変換器の自己消弧素子がオンしたときに電力用ダイオード整流器の各ダイオードに過大なリカバリー電流が流れ込むのを抑える役目をする。
一方、回生運転時は、大部分の電流が電圧形自励式電力変換器の自己消弧素子に流れる。しかし、前記開閉器を前記負荷装置からの回生電力が設定値を超えた場合に投入することにより、前記抵抗装置を前記直流平滑コンデンサに並列接続する。これにより、前記電圧形自励式電力変換器が回生する電力が小さくなり、変換器容量が低減される。
電圧形自励式電力変換器は、交流電源の周波数に同期した一定のパルスパターン(1パルス,3パルス,5パルス等)で動作し、その交流側出力電圧Vcの電源電圧Vsに対する位相角φを制御することにより、入力電流Icを制御する。
パルスパターンを固定すると、直流電圧Vdが一定ならば、電圧Vcの振幅値は一定になる。この状態で、電源電圧Vsに対する出力電圧Vcの位相角φを変えることにより、交流リアクトルに(又は変圧器のもれインダクタンス)に印加される電圧(Vs−Vc)が変化し、入力電流Ic=(Vs−Vc)/(jω・Ls)を調整することができる。
電源電圧Vsに対する出力電圧Vcの位相角φを遅れ方向に増加させることにより、交流電源から供給される有効電力Psが増加する。逆に位相角φを進み方向に増やすと、有効電力Psが交流電源に回生される。
ちなみに、位相角φ=0では、有効電力の授受はない。入力電流Icの位相角は、電源電圧Vsに対し、φ/2又は、π−φ/2となり、入力力率は、cos(φ/2)となる。また、入力電流Icと電圧形自励式電力変換器の交流出力電圧Vcとの位相差は、−φ/2又は、π+φ/2となり、変換器力率は、cos(φ/2)となる。位相角φは、入力電流Icと交流リアクトルの値に依存する。位相角φは、過負荷運転時でも高々φ=30°程度で、力率はcos15°=0.966となる。
電圧形自励式電力変換器を一定のパルスパターンで制御する場合、入力電流Icの高調波成分が小さくなるようにスイッチングパターンを決めるが、上記のように変換器力率が1に近いため、電流Icのゼロ点付近でスイッチングが行われ、電圧形自励式電力変換器を構成する自己消弧素子の遮断電流は小さくて済む。
また、電圧形自励式電力変換器の交流側出力電圧の波高値を一定にして位相角φだけを制御するため、変換器の電圧利用率(交流出力電圧の実効値/直流電圧)が高くできる。すなわち、変圧器の2次電圧を高くできるため、出力容量が同じならば、変換器の電流容量を小さくでき、自己消弧素子の電流容量の小さいもので済む。
回生運転時も電源力率はほぼ1に制御され、同様に自己消弧素子のスイッチングを入力電流Icのゼロクロス付近で行うことにより、素子のしゃ断電流は小さく抑えることができる。故に、スイッチング損失は大幅に軽減され、しゃ断電流の小さい自己消弧素子で電圧形自励式電力変換器を構成できるようになり、経済的な装置を提供できる。
本発明に係る電力変換装置(請求項17)は、3相交流電源に1次巻線が接続され、適宜の位相差を持たせたn組の2次巻線を有する3相変圧器と、この3相変圧器の各々の2次巻線に交流側端子が接続されたn台の電力用ダイオード整流器と、この電力用ダイオード整流器のそれぞれの交流側端子にリカバリー電流抑制用リアクトルを介して交流側端子が接続されたn台の電圧形自励式電力変換器と、これらn台の電圧形自励式電力変換器と前記n台の電力用ダイオード整流器の直流側共通端子に接続された直流平滑コンデンサと、この直流平滑コンデンサに開閉器を介して並列接続された抵抗装置とを備え、前記直流平滑コンデンサに並列接続された負荷装置への力行電力の供給及び/又は前記負荷装置からの回生電力の蓄積を行う電力変換装置において、
前記n台の電圧形自励式電力変換器を、前記交流電源の周波数に同期した一定のパルスパターンで動作させ、前記交流電源の電圧に対する位相角を調整することにより交流入力電流を制御し、前記直流平滑コンデンサに印加される電圧を制御する制御手段を具備することを特徴とする。
本発明は、電力用ダイオード整流器と電圧形自励式電力変換器を組み合わせた電力変換装置をn台用意し、適宜の位相差を持たせたn組の2次巻線を有する3相変圧器を用いて、並列多重運転するように構成したもので、変換装置の大容量化と、交流電源から供給される入力電流Icの高調波成分の低減を図ることができる。また、抵抗装置と組み合わせることにより、回生運転時の前記n台の自励式電力変換器の容量低減を図ることが可能となる。
n台の電圧形自励式電力変換器は、一定のパルスパターンで動作し、交流電源の電圧Vsに同期したスイッチングを行う。直流電圧Vdが一定ならば、n台の電圧形自励式電力変換器の交流出力電圧Vc1〜Vcnの振幅値は一定になる。この状態で、電源電圧Vsに対する出力電圧Vc1〜Vcnの位相角φを変えることより、n台の変圧器のもれインダクタンスLx1〜Lxnに印加される電圧が変化し、入力電流Ic1〜Icnを調整することができる。また、多重化により、その合成電流Ic=Ic1+Ic2+…Icnは、極めて歪みの少ない波形に制御できる。
電源電圧Vsに対する各変換器の出力電圧Vc1〜Vcnの位相角φを遅れ方向に増加させることにより、交流電源から供給される有効電力Psが増加する。逆に位相角φを進み方向に増やすと、有効電力Psが交流電源に回生される。
n台の電圧形自励式電力変換器を一定のパルスパターンで制御する場合、入力電流Ic1〜Icnの高調波成分が小さくなるようにスイッチングパターンを決めるが、変換器力率が1に近いため、電流Icのゼロ点付近でスイッチングが行われ、n台の電圧形自励式電力変換器を構成する自己消弧素子のしゃ断電流は小さくて済む。これにより、入力電流Icの高調波成分が小さく、電力回生が可能で、高力率・高効率で、低コストの電力変換装置を提供できる。
また、前記開閉器を前記負荷装置からの回生電力が設定値を超えた場合に投入することにより、前記抵抗装置を前記直流平滑コンデンサに並列接続する。これにより、前記n台の電圧形自励式電力変換器が回生する電力が小さくなり、変換器容量が低減される。さらに、従来は抵抗装置に電力を消費させる場合、その消費電力を制御するために大容量の抵抗チョッパ装置が必要とされたが、本発明によれば、抵抗装置を開放/投入するだけの開閉器を設置すればよく、非常に安価な装置で、回生失効の防止と、変換器容量の低減を達成できる。
本発明に係る電力変換装置(請求項18)は、3相交流電源に1次巻線が接続され、各2次巻線の出力電圧が適宜の位相差を持つように構成したn台の3相変圧器と、これら3相変圧器の各々の2次巻線に交流側端子が接続されたn台の電力用ダイオード整流器と、これら電力用ダイオード整流器のそれぞれの交流側端子にリカバリー電流抑制用リアクトルを介して交流側端子が接続されたn台の電圧形自励式電力変換器と、これらn台の電圧形自励式電力変換器と前記n台の電力用ダイオード整流器の直流側共通端子に接続された直流平滑と、この直流平滑コンデンサに開閉器を介して並列接続された抵抗装置とを備え、前記直流平滑コンデンサに並列接続された負荷装置への力行電力の供給及び/又は前記負荷装置からの回生電力の蓄積を行う電力変換装置において、
前記n台の電圧形自励式電力変換器を、前記交流電源の周波数に同期した一定のパルスパターンで動作させ、前記交流電源の電圧Vに対する位相角を調整することにより、交流入力電流を制御し、前記直流平滑コンデンサに印加される電圧を制御したことを特徴とする。
n台の電圧形自励式電力変換器を並列多重運転する場合、当該変換器間に横流が流れる。この横流の大きさは、直流電圧Vdの値と前記n台の変圧器のもれインダクタンス値Lx1〜Lxnによってほぼ決定される。
請求項17のように、1台の変圧器に複数の2次巻線を設けて、それぞれに電圧形自励式電力変換器を接続する並列多重運転では、変換器間の横流を抑制するのは、2次側のもれインダクタンス値が関係する。しかし、変圧器のもれインダクタンス値を2次側だけ大きくするのは難しく、コストも高くなる。変圧器の2次側に外部交流リアクトルLsを挿入することにより、横流を抑制することができるが、当該外部リアクトルの分だけコストは高くなってしまう。
本発明のように、各変換器毎に、変圧器を分けることにより、各変圧器の1次と2次のもれインダクタンス値の和が横流を抑制する作用を果たし、外部リアクトルLs無しで、横流を十分小さな値に抑えることが可能となる。
n台の電圧形自励式電力変換器は、一定のパルスパターンで動作し、交流電源の電圧Vsに同期したスイッチングを行う。直流電圧Vdが一定ならば、n台の電圧形自励式電力変換器の交流出力電圧Vc1〜Vcnの振幅値は一定になる。この状態で、電源電圧Vsに対する出力電圧Vc1〜Vcnの位相角φを変えることより、n台の変圧器のもれインダクタンスLx1〜Lxnに印加される電圧が変化し、入力電流Ic1〜Icnを調整することができる。また、多重化により、その合成電流Ic=Ic1+Ic2+…Icnは、極めて歪みの少ない波形に制御できる。
電源電圧Vsに対する各変換器の出力電圧Vc1〜Vcnの位相角φを遅れ方向に増加させることにより、交流電源から供給される有効電力Psが増加する。逆に位相角φを進み方向に増やすと、有効電力Psが交流電源に回生される。
n台の電圧形自励式電力変換器を一定のパルスパターンで制御する場合、入力電流Ic1〜Icnの高調波成分が小さくなるようにスイッチングパターンを決めるが、変換器力率が1に近いため、電流Icのゼロ点付近でスイッチングが行われ、n台の電圧形自励式電力変換器を構成する自己消弧素子のしゃ断電流は小さくて済む。これにより、入力電流Icの高調波成分が小さく、電力回生が可能で、高力率・高効率で、低コストの電力変換装置を提供できる。
また、前記開閉器を前記負荷装置からの回生電力が設定値を超えた場合に投入することにより、前記抵抗装置を前記直流平滑コンデンサに並列接続する。これにより、前記n台の電圧形自励式電力変換器が回生する電力が小さくなり、変換器容量が低減される。さらに、従来は抵抗装置に電力を消費させる場合、その消費電力を制御するために大容量の抵抗チョッパ装置が必要とされたが、本発明によれば、抵抗装置Rを開放/投入するだけの開閉器を設置すればよく、非常に安価な装置で、回生失効の防止と、自励式電力変換器容量の低減を達成できる。
本発明に係る電力変換装置(請求項19)は、3相交流電源に対し、1次巻線が各相毎に直列接続され、2次巻線の出力電圧が適宜の位相差を持つように構成されたn台の3相変圧器と、これらn台の3相変圧器の各々の2次巻線に交流側端子が接続されたn台の電力用ダイオード整流器と、これら電力用ダイオード整流器のそれぞれの交流側端子にリカバリー電流抑制用リアクトルを介して交流側端子が接続されたn台の3相ブリッジ結線の電圧形自励式電力変換器と、これらn台の電圧形自励式電力変換器と前記n台の電力用ダイオード整流器の直流側共通端子に接続された直流平滑コンデンサと、当該直流平滑コンデンサに開閉器を介して並列接続された抵抗装置とを備え、前記直流平滑コンデンサに並列接続された負荷装置への力行電力の供給及び/又は前記負荷装置からの回生電力の蓄積を行う電力変換装置において、
前記n台の電圧形自励式電力変換器を、前記交流電源の周波数に同期した一定のパルスパターンで動作させ、前記交流電源の電圧に対する位相角を調整することにより交流入力電流を制御し、前記直流平滑コンデンサに印加される電圧を制御する制御手段を具備したことを特徴とする。
n台の電圧形自励式電力変換器は、一定のパルスパターンで動作し、交流電源の電圧Vsに同期したスイッチングを行う。直流電圧Vdが一定ならば、n台の電圧形自励式電力変換器の交流出力電圧Vc1〜Vcnの振幅値は一定になる。この状態で、電源電圧Vsに対する各変換器出力電圧の和Vc=Vc1+Vc2+…Vcnの位相角φを変えることより、n台の変圧器のもれインダクタンスの和Lxo=Lx1+Lx2+…Lxnに印加される電圧が変化し、入力電流Icを調整することができる。また、多重化により、その入力電流Icは、極めて歪みの少ない波形に制御できる。
電源電圧Vsに対する各変換器の出力電圧の和Vc=Vc1+Vc2+…Vcnの位相角φを遅れ方向に増加させることにより、交流電源から供給される有効電力Psが増加する。逆に位相角φを進み方向に増やすと、有効電力Psが交流電源に回生される。
本発明は、電力用ダイオード整流器と電圧形自励式電力変換器をn台用意し、1次巻線を直列接続し、適宜の位相差を持たせた2次巻線を有するn台の3相変圧器を用いて、直列多重運転するように構成したもので、変換装置の大容量化と、交流電源から供給される入力電流Icの高調波成分の低減を図ることができる。特に、直列多重運転により各変換器の交流側入力電流のリプルが小さくなり、n台の電圧形自励式電力変換器の自己消弧素子の最大遮断電流を小さくできる利点がある。また、変換器間に横流が流れないので、従来の交流リアクトルを省略することが可能となる。これにより、過負荷耐量に優れ、電力回生が可能な、高効率・低コストの大容量電力変換装置を提供することができる。
また、前記開閉器を前記負荷装置からの回生電力が設定値を超えた場合に投入することにより、前記抵抗装置を前記直流平滑コンデンサに並列接続する。これにより、前記n台の電圧形自励式電力変換器が回生する電力が小さくなり、変換器容量が低減される。さらに、従来は抵抗装置に電力を消費させる場合、その消費電力を制御するために大容量の抵抗チョッパ装置が必要とされたが、本発明によれば、抵抗装置を開放/投入するだけの開閉器を設置すればよく、非常に安価な装置で、回生失効の防止と、自励式電力変換器容量の低減を達成できる。
本発明に係る電力変換装置(請求項20)は、3相交流電源に1次巻線が接続され、適宜の位相差を持たせたn組の2次巻線を有する3相変圧器と、この3相変圧器の各々の2次巻線に交流側端子が接続されたn台の電力用ダイオード整流器と、これら電力用ダイオード整流器のそれぞれの交流側端子にリカバリー電流抑制用リアクトルを介して交流側端子が接続されたn台の電圧形自励式電力変換器と、これらn台の電圧形自励式電力変換器と前記n台の電力用ダイオード整流器の直流側端子のそれぞれに接続されたn個の直流平滑コンデンサと、これらn個の直流平滑コンデンサを直列接続し、その直列接続した両端に開閉器を介して並列接続された抵抗装置とを備え、前記n個の直流平滑コンデンサを直列接続した両端に接続されたに負荷装置への力行電力の供給及び/又は前記負荷装置からの回生電力の蓄積を行う電力変換装置において、
前記n台の電圧形自励式電力変換器を、前記交流電源の周波数に同期した一定のパルスパターンで動作させ、前記交流電源の電圧に対する位相角を調整することにより各電圧形自励式電力変換器の入力電流を制御し、前記n個の直流平滑コンデンサに印加される電圧を制御する制御手段を具備したことを特徴とする。
本発明は、電力用ダイオード整流器と電圧形自励式電力変換器をn台用意し、適宜の位相差を持たせたn組の2次巻線を有する3相変圧器を用いて、交流側で並列多重運転し、直流側で直列接続するように構成したもので、変換装置の大容量化と、直流出力電圧Vdの高圧化、及び交流電源から供給される入力電流Icの高調波成分の低減を図ることができる。また、抵抗装置と組み合わせて運転することにより、回生運転時の前記n台の電圧形自励式電力変換器の容量低減を図ることが可能となる。
n台の電圧形自励式電力変換器は、一定のパルスパターンで、交流電源の電圧Vsに同期したスイッチングを行う。直流電圧Vdが一定ならば、n台の電圧形自励式電力変換器の交流出力電圧Vc1〜Vcnの振幅値は一定になる。この状態で、電源電圧Vsに対する出力電圧Vc1〜Vcnの位相角φを変えることより、n台の交流リアクトル(又は、変圧器のもれインダクタンス)に印加される電圧が変化し、各電圧形自励式電力変換器の入力電流Ic1〜Icnを調整することができる。n台の電圧形自励式電力変換器を一定のパルスパターンで制御する場合、入力電流Icの高調波成分が小さくなるようにスイッチングパターンを決めるが、変換器力率が1に近いところで動作させることにより、電流Icのゼロ点付近でスイッチングが行われ、n台の電圧形自励式電力変換器を構成する自己消弧素子のしゃ断電流を小さくすることができる。
電源電圧Vsに対する各変換器の出力電圧Vc1〜Vcnの位相角φを遅れ方向に増加させることにより、交流電源から供給される有効電力Psが増加する。逆に位相角φを進み方向に増やすと、有効電力Psが交流電源に回生される。
n台の電圧形自励式電力変換器は、各直流平滑コンデンサCd1〜Cdnに印加される電圧Vd1〜Vdnがほぼ一定になるように制御する。その結果、その和電圧Vdo=Vd1+Vd2+…+Vdnが一定に制御される。これにより、直流出力電圧の高圧化を図ることができ、入力電流Icの高調波成分が小さく、電力回生が可能で、高力率・高効率で、低コストの電力変換装置を提供できる。
力行運転時は、大部分の電流がn台の電力用ダイオード整流器を介して流れるため、過負荷耐量が大きくできる。また、回生運転時は、大部分の電流が自励式電力変換器の自己消弧素子を介して流れるが、変換器力率が1に近いところで動作するため、電流Icのゼロ点付近でスイッチングが行われ、n台の電圧形自励式電力変換器を構成する自己消弧素子のしゃ断電流を小さくすることができる。
また、前記開閉器を前記負荷装置からの回生電力が設定値を超えた場合に投入することにより、前記抵抗装置を前記直流平滑コンデンサに並列接続する。これにより、前記n台の電圧形自励式電力変換器が回生する電力が小さくなり、変換器容量が低減される。さらに、従来は抵抗装置に電力を消費させる場合、その消費電力を制御するために大容量の抵抗チョッパ装置が必要とされたが、本実施形態の装置によれば、抵抗装置を開放/投入するだけの開閉器を設置すればよく、非常に安価な装置で、回生失効の防止と、自励式電力変換器容量の低減を達成できる。
本発明に係る電力変換装置(請求項21)は、3相交流電源に1次巻線が接続され、各2次巻線の出力電圧が適宜の位相差を持つように構成したn台の3相変圧器と、これらn台の3相変圧器の各々の2次巻線に交流側端子が接続されたn台の電力用ダイオード整流器と、これら電力用ダイオード整流器のそれぞれの交流側端子にリカバリー電流抑制用リアクトルを介して交流側端子が接続されたn台の電圧形自励式電力変換器と、これらn台の電圧形自励式電力変換器と前記n台の電力用ダイオード整流器の直流側端子のそれぞれに接続されたn個の直流平滑コンデンサと、これらn個の直流平滑コンデンサを直列接続し、その直列接続した両端に開閉器を介して並列接続された抵抗装置とを備え、前記n個の直流平滑コンデンサを直列接続した両端に接続されたに負荷装置への力行電力の供給及び/又は前記負荷装置からの回生電力の蓄積を行う電力変換装置において、
前記n台の電圧形自励式電力変換器を、前記交流電源の周波数に同期した一定のパルスパターンで動作させ、前記交流電源の電圧に対する位相角を調整することにより前記電圧形自励式電力変換器それぞれの入力電流を制御し、前記直流平滑コンデンサそれぞれに印加される電圧を制御する制御手段を具備したことを特徴とする。
本発明は、電圧形自励式電力変換器をn台用意し、各2次巻線の出力電圧が適宜の位相差を持つように構成したn台の3相変圧器を用いて、交流側で並列多重運転し、直流側で直列接続するように構成したもので、変換装置の大容量化と、直流出力電圧Vdの高圧化、及び交流電源から供給される入力電流Icの高調波成分の低減を図ることができる。特に、各変換器毎に変圧器を設けることにより、並列多重運転で流れる横流を低減することができる。
n台の電圧形自励式電力変換器を並列多重運転する場合、当該変換器間に横流が流れる。この横流の大きさは、直流電圧Vdの値と前記n台の変圧器のもれインダクタンス値Lx1〜Lxnによってほぼ決定される。
さきの請求項20のように、1台の変圧器に複数の2次巻線を設けて、それぞれに電圧形自励式電力変換器を接続する並列多重運転では、変換器間の横流を抑制するのは、2次側のもれインダクタンス値が関係する。しかし、変圧器のもれインダクタンス値を2次側だけ大きくするのは難しく、コストも高くなる。変圧器の2次側に外部交流リアクトルを挿入することにより、横流を抑制することができるが、当該外部リアクトルの分だけコストは高くなってしまう。
本発明のように、各変換器毎に、変圧器を分けることにより、各変圧器の1次と2次のもれインダクタンス値の和が横流を抑制する作用を果たし、外部リアクトル無しで、横流を十分小さな値に抑えることが可能となる。
本発明に係る電力変換装置(請求項25)は、交流電源に変圧器及び/又は交流リアクトルを介して接続された電力用ダイオード整流器と、この電力用ダイオード整流器にリカバリー電流抑制用リアクトルを介して交流側端子が接続された電圧形自励式電力変換器と、この電圧形自励式電力変換器と前記電力用ダイオード整流器の直流側共通端子に接続した直流平滑コンデンサと、この直流平滑コンデンサに双方向チョッパを介して並列接続されたエネルギー蓄積装置と、前記直流平滑コンデンサに開閉器を介して並列接続された抵抗装置とを備え、前記直流平滑コンデンサに並列接続された負荷装置への力行電力の供給及び/又は前記負荷装置からの回生電力の蓄積を行う電力変換装置において、
前記電圧形自励式電力変換器を、前記交流電源の周波数に同期した一定のパルスパターンで動作させ、前記電源電圧に対する位相角を調整することにより入力電流を制御し、かつ、前記直流平滑コンデンサに印加される電圧が指令値に一致するように制御する制御手段を具備したことを特徴とする。
本発明は、電力用ダイオード整流器と電圧形自励式電力変換器と、エネルギー蓄積装置、及び抵抗装置を組み合わせた電力変換装置で、力行運転での過負荷耐量を大きくし、回生運転時のエネルギー蓄積装置の容量低減と、自励式電力変換器容量の低減を図るものである。
電圧形自励式電力変換器は、交流電源の周波数に同期した一定のパルスパターン(1パルス,3パルス,5パルス等)で動作し、その交流側出力電圧Vcの電源電圧Vsに対する位相角φを制御することにより、入力電流Icを制御する。
電圧形自励式電力変換器を一定のパルスパターンで制御する場合、入力電流Icの高調波成分が小さくなるようにスイッチングパターンを決めるが、上記のように変換器力率が1に近いため、電流Icのゼロ点付近でスイッチングが行われ、電圧形自励式電力変換器を構成する自己消弧素子の遮断電流は小さくて済む。
また、電圧形自励式電力変換器の交流側出力電圧の波高値を一定にして位相角φだけを制御するため、変換器の電圧利用率(交流出力電圧の実効値/直流電圧)が高くできる。すなわち、変圧器の2次電圧を高くできるため、出力容量が同じならば、変換器の電流容量を小さくでき、自己消弧素子の電流容量の小さいもので済む。
回生運転時も電源力率はほぼ1に制御され、同様に自己消弧素子のスイッチングを入力電流Icのゼロクロス付近で行うことにより、素子のしゃ断電流は小さく抑えることができる。故に、スイッチング損失は大幅に軽減され、しゃ断電流の小さい自己消弧素子で電圧形自励式電力変換器を構成できるようになり、経済的な装置を提供できる。これにより、電力回生が可能で、高力率・高効率で、低コストの電力変換装置を提供できる。
本発明に係る電力変換装置(請求項29)は、3相交流電源に1次巻線が接続され、適宜の位相差を持たせたn組の2次巻線を有する3相変圧器と、この3相変圧器の各々の2次巻線に交流側端子が接続されたn台の電力用ダイオード整流器と、これら電力用ダイオード整流器のそれぞれの交流側端子にリカバリー電流抑制用リアクトルを介して交流側端子が接続されたn台の電圧形自励式電力変換器と、これらn台の電圧形自励式電力変換器と前記n台の電力用ダイオード整流器の直流側共通端子に接続された直流平滑コンデンサと、この直流平滑コンデンサに双方向チョッパを介して並列接続されたエネルギー蓄積装置と、前記直流平滑コンデンサに開閉器を介して並列接続された抵抗装置とを備え、前記直流平滑コンデンサに並列接続された負荷装置への力行電力の供給及び/又は前記負荷装置からの回生電力の蓄積を行う電力変換装置において、
前記n台の電圧形自励式電力変換器を、前記交流電源の周波数に同期した一定のパルスパターンで動作させ、前記交流電源の電圧に対する位相角を調整することにより交流入力電流を制御し、前記直流平滑コンデンサに印加される電圧を制御する制御手段を具備することを特徴とする。
本発明は、電力用ダイオード整流器と電圧形自励式電力変換器をn台用意し、適宜の位相差を持たせたn組の2次巻線を有する3相変圧器を用いて、並列多重運転するように構成したもので、変換装置の大容量化と、交流電源から供給される入力電流Icの高調波成分の低減を図ることができる。また、エネルギー蓄積装置及び抵抗装置と組み合わせて運転することにより、回生エネルギーの有効利用と、エネルギー蓄積装置の容量低減、及び自励式電力変換器容量の低減を図ることが可能となる。
n台の電圧形自励式電力変換器は、一定のパルスパターンで動作し、交流電源の電圧Vsに同期したスイッチングを行う。直流電圧Vdが一定ならば、n台の電圧形自励式電力変換器の交流出力電圧Vc1〜Vcnの振幅値は一定になる。この状態で、電源電圧Vsに対する出力電圧Vc1〜Vcnの位相角φを変えることより、変圧器のもれインダクタンスLx1〜Lxnに印加される電圧が変化し、入力電流Is1〜Icnを調整することができる。また、多重化により、その合成電流Ic=Ic1+Ic2+…Icnは、極めて歪みの少ない波形に制御できる。
電源電圧Vsに対する各変換器の出力電圧Vc1〜Vcnの位相角φを遅れ方向に増加させることにより、交流電源から供給される有効電力Psが増加する。逆に位相角φを進み方向に増やすと、有効電力Psが交流電源に回生される。
n台の電圧形自励式電力変換器を一定のパルスパターンで制御する場合、入力電流Ic1〜Icnの高調波成分が小さくなるようにスイッチングパターンを決めるが、変換器力率が1に近いため、電流Icのゼロ点付近でスイッチングが行われ、n台の電圧形自励式電力変換器を構成する自己消弧素子のしゃ断電流は小さくて済む。これにより、入力電流Icの高調波成分が小さく、電力回生が可能で、高力率・高効率で、低コストの電力変換装置を提供できる。
また、エネルギー蓄積装置は、前記負荷装置からの回生電力が第1の設定値を超えた場合にその超過エネルギーを吸収するように双方向チョッパを制御する。すなわち、回生エネルギーの一部を吸収・蓄積し、力行運転時に蓄積されたエネルギーを放出する。これにより、前記n台の電圧形自励式電力変換器が授受する電力が小さくなり、変換器容量が低減される。また、回生エネルギーの有効利用が可能となる。
電気鉄道の変電所などでは、回生インバータにより電力を回生した場合、その電力はもっぱら所内の負荷に供給する。その所内負荷以上の電力を回生した場合には、余った電力を系統にもどすが、契約上、電気料金には反映されない。
そのため、所内負荷が定常的に消費する電力を回生するのが最良の運用方法となる。しかし、回生車両からくる電力は一定ではなく、常に変化しており、回生電力を制限してしまうと、直流き電電圧が上がって回生失効に至る。そこで、前記エネルギー蓄積装置は、前記負荷装置からの回生電力が第1の設定値を超えた場合にその超過エネルギーを吸収するように双方向チョッパを制御する。これにより、n台の電圧形自励式電力変換器が授受する電力は前記第1の設定値に抑えられ、しかも、その設定値を所内負荷の電力程度にすることにより、電気料金を効率的に節約することができる。
回生電車からの回生電力がさらに大きくなり、第2の設定値P2を超えた場合には、前記抵抗装置の開閉器を投入し、回生電力の一部を消費させる。これにより、エネルギー蓄積装置の電力を授受する双方向チョッパの容量を抑えることができ、かつ、エネルギー蓄積装置そのものの容量も低減することが可能となる。これにより、全体システムのコストを低減でき、経済的な電力変換装置を提供できる。また、この抵抗装置を動作させる時間はわずかであり、短時間定格で設計された抵抗装置を用意すればよく、装置の小型軽量化を図ることができる。
本発明によれば、余った回生電力を一旦エネルギー蓄積装置に蓄えることにより、回生失効を防止し、かつ、所内負荷に必要な電力だけをn台の電圧形自励式電力変換器から供給できる。さらに、エネルギー蓄積装置に蓄えたエネルギーをn台の電圧形自励式電力変換器により、徐々に所内負荷に供給でき、次の回生までにできるだけ多くエネルギーを放出することにより、エネルギー蓄積装置の容量を低減することが可能となる。当然のことながら、当該蓄積エネルギーは力行車両への供給電力としても有効利用が可能となる。また、回生電力が一時的に増加した場合には、抵抗装置に回生電力の一部を消費させることにより、前記双方向チョッパやエネルギー蓄積装置の容量を抑えることができる。これにより、小さな容量のn台の電圧形自励式電力変換器と、小さな容量の双方向チョッパと、小さな容量のエネルギー蓄積装置で、回生失効を防止とエネルギーの有効利用ができる経済的な電力変換装置を提供することが可能となる。
本発明に係る電力変換装置(請求項30)は、3相交流電源に1次巻線が接続され、各2次巻線の出力電圧が適宜の位相差を持つように構成したn台の3相変圧器と、これら3相変圧器の各々の2次巻線に交流側端子が接続されたn台の電力用ダイオード整流器と、これら電力用ダイオード整流器のそれぞれの交流側端子にリカバリー電流抑制用リアクトルを介して交流側端子が接続されたn台の電圧形自励式電力変換器と、これらn台の電圧形自励式電力変換器と前記n台の電力用ダイオード整流器の直流側共通端子に接続された直流平滑コンデンサと、この直流平滑コンデンサに双方向チョッパを介して並列接続されたエネルギー蓄積装置と、前記直流平滑コンデンサに開閉器を介して並列接続された抵抗装置とを備え、前記直流平滑コンデンサに並列接続された負荷装置への力行電力の供給及び/又は前記負荷装置からの回生電力の蓄積を行う電力変換装置において、
前記n台の電圧形自励式電力変換器を、前記交流電源の周波数に同期した一定のパルスパターンで動作させ、前記交流電源の電圧に対する位相角を調整することにより交流入力電流を制御し、前記直流平滑コンデンサに印加される電圧を制御する制御手段を具備したことを特徴とする。
本発明は、電力用ダイオード整流器と電圧形自励式電力変換器をn台用意し、各2次巻線の出力電圧が適宜の位相差を持つように構成したn台の3相変圧器を用いて、並列多重運転するように構成したもので、変換装置の大容量化と、交流電源から供給される入力電流Icの高調波成分の低減を図ることができる。特に、各変換器毎に変圧器を設けることにより、並列多重運転で流れる横流を低減することができる。また、エネルギー蓄積装置及び抵抗装置と組み合わせて運転することにより、回生エネルギーの有効利用と、エネルギー蓄積装置の容量低減、及び自励式電力変換器容量の低減を図ることが可能となる。
n台の電圧形自励式電力変換器を並列多重運転する場合、当該変換器間に横流が流れる。この横流の大きさは、直流電圧Vdの値と前記n台の変圧器のもれインダクタンス値Lx1〜Lxnによってほぼ決定される。
請求項29のように、1台の変圧器に複数の2次巻線を設けて、それぞれに電圧形自励式電力変換器を接続する並列多重運転では、変換器間の横流を抑制するのは、2次側のもれインダクタンス値が関係する。しかし、変圧器のもれインダクタンス値を2次側だけ大きくするのは難しく、コストも高くなる。変圧器の2次側に外部交流リアクトルを挿入することにより、横流を抑制することができるが、当該外部リアクトルの分だけコストは高くなってしまう。
本発明のように、各変換器毎に、変圧器を分けることにより、各変圧器の1次と2次のもれインダクタンス値の和が横流を抑制する作用を果たし、外部リアクトルLs無しで、横流を十分小さな値に抑えることが可能となる。
電源電圧Vsに対する各変換器の出力電圧Vc1〜Vcnの位相角φを遅れ方向に増加させることにより、交流電源から供給される有効電力Psが増加する。逆に位相角φを進み方向に増やすと、有効電力Psが交流電源に回生される。
電圧形自励式電力変換器を一定のパルスパターンで制御する場合、入力電流Ic1〜Icnの高調波成分が小さくなるようにスイッチングパターンを決めるが、変換器力率が1に近いため、電流Icのゼロ点付近でスイッチングが行われ、n台の電圧形自励式電力変換器を構成する自己消弧素子のしゃ断電流は小さくて済む。これにより、入力電流Icの高調波成分が小さく、電力回生が可能で、高力率・高効率で、低コストの電力変換装置を提供できる。
本発明に係る電力変換装置(請求項31)は、3相交流電源に対し、1次巻線が各相毎に直列接続され、2次巻線の出力電圧が適宜の位相差を持つように構成されたn台の3相変圧器と、これらn台の3相変圧器の各々の2次巻線に交流側端子が接続されたn台の電力用ダイオード整流器と、これら電力用ダイオード整流器のそれぞれの交流側端子にリカバリー電流抑制用を介して交流側端子が接続されたn台の3相ブリッジ結線の電圧形自励式電力変換器と、これらn台の電圧形自励式電力変換器と前記n台の電力用ダイオード整流器の直流側共通端子に接続された直流平滑コンデンサと、この直流平滑コンデンサに双方向チョッパを介して並列接続されたエネルギー蓄積装置と、前記直流平滑コンデンサに開閉器を介して並列接続された抵抗装置とを備え、前記直流平滑コンデンサに並列接続された負荷装置への力行電力の供給及び/又は前記負荷装置からの回生電力の蓄積を行う電力変換装置において、
前記n台の電圧形自励式電力変換器を、前記交流電源の周波数に同期した一定のパルスパターンで動作させ、前記交流電源の電圧に対する位相角を調整することにより交流入力電流を制御し、前記直流平滑コンデンサに印加される電圧を制御する制御手段を具備したことを特徴とする。
本発明は、電力用ダイオード整流器と電圧形自励式電力変換器をn台用意し、1次巻線を直列接続し、適宜の位相差を持たせた2次巻線を有するn台の3相変圧器を用いて、直列多重運転するように構成したもので、変換装置の大容量化と、交流電源から供給される入力電流Isの高調波成分の低減を図ることができる。特に、直列多重運転により、各変換器に流れる交流側入力電流のリプルを抑制することができ、自己消弧素子の最大遮断電流を小さくできる利点がある。また、変換器間に横流が流れないので、従来の交流リアクトルLsを省略することが可能となる。これにより、過負荷耐量に優れ、電力回生が可能な、高効率・低コストの大容量電力変換装置を提供することができる。
また、エネルギー蓄積装置及び抵抗装置と組み合わせて運転することにより、回生エネルギーの有効利用と、エネルギー蓄積装置の容量低減、及び自励式電力変換器容量の低減を図ることが可能となる。
n台の電圧形自励式電力変換器は、一定のパルスパターンで動作し、交流電源の電圧Vsに同期したスイッチングを行う。直流電圧Vdが一定ならば、電圧形自励式電力変換器の交流出力電圧Vc1〜Vcnの振幅値は一定になる。この状態で、電源電圧Vsに対する各変換器出力電圧の和Vc=Vc1+Vc2+…Vcnの位相角φを変えることより、n台の変圧器のもれインダクタンスの和Lxo=Lx1+Lx2+…Lxnに印加される電圧が変化し、入力電流Isを調整することができる。また、多重化により、その入力電流Icは、極めて歪みの少ない波形に制御できる。
電源電圧Vsに対する各変換器の出力電圧の和Vc=Vc1+Vc2+…Vcnの位相角φを遅れ方向に増加させることにより、交流電源から供給される有効電力Psが増加する。逆に位相角φを進み方向に増やすと、有効電力Psが交流電源に回生される。
エネルギー蓄積装置は、前記負荷装置からの回生電力が第1の設定値を超えた場合にその超過エネルギーを吸収するように双方向チョッパを制御する。すなわち、回生エネルギーの一部を吸収・蓄積し、力行運転時に蓄積されたエネルギーを放出する。これにより、前記n台の電圧形自励式電力変換器が授受する電力が小さくなり、変換器容量が低減される。また、回生エネルギーの有効利用が可能となる。
また、回生電車からの回生電力がさらに大きくなり、第2の設定値P2を超えた場合には、前記抵抗装置の開閉器を投入し、回生電力の一部を消費させる。これにより、エネルギー蓄積装置の電力を授受する双方向チョッパの容量を抑えることができ、かつ、エネルギー蓄積装置そのものの容量も低減することが可能となる。これにより、全体システムのコストを低減でき、経済的な電力変換装置を提供できる。また、この抵抗装置Rを動作させる時間はわずかであり、短時間定格で設計された抵抗装置を用意すればよく、装置の小型軽量化を図ることができる。
本発明に係る電力変換装置(請求項32)は、3相交流電源に1次巻線が接続され、適宜の位相差を持たせたn組の2次巻線を有する3相変圧器と、この3相変圧器の各々の2次巻線に交流側端子が接続されたn台の電力用ダイオード整流器と、これら電力用ダイオード整流器のそれぞれの交流側端子にリカバリー電流抑制用リアクトルを介して交流側端子が接続されたn台の電圧形自励式電力変換器と、これらn台の電圧形自励式電力変換器と前記n台の電力用ダイオード整流器の直流側端子のそれぞれに接続されたn個の直流平滑コンデンサと、これらn個の直流平滑を直列接続し、その直列接続した両端に双方向チョッパを介して並列接続されたエネルギー蓄積装置と、前記n個の直流平滑コンデンサを直列接続した両端に開閉器を介して並列接続された抵抗装置とを備え、前記n個の直流平滑コンデンサを直列接続した両端に接続した負荷装置への力行電力の供給及び/又は前記負荷装置からの回生電力の蓄積を行う電力変換装置において、
前記n台の電圧形自励式電力変換器を、前記交流電源の周波数に同期した一定のパルスパターンで動作させ、前記交流電源の電圧に対する位相角を調整することにより各電圧形自励式電力変換器の入力電流を制御し、前記直流平滑コンデンサそれぞれに印加される電圧を制御する制御手段を具備したことを特徴とする。
本発明は、電力用ダイオード整流器と電圧形自励式電力変換器をn台用意し、適宜の位相差を持たせたn組の2次巻線を有する3相変圧器を用いて、交流側で並列多重運転し、直流側で直列接続するように構成したもので、変換装置の大容量化と、直流出力電圧Vdの高圧化、及び交流電源から供給される入力電流Icの高調波成分の低減を図ることができる。また、エネルギー蓄積装置及び抵抗装置と組み合わせて運転することにより、回生エネルギーの有効利用と、エネルギー蓄積装置の容量低減、及び自励式電力変換器容量の低減を図ることが可能となる。
n台の電圧形自励式電力変換器は、一定のパルスパターンで、交流電源の電圧Vsに同期したスイッチングを行う。直流電圧Vdが一定ならば、n台の電圧形自励式電力変換器の交流出力電圧Vc1〜Vcnの振幅値は一定になる。この状態で、電源電圧Vsに対する出力電圧Vc1〜Vcnの位相角φを変えることより、n台の交流リアクトル(又は、変圧器のもれインダクタンス)に印加される電圧が変化し、各電圧形自励式電力変換器の入力電流Ic1〜Icnを調整することができる。n台の電圧形自励式電力変換器を一定のパルスパターンで制御する場合、入力電流Icの高調波成分が小さくなるようにスイッチングパターンを決めるが、変換器力率が1に近いところで動作させることにより、電流Icのゼロ点付近でスイッチングが行われ、n台の電圧形自励式電力変換器を構成する自己消弧素子のしゃ断電流を小さくすることができる。
電源電圧Vsに対する各変換器の出力電圧Vc1〜Vcnの位相角φを遅れ方向に増加させることにより、交流電源から供給される有効電力Psが増加する。逆に位相角φを進み方向に増やすと、有効電力Psが交流電源に回生される。
n台の電圧形自励式電力変換器は、各直流平滑コンデンサCd1〜Cdnに印加される電圧Vd1〜Vdnがほぼ一定になるように制御する。その結果、その和電圧Vdo=Vd1+Vd2+…+Vdnが一定に制御される。これにより、直流出力電圧の高圧化を図ることができ、入力電流Icの高調波成分が小さく、電力回生が可能で、高力率・高効率で、低コストの電力変換装置を提供できる。
本発明に係る電力変換装置(請求項33)は、3相交流電源に1次巻線が接続され、各2次巻線の出力電圧が適宜の位相差を持つように構成したn台の3相変圧器と、これら3相変圧器の各々の2次巻線に交流側端子が接続されたn台の電力用ダイオード整流器と、これら電力用ダイオード整流器のそれぞれの交流側端子にリカバリー電流抑制用リアクトルを介して交流側端子が接続されたn台の電圧形自励式電力変換器と、前記n台の電圧形自励式電力変換器と前記n台の電力用ダイオード整流器の直流側端子のそれぞれに接続されたn個の直流平滑コンデンサと、これらn個の直流平滑コンデンサを直列接続し、その直列接続した両端に双方向チョッパを介して並列接続されたエネルギー蓄積装置と、前記n個の直流平滑コンデンサを直列接続した両端に開閉器を介して並列接続された抵抗装置とを備え、前記n個の直流平滑コンデンサを直列接続した両端に接続した負荷装置への力行電力の供給及び/又は前記負荷装置からの回生電力の蓄積を行う電力変換装置において、
前記n台の電圧形自励式電力変換器を、前記交流電源の周波数に同期した一定のパルスパターンで動作させ、前記交流電源の電圧に対する位相角を調整することにより前記電圧形自励式電力変換器それぞれの入力電流を制御し、前記直流平滑コンデンサそれぞれに印加される電圧を制御する制御手段を具備したことを特徴とする。
本発明は、電力用ダイオード整流器と電圧形自励式電力変換器をn台用意し、各2次巻線の出力電圧が適宜の位相差を持つように構成したn台の3相変圧器を用いて、交流側で並列多重運転し、直流側で直列接続するように構成したもので、変換装置の大容量化と、直流出力電圧Vdの高圧化、及び交流電源から供給される入力電流Icの高調波成分の低減を図ることができる。特に、各変換器毎に変圧器を設けることにより、並列多重運転で流れる横流を低減することができる。また、エネルギー蓄積装置及び抵抗装置と組み合わせて運転することにより、回生エネルギーの有効利用と、エネルギー蓄積装置の容量低減、及び自励式電力変換器容量の低減を図ることが可能となる。
n台の電圧形自励式電力変換器を並列多重運転する場合、当該変換器間に横流が流れる。この横流の大きさは、直流電圧Vdの値と前記n台の変圧器のもれインダクタンス値Lx1〜Lxnによってほぼ決定される。
請求項32のように、1台の変圧器に複数の2次巻線を設けて、それぞれに電圧形自励式電力変換器を接続する並列多重運転では、変換器間の横流を抑制するのは、2次側のもれインダクタンス値が関係する。しかし、変圧器のもれインダクタンス値を2次側だけ大きくするのは難しく、コストも高くなる。変圧器の2次側に外部交流リアクトルLsを挿入することにより、横流を抑制することができるが、当該外部リアクトルの分だけコストは高くなってしまう。
本発明のように、各変換器毎に、変圧器を分けることにより、各変圧器の1次と2次のもれインダクタンス値の和が横流を抑制する作用を果たし、外部リアクトル無しで、横流を十分小さな値に抑えることが可能となる。
電源電圧Vsに対する各変換器の出力電圧Vc1〜Vcnの位相角φを遅れ方向に増加させることにより、交流電源から供給される有効電力Psが増加する。逆に位相角φを進み方向に増やすと、有効電力Psが交流電源に回生される。
n台の電圧形自励式電力変換器を一定のパルスパターンで制御する場合、合成入力電流Icの高調波成分が小さくなるようにスイッチングパターンを決めるが、変換器力率が1に近いため、各変換器の入力電流Ic1〜Icnのゼロ点付近でスイッチングが行われ、n台の電圧形自励式電力変換器を構成する自己消弧素子のしゃ断電流は小さくて済む。これにより、入力電流Icの高調波成分が小さく、電力回生が可能で、高力率・高効率で、低コストの電力変換装置を提供できる。
n台の電圧形自励式電力変換器は、n台の直流平滑コンデンサに印加されるそれぞれの電圧Vd1〜Vdnがほぼ一定になるように制御する。その結果、その和電圧Vdo=Vd1+Vd2+…+Vdnが一定に制御される。これにより、直流出力電圧の高圧化を図ることができ、入力電流Icの高調波成分が小さく、電力回生が可能で、高力率・高効率で、低コストの電力電力変換装置を提供できる。
以上のように本発明によれば、電力回生可能な電圧形自励式電力変換器と、エネルギー蓄積装置あるいは抵抗器と組み合わせることにより、瞬間的な回生大電力を吸収又は蓄積し、その蓄積エネルギーの有効利用を図るとともに自励式電力変換器の容量低減及びエネルギー蓄積装置の容量低減を図ることが可能な電力変換装置を提供できる。
また、当該自励式電力変換器のスイッチング周波数を高くすることなく入力電流歪みを小さくし、変換器の電圧利用率が高く、スイッチング素子の最大しゃ断電流が小さく、高効率,高力率で電力回生可能な交流/直流電力変換装置を提供することができる。
(第1の実施の形態)(請求項1に対応)
図1に示すように、本実施形態の電力変換装置は、電力用ダイオード整流器RECと電圧形自励式電力変換器CNV及びエネルギー蓄積装置を組み合わせたもので、電車負荷等への電力供給を行うとともに、回生電力を効率良く交流電源SUPにもどし、必要により回生エネルギーを蓄積し、力行運転時に利用するものである。特に、エネルギー蓄積装置EDLCの容量低減を図るとともに、前記電圧形自励式電力変換器CNVの容量低減を図る。
変圧器TRの2次巻線に交流リアクトルLsを介して3相ブリッジ結線された電力用ダイオード整流器RECの交流側端子が接続され、また、当該整流器RECの交流側端子にリカバリ電流抑制リアクトルLaを介して、3相ブリッジ結線された電圧形自励式電力変換器CNVの交流側端子が接続される。なお、交流リアクトルLsは、変圧器TRのもれインダクタンスLxを大きめにすることで省略することもできる。
リカバリ電流抑制リアクトルLaは、電圧形自励式電力変換器CNVの自己消弧素子がオンしたときに電力用ダイオード整流器RECの各ダイオードに過大なリカバリー電流が流れ込むのを抑える役目をする。通常Laは数10μHのインダクタンス値で、交流リアクトルLsと比べると、2桁ぐらい小さいものでよい。
エネルギー蓄積装置EDLCとして、鉛蓄電池や電気二重層キャパシタ等がある。例えば、エネルギー蓄積装置EDLCとして電気二重層キャパシタを使った場合、その蓄積エネルギーは、(1/2)Ce×Ve2となり、印加電圧Veの2乗に比例する。
双方向チョッパCHOは、スイッチング素子Qa,Qbと、還流ダイオードDa,Db及び直流リアクトルLeで構成され、エネルギー蓄積装置EDLCの充放電電流Ieを制御する。負荷装置Loadは、例えば、電車負荷で、力行及び回生運転が行われる。所内負荷AC−Loadは、電鉄変電所内の負荷で、例えば、照明やエアコン等がある。
電圧形自励式電力変換器CNVの制御回路として、直流電圧制御回路AVR,入力電流制御回路ACR1及び位相制御回路PHCなどが用意される。なお、Zは3相電流をdq座標軸の電流に変換する座標変換器である。
また、双方向チョッパCHOの制御回路として、電流指令発生器REF,充放電電流制御回路ACR2,パルス幅変調制御回路PWMが用意されている。
以下、順に本実施形態の装置の動作を説明する。
電圧形自励式電力変換器CNVは、直流平滑コンデンサCdに印加される電圧Vdがほぼ一定になるように、入力電流Icを制御する。すなわち、直流電圧指令値Vd*と直流電圧検出値Vdを比較し、その偏差を増幅して入力電流Icの有効分の指令値Iq*を与える。入力電流Icは座標変換器Zにより、3相/dq軸変換され、そのq軸成分Iqが有効電流検出値となる。電流制御回路ACR1により、電流指令値Iq*と有効電流検出値Iqを比較し、その偏差を増幅して、位相制御回路PHCに位相制御信号φ*を与える。位相制御回路PHCは、電源電圧Vsに対する電圧形自励式電力変換器CNVの交流出力電圧Vcの位相角φを前記指令値に従って制御するもので、位相角φ(遅れ)を大きくすることにより、入力電流Icの有効分Iqが増加し、交流電源SUPから負荷装置Loadに電力が供給される。逆に、位相角φを負(進み)方向に増やすと、入力電流Icの有効分Iqは負の値となり、負荷装置Loadからの回生電力を交流電源SUPにもどすことができる。もちろん、電圧形自励式電力変換器CNVをパルス幅変調制御することにより、直流電圧Vdがほぼ一定になるように入力電流Icを制御することもできる。
図2は、図1の装置の具体的な主回路構成例と、電圧形自励式電力変換器CNVの制御回路ブロック図の実施形態を示す。
図中、SUPは3相交流電源、R,S,Tは当該交流電源SUPの3相端子、TRは変圧器、Lsは交流リアクトル、RECは電力用ダイオード整流器、Laはリカバリ電流抑制リアクトル、CNVは電圧形自励式電力変換器、Cdは直流平滑コンデンサ、CHOは双方向チョッパ、EDLCはエネルギー蓄積装置、Loadは電車負荷を表す。
ダイオード整流器RECは電力用ダイオードPD1〜PD6で構成され、また、電圧形自励式電力変換器CNVは自己消弧素子S1〜S6と、高速ダイオードD1〜D6で構成されている。
双方向チョッパCHOは、スイッチング素子Qa,Qbと、還流ダイオードDa,Db及び直流リアクトルLeで構成され、エネルギー蓄積装置EDLCの充放電電流Ieを制御する。
一方、電圧形自励式電力変換器CNVの制御回路として、比較器C1,C2、加算器AD、電圧制御補償回路Gv(S)、電流制御補償回路Gi(S)、フィードフォワード補償器FF、座標変換回路Z、電源同期位相検出回路PLL、位相制御回路PHCを用意している。
直流平滑コンデンサCdに印加される電圧Vdを検出し、比較器C1により、電圧指令値Vd*と比較する。その偏差εvを電圧制御補償回路Gv(S)により、積分又は比例増幅し、加算器ADに入力する。一方、負荷Loadが消費する直流電流ILを検知し、フィードフォワード補償器FFを介して、加算器ADに入力する。加算器ADの出力Iq*が電源SUPから供給される有効電流の指令値となる。座標変換器Zは、電源SUPから供給される3相入力電流Ic(Ir,Is,It)の検出値をdq軸(直流量)に変換する。座標変換されたq軸電流Iqは有効電流検出値を、d軸電流Idは無効電流検出値を表わす。
比較器C2により、有効電流指令値Iq*と有効電流検出値Iqを比較し、その偏差εiを電流制御補償回路Gi(S)により増幅して、位相角指令値φ*とする。電源同期位相検出回路PLLは3相交流電源電圧に同期した位相信号θr,θs,θtを作り、位相制御回路PHCに入力する。位相制御回路PHCは、前記位相角指令値φ*と位相信号θr,θs,θtを用いて電圧形自励式電力変換器CNVの自己消弧素子S1〜S6のゲート信号g1〜g6を発生する。
前記電圧形自励式電力変換器CNVは、電源電圧に同期した一定のパルスパターン(1パルス,3パルス,5パルス等)で電源電圧に対する位相角φを制御することにより、入力電流を制御する。
図3は、本実施形態の装置の電力用ダイオード整流器REC及び電圧形自励式電力変換器CNVの制御動作を説明するための交流側等価回路を示す。また、図4はその電圧・電流ベクトル図を示す。図中、Vsは電源電圧,Vcは電圧形自励式電力変換器CNVの交流出力電圧,Icは入力電流、jωLs・Icは交流リアクトルLsによる電圧降下分(ただし、リアクトルLsの抵抗分は十分小さいものとして無視した)を表わす。ベクトル的に、Vs=Vc+jωLs・Icの関係がある。
電源電圧Vsの波高値と電圧形自励式電力変換器CNVの交流出力電圧Vcの基本波波高値とは大略一致するように合わせる。直流電圧Vdは負荷側からの要求で決まる場合が多く、前記パルスパターンを決めると、交流出力電圧Vcの基本波波高値は決まってしまう。そこで、電源側に変圧器TRを設置し、その2次電圧をVsとして、波高値を合わせる。
入力電流Icは、電源電圧Vsに対する電圧形自励式電力変換器CNVの交流出力電圧Vcの位相角φを調整することにより制御できる。すなわち、位相角φ=0とすると、交流リアクトルLsに印加される電圧jωLs・Icはゼロとなり、入力電流Icもゼロとなる。位相角(遅れ)φを増やしていくと、jωLs・Icの電圧が増加し、入力電流Icもその値に比例して増加する。入力電流ベクトルIcは、電圧jωLs・Icに対し電気角90°遅れており、電源電圧Vsに対しては、φ/2だけ遅れたベクトルとなる。従って、電源側から見た入力力率は、cos(φ/2)となる。
一方、自励式電力変換器の交流出力電圧をVc′のように位相角φを進み方向に増やしていくと、交流リアクトルLsに印加される電圧jωLs・Icも負となり、入力電流はIc′のように、電源電圧Vsに対し(π−φ/2)の位相角となる。すなわち、電力Ps=Vs・Icは負となり、電力を電源に回生することができる。電源電圧Vsを基準にして、交流出力電圧Vcを図の破線に沿ってVc′の方向に回していくと、入力電流ベクトルIcは破線に沿ってIc′の方向に変化する。
図2において、有効電流Iqは次のように制御される。
Iq*>Iqとなった場合、電流制御補償回路Gi(S)の出力φ*が増加し、入力電流Icを増加させる。入力力率≒1なので、有効電流Iqが増加し、やがてIq*=Iqとなって落ち着く。逆に、Iq*<Iqとなった場合、電流制御補償回路Gi(S)の出力φ*が減少し又は負の値になり、入力電流Icを減少させる。入力力率≒1なので、有効電流Iqが減少し、やはりIq*=Iqとなって落ち着く。
また、直流平滑コンデンサCdに印加される電圧Vdは次のように制御される。
Vd*>Vdとなった場合、電圧制御補償回路Gv(S)の出力Iq*が増加し、上記のようにIq*=Iqに制御されるので、有効電力が交流電源SUPから直流平滑コンデンサCdに供給される。その結果、直流電圧Vdが増加し、Vd*=Vdとなるように制御される。
逆に、Vd*<Vdとなった場合、電圧制御補償回路Gv(S)の出力Iq*が減少し又は負の値となり、有効電力が直流平滑コンデンサCdから交流電源SUP側に回生される。その結果、直流電圧Vdが減少し、やはりVd*=Vdとなるように制御される。
図2の装置では、負荷Loadがとる直流電流ILを検知し、その量に見合った有効電流を供給するようにフィードフォワード補償器FFで補償量IqFF=k1・ILを演算し、加算器ADに入力している。これにより、負荷が急変した場合、それに見合った入力電流(有効電流)Iqが供給され、直流平滑コンデンサCdの印加電圧Vdの変動を抑えている。
図5は、図2の装置の位相制御回路PHCの実施形態を示す。図中、ADr,ADs,ADtは加減算器、PTN1〜PTN3はパルスパターン発生器を示す。
加減算器ADr,ADs,ADtは、位相信号θr,θs,θtから前記位相角指令値φ*を引き算し、新たな位相信号θcr,θcs,θctを作る。当該新たな位相信号θcr,θcs,θctは、0〜2πの周期関数で、電源周波数に同期して変化する。
パルスパターン発生器PTN1〜PTN3は、前記新たな位相信号θcr,θcs,θctに対して、一定のパルスパターンとなるようにゲート信号g1〜g6を発生する。
パルスパターン発生器PTN1は、位相信号θcrに対するR相素子S1,S4のパルスパターンをテーブル関数として記憶したもので、図6に1パルス動作時の波形を示す。
図中、VrはR相電源電圧、θrは電源電圧Vrに同期した位相信号で、0〜2πの間で変化する周期関数となる。新たな位相信号θcr=θr−φ*は、0〜2πの間で変化する周期関数で、θrの信号に対しφ*だけ遅れた信号で与えられる。すなわち、入力θcrに対し、次のようなゲート信号g1(又はg4)を出力する。
0≦θcr<π の範囲で、g1=1,g4=0(S1:オン,S4:オフ)
π≦θcr<2π の範囲で、g1=0,g4=1(S1:オフ,S4:オン)
電圧形自励式電力変換器CNVの交流側出力電圧(R相)Vcrは、
S1:オン(S4:オフ)のとき、Vcr=+Vd/2
S1:オフ(S4:オン)のとき、Vcr=−Vd/2
となる。直流電圧Vdが一定ならば、交流出力電圧Vcrの振幅値は一定となる。Vcrの基本波Vcr*の位相は、電源電圧Vrに対し位相角φだけ遅れている。S相,T相も同様に与えられる。
図7は、図6のパルスパターンで電圧形自励式電力変換器CNVを動作させた場合の力行運転時のR相各部動作波形を示す。なお、説明の便宜上、入力電流Irは正弦波としてリプル分を省略して描いている。
電圧形自励式電力変換器CNVの交流出力電圧Vcrの基本波は電源電圧Vrに対し、位相角φだけ遅れている。また、入力電流Irは電源電圧Vrに対し、位相角(φ/2)だけ遅れて流れる。このとき、IS1,IS4はR相の自己消弧素子S1とS4の電流を、ID1,ID4は高速ダイオードD1とD4の電流を、IPD1,IPD4は電力用ダイオードPD1とPD4の電流を、それぞれ表わしている。以下に、そのときの動作を図4を用いて説明する。
入力電流Irが負から正に変るまでは電力用ダイオードPD4を介して電流が流れている。この状態から電流Irの向きが変ると素子S4がオン状態にあるので、入力電流Irはリカバリ電流抑制用リアクトルLaと素子S4を介して流れるようになる。次に、素子S4をオフすると、リカバリ電流抑制用リアクトルLaの作用により、電流Irはまず高速ダイオードD1を介して流れる。高速ダイオードD1の順方向降下電圧VFD1に対し、電力用ダイオードPD1の順方向降下電圧VFPD1方が低いため、その電圧差により、リカバリ電流抑制用リアクトルLaに流れている電流が徐々に小さくなり、入力電流Irは、高速ダイオードD1から電力用ダイオードPD1に移っていく。その転流時間はリカバリ電流抑制用リアクトルLaのインダクタンス値に反比例する。Laを過飽和リアクトルにすることにより、流れる電流の大きいところでインダクタンス値が小さくなり、高速ダイオードに流れていた電流がより速く電力用ダイオードに移り、損失が低減される。
入力電流Irが再び反転するまでその電流は電力用ダイオードPD1に流れる。入力電流Irが反転した後は、素子S1と高速ダイオードD4及び電力用ダイオードPD4の間で、上記と同様の動作が行われる。
力行運転時の入力電流Irの大部分は電力用ダイオードPD1,PD4に流れるので、損失が小さく、過負荷耐量の大きな電力変換装置を提供できる。
自己消弧素子S1〜S6がしゃ断する最大電流Imaxは、入力電流の波高値をIcmとした場合、Imax=Icm×sin(φ/2)となる。例えば、φ=20°の場合、Imax=0.174×Icmとなる。すなわち、自己消弧素子のしゃ断電流が小さいものを用意すればよく、コストの安い電力変換装置を提供できる。
図8は、回生運転時の動作波形を示すもので、IS1,IS4はR相の自己消弧素子S1とS4の電流、ID1,ID4は高速ダイオードD1とD4の電流、IPD1,IPD4は電力用ダイオードPD1,PD4の電流をそれぞれ表わしている。変換器の交流出力電圧Vcrの基本波は電源電圧Vrに対し、位相角φだけ進んでいる。また、入力電流Irは電源電圧の反転値−Vrに対し、位相角(φ/2)だけ進んで流れる。
入力電流Irが負で、素子S1がオン(S4はオフ)のときは、入力電流Irは素子S1とリカバリ電流抑制用リアクトルLaを介して流れる。素子S1をオフ(S4をオン)すると、リカバリ電流抑制用リアクトルLaの作用により、電流Irはまず高速ダイオードD4を介して流れる。高速ダイオードD4の順方向降下電圧VFD4に対し、電力用ダイオードPD4の順方向降下電圧VFPD4方が低いため、その電圧差により、リカバリ電流抑制用リアクトルLaに流れている電流が徐々に小さくなり、入力電流Irは、高速ダイオードD4から電力用ダイオードPD4に移っていく。入力電流Irが反転すると、素子S4に電流が流れ、上記と同様に素子S4をオフすることにより、まず高速ダイオードD1に電流が移り、やがて電力ダイオードPD1に電流が移る。
回生運転時、自己消弧素子S1〜S6がしゃ断する最大電流Imaxは、入力電流の波高値をIcmとした場合、Imax=Icm×sin(φ/2)となる。
以上のように、回生運転時の入力電流Irの大部分は自己消弧素子に流れるが、当該素子S1〜S6のしゃ断電流は小さくてすみ、コストの安い電力変換装置を提供できる。
電圧形自励式電力変換器CNVを固定パルスで運転することにより、スイッチング回数が最小になり、変換器効率はさらに向上する。また、交流側出力電圧Vcの基本波成分が大きくなり、電圧形自励式電力変換器の電圧利用率が向上する。また、変換器力率がほぼ1で運転されるため、入力電流Icのゼロ点付近でスイッチングを行うことになり、力行運転時も回生運転時も、自己消弧素子のしゃ断電流は極めて小さくなる。この結果、高効率で低コストな電力変換装置を提供できる。また、大電流をしゃ断しないということは、ソフトスイッチングに近くなり、EMIノイズが小さくなり、環境にもやさしい電力変換装置を提供できる。
図9は、パルスパターン発生器PTN1として、3パルス出力運転を行ったときの動作波形を示すもので、R相について描いている。図中、VrはR相電源電圧、θrは電源電圧Vrに同期した位相信号で、0〜2πの間で変化する周期関数となる。新たな位相信号θcr=θr−φ*は、0〜2πの間で変化する周期関数で、θrの信号に対しφ*だけ遅れた信号で与えられる。また、位相信号θcrに対するR相素子S1,S4のパルスパターンは次のようになる。
0≦θcr<θ1の範囲で、g1=0,g4=1(S1:オフ,S4:オン)
θ1≦θcr<θ2の範囲で、g1=1,g4=0(S1:オン,S4:オフ)
θ2≦θcr<πの範囲で、g1=0,g4=1(S1:オフ,S4:オン)
π≦θcr<θ3の範囲で、g1=1,g4=0(S1:オン,S4:オフ)
θ3≦θcr<θ4の範囲で、g1=0,g4=1(S1:オフ,S4:オン)
θ4≦θcr<2πの範囲で、g1=1,g4=0(S1:オン,S4:オフ)
このとき、電圧形自励式電力変換器CNVの交流側出力電圧(R相)Vcrは、
S1:オン(S4:オフ)のとき、Vcr=+Vd/2
S1:オフ(S4:オン)のとき、Vcr=−Vd/2
となる。出力電圧Vcrの基本波Vcr*の位相は、電源電圧Vrに対し位相角φだけ遅れている。S相,T相も同様に与えられる。
この場合もパルスパターンは固定され、直流電圧Vdを一定とした場合、電圧形自励式電力変換器CNVの交流出力電圧の基本波波高値は一定となる。
図10は、図9のパルスパターンで電圧形自励式電力変換器CNVを動作させた場合の力行運転時のR相の各部動作波形を示す。なお、説明を簡略化するため、入力電流Irは正弦波としてリプル分を省略して描いている。
電圧形自励式電力変換器CNVの交流出力電圧Vcrの基本波は電源電圧Vsに対し、位相角φだけ遅れる。また、入力電流Icは電源電圧Vsに対し、位相角(φ/2)だけ遅れて流れる。このとき、IS1,IS4はR相の自己消弧素子S1とS4の電流、ID1,ID4は高速ダイオードD1とD4の電流、IPD1,IPD4は電力用ダイオードPD1とPD2の電流をそれぞれ表わしている。そのときの動作を以下に説明する。
入力電流Irが負から正に変るまでは電力用ダイオードPD4を介して電流が流れている。この状態から電流Irの向きが変ると素子S4がオン状態にあるので、入力電流Irはリカバリ電流抑制用リアクトルLaと素子S4を介して流れるようになる。次に、素子S4をオフすると、リカバリ電流抑制用リアクトルLaの作用により、電流Irはまず高速ダイオードD1を介して流れる。高速ダイオードD1の順方向降下電圧VFD1に対し、電力用ダイオードPD1の順方向降下電圧VFPD1方が低いため、その電圧差により、リカバリ電流抑制用リアクトルLaに流れている電流が徐々に小さくなり、入力電流Irは、高速ダイオードD1から電力用ダイオードPD1に移っていく。その転流時間はリカバリ電流抑制用リアクトルLaのインダクタンス値に反比例する。Laを過飽和リアクトルにすることにより、流れる電流の大きいところでインダクタンス値が小さくなり、高速ダイオードに流れていた電流がより速く電力用ダイオードに移り、損失が低減される。
次に、素子S4を再びオンすると、入力電流Irはリカバリ電流抑制用リアクトルLaと素子S4を介して流れ、電力用ダイオードPD1及び高速ダイオードD1の電流はゼロとなる。さらに、図9のθ1で、素子S4をオフすると、上記と同じように、まず高速ダイオードD1に電流が流れ、次に電力用ダイオードPD1に電流が移っていき、入力電流Irが再び反転するまでその電流は電力用ダイオードPD1に流れる。
入力電流Irが反転した後は、素子S1と高速ダイオードD4及び電力用ダイオードPD4の間で、上記と同様の動作が行われる。
図10のパルスパターンは3パルスの場合を示したが、自己消弧素子S1〜S6がしゃ断する最大電流Imaxは、入力電流の波高値をIcmとした場合、
Imax=Icm×sin(φ/2+θ1)
となる。例えば、φ=20°,θ1=10°とした場合、Imax=0.342×Icm となる。このように、3パルスで運転した場合でも、自己消弧素子S1〜S6の最大遮断電流Imaxは入力電流波高値Icmの1/3程度に抑えることができ、装置のコストを大幅に低減できる。
図11は、パルスパターン発生器PTN1として、5パルス出力運転を行う場合の動作波形を示すもので、R相について描いている。図中、VrはR相電源電圧、θrは電源電圧Vrに同期した位相信号で、0〜2πの間で変化する周期関数となる。また、新たな位相信号θcr=θr−φ*は、0〜2πの間で変化する周期関数で、θrの信号に対しφ*だけ遅れた信号で与えられる。また、位相信号θcrに対するR相素子S1,S4のパルスパターンは次のようになる。
0≦θcr<θ1の範囲で、g1=1,g4=0(S1:オン,S4:オフ)
θ1≦θcr<θ2の範囲で、g1=0,g4=1(S1:オフ,S4:オン)
θ2≦θcr<θ3の範囲で、g1=1,g4=0(S1:オン,S4:オフ)
θ3≦θcr<θ4の範囲で、g1=0,g4=1(S1:オフ,S4:オン)
θ4≦θcr<πの範囲で、g1=1,g4=0(S1:オン,S4:オフ)
π≦θcr<θ5の範囲で、g1=0,g4=1(S1:オフ,S4:オン)
θ5≦θcr<θ6の範囲で、g1=1,g4=0(S1:オン,S4:オフ)
θ6≦θcr<θ7の範囲で、g1=0,g4=1(S1:オフ,S4:オン)
θ7≦θcr<θ8の範囲で、g1=1,g4=0(S1:オン,S4:オフ)
θ8≦θcr<2πの範囲で、g1=0,g4=1(S1:オフ,S4:オン)
電圧形自励式電力変換器CNVの交流側出力電圧(R相)Vcrは、
S1:オン(S4:オフ)のとき、Vcr=+Vd/2
S1:オフ(S4:オン)のとき、Vcr=−Vd/2
となる。直流電圧Vdが一定ならば、交流出力電圧Vcrの振幅値は一定となる。Vcrの基本波Vcr*の位相は、電源電圧Vrに対し位相角φだけ遅れている。S相,T相も同様に与えられる。
図12は、図11のパルスパターンで自励式電力変換器を動作させた場合の各部動作波形を示すもので、R相について表わしている。なお、説明を簡略化するため、入力電流Irは正弦波としてリプル分を省略して描いている。
図12において、変換器の交流出力電圧Vcrの基本波は電源電圧Vsに対し、位相角φだけ遅れている。従って、力行運転となり、入力電流Icは電源電圧Vsに対し、位相角(φ/2)だけ遅れて流れる。このとき、IS1,IS4はR相の自己消弧素子S1とS4の電流を、ID1,ID4は高速ダイオードD1とD4の電流、IPD1,IPD4は電力用ダイオードPD1とPD4の電流をそれぞれ表わしている。
以下に、そのときの動作を図4の装置を用いて説明する。
入力電流Irが負から正に変るまでは電力用ダイオードPD4を介して電流が流れている。この状態から電流Irの向きが変ると素子S4がオン状態にあるので、入力電流Irはリカバリ電流抑制用リアクトルLaと素子S4を介して流れるようになる。次に、素子S4をオフすると、リカバリ電流抑制用リアクトルLaの作用により、電流Irはまず高速ダイオードD1を介して流れる。高速ダイオードD1の順方向降下電圧VFD1に対し、電力用ダイオードPD1の順方向降下電圧VFPD1方が低いため、その電圧差により、リカバリ電流抑制用リアクトルLaに流れている電流が徐々に小さくなり、入力電流Irは、高速ダイオードD1から電力用ダイオードPD1に移っていく。その転流時間はリカバリ電流抑制用リアクトルLaのインダクタンス値に反比例する。Laを過飽和リアクトルにすることにより、流れる電流の大きいところでインダクタンス値が小さくなり、高速ダイオードに流れていた電流がより速く電力用ダイオードに移り、損失が低減される。
次に、素子S4を再びオンすると、入力電流Irはリカバリ電流抑制用リアクトルLaと素子S4を介して流れ、電力用ダイオードPD1及び高速ダイオードD1の電流はゼロとなる。さらに、素子S4をオフすると、電流Irはまず高速ダイオードD1を介して流れ、やがて電力用ダイオードPD1に電流が移っていく。図3に示したパルスパターンに従って上記動作を繰り返すが、図3のθ2で、素子S4がオフ(素子S1がオン)した後は、上記と同じように、まず高速ダイオードD1に電流が流れ、次に電力用ダイオードPD1に電流が移っていき、入力電流Irが再び反転するまでその電流は電力用ダイオードPD1に流れる。入力電流Irが反転した後は、素子S1と高速ダイオードD4及び電力用ダイオードPD4の間で、上記と同様の動作が行われる。
図12のパルスパターンは5パルスの場合を示したが、自己消弧素子S1〜S6がしゃ断する最大電流Imaxは、入力電流の波高値をIcmとした場合、
Imax=Icm×sin(φ/2+θ2)
となる。例えば、φ=20°,θ1=10°,θ2=15°とした場合、Imax=0.42×Icmとなる。
(第2の実施の形態)(請求項2に対応)
図1の電力変換装置において、前記エネルギー蓄積装置EDLCは、前記負荷装置Loadからの回生電力が設定値を超えた場合にその超過エネルギーを吸収するように双方向チョッパを制御している。
図13は、双方向チョッパCHOの制御回路構成の実施形態を示すもので、当該双方向チョッパCHOとエネルギー蓄積装置EDLCの主回路構成も示す。
図中、LIMはリミッタ回路、ADpは加減算器、Keは比例定数、AS1,AS2は切換え回路、COMはレベル比較器、HYSはヒステリシス特性を持つ比較器、Cは比較器、Gie(S)は電流制御回路、PWMはパルス幅変調制御回路をそれぞれ表す。
双方向チョッパCHOは、次のように制御される。
エネルギー蓄積装置EDLCの充放電電流Ieの指令値Ie*は、負荷電流ILと当該EDLCの印加電圧Veの値によって決定する。
負荷電流ILが負(回生)で、その電流値が設定値Iaより小さい場合は、前記電圧形自励式電力変換器CNVによって、当該回生電力PLを交流電源SUPにもどす。IL>Iaとなった場合には、その差分(IL−Ia)の相当する電力(PL−Pa)だけ、エネルギー蓄積装置EDLCに充電するように電流指令値Ie*を与える。
まず、負荷電流ILと直流電圧Vdの積をとり、負荷電力PLを求め、リミッタ回路LIMを介して、交流電源SUPに回生する電力Paを求める。次に、加減算器ADpにより、Pe=Pa−PLを求め、Keで定数倍(1/Ve)することにより、充電電流指令値Ie*を与える。力行運転では、負荷電流ILは図の矢印の方向に流れ、負荷電力PLが正となる。PL>0の場合、リミット回路LIMは、そのまま、Pa=PLを出力する。従って、加減算器ADpの出力は、Pe=Pa−PL=0となる。回生運転では、負荷電流ILは図矢印と反対向きに流れ、負荷電力PLは負となる。PL<0の場合、リミット回路LIMは、設定値−PLOまでは、Pa=PLを出力する。従って、−PLO<PLでは、加減算器ADpの出力は、Pe=Pa−PL=0となる。しかし、−PLO>PLでは、Pa=−PLOとなり、電力指令値Peは、Pe=Pa−PL=−PLO−PL>0(充電)で与えられる。
エネルギー蓄積装置EDLCの印加電圧をVeとした場合、充電電流指令値Ie*は、前記電力指令値Peに対し、Ie*=Pe/Veで与えられる。比較器C3により、当該電流指令値Ie*とエネルギー蓄積装置EDLCへの充電電流検出値Ieを比較し、その偏差εe=Ie*−Ieを次の電流制御回路Gie(S)で増幅し、前記双方向チョッパCHOの電圧指令値e*としてPWM制御回路に入力する。PWM制御回路では、三角波のキャリア信号X(例えば、周波数fc=1kHz)と前記電圧指令値e*を比較し、スイッチング素子Qa,Qbのゲート信号ga,gbを与える。すなわち、
e*≧Xのとき、ga=1(gb=0)で、素子Qa:オン(Qb:オフ)
e*<Xのとき、gb=1(ga=0)で、素子Qb:オン(Qa:オフ)
となる。
Ie*>Ieとなった場合、偏差εeは正の値となり、スイッチング素子Qaのオン期間を増やす。その結果、直流リアクトルLeに印加される電圧が上昇し、充電電流Ieを増加させる。逆に、Ie*<Ieとなった場合、偏差εeは負の値となり、スイッチング素子Qaのオン期間を減らす。その結果、直流リアクトルLeに印加される電圧が低下し、充電電流Ieを減少させる。このようにして、定常的に、Ie*=Ieとなるように制御される。電流指令値Ie*を負にすれば、エネルギー蓄積装置EDLCから放電電流Ie(図の矢印と反対向き)を流すことができる。
エネルギー蓄積装置EDLCとして電気二重層キャパシタを用いた場合、その蓄積エネルギーは、印加電圧Veの値に関係する。すなわち、キャパシタ容量をCeとした場合、蓄積エネルギーは、(1/2)Ce×Ve2となる。ヒステリシス特性を持つ比較器HYSは、電圧Veが設定値Ve1を超えた場合には、出力信号「1」を発生し、切換え回路AS1を接点「1」に切り換える。逆に、電圧Veが設定値Ve2(<Ve1)より小さくなった場合には、出力信号「0」を発生し、切換え回路AS1を接点「0」に切り換える。AS1の接点「0」には、前述の指令値Ie*=Pe/Veが入力され、回生運転時の充電電流指令が与えられる。また、接点「1」には、切り換え回路AS2からの信号が入力され、ゼロ又は放電電流指令が与えられる。
図13において、比較器COMは、負荷電流ILを入力し、IL>0(力行運転)で「1」を出力し、IL<0(回生運転)で「0」を出力する。切り換え回路AS2は、比較器COMからの信号が「0」又は「1」のとき、それぞれ接点「0」又は「1」に接続する。AS2の接点「0」にはゼロ電流指令が与えられ、接点「1」には一定値指令−Ieo*(放電)が与えられる。
すなわち、エネルギー蓄積装置EDLCの電圧Veが高くなり、Ve>Ve1となった場合、切り換え回路AS2の出力が電流指令Ie*を与える。そのとき、負荷電流ILが負の場合(回生運転)、前記電流指令値Ie*=0として、エネルギー蓄積装置EDLCへの充電を止める。負荷電流ILが正の場合(力行運転)、前記電流指令値として、−Ieo*(放電)を与えてEDLCの蓄積エネルギーを放出する。このとき、蓄積エネルギーの有効利用が図れる。次の回生要求が来るまでに、EDLCの蓄積エネルギーを下げればよいので、設定値−Ieo*(放電)をあまり大きくする必要は無い。
IL<0で、Ve>Ve1の場合、Ie*=0が与えられ、エネルギー蓄積装置EDLCへの充電は無く、回生電力は図1の電圧形自励式電力変換器CNVを介して、交流電源SUPへ電力回生される。これにより、エネルギー蓄積装置の貯蔵容量をむやみに大きくすることなく、回生失効の防止とエネルギーの有効利用が図れ、経済的な電力変換装置を提供できる。
(第3の実施の形態)(請求項3に対応)
図1の電力変換装置において、前記エネルギー蓄積装置EDLCは、エネルギー吸収の要求がない時に、蓄積されたエネルギーを放出するように双方向チョッパCHOにより制御している。
図14は、図1の装置の運転特性の一例を示すもので、電車負荷で、列車が停止するまでの時間tに対する列車速度V,電気ブレーキ力F,及び回生電力PLを表す。ブレーキ力Fを一定と仮定した場合、回生電力PLは、PL=F×Vとなり、列車速度が低くなれば、回生電力PLも小さくなることを表している。
電圧形自励式電力変換器CNVを介して交流電源SUPに回生する電力Psは、ほぼ一定になるように制御し、残りの電力PL−Psをエネルギー蓄積装置EDLCに蓄える。すなわち、短時間の大きな回生電力はエネルギー蓄積装置EDLCに蓄えるようにし、また、長時間の小さな回生電力は電圧形自励式電力変換器CNVを介して交流電源SUPにもどすようにしている。停止直前では、車両速度Vが低くなるため、電圧形自励式電力変換器CNVを介して電源SUPにもどす電力が小さくなるので、そのときには、EDLCに蓄えたエネルギーを放出することにより、電源への回生電力が一定に保つことができる。これにより、電源への回生電力が安定化され、電圧形自励式電力変換器CNVの容量を抑えることができ、かつ、エネルギー蓄積装置EDLCの蓄積容量も低減することが可能となる。
(第4の実施の形態)(請求項4に対応)
図15は、前記電圧形自励式電力変換器CNVを5パルスで運転した場合の動作波形を示すもので、Vcrは変換器CNVのR相電圧,VcsはS相電圧,VcrsはR−S線間電圧を表す。
電圧形自励式電力変換器CNVは、交流側出力電圧Vcの基本波のゼロクロス点から電気角で、0°,±δ1,±δ2の角度でスイッチングを行うようにしており、δ1<δ2で、2×δ1>δ2を満足するように動作させている。なお、図13のパルスパターンに対応すると、δ1=θ1,δ2=θ2となる。
変換器CNVの交流出力電圧のR−S線間電圧Vcrsは、R相電圧Vcrより電気角で30°進みとなる。5パルスのパルスパターンで、交流側R相出力電圧Vcrの基本波のゼロクロス点から電気角0,±δ1,±δ2の角度でスイッチングさせた場合(δ1<δ2)、R−S線間電圧Vcrsは、当該電圧Vcrsの基本波のゼロクロス点から、まず、(δ2−δ1)の期間だけ第1の正パルスが出力され、次にδ1の期間だけゼロ電圧があり、さらにδ1の期間だけ第2の正パルスが出力される。ここで、2×δ1>δ2を満足するようにパルスパターンを設定すると、前記第1の正パルスの幅(δ2−δ1)より、前記第2の正パルスの幅δ1が広くなる。すなわち、線間電圧Vcrsが立ち上がるときは、その基本波のゼロクロス点から、前記第1の正パルス,第2の正パルスと、徐々に幅が広くなっていく。逆に、線間電圧Vcrsが立ち下がるときは、まず、第2の正パルス(幅:δ1)を発生し、次に第1の正パルス(幅:δ2−δ1)を発生して、徐々に幅が狭くなってゼロクロス点に至る。線間電圧Vcrsの負側も同様になる。また、他の線間電圧Vcst,Vctrも同様に制御される。この結果、少ないスイッチング回数で、交流電源SUPから供給される入力電流Ir,Is,Itの歪みを小さくすることができ、その高調波成分も小さくできる。
以上のように、本実施形態の装置で、電圧形自励式電力変換器CNVのパルスパターンを、3パルス,5パルス,…と奇数パルスで動作させることにより、少ない回数のスイッチングで入力電流歪みを小さくできる。また、交流側出力電圧Vcの基本波のゼロクロス点から電気角30°の範囲内でスイッチングを行うことにより、前記1パルス動作でのゼロ電圧発生期間(電気角60°)の半分を利用してスイッチングが行われ、他の相のスイッチングと干渉することなく、入力電流高調波を小さくできる。また、パルス数が増えても、入力電流のゼロクロス付近でスイッチングを行うことができ、自己消弧素子の遮断電流を小さく抑えることができる。
(第5の実施の形態)(請求項5に対応)
図16に示すように、本実施形態の電力変換装置は、2台の電圧形自励式電力変換器CNV1,CNV2及び2台の電力用ダイオード整流器REC1,REC2を組合せ、それぞれに対し、電気角30°の位相差を持たせた2組の2次巻線を有する3相変圧器TRを用いて、交流側で並列多重運転し、直流側で並列接続するように構成している。例えば、3相変圧器TRの1次巻線はΔ結線され、第1の2次巻線はΔ結線,第2の2次巻線はY結線されたものを用いる。
変圧器TRの第1の2次巻線に交流リアクトルLs1を介して3相ブリッジ結線された第1の電力用ダイオード整流器REC1の交流側端子が接続され、また、当該整流器REC1の交流側端子にリカバリ電流抑制リアクトルLa1を介して、3相ブリッジ結線された第1の電圧形自励式電力変換器CNV1の交流側端子が接続される。また、変圧器TRの第2の2次巻線に交流リアクトルLs2を介して3相ブリッジ結線された第2の電力用ダイオード整流器REC2の交流側端子が接続され、また、当該整流器REC2の交流側端子にリカバリ電流抑制リアクトルLa2を介して、3相ブリッジ結線された第2の電圧形自励式電力変換器CNV2の交流側端子が接続される。
リカバリ電流抑制リアクトルLa1,La2は、電圧形自励式電力変換器CNV1又はCNV2の自己消弧素子がオンしたときに電力用ダイオード整流器REC1又はREC2の各ダイオードに過大なリカバリー電流が流れ込むのを抑える役目をする。
エネルギー蓄積装置EDLCとして、鉛蓄電池や電気二重層キャパシタ等がある。双方向チョッパCHOは、スイッチング素子Qa,Qb、還流ダイオードDa,Db及び直流リアクトルLeで構成され、エネルギー蓄積装置EDLCの充放電電流Ieを制御する。
エネルギー蓄積装置EDLCは、回生運転時に、その回生エネルギーの一部を吸収し、力行運転時に、蓄積されたエネルギーを放出する。これにより、前記電圧形自励式電力変換器CNV1,CNV2が授受する電力が小さくなり、変換器容量が低減される。また、回生エネルギーの有効利用が可能となる。
図17は、図16の装置の制御回路の実施形態を示すもので、C1,C21,C22は比較器、ADは加算器、Gv(S)は電圧制御補償回路、Gi1(S),Gi2(S)は電流制御補償回路、Z1,Z2は3相/dq座標変換回路、PLL1,PLL2は電源同期位相検出回路、PHC1,PHC2は位相制御回路をそれぞれ示す。
直流電圧指令値Vd*は一定として与えることが多いが、電源電圧Vsや負荷電流ILに応じて直流電圧指令値Vd*を変えて与えることもある。例えば、負荷電流ILに対して、比例定数をk,無負荷時の直流電圧指令値をVdo*とした場合、前記直流電圧指令値Vd*を、
Vd*=Vdo*−k・IL
として与えることにより、前記電圧形自励式電力変換器CNV1,CVN2を構成する自己消弧素子の最大遮断電流を小さくすることができる。また、前記交流電源SUPの電圧Vsが変動した場合、当該電源電圧Vsの実効値の変化に合わせて前記無負荷時の直流電圧指令値Vdo*を変えることにより、入力電流Icの無効分が増加するのを抑えることが可能となる。
直流平滑コンデンサCdに印加される電圧Vdを検出し、比較器C1により、電圧指令値Vd*と比較する。その偏差εvを電圧制御補償回路Gv(S)により、積分又は比例増幅し、加算器ADに入力する。一方、負荷LOADが消費する直流電流ILを検知し、フィードフォワード補償器FFを介して、加算器ADに入力する。加算器ADの出力Iq*が電源SUPから供給される有効電流の指令値となる。
座標変換器Z1は、交流電源SUPから第1のハイブリッドコンバータHBC1へ供給されるの3相入力電流Ic1(Ir1,Is1,It1)の検出値をdq軸座標(直流量)に変換する。座標変換されたq軸電流Iq1は有効電流検出値を、d軸電流Id1は無効電流検出値を表わす。座標変換器Z2も同様に3相入力電流Ic2(Ir2,Is2,It2)の検出値をdq軸座標(直流量)に変換する。
比較器C21により、有効電流指令値Iq*と有効電流検出値Iq1を比較し、その偏差εi1を電流制御補償回路Gi1(S)により増幅して、位相角指令値φ1*とする。電源同期位相検出回路PLL1は変圧器TRの2次電圧Vr1,Vs1,Vt1に同期した位相信号θr1,θs1,θt1を作り、位相制御回路PHC1に入力する。位相制御回路PHC1は、前記位相角指令値φ1*と位相信号θr1,θs1,θt1を用いて電圧形自励式電力変換器CNV1の自己消弧素子S11〜S16のゲート信号g11〜g16を発生する。
同様に、比較器C22により、有効電流指令値Iq*と有効電流検出値Iq2を比較し、その偏差εi2を電流制御補償回路Gi2(S)により増幅して、位相角指令値φ2*とする。電源同期位相検出回路PLL2は変圧器TRの2次電圧Vr2,Vs2,Vt2に同期した位相信号θr2,θs2,θt2を作り、位相制御回路PHC2に入力する。位相制御回路PHC2は、前記位相角指令値φ2*と位相信号θr2,θs2,θt2を用いて電圧形自励式電力変換器CNV2の自己消弧素子S21〜S26のゲート信号g21〜g26を発生する。
前記電圧形自励式電力変換器CNV1,CNV2は、電源電圧に同期した一定のパルスパターン(1パルス,3パルス,5パルス等)で電源電圧に対する位相角φ1,φ2を制御することにより、入力電流を制御する。
2組の電力変換装置の入力電流(変圧器TRの2次電流)Ic1,Ic2は独立に制御されるが、指令値Iq*は同じなので、ほぼ同じ値に制御される。その結果、変圧器の1次電流の高調波が互いに打ち消し合い電流リプルの少ない正弦波に制御できる。
前記2台の電圧形自励式電力変換器CNV1,CNV2は、一定のパルスパターンで動作し、交流電源の電圧Vsに同期したスイッチングを行う。直流電圧Vdが一定ならば、電圧形自励式電力変換器CNV1,CNV2の交流出力電圧Vc1,Vc2の振幅値は一定になる。この状態で、電源電圧Vsに対する出力電圧Vc1,Vc2の位相角φを変えることより、交流リアクトルLs1,Ls2(又は変圧器TRのもれインダクタンスLx1,Lx2)に印加される電圧が変化し、入力電流Ic1,Ic2を調整することができる。また、多重化により、その合成電流Ic=Ic1+Ic2は、歪みの少ない波形に制御できる。
電源電圧Vsに対する各変換器の出力電圧Vc1,Vc2の位相角φを遅れ方向に増加させることにより、交流電源から供給される有効電力Psが増加する。逆に位相角φを進み方向に増やすと、有効電力Psが交流電源に回生される。
電圧形自励式電力変換器CNV1,CNV2を一定のパルスパターンで制御する場合、入力電流Ic=Ic1+Ic2の高調波成分が小さくなるようにスイッチングパターンを決めるが、変換器力率が1に近いため、電流Ic1,Ic2のゼロ点付近でスイッチングが行われ、電圧形自励式電力変換器CNV1,CNV2を構成する自己消弧素子のしゃ断電流は小さくて済む。これにより、入力電流Isの高調波成分が小さく、電力回生が可能で、高力率・高効率で、低コストの電力変換装置を提供できる。
また同様に、n台の電圧形自励式電力変換器CNV1〜CNVnを用意し、適宜の位相差を持たせたn組の2次巻線を有する3相変圧器TRを用いて、並列多重運転するように構成することにより、変換装置の大容量化と、交流電源SUPから供給される入力電流Icの高調波成分の低減を図ることができる。
(第6の実施の形態)(請求項6に対応)
図18に示すように、本実施形態の電力変換装置は、2台の電圧形自励式電力変換器CNV1,CNV2及び2台の電力用ダイオード整流器REC1,REC2を組合せ、それぞれに対し、2次巻線の出力電圧が電気角30°の位相差を持つように構成した2台の3相変圧器TRa,TRbを用いて、交流側で並列多重運転し、直流側で並列接続するように構成している。例えば、Δ/Δ結線の3相変圧器TRaとΔ/Y結線の3相変圧器TRbが使われる。
第1の変圧器TRaの2次巻線に交流リアクトルLs1を介して3相ブリッジ結線された第1の電力用ダイオード整流器REC1の交流側端子が接続され、また、当該整流器REC1の交流側端子にリカバリ電流抑制リアクトルLa1を介して、3相ブリッジ結線された第1の電圧形自励式電力変換器CNV1の交流側端子が接続される。また、第2の変圧器TRbの2次巻線に交流リアクトルLs2を介して3相ブリッジ結線された第2の電力用ダイオード整流器REC2の交流側端子が接続され、また、当該整流器REC2の交流側端子にリカバリ電流抑制リアクトルLa2を介して、3相ブリッジ結線された第2の電圧形自励式電力変換器CNV2の交流側端子が接続される。
リカバリ電流抑制リアクトルLa1,La2は、電圧形自励式電力変換器CNV1又はCNV2の自己消弧素子がオンしたときに電力用ダイオード整流器REC1又はREC2の各ダイオードに過大なリカバリー電流が流れ込むのを抑える役目をする。
エネルギー蓄積装置EDLCとして、鉛蓄電池や電気二重層キャパシタ等がある。双方向チョッパCHOは、スイッチング素子Qa,Qb、還流ダイオードDa,Db及び直流リアクトルLeで構成され、エネルギー蓄積装置EDLCの充放電電流Ieを制御する。
エネルギー蓄積装置EDLCは、回生運転時に、その回生エネルギーの一部を吸収し、力行運転時に、蓄積されたエネルギーを放出する。これにより、前記電圧形自励式電力変換器CNV1,CNV2が授受する電力が小さくなり、変換器容量が低減される。また、回生エネルギーの有効利用が可能となる。
図18の装置の制御回路は、図17に示した制御回路に順ずる。
2台の電圧形自励式電力変換器CNV1,CNV2は、前記交流電源SUPの周波数に同期した一定のパルスパターンで動作させ、前記交流電源の電圧Vsに対する位相角φを調整することにより交流入力電流Icを制御している。
2台の電圧形自励式電力変換器CNV1,CNV2を並列多重運転する場合、当該変換器CNV1,CNV2間に横流が流れる。この横流の大きさは、交流リアクトルLs1,Ls2がない場合、直流電圧Vdの値と前記2台の変圧器TRa,TRbのもれインダクタンス値Lx1,Lx2によってほぼ決定される。
図16のように、1台の変圧器TRに複数の2次巻線を設けて、それぞれに電圧形自励式電力変換器CNV1,CNV2を接続する並列多重運転では、変換器間の横流を抑制するのは、2次側のもれインダクタンス値が関係する。しかし、変圧器TRのもれインダクタンス値を2次側だけ大きくするのは難しく、コストも高くなる。変圧器の2次側に外部交流リアクトルLs1,Ls2を挿入することにより、横流を抑制することができるが、当該外部リアクトルの分だけコストは高くなってしまう。
本実施形態の装置のように、各変換器CNV1,CNV2毎に、変圧器TRa,TRbを分けることにより、各変圧器TRa,TRbの1次と2次のもれインダクタンス値の和が横流を抑制する作用を果たし、外部リアクトルLs無しで、横流を十分小さな値に抑えることが可能となる。
前記2台の電圧形自励式電力変換器CNV1,CNV2は、一定のパルスパターンで動作し、交流電源の電圧Vsに同期したスイッチングを行う。直流電圧Vdが一定ならば、電圧形自励式電力変換器CNV1,CNV2の交流出力電圧Vc1,Vc2の振幅値は一定になる。この状態で、電源電圧Vsに対する出力電圧Vc1,Vc2の位相角φを変えることより、変圧器TRa,TRbのもれインダクタンスLx1,Lx2に印加される電圧が変化し、入力電流Ic1,Ic2を調整することができる。また、多重化により、その合成電流Ic=Ic1+Ic2は、歪みの少ない波形に制御できる。
電源電圧Vsに対する各変換器の出力電圧Vc1,Vc2の位相角φを遅れ方向に増加させることにより、交流電源から供給される有効電力Psが増加する。逆に位相角φを進み方向に増やすと、有効電力Psが交流電源に回生される。
電圧形自励式電力変換器CNV1,CNV2を一定のパルスパターンで制御する場合、入力電流Ic=Ic1+Ic2の高調波成分が小さくなるようにスイッチングパターンを決めるが、変換器力率が1に近いため、電流Ic1,Ic2のゼロ点付近でスイッチングが行われ、電圧形自励式電力変換器CNV1,CNV2を構成する自己消弧素子のしゃ断電流は小さくて済む。これにより、入力電流Icの高調波成分が小さく、電力回生が可能で、高力率・高効率で、低コストの電力変換装置を提供できる。
以上は、2台の変換器を用いて2並列多重運転の実施形態について説明したが、n台の変換器とn台の変圧器を用いて、n並列多重運転を行うことにより、変換装置の大容量化と、さらなる入力電流高調波の低減が図れることは言うまでもない。
(第7の実施の形態)(請求項7に対応)
図19に示すように、本実施形態の電力変換装置は、2台の電圧形自励式電力変換器CNV1,CNV2及び2台の電力用ダイオード整流器REC1,REC2を組合せ、それぞれに対し、電気角30°の位相差を持たせた2台の3相変圧器TRa,TRbの2次巻線を接続し、当該2台の変圧器TRa,TRbの1次巻線を直列接続することにより、直列多重運転を行っている。
ここで、変圧器TRaは1次巻線がオープンスター、2次巻線がΔ結線となっており、変圧器TRbはΔ/Δ結線されている。3相電源SUPのR相端子は、変圧器TRaの1次R相巻線の1つの端子に接続され、1次R相巻線のもう1つの端子(中点側)が変圧器TRbの1次R相端子接続される。S相,T相も同様である。すなわち、変圧器TRaの2次電圧Vr1,Vs1,Vt1に対し、変圧器TRbの2次電圧Vr2,Vs2,Vt2はそれぞれ、電気角で30°ずつ位相がずれている。第1の変圧器TRaの2次巻線に交流リアクトルLs1を介して3相ブリッジ結線された第1の電力用ダイオード整流器REC1の交流側端子が接続され、また、当該整流器REC1の交流側端子にリカバリ電流抑制リアクトルLa1を介して、3相ブリッジ結線された第1の電圧形自励式電力変換器CNV1の交流側端子が接続される。また、第2の変圧器TRbの2次巻線に交流リアクトルLs2を介して3相ブリッジ結線された第2の電力用ダイオード整流器REC2の交流側端子が接続され、また、当該整流器REC2の交流側端子にリカバリ電流抑制リアクトルLa2を介して、3相ブリッジ結線された第2の電圧形自励式電力変換器CNV2の交流側端子が接続される。
エネルギー蓄積装置EDLCとして、鉛蓄電池や電気二重層キャパシタ等がある。双方向チョッパCHOは、スイッチング素子Qa,Qb、還流ダイオードDa,Db及び直流リアクトルLeで構成され、エネルギー蓄積装置EDLCの充放電電流Ieを制御する。
エネルギー蓄積装置EDLCは、回生運転時に、その回生エネルギーの一部を吸収し、力行運転時に、蓄積されたエネルギーを放出する。これにより、前記電圧形自励式電力変換器CNV1,CNV2が授受する電力が小さくなり、変換器容量が低減される。また、回生エネルギーの有効利用が可能となる。
また、この装置では、2台の変圧器のもれインダクタンスを利用することにより、交流リアクトルLsを省略することもできる。もちろん、外部に交流リアクトルLsを設けても原理的には同じになる。
図20は、図19の装置の制御回路の実施形態を示すもので、CALは直流電圧指令演算器、C1,C2は比較器、ADは加算器、Gv(S)は電圧制御補償回路、Gi(S)は電流制御補償回路、Zは3相/dq座標変換回路、PLL1,PLL2は電源同期位相検出回路、PHC1,PHC2は位相制御回路をそれぞれ示す。
直流平滑コンデンサCdに印加される電圧Vdを検出し、比較器C1により、電圧指令値Vd*と比較する。その偏差εvを電圧制御補償回路Gv(S)により、積分又は比例増幅し、加算器C2に入力する。一方、負荷Loadが消費する直流電流ILを検知し、フィードフォワード補償器FFを介して、加算器ADに入力する。加算器ADの出力Iq*が電源SUPから供給される有効電流の指令値となる。
座標変換器Zは、電源SUPから供給される3相入力電流Ic(Ir,Is,It)の検出値を、dq軸(直流量)に変換する。座標変換されたq軸電流Iqは有効電流検出値を、d軸電流Idは無効電流検出値を表わす。
比較器C2により、有効電流指令値Iq*と有効電流検出値Iqを比較し、その偏差εiを電流制御補償回路Gi(S)により増幅して、位相角指令値φ*とする。電源同期位相検出回路PLL1は変圧器TRaの2次電圧Vr1,Vs1,Vt1に同期した位相信号θr1,θs1,θt1を作り、位相制御回路PHC1に入力する。位相制御回路PHC1は、前記位相角指令値φ*と位相信号θr1,θs1,θt1を用いて電圧形自励式電力変換器CNV1の自己消弧素子S11〜S16のゲート信号g11〜g16を発生する。同様に、電源同期位相検出回路PLL2により、変圧器TRbの2次電圧Vr2,Vs2,Vt2に同期した位相信号θr2,θs2,θt2を作り、位相制御回路PHC2に入力する。位相制御回路PHC2は、前記位相角指令値φ*と位相信号θr2,θs2,θt2を用いて電圧形自励式電力変換器CNV2の自己消弧素子S21〜S26のゲート信号g21〜g26を発生する。
前記電圧形自励式電力変換器CNV1,CNV2は、一定のパルスパターン(1パルス,3パルス,5パルス等)で動作し、交流電源の電圧Vsに同期したスイッチングを行う。直流電圧Vdが一定ならば、電圧形自励式電力変換器CNV1,CNV2の交流出力電圧Vc1,Vc2の振幅値は一定になる。この状態で、電源電圧Vsに対する各変換器出力電圧の和Vc=Vc1+Vc2の位相角φを変えることより、変圧器TRa,TRbのもれインダクタンスの和Lxo=Lx1+Lx2に印加される電圧が変化し、入力電流Ic(Ir,Is,It)を制御することができる。この装置では、2台の変圧器TRaとTRbが1次側で直列接続されているので、2台の電圧形自励式電力変換器CNV1,CNV2の入力電流は同じになり、高調波の少ない電流となる。また、多重化により、その入力電流Icは、極めて歪みの少ない波形に制御できる。
電源電圧Vsに対する各変換器の出力電圧の和Vc=Vc1+Vc2の位相角φを遅れ方向に増加させることにより、交流電源から供給される有効電力Psが増加する。逆に位相角φを進み方向に増やすと、有効電力Psが交流電源に回生される。
以上は、2台の電力変換装置を用いた例を示したが、3台以上の電力変換装置を用いて直列多重運転できることは言うまでもない。
本装置によれば、変換装置の大容量化と、交流電源から供給される入力電流Isの高調波成分の低減を図ることができる。特に、直列多重運転により、各変換器に流れる交流入力電流の高調波成分を低減することができ、電圧形自励式電力変換器CNV1〜CNVnの制御パルス数を少なくできる利点がある。また、3相変圧器のもれインダクタンス分を利用することにより、従来の交流リアクトルを省略することが可能となる。これにより、電力回生が可能で、高効率・低コストな電力変換装置を提供することができる。
(第8の実施の形態)(請求項8に対応)
図21に示すように、本実施形態の電力変換装置では、変圧器TRの1次巻線はΔ結線され、第1の2次巻線はΔ結線,第2の2次巻線はY結線されている。すなわち、変圧器TRの第1の2次電圧Vr1,Vs1,Vt1に対し、第2の2次電圧Vr2,Vs2,Vt2はそれぞれ、電気角で30°ずつ位相がずれている。変圧器TRの第1の2次巻線に交流リアクトルLs1を介して3相ブリッジ結線された第1の電力用ダイオード整流器REC1の交流側端子が接続され、また、当該整流器REC1の交流側端子にリカバリ電流抑制リアクトルLa1を介して、3相ブリッジ結線された第1の電圧形自励式電力変換器CNV1の交流側端子が接続される。また、変圧器TRの第2の2次巻線に交流リアクトルLs2を介して3相ブリッジ結線された第2の電力用ダイオード整流器REC2の交流側端子が接続され、また、当該整流器REC2の交流側端子にリカバリ電流抑制リアクトルLa2を介して、3相ブリッジ結線された第2の電圧形自励式電力変換器CNV2の交流側端子が接続される。
また、第1の整流器REC1の直流側端子と第1の電圧形自励式電力変換器CNV1の直流側端子は第1の直流平滑コンデンサCd1に並列接続され、また、第2の整流器REC2の直流側端子と第2の電圧形自励式電力変換器CNV2の直流側端子は第2の直流平滑コンデンサCd2に並列接続され、当該2つの平滑コンデンサCd1とCd2は直列接続される。
また、第1のエネルギー蓄積装置EDLC1は第1の双方向チョッパCHO1を介して前記第1の直流平滑コンデンサCd1に並列接続され、第2のエネルギー蓄積装置EDLC2は第2の双方向チョッパCHO2を介して前記第2の直流平滑コンデンサCd2に並列接続されている。
すなわち、2台の3相ブリッジ結線の電圧形自励式電力変換器CNV1,CNV2及び2台の電力用ダイオード整流器REC1,REC2を組合せ、それぞれに対し、電気角30°位相差を持たせた2組の2次巻線を有する3相変圧器TRを用いて、交流側で並列多重運転し、直流側で直列接続するように構成している。
エネルギー蓄積装置EDLC1,EDLC2として、鉛蓄電池や電気二重層キャパシタ等がある。双方向チョッパCHO1,CHO2は、それぞれ2つのスイッチング素子と、2つの還流ダイオード及び直流リアクトルで構成され、エネルギー蓄積装置EDLC1,EDLC2の充放電電流Ie1,Ie2を制御する。
エネルギー蓄積装置EDLC1,EDLC2は、回生運転時に、その回生エネルギーの一部を吸収し、力行運転時に、蓄積されたエネルギーを放出する。これにより、前記電圧形自励式電力変換器CNV1,CNV2が授受する電力が小さくなり、変換器容量が低減される。また、回生エネルギーの有効利用が可能となる。
図22は、図21の装置の制御回路の実施形態を示すもので、C11,C12,C21,C22は比較器、AD1,AD2は加算器、Gv1(S),Gv2(S)は電圧制御補償回路、Gi1(S),Gi2(S)は電流制御補償回路、Z1,Z2は3相/dq座標変換回路、PLL1,PLL2は電源同期位相検出回路、PHC1,PHC2は位相制御回路をそれぞれ示す。
電圧形自励式電力変換器CNV1及びCNV2は、直流平滑コンデンサCd1及びCd2に印加される電圧Vd1,Vd2が指令値(Vd*/2)にそれぞれ一致するように制御する。
比較器C11により、電圧検出値Vd1と指令値(Vd*/2)と比較し、その偏差εv1を電圧制御補償回路Gv1(S)により、積分又は比例増幅し、加算器AD1に入力する。同様に、比較器C12により、電圧検出値Vd2と指令値(Vd*/2)と比較し、その偏差εv2を電圧制御補償回路Gv2(S)により、積分又は比例増幅し、加算器AD2に入力する。一方、負荷LOADが消費する直流電流ILを検知し、フィードフォワード補償器FFを介して、加算器AD1及びAD2に入力する。加算器AD1の出力Iq1*が電源SUPから第1の電力変換装置CNV1に供給される有効電流の指令値となり、加算器AD2の出力Iq2*が電源SUPから第2の電力変換装置CNV2に供給される有効電流の指令値となる。
座標変換器Z1は、電源SUPから供給される3相入力電流Ic1(Ir1,Is1,It1)の検出値をdq軸(直流量)に変換する。座標変換されたq軸電流Iq1は有効電流検出値を表し、またd軸電流Id1は無効電流検出値を表わす。座標変換器Z2も同様である。
比較器C21により、有効電流指令値Iq1*と有効電流検出値Iq1を比較し、その偏差εi1を電流制御補償回路Gi1(S)により増幅して、位相角指令値φ1*とする。電源同期位相検出回路PLL1は変圧器TRの第1の2次電圧Vr1,Vs1,Vt1に同期した位相信号θr1,θs1,θt1を作り、位相制御回路PHC1に入力する。位相制御回路PHC1は、前記位相角指令値φ1*と位相信号θr1,θs1,θt1を用いて電圧形自励式電力変換器CNV1の自己消弧素子S11〜S16のゲート信号g11〜g16を発生する。
同様に、比較器C32により、有効電流指令値Iq2*と有効電流検出値Iq2を比較し、その偏差εi2を電流制御補償回路Gi2(S)により増幅して、位相角指令値φ2*とする。電源同期位相検出回路PLL2は変圧器TRの第2の2次電圧Vr2,Vs2,Vt2に同期した位相信号θr2,θs2,θt2を作り、位相制御回路PHC2に入力する。位相制御回路PHC2は、前記位相角指令値φ2*と位相信号θr2,θs2,θt2を用いて電圧形自励式電力変換器CNV2の自己消弧素子S21〜S26のゲート信号g21〜g26を発生する。
前記電圧形自励式電力変換器CNV1,CNV2は、電源電圧に同期した一定のパルスパターン(1パルス,3パルス,5パルス等)で電源電圧に対する位相角φ1,φ2を制御することにより、入力電流Ic1,Ic2を制御する。
2組の電力変換装置の入力電流(変圧器TRの2次電流)Ic1,Ic2は独立に制御されるが、定常状態では直流電圧Vd1及びVd2がほぼ同じになり、有効電流指令値Iq1*と、Iq2*がほぼ等しくなるので、入力電流Ic1,Ic2の波高値はほぼ同じ値に制御される。その結果、変圧器の1次電流の高調波が互いに打ち消し合い電流リプルの少ない運転ができる。3組以上の電力変換装置を組み合わせて多重運転した場合には、変圧器TRの1次電流リプルをさらに低減することができる。
電圧形自励式電力変換器CNV1,CNV2は、一定のパルスパターンで、交流電源の電圧Vsに同期したスイッチングを行う。直流電圧Vdが一定ならば、電圧形自励式電力変換器CNV1,CNV2の交流出力電圧Vc1,Vc2の振幅値は一定になる。この状態で、電源電圧Vsに対する出力電圧Vc1,Vc2の位相角φを変えることより、交流リアクトルLs1,Ls2(又は、変圧器TRのもれインダクタンスLx1,Lx2)に印加される電圧が変化し、各電圧形自励式電力変換器CNV1,CNV2の入力電流Ic1,Ic2を調整することができる。電圧形自励式電力変換器CNV1,CNV2を一定のパルスパターンで制御する場合、入力電流Icの高調波成分が小さくなるようにスイッチングパターンを決めるが、変換器力率が1に近いところで動作させることにより、電流Icのゼロ点付近でスイッチングが行われ、n台の電圧形自励式電力変換器CNV1,CNV2を構成する自己消弧素子のしゃ断電流を小さくすることができる。
電源電圧Vsに対する各変換器の出力電圧Vc1,Vc2の位相角φ1,φ2を遅れ方向に増加させることにより、交流電源SUPから供給される有効電力Psが増加する。逆に位相角φ1,φ2を進み方向に増やすと、有効電力Psが交流電源に回生される。
電圧形自励式電力変換器CNV1,CNVnは、直流平滑コンデンサCd1,Cdnに印加される電圧Vd1,Vd2がほぼ一定になるように制御する。その結果、その和電圧Vdo=Vd1+Vd2が一定に制御される。これにより、直流出力電圧の高圧化を図ることができ、入力電流Icの高調波成分が小さく、電力回生が可能で、高力率・高効率で、低コストの電力変換装置を提供できる。
以上は、2台の電圧形自励式電力変換器を用いた場合について説明したが、3台以上の電圧形自励式電力変換器を用いて多重運転できることは言うまでもない。
n台の電圧形自励式電力変換器CNV1〜CNVnで多重運転した場合、当該電圧形自励式電力変換器CNV1〜CNVnは、各直流平滑コンデンサCd1〜Cdnに印加される電圧Vd1〜Vdnがほぼ一定になるように制御する。その結果、その和電圧Vdo=Vd1+Vd2+…+Vdnが一定に制御される。これにより、直流出力電圧の高圧化を図ることができ、入力電流Isの高調波成分が小さく、電力回生が可能で、高力率・高効率で、低コストの電力変換装置を提供できる。
(第9の実施の形態)(請求項9に対応)
図23に示すように、本実施形態の電力変換装置は、第1の変圧器TRaはΔ/Δ結線の3相変圧器、第2の変圧器TRbはΔ/Y結線の3相変圧器で、各2次側電圧は電気角で30°の位相差を持っている。第1の変圧器TRaの2次巻線に交流リアクトルLs1を介して3相ブリッジ結線された第1の電力用ダイオード整流器REC1の交流側端子が接続され、また、当該整流器REC1の交流側端子にリカバリ電流抑制リアクトルLa1を介して、第1の電圧形自励式電力変換器CNV1の交流側端子が接続される。また、第2の変圧器TRbの2次巻線に交流リアクトルLs2を介して3相ブリッジ結線された第2の電力用ダイオード整流器REC2の交流側端子が接続され、また、当該整流器REC2の交流側端子にリカバリ電流抑制リアクトルLa2を介して、第2の電圧形自励式電力変換器CNV2の交流側端子が接続される。また、第1の整流器REC1の直流側端子と第1の電圧形自励式電力変換器CNV1の直流側端子は第1の直流平滑コンデンサCd1に並列接続され、また、第2の整流器REC2の直流側端子と第2の電圧形自励式電力変換器CNV2の直流側端子は第2の直流平滑コンデンサCd2に並列接続され、当該2つの平滑コンデンサCd1とCd2は直列接続される。
また、第1のエネルギー蓄積装置EDLC1は第1の双方向チョッパCHO1を介して前記第1の直流平滑コンデンサCd1に並列接続され、第2のエネルギー蓄積装置EDLC2は第2の双方向チョッパCHO2を介して前記第2の直流平滑コンデンサCd2に並列接続されている。
エネルギー蓄積装置EDLC1,EDLC2として、鉛蓄電池や電気二重層キャパシタ等がある。双方向チョッパCHO1,CHO2は、それぞれ2つのスイッチング素子と、2つの還流ダイオード及び直流リアクトルで構成され、エネルギー蓄積装置EDLC1,EDLC2の充放電電流Ie1,Ie2を制御する。
エネルギー蓄積装置EDLC1,EDLC2は、回生運転時に、その回生エネルギーの一部を吸収し、力行運転時に、蓄積されたエネルギーを放出する。これにより、前記電圧形自励式電力変換器CNV1,CNV2が授受する電力が小さくなり、変換器容量が低減される。また、回生エネルギーの有効利用が可能となる。
前記2台の電圧形自励式電力変換器CNV1,CNV2は、前記交流電源の周波数に同期した一定のパルスパターンで動作させ、前記交流電源の電圧Vsに対する位相角φを調整することにより各電圧形自励式電力変換器CNV1,CNV2の入力電流を制御し、前記直流平滑コンデンサCd1,Cd2に印加される電圧Vd1,Vd2を制御している。
交流側で並列多重運転し、直流側で直列接続するように構成したもので、変換装置の大容量化と、直流出力電圧Vdの高圧化、及び交流電源から供給される入力電流Icの高調波成分の低減を図ることができる。特に、各変換器CNV1,CNV2毎に変圧器TRa,TRbを設けることにより、並列多重運転で流れる横流を低減することができる。
2台の電圧形自励式電力変換器CNV1,CNV2を並列多重運転する場合、当該変換器間に横流が流れる。この横流の大きさは、交流リアクトルLs1,Ls2がない場合、直流電圧Vdの値と前記変圧器TRa,TRbのもれインダクタンス値Lx1,Lx2によってほぼ決定される。
図21の装置のように、1台の変圧器TRに複数の2次巻線を設けて、それぞれに電圧形自励式電力変換器CNV1,CNV2を接続する並列多重運転では、前記変換器間の横流を抑制するのは、2次側のもれインダクタンス値が関係する。しかし、変圧器TRのもれインダクタンス値を2次側だけ大きくするのは難しく、コストも高くなる。変圧器の2次側に外部交流リアクトルLs1,Ls2を挿入することにより、横流を抑制することができるが、当該外部リアクトルLs1,Ls2の分だけコストは高くなってしまう。
本実施形態の装置のように、各変換器CNV1,CNV2毎に、変圧器TRa,TRbを分けることにより、各変圧器TRa,TRbの1次と2次のもれインダクタンス値の和が横流を抑制する作用を果たし、外部リアクトルLs1,Ls2無しで、横流を十分小さな値に抑えることが可能となる。
電圧形自励式電力変換器CNV1,CNV2は、一定のパルスパターンで動作し、交流電源の電圧Vsに同期したスイッチングを行う。直流電圧Vd1及びVd2が一定ならば、電圧形自励式電力変換器CNV1,CNV2の交流出力電圧Vc1,Vc2の振幅値は一定になる。この状態で、電源電圧Vsに対する出力電圧Vc1,Vc2の位相角φを変えることより、変圧器TRa,TRbのもれインダクタンスLx1,Lx2に印加される電圧が変化し、各変換器の入力電流Ic1,Ic2を調整することができる。また多重化により、その合成入力電流Icは歪みの少ない波形に制御できる。
電源電圧Vsに対する各変換器の出力電圧Vc1,Vc2の位相角φを遅れ方向に増加させることにより、交流電源から供給される有効電力Psが増加する。逆に位相角φを進み方向に増やすと、有効電力Psが交流電源に回生される。
電圧形自励式電力変換器CNV1,CNV2を一定のパルスパターンで制御する場合、合成入力電流Icの高調波成分が小さくなるようにスイッチングパターンを決めるが、変換器力率が1に近いため、各変換器の入力電流Ic1,Ic2のゼロ点付近でスイッチングが行われ、電圧形自励式電力変換器CNV1,CNV2を構成する自己消弧素子のしゃ断電流は小さくて済む。これにより、入力電流Isの高調波成分が小さく、電力回生が可能で、高力率・高効率で、低コストの電力変換装置を提供できる。
電圧形自励式電力変換器CNV1,CNV2は、各直流平滑コンデンサCd1,Cd2に印加される電圧Vd1,Vd2がほぼ一定になるように制御する。その結果、その和電圧Vdo=Vd1+Vd2が一定に制御される。これにより、直流出力電圧の高圧化を図ることができ、入力電流Icの高調波成分が小さく、電力回生が可能で、高力率・高効率で、低コストの電力変換装置を提供できる。
以上は、2台の電圧形自励式電力変換器を用いた場合について説明したが、3台以上の電圧形自励式電力変換器を用いて多重運転できることは言うまでもない。
(第10の実施の形態)(請求項10に対応)
第5〜第9の実施形態の電力変換装置において、前記n台の電圧形自励式電力変換器CNV1〜CNVnは、奇数パルスのパルスパターンで動作させ、各電圧形自励式電力変換器CNV1〜CNVnの交流側出力電圧Vc1〜Vcnの基本波のゼロクロス点から電気角(30°/n)以内でスイッチングを行うようにしている。
n台の電圧形自励式電力変換器CNV1〜CNVnの交流側線間電圧Vc1〜Vcnは、多重化により、それぞれ(60°/n)の位相差を有し、入力電流の高調波を低減している。また、前記n台の電圧形自励式電力変換器CNV1〜CNVnを、3パルス,5パルス,…と奇数パルスで動作させることにより、少ない回数のスイッチングで入力電流歪みをさらに小さくできる。
また、交流側出力電圧Vc1〜Vcnの基本波のゼロクロス点から電気角(30°/n)の範囲内でスイッチングを行うことにより、前記n台の電圧形自励式電力変換器CNV1〜CNVnの間で、他の変換器のスイッチングと干渉することなく、入力電流高調波を小さくできる。また、パルス数が増えても、入力電流のゼロクロス付近でスイッチングを行うことができ、自己消弧素子の遮断電流を小さく抑えることができる。
図24は、図16〜図22で示した電力変換装置において、n台の電圧形自励式電力変換器CNV1〜CNVnを5パルスで運転した場合の1台の変換器の動作波形を示す。
図中、Vcriは変換器CNVi(i=1〜n)のR相電圧,VcsiはS相電圧,VcrsiはR−S線間電圧を表す。
電圧形自励式電力変換器CNViの交流出力電圧のR−S線間電圧Vcrsiは、R相電圧Vcriより電気角で30°進みとなる。5パルスのパルスパターンで、交流側R相出力電圧Vcriの基本波のゼロクロス点から電気角0,±δ1,±δ2の角度でスイッチングさせた場合(δ1<δ2<(30°/n))、R−S線間電圧Vcrsiは、当該電圧Vcrsiの基本波のゼロクロス点から、まず、(δ2−δ1)の期間だけ第1の正パルスが出力され、次にδ1の期間だけゼロ電圧があり、さらにδ1の期間だけ第2の正パルスが出力される。ここで、2×δ1>δ2を満足するようにパルスパターンを設定すると、前記第1の正パルスの幅(δ2−δ1)より、前記第2の正パルスの幅δ1が広くなる。すなわち、線間電圧Vcrsiが立ち上がるときは、その基本波のゼロクロス点から、前記第1の正パルス,第2の正パルスと、徐々に幅が広くなっていく。逆に、線間電圧Vcrsiが立ち下がるときは、まず、第2の正パルス(幅:δ1)が発生され、次に第1の正パルス(幅:δ2−δ1)が発生され、徐々に幅が狭くなってゼロクロス点に至る。線間電圧Vcrsiの負側も同様になる。また、他の線間電圧Vcsti,Vctriも同様に制御される。この結果、交流電源SUPから供給される入力電流Ir,Is,Itの歪みが小さくなり、その高調波成分も小さくできる。
n台の電圧形自励式電力変換器CNV1〜CNVnの交流側線間電圧Vc1〜Vcnは、多重化により、それぞれ(60°/n)の位相差を有し、入力電流の高調波を低減している。
また、n台の電圧形自励式電力変換器CNV1〜CNVnは、交流側出力電圧Vc1〜Vcnの基本波のゼロクロス点から電気角(30°/n)の範囲内でスイッチングを行うことにより、前記n台の電圧形自励式電力変換器CNV1〜CNVnの間で、他の変換器のスイッチングと干渉することなく、入力電流高調波を小さくできる。また、パルス数が増えても、入力電流のゼロクロス付近でスイッチングを行うことができ、自己消弧素子の遮断電流を小さく抑えることができる。
(第11の実施の形態)(請求項11に対応)
第5〜第10の実施形態の電力変換装置において、前記エネルギー蓄積装置EDLCは、前記負荷装置Loadからの回生電力が設定値を超えた場合にその超過エネルギーを吸収するように双方向チョッパを制御している。
エネルギー蓄積装置EDLCは、回生運転時に、その回生エネルギーの一部を吸収し、力行運転時に、蓄積されたエネルギーを放出する。これにより、前記n台の電圧形自励式電力変換器CNV1〜CNVnが授受する電力が小さくなり、変換器容量が低減される。また、回生エネルギーの有効利用が可能となる。
電気鉄道の変電所などでは、回生インバータにより電力を回生した場合、その電力はもっぱら所内の負荷に供給する。その所内負荷以上の電力を回生した場合には、余った電力を系統にもどすが、契約上、電気料金には反映されない。
そのため、所内負荷が定常的に消費する電力を回生してやるのが最良の運用方法となる。しかし、回生車両からくる電力は一定ではなく、常に変化しており、回生電力を制限してしまうと、直流き電電圧が上がって回生失効に至る。そこで、前記エネルギー蓄積装置EDLCは、前記負荷装置Loadからの回生電力が設定値を超えた場合にその超過エネルギーを吸収するように双方向チョッパを制御する。これにより、前記n台の電圧形自励式電力変換器CNV1〜CNVnが授受する電力は前記設定値に抑えられ、しかも、その設定値を所内負荷の電力程度にすることにより、電気料金を効率的に節約することができる。
本実施形態の装置によれば、余った回生電力を一旦エネルギー蓄積装置EDLCに蓄えることにより、回生失効を防止し、かつ、所内負荷に必要な電力だけをn台の電圧形自励式電力変換器CNV1〜CNVnから供給できる。さらに、エネルギー蓄積装置EDLCに蓄えたエネルギーを前記n台の電圧形自励式電力変換器CNV1〜CNVnにより、徐々に所内負荷に供給でき、次の回生までにできるだけ多くエネルギーを放出することにより、エネルギー蓄積装置EDLCの容量を低減することが可能となる。当然のことながら、当該蓄積エネルギーは力行車両への供給電力としても有効利用が可能となる。これにより、小さな容量の電圧形自励式電力変換器CNV1〜CNVnと、小さな容量のエネルギー蓄積装置EDLCで、回生失効を防止でき、経済的な電力変換装置を提供することが可能となる。
(第12の実施の形態)(請求項12に対応)
第5〜第11の実施形態の電力変換装置において、前記エネルギー蓄積装置EDLCは、エネルギー吸収の要求がない時に、蓄積されたエネルギーを放出するように双方向チョッパを制御している。
EDLCに蓄積されるエネルギーは、回生電力P×時間tで決まり、時間tが短ければ、電力Pが大きくても蓄積エネルギーとしてはあまり大きくならない。この蓄積エネルギーをエネルギー吸収の要求がない時に、放出するように双方向チョッパを制御することにより、さらに、EDLCの蓄積エネルギーを減らすことができる。電車負荷等では、回生している時間より、力行時間の方が圧倒的に長く、放出電力が小さくても蓄積エネルギーを十分小さくできる。双方向チョッパにより放出されたエネルギーは、電圧形自励式電力変換器CNV1〜CNVnにより電源に回生され、所内負荷等に利用される。これにより、エネルギー蓄積装置EDLCの容量を減らすことができ、さらに経済的な電力変換装置を提供できる。
(第13の実施の形態)(請求項13に対応)
図25に示すように、本実施形態の電力変換装置は、電力用ダイオード整流器RECと電圧形自励式電力変換器CNV及び抵抗装置R1,R2を組み合わせたもので、電車負荷等への電力供給を行うとともに、回生電力を効率良く交流電源SUPにもどし、当該回生電力を所内負荷AC−Load等に利用するものである。特に、回生運転時の過大な電力を抵抗器R1,R2で吸収し、前記電圧形自励式電力変換器CNVの容量低減を図る。
変圧器TRの2次巻線に交流リアクトルLsを介して3相ブリッジ結線された電力用ダイオード整流器RECの交流側端子が接続され、また、当該整流器RECの交流側端子にリカバリ電流抑制リアクトルLaを介して、3相ブリッジ結線された電圧形自励式電力変換器CNVの交流側端子が接続される。なお、交流リアクトルLsは、変圧器TRのもれインダクタンスLxを大きめにすることで省略することもできる。
リカバリ電流抑制リアクトルLaは、電圧形自励式電力変換器CNVの自己消弧素子がオンしたときに電力用ダイオード整流器RECの各ダイオードに過大なリカバリー電流が流れ込むのを抑える役目をする。
負荷装置Loadは、例えば、電車負荷で、力行及び回生運転が行われる。所内負荷AC−Loadは、電鉄変電所内の負荷で、例えば、照明やエアコン等がある。
電圧形自励式電力変換器CNVの制御回路として、直流電圧制御回路AVR,入力電流制御回路ACR1及び位相制御回路PHCなどが用意される。なお、Zは3相電流をdq座標軸の電流に変換する座標変換器である。
また、抵抗に直列接続された開閉器SW1,SW2の動作タイミングを決める開閉器制御回路SWCが用意されている。
以下、順に本実施形態の装置の動作を説明する。
電圧形自励式電力変換器CNVは、直流平滑コンデンサCdに印加される電圧Vdがほぼ一定になるように、入力電流Icを制御する。すなわち、直流電圧指令値Vd*と直流電圧検出値Vdを比較し、その偏差を増幅して入力電流Icの有効分の指令値Iq*を与える。入力電流Icは座標変換器Zにより、3相/dq軸変換され、そのq軸成分Iqが有効電流検出値となる。電流制御回路ACR1により、電流指令値Iq*と有効電流検出値Iqを比較し、その偏差を増幅して、位相制御回路PHCに位相制御信号φ*を与える。位相制御回路PHCは、電源電圧Vsに対する電圧形自励式電力変換器CNVの交流出力電圧Vcの位相角φを前記指令値に従って制御するもので、位相角φ(遅れ)を大きくすることにより、入力電流Icの有効分Iqが増加し、交流電源SUPから負荷装置Loadに電力が供給される。逆に、位相角φを負(進み)方向に増やすと、入力電流Icの有効分Iqは負の値となり、負荷装置Loadからの回生電力を交流電源SUPにもどすことができる。
一方、抵抗器に直列接続された開閉器SW1,SW2は、負荷電流ILの大きさに応じて次のように制御される。
図26は、負荷電流ILに対する抵抗装置(R1とR2)に流れる電流IRと、電圧形自励式電力変換器CNVの直流出力電流Icnvの関係を示したもので、負荷電流IL>0(力行運転)では、開閉器SW1,SW2は開放しておく。そのとき、負荷電流ILは全て電圧形自励式電力変換器CNVから供給される。
回生運転(IL<0)では、例えば、−100%までは、開閉器SW1,SW2は開放しておき、−100%を超えたら開閉器SW1を投入する。さらに、−200%を超えたら開閉器SW2も投入する。これにより、電圧形自励式電力変換器CNVが回生する電力は、最大で−100%に抑えることができる。しかも、抵抗装置(R1,R2)に流れる電流は段階的に切り換えるだけでよく、従来抵抗チョッパ等が必要であったものが、開閉器SW1,SW2を用意するだけで、回生電力を連続的に制御できるようになる。
力行運転(IL>0)では、開閉器SW1,SW2は開放され、電力用ダイオード整流器RECと電圧形自励式電力変換器CNVにより、直流電圧Vdが指令値Vd*に一致するように交流入力電流Icを制御する。その制御については、図2〜図15で説明したものと同様なので、省略する。
図27は、横軸時間に対する回生電力と抵抗装置R1,R2及び電圧形自励式電力変換器CNVの動作の一例を示したもので、回生電力が1000kW以下では、電圧形自励式電力変換器CNVにより、すべて交流電源に回生され、所内負荷AC−Loadに利用される。回生電力1000kWを超えた分だけ、抵抗装置R1,R2に消費させることにより、前記電圧形自励式電力変換器CNVの容量を抑えることが可能となる。このとき、抵抗装置に消費させる電力Pは瞬間的には大きな値となるが、短時間で終わるため、当該抵抗器の容量を大幅に低減できる。すなわち、経済的に優れた電力変換装置を提供できる。
(第14の実施の形態)(請求項14に対応)
第13の実施形態の電力変換装置において、前記抵抗装置R及び開閉器SWは、複数個に分割し、前記負荷装置Loadからの回生電力に応じて、投入個数を変えている。
複数個の抵抗器R1〜Rnと、それぞれに直列接続された複数個の開閉器SW1〜SWnを用意し、回生電力の大きさに応じて、その投入個数を変えることにより、前記電圧形自励式電力変換器CNVの制御すべき電力を小さくすることが可能となる。例えば、回生電力が、0〜3000kWまで連続的に変化する場合、500kWの抵抗器を5台用意し、順次投入台数を増やすことにより、段階的に回生電力を消費することができる。それを連続的に制御するには、500kWの電圧形自励式電力変換器CNVを1台設置すればよい。抵抗器Rが無い場合には、3000kWの電圧形自励式電力変換器CNVが必要であったものが、5分割された抵抗器R1〜R5を設置することにより、変換器CNVの容量を(1/6)に低減できる。
(第15の実施の形態)(請求項15に対応)
第14及び第15の実施形態の電力変換装置において、前記電圧形自励式電力変換器CNVは、前記交流電源SUPの周波数に同期した一定のパルスパターンで動作させ、前記電源電圧Vsに対する位相角φを調整することにより入力電流Icを制御し、かつ、前記直流平滑コンデンサCdに印加される電圧Vdが指令値Vd*に一致するように制御している。
電圧形自励式電力変換器CNVは、交流電源SUPの周波数に同期した一定のパルスパターン(1パルス,3パルス,5パルス等)で動作し、その交流側出力電圧Vcの電源電圧Vsに対する位相角φを制御することにより、入力電流Icを制御する。
パルスパターンを固定すると、直流電圧Vdが一定ならば、電圧Vcの振幅値は一定になる。この状態で、電源電圧Vsに対する出力電圧Vcの位相角φを変えることにより、交流リアクトルLsに(又は変圧器TRのもれインダクタンス)に印加される電圧(Vs−Vc)が変化し、入力電流Ic=(Vs−Vc)/(jω・Ls)を調整することができる。
電源電圧Vsに対する出力電圧Vcの位相角φを遅れ方向に増加させることにより、交流電源から供給される有効電力Psが増加する。逆に位相角φを進み方向に増やすと、有効電力Psが交流電源に回生される。ちなみに、位相角φ=0では、有効電力の授受はない。入力電流Icの位相角は、電源電圧Vsに対し、φ/2又は、π−φ/2となり、入力力率は、cos(φ/2)となる。また、入力電流Icと電圧形自励式電力変換器CNVの交流出力電圧Vcとの位相差は、−φ/2又は、π+φ/2となり、変換器力率は、cos(φ/2)となる。位相角φは、入力電流Icと交流リアクトルLsの値に依存する。位相角φは、過負荷運転時でも高々φ=30°程度で、力率はcos15°=0.966となる。
電圧形自励式電力変換器CNVを一定のパルスパターンで制御する場合、入力電流Icの高調波成分が小さくなるようにスイッチングパターンを決めるが、上記のように変換器力率が1に近いため、電流Icのゼロ点付近でスイッチングが行われ、電圧形自励式電力変換器CNVを構成する自己消弧素子の遮断電流は小さくて済む。
また、電圧形自励式電力変換器CNVの交流側出力電圧の波高値を一定にして位相角φだけを制御するため、変換器の電圧利用率(交流出力電圧の実効値/直流電圧)が高くできる。すなわち、変圧器TRの2次電圧を高くできるため、出力容量が同じならば、変換器の電流容量を小さくでき、自己消弧素子の電流容量の小さいもので済む。
回生運転時も電源力率はほぼ1に制御され、同様に自己消弧素子のスイッチングを入力電流Isのゼロクロス付近で行うことにより、素子のしゃ断電流は小さく抑えることができる。故に、スイッチング損失は大幅に軽減され、しゃ断電流の小さい自己消弧素子で電圧形自励式電力変換器CNVを構成できるようになり、経済的な装置を提供できる。
これにより、電力回生が可能で、高力率・高効率で、低コストの電力変換装置を提供できる。
(第16の実施の形態)(請求項16に対応)
第15の実施形態の電力変換装置において、前記電圧形自励式電力変換器CNVは、奇数パルスのパルスパターンで動作させ、当該変換器CNVの交流側出力電圧Vcの基本波のゼロクロス点から電気角30°以内で、スイッチングを行うようにしている。
1パルスで動作する3相ブリッジ結線の電圧形自励式電力変換器CNVの交流側線間電圧は、直流電圧Vdに対し、電気角120°期間(+Vd),電気角120°期間(−Vd)の矩形波電圧となり、残りの期間(電気角60°が2回)はゼロ電圧を発生する。3パルス,5パルス,…と奇数パルスで動作させることにより、少ない回数のスイッチングで入力電流歪みを小さくできる。また、交流側出力電圧Vcの基本波のゼロクロス点から電気角30°の範囲内でスイッチングを行うことにより、前記1パルス動作でのゼロ電圧発生期間(電気角60°)の半分を利用してスイッチングが行われ、他の相のスイッチングと干渉することなく、入力電流高調波を小さくできる。また、パルス数が増えても、入力電流のゼロクロス付近でスイッチングを行うことができ、自己消弧素子の遮断電流を小さく抑えることができる。
(第17の実施の形態)(請求項17に対応)
図28に示すように、本実施形態の電力変換装置では、3相変圧器TRの1次巻線はΔ結線され、第1の2次巻線はΔ結線,第2の2次巻線はY結線されている。すなわち、変圧器TRの第1の2次電圧Vr1,Vs1,Vt1に対し、第2の2次電圧Vr2,Vs2,Vt2はそれぞれ、電気角で30°ずつ位相がずれている。変圧器TRの第1の2次巻線に交流リアクトルLs1を介して3相ブリッジ結線された第1の電力用ダイオード整流器REC1の交流側端子が接続され、また、当該整流器REC1の交流側端子にリカバリ電流抑制リアクトルLa1を介して、3相ブリッジ結線された第1の電圧形自励式電力変換器CNV1の交流側端子が接続される。また、変圧器TRの第2の2次巻線に交流リアクトルLs2を介して3相ブリッジ結線された第2の電力用ダイオード整流器REC2の交流側端子が接続され、また、当該整流器REC2の交流側端子にリカバリ電流抑制リアクトルLa2を介して、3相ブリッジ結線された第2の電圧形自励式電力変換器CNV2の交流側端子が接続される。すなわち、電力用ダイオード整流器と自励式電力変換器を2組用意し、変圧器TRにより並列多重運転するように構成している。
2台の電圧形自励式電力変換器CNV1,CNV2は、前記交流電源SUPの周波数に同期した一定のパルスパターンで動作させ、前記交流電源の電圧Vsに対する位相角φを調整することにより交流入力電流Icを制御している。電圧形自励式電力変換器CNV1,CNV2の制御動作は、既に、図2〜図15を用いて説明したものと同様である。
前記2台の電圧形自励式電力変換器CNV1,CNV2は、一定のパルスパターンで動作し、交流電源の電圧Vsに同期したスイッチングを行う。直流電圧Vdが一定ならば、電圧形自励式電力変換器CNV1,CNV2の交流出力電圧Vc1,Vc2の振幅値は一定になる。この状態で、電源電圧Vsに対する出力電圧Vc1,Vc2の位相角φを変えることより、交流リアクトルLs1,Ls2に印加される電圧が変化し、入力電流Ic1,Ic2を調整することができる。また、多重化により、その合成電流Ic=Ic1+Ic2は、歪みの少ない波形に制御できる。
電源電圧Vsに対する各変換器の出力電圧Vc1,Vc2の位相角φを遅れ方向に増加させることにより、交流電源から供給される有効電力Psが増加する。逆に位相角φを進み方向に増やすと、有効電力Psが交流電源に回生される。
電圧形自励式電力変換器CNV1,CNV2を一定のパルスパターンで制御する場合、入力電流Ic=Ic1+Ic2の高調波成分が小さくなるようにスイッチングパターンを決めるが、変換器力率が1に近いため、電流Ic1,Ic2のゼロ点付近でスイッチングが行われ、電圧形自励式電力変換器CNV1,CNV2を構成する自己消弧素子のしゃ断電流は小さくて済む。これにより、入力電流Icの高調波成分が小さく、電力回生が可能で、高力率・高効率で、低コストの電力変換装置を提供できる。
抵抗器R1,R2に直列接続された開閉器SW1,SW2は、負荷電流ILの大きさに応じて次のように制御される。
負荷電流IL>0(力行運転)では、開閉器SW1,SW2は開放しておく。そのとき、負荷電流ILは全て電力用ダイオード整流器REC1,REC2及び電圧形自励式電力変換器CNV1,CNV2から供給される。
回生運転(IL<0)では、例えば、−100%までは、開閉器SW1,SW2は開放しておき、−100%を超えたら開閉器SW1を投入する。さらに、−200%を超えたら開閉器SW2も投入する。これにより、電圧形自励式電力変換器CNVが回生する電力は、最大で−100%に抑えることができる。しかも、抵抗装置(R1,R2)に流れる電流は段階的に切り換えるだけでよく、従来抵抗チョッパ等が必要であったものが、開閉器SW1,SW2を用意するだけで、回生電力を連続的に制御できるようになる。
以上は、2台の変換器を用いて並列2多重運転の実施形態について説明したが、n台の変換器とn台の変圧器を用いて、並列n多重運転を行うことにより、変換装置の大容量化と、さらなる入力電流高調波の低減が図れることは言うまでもない。
本実施形態の装置によれば、抵抗装置(R1,R2)を開放/投入するだけの開閉器を設置すればよく、非常に安価な装置で、回生失効の防止と、自励式電力変換器容量の低減を達成できる。
(第18の実施の形態)(請求項18に対応)
図29に示すように、本実施形態の電力変換装置は、2台の電圧形自励式電力変換器CNV1,CNV2及び2台の電力用ダイオード整流器REC1,REC2に対し、2次巻線の出力電圧が電気角30°の位相差を持つように構成した2台の3相変圧器TRa,TRbを用いて、交流側で並列多重運転し、直流側で並列接続するように構成している。例えば、Δ/Δ結線の3相変圧器TRaとΔ/Y結線の3相変圧器TRbが使われる。
第1の変圧器TRaの2次巻線に交流リアクトルLs1を介して3相ブリッジ結線された第1の電力用ダイオード整流器REC1の交流側端子が接続され、また、当該整流器REC1の交流側端子に、リカバリ電流抑制リアクトルLa1を介して、第1の電圧形自励式電力変換器CNV1の交流側端子が接続される。また、第2の変圧器TRbの2次巻線に交流リアクトルLs2を介して第2の電力用ダイオード整流器REC2の交流側端子が接続され、また、当該整流器REC2の交流側端子に、リカバリ電流抑制リアクトルLa2を介して、第2の電圧形自励式電力変換器CNV2の交流側端子が接続される。
2台の電圧形自励式電力変換器CNV1,CNV2は、前記交流電源SUPの周波数に同期した一定のパルスパターンで動作させ、前記交流電源の電圧Vsに対する位相角φを調整することにより交流入力電流Icを制御している。
2台の電圧形自励式電力変換器CNV1,CNV2を並列多重運転する場合、当該変換器CNV1,CNV2間に横流が流れる。この横流の大きさは、交流リアクトルLs1,Ls2がない場合、直流電圧Vdの値と前記2台の変圧器TRa,TRbのもれインダクタンス値Lx1,Lx2によってほぼ決定される。
図27のように、1台の変圧器TRに複数の2次巻線を設けて、それぞれに電圧形自励式電力変換器CNV1,CNV2を接続する並列多重運転では、変換器間の横流を抑制するのは、2次側のもれインダクタンス値が関係する。しかし、変圧器TRのもれインダクタンス値を2次側だけ大きくするのは難しく、コストも高くなる。変圧器の2次側に外部交流リアクトルLs1,Ls2を挿入することにより、横流を抑制することができるが、当該外部リアクトルの分だけコストは高くなってしまう。
本発明のように、各変換器CNV1,CNV2毎に、変圧器TRa,TRbを分けることにより、各変圧器TRa,TRbの1次と2次のもれインダクタンス値の和が横流を抑制する作用を果たし、外部リアクトルLs無しで、横流を十分小さな値に抑えることが可能となる。
前記2台の電圧形自励式電力変換器CNV1,CNV2は、一定のパルスパターンで動作し、交流電源の電圧Vsに同期したスイッチングを行う。直流電圧Vdが一定ならば、電圧形自励式電力変換器CNV1,CNV2の交流出力電圧Vc1,Vc2の振幅値は一定になる。この状態で、電源電圧Vsに対する出力電圧Vc1,Vc2の位相角φを変えることより、交流リアクトルLs1,Ls2に印加される電圧が変化し、入力電流Ic1,Ic2を調整することができる。また、多重化により、その合成電流Ic=Ic1+Ic2は、歪みの少ない波形に制御できる。
電源電圧Vsに対する各変換器の出力電圧Vc1,Vc2の位相角φを遅れ方向に増加させることにより、交流電源から供給される有効電力Psが増加する。逆に位相角φを進み方向に増やすと、有効電力Psが交流電源に回生される。
電圧形自励式電力変換器CNV1,CNV2を一定のパルスパターンで制御する場合、入力電流Ic=Ic1+Ic2の高調波成分が小さくなるようにスイッチングパターンを決めるが、変換器力率が1に近いため、電流Ic1,Ic2のゼロ点付近でスイッチングが行われ、電圧形自励式電力変換器CNV1,CNV2を構成する自己消弧素子のしゃ断電流は小さくて済む。これにより、入力電流Icの高調波成分が小さく、電力回生が可能で、高力率・高効率で、低コストの電力変換装置を提供できる。
以上は、2台の変換器を用いて並列2多重運転の実施形態について説明したが、n台の変換器とn台の変圧器を用いて、並列n多重運転を行うことにより、変換装置の大容量化と、さらなる入力電流高調波の低減が図れることは言うまでもない。
抵抗器R1,R2に直列接続された開閉器SW1,SW2は、負荷電流ILの大きさに応じて次のように制御される。
負荷電流IL>0(力行運転)では、開閉器SW1,SW2は開放しておく。そのとき、負荷電流ILは全て電力用ダイオード整流器REC1,REC2及び電圧形自励式電力変換器CNV1,CNV2から供給される。
回生運転(IL<0)では、例えば、−100%までは、開閉器SW1,SW2は開放しておき、−100%を超えたら開閉器SW1を投入する。さらに、−200%を超えたら開閉器SW2も投入する。これにより、電圧形自励式電力変換器CNV1,CNV2が回生する電力は、最大で−100%に抑えることができる。しかも、抵抗装置(R1,R2)に流れる電流は段階的に切り換えるだけでよく、従来抵抗チョッパ等が必要であったものが、開閉器SW1,SW2を用意するだけで、回生電力を連続的に制御できるようになる。
本実施形態の装置によれば、抵抗装置(R1,R2)を開放/投入するだけの開閉器を設置すればよく、非常に安価な装置で、回生失効の防止と、自励式電力変換器容量の低減を達成できる。
(第19の実施の形態)(請求項19に対応)
図30に示すように、本実施形態の電力変換装置では、第1の変圧器TRaは1次巻線がオープンスター、2次巻線がΔ結線となっており、第2の変圧器TRbはΔ/Δ結線されている。3相電源SUPのR相端子は、変圧器TRaの1次R相巻線の1つの端子に接続され、1次R相巻線のもう1つの端子(中点側)が変圧器TRbの1次R相端子接続される。S相,T相も同様である。すなわち、変圧器TRaの2次電圧Vr1,Vs1,Vt1に対し、変圧器TRbの2次電圧Vr2,Vs2,Vt2はそれぞれ、電気角で30°ずつ位相がずれている。
第1の変圧器TRaの2次巻線に交流リアクトルLs1を介して3相ブリッジ結線された第1の電力用ダイオード整流器REC1の交流側端子が接続され、また、当該整流器REC1の交流側端子にリカバリ電流抑制リアクトルLa1を介して、3相ブリッジ結線された第1の電圧形自励式電力変換器CNV1の交流側端子が接続される。また、第2の変圧器TRbの2次巻線に交流リアクトルLs2を介して3相ブリッジ結線された第2の電力用ダイオード整流器REC2の交流側端子が接続され、また、当該整流器REC2の交流側端子にリカバリ電流抑制リアクトルLa2を介して、3相ブリッジ結線された第2の電圧形自励式電力変換器CNV2の交流側端子が接続される。整流器REC1,REC2及び電圧形自励式電力変換器CNV1,CNV2の直流側端子は並列接続され、直流平滑コンデンサCdに接続されている。
すなわち、2台の電力用ダイオード整流器REC1,REC2及び2台の電圧形自励式電力変換器CNV1,CNV2を用意し、1次巻線を直列接続し、電気角30°の位相差を持たせた2次巻線を有する2台の3相変圧器TRa,TRbを用いて、直列多重運転するように構成している。
この装置では、2台の変圧器TRa,TRbのもれインダクタンスを利用することにより、交流リアクトルLs1,Ls2を省略することもできる。もちろん、外部に交流リアクトルLs1,Ls2を設けても原理的には同じになる。
前記電圧形自励式電力変換器CNV1,CNV2は、一定のパルスパターン(1パルス,3パルス,5パルス等)で動作し、交流電源の電圧Vsに同期したスイッチングを行う。直流電圧Vdが一定ならば、電圧形自励式電力変換器CNV1,CNV2の交流出力電圧Vc1,Vc2の振幅値は一定になる。この状態で、電源電圧Vsに対する各変換器出力電圧の和Vc=Vc1+Vc2の位相角φを変えることより、交流リアクトルの和Lso=Ls1+Ls2に印加される電圧が変化し、入力電流Ic(Ir,Is,It)を制御することができる。この装置では、2台の変圧器TRaとTRbが1次側で直列接続されているので、2台の電圧形自励式電力変換器CNV1,CNV2の入力電流は同じになり、高調波の少ない電流となる。また、多重化により、その入力電流Icは、極めて歪みの少ない波形に制御できる。
電源電圧Vsに対する各変換器の出力電圧の和Vc=Vc1+Vc2の位相角φを遅れ方向に増加させることにより、交流電源から供給される有効電力Psが増加する。逆に位相角φを進み方向に増やすと、有効電力Psが交流電源に回生される。
以上は、2台の電力変換装置を用いた例を示したが、3台以上の電力変換装置を用いて直列多重運転できることは言うまでもない。
一方、抵抗器R1,R2に直列接続された開閉器SW1,SW2は、負荷電流ILの大きさに応じて次のように制御される。
負荷電流IL>0(力行運転)では、開閉器SW1,SW2は開放しておく。そのとき、負荷電流ILは全て電力用ダイオード整流器REC1,REC2及び電圧形自励式電力変換器CNV1,CNV2から供給される。
回生運転(IL<0)では、例えば、−100%までは、開閉器SW1,SW2は開放しておき、−100%を超えたら開閉器SW1を投入する。さらに、−200%を超えたら開閉器SW2も投入する。これにより、電圧形自励式電力変換器CNV1,CNV2が回生する電力は、最大で−100%に抑えることができる。しかも、抵抗装置(R1,R2)に流れる電流は段階的に切り換えるだけでよく、従来抵抗チョッパ等が必要であったものが、開閉器SW1,SW2を用意するだけで、回生電力を連続的に制御できるようになる。
本装置によれば、変換装置の大容量化と、交流電源から供給される入力電流Isの高調波成分の低減を図ることができる。特に、直列多重運転により、各変換器に流れる交流側入力電流の高調波成分を低減することができ、電圧形自励式電力変換器CNV1〜CNVnの制御パルス数を少なくできる利点がある。また、3相変圧器のもれインダクタンス分を利用することにより、従来の交流リアクトルを省略することが可能となる。これにより、電力回生が可能で、高効率・低コストな電力変換装置を提供することができる。
また、本実施形態の装置によれば、抵抗装置(R1,R2)を開放/投入するだけの開閉器を設置すればよく、非常に安価な装置で、回生失効の防止と、自励式電力変換器容量の低減を達成できる。
(第20の実施の形態)(請求項20に対応)
図31に示すように、本実施形態の電力変換装置では、変圧器TRの1次巻線はΔ結線され、第1の2次巻線はΔ結線,第2の2次巻線はY結線されている。すなわち、変圧器TRの第1の2次電圧Vr1,Vs1,Vt1に対し、第2の2次電圧Vr2,Vs2,Vt2はそれぞれ、電気角で30°ずつ位相がずれている。
変圧器TRの第1の2次巻線に交流リアクトルLs1を介して3相ブリッジ結線された第1の電力用ダイオード整流器REC1の交流側端子が接続され、また、当該整流器REC1の交流側端子にリカバリ電流抑制リアクトルLa1を介して、3相ブリッジ結線された第1の電圧形自励式電力変換器CNV1の交流側端子が接続される。また、変圧器TRの第2の2次巻線に交流リアクトルLs2を介して3相ブリッジ結線された第2の電力用ダイオード整流器REC2の交流側端子が接続され、また、当該整流器REC2の交流側端子にリカバリ電流抑制リアクトルLa2を介して、3相ブリッジ結線された第2の電圧形自励式電力変換器CNV2の交流側端子が接続される。また、第1の整流器REC1の直流側端子と第1の電圧形自励式電力変換器CNV1の直流側端子は第1の直流平滑コンデンサCd1に並列接続され、また、第2の整流器REC2の直流側端子と第2の電圧形自励式電力変換器CNV2の直流側端子は第2の直流平滑コンデンサCd2に並列接続され、当該2つの平滑コンデンサCd1とCd2は直列接続される。
すなわち、2台の電力用ダイオード整流器REC1,REC2及び2台の電圧形自励式電力変換器CNV1,CNV2を用い、電気角30°位相差を持たせた2組の2次巻線を有する3相変圧器TRを用いて、交流側で並列多重運転し、直流側で直列接続するように構成している。
前記電圧形自励式電力変換器CNV1及びCNV2は、直流平滑コンデンサCd1及びCd2に印加される電圧Vd1,Vd2が指令値(Vd*/2)にそれぞれ一致するように制御する。
また、前記電圧形自励式電力変換器CNV1,CNV2は、電源電圧に同期した一定のパルスパターン(1パルス,3パルス,5パルス等)で電源電圧に対する位相角φ1,φ2を制御することにより、入力電流Ic1,Ic2を制御する。
2組の電力変換装置の入力電流(変圧器TRの2次電流)Ic1,Ic2は独立に制御されるが、定常状態では直流電圧Vd1及びVd2がほぼ同じになり、有効電流指令値Iq1*と、Iq2*がほぼ等しくなるので、入力電流Ic1,Ic2の波高値はほぼ同じ値に制御される。その結果、変圧器の1次電流の高調波が互いに打ち消し合い電流リプルの少ない運転ができる。3組以上の電力変換装置を組み合わせて多重運転した場合には、変圧器TRの1次電流リプルをさらに低減することができる。
電圧形自励式電力変換器CNV1,CNV2は、一定のパルスパターンで、交流電源の電圧Vsに同期したスイッチングを行う。直流電圧Vdが一定ならば、電圧形自励式電力変換器CNV1,CNV2の交流出力電圧Vc1,Vc2の振幅値は一定になる。この状態で、電源電圧Vsに対する出力電圧Vc1,Vc2の位相角φを変えることより、交流リアクトルLs1,Ls2(又は、変圧器TRのもれインダクタンスLx1,Lx2)に印加される電圧が変化し、各電圧形自励式電力変換器CNV1,CNV2の入力電流Ic1,Ic2を調整することができる。電圧形自励式電力変換器CNV1,CNV2を一定のパルスパターンで制御する場合、入力電流Isの高調波成分が小さくなるようにスイッチングパターンを決めるが、変換器力率が1に近いところで動作させることにより、電流Isのゼロ点付近でスイッチングが行われ、n台の電圧形自励式電力変換器CNV1,CNV2を構成する自己消弧素子のしゃ断電流を小さくすることができる。
電源電圧Vsに対する各変換器の出力電圧Vc1,Vc2の位相角φ1,φ2を遅れ方向に増加させることにより、交流電源SUPから供給される有効電力Psが増加する。逆に位相角φ1,φ2を進み方向に増やすと、有効電力Psが交流電源に回生される。
電圧形自励式電力変換器CNV1,CNV2は、それぞれ直流平滑コンデンサCd1,Cdnに印加される電圧Vd1,Vd2がほぼ一定になるように制御する。その結果、その和電圧Vdo=Vd1+Vd2が一定に制御される。これにより、直流出力電圧の高圧化を図ることができ、入力電流Isの高調波成分が小さく、電力回生が可能で、高力率・高効率で、低コストの電力変換装置を提供できる。
一方、抵抗器Rに直列接続された開閉器SWは、負荷電流ILの大きさに応じて次のように制御される。
負荷電流IL>0(力行運転)では、開閉器SWは開放しておく。そのとき、負荷電流ILは全て電力用ダイオード整流器REC1,REC2及び電圧形自励式電力変換器CNV1,CNV2から供給される。
回生運転(IL<0)では、例えば、一定の回生電力までは、開閉器SWは開放しておき、回生電力が設定値を超えたら開閉器SWを投入する。これにより、電圧形自励式電力変換器CNV1,CNV2が回生する最大電力を抑えることができる。しかも、抵抗装置Rに流れる電流は段階的に切り換えるだけでよく、従来抵抗チョッパ等が必要であったものが、開閉器SWを用意するだけで、回生電力を連続的に制御できるようになる。
以上は、2台の電力用ダイオード整流器REC1,REC2及び電圧形自励式電力変換器CNV1,CNV2を用いた場合について説明したが、3台以上の電圧形自励式電力変換器を用いて多重運転できることは言うまでもない。
n台の電圧形自励式電力変換器CNV1〜CNVnで多重運転した場合、当該電圧形自励式電力変換器CNV1〜CNVnは、各直流平滑コンデンサCd1〜Cdnに印加される電圧Vd1〜Vdnがほぼ一定になるように制御する。その結果、その和電圧Vdo=Vd1+Vd2+…+Vdnが一定に制御される。これにより、直流出力電圧の高圧化を図ることができ、入力電流Isの高調波成分が小さく、電力回生が可能で、高力率・高効率で、低コストの電力変換装置を提供できる。
本実施形態の装置によれば、抵抗装置Rを開放/投入するだけの開閉器を設置すればよく、非常に安価な装置で、回生失効の防止と、自励式電力変換器容量の低減を達成することができる。
(第21の実施の形態)(請求項21に対応)
図32に示すように、本実施形態の電力変換装置は、2台の電圧形自励式電力変換器CNV1,CNV2及び2台の電力用ダイオード整流器REC1,REC2に対し、2次巻線の出力電圧が電気角30°の位相差を持つように構成した2台の3相変圧器TRa,TRbを用いて、交流側で並列多重運転し、直流側で直列接続するように構成している。例えば、Δ/Δ結線の3相変圧器TRaとΔ/Y結線の3相変圧器TRbが使われる。
第1の変圧器TRaの2次巻線に交流リアクトルLs1を介して3相ブリッジ結線された第1の電力用ダイオード整流器REC1の交流側端子が接続され、また、当該整流器REC1の交流側端子に、リカバリ電流抑制リアクトルLa1を介して、第1の電圧形自励式電力変換器CNV1の交流側端子が接続される。また、第2の変圧器TRbの2次巻線に交流リアクトルLs2を介して第2の電力用ダイオード整流器REC2の交流側端子が接続され、また、当該整流器REC2の交流側端子に、リカバリ電流抑制リアクトルLa2を介して、第2の電圧形自励式電力変換器CNV2の交流側端子が接続される。また、第1の整流器REC1の直流側端子と第1の電圧形自励式電力変換器CNV1の直流側端子は直流平滑コンデンサCd1に並列接続され、また、第2の整流器REC2の直流側端子と第2の電圧形自励式電力変換器CNV2の直流側端子は直流平滑コンデンサCd2に並列接続され、当該2つの平滑コンデンサCd1とCd2は直列接続される。
すなわち、交流側で並列多重運転し、直流側で直列接続するように構成したもので、変換装置の大容量化と、直流出力電圧Vdの高圧化、及び交流電源から供給される入力電流Isの高調波成分の低減を図ることができる。特に、各変換器CNV1,CNV2毎に変圧器TRa,TRbを設けることにより、並列多重運転で流れる横流を低減することができる。
2台の電圧形自励式電力変換器CNV1,CNV2を並列多重運転する場合、当該変換器間に横流が流れる。この横流の大きさは、交流リアクトルLs1,Ls2がない場合、直流電圧Vdの値と前記変圧器TRa,TRbのもれインダクタンス値Lx1,Lx2によってほぼ決定される。
図31の装置のように、1台の変圧器TRに複数の2次巻線を設けて、それぞれに電圧形自励式電力変換器CNV1,CNV2を接続する並列多重運転では、前記変換器間の横流を抑制するのは、2次側のもれインダクタンス値が関係する。しかし、変圧器TRのもれインダクタンス値を2次側だけ大きくするのは難しく、コストも高くなる。変圧器の2次側に外部交流リアクトルLs1,Ls2を挿入することにより、横流を抑制することができるが、当該外部リアクトルLs1,Ls2の分だけコストは高くなってしまう。
本実施形態の装置のように、各変換器CNV1,CNV2毎に、変圧器TRa,TRbを分けることにより、各変圧器TRa,TRbの1次と2次のもれインダクタンス値の和が横流を抑制する作用を果たし、外部リアクトルLs1,Ls2無しで、横流を十分小さな値に抑えることが可能となる。
前記2台の電圧形自励式電力変換器CNV1,CNV2は、前記交流電源の周波数に同期した一定のパルスパターンで動作させ、前記交流電源の電圧Vsに対する位相角φを調整することにより各電圧形自励式電力変換器CNV1,CNV2の入力電流を制御し、前記直流平滑コンデンサCd1,Cd2に印加される電圧Vd1,Vd2を制御している。
電圧形自励式電力変換器CNV1,CNV2は、一定のパルスパターンで動作し、交流電源の電圧Vsに同期したスイッチングを行う。直流電圧Vd1及びVd2が一定ならば、電圧形自励式電力変換器CNV1,CNV2の交流出力電圧Vc1,Vc2の振幅値は一定になる。この状態で、電源電圧Vsに対する出力電圧Vc1,Vc2の位相角φを変えることより、交流リアクトルLs1,Ls2(又は変圧器TRa,TRbのもれインダクタンスLx1,Lx2)に印加される電圧が変化し、各変換器の入力電流Ic1,Ic2を調整することができる。また多重化により、その合成入力電流Icは歪みの少ない波形に制御できる。
電源電圧Vsに対する各変換器の出力電圧Vc1,Vc2の位相角φを遅れ方向に増加させることにより、交流電源から供給される有効電力Psが増加する。逆に位相角φを進み方向に増やすと、有効電力Psが交流電源に回生される。
電圧形自励式電力変換器CNV1,CNV2を一定のパルスパターンで制御する場合、合成入力電流Icの高調波成分が小さくなるようにスイッチングパターンを決めるが、変換器力率が1に近いため、各変換器の入力電流Ic1,Ic2のゼロ点付近でスイッチングが行われ、電圧形自励式電力変換器CNV1,CNV2を構成する自己消弧素子のしゃ断電流は小さくて済む。これにより、入力電流Icの高調波成分が小さく、電力回生が可能で、高力率・高効率で、低コストの電力変換装置を提供できる。
電圧形自励式電力変換器CNV1,CNV2は、各直流平滑コンデンサCd1,Cd2に印加される電圧Vd1,Vd2がほぼ一定になるように制御する。その結果、その和電圧Vdo=Vd1+Vd2が一定に制御される。これにより、直流出力電圧の高圧化を図ることができ、入力電流の高調波成分が小さく、電力回生が可能で、高力率・高効率で、低コストの電力変換装置を提供できる。
以上は、2台の電力用ダイオード整流器REC1,REC2と2台の電圧形自励式電力変換器CNV1,CNV2を用いた場合について説明したが、3台以上の電力用ダイオード整流器及び電圧形自励式電力変換器を用いて多重運転できることは言うまでもない。
一方、抵抗器Rに直列接続された開閉器SWは、負荷電流ILの大きさに応じて次のように制御される。
負荷電流IL>0(力行運転)では、開閉器SWは開放しておく。そのとき、負荷電流ILは全て電力用ダイオード整流器REC1,REC2及び電圧形自励式電力変換器CNV1,CNV2から供給される。
回生運転(IL<0)では、例えば、一定の回生電力までは、開閉器SWは開放しておき、回生電力が設定値を超えたら開閉器SWを投入する。これにより、電圧形自励式電力変換器CNV1,CNV2が回生する最大電力を抑えることができる。しかも、抵抗装置Rに流れる電流は段階的に切り換えるだけでよく、従来抵抗チョッパ等が必要であったものが、開閉器SWを用意するだけで、回生電力を連続的に制御できるようになる。
本実施形態の装置によれば、抵抗装置Rを開放/投入するだけの開閉器を設置すればよく、非常に安価な装置で、回生失効の防止と、自励式電力変換器容量の低減を達成することができる。
(第22の実施の形態)(請求項22に対応)
第17〜第21の実施形態の電力変換装置において、前記n台の電圧形自励式電力変換器CNV1〜CNVnは、奇数パルスのパルスパターンで動作させ、各電圧形自励式電力変換器CNV1〜CNVnの交流側出力電圧Vc1〜Vcnの基本波のゼロクロス点から電気角(30°/n)以内でスイッチングを行うようにしている。
n台の電圧形自励式電力変換器CNV1〜CNVnの交流側線間電圧Vc1〜Vcnは、多重化により、それぞれ(60°/n)の位相差を有し、入力電流の高調波を低減している。また、前記n台の電圧形自励式電力変換器CNV1〜CNVnを、3パルス,5パルス,…と奇数パルスで動作させることにより、少ない回数のスイッチングで入力電流歪みをさらに小さくできる。
また、交流側出力電圧Vc1〜Vcnの基本波のゼロクロス点から電気角(30°/n)の範囲内でスイッチングを行うことにより、前記n台の電圧形自励式電力変換器CNV1〜CNVnの間で、他の変換器のスイッチングと干渉することなく、入力電流高調波を小さくできる。また、パルス数が増えても、入力電流のゼロクロス付近でスイッチングを行うことができ、自己消弧素子の遮断電流を小さく抑えることができる。
(第23の実施の形態)(請求項23に対応)
第17〜第22の実施形態の電力変換装置において、前記開閉器SWは、前記負荷装置Loadからの回生電力が設定値を超えた場合に投入することにより、前記抵抗装置Rを前記平滑コンデンサCdに並列接続するようにしている。
前記開閉器SWを前記負荷装置Loadからの回生電力が設定値を超えた場合に投入することにより、前記抵抗装置Rを前記直流平滑コンデンサCdに並列接続する。これにより、前記電圧形自励式電力変換器CNV1〜CNVnが回生する電力が小さくなり、変換器容量が低減される。さらに、従来抵抗装置Rに電力を消費させる場合、その消費電力を制御するために大容量の抵抗チョッパ装置が必要とされたが、本実施形態の装置によれば、抵抗装置Rを開放/投入するだけの開閉器を設置すればよく、非常に安価な装置で、回生失効の防止と、自励式電力変換器容量の低減を達成できる。
(第24の実施の形態)(請求項24に対応)
第17〜第23の実施形態の電力変換装置において、前記抵抗装置R及び前記開閉器SWは、複数個に分割し、前記負荷装置Loadからの回生電力に応じて、投入個数を変えている。
複数個の抵抗器R1〜Rnと、それぞれに直列接続された複数個の開閉器SW1〜SWnを用意し、回生電力の大きさに応じて、その投入個数を変えることにより、前記電圧形自励式電力変換器CNV1〜CNVnの制御すべき電力を小さくすることが可能となる。例えば、回生電力が、0〜3000kWまで連続的に変化する場合、500kWの抵抗器を5台用意し、順次投入台数を増やすことにより、段階的に回生電力を消費することができる。それを連続的に制御するには、500kWの自励式電力変換器を設置すればよい。抵抗器Rが無い場合には、3000kWの自励式電力変換器が必要であったものが、5分割された抵抗器R1〜R5を設置することにより、自励式電力変換器の容量を(1/6)に低減できる。
(第25の実施の形態)(請求項25に対応)
図33に示すように、本実施形態の電力変換装置は、変圧器TRの2次巻線に交流リアクトルLsを介して電力用ダイオード整流器RECの交流側端子が接続され、当該整流器RECの交流側端子にリカバリ電流抑制リアクトルLaを介して電圧形自励式電力変換器CNVの交流側端子が接続される。整流器RECと電圧形自励式電力変換器CNVのそれぞれの直流側端子は並列接続され、直流平滑コンデンサCdに接続される。
エネルギー蓄積装置EDLCとして、鉛蓄電池や電気二重層キャパシタ等がある。例えば、エネルギー蓄積装置EDLCとして電気二重層キャパシタを使った場合、その蓄積エネルギーは、(1/2)Ce×Ve2となり、印加電圧Veの2乗に比例する。双方向チョッパCHOは、スイッチング素子Qa,Qbと、還流ダイオードDa,Db及び直流リアクトルLeで構成され、エネルギー蓄積装置EDLCの充放電電流Ieを制御する。負荷装置Loadは、例えば、電車負荷で、力行及び回生運転が行われる。所内負荷AC−Loadは、電鉄変電所内の負荷で、例えば、照明やエアコン等がある。
電圧形自励式電力変換器CNVの制御回路として、直流電圧制御回路AVR,入力電流制御回路ACR1及び位相制御回路PHCなどが用意される。
また、双方向チョッパCHOの制御回路として、電流指令発生器REF,充放電電流制御回路ACR2,パルス幅変調制御回路PWMが用意されている。
さらに、抵抗に直列接続された開閉器SWの動作タイミングを決める開閉器制御回路SWCが用意されている。
以下、順に本実施形態の装置の動作を説明する。
電圧形自励式電力変換器CNVは、直流平滑コンデンサCdに印加される電圧Vdがほぼ一定になるように、入力電流Icを制御する。すなわち、直流電圧指令値Vd*と直流電圧検出値Vdを比較し、その偏差を増幅して入力電流Icの有効分の指令値Iq*を与える。入力電流Icは座標変換器Zにより、3相/dq軸変換され、そのq軸成分Iqが有効電流検出値となる。電流制御回路ACR1により、電流指令値Iq*と有効電流検出値Iqを比較し、その偏差を増幅して、位相制御回路PHCに位相制御信号φ*を与える。位相制御回路PHCは、電源電圧Vsに対する電圧形自励式電力変換器CNVの交流出力電圧Vcの位相角φを前記指令値に従って制御するもので、位相角φ(遅れ)を大きくすることにより、入力電流Icの有効分Iqが増加し、交流電源SUPから負荷装置Loadに電力が供給される。逆に、位相角φを負(進み)方向に増やすと、入力電流Icの有効分Iqは負の値となり、負荷装置Loadからの回生電力を交流電源SUPにもどすことができる。
一方、抵抗器Rに直列接続された開閉器SWは、負荷電流ILの大きさに応じて次のように制御される。
負荷電流IL>0(力行運転)では、開閉器SWは開放しておく。そのとき、負荷電流ILは電力用ダイオード整流器REC及び電圧形自励式電力変換器CNV又はエネルギー蓄積装置EDLCから供給される。
回生運転(IL<0)では、例えば、一定の回生電力P2までは、開閉器SWは開放しておき、当該設定値P2を超えたら開閉器SWを投入する。これにより、電圧形自励式電力変換器CNV及びエネルギー蓄積装置EDLCへ回生する最大電力を小さく抑えることができる。しかも、抵抗装置Rに流れる電流は段階的に切り換えるだけでよく、従来抵抗チョッパ等が必要であったものが、開閉器SWを用意するだけで、回生電力を連続的に制御できるようになる。
また、双方向チョッパCHOは、次のように制御される。エネルギー蓄積装置EDLCの充放電電流Ieの指令値Ie*は、負荷電流ILと抵抗装置の電流IRとの和(IL+IR)及び前記EDLCの印加電圧Veの値によって決定する。
和電流(IL+IR)が負で、その電流値が設定値Iaより小さい場合は、前記電圧形自励式電力変換器CNVによって、当該回生電力PLを交流電源SUPにもどす。(IL+IR)>Iaとなった場合には、その差分(IL+IR−Ia)の相当する電力(PL+PR−Pa)だけ、エネルギー蓄積装置EDLCに充電するように電流指令値Ie*を与える。
図34は、双方向チョッパCHOの制御回路構成の実施形態を示すもので、当該双方向チョッパCHOとエネルギー蓄積装置EDLC及び抵抗装置Rの主回路構成も示す。
図中、LIMはリミッタ回路、ADpは加減算器、Keは比例定数、AS1,AS2は切換え回路、COMはレベル比較器、HYSはヒステリシス特性を持つ比較器、Cは比較器、Gie(S)は電流制御回路、PWMはパルス幅変調制御回路をそれぞれ表す。
まず、負荷電力PLと抵抗装置の消費電力PRの和(PL+PR)求め、リミッタ回路LIMを介して、交流電源SUPに回生する電力Paを求める。次に、加減算器ADpにより、Pe=Pa−(PL+PR)を求め、Keで定数倍(1/Ve)することにより、充電電流指令値Ie*を与える。力行運転では、負荷電流ILは図の矢印の方向に流れ、負荷電力PLが正となる。(PL+PR)>0の場合、リミット回路LIMは、そのまま、Pa=(PL+PR)を出力する。従って、加減算器ADpの出力は、Pe=Pa−(PL+PR)=0となる。ただし、PL>0の場合、開閉器SWは開放しているので、PR=0となっている。
回生運転では、負荷電流ILは図矢印と反対向きに流れ、負荷電力PLは負となる。(PL+PR)<0の場合、リミット回路LIMは、設定値−PLOまでは、Pa=(PL+PR)を出力する。従って、−PLO<(PL+PR)では、加減算器ADpの出力は、Pe=Pa−(PL+PR)=0となる。しかし、−PLO>(PL+PR)では、Pa=−PLOとなり、エネルギー蓄積装置EDLCに充電する電力指令値Peは、Pe=Pa−(PL+PR)=−PLO−(PL+PR)で与えられる。
エネルギー蓄積装置EDLCの印加電圧をVeとした場合、充電電流指令値Ie*は、前記電力指令値Peに対し、Ie*=Pe/Veで与えられる。比較器C3により、当該電流指令値Ie*とエネルギー蓄積装置EDLCへの充電電流検出値Ieを比較し、その偏差εe=Ie*−Ieを次の電流制御回路Gie(S)で増幅し、前記双方向チョッパCHOの電圧指令値e*としてPWM制御回路に入力する。PWM制御回路では、三角波のキャリア信号X(例えば、周波数fc=1kHz)と前記電圧指令値e*を比較し、スイッチング素子Qa,Qbのゲート信号ga,gbを与える。すなわち、
e*≧Xのとき、ga=1(gb=0)で、素子Qa:オン(Qb:オフ)
e*<Xのとき、gb=1(ga=0)で、素子Qb:オン(Qa:オフ)
となる。
Ie*>Ieとなった場合、偏差εeは正の値となり、スイッチング素子Qaのオン期間を増やす。その結果、直流リアクトルLeに印加される電圧が上昇し、充電電流Ieを増加させる。逆に、Ie*<Ieとなった場合、偏差εeは負の値となり、スイッチング素子Qaのオン期間を減らす。その結果、直流リアクトルLeに印加される電圧が低下し、充電電流Ieを減少させる。このようにして、定常的に、Ie*=Ieとなるように制御される。電流指令値Ie*を負にすれば、エネルギー蓄積装置EDLCから放電電流Ie(図の矢印と反対向き)を流すことができる。
エネルギー蓄積装置EDLCとして電気二重層キャパシタを用いた場合、その蓄積エネルギーは、印加電圧Veの値に関係する。すなわち、キャパシタ容量をCeとした場合、蓄積エネルギーは、(1/2)Ce×Ve2となる。ヒステリシス特性を持つ比較器HYSは、電圧Veが設定値Ve1を超えた場合には、出力信号「1」を発生し、切換え回路AS1を接点「1」に切り換える。逆に、電圧Veが設定値Ve2(<Ve1)より小さくなった場合には、出力信号「0」を発生し、切換え回路AS1を接点「0」に切り換える。AS1の接点「0」には、前述の指令値Ie*=Pe/Veが入力され、回生運転時の充電電流指令が与えられる。また、接点「1」には、切り換え回路AS2からの信号が入力され、ゼロ又は放電電流指令が与えられる。
図35は、図33の装置の運転特性の一例を示すもので、電車負荷で、列車が停止するまでの時間tに対する列車速度V,電気ブレーキ力F,及び回生電力PLを表す。ブレーキ力Fを一定と仮定した場合、回生電力PLは、PL=F×Vとなり、列車速度が低くなれば、回生電力PLも小さくなることを表している。
負荷Loadからの回生電力PLが第1の設定値P1より小さい場合は、その全てを電圧形自励式電力変換器CNVを介して電源に回生する。
回生電力PLが第1の設定値P1より大きく、第2の設定値P2より小さい場合には、電圧形自励式電力変換器CNVによりP1だけ電源SUPに回生し、残りの電力(PL−P1)をエネルギー蓄積装置EDLCに充電する。
この第1の設定値P1を所内負荷AC−Loadが消費する電力程度に合わせることにより、より効率的に電気料金を節約することが可能となる。
さらに、回生電力PLが第2の設定値P2より大きくなった場合には、開閉器SWを投入し、抵抗器Rにより電力PRを消費させ、残りの電力(PL−PR)を電圧形自励式電力変換器CNV及びエネルギー蓄積装置EDLCにより回生する。この場合でも、まず、P1だけ自励式電力変換装置CNVにより電源SUPに回生し、最後に残った分(PL−PR−P1)をエネルギー蓄積装置EDLCに回生する。
すなわち、電圧形自励式電力変換器CNVを介して電源SUPに回生される電力はほぼ一定しており、当該電圧形自励式電力変換器CNVの容量は設定値P1分だけ用意すればよい。
また、抵抗器Rによって消費する電力はPRであるが、回生電力PLが第2の設定値P2を超えたときだけ開閉器SWが投入されるので、時間的には短く、熱容量としては大きなものは必要ない。
さらに、エネルギー蓄積装置EDLCに蓄積される電力は、(PL−P1)又は(PL+PR−P1)となり、双方向チョッパの容量が低減でき、同時に、エネルギー蓄積装置EDLCの蓄積容量も低減することが可能となる。
停止直前では、車両速度Vが低くなるため、電圧形自励式電力変換器CNVを介して電源SUPにもどす電力が小さくなるので、そのときには、EDLCに蓄えたエネルギーを放出することにより、電源への回生電力が一定に保つことができる。これにより、電源SUPへの回生電力が安定化され、電圧形自励式電力変換器CNVの容量を抑えることができ、かつ、エネルギー蓄積装置EDLCの蓄積容量も低減することが可能となる。
(第26の実施の形態)(請求項26に対応)
第25の実施形態の電力変換装置において、前記エネルギー蓄積装置EDLCは、エネルギー吸収の要求がない時に、蓄積されたエネルギーを放出するように前記双方向チョッパを制御している。
図34において、比較器COMは、負荷電流ILを入力し、IL>0(力行運転)で「1」を出力し、IL<0(回生運転)で「0」を出力する。切り換え回路AS2は、比較器COMからの信号が「0」又は「1」のとき、それぞれ接点「0」又は「1」に接続する。AS2の接点「0」にはゼロ電流指令が与えられ、接点「1」には一定値指令−Ieo*(放電)が与えられる。
すなわち、エネルギー蓄積装置EDLCの電圧Veが高くなり、Ve>Ve1となった場合、切り換え回路AS2の出力が電流指令Ie*を与える。そのとき、負荷電流ILが負の場合(回生運転)、前記電流指令値Ie*=0として、エネルギー蓄積装置EDLCへの充電を止める。負荷電流ILが正の場合(力行運転)、前記電流指令値として、−Ieo*(放電指令)を与えてEDLCの蓄積エネルギーを放出する。このとき、蓄積エネルギーの有効利用が図れる。次の回生要求が来るまでに、EDLCの蓄積エネルギーを下げればよいので、前記設定値−Ieo*(放電指令)をあまり大きくする必要は無い。
IL<0で、Ve>Ve1の場合、Ie*=0が与えられ、エネルギー蓄積装置EDLCへの充電は無く、回生電力は電圧形自励式電力変換器CNVを介して、交流電源SUPへ電力回生される。これにより、エネルギー蓄積装置の貯蔵容量をむやみに大きくすることなく、回生失効の防止とエネルギーの有効利用が図れ、経済的な電力変換装置を提供できる。
(第27の実施の形態)(請求項27に対応)
第25及び第26の実施形態の電力変換装置において、前記電圧形自励式電力変換器CNVは、前記交流電源SUPの周波数に同期した一定のパルスパターンで動作させ、前記電源電圧Vsに対する位相角φを調整することにより入力電流Icを制御し、かつ、前記直流平滑コンデンサCdに印加される電圧Vdが指令値Vd*に一致するように制御している。
電圧形自励式電力変換器CNVは、交流電源SUPの周波数に同期した一定のパルスパターン(1パルス,3パルス,5パルス等)で動作し、その交流側出力電圧Vcの電源電圧Vsに対する位相角φを制御することにより、入力電流Icを制御する。
パルスパターンを固定すると、直流電圧Vdが一定ならば、電圧Vcの振幅値は一定になる。この状態で、電源電圧Vsに対する出力電圧Vcの位相角φを変えることにより、交流リアクトルLs(又は変圧器TRのもれインダクタンス)に印加される電圧(Vs−Vc)が変化し、入力電流Ic=(Vs−Vc)/(jω・Ls)を調整することができる。
電源電圧Vsに対する出力電圧Vcの位相角φを遅れ方向に増加させることにより、交流電源から供給される有効電力Psが増加する。逆に位相角φを進み方向に増やすと、有効電力Psが交流電源に回生される。ちなみに、位相角φ=0では、有効電力の授受はない。入力電流Icの位相角は、電源電圧Vsに対し、φ/2又は、π−φ/2となり、入力力率は、cos(φ/2)となる。また、入力電流Icと電圧形自励式電力変換器CNVの交流出力電圧Vcとの位相差は、−φ/2又は、π+φ/2となり、変換器力率は、cos(φ/2)となる。位相角φは、入力電流Icと交流リアクトルLsの値に依存する。位相角φは、過負荷運転時でも高々φ=30°程度で、力率はcos15°=0.966となる。
電圧形自励式電力変換器CNVを一定のパルスパターンで制御する場合、入力電流Icの高調波成分が小さくなるようにスイッチングパターンを決めるが、上記のように変換器力率が1に近いため、電流Icのゼロ点付近でスイッチングが行われ、電圧形自励式電力変換器CNVを構成する自己消弧素子の遮断電流は小さくて済む。
また、電圧形自励式電力変換器CNVの交流側出力電圧の波高値を一定にして位相角φだけを制御するため、変換器の電圧利用率(交流出力電圧の実効値/直流電圧)が高くできる。すなわち、変圧器TRの2次電圧を高くできるため、出力容量が同じならば、変換器の電流容量を小さくでき、自己消弧素子の電流容量の小さいもので済む。
回生運転時も電源力率はほぼ1に制御され、同様に自己消弧素子のスイッチングを入力電流Icのゼロクロス付近で行うことにより、素子のしゃ断電流は小さく抑えることができる。故に、スイッチング損失は大幅に軽減され、しゃ断電流の小さい自己消弧素子で電圧形自励式電力変換器CNVを構成できるようになり、経済的な装置を提供できる。
これにより、電力回生が可能で、高力率・高効率で、低コストの電力変換装置を提供できる。
(第28の実施の形態)(請求項28に対応)
第27の実施形態の電力変換装置において、前記電圧形自励式電力変換器CNVは、奇数パルスのパルスパターンで動作させ、当該変換器CNVの交流側出力電圧Vcの基本波のゼロクロス点から電気角30°以内で、スイッチングを行うようにしている。
1パルスで動作する3相ブリッジ結線の電圧形自励式電力変換器CNVの交流側線間電圧は、直流電圧Vdに対し、電気角120°期間(+Vd),電気角120°期間(−Vd)の矩形波電圧となり、残りの期間(電気角60°が2回)はゼロ電圧を発生する。3パルス,5パルス,…と奇数パルスで動作させることにより、少ない回数のスイッチングで入力電流歪みを小さくできる。また、交流側出力電圧Vcの基本波のゼロクロス点から電気角30°の範囲内でスイッチングを行うことにより、前記1パルス動作でのゼロ電圧発生期間(電気角60°)の半分を利用してスイッチングが行われ、他の相のスイッチングと干渉することなく、入力電流高調波を小さくできる。また、パルス数が増えても、入力電流のゼロクロス付近でスイッチングを行うことができ、自己消弧素子の遮断電流を小さく抑えることができる。
(第29の実施の形態)(請求項29に対応)
図36に示すように、本実施形態の電力変換装置では、変圧器TRの1次巻線はΔ結線され、第1の2次巻線はΔ結線,第2の2次巻線はY結線されている。すなわち、変圧器TRの第1の2次電圧Vr1,Vs1,Vt1に対し、第2の2次電圧Vr2,Vs2,Vt2はそれぞれ、電気角で30°ずつ位相がずれている。
変圧器TRの第1の2次巻線に交流リアクトルLs1を介して第1の電力用ダイオード整流器REC1の交流側端子が接続され、また、当該整流器REC1の交流側端子にリカバリ電流抑制リアクトルLa1を介して第1の電圧形自励式電力変換器CNV1の交流側端子が接続される。また、変圧器TRの第2の2次巻線に交流リアクトルLs2を介して第2の電力用ダイオード整流器REC2の交流側端子が接続され、また、当該整流器REC2の交流側端子にリカバリ電流抑制リアクトルLa2を介して第2の電圧形自励式電力変換器CNV2の交流側端子が接続される。また、当該整流器REC1,REC2及び前記電圧形自励式電力変換器CNV1,CNV2のそれぞれの直流側端子は、直流平滑コンデンサCdに並列接続されている。
2台の電圧形自励式電力変換器CNV1,CNV2は、前記交流電源SUPの周波数に同期した一定のパルスパターンで動作させ、前記交流電源の電圧Vsに対する位相角φを調整することにより交流入力電流Icを制御している。
前記2台の電圧形自励式電力変換器CNV1,CNV2は、一定のパルスパターンで動作し、交流電源の電圧Vsに同期したスイッチングを行う。直流電圧Vdが一定ならば、電圧形自励式電力変換器CNV1,CNV2の交流出力電圧Vc1,Vc2の振幅値は一定になる。この状態で、電源電圧Vsに対する出力電圧Vc1,Vc2の位相角φを変えることより、交流リアクトルLs1,Ls2に印加される電圧が変化し、入力電流Ic1,Ic2を調整することができる。また、多重化により、その合成電流Ic=Ic1+Ic2は、歪みの少ない波形に制御できる。
電源電圧Vsに対する各変換器の出力電圧Vc1,Vc2の位相角φを遅れ方向に増加させることにより、交流電源から供給される有効電力Psが増加する。逆に位相角φを進み方向に増やすと、有効電力Psが交流電源に回生される。
電圧形自励式電力変換器CNV1,CNV2を一定のパルスパターンで制御する場合、入力電流Icの高調波成分が小さくなるようにスイッチングパターンを決めるが、変換器力率が1に近いため、電流Ic1,Ic2のゼロ点付近でスイッチングが行われ、電圧形自励式電力変換器CNV1,CNV2を構成する自己消弧素子のしゃ断電流は小さくて済む。これにより、入力電流Icの高調波成分が小さく、電力回生が可能で、高力率・高効率で、低コストの電力変換装置を提供できる。
一方、抵抗装置Rに直列接続された開閉器SWは、負荷電流ILの大きさに応じて次のように制御される。
力行運転(負荷電流IL>0)では、開閉器SWは開放しておく。そのとき、負荷電流ILは電力用ダイオード整流器REC1,REC2及び電圧形自励式電力変換器CNV1,CNV2又はエネルギー蓄積装置EDLCから供給される。
回生運転(IL<0)では、例えば、一定の回生電力P2までは、開閉器SWは開放しておき、当該回生電力P2を超えたら開閉器SWを投入する。これにより、電圧形自励式電力変換器CNV1,CNV2及び双方向チョッパCHOが回生する最大電力を抑えることができる。しかも、抵抗装置Rに流れる電流は段階的に切り換えるだけでよく、従来抵抗チョッパ等が必要であったものが、開閉器SWを用意するだけで、回生電力を連続的に制御できるようになる。
エネルギー蓄積装置EDLCとして、鉛蓄電池や電気二重層キャパシタ等がある。例えば、エネルギー蓄積装置EDLCとして電気二重層キャパシタを使った場合、その蓄積エネルギーは、(1/2)Ce×Ve2となり、印加電圧Veの2乗に比例する。双方向チョッパCHOは、スイッチング素子Qa,Qbと、還流ダイオードDa,Db及び直流リアクトルLeで構成され、エネルギー蓄積装置EDLCの充放電電流Ieを制御する。
エネルギー蓄積装置EDLCは、回生運転時に、その回生エネルギーの一部を吸収し、力行運転時に、蓄積されたエネルギーを放出する。これにより、前記電圧形自励式電力変換器CNV1,CNV2が授受する電力が小さくなり、変換器容量が低減される。また、回生エネルギーの有効利用が可能となる。
以上は、2台の電力ダイオード整流器REC1,REC2と2台の電圧形自励式電力変換器CNV1,CNV2を用いて並列2多重運転した場合の実施形態について説明したが、n台の変換器とn台の変圧器を用いて、並列n多重運転を行うことにより、変換装置の大容量化と、さらなる入力電流高調波の低減が図れることは言うまでもない。
本実施形態の装置によれば、抵抗装置Rを開放/投入するだけの開閉器を設置すればよく、非常に安価な装置で、回生失効の防止と、自励式電力変換器容量の低減とエネルギー蓄積装置の容量低減を達成できる。
(第30の実施の形態)(請求項30に対応)
図37に示すように、本実施形態の電力変換装置では、第1の3相変圧器TRaはΔ/Δ結線され、第2の3相変圧器TRbはΔ/Y結線されている。第1の変圧器TRaの2次巻線に交流リアクトルLs1を介して第1の電力用ダイオード整流器REC1の交流側端子が接続され、また、当該整流器REC1の交流側端子にリカバリ電流抑制リアクトルLa1を介して第1の電圧形自励式電力変換器CNV1の交流側端子が接続される。また、第2の変圧器TRbの2次巻線に交流リアクトルLs2を介して第2の電力用ダイオード整流器REC2の交流側端子が接続され、また、当該整流器REC2の交流側端子にリカバリ電流抑制リアクトルLa2を介して第2の電圧形自励式電力変換器CNV2の交流側端子が接続される。また、当該整流器REC1,REC2及び前記電圧形自励式電力変換器CNV1,CNV2のそれぞれの直流側端子は並列接続され、直流平滑コンデンサCdに接続されている。
すなわち、2台の電力用ダイオード整流器REC1,REC2及び2台の電圧形自励式電力変換器CNV1,CNV2に対し、2次巻線の出力電圧が電気角30°の位相差を持つように構成した2台の3相変圧器TRa,TRbを用いて、交流側で並列多重運転し、直流側で並列接続するように構成している。
2台の電圧形自励式電力変換器CNV1,CNV2は、前記交流電源SUPの周波数に同期した一定のパルスパターンで動作させ、前記交流電源の電圧Vsに対する位相角φを調整することにより交流入力電流Icを制御している。
2台の電圧形自励式電力変換器CNV1,CNV2を並列多重運転する場合、当該変換器CNV1,CNV2間に横流が流れる。この横流の大きさは、直流電圧Vdの値と前記2台の変圧器TRa,TRbのもれインダクタンス値Lx1,Lx2(又は交流リアクトルLs1,Ls2)によってほぼ決定される。
図36のように、1台の変圧器TRに複数の2次巻線を設けて、それぞれに電圧形自励式電力変換器CNV1,CNV2を接続する並列多重運転では、交流リアクトルLs1,Ls2がない場合、変換器間の横流を抑制するのは、2次側のもれインダクタンス値が関係する。しかし、変圧器TRのもれインダクタンス値を2次側だけ大きくするのは難しく、コストも高くなる。変圧器の2次側に外部交流リアクトルLs1,Ls2を挿入することにより、横流を抑制することができるが、当該外部リアクトルの分だけコストは高くなってしまう。
本発明のように、各変換器CNV1,CNV2毎に、変圧器TRa,TRbを分けることにより、各変圧器TRa,TRbの1次と2次のもれインダクタンス値の和が横流を抑制する作用を果たし、外部リアクトルLs無しで、横流を十分小さな値に抑えることが可能となる。
前記2台の電圧形自励式電力変換器CNV1,CNV2は、一定のパルスパターンで動作し、交流電源の電圧Vsに同期したスイッチングを行う。直流電圧Vdが一定ならば、電圧形自励式電力変換器CNV1,CNV2の交流出力電圧Vc1,Vc2の振幅値は一定になる。この状態で、電源電圧Vsに対する出力電圧Vc1,Vc2の位相角φを変えることより、交流リアクトルLs1,Ls2に印加される電圧が変化し、入力電流Ic1,Ic2を調整することができる。また、多重化により、その合成電流Ic=Ic1+Ic2は、歪みの少ない波形に制御できる。
電源電圧Vsに対する各変換器の出力電圧Vc1,Vc2の位相角φを遅れ方向に増加させることにより、交流電源から供給される有効電力Psが増加する。逆に位相角φを進み方向に増やすと、有効電力Psが交流電源に回生される。
電圧形自励式電力変換器CNV1,CNV2を一定のパルスパターンで制御する場合、入力電流Icの高調波成分が小さくなるようにスイッチングパターンを決めるが、変換器力率が1に近いため、電流Ic1,Ic2のゼロ点付近でスイッチングが行われ、電圧形自励式電力変換器CNV1,CNV2を構成する自己消弧素子のしゃ断電流は小さくて済む。これにより、入力電流Icの高調波成分が小さく、電力回生が可能で、高力率・高効率で、低コストの電力変換装置を提供できる。
エネルギー蓄積装置EDLCとして、鉛蓄電池や電気二重層キャパシタ等がある。双方向チョッパCHOは、スイッチング素子Qa,Qb、還流ダイオードDa,Db及び直流リアクトルLeで構成され、エネルギー蓄積装置EDLCの充放電電流Ieを制御する。
エネルギー蓄積装置EDLCは、回生運転時に、その回生エネルギーの一部を吸収し、力行運転時に、蓄積されたエネルギーを放出する。これにより、前記電圧形自励式電力変換器CNV1,CNV2が授受する電力が小さくなり、変換器容量が低減される。また、回生エネルギーの有効利用が可能となる。
一方、抵抗装置Rに直列接続された開閉器SWは、負荷電流ILの大きさに応じて次のように制御される。
力行運転(負荷電流IL>0)では、開閉器SWは開放しておく。そのとき、負荷電流ILは電力用ダイオード整流器REC1,REC2及び電圧形自励式電力変換器CNV1,CNV2と、エネルギー蓄積装置EDLCから供給される。
回生運転(IL<0)では、例えば、一定の回生電力P2までは、開閉器SWは開放しておき、当該設定値P2を超えたら開閉器SWを投入する。これにより、電圧形自励式電力変換器CNV1,CNV2及び双方向チョッパCHOが回生する最大電力を抑えることができる。しかも、抵抗装置Rに流れる電流は段階的に切り換えるだけでよく、従来抵抗チョッパ等が必要であったものが、開閉器SWを用意するだけで、回生電力を連続的に制御できるようになる。
本実施形態の装置によれば、抵抗装置Rを開放/投入するだけの開閉器SWを設置すればよく、非常に安価な装置で、回生失効の防止と、自励式電力変換器容量の低減とエネルギー蓄積装置EDLCの容量低減を達成できる。
以上は、2台の変換器を用いて並列2多重運転の実施形態について説明したが、n台の変換器とn台の変圧器を用いて、n並列多重運転を行うことにより、変換装置の大容量化と、さらなる入力電流高調波の低減が図れることは言うまでもない。
(第31の実施の形態)(請求項31に対応)
図38に示すように、本実施形態の電力変換装置では、変圧器TRaは1次巻線がオープンスター、2次巻線がΔ結線となっており、変圧器TRbはΔ/Δ結線されている。3相電源SUPのR相端子は、変圧器TRaの1次R相巻線の1つの端子に接続され、1次R相巻線のもう1つの端子(中点側)が変圧器TRbの1次R相端子接続される。S相,T相も同様である。すなわち、変圧器TRaの2次電圧Vr1,Vs1,Vt1に対し、変圧器TRbの2次電圧Vr2,Vs2,Vt2はそれぞれ、電気角で30°ずつ位相がずれている。
第1の変圧器TRaの2次巻線に交流リアクトルLs1を介して第1の電力用ダイオード整流器REC1の交流側端子が接続され、また、当該整流器REC1の交流側端子にリカバリ電流抑制リアクトルLa1を介して第1の電圧形自励式電力変換器CNV1の交流側端子が接続される。また、第2の変圧器TRbの2次巻線に交流リアクトルLs2を介して第2の電力用ダイオード整流器REC2の交流側端子が接続され、また、当該整流器REC2の交流側端子にリカバリ電流抑制リアクトルLa2を介して第2の電圧形自励式電力変換器CNV2の交流側端子が接続される。また、当該整流器REC1,REC2及び前記電圧形自励式電力変換器CNV1,CNV2のそれぞれの直流側端子は並列接続され、直流平滑コンデンサCdに接続されている。
すなわち、2台の電力用ダイオード整流器REC1,REC2及び2台の電圧形自励式電力変換器CNV1,CNV2を用意し、1次巻線を直列接続し、電気角30°の位相差を持たせた2次巻線を有する2台の3相変圧器TRa,TRb を用いて、交流側で直列多重運転するように構成している。
この装置では、2台の変圧器のもれインダクタンスを利用することにより、交流リアクトルLs1,Ls2を省略することもできる。もちろん、外部に交流リアクトルLs1,Ls2を設けても原理的には同じになる。
前記電圧形自励式電力変換器CNV1,CNV2は、一定のパルスパターン(1パルス,3パルス,5パルス等)で動作し、交流電源の電圧Vsに同期したスイッチングを行う。直流電圧Vdが一定ならば、電圧形自励式電力変換器CNV1,CNV2の交流出力電圧Vc1,Vc2の振幅値は一定になる。この状態で、電源電圧Vsに対する各変換器出力電圧の和Vc=Vc1+Vc2の位相角φを変えることより、交流リアクトルの和Lso=Ls1+Ls2の和に印加される電圧が変化し、入力電流Ic(Ir,Is,It)を制御することができる。この装置では、2台の変圧器TRaとTRbが1次側で直列接続されているので、2台の電圧形自励式電力変換器CNV1,CNV2の入力電流は同じになり、高調波の少ない電流となる。また、多重化により、その入力電流Icは、極めて歪みの少ない波形に制御できる。
電源電圧Vsに対する各変換器の出力電圧の和Vc=Vc1+Vc2の位相角φを遅れ方向に増加させることにより、交流電源から供給される有効電力Psが増加する。逆に位相角φを進み方向に増やすと、有効電力Psが交流電源に回生される。
以上は、2台の電力変換装置を用いた例を示したが、3台以上の電力変換装置を用いて直列多重運転できることは言うまでもない。
本装置によれば、変換装置の大容量化と、交流電源から供給される入力電流Icの高調波成分の低減を図ることができる。特に、直列多重運転により、各変換器に流れる交流側入力電流の高調波成分を低減することができ、電圧形自励式電力変換器CNV1〜CNVnの制御パルス数を少なくできる利点がある。また、3相変圧器のもれインダクタンス分を利用することにより、従来の交流リアクトルを省略することが可能となる。これにより、電力回生が可能で、高効率・低コストな電力変換装置を提供することができる。
エネルギー蓄積装置EDLCとして、鉛蓄電池や電気二重層キャパシタ等がある。双方向チョッパCHOは、スイッチング素子Qa,Qb、還流ダイオードDa,Db及び直流リアクトルLeで構成され、エネルギー蓄積装置EDLCの充放電電流Ieを制御する。
エネルギー蓄積装置EDLCは、回生運転時に、その回生エネルギーの一部を吸収し、力行運転時に、蓄積されたエネルギーを放出する。これにより、前記電圧形自励式電力変換器CNV1,CNV2が授受する電力が小さくなり、変換器容量が低減される。また、回生エネルギーの有効利用が可能となる。
一方、抵抗器Rに直列接続された開閉器SWは、負荷電流ILの大きさに応じて次のように制御される。
負荷電流IL>0(力行運転)では、開閉器SWは開放しておく。そのとき、負荷電流ILは電力用ダイオード整流器REC1,REC2及び電圧形自励式電力変換器CNV1,CNV2と、エネルギー蓄積装置EDLCから供給される。
回生運転(IL<0)では、例えば、一定の回生電力P2までは、開閉器SWは開放しておき、当該設定値P2を超えたら開閉器SWを投入する。これにより、電圧形自励式電力変換器CNV1,CNV2及び双方向チョッパCHOが回生する最大電力を抑えることができる。しかも、抵抗装置Rに流れる電流は段階的に切り換えるだけでよく、従来抵抗チョッパ等が必要であったものが、開閉器SWを用意するだけで、回生電力を連続的に制御できるようになる。
本実施形態の装置によれば、抵抗装置Rを開放/投入するだけの開閉器SWを設置すればよく、非常に安価な装置で、回生失効の防止と、自励式電力変換器容量の低減及びエネルギー蓄積装置の容量低減を達成できる。
(第32の実施の形態)(請求項32に対応)
図39に示すように、本実施形態の電力変換装置は、2台の3相ブリッジ結線の電圧形自励式電力変換器CNV1,CNV2用い、電気角30°位相差を持たせた2組の2次巻線を有する3相変圧器TRを用いて、交流側で並列多重運転し、直流側で直列接続するように構成している。本実施形態では、変圧器の1次巻線はΔ結線され、第1の2次巻線はΔ結線,第2の2次巻線はY結線されている。すなわち、変圧器TRの第1の2次電圧Vr1,Vs1,Vt1に対し、第2の2次電圧Vr2,Vs2,Vt2はそれぞれ、電気角で30°ずつ位相がずれている。
3相変圧器TRの第1の2次巻線に交流リアクトルLs1を介して第1の電力用ダイオード整流器REC1の交流側端子が接続され、また、当該整流器REC1の交流側端子にリカバリ電流抑制リアクトルLa1を介して第1の電圧形自励式電力変換器CNV1の交流側端子が接続される。また、3相変圧器TRの第2の2次巻線に交流リアクトルLs2を介して第2の電力用ダイオード整流器REC2の交流側端子が接続され、また、当該整流器REC2の交流側端子にリカバリ電流抑制リアクトルLa2を介して第2の電圧形自励式電力変換器CNV2の交流側端子が接続される。また、第1の整流器REC1の直流側端子と第1の電圧形自励式電力変換器CNV1の直流側端子は直流平滑コンデンサCd1に並列接続され、また、第2の整流器REC2の直流側端子と第2の電圧形自励式電力変換器CNV2の直流側端子は直流平滑コンデンサCd2に並列接続され、当該2つの平滑コンデンサCd1とCd2は直列接続される。
また、第1のエネルギー蓄積装置EDLC1は第1の双方向チョッパCHO1を介して前記第1の直流平滑コンデンサCd1に並列接続され、第2のエネルギー蓄積装置EDLC2は第2の双方向チョッパCHO2を介して前記第2の直流平滑コンデンサCd2に並列接続されている。
電圧形自励式電力変換器CNV1及びCNV2は、直流平滑コンデンサCd1及びCd2に印加される電圧Vd1,Vd2が指令値(Vd*/2)にそれぞれ一致するように制御する。
前記電圧形自励式電力変換器CNV1,CNV2は、電源電圧に同期した一定のパルスパターン(1パルス,3パルス,5パルス等)で電源電圧に対する位相角φ1,φ2を制御することにより、入力電流Ic1,Ic2を制御する。
2組の電力変換装置の入力電流(変圧器TRの2次電流)Ic1,Ic2は独立に制御されるが、定常状態では直流電圧Vd1及びVd2がほぼ同じになり、有効電流指令値Iq1*と、Iq2*がほぼ等しくなるので、入力電流Ic1,Ic2の波高値はほぼ同じ値に制御される。その結果、変圧器の1次電流の高調波が互いに打ち消し合い電流リプルの少ない運転ができる。3組以上の電力変換装置を組み合わせて多重運転した場合には、変圧器TRの1次電流リプルをさらに低減することができる。
電圧形自励式電力変換器CNV1,CNV2は、一定のパルスパターンで、交流電源の電圧Vsに同期したスイッチングを行う。直流電圧Vdが一定ならば、電圧形自励式電力変換器CNV1,CNV2の交流出力電圧Vc1,Vc2の振幅値は一定になる。この状態で、電源電圧Vsに対する出力電圧Vc1,Vc2の位相角φを変えることより、交流リアクトルLs1,Ls2(又は、変圧器TRのもれインダクタンスLx1,Lx2)に印加される電圧が変化し、各電圧形自励式電力変換器CNV1,CNV2の入力電流Ic1,Ic2を調整することができる。電圧形自励式電力変換器CNV1,CNV2を一定のパルスパターンで制御する場合、入力電流Icの高調波成分が小さくなるようにスイッチングパターンを決めるが、変換器力率が1に近いところで動作させることにより、電流Icのゼロ点付近でスイッチングが行われ、n台の電圧形自励式電力変換器CNV1,CNV2を構成する自己消弧素子のしゃ断電流を小さくすることができる。
電源電圧Vsに対する各変換器の出力電圧Vc1,Vc2の位相角φ1,φ2を遅れ方向に増加させることにより、交流電源SUPから供給される有効電力Psが増加する。逆に位相角φ1,φ2を進み方向に増やすと、有効電力Psが交流電源に回生される。
電圧形自励式電力変換器CNV1,CNV2は、それぞれ直流平滑コンデンサCd1,Cdnに印加される電圧Vd1,Vd2がほぼ一定になるように制御する。その結果、その和電圧Vdo=Vd1+Vd2が一定に制御される。これにより、直流出力電圧の高圧化を図ることができ、入力電流Icの高調波成分が小さく、電力回生が可能で、高力率・高効率で、低コストの電力変換装置を提供できる。
以上は、2台の電圧形自励式電力変換器を用いた場合について説明したが、3台以上の電圧形自励式電力変換器を用いて多重運転できることは言うまでもない。
エネルギー蓄積装置EDLC1,EDLC2として、鉛蓄電池や電気二重層キャパシタ等がある。双方向チョッパCHO1,CHO2は、それぞれ、2つのスイッチング素子と、2つの還流ダイオード及び直流リアクトルで構成され、エネルギー蓄積装置EDLC1,EDLC2の充放電電流Ieを制御する。
エネルギー蓄積装置EDLC1,EDLC2は、回生運転時に、その回生エネルギーの一部を吸収し、力行運転時に、蓄積されたエネルギーを放出する。これにより、前記電圧形自励式電力変換器CNV1,CNV2が授受する電力が小さくなり、変換器容量が低減される。また、回生エネルギーの有効利用が可能となる。
一方、抵抗器Rに直列接続された開閉器SWは、負荷電流ILの大きさに応じて次のように制御される。
力行運転(負荷電流IL>0)では、開閉器SWは開放しておく。そのとき、負荷電流ILは電力用ダイオード整流器REC1,REC2及び電圧形自励式電力変換器CNV1,CNV2と、エネルギー蓄積装置EDLC1,EDLC2から供給される。
回生運転(IL<0)では、例えば、一定の回生電力P2までは、開閉器SWは開放しておき、回生電力が設定値P2を超えたら開閉器SWを投入する。これにより、電圧形自励式電力変換器CNV1,CNV2及び双方向チョッパCHOが回生する最大電力を抑えることができる。しかも、抵抗装置Rに流れる電流は段階的に切り換えるだけでよく、従来抵抗チョッパ等が必要であったものが、開閉器SWを用意するだけで、回生電力を連続的に制御できるようになる。
本実施形態の装置によれば、抵抗装置Rを開放/投入するだけの開閉器SWを設置すればよく、非常に安価な装置で、回生失効の防止と、自励式電力変換器容量の低減及びエネルギー蓄積装置の容量低減を達成できる。
(第33の実施の形態)(請求項33に対応)
図40に示すように、本実施形態の電力変換装置では、第1の変圧器TRaはΔ/Δ結線の3相変圧器、第2の変圧器TRbはΔ/Y結線の3相変圧器で、各2次側電圧は電気角で30°の位相差を持っている。
第1の3相変圧器TRaの2次巻線に交流リアクトルLs1を介して第1の電力用ダイオード整流器REC1の交流側端子が接続され、また、当該整流器REC1の交流側端子にリカバリ電流抑制リアクトルLa1を介して第1の電圧形自励式電力変換器CNV1の交流側端子が接続される。また、第2の3相変圧器TRbの2次巻線に交流リアクトルLs2を介して第2の電力用ダイオード整流器REC2の交流側端子が接続され、また、当該整流器REC2の交流側端子にリカバリ電流抑制リアクトルLa2を介して第2の電圧形自励式電力変換器CNV2の交流側端子が接続される。また、第1の整流器REC1の直流側端子と第1の電圧形自励式電力変換器CNV1の直流側端子は第1の直流平滑コンデンサCd1に並列接続され、また、第2の整流器REC2の直流側端子と第2の電圧形自励式電力変換器CNV2の直流側端子は第2の直流平滑コンデンサCd2に並列接続され、当該2つの平滑コンデンサCd1とCd2は直列接続される。
また、第1のエネルギー蓄積装置EDLC1は第1の双方向チョッパCHO1を介して前記第1の直流平滑コンデンサCd1に並列接続され、第2のエネルギー蓄積装置EDLC2は第2の双方向チョッパCHO2を介して前記第2の直流平滑コンデンサCd2に並列接続されている。
前記2台の電圧形自励式電力変換器CNV1,CNV2は、前記交流電源の周波数に同期した一定のパルスパターンで動作させ、前記交流電源の電圧Vsに対する位相角φを調整することにより各電圧形自励式電力変換器CNV1,CNV2の入力電流を制御し、前記直流平滑コンデンサCd1,Cd2に印加される電圧Vd1,Vd2を制御している。
交流側で並列多重運転し、直流側で直列接続するように構成したもので、変換装置の大容量化と、直流出力電圧Vdの高圧化、及び交流電源から供給される入力電流Isの高調波成分の低減を図ることができる。特に、各変換器CNV1,CNV2毎に変圧器TRa,TRbを設けることにより、並列多重運転で流れる横流を低減することができる。
2台の電圧形自励式電力変換器CNV1,CNV2を並列多重運転する場合、当該変換器間に横流が流れる。この横流の大きさは、交流リアクトルLs1,Ls2がない場合、直流電圧Vdの値と前記変圧器TR1,TR2のもれインダクタンス値Lx1,Lx2によってほぼ決定される。
図38の装置のように、1台の変圧器TRに複数の2次巻線を設けて、それぞれに電圧形自励式電力変換器CNV1,CNV2を接続する並列多重運転では、前記変換器間の横流を抑制するのは、2次側のもれインダクタンス値が関係する。しかし、変圧器TRのもれインダクタンス値を2次側だけ大きくするのは難しく、コストも高くなる。変圧器の2次側に外部交流リアクトルLs1,Ls2を挿入することにより、横流を抑制することができるが、当該外部リアクトルLs1,Ls2の分だけコストは高くなってしまう。
本実施形態の装置のように、各変換器CNV1,CNV2毎に、変圧器TRa,TRbを分けることにより、各変圧器TRa,TRbの1次と2次のもれインダクタンス値の和が横流を抑制する作用を果たし、外部リアクトルLs1,Ls2無しで、横流を十分小さな値に抑えることが可能となる。
電圧形自励式電力変換器CNV1,CNV2は、一定のパルスパターンで動作し、交流電源の電圧Vsに同期したスイッチングを行う。直流電圧Vd1及びVd2が一定ならば、電圧形自励式電力変換器CNV1,CNV2の交流出力電圧Vc1,Vc2の振幅値は一定になる。この状態で、電源電圧Vsに対する出力電圧Vc1,Vc2の位相角φを変えることより、交流リアクトルLs1,Ls2(又は変圧器TR1,TR2のもれインダクタンスLx1,Lx2)に印加される電圧が変化し、各変換器の入力電流Ic1,Ic2を調整することができる。また多重化により、その合成入力電流Icは歪みの少ない波形に制御できる。
電圧形自励式電力変換器CNV1,CNV2を一定のパルスパターンで制御する場合、合成入力電流Icの高調波成分が小さくなるようにスイッチングパターンを決めるが、変換器力率が1に近いため、各変換器の入力電流Ic1,Ic2のゼロ点付近でスイッチングが行われ、電圧形自励式電力変換器CNV1,CNV2を構成する自己消弧素子のしゃ断電流は小さくて済む。
電圧形自励式電力変換器CNV1,CNV2は、各直流平滑コンデンサCd1,Cd2に印加される電圧Vd1,Vd2がほぼ一定になるように制御する。その結果、その和電圧Vdo=Vd1+Vd2が一定に制御される。これにより、直流出力電圧の高圧化を図ることができ、入力電流Icの高調波成分が小さく、電力回生が可能で、高力率・高効率で、低コストの電力変換装置を提供できる。
エネルギー蓄積装置EDLC1,EDLC2として、鉛蓄電池や電気二重層キャパシタ等がある。双方向チョッパCHO1,CHO2は、それぞれ2つのスイッチング素子と、2つの還流ダイオード及び直流リアクトルで構成され、エネルギー蓄積装置EDLC1,EDLC2の充放電電流Ie1,Ie2を制御する。
エネルギー蓄積装置EDLC1,EDLC2は、回生運転時に、その回生エネルギーの一部を吸収し、力行運転時に、蓄積されたエネルギーを放出する。これにより、前記電圧形自励式電力変換器CNV1,CNV2が授受する電力が小さくなり、変換器容量が低減される。また、回生エネルギーの有効利用が可能となる。
一方、抵抗器Rに直列接続された開閉器SWは、負荷電流ILの大きさに応じて次のように制御される。
力行運転(負荷電流IL>0)では、開閉器SWは開放しておく。そのとき、負荷電流ILは電力用ダイオード整流器REC1,REC2及び電圧形自励式電力変換器CNV1,CNV2と、エネルギー蓄積装置EDLC1,EDLC2から供給される。
回生運転(IL<0)では、例えば、一定の回生電力P2までは、開閉器SWは開放しておき、回生電力が設定値P2を超えたら開閉器SWを投入する。これにより、電圧形自励式電力変換器CNV1,CNV2及び双方向チョッパCHOが回生する最大電力を抑えることができる。しかも、抵抗装置Rに流れる電流は段階的に切り換えるだけでよく、従来抵抗チョッパ等が必要であったものが、開閉器SWを用意するだけで、回生電力を連続的に制御できるようになる。
本実施形態の装置によれば、抵抗装置Rを開放/投入するだけの開閉器を設置すればよく、非常に安価な装置で、回生失効の防止と、自励式電力変換器容量の低減及びエネルギー蓄積装置の容量低減を達成できる。
以上は、2台の電圧形自励式電力変換器を用いた場合について説明したが、3台以上の電圧形自励式電力変換器を用いて多重運転できることは言うまでもない。
(第34の実施の形態)(請求項34に対応)
第29〜第33の実施形態の電力変換装置において、前記n台の電圧形自励式電力変換器CNV1〜CNVnは、奇数パルスのパルスパターンで動作させ、各電圧形自励式電力変換器CNV1〜CNVnの交流側出力電圧Vc1〜Vcnの基本波のゼロクロス点から電気角(30°/n)以内でスイッチングを行うようにしている。
n台の電圧形自励式電力変換器CNV1〜CNVnの交流側線間電圧Vc1〜Vcnは、多重化により、それぞれ(60°/n)の位相差を有し、入力電流の高調波を低減している。また、前記n台の電圧形自励式電力変換器CNV1〜CNVnを、3パルス,5パルス,…と奇数パルスで動作させることにより、少ない回数のスイッチングで入力電流歪みをさらに小さくできる。
また、交流側出力電圧Vc1〜Vcnの基本波のゼロクロス点から電気角(30°/n)の範囲内でスイッチングを行うことにより、前記n台の電圧形自励式電力変換器CNV1〜CNVnの間で、他の変換器のスイッチングと干渉することなく、入力電流高調波を小さくできる。また、パルス数が増えても、入力電流のゼロクロス付近でスイッチングを行うことができ、自己消弧素子の遮断電流を小さく抑えることができる。
(第35の実施の形態)(請求項35に対応)
第29〜第34の実施形態の電力変換装置において、前記エネルギー蓄積装置EDLCは、前記負荷装置Loadからの回生電力が第1の設定値を超えた場合にその超過エネルギーを吸収するように双方向チョッパを制御し、かつ、前記抵抗装置Rの開閉器SWは、前記負荷装置Loadからの回生電力が第2の設定値を超えた場合に投入するように制御している。
エネルギー蓄積装置EDLCは、回生運転時に、その回生電力が第1の設定値P1を超えた場合に、その超過エネルギーを吸収し、力行運転時に、蓄積されたエネルギーを放出する。これにより、前記n台の電圧形自励式電力変換器CNV1〜CNVnが回生する電力が小さくなり、変換器容量が低減される。また、回生エネルギーの有効利用が可能となる。
電気鉄道の変電所などでは、電圧形自励式電力変換器CNVにより電力を回生した場合、その電力はもっぱら所内負荷(高圧配電負荷)AC−Loadに供給する。その所内負荷以上の電力を回生した場合には、余った電力を系統にもどすが、契約上、電気料金には反映されない。
そのため、所内負荷AC−Loadが定常的に消費する電力を回生してやるのが最良の運用方法となる。しかし、回生車両からくる電力は一定ではなく、常に変化しており、回生電力を制限してしまうと、直流き電電圧が上がって回生失効に至る。そこで、前記エネルギー蓄積装置EDLCは、前記負荷装置LOADからの回生電力が第1の設定値P1を超えた場合にその超過エネルギーを吸収するように双方向チョッパを制御する。これにより、前記n台の電圧形自励式電力変換器CNV1〜CNVnが授受する電力は前記設定値P1に抑えられ、しかも、その設定値を所内負荷の消費電力程度にすることにより、電気料金を効率的に節約することができる。
本実施形態の装置によれば、余った回生電力を一旦エネルギー蓄積装置EDLCに蓄えることにより、回生失効を防止し、かつ、所内負荷に必要な電力だけをn台の電圧形自励式電力変換器CNV1〜CNVnから供給できる。さらに、エネルギー蓄積装置EDLCに蓄えたエネルギーを前記n台の電圧形自励式電力変換器CNV1〜CNVnにより、徐々に所内負荷に供給でき、次の回生までにできるだけ多くエネルギーを放出することにより、エネルギー蓄積装置EDLCの容量を低減することが可能となる。当然のことながら、当該蓄積エネルギーは力行車両への供給電力としても有効利用が可能となる。これにより、小さな容量の電圧形自励式電力変換器CNV1〜CNVnと、小さな容量のエネルギー蓄積装置EDLCで、回生失効を防止でき、経済的な電力変換装置を提供することが可能となる。
一方、前記開閉器SWを前記負荷装置Loadからの回生電力が第2の設定値P2を超えた場合に投入することにより、前記抵抗装置Rを前記直流平滑コンデンサCdに並列接続する。これにより、前記電圧形自励式電力変換器CNV1〜CNVn及び双方向チョッパCHOが回生する電力が小さくなり、変換器容量が低減される。さらに、従来抵抗装置Rに電力を消費させる場合、その消費電力を制御するために大容量の抵抗チョッパ装置が必要とされたが、本実施形態の装置によれば、抵抗装置Rを開放/投入するだけの開閉器を設置すればよく、非常に安価な装置で、回生失効の防止と、自励式電力変換器容量の低減及びエネルギー蓄積装置の容量低減を達成できる。
(第36の実施の形態)(請求項36に対応)
第29〜第35の実施形態の電力変換装置において、前記抵抗装置R及び前記開閉器SWは、複数個に分割し、前記負荷装置Loadからの回生電力に応じて、投入個数を変えている。
複数個の抵抗器R1〜Rnと、それぞれに直列接続された複数個の開閉器SW1〜SWnを用意し、回生電力の大きさに応じて、その投入個数を変えることにより、前記電圧形自励式電力変換器CNV1〜CNVnの制御すべき電力を小さくすることが可能となる。例えば、回生電力が、0〜3000kWまで連続的に変化する場合、500kWの抵抗器を5台用意し、順次投入台数を増やすことにより、段階的に回生電力を消費することができる。それを連続的に制御するには、500kWの自励式電力変換器を設置すればよい。抵抗器Rが無い場合には、3000kWの自励式電力変換器が必要であったものが、5分割された抵抗器R1〜R5を設置することにより、自励式電力変換器の容量を(1/6)に低減できる。
なお、本願発明は、上記各実施形態に限定されるものでなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、各実施形態は可能な限り適宜組み合わせて実施してもよく、その場合、組み合わされた効果が得られる。さらに、上記各実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜な組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば実施形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が省略されることで発明が抽出された場合には、その抽出された発明を実施する場合には省略部分が周知慣用技術で適宜補われるものである。
本発明の第1実施形態に係る電力変換装置を示す構成図。 同実施形態の装置の主回路と当該装置の自励式電力変換器の制御回路を示す構成図。 同実施形態の制御動作を説明するための交流側等価回路。 同実施形態の制御動作を説明するための交流側電圧・電流ベクトル図。 同実施形態における位相制御動作を説明するための制御ブロック図。 同実施形態における位相制御動作(1パルス)を説明するためのタイムチャート図。 同実施形態における制御動作を説明するための1パルス力行運転時の各部動作波形図。 同実施形態における制御動作を説明するための1パルス回生運転時の各部動作波形図。 同実施形態における別の位相制御動作(3パルス)を説明するためのタイムチャート図。 同実施形態における別の制御動作を説明するための3パルス力行運転時の各部動作波形図。 同実施形態における別の位相制御動作(5パルス)を説明するためのタイムチャート図。 同実施形態における別の制御動作を説明するための5パルス力行運転時の各部動作波形図。 本発明の第2実施形態に係る電力変換装置を示すものであって、当該装置における双方向チョッパの制御回路を示す構成図。 本発明の第3実施形態に係る電力変換装置を示すものであって、図1の装置の動作を説明するための運転特性図。 本発明の第4実施形態に係る電力変換装置を示すものであって、図1に示す装置の動作(5パルス)を説明するための交流側出力電圧波形図。 本発明の第5実施形態に係る電力変換装置を示す構成図。 図16に示す装置の制御回路を示す構成図。 本発明の第6実施形態に係る電力変換装置を示す構成図。 本発明の第7実施形態に係る電力変換装置を示す構成図。 図19に示す装置の制御回路を示す構成図。 本発明の第8実施形態に係る電力変換装置を示す構成図。 図21に示す装置の制御回路を示す構成図。 本発明の第9実施形態に係る電力変換装置を示す構成図。 図16〜図22に示す装置の動作(5パルス)を説明するための交流側出力電圧波形図。 本発明の第13実施形態に係る電力変換装置を示す構成図。 図25に示す装置の動作を説明するための特性図。 図25に示す装置の動作を説明するための運転特性図。 本発明の第13実施形態に係る電力変換装置を示す構成図。 本発明の第14実施形態に係る電力変換装置を示す構成図。 本発明の第15実施形態に係る電力変換装置を示す構成図。 本発明の第20実施形態に係る電力変換装置を示す構成図。 本発明の第21実施形態に係る電力変換装置を示す構成図。 本発明の第25実施形態に係る電力変換装置を示す構成図。 図33に示す装置の双方向チョッパの制御回路の実施形態を示す構成図。 図33に示す装置の動作を説明するための運転特性図。 本発明の第29実施形態に係る電力変換装置を示す構成図。 本発明の第30実施形態に係る電力変換装置を示す構成図。 本発明の第31実施形態に係る電力変換装置を示す構成図。 本発明の第32実施形態に係る電力変換装置を示す構成図。 本発明の第33実施形態に係る電力変換装置を示す構成図。 従来の電力変換装置の一例の構成図。 従来の電力変換装置の他の例の構成図。
符号の説明
SUP…交流電源、TRx…高圧配電用変圧器、AC−Load…高圧配電負荷(所内負荷)、TR,TRa,TRb…変換器用変圧器、Ls,Ls1,Ls2…交流リアクトル、REC,REC1,REC2…電力用ダイオード整流器、La,La1,La2…リカバリ電流抑制リアクトル、CNV,CNV1,CNV2…電圧形自励式電力変換器、Cd,Cd1,Cd2…直流平滑コンデンサ、CHO,CHO1,CHO2…双方向チョッパ、EDLC,EDLC1,EDLC2…エネルギー蓄積装置、SW,SW1,SW2…開閉器、R,R1,R2…抵抗装置、Load…負荷、Qa,Qb…スイッチング素子、Da,Db…還流ダイオード、Le…直流リアクトル、ACR1,ACR2…電流制御回路、AVR…直流電圧制御回路、REF…充放電電流指令発生器、PHC…位相制御回路、PWM…パルス幅変調制御回路、LIM…リミッタ回路、AS1,AS2…切り換え回路、Ke…比例定数、COM…レベル比較器、HYS…ヒステリシス回路、SWC…開閉器制御回路、CAL…演算回路、C1,C2,C11,C12,C21,C22,C3…比較器、AD,AD1,AD2,ADp…加算器、ADr,ADs,ADt…加減算器、PTN1〜PTN3…パターン発生器、Gv(S),Gv1(S),Gv2(S)…電圧制御補償回路、Gi(S),Gi1(S),Gi2(S),Gie(S)…電流制御補償回路、FF…フィードフォワード補償器、Z,Z1,Z2…3相/dq座標変換回路、PLL,PLL1,PLL2…電源同期位相検出回路、PHC1,PHC2…位相制御回路。

Claims (36)

  1. 交流電源に変圧器及び/又は交流リアクトルを介して接続された電力用ダイオード整流器と、この電力用ダイオード整流器にリカバリー電流抑制用リアクトルを介して接続された電圧形自励式電力変換器と、この電圧形自励式電力変換器と前記電力用ダイオード整流器の直流側共通端子に接続した直流平滑コンデンサと、この直流平滑コンデンサに双方向チョッパを介して並列接続されたエネルギー蓄積装置とを備え、前記直流平滑コンデンサに並列に接続された負荷装置への力行電力の供給及び/又は前記負荷装置からの回生電力の蓄積を行う電力変換装置において、
    前記電圧形自励式電力変換器を、前記交流電源の周波数に同期した一定のパルスパターンで動作させ、電源電圧に対する位相角を調整することにより入力電流を制御し、かつ、前記直流平滑コンデンサに印加される電圧が指令値に一致するように制御する制御手段を具備したことを特徴とする電力変換装置。
  2. 前記負荷装置からの回生電力が設定値を超えた場合にその超過エネルギーを前記エネルギー蓄積装置が吸収するように前記双方向チョッパを制御する手段を具備したことを特徴とする請求項1に記載の電力変換装置。
  3. エネルギー吸収の要求がない時に、前記エネルギー蓄積装置から蓄積されたエネルギーを放出するように前記双方向チョッパを制御する手段を具備することを特徴とする請求項1又は2に記載の電力変換装置。
  4. 前記電圧形自励式電力変換器を、奇数パルスのパルスパターンで動作させ、当該変換器の交流側出力電圧の基本波のゼロクロス点から電気角30°以内で、スイッチングを行う手段を具備することを特徴とする請求項1に記載の電力変換装置。
  5. 3相交流電源に1次巻線が接続され、適宜の位相差を持たせたn組の2次巻線を有する3相変圧器と、この3相変圧器の各々の2次巻線に交流側端子が接続されたn台の電力用ダイオード整流器と、これら電力用ダイオード整流器のそれぞれの交流側端子にリカバリー電流抑制用リアクトルを介して交流側端子が接続されたn台の電圧形自励式電力変換器と、これらn台の電圧形自励式電力変換器と前記n台の電力用ダイオード整流器の直流側共通端子に接続された直流平滑コンデンサと、この直流平滑コンデンサに双方向チョッパを介して並列接続されたエネルギー蓄積装置とを備え、前記直流平滑コンデンサに並列に接続された負荷装置への力行電力の供給及び/又は前記負荷装置からの回生電力の蓄積を行う電力変換装置において、
    前記n台の電圧形自励式電力変換器を、前記交流電源の周波数に同期した一定のパルスパターンで動作させ、前記交流電源の電圧に対する位相角を調整することにより交流入力電流を制御し、前記直流平滑コンデンサに印加される電圧を制御する制御手段を具備することを特徴とする電力変換装置。
  6. 3相交流電源に1次巻線が接続され、各2次巻線の出力電圧が適宜の位相差を持つように構成したn台の3相変圧器と、これら3相変圧器の各々の2次巻線に交流側端子が接続されたn台の電力用ダイオード整流器と、これら電力用ダイオード整流器のそれぞれの交流側端子にリカバリー電流抑制用リアクトルを介して交流側端子が接続されたn台の電圧形自励式電力変換器と、これらn台の電圧形自励式電力変換器と前記n台の電力用ダイオード整流器の直流側共通端子に接続された直流平滑コンデンサと、この直流平滑コンデンサに双方向チョッパを介して並列接続されたエネルギー蓄積装置とを備え、前記直流平滑コンデンサに並列に接続された負荷装置への力行電力の供給及び/又は前記負荷装置からの回生電力の蓄積を行う電力変換装置において、
    前記n台の電圧形自励式電力変換器を、前記交流電源の周波数に同期した一定のパルスパターンで動作させ、前記交流電源の電圧に対する位相角を調整することにより交流入力電流を制御し、前記直流平滑コンデンサに印加される電圧を制御する制御手段を具備したことを特徴とする電力変換装置。
  7. 3相交流電源に対し、1次巻線が各相毎に直列接続され、2次巻線の出力電圧が適宜の位相差を持つように構成されたn台の3相変圧器と、これらn台の3相変圧器の各々の2次巻線に交流側端子が接続されたn台の電力用ダイオード整流器と、これら電力用ダイオード整流器のそれぞれの交流側端子にリカバリー電流抑制用リアクトルを介して交流側端子が接続されたn台の3相ブリッジ結線の電圧形自励式電力変換器と、これらn台の電圧形自励式電力変換器と前記n台の電力用ダイオード整流器の直流側共通端子に接続された直流平滑コンデンサと、この直流平滑コンデンサに双方向チョッパを介して並列接続されたエネルギー蓄積装置とを備え、前記直流平滑コンデンサに並列に接続された負荷装置への力行電力の供給及び/又は前記負荷装置からの回生電力の蓄積を行う電力変換装置において、
    前記n台の電圧形自励式電力変換器を、前記交流電源の周波数に同期した一定のパルスパターンで動作させ、前記交流電源の電圧に対する位相角を調整することにより交流入力電流を制御し、前記直流平滑コンデンサに印加される電圧を制御する制御手段を具備したことを特徴とする電力変換装置。
  8. 3相交流電源に1次巻線が接続され、適宜の位相差を持たせたn組の2次巻線を有する3相変圧器と、この3相変圧器の各々の2次巻線に交流側端子が接続されたn台の電力用ダイオード整流器と、これら電力用ダイオード整流器のそれぞれの交流側端子にリカバリー電流抑制用リアクトルを介して交流側端子が接続されたn台の電圧形自励式電力変換器と、これらn台の電圧形自励式電力変換器と前記n台の電力用ダイオード整流器の直流側端子のそれぞれに接続されたn個の直流平滑コンデンサと、これらn個の直流平滑コンデンサを直列接続し、その直列接続した両端に双方向チョッパを介して並列接続されたエネルギー蓄積装置とを備え、前記n個の直流平滑コンデンサを直列接続した両端に接続された負荷装置への力行電力の供給及び/又は前記負荷装置からの回生電力の蓄積を行う電力変換装置において、
    前記n台の電圧形自励式電力変換器を、前記交流電源の周波数に同期した一定のパルスパターンで動作させ、前記交流電源の電圧に対する位相角を調整することにより前記電圧形自励式電力変換器それぞれの入力電流を制御し、前記直流平滑コンデンサそれぞれに印加される電圧を制御する制御手段を具備したことを特徴とする電力変換装置。
  9. 3相交流電源に1次巻線が接続され、各2次巻線の出力電圧が適宜の位相差を持つように構成したn台の3相変圧器と、これら3相変圧器の各々の2次巻線に交流側端子が接続されたn台の電力用ダイオード整流器と、これら電力用ダイオード整流器のそれぞれの交流側端子にリカバリー電流抑制用リアクトルを介して交流側端子が接続されたn台の電圧形自励式電力変換器と、これらn台の電圧形自励式電力変換器と前記n台の電力用ダイオード整流器の直流側端子のそれぞれに接続されたn個の直流平滑コンデンサと、これらn個の直流平滑コンデンサを直列接続し、その直列接続した両端に双方向チョッパを介して並列接続されたエネルギー蓄積装置とを備え、前記n個の直流平滑コンデンサを直列接続した両端に接続された負荷装置への力行電力の供給及び/又は前記負荷装置からの回生電力の蓄積を行う電力変換装置において、
    前記n台の電圧形自励式電力変換器を、前記交流電源の周波数に同期した一定のパルスパターンで動作させ、前記交流電源の電圧に対する位相角を調整することにより前記電圧形自励式電力変換器それぞれの入力電流を制御し、前記直流平滑コンデンサに印加される電圧を制御する制御手段を具備したことを特徴とする電力変換装置。
  10. 前記n台の電圧形自励式電力変換器を、奇数パルスのパルスパターンで動作させ、当該各変換器の交流側出力電圧の基本波のゼロクロス点から電気角(30°/n)以内で、スイッチングを行う手段を具備したことを特徴とする請求項5乃至9のいずれか一項に記載の電力変換装置。
  11. 前記負荷装置からの回生電力が設定値を超えた場合にその超過エネルギーを前記エネルギー蓄積装置が吸収するように前記双方向チョッパを制御する手段を具備する特徴とする請求項5乃至10のいずれか一項に記載の電力変換装置。
  12. エネルギー吸収の要求がない時に、蓄積されたエネルギーを前記エネルギー蓄積装置が放出するように前記双方向チョッパを制御する手段を具備したことを特徴とする請求項5乃至11のいずれか一項に記載の電力変換装置。
  13. 交流電源に変圧器及び/又は交流リアクトルを介して電力用ダイオード整流器と、この電力用ダイオード整流器にリカバリー電流抑制用リアクトルを介して交流側端子が接続された電圧形自励式電力変換器と、この電圧形自励式電力変換器と前記電力用ダイオード整流器の直流側共通端子に接続した直流平滑コンデンサと、この直流平滑コンデンサに開閉器を介して並列接続された抵抗装置とを備え、前記直流平滑コンデンサに並列接続された負荷装置への力行電力の供給及び/又は前記負荷装置からの回生電力の蓄積を行う電力変換装置において、
    前記電圧形自励式電力変換器を、前記交流電源の周波数に同期した一定のパルスパターンで動作させ、前記電源電圧に対する位相角を調整することにより入力電流を制御し、かつ、前記直流平滑コンデンサに印加される電圧が指令値に一致するように制御する制御手段を具備したことを特徴とする電力変換装置。
  14. 前記負荷装置からの回生電力が設定値を超えた場合、前記抵抗装置を前記直流平滑コンデンサに並列接続するように前記開閉器を投入する手段を具備することを特徴とする請求項13に記載の電力変換装置。
  15. 前記抵抗装置及び前記開閉器は、複数個に分割し、前記負荷装置からの回生電力に応じて、投入個数を変えたことを特徴とする請求項13又は14に記載の電力変換装置。
  16. 前記電圧形自励式電力変換器を、奇数パルスのパルスパターンで動作させ、当該変換器の交流側出力電圧の基本波のゼロクロス点から電気角30°以内で、スイッチングを行う手段を具備することを特徴とする請求項13に記載の電力変換装置。
  17. 3相交流電源に1次巻線が接続され、適宜の位相差を持たせたn組の2次巻線を有する3相変圧器と、この3相変圧器の各々の2次巻線に交流側端子が接続されたn台の電力用ダイオード整流器と、この電力用ダイオード整流器のそれぞれの交流側端子にリカバリー電流抑制用リアクトルを介して交流側端子が接続されたn台の電圧形自励式電力変換器と、これらn台の電圧形自励式電力変換器と前記n台の電力用ダイオード整流器の直流側共通端子に接続された直流平滑コンデンサと、この直流平滑コンデンサに開閉器を介して並列接続された抵抗装置とを備え、前記直流平滑コンデンサに並列接続された負荷装置への力行電力の供給及び/又は前記負荷装置からの回生電力の蓄積を行う電力変換装置において、
    前記n台の電圧形自励式電力変換器を、前記交流電源の周波数に同期した一定のパルスパターンで動作させ、前記交流電源の電圧に対する位相角を調整することにより交流入力電流を制御し、前記直流平滑コンデンサに印加される電圧を制御する制御手段を具備することを特徴とする電力変換装置。
  18. 3相交流電源に1次巻線が接続され、各2次巻線の出力電圧が適宜の位相差を持つように構成したn台の3相変圧器と、これら3相変圧器の各々の2次巻線に交流側端子が接続されたn台の電力用ダイオード整流器と、これら電力用ダイオード整流器のそれぞれの交流側端子にリカバリー電流抑制用リアクトルを介して交流側端子が接続されたn台の電圧形自励式電力変換器と、これらn台の電圧形自励式電力変換器と前記n台の電力用ダイオード整流器の直流側共通端子に接続された直流平滑と、この直流平滑コンデンサに開閉器を介して並列接続された抵抗装置とを備え、前記直流平滑コンデンサに並列接続された負荷装置への力行電力の供給及び/又は前記負荷装置からの回生電力の蓄積を行う電力変換装置において、
    前記n台の電圧形自励式電力変換器を、前記交流電源の周波数に同期した一定のパルスパターンで動作させ、前記交流電源の電圧Vに対する位相角を調整することにより交流入力電流を制御し、前記直流平滑コンデンサに印加される電圧を制御したことを特徴とする電力変換装置。
  19. 3相交流電源に対し、1次巻線が各相毎に直列接続され、2次巻線の出力電圧が適宜の位相差を持つように構成されたn台の3相変圧器と、これらn台の3相変圧器の各々の2次巻線に交流側端子が接続されたn台の電力用ダイオード整流器と、これら電力用ダイオード整流器のそれぞれの交流側端子にリカバリー電流抑制用リアクトルを介して交流側端子が接続されたn台の3相ブリッジ結線の電圧形自励式電力変換器と、これらn台の電圧形自励式電力変換器と前記n台の電力用ダイオード整流器の直流側共通端子に接続された直流平滑コンデンサと、当該直流平滑コンデンサに開閉器を介して並列接続された抵抗装置とを備え、前記直流平滑コンデンサに並列接続された負荷装置への力行電力の供給及び/又は前記負荷装置からの回生電力の蓄積を行う電力変換装置において、
    前記n台の電圧形自励式電力変換器を、前記交流電源の周波数に同期した一定のパルスパターンで動作させ、前記交流電源の電圧に対する位相角を調整することにより交流入力電流を制御し、前記直流平滑コンデンサに印加される電圧を制御する制御手段を具備したことを特徴とする電力変換装置。
  20. 3相交流電源に1次巻線が接続され、適宜の位相差を持たせたn組の2次巻線を有する3相変圧器と、この3相変圧器の各々の2次巻線に交流側端子が接続されたn台の電力用ダイオード整流器と、これら電力用ダイオード整流器のそれぞれの交流側端子にリカバリー電流抑制用リアクトルを介して交流側端子が接続されたn台の電圧形自励式電力変換器と、これらn台の電圧形自励式電力変換器と前記n台の電力用ダイオード整流器の直流側端子のそれぞれに接続されたn個の直流平滑コンデンサと、これらn個の直流平滑コンデンサを直列接続し、その直列接続した両端に開閉器を介して並列接続された抵抗装置とを備え、前記n個の直流平滑コンデンサを直列接続した両端に接続されたに負荷装置への力行電力の供給及び/又は前記負荷装置からの回生電力の蓄積を行う電力変換装置において、
    前記n台の電圧形自励式電力変換器を、前記交流電源の周波数に同期した一定のパルスパターンで動作させ、前記交流電源の電圧に対する位相角を調整することにより各電圧形自励式電力変換器の入力電流を制御し、前記n個の直流平滑コンデンサに印加される電圧を制御する制御手段を具備したことを特徴とする電力変換装置。
  21. 3相交流電源に1次巻線が接続され、各2次巻線の出力電圧が適宜の位相差を持つように構成したn台の3相変圧器と、これらn台の3相変圧器の各々の2次巻線に交流側端子が接続されたn台の電力用ダイオード整流器と、これら電力用ダイオード整流器のそれぞれの交流側端子にリカバリー電流抑制用リアクトルを介して交流側端子が接続されたn台の電圧形自励式電力変換器と、これらn台の電圧形自励式電力変換器と前記n台の電力用ダイオード整流器の直流側端子のそれぞれに接続されたn個の直流平滑コンデンサと、これらn個の直流平滑コンデンサを直列接続し、その直列接続した両端に開閉器を介して並列接続された抵抗装置とを備え、前記n個の直流平滑コンデンサを直列接続した両端に接続されたに負荷装置への力行電力の供給及び/又は前記負荷装置からの回生電力の蓄積を行う電力変換装置において、
    前記n台の電圧形自励式電力変換器を、前記交流電源の周波数に同期した一定のパルスパターンで動作させ、前記交流電源の電圧に対する位相角を調整することにより前記電圧形自励式電力変換器それぞれの入力電流を制御し、前記直流平滑コンデンサそれぞれに印加される電圧を制御する制御手段を具備したことを特徴とする電力変換装置。
  22. 前記n台の電圧形自励式電力変換器は、奇数パルスのパルスパターンで動作させ、当該各変換器の交流側出力電圧の基本波のゼロクロス点から電気角(30°/n)以内で、スイッチングを行う手段を具備したことを特徴とする請求項17乃至21のいずれか一項に記載の電力変換装置。
  23. 前記負荷装置からの回生電力が設定値を超えた場合、前記抵抗装置を前記直流平滑コンデンサに並列接続するように前記開閉器を投入する手段を具備することを特徴とする請求項17乃至22のいずれか一項に記載の電力変換装置。
  24. 前記抵抗装置及び前記開閉器は、複数個に分割し、前記負荷装置からの回生電力に応じて、投入個数を変えたことを特徴とする請求項17乃至23のいずれか一項に記載の電力変換装置。
  25. 交流電源に変圧器及び/又は交流リアクトルを介して接続された電力用ダイオード整流器と、この電力用ダイオード整流器にリカバリー電流抑制用リアクトルを介して交流側端子が接続された電圧形自励式電力変換器と、この電圧形自励式電力変換器と前記電力用ダイオード整流器の直流側共通端子に接続した直流平滑コンデンサと、この直流平滑コンデンサに双方向チョッパを介して並列接続されたエネルギー蓄積装置と、前記直流平滑コンデンサに開閉器を介して並列接続された抵抗装置とを備え、前記直流平滑コンデンサに並列接続された負荷装置への力行電力の供給及び/又は前記負荷装置からの回生電力の蓄積を行う電力変換装置において、
    前記電圧形自励式電力変換器を、前記交流電源の周波数に同期した一定のパルスパターンで動作させ、前記電源電圧に対する位相角を調整することにより入力電流を制御し、かつ、前記直流平滑コンデンサに印加される電圧が指令値に一致するように制御する制御手段を具備したことを特徴とする電力変換装置。
  26. 前記負荷装置からの回生電力が第1の設定値を超えた場合にその超過エネルギーを前記エネルギー蓄積装置が吸収するように前記双方向チョッパを制御し、前記負荷装置からの回生電力が第2の設定値を超えた場合、前記抵抗装置を前記直流平滑コンデンサに並列接続するように前記開閉器を投入する手段を具備することを特徴とする請求項25のいずれか一項に記載の電力変換装置。
  27. エネルギー吸収の要求がない時に、前記エネルギー蓄積装置は、蓄積されたエネルギーを放出するように双方向チョッパを制御する手段を具備したことを特徴とする請求項25又は26に記載の電力変換装置。
  28. 前記電圧形自励式電力変換器を、奇数パルスのパルスパターンで動作させ、当該変換器の交流側出力電圧の基本波のゼロクロス点から電気角30°以内で、スイッチングを行うように制御する手段を具備したことを特徴とする請求項25に記載の電力変換装置。
  29. 3相交流電源に1次巻線が接続され、適宜の位相差を持たせたn組の2次巻線を有する3相変圧器と、この3相変圧器の各々の2次巻線に交流側端子が接続されたn台の電力用ダイオード整流器と、これら電力用ダイオード整流器のそれぞれの交流側端子にリカバリー電流抑制用リアクトルを介して交流側端子が接続されたn台の電圧形自励式電力変換器と、これらn台の電圧形自励式電力変換器と前記n台の電力用ダイオード整流器の直流側共通端子に接続された直流平滑コンデンサと、この直流平滑コンデンサに双方向チョッパを介して並列接続されたエネルギー蓄積装置と、前記直流平滑コンデンサに開閉器を介して並列接続された抵抗装置とを備え、前記直流平滑コンデンサに並列接続された負荷装置への力行電力の供給及び/又は前記負荷装置からの回生電力の蓄積を行う電力変換装置において、
    前記n台の電圧形自励式電力変換器を、前記交流電源の周波数に同期した一定のパルスパターンで動作させ、前記交流電源の電圧に対する位相角を調整することにより交流入力電流を制御し、前記直流平滑コンデンサに印加される電圧を制御する制御手段を具備することを特徴とする電力変換装置。
  30. 3相交流電源に1次巻線が接続され、各2次巻線の出力電圧が適宜の位相差を持つように構成したn台の3相変圧器と、これら3相変圧器の各々の2次巻線に交流側端子が接続されたn台の電力用ダイオード整流器と、これら電力用ダイオード整流器のそれぞれの交流側端子にリカバリー電流抑制用リアクトルを介して交流側端子が接続されたn台の電圧形自励式電力変換器と、これらn台の電圧形自励式電力変換器と前記n台の電力用ダイオード整流器の直流側共通端子に接続された直流平滑コンデンサと、この直流平滑コンデンサに双方向チョッパを介して並列接続されたエネルギー蓄積装置と、前記直流平滑コンデンサに開閉器を介して並列接続された抵抗装置とを備え、前記直流平滑コンデンサに並列接続された負荷装置への力行電力の供給及び/又は前記負荷装置からの回生電力の蓄積を行う電力変換装置において、
    前記n台の電圧形自励式電力変換器を、前記交流電源の周波数に同期した一定のパルスパターンで動作させ、前記交流電源の電圧に対する位相角を調整することにより交流入力電流を制御し、前記直流平滑コンデンサに印加される電圧を制御する制御手段を具備したことを特徴とする電力変換装置。
  31. 3相交流電源に対し、1次巻線が各相毎に直列接続され、2次巻線の出力電圧が適宜の位相差を持つように構成されたn台の3相変圧器と、これらn台の3相変圧器の各々の2次巻線に交流側端子が接続されたn台の電力用ダイオード整流器と、これら電力用ダイオード整流器のそれぞれの交流側端子にリカバリー電流抑制用を介して交流側端子が接続されたn台の3相ブリッジ結線の電圧形自励式電力変換器と、これらn台の電圧形自励式電力変換器と前記n台の電力用ダイオード整流器の直流側共通端子に接続された直流平滑コンデンサと、この直流平滑コンデンサに双方向チョッパを介して並列接続されたエネルギー蓄積装置と、前記直流平滑コンデンサに開閉器を介して並列接続された抵抗装置とを備え、前記直流平滑コンデンサに並列接続された負荷装置への力行電力の供給及び/又は前記負荷装置からの回生電力の蓄積を行う電力変換装置において、
    前記n台の電圧形自励式電力変換器を、前記交流電源の周波数に同期した一定のパルスパターンで動作させ、前記交流電源の電圧に対する位相角を調整することにより交流入力電流を制御し、前記直流平滑コンデンサに印加される電圧を制御する制御手段を具備したことを特徴とする電力変換装置。
  32. 3相交流電源に1次巻線が接続され、適宜の位相差を持たせたn組の2次巻線を有する3相変圧器と、この3相変圧器の各々の2次巻線に交流側端子が接続されたn台の電力用ダイオード整流器と、これら電力用ダイオード整流器のそれぞれの交流側端子にリカバリー電流抑制用リアクトルを介して交流側端子が接続されたn台の電圧形自励式電力変換器と、これらn台の電圧形自励式電力変換器と前記n台の電力用ダイオード整流器の直流側端子のそれぞれに接続されたn個の直流平滑コンデンサと、これらn個の直流平滑を直列接続し、その直列接続した両端に双方向チョッパを介して並列接続されたエネルギー蓄積装置と、前記n個の直流平滑コンデンサを直列接続した両端に開閉器を介して並列接続された抵抗装置とを備え、前記n個の直流平滑コンデンサを直列接続した両端に接続した負荷装置への力行電力の供給及び/又は前記負荷装置からの回生電力の蓄積を行う電力変換装置において、
    前記n台の電圧形自励式電力変換器を、前記交流電源の周波数に同期した一定のパルスパターンで動作させ、前記交流電源の電圧に対する位相角を調整することにより各電圧形自励式電力変換器の入力電流を制御し、前記直流平滑コンデンサそれぞれに印加される電圧を制御する制御手段を具備したことを特徴とする電力変換装置。
  33. 3相交流電源に1次巻線が接続され、各2次巻線の出力電圧が適宜の位相差を持つように構成したn台の3相変圧器と、これら3相変圧器の各々の2次巻線に交流側端子が接続されたn台の電力用ダイオード整流器と、これら電力用ダイオード整流器のそれぞれの交流側端子にリカバリー電流抑制用リアクトルを介して交流側端子が接続されたn台の電圧形自励式電力変換器と、前記n台の電圧形自励式電力変換器と前記n台の電力用ダイオード整流器の直流側端子のそれぞれに接続されたn個の直流平滑コンデンサと、これらn個の直流平滑コンデンサを直列接続し、その直列接続した両端に双方向チョッパを介して並列接続されたエネルギー蓄積装置と、前記n個の直流平滑コンデンサを直列接続した両端に開閉器を介して並列接続された抵抗装置とを備え、前記n個の直流平滑コンデンサを直列接続した両端に接続した負荷装置への力行電力の供給及び/又は前記負荷装置からの回生電力の蓄積を行う電力変換装置において、
    前記n台の電圧形自励式電力変換器を、前記交流電源の周波数に同期した一定のパルスパターンで動作させ、前記交流電源の電圧に対する位相角を調整することにより前記電圧形自励式電力変換器それぞれの入力電流を制御し、前記直流平滑コンデンサそれぞれに印加される電圧を制御する制御手段を具備したことを特徴とする電力変換装置。
  34. 前記n台の電圧形自励式電力変換器を、奇数パルスのパルスパターンで動作させ、当該各変換器の交流側出力電圧の基本波のゼロクロス点から電気角(30°/n)以内で、スイッチングを行う手段を具備することを特徴とする請求項29乃至33のいずれか一項に記載の電力変換装置。
  35. 前記負荷装置からの回生電力が第1の設定値を超えた場合にその超過エネルギーを前記エネルギー蓄積装置が吸収するように前記双方向チョッパを制御し、かつ、前記負荷装置からの回生電力が第2の設定値を超えた場合、前記抵抗装置を前記直流平滑コンデンサに並列接続するように前記開閉器を投入する手段を具備したことを特徴とする請求項29乃至34のいずれか一項に記載の電力変換装置。
  36. エネルギー吸収の要求がない時に、前記エネルギー蓄積装置が、蓄積されたエネルギーを放出するように前記双方向チョッパを制御する制御手段を具備したことを特徴とする請求項29乃至35いずれか一項に記載の電力変換装置。
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