JP2005065348A - 電力変換器とその制御方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明の電力変換器は、電力変換器の出力電流を検出する電流検出器の定格検出電流値が電力変換器の定格出力電流値より小さく、この電流検出器の出力値をリミッタを通して制限し、リミッタから出力する値に基づいて出力電圧指令値を調整する。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、直流電圧制御を行う複数の電力変換器が存在する直流送電システムにおいて、前記の電圧制御を行う電力変換器およびその制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年の自励式電力変換器の発展に伴い、交流電力を電力変換器により直流電力変換し、1000V以上の直流電圧で送電する技術が開発されている。電力変換器はダイオード整流器やサイリスタ整流器と異なり、力率を1に制御しながら交流電力を直流電力に変換できるため、省エネルギー化が可能である。この技術の応用先として直流送電、直流配電、鉄道用直流き電などが着目されている。
【0003】
また、二次電池や電気二重層コンデンサ、フライホイール発電機に代表されるエネルギー貯蔵要素の開発が進んできており、特許文献1には二次電池による車両の回生電力吸収装置の開示がある。
【0004】
従来の自励式電力変換器を用いたき電回路が特許文献2の図6に示されている。系統から受け取る交流電力を電力変換器により直流電力に、または直流電力を交流電力に変換して直流出力電圧を維持し、車両加速時には車両に電力を供給し、回生運転時には直流電力を交流電力に変換して系統に供給する。
【0005】
【特許文献1】
特開平9−289703号公報
【特許文献2】
特開2002−234365号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来技術では、電力変換器の出力電圧に差がある場合、き電区間に車両がいない、つまり無負荷状態においても横流が発生するため、電力変換器の無負荷損失が増加する問題がある。この横流は、横流を電流検出器で検出し、出力電圧を調整することで抑制できる。一般に横流は電力変換器定格出力電流に比べて小さいが、電流検出器は温度ドリフトなどの影響を受けるため、ゼロ点近傍の検出精度が低くなる。また、電流検出器の検出精度が一定の場合、検出器の定格検出電流値が大きいと電流検出器の誤差の絶対値は大きくなり、横流検出誤差が大きくなる。この誤差が大きい場合、横流を抑制する制御が逆に横流を大きくし、電力変換器の無負荷損失を増加させてしまう。
【0007】
従来、横流を精度よく検出する方法として、前記特許文献2に記載のように、横流を検出する小電流検出器と、該小電流検出器を短絡する短絡器を備え、無負荷時に小電流検出器で横流を高精度で検出して電力変換器の出力電圧を調節し、横流を抑制し、出力電圧の調整が終了した後に小電流検出器を短絡する方法では小電流検出器を短絡する短絡器が必要であり、該短絡器は電力変換器の定格電流を流す必要があるため、短絡器が大きくなり、装置の大型化や複雑化をもたらす。
【0008】
本発明の目的は、高精度に横流を抑制し、電力変換器の無負荷損失を低減することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明の電力変換器は出力電流を、定格検出電流値が電力変換器の定格出力電流値より小さい電流検出器で検出し、その出力値をリミッタにより制限し、該リミッタの値に基づいて出力電圧を調整する。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下本発明の詳細を図面を用いて説明する。
【0011】
(実施例1)
本実施例を図1を用いて説明する。図1には電力変換器2台と、その出力をつなぐき電線とレールとを示す。符号1、2は電力変換器、10、20は交流系統、11は変圧器、12はPWMコンバータ、13はコンデンサ、14は直流リアクトル、15、25は遮断器、30はき電線、31はレール、100は制御回路、101は交流電圧検出器、102は交流電流検出器、103は出力電流検出器、104は出力電圧検出器、110は有効電流算出器、111は電圧制御器、113は電流制御器、114は定数乗算器、115はリミッタ、116、117、119は減算器である。
【0012】
電力変換器1は交流系統10に接続される。電力変換器1の主回路は変圧器11、PWMコンバータ12、コンデンサ13、直流リアクトル14により構成される。PWMコンバータ12は変圧器11を介して交流系統10に接続され、PWMコンバータ12の直流出力端子にはコンデンサ13が並列接続される。PWMコンバータ12のプラス側出力端子には直流リアクトル14が接続され、直流リアクトル14の他端は電力変換器1のプラス側出力端子となり、遮断器15に接続される。遮断器15の他端はき電線30に接続される。PWMコンバータ12のマイナス側出力端子は電力変換器1のマイナス側出力端子に接続され、マイナス側出力端子はレール31に接続される。
【0013】
電力変換器2は電力変換器1と同じ構成を有し、電力変換器1と同様に交流系統20に接続され、プラスの出力端子は遮断器25に接続される。遮断器25の他端はき電線に接続され、マイナスの出力端子はレールに接続される。
【0014】
電力変換器1はさらに、検出器として交流電圧検出器101、交流電流検出器102、出力電流検出器103、出力電圧検出器104を備える。交流電圧検出器101と交流電流検出器102は、交流系統10と変圧器11の間に設置され、それぞれ変圧器11に入力される交流電圧と、変圧器11に流れ込む交流電流を検出する。出力電流検出器103は直流リアクトル14と遮断器15の間に設置され、出力電流を検出する。出力電圧検出器104は電力変換器1の出力端子に接続され、負荷側の直流リアクトル端子電圧とレール電圧の差である出力電圧を検出する。
【0015】
電力変換器1は上記検出器の出力に基づき、出力電圧を一定に制御する。出力電圧の制御方法を以下に示す。交流電圧検出器101と交流電流検出器102の出力値は有効電流算出器110に入力される。有効電流算出器110は交流系統から流れ込む電流の有効成分を算出し、その出力を減算器119に入力する。一方、出力電圧指令値である減算器116の出力値と出力電圧検出値は減算器117に入力される。減算器117は減算器116の出力値と出力電圧検出値の偏差を算出し、その偏差は電圧制御器111に入力される。電圧制御器111は該偏差が零または零に近い値に制御されるよう、電力変換器1が交流系統10より受け取る有効電流指令値を算出し、該指令値は減算器119に入力される。減算器119は有効電流指令値と有効電流算出器110の出力値の偏差を電流制御器113に出力する。電流制御器113は該偏差が零または零に近い値に制御されるよう電力半導体スイッチング素子を備えたPWMコンバータ12のゲート信号を作成する。このように電力変換器1は電圧指令値に従い、出力電圧を制御する。
【0016】
電力変換器1、2を起動し、遮断器15、25を投入したとき、出力電圧に差があるときには、き電線30、レール31を介して横流が流れる。例えば、電力変換器1の出力電圧が電力変換器2の出力電圧より高いとき、き電線30には電力変換器1から電力変換器2に向かって横流が流れる。
【0017】
以下、電力変換器1の横流抑制動作を説明する。電力変換器1の出力電流は電流検出器103により検出される。電流検出器103は出力電流が電流検出器103の定格検出電流値以内であれば、電力変換器1の定格電流値まで検出できる電流検出器に比べて高精度に出力電流を検出できる。
【0018】
電力変換器の定格出力電流まで検出できる電流検出器より、定格検出電流が電力変換器の定格出力電流より小さい電流検出器の方が横流を精度よく検出できる理由を以下に示す。電力変換器の定格出力電流まで検出できる電流検出器をCT1、定格電流検出値がCT1の定格電流検出値よりも小さい電流検出器をCT2、電力変換器の定格出力電流を3000Aとし、CT1は出力電流が3000Aのとき5V、出力電流が−3000Aのとき−5Vを出力し、CT2は出力電流が1000Aのとき5V、出力電流が−1000Aのとき−5Vを出力するとする。
【0019】
CT1の出力電圧1Vあたりの出力電流は600Aであるが、CT2の出力電圧1Vあたりの出力電流は200Aである。CT1、CT2に温度ドリフトなどの直流ノイズが0.1V重畳すると、CT1で誤検出する電流値は60A、CT2で誤検出する電流値は20Aとなり、CT2を用いると誤検出量はCT1の1/3となる。また、電流検出器と制御装置までの配線で混入するノイズに対する電流誤検出量も同様にCT2ではCT1の1/3となる。このように、CT2の定格検出電流値内の出力電流であれば、CT1よりCT2の方が精度良く出力電流を検出できる。
【0020】
電流検出器103の定格検出電流値が小さければ小さいほど、電流検出器の誤差の絶対値は小さくなるため、零点近傍の出力電流の検出精度は高まるが、定格検出電流値が小さすぎると横流全体を検出できなくなる可能性がある。横流全体を検出できない場合、電力変換器1の出力電圧補正量は電流検出器103の飽和した出力値により算出されるため、横流量に見合った出力電圧補正量を算出できない。ゆえに、電流検出器103の定格検出電流値は想定される横流全体を検出できる値に選ぶ。
【0021】
例えば、電力変換器1、電力変換器2の電圧指令値を1500V、前記電力変換器の出力電圧制御精度が±1%、き電線インピーダンスが0.125Ω である場合、横流は最大240Aとなる。これより、出力電流検出器103の定格電流検出値は240A以上とする。
【0022】
電力変換器1の出力電流と出力電流検出器103の出力の関係は図2に示すように飽和特性となるが、横流の範囲において出力電流と出力電流検出器103の出力は線形であるため、横流抑制制御に支障を与えない。以上のように、電流検出器103の定格検出電流値を想定される横流量以上に選ぶことにより横流を精度よく検出できる。
【0023】
また、電流検出器103の鉄心が小さい場合、電力変換器の出力電流が前記電流検出器の定格検出電流値を超えると鉄心内に発生する磁束密度が高くなり、鉄損による過熱や鉄心の磁化が発生する可能性がある。そこで、電流検出器103の鉄心は過熱や磁化を起こさない程度に大きくし、磁束密度を低減して鉄心の過熱や磁化を防ぐ。
【0024】
電流検出器103の出力は定数乗算器114に入力され、定数乗算器114の出力値はリミッタ115に入力される。リミッタ115は所定の範囲に定数乗算器114の出力を制限し、制限された値を出力電圧補正値として減算器116に出力する。減算器116には出力電圧指令値と出力電圧補正値であるリミッタ115の出力が入力される。減算器116は出力電圧指令値と出力電圧補正値の差を算出し、その差を新たな電圧指令値として減算器117に出力する。電力変換器1はこの電圧指令値に従い、出力電圧を制御する。
【0025】
例えば電力変換器1から電力変換器2に横流が流れるとき、出力電圧補正値は正の値になり、電力変換器1の出力電圧指令値が下がり、出力電圧が下がるため、電力変換器1と電力変換器2の出力電圧の差が小さくなり、横流が減る。逆に電力変換器2から電力変換器1に横流が流れる場合、電力変換器1の出力電圧指令値は上がり、出力電圧が上がるため、電力変換器1と電力変換器2の出力電圧の差が小さくなり、横流が減る。
【0026】
以下に定数乗算器114のゲイン設計とリミッタ115の上下限値指針を示す。本実施例の横流抑制制御では、電流が流れ出ると出力電圧を下降させる。電力変換器1の出力電圧指令値をV1、電力変換器2の出力電圧指令値をV2、定数乗算器114のゲインをk、き電線インピーダンスをR、横流をI1とし、定数乗算器114の出力がリミッタ115によりリミットされない場合、次式が成り立つ。
【0027】
V1−k・I1=R・I1+V2 …(数1)
また、(数1)式は次式のように変換できる。
【0028】
I1=(V1−V2)/(k+R) …(数2)
ゆえに、本発明はき電線インピーダンスを増加させることに置き換えることができ、インピーダンスの増加分は定数乗算器114のゲインと等しい。例えば、き電線インピーダンスが0.125Ω 、定数乗算器114のゲインが0.25V/Aであるとき、横流を1/3に抑制することができる。
【0029】
なお、電力変換器1の出力電圧の変化幅は、き電線を介して並列接続される電力変換器2の無負荷時出力電圧の変動範囲程度に制限するようにリミッタ115の上下限値を設定する。例えば、き電線を介して並列接続される電力変換器が自励式電力変換器の場合、無負荷時の電力変換器の出力電圧変動は、出力電圧検出器の精度が一般に1%以下であることから、自電力変換器の出力電圧の変動も考慮し、出力電圧変動幅は出力電圧指令値の±2%程度に制限する。
【0030】
並列接続される電力変換器がダイオード整流器の場合、無負荷時の出力電圧は1500Vき電区間では1590V程度であり、出力電圧は系統電圧に依存して変化する。ダイオード整流器が接続される系統電圧の変動が±5%である場合、無負荷時出力電圧も1590V±5%の範囲で変動するので、出力電圧変動幅は1590V±6%、つまり1495V以上1685V以下の範囲に制限する。
【0031】
リミッタ115の上下限値を上記のように設定すると、車両が加速または減速した場合でも、電力変換器1の出力電圧が電力変換器2の無負荷時出力電圧変動範囲内で制限されるので、出力電圧が過大もしくは過小になることがなく、車両へ安定に電力を供給できる。
【0032】
上記2点を考慮し、定数乗算器114のゲインとリミッタ115の上下限値を設計することにより、横流を精度よく検出し、横流を精度良く抑制できる。また、出力電圧変動範囲がき電線を介して並列接続される電力変換器の無負荷時出力電圧変動範囲内に制限されるので、負荷があるときでも出力電圧が過大もしくは過小にならず、車両へ安定した電力供給ができる。
【0033】
電力変換器2は横流抑制機能を有する必要は無いが、電力変換器1と同様に横流抑制を行っても良い。また、電力変換器2は自励式電力変換器である必要は無く、サイリスタ整流器やダイオード整流器であっても良い。
【0034】
電力変換器2も電力変換器1と同様の横流制御機能を有する場合、リミッタ115は、その出力を負の値に制限しても良い。その理由を以下に示す。電力変換器1の出力電圧が電力変換器2の出力より大きい場合、電力変換器1から横流が流れる。電力変換器1の出力電圧は変化しないが、電力変換器2の出力電圧は横流が流れ込むので、出力電圧補正値を負の値に設定し、結果的に電力変換器2の出力電圧は上がる。そのため、電力変換器1と電力変換器2の出力電圧の差は小さくなるため、横流は抑制される。逆に電力変換器1の出力電圧が電力変換器2の出力電圧よりも低い場合でも、電力変換器1の出力電圧が上がるため、横流は抑制される。
【0035】
以上のように電力変換器1、2の出力電圧の差が低減されるため、横流を抑制できる。この場合、電力変換器から電力を供給するときに出力電圧が下がらないため、き電線で発生する送電損失を低減できる。
【0036】
本実施例によれば、電力変換器の出力電圧の差により発生する横流を定格検出電流が小さい電流検出器を使用することにより精度よく検出でき、精度よく横流を抑制できるので、無負荷時における電力変換器の損失を低減できる。また、横流抑制のための出力電圧調整幅をき電線を介して並列接続される電力変換器の無負荷時出力電圧変動幅以内に制限するので、負荷が存在する場合でも電力変換器の出力電圧が過大もしくは過小になることがなく、車両へ安定した電力供給ができる。
【0037】
(実施例2)
以下、本実施例について図3を用いて説明する。図3には電力変換器2台と、その出力を繋ぐき電線とレールとを示す。本実施例は実施例1と比べて、リミッタ115の出力がローパスフィルタ124に入力され、該ローパスフィルタの出力値が減算器116に入力される点が異なる。
【0038】
本実施例では電圧指令値の補正項となるリミッタ115の出力値を、電力変換器の電圧制御時定数に比べて長い時定数のローパスフィルタ124に入力し、ローパスフィルタ124の出力値を減算器116に入力する。例えば100msの応答時定数に対し、ローパスフィルタの時定数を電圧制御応答時定数の4倍以上の値に設定する。これにより出力電圧指令値の変化を出力電圧制御応答より十分遅く変化させることができるため、電圧制御系の振動を抑制でき、制御系を安定に保ちながら横流を抑制できる。電圧検出器は一般に温度による影響を受けるので、ローパスフィルタの時定数上限値は1日の温度変化に追従できる程度(例えば、30min )とする。
【0039】
本実施例によれば、電力変換器の出力電圧の差により発生する横流を定格検出電流が小さい電流検出器を使用して精度よく検出でき、精度よく横流を抑制できるので、無負荷時の電力変換器の損失を低減できる。また、横流抑制のための出力電圧調整幅をき電線を介して並列接続される電力変換器の無負荷時出力電圧変動幅以内に制限するので、電力変換器の出力電圧が過大もしくは過小になることがなく、車両へ安定した電力供給ができる。さらに、出力電流に電圧制御時定数より長い時定数を有するローパスフィルタを施し、その値に基づいて出力電圧調整を行うことにより電圧制御系の振動を抑制でき、制御系を安定に保ちながら横流を抑制し、電力変換器の損失を低減できる。
【0040】
(実施例3)
本実施例を図4を用いて説明する。図4には電力変換器2台と、その出力をつなぐき電線とレールを示す。本実施例が実施例1と異なる点は、電力変換器4が交流系統ではなく、二次電池に接続している点である。実施例1および実施例2では交流系統に接続される電力変換器について説明したが、二次電池や電気二重層コンデンサ、フライホイール発電機などのエネルギー貯蔵要素に接続した電力変換器でも横流を抑制できる。
【0041】
本実施例の電力変換器のように電力貯蔵機能を持つ電力変換器を直流き電区間に設置すると、該電力変換器は車両減速時の回生エネルギーを貯蔵し、車両加速時にき電線に電力を供給するため、車両の回生エネルギーを有効利用でき、き電システムの効率を上げることができる。
【0042】
図4で符号2、4は電力変換器、16は二次電池、18は双方向チョッパ、13はコンデンサ、14、17は直流リアクトル、15、25は遮断器、20は交流系統、30はき電線、31はレール、100は制御回路、103は出力電流検出器、104は出力電圧検出器、105は入力電流検出器、111は電圧制御器、113は電流制御器、114は定数乗算器、115はリミッタ、116、117、119は減算器である。電力変換器2は実施例1と同一である。
【0043】
電力変換器4は二次電池16に接続される。電力変換器4の主回路は直流リアクトル17、双方向チョッパ18、コンデンサ13、直流リアクトル14により構成される。双方向チョッパ18は二次電池16に接続し、双方向チョッパ18の直流出力端子にはコンデンサ13が並列接続し、双方向チョッパ18のプラス側出力端子には直流リアクトル14が接続される。直流リアクトル14の他端は電力変換器4のプラス側出力端子に接続され、マイナス側の出力端子は双方向チョッパ18のマイナス側出力端子に接続される。電力変換器4のプラス側出力端子は遮断器15に接続され、遮断器15の他端はき電線30に接続される。電力変換器4のマイナス側出力端子はレール31に接続される。
【0044】
電力変換器4は検出器として入力電流検出器105、出力電流検出器103、出力電圧検出器104を備える。入力電流検出器105は直流リアクトル17と双方向チョッパ18の間に設置され、入力電流を検出する。出力電流検出器103は直流リアクトル14と遮断器15の間に設置され、出力電流を検出する。出力電圧検出器104は電力変換器4の出力端子に接続され、負荷側の直流リアクトル端子電圧とレール電圧の差である出力電圧を検出する。電力変換器2は交流系統20、遮断器25、レール31に接続される。電力変換器4は上記検出器の出力に基づき、出力電圧を出力電圧指令値に従って制御する。
【0045】
出力電圧の制御方法を以下に示す。入力電流検出器105は入力電流検出値を減算器119に入力する。一方、出力電圧指令値である減算器116の出力値と出力電圧検出器104の出力値は減算器117に入力され、減算器117の出力値は電圧制御器111に入力される。電圧制御器111は出力電圧指令値である減算器116の出力値と出力電圧検出器104の出力値の偏差を低減すべく入力電流指令値を算出する。
【0046】
入力電流指令値と入力電流検出値は減算器119に入力され、減算器119は入力電流指令値と入力電流検出値の差を算出し、その差を電流制御器113に出力する。電流制御器113は入力電流指令値と入力電流検出値の偏差を低減すべく双方向チョッパのゲート信号を作成する。
【0047】
以上の方法で電力変換器は出力電圧を出力電圧指令値に従って制御する。電力変換器4、2を起動し、遮断器15、25を投入したとき、出力電圧に差があるときにはき電線30、レール31を介して横流が流れる。例えば、電力変換器4の出力電圧が電力変換器2の出力電圧より高いとき、き電線30には電力変換器4から電力変換器2に向かって横流が流れる。
【0048】
以下、電力変換器4の横流抑制動作を説明する。出力電流検出器103の出力値は定数乗算器114に入力され、定数乗算器114の出力値はリミッタ115に入力される。出力電圧の電圧指令値とリミッタ115の出力値は減算器116に入力され、その差分値を新たな電圧指令値として、減算器117に入力する。電力変換器4はこの電圧指令値に従い、出力電圧を制御する。例えば電力変換器4から電力変換器2に横流が流れるとき、リミッタ115の出力は正の値になり、電力変換器4の出力電圧指令値が下がり、出力電圧が下がるため、電力変換器4と電力変換器2の出力電圧の差が小さくなり、横流が減る。
【0049】
逆に電力変換器2から電力変換器4に横流が流れるとき、電力変換器4の電圧指令値は上がり、電力変換器4の出力電圧が上がるため、電力変換器4と電力変換器2の出力電圧の差が小さくなり、横流が減る。
【0050】
これにより、出力電流値に応じて出力電圧を補正して横流を抑制できる。また、横流を抑制することにより、二次電池の不必要な充放電を抑制できるので、二次電池の利用率を向上できる。
【0051】
本実施例ではエネルギー貯蔵要素として二次電池を使用しているが、電気二重層キャパシタやフライホイール発電機を使用しても同様である。
【0052】
本実施例によれば、電力変換器の出力電圧の差により発生する横流を定格検出電流が小さい電流検出器を使用することにより精度よく検出でき、精度よく横流を抑制できるので、無負荷時における電力変換器の損失を低減できる。また、電力変換器が接続されるエネルギー貯蔵要素が二次電池や電気二重層キャパシタやフライホイール発電機であっても、横流抑制を実施でき、エネルギー貯蔵要素の利用率を向上できる。さらに、負荷が存在する場合も出力電圧調整範囲を並列接続された電力変換器の無負荷時出力電圧変動幅に制限して、車両に安定した電力を供給できる。
【0053】
【発明の効果】
本発明によれば、直流電圧を制御する電力変換器が送電線を介して並列に接続される送電システムで、出力電圧の差により発生する横流を精度良く検出できるので、精度よく横流が抑制でき、電力変換器の無負荷時の損失を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1の電力変換器の説明図である。
【図2】実施例1の電力変換器の出力電流と出力電流検出器の出力の関係の説明図である。
【図3】実施例2の電力変換器の説明図である。
【図4】実施例3の電力変換器の説明図である。
【符号の説明】
1、2…電力変換器、10、20…交流系統、11…変圧器、12…PWMコンバータ、13…コンデンサ、14…直流リアクトル、15、25…遮断器、100…制御回路、110…有効電流算出器、111…電圧制御器、112、114…定数乗算器、113…電流制御器、115…リミッタ、116、117、119…減算器、118…加算器。
Claims (13)
- 接続される交流系統から受け取る交流電力を直流電力に、直流電力を交流電力に変換することにより出力電圧指令値に従い直流出力電圧を制御する電力変換器において、該電力変換器が出力電流を検出する電流検出器と該電流検出器の出力値を制限するリミッタとを備え、該リミッタの出力値に基づいて出力電圧指令値を調整し、前記電流検出器の定格検出電流値が前記電力変換器の定格出力電流値より小さいことを特徴とする電力変換器。
- 接続されるエネルギー貯蔵要素から電力を受け取る、またはエネルギー貯蔵要素へ電力を供給することにより出力電圧指令値に従い直流出力電圧を制御する電力変換器において、該電力変換器の出力電流を検出する電流検出器と該電流検出器の出力値を制限するリミッタを備え、該リミッタの出力値に基づいて出力電圧指令値を調整し、前記電流検出器の定格検出電流値が前記電力変換器の定格出力電流値より小さいことを特徴とする電力変換器。
- 請求項2記載の電力変換器において、前記エネルギー貯蔵要素が二次電池であることを特徴とする電力変換器。
- 請求項2記載の電力変換器において、前記エネルギー貯蔵要素が電気二重層キャパシタであることを特徴とする電力変換器。
- 請求項2記載の電力変換器において、前記エネルギー貯蔵要素がフライホイール発電機であることを特徴とする電力変換器。
- 請求項1または請求項2の何れかに記載の電力変換器において、出力電圧の調整値をリミッタ出力に比例させ、出力電圧指令値から該出力電圧調整値を減算した値を新たな出力電圧指令値とすることを特徴とする電力変換器。
- 請求項1または請求項2の何れかに記載の電力変換器であって、出力電圧を上げる方向のみに出力電圧を調整することを特徴とする電力変換器。
- 接続される交流系統から受け取る交流電力を直流電力に、直流電力を交流電力に変換することにより出力電圧指令値に従い直流出力電圧を制御する電力変換器の制御方法において、該電力変換器の出力電流を、定格検出電流値が前記電力変換器の定格出力電流値より小さい電流検出器で検出し、該電流検出器の出力値をリミッタにより制限した値に基づいて出力電圧指令値を調整することを特徴とする電力変換器の制御方法。
- 接続されるエネルギー貯蔵要素から電力を受け取る、またはエネルギー貯蔵要素へ電力を供給することにより出力電圧指令値に従い直流出力電圧を制御する電力変換器の制御方法において、該電力変換器の出力電流を、定格検出電流値が前記電力変換器の定格出力電流値より小さい電流検出器で検出し、該電流検出器の出力値をリミッタにより制限した値に基づいて出力電圧指令値を調整することを特徴とする電力変換器の制御方法。
- 請求項8または請求項9の何れかに記載の電力変換器の制御方法において、出力電圧の調整値をリミッタ出力に比例させ、出力電圧指令値から該出力電圧調整値を減算した値を新たな出力電圧指令値とすることを特徴とする電力変換器の制御方法。
- 請求項8または請求項9の何れかに記載の電力変換器の制御方法において、出力電圧を上げる方向のみに出力電圧を調整することを特徴とする電力変換器の制御方法。
- 請求項6または請求項7の何れかに記載の電力変換器において、電力変換器の出力電圧制御の応答時定数より長い時定数のローパスフィルタを備え、出力電圧補正値を前記ローパスフィルタに入力し、該ローパスフィルタの出力値を新たな出力電圧補正値とし、前記電力変換器の出力電圧指令値から減算して新たな出力電圧指令値を算出することを特徴とする電力変換器。
- 請求項10または請求項11の何れかに記載の電力変換器の制御方法において、電力変換器の出力電圧制御の応答時定数より長い時定数のローパスフィルタを備え、出力補正値を前記ローパスフィルタに入力し、該ローパスフィルタの出力値を新たな出力電圧補正値とし、前記電力変換器の出力電圧指令値から減算して新たな出力電圧指令値を算出することを特徴とする電力変換器の制御方法。
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JP2003206996A JP2005065348A (ja) | 2003-08-11 | 2003-08-11 | 電力変換器とその制御方法 |
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JP2003206996A JP2005065348A (ja) | 2003-08-11 | 2003-08-11 | 電力変換器とその制御方法 |
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2007006601A (ja) * | 2005-06-23 | 2007-01-11 | Toshiba Corp | 電力変換装置 |
JP2007006606A (ja) * | 2005-06-23 | 2007-01-11 | Toshiba Corp | 電力変換装置 |
JP2017121141A (ja) * | 2015-12-28 | 2017-07-06 | 株式会社東芝 | 電気車制御装置 |
-
2003
- 2003-08-11 JP JP2003206996A patent/JP2005065348A/ja active Pending
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