JP2006342501A - 箱形循環式駐車装置およびその運転方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】パレットの2工程循環により入出庫作業に要する時間を短縮する。
【解決手段】普通車のみを収容する二層の普通車用横移送路21、22と、ハイルーフ車を収容する二層のハイルーフ車用横移送路23、24と、全横移送路に収容されうる最大台数に二台を加えた台数のパレット1〜14と、横移送路の左右両端側に配設されたパレットの昇降路25、26とを備えた箱形循環式駐車装置20の運転方法で、ハイルーフ車用横移送路23、24に収容される最大台数のパレットをハイルーフ車用1〜6と設定し、残余のパレットを普通車用パレット7〜14と設定し、任意の二台の普通車用パレットを、ハイルーフ車用横移送路におけるハイルーフ車用パレットの循環動作に参加させ、出庫および入庫作業が完了した状態で、全ハイルーフ車用パレットパレットがハイルーフ車用横移送路に収容され、任意の二台の普通車用パレットが昇降路に位置するように設定する。
【選択図】図1

Description

本発明は箱形循環式駐車装置およびその運転方法に関する。さらに詳しくは、複数のパレットが横方向に連結された状態で上下複数段の横移送路に収容され、横移送路の両端側にある昇降路において上下の横移送路相互間のパレット受け渡しを行うことにより、パレットを循環させることができる、いわゆる箱形循環式駐車装置およびその運転方法に関する。
上記した箱形循環式駐車装置は、市街地におけるオフィスビルや集合住宅ビル等の地上階や地下階に跨って設置されることが知られている。かかる駐車装置では、限られたスペースに車両搭載用のパレットをできる限り多く配置すべく、パレットの寸法(横幅や縦長さ)や横移送路の天井高さを収容最大車種に合わせて必要最小限の寸法に設定するのが一般的である。このようにして省スペース化および設備費低廉化を図っている。また、最近ではこの箱形循環式駐車装置に低車高車両(たとえば普通乗用車であり、以下普通車と呼ぶ)および高車高車両(たとえば、いわゆるハイルーフ車であり、以下、ハイルーフ車と呼ぶ)を区別された横移送路に分けて効率よく収容できるように工夫がなされている(たとえば特許文献1参照)。
図12(a)に示すように、この駐車装置51には下から順にI〜IVの四層の横移送路が形成され、低天井のI、II層に普通車を収容し、高天井のIII、IV層にハイルーフ車を収容するようにしている。低天井のI、II層にはハイルーフ車を収容することはできない。四層の横移送路の一端側(左端側)には入出庫昇降路52が配設され、他端側(右端側)には循環昇降路53が形成され、各昇降路52、53には図示しないリフトが設置されている。各リフトは、上下方向に懸架された無端チェーンにパレット(図中に○付き数字1〜14で示す)を搭載するための前後対の昇降レールが複数段に取り付けられたものである。これら昇降レールの上下間隔は、ハイルーフ車用横移送路III、IVの高さ間隔P1と普通車用横移送路I、IIの高さ間隔P2との最大公約数に設定されている。そして、P1>P2にされている。これは、一の横行レールを一の横移送路に対応させたときに全ての層の横移送路に横行レールが対応するようにしたものである。
図示のごとく、この駐車装置51の収容車両台数は、各層の横移送路に3台および各昇降路に一台の合計十四台となっている。また、この駐車装置51もそうであるが、一般的に入出庫リフトおよび循環リフトの駆動モータは、必要最小限の動力、すなわち、最大重量の車両(たとえばハイルーフ車)を搭載した一台のパレットの昇降に必要な動力しか備えていない。ただし、昇降しない停止状態のリフトには二台の車両搭載パレットを仮置きすることは可能になっている。
このような駐車装置51におけるハイルーフ車の入出庫時には、ハイルーフ車用横移送路III、IVの左右の入出庫リフトおよび循環リフトに各一台のパレット7、11を対角配置することにより、二層の横移送路III、IVのパレット1〜7、11を図12(c)に示すごとく循環(箱形循環という)可能にする。普通車の入出庫時には、普通車用横移送路I、IIの左右の入出庫リフトおよび循環リフトに各一台のパレットを対角配置することにより、二層の横移送路I、IIのパレットを箱形循環可能にする。箱形循環には、図12(c)に示す左行と右行、および、上昇と下降をそれぞれ同時に行ういわゆる2工程方式と、左行、右行、上昇、下降を1工程ずつ順次行ういわゆる1工程方式とがあり、いずれの方式をも実施することが可能であるが、2工程方式のほうが入出庫時間が短くて済むことは言うまでもない。
この駐車装置51における各パレット1〜14はハイルーフ車および普通車のいずれをも搭載することができ、いずれの横移送路I、II、III、IVにも進入することができる。しかし、前述したとおり、ハイルーフ車を搭載したパレットは低天井の横移送路I、IIには進入することができない。そして、いずれのリフトも二台以上の車両を搭載して昇降することはできない。
このような駐車装置51が、たとえば図12(a)に示す初期配置状態にあると仮定する。つまり、III層の横移送路の入出庫昇降路52に空パレット7、IV層の横移送路の循環昇降路53に空パレット11、IV層の横移送路にハイルーフ車搭載パレット1、2、3が位置し、III層の横移送路にハイルーフ車搭載パレット5、6および空パレット4が位置し、I層の横移送路には普通車搭載パレット8、9、10が位置し、II層の横移送路には普通車搭載パレット12、13、14が位置している。
この状態からハイルーフ車の入庫要求があった場合、入出庫時間が最短である循環工程を採用するようにされている。すなわち、入出庫リフトに搭載されているパレット7が空であるので、このまま入出庫リフトを昇降させて空パレット7を上方の入出庫部54に移動する(図12(b))。このパレット7は入庫ハイルーフ車を搭載して元に位置に戻る(図12(c))。
この後、図12(c)の状態で、たとえばI層の横移送路の右端の普通車を搭載したパレット12の出庫要求があったと仮定する。この場合、I層およびII層の横移送路の2工程循環に先立ち、ハイルーフ車を搭載していない空パレットまたは普通車を搭載したパレットの二台をI層およびII層の入出庫昇降路52および循環昇降路53に対角配置する(図13(g)に示す状態)必要がある。
このために、まずIII層およびIV層の横移送路の時計回りの2工程循環を3回行い(図12(c))、空パレット4を入出庫昇降路52のIII層に配置する(図12(d))。ついで入出庫リフトを下降し、空パレット4を入出庫昇降路52のII層に配置する(図13(e))。
つぎに空パレット11を循環昇降路53に配置すべく、以下の1工程ずつの順次動作(図13(e))を行う必要がある。この場合、駆動モータの制限により、リフトの昇降時には一台の車両しか搭載することができない。すなわち、IV層左行→II層右行→入出庫リフト下降→III層右行→II層左行→循環リフト上昇のサイクルを1回とする工程を3回繰り返す(図13(e))。こうすることにより、ようやく空パレット11が循環昇降路53III層に配置される(図13(f))。上記工程を繰り返すことにより合計工程数が18工程にもなる。
その後は、循環リフトの下降により、パレット11を循環昇降路53のI層に配置し(図13(g))、そのうえでI層およびII層の時計回りの2工程循環を3回行って出庫要求されたパレット12を入出庫昇降路52のI層に配置する(図13(h))。最後に、入出庫リフトの上昇により、普通車を搭載したパレット12を入出庫部54に搬出し、利用者が当該普通車に乗車して退場し、一連の出庫作業を完了する。
以上のように、目前の入出庫時間の短縮を優先した工程を採用しているので、その後の入出庫に際して2工程循環を行うことができず、1工程動作を順次行うことを余儀なくされ、入出庫作業が繁雑となり、入出庫時間(工程数)が非常に長くなってしまう。
特許第2884283号公報
本発明は、かかる課題を解決するためになされたものであり、パレットに搭載する車両を制限する等して、普通車およびハイルーフ車のいずれの入出庫作業においても、パレットの2工程循環をフルに実施することができ、入出庫時間を大幅に短縮することができる箱形循環式駐車装置およびその運転方法を提供することを目的としている。
本発明の箱形循環式駐車装置は、
複数個の低車高車用パレットおよび複数個の高車高車用パレットと、
このパレットを収容し且つ横行させる上下複数段の横移送路と、
この横移送路の左右両端側に配設された、パレットを昇降するための昇降路と、
両昇降路のうち少なくとも一方の昇降路に通じるように形成された入出庫部と、
駐車装置の運転を制御する制御装置とを備えており、
上記横移送路が、低車高車用パレットのみを収容する少なくとも二層の低車高車用横移送路と、高車高車用パレットを収容する少なくとも二層の高車高車用横移送路とから構成されており、
上記パレットの台数が、全横移送路に収容されうる最大台数に低車高車用パレット二台を加えた台数であり、
上記制御装置により、低車高車用パレットのうちの任意の二台が上記高車高車用横移送路に進入することが許されるように制御され、入出庫作業の完了後の状態においては昇降路に位置するように制御されている。
かかる構成によれば、昇降路に位置した上記二台の低車高車用パレットが、入出庫作業に際しての横移送路間のパレットの同時循環(いわゆる2工程循環)に参加することができ、しかも、当該入出庫作業が完了したときもこの配置に戻されるため、その後の入出庫作業に際しても迅速にパレットの循環動作を開始することができる。その結果、従来の箱形循環式駐車装置に比べて入出庫作業に要する時間を短縮することができる。なお、入出庫作業の完了後の状態において昇降路に位置する二台の低車高車用パレットは、高車高車用横移送路に進入することが許された二台の低車高車用パレットと同一のパレットである必要はない。
高車高車用パレットには低車高車も搭載することができるように構成することができる。こうすれば、収容車両の台数を減少させる必要がない。
上記制御装置の制御により、入出庫作業の完了後の状態においては、高車高車用パレットの全てが高車高車用横移送路に収容され、昇降路に位置した二台の低車高車用パレットを除く低車高車用パレットの全てが低車高車用横移送路に収容されている初期配置状態に設定することができる。
上記制御装置の制御により、車両の入出庫に先だって、昇降路に位置した上記二台の低車高車用パレットが、入出庫対象であるパレットが収容されている横移送路と、この横移送路と同車種用の横移送路との左右の昇降路に対角配置するのが好ましい。
本発明の箱形循環式駐車装置の運転方法は、
低車高車のみを収容する少なくとも二層の低車高車用横移送路と、高車高車を収容する少なくとも二層の高車高車用横移送路と、全横移送路に収容されうる最大台数に二台を加えた台数の車両搭載用パレットと、上記横移送路の左右両端側に配設された、パレットを昇降するための昇降路と、を備えた箱形循環式駐車装置の運転方法であって、
高車高車用横移送路に収容されうる最大台数のパレットを高車高車用パレットと設定し、残余のパレットを低車高車用パレットと設定し、
二台の低車高車用パレットを、高車高車用横移送路における高車高車用パレットの循環動作に参加させるうるように設定し、
入出庫の作業が完了した状態において、全ての高車高車用パレットパレットが高車高車用横移送路に収容され、二台の低車高車用パレットが昇降路に位置するように設定する。
必要に応じて上記高車高車用横移送路に低車高車をも収容することができる。
本発明によれば、車両の入出庫作業が煩雑なものとなりがちな普通車およびハイルーフ車を共に収容することができる混載型の箱形循環式駐車装置においても、パレットの2工程循環を十分に且つ迅速に実施することができる。その結果、従来の箱形循環式駐車装置に比べて車両の入出庫作業に要する時間を短縮することができる。
以下、添付の図面を参照しつつ本発明の一実施形態にかかる箱形循環式駐車装置およびその運転方法を説明する。
図1は本発明の運転方法が適用されうる箱形循環式駐車装置の一例を示す縦断面図である。図2は図1のII−II線断面図であり、駐車装置における最下層の横移送路およびその両端側の昇降路を示す平面図でもある。図3および図4は本発明の運転方法の一実施形態を説明するための駐車装置の縦断面図である。図5は図1のV−V線断面図であり、図1の駐車装置における最上部に位置する入出庫部を示す平面図でもある。
この駐車装置20には上下四層I、II、III、IVにわたって形成された車両収容のための横移送路21、22、23、24が形成されている。また、全横移送路の左端側には各横移送路および入出庫部40に通じる入出庫昇降路25が形成されており、右端側には各横移送路に通じる循環昇降路26が形成されている。もちろん、循環昇降路26にも入出庫部が形成されていてもよい。すなわち、全横移送路の左右両端側に入出庫昇降路を形成してもよい。
横移送路は下から順に、天井高さの低いI層およびII層の横移送路21、22には普通車Nしか収容することができず、天井高さの高いIII層およびIV層の横移送路23、24にはハイルーフ車Hのみならず、普通車Nをも収容することが可能である。本実施形態では各層の横移送路21、22、23、24には車両搭載用のパレットを3台分収容することができる。もちろん、各横移送路の収容台数は3台に限定されることはなく、一台以上であれば何台であってもよい。また、2工程循環のために普通車用横移送路およびハイルーフ車用横移送路はともに二層以上必要であるが、とくに二層に限定する必要はない。
また、とくに普通車用横移送路同士が上下に隣接し、ハイルーフ車用横移送路同士が上下に隣接する必要はない。たとえば、I層とIII層とを普通車N(ハイルーフ車H)用横移送路とし、II層とIV層とをハイルーフ車H(普通車N)用横移送路とすることができる。また、たとえば横移送路を五層にし、図示しないV層とI層とIII層とをハイルーフ車H(普通車N)用横移送路とし、II層とIV層とを普通車N(ハイルーフ車H)用横移送路とするなど、様々な配列のバリエーションが可能である。
各横移送路21、22、23、24にはパレット1〜14(以下、適宜符号1で代表させる)が横行するための横行レール27が付設されている。パレット1の下面には横行レール27上を転動する横行輪28が設置されている。パレット1の下面にはさらに被係合溝部材30が配設されている。この被係合溝部材30は、各横移送路に設置されたパレット横行装置29(図1および図2参照)が係合してパレットに横行力を加えるためのものである。
パレット1の両側辺にはパレット同士を連結するための雌雄連結器(単に連結器と呼ぶ)31が設置されている。図6に示すように、この連結器31は連結されたパレット1相互の上下相対移動によって係合および係合解除され、横移動時には連結を維持するものである。
入出庫昇降路25および循環昇降路26にはそれぞれ車両を昇降するためのリフト32、33が設置されている。いずれのリフトにおいても、昇降路の上下端に設置されたスプロケット34、35に四本の無端チェーン36が掛け回されており、横方向に対向するチェーンには、パレット1を載置するための昇降用レール37が水平に掛け渡されている。下部スプロケット35にはリフトを昇降駆動するための駆動装置38が接続されている。この駆動装置の出力は、必要最小限の出力、すなわち、最大重量の車両(本実施形態ではハイルーフ車H)を搭載したパレット一台の昇降に必要な出力しか発揮できない。ただし、昇降しない停止状態のリフト32、33には二台の車両搭載パレットを仮置きすることは可能になっている。本実施形態におけるパレットの台数は、横移送路に収容される十二台と昇降路に位置する二台の合計十四台である。
昇降レール37の上下間隔P3は、ハイルーフ車用横移送路III、IVの高さ間隔P1と普通車用横移送路I、IIの高さ間隔P2との最大公約数に設定されている。そして、P1>P2にされている。したがって、リフト32、33を昇降させて一の昇降レール37を一の横移送路に対応させたときに全ての層の横移送路にも昇降レールが対応するので、そのまま循環動作が可能となる。
図1、図5および図7に示すように、入出庫昇降路25の上端部には車両の入出庫部40が形成されている。入出庫部40には車両の進出等を確認するためのセンサ(光電検出器)39が設置されている。具体的には、車両の入出庫口40a通過を検出して入出庫を確認するセンサ39a、パレット1上に車両が存在しているか否かを確認するセンサ39b、パレット1の前後からの車両のはみ出しを検出するセンサ39c、パレット1の左右からの車両のはみ出しを検出するセンサ39d、車両の高さを検出して普通車Nかハイルーフ車Hかを確認するセンサ39eが設置されている。また、入出庫部40の外方には入庫する車両を180°旋回するためのターンテーブル41が配設されている。さらに、図5に示すように、入出庫口40aの外側にはこの駐車装置20の運転を制御する制御装置43を装備した運転操作盤42が設置されている。
図8にはこの運転操作盤42および制御装置43の一例が示されている。この操作盤42には、現在のパレットの空車台数、実車台数および待ち時間が表示され、また、テンキー44の操作によって該当する入出庫部の番号および予簿出し番号が表示される。さらに、実車表示部45にはハイルーフ車用パレット1〜6と普通車用パレット7〜14の実車空車状況が表示される。図示の実車表示部45には図3に示す状態に対応して、三台のパレット4、7、11が空車表示されている。また、ハイルーフ車入庫または普通車入庫を選択する操作ボタン、契約者の暗証番号入力ボタン、ターンテーブル操作ボタン等の各種操作ボタン46が設置されている。さらに、各所の案内や警報を表示および放送するための電光表示部47およびスピーカー48が設置されており、利用者のための駐車券の発行口49が形成されている。
制御装置43は、操作盤42による指示操作に応じて、入出庫リフト、循環リフトおよび各層の横行装置の作動を開始させてパレットの循環動作や入出庫部40への搬送動作を行う。また、ターンテーブル41の旋回や入出庫口扉の開閉を行う。さらに、車両の高さや適正位置への停車を確認するためのセンサ39の検出結果を判断し、必要に応じて警報器や入庫誘導案内表示器を作動させる。
この駐車装置20には車両の搬送および収容に関していくつかの制限が設けられている。まず、ハイルーフ車の満車制限台数はハイルーフ車用の横移送路23、24のみに収容しうる台数であり、本実施形態ではIII層の横移送路23の三台およびIV層の横移送路24の三台の合計六台である。一方、普通車の満車制限台数は普通車用横移送路21、22およびその両側の昇降路25、26に収容しうる台数であり、本実施形態ではI層の横移送路21の三台、II層の横移送路22の三台、および、両側の昇降路25、26の二台の合計八台である。また、前述したように、I層およびII層の普通車用横移送路21、22には普通車しか収容することができず、III層およびIV層のハイルーフ車用横移送路23、24にはハイルーフ車のみならず、普通車を収容することも可能である。さらに、リフト32、33はハイルーフ車を搭載したパレット一台の昇降に必要な出力しか発揮できず、昇降しない停止状態のリフト32、33には車両を搭載した二台のパレットを仮置きすることが可能である。以上の条件が全て制御装置43内に記憶されている。
さらに制御装置43には、十四台のパレット1〜14のうち、III層およびIV層の横移送路23、24に配置されている六台のパレット1〜6がハイルーフ車専用のパレットとして登録されており、残りの八台のパレット7〜14が普通車専用のパレットとして登録されている。普通車専用として登録されたパレット7〜14にはハイルーフ車を搭載することができない。そして、ハイルーフ車専用として登録されたパレット1〜6はI層およびII層の普通車用横移送路21、22には進入することができない。そして、ハイルーフ車専用として登録されたパレット1〜6には普通車を搭載することができるが、この場合であってもそのパレットは普通車用横移送路21、22には進入することができない。普通車専用パレット7〜14はIII層およびIV層のハイルーフ車用横移送路23、24にも進入することができる。
空車(車両が搭載されていない状態)または実車(車両が搭載された状態)に拘わらず合計六台のハイルーフ車専用パレット1〜6がハイルーフ車用横移送路23、24に整列した状態がこの駐車装置20の初期配置状態として設定されている。そして、一回の入出庫動作はこの初期配置状態に戻して完了したとされる。
普通車専用として登録された八台のうちの二台のパレットは、それが実車であるか空車であるかに拘わらず、ハイルーフ車の入出庫作業に際してハイルーフ車用パレットの循環工程に参加させられる。この二台の普通車線用パレットはいずれかの昇降路25、26に位置することになるが、I層およびII層の対角位置(たとえば図4(g)に示すパレット8とパレット12の配置)かまたはIII層およびIV層の対角位置(たとえば図3(b)に示すパレット7とパレット11の配置)にあるのが次の動作、とくに2工程循環を行うためには便利である。
ハイルーフ車の入出庫作業が完了したとき、すなわち前述した初期配置状態に復帰したときには六台のハイルーフ車専用パレット1〜6全てがハイルーフ車用横移送路23、24に整列した状態となるので、循環工程に参加した上記二台の普通車専用パレットは両昇降路25、26それぞれに位置する(III層およびIV層の対角位置)こととなる。以下、図3および図4を参照しながら具体的に説明する。
図3(a)は初期配置状態を示しており、また、ハイルーフ車用パレット4が空車となっている。そこにハイルーフ車の入庫要求があったと仮定する。その場合、パレット7が入出庫部40に直接に迎えに行くのではなく、ハイルーフ車用の空車パレット4を入出庫部40へ搬送する。そのために普通車用パレット7、11も含めたIII層およびIV層のパレット群を時計回りの2工程循環を三回行う。すなわち、まずパレット7を上昇させ、パレット11を下降させ、III層のパレットの左行とIV層のパレットの右行とを同時に行い、ついで入出庫昇降路のパレットを上昇させ、循環昇降路のパレットを下降させる(図3(b))。このような動作を三回繰り返すのである。その結果、空パレット4が入出庫リフト32上に載るので、これを入出庫部まで上昇させて入庫ハイルーフ車を搭載させる(図3(c))。ついで初期配置状態まで戻すために、入庫車を搭載したパレット4をIV層まで下降させ(図3(d))、III層およびIV層のパレット群を時計回りに2工程循環を一回行う。そうするとハイルーフ車専用のパレット1〜6がIII層およびIV層の横移送路23、24に収容され、上記二台の普通車用パレット7、11はそれぞれ循環昇降路26および入出庫昇降路25に位置する。すなわち、二台の普通車用パレット7、11がIII層およびIV層に対角配置される初期配置状態となる(図4(e))。上記では入庫車を収容すべき空パレットが入出庫部から遠い4(3でも同じ)であったたため2工程循環を三回繰り返して入出庫部まで搬送したが、空パレットが1、2、5または6であれば2工程循環の回数は少なくて済む。
この初期配置状態(図4(e))から、たとえばIII層のいずれかのハイルーフ車を出庫する場合は反時計回りの2工程循環を適宜回数(三回以下)行い、IV層のいずれかのハイルーフ車を出庫する場合は時計回りの2工程循環を適宜回数行って出庫させ、その後、上記二台の普通車用パレット7、11がそれぞれ循環昇降路26および入出庫昇降路25に位置するまで2工程循環を行って初期配置状態に戻す。
また、上記初期配置状態(図4(e))から、たとえば最も遠いパレット12の普通車を出庫させる場合、I層およびII層のパレット群の時計回りの2工程循環を三回行う。まずパレット11をII層まで下降させ、パレット7をI層まで下降させる。つまり、パレット11とパレット7とをI層およびII層に対角配置させる。そして、I層のパレットの左行とII層のパレットの右行とを同時に行う(図4(f))。このような動作を三回繰り返すのである。その結果、空パレット12が入出庫リフト32上に載るので、これを入出庫部まで上昇させて出庫普通車を退出させる(図4(g))。ついで前述したと同様にして初期配置状態まで戻す。上記では出庫車を収容しているパレットが入出庫部から遠い12(10でも同じ)であったたため2工程循環を三回繰り返して入出庫部まで搬送したが、空パレットが8、9、13または14であれば2工程循環の回数は少なくて済む。
また、初期配置状態(図3(a)でもよく、図4(e)でもよく、図4(f)でもよく、図4(g)でもよい)から普通車を入庫させるときには、普通車用の空パレット7か11を直接入出庫部まで迎えに出す。そして、上記初期配置状態に戻ればよい。このように、初期配置状態において昇降路25、26に位置する普通車用パレットは実車であっても空車であってもその後の入出庫作業に差し障りはない。入出庫作業のために待機しているときには、常に上記した初期配置状態(昇降路に配置される二台の普通車用パレットはとくに対角配置である必要はない)であれば、その後の入出庫の工程の煩雑さが解消され、工数も少なくなる。
図9〜図11を参照しながら、この駐車装置20の利用者または管理人による運転操作、および、上記した初期配置状態復帰も含めた制御装置43による駐車装置の動作を説明する。
まず、図9に示すハイルーフ車の入庫動作を説明する。(1)利用者または駐車装置の管理人が上記操作盤42によって入庫又は出庫の呼び操作を行う。(2)入庫の場合、(3)その車両がハイルーフ車か否かがボタン操作による信号から確認される。(4)入庫するのがハイルーフ車である場合、空のハイルーフ車用パレットが存在するか否かが確認され、(5)無ければ入庫不可等の放送や操作盤の電光表示部47への表示がなされる。(6)空のハイルーフ車用パレットが存在すれば、二台の普通車用パレットをIII層およびIV層に対角配置する。そして、(7)III層およびIV層を2工程循環することによってハイルーフ車用の空パレットを入出庫リフト32に搭載する。(8)(9)入出庫リフト32を上昇させてこの空パレットを入出庫部40に到着させる。ついで、(10)入出庫口扉を開き、(11)表示部に入庫誘導案内を表示する。(12)(13)上記空パレットに乗り込んだ車両の高さをセンサによって検出し、収容可能な車高であるか否かを判断する。(14)制限高さを超えている場合には入庫不可である旨が誘導案内表示器等によって表示または放送される。(15)制限高さを超えていない場合には、パレット上の正規位置に停車しているか否かを検出する。(11)正規位置停車でない場合には再度入庫誘導案内を表示および放送する。
その後、(16)利用者に対して「降車、退場」の案内が表示または放送される。ついで、(17)利用者または管理人が入出庫部内を安全確認したうえで入出庫口の扉を閉じる。(18)(19)入出庫口の扉が閉じられたことが確認されると操作盤42の駐車券発行口49から駐車券が発行され、(20)利用者がこれを受け取る。ついで、(21)入出庫リフト32が入庫パレットをもとの層まで下降させ、(22)III層およびIV層を上記搬出時と逆の方向に2工程循環することにより、二台の普通車用パレットをIII層およびIV層に対角配置する。このように初期配置状態に戻ることによってハイルーフ車の入庫作業が完了する。
次に、図10を参照しつつ普通車の入庫動作を説明する。(23)普通車の入庫要求があれば、優先的に普通車用の空パレットが存在するか確認され、(24)無ければハイルーフ車用の空パレットを探す。(25)ハイルーフ車用の空パレットがあれば図9に基づいて説明した順序でこの入庫普通車はハイルーフ車用のIII層またはIV層の横移送路3、4に収容される。(26)普通車用およびハイルーフ車用のいずれの空パレットも存在しなければ、入庫不可等の放送や操作盤の電光表示部47への表示がなされる。
一方、普通車用の空パレットが存在すればこのパレットを入出庫部40まで搬送する。具体的には、まず、(27)それぞれに普通車用パレットを載せた入出庫リフト32および循環リフト33の一方または両方を昇降させて、二台の普通車用パレットをI層およびII層に対角配置する。そして、(28)(29)(30)I層およびII層を2工程循環することによって普通車用の空パレットを入出庫リフト32に搭載して入出庫部40に搬送する。ついで、(31)〜(42)入出庫口扉を開いてから入庫作業を完了するまでは前述したハイルーフ車の入庫作業とほとんど同じ手順である。ただし、(42)入庫車を搭載したパレットは普通車用の層(IまたはII)まで下降させる点が異なっている。この入庫車を入出庫リフト32に搭載してI層またはII層に戻したままの状態が初期配置状態となる。
次に図11を参照しつつ普通車およびハイルーフ車の出庫動作を説明する。まず、(43)出庫要求が普通車かハイルーフ車かを確認し、(44)普通車であればそれぞれに普通車用パレットを載せた入出庫リフト32および循環リフト33の一方または両方を昇降させて、二台の普通車用パレットをI層およびII層に対角配置する。ついで、(45)(46)I層およびII層を適宜回数2工程循環することによって出庫すべき普通車を搭載したパレットを入出庫リフト32に搭載して入出庫部40に搬送する。
また、(47)出庫要求のあった車両がハイルーフ車であれば入出庫リフト32および循環リフト33それぞれに搭載されている普通車用パレットをIII層およびIV層に対角配置する。ついで、(48)(46)III層およびIV層を適宜回数2工程循環することによって出庫すべきハイルーフ車を搭載したパレットを入出庫リフト32に搭載して入出庫部40に搬送する。
(49)出庫車両を搭載したパレットが入出庫部40に到着すると、(50)入出庫口40aの扉が開かれ、(51)表示部に出庫誘導案内が表示され、または、放送される。(52)(53)利用者がパレット上の車両に乗車して退場したことがセンサによって確認された後、(54)管理人または利用者が入出庫部内の安全確認をしたうえで入出庫口40aの扉を閉じる。(55)この扉が閉じられたことが確認されると、(56)出庫して空になったパレットは入出庫リフト32によって下降させられる。(57)この空パレットが普通車用であれば、下降して入出庫昇降路25内に停止したままで初期配置状態となり、出庫作業が完了する。一方、(58)出庫後の空パレットがハイルーフ車用であれば、III層またはIV層まで下降した後、III層およびIV層を適宜回数2工程循環させて普通車用パレットを昇降路25、26内に配置させる。この動作によって初期配置状態となり、出庫作業が完了する。
本発明は、新設される箱形循環式駐車装置はもとより、既設の同種の駐車装置に対しても、制御装置の制御プログラムの変更等によって容易に適用することが可能である。そうすることにより、従来の箱形循環式駐車装置に比べて車両の入出庫作業に要する時間を短縮することができる。
本発明の運転方法が適用されうる箱形循環式駐車装置の一例を示す縦断面図である。 図1のII−II線断面図であり、駐車装置における最下層の横移送路およびその両端側の昇降路を示す平面図でもある。 図3(a)〜(d)は、本発明の運転方法の一実施形態を説明するための駐車装置の縦断面図である。 図4(e)〜(g)は、本発明の運転方法の一実施形態を説明するための駐車装置の縦断面図である。 図1のV−V線断面図であり、図1の駐車装置における最上部に位置する入出庫部を示す平面図でもある。 図1の駐車装置におけるパレット同士を連結する連結器の一例を示す斜視図である。 図5のVII−VII線矢視図である。 図1の駐車装置における運転操作盤および制御装置の一例を示す図である。 図1の駐車装置の運転動作の一例を示すフローチャートである。 図1の駐車装置の運転動作の一例を示すフローチャートである。 図1の駐車装置の運転動作の一例を示すフローチャートである。 図12(a)〜(d)は、従来の箱形循環式駐車装置の運転方法の一実施形態を説明するための駐車装置の縦断面図である。 図13(e)〜(h)は、従来の箱形循環式駐車装置の運転方法の一実施形態を説明するための駐車装置の縦断面図である。
符号の説明
1〜14・・・パレット
20・・・駐車装置
21・・・I層横移送路
22・・・II層横移送路
23・・・III層横移送路
24・・・IV層横移送路
25・・・入出庫昇降路
26・・・循環昇降路
27・・・横行レール
28・・・横行輪
29・・・パレット横行装置
30・・・被係合溝部材
31・・・雌雄連結器
32・・・入出庫リフト
33・・・循環リフト
34・・・上部スプロケット
35・・・下部スプロケット
36・・・無端チェーン
37・・・昇降レール
38・・・駆動装置
39・・・センサ
40・・・入出庫部
41・・・ターンテーブル
42・・・操作盤
43・・・制御装置
44・・・テンキー
45・・・実車表示部
46・・・操作ボタン
47・・・電光表示部
48・・・スピーカ
49・・・(駐車券の)発行口
H・・・ハイルーフ車
N・・・普通車

Claims (6)

  1. 複数個の低車高車用パレットおよび複数個の高車高車用パレットと、
    該パレットを収容し且つ横行させる上下複数段の横移送路と、
    該横移送路の左右両端側に配設された、パレットを昇降するための昇降路と、
    両昇降路のうち少なくとも一方の昇降路に通じるように形成された入出庫部と、
    駐車装置の運転を制御する制御装置とを備えており、
    上記横移送路が、低車高車用パレットのみを収容する少なくとも二層の低車高車用横移送路と、高車高車用パレットを収容する少なくとも二層の高車高車用横移送路とから構成されており、
    上記パレットの台数が、全横移送路に収容されうる最大台数に低車高車用パレット二台を加えた台数であり、
    上記制御装置により、低車高車用パレットのうちの任意の二台が上記高車高車用横移送路に進入することが許されるように制御され、入出庫作業の完了後の状態においては昇降路に位置するように制御されている箱形循環式駐車装置。
  2. 高車高車用パレットには低車高車も搭載することができるように構成されてなる請求項1記載の箱形循環式駐車装置。
  3. 上記制御装置の制御により、入出庫作業の完了後の状態においては、全ての高車高車用パレットが高車高車用横移送路に収容され、昇降路に位置した二台の低車高車用パレットを除く低車高車用パレットが全て低車高車用横移送路に収容されている初期配置状態にされる請求項1記載の箱形循環式駐車装置。
  4. 上記制御装置の制御により、車両の入出庫に先だって、昇降路に位置した上記二台の低車高車用パレットが、入出庫対象であるパレットが収容されている横移送路と、該横移送路と同車種用の横移送路との左右の昇降路に対角配置される請求項3記載の箱形循環式駐車装置。
  5. 低車高車のみを収容する少なくとも二層の低車高車用横移送路と、高車高車を収容する少なくとも二層の高車高車用横移送路と、全横移送路に収容されうる最大台数に二台を加えた台数の車両搭載用パレットと、上記横移送路の左右両端側に配設された、パレットを昇降するための昇降路と、を備えた箱形循環式駐車装置の運転方法であって、
    高車高車用横移送路に収容されうる最大台数のパレットを高車高車用パレットと設定し、残余のパレットを低車高車用パレットと設定し、
    二台の低車高車用パレットを、高車高車用横移送路における高車高車用パレットの循環動作に参加させるうるように設定し、
    出庫および入庫の作業を待つ待機状態、並びに、出庫および入庫の作業が完了した状態において、全ての高車高車用パレットパレットが高車高車用横移送路に収容され、二台の低車高車用パレットが昇降路に位置するように設定する、箱形循環式駐車装置の運転方法。
  6. 上記高車高車用横移送路に低車高車をも収容しうる請求項5記載の箱形循環式駐車装置の運転方法。

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