JP2581945Y2 - 縦列型エレベータ式駐車装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、機械式立体駐車装置，
特に縦列に配置されたエレベータ方式の駐車装置に関す
るものである。

【０００２】

【従来の技術】機械式駐車装置の代表的な例としては、
多数の自動車収納用ケージを建築物内に懸垂装備して各
ケージに自動車を載せたまま収容空間に保持し、機械的
に地上の出入口から入庫あるいは出庫させる垂直循環方
式の駐車装置が従来からよく利用されている。

【０００３】しかし、この方式は自動車を載置する多数
のケージを駆動チェンで連結して上部駆動装置に懸架し
全体を循環させながら、所定の位置で自動車を出し入れ
するものであるため、スペース的には効率がよくても１
台の自動車が出入りするたびに、各ケージをすべて移動
させねばならないことから大きな荷重に耐えうる大規模
な設備が必要で、それだけコストが高くなるだけでな
く、何よりも振動，騒音の発生を抑制しなければならな
い必要性から、ケージの移動速度を早くすることができ
ず自動車の入・出庫に時間がかかりすぎる問題があっ
た。

【０００４】このため、図２に示すように、自動車用エ
レベータを駐車設備内の中央に配置し、自動車を駐車さ
せるための駐車室を、自動車用エレベータ昇降路の前後
又は左右に幾層にも重ねて自動車を自動車用エレベータ
により目的の階層まで運び、水平方向の搬送装置により
駐車室へ適宜送りこんで格納するエレベータ方式の駐車
装置が最近になって注目されだし、エレベータ速度の高
速化による入出庫時間の短縮や消費電力の軽減などが図
られるようになってきている。

【０００５】図３はエレベータかごに設けられたパレッ
ト搬送装置の機構の一例を示す図、図４はエレベータか
ごと駐車室の構造の一例を示す斜視図である。

【０００６】図中１０は中央の昇降路１１に面した左右
の前後にパレット１２を載置する梁１２ａ〜１２ｉ，１
２’ａ〜１２’ｉが多段階に設けられてその上方に駐車
室１３，１３’をそれぞれ構成するエレベータ方式の立
体駐車場で、梁１２ａ〜１２ｉ，１２’ａ〜１２’ｉは
図４に示すとおりブラケット１４により立体駐車場１０
の側壁に固定され、梁１２ａ〜１２ｉ，１２’ａ〜１
２’ｉの上面にはパレット１２を案内するローラ１５が
回動自在に設けられている。

【０００７】１６は巻上機１７により主索１８を介して
昇降路１１内を昇降するエレベータかご、１９はエレベ
ータかご１６のフレーム１６ａ上に、例えばパワーシリ
ンダのような駆動装置（図示しない）により水平方向に
移動自在に設けられたパレット搬送装置で該パレット搬
送装置１９には図３に示すように両端にスプロケット１
９ａが回動自在に設けられ、該スプロケット１９ａどう
しに無端状に巻き掛けられたチェン１９ｂの係合部材１
９ｃとパレット１２の裏面に取付けられた突起部材１２
Ａによりパレット１２が駐車室１３，１３’とエレベー
タかご１６との間を搬送され自動車２０の入出庫が行わ
れる。そして、パレット１２は駐車室１３，１３’の数
だけ予め用意されている。２１は地上に面した立体駐車
場１０の出入口である。

【０００８】さらに、このようなエレベータ式駐車装置
を２基以上縦列に配置して、スペースを極力有効に利用
しようとする駐車装置について客先から現実に要求され
始めており、メーカーとして的確に対処しなければなら
ない状況になりつつある。

【０００９】

【考案が解決しようとする課題】しかし、このような縦
列型のエレベータ式駐車装置では、出入口２１に対し奥
側の駐車装置へ自動車を乗り入れたり、奥側の駐車装置
から出入口２１へ自動車を乗り出したりするための車路
（パレット自体を車路にすることは法規上許されない）
を前側の駐車領域に適宜設けねばならず、簡単で安全確
実に車路を形成できる信頼性の高い機構が望まれてい
た。本考案は、上記の点に鑑みなされたもので、車路の
形成が極めて安全確実に行える縦列型エレベータ方式の
駐車装置を提供することを目的とする。

【００１０】

【課題を解決するための手段】本考案は、エレベータか
ごにはパレットを搬送するパレット搬送装置を設け、エ
レベータかごの昇降する昇降路に面して駐車室を多段階
に設置し、エレベータかごと駐車室との間をパレットが
パレット搬送装置により搬送されて車両の入出庫が行わ
れる駐車装置を出入口に対して複数基縦列に配置するも
のにおいて、 (1) 昇降路の出入口に面する位置には移動自在に支持さ
れた車路を設け、車路の裏面にはパレット搬送装置と係
合する被係合部材を備える。 (2) 昇降路の出入口に面する位置には移動自在に支持さ
れた第１の車路プレート及び第２の車路プレートからな
る車路を設け、第１の車路プレートの裏面にはパレット
搬送装置と係合する被係合部材を備え、第２の車路プレ
ートには第１の車路プレートを案内する案内装置が一体
となって回動自在に設ける。 (3) 昇降路の出入口に面する位置には移動自在に支持さ
れた第１の車路プレートと昇降自在に支持された第２の
車路プレートからなる車路を設け、第１の車路プレート
の裏面にはパレット搬送装置と係合する被係合部材を備
える。ものである。

【００１１】

【作用】上述の如く構成すれば、パレット搬送装置を利
用して車路がすみやかに構成される。

【００１２】

【実施例】以下、本考案の一実施例について出入口２１
が最下部に存在する場合を例に挙げて説明する。図１は
本考案の一実施例を示す出入口２１（最下部に存在する
場合）に面した車路を構成するための装置全体を表わす
正面図、図５は図１に示す装置が動作して車路が構成さ
れた状態を示す状態図である。

【００１３】図中、３０は本考案による移動自在に支持
された車路プレートで、パレット１２と略同じ幅を有す
るプレート部分３１とスラット状部分３２とが連結され
て構成されている。車路プレート３０のプレート部分３
１の裏面にはエレベータかご１６に設けられたパレット
搬送装置の係合部材１９ｃと係合する被係合部材３１ｃ
が図６に示すように設けられており、パレット１２が搬
送されるのと同じ要領で車路プレート３０も移送され
る。４０は回動自在に有するローラ４１により車路プレ
ート３０を支持案内する支持案内装置である。

【００１４】５０はエレベータかご１６のパレット搬送
装置１９上に設けられたローラで、パレット１２及び車
路プレート３０を支持案内する。

【００１５】要するに、本考案は出入口２１に面する駐
車装置への自動車２０の入出庫については、単独のエレ
ベータ式駐車装置の場合と全く同様に運用すればよく、
一方奥側の駐車装置へ自動車を入出庫させたい場合には
出入口２１に面するエレベータかご１６のフレーム１６
ａが出入口２１の床面レベルになるようにエレベータか
ご１６を昇降させて停止させて後、パレット搬送装置１
９を支持案内装置４０側へ移動させ、チェン１９ｂを反
時計方向に循環させることにより係合部材１９ｃと被係
合部材３１ｃを係合させて車路プレート３０を図５に示
す状態になるまで移送させる。そうすれば、法規上認め
られるような自動車が通過できる通路が形成されること
になる。

【００１６】建設省から機械式駐車装置の安全性につい
て審査を委託されている立体駐車場工業会の規程による
と、駐車用のパレットを車路に使用することは禁止され
ており、車路の幅は「自動車２０の車体幅プラス１００
０ｍｍ」以上で隙間が生じる場合はその隙間を４０ｍｍ
以下にしなければならない、と定められているが、プレ
ート部分３１とスラット状部分３２及び固定部分３３か
らなる車路プレート３０及び固定部分３３であれば十分
上記の規程を満足させることができる。

【００１７】一方、車路プレート３０を逆に動かして図
１に示すように昇降路の側方に退避させる場合は、パレ
ット搬送装置１９のチェン１９ｂを反対に時計方向に循
環させればよい。

【００１８】車路プレート３０の一部をスラット状にす
る理由は一定の幅をとる部材であっても状況に応じて、
例えば図７に示すようにできるだけコンパクトに収納で
きるように工夫をこらすことができるためである。

【００１９】図８は本考案のその他の実施例を示す装置
全体を表わす正面図、図９は図８に示す装置が動作して
車路が構成された状態を示す状態図である。

【００２０】図中図１及び図５と同一符号のものは同一
のものを示すが、３０’は移動自在に支持された第１の
車路プレートで、裏面には被係合部材を備え、パレット
１２と略同じ幅を有し、建屋に固定された支持案内装置
４０’のローラ４１’に支持案内されるとともに、支持
装置６０により回動自在に支持された可動案内装置７０
のローラ７１にも支持案内される。

【００２１】７２は回動自在に支持された第２の車路プ
レートで、可動案内装置７０と一体をなし、第１の車路
プレート３０’と第２の車路プレート７２と固定部分３
３で車路８０を構成する。

【００２２】この実施例において、奥側の駐車装置へ自
動車を入出庫させたい場合には、前述の実施例の場合と
同様、出入口２１に面するエレベータかご１６のフレー
ム１６ａが出入口２１の床面レベルになるようにエレベ
ータかご１６を昇降させて停止させて後、パレット搬送
装置１９を可動案内装置７０側へ移動させ、チェン１９
ｂを反時計方向に循環させることにより第１の車路プレ
ート３０’は図８に示す状態から図９に示す状態になる
まで移送される。

【００２３】次に、可動案内装置７０及び第２の車路プ
レート７２を反時計方向に回転させ図９に示す状態に移
行させ、水平線上に並んだ第１の車路プレート３０’と
第２の車路プレート５２及び固定部分３３により車路８
０を構成させる。したがって、奥側の駐車装置へ車路８
０を通って自由に自動車を入出庫させることができる。

【００２４】一方、出入口２１に面する駐車装置へ自動
車を入出庫させたい場合には、図９においてまず可動案
内装置７０及び第２の車路プレート７２を時計方向に回
転させて、可動案内装置７０を上方に位置させてから、
パレット搬送装置１９を可動案内装置７０側へ移動さ
せ、チェン１９ｂを時計方向に循環させることにより、
第１の車路プレート３０’をローラ５０，７１，４１’
で支持案内しながら図８に示す状態になるまで移送させ
る。そうすれば、エレベータかご１６を自由に昇降させ
て入出庫動作を行うことができる。

【００２５】図１０は本考案の別の実施例を示す装置全
体の正面図、図１１は図１０に示す装置が動作して車路
が構成された状態を示す状態図，図１２は図１１のＡ−
Ａ線矢視図である。

【００２６】図中、図１，図５及び図８と同一符号のも
のは同一のものを示すが、９０は上方に第２の車路プレ
ート９２を備えた昇降装置で、第２の車路プレート９２
の前端と後端には回動自在な踏板９２ａが設けられてい
る。

【００２７】この実施例では、奥側の駐車装置へ自動車
を入出庫させたい場合、第１の車路プレート３０’は前
述の実施例のときと同様に移送され、その後、昇降装置
９０により第２の車路プレート９２が図１１に示す上昇
位置まで上昇し、踏板９２ａがローラ４１に接するまで
水平方向に回動して、第１の車路プレート３０’と第２
の車路プレート６２及び固定部分３３とで車路８０を構
成させる。

【００２８】又、出入口２１に面する駐車装置へ自動車
を入出庫させたい場合は、図１２においてまず踏板９２
ａを上方に向けて回転させてから昇降装置９０により第
２の車路プレート９２を二点鎖線に示すように下降させ
る。

【００２９】次に、パレット搬送装置１９を支持案内装
置４０’側へ移動させ、チェン１９ｂを循環させること
により第１の車路プレート３０’をローラ５０，４１’
で支持案内しながら図１０に示す状態になるまで移送さ
せ、エレベータかご１６を自由に昇降させれるようにす
ればよい。

【００３０】以上の説明では、２基縦列タイプの駐車装
置を想定して述べているが、３基以上であってもよく、
その場合には出入口に対し一番奥の駐車装置を除く駐車
装置に車路及び支持案内装置を設ければよい。又、出入
口が手前と奥の２ケ所に存在する場合やエレベータかご
自体がダブルデッキ（自動車を積載する部分が上下に存
在するもの）あるいはトリプルデッキなどの場合も考え
られ、ケースバイケースに応じて本考案を適宜変更して
利用することは容易である。

【００３１】

【考案の効果】以上述べたような構成を有することによ
り、本考案は次のような特有の効果を発揮する。 (1) エレベータかごのパレット搬送装置を利用して車路
を構成するため、車路プレートを移送する特別な装置が
不要で、かつ昇降路内には車路プレートを支持する特別
な装置も不要である。 (2) 車路の上方にはエレベータかごが存在しないため、
特にエレベータかごの落下防止装置を必要とせず、心理
的にも不安を生じない。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の一実施例を示す出入口２１に面した車
路を構成するための装置全体を表わす正面図である。

【図２】エレベータ式駐車装置の全体構成図である。

【図３】エレベータかごに設けられたパレット搬送装置
の機構の一例を示す図である。

【図４】エレベータかごと駐車室の構造の一例を示す斜
視図である。

【図５】図１に示す装置が動作して車路が構成された状
態を示す状態図である。

【図６】車路プレート搬送機構を示す斜視図である。

【図７】車路プレートの格納状態を示す部分状態図であ
る。

【図８】本考案のその他の実施例を示す装置全体の正面
図である。

【図９】図８に示す装置が動作して車路が構成された状
態を示す状態図である。

【図１０】本考案の別の実施例を示す装置全体の正面図
である。

【図１１】図１０に示す装置が動作して車路が構成され
た状態を示す状態図である。

【図１２】図１１のＡ−Ａ線矢視図である。

【符号の説明】

１１ 昇降路 １３，１３’ 駐車室 １６ エレベータかご １９ パレット搬送装置 ２１ 出入口 ３０ 車路プレート ３０’ 第１の車路プレート ７２，９２ 第２の車路プレート ３１ｃ 被係合部材

Claims (4)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 エレベータかごにはパレットを搬送する
   パレット搬送装置を設け、該エレベータかごの昇降する
   昇降路に面して駐車室を多段階に設置し、該エレベータ
   かごと該駐車室との間を前記パレットが前記パレット搬
   送装置により搬送されて車両の入出庫が行われる駐車装
   置を出入口に対して複数基縦列に配置するものにおい
   て、 前記昇降路の出入口に面する位置には移動自在に支持さ
   れた車路を設け、該車路の裏面には前記パレット搬送装
   置と係合する被係合部材を備えたことを特徴とする縦列
   型エレベータ式駐車装置。
2. 【請求項２】 前記車路の反昇降路側部はスラット状を
   していることを特徴とする請求項１記載の縦列型エレベ
   ータ式駐車装置。
3. 【請求項３】 エレベータかごにはパレットを搬送する
   パレット搬送装置を設け、該エレベータかごの昇降する
   昇降路に面して駐車室を多段階に設置し、該エレベータ
   かごと該駐車室との間を前記パレットが前記パレット搬
   送装置により搬送されて車両の入出庫が行われる駐車装
   置を出入口に対して複数基縦列に配置するものにおい
   て、 前記昇降路の出入口に面する位置には移動自在に支持さ
   れた第１の車路プレート及び第２の車路プレートからな
   る車路を設け、該第１の車路プレートの裏面には前記パ
   レット搬送装置と係合する被係合部材を備え、前記第２
   の車路プレートには前記第１の車路プレートを案内する
   案内装置が一体となって回動自在に設けられていること
   を特徴とする縦列型エレベータ式駐車装置。
4. 【請求項４】 エレベータかごにはパレットを搬送する
   パレット搬送装置を設け、該エレベータかごの昇降する
   昇降路に面して駐車室を多段階に設置し、該エレベータ
   かごと該駐車室との間を前記パレットが前記パレット搬
   送装置により搬送されて車両の入出庫が行われる駐車装
   置を出入口に対して複数基縦列に配置するものにおい
   て、 前記昇降路の出入口に面する位置には移動自在に支持さ
   れた第１の車路プレートと昇降自在に支持された第２の
   車路プレートからなる車路を設け、該第１の車路プレー
   トの裏面には前記パレット搬送装置と係合する被係合部
   材をそなえたことを特徴とする縦列型エレベータ式駐車
   装置。