JP2006334648A - 金属薄板積層体の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 品質および生産性の向上や製造工程の簡略化、製造設備の小型化等を実現した金属薄板積層体の製造方法を提供する。
【解決手段】 ロール装置2から供給されたフープ材W1には、加工油塗布装置3内でその片面あるいは両面に硬化促進剤が添加されたプレス加工油が塗布された後、順送り金型装置4内で外形を除く各種の打抜き加工が施され、更に接着剤塗布装置5によって接着剤がスポット状に塗布される。接着剤Eの塗布が完了すると、鉄心薄板W2が外形打抜きダイ8の抜き孔8a内の鉄心薄板群W3の上に積層される。接着剤Eは、上下の鉄心薄板W2間で拡げられると同時に、外気から遮断されて固化し始める。そして、プレス加工油に硬化促進剤を添加したことにより接着剤Eの硬化速度が高まり、脱脂工程を設けることなく鉄心薄板W2間の速やかな接着が実現される。
【選択図】 図1

Description

回転電機やソレノイドの積層鉄心、積層金型等を積層接着法により製造する方法に関する。
一般に、回転電機やソレノイドの積層鉄心、積層金型等は、フープ材(薄帯板)を素材として、順送り金型装置により製造される。例えば、回転電機の積層鉄心は、順送り金型装置内で、フープ材に対してパイロット穴やスロット部、内径ティース等の打抜き加工を順次行うことで鉄心薄板が連続的にかたちづくられ、外形打抜き後の鉄心薄板を所定の枚数積層して固着させることによって製造される。打抜き加工にあたっては、フープ材とパンチとの間のかじりや焼き付きの防止、パンチやダイの摩耗防止等を図るべく、フープ材の片面あるいは両面にプレス加工油が塗布される。
鉄心薄板の固着には、各鉄心薄板にかしめ用の凹凸を形成しておき、積層時に圧着させてかしめ結合させる積層かしめ法(特許文献1,2参照)や、積層後にレーザ溶接等によって鉄心薄板を結合する積層溶接法(特許文献3,4参照)も存在するが、結合部位の磁気特性の劣化等が生じ難いことから、外形打抜きと同時に鉄心薄板を積層して接着させる積層接着法が広く採用されている。積層接着法としては、フープ材の表面に予め熱硬化性絶縁皮膜を形成しておき、外形打抜き積層工程で加熱および加圧を行うもの(特許文献5)や、順送り金型装置内でフープ材の表面に接着剤を塗布し、外形打抜きと同時に鉄心薄板を積層して接着させるもの(特許文献6参照)が広く採用されている。
米国特許第3202851号 公告昭34−2760号公報 公告昭62−14087号公報 特許第3012268号 特許第3607804号 特開2001−321850号公報
上述した積層接着法は、結合部位の磁気特性の劣化等が生じ難いという利点を有するものの、以下に述べる問題を有していた。すなわち、特許文献5の積層接着法では、予め材料表面へ絶縁皮膜を形成し、かつ積層時に加熱する必要があるため、工程の複雑化や製造設備の大型化等が避けられなかった。また、特許文献6の積層接着法では、フープ材に塗布されたプレス加工油を除去(すなわち、脱脂)した後、接着材を塗布する必要があるため、やはり工程の複雑化や製造設備の大型化等が避けられなかった。プレス加工油を除去しない場合、接着剤の接着能が低下することにより、その硬化(接着)に要する時間が延びると共に接着強度も低下する。そのため、積層鉄心の生産性が低下する他、積層厚さが不均一になったり、鉄心薄板がずれたまま積層されたりして、積層鉄心を回転電機の固定子や回転子として使用できなくなる虞がある。
本発明は、このような背景に鑑みなされたものであり、品質および生産性の向上や製造工程の簡略化、製造設備の小型化等を実現した金属薄板積層体の製造方法を提供することを目的とする。
請求項1の発明に係る金属薄板積層体の製造方法は、片面または両面にプレス加工油を塗布したフープ材に複数のプレス加工を順次施し、当該フープ材の片面に接着剤を塗布した上で外形打抜き加工を行って金属薄板を得て、当該金属薄板を所定枚数積層接着することによって金属薄板積層体を製造する方法であって、前記プレス加工油に硬化促進剤が添加されたことを特徴とする。
また、請求項2の発明に係る金属薄板積層体の製造方法は、請求項1に記載の金属薄板積層体の製造方法において、前記接着剤が嫌気性接着剤であることを特徴とする。
また、請求項3の発明に係る金属薄板積層体の製造方法は、請求項1または請求項2に記載の金属薄板積層体の製造方法において、前記金属薄板積層体が、回転電機用の固定子または回転子であることを特徴とする。
また、請求項4の発明に係る金属薄板積層体の製造方法は、請求項1または請求項2に記載の金属薄板積層体の製造方法において、前記金属薄板積層体が、ソレノイドの固定子または可動子であることを特徴とする。
また、請求項5の発明に係る金属薄板積層体の製造方法は、請求項1または請求項2に記載の金属薄板積層体の製造方法において、前記金属薄板積層体が、積層金型であることを特徴とする。
本発明によれば、プレス加工油に硬化促進剤を添加したため、プレス加工油を除去することなく金属薄板間の接着が迅速かつ強固に行われ、製造工程の簡略化や順送り金型装置における金型の小型等が可能となって製品品質および生産性の向上や製造設備の小型化等が実現される。
以下、図面を参照して、回転電機の固定子(ステータ)の製造方法に本発明を適用した実施形態を詳細に説明する。
〔第1実施形態〕
図1は第1実施形態に係る積層鉄心製造装置の概略構成図であり、図2は第1実施形態に係るストリップレイアウト図であり、図3は第1実施形態に係る鉄心薄板の平面図である。
≪第1実施形態の構成≫
図1に示すように、積層鉄心製造装置1は、電磁鋼板のフープ材W1を供給するロール装置2と、フープ材W1にプレス加工油を塗布する加工油塗布装置3と、フープ材W1にプレス加工を順次施す順送り金型装置4と、順送り金型装置4内でフープ材W1の下面に接着剤を塗布する接着剤塗布装置5と、接着剤塗布装置5に接着剤を供給する接着剤供給装置(ディスペンサ)6と、完成した積層鉄心SCを組立ライン等に搬送するコンベア装置7とを主要構成要素としている。順送り金型装置4は、接着剤塗布装置5の他、図示しない種々の打抜きパンチやダイ、外形打抜きパンチ、図中に断面で示す外形打抜きダイ8等を備えている。
≪積層鉄心の製造工程≫
以下、図2および図3も併用して、積層鉄心SCの製造工程を説明する。
ロール装置2から供給されたフープ材W1には、加工油塗布装置3内でその片面あるいは両面にプレス加工油が塗布された後、順送り金型装置4内で外形を除く各種の打抜き加工が施される。すなわち、図2,図3に示すように、フープ材W1は、順送り金型装置内で間欠搬送されながら、先ず、パイロット穴Pの打抜き加工(1)、内径下穴d1および外形溝用小穴hの打抜き加工(2)、スロット部Sの打抜き加工(3)、内径dの打抜き加工(4)、内径ティースTの打抜き加工(5)を順次施される。
これらの打抜き加工が完了すると、図3に示すように、フープ材W1の下面におけるスロット部S間の磁極部J部分には、接着剤塗布装置5によって嫌気性接着剤(以下、単に接着剤と記す)Eがスポット状に塗布される(6)。接着剤Eの塗布が完了すると、フープ材W1には外形打抜きパンチにより外形Dの打抜きが行われ、鉄心薄板W2が外形打抜きダイ8の抜き孔8a内に打抜かれる。外形打抜きダイ8はいわゆる回転ダイであり、鉄心薄板W2は、外形打抜きダイ8と伴に1枚ずつ(あるいは、複数枚ずつ)所定の角度(例えば、90°)回転した後、すでに積層されている鉄心薄板群W3の上に積層される。これにより、接着剤Eは、上下の鉄心薄板W2間で拡げられると同時に、外気から遮断されて固化し始める。
外形打抜きダイ8内では、接着剤Eが塗布されていない鉄心薄板W2の存在により、所定の厚みをもった積層鉄心SCが形成される。なお、これは図示しない積層厚制御システムが、接着剤供給装置6から接着剤塗布装置5への接着剤の供給を停止させることにより行われる。積層鉄心SCは、鉄心薄板W2が外形打抜きダイ8に打抜かれるに連れて抜き孔8a内を徐々に下降してゆき、ついには外形打抜きダイ8から落下し、コンベア装置7によって組立ライン等に搬送される。
≪プレス加工油≫
プレス用工作油は、鉱物油(軽油等)や合成油からなる基油と、極圧添加剤や防錆剤、防腐剤等の添加剤とからなる。例えば、極圧添加剤は、硫黄やリン等を含む化合物であり、極圧状況下での発熱により金属と反応して摩擦界面に柔らかい金属化合物の皮膜を生成し、この皮膜がパンチとフープ材W1との間に介在することによりかじりや焼き付きを防止する。
≪硬化促進剤≫
プレス加工油には、プレス加工油との高い親和性を有する硬化促進剤が添加されている。硬化促進剤は、例えば、脂肪酸と銅の化合物である銅石鹸をアセトンやヘプトン等の溶剤により希釈したものであり、溶出した銅イオンが接着剤Eの硬化を促進させる働きをする。本実施形態では、プレス加工油に硬化促進剤を添加したことにより接着剤Eの硬化速度が高まり、脱脂工程を設けることなく鉄心薄板W2間の速やかな接着を実現できた。
本発明者等は、上述した積層鉄心製造装置1により製造した積層鉄心SCを試験し、鉄心薄板W2間の接着強度が接着剤Eの塗布前に脱脂を行ったものと略同等であることを確認した。
〔第2実施形態〕
図4は第2実施形態に係る積層鉄心製造装置の概略構成図である。第2実施形態は、上述した第1実施形態と略同様の構成を採っているが、鉄心薄板W2間の接着強度を更に向上させるべく、鉄心薄板群W3や積層鉄心SCを加熱する構成とした。第2実施形態については、説明が煩雑になることを避けるため、第1実施形態と同一の部分についての説明は省略する。
図4に示すように、第2実施形態の積層鉄心製造装置1は、第1実施形態のものに加えて、外形打抜きダイ8を加熱する温風ヒータ9と、温風ヒータ9を制御するコントローラ10と、コンベア装置7上の積層鉄心SCを加熱する遠赤外線ヒータ11と、遠赤外線ヒータ11を制御するコントローラ12とを備えている。
第2実施形態の場合、積層鉄心製造装置1が起動すると、温風ヒータ9および遠赤外線ヒータ11がON状態となる。その結果、外形打抜きダイ8の温度が上昇し、抜き孔8a内に位置する鉄心薄板群W3や積層鉄心SCが加熱されるとともに、コンベア装置7により搬送されている積層鉄心SCも加熱される。これにより、接着剤Eの硬化が促進され、鉄心薄板W2間の接着強度の更なる向上が実現できた。
以上で具体的実施形態の説明を終えるが、本発明の態様はこの実施形態に限られるものではない。例えば、上記実施形態は、本発明を回転電機用固定子の製造方法に適用したものであるが、回転電機用回転子(ロータ)の製造方法に適用してもよいし、ソレノイドの積層鉄心や積層金型等の製造方法に適用してもよい。また、上記実施形態では、接着剤として嫌気性接着剤を採用したが、エポキシ系接着剤やアクリル系接着剤を採用してもよい。また、硬化促進剤としては、アルミニウムやニッケル、コバルト等を成分とするものが採用可能である。また、硬化促進剤には接着性を向上させる効果を有するものがあり、その種の硬化促進剤を用いることで金属薄板間の接着強度の更なる向上が実現される。その他、積層鉄心製造装置の具体的構成等についても、上記実施形態での例示に限られるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲であれば適宜変更可能である。
第1実施形態に係る積層鉄心製造装置の概略構成図である。 第1実施形態に係るストリップレイアウト図である。 第1実施形態に係る鉄心薄板の平面図である。 第2実施形態に係る積層鉄心製造装置の概略構成図である。
符号の説明
1 積層鉄心製造装置
2 ロール装置
3 加工油塗布装置
4 金型装置
5 接着剤塗布装置
6 接着剤供給装置
7 コンベア装置
9 温風ヒータ
W1 フープ材
W2 鉄心薄板(金属薄板)
W3 鉄心薄板群
11 遠赤外線ヒータ
E 接着剤
SC 積層鉄心(金属薄板積層体)

Claims (5)

  1. 片面または両面にプレス加工油を塗布したフープ材に複数のプレス加工を順次施し、当該フープ材の片面に接着剤を塗布した上で外形打抜き加工を行って金属薄板を得て、当該金属薄板を所定枚数積層接着することによって金属薄板積層体を製造する方法であって、
    前記プレス加工油に硬化促進剤が添加されたことを特徴とする金属薄板積層体の製造方法。
  2. 前記接着剤が嫌気性接着剤であることを特徴とする、請求項1に記載の金属薄板積層体の製造方法。
  3. 前記金属薄板積層体が、回転電機用の固定子または回転子であることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の金属薄板積層体の製造方法。
  4. 前記金属薄板積層体が、ソレノイドの固定子または可動子であることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の金属薄板積層体の製造方法。
  5. 前記金属薄板積層体が、積層金型であることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の金属薄板積層体の製造方法。
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