JP6438731B2 - 打抜き方法及び打抜き装置並びに積層鉄心の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は複数枚の鋼板からなる被加工板の打抜き方法及びこれに用いる装置並びに積層鉄心の製造方法に関する。
積層鉄心はモーターの部品であり、所定の形状に加工された複数の電磁鋼板を積み重ね、これらを締結することによって形成される。モーターは積層鉄心からなる回転子(ロータ)及び固定子(ステータ)を備え、固定子にコイルを巻き付ける工程、回転子にシャフトを取り付ける工程などを経て完成する。積層鉄心が採用されたモーターは、従来、冷蔵庫、エアコン、ハードディスクドライブ、電動工具等の駆動源として使用され、近年ではハイブリッドカーの駆動源としても使用されている。
近年、積層鉄心の磁気的特性を向上させ、これによりモーターの効率を向上させるため、従来と比較して薄い電磁鋼板が使用されている。これに伴い、一つの積層鉄心に使用される電磁鋼板の枚数が増加する傾向にある。積層鉄心を構成する電磁鋼板は、通常、打抜き加工によって製造されるため、その枚数が増加すると打抜き加工の回数が増大し、これにより生産性が低下するという課題がある。
上記課題を解決する手段として、特許文献1は複数枚の鋼板を同時に打抜き加工することを開示する。より具体的には、特許文献1は複数枚の鋼板を積み重ねた状態で特定の部位(抜きかしめされる部位)又はその近傍を溶接又は接着によって接合した後、複数枚の鋼板を同時に打抜き加工する方法を開示する。特許文献2は2枚重ねの鋼帯を事前にカシメ又は溶接によって一体化し、その後、2枚の鋼帯を同時に打ち抜く方法を開示する。
特開2003−219585号公報 特開昭52−39880号公報
特許文献1,2に記載の方法は、いずれも積み重ねられた鋼板の接合箇所が特定の部位に限定されている。本発明者らの検討によると、接合箇所が特定の部位に限定されていることに起因して以下のような不具合が生じやすい。
(1)図10に示すように、カシメ又は溶接によって特定の箇所Aを接合した場合、重ねた二枚の電磁鋼板M1,M2のうち、一方の電磁鋼板M1が弛んだ状態で接合される場合があり、この状態では正確な打抜き加工を実施できない。
(2)図10に示すように、一方の電磁鋼板M1が弛んだ状態であると、被加工板の送りにも支障が生じるおそれがある。なお、このような弛みがなくても、打ち抜きにおけるパンチ(不図示)の上昇時に一方の電磁鋼板M1が持ち上げられて電磁鋼板M2との間に隙間が生じ、以降の正確な打抜きが実施できないおそれがある。また、積み重ねられた鋼板にカシメ又は溶接による突起があると被加工板の送りに支障が生じるおそれがある。
(3)図11に示すように、金型のパンチBによって打ち抜かれた鋼板片CがパンチBに付着する「カス上がり」と称される現象が生じやすい。図11の(a)は金型のパンチBが下死点に至った状態を示す図であり、(b)は(a)の状態からパンチBが上昇した状態を示す図である。パンチBに付着したカス(鋼板片C)に起因して製品に圧痕が生じれば、製品不良を招来する。
本発明は、十分に高い精度で複数の鋼板を同時に打ち抜くことができるとともに、カス上がりの発生を十分に抑制できる打抜き方法及び打抜き装置並びに積層鉄心の製造方法を提供することを目的とする。
本発明に係る打抜き方法は以下の工程を備える。
(a)少なくとも二つの電磁鋼板の巻重体を準備する工程。
(b)それぞれの巻重体から引き出され且つ重ね合された少なくとも二枚の電磁鋼板と、隣り合う二枚の電磁鋼板の間に介在する油膜とを有する被加工板を金型に供給する工程。
(c)金型において被加工板の打抜き加工を行う工程。
上記打抜き方法における被加工板は、油膜を介して複数枚の電磁鋼板を重ね合されている。被加工板において油膜が隣り合う二枚の電磁鋼板を貼り合わせる役割を果たす。このため、上述の(1)〜(3)の不具合が生じることを十分に抑制できる。つまり、上記打抜き方法によれば、十分に高い精度で複数の鋼板を同時に打ち抜くことができるとともに、カス上がりの発生を十分に抑制できる。
上記打抜き方法において、隣り合う二枚の電磁鋼板のうち、一方の電磁鋼板の裏面及び他方の電磁鋼板の表面の少なくとも一方に油を噴霧することによって油膜を形成してもよく、一方の電磁鋼板の裏面及び他方の電磁鋼板の表面の少なくとも一方にロールを使用して油を塗布することによって油膜を形成してもよい。これらの手法を採用することにより、隣り合う二枚の電磁鋼板の間に厚さが十分に均一な油膜を効率的に形成できる。
上記油膜を形成するための油として、打抜き工作油を使用することができる。上記油膜を形成するための油は、40℃における動粘度が0.9mm/s以上であることが好ましい。なお、ここでいう動粘度は、JIS K2283(2000年)に記載の動粘度試験方法によって測定された値を意味する。
高い生産効率を実現する観点から、上記金型として順送り金型を採用してもよい。この場合、上記打抜き方法において(c)順送り金型において被加工板を打抜き加工する工程と、(d)被加工板を順送り金型内において前進させる工程とを繰り返すことにより、複数の電磁鋼板が重なり且つ所定の形状に加工された加工体を連続的に製造してもよい。
従来、電磁鋼板の厚さが比較的薄い場合(例えば0.1〜0.3mm)、上述の(1)〜(3)の不具合が顕著であったのに対し、本発明に係る打抜き方法によれば厚さ0.1〜0.3mmの電磁鋼板を使用する場合であってもこれらの不具合の発生を十分に抑制できる。
本発明に係る打抜き装置は、電磁鋼板の巻重体を回転自在にそれぞれ保持する少なくとも二つの巻重体保持器と、被加工板の打抜き加工を行う金型と、巻重体保持器と金型との間に配置されており、それぞれの巻重体から引き出され且つ重ね合される少なくとも二枚の電磁鋼板の間に油膜を形成する油膜形成手段と、被加工板を金型に供給する送り手段とを備える。
上記打抜き装置は、油膜を介して複数枚の電磁鋼板を重ね合された被加工板に対して打抜き加工を実施する。被加工板において油膜が隣り合う二枚の電磁鋼板を貼り合わせる役割を果たす。このため、上述の(1)〜(3)の不具合が生じることを十分に抑制できる。つまり、上記打抜き装置によれば、十分に高い精度で複数の鋼板を同時に打ち抜くことができるとともに、カス上がりの発生を十分に抑制できる。
本発明に係る積層鉄心の製造方法は以下の工程を備える。
(a)少なくとも二つの電磁鋼板の巻重体を準備する工程。
(b)それぞれの巻重体から引き出され且つ重ね合された少なくとも二枚の電磁鋼板と、隣り合う二枚の電磁鋼板の間に介在する油膜とを有する被加工板を順送り金型に供給する工程。
(c)順送り金型において被加工板の打抜き加工を行う工程。
(d)被加工板を順送り金型内において前進させる工程。
(e)上記(c)工程と、上記(d)工程とを繰り返すことによって所定の形状に加工された加工体を連続的に得る工程。
(f)複数の加工体を重ね合わせる積層体をこれらの互いに接合することによって積層鉄心を得る工程。
上記積層鉄心の製造方法によれば、十分に高い精度で複数の鋼板を同時に打ち抜くことができるとともに、カス上がりの発生を十分に抑制でき、これにより、十分に効率的に積層鉄心を製造できる。
本発明によれば、製造過程においてカス上がりの発生を十分に抑制できるとともに、モーターの高いトルク及び低い鉄損の両方を十分に高水準に達成できる。
積層鉄心からなる固定子(ステータ)の一例を示す斜視図である。 図1中のII−II線に沿う断面図である。 積層鉄心を製造するための装置の一例を示す概要図である。 被加工板の一例を模式的に示す断面図である。 (a)〜(e)は種々の打抜き加工が施された被加工板の一例を示す平面図であり、(f)は所定の形状に加工された加工体を示す平面図である。 積層鉄心を製造するための装置の他の例を示す概要図である。 積層鉄心からなる回転子(ロータ)の一例を示す斜視図である。 電磁鋼板の裏面に油を塗布するロールを備える打抜き装置の一例を示す概要図である。 分割型の固定子用積層鉄心を示す平面図である。 重ね合された二枚の鋼板のうち、一方の鋼板が弛んだ状態で接合させている被加工板を示す斜視図である。 複数の鋼板を同時に打抜き加工する際にカス上がりが生じやすいことを説明するための模式断面図であり、(a)は金型のパンチが下死点に至った状態を示す図であり、(b)は(a)の状態からパンチが上昇した状態を示す図である。
図面を参照しながら、本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、以下の説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
<固定子を構成する積層鉄心>
図1は固定子を構成する積層鉄心Sの斜視図である。積層鉄心Sの形状は略円筒形であり、中央部に位置する開口Saは図7に示す積層鉄心(回転子)Rを配置するためのものである。積層鉄心Sは略円環状のヨーク部Syと、ヨーク部Syの内周側から中心方向に延びるティース部Stとを有する。モーターの用途及び性能にもよるが、ヨーク部Syの幅(図1におけるW)は2〜40mm程度である。図1に示す積層鉄心Sは6本のティース部Stを有する。なお、ティース部Stの本数は6本に限定されるものではない。
図1,2に示すとおり、積層鉄心Sは、所定の形状に加工された複数の電磁鋼板Mからなる積層体10を備える。複数の電磁鋼板Mは、例えば図2に示す接合部2(いわゆるカシメ)をそれぞれ有する。接合部2によって上下方向で隣り合う電磁鋼板M同士が接合されることで積層体10が構成される。なお、複数の積層体10を積み重ねたときに積層体10同士が接合されないように、最下面に位置する電磁鋼板Mは、図2に示すように接合部2の代わりに穿孔3を有する。
<打抜き装置>
図3は積層鉄心Sを構成する電磁鋼板Mを打抜き加工によって製造する打抜き装置の一例を示す概要図である。同図に示す打抜き装置100は、第1の電磁鋼板M1の巻重体C1が装着されるアンコイラー(巻重体保持器)111と、第2の電磁鋼板M2の巻重体C2が装着されるアンコイラー(巻重体保持器)112と、プレス機械120と、送り装置(送り手段)130と、プレス機械120によって動作する順送り金型140と、アンコイラー111,112と順送り金型140との間に設けられた油噴霧ノズル(油膜形成手段)150とを備える。
アンコイラー111,112は、巻重体C1,C2を回転自在にそれぞれ保持する。巻重体C1,C2からそれぞれ引き出された電磁鋼板M1,M2は送り装置130で重ね合される。送り装置130は電磁鋼板M1,M2を両側から挟み込む一対のローラ130a,130bを有する。電磁鋼板M1,M2は、送り装置130を介して順送り金型140へと導入される。
送り装置130に導入されるに先立ち、電磁鋼板M1,M2に対してノズル150による油噴霧処理が施される。すなわち、図3に示すように、電磁鋼板M1の裏面及び電磁鋼板M2の表面に向けてノズル150から油が噴霧される。電磁鋼板M1の裏面と電磁鋼板M2の表面との間に油を噴霧した後、電磁鋼板M1,M2を送り装置130の導入することで、二枚の電磁鋼板M1,M2と、これらの電磁鋼板M1,M2の間に介在する油膜Fとを有する被加工板Wが構成される(図4参照)。
打抜き装置100は、油膜Fを介して電磁鋼板M1,M2を重ね合された被加工板Wに対して打抜き加工を実施する。油膜Fは被加工板Wにおいて二枚の電磁鋼板M1,M2を貼り合わせる役割を果たす。このため、打抜き装置100によれば、十分に高い精度で二枚の電磁鋼板M1,M2を同時に打ち抜くことができるとともに、カス上がりの発生を十分に抑制できる。
油膜Fを形成するための油としては、例えば打抜き工作油(スタンピングオイルとも称される)、鉱油、シリコーンオイルなどを使用できる。本発明者らの検討によると、油膜Fを構成する油は、40℃における動粘度が好ましくは0.9mm/s以上であり、より好ましくは0.9〜10mm/sである。油の40℃における動粘度が0.9mm/s未満であると電磁鋼板M1と電磁鋼板M2とを貼り合わせる力が不十分となりやすく、他方、10mm/sを超えるとノズルによる油噴霧が困難となりやすい。
上に挙げた油のうち、順送り金型140においても使用される打抜き工作油を使用することが好ましい。この場合、順送り金型140に打抜き工作油を供給する配管を途中で分岐することによって分岐管を通じてノズル150に打抜き工作油を供給することができる。
<固定子を構成する積層鉄心の製造方法>
図3〜5を参照しながら、固定子を構成する積層鉄心Sの製造方法について説明する。積層鉄心Sは、被加工板Wを打抜き加工をすることによって電磁鋼板Mを得るプロセス(下記(A)〜(E)工程)と、積み重ねた複数の電磁鋼板M(積層体10)を一体化させるプロセス(下記(F)工程)とを経て製造される。より具体的には、積層鉄心Sの製造方法は以下の工程を備える。
(A)二つの電磁鋼板の巻重体C1,C2を準備する工程。
(B)巻重体C1,C2からそれぞれ引き出され且つ重ね合された二枚の電磁鋼板M1,M2と、二枚の電磁鋼板M1,M2の間に介在する油膜Fとを有する被加工板Wを順送り金型140に供給する工程。
(C)順送り金型140において被加工板Wの打抜き加工を行う工程。
(D)被加工板Wを順送り金型140内において前進させる工程。
(E)上記(C)工程と、上記(D)工程とを繰り返すことによって所定の形状に加工された加工体W1を連続的に得る工程。
(F)複数の加工体W1を重ね合わせて得られる積層体10をカシメ(接合部2)で締結することによって積層鉄心Sを得る工程。
まず、電磁鋼板の巻重体C1,C2を準備し((A)工程)、これらをアンコイラー111,112にそれぞれ装着する。巻重体C1,C2をそれぞれ構成する電磁鋼板M1,M2の長さは例えば500〜10000mである。なお、使用中の巻重体の残りが少なくなると新たな巻重体が準備され、新たな巻重体の始端部と使用中の巻重体の終端部が例えば溶接によって接合される。
電磁鋼板M1,M2の厚さはそれぞれ0.1〜0.5mm程度であればよい。従来、電磁鋼板の厚さが比較的薄い場合(例えば0.1〜0.3mm)、上述の(1)〜(3)の不具合が顕著であったのに対し、本実施形態に係る打抜き方法によれば電磁鋼板M1,M2として厚さ0.1〜0.3mmの電磁鋼板をそれぞれ使用してもこれらの不具合の発生を十分に抑制できる。つまり、電磁鋼板M1,M2として、厚さ0.1〜0.3mmの電磁鋼板をそれぞれ使用してもよく、更には厚さ0.1〜0.18mmの電磁鋼板をそれぞれ使用してもよい。なお、被加工板Wの全体の厚さは、好ましくは0.2〜1.0mmであり、より好ましくは0.3〜0.5mmである。被加工板Wの厚さが0.2mm未満であると複数枚の電磁鋼板を重ね合されて得られる効果が少なくなる傾向があり、1.0mmを超えると被加工板Wの可撓性が小さくなる傾向がある。油膜Fの厚さは0.001mm程度であればよい。
巻重体C1,C2からそれぞれ引き出された電磁鋼板M1,M2の間にノズル150から油を噴霧することによって被加工板Wを得る。送り装置130を介して被加工板Wを順送り金型140へと供給する((B)工程)。二枚の電磁鋼板M1,M2を油膜Fによって十分に高い強度で貼り合わせることができる限り、電磁鋼板M1の面積Aに対する油膜の面積Aの比率に制限はないが、この比率(A/A)は好ましくは0.8以上であり、より好ましくは0.9以上である。
図4は被加工板Wを長手方向に垂直の面における断面図である。図4に示すとおり、電磁鋼板M1,M2の幅は同一に設定されている。電磁鋼板M1,M2の幅は製造する積層鉄心Sのサイズに応じて設定すればよい。二枚の電磁鋼板M1,M2は幅方向のずれが生じないように位置合わせがなされている。二枚の電磁鋼板M1,M2が幅方向にずれた状態で貼り合されていると、順送り金型140内における送りに支障が出るおそれがある。
従来、電磁鋼板の幅が広い場合(例えば250〜500mm)、電磁鋼板の強度不足に起因して順送り金型140内における送りに支障が生じやすかったのに対し、本実施形態に係る打抜き方法によれば電磁鋼板M1,M2として幅250〜500mmの電磁鋼板をそれぞれ使用してもこれらを重ね合せることで順送り金型140内における送りを安定的に行うことができる。つまり、電磁鋼板M1,M2として、幅250〜500mmの電磁鋼板をそれぞれ使用してもよく、更には幅400〜500mmの電磁鋼板をそれぞれ使用してもよい。
ノズル150から油を噴霧することによって、厚さが十分に均一な油膜Fを形成することができる。油膜Fの厚さが不均一であると二枚の電磁鋼板M1,M2を貼り合わせる力が不足する傾向にある。また油膜Fを構成する油の量は多すぎても少なすぎても二枚の電磁鋼板M1,M2を貼り合わせる力が不足する傾向にある。油膜Fの粘度、雰囲気温度などに依存するが、被加工板Wの単位面積当たりの油膜Fの質量は好ましくは0.5〜2.0g/mであり、より好ましくは0.5〜1.0g/mである。なお、油膜Fを構成する油の量は過剰であると、余分な油が送り装置130のローラ130a,130bに付着して送りミスを生じさせるおそれがある。
順送り金型140が備えるパンチ(不図示)による打抜き作業((C)工程)と送り装置130による被加工板Wの送り作業((D)工程)とを繰り返す。これにより、所定の形状に加工された加工体W1が得られる((E)工程)。
図5を参照しながら上記(E)工程について説明する。図5の(a)は被加工板Wに位置合わせ用のパイロット孔Pを形成した状態を示す。図5の(b)はヨーク部Syの内周面とティース部Stの側面とを構成する計6つの開口H1を更に形成した状態を示す。図5の(c)はティース部Stとなる部分に接合部2(いわゆるカシメ)を更に形成した状態を示す。被加工板Wに接合部2を形成することにより、被加工板Wを構成する二枚の電磁鋼板M1,M2が接合部2によって固定される。なお、この接合部2は複数の加工体W1の締結にも利用される。図5の(d)は開口Saとなる開口H2を更に形成した状態を示す。図5の(e)はヨーク部Syの外周面を構成する開口H3を更に形成した状態を示す。開口H3を形成することにより、図5の(f)に示す形状の加工体W1が得られる。加工体W1は2枚の電磁鋼板Mが重ね合わさっている。
上記工程を経て得られた加工体W1を所定の枚数重ね合せ、これらの接合部2によって互いに接合することによって図1に示す積層鉄心Sを得る((F)工程)。
本実施形態に係る積層鉄心Sの製造方法によれば、十分に高い精度で二枚の電磁鋼板M1,M2を同時に打ち抜くことができるとともに、カス上がりの発生を十分に抑制でき、これにより、十分に効率的に積層鉄心Sを製造できる。
被加工板Wは二枚の電磁鋼板M1,M2が油膜Fによって貼り合されている状態であり、カシメ又は溶接によって固定されているわけではない。このため、被加工板Wを形成した後、図6に示すように、上下方向にずれた位置にある複数対のローラ131,132を被加工板Wが通過しても二枚の電磁鋼板M1,M2が長手方向に微妙に互いにスライドすることで、電磁鋼板M1,M2に皺が生じたり、被加工板Wの送りに支障が発生したりすることを十分に抑制できる。つまり、送り装置の位置及び構成に自由度を持たせることができるという利点がある。
<回転子を構成する積層鉄心>
図7は回転子を構成する積層鉄心Rの斜視図である。積層鉄心Rの形状は略円筒形であり、中央部に位置する開口Raはシャフト(不図示)を装着するためのものである。開口Raを構成する内周面Rbには凸状キーRcが設けられている。
積層鉄心Rについて、上述の積層鉄心Sと相違する点について主に説明する。積層鉄心Rは、複数の電磁鋼板Mからなる積層体50と、複数の磁石固定用開口55とを備える。積層体50は計16個の開口55を有する。隣接する2つの開口55が対をなしており、8対の開口55が積層体50の外周に沿って等間隔に並んでいる。各開口55は積層体50の上面50aから下面50bまで延びている。なお、開口55の総数は16個に限定されず、モーターの用途、要求させる性能などに応じて決定すればよい。また、開口55の形状及び位置もモーターの用途、要求させる性能などに応じて決定すればよい。
開口55には2つの磁石が上下方向に並んで収容されている。磁石は永久磁石であり、例えばネオジム磁石などの焼結磁石を使用できる。なお、各開口55に入れる磁石の個数は1つでも3つ以上であってもよい。磁石の種類はモーターの用途、要求させる性能などに応じて決定すればよく、焼結磁石の代わりに例えばボンド磁石を使用してもよいし幅方向に複数に分割された磁石を使用してもよい。開口55の磁石を入れた後、開口55に樹脂(例えば熱硬化性樹脂組成物)を充填することによって開口55内に磁石を固定することができる。
<回転子を構成する積層鉄心の製造方法>
回転子用の電磁鋼板Mを製造するための順送り金型を使用することにより、上述の積層鉄心Sと同様の過程を経て積層鉄心Rを得ることができる。すなわち、回転子を構成する積層鉄心Rは以下の工程を経て製造される。
(A)二つの電磁鋼板の巻重体C1,C2を準備する工程。
(B)巻重体C1,C2からそれぞれ引き出され且つ重ね合された二枚の電磁鋼板M1,M2と、二枚の電磁鋼板M1,M2の間に介在する油膜Fとを有する被加工板Wを順送り金型に供給する工程。
(C)順送り金型において被加工板Wの打抜き加工を行う工程。
(D)被加工板Wを順送り金型内において前進させる工程。
(E)上記(C)工程と、上記(D)工程とを繰り返すことによって所定の形状に加工された加工体を連続的に得る工程。
(F)複数の加工体を重ね合わせて得られる積層体50を上記(C)工程で形成された接合部2(カシメ)で締結する工程。
(G)積層体50に形成された磁石固定用開口55に磁石を収容させた後、磁石固定用開口55に樹脂を充填する工程。
本実施形態に係る積層鉄心Rの製造方法によれば、十分に高い精度で二枚の電磁鋼板M1,M2を同時に打ち抜くことができるとともに、カス上がりの発生を十分に抑制でき、これにより、十分に効率的に積層鉄心Rを製造できる。
以上、本発明の一実施形態について詳細に説明したが本発明は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、上記実施形態においては、ノズル150によって電磁鋼板M1の裏面及び電磁鋼板M2の表面の両方に向けて油を噴霧する構成を例示したが、電磁鋼板M1の裏面に油を噴霧するノズルと、電磁鋼板M2の表面に油を噴霧するノズルとを設けてもよい。あるいは、ノズル150によって電磁鋼板M1の裏面及び電磁鋼板M2の表面の一方のみに油を噴霧してもよい。
上記実施形態においては、ノズル150を使用して油を噴霧する場合を例示したが、図8に示すように、ノズル150の代わりにロール151を使用して電磁鋼板M1の裏面に油を塗布してもよい。この態様においては、油を収容可能な容器152と、容器152に対して回転自在に設けられたロール151とによって油膜形成手段が構成されている。容器152内に油を入れると、ロール151の下部が油に浸るようになっている。なお、二つのロールを設けて電磁鋼板M1の裏面及び電磁鋼板M2の表面の両方に油を塗布してもよい。
上記実施形態においては、二つの巻重体C1、C2を準備し、油膜Fを介して二枚の電磁鋼板M1,M2を重ね合せた被加工板Wに対して打抜き加工を実施する場合を例示したが、油膜Fを介して三枚以上の電磁鋼板を重ね合せた被加工板に対して打抜き加工を実施してもよい。打抜き加工の精度の観点から、被加工板を構成する電磁鋼板の枚数の上限は5枚程度とすればよい。
上記実施形態においては、被加工板Wに対してカシメ(接合部2)を形成し、複数の加工体W1を重ね合わせて得られる積層体10をカシメで締結する場合を例示したが、カシメの代わりに溶接、樹脂によって電磁鋼板M同士を締結してもよい。
上記実施形態においては、一体型の積層鉄心S及びその製造方法を例示したが、本発明は一体型の積層鉄心Sに限定されず、分割型の積層鉄心S及びその製造方法に適用されてもよい。図9に示すように、積層鉄心Sは周方向に並ぶように配置された計12個の積層体30によって構成されている。各積層体30にはダミーカシメ部30aが設けられている。ダミーカシメ部30aは積層体30を樹脂材料で締結する前又は締結した後に取り外される。なお、積層体30及びダミーカシメ部30aの個数は12個に限定されるものではない。
100…打抜き装置、111,112…アンコイラー(巻重体保持器)、130,131,132…送り装置(送り手段)、140…順送り金型(金型)、150…ノズル(油膜形成手段)、151…ロール(油膜形成手段)、152…容器(油膜形成手段)、C1,C2…巻重体、F…油膜、M1…一方の電磁鋼板、M2…他方の電磁鋼板、R…回転子用の積層鉄心、S…固定子用の積層鉄心、S…分割型の積層鉄心、W…被加工板、W1…加工体。

Claims (9)

  1. (a)少なくとも二つの電磁鋼板の巻重体を準備する工程と、
    (b)それぞれの前記巻重体から引き出され且つ重ね合された少なくとも二枚の電磁鋼板と、隣り合う二枚の前記電磁鋼板の間に介在する油膜とを有し、隣り合う二枚の前記電磁鋼板が互いにスライド自在に構成された被加工板を金型に供給する工程と、
    (c)前記金型において前記被加工板の打抜き加工を行う工程と、
    を備える打抜き方法。
  2. 隣り合う二枚の前記電磁鋼板のうち、一方の前記電磁鋼板の裏面及び他方の前記電磁鋼板の表面の少なくとも一方に油を噴霧することによって前記油膜を形成する、請求項1に記載の打抜き方法。
  3. 隣り合う二枚の前記電磁鋼板のうち、一方の前記電磁鋼板の裏面及び他方の前記電磁鋼板の表面の少なくとも一方にロールを使用して油を塗布することによって前記油膜を形成する、請求項1に記載の打抜き方法。
  4. 前記油膜は打抜き工作油からなる、請求項1〜3にいずれか一項に記載の打抜き方法。
  5. 前記油膜は、40℃における動粘度が0.9mm2/s以上の油からなる、請求項1〜4のいずれか一項に記載の打抜き方法。
  6. 前記金型は順送り金型であり、(c)前記金型において前記被加工板を打抜き加工する工程と、(d)前記被加工板を前記金型内において前進させる工程とを繰り返すことにより、複数の電磁鋼板が重なり且つ所定の形状に加工された加工体を連続的に製造する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の打抜き方法。
  7. 前記電磁鋼板の厚さは0.1〜0.3mmである、請求項1〜6のいずれか一項に記載の打抜き方法。
  8. 電磁鋼板の巻重体を回転自在にそれぞれ保持する少なくとも二つの巻重体保持器と、
    被加工板の打抜き加工を行う金型と、
    前記巻重体保持器と前記金型との間に配置されており、それぞれの前記巻重体から引き出され且つ重ね合される少なくとも二枚の電磁鋼板の間に油膜を形成する油膜形成手段と、
    少なくとも二枚の前記電磁鋼板と、隣り合う二枚の前記電磁鋼板の間に介在する前記油膜とを有し、隣り合う二枚の前記電磁鋼板が互いにスライド自在に構成された前記被加工板を前記金型に供給する送り手段と、
    を備える打抜き装置。
  9. (a)少なくとも二つの電磁鋼板の巻重体を準備する工程と、
    (b)それぞれの前記巻重体から引き出され且つ重ね合された少なくとも二枚の電磁鋼板と、隣り合う二枚の前記電磁鋼板の間に介在する油膜とを有し、隣り合う二枚の前記電磁鋼板が互いにスライド自在に構成された被加工板を順送り金型に供給する工程と、
    (c)前記順送り金型において前記被加工板の打抜き加工を行う工程と、
    (d)前記被加工板を前記順送り金型内において前進させる工程と、
    (e)前記(c)工程と、前記(d)工程とを繰り返すことによって所定の形状に加工された加工体を連続的に得る工程と、
    (f)複数の前記加工体を重ね合わせて得られる積層体をカシメ、溶接又は樹脂で締結することによって積層鉄心を得る工程と、
    を備える積層鉄心の製造方法。
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