JP6117025B2 - 積層鉄心の製造方法 - Google Patents
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Description
具体的には、図3(A)、(B)に示すように、積層した複数枚の鉄心片90で形成される積層鉄心本体91の積層方向(軸方向)両端面を治具プレート92、93で挟持して、積層鉄心本体91を加圧した後、積層方向にわたって溶接する。この溶接は、溶接した積層鉄心本体91の品質を安定させるため、溶接の開始点を一方の治具プレート92の側面とし、終了点を他方の治具プレート93の側面として、この間で、図3(B)に示すように、電極棒94を移動させて行い、溶接ビード95を形成している。なお、この溶接の際、治具プレート92、93に電流が流れたときに、治具プレート92、93の発熱を抑制するため、治具プレート92、93を熱伝導性が高い銅等で構成している(例えば、特許文献1参照)。
しかし、電磁鋼板の材質によっては、治具プレートの外形を積層鉄心本体の外形よりも小さくすることで、図3(B)に示すように、溶接の開始側で、アーク放電によって溶融した鉄心材が、積層した鉄心片90の端面から積層方向に突出するという現象が発生する。このビード突出部96は、後工程において干渉物となるため除去する必要があり、この除去作業によって積層鉄心の生産効率の低下を招くだけでなく、除去したビード突出部96が積層鉄心本体91に誤って付着してしまうことで、モータ性能の低下を招くおそれもある。
前記積層鉄心本体の積層方向一方側端部又は該積層方向一方側端部に接する前記治具プレートに設定した溶接開始点から、積層方向他方側に配置された前記治具プレートへ向けて、アーク放電を行いながら第1の溶接トーチを移動させて第1の溶接ビードを形成する第1工程と、
前記第1の溶接ビードの開始側で第2の溶接トーチによってアーク放電を行い、前記積層鉄心本体の積層方向一方側端部を超えて形成されたビード突出部の除去を行う第2工程とを有する。
前記積層鉄心本体の積層方向一方側端部又は該積層方向一方側端部に接する前記治具プレートに設定した溶接開始点から、積層方向他方側に配置された前記治具プレートへ向けて、アーク放電を行いながら第1の溶接トーチを移動させて第1の溶接ビードを形成する第1工程と、
前記第1の溶接ビードの開始側から前記積層鉄心本体の積層方向一方側端部に接する前記治具プレートへ向けて、第2の溶接トーチによってアーク放電を行い、前記積層鉄心本体の積層方向一方側端部を超えて形成されたビード突出部の除去を行う第2工程とを有する。
前記積層鉄心本体の積層方向一方側に設定した溶接開始点から、積層方向他方側に配置された前記治具プレートへ向けて、アーク放電を行いながら第1の溶接トーチを移動させて第1の溶接ビードを形成する第1工程と、
第2の溶接トーチによって前記第1の溶接ビードに連続してアーク放電を行い、前記第1の溶接ビードに連続する第2の溶接ビードを前記積層鉄心本体の積層方向一方側端部まで形成する第2工程とを有する。
また、第3の発明に係る積層鉄心の製造方法は、第1工程において、積層鉄心本体の積層方向一方側から積層方向他方側端部に第1の溶接ビードを形成し、第2工程において、第1の溶接ビードに連続する第2の溶接ビードを積層鉄心本体の積層方向一方側端部まで形成するので、ビード突出部の発生を抑制、更には防止でき、モータ性能の低下を防止した積層鉄心を効率よく製造することができる。
まず、図1(A)〜(C)に示す本発明の一実施の形態に係る積層鉄心の製造方法を適用して製造する固定子積層鉄心(ステータ)について説明する。
この積層方向に隣り合う鉄心片10同士は、積層鉄心本体11の半径方向外側(外周部)の複数箇所で、積層方向全長にわたって溶接し、複数の第1の溶接ビード12を形成することで結合しているが、例えば、かしめ等を併用することもできる。
この溶接ビード12は、平面視して積層鉄心本体11の外径(鉄心片10の直径)よりも外方へ突出しているが、各鉄心片の溶接該当箇所に窪み(凹部)を設けて、積層鉄心本体の外径(鉄心片の直径)と同等、又は、それより小さくなるようにすることもできる。
まず、厚みが、例えば、0.15〜0.5mm程度の電磁鋼板からなる条材から、複数の鉄心片10を打抜く。そして、予め設定した枚数積層することで、積層鉄心本体11を製造する。
なお、各治具プレート13、14は、例えば、その厚みが10〜50mm程度、その外径が、平面視して積層鉄心本体11の外径(鉄心片10の直径)よりも小さくなっている(治具プレート13、14に対する積層鉄心本体11の半径方向の突出量は、例えば、0.3mm程度)。また、各治具プレート13、14の材質は、熱伝導性が高い材料(例えば、銅又は銅合金が好ましい)で構成されているが、積層鉄心本体11の溶接箇所の延長部分に該当する治具プレートの箇所のみ、上記した材質とすることもできる。更に、各治具プレート13、14は、水冷構造とすることもできる。
なお、溶接法は、溶加材を使用することなく、母材となる積層鉄心本体11(鉄心片10)の外周側端部を溶融させて、積層方向に隣り合う鉄心片10同士を接合する電極棒15(第1、第2の溶接トーチの一例、即ち、本実施の形態では、1本の電極棒15で第1の溶接トーチと第2の溶接トーチを兼用している)を用いたアーク溶接であれば、特に限定されるものではなく、例えば、TIG溶接法やプラズマ溶接法等を使用できる。
以下、溶接の手順について説明する。
ここで、溶接開始点S1とは、積層鉄心本体11の積層方向上側端部に接する治具プレート13の側面であり、例えば、積層鉄心本体11の上面から1〜10mm程度上方位置である。なお、溶接開始点S1は、積層鉄心本体11の積層方向上側端部の側面に設定することもできる。
一方、この溶接の溶接終了点E1は、積層鉄心本体11の積層方向下側端部に接する治具プレート14の側面である(以上、第1工程)。
このため、図1(B)に示すように、溶接終了点E1で電極棒15のアーク放電を停止した後、この電極棒15を、第1の溶接ビード12の開始側の第2の溶接開始点S2まで移動させる。
ここで、溶接開始点S2とは、溶接開始点S1よりも下方位置(溶接開始点S1の近傍)であり、積層鉄心本体11の積層方向上側端部の側面(ビード突出部16の側面)である(以上、電極棒移動工程)。
このとき、電極棒15によるアーク放電は、溶接開始点S2から、積層鉄心本体11の積層方向上側端部に接する治具プレート13へ向けて、電極棒15を移動させながら行う。なお、この溶接の溶接終了点E2は、治具プレート13の側面である(例えば、溶接開始点S1)。
これにより、ビード突出部16を、確実に溶融除去できるが、電極棒15を溶接開始点S2から溶接終了点E2まで移動させることなく、溶接開始点S2の位置に固定して、溶接開始点S2でアーク放電を行い、ビード突出部16を除去することもできる(以上、第2工程)。
ここで、溶接開始点S3とは、積層鉄心本体11の積層方向途中位置の側面である。一方、この溶接の溶接終了点E3は、積層鉄心本体11の積層方向下側に配置された治具プレート14の側面である(以上、第1工程)。
ここで、溶接開始点S4とは、上記した第1の溶接ビード17に連続してアーク放電を行い、この第1の溶接ビード17に連続する第2の溶接ビード18を形成できる位置であればよく、ここでは、溶接開始点S3よりも僅かに上方位置(溶接開始点S3の近傍)としている(以上、電極棒移動工程)。
このとき、電極棒15によるアーク放電は、溶接開始点S4から、積層鉄心本体11の積層方向上側に配置された治具プレート13へ向けて、電極棒15を移動させながら行う。なお、この溶接の溶接終了点E4は、積層鉄心本体11の積層方向上側に配置された治具プレート13の側面である。
これにより、積層鉄心本体11の積層方向端部から溶接ビードを突出させることなく、第1の溶接ビード17に連続して第2の溶接ビード18を積層鉄心本体11の積層方向上端部まで形成でき、積層方向に隣り合う鉄心片10同士を接合できる(以上、第2工程)。
前記実施の形態においては、本発明の積層鉄心の製造方法を、固定子積層鉄心の製造に適用した場合について説明したが、これに限定されるものではなく、回転子積層鉄心(ロータ)の製造に適用することもできる。なお、回転子積層鉄心は、環状の鉄心片を順次積層して形成される積層鉄心本体を有している。
Claims (5)
- 電磁鋼板から打抜いた鉄心片を複数枚積層して形成した積層鉄心本体を、その積層方向両側から治具プレートで挟持した後、前記積層鉄心本体の半径方向外側の複数箇所で積層方向にわたって溶接する積層鉄心の製造方法において、
前記積層鉄心本体の積層方向一方側端部又は該積層方向一方側端部に接する前記治具プレートに設定した溶接開始点から、積層方向他方側に配置された前記治具プレートへ向けて、アーク放電を行いながら第1の溶接トーチを移動させて第1の溶接ビードを形成する第1工程と、
前記第1の溶接ビードの開始側で第2の溶接トーチによってアーク放電を行い、前記積層鉄心本体の積層方向一方側端部を超えて形成されたビード突出部の除去を行う第2工程とを有することを特徴とする積層鉄心の製造方法。 - 電磁鋼板から打抜いた鉄心片を複数枚積層して形成した積層鉄心本体を、その積層方向両側から治具プレートで挟持した後、前記積層鉄心本体の半径方向外側の複数箇所で積層方向にわたって溶接する積層鉄心の製造方法において、
前記積層鉄心本体の積層方向一方側端部又は該積層方向一方側端部に接する前記治具プレートに設定した溶接開始点から、積層方向他方側に配置された前記治具プレートへ向けて、アーク放電を行いながら第1の溶接トーチを移動させて第1の溶接ビードを形成する第1工程と、
前記第1の溶接ビードの開始側から前記積層鉄心本体の積層方向一方側端部に接する前記治具プレートへ向けて、第2の溶接トーチによってアーク放電を行い、前記積層鉄心本体の積層方向一方側端部を超えて形成されたビード突出部の除去を行う第2工程とを有することを特徴とする積層鉄心の製造方法。 - 電磁鋼板から打抜いた鉄心片を複数枚積層して形成した積層鉄心本体を、その積層方向両側から治具プレートで挟持した後、前記積層鉄心本体の半径方向外側の複数箇所で積層方向にわたって溶接する積層鉄心の製造方法において、
前記積層鉄心本体の積層方向一方側に設定した溶接開始点から、積層方向他方側に配置された前記治具プレートへ向けて、アーク放電を行いながら第1の溶接トーチを移動させて第1の溶接ビードを形成する第1工程と、
第2の溶接トーチによって前記第1の溶接ビードに連続してアーク放電を行い、前記第1の溶接ビードに連続する第2の溶接ビードを前記積層鉄心本体の積層方向一方側端部まで形成する第2工程とを有することを特徴とする積層鉄心の製造方法。 - 請求項1〜3のいずれか1項に記載の積層鉄心の製造方法において、前記治具プレートは銅製又は銅合金製であることを特徴とする積層鉄心の製造方法。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載の積層鉄心の製造方法において、前記第2の溶接トーチに前記第1の溶接トーチを用い、前記第1工程を行った後、前記第1の溶接トーチのアーク放電を停止して該第1の溶接トーチを移動させ、前記第2工程を行うことを特徴とする積層鉄心の製造方法。
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