JP7466323B2 - 積層鉄心の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、積層鉄心の製造方法に関する。
下記特許文献1に記載された積層鉄心の製造方法では、電磁鋼板から打抜いた鉄心片を複数枚積層して形成した積層鉄心本体を、その積層方向両側から治具プレートで挟持した後、積層鉄心本体の半径方向外側の複数箇所で積層方向にわたって溶接する。この製造方法では、第1工程において、積層鉄心本体の積層方向一方側端部又は該積層方向一方側端部に接する治具プレートに設定した溶接開始点から、積層方向他方側に配置された治具プレートへ向けて、アーク放電を行いながら第1の溶接トーチを移動させて第1の溶接ビードを形成する。次いで第2工程では、第1の溶接ビードの開始側で第2の溶接トーチによってアーク放電を行い、積層鉄心本体の積層方向一方側端部(積層方向の一端面)を超えて形成されたビード突出部の除去を行う。
特許第6117025号公報
上記の先行技術では、アーク放電によりビード突出部の除去を行うが、アーク放電の放電範囲は電極棒のサイズに依存するため、ビード突出部の除去に必要な狭い範囲内のみに熱を加えることが困難であり、広い範囲に熱が加えられてしまう。その結果、加熱部の近接位置に新たに大きな突出部(凸部)が発生する場合があるが、当該突出部を再度のアーク放電により小さくすることが困難である。このため、突出部の除去精度を高める観点で改善の余地がある。
本発明は上記事実を考慮し、積層鉄心本体の端面から突出した突出部を高精度に除去することができる積層鉄心の製造方法を得ることを目的とする。
第1の態様の積層鉄心の製造方法は、複数の鉄心片を積層して積層鉄心本体を形成する積層工程と、前記積層鉄心本体の外周面又は内周面を積層方向に沿って溶接する溶接工程と、前記積層鉄心本体の積層方向の端面から突出した溶接ビードの突出部に対してレーザー加工機によりレーザー光を照射し、前記突出部を除去するレーザー照射工程と、を有している。
第1の態様の積層鉄心の製造方法では、積層工程において、複数の鉄心片を積層して積層鉄心本体を形成する。次いで溶接工程では、積層鉄心本体の外周面又は内周面を積層方向に沿って溶接する。次いでレーザー照射工程では、積層鉄心本体の積層方向の端面から突出した溶接ビードの突出部(以下、「ビード突出部」と称する場合がある。)に対してレーザー加工機によりレーザー光を照射し、ビード突出部を除去する。
このようにレーザー加工機を用いることにより、ビード突出部を含む狭い範囲内にレーザー光を照射することができ、当該狭い範囲内のみに設定通りに熱を加えることができる。その結果、加熱部の近接位置に新たな突出部(凸部)が発生するとしても、その突出部は小さいものとなり、再度のレーザー照射により除去可能なものとなる。よって、本発明によれば、積層鉄心本体の端面から突出した突出部を高精度に除去することができる。
第2の態様の積層鉄心の製造方法は、第1の態様において、前記レーザー照射工程では、前記端面に存在するスパッタに対して前記レーザー光を照射する。
第2の態様の積層鉄心の製造方法では、レーザー照射工程において、積層鉄心本体における積層方向の端面に存在するスパッタに対してレーザー加工機によりレーザー光を照射する。これにより、上記のスパッタを除去することができる。
第3の態様の積層鉄心の製造方法は、第1の態様又は第2の態様において、前記レーザー照射工程では、前記端面に存在するスケールに対して前記レーザー光を照射する。
第3の態様の積層鉄心の製造方法では、レーザー照射工程において、積層鉄心本体における積層方向の端面に存在するスケールに対してレーザー加工機によりレーザー光を照射する。これにより、上記のスケールを除去することができる。
第4の態様の積層鉄心の製造方法は、第1の態様第3の態様の何れか1つの態様において、前記レーザー照射工程では、前記端面における前記突出部の周辺部を含む設定範囲内に前記レーザー光を照射する。
第4の態様の積層鉄心の製造方法では、レーザー照射工程においてビード突出部を除去する際には、積層鉄心本体の積層方向の端面におけるビード突出部の周辺部を含む設定範囲内にレーザー光を照射する。これにより、設定範囲内に存在するスパッタ及びスケールをビード突出部と一緒に除去することができる。
第5の態様の積層鉄心の製造方法は、第1の態様第4の態様の何れか1つの態様において、前記レーザー照射工程では、同一の走査軌跡を複数回描いて前記レーザー光を走査する。
第5の態様の積層鉄心の製造方法では、レーザー照射工程においてビード突出部を除去する際に、同一の走査軌跡を複数回描いてレーザー光を走査する。つまり、同一の走査軌跡を重ね書きするようにレーザー光を走査するので、レーザー光の走査により新たに発生する突出部を、その後のレーザー光の走査により除去することができる。
第6の態様の積層鉄心の製造方法は、第5の態様において、前記レーザー照射工程では、前記レーザー光の出力を1W~200Wの範囲内に設定する。
第6の態様の積層鉄心の製造方法では、レーザー照射工程において、レーザー加工機のレーザー光の出力が、上記のような低出力に設定されるので、レーザー光の走査により新たな突出部が発生することを抑制しつつ、前述した重ね書きにより、ビード突出部を少しずつ除去することができる。
第7の態様の積層鉄心の製造方法は、第1の態様第6の態様の何れか1つの態様において、前記溶接工程では、前記レーザー加工機とは別の溶接機により前記溶接を行う。
第7の態様の積層鉄心の製造方法では、溶接工程において積層鉄心本体の外周面又は内周面を積層方向に沿って溶接する溶接機が、レーザー照射工程に用いられるレーザー加工機とは別物とされているので、溶接工程とレーザー照射工程とを時間的に分離して実施することができる。その結果、一方の工程の生産スピードに他方の工程の生産スピードを合わせる必要がなくなるので、生産スピードが速い工程の生産性を向上させることができる。また、上記各工程に適した溶接機及びレーザー加工機を、出力等の装置仕様から選定して用いることができる。
第8の態様の積層鉄心の製造方法は、第1の態様第6の態様の何れか1つの態様において、前記レーザー加工機は、ガルバノスキャニング式である。
第8の態様の積層鉄心の製造方法では、ビード突出部に対してガルバノスキャニング式レーザー加工機によりレーザー光を照射し、ビード突出部を除去する。ガルバノスキャニング式レーザー加工機では、レーザー光を設定した軌跡通りに高速で走査することができる。しかも、レーザー光の照射幅(エネルギ密度)を容易に調整することができるので、狭い範囲内を設定通りに加熱することができる。
以上説明したように、本発明に係る積層鉄心の製造方法では、積層鉄心本体の端面から突出した突出部を高精度に除去することができる。
本発明の実施形態に係る積層鉄心の斜視図である。 同積層鉄心の部分的な構成を示す分解斜視図である。 溶接工程において積層鉄心本体が溶接されている状況を示す斜視図である。 積層鉄心本体における溶接部周辺の構成を積層方向から見た平面図である。 ガルバノスキャニング式レーザー加工機の概略的な構成を示す構成図である。 ガルバノスキャニング式レーザー加工機によるレーザー光の走査軌跡を示す平面図である。 レーザー照射工程の第1実施例においてビード突出部及びその周辺部にレーザー光を照射する前の状態を示す平面図である。 図7Aに一点鎖線で示す箇所を三次元測定機により測定した測定結果を示す線図である。 レーザー照射工程の第1実施例においてビード突出部及びその周辺部にレーザー光を照射した後の状態を示す平面図である。 図8Aに一点鎖線で示す箇所を三次元測定機により測定した測定結果を示す線図である。 レーザー照射工程の第2実施例においてビード突出部及びその周辺部にレーザー光を照射する前の状態を示す平面図である。 図9Aに一点鎖線で示す箇所を三次元測定機により測定した測定結果を示す線図である。 レーザー照射工程の第2実施例においてビード突出部及びその周辺部にレーザー光を照射した後の状態を示す平面図である。 図10Aに一点鎖線で示す箇所を三次元測定機により測定した測定結果を示す線図である。 アーク溶接の加熱範囲について説明するための模式図である。
以下、図1~図11を用いて本発明の実施形態に係る積層鉄心の製造方法について説明する。
(積層鉄心の構成)
先ず、本実施形態に係る積層鉄心の製造方法によって製造された積層鉄心10の一例について説明する。この積層鉄心10は、例えば車両駆動用モータ(電動機)の回転子に用いられる積層回転子鉄心(ロータコア)であり、磁石付き回転子の構成要素である。この積層鉄心10は、図1に示すように、4つに分割された円弧状鉄心片12(分割鉄心片)を環状に並べた環状鉄心片14を複数積層して構成された積層鉄心本体16が、複数の溶接部18によって一体化されることにより形成されている。上記の環状鉄心片14は、本発明における「鉄心片」に相当する。
各円弧状鉄心片12は、本実施形態では円弧角θが90度に設定されている。各円弧状鉄心片12の外周部には、周方向に並ぶ複数(ここでは4つ)の円弧状の磁石装着部20(磁極片部)が形成されている。これらの磁石装着部20は、円弧角δが22.5度に設定されており、各磁石装着部20には、磁石を装着するための磁石装着孔22が形成されている。
また、各円弧状鉄心片12の幅方向中間部(外周と内周との間の中間部)には、周方向に並ぶ複数(ここでは4つ)の円形のガイド孔24が形成されている。これらのガイド孔24は、複数の環状鉄心片14の積層時及び積層鉄心本体16の溶接時に用いられる整列治具62(図3参照)に設けられたガイドピンを挿入するためのパイロット孔である。
上記のガイド孔24および磁石装着部20は、円弧状鉄心片12を環状に並べて環状鉄心片14を構成した状態で、22.5度毎に配置されるように設けられており、上記のガイド孔24は、環状鉄心片14の周方向において磁石装着部20と同位相で設けられている。
互いに重なる環状鉄心片14は、図2に示されるように、周方向の円弧状鉄心片12同士の繋ぎ目26が周方向に位相ずれされて、いわゆるレンガ積みに所定枚数積層されている。そして、本実施形態では、上記の位相ずれの角度である位相ずれ角が、磁石装着部20の円弧角δと同じ22.5度に設定されている。
22.5度の位相ずれを有して環状鉄心片14を積層すると、磁石装着部20およびガイド孔24が22.5度毎に配置されているため、磁石装着部20およびガイド孔24のそれぞれの位置が、積層方向に一致する。したがって、磁石装着部20およびガイド孔24は、積層鉄心本体16の軸線方向一端側から軸線方向他端側へ貫通する。
上記の如く積層された複数の環状鉄心片14を一体化する複数の溶接部18は、積層鉄心本体16の内周部に周方向に並んで設けられている。これら複数の溶接部18は、本実施形態では、積層鉄心本体16の磁極数と同数(ここでは16極)設けられており、周方向に位相ずれした各層の円弧状鉄心片12を積層方向に沿って溶接(接合)している。
上記複数の溶接部18は、ガイド孔24を介して磁石装着部20とは反対側に位置しており、積層鉄心本体16の内周部に22.5度毎に設けられている。なお、図1に示されるように、複数の溶接部18の間には、それぞれキー溝28が形成されているが、必ずしも形成されなくてもよい。また、上記の位相ずれ角、円弧角θ、磁石装着部20の円弧角δ、磁極数などは単なる一例であり、適宜変更可能である。
(積層鉄心の製造方法)
次に、上記構成の積層鉄心10の製造方法について説明する。
積層鉄心10の製造方法は、第1工程であるプレス工程と、第2工程である積層工程と、第3工程である溶接工程と、第4工程であるレーザー照射工程とによって構成されている。
プレス工程においては、帯状の磁性鋼板を、金型装置によりプレス加工することにより、複数の円弧状鉄心片12を一対の連結部で連結したキャリア付き単板を製造する。そして、次工程の積層工程へと移行する。
積層工程では、搬送されるキャリア付き単板から円弧状鉄心片12を順次切り離すと共に、切り離した円弧状鉄心片12を環状に並べて環状鉄心片14を形成しつつ、複数の環状鉄心片14を周方向に位相をずらして積層することにより積層鉄心本体16を製造する。そして、製造された積層鉄心本体16を整列治具62ごと回転台60から取り外し、次工程の溶接工程へと移行する。
溶接工程では、積層鉄心本体16の外周部又は内周部(ここでは内周部)における周方向に並ぶ複数の部位(ここでは16箇所:図1及び図3の溶接部18参照)において、周方向に位相ずれした各層の円弧状鉄心片12を積層方向に沿って溶接する。具体的には、先ず、図3に示されるように、整列治具62に上板72が取り付けられる。この上板72は、例えばボルト締結によって8本の支柱70の上端に固定され、積層鉄心本体16を所定の厚さに保持する。或いは例えば、上板72と下板64を8本の支柱70を間に挟んで上下に挟持する専用の挟持装置によって、積層鉄心本体16を所定の厚さに保持する。
次いで、図3に示される回転台74上に、整列治具62ごと積層鉄心本体16を取り付け、上記の溶接を行う。この溶接は、例えばレーザー溶接又はアーク溶接(ここではファイバーレーザー溶接)とされている。なお、図3において符号76が付された部材は、ファイバーレーザー溶接機のトーチであり、このトーチ76を積層方向に移動させて上記の溶接を行う。上記のファイバーレーザー溶接機の最大出力は、例えば2000Wとされるが、上記の溶接は、例えば1200W程度の出力で行われる。上記の溶接により、積層鉄心本体16の内周面には、複数の溶接部18が形成される。
各溶接部18には、一例として、図4に示されるようにメインの溶接ビードB1とサブの溶接ビードB2とが積層鉄心本体16の周方向に並んで形成される。メインの溶接ビードB1は、積層鉄心本体16の積層方向の一端面17A(図1参照)から他端面(図示省略)にわたって積層方向に延在する。サブの溶接ビードB2は、上記の一端面17A及び他端面の付近のみにおいて積層方向に延在する。これらの溶接ビードB1、B2における積層方向の端部には、上記の一端面17A及び他端面のうち少なくとも一方から積層方向に突出した突出部P(図4参照)が形成される場合がある。この突出部Pは、上記の溶接に起因して発生するものである。以下、上記の一端面17A及び他端面を、単に「端面17」と称し、上記の溶接ビードB1、B2を、単に「溶接ビードB」と称し、上記の突出部Pを、「ビード突出部P」と称する。
上記の溶接が完了すると、回転台74及び整列治具62から積層鉄心本体16を取り外し、次工程のレーザー照射工程へと移行する。レーザー照射工程では、積層鉄心本体16の積層方向の端面17から突出したビード突出部Pに対して、ガルバノスキャニング式レーザー加工機80(図5参照)によりレーザー光を照射し、ビード突出部Pを除去する。なお、図5では、積層鉄心本体16を概略的に記載している。
上記のガルバノスキャニング式レーザー加工機(ガルバノスキャニングシステム)80は、一例として、2軸制御のガルバノスキャナを備えている。このガルバノスキャニング式レーザー加工機80では、レーザー発振器82から照射されたレーザー光(図5の一点鎖線参照)を、ガルバノミラーであるX軸スキャンミラー84及びY軸スキャンミラー86で反射させると共に、集光レンズ88で集光させて対象物(ここでは積層鉄心本体16)に照射する。そして、制御ドライバ90によって作動を制御されるX軸モータ92及びY軸モータ94により、X軸スキャンミラー84及びY軸スキャンミラー86の回転角度を制御し、レーザー光を走査する構成になっている。このレーザー光の出力は、溶接工程に用いられる溶接機(ここではファイバーレーザー溶接機)の出力よりも十分に低出力、すなわち例えば1W~200Wの範囲内(ここでは20W)に設定される。
上記のガルバノスキャニング式レーザー加工機80を用いるレーザー照射工程では、積層鉄心本体16の端面17において、ビード突出部P及びその周辺部を含む設定範囲R(図4においてドットを付した領域参照)内にレーザー光を照射する。この際には、積層鉄心本体16の端面17に対して垂直な方向及び傾斜した方向からレーザー光を照射する。つまり、このレーザー光の照射方向は、積層方向及び積層方向に対して傾斜した方向とされている。
上記の設定範囲(レーザー照射範囲)Rには、溶接ビードBにおける積層方向の端部と、上記端面17における溶接ビードBの隣接部Nとが含まれる。溶接ビードBにおける積層方向の端部は、積層方向から見て半円形状又は略半円形状をなしており、端面17における溶接ビードBの隣接部Nは、積層方向から見て円弧状をなしている。このため、上記の設定範囲Rは、一例として、積層方向から見て半円形状をなすように設定されている。
上記の隣接部Nには、ビード突出部Pの他、溶接に起因して発生した図示しないスパッタ(溶接飛散物)やスケール(溶接焼け)が存在する。つまり、本実施形態では、レーザー照射工程において、積層鉄心本体16の端面17に存在するスパッタ及びスケールに対してレーザー光を照射する構成になっている。なお、設定範囲Rにおける上記の「半円形状」は、完全な半円形状である必要はないが、半円形状に近い形状であることが好ましい。
また、このレーザー照射工程では、上記の設定範囲R内において、同一の走査軌跡T(図6参照)を複数回描いてレーザー光を走査する構成、すなわち、同一の走査軌跡Tを複数回重ね書きするようにレーザー光を走査する構成になっている。この走査軌跡Tは、一例として、縦、横、斜め、円弧状などの走査線の組み合わせによって構成されており、半円形状の設定範囲R内を走査線で格子状又は略格子状に塗りつぶすように設定されている。
そして、上記の走査軌跡Tを1回描くレーザー光の走査では、積層鉄心本体16の端面17に存在するビード突出部P等の突出部を、例えば積層方向の高さで数十μm程度だけ除去する。この除去高さは、円弧状鉄心片12(環状鉄心片14)の厚みよりも十分に小さく設定されている。そして、上記の走査軌跡Tを複数回描く重ね書きにより、端面17に存在する突出部を完全又は略完全に除去する構成になっている。このレーザー照射工程が完了すると、積層鉄心10が完成する。
なお、本実施形態では、4つに分割された円弧状鉄心片12を環状に並べた環状鉄心片14を複数積層して積層鉄心本体16を形成する構成としたが、これに限るものではない。本発明に係る積層鉄心本体は、環状に打ち抜かれた鉄心片を複数積層した構成のものでもよい。その場合、例えばプレス工程と積層工程を同時に行うための金型装置が必要になる。
以下、図7A~図10Bを用いて、上記レーザー照射工程の実施例について説明する。図7A~図8Bに示される第1実施例では、図7A及び図7Bに示されるように、ビード突出部P及び図示しないスケールが端面17に形成された積層鉄心本体16に対して上記レーザー照射工程を実施した。その結果、図8A及び図8Bに示されるように、新たに大きな突出部を発生させることなく、ビード突出部Pが除去され、併せてスケールの除去も目視で確認された。同様に、図9A~図10Bに示される第2実施例では、図9A及び図9Bに示されるように、ビード突出部P、スパッタS及び図示しないスケールが端面17に形成された積層鉄心本体16に対して上記レーザー照射工程を実施した。これにより、図10A及び図10Bに示されるように、新たに大きな突出部を発生させることなく、ビード突出部P及びスパッタSが除去され、併せてスケールの除去も目視で確認された。なお、上記のビード突出部Pの突出高さは例えば数百~数千μmであり、上記のスパッタSの突出高さは例えば数十から数百μmである。また、図7B、図8B、図9B、図10Bにおいて、横軸は積層鉄心本体16の径方向の位置を示しており、縦軸は積層鉄心本体16の積層方向の位置を示している。
(作用及び効果)
次に、本実施形態の作用及び効果について説明する。
本実施形態に係る積層鉄心の製造方法では、積層工程において、4つの円弧状鉄心片12からなる環状鉄心片14を複数積層して積層鉄心本体16を形成する。次いで溶接工程では、積層鉄心本体16の外周面又は内周面(ここでは内周面)を積層方向に沿って溶接する。次いでレーザー照射工程では、積層鉄心本体16の積層方向の端面17から突出したビード突出部Pに対してガルバノスキャニング式レーザー加工機80によりレーザー光を照射し、ビード突出部Pを除去する。
このようにガルバノスキャニング式レーザー加工機80を用いることにより、ビード突出部Pを含む狭い範囲内にレーザー光を照射することができ、当該狭い範囲内のみに設定通りに熱を加えることができる。その結果、加熱部の近接位置に新たな突出部(凸部)が発生するとしても、その突出部は小さいものとなり、再度のレーザー照射により除去可能なものとなる。よって、本実施形態によれば、積層鉄心本体16の端面17から突出した突出部を高精度に除去することができる。
上記の効果について補足すると、ガルバノスキャニング式レーザー加工機80では、X軸スキャンミラー84及びY軸スキャンミラー86の回転制御によりレーザー光を設定した軌跡通りに高速で走査することができる。しかも、レーザー光の照射幅(エネルギ密度)を容易に調整することができるので、狭い範囲内を設定通りに加熱することができる。この点、アーク溶接では、図11に示されるように、加熱される範囲HRが電極棒Eのサイズに依存すると共に、電極棒Eをレーザー光ほど高速で移動させることができないため、狭い範囲内のみを加熱することが困難である。また、アーク溶接では、電極棒先端方向へのアーク放電の直進性および狭域でのエネルギ集中度合が低く、アーク放電の範囲が不安定であるため、設定範囲外にも熱が加わると共に、飛び飛びの位置に熱が加わるため、新たな突出部(凸部)が不用意に発生し易い。例えばアーク溶接では、1回のアーク放電(加熱)により数百~数千μm程度の高さの突出部(鉄心片の厚みよりも大きい突出部)が除去されるが、当該加熱により新たに数十~百数十μm程度の小さな突出部が発生する。この程度の小さな突出部は、アーク溶接によって除去することが困難であるが、本実施形態では、この程度の小さな突出部も容易に除去することができる。
また、本実施形態では、レーザー照射工程において、積層鉄心本体16の端面17に存在するスパッタ及びスケールに対してガルバノスキャニング式レーザー加工機80によりレーザー光を照射する。これにより、ビード突出部Pに加えて、上記のスパッタ及びスケールを除去することができる。その結果、例えば上記のスパッタ及びスケールを除去するための後工程が不要になり、生産性が向上する。
また、本実施形態では、レーザー照射工程においてビード突出部Pに対してレーザー光を照射する際に、積層鉄心本体16の端面17におけるビード突出部Pの周辺部を含む設定範囲R内にレーザー光を照射する。これにより、設定範囲R内に存在するスパッタ及びスケールをビード突出部Pと一緒にまとめて除去することができる。
さらに、本実施形態では、レーザー照射工程においてビード突出部Pに対してレーザー光を照射する際に、同一の走査軌跡Tを複数回描いてレーザー光を走査する。つまり、同一の走査軌跡Tを重ね書きするようにレーザー光を走査するので、レーザー光の走査により新たに発生する突出部を、その後のレーザー光の走査により除去することができる。
しかも、本実施形態では、レーザー照射工程において、ガルバノスキャニング式レーザー加工機80のレーザー光の出力が、1W~200Wの範囲内という低出力に設定される。これにより、レーザー光の走査により新たな突出部が発生することを抑制しつつ、前述した重ね書きにより、ビード突出部Pを少しずつ除去することができる。
また、本実施形態では、溶接工程において積層鉄心本体16の外周面又は内周面(ここでは内周面)を積層方向に沿って溶接する溶接機が、レーザー照射工程に用いられるガルバノスキャニング式レーザー加工機80とは別物とされているので、溶接工程とレーザー照射工程とを時間的に分離して実施することができる。その結果、一方の工程の生産スピードに他方の工程の生産スピードを合わせる必要がなくなるので、生産スピードが速い工程の生産性を向上させることができる。また、上記各工程に適した溶接機及びレーザー加工機80を、出力等の装置仕様から選定して用いることができる。
なお、上記実施形態では、積層鉄心10が積層回転子鉄心(ロータコア)である場合について説明したが、本発明に係る積層鉄心は積層固定子鉄心(ステータコア)であってもよい。
また、上記実施形態では、レーザー照射工程において、ガルバノスキャニング式レーザー加工機を用いる場合について説明したが、本発明はこれに限るものではない。レーザー照射工程に用いられるレーザー加工機は、例えばフラットベッド式(台座可動式)であってもよい。
その他、本発明は、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更して実施できる。また、本発明の権利範囲が上記実施形態に限定されないことは勿論である。
10 積層鉄心
14 環状鉄心片(鉄心片)
16 積層鉄心本体
17 端面
80 ガルバノスキャニング式レーザー加工機
B 溶接ビード
P 突出部
R 設定範囲
T 走査軌跡

Claims (6)

  1. 複数の鉄心片を積層して積層鉄心本体を形成する積層工程と、
    前記積層鉄心本体の外周面又は内周面を積層方向に沿って溶接する溶接工程と、
    前記積層鉄心本体の積層方向の端面から突出した溶接ビードの突出部に対してレーザー加工機によりレーザー光を照射し、前記突出部を除去するレーザー照射工程と、
    を有し、
    前記レーザー照射工程では、前記レーザー光の出力を1W~200Wの範囲内に設定し、同一の走査軌跡を複数回描いて前記レーザー光を走査する積層鉄心の製造方法。
  2. 前記レーザー照射工程では、前記端面に存在するスパッタに対して前記レーザー光を照射する請求項1に記載の積層鉄心の製造方法。
  3. 前記レーザー照射工程では、前記端面に存在するスケールに対して前記レーザー光を照射する請求項1又は請求項2に記載の積層鉄心の製造方法。
  4. 前記レーザー照射工程では、前記端面における前記突出部の周辺部を含む設定範囲内に前記レーザー光を照射する請求項1~請求項3の何れか1項に記載の積層鉄心の製造方法。
  5. 前記溶接工程では、前記レーザー加工機とは別の溶接機により前記溶接を行う請求項1~請求項4の何れか1項に記載の積層鉄心の製造方法。
  6. 前記レーザー加工機は、ガルバノスキャニング式レーザー加工機である請求項1~請求項5の何れか1項に記載の積層鉄心の製造方法。
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