JP2006313303A - 光学フィルタおよびこれを用いたディスプレイ - Google Patents

光学フィルタおよびこれを用いたディスプレイ Download PDF

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Yuji Nakatsugawa
雄 二 中津川
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Abstract

【課題】 同一の色素層に複数の色素が混在しても、色素間相互作用が抑制され、長時間の使用下でも分光特性変化が起こらない高耐久性光学フィルタ、およびディスプレイを提供する。
【解決手段】 少なくとも、波長800nm〜1100nmの波長領域内に吸収極大波長を有する色素と、波長570nm〜610nmの波長領域内に吸収極大を有する色素とが、同一層中に含有された色素層を具備する光学フィルタであって、前記色素層が、カチオン部が異なるイオン性色素化合物を実質的に二種以上含有しないものであることを特徴とする光学フィルタ、および上記光学フィルタがディスプレイの観察側に配置されたディスプレイ。
【選択図】 図1

Description

近年、プラズマディスプレイ(以下、「PDP」という)などの電子ディスプレイの研究が盛んに行われている。これらのディスプレイの発光体から発生する波長800nm〜1100nmの近赤外線は、例えば家庭電化製品のリモートコントローラ等の近赤外線を利用した周辺機器の誤作動を引き起こす場合がある。そこで、ディスプレイ前面には近赤外線吸収色素を含有した近赤外線吸収フィルタの設置が不可欠となっている。通常、これらの近赤外線吸収フィルタにおいては、上記波長の近赤外線を吸収する成分として、一般的に近赤外線吸収色素が用いられている。
近赤外線吸収色素としては、一般に、アントラキノン系色素、ナフトキノン系色素、フタロシアニン系色素、スクアリリウム系色素、ジインモニウム系色素、ジチオール系色素等が使用されている(例えば、特開平11−323121号公報、特開2001−158762号公報)。
一方、PDPからはネオンガスの発光に起因する590nm付近の光が強く発生するため、赤色発光がオレンジ色がかってしまうという問題がある。そこで、ディスプレイ前面には波長800nm〜1100nmの光吸収能に加えて、590nm付近の光を吸収する機能も必要である。これを付与するための試みとしては、シアニン系色素やメチン系色素、ポルフィリン系色素を用いたもの(特開2001−131435号公報)が知られている。
しかしながら、上記の近赤外線吸収色素と590nm付近に吸収極大を有する吸収色素とを同一層に混在させると、色素の性能失活が起こり易いという問題点があった。特にジインモニウム色素やスクアリリウム系色素、シアニン系色素やメチン系色素のようにカチオンとアニオンからなる骨格を有する色素を同一層に混在させると失活は著しい。
なお、特開2002−123180号公報には、フタロシアニン系近赤外線吸収化合物と可視領域に吸収をもつ色素とを併用する発明が記載されているが、可視領域に吸収をもつ色素に関しては具体的な記載が無く、その為、可視領域に吸収をもつ色素の選定によっては性能失活が充分起こりうる。
このように従来1つの層で波長800nm〜1100nmの光吸収能および590nm付近の光吸収機能を発現させることは一時的には可能であっても、それを長時間持続させることが困難であり、実用に耐えうる耐久性を有する光学フィルタは発明者の知る限りこれまで見出されていない。
特開平11−323121号公報 特開2001−158762号公報 特開2001−131435号公報 特開2002−123180号公報
本発明は、同一層中に複数種類の色素を含有する色素層を具備する光学フィルタであって、波長800nm〜1100nmの近赤外線吸収機能および波長590nm付近の光吸収機能の両者を有し、かつ長時間の使用下でも分光特性変化が起こらない高耐久性光学フィルタを提供することを課題とする。さらに本発明は、上記の課題が解消された上で、光学フィルタが適用されたディスプレイを提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を鑑み鋭意検討した結果、少なくとも、波長800nm〜1100nmの波長領域内に吸収極大波長を有する色素と、波長570nm〜610nmの波長領域内に吸収極大波長に有する色素とが同一層に含有される色素層において、カチオン部が異なるイオン性色素化合物を二種以上用いないことによって、同一層に色素が混在しても色素間相互作用が抑制され長時間の使用下でも分光特性変化が起こらない高耐久性光学フィルタおよびこれを用いたディスプレイを提供できることを見出し、本発明を完成するに至った。
そして、波長800nm〜1100nmの波長領域内に吸収極大を有する色素として特定のフタロシアニン系色素を使用し、そして、波長570nm〜610nmに吸収極大を有する色素として特定のテトラアザポルフィリン系色素を用いることよって、更に優れた高耐久性光学フィルタおよびこれを用いたディスプレイを提供できることも見出した。
第1の発明は、少なくとも、波長800nm〜1100nmの波長領域内に吸収極大波長を有する色素と、波長570nm〜610nmの波長領域内に吸収極大を有する色素とが、同一層中に含有された色素層を具備する光学フィルタであって、前記色素層が、カチオン部が異なるイオン性色素化合物を実質的に二種以上含有しない光学フィルタに関するものである。
第2の発明は、第1の発明において、前記の波長800nm〜1100nmの波長領域内に吸収極大波長を有する色素が、少なくとも下記式(1)で示されるフタロシアニン系色素である光学フィルタに関するものである。
Figure 2006313303
〔式(1)中、A〜A16は、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、アミノ基、ヒドロキシスルホニル基、アミノスルホニル基、あるいは、窒素原子、硫黄原子、酸素原子、またはハロゲン原子を含んでも良い炭素数1〜20の置換基を表し、かつ、隣り合う2個の置換基が連結基を介して繋がっていてもよい。但し、A〜A16のうちの少なくとも4つは、硫黄原子もしくは窒素原子を介する置換基であり、Mは、銅もしくは酸化バナジウムを表す。〕
第3の発明は、第1または第2の発明において、前記の波長570nm〜610nmの波長領域内に吸収極大を有する色素が、下記式(2)で示されるテトラアザポルフィリン系色素である光学フィルタに関するものである。
Figure 2006313303
〔式(2)中、A21〜A28は、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシ基、アミノ基、カルボキシル基、スルホン酸基、炭素数1〜20のアルキル基、ハロゲノアルキル基、アルコキシ基、アルコキシアルコキシ基、アリールオキシ基、モノアルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、アラルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、アルキルチオ基、または、アリールチオ基を表わす。A21とA22、A23とA24、A25とA26、A27とA28は、各々独立に、連結基を介して、芳香族環を除く環を形成しても良く、Mは2個の水素原子、2価の金属原子、3価の1置換金属原子、4価の2置換金属原子、または、オキシ金属原子を表わす。〕
第4の発明は、第1〜3のいずれかの発明において、前記のイオン性色素化合物が、ジインモニウム系色素またはスクアリリウム系色素である光学フィルタに関するものである。
第5の発明は、第1〜4の発明において、イオン性色素化合物が、下記一般式(3)で表されるジインモニウム系色素である光学フィルタに関するものである。
Figure 2006313303
(上記一般式(3)において、Rは、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、チオシアナート基、シアナート基、アシル基、カルバモイル基、アルキルアミノカルボニル基、置換または未置換のアルコキシカルボニル基、置換または未置換のアリールオキシカルボニル基、置換または未置換のアルキル基、置換または未置換のアリール基、置換または未置換のアルコキシ基、置換または未置換のアリールオキシ基、置換または未置換のアルキルチオ基、置換または未置換のアリールチオ基、置換または未置換のアルキルアミノ基、置換または未置換のアリールアミノ基、置換または未置換のアルキルカルボニルアミノ基、あるいは置換または未置換のアリールカルボニルアミノ基を表す(ただし、上記一般式(3)中のRの少なくとも1つは分岐鎖状のアルキル基である)。Rは、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、チオシアナート基、シアナート基、アシル基、カルバモイル基、アルキルアミノカルボニル基、置換または未置換のアルコキシカルボニル基、置換または未置換のアリールオキシカルボニル基、置換または未置換のアルキル基、置換または未置換のアリール基、置換または未置換のアルコキシ基、置換または未置換のアリールオキシ基、置換または未置換のアルキルチオ基、置換または未置換のアリールチオ基、置換または未置換のアルキルアミノ基、置換または未置換のアリールアミノ基、置換または未置換のアルキルカルボニルアミノ基、あるいは置換または未置換のアリールカルボニルアミノ基を表し、アニオン成分はスルホニルイミドを有する1価の陰イオンである。)
第6の発明は、第5の発明において、前記一般式(3)のRにおける分岐鎖状アルキル基が、炭素数2〜8である光学フィルタに関する物である。
第7の発明は、第5または第6の発明において、前記一般式(3)のRにおける分岐鎖状アルキル基が、1−メチルエチル基、1,1−ジメチルエチル基、1−メチルプロピル基、2−メチルプロピル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基、3−メチルブチル基、または2−エチルブチル基である光学フィルタに関するものである。
第8の発明は、第5〜7いずれかの発明において、前記一般式(3)におけるRが、置換または未置換のアルキル基、置換または未置換のアリール基である光学フィルタに関するものである。
第9の発明は、第5〜8のいずれかの発明において、前記一般式(3)におけるRが、ハロゲンを置換基に有するアルキル基、またはアリール基である光学フィルタに関するものである。
第10の発明は、第1〜第9のいずれかの発明において、前記の色素層が、透明樹脂中に、前記の波長800nm〜1100nmの波長領域内に吸収極大波長を有する色素と、前記の波長570nm〜610nmの波長領域内に吸収極大を有する色素とを含有させたものである光学フィルタに関するものである。
第11の発明は、第1〜10のいずれかの発明において、前記の色素層中に、波長380nm〜570nmの波長領域内に吸収極大波長を有する色素もしくは波長610nm〜780nmに吸収極大を有する色素の少なくとも一種がさらに含有される光学フィルタに関するものである。
第12の発明は、第1〜11のいずれかの発明において、電磁波遮蔽機能、反射防止機能、防眩機能、防汚染機能、紫外線吸収機能のいずれか一種もしくは二種以上の機能を有する一層もしくは二層以上の層をさらに具備する光学フィルタに関するものである。
第13の発明は、前記の第1〜12のいずれかの光学フィルタがディスプレイの観察側に配置されているディスプレイに関するものである。
第1の発明によれば、少なくとも、波長800nm〜1100nmの波長領域内に吸収極大波長を有する色素と、波長570nm〜610nmの波長領域内に吸収極大を有する色素とが、同一層中に含有された色素層を具備する光学フィルタであって、前記色素層がカチオン部が異なるイオン性色素化合物を実質的に二種以上含有しないものであることから、同一層に複数の色素が混在しても色素間相互作用が抑制され、色素間でのイオンの交換反応が起こりにくく、長時間の使用下でも分光特性変化が起こらない光学フィルタを提供できる。
第2の発明によれば、前記の波長800nm〜1100nmの波長領域内に吸収極大波長を有する色素が、少なくとも式(1)で示される特定のフタロシアニン系色素であることから、更に耐久性に優れた光学フィルタを提供できる。
第3の発明によれば、前記の波長570nm〜610nmの波長領域内に吸収極大を有する色素が、式(2)で示される特定のテトラアザポルフィリン系色素であることから、更に耐久性に優れた光学フィルタを提供できる。
第4の発明によれば、前記のイオン性色素化合物が、ジインモニウム系色素またはスクアリリウム系色素であることから、前記第1〜3の発明の効果に加えて、更に耐久性に優れた光学フィルタを提供できる。
第5の発明によれば、第1〜第4の発明の効果に加えて、上記一般式(3)で表される特定のジインモニウム系色素を用いたことから、初期の優れた近赤外線吸収能力が長期間にわたって維持された光学フィルタが提供される。
第6および第7の発明によれば、第1〜第5の発明の効果に加えて、カチオン成分の分岐鎖状アルキルとして特定のアルキル基を使用することから、優れた耐久性を有する光学フィルタを提供できる。
第8の発明によれば、第1〜第7の発明の効果に加えて、アニオン成分のRに置換または未置換のアルキル基、置換または未置換のアリール基を使用することから、更に優れた耐久性を有する光学フィルタを提供できる。
第9の発明によれば、第1〜第8の発明の効果に加えて、アニオン成分のRにハロゲンを置換基に有するアルキル基、またはアリール基を使用することから、特に優れた耐久性を有する光学フィルタを提供できる。
第10の発明によれば、前記の色素層が、透明樹脂中に、前記の波長800nm〜1100nmの波長領域内に吸収極大波長を有する色素と、前記の波長570nm〜610nmの波長領域内に吸収極大を有する色素とを含有させたものであることから、前記第1〜9の発明の効果に加えて、更に耐久性に優れた光学フィルタを提供できる。
第11の発明によれば、前記第1〜10の効果に加えて、前記の色素層中に、波長380nm〜570nmの波長領域内に吸収極大波長を有する色素もしくは波長610nm〜780nmの波長領域内に吸収極大を有する色素の少なくとも一種がさらに含有されることから、パネルからの発光の色純度や色再現範囲などを改善する光学フィルタを提供できる。
第12の発明によれば、前記第1〜11の発明の効果に加えて、電磁波遮蔽機能、反射防止機能、防眩機能、防汚染機能、紫外線吸収機能のいずれか一種もしくは二種以上の層をさらに具備する光学フィルタを提供できる。
第13の発明によれば、前記第1〜12のいずれかの発明の効果を発揮しうる光学フィルタがディスプレイの観察側に配置されたディスプレイを提供できる。
<光学フィルタ(その1)>
本発明による光学フィルタは、少なくとも、波長800nm〜1100nmの波長領域内に吸収極大波長を有する色素と、波長570nm〜610nmの波長領域内に吸収極大を有する色素とが、同一層中に含有された色素層を具備する光学フィルタであって、前記色素層が、カチオン部が異なるイオン性色素化合物を実質的に二種以上含有しないものであること、を特徴とするものである。
色素層
本発明による光学フィルタにおける色素層は、波長800nm〜1100nmの波長領域内に吸収極大波長を有する色素(以下、第1の色素という場合がある)と、波長570nm〜610nmの波長領域内に吸収極大を有する色素(以下、第2の色素という場合がある)とを同一層中に含有するものであって、カチオン部が異なるイオン性色素化合物を実質的に二種以上含有しないものである。イオン性色素化合物は、(i)第1の色素として、あるいは(ii)第2の色素として、あるいは上記二種の色素以外の色素(以下、第3の色素という場合がある)が存在する場合には、(iii)この第三の色素として、使用される場合がある。しかし、同一の色素層中には、カチオン部が異なるイオン性化合物が実質的に二種以上含有されないことが重要である。通常、ジインモニウム系色素、スクアリリウム系色素、シアニン系色素およびメチン系色素等はイオン性色素化合物であることから、これらのカチオン部が異なるイオン性色素化合物は同一色素層中に同時に含有されないようにすることが好ましい。
なお、前記の第1の色素、第2の色素、第3の色素のいずれの色素もイオン性色素化合物でなく、従って同一色素層中にイオン性色素化合物が実質的に存在しない光学フィルタ(即ち、イオン性色素化合物が0種類の光学フィルタ)も、本発明による光学フィルタに該当する。また、カチオン部が異なるイオン性化合物の二種以上が同一色素層中に不可避的に存在してしまう場合、あるいは最も存在量が多いイオン性色素化合物に対してカチオン部が異なる他の種類のイオン性化合物の総量が相対的に低くて、他の種類のイオン性色素化合物の存在を事実上無視できるもの(例えば、最も存在量が多いイオン性色素化合物100質量%に対して、他の種類のイオン性色素化合物の総量が10質量%以下、特に5質量%以下のもの)も、本発明による光学フィルタに該当する。
波長800nm〜1100nmの波長領域内に吸収極大波長を有する色素(第1の色素)
波長800nm〜1100nmの波長領域内に吸収極大波長を有する色素(第1の色素)としては、カチオン部が異なるイオン性色素化合物が同一の色素層中に二種以上含有されないという要件が満たされることを条件として、任意の一種または二種以上の色素を用いることができる。
第1の色素としては、好ましくは、例えば(イ)フタロシアニン系色素、(ロ)ジインモニウム系色素、(ハ)スクアリリウム系色素、(ニ)ジチオール系色素を用いることができる。この中では、特に(イ)フタロシアニン系色素および(ロ)ジインモニウム系色素が好ましい。また、上記(イ)〜(ニ)の各群間で二種以上の色素を併用することができる。なお、本発明においては、同一系の色素化合物(即ち、例えば上記(イ)〜(ニ)並びに下記(ホ)〜(タ)において、同一の群に分類される色素化合物)は、同一種類の化合物として扱う。従って、(イ)〜(タ)の同一の化合物群内に属する化合物が複数用いられた場合は、本発明では1種類の色素化合物を用いるものとして扱う。
(イ)フタロシアニン系色素としては任意化合物を使用することができる。特に好ましい具体例としては、下記式(1)で示される化合物を挙げることができる。
Figure 2006313303
〔式(1)中、A〜A16は、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、アミノ基、ヒドロキシスルホニル基、アミノスルホニル基、あるいは、窒素原子、硫黄原子、酸素原子、またはハロゲン原子を含んでも良い炭素数1〜20の置換基を表し、かつ、隣り合う2個の置換基が連結基を介して繋がっていてもよい。但し、A〜A16のうちの少なくとも4つは、硫黄原子もしくは窒素原子を介する置換基であり、Mは、銅もしくは酸化バナジウムを表す。〕
本発明におけるフタロシアニン化合物(イ)は、上記式(1)で表される化合物において、置換基A〜A16ならびにMに関する所定の条件が満たされる限りにおいて特に制限を受けない。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、沃素原子が挙げられる。この中では、特にフッ素原子および塩素原子が好ましい。
窒素原子、硫黄原子、酸素原子、ハロゲン原子を含んでもよい炭素数1〜20の置換基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、iso-プロピル基、n-ブチル基、iso-ブチル基、sec-ブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、シクロヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基、2-エチルヘキシル基、等の直鎖、分岐または環状のアルキル基、メトキシメチル基、フェノキシメチル基、ジエチルアミノメチル基、フェニルチオメチル基、ベンジル基、p-クロロベンジル基、p-メトキシベンジル基、等のヘテロ原子や芳香環を含むアルキル基、フェニル基、p-メトキシフェニル基、p-t-ブチルフェニル基、p-クロロフェニル基等のアリール基、
メトキシ基、エトキシ基、n-プロピルオキシ基、iso-プロピルオキシ基、n-ブチルオキシ基、iso-ブチルオキシ基、sec-ブチルオキシ基、t-ブチルオキシ基、n‐ペンチルオキシ基、n-ヘキシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、n-ヘプチルオキシ基、n-オクチルオキシ基、2-エチルヘキシルオキシ基等のアルコキシ基、メトキシエトキシ基、フェノキシエトキシ基等のアルコキシアルコキシ基、ヒドロキシエトキシ基等のヒドロキシアルコキシ基、ベンジルオキシ基、p-クロロベンジルオキシ基、p-メトキシベンジルオキシ基等のアラルキルオキシ基、フェノキシ基、p-メトキシフェノキシ基、p-t-ブチルフェノキシ基、p-クロロフェノキシ基、o-アミノフェノキシ基、p-ジエチルアミノフェノキシ基等のアリールオキシ基、
アセチルオキシ基、エチルカルボニルオキシ基、n-プロピルカルボニルオキシ基、iso-プロピルカルボニルオキシ基、n-ブチルカルボニルオキシ基、iso-ブチルカルボニルオキシ基、sec-ブチルカルボニルオキシ基、t-ブチルカルボニルオキシ基、n-ペンチルカルボニルオキシ基、n-ヘキシルカルボニルオキシ基、シクロヘキシルカルボニルオキシ基、n-ヘプチルカルボニルオキシ基、3-ヘプチルカルボニルオキシ基、n-オクチルカルボニルオキシ基等のアルキルカルボニルオキシ基、ベンゾイルオキシ基、p-クロロベンゾイルオキシ基、p-メトキシベンゾイルオキシ基、p-エトキシベンゾイルオキシ基、p-t-ブチルベンゾイルオキシ基、p-トリフロルオメチルベンゾイルオキシ基、m-トリフルオロメチルベンゾイルオキシ基、o-アミノベンゾイルオキシ基、p-ジエチルアミノベンゾイルオキシ基等のアリールカルボニルオキシ基、
メチルチオ基、エチルチオ基、n-プロピルチオ基、iso-プロピルチオ基、n-ブチルチオ基、iso-ブチルチオ基、sec-ブチルチオ基、t-ブチルチオ基、n-ペンチルチオ基、n-ヘキシルチオ基、シクロヘキシルチオ基、n-ヘプチルチオ基、n-オクチルチオ基、2-エチルヘキシルチオ基等のアルキルチオ基、ベンジルチオ基、p-クロロベンジルチオ基、p-メトキシベンジルチオ基等のアラルキルチオ基、フェニルチオ基、p-メトキシフェニルチオ基、p-t-ブチルフェニルチオ基、p-クロロフェニルチオ基、o-アミノフェニルチオ基、o-(n-オクチルアミノ)フェニルチオ基、o-(ベンジルアミノ)フェニルチオ基、o-(メチルアミノ)フェニルチオ基、p-ジエチルアミノフェニルチオ基、ナフチルチオ基等のアリールチオ基、
メチルアミノ基、エチルアミノ基、n-プロピルアミノ基、n-ブチルアミノ基、sec-ブチルアミノ基、n-ペンチルアミノ基、n-ヘキシルアミノ基、n-ヘプチルアミノ基、n−オクチルアミノ基、2-エチルヘキシルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジ-n-プロピルアミノ基、ジ-n-ブチルアミノ基、ジ-sec-ブチルアミノ基、ジ-n-ペンチルアミノ基、ジ-n-ヘキシルアミノ基、ジ-n-ヘプチルアミノ基、ジ-n-オクチルアミノ基等のアルキルアミノ基、フェニルアミノ基、p-メチルフェニルアミノ基、p-t-ブチルフェニルアミノ基、ジフェニルアミノ基、ジ-p-メチルフェニルアミノ基、ジ-p-t-ブチルフェニルアミノ基等のアリールアミノ基、アセチルアミノ基、エチルカルボニルアミノ基、n-プロピルカルボニルアミノ基、iso-プロピルカルボニルアミノ基、n-ブチルカルボニルアミノ基、iso-ブチルカルボニルアミノ基、sec-ブチルカルボニルアミノ基、t-ブチルカルボニルアミノ基、n-ペンチルカルボニルアミノ基、n-ヘキシルカルボニルアミノ基、シクロヘキシルカルボニルアミノ基、n-ヘプチルカルボニルアミノ基、3-ヘプチルカルボニルアミノ基、n-オクチルカルボニルアミノ基等のアルキルカルボニルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、p-クロロベンゾイルアミノ基、p-メトキシベンゾイルアミノ基、p-メトキシベンゾイルアミノ基、p-t-ブチルベンゾイルアミノ基、p-クロロベンゾイルアミノ基、p-トリフルオロメチルベンゾイルアミノ基、m-トリフルオロメチルベンゾイルアミノ基等のアリールカルボニルアミノ基、
ヒドロキシカルボニル基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n-プロピルオキシカルボニル基、iso-プロピルオキシカルボニル基、n-ブチルオキシカルボニル基、iso-ブチルオキシカルボニル基、sec-ブチルオキシカルボニル基、t-ブチルオキシカルボニル基、n-ペンチルオキシカルボニル基、n-ヘキシルオキシカルボニル基、シクロヘキシルオキシカルボニル基、n-ヘプチルオキシカルボニル基、n-オクチルオキシカルボニル基、2-エチルヘキシルオキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基、メトキシエトキシカルボニル基、フェノキシエトキシカルボニル基、ヒドロキシエトキシカルボニル基等のアルコキシアルコキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基、p-メトキシフェノキシカルボニル基、p-t-ブチルフェノキシカルボニル基、p-クロロフェノキシカルボニル基、o-アミノフェノキシカルボニル基、p-ジエチルアミノフェノキシカルボニル基等のアリールオキシカルボニル基、
アミノカルボニル基、メチルアミノカルボニル基、エチルアミノカルボニル基、n-プロピルアミノカルボニル基、n-ブチルアミノカルボニル基、sec-ブチルアミノカルボニル基、n-ペンチルアミノカルボニル基、n-ヘキシルアミノカルボニル基、n-ヘプチルアミノカルボニル基、n-オクチルアミノカルボニル基、2-エチルヘキシルアミノカルボニル基、ジメチルアミノカルボニル基、ジエチルアミノカルボニル基、ジ-n-プロピルアミノカルボニル基、ジ-n-ブチルアミノカルボニル基、ジ-sec-ブチルアミノカルボニル基、ジ-n-ペンチルアミノカルボニル基、ジ-n-ヘキシルアミノカルボニル基、ジ-n-ヘプチルアミノカルボニル基、ジ-n-オクチルアミノカルボニル基等のアルキルアミノカルボニル基、フェニルアミノカルボニル基、p-メチルフェニルアミノカルボニル基、p-t-ブチルフェニルアミノカルボニル基、ジフェニルアミノカルボニル基、ジ-p-メチルフェニルアミノカルボニル基、ジ-p-t-ブチルフェニルアミノカルボニル基等のアリールアミノカルボニル基、
メチルアミノスルホニル基、エチルアミノスルホニル基、n-プロピルアミノスルホニル基、n-ブチルアミノスルホニル基、sec-ブチルアミノスルホニル基、n-ペンチルアミノスルホニル基、n-ヘキシルアミノスルホニル基、n-ヘプチルアミノスルホニル基、n-オクチルアミノスルホニル基、2-エチルヘキシルアミノスルホニル基、ジメチルアミノスルホニル基、ジエチルアミノスルホニル基、ジ-n-プロピルアミノスルホニル基、ジ-n-ブチルアミノスルホニル基、ジ-sec-ブチルアミノスルホニル基、ジ-n-ペンチルアミノスルホニル基、ジ-n-ヘキシルアミノスルホニル基、ジ-n-ヘプチルアミノスルホニル基、ジ-n-オクチルアミノスルホニル基等のアルキルアミノスルホニル基、フェニルアミノスルホニル基、p-メチルフェニルアミノスルホニル基、p-t-ブチルフェニルアミノスルホニル基、ジフェニルアミノスルホニル基、ジ-p-メチルフェニルアミノスルホニル基、ジ-p-t-ブチルフェニルアミノスルホニル基等のアリールアミノスルホニル基等が挙げられる。
隣り合う2個の置換基が連結基を介して繋がっていてもよい置換基としては、下記式等で表されるようなヘテロ原子を介して5員環あるいは6員環を形成する置換基が挙げられる。
Figure 2006313303
式(1)で示されるフタロシアニン化合物における「硫黄原子もしくは窒素原子を介する置換基」としては、アミノ基、アミノスルホニル基、上記のアルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、アルキルカルボニルアミノ基、アリールカルボニルアミノ基等が挙げられる。フタロシアニンの吸収波長は通常600〜750nm程度であるが、硫黄原子あるいは窒素原子を介する置換基が導入されることにより、吸収が長波長化され、800nm以上に吸収を有するようになる。そのためには、A〜A16の内の少なくとも4つは硫黄原子を介する置換基および/または窒素原子を介する置換基であり、より好ましくは8つ以上が硫黄原子を介する置換基および/または窒素原子を介する置換基である。
(ロ)ジインモニウム系色素としては任意化合物を使用することができる。特に好ましい具体例としては、下記式(3)で示される化合物を挙げることができる。
Figure 2006313303
(上記一般式(3)において、Rは、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、チオシアナート基、シアナート基、アシル基、カルバモイル基、アルキルアミノカルボニル基、置換または未置換のアルコキシカルボニル基、置換または未置換のアリールオキシカルボニル基、置換または未置換のアルキル基、置換または未置換のアリール基、置換または未置換のアルコキシ基、置換または未置換のアリールオキシ基、置換または未置換のアルキルチオ基、置換または未置換のアリールチオ基、置換または未置換のアルキルアミノ基、置換または未置換のアリールアミノ基、置換または未置換のアルキルカルボニルアミノ基、あるいは置換または未置換のアリールカルボニルアミノ基を表す(ただし、上記一般式(3)中のRの少なくとも1つは分岐鎖状のアルキル基である)。Rは、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、チオシアナート基、シアナート基、アシル基、カルバモイル基、アルキルアミノカルボニル基、置換または未置換のアルコキシカルボニル基、置換または未置換のアリールオキシカルボニル基、置換または未置換のアルキル基、置換または未置換のアリール基、置換または未置換のアルコキシ基、置換または未置換のアリールオキシ基、置換または未置換のアルキルチオ基、置換または未置換のアリールチオ基、置換または未置換のアルキルアミノ基、置換または未置換のアリールアミノ基、置換または未置換のアルキルカルボニルアミノ基、あるいは置換または未置換のアリールカルボニルアミノ基を表し、アニオン成分はスルホニルイミドを有する1価の陰イオンである。)
ここで、RおよびRは同一であっても異なっていてもよく、そして複数個存在するRはそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。同様に、複数個存在するRはそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。
本発明の一般式(3)で表されるジインモニウム系色素は、反応基を持つ樹脂中でも安定性が高く、耐久性が優れていることから、所定の近赤外線吸収特性を長期間安定して維持できるものである。よって、所定の近赤外線吸収特性を長期間維持するために必要な色素の配合量を従来よりも低減することができ、そしてそれにより可視光の透過率を向上させる効果も得られる。
置換基R
以下、上記一般式(3)のRについて更に詳細に説明する。
が炭素原子を含むものである場合、Rは炭素数が1〜20、特に1〜10のものが好ましい。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、沃素原子が挙げられる。
アシル基としては、アセチル基、エチルカルボニル基、プロピルカルボニル基、ブチルカルボニル基、ペンチルカルボニル基、ヘキシルカルボニル基、ベンゾイル基、p-t-ブチルベンゾイル基等が挙げられる。
置換または未置換のアルキル基の例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、iso-プロピル基、n-ブチル基、iso-ブチル基、sec-ブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基、iso-ペンチル基、neo-ペンチル基、1,2-ジメチルプロピル基、n-ヘキシル基、cyclo-ヘキシル基、1,3-ジメチルブチル基、1-iso-プロピルプロピル基、1,2-ジメチルブチル基、n-ヘプチル基、1,4-ジメチルペンチル基、2-メチル−1-iso-プロピルプロピル基、1-エチル-3-メチルブチル基、n-オクチル基、2-エチルヘキシル基、3-メチル-1-iso-プロピルブチル基、2-メチル-1-iso-プロピル基、1-t-ブチル-2-メチルプロピル基、n-ノニル基、3,5,5-トリメチルヘキシル基、等の炭素数1〜20の直鎖、分岐または環状の炭化水素基、メトキシメチル基、メトキシエチル基、エトキシエチル基、プロポキシエチル基、ブトキシエチル基、3-メトキシプロピル基、3-エトキシプロピル基、メトキシエトキシエチル基、エトキシエトキシエチル基、ジメトキシメチル基、ジエトキシメチル基、ジメトキシエチル基、ジエトキシエチル基等のアルコキシアルキル基、アルコキシアルコキシアルキル基、アルコキシアルコキシアルコキシアルキル基、クロロメチル基、2,2,2-トリクロロエチル基、トリフルオロメチル基、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-2-プロピル基等のハロゲン化アルキル基、炭素数2〜20のアルキルアミノアルキル基、ジアルキルアミノアルキル基、アルコキシカルボニルアルキル基、アルキルアミノカルボニルアルキル基、アルコキシスルホニルアルキル基などが挙げられる。
なお、本発明の一般式(3)中のRの少なくとも1つは分岐鎖状のアルキル基である。即ち、一般式(3)中の、Rとしての分岐鎖状のアルキル基の数は、1以上、上限は8であり、このましくは4〜8である。なお、分岐鎖状のアルキル基が複数の場合、その分岐鎖状のアルキル基は同一であっても異なっていても良い。
また、置換または未置換のアルコキシ基の例としては、メトキシ基、エトキシ基、n-プロピルオキシ基、iso-プロピルオキシ基、n-ブチルオキシ基、iso-ブチルオキシ基、sec-ブチルオキシ基、t-ブチルオキシ基、n-ペンチルオキシ基、iso-ペンチルオキシ基、neo-ペンチルオキシ基、1,2-ジメチル−プロピルオキシ基、n-ヘキシルオキシ基、cyclo-ヘキシルオキシ基、1,3-ジメチルブチルオキシ基、1-iso-プロピルプロピルオキシ基、1,2-ジメチルブチルオキシ基、n-ヘプチルオキシ基、1,4-ジメチルペンチルオキシ基、2-メチル-1-iso-プロピルプロピルオキシ基、1-エチル-3-メチルブチルオキシ基、n-オクチルオキシ基、2-エチルヘキシルオキシ基、3-メチル-1-iso-プロピルブチルオキシ基、2-メチル-1-iso-プロピルオキシ基、1-t-ブチル-2-メチルプロピルオキシ基、n-ノニルオキシ基等の炭素数1〜20の直鎖または分岐のアルコキシ基、メトキシメトキシ基、メトキシエトキシ基、エトキシエトキシ基、プロポキシエトキシ基、ブトキシエトキシ基、3-メトキシプロピルオキシ基、3-エトキシプロピルオキシ基、ジメトキシメトキシ基、ジエトキシメトキシ基、ジメトキシエトキシ基、ジエトキシエトキシ基等のアルコキシアルコキシ基、メトキシエトキシエトキシ基、エトキシエトキシエトキシ基、ブチルオキシエトキシエトキシ基等のアルコキシアルコキシアルコキシ基、アルコキシアルコキシアルコキシアルコキシ基、クロロメトキシ基、2,2,2-トリクロロエトキシ基、トリフルオロメトキシ基、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-2-プロピルオキシ基等のハロゲン化アルコキシ基、ジメチルアミノエトキシ基、ジエチルアミノエトキシ基などのアルキルアミノアルコキシ基、ジアルキルアミノアルコキシ基等が挙げられる。
置換または未置換のアリール基の例としては、フェニル基、クロロフェニル基、ジクロロフェニル基、トリクロロフェニル基、ブロモフェニル基、フロロフェニル基、ペンタフロロフェニル基、ヨウ化フェニル基等のハロゲン化フェニル基、トリル基、キシリル基、メシチル基、エチルフェニル基、ジメチルエチルフェニル基、iso-プロピルフェニル基、t-ブチルフェニル基、t-ブチルメチルフェニル基、オクチルフェニル基、ノニルフェニル基、トリフロロメチルフェニル基、等のアルキル誘導体置換フェニル基、メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、プロポキシフェニル基、ヘキシルオキシフェニル基、シクロヘキシルオキシフェニル基、オクチルオキシフェニル基、2-エチルヘキシルオキシフェニル基、3,5,5-トリメチルヘキシルオキシフェニル基、メチルエトキシフェニル基、ジメトキシフェニル基、1-エトキシ-4-メトキシフェニル基、クロロメトキシフェニル基、エトキシエトキシフェニル基、エトキシエトキシエトキシフェニル基等のアルコキシ基置換フェニル基、メチルチオフェニル基、エチルチオフェニル基、t-ブチルチオフェニル基、ジ−tert-ブチルチオフェニル基、2-メチル-1-エチルチオフェニル基、2-ブチル-1-メチルチオフェニル基、等のアルキルチオ基置換フェニル基、N,N-ジメチルアミノフェニル基、N,N-ジエチルアミノフェニル基、N,N-ジプロピルアミノフェニル基、N,N-ジブチルアミノフェニル基、N,N-ジアミルアミノフェニル基、N,N-ジヘキシルアミノフェニル基、N-メチル-N-エチルアミノフェニル基、N-ブチル-N-エチルアミノフェニル基、N-ヘキシル-N-エチルアミノフェニル基、4-(N,N-ジメチルアミノ)-エチルフェニル基、4-(N,N-ジエチルアミノ)-メチルフェニル基、3-(N,N-ジメチルアミノ)-エチルフェニル基、2-(N,N-ジメチルアミノ)-エチルフェニル基等のアルキルアミノフェニル基、ナフチル基、クロロナフチル基、ジクロロナフチル基、トリクロロナフチル基、ブロモナフチル基、フロロナフチル基、ペンタフロロナフチル基、ヨウ化ナフチル基等のハロゲン化ナフチル基、エチルナフチル基、ジメチルエチルナフチル基、iso-プロピルナフチル基、t-ブチルナフチル基、t-ブチルメチルナフチル基、オクチルナフチル基、
ノニルナフチル基、トリフロロメチルナフチル基等のアルキル誘導体置換ナフチル基、メトキシナフチル基、エトキシナフチル基、プロポキシナフチル基、ヘキシルオキシナフチル基、シクロヘキシルオキシナフチル基、オクチルオキシナフチル基、2-エチルヘキシルオキシナフチル基、3,5,5-トリメチルヘキシルオキシナフチル基、メチルエトキシナフチル基、ジメトキシナフチル基、クロロメトキシナフチル基、エトキシエトキシナフチル基、エトキシエトキシエトキシナフチル基等のアルコキシ基置換ナフチル基、メチルチオナフチル基、エチルチオナフチル基、t-ブチルチオナフチル基、メチルエチルチオナフチル基、ブチルメチルチナフチル基等のアルキルチオ基置換ナフチル基、N,N-ジメチルアミノナフチル基、N,N-ジエチルアミノナフチル基、N,N-ジプロピルアミノナフチル基、N,N-ジブチルアミノナフチル基、N,N-ジアミルアミノナフチル基、N,N-ジヘキシルアミノナフチル基、N-メチル-N-エチルアミノナフチル基、N-ブチル-N-エチルアミノナフチル基、N-ヘキシル-N-エチルアミノナフチル基、4-(N,N-ジメチルアミノ)-エチルナフチル基、4-(N,N-ジエチルアミノ)-メチルナフチル基、3-(N,N-ジメチルアミノ)-エチルナフチル基、2-(N,N-ジメチルアミノ)-エチルナフチル基等のアルキルアミノナフチル基、ピリジル基、ピペリジル基、チオフェニル基、イミダゾリル基、ピローリジル基、フリル基等が挙げられる。
置換または未置換のアリールオキシ基の例としては、フェノキシ基、ナフトキシ基、アルキルフェノキシ基、等が挙げられる。
置換または未置換のアルキルチオ基としては、メチルチオ基、エチルチオ基、n-プロピルチオ基、iso-プロピルチオ基、n-ブチルチオ基、iso-ブチルチオ基、sec-ブチルチオ基、t-ブチルチオ基、n-ペンチルチオ基、iso-ペンチルチオ基、neo-ペンチルチオ基、1,2-ジメチルプロピルチオ基、n-ヘキシルチオ基、cyclo-ヘキシルチオ基、1,3-ジメチルブチルチオ基、1-iso-プロピルプロピルチオ基、1,2-ジメチルブチルチオ基、n-ヘプチルチオ基、1,4-ジメチルペンチルチオ基、2-メチル-1-iso-プロピルプロピルチオ基、1-エチル-3-メチルブチルチオ基、n-オクチルチオ基、2-エチルヘキシルチオ基、3-メチル-1-iso-プロピルブチルチオ基、2-メチル-1-iso-プロピルチオ基、1-t-ブチル-2-メチルプロピルチオ基、n-ノニルチオ基等の炭素数1〜20の直鎖または分岐のアルキルチオ基、メトキシメチルチオ基、メトキシエチルチオ基、エトキシエチルチオ基、プロポキシエチルチオ基、ブトキシエチルチオ基、3-メトキシプロピルチオ基、3-エトキシプロピルチオ基、メトキシエトキシエチルチオ基、エトキシエトキシエチルチオ基、ジメトキシメチルチオ基、ジエトキシメチルチオ基、ジメトキシエチルチオ基、ジエトキシエチルチオ基等のアルコキシアルキルチオ基、アルコキシアルコキシアルキルチオ基、アルコキシアルコキシアルコキシアルキルチオ基、クロロメチルチオ基、2,2,2-トリクロロエチルチオ基、トリフルオロメチルチオ基、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-2-プロピルチオ基等のハロゲン化アルキルチオ基、ジメチルアミノエチルチオ基、ジエチルアミノエチルチオ基等のアルキルアミノアルキルチオ基、ジアルキルアミノアルキルチオ基等が挙げられる。
置換または未置換のアリールチオ基の例としては、フェニルチオ基、ナフチルチオ基、アルキルフェニルチオ基、等が挙げられる。
置換または未置換のアルコキシカルボニル基の例としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n-プロポキシカルボニル基、iso-プロポキシカルボニル基、n-ブトキシカルボニル基、iso-ブトキシカルボニル基、sec-ブトキシカルボニル基、t-ブトキシカルボニル基、n-ペンチルオキシカルボニル基、iso-ペンチルオキシカルボニル基、neo-ペンチルオキシカルボニル基、1,2-ジメチル−プロピルオキシカルボニル基、n-ヘキシルオキシカルボニル基、cyclo-ヘキシルオキシカルボニル基、1,3-ジメチル-ブチルオキシカルボニル基、1-iso-プロピルプロピルオキシカルボニル基、1,2-ジメチルブチルオキシカルボニル基、n-ヘプチルオキシカルボニル基、1,4-ジメチルペンチルオキシカルボニル基、2-メチル-1-iso-プロピルプロピルオキシカルボニル基、1-エチル-3-メチルブチルオキシカルボニル基、n-オクチルオキシカルボニル基、2-エチルヘキシルオキシカルボニル基、3-メチル-1-iso-プロピルブチルオキシカルボニル基、2-メチル-1-iso-プロピルオキシカルボニル基、1-t-ブチル-2-メチルプロピルオキシカルボニル基、n-ノニルオキシカルボニル基、等の炭素数2〜20の直鎖または分岐のアルキルオキシカルボニル基、メトキシメトキシカルボニル基、メトキシエトキシカルボニル基、エトキシエトキシカルボニル基、プロポキシエトキシカルボニル基、ブトキシエトキシカルボニル基、γ-メトキシプロポキシカルボニル基、γ-エトキシプロポキシカルボニル基、メトキシエトキシエトキシカルボニル基、エトキシエトキシエトキシカルボニル基、ジメトキシメトキシカルボニル基、ジエトキシメトキシカルボニル基、ジメトキシエトキシカルボニル基、ジエトキシエトキシカルボニル基等のアルコキシアルコキシカルボニル基、アルコキシアルコキシアルコキシカルボニル基、アルコキシアルコキシアルコキシアルコキシカルボニル基、クロロメトキシカルボニル基、2,2,2-トリクロロエトキシカルボニル基、トリフルオロメトキシカルボニル基、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-2-プロポキシカルボニル基、などのハロゲン化アルキルオキシカルボニル基、炭素数3〜20のアルキルアミノアルキルオキシカルボニル基、ジアルキルアミノアルキ
ルオキシカルボニル基、アルコキシカルボニルアルキルオキシカルボニル基、アルキルアミノカルボニルアルキルオキシカルボニル基、アルコキシスルホニルアルキルオキシカルボニル基、アルキルスルホニルオキシカルボニル基などが挙げられる。
置換または未置換のアリールオキシカルボニル基の例としては、フェニルオキシカルボニル基、ナフチルオキシカルボニル基、トリルオキシカルボニル基、キシリルオキシカルボニル基、クロロフェニルオキシカルボニル基等が挙げられる。
アルキルアミノカルボニル基の例としては、メチルアミノカルボニル基、エチルアミノカルボニル基、n-プロピルアミノカルボニル基、n-ブチルアミノカルボニル基、sec-ブチルアミノカルボニル基、n-ペンチルアミノカルボニル基、n-ヘキシルアミノカルボニル基、n-ヘプチルアミノカルボニル基、n-オクチルアミノカルボニル基、2-エチルヘキシルアミノカルボニル基、ジメチルアミノカルボニル基、エチルアミノカルボニル基、ジ-n-プロピルアミノカルボニル基、ジ-n-ブチルアミノカルボニル基、ジ-sec-ブチルアミノカルボニル基、ジ-n-ペンチルアミノカルボニル基、ジ-n-ヘキシルアミノカルボニル基、ジ-n-ヘプチルアミノカルボニル基、ジ-n-オクチルアミノカルボニル基等が挙げられる。
置換または未置換のアルキルアミノ基としては、メチルアミノ基、エチルアミノ基、n-プロピルアミノ基、n-ブチルアミノ基、sec-ブチルアミノ基、n-ペンチルアミノ基、n-ヘキシルアミノ基、n-ヘプチルアミノ基、n-オクチルアミノ基、2-エチルヘキシルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジ-n-プロピルアミノ基、ジ-n-ブチルアミノ基、ジ-sec-ブチルアミノ基、ジ-n-ペンチルアミノ基、ジ-n-ヘキシルアミノ基、ジ-n-ヘプチルアミノ基、ジ-n-オクチルアミノ基等が挙げられる。
置換または未置換のアリールアミノ基としては、フェニルアミノ基、p-メチルフェニルアミノ基、p-t-ブチルフェニルアミノ基、ジフェニルアミノ基、ジ-p-メチルフェニルアミノ基、ジ-p-t-ブチルフェニルアミノ基等が挙げられる。
置換または未置換のアルキルカルボニルアミノ基としては、アセチルアミノ基、エチルカルボニルアミノ基、n-プロピルカルボニルアミノ基、iso-プロピルカルボニルアミノ基、n-ブチルカルボニルアミノ基、iso-ブチルカルボニルアミノ基、sec-ブチルカルボニルアミノ基、t-ブチルカルボニルアミノ基、n-ペンチルカルボニルアミノ基、n-ヘキシルカルボニルアミノ基、シクロヘキシルカルボニルアミノ基、n-ヘプチルカルボニルアミノ基、3-ヘプチルカルボニルアミノ基、n-オクチルカルボニルアミノ基等が挙げられる。
置換または未置換のアリールカルボニルアミノ基としては、ベンゾイルアミノ基、p-クロロベンゾイルアミノ基、p-メトキシベンゾイルアミノ基、p-t-ブチルベンゾイルアミノ基、p-トリフロロメチルベンゾイルアミノ基、m-トリフロロメチルベンゾイルアミノ基等が挙げられる。
この中でも置換または未置換のアルキル基、置換または未置換のアリール基が好ましく、特に好ましくはエチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、n-ペンチル基、エチルフェニル基、ジメチルエチルフェニル基である。
分岐鎖状のアルキル基
上記一般式(3)中のRの少なくとも1つは分岐鎖状のアルキル基である。このような分岐鎖状アルキル基の特に好ましい具体例としては、1-メチルエチル基(i-プロピル基)、1,1-ジメチルエチル基(t-ブチル基)、1-メチルプロピル基(sec-ブチル)、1,1-ジメチルプロピル基、2-メチルプロピル基(iso-ブチル基)、1,2-ジメチルプロピル基、2,2-ジメチルプロピル基、1-メチルブチル基、2-メチルブチル基、3-メチルブチル基(iso-アミル基)、1,1-ジメチルブチル基、2,2-ジメチルブチル基、3,3-ジメチルブチル基、1,2-ジメチルブチル基、および2-エチルブチル基等の、炭素数1〜20の分岐鎖状のアルキル基、好ましくは炭素数2〜8の分岐鎖状のアルキル基が挙げられる。このうち、特に好ましいものとしては、例えば、1-メチルエチル基、1,1-ジメチルエチル基、1-メチルプロピル基、2-メチルプロピル基、1-メチルブチル基、2-メチルブチル基、3-メチルブチル基、および2-エチルブチル基等が挙げられる。
置換基R
としては、Rとして上記したものを例示することができる。そして、Rの好ましい具体例としては、好ましいRとして上記したものを例示することができる。
としては、この中でも(イ)置換または未置換のアルキル基、および(ロ)置換または未置換のアリール基が好ましい。ここでの置換基には、ハロゲン、好ましくは塩素および弗素、が包含される。
そして、(イ)の好ましい具体例には、置換されたアルキル基として、特にフェニル基によって置換されたアルキル基が包含される。例えばベンジル、4-弗化ベンジル、2,4,6-弗化ベンジルは、そのようなフェニル基によって置換されたアルキル基の好ましい一具体例である。
従って、Rの特に好ましい具体例としては、クロロメチル基、2,2,2-トリクロロエチル基、トリフルオロメチル基、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-2-プロピル基等のハロゲン化アルキル基、クロロフェニル基、ジクロロフェニル基、トリクロロフェニル基、ブロモフェニル基、フロロフェニル基、ペンタフロロフェニル基、ベンジル基、4-弗化ベンジル基、2,4,6-弗化ベンジル基を挙げることができる。
一般式(3)で表されるジインモニウム系色素の合成
本発明の近赤外線吸収フィルタに使用される一般式(3)で表される化合物の合成は、任意の方法によって行うことができる。例えば、下記一般式(4)で表される化合物の末端のNH基を、一般式(3)の要件を満たすように所定のR基に変換することによって合成することができる。本発明では例えば特公昭43−25335号公報に記載された次の様な方法で得ることが適当である。即ち、p−フェニレンジアミンと1−クロロ−4−ニトロベンゼンをウルマン反応させて得られた生成物を還元することにより得られる下記式(4)で表されるアミノ体を、有機溶媒中、好ましくはN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン(DMI)またはN−メチル−2−ピロリドン(NMP)等の水溶性極性溶媒中、30〜160℃、好ましくは50〜140℃で、所望のRに対応するハロゲン化化合物(例えば、Rがi−CのときはBrCHCH(CH)と反応させて、全ての置換基Rが同一である化合物(以下、全置換体と記す)を得ることができる。また、全置換体以外の化合物を合成する場合、例えばRのうち1つがn−C、残り7つがi−Cの化合物を合成する場合には、先に所定のモル数(下記式(4)のアミン体1モル当たり7モル)の試薬(BrCHCH(CH)と反応させてRのうち7つにiso−ブチル基を導入した後、残りの置換基(n−ブチル基)を導入するのに必要なモル数(上記式(4)のアミン体1モル当たり1モル)の対応する試薬(BrC)と反応させる。
上述の方法と同様にして、全置換体以外の任意の化合物を得ることができる。
Figure 2006313303
その後、上記で合成した化合物を、有機溶媒中、好ましくはDMF、DMI、NMP等の水溶性極性溶媒中、0〜100℃、好ましくは5〜70℃で、上記式(3)の化合物のアニオンに対応する酸化剤(例えば銀塩)を添加して酸化反応を行う。酸化剤の当量を2当量にすれば本発明の一般式(3)で表されるジイモニウム塩化合物を得ることができる。なお、当量を1当量にすれば、一価のアミニウム塩化合物が得られる。
また、上記で合成した化合物を硝酸銀、過塩素酸銀、塩化第二銅等の酸化剤で酸化した後、その反応液に、一般式(3)のアニオンを生成可能な所望のアニオンの酸もしくは塩を添加して塩交換を行う方法によっても一般式(3)で表される化合物を合成することが出来る。
(ハ)スクアリリウム系色素としては任意化合物を使用することができ、例えば特開2000−159776号公報、特開平7−25153号公報、特開2000−265077号公報、特開平10−204310号公報等に記載の色素を好適に使用できる。本発明において特に好ましいスクアリリウム系色素の具体例としては、下記式(5)で示される化合物を挙げることができる。
Figure 2006313303
〔式(5)において、式中、R、R ′は、同じまたは異なって、水素原子、置換基を有していても良いアルキルアミノ基、置換基を有していても良いジアルキルアミノ基、置換基を有していても良いシクロアルキルアミノ基、置換基を有していても良いアルコキシ基を表し、X、X′は、同じまたは異なって、活性水素を含有する基を表し、環A、環Bは、それぞれ独立して、芳香族炭素環または芳香族複素環を表し、k、k′は1〜4の整数を表す。また、XとR、X′とR′は、それぞれ独立して、互いに連結して5又は6員の環を形成しても良い。〕
(ニ)ジチオール系色素としては任意化合物を使用することができ、例えば特開2003−139946号公報、特開平10−156991号公報、特開2002−303720号公報、特開2005−54031号公報等に記載の色素を好適に使用できる。本発明において特に好ましいジチオール系色素の具体例としては、下記式(6)で示される化合物を挙げることができる。
Figure 2006313303
〔式(6)において、A〜A12は、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していても良いアリールオキシ基、置換基を有していても良いアミノ基、ニトロ基、ハロゲン原子またはシアノ基を示し、かつ、隣り合う2個の置換基が連結基を介してつながっていてもよく、Mは、ニッケル、パラジウム、白金、コバルトまたは銅を示す。〕
波長570nm〜610nmの波長領域内に吸収極大を有する色素(第2の色素)
波長570nm〜610nmの波長領域内に吸収極大を有する色素(第2の色素)としては、カチオン部が異なるイオン性色素化合物が同一の色素層中に二種以上含有されないという要件が満たされることを条件として、任意の一種または二種以上の色素を用いることができる。
第2の色素としては、好ましくは、例えば(ホ)テトラアザポルフィリン系色素、(ヘ)シアニン系色素、(ト)メチン系色素、(チ)ポルフィリン系色素を用いることができる。この中では、特に(ホ)テトラアザポルフィリン系色素が好ましい。また、上記(ホ)〜(チ)各群間で2種以上の色素を併用することができる。
(ホ)テトラアザポルフィリン系色素の好ましい具体例としては、下記式(2)で示される色素を挙げることができる。
Figure 2006313303
〔式(2)中、A21〜A28は、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシ基、アミノ基、カルボキシル基、スルホン酸基、炭素数1〜20のアルキル基、ハロゲノアルキル基、アルコキシ基、アルコキシアルコキシ基、アリールオキシ基、モノアルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、アラルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、アルキルチオ基、または、アリールチオ基を表わす。A21とA22、A23とA24、A25とA26、A27とA28は、各々独立に、連結基を介して、芳香族環を除く環を形成しても良く、Mは2個の水素原子、2価の金属原子、3価の1置換金属原子、4価の2置換金属原子、または、オキシ金属原子を表わす。〕
式(2)で示されるテトラアザポルフィリン化合物の具体例を次に述べる。
式中、A21〜A28の具体例としては、各々独立に、水素原子:フッ素、塩素、臭素、ヨウ素のハロゲン原子:ニトロ基:シアノ基:ヒドロキシ基:アミノ基:カルボキシル基:スルホン酸基:メチル基、エチル基、n-プロピル基、iso-プロピル基、n-ブチル基、iso-ブチル基、sec-ブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基、2-メチルブチル基、1-メチルブチル基、neo-ペンチル基、1,2-ジメチルプロピル基、1,1-ジメチルプロピル基、cyclo-ペンチル基、n-へキシル基、4-メチルペンチル基、3-メチルペンチル基、2-メチルペンチル基、1-メチルペンチル基、3,3-ジメチルブチル基、2,3-ジメチルブチル基、1,3-ジメチルブチル基、2,2-ジメチルブチル基、1,2-ジメチルブチル基、1,1-ジメチルブチル基、3-エチルブチル基、2-エチルブチル基、1-エチルブチル基、1,2,2-トリメチルブチル基、1,1,2-トリメチルブチル基、1-エチル-2-メチルプロピル基、cyclo-へキシル基、n-へプチル基、2-メチルヘキシル基、3-メチルヘキシル基、4-メチルヘキシル基、5-メチルヘキシル基、2,4-ジメチルペンチル基、n-オクチル基、2-エチルヘキシル基、2,5-ジメチルヘキシル基、2,5,5-トリメチルペンチル基、2,4-ジメチルヘキシル基、2,2,4-トリメチルペンチル基、n-ノニル基、3,5,5-トリメチルヘキシル基、n-デシル基、4-エチルオクチル基、4-エチル-4,5-ジメチルヘキシル基、n-ウンデシル基、n-ドデシル基、1,3,5,7-テトラメチルオクチル基、4-ブチルオクチル基、6,6-ジエチルオクチル基、n-トリデシル基、6-メチル-4-ブチルオクチル基、n-テトラデシル基、n-ペンタデシル基、3,5-ジメチルヘプチル基、2,6-ジメチルヘプチル基、2,4-ジメチルヘプチル基、2,2,5,5-トラメチルヘキシル基、1-cyclo-ペンチル-2,2-ジメチルプロピル基、1-cyclo-へキシル-2,2-ジメチルプロピル基等の炭素数1〜20の直鎖、分岐または環状のアルキル:クロロメチル基、ジク口ロメチル基、フルオロメチル基、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ノナフルオロブチル基等の炭素数1〜20のハロゲノアルキル基:メトキシ基、エトキシ基、n−プロ
ポキシ基、iso-プロポキシ基、n-ブトキシ基、iso-ブトキシ基、sec-ブトキシ基、t-ブトキシ基、n-ペントキシ基、iso-ペントキシ基、neo-ペントキシ基、n-へキシルオキシ基、n-ドデシルオキシ基等の炭素数1〜20のアルコキシ基:メトキシエトキシ基、エトキシエトキシ基、3-メトキシプロピルオキシ基、3-(iso-プロピルオキシ)プロピルオキシ基等の炭素数2〜20のアルコキシアルコキシ基:フェノキシ基、2-メチルフェノキシ基、4-メチルフェノキシ基、4-t-ブチルフェノキシ基、2-メトキシフェノキシ基、4-iso-プロピルフェノキシ基等の炭素数6〜20のアリールオキシ基:メチルアミノ基、エチルアミノ基、n-プロピルアミノ基、n-ブチルアミノ基、n-へキシルアミノ基等の炭素数1〜20のモノアルキルアミノ基:ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジ-n-プロピルアミノ基、ジ-n-ブチルアミノ基、N-メチル-N-シクロヘキシルアミノ基等の炭素数2〜20のジアルキルアミノ基:ベンジル基、ニトロベンジル基、シアノベンジル基、ヒドロキシベンジル基、メチルベンジル基、ジメチルベンジル基、トリメチルベンジル基、ジクロロベンジル基、メトキシベンジル基、エトキシベンジル基、トリフルオロメチルベンジル基、ナフチルメチル基、ニトロナフチルメチル基、シアノナフチルメチル基、ヒドロキシナフチルメチル基、メチルナフチルメチル基、トリフルオロメチルナフチルメチル基等の炭素数7〜20のアラルキル基:フェニル基、ニトロフェニル基、シアノフェニル基、ヒドロキシフェニル基、メチルフェニル基、ジメチルフェニル基、トリメチルフェニル基、ジクロロフェニル基、メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、トリフルオロメチルフェニル基、N,N-ジメチルアミノフェニル基、ナフチル基、ニトロナフチル基、シアノナフチル基、ヒドロキシナフチル基、メチルナフチル基、トリフルオロメチルナフチル基等の炭素数6〜20のアリール基:ピロリル基、チエニル基、フラニル基、オキサゾイル基、イソオキサゾイル基、オキサジアゾイル基、イミダゾイル基、ベンゾオキサゾイル基、ベンゾチアゾイル基、ベンゾイミダゾイル基、ベンゾフラニル基、インドイル基等のへテロアリール基:メチルチオ基、エチルチオ基、n-プロピルチオ基、iso-プロピルチオ基、n-ブチルチオ基、iso-ブチルチオ基、sec-ブチルチオ基、t-ブチルチオ基、n-ペンチルチオ基、iso-ペンチルチオ基、2−メチルブチルチオ基、1-メチルブチルチオ基、neo-ペンチルチオ基、1,2-ジメチルプロピルチオ基、1,1-ジメチルプロピルチオ基等の炭素数1〜20のアルキルチオ基:フェニルチオ基、4-メチルフェニルチオ基、2-メトキシフェニルチオ基、4-t-ブチルフェニルチオ基等の炭素数6〜20のアリールチオ基を挙げることができる。
21とA22、A23とA24、A25とA26、またはA27とA28が連結基を介して環を形成した例としては、−CHCHCHCH−、−CHCHCH(NO)CH−、−CHCH(CH)CHCH−、−CHCH(Cl)CHCH−等を挙げることができる。Mで示される2価金属の例としては、Cu、Zn、Fe、CO、Ni、Ru、Rh、Pd、Pt、Mn、Sn、Mg、Hg、Cd、Ba、Ti、Be、Ca等が挙げられ、1置換の3価金属の例としては、Al−F、Al−Cl、Al−Br、Al−I、Ga−F、Ga−Cl、Ga−Br、Ga−I、In−F、In−I、In−Br、In−I、In-Cl、Tl−F、Tl−Cl、Tl−Br、Tl−I、Al−C、Al−C(CH)、In−CH、In−C(CH)、Mn(OH)、Mn(OC)、Mn[OSi(CH]、Fe−Cl、Ru−Cl等が挙げられ、2置換の4価金属の例としては、CrCl、SiF、SiCl、SiBr、SiI、SnF、SnCl、SnBr、ZrCl、GeF、GeCl、GeBr、GeI、TiF、TiCl、TiBr、Si(OH)、Sn(OH)、Ge(OH)、Zr(OH)、Mn(OH)、TiR、CrR、SiR、SnR、GeR[Rは、アルキル基、フェニル基、ナフチル基およびその誘導体を表わす。]、Si(OR')、Sn(OR')、Ge(OR')、Ti(OR’)、Cr(OR’)[R’は、アルキル基、フェニル基、ナフチル基、トリアルキルシリル基、ジアルキルアルコキシシリル基およびその誘導体を表わす。]、Si(SR”)、Sn(SR”)、Ge(SR”)[R”は、アルキル基、フェニル基、ナフチル基およびその誘導体を表わす。]等が挙げられ、オキシ金属の例としては、VO、MnO、TiO等が挙げられる。好ましくは、Pd、Cu、Ru、Pt、Ni、CO、Rh、Zn、VO、TiO、Si(Y)、Ge(Y)(Yは、ハロゲン原子、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、ヒドロキシ基、アルキル基、アリール基、アルキルチオ基、アリールチオ基、トリアルキルシリルオキシ基、トリアルキルスズオキシ基またはトリアルキルゲルマニウムオキシ基を表わす)である。さらに
好ましくは、Cu、VO、Ni、Pd、Pt、COである。
(へ)シアニン系色素としては任意化合物を使用することができ、例えば特開2005−53875号公報、特開2002−212454号公報、特開2005−54150号公報、特開2004−315789号公報、特開2002−228829号公報等に記載の色素を好適に使用できる。本発明において特に好ましいシアニン系色素の具体例としては、下記式(7)で示される化合物を挙げることができる。
Figure 2006313303
〔式(7)において、環A及び環Bは、置換基を有してもよいベンゼン環又はナフタレン環を表し、R1〜R4は、炭素数1〜4のアルキル基、置換基を有してもよいベンジル基、又はR1とR2或いはR3とR4で連結して3〜6員環を形成する基を表し、R1〜R4の少なくとも1つが置換基を有するベンジル基である;Y1及びY2は、各々独立に炭素数1〜30の有機基を表し、A m−は、m価のアニオンを表し、mは、1又は2の整数を表し、pは、電荷を中性に保つ係数を表す。〕
(ト)メチン系色素としては任意化合物を使用することができ、例えば特開2003−36033号公報、特開2002−200711号公報、特開2002−338822号公報等に記載の色素を好適に使用できる。本発明において特に好ましいメチン系色素の具体例としては、下記式(8)で示される化合物を挙げることができる。
Figure 2006313303
〔式(8)において、Rは、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基又は水素原子を示し、R10は、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいアルコキシカルボニル基、置換基を有していてもよいアリール基、アリールオキシ基、置換基を有していてもよいアリールオキシカルボニル基、置換基を有していてもよいアミノ基又は水素原子を示し、R11は、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基又は水素原子を示し、Xは、酸素原子又はNH基を示し、これらのR10、R11及びXは、両方のピラゾール環の間で互いに異なっていてもよい。〕
(チ)ポルフィリン系色素としては任意化合物を使用することができ、例えば特開平10−330632号公報、特開2003−57437号公報、特開2004−45887号公報、特開2003−330175号公報等に記載の色素を好適に使用できる。本発明において特に好ましいポルフィリン系色素の好ましい具体例としては、下記式(9)で示される化合物を挙げることができる。
Figure 2006313303
〔式(9)において、Rはアルキル基、置換基を有してもよいフェニル基、ナフチル基を示し、Xは水素原子、ハロゲン原子を示し、mは1〜8の整数を示し、Mは2個の水素原子、2価の金属又は3価又は4価の金属誘導体を示す。〕
第3の色素
本発明の光学フィルタにおける色素層は、上記の第1の色素および第2の色素に加え、さらに第1の色素および第2の色素以外の他の色素(第3の色素)を、必要に応じて含有することができる。この第3の色素も、カチオン部が異なるイオン性色素化合物が同一の色素層中に実質的に二種以上含有されないという要件が満たされることを条件として、任意の色素を用いることができる。そのような第3の色素の具体例としては、波長380nm〜570nmの波長領域内に吸収極大波長を有する色素、および波長610nm〜780nmの波長領域内に吸収極大波長に吸収極大を有する色素を例示することができる。
このような第3の色素を使用することによって、パネルからの発光の色純度や色再現範囲、電源OFF時のディスプレイの色などを改善できる、より好ましい光学フィルタを提供することが可能になる。
そのような第3の色素としては、特開2000-275432号公報、特開2001-188121号公報、特開2001-350013号公報、特開2002-131530号公報等に記載の色素を好適に使用できる。更に、このほかにも、黄色光、赤色光、青色光等の可視光を吸収する(リ)アントラキノン系、(ヌ)ナフタレン系、(ル)アゾ系、(ヲ)フタロシアニン系、(ワ)ピロメテン系、(カ)テトラアザポルフィリン系、(ヨ)スクアリリウム系、(タ)シアニン系等の色素を使用することができる。
上記の色素中では、特に(リ)アントラキノン系、(ヌ)ナフタレン系、(ワ)ピロメテン系、(タ)シアニン系の色素が好ましい。
透明樹脂
本発明による光学フィルタにおける色素層は、透明樹脂中に、前記の第1の色素および第2の色素、ならびに必要に応じて前記の第3の色素を含有させてなるものである。
そのような透明樹脂としては、可視光領域での光線透過率の高い樹脂であれば限定されるものではない。具体的な透明樹脂としては、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ウレタン系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリイミド系樹脂、またはポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレンとペルフルオロアルキルビニルエーテルとの共重合体からなるペルフルオロアルコキシ樹脂(PFA)、テトラフルオロエチレンとヘキサフルオロプロピレンコポリマー(FEP)、テトラフルオロエチレンとペルフルオロアルキルビニルエーテルとヘキサフルオロプロピレンコポリマー(EPE)、テトラフルオロエチレンとエチレンまたはプロピレンとのコポリマー(ETFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン樹脂(PCTFE)、エチレンとクロロトリフルオロエチレンとのコポリマー(ECTFE)、フッ化ビニリデン系樹脂(PVDF)、フッ化ビニル系樹脂(PVF)等のフッ素系樹脂を挙げることができ、中でもアクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂が好ましい。透明樹脂の平均分子量は500〜60万であることが好ましく、より好ましくは1万〜40万である。平均分子量をこれらの範囲とすることにより、上記のような性質を有するものとすることができるからである。
本発明において、色素層中の色素は、大気中の水蒸気以外にも透明樹脂が水酸基、もしくは酸基を有するものであるか、または透明樹脂中に重合開始剤等が配合されている場合には、それらの水酸基、もしくは酸基、または重合開始剤等により色素劣化が起きる場合があるので、この解消の目的で、透明樹脂としては、水酸基価もしくは酸価の小さいものを用いることが好ましく、水酸基価および酸価のいずれもが小さいものを用いることがより好ましい。
上記の理由により、透明樹脂は、水酸基価としては10以下が好ましく、より好ましくは5以下であり、0であることが特に好ましい。水酸基価をこのように小さくすることにより、色素層が含有する色素が、透明樹脂が有する水酸基により反応すること等を防ぐことができるため、高温高湿度下でも分光特性が経時的に安定な光学フィルタとすることができる。ここで、水酸基価とは試料1gをアセチル化するとき、水酸基と結合した酢酸を中和するのに要する水酸化カリウムのmg数を指す。
同様に、透明樹脂は、酸価としては10以下が好ましく、より好ましくは5以下であり、0であることが特に好ましい。酸価をこのように小さくすることにより、透明樹脂が含有する酸により、色素が反応すること等を防ぐことができるため、分光特性が高温高湿度下でも経時的に安定な光学フィルタとすることができる。ここで酸価とは、試料1gを中和するのに要する水酸化カリウムのmg数を指す。
また、透明樹脂としては、そのガラス転移温度(以降において、Tgと言うことがある。)が、光学フィルタが実際に使用されるときの温度以上であることが好ましい。ガラス転移温度が光学フィルタが実際に使用されるときの温度以下であると、言い換えれば、光学フィルタがガラス転移温度以上で使用されると、透明樹脂中に含有される色素どうしが反応を起こしたり、透明樹脂が空気中の水分を吸収するため、色素の劣化や透明樹脂の劣化が起きやすくなるためである。
上記の観点から、透明樹脂のガラス転移温度は、光学フィルタが実際に使用されるときの温度の値にもよるが、例えば、80℃〜150℃であることが好ましい。ガラス転移温度が80℃未満の透明樹脂を用いると、色素と透明樹脂との相互作用、もしくは色素同士の相互作用等が起こり、色素の変性が起こる。また、ガラス転移温度が150℃を超える透明樹脂を用いると、このような透明樹脂を溶剤に溶解して色素層形成用組成物を調製し、コーティングにより色素層を形成する際に、十分な乾燥を行なわせるには乾燥温度を高温にする必要が生じるから色素が熱によって劣化する恐れがあり、と言って、乾燥温度を低温にすると、長い乾燥時間が必要になるため、乾燥工程の効率が低下し、生産コストの上昇を起こし、あるいは、十分な乾燥が行なえないために残留した溶剤が色素の劣化を招く原因ともなる。
色素層中の色素と透明樹脂との好ましい配合割合は、透明樹脂100に対して、前記の第1の色素については、0.001〜100であり、より好ましくは0.01〜50であり、特に好ましくは、0.1〜20である。第2の色素については、透明樹脂100に対して、0.001〜50であり、より好ましくは0.01〜20であり、特に好ましくは0.1〜10である。第3の色素については、透明樹脂100に対して、0〜10であり、より好ましくは0.01〜5である。なお、配合比は質量基準である。
<光学フィルタ(その2)>
上記の本発明による光学フィルタは、好ましい態様として、電磁波遮蔽機能、反射防止機能、防眩機能、防汚染機能、紫外線吸収機能のいずれか一種もしくは二種以上の機能を有する一層もしくは二層以上の層をさらに具備するものを包含する。
以下に、本発明において好ましい電磁波遮蔽機能層、色調調整機能層、反射防止機能層、防眩機能層、防汚染機能層および紫外線吸収層について詳細する。
電磁波遮蔽機能層
本発明の色素層に付加し得る電磁波遮蔽機能層は、電気的もしくは電子的な装置、とりわけ、プラズマディスプレイから発生した電磁波を遮蔽するものである。電磁波遮蔽層には金属メッシュ層と透明導電性薄膜層が利用されるが、電磁波遮蔽性の高い金属メッシュが好ましい。金属メッシュ層は、透明基材上に金属箔を積層し、エッチングによってメッシュ状とするので、透明基材と金属メッシュとの間には、接着剤層が介在することが普通である。接着剤層は、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリビニルアルコール単独もしくはその部分ケン化品、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタンエステル樹脂等の接着剤で構成する。金属メッシュ層は、電磁波遮蔽能を有するものであれば、その金属の種類は特に限定されるものではなく、例えば、銅、鉄、ニッケル、クロム、アルミニウム、金、銀、ステンレス、タングステン、クロム、チタン等を用いることができ、中でも銅が好ましく、銅箔の種類としては、圧延銅箔、電解銅箔等が挙げられるが、特に電解銅箔であることが好ましい。電解銅箔を選択することにより、厚さが10μm以下の均一性のよいものとすることができ、また黒化処理された際に、酸化クロム等との密着性を良好なものとすることができるからである。
ここで、本発明においては、上記金属メッシュは、その一方の面または両面が黒化処理されていることが好ましい。黒化処理とは、酸化クロム等により金属メッシュの表面を黒化する処理であり、色素層に付与される際は、この酸化処理面は、観察者側の面となるように配置される。この黒化処理により金属メッシュ層表面に形成された酸化クロム等により、金属メッシュ層表面の外光が吸収されることから、金属メッシュ層表面で光が散乱することを防止することができるのである。
金属メッシュ層の開口率は、電磁波遮蔽能の観点からは、低いほどよいが、開口率が低くなると光線透過率が低下するので、開口率としては50%以上であることが好ましい。
また、金属メッシュ層は開口部と非開口部とが凹凸をなしているので、金属メッシュ層上に、透明樹脂が金属メッシュ層の厚み以上の厚みに形成された平坦化層が積層されていてもよい。
反射防止機能層
本発明の色素層に付加し得る反射防止機能層は、高屈折率層と低屈折率層が順に積層されたものが代表的であるが、これ以外の積層構造を持つものもある。高屈折率層は、例えば、ZnOやTiOの素材の薄膜、もしくはこれらの素材の微粒子を含有させた透明樹脂膜である。また、低屈折率層は、SiOからなる薄膜、もしくはSiOゲル膜、または、フッ素含有の、もしくはフッ素およびケイ素含有の透明樹脂膜である。反射防止層が積層されたことにより、積層された側の外光等の不要な光の反射を低下させ、適用されるディスプレイの画像もしくは映像のコントラストを高めることができる。
防眩機能層
本発明の色素層に付加し得る防眩機能層は、例えば、透明樹脂中に直径数μm程度のポリスチレン樹脂やアクリル樹脂等のビーズを含有させたものが挙げられ、層が持つ光拡性により、ディスプレイ前面に配置した際に、ディスプレイの特定の位置、方向に生じるシンチレーションの防止を行なうためのものである。
防汚染機能層
本発明の色素層に付加し得る防汚染機能層は、近赤外線吸収膜もしくはその積層体を使用する際に、その表面に、不用意な接触や環境からの汚染が原因で、ごみや汚染物質が付着するのを防止し、あるいは付着しても除去しやすくするために形成される層である。例えば、フッ素系コート剤、シリコン系コート剤、シリコン・フッ素系コート剤等が使用され、なかでもシリコン・フッ素系コート剤が好ましく適用される。これらの防汚染層の厚さは好ましくは100nm以下で、より好ましくは10nm以下であり、さらに好ましくは5nm以下である。これらの防汚染層の厚さが100nmを超えると防汚染性の初期値は優れているが、耐久性において劣るものとなる。防汚染性とその耐久性のバランスから5nm以下が最も好ましい。
紫外線吸収機能層
本発明の色素層に付加し得る紫外線吸収機能層は、電気的もしくは電子的な装置や自然光等に含まれる紫外線を、遮蔽ないし制御するものである。このことによって、ディスプレイを構成する各種の樹脂材料その他の構成材料(例えば、透明樹脂材料や色素等)の耐久性を更に向上させることが可能になる。
本発明では、例えば380nmより下の領域の波長の全てにおいて光線透過率が、40%以下、好ましくは30%以下、である紫外線吸収層を、ディスプレイ用フィルタ構成のいずれかの箇所に設けることができる。このような紫外線吸収層が形成された光学フィルタは、本発明の好ましい一具体例である。
紫外線吸収剤は、上述の透明基材中に含有させてもよいし、紫外線吸収剤を含有させた独立の層、即ち、紫外線吸収層として設けられていてもよい。紫外線吸収層は、バインダー樹脂として、例えば、アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、エチレン−ビニルアルコール系共重合樹脂、エチレン−酢酸ビニル系共重合樹脂、アクリロニトリルスチレン共重合樹脂(AS樹脂)、ポリエステル系樹脂、塩酢ビ樹脂、ポリビニルブチラール系樹脂、PVPA、ポリスチレン系樹脂、フェノール系樹脂、フェノキシ系樹脂、ポリスルフォン、ナイロン、セルロース系樹脂、酢酸セルロース系樹脂等に、紫外線吸収剤を含有させたものを、塗布法により、通常、0.1〜30μm、好ましくは0.5〜10μmの膜厚の層として形成する。尚、紫外線吸収層は、フィルタとしての使用時に前記色素層よりも外界側に位置させるか、外界側に位置する層に含有させるのが、色素層中の色素を保護するために好ましい。
前記紫外線吸収剤としては、例えば、2-(2'-ヒドロキシ-5'-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2'-ヒドロキシ-5'-ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2'-ヒドロキシ-5'-t-ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2'-ヒドロキシ-5'-t-オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2'-ヒドロキシ-3',5'-ジ-t-ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2'-ヒドロキシ-3',5'-ジ-t-アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2'-ヒドロキシ-3'-t-ブチル-5'-メチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2-(2'-ヒドロキシ-3',5'-ジ-t-ブチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール系;2,4-ジヒドロキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-オクチルオキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-ドデシルオキシベンゾフェノン、2,2'-ジヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2,2'-ジヒドロキシ-4,4'-ジメトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系;フェニルサリシレート、p-t-ブチルフェニルサリシレート、p-オクチルフェニルサリシレート等のサリシレート系;ヘキサデシル-2,5-t-ブチル-4-ヒドロキシベンゾエート、2,4-ジ-t-ブチルフェニル-3',5'-ジ-t-ブチル-4'-ヒドロキシベンゾエート等のベンゾエート系等の有機系紫外線吸収剤や、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウム、酸化鉄、硫酸バリウム等の無機系紫外線吸収剤が挙げられる。
紫外線吸収層の吸収性能としては波長380nm以下における紫外線の透過率を30%以下とすることが好ましく、勿論、波長380nm以下の紫外線を100%カットしていれば尚良い。これにより紫外線による色素の劣化を抑制することが可能となり、光吸収機能や初期色味が長時間安定な光学フィルタを得ることができる。
尚、前記の如き独立した紫外線吸収層は、前記紫外線吸収剤を含有させた層を設ける代わりに、市販の紫外線カットフィルタ、例えば、富士写真フィルム社製の「シャープカットフィルターSC−38」(商品名)、「同SC−39」、「同SC−40」、三菱レーヨン社製の「アクリプレン」(商品名)等を用いて積層することによって形成することもできる。
光学フィルタの形態
図1および図2は、本発明による光学フィルタの積層構造を例示する断面図である。
本発明による光学フィルタは、最も基本的には、図1に符号1で示されるように、透明基材2と色素層3とからなる積層体4である。この透明基材2は、積層の際に行われ得る接着性向上のための処理が施されたものであってもよい。
本発明の光学フィルタは前記透明基材2の代わりに、光学フィルタの分野で知られた機能層を用いてもよい。機能層としては、例えば、電磁波遮蔽層、色調調整機能、反射防止機能、防眩機能、防汚染機能、紫外線吸収機能のいずれか一種もしくは二種以上の機能を有する一層もしくは二層以上の層を挙げることができる。
上記透明基材2としては色素層3を積層可能であれば特に限定されず、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル類、環状ポリオレフィン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等のポリオレフィン類、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデンなどのビニル系樹脂、ポリカーボネート、アクリル樹脂、トリアセチルセルロース(TAC)、ポリエーテルサルホン、もしくはポリエーテルケトン等の樹脂からなるフィルムを挙げることができ、単独で、または同種もしくは異種のものを積層して用いることができる。
透明基材2の透明性は、透明基材が単層の場合、可視領域の光線透過率が80%以上であることが好ましい。また、透明性を有するとは、無色透明であることが好ましいけれども、必ずしも無色透明であることに限ることはなく、本発明の目的を妨げない程度であれば着色された着色透明であってもよい。可視領域の光線透過率は出来る限り高いことが好ましいが、最終製品としては50%以上の光線透過率が必要なことから最低2枚を積層する場合でも、それぞれの透明基材としては光線透過率が80%であれば、目的に適う。もちろん、光線透過率が高ければ高いほど、透明基材を複数枚積層出来るため、透明基材2の単層の光線透過率はより好ましくは85%以上であり、最も好ましくは90%以上である。光線透過率を向上させるには厚みを薄くするのも有効な手段である。
透明基材2の厚みは、透明性さえ満足すれば特に制限されないが、加工性の面からは、12μm程度〜300μm程度の範囲であることが好ましい。厚みが12μm未満の場合は透明基材2が柔軟過ぎて、加工する際の張力により伸張やシワが発生しやすい。また、厚みが300μmを超えるとフィルムの可撓性が減少し、各工程での連続巻き取りが困難になる上、透明基材どうしを複数枚、積層する際の加工性が大幅に劣るといった問題もある。
上記色素層3の形成方法としては、例えば、(i)色素層形成用組成物を透明基材2に塗布し、その後に塗布したこの色素層形成用組成物を熱、紫外線、電子線などにより乾燥もしくは硬化させて色素層3を形成する方法、(ii)色素層形成用組成物を成形してフィルム化し、透明基材2に貼りつけることにより積層体とする方法等が挙げられるが、(i)の方法が簡便であることから好ましい。
上記色素層3の形成方法において、色素層形成用組成物を透明基材上に塗布する方法としては、例えば、浸漬、吹き付け、刷毛塗り、マイヤーバーコーティング、ドクターブレードコーティング、グラビアコーティング、グラビアリバースコーティング、キスリバースコーティング、3本ロールリバースコーティング、スリットリバースダイコーティング、ダイコーティング、もしくはコンマコーティング等の各種コーティングの方式を用いることができる。
上記色素層3の厚さとしては、使用用途等により適宜設定すればよく特に限定されるものではない。例えば、乾燥時の厚さを0.5〜1000μmとなるようにすることが好ましい。より好ましくは、1〜100μmである。更に好ましくは1〜50μm、特に好ましくは、1〜30μmである。
本発明による光学フィルタ1には、必要に応じて、光学フィルタの分野で知られた機能層5を設けて、図2に示されるような光学フィルタ11とすることができる。機能層5としては、電磁波遮蔽機能、反射防止機能、防眩機能、防汚染機能、紫外線吸収機能のいずれか一種もしくは二種以上の機能を有する一層もしくは二層以上の層を、挙げることができる。
この機能層5の形成方法としては、例えば、(i)機能層形成材料を積層体4に塗布し、その後に塗布した機能性形成材料を熱、紫外線、電子線などにより乾燥もしくは硬化させる方法、(ii)機能層5のフィルムを積層体4に貼りつける方法等が挙げられるが、(i)の方法が簡便であることから好ましい。
<ディスプレイ>
本発明によるディスプレイは、上記の光学フィルタがディスプレイの観察側に配置されていること、を特徴とするものである。
上記の本発明による光学フィルタがPDP用として用いられる際は、図2に示されるように、プラズマディスプレイパネル6から放射される近赤外線やネオン光等の好ましくない光線あるいは電磁波等をカットするべくディスプレーの前面に設置される。
このため、前記の本発明によるディスプレイフィルタでは、可視光線の透過率が低いと画像の鮮明さが低下することから、可視光線の透過率は高い程良く、少なくとも30%以上、好ましくは35%以上必要である。また、近赤外線光のカット領域はPDPからの発光がある波長800〜1100nmであり、その領域の光線の透過率が30%以下になるように設計することが好ましい。ネオン光のカット領域は波長550〜640nmであり、波長550nmにおける光線の透過率が50%以下になるように設計することが好ましい。
以下、実施例および比較例を挙げて、本発明をさらに具体的に説明する。これらの記載により本発明を制限するものではない。なお、下記において、Phはフェニルを、Pcはフタロシアニンを、示す。
合成例1:フタロシアニン系色素(A)の合成
250mlの4ツ口フラスコに、3-フェノキシ-4,5-ビス(2,5-ジクロロフェノキシ)-6-フルオロフタロニトリル20g(34ミリモル)、三塩化バナジウム2g(13ミリモル)、およびn−オクタノール30mlを仕込み、窒素をバブリングしながら170℃下で攪拌しながら約4時間保持した。その後常温まで冷却し、PhCHNHを15g(136ミリモル)とベンゾニトリル120mlを加え、90℃に保温しながらで約5時間保持した。反応液を冷却し、フタロニトリル法にて析出させた後、真空乾燥して、VOPc(2,5-ClPhO)(PhO)(PhCHNH)を180g得た。なお、フタロシアニン系色素(A)をポリエステル系樹脂(バイロン200、東洋紡績(株)製)に分散させた場合の最大吸収波長は878nmであった。
合成例2:フタロシアニン系色素(B)の合成
三塩化バナジウムの代わりに、塩化銅1g(10ミリモル)を用いた他は化合物(A)の合成と同様にして、CuPc(2,5-ClPhO)(PhO)(PhCHNH)を180g得た。なお、フタロシアニン系色素(D)をポリエステル系樹脂(バイロン200、東洋紡績(株)製)に分散させた場合の最大吸収波長は810nmであった。
<実施例1>
アクリル樹脂(三菱レイヨン(株)製、商品名:BR−80)をメチルエチルケトン/トルエン中(溶媒配合比=1:1)に固形分比が20%(質量基準)となるよう溶解したアクリル樹脂溶液19.6g中に、波長800nm〜1100nmに吸収極大を有する色素として合成例1にて合成したフタロシアニン系色素(A)を0.11g、合成例2にて合成したフタロシアニン系色素(B)を0.12g、市販のジインモニウム系色素(品番:IRG−068、日本化薬(株)、R=8つ全てiso-ブチル基、R=トリフルオロメチル基)0.25g、および波長570〜610nmに吸収極大を有する色素として市販のテトラアザポルフィリン(品番:TAP12、山田科学(株))0.04g添加して十分分散させて得た塗布用溶液を用い、市販のPETフィルム(東洋紡績(株)製、商品名;「コスモシャインA4300」上に、マイヤーバーにて乾燥膜厚が5μmになるように塗布し、風速5m/secのドライエアーが当たるオーブンにて100℃で1分間乾燥して、波長800nm〜1100nmと波長570〜610nmの光吸収機能とが同一層で発現できる光学フィルタを得た。
得られた光学フィルタの波長800nm〜1100nmにおける光線透過率の平均値は5.2%、590nmにおける光線透過率は32.5%であった。上記光学フィルタを温度60℃、湿度90%RHの雰囲気下に1000hr放置した結果、波長800nm〜1100nmにおける光線透過率の平均値は5.3%、590nmにおける光線透過率は32.0%と殆ど変化はなかった。
<実施例2>
支持基材として市販のPETフィルム(東洋紡績(株)製、コスモシャインA4300)の代わりに、トリアセチルセルロースフィルムを基材とする市販の反射防止フィルム(日本油脂(株)製、商品名;「リアルック8200UV」を用い、前記反射防止フィルムのトリアセチルセルロースフィルム上に近赤外線吸収層を形成した以外は前記実施例1と同様に実施して波長800nm〜1100nmと波長570〜610nmの光吸収機能、更に反射防止機能を有する光学フィルタを得た。
得られた光学フィルタの波長800nm〜1100nmにおける光線透過率の平均値は5.7%、590nmにおける光線透過率は31.8%であった。上記光学フィルタを温度60℃、湿度90%RHの雰囲気下に1000hr放置した結果、波長800nm〜1100nmにおける光線透過率の平均値は5.9%、590nmにおける光線透過率は32.2%と殆ど変化はなかった。
<実施例3>
実施例1記載の波長800nm〜1100nmを吸収する色素および波長570〜610nmを吸収する色素を含有する塗布用溶液に、508nmに吸収極大波長を有する色調整用色素(Plast red 8320、有本化学(株))を0.02g追加した以外は実施例1と同様にして波長800nm〜1100nmと波長570〜610nmの光吸収機能、更に色調整機能が同一層で発現できる光学フィルタを得た。
得られた光学フィルタの波長800nm〜1100nmにおける光線透過率の平均値は5.5%、590nmにおける光線透過率は30.8%であった。上記光学フィルタを温度60℃、湿度90%RHの雰囲気下に1000hr放置した結果、波長800nm〜1100nmにおける光線透過率の平均値は5.9%、590nmにおける光線透過率は31.1%と殆ど変化はなかった。
<実施例4>
市販のジインモニウム系色素として、IRG-068の代わりにCIR-1085(日本カーリット(株)、R=8つ全てn-ブチル基、R=トリフルオロメチル基)を用いた以外は実施例1と同様にして波長800−1100nmと波長570-610nmの光吸収機能とが同一層で発現できる光学フィルタを得た。
得られた光学フィルタの波長800−1100nmにおける光線透過率の平均値は4.5%、590nmにおける光線透過率は31.4%であった。上記光学フィルタを温度60℃、湿度90%RHの雰囲気下に1000hr放置した結果、波長800−1100nmにおける光線透過率の平均値は5.3%、590nmにおける光線透過率は31.9%と殆ど変化無かった。
<比較例1>
波長800nm〜1100nmを吸収する色素として市販のジインモニウム系色素(品番:CIR-1085、日本カーリット(株))0.25g、波長570〜610nmを吸収する色素として市販のシアニン系色素(品番:TY167、旭電化工業(株)0.10gを用いた以外は、前記実施例1と同様に実施して波長800nm〜1100nmと波長570〜610nmの光吸収機能が同一層で発現できる光学フィルタを得た。
得られた光学フィルタの波長800nm〜1100nmにおける光線透過率の平均値は6.5%、590nmにおける光線透過率は34.2%であった。上記光学フィルタを温度60℃、湿度90%RHの雰囲気下に1000hr放置した結果、波長800nm−1100nmにおける光線透過率の平均値は25.3%、590nmにおける光線透過率は57.9%と、カチオンとアニオンからなるイオン性色素化合物である、ジインモニウム系色素とシアニン系色素とを併用した為に分光特性の大きな変化が起きた。
<比較例2>
波長800nm〜1100nmを吸収する色素として合成例1にて合成したフタロシアニン系色素(A)を0.11g、合成例A2にて合成したフタロシアニン系色素(B)を0.12gおよび、市販のジインモニウム系色素(品番:CIR-1085、日本カーリット(株))0.25g、波長570〜610nmを吸収する色素として市販のシアニン系色素(品番:TY167、旭電化工業(株))0.10gを用いた以外は、前記実施例1と同様に実施して波長800nm〜1100nmと波長570〜610nmの光吸収機能が同一層で発現できる光学フィルタを得た。
得られた光学フィルタの波長800nm〜1100nmにおける光線透過率の平均値は6.1%、590nmにおける光線透過率は32.2%であった。上記光学フィルタを温度60℃、湿度90%RHの雰囲気下に1000hr放置した結果、波長800nm〜1100nmにおける光線透過率の平均値は26.3%、590nmにおける光線透過率は53.9%と、フタロシアニン系色素を使用したものの、カチオンとアニオンからなるイオン性色素化合物であるジインモニウム系色素とシアニン系色素とを併用した為に比較例1と同様に分光特性の大きな変化が起きた。
本発明の光学フィルタの一例を示す概略断面図である。 本発明の光学フィルタ、およびこの光学フィルタを観察者側に配置したプラズマディスプレイの一例を示す概略断面図である。
符号の説明
1 光学フィルタ
2 透明基材
3 近赤外線吸収層
4 積層体
5 機能層
11 光学フィルタ
6 プラズマディスプレイパネル

Claims (13)

  1. 少なくとも、波長800nm〜1100nmの波長領域内に吸収極大波長を有する色素と、波長570nm〜610nmの波長領域内に吸収極大を有する色素とが、同一層中に含有された色素層を具備する光学フィルタであって、
    前記色素層が、カチオン部が異なるイオン性色素化合物を実質的に二種以上含有しないものであることを特徴とする、光学フィルタ。
  2. 前記の波長800nm〜1100nmの波長領域内に吸収極大波長を有する色素が、少なくとも下記式(1)で示されるフタロシアニン系色素である、請求項1に記載の光学フィルタ。
    Figure 2006313303
    〔式(1)中、A〜A16は、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、アミノ基、ヒドロキシスルホニル基、アミノスルホニル基、あるいは、窒素原子、硫黄原子、酸素原子、またはハロゲン原子を含んでも良い炭素数1〜20の置換基を表し、かつ、隣り合う2個の置換基が連結基を介して繋がっていてもよい。但し、A〜A16のうちの少なくとも4つは、硫黄原子もしくは窒素原子を介する置換基であり、Mは、銅もしくは酸化バナジウムを表す。〕
  3. 前記の波長570nm〜610nmの波長領域内に吸収極大を有する色素が、下記式(2)で示されるテトラアザポルフィリン系色素である、請求項1または2に記載の光学フィルタ。
    Figure 2006313303
    〔式(2)中、A21〜A28は、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシ基、アミノ基、カルボキシル基、スルホン酸基、炭素数1〜20のアルキル基、ハロゲノアルキル基、アルコキシ基、アルコキシアルコキシ基、アリールオキシ基、モノアルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、アラルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、アルキルチオ基、または、アリールチオ基を表わす。A21とA22、A23とA24、A25とA26、A27とA28は、各々独立に、連結基を介して、芳香族環を除く環を形成しても良く、Mは2個の水素原子、2価の金属原子、3価の1置換金属原子、4価の2置換金属原子、または、オキシ金属原子を表わす。〕
  4. 前記のイオン性色素化合物が、ジインモニウム系色素またはスクアリリウム系色素である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の光学フィルタ。
  5. 前記のイオン性色素化合物が、下記一般式(3)で表されるジインモニウム系色素である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の光学フィルタ。
    Figure 2006313303
    (上記一般式(3)において、Rは、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、チオシアナート基、シアナート基、アシル基、カルバモイル基、アルキルアミノカルボニル基、置換または未置換のアルコキシカルボニル基、置換または未置換のアリールオキシカルボニル基、置換または未置換のアルキル基、置換または未置換のアリール基、置換または未置換のアルコキシ基、置換または未置換のアリールオキシ基、置換または未置換のアルキルチオ基、置換または未置換のアリールチオ基、置換または未置換のアルキルアミノ基、置換または未置換のアリールアミノ基、置換または未置換のアルキルカルボニルアミノ基、あるいは置換または未置換のアリールカルボニルアミノ基を表す(ただし、上記一般式(3)中のRの少なくとも1つは分岐鎖状のアルキル基である)。Rは、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、チオシアナート基、シアナート基、アシル基、カルバモイル基、アルキルアミノカルボニル基、置換または未置換のアルコキシカルボニル基、置換または未置換のアリールオキシカルボニル基、置換または未置換のアルキル基、置換または未置換のアリール基、置換または未置換のアルコキシ基、置換または未置換のアリールオキシ基、置換または未置換のアルキルチオ基、置換または未置換のアリールチオ基、置換または未置換のアルキルアミノ基、置換または未置換のアリールアミノ基、置換または未置換のアルキルカルボニルアミノ基、あるいは置換または未置換のアリールカルボニルアミノ基を表し、アニオン成分はスルホニルイミドを有する1価の陰イオンである。)
  6. 前記一般式(3)のRにおける分岐鎖状アルキル基が、炭素数2〜8のものである、請求項5に記載の光学フィルタ。
  7. 前記一般式(3)のRにおける分岐鎖状アルキル基が、1−メチルエチル基、1,1−ジメチルエチル基、1−メチルプロピル基、2−メチルプロピル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基、3−メチルブチル基、または2−エチルブチル基である、請求項5または6に記載の光学フィルタ。
  8. 前記一般式(3)におけるRが、置換または未置換のアルキル基、置換または未置換のアリール基である、請求項5〜7のいずれか1項に記載の光学フィルタ。
  9. 前記一般式(3)におけるRが、ハロゲンを置換基に有するアルキル基、またはアリール基である、請求項5〜8のいずれか1項に記載の光学フィルタ。
  10. 前記の色素層が、透明樹脂中に、前記の波長800nm〜1100nmの波長領域内に吸収極大波長を有する色素と、前記の波長570nm〜610nmに吸収極大を有する色素とを含有させたものである、請求項1〜9のいずれか1項に記載の光学フィルタ。
  11. 前記の色素層中に、波長380nm〜570nmの波長領域内に吸収極大波長を有する色素もしくは波長610nm〜780nmの波長領域内に吸収極大波長を有する色素の少なくとも一種がさらに含有される、請求項1〜10のいずれか1項に記載の光学フィルタ。
  12. 電磁波遮蔽機能、反射防止機能、防眩機能、防汚染機能、紫外線吸収機能のいずれか一種もしくは二種以上の機能を有する一層もしくは二層以上の層をさらに具備する、請求項1〜11のいずれか1項に記載の光学フィルタ。
  13. 前記請求項1〜12のいずれか1項に記載の光学フィルタがディスプレイの観察側に配置されていることを特徴とする、ディスプレイ。
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