JP2006306365A - 空調用レジスタ - Google Patents

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Abstract

【課題】空調用空気の吹き出す指向性にすぐれた空調用レジスタを提供すること。
【解決手段】本発明の空調用レジスタは、吹き出し口10を持つレジスタパネル1と、筒状のリテーナ2と、を備える空調用レジスタであって、リテーナ2のレジスタパネル1側の端部が、通風路の上面を区画しかつ上面が該吹き出し口10近傍で通風路を縮径する状態と拡径する状態との間で変移可能な上面壁部210、通風路の下面を区画しかつ下面が吹き出し口近傍で通風路を縮径する状態と拡径する状態との間で変移可能な下面壁部220、通風路の一対の側面を区画しかつ各側面が吹き出し口近傍で通風路を縮径する状態と拡径する状態との間で一対の側面壁部、の少なくともひとつを有することを特徴とする。本発明の空調用レジスタは、吹き出し口から吹き出す空調用空気の指向性が向上した。
【選択図】図1

Description

本発明は、空調用レジスタに関し、詳しくは、空調用空気が吹き出す方向の指向性にすぐれた空調用レジスタに関する。
車両においては、空調装置で空調用空気を調製し、この空調用空気を車室内に吹き出すことで車室内の温度を調節している。空調用空気の車室内への吹き出しは、車室内に設けられた空調用レジスタを介してなされている。一般的な空調用レジスタは、吹き出し口を持つレジスタパネルと、吹き出し口に連通する通風路を持つ筒状のリテーナと、リテーナに回転自在に支持・収納された複数の縦ブレードおよび横ブレードと、から構成されている。そして、縦ブレード及び横ブレードの向きを調節することで空調用空気を所望の方向に吹き出している。
このような空調用レジスタとしては、例えば、特許文献1〜2に開示されている。
特許文献1には、通風部を区画するケーシング(リテーナ)の側壁を湾曲形状(車両前方側から後方側に向かって縮径した状態から拡径する形状)とするとともに、この外壁に最も近いフィン(ブレード)を湾曲形状に形成したレジスタが開示されている。特許文献1に開示された空調用レジスタは、側壁およびフィンを湾曲形状とすることで、この湾曲形状に沿った方向(吹き出し口の中心から離れる方向)に空調用空気を吹き出すことができる。
特許文献2には、湾曲可能な複数の風向偏向板(ブレード)をもつ空調用レジスタが開示されている。特許文献2の空調用レジスタは、複数の風向偏向板を連結部材で連結したことで湾曲状態を確実に維持でき、この湾曲方向に沿って空調用空気を吹き出す。
そして、近年は、車両の外観だけでなく車室内のデザイン性も向上してきている。車室内のデザイン性を向上させる要求には、たとえば、吹き出し口を目立たないようにする、インストルメントパネルの吹き出し部の上面を低くするなどの要求がある。つまり、空調用レジスタの吹き出し口の面積を小さくすることで、吹き出し口が目立たないようにすることが求められている。
しかしながら、空調用レジスタの吹き出し口の面積を小さくすると、縦ブレード及び横ブレードの枚数およびその変移量が限定されることとなり、空調用空気を所望の方向に吹き出すことが困難となっていた。
また、上記特許文献1〜2に開示された空調用レジスタは、リテーナの側壁やブレードを湾曲形状とすることで空調用空気が吹き出す指向性を向上させているが、吹き出し口を小さくしたときの指向性は十分ではなかった。
実開昭63−185047号公報 実開平2−24232号公報
本発明は上記実状に鑑みてなされたものであり、空調用空気の吹き出す指向性にすぐれた空調用レジスタを提供することを課題とする。
上記課題を解決するために、空調用レジスタについて検討を重ねた結果本発明をなすに至った。
本発明の空調用レジスタは、車室内にもうけられた空調用空気の吹き出し口を持つレジスタパネルと、吹き出し口に連通する通風路を区画する筒状のリテーナと、を備える空調用レジスタであって、筒状のリテーナのレジスタパネル側の端部が、通風路の上面を区画しかつ上面が該吹き出し口近傍で通風路を縮径する状態と拡径する状態との間で変移可能な上面壁部、通風路の下面を区画しかつ下面が吹き出し口近傍で通風路を縮径する状態と拡径する状態との間で変移可能な下面壁部、通風路の一対の側面を区画しかつ各側面が吹き出し口近傍で通風路を縮径する状態と拡径する状態との間で一対の側面壁部、の少なくともひとつを有することを特徴とする。
本発明の空調用レジスタは、筒状のリテーナの吹き出し口近傍を区画する壁面が通風路を縮径する状態と拡径する状態との間で変移可能にもうけられている。通風路の吹き出し口近傍を区画する壁面が変移することで、変移した壁面に沿って空調用空気が流れ、吹き出し口から吹き出すこととなる。この結果、吹き出し口から吹き出す空調用空気の指向性が向上した。また、本発明の空調用レジスタは、リテーナの断面積が小さくなっても高い指向性が得られることとなった。
本発明の空調用レジスタは、レジスタパネルおよびリテーナを備える。
レジスタパネルは、車室内に表出し空調用空気の吹き出し口を持つ。つまり、車室内に空調用空気が吹き出す吹き出し口を形成している。
リテーナは、吹き出し口に連通する通風路を区画する筒状の部材である。リテーナは、空調用空気が流れる通風路を区画している。リテーナは、空調用空気調整装置などにより調製された空調用空気を吹き出し口まで流す部材であり、レジスタパネル側の端部は、吹き出し口と略一致する形状に形成されている。これにより、リテーナを流れた空調用空気が漏れることなく吹き出し口から吹き出す。
そして、本発明の空調用レジスタは、筒状のリテーナのレジスタパネル側の端部が、通風路の上面を区画しかつ上面が該吹き出し口近傍で通風路を縮径する状態と拡径する状態との間で変移可能な上面壁部、通風路の下面を区画しかつ下面が吹き出し口近傍で通風路を縮径する状態と拡径する状態との間で変移可能な下面壁部、通風路の一対の側面を区画しかつ各側面が吹き出し口近傍で通風路を縮径する状態と拡径する状態との間で一対の側面壁部、の少なくともひとつを有する。ここで、それぞれの壁部が変移して通風路を縮径する状態とは、壁部の通風路を区画する面の先端側が、通風路の軸心方向に近接した状態を示す。通風路を拡径した状態とは、壁部の通風路を区画する面の先端側が、通風路の軸心方向から離れる状態を示す。本発明の空調用レジスタは、リテーナの空調用レジスタの吹き出し口側の端部を区画する壁面が変移するように形成されている。つまり、リテーナの吹き出し口近傍を区画する壁面が変移することで、この部分での空調用空気の流れる方向が曲げられる。この結果、本発明の空調用レジスタは、吹き出す空調用空気の指向性が向上する。
リテーナのレジスタパネル側の端部が吹き出し口と略一致する形状に形成されたことが好ましい。これにより、リテーナを流れた空調用空気が吹き出し口から吹き出す。そして、リテーナのレジスタパネル側の端部の少なくともひとつの壁面が通風路を縮径する状態と拡径する状態に変移する。リテーナのレジスタパネル側の端部が吹き出し口と略一致する状態で壁部が変移すると、それぞれの壁部の基端側(レジスタパネル側の端部の反対の端部側)が上下方向あるいは左右方向にずれる。なお、このような変移が生じたときにも、リテーナは、空調用空気が流れる筒状の形状を維持される。すなわち、上面壁部、下面壁部、側面壁部は、レジスタパネル側の端部を中心に回転自在に支持された板状を有することが好ましい。
リテーナは、上面壁部、下面壁部、一対の側面壁部の少なくともひとつを構成する板状の壁部と、筒状のリテーナ本体と、リテーナの通風路の一部を区画するとともにリテーナ本体と壁部とを接続する接続部と、を有する構成とすることが好ましい。なお、本発明においては、リテーナのレジスタパネル側の端部であって、通風路の内径を変化させる方向に変移しない壁面(たとえば、上面壁部と下面壁部とのみを有するときに通風路の側面を区画する一対の側壁面)はリテーナ本体が形成するものとしてある。このような場合において、一対の側壁面が径を変化させない変移をすることを規制するものではない。つまり、上面壁部と下面壁部が変移したときに、一対の側壁部に対応した位置のリテーナ本体の壁部が側壁面に沿った方向(例えば、上下方向)に変移することを規制するものではない。
本発明の空調用レジスタは、上面壁部、下面壁部、一対の側面壁部の少なくともひとつを有していればよいが、互いに対向した一対の壁部であることが好ましい。互いに対向した一対の壁部は、一方の壁部が通風路を縮径する状態に変移したときに他方の壁部が通風路を拡径する状態に変移することが好ましい。対向した一対の壁部が変移するときの変移量(それぞれの壁部のなす角)は特に限定されるものではないが、同じであることが好ましい。対向した一対の壁部は、リンク機構等により接続されることで連動して変移するようになる。
車両においては、空調用空気が吹き出す吹き出し口の上下方向の距離を短くすることがデザイン上の要求としてなされており、このことは空調用空気の吹き出し方向の上下方向の指向性の向上を求めるものであり、吹き出し口近傍でリテーナが空調用空気の流れ方向を上下方向に変移することが好ましい。すなわち、本発明の空調用レジスタは、リテーナが、上面壁部および下面壁部をもつことが好ましい。
上記したように、対向した一対の壁部は連動して変移することが好ましく、上面壁部および下面壁部は連動して変移することが好ましい。すなわち、上面壁部が通風路を縮径する状態に変移したときに下面壁部が通風路を拡径する状態に変移し、上面壁部が通風路を拡径する状態に変移したときに下面壁部が通風路を縮径する状態に変移することが好ましい。
本発明の空調用レジスタは、リテーナ内に回転自在に支持・収納された空調用空気の風向きを横方向に調節可能な縦ブレードと、リテーナ内に回転自在に支持・収納された空調用空気の風向きを縦方向に調節可能な横ブレードと、の少なくともひとつをもつことが好ましい。横ブレードおよび/または縦ブレードをもつことで、このブレードによる空調用空気の吹き出す方向の指向性が向上する。
縦ブレードおよび横ブレードは、リテーナ内に回転自在に支持・収納され、空調用空気の風向きを調整する部材である。縦ブレードはリテーナ内に縦方向にのびた状態で、横ブレードはリテーナ内で横方向に伸びた状態で支持・収納される。縦ブレードは、空調用空気の吹き出す方向を横方向に調節する。横ブレードは、空調用空気の吹き出す方向を縦方向に調節する。本発明の空調用レジスタにおいて、横方向および縦方向は、お互いに垂直な方向を示す。横方向が車両の車幅方向を示し、縦方向が車両の上下方向を示すことが好ましい。
本発明の空調用レジスタにおいて、縦ブレード及び横ブレードをレジスタ内で回転自在に支持・収納する方法については特に限定されるものではない。たとえば、リテーナの基端側の端部が上面壁部および下面壁部のみをもつときには、横ブレードはリテーナのレジスタパネル側の端部近傍で一対の側面を区画する一対の側壁面に支持され、縦ブレードは横ブレードに支持される形態とすることができる。また、別の形態として、縦ブレードがリテーナやレジスタパネルに支持されていてもよい。
また、空調風の吹き出す方向を調節するために縦ブレードおよび/または横ブレードを動かす方法についても特に限定されるものではない。たとえば、ブレードを直接手で動かす方法や、ブレードを操作するための操作手段をもうけておき、車室内からこの操作手段を用いてブレードを動かす方法などをあげることができる。
本発明の空調用レジスタは、リテーナの基端側の端部が車両の空調用空気を調製する空調装置に接続される。これによりリテーナから空調風を吹き出すことができる。
また、本発明の空調用レジスタは、上記構成以外は従来公知の空調用レジスタと同様な構成とすることができる。たとえば、空調用空気の吹き出しを停止するシャットダンパをもうけることができる。
以下、実施例を用いて本発明を説明する。
本発明の実施例として、車両用の空調用レジスタを作製した。
(実施例1)
本実施例の空調用レジスタの構成を図1〜4に示した。
本実施例の空調用レジスタは、レジスタパネル1、リテーナ2、横ブレード3および縦ブレード4を備える。
レジスタパネル1は、車両の車室内に開口した吹き出し口10をもつ。また、リテーナ2の吹き出し口10側の端部を保持する。
リテーナ2は、空調用空気を調製する空調用空気調整装置(図示せず)とレジスタパネル1の吹き出し口10とを連通し、空調装置で調製された空調用空気が内部を空気流路を区画する筒状を有する。本実施例のリテーナ2は、吹き出し口近傍で断面長方形状の空気流路を区画している。また、リテーナ2は、レジスタパネル1側の端部がレジスタパネル1に接続されている。
リテーナ2は、空調装置と接続されるリテーナ本体20と、リテーナ2のレジスタパネル1と接続された先端部で空気流路を区画する上方の壁面を形成する略方形の板状の上部壁部210と、上部壁部210とリテーナ本体20とを接続する上部接続部211と、上部壁部210と対向した位置にもうけられ空気流路を区画する下方の壁面を形成する略方形の板状の下部壁部220と、下部壁部220とリテーナ本体20とを接続する下部接続部221と、を有する。また、リテーナ2が区画する空調用空気が流れる通風路は吹き出し口近傍の断面が略長方形状を有している。
上部壁部210および下部壁部220は、先端部がレジスタパネル1に接続されている。このとき、上部壁部210および下部壁部220は、先端部を中心に回転可能な状態で接続されている。つまり、上部壁部210および下部壁部220は、その基端側の端部が通風路を縮径する状態と拡径する状態との間で変移可能にもうけられている。つまり、吹き出し口10の中心とリテーナ本体20の先端における通風路の中心を結んだ軸に対して、上部壁部210および下部壁部220のそれぞれの表面がなす角が変移可能な状態でもうけられている。
上部壁部210および下部壁部220の基端部は、上部接続部211および下部接続部221の先端部と接続されている。上部壁部210と上部接続部211および下部壁部220と下部接続部221のそれぞれの接続部は、互いに揺動可能な状態で接続されている。
上部接続部211および下部接続部221は、リテーナ本体20に接続されている。リテーナ本体20の外周面には、先端部方向に開口した溝部がもうけられている。この溝部に上部接続部211および下部接続部221の基端側の端部が深さ方向に往復動可能な状態で挿入されている。また、この溝部は、基端部が挿入された状態の上部接続部211および下部接続部221が、基端部を中心に回転可能な形状に形成されている。すなわち、溝部の一対の側壁(図においては上下方向の一対の側壁)の一方(図においては上方の側壁)が他方(図においては下方の側壁)に比べて短く形成されている。
また、本実施例の空調用レジスタは、リテーナ2の先端部であって上部壁部210および上部接続部211がもうけられた先端部において通風路の一部を区画する一対の側面壁は、リテーナ本体20が形成している。つまり、リテーナ2の先端部で通風路の一部を区画する一対の側面壁は、変移を生じない。
横ブレード3は、リテーナ2の通風路の内部に回転自在に支持・収納された略帯状の部材である。横ブレード3は、帯の幅方向の中心部を回転軸として回転可能な状態で、帯ののびる方向の両端部が一対の側面壁のそれぞれに支持された状態で組み付けられている。回転軸が上部壁部210および下部壁部220の先端側の端部と同じ位置(空調用空気の流れ方向における位置が同じ位置)となるように横ブレード3が支持された。なお、横ブレード3の幅方向の端部であって先端側の端部は、吹き出し口10から突出している。
縦ブレード4は、リテーナ2の通風路の内部に回転自在に支持・収納された略帯状の部材である。縦ブレード4は、横ブレード3に支持された。縦ブレード4は、横ブレード3の幅方向の端部であって基端側の端部に帯の幅方向の中心部を回転軸として回転可能な状態で、組み付けられている。縦ブレード4は、帯の幅方向が空調用空気の流れ方向に沿って配置され、幅方向の中心より先端側に回転軸が位置するように組み付けられている。
そして、縦ブレード4は、複数枚がお互いが平行な状態が維持されるように組み付けられている。詳しくは、複数の縦ブレード4のそれぞれが、縦ブレード4の回転軸より基端側で略棒状の接続部材40で接続されている。
さらに、本実施例の空調用レジスタにおいて複数枚の縦ブレード4のうち、側面壁に対向する縦ブレード421,421は、帯状の幅であって回転軸より先端側に位置する幅がそれ以外の縦ブレード420より先端側に突出して形成された帯状を有している。つまり、両側端に配置された縦ブレード421は、それ以外の部位に配置された縦ブレード420よりも先端側に突出した広い幅の帯状を有している。
また、本実施例の空調用レジスタには、縦ブレード4の方向を調節する縦ブレード操作部40がもうけられている。縦ブレード操作部41は、横ブレード3に回転自在に支持され、回転中心410より先端側411が略扇形に、基端側412が縦ブレード4の一枚を厚さ方向に挟持した板状を有する部材である。つまり、縦ブレード操作部41の先端側411を回転軸に沿って周方向に変移させることで縦ブレード4の向きを調節する。
そして、上部壁部210、下部壁部220および横ブレード3は、お互いが平行な状態が維持されるようにリンク30により接続されている。リンク30は、横ブレード3の帯の幅方向の端部であって基端側の端部と、上部壁部210および下部壁部220とを一体に接続している。
本実施例の空調用レジスタは、横ブレード3および縦ブレード4を回転し、所望の方向に向けることで、吹き出し口10から吹き出す空調用空気を所望の方向に吹き出す。
本実施例の空調用レジスタにおいて、空調用空気の吹き出す方向の横方向の調節は、縦ブレード4を回転させることで行われる。縦ブレード4の調節は、縦ブレード操作部41を操作して縦ブレード4を回転し、この縦ブレード4の帯の幅方向ののびる方向に空調用空気を吹き出させる。本実施例の空調用レジスタは、両側端に配置された縦ブレード421がその他の縦ブレード420よりも先端側に突出している。つまり、空気の流れ方向の長さが長いためより空気の流れ方向を変化させることができ、この縦ブレード421により側面壁近傍を流れる空調用空気の横方向の指向性が増加する。
本実施例の空調用レジスタにおいて、空調用空気の吹き出す方向の縦方向の調節は、横ブレード3を回転させることで行われる。横ブレード3の調節は、吹き出し口10から突出した横ブレード3の幅方向の端部を操作して横ブレード3を回転させることで行われる。本実施例の空調用レジスタは、横ブレード3がリンク30により上部壁部210および下部壁部220と接続されている。このため、横ブレード3を変移させるとこの変移がリンクにより上部壁部210および下部壁部220に伝達され、両壁部210,220が横ブレード3と同様な変移をする。
吹き出し口10から吹き出す空調用空気を下方に向かって吹き出すように調節したときの動作(図1の状態から図2の状態への調節)を具体的に説明する。
まず、横ブレード3の吹き出し口10から突出した部分を下方に押し下げる操作を行う。この操作により、横ブレード3の幅方向の端部側であって基端側に位置する端部側は押し上げられる。この押し上げにより、リンク30も押し上げられる。リンク30が押し上げられると、上部壁部210および下部壁部220のリンク30が接続された部分も押し上げられる。上部壁部210および下部壁部220は、先端側の端部がレジスタパネル1に回転可能な状態で接続されており、基端側が押し上げられることで先端側の端部を中心に回転して変移する。このとき、上部壁部210の基端側に位置する端部が押し上げられたことで、この端部がリテーナ本体20の先端の中心と吹き出し口10の中心とを結ぶ軸から離れた状態となっている。つまり、上部壁部210の基端側に位置する端部近傍において、通風路を区画する上面が、通風路が部分的に拡径した状態となっている。また、下部壁部220の基端側に位置する端部が押し上げられたことで、この端部がリテーナ本体20の先端の中心と吹き出し口10の中心とを結ぶ軸に近接した状態となっている。つまり、下部壁部220の基端側に位置する端部近傍において、通風路を区画する下面が、通風路が部分的に縮径した状態となっている。
上部壁部210および下部壁部220は、上部接続部211および下部接続部221を介してダクト本体20に接続されており、この両接続部211,221により両壁部210,220が変移を生じても通風路が区画できるようになっている。両壁部210,220の基端側の端部が押し上げられると、両接続部211,221の先端側の端部も押し上げられる。このとき、両接続部211,221の基端側の端部は溝部に挿入された状態であり、溝部を区画する側壁により上下方向の変移が規制される。これにより、両接続部211,221は基端側の端部を中心に回転する。ここで、両壁部210,220が回転して変移すると、両壁部210,220の基端側の端部は、回転運動にともなってレジスタパネル1側にわずかに変移する。両壁部210,220の基端側の端部がレジスタパネル1側に変移すると、両接続部211,221も従動して変移する。両接続部211,221が変移しても、両接続部211,221の基端側の端部が溝部内で開口部側に変移するだけで、溝部から外れないため、通風路が区画されている。
上述した動作により、リテーナ2の吹き出し口10近傍の通風路が下方向に向かって曲げられる。また、本実施例の空調用レジスタは、横ブレード3を操作して上方に向かって空調用空気を吹き出させるとき(図3の状態への調節)には、上部壁部210と下部壁部220とが反対に動作する。つまり、上部壁部210の基端側に位置する端部が押し下げられたことで、リテーナ2のレジスタパネル1側の端部における通風路が部分的に縮径した状態となる。また、下部壁部220の基端側に位置する端部が押し下げられたことで、リテーナ2のレジスタパネル1側の端部における通風路が部分的に拡径した状態となる。
本実施例の空調用レジスタは、リテーナ2の吹き出し口近傍の通風路を上下方向に曲げることができる。このことは、通風路の断面積が小さくなっても、所望の方向に空調用空気を吹き出すことができることを示す。また、吹き出し口10の上下方向の幅が小さくなっても、所望の方向に空調用空気を吹き出すことができることを示す。つまり、本実施例の空調用レジスタは、吹き出し口から吹き出す空調用空気の指向性にすぐれたレジスタとなっている。
(実施例2)
本実施例の空調用レジスタは、縦ブレードを操作する縦ブレード操作部の構成が異なる以外は実施例1と同様な構成をもつ。本実施例の空調用レジスタの構成を図5〜6に示した。
本実施例の空調用レジスタは、レジスタパネル1、リテーナ2、横ブレード3および縦ブレード5を備える。
本実施例の空調用レジスタにおいて、レジスタパネル1、リテーナ2および横ブレード3は、実施例1と同様な構成を有する。このため、特に説明はしない。
縦ブレード5は、リテーナ2の通風路の内部に回転自在に支持・収納された略帯状の部材である。縦ブレード5は、横ブレード3に支持されている。縦ブレード5は、略帯状の横ブレード3の幅方向の端部であって基端側の端部に帯の幅方向の中心部を回転軸として回転可能な状態で、組み付けられている。縦ブレード5は、帯の幅方向が空調用空気の流れ方向に沿って配置され、幅方向の中心より先端側に回転軸が位置するように組み付けられている。
そして、縦ブレード5は、複数枚がお互いが平行な状態が維持されるように組み付けられている。詳しくは、複数の縦ブレード5のそれぞれが、縦ブレード5の回転軸より基端側で略棒状の接続部材50で接続されている。
さらに、本実施例の空調用レジスタにおいて複数枚の縦ブレード5のうち、側面壁に対向する縦ブレード521,521は、帯状の幅であって回転軸より先端側に位置する幅がそれ以外の縦ブレード520,522より先端側に突出して形成された帯状を有している。つまり、両側端に配置された縦ブレード521は、それ以外の部位に配置された縦ブレード520よりも先端側に突出した広い幅の帯状を有している。
また、本実施例の空調用レジスタには、縦ブレード5の方向を調節する縦ブレード操作部がもうけられている。縦ブレード操作部は、複数の縦ブレード5のうちレジスタの通風路の中央部に位置する縦ブレード522と一体にもうけられ車室内側に広がる略扇形のギア510と、横ブレード3の幅方向の端部であって先端側の端部にそってスライドする操作ツマミ511と、から構成される。操作ツマミ511は、ギア510の略扇形状の外周面の凹凸とかみ合う係合部512をもつ。つまり、縦ブレード操作部の操作ツマミ510を横ブレード3にそってスライドさせると、係合部512とかみ合ったギア510が回転し、縦ブレード522および縦ブレード522に接続部材50で接続された縦ブレード5が回転し、縦ブレード5の向きが調節できる。
本実施例の空調用レジスタは、縦ブレード5を操作するための構造が異なるのみであり、実施例1の空調用レジスタと同様な効果を発揮する。
なお、本実施例は、縦ブレード5を操作するためのギア510が、横ブレード3の上面側にもうけられているが、ブレード3の下面側にもうけても何ら問題はない。また、本実施例は、操作ツマミ511が横ブレード3の両面を挟み込むような断面略コ字状を有しているが、係合部512をもつ形状であれば、横ブレード3に平行な状態で配置された板状であってもよい。
(実施例3)
本実施例の空調用レジスタの構成を図7〜9に示した。
本実施例の空調用レジスタは、二つの吹き出し口をもつ空調用レジスタであり、それぞれの吹き出し口は、レジスタパネル1、リテーナ2、横ブレード3、縦ブレード6およびダンパ7を備える。
本実施例の空調用レジスタにおいて、レジスタパネル1およびリテーナ2は、実施例1と同様な構成を有する。このため、特に説明はしない。
横ブレード3は、リテーナ2の通風路の内部に回転自在に支持・収納された略帯状の部材である。横ブレード3は、帯の幅方向の中心部を回転軸として回転可能な状態で、帯ののびる方向の両端部が一対の側面壁のそれぞれに回転可能な状態で組み付けられている。回転軸が上部壁部210および下部壁部220の先端側の端部と同じ位置(空調用空気の流れ方向における位置が同じ位置)となるように横ブレード3が支持されている。
縦ブレード6は、リテーナ2の通風路の内部に回転自在に支持・収納された略帯状の部材である。縦ブレード6は、上部壁部210および下部壁部220の先端側の端部と同じ位置(空調用空気の流れ方向における位置が同じ位置)となるようにリテーナ2に支持されている。縦ブレード6は、リテーナ2に回転可能な状態で、組み付けられている。縦ブレード6は、帯の幅方向が空調用空気の流れ方向に沿って配置され、幅方向の中心より先端側に回転軸が位置するように組み付けられている。そして、縦ブレード6は、複数枚がお互いが平行な状態が維持されるように組み付けられている。
さらに、本実施例の空調用レジスタの縦ブレード6は、帯状の幅方向であって回転軸より基端側に位置する部分のうち、上部壁部210および下部壁部220に近接する部分が切り欠けている。これにより、上部壁部210および下部壁部220を操作しても、上部壁部210および下部壁部220と縦ブレード6が干渉しなくなった。
本実施例の空調用レジスタは、縦ブレード6の方向を調節する縦ブレード操作手段8がもうけられている。縦ブレード操作手段8は、レジスタパネル1の吹き出し口10の下方から車室内側に突出した操作部800をもつ操作ツマミ80と、操作ツマミ80と縦ブレード6の回転軸とを接続する接続手段81と、を有する。操作ツマミ80は、上部壁部210および下部壁部220の先端側の端部より先端側を回転中心として回転可能な状態で支持されている。そして、操作ツマミ80の回転中心より基端側に位置する接続軸部801の基端側の端部が接続手段81と接続されている。接続手段81は、操作ツマミ80と縦ブレード6の回転軸とを接続し、操作ツマミ80の接続軸部801の先端の周方向の変移を縦ブレード6の回転軸に伝達し、縦ブレード6を回転させる。
ダンパ7は、リテーナ2内に配置される板状のダンパ本体70と、ダンパ本体70を操作するダンパ操作部と、から構成される。ダンパ本体70は、リテーナ2の通風路の内部に回転自在に支持・収納された、リテーナ2の通風路を遮蔽可能な板状の部材である。ダンパ本体70は、幅方向の中心部を回転軸として回転可能な状態で、両端部が一対の側面壁のそれぞれに回転可能な状態で組み付けられている。
ダンパ操作部は、レジスタパネル1の吹き出し口10の側方に車室内側に突出した操作部710をもつ操作ツマミ71と、操作ツマミ71とダンパ本体70の回転軸とを接続するリンク機構と、を有する。操作ツマミ71は、周方向の外周部が車室内側に突出した略扇形を有する板状の部材であり、扇形の中心部がリテーナ2に周方向に回転可能な状態で指示されている。
リンク機構は、一方の端部720が操作ツマミ71の外周部に揺動可能に支持されるとともに回転軸721がリテーナ2に軸支された第一リンク72と、操作ツマミ71の回転軸と同軸に回転可能な状態で配置された板状を有し第一リンク72の他方の端部722にガイドされる第一ガイド溝730をもつ第二リンク73、回転軸741でリテーナ2に軸支された板状を有し一方の端部740が第二リンク73に設けられた第二のガイド溝731にガイドされ他端742がダンパ本体70の回転軸と接続された第三リンク74と、から構成される。第二リンク73に設けられた第一ガイド溝730および第二ガイド溝731は、ダンパ本体70で通風路の開口量を調節することができるようにそれぞれ略ヘ字状に形成されている。
ダンパ7は、操作ツマミ71の車室内側に突出した部分を操作して、操作ツマミ71を回転させる。操作ツマミ71が回転すると、第一リンク72の一方の端部720が周方向にそって変移し、第一リンク72が回転軸721を中心に回転する。第一リンク72が回転すると、他方の端部722と第一ガイド溝730との作用により第二リンク73が回転する。第二リンク73が回転すると、第二ガイド溝731と第三リンク74の一方の端部740との作用により第三リンク74が回転する。そして、第三リンク74の他方の端部741が変移し、他方の端部741に接続されたダンパ本体70の回転軸を回転する。これにより、ダンパ本体70が回転してリテーナ2の通風路を所望の開口量とできる。
本実施例の空調用レジスタは、縦ブレード6を操作するための構造が異なるのみであり、実施例1の空調用レジスタと同様な効果を発揮する。
(その他の形態)
上記実施例においては、上部壁部210および下部壁部220を横ブレード3に従動する構成としたが、リテーナ2の先端部の一対の側面壁部を縦ブレードに従動する構成としてもよい。また、リテーナ2の先端部の上部壁部、下部壁部および一対の側面壁部のそれぞれを横ブレードあるいは縦ブレードに従動する構成としてもよい。
また、さらに、上部壁部210および下部壁部220をリテーナ本体20と接続する上部接続部211および下部接続部221を、通風路となるリテーナの筒状を保持した状態でリテーナ本体20と両壁部210,220とを接続できる異なる構成としてもよい。たとえば、柔軟性をもつ蛇腹状の筒状部材としてもよい。
上記した各構成においても、リテーナの吹き出し口近傍において通風路の方向を所望の方向に調節でき、上記実施例と同様な効果を発揮できる。
実施例1の空調用レジスタの縦方向の断面図である。 実施例1の空調用レジスタの縦方向の断面図である。 実施例1の空調用レジスタの縦方向の断面図である。 実施例1の空調用レジスタの横方向の断面図である。 実施例2の空調用レジスタの横方向の断面図である。 実施例2の空調用レジスタの縦方向の断面図である。 実施例3の空調用レジスタの横方向の断面図である。 実施例3の空調用レジスタの縦ブレード操作手段の構成を示す断面図である。 実施例3の空調用レジスタのダンパ操作部の構成を示す断面図である。
符号の説明
1:レジスタパネル 10:吹き出し口
2:リテーナ 20:リテーナ本体
210:上部壁部 211:上部接続部
220:下部壁部 221:下部接続部
3:横ブレード 30:リンク
4:縦ブレード 40:接続部材
41:縦ブレード操作部 410:回転中心
411:先端側 412:基端側
5:縦ブレード 50:接続部材
510:ギア 511:操作ツマミ
512:係合部
6:縦ブレード
7:ダンパ 70:ダンパ本体
71:操作ツマミ 72:第一リンク
73:第二リンク 74:第三リンク

Claims (5)

  1. 車室内にもうけられた空調用空気の吹き出し口を持つレジスタパネルと、
    該吹き出し口に連通する通風路を区画する筒状のリテーナと、
    を備える空調用レジスタであって、
    筒状の該リテーナの該レジスタパネル側の端部が、該通風路の上面を区画しかつ該上面が該吹き出し口近傍で該通風路を縮径する状態と拡径する状態との間で変移可能な上面壁部、該通風路の下面を区画しかつ該下面が該吹き出し口近傍で該通風路を縮径する状態と拡径する状態との間で変移可能な下面壁部、該通風路の一対の側面を区画しかつ各該側面がが該吹き出し口近傍で該通風路を縮径する状態と拡径する状態との間で一対の側面壁部、の少なくともひとつを有することを特徴とする空調用レジスタ。
  2. 前記上面壁部、前記下面壁部、前記側面壁部は、前記レジスタパネル側の端部を中心に回転自在に支持された板状を有する請求項1記載の空調用レジスタ。
  3. 前記リテーナは、前記上面壁部および前記下面壁部をもつ請求項1記載の空調用レジスタ。
  4. 前記上面壁部が前記通風路を縮径する状態に変移したときに前記下面壁部が該通風路を拡径する状態に変移し、該上面壁部が該通風路を拡径する状態に変移したときに該下面壁部が該通風路を縮径する状態に変移する請求項3記載の空調用レジスタ。
  5. 前記リテーナ内に回転自在に支持・収納された空調用空気の風向きを横方向に調節可能な縦ブレードと、
    該リテーナ内に回転自在に支持・収納された空調用空気の風向きを縦方向に調節可能な横ブレードと、
    の少なくともひとつをもつ請求項1記載の空調用レジスタ。
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