JP4353844B2 - ベンチレータ - Google Patents

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Description

本発明は、フロントガラスと乗員との間に向けて空調風を吹き出す吹き出し口を備えたベンチレータに関する。
この種の従来のベンチレータとしては、図5に示すものがある(特許文献1参照)。図5に示すように、車室内前方にはインストルメントパネル100が設けられ、このインストルメントパネル100には下方吹き出し口101と上方吹き出し口102とが設けられている。下方吹き出し口101にはインストルメントパネル100内に配索された下方ダクト103が接続され、この下方ダクト103の下方吹き出し口101側は乗員の上半身方向が風軸方向fに設定されている。上方吹き出し口102にはインストルメントパネル100内に配索された上方ダクト104が接続され、この上方ダクト104の上方吹き出し口102側はフロントガラス105と乗員との間が風軸方向Fに設定されている。
空調風を下方吹き出し口101から吹き出させることにより、乗員に対し空調風を直接当てることができる。又、空調風を上方吹き出し口102から吹き出させることにより、乗員に対し空調風を直接当てることなく車室内を所望の室温に保持することができる。
特開平6−328935号公報
ところで、上方吹き出し口102はインストルメントパネル100のほぼ水平部に設定され、物が上方ダクト104内に落下しないように多数の小さな円形や六角形の孔として形成される。そのため、図6に詳しく示すように、上方吹き出し口102は面垂直方向の開口幅d1に対して風軸方向Fの実質開口幅d2が非常に狭くなる。このように風軸方向Fの実質開口幅d2が非常に狭いと、空調風が上方吹き出し口102を通過する際に、空調風の大部分が上方吹き出し口102の内壁に突き当たって上方側に方向変更される。風向きが変更された空調風はフロントガラス105に当たり、フロントガラス105の内面が冷やされて窓曇りが発生するという問題があった。
ここで、インストルメントパネル100に風向板を設けて空調風を所望の向きに変更することが考えられるが、構造が複雑になる。
そこで、本発明は、構造を複雑化することなく、空調風をフロントガラスと乗員との間のスペースに向けて吹き出させることができるベンチレータを提供することを目的とする。
上記目的を達成する請求項1の発明は、車室内前方のインストルメントパネルに吹き出し口を設け、この吹き出し口に空調風を案内するダクトを接続し、このダクトの風軸方向がフロントガラスと乗員との間のスペースに向かう方向に設定されたベンチレータであって、前記吹き出し口を車両前後方向に長い長孔状に形成し、前記ダクト内の空調風の流れ方向に対して吹き出し口面が傾斜し、前記吹き出し口は車両前後方向に長孔で、この長孔が車両前後方向及び車幅方向に複数並んで配列されていることを特徴とする。
請求項2の発明は、請求項1記載のベンチレータであって、前記ダクトの最下流位置の下部には、前記吹き出し口に向かうに従って徐々に下方に傾斜するガイド面を設けたことを特徴とする。また、請求項3の発明は、請求項1または請求項2記載のベンチレータであって、車両幅方向に隣り合う長孔と長孔との間が1ピッチであり、車両前後方向に隣り合う長孔が車両幅方向に1/2ピッチだけシフトして整列されていることを特徴とする。
請求項1の発明によれば、吹き出し口における風軸方向の実質開口幅が広くなり、空調風が吹き出し口を通過する際に、吹き出し口の内壁に突き当たる割合が低く、空調風がダクトのほぼ風軸方向に沿った方向に吹き出す。このように所望の向きに空調風を吹き出させるのに、吹き出し口の形状を単に長孔状に形成すれば良い。以上より、構造を複雑化することなく、空調風をフロントガラスと乗員との間のスペースに向けて吹き出させることができる。
請求項2の発明によれば、請求項1の発明の効果に加え、空調風の風向きがコアンダ効果により下方に矯正されるため、空調風の吹き出し方向が下方に修正される。従って、空調風がフロントガラスに当たる事態を確実に防止できる。また、請求項3の発明によれば、請求項1または請求項2と同様の効果を得ることができる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1(a)及び図1(b)は本発明の第1実施形態を示し、図1(a)はベンチレータ1Aの概略側面図、図1(b)は上方吹き出し口3の正面図である。
ベンチレータ1Aは、図1(a)に示すように、車室内前方に配置されたインストルメントパネル2に吹き出し口である多数の上方吹き出し口3を有している。この多数の上方吹き出し口3にはインストルメントパネル2内に配索されたダクトである上方ダクト4が接続され、この上方ダクト4の上方吹き出し口3側はフロントガラス5と乗員(図示せず)との間のスペースに風軸方向Fが設定されている。又、多数の上方吹き出し口3は、図1(b)に詳しく示すように、車両前後方向A及び車両幅方向Bに配列され、車両前後方向Aに長い長孔状に形成されている。具体的には、多数の上方吹き出し口3は、車両前後方向Aに隣り合う列が車両幅方向Bに1/2ピッチだけシフトして整列され、孔形状が長方形状で、且つ、車両前後方向Aの中央から両端方向に向かって徐々に幅が小さくなる形状を有している。
上方ダクト4の最下流位置の下部には、上方吹き出し口3に向かうに従って徐々に上方に傾斜し、最上箇所を過ぎると今度は下方に傾斜する略円弧状のガイド面6が設けられている。
尚、インストルメントパネル2には下方吹き出し口(図示せず)が設けられている。この下方吹き出し口(図示せず)には、インストルメントパネル2内に配索された下方ダクト(図示せず)が接続され、この下方ダクトの下方吹き出し口側は乗員の上半身方向が風軸方向に設定されている。
上記構成において、各上方吹き出し口3が車両前後方向Aに長孔形状に形成されているので、車両前後方向Aにおける面直交方向の開口幅d1が従来例に較べて非常に広くなると共に、風軸方向Fの実質開口幅d2が従来例に較べて広くなる。従って、空調風が上方吹き出し口3を通過する際に、上方吹き出し口3の内壁に突き当たる割合が低くなるため、空調風が上方ダクト4のほぼ風軸方向Fに沿って上方吹き出し口3より吹き出される。そして、このようにほぼ所望の向きに空調風を吹き出させるのに、上方吹き出し口3の形状を単に長孔状に変更すれば良い。以上より、構造を複雑化することなく、空調風をフロントガラス5と乗員(図示せず)との間に向けて吹き出させることができる。
上記第1実施形態では、上方ダクト4の下部にガイド面6を設けたので、空調風の風向きがコアンダ効果(曲面付近を流れる流体はその曲面に沿って流れる性質)により下方に矯正されるため、空調風の吹き出し方向を下方に修正できる。従って、空調風がフロントガラス5に当たる事態を確実に防止できる。
図2(a)〜(e)は、上方吹き出し口3の各変形例の平面図である。図2(a)の上方吹き出し口3aは、車両幅方向B及び車両前後方向Aに配列され、車両前後方向Aに隣り合う列が車両幅方向Bに1/2ピッチだけシフトし、孔形状が正確な長方形状を有している。図2(b)の上方吹き出し口3bは、車両前後方向A及び車両幅方向Bに配列され、車両前後方向A及び車両幅方向Bに隣り合う列がそれぞれ1/2ピッチだけ車両幅方向B及び車両前後方向Aにそれぞれシフトし、孔形状が正確な長方形状を有している。図2(c)の上方吹き出し口3cは、その配列が図1(b)や図2(a)と同様であり、孔形状が略扇状を有している。図2(d)の上方吹き出し口3dは、その配列が図1(b)や図2(a)と同様であり、孔形状が略楕円状を有している。図2(e)の上方吹き出し口3eは、その配列が図1(b)や図2(a)と同様であり、孔形状が菱形状を有している。
図3及び図4は本発明の第2実施形態であり、図3はベンチレータ1Bの分解斜視図、図4はベンチレータ1Bの断面図である。
ベンチレータ1Bは、図3及び図4に示すように、車室内前方に配置されたインストルメントパネルである中央インストルメントパネル部10と、この中央インストルメントパネル部10に固定されたダクト構造体11とを備えている。
中央インストルメントパネル10は、パネル本体12とこの上面に配置されるグリル13とから構成されている。パネル本体12の3箇所には、上方ダクト出口部14が一体にそれぞれ形成され、この各上方ダクト出口部14に上方ダクト構造体11のダクト本体11a(図4に示す)が接続されている。各上方ダクト出口部14とダクト本体11aによって上方ダクト4(図4に示す)が構成されている。3箇所の上方ダクト出口部14は、車両横方向から見た場合にフロントガラス15と乗員(図示せず)との間のスペースに風軸方向Fが共に設定されているが、車両後方向から見た場合に中央のものはほぼ真上方向に、左側のものは左傾斜方向に、右側のものは右傾斜方向に風軸方向Fが向かっている。
グリル13は、3箇所の上方ダクト出口部14を覆うようにしてパネル本体12の上面に固定されている。グリル13は、パンチングメタルによって構成され、そのほぼ全域に亘って吹き出し口である多数の上方吹き出し口16が形成されている。多数の上方吹き出し口16は、前記第1実施形態と同様に、車両前後方向A及び車両幅方向Bに規則正しく配列され、車両前後方向Aに長い長孔状を有している。
又、上方ダクト4の最下流位置となる各上方ダクト出口部14の下部は、上方吹き出し口16に向かうに従って徐々に下方に傾斜するガイド面17として形成されている。
上記構成において、前記第1実施形態と同様に、上方吹き出し口16が車両前後方向Aに長い長孔形状に形成されているので、風軸方向Fの実質開口幅d2が従来例に較べて広くなる。従って、空調風が上方吹き出し口16を通過する際に、上方吹き出し口16の内壁に突き当たる割合が低くなるため、空調風が上方ダクト4のほぼ風軸方向Fに沿って上方吹き出し口16より吹き出される。そして、このように所望の向きに空調風を吹き出させるのに、上方吹き出し口16の形状を単に長孔状に変更すれば良い。以上より、構造を複雑化することなく、空調風をフロントガラス15と乗員(図示せず)との間のスペースに向けて吹き出させることができる。
又、この第2実施形態では、上方ダクト出口部14の下部にガイド面17を形成したので、上記第1実施形態と同様に、空調風の風向きがコアンダ効果により下方に矯正されるため、空調風の吹き出し方向を下方に修正できる。従って、空調風がフロントガラス15に当たる事態を確実に防止できる。
本発明の第1実施形態を示し、(a)はベンチレータの概略側面図、(b)は上方吹き出し口の正面図である。 (a)〜(e)は、上方吹き出し口の各変形例の平面図である。 本発明の第2実施形態を示し、ベンチレータの分解斜視図である。 本発明の第2実施形態を示し、ベンチレータの断面図である。 従来例のベンチレータの構成図である。 従来例の上方吹き出し口の構成図である。
符号の説明
1A,1B ベンチレータ
2 インストルメントパネル
3,16 上方吹き出し口(吹き出し口)
4 上方ダクト(ダクト)
5,15 フロントガラス
6,17 ガイド面
F 風軸方向
A 車両前後方向

Claims (3)

  1. 車室内前方のインストルメントパネル(2),(10)に吹き出し口(3),(16)を設け、この吹き出し口(3),(16)に空調風を案内するダクト(4)を接続し、このダクト(4)の風軸方向(F)がフロントガラス(5),(15)と乗員との間のスペースに向かう方向に設定されたベンチレータ(1A),(1B)であって、
    前記吹き出し口(3),(16)を車両前後方向(A)に長い長孔状に形成し、前記ダクト(4)内の空調風の流れ方向に対して吹き出し口面が傾斜し、前記吹き出し口(3),(16)は車両前後方向に長孔で、この長孔が車両前後方向及び車幅方向に複数並んで配列されていることを特徴とするベンチレータ(1A),(1B)。
  2. 請求項1記載のベンチレータ(1A),(1B)であって、
    前記ダクト(4)の最下流位置の下部には、前記吹き出し口(3),(16)に向かうに従って徐々に下方に傾斜するガイド面(6),(17)を設けたことを特徴とするベンチレータ(1A),(1B)。
  3. 請求項1または請求項2記載のベンチレータ(1A),(1B)であって、
    車両幅方向に隣り合う長孔と長孔との間が1ピッチであり、車両前後方向に隣り合う長孔が車両幅方向に1/2ピッチだけシフトして整列されていることを特徴とするベンチレータ(1A),(1B)。
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