JP2006274319A - 高強度低ヤング率チタン合金とその製造方法 - Google Patents

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【課題】高強度であってヤング率が低く冷間加工が容易で軽量であり、眼鏡フレームや人工骨などに好適なチタン合金とその製造方法を提供する。
【解決手段】常温においてβ相が不安定な合金では冷間加工を施すことよりマルテンサイト相を生成させた後に150〜350℃の熱処理を施すことで、逆変態で生成した微細β相と、該β相内に析出した微細α相とから構成される高強度、低ヤング率チタン合金を得る。一方、マルテンサイト組織を有する合金では加工によってマルテンサイトの配向性を高めることにより高強度、低ヤング率チタン合金を得る。
合金組成は、V、Mo、Nb、Ta、Wの中から1種以上を5wt%以上40wt%以下含み、かつAl、Sn、Zrより1種以上を10%wt%以下含有し、残部がTiおよび不純物から成る。
【選択図】図2

Description

本発明は高強度低ヤング率のチタン合金とその製造方法に関する。
チタンおよびチタン合金は、耐食性にすぐれ、軽くて強度が高い、すなわち比強度が高く、しかもアレルギーを引き起こさないなど生体に対する適合性が良好である。このような点から、従来の耐食用機械部品や航空機部品のような用途に加えて、肌に直接触れる装身具や人工骨、インプラントなど医療用具にもその用途が拡大されつつある。これらの特性に加え、ヤング率(のび弾性率)が低いという特徴があり、これを生かして特に眼鏡フレームに多く用いられている。
ヤング率が低ければ、たとえば、強度が同じで同じ断面形状を持っているとすると、同じ力が加わったときに、より大きくたわむことができる。したがって、そのような特性を備えたチタン合金で眼鏡フレームを構成すれば、顔の形状に沿って容易に変形し、そのときの接触面の加圧力が低下することになり、装着による圧迫感が大幅に軽減する。また、ヤング率が低いことは、バネ材において同じ変形に対して断面積を大きくできるので、へたりが低減される。さらに、ゴルフクラブヘッドのフェース部のように、たわみが大きい方が打球の飛距離が増すといった用途もある。
このように低弾性率かつ高強度のチタン合金は生体用のインプラント、眼鏡フレーム、ゴルフヘッドや野球用バットに代表されるスポーツ用品、更には輸送機器用のばね材料に代表されるサスペンションへの応用が可能である。
ヤング率は、鉄や鋼では205GPa前後であり、銅では130GPa程度、アルミニウムでは70GPa程度である。これに対しチタンの場合、純チタンやα合金では115GPa程度であるが、β合金では80GPa程度に低下する。
ヤング率をより一層低下させたチタン合金に関しては、β型合金を対象にいくつかの発明が提案されている。たとえば特許文献1に開示された発明は、NbおよびTaを合計で20〜60質量%含有するヤング率が50〜60GPa程度のチタン合金であるが、そのなかのTaは6〜20質量%である。しかし、Taは密度が16.6g/cmでチタンの3.7倍もあり、Ta含有量を増すと重量が増し、軽いというチタンの特徴が失われてしまう。
特許文献2には、低ヤング率のチタン合金として、Va族元素(V、NbおよびTa)を30〜60質量%含有するチタン合金の発明が開示されている。この場合、発明の効果を評価するのに「平均ヤング率」なる指標を用いているが、この指標は、引張試験の応力−ひずみ曲線において、0.2%耐力の1/2の応力が印加されたときの曲線の傾きであると定義している。一般に示されるヤング率は、比例限度内の変形範囲で計測する。これに対し、このように永久変形してしまう範囲までも含んで計測すると、同じ合金でも通常に測定されたヤング率より低い値になることが明らかである。したがって、この特許文献2の「平均ヤング率」の値は、一般のヤング率とは異なる計測方法にて求められた値であり、その値が低いことで判断しているのであれば、低ヤング率の合金が開発できたとは言い難い。
また、特許文献3には、低ヤング率のチタン合金の組成を決定する方法の提案がなされており、計算値としてヤング率が50GPaを下回る組成が推測されているが、実際に作製された合金としては、60GPa程度のものしか示されていない。
特開平10−219375号公報 特開2002−332531号公報 特開2003−90787号公報
本発明の課題は、ヤング率が低く冷間加工が容易で軽量であり、眼鏡フレームなどに好適なチタン合金とその製造方法を提供することである。
特に、ヤング率の増加を招くことなしに強度を向上させることが可能なチタン合金とその具体的な製造方法を提示することである。
チタン合金にはα型合金、α+β型合金およびβ型合金があるが、前述のようにβ型合金がヤング率は最も低い。また、β型合金は一般的に強度が高く、しかも冷間加工性にすぐれている特徴がある。そこで、β型合金を主対象に、ヤング率をさらに低く、しかも冷間加工性をさらに向上できる組織および組成を求めて種々検討を重ねた。
すなわち、本発明者らは、β型の(Ti−5〜40mass%Nb)−0〜10mass%Sn合金のヤング率および引張特性を、加工・熱処理プロセスを変化させたときの相変態と組織形態の変化に関係づけて室温で調べ、次のような知見を得た。
マルテンサイト変態開始温度が室温付近にある(Ti−35mass%Nb)−4mass%Sn合金では冷間圧延により応力誘起マルテンサイト相が形成する。圧延方向のヤング率は応力誘起マルテンサイト相の集合組織形成に起因して減少する。この応力誘起マルテンサイト相は冷間圧延後の523Kの熱処理でβ(b.c.c)相に逆変態してヤング率はもとの溶体化材の値に戻る。その組織形態は圧延方向に伸長した結晶粒で構成され、粒径は幅方向の平均で1μm程度以下と非常に微細である。そのため43GPaという低ヤング率を保ったままで800Mpa以上の高張力強度を示す。
以上の検討結果に基づき、さらに限界条件を明らかにして本発明を完成させた。本発明の要旨は次のとおりである。
(1)常温において存在するマルテンサイト相を冷間加工することにより加工マルテンサイト組織が生成するチタン基合金、あるいは冷間加工を施すことによりマルテンサイト組織が生成するチタン基合金のいずれかの合金に冷間加工を行うことにより得た異方性あるマルテンサイト組織を有するチタン合金。
(2)常温において存在するマルテンサイト相を冷間加工することにより加工マルテンサイト組織が生成するチタン基合金、あるいは冷間加工を施すことによりマルテンサイト相が生成するチタン基合金のいずれかの合金に逆変態させることで生成させた微細β相と、該β相内に析出した微細α相とから構成される組織を有するチタン合金。
(3)平均粒径1μm 以下の微細β相と、該β相内に析出した微細α相とから構成される組織を有する800MPa以上の高強度であって40〜70GPaの低ヤング率チタン合金。
(4) V、Mo、Nb、Ta、Wの中から1種以上を5wt%以上40wt%以下含み、かつAl、Sn、Zrより1種以上を10%wt%以下含有し、残部がTiおよび不純物から成る、上記(1)ないし(3)のいずれかに記載のチタン合金。
(5)常温においてマルテンサイト相を有する合金を加工することによって加工マルテンサイト組織が生成するチタン基合金、あるいは冷間加工を施すことよりマルテンサイト組織を生成するチタン基合金のいずれかの合金に冷間加工を施した後に150〜350℃の熱処理を施すことを特徴とするチタン合金の製造方法。
(6) 出発チタン合金として、V、Mo、Nb、Ta、Wの中から1種以上を5wt%以上40wt%以下含み、かつAl、Sn、Zrより1種以上を10%wt%以下含有し、残部がTiおよび不純物からなるβ型チタン合金を用いることを特徴とする上記(5)記載のチタン合金の製造方法。
本発明によれば、40〜70GPaの低弾性率を維持した状態で1000MPaを超える高強度化を達成できるチタン合金とその製造方法が得られる。即ち、そのための最適な合金組織とそれを実現するための加工プロセスとが明かにされる。低応力でマルテンサイト変態が誘起されるという特徴を利用しているため冷間加工性に優れ、しかも150℃〜350℃の低温での熱処理の組合せであるために非常に簡便な加工プロセスで製造コストも大幅に低減される。このように応力誘起マルテンサイト相とその逆変態とそれに伴う微細な析出相を利用した低弾性率化、高強度化のプロセスはチタン合金において新規であり、それにより得られる弾性率と引張強度の比率では報告されているTi合金の中ではこれまで実現されることがなかった最高レベルを示している。
Ti-Nb、Ti-V等のβ型チタン合金におけるAl、Sn、Zr添加の効果については、β型Ti-Nb合金およびTi-V系合金にSn、Zr、Alを添加することによりヤング率は更に減少する。これは、ヤング率を上昇させるω相の形成を抑制すること、DV-Xα法の理論計算からも予想されるように、原子間結合力が減少することから説明できる。
本発明のチタン合金は、耐食性にすぐれ、比強度が高いチタンの特性を有しているだけでなく、ヤング率がとくに低く、その上重くないという特徴がある。このような特徴は眼鏡のフレームに用いれば好適であり、低ヤング率という特徴から、へたりのないバネあるいはゴルフクラブヘッドのフェース部などにも効果的に用いることが可能である。
次に、本発明にかかるチタン合金の組織および組成限定の理由およびその製造方法について具体的に説明するが、本明細書においては合金組成は特にことわりがない限り、「wt%」あるいは「mass%」、つまり「質量%」で表示するものとする。
ここに、本発明にかかるチタン合金は、異方性をもつ加工マルテンサイト組織から成るチタン合金であり、あるいは平均粒径1μm 以下の微細β相と、該β相内に析出した微細α相とから構成される組織を有する800MPa以上の高強度であって40〜70GPaの低ヤング率チタン合金である。異方性をもつ加工マルテンサイト組織は圧延方向に伸長した針状マルテンサイト組織である。一方、微細β相は、冷間加工を施すことにより生成したマルテンサイト相からの逆変態相であり、そのため上述のように平均粒径1μm 以下が実現される。いずれの組織においても40〜70 GPaの低ヤング率が維持できる。換言すれば、平均粒径1μm 以下で、上述のような低ヤング率が実現できれば、マルテンサイト相からの逆変態相だけに制限されるものではない。
上述のような加工誘起マルテンサイト相を得るには、Ms(マルテンサイト変態温度)が室温付近になるように合金組成を調節し、冷間加工を行えばよい。
逆変態後のβ結晶粒はマルテンサイト組織を引き継いで微細であるうえ、加工によって導入された高密度転位は低温熱処理では消滅しないため、αは転位上に微細析出する。このようにα相が析出することでチタン合金の引張強度はさらに改善されるのである。
かくして、本発明にかかるチタン合金は2種類が存在する。常温でマルテンサイトの合金では、加工することにより配向性のあるマルテンサイト組織を有する。一方、他は冷間加工を施すことより生成するマルテンサイト相からの逆変態で生成した微細β相と、該β相内に析出した微細α相とから構成される組織を有する。いずれにおいても、800MPa以上、より好ましくは1000MPa以上の高強度と、40〜70GPaという低ヤング率を実現できるのである。
本発明の高強度低ヤング率near−β型チタン合金またはマルテンサイト型チタン合金は、V、Mo、Nb、Ta、Wの中から1種以上を5wt%以上40wt%以下含み、かつAl、Sn、Zrより1種以上を10%wt%以下含有し、残部がTiおよび不純物である組成とする。また、本発明のチタン合金はnear−β型またはマルテンサイト型チタン合金である。
V、Mo、Nb、Ta、Wはチタンに含有させると、β相を安定させる作用があり、高温のβ相からの冷却により常温でもβ相単相である合金にすることができる。また、このβ相の安定化と共に、ヤング率をより大きく低下させる効果がある。
これらの元素を1種以上を5wt%以上40wt%以下とするのは、5wt%未満の場合、冷間加工性が劣るうえ、ヤング率が低下しない。しかし含有量が多すぎると、比重が大きくなるのに加えて、ヤング率が高くなので、40wt%以下とするのがよい。
Al、Sn、Zrは、上述のNbなどの元素と共に含有させることにより、ヤング率のより一層の低下をもたらすばかりでなく、冷間加工性を劣化させずに強度を向上させる効果がある。Al、Sn、Zrより1種以上を10%wt%以下とするが、10wt%超ではヤング率を上昇させ、冷間加工性を劣化させる。
これらの合金の製造は、チタン合金にて通常用いられる非消耗電極式または消耗電極式の真空またはアルゴンアーク溶解法、電子ビーム溶解法、プラズマ溶解法等を用いておこなえばよい。得られた鋳塊は、熱間鍛造、熱間圧延、冷間圧延等の一般的に用いられる方法で、所要形状に成形加工する。
ここに、本発明の好適製造方法によれば、冷間加工により生成した配向性のあるマルテンサイト相に対して、150〜350℃に加熱してβ相への逆変態を行う。150℃未満では変態点を越えることがなく、微細β相の生成が起こらない。350℃超では転位の再配列およびβ粒の成長が過度におこり微細β相が得られない。このときの熱処理時間は微細β相が生成し、同時に相内にα相が析出すれば特に制限はないが、一般には、0.1〜5時間で十分である。もちろん、そのときに炉内雰囲気は不活性ガス雰囲気とすることが好ましい。
次に、実施例によって本発明の作用効果をさらに具体的に説明する。
(実施例1)
本例では、低弾性率・高強度Ti−Nb−(Sn)合金の製造例を示す。
供試合金組成は、Ti−(25wt%−40wt%)Nb−(0−10wt%)Snであった。
供試合金の溶製に当たっては、純度99.5質量%以上のスポンジチタンを原料とし、1ヶ約200gの小形鋳片をArアーク溶解により溶製した。この厚さ12mmの鋳片を1100℃に加熱し、6mm厚さまで圧延率50%の熱間圧延を施し、1150℃で24時間保持後氷水中へ焼き入れる溶体化熱処理を行った後、圧延率が66%と89%の冷間圧延を施して最終厚みを1.0mmとした。これを短冊状に切断して、150〜300℃において2時間加熱保持した後に徐冷する熱処理を施した。熱処理温度を変えることで、 強度とヤング率を評価した。これらより幅10mm、長さ60mmの板状試験片を採取し、共振法によりヤング率を測定した。強度はJIS 13号Bの試験片を用いて、室温にて歪速度0.5%/minで引張試験を行って求めた。
結果を図1ないし図4にまとめて示す。
図1は、Ti-35%Nb-4%Sn合金(便宜上合金Aという)の常温状態(ST)、66%冷間圧延後(66%CR)、89%冷間圧延後(89%CR)、そしてそのあとに473Kでの熱処理を行った後(473K HT)、同じく523Kでの熱処理を行った後(523K HT)のそれぞれの合金組織のX線回折強度を示すもので、図中、α’’で示すのがマルテンサイト相であって、冷間加工により発生し、その後の熱処理による逆変態で消失し、一部α相が生成している。
図2は、合金Aについてのヤング率を示すグラフである。図3は、引張強度(tensile strength)を示すもので、熱処理によって強度が改善されることがわかる。
図4は、合金Aについて引張強度/ヤング率の比率をとったもので、比較のために、従来の各種Ti合金その他について同様に比率をとって示す。この比率が大きいほど低ヤング率化と高強度化の同時達成度が高いことを示す。
これらの結果からも分かるように、溶体化処理後(ST)のヤング率は構造不安定な合金組成で最小を示す。これはマルテンサイト変態とω変態の抑制に関与している。しかしながら、このような合金組成の低ヤング率は、室温付近にマルテンサイト変態温度(Ms)があるためであり、多くのマルテンサイト変態する合金と同様に、母相(bcc)のヤング率はMs以上の温度では温度上昇とともに増加する。
そこで、この構造不安定な組成にて冷間圧延(CR)を行うことにより極めて低応力で応力誘起マルテンサイト相を形成させる。この応力誘起マルテンサイト相は特定のバリアントが圧延過程で発達するためにヤング率は溶体化後に比べて更に10GPa以上減少する。またこの応力誘起マルテンサイト相を150℃〜350℃の低温で逆変態することによりヤング率はもとの溶解後とほぼ同等に戻り、室温付近で温度依存性を示さなくなる。これは、β(b.c.c)相が安定化したためで、一方で強度は著しく増加する。その原因は、加工硬化と圧延により形成された応力誘起マルテンサイト相の逆変態に伴うβ(b.c.c)相の微細粒組織(平均結晶粒径(圧延方向に幅方向):1μm)の形成、更には加熱処理に伴う微細α相の析出にある。これに対して、構造安定な組成では、このような著しい強度増加は達成されない。
(実施例2)
本例では、低弾性率・高強度Ti−(10wt%−16wt%)V−(0−8wt%)Sn合金の製造例を示す。
供試合金は、Arアーク溶解法にて1ヶ約200gのインゴットを作製して1150℃−24hrの条件で均質化熱処理を行った。その後、950℃−2hrの条件で溶体化焼入れ処理を行い、圧下率89%までに冷間圧延を行った。その後、150〜350℃で2時間保持の条件で加熱処理を行った。
得られた結果によれば、十分に均質化熱処理後、冷間圧延を行うことにより弾性率は均質化後にくらべて減少する。弾性率の範囲は40〜70GPaであった。また冷間圧延により強度は1000MPa程度までに増加する。更に冷間圧延後に200℃〜300℃の低温で熱処理を行うことにより強度はさらに最高で1200MPaまでに増加する。その際、弾性率は均質化の状態とほとんど変わりない。
本例における強化方法は以下の通りであった。まず、Ti−Nb−(Sn)合金で示したように冷間圧延により応力誘起マルテンサイト相を形成させて、その後の加熱処理(150℃〜350℃)によりβ相(b.c.c)に逆変態させる。それにより結晶粒が数μmまでに微細化される。また熱処理により微細なα相が析出する。それにより強度が著しく増加する。また、均質化後にマルテンサイト組織の合金組成においても冷間圧延後に弾性率は低下して強度は著しく増加する。更に冷間圧延後の加熱処理(150℃〜350℃)により弾性率を大きく変化させることなく強度を著しく増加させることも可能である。
Figure 2006274319
本発明の実施例の結果を示すX線回折グラフである。 本発明の実施例の結果を示すグラフである。 本発明の実施例の結果を示すグラフである。 本発明の実施例の結果を示すグラフである。

Claims (6)

  1. 常温において存在するマルテンサイト相を冷間加工を施すことにより加工マルテンサイト組織が生成するチタン基合金、あるいは冷間加工を施すことによりマルテンサイト組織が生成するチタン基合金のいずれかの合金に冷間加工を行うことにより得た異方性あるマルテンサイト組織を有するチタン合金。
  2. 常温において存在するマルテンサイト相を冷間加工することにより加工マルテンサイト組織が生成するチタン基合金、あるいは冷間加工を施すことよりマルテンサイト組織が生成するチタン基合金のいずれかの合金に逆変態させることにより生成させた微細β相と、該β相内に析出した微細α相とから構成される組織を有するチタン合金。
  3. 平均粒径1μm 以下の微細β相と、該β相内に析出した微細α相とから構成される組織を有する800MPa以上の高強度であって40〜70GPaの低ヤング率チタン合金。
  4. V、Mo、Nb、Ta、Wの中から1種以上を5wt%以上40wt%以下含み、かつAl、Sn、Zrより1種以上を10%wt%以下含有し、残部がTiおよび不純物から成る、請求項1ないし3のいずれかに記載のチタン合金。
  5. 常温においてマルテンサイト相を有する合金を加工することによって加工マルテンサイト組織が生成するチタン基合金、あるいは冷間加工を施すことよりマルテンサイト組織を生成するチタン基合金のいずれかの合金に冷間加工を施した後に150〜350℃の熱処理を施すことを特徴とするチタン合金の製造方法。
  6. 出発チタン合金として、V、Mo、Nb、Ta、Wの中から1種以上を5wt%以上40wt%以下含み、かつAl、Sn、Zrより1種以上を10%wt%以下含有し、残部がTiおよび不純物からなるβ型チタン合金を用いることを特徴とする請求項5記載のチタン合金の製造方法。
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