JP4371201B2 - β型チタン合金およびその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明が属する技術分野】
本発明は、溶体化された状態にて冷間加工の変形抵抗が低く、すぐれた変形能を有し、時効処理後は高強度となるβ型チタン合金およびその合金の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
チタン合金は、低密度で強度が高く、実用金属材料の中で高い比強度(強さ/密度)を持ち、しかも耐食性にすぐれていることから、航空機材料を始め、自動車部品用材料、医療機器材料、眼鏡用材料、ゴルフクラブ用材料、食器用材料などにもその用途が広がりつつある。それにともなって、チタン合金の性質のさらなる改善や価格の低減が、より強く要望されている。
【0003】
チタン合金は、その常温における金属組織を構成する相の結晶構造からα(稠密六方晶:hcp)型、β(体心立方晶:bcc)型、およびα+β型に大別される。工業用純チタンやAlなどを少量添加した合金はα型であり、高強度合金としてよく知られ航空機などに使用されるTi−6Al−4V合金はα+β型で、β型はα+β型よりさらにβ相を安定させる元素の含有量を増加した合金である。
【0004】
チタン合金は一般に冷間加工性が悪く、このために製造コストが高くなってしまう。冷間加工性が比較的良好な酸素含有量の低い純チタンでは、成形された部品の強度が不足し、高い比強度が要望される部品には適用困難である。一方、強度の高いチタン合金として最も代表的なTi−6Al−4Vは、強度は高いが常温での変形能がきわめて悪く、熱間加工か切削加工でしか目的とする形状に成形できず、製造コストが嵩む。
【0005】
上記のような事情から、体心立方晶の結晶構造を持つβ型のチタン合金が注目されている。β型の合金は、たとえば、Ti−3Al−8V−6Cr−4Mo−4Zr合金やTi−15V−3Cr−3Al−3Snである。これらのβ型合金は、溶体化処理を施しβ単相としたときの冷間加工における変形能が大きく、加工後時効処理をおこなってα相を析出させ、強度を高めることが可能で、精密部品用材料として好ましい特性を有している。
【0006】
しかしながら、これまで知られているβ型チタン合金は、変形能は良好であっても変形抵抗が高い。従って、たとえば冷間鍛造をおこなう場合に、ダイスやポンチなどの金型が少ない使用回数で割れたり欠けたりすることが多い。また、被加工材料製造のための冷間圧延ではロール摩耗が大きく、冷間伸線などの場合は焼き付きが生じやすい。
【0007】
このような問題を解決する発明として、特許文献1(特許第2669004号公報)にV:15〜25%、Al:2.5〜5%、Sn:0.5〜4%、酸素:0.12%以下、残部Tiおよび不純物の合金(以下、Ti−20V−4Al−1Sn合金と略称する)の発明が開示されている。この合金は、変形能は従来のβ型チタン合金とほぼ同等であるが、溶体化処理状態における強度が低くて変形抵抗が低いだけでなく、時効処理後の強度が高い。しかし、この発明の合金を作製し、種々の部品に成形してみると、β処理状態での変形能が、かならずしも安定してすぐれたものにならず、変形抵抗も不安定である。また、時効後の強度も変動が大きいという難点がある。
【0008】
【特許文献】
特許第2669004号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の第1の目的は、溶体化の状態で冷間加工性にすぐれ、しかも、時効処理後の強度が高いという特性が容易に、かつ安定して実現できるチタン合金を提供することにある。
【0010】
本発明の第2の目的は、上記のチタン合金を製造するに際して、そのH(水素)含有量を低減するための酸洗方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
β型チタン合金は チタンの高温相であるβ相を急冷して室温にまで持ち来した準安定β相の合金である。このβ相を安定化させるための合金元素としては、V、Mo、Nb、Ta、Cr、Fe、Mn、などがあるが、これらの中で、固溶による硬化が小さく、加工性への悪影響が少なく、時効により高強度が得られ、しかも相対的に安価な元素として、VとMoとがある。しかしMoは融点が高く偏析しやすいこと、およびMo添加によって熱間加工性や冷間加工の変形抵抗が高くなるなどの難点があるのでVを選び、時効処理時の強度上昇からAlを含有させ、固溶硬化の抑制を目的にAlの一部をSnに置き換えたのが、Ti−20V−4Al−1Sn合金である。
【0012】
この合金を数多く製造する過程で、冷間加工性と時効強化性がかならずしも安定して得られない、という問題のあることがわかり、本発明者はこの原因解明とその対処のため、種々の検討をおこなった。まず、主要組成のV、AlおよびSnについて、含有量の範囲の組み合わせを変えて加工性や時効性を調査した。しかし、これらの主要成分の変動は、含有量の範囲の限界近くになると多少その影響が現れる以外、とくには顕著な特性変化への影響は認められなかった。
【0013】
ところが、上述の調査の過程で、β型Ti−20V−4Al−1Sn合金に対し、O(酸素)、H、Fe、CおよびNの、一般的にチタンの不純物とされる元素の含有が、この合金の特性、すなわち冷間加工性と時効後の強度向上にとくに大きく影響していることが明らかになってきた。これらの不純物元素は、JIS-H-4600、JIS-H-4605あるいはJIS-H-4607などのチタンやチタン合金の規格でそれぞれの含有量が規制されている。しかし、その規制は本発明によって改良しようとするβ型Ti−20V−4Al−1Sn合金を対象とするものではない。
【0014】
上記の各元素の作用については次のようなことが知られている。
【0015】
Oは、α相安定化元素であり、多く含まれると溶体化処理によるβ相単相化を阻害するが、それよりも合金を硬化させ変形抵抗を大きくし、変形能も低下させる。Hはβ相安定化元素なので、α相析出による時効硬化を遅らせ、時効による強度向上を阻害する。Feはβ相安定化元素ではあるが、溶体化処理した合金の強度を高くし変形抵抗を増加させるので、多量の含有は好ましくない。Cは炭化物の析出物を形成し、変形抵抗および変形能をいずれも大きく低下させる。Nはβ相中に1%程度固溶するが、延性の大きな低下を引き起こし変形能を低下させる。
【0016】
しかしながら、β型Ti−20V−4Al−1Sn合金の場合、上記JIS規格に規制されている範囲内に不純物を規制しようとしても、その範囲内には容易に低減できない元素があること、また、規格内に限定しても、その量がこの合金の特性に大きく影響する元素のあること、がわかってきた。これは、JIS規格で規定されているチタン合金はα型またはα+β型の合金であるのに対し、Ti−20V−4Al−1Snはβ型合金であることによると考えられる。
【0017】
たとえば、β型合金は、α型合金やα+β型合金に比較してきわめて水素を吸収しやすい。とくに厚さが5mm以下の冷間圧延して製造する板の場合、良好な表面を得るために熱間圧延後脱スケールをおこなわなければならない。この脱スケール方法には機械的に表面を研削する方法もあるが、この方法は処理速度が遅く歩留まりが悪い。従って、弗酸や硝弗酸による酸洗をおこなうのが普通である。ところが、冷間圧延のため溶体化してβ型にしたTi−20V−4Al−1Sn合金の場合、酸洗中に上記のJIS規格で定められる限界量を大幅に超える水素が吸収されてしまう。酸洗条件を種々工夫してもその十分な低減は困難である。また上記合金は酸化スケールを増大させる成分を含むので、酸洗時間が長引くことにより水素吸収が多くなりがちである。
【0018】
β型合金は、所用形状に加工後、時効処理をおこなって強度を向上させることができる。しかし、含有されている水素は、時効硬化を著しく阻害し、時効処理時間を長引かせたり、目的とする強度までの時効硬化を困難にする。その上、水素は、合金の延性を低下させて加工性を劣化させ、さらには靱性も大きく劣化させる。真空中で高温加熱することにより脱水素は可能であるが、長時間の処理を要し、その上、この処理中に時効も生じてしまうので実用化は困難である。
【0019】
脱スケールのための酸洗による水素の吸収は、このTi−20V−4Al−1Sn合金板の製造過程では避けがたい。そこで、後述の水素吸収を最小限に抑制する酸洗方法を採用するとともに、それでも不可避的に混入してくる酸洗後の水素含有量を前提として、その水素による時効速度の低下および加工性や靱性の低下を、他の不純物元素量を制御することにより補うことができるのではないかと考え、O,Fe、NおよびCの含有量の影響を調査した。その結果、これら各元素も水素量とともにそれぞれの含有量を規制することにより、安定してすぐれた特性のTi−20V−4Al−1Sn合金が得られることがわかった。これらの検討結果に基づき、さらに限界条件を明確にして本発明を完成させた。本発明の要旨は次の(1)から(3)までのチタン合金、ならびに(4)および(5)のチタン合金の製造方法にある。
【0020】
(1)質量%にて、V:15〜25%、Al:2.5〜5%、Sn:0.5〜4%、O:0.20%以下、H:0.03%以下、Fe:0.40%以下、C:0.05%以下、N:0.02%以下で、残部はTiおよび不純物からなることを特徴とする、成形加工してなるβ型チタン合金。
【0021】
(2)質量%にて、V:15〜25%、Al:2.5〜5%、Sn:0.5〜4%、O:0.12%以下、H:0.03%以下、Fe:0.15%以下、C:0.03%以下、N:0.02%以下で、残部はTiおよび不純物からなることを特徴とする、成形加工してなるβ型チタン合金。
【0022】
(3)質量%にて、V:15〜25%、Al:2.5〜5%、Sn:0.5〜4%、O:0.20%以下、H:0.03%以下、Fe:0.40%以下、C:0.05%以下、N:0.02%以下で、更に、Zr:3%未満、Mo:3%未満、Nb:3%未満、Ta:3%未満、Cr:1%以下(ただし、1%を除く。)、Mn:3%未満、Ni:3%未満、Pd:3%未満およびSi:3%未満の中から選んだ1種以上を含み、残部はTiおよび不純物からなることを特徴とする、成形加工してなるβ型チタン合金。
【0023】
(4)質量%にて、V:15〜25%、Al:2.5〜5%、Sn:0.5〜4%、O:0.20%以下、H:0.03%以下、Fe:0.40%以下、C:0.05%以下、N:0.02%以下で、残部はTiおよび不純物からなるβ型チタン合金を、まず3〜40質量%のHFを主成分とする水溶液で酸洗し、次いで3〜6質量%のHFと5〜20質量%のHNO3を含む水溶液で酸洗することを特徴とする、成形加工してなるβ型チタン合金の製造方法。
【0024】
(5)質量%にて、V:15〜25%、Al:2.5〜5%、Sn:0.5〜4%、O:0.20%以下、H:0.03%以下、Fe:0.40%以下、C:0.05%以下、N:0.02%以下で、更に、Zr:3%未満、Mo:3%未満、Nb:3%未満、Ta:3%未満、Cr:1%以下(ただし、1%を除く。)、Mn:3%未満、Ni:3%未満、Pd:3%未満およびSi:3%未満の中から選んだ1種以上を含み、残部はTiおよび不純物からなるβ型チタン合金を、まず3〜40質量%のHFを主成分とする水溶液で酸洗し、次いで3〜6質量%のHFと5〜20質量%のHNO3を含む水溶液で酸洗することを特徴とする、成形加工してなるβ型チタン合金の製造方法。
【0025】
【発明の実施の形態】
本発明のβ型チタン合金の成分元素の限定理由は次のとおりである。なお、各成分の含有量はいずれも質量%にて示す。
【0026】
V:15〜25%
Vはβ相を安定化し、室温にて合金の組織をβ単相にするための重要な元素である。15%未満の場合は、高温のβ相状態からの水冷など急冷による溶体化処理の際、マルテンサイト型組織が生じ、冷間加工性を大きく劣化させる。25%を超える場合は、β型合金の時効硬化性を悪くし、時効処理に要する時間が長くなり、さらに時効処理後も十分な強化が得られないことがある。その上、合金の冷間加工の変形抵抗が増大してくる。
【0027】
Al:2.5〜5%
β型合金は、最終的に時効処理して強化するが、その際に十分な強度上昇を得るためにAlを含有させる。また、時効処理にて合金を脆化させるω相の析出を抑制し、α相の析出を促進する効果もある。このような効果は、2.5%未満では不十分であり、5%を超えるとβ状態での硬さを増してしまい、冷間加工性を低下させる。したがって、2.5〜5%とする。
【0028】
Sn:0.5〜4%
Snは上記のAlと同様な作用があるが、Alほどβ状態での硬さを増さないので、Alを減らしSnで置き換えることにより、変形抵抗増大を抑制することができる。このようなSnの効果は、含有量が少なければ乏しくなるので含有量を0.5%以上とする。一方、Sn含有量が多くなると、やはりβ化した合金の硬さを増すので、4%までとする。
【0029】
O(酸素):0.20%以下
Oは合金の変形能を低下させ、強度の冷間加工を行った時に割れを発生させる原因となり、変形抵抗も大きくする。その量は少なければ少ないほどよいが、悪影響が目立たない限界量である0.20%以下とする。なお、0.12%以下とするのが一層望ましい。
【0030】
H:0.03%以下
Hは時効処理時のα相の析出を遅らせ、時効による強度上昇を低減させるばかりでなく、延性および靱性を劣化させるので、少なければ少ないほどよい。しかしながら、水素を吸収しやすいβ型のTi−20V−4Al−1Sn合金では、酸洗過程以外での吸収もあり、とくに薄板の場合、酸洗して脱スケールをおこなうことが必須なので、0.005%を下回る量に低減することは困難である。したがって、下限値はとくには定めないが、上限値はその影響が大きくない限界として、0.03%までとする。より望ましいのは0.01%以下である。
【0031】
水素含有量の時効硬化に及ぼす影響の調査例を以下に示す。
【0032】
合金組成がV:20.0%、Al:3.2%、Sn:1.0%、〇:0.11%、H:0.015%、Fe:0.10%、C:0.01%、N:0.01%、残部:Tiおよび不純物である厚さ5mmの熱間圧延板に溶体化処理を施し、スチールショットブラストの後、酸洗時間を変えることによって水素含有量を変え、450℃にて時効処理をおこなった。溶体化処理は、大気中で850℃、5分間加熱した後、水冷する処理である。
【0033】
時効時間による硬さ変化を調べた結果は図1のようになった。硬さHvは、試験荷重1kgfのビッカース硬さである。
【0034】
図1からわかるように、水素含有量が0.015%または0.025%の場合は、12時間の時効処理により目的とする硬さに到達し、飽和している。これに対し、20時間処理しても水素含有量が0.040%または0.065%の場合は、十分な硬さにならない。これらの合金の場合、水素含有量が0.015%または0.025%の合金で得られる硬さに到達するには、20時間をはるかに超える長時間の時効処理が必要になって、実用性に乏しい。なお、水素含有量が0.100%の場合は、図示のとおりほとんど硬くすることができない。
【0035】
上記の試験結果から、合金のHの含有量は、0.03%以下に抑えるのが望ましいことが分かる。
【0036】
Fe:0.40%以下
Feは水素と同様β相を安定化させて時効処理による硬化を遅延させ、その上変形抵抗を大きくするので、少なければ少ないほどよい。上記のように水素の含有は避けがたいことから、顕著な変形抵抗増加をもたらさない限界量として、多くても0.40%までとする。なお、さらに望ましいFe含有量は、0.15%以下である。
【0037】
C:0.05%以下
Cは延性、すなわち変形能を大きく低下させるので、少なければ少ないほどよい。顕著な変形能低下をもたらさない限界量として多くとも0.05%までとする。0.03%以下が一層望ましい。
【0038】
N:0.02%以下
Nは変形能を大きく低下させるので、少なければ少ないほどよい。顕著な変形能低下をもたらさない限界量として、0.02%までとする。
【0039】
上記のO、Fe、CおよびNの不純物元素は、原料のスポンジチタンに由来しているばかりでなく、その後の合金の溶製や高温加熱の過程でチタン合金中に取り込まれ、増加することはあっても、原料におけるその含有量以下には低減できない。したがって、原料としてこれら不純物の含有量の少ないスポンジチタンを選び、その上で、製造過程における汚染をできるだけ低減する必要がある。
【0040】
Zr:3%未満、Mo:3%未満、Nb:3%未満、Ta:3%未満、Cr:1%以下(ただし、1%を除く。)、Mn:3%未満、Ni:3%未満、Pd:3%未満およびSi:3%未満
本発明合金は、V、AlおよびSnに加えて、本発明の作用効果を損なわない範囲で、Zr:3%未満、Mo:3%未満、Nb:3%未満、Ta:3%未満、Cr:1%以下(ただし、1%を除く。)、Mn:3%未満、Ni:3%未満、Pd:3%未満およびSi:3%未満の中から選ばれた1種以上を含有してもよい。これらの成分は、本発明合金の変形能その他の特性を損なわないで時効処理後の合金の強度向上に寄与する。それぞれの成分のより望ましい含有量は0.1〜1%(ただし、Cr成分については1%を除く。)である。
【0041】
溶体化処理してβ型合金としたときの平均結晶粒径は20〜130μmであることが望ましい。これは20μm未満では変形抵抗が大きくなって加工が困難となり、130μmより大きい場合、変形能が低下して加工したときに割れを発生しやすくなり、時効後にも強度不足を生じてくるからである。また、時効処理は通常の400〜500℃にておこなうが、β相の結晶粒径を上記範囲とすることによって、時効により析出してくるα相の粒径は好ましい範囲の0.02〜0.2μmとなり、強度、靱性ともすぐれたものとなる。
【0042】
上記の望ましい平均結晶粒径は、次に述べる製造条件を採用することによって得られる。
【0043】
本発明の合金または合金板は、所要組成に溶製した素材を鍛造して、これを熱間圧延後、冷間圧延し、それから溶体化処理をおこなって製造するが、冷間加工性すなわち変形能にすぐれ、かつ変形抵抗の低い上記平均結晶粒径のβ型合金とするためには、製造条件を次のようにするのが望ましい。
【0044】
熱間圧延の素材加熱温度は900〜1050℃とするのがよい。これは、900℃未満では熱間加工における変形抵抗が大きく、加工設備への負担が過剰になってしまうからであり、1050℃を超えると加熱中の酸化が激しくなって歩留まり低下を来すばかりでなく、結晶粒が粗大化し、加工後の合金特性にも影響を及ぼすからである。また、熱間加工中における温度も、変形加工と変形加工との待ち時間の間の温度低下や、加工熱による温度上昇があっても、βトランザス以上の750〜1050℃の範囲内にあることが望ましい。
【0045】
熱間加工後は、水冷などのように平均冷却速度が30℃/分以上の急冷がよい。これはゆっくりした冷却をおこなうと、α相が析出し硬化してしまい、圧延材の取り扱いが困難となり、コイルに巻き取った板では展開不能となってしまうおそれがあるからである。次の工程の冷間圧延や冷間抽伸などを実施するとき、十分な軟化を得るため、たとえば連続酸洗焼鈍装置(HAP)を通し、溶体化処理して脱スケールする。溶体化処理、すなわちβ化処理は750〜950℃に加熱後水冷するのが望ましい。この場合、750℃未満ではβ相一相とするには不十分な場合があり、950℃を超えると、結晶粒が粗大化してしまうおそれがあるからである。溶体化処理の加熱時間は十分に溶体化し、かつ無駄な加熱を避けるため1〜30分とするのがよい。
【0046】
平均結晶粒径が20μmよりも小さくなるのは、熱間加工の温度がβトランザス近傍またはそれより低温で、さらにHAPでの温度が750℃近傍になったときである。従って、このような条件は避けるのが望ましい。ただし、冷間加工性を多少犠牲にしても時効処理後の高い強度が必要な場合は、熱間加工温度をβトランザス以下とし、またHAPでの温度を750℃近傍として、平均結晶粒径を20μmより小さく、例えば10μmとしてもよい。
【0047】
脱スケールは、水素吸収がない点でコイルグラインダーなどによる研削が望ましいが、生産性が悪くコスト高となる。そこで、酸洗による脱スケールをおこなうが、できるだけ水素の混入がないように実施する必要がある。
【0048】
水素吸収を極力抑え、かつ十分な脱スケールだけでなくαケースの除去もでき、冷間圧延にて美麗な表面を持つ板を製造するため酸洗条件として、たとえば次のようにするのがよい。なお、αケースとはβチタン合金の表面に酸素が侵入してできる硬くて脆い酸素富化層である。
▲1▼酸洗に先立ち、ショットブラストを施す。
▲2▼20〜70℃、3〜40質量%のHFを主成分とする水溶液にて10分間以内で酸洗する。
▲3▼20〜70℃、3〜6質量%のHFと5〜20質量%のHNO3を含む弗硝酸水溶液にて20分間以内で酸洗する。
【0049】
▲1▼のショットブラストはおこなわなくてもよいが、軽度のショットブラストを施すと、酸洗時間を短くすることができる。酸化スケールにクラックが入るためである。
【0050】
上記▲2▼の水溶液は、主成分である3〜40質量%のHFの他に還元性を有し水素吸収を抑制する硝酸、過酸化水素等を含んでもよい。例えば、半導体製造工程で出る廃液(弗酸が主成分で酢酸等の副次的成分を含む)も使用できる。
【0051】
上記▲3▼の水溶液も、3〜6質量%のHFと5〜20質量%のHNO3の他に、還元性を有する過酸化水素等の副次的成分、酢酸等の不純物を含んでいてもよい。
【0052】
酸洗は、まず▲2▼の弗酸を主成分とする水溶液でおこなう。弗酸による酸洗は酸化スケールを除去するのに効果があるが、αケースの酸洗除去の際には特に水素吸収が多い。したがって、長くても10分以内のαケースを残存させる程度にとどめ、引き続いて次の▲3▼の酸洗をおこなう。酸化スケールの下にできた酸素富化層、即ち、αケースは、弗硝酸液により効率よく除去できる。弗硝酸液による酸洗は、硝酸の還元作用により、水素吸収が少ない利点があるが、酸化スケールが多い場合、除去に要する時間が長くなり、局所的に腐食が進行して表面が荒れるおそれがある。したがって、▲2▼の弗酸を主成分とする水溶液による酸洗の後、▲3▼の弗硝酸液による酸洗をおこなう。しかし、弗硝酸液でも長時間にわたると水素吸収が増加してくるので、20分以内とするのがよい。
【0053】
上記の酸洗において、温度を20〜70℃とするのは、20℃未満の温度ではスケールや酸素富化層除去に時間がかかりすぎ、70℃を超えると、表面荒れが甚だしくなり酸の蒸発も多くなるからである。HFの濃度は、▲2▼の溶液および▲3▼の溶液ともに3質量%未満では反応の速度が遅くなりすぎる。一方、▲2▼の溶液では40質量%を超えると反応が激しくなりすぎて、安全上、問題があり、また腐食量の調整が難しくなる。▲3▼の溶液では、6質量%を超えると酸洗後の表面荒れが甚だしくなる。また、▲3▼の溶液には5〜20質量%のHNO3を加えるが、これは水素吸収抑止の効果があるためで、5質量%未満ではその効果は十分でなく、20質量%を超えると効果が飽和して無駄になる。
【0054】
酸洗の浸漬時間は、長くなれば水素量が急激に増大するので、加熱時のスケールの発生をできるだけ抑止し、スケールが多い場合は、研削など機械的なスケール除去方法を併用するとよい。
【0055】
冷間加工は、加工後のβ処理にて結晶粒径を130μm以下とするため、加工率は30%以上(板では圧延伸び率が30%以上、条では減面率が30%以上)が望ましい。加工率は大きくてもかまわないが、加工硬化により加工できなくなることによって上限はおのずから限定される。
【0056】
冷間圧延後のβ相化は、焼鈍もかねて750〜900℃に加熱後空冷以上の冷却速度で冷却する溶体化処理によっておこなうのがよい。750〜900℃の加熱温度が望ましい理由は、前述の冷間加工前の溶体化処理における加熱温度範囲の場合と同じく、低すぎるとβ相化が不十分となり、高すぎると結晶粒が粗大化するからである。加熱時間も短すぎや長すぎは同様にβ相化不十分や結晶粒粗大化をもたらすので1〜30分とするのがよい。なお、この冷間圧延後の溶体化処理における加熱は、真空中または高純度のAr、He等の不活性ガス中が望ましい。表面が酸化する条件での加熱は、酸化被膜除去、即ち、脱スケールのため弗硝酸などによる酸洗が必要になり、その結果として合金中に水素が侵入し、水素含有量が限定値を超えてしまうからである。
【0057】
熱間圧延後は、通常、溶体化処理してから冷間圧延をおこなうが、冷間圧延状態で所用形状に加工し、その後時効処理をおこなってもよい。この場合、結晶粒が微細で、強度の高い部品とすることができる。
【0058】
本発明のβ型合金の、強化のための時効処理は400〜500℃とするのが好ましい。時効により微細なα相が析出し、それによって強化がおこなわれるが、400℃以下では時効硬化に長時間を必要とし、強化後の延性が極度に低下して靱性が劣化するからであり、500℃以上では粗大なα相粒となり強度が低下してしまうからである。
【0059】
【実施例】
表1および表2に示す組成のチタン合金を、水冷銅るつぼ消耗電極式真空アーク溶解炉(VAR)により溶製して直径140mmのインゴットとした。これらのインゴットを1000℃に加熱し熱間鍛造して厚さ50mm、幅150mmの熱間圧延素材とした。この素材を950℃に加熱し、熱間圧延して800℃で圧延を終了し、直ちに水スプレイ冷却にて平均冷却速度200℃/分で300℃まで冷却し、その後は放冷した。この熱間圧延板に「880℃にて10分間加熱後水冷」の溶体化処理を施した。
【0060】
溶体化処理後、ショットブラストを施した後、HF:4質量%、30℃の弗酸水溶液に4分間浸漬し、ついでHNO3:10質量%、HF:4質量%、温度30℃の弗硝酸に10分浸漬してスケールおよび酸素富化層を除去し、さらに両表面を研削した後、80%の冷間圧延をおこなって3mm厚とした。
【0061】
表中の水素量は、冷間圧延後に試料を採取し分析して得た値である。この冷間圧延の際の耳割れの発生状況から、溶体化したβ型合金の変形能を判定した。なお試験番号20、21および30においては、HF:4質量%、30℃の弗酸に浸漬する時間を約15分として水素量を増加させた。
【0062】
【表1】
【0063】
【表2】
【0064】
冷間圧延後、真空中で850℃にて5分間加熱して、水冷する焼鈍および溶体化処理を施し、得られた板からJIS13号Bの引張試験片を採取して、引張強さを測定した。この引張強さの大小から、加工時の変形抵抗が推測できる。
【0065】
さらに、冷間圧延にて大きな耳割れを生じなかった板を用い、475℃にて20時間加熱の時効処理をおこない、時効後の板からJIS13号Bの引張試験片を採取し、引張強さおよび伸びを測定した。これらの測定結果も表1および表2に併せて示す。
【0066】
表1および表2の結果から明らかなように、試験番号1〜24は、いずれもその主要組成がTi−20V−4Al−1Sn合金に合致するものであるが、試験番号20〜33の材料に比較して、試験番号1〜19の材料は冷間加工性にすぐれ、かつ時効後の強さおよび伸びがすぐれていることがわかる。これは、従来管理されていなかったH、Fe、CおよびNの含有量を限定することによってもたらされた効果であり、これらの元素の含有量を低く抑えることの重要性が明らかである。
【0067】
【発明の効果】
本発明によれば、現在用いられているβ型のTi−20V−4Al−1Sn合金は、より変形抵抗が小さくかつ変形能のすぐれた合金となる。これにより、冷間圧延、および冷間伸線など冷間加工におけるロールやダイスの寿命延長、冷間鍛造時の金型寿命の延長など、高強度のチタン合金製部品の製造コスト低減に大きく寄与することができる。
【0068】
本発明のチタン合金は、自動車の動弁部品、宇宙航空機用部品等の産業機器用のみならず、例えば、めがねフレームのような日用品、ゴルフクラブヘッド等の運動器具の材料として好適である。
【0069】
本発明の製造方法によれば、安定した品質のチタン合金の冷間圧延材を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】チタン合金の時効による硬さの変化に及ぼす水素含有量の影響を示す図である。
Claims (5)
- 質量%にて、V:15〜25%、Al:2.5〜5%、Sn:0.5〜4%、O:0.20%以下、H:0.03%以下、Fe:0.40%以下、C:0.05%以下、N:0.02%以下で、残部はTiおよび不純物からなることを特徴とする、成形加工してなるβ型チタン合金。
- 質量%にて、V:15〜25%、Al:2.5〜5%、Sn:0.5〜4%、O:0.12%以下、H:0.03%以下、Fe:0.15%以下、C:0.03%以下、N:0.02%以下で、残部はTiおよび不純物からなることを特徴とする、成形加工してなるβ型チタン合金。
- 質量%にて、V:15〜25%、Al:2.5〜5%、Sn:0.5〜4%、O:0.20%以下、H:0.03%以下、Fe:0.40%以下、C:0.05%以下、N:0.02%以下で、更に、Zr:3%未満、Mo:3%未満、Nb:3%未満、Ta:3%未満、Cr:1%以下(ただし、1%を除く。)、Mn:3%未満、Ni:3%未満、Pd:3%未満およびSi:3%未満の中から選んだ1種以上を含み、残部はTiおよび不純物からなることを特徴とする、成形加工してなるβ型チタン合金。
- 質量%にて、V:15〜25%、Al:2.5〜5%、Sn:0.5〜4%、O:0.20%以下、H:0.03%以下、Fe:0.40%以下、C:0.05%以下、N:0.02%以下で、残部はTiおよび不純物からなるβ型チタン合金を、まず3〜40質量%のHFを主成分とする水溶液で酸洗し、次いで3〜6質量%のHFと5〜20質量%のHNO3を含む水溶液で酸洗することを特徴とする、成形加工してなるβ型チタン合金の製造方法。
- 質量%にて、V:15〜25%、Al:2.5〜5%、Sn:0.5〜4%、O:0.20%以下、H:0.03%以下、Fe:0.40%以下、C:0.05%以下、N:0.02%以下で、更に、Zr:3%未満、Mo:3%未満、Nb:3%未満、Ta:3%未満、Cr:1%以下(ただし、1%を除く。)、Mn:3%未満、Ni:3%未満、Pd:3%未満およびSi:3%未満の中から選んだ1種以上を含み、残部はTiおよび不純物からなるβ型チタン合金を、まず3〜40質量%のHFを主成分とする水溶液で酸洗し、次いで3〜6質量%のHFと5〜20質量%のHNO3を含む水溶液で酸洗することを特徴とする、成形加工してなるβ型チタン合金の製造方法。
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