JP5408525B2 - チタン合金、チタン合金部材、及びチタン合金部材製造方法 - Google Patents

チタン合金、チタン合金部材、及びチタン合金部材製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、チタン合金、チタン合金部材、及びチタン合金部材製造方法に関する。
従来、チタン合金で形成された部材(チタン合金部材)は、通常、鉄やその合金などの鉄系金属材料によって形成された部材に比べて軽量でありながらもヤング率や硬度などといった強度面において優れていることからゴルフクラブなどのスポーツ・レジャー用具、人工骨などの医療用製品、メガネフレームや各種プラント用部材をはじめとして、航空・宇宙関係機器などの製品に広く用いられている。
このようなチタン合金部材には、さらなる軽量化と強度の向上が求められている。
ところで、高いヤング率と、低い密度を有するチタン合金としてα+β型のチタン合金であるTi−6Al−4Vが広く知られているが、このTi−6Al−4Vは、強度に関して十分な特性を有しておらず、従来、下記特許文献1に示されていうようにチタン合金の高強度化への取り組みがなされている。
しかし、この特許文献1における取り組みでは、密度に関して十分な考慮がなされていないことから軽量で且つ高強度なチタン合金部材を作製するのに有用なチタン合金を得ることが困難である。
特開2007−314834号公報
本発明は、軽量で且つ高強度なチタン合金部材の作製に有用なチタン合金を提供するとともに該チタン合金が用いられてなる加工性に優れたチタン合金部材と、加工性に優れたチタン合金部材の製造方法とを提供することを課題としている。
α型チタン合金は、一般にAlが多く添加され、密度が小さくヤング率が高くなる傾向にあるものの強度が不十分となる傾向にあり、一方でβ型チタン合金は、一般にAl添加量が少なく、β安定化元素であるV、Mo、Cr、Fe等を多く含有しており、時効特性に優れ高強度とすることが可能である反面上記のようなβ安定化元素が多いことで密度を大きくする傾向にあることから本発明者らはα+β型チタン合金に着目して上記課題を解決すべく鋭意検討を実施した。
そして、α安定化元素の添加量が少ないと高強度化せず、時効特性が悪くなるが、ヤング率が上昇し密度が低下する傾向にあることからこれらをバランス良く添加することに配慮して高強度且つ低密度のチタン合金を得るために最適な添加元素の検討を行った。
なお、β安定化元素の内、V、Mo、Nb、Taは、Tiに固落するタイプであり、β安定化元素として主に用いられる元素であるが固溶型のβ安定化元素の内、Mo、Nb、TaはVに比べてチタン合金の密度を大きくしてしまうおそれがあるため、固溶型のβ安定化元素からはVを選択し最適な添加量を検討した。
また、β安定化元素の内、Cr、Fe、Cu、NiなどはTiと共析晶を作るタイプであり、β安定化度を向上させる力は固溶型に比べ強く、強度向上への寄与が大きいことからこれらの内から一つの元素を選択すべく検討を実施し、チタン合金の密度を大きくしすぎるおそれの低いCrを選択した。
さらに、中性元素であるSn、Zr、Hfについては、強度向上への寄与を図ることができることからこれらの内から一つの元素を選択すべく検討を実施し、チタン合金の密度を大きくしすぎるおそれの低いSnを選択した。
以上のようにしてTi−Al−Sn−Cr−V系にてその元素の割合を検討して本発明を完成させた。
すなわち、本発明に係るチタン合金は、質量で、Alの含有量が3〜7%、Snの含有量が1〜4%、Crの含有量が1〜5%、Vの含有量が1〜8%であり、VとCrの含有量を、それぞれX V (%)、X Cr (%)としたときに、2.5≦(X V +1.5X Cr )≦12となる割合でVとCrとが含有され、Al、Sn、CrおよびVの含有量を、それぞれXAl(%)、XSn(%)、XCr(%)、XV(%)としたときに、(−25XAl+22XSn+16XCr+12XV)≦32となり、且つ(−25X Al −2X Sn +29X Cr +27X V )≦120となり、且つ(16X Al +2X Sn +11X Cr +2X V )≧100となる割合でAl、Sn、CrおよびVが含有され、残部がTiおよび不可避不純物からなることを特徴としている。
また、本発明者らは、上記チタン合金が用いられてなるチタン合金部材の加工性について鋭意検討を行い、チタン合金部材とチタン合金部材製造方法にかかる発明を完成させた。
すなわち、チタン合金部材にかかる本発明は、上記のようなチタン合金が用いられて形成されてなり、初析α相の平均粒径が0.1μm以上、10μm以下となるよう形成されていることを特徴としている。
さらに、チタン合金部材製造方法に係る本発明は、上記のようなチタン合金でインゴットを作製し、該インゴットをβ変態点以上、(β変態点+200℃)以下の温度で熱間加工を実施した後に、(β変態点−200℃)以上、(β変態点−30℃)以下の温度で下記式における相当ひずみ量の値(A)が0.5以上となるように熱間加工を実施してチタン合金部材を作製することを特徴としている。
A={(ε1 2+ε2 2+ε3 2)×2/3}0.5
(ただし、ε1、ε2、及びε3は、主方向の対数ひずみを表す。)
本発明によれば、優れた強度と低い密度を有するチタン合金を得ることができ、該チタン合金を用いること軽量で且つ高強度なチタン合金部材を得ることができる。
また、本発明によれば加工性に優れたチタン合金部材を得ることができる。
以下に、本発明の好ましい実施の形態についてチタン合金が用いられてなる板状のチタン合金部材(以下「チタン合金板」ともいう)を例示しつつ説明する。
なお、以下には詳述しないが、板状以外の形状(棒、線、アングル、形鍛造品など)のチタン合金部材についても同様である。
本実施形態におけるチタン合金板は、質量で、Alの含有量が3〜7%、Snの含有量が1〜4%、Crの含有量が1〜5%、Vの含有量が1〜8%であり、残部がTiおよび不可避不純物からなるチタン合金によって板状に形成されており、α相とβ相との二相組織が形成されている。
しかも、本実施形態におけるチタン合金板は、初析α相が平均粒径で0.1μm以上、10μm以下のいずれかの大きさで存在する状態となるように形成されている。
本実施形態に係るチタン合金板を形成するチタン合金に含有させるAlの量が上記のような範囲とされているのは、Alはα安定化元素であり、ヤング率を上昇させ、密度を小さくする作用を有するため、その含有量が上記範囲よりも少ないとチタン合金板に十分な強度を付与することができず、またチタン合金の密度を大きくさせてチタン合金板の軽量化が困難となってしまうためである。
また、Alの含有量が上記範囲よりも少ないと低いヤング率のチタン合金板しか得られなくなるおそれがある。
一方で、Alの含有量が上記範囲よりも多くなるとTi3Alが生成しやすくなりチタン合金板が脆くなるおそれがある。
このようにチタン合金板を形成するチタン合金に含有させるAlが上記のような範囲とされているのは、チタン合金板の軽量化と高強度化を図るためであり、チタン合金板の軽量化と高強度化をより確実に達成させ得る点において、チタン合金におけるAlの含有量は、5.5%以上、6.5%以下の範囲の内のいずれかとされることが好ましい。
本実施形態に係るチタン合金板を形成するチタン合金に含有させるSnの量が上記のような範囲とされているのは、Snは、チタン合金において中性元素ではあるが、強度上昇のためには重要な成分であり上記範囲よりも含有量が少ないとチタン合金板の高強度化を図ることが難しくなるためである。
ただし、含有量を多くし過ぎると、前記Alとの関係でTi3Alの生成を促してしまうおそれがあるばかりでなく、チタン合金の密度を必要以上に大きさせるおそれがある。
したがって、チタン合金板の軽量化と高強度化をより確実に達成させ得る点において、チタン合金におけるSnの含有量は、1.5%以上、2.5%以下の範囲の内のいずれかとされることが好ましい。
また、またAlとの関係でTi3Alの生成の防止を図る観点から、AlとSnの含有量(質量%)を、それぞれXAl、XSnとしたときに、(10/3)≦(XAl+XSn/3)≦7となる割合でAlとSnとを含有させることが好ましい。
本実施形態に係るチタン合金板を形成するチタン合金に含有させるCrの量とVの量とが上記のような範囲とされているのは、CrとVとは、チタン合金においてβ安定化元素として働く元素でありこれらの含有量がそれぞれ上記範囲よりも少ない場合には、チタン合金板の高強度化を図ることが困難となるためである。
その一方で、上記範囲を超えて含有させると、チタン合金の密度を上昇させるばかりでなくヤング率の低下を招くおそれがある。
なお、Crは、Vよりもβ安定化能が高いため、VとCrの含有量(質量%)を、それぞれXV、XCrとしたときに、2.5≦(XV+1.5XCr)≦12となる割合でVとCrとを含有させることが好ましい。
また、Al、Sn、CrおよびVの含有量(XAl、XSn、XCr、XV:質量%)は、下記の条件1〜条件3の全ての条件を満たすようにチタン合金に含有されることが好ましい。
条件1:(−25XAl+22XSn+16XCr+12XV)≦32
条件2:(−25XAl−2XSn+29XCr+27XV)≦120
条件3:(16XAl+2XSn+11XCr+2XV)≧100
なお、上記条件1〜条件3は、本発明者らが各種の実験データを回帰計算することにより求められたものであり、条件1は、チタン合金の密度を規定するものである。
この条件1によって各成分の含有量からチタン合金の密度を一義的に求めることが可能であり、例えば、上限値である“32”とした場合、密度は4.56g/cm3となる。
高い強度を有する一般的なα+β型チタン合金では、通常、密度が4.6g/cm3以上であることから、この条件1を満足させるように各成分を含有させることによってチタン合金の密度を4.56g/cm3以下とすることができ、チタン合金板の軽量化において奏される効果をより確実なものとさせ得る。
この軽量化の効果をより顕著なものとさせ得る点においては、チタン合金の密度を4.54g/cm3以下とさせるべく、下記条件1’を満たすようにAl、Sn、CrおよびVの含有量が決定されることが好ましく、チタン合金の密度を4.52g/cm3以下とさせるべく、下記条件1”を満たすようにAl、Sn、CrおよびVの含有量が決定されることがさらに好ましい。
条件1’:(−25XAl+22XSn+16XCr+12XV)≦12
条件1”:(−25XAl+22XSn+16XCr+12XV)≦−12
また、上記条件2は、このチタン合金のヤング率を規定するもので、成分からほぼ一義的に決めることが可能である。
この条件2を満足させることで純チタンと同等以上のヤング率を有するものが得られ、具体的には、106GPa以上のヤング率のものを得ることができる。
さらに好ましくは110GPa以上のヤング率のものとなるように下記条件2’を満足させることが望ましく、114GPa以上となるように下記条件2”を満足させることがさらに望ましい。
条件2’:(−25XAl−2XSn+29XCr+27XV)≦80
条件2”:(−25XAl−2XSn+29XCr+27XV)≦40
なお、このチタン合金のヤング率については、(β変態点−200℃)以上、(β変態点−30℃)以下の温度で圧延した後、圧延方向について共振法で求めたものである。
また、上記条件3は、硬度を規定するものでβ変態点未満の加熱温度で熱間加工した場合のビッカース硬度を規定するものである。
上記条件3を満足させるようにAl、Sn、CrおよびVの含有量が決定されることによって、該チタン合金を用いた部材をβ変態点未満の加熱温度で熱間加工して形成した場合に、そのビッカース硬度を320以上とさせることができる。
なお、本実施形態におけるチタン合金には、通常、上記に述べたようにAl、Sn、CrおよびV以外に不可避不純物が含有される。
この不可避不純物としては、O、C、N、H、Feなどが挙げられる。
この内、O、C、Nは、チタン合金においてα安定化元素であり、不純物として含有され得る量は、それぞれ、質量でOが0.03〜0.5%、Cが0.0005〜0.2%、Nが0.0005〜0.2%である。
なお、これらはその含有量を増大させることでチタン合金板の強度を向上させる傾向とはなるものの上記範囲を超えてしまうと延性が大幅に低下させることとなる。
一方で、上記範囲未満となるようにその含有量を必要以上に低下させてもチタン合金の延性の改善にそれ以上の効果が発揮されないばかりか、特別な材料や、特別な装置による製造を必要としてチタン合金やチタン合金板のコストアップにつながることとなる。
このようなことから、Oの含有量は、0.03〜0.3%であることが好ましく、0.03〜0.25%であることがさらに好ましい。
また、Cの含有量は、0.0005〜0.08%であることが好ましく、0.0005〜0.01%であることがさらに好ましい。
さらに、Nの含有量は、0.0005〜0.05%であることが好ましく、0.0005〜0.02%であることがさらに好ましい。
特に、チタン合金におけるOの含有量が、0.03〜0.25%、Cの含有量が、0.0005〜0.01%、Nの含有量が、0.0005〜0.02%である場合には、冷間圧延などの冷間加工における加工性に優れたチタン合金板を作製し得る。
前記Hは、β相には固溶しβ安定化元素として作用する一方でα相に固溶するとTiとの水素化物を形成するものであり、不純物として含有され得る量は、通常、質量で0.0005〜0.06%である。
このHについては、上記のようにTiとの水素化物を形成するおそれがあるものの、主としてチタン合金板中には、チタン合金板を製造する際の熱処理や、熱間加工における加熱処理や、スケールを除去するための酸洗処理において吸収されるものであり、必要以上にその含有量を低下させようとすると、特別な製造方法によってチタン合金板を作製しなければならなくなってチタン合金板のコストアップを招いてしまうおそれがある。
このようなことから、Hの含有量は、0.0005〜0.015%のいずれかとされることが好ましい。
前記Feは、チタンにとってβ安定化元素として働くもので不純物として含有され得る量は、通常、質量で0.05〜0.5%である。
Feは、偏析しやすい元素であるため、含有量が多くなるとチタン合金板に偏析の影響が出やすくなってしまう。特にα+β型チタン合金である本実施形態のチタン合金は、Feの含有量が多くなるとβフレックと呼ばれるβ単相に近い相が生じてしまうことがある。そのためにFeの含有量が多くなると機械的性質にバラツキが生じたり、ヤング率の低下や、密度の増大を招いたりするおそれがある。しかし、Feは、スポンジチタンやスクラップ材に含まれている成分であり、チタン合金板を安価に製造するためにはある程度の量を含有させる必要がある。
このような点において、Feの含有量は、0.05%以上、0.3%未満の範囲の内のいずれかとされることが好ましい。
上記のような組成によって形成されてなるチタン合金板が、初析α相の平均粒径が0.1μm以上、10μm以下となるよう形成されているのは、チタン合金板に優れた強度とともに優れた延性を付与するためであり、初析α粒の粒径を微細にすることによって、加工性に優れたチタン合金板とすることができるためである。
なお、初析α粒の粒径を10μm以下としているのは、チタン合金板に優れた延性を付与して加工性を良好にさせるためであり、0.1μm以上としているのは、初析α相の平均粒径を0.1μm未満にするためには特殊な製造方法が必要になってチタン合金板の製造コストを上昇させる可能性があるためである。
なお、初析α相の平均粒径は、JIS G 0551の付属書4に準じた方法で粒度番号を求めて、その粒度番号をもとにした円相当平均粒径として求めることができる。
また、上記によらず、ミクロ組織写真から初析α相のみを選出して、個々の円相当径を求め、その平均を求めるようにしてもよい。その場合には、手作業では要する手間が膨大なものとなることから画像処理によって求めても良い。
次いで、このようなチタン合金板を製造するチタン合金板製造方法について説明する。
本実施形態におけるチタン合金板は、一般的なチタン合金板と同様の製造方法で作製することができる。
例えば、一般的にα+β型チタン合金は真空アーク再溶解法(VAR)や電子ビーム溶解法(EB)などで製造した鋳塊(インゴット)を熱間鍛造等による熱間加工で所定の形状に加工していることから本実施形態のチタン合金板もこのような方法を採用して製造することができる。
なお、一般には粗加工の段階ではβ変態点以上の温度に加熱した後に加工し、仕上げ加工ではβ変態点未満の温度に加熱して加工する。
本実施形態におけるチタン合金板は、組織を微細化させて二次加工などが施される際における優れた加工性が付与されるべく、先述のような組成のチタン合金でインゴットを作製し、該インゴットをβ変態点以上、(β変態点+200℃)以下の温度で熱間加工を実施した後に、(β変態点−200℃)以上、(β変態点−30℃)以下の温度で下記式における相当ひずみ量の値(A)が0.5以上となるように熱間加工を実施して作製されることが好ましい。
A={(ε1 2+ε2 2+ε3 2)×2/3}0.5
(ただし、ε1、ε2、及びε3は、主方向の対数ひずみを表す。)
チタン合金板を製造する場合は、粗鍛造においてスラブ形状に加工し、仕上げの圧延を上記相当ひずみ量の値(A)を0.5以上とすべく熱間圧延を行うとよい。
また、熱間圧延の際は、クロス圧延を行うことにより機械的性質の異方性を解消させたり、逆に一方向の圧延によって特定の方向のみ特性を変化させたりすることもできる。
これらの熱間加工は、一回の加熱で実施しても良いが、温度低下防止や再結晶を促すために熱間加工を途中で中断して加熱するような複数回の加熱で実施しても良い。
また、上記のインゴットの粗鍛造前に(β変態点−200℃)以上、(β変態点−30℃)以下の温度で予ひずみを加えることで、鍛造組織の破壊を促しても良い。
さらに、本実施形態に係るチタン合金においては、微細化を図る必要がない状況(例えば、耐クリープ特性が必要な場合)を得ることが可能で、仕上げの熱間加工を全てβ変態点以上、(β変態点+200℃)以下にすることができる。
また、得られた製品(チタン合金板)は、熱間加工されたままでも用いることは可能ではあるが、要すれば、熱処理を行い組織の均質化あるいは時効処理を行い高強度化、高ヤング率化を図ったり、冷間加工を行って高強度化を図ったりすることができる。
これらの方法は、単独でも、組み合わせて行っても良い。
このときの焼鈍条件としては、例えば、(β変態点−30℃)以下の温度に1分以上加熱した後に冷却する条件を採用することができる。
また、時効処理は、熱間加工後直接実施しても良いし、溶体化処理を施した後時効処理しても良い。
溶体化処理を行う場合、例えば、(β変態点−200℃)〜(β変態点−30℃)の温度で1分以上加熱した後に冷却する条件を採用することができる。
このときの冷却方法は、空冷でも良いが、より効果を得るためには水冷や油冷が望ましい。
前記時効処理は、例えば、350〜600℃で1時間以上の加熱条件とすることができる。
前記冷間加工としては、冷間圧延や冷間引き抜きなどを挙げることができ、ヤング率の向上を期待することは困難であるが、加工硬化による高強度化を図ることができる。
その効果をより顕著にするためには、10%以上の加工率を与えることが重要であるが、加工率が高すぎる場合には、割れを生じるおそれがある。
このようなことから、加工率は50%以下であることが好ましい。
また、中間焼鈍を実施しながら冷間加工を実施してもよい。また、冷間加工後に時効処理を行い、時効硬化を促進させても良い。さらには、これらの冷間加工の前には機械的、あるいは、化学的に酸素濃化層を取り除いておくことが好ましい。
また、ショットピーニングなどの加工では、最表層のみ冷間加工を行うことが可能である。そして、この後さらに熱処理を行えば、表層のみ特性の異なる部材を製造することが可能である。
以上のようにして得られたチタン合金部材は、そのまま製品として用いられ得るとともに、切削加工、機械的又は化学的な研磨、ブラスト処理、表面窒化、酸化、炭化などといった表面処理を施して製品として用いられ得る。
特に、本実施形態に係るチタン合金は、結晶粒が微細となることから、機械的な研磨性が良好になるため、鏡面仕上げが可能となる点において優れている。
なお、ここでは詳述しないが、従来のチタン合金、チタン合金板ならびにチタン合金板製造方法において公知の事項を、本発明の効果を著しく損ねない範囲において、本発明においても採用することが可能である。
次に実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(チタン合金部材の作製)
(実施例1〜6、比較例1〜6)
ボタンアーク溶解により、表1に示す成分を含有するチタン合金にてスラブを作製し、該スラブを850℃で熱延し、4.0mm厚さの板状試料を作製した。
この板状試料の密度、ヤング率、及びビッカース硬度を測定した。なお、このとき密度については、水中吊り下げ法(アルキメデス法)、ヤング率は、共振法に基づいて求めた。結果を、併せて表1に示す。
なお、比較例2においては、圧延中に割れが生じたため密度等の測定は実施しなかった。
Figure 0005408525
この表からも、本発明によれば、軽量で高強度なチタン合金部材の形成に有用なチタン合金が得られることがわかる。
(加工性の検討)
表1における実施例3のチタン合金(Ti−6Al−2Sn−2Cr−4V:β変態点910℃)を用いてVARによってインゴットを作製し、β変態点以上、(β変態点+200℃)以下の1050℃に加熱して鍛造を実施し18mm厚みの厚板を作製した。
この厚板を表2に示す加熱温度に熱して、表2に示す相当ひずみが加えられた状態となるように熱間圧延を実施して平板を作製し、この平板から引張試験片を切り出してASTMに準拠して引張試験を実施した。
結果を、表2に示す。
Figure 0005408525
この表からもわかるように、初析α粒の粒径が10μm以下の実験例3乃至5では、チタン合金板に伸びと強度とがバランス良く付与されていることがわかる。
また、β変態点以上の加工後に相当ひずみが0.5以上となる熱間加工をβ変態点未満の温度で実施することで、伸びと強度とに優れたチタン合金板を製造し得ることがわかる。
なお、β変態点未満の温度であっても、(β変態点−200℃)を下回る実験例6では、変形抵抗が大きすぎて厚板を平板に加工すること自体が困難であった。
このように、β変態点以上、(β変態点+200℃)以下の温度で熱間加工を実施した後に、(β変態点−200℃)以上、(β変態点−30℃)以下の温度で上記相当ひずみ量の値が0.5以上となるように熱間加工を実施してチタン合金部材を作製することで、軽量で高強度であるばかりでなく加工性に優れたものを製造可能であることがわかる。

Claims (4)

  1. 質量で、Alの含有量が3〜7%、Snの含有量が1〜4%、Crの含有量が1〜5%、Vの含有量が1〜8%であり、VとCrの含有量を、それぞれX V (%)、X Cr (%)としたときに、2.5≦(X V +1.5X Cr )≦12となる割合でVとCrとが含有され、Al、Sn、CrおよびVの含有量を、それぞれXAl(%)、XSn(%)、XCr(%)、XV(%)としたときに、(−25XAl+22XSn+16XCr+12XV)≦32となり、且つ(−25X Al −2X Sn +29X Cr +27X V )≦120となり、且つ(16X Al +2X Sn +11X Cr +2X V )≧100となる割合でAl、Sn、CrおよびVが含有され、残部がTiおよび不可避不純物からなることを特徴とするチタン合金。
  2. AlとSnの含有量を、それぞれXAl(%)、XSn(%)としたときに、10/3≦(XAl+XSn/3)≦7となる割合でAlとSnとが含有されている請求項1記載のチタン合金。
  3. 請求項1又は2記載のチタン合金が用いられて形成されてなり、初析α相の平均粒径が0.1μm以上、10μm以下となるよう形成されていることを特徴とするチタン合金部材。
  4. 請求項1又は2記載のチタン合金が用いられてなるインゴットを作製し、該インゴットをβ変態点以上、(β変態点+200℃)以下の温度で熱間加工を実施した後に、(β変態点−200℃)以上、(β変態点−30℃)以下の温度で下記式における相当ひずみ量の値(A)が0.5以上となるように熱間加工を実施してチタン合金部材を作製することを特徴とするチタン合金部材製造方法。
    A={(ε1 2+ε2 2+ε3 2)×2/3}0.5
    (ただし、ε1、ε2、及びε3は、主方向の対数ひずみを表す。)
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