JP2008212982A - チタンの連続ろう付け方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】連続加熱炉の雰囲気を低酸素分圧に維持して、信頼性の高い接合部を形成できるチタンの連続ろう付け方法を提供すること。
【解決手段】少なくとも一方がチタンまたはチタン合金からなる被ろう付け部材をアルゴンガス雰囲気とした連続加熱炉内へ搬送してろう付けするチタンの連続ろう付け方法であって、加熱炉の内壁及び/またはマッフルを炭素質として、アルゴンガス雰囲気に混入した酸素を前記炭素質と反応させて一酸化炭素に変換して低酸素分圧として搬送された被ろう付け部材をこの低酸素分圧下でろう付けすること。
【選択図】なし
【解決手段】少なくとも一方がチタンまたはチタン合金からなる被ろう付け部材をアルゴンガス雰囲気とした連続加熱炉内へ搬送してろう付けするチタンの連続ろう付け方法であって、加熱炉の内壁及び/またはマッフルを炭素質として、アルゴンガス雰囲気に混入した酸素を前記炭素質と反応させて一酸化炭素に変換して低酸素分圧として搬送された被ろう付け部材をこの低酸素分圧下でろう付けすること。
【選択図】なし
Description
本発明は、チタンのろう付け方法に関し、更に詳しくは、少なくとも一方がチタン又はチタン合金からなる被ろう付け部材を、アルゴンガス雰囲気とした連続加熱炉中に搬送してろう付けするチタンの連続ろう付け方法に関するものである。
チタンまたはチタン合金は、軽量、高強度、高耐食性等の優れた特性から、複合板や各種部品等の構成材料として広く利用されており、これらの構成部材を製品等に組み立てる際に、ろう付けが多用されているが、チタンは、高温で酸素や窒素等のガスとの親和性が高く、特に、酸素はチタン表面を酸化させ、ろう付けが困難になることから、真空炉あるいはアルゴン等の不活性雰囲気としたバッチタイプの加熱炉でろう付けを行っているため、生産性が低く、コストが高くなる問題がある。そのため、アルゴン等の不活性雰囲気とした連続加熱炉を用いて生産性を高めることも考えられるが、連続加熱炉では、被ろう付け部材の炉内搬送時に炉内に空気が入り込み、炉内雰囲気をチタンが酸化されないような低酸素分圧に保つことは難しく、信頼性の高い接合部を得ることができないため、連続加熱炉によるろう付けは行われていない。
そこで、本発明は、連続加熱炉の雰囲気を低酸素分圧に維持して、信頼性の高い接合部を形成できるチタンの連続ろう付け方法を提供することである。
本発明者等は、アルゴンガスを炉内雰囲気とした連続加熱炉の内壁及び/またはマッフルを炭素質とすると、アルゴンガス雰囲気中に流入した空気中の酸素が、この炭素質と接触して一酸化炭素に変換し、炉内雰囲気をチタンを酸化させることのない極めて低い酸素分圧に維持できることを見出し、本発明に至ったもので、下記の構成により前記課題を解決したものである。
すなわち、請求項1に記載の発明は、少なくとも一方がチタンまたはチタン合金からなる被ろう付け部材をアルゴンガス雰囲気とした連続加熱炉内へ搬送してろう付けするチタンの連続ろう付け方法であって、前記加熱炉の内壁及び/またはマッフルを炭素質で形成し、アルゴンガス雰囲気に混入した酸素を前記炭素質と反応させて一酸化炭素に変換して低酸素分圧雰囲気となし、該低酸素分圧下で搬送された前記被ろう付け部材をろう付けすることを特徴とするチタンの連続ろう付け方法である。
また、請求項2に記載の発明は、低酸素分圧が10−15Pa以下であることを特徴とする請求項1記載のチタンの連続ろう付け方法である。
さらに、請求項3に記載の発明は、ステンレス鋼であることを特徴とする請求項1または2に記載のチタンの連続ろう付け方法である。
本発明は、連続加熱炉の内壁及び/またはマッフルを炭素質で形成しているので、アルゴンガス中の酸素及び被ろう付け部材とともにアルゴンガス雰囲気中に侵入した空気中の酸素は、内壁の炭素質と反応し、一酸化炭素に変換して、炉内雰囲気を極めて低い、例えば10−15Pa以下の酸素分圧に維持できるので、信頼性の高い接合部が形成できる。また、ろう付けを連続して行うことができるので、生産性が大幅に向上し、製品の低コスト化を図ることができる。また、ステンレス鋼のようなクロムを含む鋼材においても、クロムの酸化を防止できるので、光輝状態でろう付けが可能となる。
本発明の接合方法は、加熱炉の内壁及び/またはマッフルを炭素質として、アルゴンガス雰囲気に混入した酸素を前記炭素質と反応させて一酸化炭素に変換して低酸素分圧とし、この低酸素分圧のアルゴンガス雰囲気中でろう付けを行なうことによって、チタンのろう付けを連続的に行なうことができるものである。
被ろう付け部材を搬送するコンベア等の搬送手段は、耐熱性の金属材料あるいは炭素質のいずれでもでも形成できるが、炭素繊維等の炭素質で形成すると、酸素分圧をさらに低下させることができる。
また、ヒータも通常用いられる金属抵抗体あるいはセラミックス抵抗体のいずれでも使用できるが、特に、高温下でのろう付けを行なう場合には、黒鉛等の炭素質で構成すると、酸素分圧をさらに低下させることができる。
被ろう付け部材を搬送するコンベア等の搬送手段は、耐熱性の金属材料あるいは炭素質のいずれでもでも形成できるが、炭素繊維等の炭素質で形成すると、酸素分圧をさらに低下させることができる。
また、ヒータも通常用いられる金属抵抗体あるいはセラミックス抵抗体のいずれでも使用できるが、特に、高温下でのろう付けを行なう場合には、黒鉛等の炭素質で構成すると、酸素分圧をさらに低下させることができる。
また、被ろう付け部材の一方となるチタンは、純チタンあるいはチタン合金のいずれでもよく、チタン合金としては、Ti−5Al−2.5Sn等のα型、Ti−6Al−4V、Ti−3Al−2.5V等のα−β型、Ti−1.5V−3Cr−3Sn−3Al等のβ型の何れも使用できる。
他方の被ろう接部材としては、前記チタンまたはチタン合金あるいは、炭素鋼、合金鋼、ステンレス鋼等の鋼材が好適に使用できる。特に、ステンレス鋼のようなクロムを含有するものでも、クロムの酸化を防止できるため好適に使用できる。
他方の被ろう接部材としては、前記チタンまたはチタン合金あるいは、炭素鋼、合金鋼、ステンレス鋼等の鋼材が好適に使用できる。特に、ステンレス鋼のようなクロムを含有するものでも、クロムの酸化を防止できるため好適に使用できる。
ろう材としては、チタンまたはチタン合金同士、あるいはチタンとステンレス鋼のような鋼材では、BAg−8(Ag−28Cu)のような銀ろう、または、Ti−Cu−Ni系、Ti−Zr−Cu−Ni系のTi積層ろうが好適に使用できる。
以下、本発明を実施例により詳細に説明する。
本実施例で用いた連続加熱炉は、入り口側から予熱室、加熱室及び冷却室を連接してトンネル状とし、被ろう付け部材を順次且つ連続して炉内に搬送するように炭素繊維で形成したコンベアを炉内を貫通するように配置したものである。加熱室は、内壁となる外マッフル及び内マッフルを炭素質で構成し、ヒーターを黒鉛製としたもので、アルゴンガスは、加熱炉に連通したガス供給手段を介して加熱炉内に導入し、予熱室及び冷却室方向に流れるようにしている。
本実施例で用いた連続加熱炉は、入り口側から予熱室、加熱室及び冷却室を連接してトンネル状とし、被ろう付け部材を順次且つ連続して炉内に搬送するように炭素繊維で形成したコンベアを炉内を貫通するように配置したものである。加熱室は、内壁となる外マッフル及び内マッフルを炭素質で構成し、ヒーターを黒鉛製としたもので、アルゴンガスは、加熱炉に連通したガス供給手段を介して加熱炉内に導入し、予熱室及び冷却室方向に流れるようにしている。
また、本実施例では、被ろう付け部材の一方を板状体とし、他方を円柱体としたものを用い、板状体と円柱体の間にろう材を配置して、逆T字状に組立て、コンベアによって、予熱室から加熱室に移送してろう付けを行った。
加熱室は、外マッフル及び内マッフル、ヒータ及びコンベアを炭素質で構成しているため、ろう付け温度において、酸素分圧は10−15Pa以下となる。
なお、酸素分圧は極めて低いため、一酸化炭素分圧の測定値を求め、この測定値から推測した。
なお、酸素分圧は極めて低いため、一酸化炭素分圧の測定値を求め、この測定値から推測した。
(実施例1)
被ろう付け部材として、板状体をチタン合金(Ti−6Al−4V)、円柱体をステンレス鋼(SUS304)とし、ろう材として、Ti−Cu−Ni系積層チタンろうを用いて、950℃で30分加熱した。この時の炉内CO濃度は0.3Paであった。すなわちこれと平衡する酸素分圧は計算上1.5×10−25Paとなる。冷却後のチタン合金及びステンレス鋼の表面は光輝状態で酸化は認められなかった。また、接合部を切断して顕微鏡で観察したところ、溶け分かれ、ボイド、クラック等の欠陥のない健全なろう付け組織が認められ、接合強度も真空ろう付けと遜色のないことが確認できた。
被ろう付け部材として、板状体をチタン合金(Ti−6Al−4V)、円柱体をステンレス鋼(SUS304)とし、ろう材として、Ti−Cu−Ni系積層チタンろうを用いて、950℃で30分加熱した。この時の炉内CO濃度は0.3Paであった。すなわちこれと平衡する酸素分圧は計算上1.5×10−25Paとなる。冷却後のチタン合金及びステンレス鋼の表面は光輝状態で酸化は認められなかった。また、接合部を切断して顕微鏡で観察したところ、溶け分かれ、ボイド、クラック等の欠陥のない健全なろう付け組織が認められ、接合強度も真空ろう付けと遜色のないことが確認できた。
(実施例2)
実施例1と同様に、板状体をチタン合金(Ti−6Al−4V)、円柱体をステンレス鋼(SUS304)とし、ろう材として、箔状のBAg−8を用いて、900℃で5分加熱した。この時の炉内CO濃度は0.1Paであった。すなわちこれと平衡する酸素分圧は計算上6.6×10−27Paとなる。冷却後のチタン合金及びステンレス鋼の表面は光輝状態で酸化は認められなかった。また、接合部を切断して顕微鏡で観察したところ、溶け分かれ、ボイド、クラック等の欠陥のない健全なろう付け組織が認められ、接合強度も真空ろう付けと遜色のないことが確認できた。
実施例1と同様に、板状体をチタン合金(Ti−6Al−4V)、円柱体をステンレス鋼(SUS304)とし、ろう材として、箔状のBAg−8を用いて、900℃で5分加熱した。この時の炉内CO濃度は0.1Paであった。すなわちこれと平衡する酸素分圧は計算上6.6×10−27Paとなる。冷却後のチタン合金及びステンレス鋼の表面は光輝状態で酸化は認められなかった。また、接合部を切断して顕微鏡で観察したところ、溶け分かれ、ボイド、クラック等の欠陥のない健全なろう付け組織が認められ、接合強度も真空ろう付けと遜色のないことが確認できた。
(実施例3)
被ろう接部材として、板状体をチタン合金(Ti−6Al−4V)、円柱体を同じくチタン合金(Ti−6Al−4V)とし、ろう材として、Ti−Zr−Cu−Ni系チタン積層ろう材を用い、950℃で30分加熱した。冷却後のチタン合金及びステンレス鋼の表面は光輝状態で酸化は認められなかった。また、接合部を切断して顕微鏡で観察したところ、溶け分かれ、ボイド、クラック等の欠陥のない健全なろう付け組織が認められ、接合強度も真空ろう付けと遜色のないことが確認できた。
被ろう接部材として、板状体をチタン合金(Ti−6Al−4V)、円柱体を同じくチタン合金(Ti−6Al−4V)とし、ろう材として、Ti−Zr−Cu−Ni系チタン積層ろう材を用い、950℃で30分加熱した。冷却後のチタン合金及びステンレス鋼の表面は光輝状態で酸化は認められなかった。また、接合部を切断して顕微鏡で観察したところ、溶け分かれ、ボイド、クラック等の欠陥のない健全なろう付け組織が認められ、接合強度も真空ろう付けと遜色のないことが確認できた。
以上、詳述したように、本願発明は、少なくとも一方がチタンまたはチタン合金からなる被ろう付け部材をアルゴンガス雰囲気とした連続加熱炉内へ搬送してろう付けするチタンの連続ろう付け方法であって、前記加熱炉の内壁及びヒータを炭素質とすると共に、被ろう付け部材を搬送するコンベアを炭素質製として、アルゴンガス雰囲気に混入した酸素を前記炭素質と反応させて一酸化炭素に変換し、搬送されてくる被ろう付け部材を、10−15Pa以下の低酸素分圧下でろう付けを行うので、信頼性の高いあるろう付けを連続して行うことができため、生産性が大幅に向上し、製品の低コスト化を図ることができ、また、ステンレス鋼のようなクロムを含む鋼材においても、クロムの酸化を防止できるので、光輝状態でろう付けできるという、甚大の効果を奏するものである。
Claims (3)
- 少なくとも一方がチタンまたはチタン合金からなる被ろう付け部材をアルゴンガス雰囲気とした連続加熱炉内へ搬送してろう付けするチタンの連続ろう付け方法であって、
前記加熱炉の内壁及び/またはマッフルを炭素質で形成し、アルゴンガス雰囲気に混入した酸素を前記炭素質と反応させて一酸化炭素に変換して低酸素分圧雰囲気となし、該低酸素分圧下で搬送された前記被ろう付け部材をろう付けすることを特徴とするチタンの連続ろう付け方法。 - 前記酸素分圧が、10−15Pa以下であることを特徴とする請求項1記載のチタンの連続ろう付け方法。
- 他方の被ろう付け部材が、ステンレス鋼であることを特徴とするチタンの連続ろう付け方法。
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JP2010111928A (ja) * | 2008-11-07 | 2010-05-20 | Sumitomo Metal Ind Ltd | チタン合金、チタン合金部材、及びチタン合金部材製造方法 |
JP2012238733A (ja) * | 2011-05-12 | 2012-12-06 | Thermo Graphitics Co Ltd | 異方性熱伝導素子及びその製造方法 |
US11905456B2 (en) | 2018-03-28 | 2024-02-20 | Kaneka Corporation | Anisotropic graphite, anisotropic graphite composite, and method for producing same |
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-
2007
- 2007-03-05 JP JP2007054014A patent/JP2008212982A/ja active Pending
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