JP2012082095A - 複数のセラミックス部材を相互に接合する方法 - Google Patents

複数のセラミックス部材を相互に接合する方法 Download PDF

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英紀 北
Yasuhisa Izutsu
靖久 井筒
Hiroyuki Miyazaki
広行 宮崎
Mikinori Hotta
幹則 堀田
Kenichiro Kita
憲一郎 北
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Abstract

【課題】大型のセラミックス部材や被接合領域が大面積にわたるセラミックス部材の接合にも容易に適用することが可能であり、良好な接合強度が得られるセラミックス部材同士の接合方法を提供する。
【解決手段】(a)同じ無機物質主成分を含む第1および第2のセラミックス部材を準備するステップと、(b)前記第1および第2のセラミックス部材の被接合面に、前記無機物質主成分を構成する金属を、金属または合金成分として含む溶射膜を設置するステップと、(c)前記第1および第2のセラミックス部材の前記被接合面同士を密着させて、組立体を構成するステップと、(d)前記組立体を熱処理して、前記溶射膜中の前記金属または合金成分を溶融させるとともに、前記金属成分を、前記無機物質主成分と同じ物質に変化させるステップと、を有することを特徴とする方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、アルミナ、窒化ケイ素および炭化ケイ素等のセラミックス部材同士を相互に接合する方法に関する。
複数のセラミックス部材を相互に接合する技術は、様々な分野で利用されている。
通常、2つのセラミックス部材を接合する際には、
(i)まず、2つの所定形状のセラミックス部材が準備され、
(ii)1つ以上のセラミックス部材の被接合面に、接着材が設置され、
(iii)各セラミックス部材の被接合面同士が接着材を介して相互に押し付けられ、両者が接合される。
なお、通常の場合、セラミックス製品は、高温で使用されるため、接着材は、そのような使用温度で耐熱性を有する必要があり、接着材としては、例えば、ろう材などが使用される。
しかしながら、このような方法で接合された接合体は、接合面での強度がその他の位置に比べて著しく劣るという問題がある。
このため、特許文献1には、第1の方法として、2つのアルミナ部材の間に、接着材としてアルミニウム金属または合金を介在させて、組立体を構成する方法が提案されている。その後、この組立体は、非酸化雰囲気中で加熱され、アルミナ部材同士が接合された後、さらに接着材を酸化させるため、組立体の酸化処理が行われる。この場合、得られる接合体は、接合部がその他の部分と同質化されているため、従来に比べて、高い強度が得られることが記載されている。
さらに、同文献には、第2の方法として、表面粗さRaを0.01μm以下に調整したセラミックス部材の表面(被接合面)に、接着材用の1μm以下の薄い蒸着アルミニウム膜を設置し、これらのセラミックス部材同士を重ねて組立体を構成する方法が記載されている。その後、この組立体に対して、前述の第1の方法と同様の2段階の熱処理が適用され、接合体が構成される。
特開平6−115009号公報
しかしながら、一般に、金属アルミニウムは、アルミナに対して濡れにくいという性質がある。このため、前述の第1の方法のように、アルミナ部材同士の間に、接着材として、別途アルミニウム金属または合金を介在させる方法では、最終的に得られる接合面に、隙間や欠陥が生じやすいという問題がある。このような欠陥は、接合体の接合面での強度低下につながる。
また、前述の特許文献1に記載の方法は、大型のセラミックス部材や、被接合領域が大面積にわたるセラミックス部材を接合することを想定して開発されたものではない。例えば、前述の第2の方法のように、大型セラミックス部材に対して表面粗さを調整することや、大型セラミックス部材の表面に、厚さが1μm以下のアルミニウム膜を均一に蒸着することは、実際には極めて難しい。
このため、大型のセラミックス部材や被接合領域が大面積にわたるセラミックス部材を適正に接合する技術に関しては、未だ大きな要望があると言える。
本発明は、このような背景に鑑みなされたものであり、本発明では、大型のセラミックス部材や被接合領域が大面積にわたるセラミックス部材の接合にも容易に適用することが可能であり、良好な接合強度が得られるセラミックス部材同士の接合方法を提供することを目的とする。
本発明では、
複数のセラミックス部材を相互に接合する方法であって、
(a)同じ無機物質主成分を含む第1および第2のセラミックス部材を準備するステップと、
(b)前記第1および第2のセラミックス部材の被接合面に、前記無機物質主成分を構成する金属を、金属または合金成分として含む溶射膜を設置するステップと、
(c)前記第1および第2のセラミックス部材の前記被接合面同士を密着させて、組立体を構成するステップと、
(d)前記組立体を熱処理して、前記溶射膜中の前記金属または合金成分を溶融させるとともに、前記金属成分を、前記無機物質主成分と同じ物質に変化させるステップと、
を有することを特徴とする方法が提供される。
ここで、本発明による方法において、前記無機物質主成分は、アルミナであり、
前記金属成分は、アルミニウムであり、
前記(d)のステップは、酸化性雰囲気で行われても良い。
あるいは、本発明による方法において、前記無機物質主成分は、窒化ケイ素であり、
前記金属成分は、ケイ素であり、
前記(d)のステップは、窒化性雰囲気で行われても良い。
あるいは、本発明による方法において、前記無機物質主成分は、炭化ケイ素であり、
前記金属成分は、ケイ素であり、
前記(d)のステップは、炭化性雰囲気で行われても良い。
また、本発明による方法において、前記溶射膜の少なくとも一方は、さらに、前記無機物質主成分と同じ物質を含んでも良い。
また、本発明による方法において、前記溶射膜は、厚さが50μm〜200μmであっても良い。
本発明では、大型のセラミックス部材や被接合領域が大面積にわたるセラミックス部材の接合にも容易に適用することが可能であり、良好な接合強度が得られるセラミックス部材同士の接合方法を提供することが可能となる。
本発明による複数のセラミックス部材を相互に接合する方法のフローの一例を概略的に示した図である。 図1に示す各段階における状態を概略的に示した図である。 評価用試験片300の形状を概略的に示した図である。
本発明では、
複数のセラミックス部材を相互に接合する方法であって、
(a)同じ無機物質主成分を含む第1および第2のセラミックス部材を準備するステップと、
(b)前記第1および第2のセラミックス部材の被接合面に、前記無機物質主成分を構成する金属を、金属または合金成分として含む溶射膜を設置するステップと、
(c)前記第1および第2のセラミックス部材の前記被接合面同士を密着させて、組立体を構成するステップと、
(d)前記組立体を熱処理して、前記溶射膜中の前記金属または合金成分を溶融させるとともに、前記金属成分を、前記無機物質主成分と同じ物質に変化させるステップと、
を有することを特徴とする方法が提供される。
なお、本願において、「(無機物質)主成分」という用語は、セラミックス部材中に、50wt%以上の割合で含まれる無機成分を意味する。
従って、例えば、第1および第2のセラミックス部材の主成分がアルミナ(Al)である場合、「前記無機物質主成分を構成する金属を、金属または合金成分として含む溶射膜」とは、アルミニウム(Al)を金属または合金の状態で含む溶射膜を意味する。
同様に、例えば、第1および第2のセラミックス部材の主成分が窒化ケイ素(Si)または炭化ケイ素(Si)である場合、「前記無機物質主成分を構成する金属を、金属または合金成分として含む溶射膜」とは、ケイ素(Si)を金属または合金の状態で含む溶射膜を意味することに留意する必要がある。
なお、ケイ素(Si)は、正確には半導体元素に分類されるが、表現の統一化、明確化のため、本願では、ケイ素を金属と表記する。
これまで、2つ以上のセラミックス部材を相互に接合する技術として、様々な方法が検討され、実施されてきた。
例えば、前述のように、特許文献1には、第1の方法として、2つのアルミナ部材の間に、接着材としてアルミニウム金属または合金を介在させて、組立体を構成する方法が提案されている。その後、この組立体は、非酸化雰囲気中で加熱され、アルミナ部材同士が接合された後、さらに接着材を酸化させるため、組立体の酸化処理が行われる。
また、特許文献1には、第2の方法として、表面粗さRaを0.01μm以下に調整したセラミックス部材の表面(被接合面)に、接着材用の1μm以下の薄い蒸着アルミニウム膜を設置し、これらのセラミックス部材同士を重ねて組立体を構成する方法が記載されている。その後、この組立体に対して、前述の第1の方法と同様の2段階の熱処理が適用され、接合体が構成される。
しかしながら、一般に、金属アルミニウムは、アルミナに対して濡れにくいという性質がある。このため、前述の第1の方法のように、アルミナ部材同士の間に、接着材として、別途アルミニウム金属または合金を介在させる方法では、最終的に得られる接合面に、隙間や欠陥が生じやすいという問題がある。このような欠陥は、接合体の接合面での強度低下につながる。
また、前述の第2の方法は、大型のセラミックス部材や、被接合領域が大面積にわたるセラミックス部材に対して適用することは、極めて難しいという問題がある。例えば、そのようなセラミックス部材に対して、表面粗さを調整することや、厚さが1μm以下のアルミニウム膜を均一に蒸着することは、事実上不可能である。
これに対して、本発明の接合方法は、前述のステップ(b)に示したように、「前記第1および第2のセラミックス部材の被接合面に、前記無機物質主成分を構成する金属を、金属または合金成分として含む溶射膜を設置するステップ」を有するという特徴を有する。
溶射法は、一般に、適用対象の寸法や形状による制限を受けにくく、施工場所による制限が少ない(現地施工が可能である)という特徴を有する。
従って、セラミックス部材同士の接合の接着材として溶射膜を利用することにより、本発明の接合方法を、大型のセラミックス部材や、被接合領域が大面積にわたるセラミックス部材の接合にも、容易に適用することが可能となる。また、例えば、現地でのセラミックス部材同士の接合処理が可能となる。
また、本発明の接合方法は、前述のステップ(d)に示したように、「前記組立体を熱処理して、前記溶射膜中の前記金属または合金成分を溶融させるとともに、前記金属成分を、前記無機物質主成分と同じ物質に変化させるステップ」を有するという特徴を有する。
例えば、第1および第2のセラミックス部材の主成分がアルミナ(Al)であり、溶射膜がアルミニウム(Al)を金属の状態で含む場合、アルミニウムの融点は、約660℃であるため、ステップ(d)では、組立体が約660℃を超える温度に加熱される。これにより溶射膜が溶融する。
さらに、組立体は、酸化性雰囲気に晒される。これにより、溶射膜中のアルミニウムは、酸化され、接合部には、セラミックス部材の主成分と同じ材質であるアルミナが形成されることになる。
このように、本発明では、接合体の接合部には、最終的に、セラミックス部材の主成分と同じ材質が形成される。このため、接合部には、その他の部分と比べても、比較的遜色のない、良好な強度が得られる。
また、本発明による方法では、組立体を構成する際に、2つのセラミックス部材の間に、別個の材料を接着材として介在させた工程を有さない。すなわち、本発明による方法において、接着材となる溶射膜は、それぞれのセラミックス部材の被接合面に既に密着され、セラミックス部材と「一体化」されている。このため、本発明の方法では、従来の接着材(例えばアルミニウム)とセラミックス部材(例えばアルミナ)の間のような濡れ性の問題が生じにくく、接合面に隙間や欠陥が生じることが有意に抑制される。
(本発明による筒状構造体の製造方法)
次に、図面を参照して、本発明による方法について説明する。
図1には、本発明による複数のセラミックス部材を相互に接合する方法のフローの一例を概略的に示す。また、図2には、図1に示す各段階における状態を概略的に示す。
図1に示すように、本発明による方法は、
(a)同じ無機物質主成分を含む第1および第2のセラミックス部材を準備するステップと、
(b)前記第1および第2のセラミックス部材の被接合面に、前記無機物質主成分を構成する金属を、金属または合金成分として含む溶射膜を設置するステップと、
(c)前記第1および第2のセラミックス部材の前記被接合面同士を密着させて、組立体を構成するステップと、
(d)前記組立体を熱処理して、前記溶射膜中の前記金属または合金成分を溶融させるとともに、前記金属成分を、前記無機物質主成分と同じ物質に変化させるステップと、
を有する。
以下、各ステップについて詳しく説明する。
(ステップS110)
まず、接合される第1および第2のセラミックス部材が準備される。これらのセラミックス部材は、同じ無機物質主成分を含む。
同じ無機物質主成分は、アルミナ、窒化ケイ素、または炭化ケイ素等であっても良い。
第1および第2のセラミックス部材の寸法や形状は、特に限られない。特に、本発明による方法は、大型セラミックス部材、および/または被接合領域が大面積にわたるセラミックス部材にも、同様に適用することができる。
図2(a)には、一例として、直方体状の第1のセラミックス部材10および第2のセラミックス部材60を示す。第1のセラミックス部材10は、被接合面12を有し、第2のセラミックス部材60は、被接合面62を有する。
(ステップS120)
次に、図2(b)に示すように、第1のセラミックス部材10の被接合面12に、第1のセラミックス部材10の無機物質主成分を構成する金属を、金属または合金成分として含む溶射膜15が設置される。また、第2のセラミックス部材60の被接合面62に、第2のセラミックス部材60の無機物質主成分を構成する金属を、金属または合金成分として含む溶射膜65が設置される。
例えば、第1のセラミックス部材10および第2のセラミックス部材60の無機物質主成分がアルミナである場合、溶射膜15および65は、アルミニウム金属または合金を含む。
また、例えば、第1のセラミックス部材10および第2のセラミックス部材60の無機物質主成分が窒化ケイ素である場合、溶射膜15および65は、ケイ素金属または合金を含む。
さらに、例えば、第1のセラミックス部材10および第2のセラミックス部材60の無機物質主成分が炭化ケイ素である場合、溶射膜15および65は、ケイ素金属または合金を含む。
溶射膜15および65を形成するための溶射法としては、フレーム溶射、プラズマ溶射、および爆発溶射などの一般的なサーマルスプレー法の他、コールドスプレー法等を利用しても良い。
なお、溶射膜15および65は、金属または合金成分の他、第1および第2のセラミックス部材10、60の無機物質主成分と同一の物質(以下、「(溶射膜の)セラミックス成分」と称する)を有しても良い。溶射膜15および65のセラミックス成分は、溶射膜15、65に対して、例えば、10wt%〜50wt%の範囲で含まれても良い。
一般に、溶射膜15および65が金属または合金成分のみで構成された場合、以降のステップS140における熱処理を行った際に、溶射膜15および65内の全ての金属または合金成分が溶融されず、部分的に未溶融部分が残存する場合があり得る。このような未溶融部分は、接合部の強度低下の要因となる。また、このような未溶融部分の残留を完全に抑制するためには、相当な時間の熱処理時間が必要となってしまうという問題がある。
しかしながら、溶射膜15および/または溶射膜65中にセラミックス成分を添加した場合、相対的に溶射膜15および/または溶射膜65に含まれる金属または合金の量が減少し、溶射膜15および/または溶射膜65の金属または合金全体が溶融しやすくなる。このため、未溶融部分が残存しにくくなり、前述のような問題が軽減または解消されるようになる。
溶射膜15および65の厚さは、特に限られないが、例えば、50μm〜200μmの範囲であっても良い。
(ステップS130)
次に、図2(c)に示すように、第1のセラミックス部材10の被接合面12と、第2のセラミックス部材60の被接合面62とが密着され、組立体100が構成される。
組立体100には、2つの被接合面12および62が隙間なく密着するように、セラミックス部材10、60のそれぞれの側、または片方の側から、圧力(加重)を印加しても良い。
(ステップS140)
次に、組立体100が熱処理される。
組立体100の熱処理は、以下の2つの目的を有する:
(i)溶射膜15および65中の金属または合金成分を溶融させ、この溶融部を介して、2つのセラミックス部材同士を接合すること;および
(ii)溶融した金属または合金成分を、セラミックス部材10、60の無機物質主成分と同じ物質に変化させること。
従って、第1および第2のセラミックス部材10、60の無機物質主成分が酸化物の場合、ステップS140は、酸化性雰囲気に調整される。また、第1および第2のセラミックス部材10、60の無機物質主成分が窒化物の場合、ステップS140は、窒化性雰囲気に調整される。さらに、第1および第2のセラミックス部材10、60の無機物質主成分が炭化物の場合、ステップS140は、炭化性雰囲気に調整される。
ここで、「酸化性雰囲気」とは、溶融金属または合金が酸化される雰囲気を言う。従って、「酸化性雰囲気」は、例えば、酸素雰囲気、大気雰囲気、または酸素と不活性ガス等の混合ガス雰囲気等である。また、「窒化性雰囲気」とは、溶融金属または合金が窒化される雰囲気を言う。従って、「窒化性雰囲気」は、例えば、窒素雰囲気、または窒素と水素の混合ガス雰囲気等である。同様に、「炭化性雰囲気」とは、溶融金属または合金が炭化される雰囲気を言う。従って、「炭化性雰囲気」は、例えば、CO(一酸化炭素)雰囲気、またはCOと水素の混合ガス雰囲気等である。
例えば、第1および第2のセラミックス部材10、60の無機物質主成分がアルミナである場合、溶射膜15および65は、アルミニウム金属または合金を含む。ここで、アルミニウムの融点は、約660℃であるため、この場合、組立体100は、約660℃を超える温度に加熱される。これにより溶射膜15溶射膜65が溶融し、2つのセラミックス部材10、60同士が接合される。さらに、溶融したアルミニウムは、高温の酸化性雰囲気に晒され、酸化してアルミナに変化する。
一方、例えば、第1および第2のセラミックス部材10、60の無機物質主成分が窒化ケイ素(Si)である場合、溶射膜15および65は、ケイ素(Si)を金属または合金の状態で含む。ここで、ケイ素の融点は、約1420℃であるため、この場合、組立体100は、約1420℃を超える温度に加熱される。これにより溶射膜15および65が溶融し、2つのセラミックス部材10、60同士が接合される。さらに、溶融したケイ素は、高温の窒化性雰囲気に晒され、窒化して窒化ケイ素に変化する。
また、例えば、第1および第2のセラミックス部材10、60の無機物質主成分が炭化ケイ素(Si)である場合、溶射膜15および65は、ケイ素(Si)を金属または合金の状態で含む。ここで、ケイ素の融点は、約1420℃であるため、この場合、組立体100は、約1420℃を超える温度に加熱される。これにより溶射膜15および65が溶融し、2つのセラミックス部材10、60同士が接合される。さらに、溶融したケイ素は、高温の炭化性雰囲気に晒され、炭化して炭化ケイ素に変化する。
熱処理の温度および時間は、溶融金属または合金の種類、量等によって変化する。
ここで、本発明の方法では、接着材、すなわち溶融金属または合金の溶融と、接着材の反応(酸化、窒化、または炭化等)は、同一の熱処理で行われ得ることに留意する必要がある。
この場合、溶射膜の溶融処理と溶融成分の反応処理の2つの処理が同時に行われるため、必要な工程数が減少し、低コストな接合処理が可能となるという利点が得られる。
以上の工程により、図2(d)に示すような、接合部110を有する接合体120が形成される。前述のように、接合部110は、第1および第2のセラミックス部材10、60の主成分と同等の物質で構成されている。このため、接合体120の接合部110の強度は、他の部分に比べて、それほど低下していない。従って、以上の工程により、比較的良好な接合強度を有する接合体120が得られる。
以下、本発明の実施例について、詳しく説明する。ただし、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
以下の方法により、2つのアルミナ製部材の接合体を製作した。
まず、市販のアルミナ製部材(純度99.5%以上、気孔率1%以下)を2つ準備する。各アルミナ製部材の寸法は、長さ35mm、幅35mm、高さ25mmである。
次に、各アルミナ製部材の被接合面(35mm×35mmの表面の一つ)に、金属アルミニウム膜を設置した。金属アルミニウム膜は、大気プラズマ溶射法により成膜した。金属アルミニウム膜の厚さは、100μmとした。
次に、各アルミナ製部材の被接合面同士を上下方向に密着させ、組立体を構成した。この際に、組立体の上部に、0.02MPaの荷重(重り)を加え、被接合面同士が確実に接触するようにした。
次に、この組立体を焼成炉内に配置し、大気雰囲気で熱処理を行った。熱処理は、1℃/分の昇温速度で室温から1100℃まで昇温した後、引き続き昇温速度5℃/分で1600℃まで昇温し、この温度に12時間保持することにより実施した。その後、組立体は、降温速度5℃/分で室温まで冷却した。
以上の方法により、実施例1に係る接合体を得た。
外観観察の結果、接合体の接合部には、特にワレや隙間等の異常は認められなかった。
(実施例2)
実施例1と同様の方法により、実施例2に係る接合体を得た。ただし、実施例2では、溶射用原料として、アルミニウムとアルミナの混合粉末を使用した。原料粉末中のアルミニウムとアルミナの割合は、7:3(重量比)とした。従って、溶射膜は、アルミニウムとアルミナの混合膜である。
その他の製作条件は、実施例1の場合と同様である。
熱処理後の外観観察の結果、接合体の接合部には、特にワレや隙間等の異常は認められなかった。
(比較例1)
以下の方法により、2つのアルミナ製部材の接合体を製作した。
まず、市販のアルミナ製部材(純度99.5%以上、気孔率1%以下)を2つ準備する。各アルミナ製部材の寸法は、長さ35mm、幅35mm、高さ25mmである。
次に、各アルミナ製部材の被接合面(20mm×20mmの表面の一つ)に、金属アルミニウム箔を設置した。金属アルミニウム箔の寸法は、縦35mm×横35mm×厚さ100μmとした。
次に、各アルミナ製部材の被接合面同士を上下方向に密着させ、組立体を構成した。この際に、組立体の上部に、0.02MPaの荷重(重り)を加え、被接合面同士が確実に接触するようにした。
次に、この組立体を焼成炉内に配置し、大気雰囲気で熱処理を行った。熱処理条件は、実施例1の場合と同様である。これにより、比較例1に係る接合体を得た。
熱処理後の外観観察の結果、接合体の接合部には、隙間が認められた。
(比較例2)
比較例1と同様の方法により、比較例2に係る接合体を得た。ただし、比較例2では、金属アルミニウム箔の厚さは、2μmとした。
その他の製作条件は、実施例1の場合と同様である。
熱処理後の外観観察の結果、接合体の接合部には、隙間が認められた。
(実施例3)
以下の方法により、2つの窒化ケイ素製部材の接合体を製作した。
まず、市販の窒化ケイ素製部材(助剤として、YおよびAlを含む)を2つ準備する。各窒化ケイ素製部材の寸法は、長さ20mm、幅20mm、高さ20mmである。
次に、各窒化ケイ素製部材の被接合面(20mm×20mmの表面の一つ)に、ケイ素膜を設置した。ケイ素膜は、大気プラズマ溶射法により成膜した。ケイ素膜の厚さは、100μmとした。
次に、各窒化ケイ素製部材の被接合面同士を上下方向に密着させ、組立体を構成した。この際に、組立体の上部に、0.02MPaの荷重(重り)を加え、被接合面同士が確実に接触するようにした。
次に、この組立体を焼成炉内に配置し、窒素雰囲気で熱処理を行った。熱処理は、0.1MPaの窒素雰囲気下で、10℃/分の昇温速度で室温から1200℃まで昇温して、この温度で2時間保持した後、窒素雰囲気圧力を0.9MPaに変えてから、昇温速度10℃/分で1800℃まで昇温し、この温度に6時間保持することにより実施した。その後、組立体は、降温速度5℃/分で室温まで冷却した。
以上の方法により、実施例3に係る接合体を得た。
外観観察の結果、接合体の接合部には、特にワレや隙間等の異常は認められなかった。
(比較例3)
以下の方法により、2つの窒化ケイ素製部材の接合体を製作した。
まず、市販の窒化ケイ素製部材(助剤として、YおよびAlを含む)を2つ準備する。各窒化ケイ素製部材の寸法は、長さ20mm、幅20mm、高さ20mmである。
次に、各窒化ケイ素製部材の被接合面(20mm×20mmの表面の一つ)に、成形法により作成したケイ素シートを設置した。ケイ素シートの寸法は、縦20mm×横20mm×厚さ100μmとした。
次に、各窒化ケイ素製部材の被接合面同士を上下方向に密着させ、組立体を構成した。この際に、組立体の上部に、0.02MPaの荷重(重り)を加え、被接合面同士が確実に接触するようにした。
次に、この組立体を焼成炉内に配置し、窒素雰囲気で熱処理を行った。熱処理条件は、実施例3の場合と同様である。これにより、比較例3に係る接合体を得た。
熱処理後の外観観察の結果、接合体の接合部には、隙間が認められた。
表1には、各接合体における接着材の提供手段、材質および膜厚、ならびに接合体の接合部の外観観察結果をまとめて示した。
Figure 2012082095
(評価)
以下の方法により、上述の方法で作製した実施例1〜3および比較例1〜3に係る接合体の接合部の強度を評価した。
まず、各接合体から、図3に示す角柱形状の評価用試験片300を多数切り出した。評価用試験片300は、底面が3mm×4mmであり、長さが40mmである。また、図3に示すように、評価用試験片300は、各接合体の接合部310が試験片の全長方向の中央部分となるように切り出した。
次に、各試験片を用いて、室温で4点曲げ試験を実施した。
4点曲げ試験は、JIS R1601(ファインセラミックスの室温曲げ強さ試験方法)に準じて実施した。試験時の外部支点間距離は、30mmであり、内部支点間距離は、10mmである。試験片に、0.5mm/分のクロスヘッド速度で変位を加え、試験片が破壊したときの最大荷重を測定した。試験は、同一の接合体から切り出した5本の試験片について実施した。破断時の荷重(最大荷重)から応力値を算出し、これをその接合体の破壊強度とした。5本の破壊強度の平均値をその接合体の接合強度とした。
各試験片で得られた結果を、前述の表1に示す。なお表1には、参考のため、バルク材、すなわち、セラミックス部材そのものの4点曲げ試験で得られた破壊強度(5本の平均値)を同時に示した。
この結果から、比較例1〜比較例3の試験片では、バルク材に比べて接合強度が著しく低下していることがわかる。一方、実施例1〜実施例3の試験片では、接合強度は、バルク材に比べて多少低下するものの、依然として良好な状態を維持していることがわかる。
このことから、本発明による方法で得られた接合体は、接合部が比較的良好な強度を有することが確認された。
本発明は、複数のセラミックス部材を相互に接合する技術に利用することができる。
10 第1のセラミックス部材
12 被接合面
15 溶射膜
60 第2のセラミックス部材
62 被接合面
65 溶射膜
100 組立体
110 接合部
120 接合体
300 評価用試験片
310 接合部

Claims (6)

  1. 複数のセラミックス部材を相互に接合する方法であって、
    (a)同じ無機物質主成分を含む第1および第2のセラミックス部材を準備するステップと、
    (b)前記第1および第2のセラミックス部材の被接合面に、前記無機物質主成分を構成する金属を、金属または合金成分として含む溶射膜を設置するステップと、
    (c)前記第1および第2のセラミックス部材の前記被接合面同士を密着させて、組立体を構成するステップと、
    (d)前記組立体を熱処理して、前記溶射膜中の前記金属または合金成分を溶融させるとともに、前記金属成分を、前記無機物質主成分と同じ物質に変化させるステップと、
    を有することを特徴とする方法。
  2. 前記無機物質主成分は、アルミナであり、
    前記金属成分は、アルミニウムであり、
    前記(d)のステップは、酸化性雰囲気で行われることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  3. 前記無機物質主成分は、窒化ケイ素であり、
    前記金属成分は、ケイ素であり、
    前記(d)のステップは、窒化性雰囲気で行われることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  4. 前記無機物質主成分は、炭化ケイ素であり、
    前記金属成分は、ケイ素であり、
    前記(d)のステップは、炭化性雰囲気で行われることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  5. 前記溶射膜の少なくとも一方は、さらに、前記無機物質主成分と同じ物質を含むことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一つに記載の方法。
  6. 前記溶射膜は、厚さが50μm〜200μmであることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一つに記載の方法。
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